07/12/25 00:28:30 GbKTW7f9
それでは投下します
~異世界ロア~
ヴォン…魔法陣が唸りをあげる
「フッ、懐かしいな。あちらの世界と違って空気が澄んでいる。」
と、故郷の空気を肌で感じるメッツァー。と、背後にふと気配を感じて振り返る。
「お久しぶりです…メッツァー様。主の命を受け、お迎えに上がりました」
「フェリセス…」
妖艶な雰囲気を纏った彼女の名はフェリセス・レクシア。彼女もまた元・近衛騎士団だっ
たが、ゼーロウに捕獲された後、調教を受け、快楽へと墜ちた堕天使である。一度はメッ
ツァーに仕えたが、以前のプリンセスティア攻略作戦に失敗し、基地を脱出する際、フェ
リセスの妹、エレニスと共に行方知れずになっていたが、その後、姉妹共々エルウィンに仕えている事が発覚。メッツァーは、フェリセスを処そうかと考えたが、エルウィンの手
前もあるため、渋々、フェリセスをエルウィンに譲るという形で許した経歴がある。
「それでは、エルウィン様がお待ちですので、ご案内致します。」
「うむ」
その後半刻、2人は何も語る事無く足場の悪い道を進んでゆくと、見慣れたエルウィンのア
ジトの入り口が見えてくる。そして、今までそこの入り口を守っていたエレニスの姿は無
く、替わりに立っていたのは、スイートリップやキッスの教師であり、近衛騎士団の上司
でもある沙倉愛梨、スイートルージュであった…
「ほう…」
メッツァーは品定めするような目でルージュを見やる。
「お待ちしておりました。メッツァー様。中でエルウィン様がお待ちですので、どうぞお
進み下さい。」
と、節目がちに応対するルージュ。恐らく、長らく争ってきたメッツァーに、快楽で墜と
されたという羞恥心でもあったのかもしれない。
「うむ」
と、一言だけ答え、アジトの中へと進むメッツァー。そして、広間前の扉で
「メッツァー様、それでは中へどうぞ。私はこちらで待機しておりますので」
とフェリセスが答える。それを聞き、無言で広間へと入っていくメッツァー
「よう。メッツァー、今日は何用だ?」
と、気さくに声を掛けてきたのはエルウィン・ヨアキム・トランシルヴェール。
ロアでは公に、クイーングロリアによって処刑されたとされるトランシルヴェール家
の元第一王子だ。メッツァーも、近衛騎士団の成り立ちに詳しいエルウィンなら何か情報
を持っていると考え、ここへ赴いたのだ。
「ああ、取り急ぎ、調べたいことがあってこちらへ赴いた。エルウィン、単刀直入に聞く
が、スイートシャドウについての事を知らないか?」