08/05/01 21:34:41 Sm8B/UQX
汚された太陽5
「まあ座りなよ」
ひとまず落ち着いた燦は、自分でも少々熱くなりすぎたことを実感し、羽賀と向き合うように座った。
他のメンバーもその辺にある椅子に腰をかける。
燦の真面目な顔に対し、羽賀はあくまで態度を変えなかった。
「さて、ええと・・・ああ俺の用件だっけ。
まあ結論から言うとさ、君と同居している満潮だっけ?
あいつと別れて俺の女になってよ」
「!!」
ある程度予想はしていたが、ストレートに告げられた言葉に燦は言葉を失う。
お金よりも何よりも、永澄への思いを断ち切られること、それが彼女にとって最大の
恐れだったのだ。
「そ、それは・・・」
強気だった燦も言葉に詰まる、人魚の秘密は守らなければならない、
しかし掟を守るための彼との婚姻、いや、もう掟も何も関係ない。
燦は誰よりも何よりも永澄のことを愛しており、彼女にとっての最優先事項になっていたのだ。
本来なら燦は二人の関係はあくまで親戚であり、別に特別な関係ではないと言い切るところなのだが、
燦はその言葉の衝撃にそこまで思考が回らなかった。
もっとも人魚のことを知っている羽賀がそんなことを知らないわけはないとも言えるのだが。
「断ると言ったら、秘密をバラす・・・と?」
燦は恐る恐る疑問を投げかけた。
はっきり言ってこの状況をどうにかできる訳はない、しかし何か他の交渉手段があるかもしれない。
何か解決の糸口を探すためにも、燦は情報を引き出そうとした。
とにかく燦はこの羽賀のことをほとんど何一つ知らないに等しいのだ。
「うーん、まあ別にそれはどうでもいいんだけどね」
「え?」
思わぬことに燦は素っ頓狂な声を出してしまった。