08/06/12 07:56:00 2At8tKqj
「ねぇ、お姉ちゃん……あの、わた……し」
繭は何も言わずに抱き締め、まるで子供をあやす様
に背中をゆっくりと叩く。澪は許された気がした。
「澪……ごめんね。あんな事して」
「お姉ちゃん……もう気にしてないよ。それに、私の
方こそ謝らないと」
手を離した繭はゆっくりと首を振る。
「気にしないで、私は澪と一緒に居れたらそれで良い
から……さぁ、ここから出よう?」
ようやくの和解。二人は立花家へと向かうのだった。
―私達ハ、必ズ儀式ヲスル……ヒトツニナロウ?
二度目の立花家。どうしても前回の事を思い出して
しまう。そして、やはり会い辛かった。別に澪が何か
した訳ではないが、あんな場面を目の前にしたのだ。
普通と言う訳には行かないだろう。
「でも澪が向こうの鍵を見付けてくれたお陰で、後は
ここから出るだけだね」
「あ、うん。早く出ないとね」
何と無く顔を合わせ辛く思い、脱出と言う案に賛成
する。とは言え、やはり何処か気にはなっていた。と
そんな時だった。
「……あ」
「鈴の音?」
二人で辺りを見回すが何処にも姿はなかった。鈴の
音は遠くから聞こえているのだから、当然と言えば当
然だろう。だが澪には居場所が何と無く分かった。
―あの子は今も床の下の小さなとこに隠れてるのかな。
澪はそんな事を思う。
「ねぇお姉ちゃん。迎えに行ってあげない?」
「ダメっ!」
澪の提案を大声で掻き消すように拒否をする。びっ
くりした妹の様子に繭はうつ向き視線を外した。そん
な姉の思いがけない反応につい「ごめん」と謝ってし
まう澪だった。
229:長いかも47
08/06/13 22:34:27 QhnFwD10
「さ、澪……出よう」
笑顔で手を差し出してくる繭。澪は頷くとその手を
取った。
二人は家の縁側へと向かう。崩れているが、辛うじ
て通り抜けられそうだ。繭を先にやり、澪はそれを手
助けする。悪戦苦闘しながらも何とか抜け、後は澪が
通るだけ。そんな時だった。
「お兄ちゃんを返せ!」
澪の背後から聞き覚えのある声が聞こえてくる。恐
る恐る振り返るとそこにはあの千歳が居た。
「八重! お兄ちゃんを返せ!」
「千歳ちゃん。あのね、私……」
「澪! 早く!」
背後から繭に、前からは千歳に挟まれる形で固まる澪。
どちらを優先させれば良いのか澪は悩む。本当なら繭
なのだが、あんな事をした―本当は八重だが……。
手前このまま逃げる様な事はしたくなかった。
「八重のせいで、八重をかばったせいでお兄ちゃんは
……おに、い」
澪は改めて千歳を見て気付いた。千歳は震えている。
どんな理由かは分からないが千歳は震えていた。それ
に気付いた澪は千歳を放って置く事が出来なかった。
「千歳ちゃん!」
澪は精一杯抱き締めた。気を抜くとすり抜けてしま
いそうになる。そうならない様にきつく抱き締めた。
「や……え、お姉……ふぇ……うわぁぁん! 怖かっ
たよぉ! 寂しかったよぉ! 皆居なくなって、私一
人ぼっちになって、どうして良いか分からなくて、ず
っとずっと……」
「うん、うん、頑張ったね、偉かったね。」
泣き続ける千歳をあやす。
「私がいるから、ここを出よう?」
澪の申し出に首を振る千歳。意外な答えに驚いた顔
をする。
「ダメなの。私、ここから出られないから……」
「そんな!」
「……お願い。逃げるならお兄ちゃんも連れてって」
千歳はそう言うと足首に結んであった鈴付きの紐を
澪に手渡してきた。手に取ると先に鍵がついている。
「蔵の、鍵。少しでも悪かったと思ってるなら、これ
で……」
黙って頷く。千歳はそれを見て照れながら小さくあ
りがとう。と呟いた。
「じゃあ、行くね」
澪がそう言って後ろを向いた。その時だった。
「ソノ鍵ヲ渡シナサイ!」
そこには繭の姿はなく。あの血濡れた着物を着た紗
重が立っていた……。
230:長いかも48
08/06/14 03:46:50 9sEjRXy5
「渡シナサイ!」
「だ……ダメ!」
震えている小さな手を握る。渡さない。千歳にそう
無言で返す。とは言え、唯一の出口は紗重に塞がれて
いる。澪は射影機を構えるが紗重は写らない。焦る澪
……そんな時千歳が服を引っ張ってきた。前を警戒し
ながら千歳の方を向くと小声で「付いてきて」と呟く。
このままではどうしようもない。澪は千歳の案に乗った。
千歳が先に走り出す。澪はそのあとに続いた。
「この部屋だよ。早く!」
千歳に連れて来られたのは二階の千歳が隠れていた
場所だった。そこの近くにある扉に飛込む二人。妙に
入り組んでいる部屋を抜けると、小さな人形が乗った
台の目の前に着いた。見た事がある。桐生家で澪が逃
げる時茜が操作して居た物に酷似している。
千歳はそれを操作し始める。すると人形が向かい合
うと同時に、脇に有った扉の鍵が開く音がする。
「早く逃げて……お兄ちゃんを、お願い」
「でも、千歳ちゃんは?」
「私は、出れないから」
寂しそうな笑顔……。澪は胸が締め付けられ潰れそ
うになる。抱き締めてあげたい。そんな衝動に駆られる。
と、そんな時千歳の背後の扉が開いていくのが見えた。
千歳も気付いたのか、視線が扉に引き付けられている
澪を外へ突き飛ばした。渡り廊下の様な場所に出た澪。
閉まって行く扉の向こうに見えたのは、穏やかに笑う
千歳と怒りを顔に表した紗重だった……。
―お兄ちゃん……遅くなったけど、私鍵渡せたよ。
胸の前で手を合わせ、まるで祈る様な姿勢で目を瞑
る千歳。
「ヤッテクレタワネ。折角アノ子二幻ヲ見セテ、アナ
タニ会イ辛イ様二シタト言ウノニ……裏目二出タワ。
サテト……悪イ子二ハオ仕置シナイトネ?」
暗い笑いを浮かばせながら紗重は千歳を引き倒した。
「八重なら……ううん、あのお姉ちゃんならお兄ちゃ
んを助けてくれる。あなたを、紗重を倒してくれる!」
「口ノ減ラナイクソガキネ! イイワヨ、思イ知ラセ
テ上ゲル!」
231:長いかも49
08/06/14 07:52:26 9sEjRXy5
「千歳ちゃん! 千歳ちゃん! ……そんな、何で」
うなだれる澪は少しの間扉の前を離れられなかった。
仕方なかった。だが結果的に見捨てた形だ。澪は自
分を責めた……そんな時、手元で鈴の音が鳴る。
―お兄ちゃんを助けて。
千歳の言葉が胸に刺さる。
―そうだ。こんな所で落ち込んで何て居られない!
澪は決意し、そして足は動き出した。
「サテト……アノ子ハ行ッタミタイネ。ドウ? ソロ
ソロ声ヲ出シテモ良インジャナイ? アァ、ソレモ無
理ミタイネ」
そう言う紗重の足下には見るも無惨な姿で千歳が横た
わっていた。死んでいる訳ではない。
「はぁ……はぁ……うっ!」
千歳に乗し掛る様に男が居る。その男が動く度に千
歳はうめき声を上げた。
「ホラ、モット動キナサイ! 昔カラアンタガコノ子
ヲ狙ッタノ知ッテルンダカラ。嬉シイデショウ?」
「へ、へい! そりゃもう、天にも昇る気分ですよ」
男は醜く肥大したそれを千歳の膣内に埋め込んでいた。
少女の体に合わぬ大きさの物に、千歳は小さく息を
吸い痛みに耐えるのみだった。
「フフフ、可愛イワヨ。ソノ顔ナンテ可愛イ過ギテ殺
シテ上ゲタクナッチャウモノ」
そう言うと両手で千歳の顔に爪を立てる。白い頬に
は鮮やかな紅い線が走っていた。
「ネェ、苦シイ? 辛イ? ……私二服従シナサイ。
ソウスレバコノ苦痛カラ解キ放ッテ上ゲル」
驚く程優しく、そして穏やかに囁く。だが、千歳は
必死に首を振る。それを見た直後紗重の形相は険しい
ものに変貌した。
「何デヨッ! 何デ分カラナイノカシラコノガキハ!」
紗重は千歳の首を絞める。ミシミシと音がしてきそ
うな程その手には力が込められていた。
「かはっ! ぐっぁ……」
「うおぉぉ! し、締まるぅ!」
男は急に増した快感に我を忘れて腰を振り出した。
下腹部からは激痛が、更に首を絞められ苦しさに襲
われ、少女の意識でそれらを堪えるのは困難だった。
―私、死ぬのかな? 又……一人ぼっちで……で
もね、今度は千歳泣かなかったよ? お兄ちゃんを困
らせたくないから……だから、もう良いよね? お兄
ちゃん……」
232:長いかも50
08/06/14 08:51:50 9sEjRXy5
「ソウ簡単二楽二何テサセナイワヨ? コレカラタッ
プリ可愛イガッテアゲル……サァ、モウ良イワヨ。好
キニナサイ」
「へへへ、待ってました」
男は両手で千歳の顔を押さえると、強引にキスをし
てきた。口の中に入ってくる舌に嫌悪感で一杯になる。
だが、先程からの苦痛に意識が薄れ抵抗など出来なかった。
良いように口内を蹂躙され、千歳は両手を投げ出して
いた。なすがままの千歳に気を良くした男の次の目標
は……膨らみ始めてもいない胸だった。興奮気味に目
を血走らせ男は小さな蕾にむしゃぶり付く。勿論快感
など無い。有るのは肌を舐められていると言う気持ち
悪さだった。
「んん! 美味い、美味いぞ」
口の周りを男の涎だらけで天井を見つめる。その目
は虚ろだった。
「ぁ、ぅ……ん、ぁ」
言葉に成らない声を上げながら、良いようにされる
少女……。本来ならば犯罪であるその光景は、人にも
因るだろうが何よりも淫美な物なのかもしれない。
「あぁ、最高だよ! 千歳……お前は俺の物だ!」
狂った様に叫ぶ男。しかしそんな言葉にも反応は無い。
ただ揺さぶられ、千歳は人形の様に横たわっていた。
「……見ルニ堪エナイ。私ハ行クカラ、後ハ好キニ楽
シンデ」
取り残された千歳。無反応だった千歳に、ある変化
が起き始めていた……。
「はぁはぁはぁ……つ、着いた!」
あれから全速力で走り続け、ようやく蔵の前に着いた。
荒い呼吸を整え、蔵の扉に掛けられた錠前を手に取る。
ズシリと重みを感じた。澪は慎重に鍵を差し込むとゆ
っくりと捻った。跳ね上がる錠前に一瞬驚きながらも
錠前を外す。重みのある扉を開いて行った。中は座敷
牢が広がっていた。鍵は掛っていない様だ。澪は息を
飲みゆっくりと座敷牢の扉を開く。中に一つの人影が
あった。
「八重……何で戻って来たんだ?」
透き通った声。銀色の髪が月明かりに照らされ幻想
的な雰囲気に包まれている。
「さぁ、起きて」
233:名無しさん@ピンキー
08/06/17 18:44:54 m6JB1QKF
保
234:長いかも51
08/06/17 22:37:12 AAN8/ada
―八重さん起きて。多分私じゃダメなの
必死に心の中に呼び掛ける。
澪が自分の体の軽さに気付いたのは、立花家から走っ
て蔵まで来た時だった。魂が弱っていると言われたそ
の時辺りから体が重かった。体を動かすにも付いて来
なかった。疲れていると思い込んでいたが、今は理解
している。体の支配が稀薄だったのだ。と……。
魂と体を繋ぐ何かが澪の中にあり、そして魂が弱る
事により体を支配する力も弱くなっていった。そして
今の状態から考えれば……。
―八重さんのお陰で、私の魂は……只でさえ弱っ
ていたのに、ごめんなさい。だから、今だけ……。
「……八重? 大丈夫かい? 八重」
「あれ……樹月、くん? 私……どうして」
「君が、蔵の鍵を開けて入ってきたかと思ったら突然
倒れたんだよ。でも驚いたよ……千歳、君の事をよく
思ってなかっただろう? 良く鍵を貰ったね」
「え? えぇ、大丈夫……大丈夫だったよ」
そうか……と返して、二人の間に沈黙が走る。
―澪さん。何で私に体を?
明け渡された体に戸惑う八重。更に暗く静まり返っ
た部屋に二人きり。今まで意識していなかった分、余
計に緊張してしまう。
「八重……あの、僕……」
「え? 何かい……きゃあ!」
突然目まぐるしく世界が動く。気付けば見えるのは
天井と樹月だけだった。横を向くと両手はしっかりと
押さえられていた。再び正面を向く。少し緊張した面
持ちの樹月が真剣な眼差しを八重に向けてきていた。
「あの、樹月……君?」
何処かで見た様な光景とシチュエーション。生前、
何処かで……。
「あの、突然ごめん。ただどうしても伝えたかったん
だ。好きだって……こんな時に言う事じゃ無いのは分
かってるんだ。でも、今を逃したらもう会えない気が
して……」
「あの、分かったから離して貰えると……」
「八重の……八重の気持ちを聞かせてくれ!」
「私は……」
そこで八重は生前の記憶を思い出した。夫と娘が居
た事を……。
235:長いかも52
08/06/18 09:51:54 WYXnYBhk
「ごめんなさい。私……」
記憶の無い別人格と言っても良い時とは言え、確か
に夫を、娘を愛したのは事実だ。その思いも覚えている。
だからこそ、八重は樹月の想いを受け入れる訳には、
資格が無いと思った。だが……。
「そんなに、あいつが良いのか! 確かにあいつは学
者を目指す様な奴さ、正直凄いと思う……けど、僕だ
って君の事を!」
「え……い、いやぁ!」
樹月は八重の着物を乱暴に脱がす。多少抵抗するが
力の差か無惨にも八重の肌は露出して行く。結局抵抗
虚しく帯紐だけ残し完全に着物ははだけてしまった。
「綺麗だよ、八重……」
「ぃ、やぁ……」
体を隠したくても、再び手を押さえられていた為全
てを晒していた。実際は澪の体だが自分が見られてい
る事に変わりはない。恥ずかしさで死にそうだった。
「八重……好きだ。八重、八重」
「やぁ……いやんむぅ! んん! んんぅう!」
泣きながら嫌がる八重の口を強引なキスで塞ぐ。抵
抗しようと舌を使うが全くの逆効果だった。まるで自
分から絡めに行く形になる。
「むぅ、ぁ……らめぇ! ぁん……ちゅ、んん」
首を振って逃げてもすぐに捕まってしまう。あまり
の荒々しさに息も苦しくなってくる。酸素が足りない
のか、頭がボーッとしてきた。
「八重……八重……」
熱にうなされた様に繰り返す樹月。八重もいつしか
体に力が入らなくなっていく。それが、その理由も分
からないまま……。
236:長いかも53
08/06/18 22:43:43 WYXnYBhk
抵抗の弱まった八重の口から挿し込んでいた舌を抜く。
二人の唾液が絡み粘り気のある音が聞こえてきそうだ。
ようやく呼吸困難から解放された八重は胸を上下さ
せ荒い呼吸を繰り返す。樹月の視線はその胸へと注が
れていた。
「はぁ……はぁ……はぁ……あっ!」
突然胸に走る刺激にビクッと肩を震わせる。視線を
下ろすと樹月が八重の乳房を揉んでいた。白く柔らか
そうな双丘がイヤらしく形を変える。そして形を変え
る度に八重の体に電流が走った。久しく遠ざかってい
た感覚に八重は戸惑ってしまう。昔にあった蜜月……
思い出してしまったが故の快楽の解放は八重をどんど
んと追い詰めていく。
「ん……は……はぁ! んん! やぁ」
「柔らかくて……気持ち良いよ」
樹月は恍惚とした表情をして八重の乳房を揉みしだ
いていた。
指が乳首をかすめる度に一際強い電流が八重思考を
焼いていく。体に走る痺れに翻弄されながら、八重は
樹月を見つめる。確かに強引だ。しかし、樹月の瞳の
奥には八重に対する愛情が見えた。何かされる度に快
楽だけではない何かを八重は感じていた。
「あん! はぁ……樹月君、どうして? んぅ! ど
うしてこんな……」
「ずっと、ずっと好きだった。睦月も僕も君の事を…
…ただ、儀式の存在を知った時僕は身を退く事を決め
たんだ……短い間でも幸せになって貰おうと、なのに
君は因りによってアイツを選んだ。僕は、諦めきれな
かったんだよ! 君が好きなんだ……八重」
「樹月君……それは違うよ。村に来た彼を、村の外を
知っていた彼に興味を惹かれたのは確かよ? けどそ
れは好きとは違う。私が好きだったのは樹月君……だ
けだから」
「え……? 嘘だ、でも……」
「嘘じゃないよ。だって樹月君約束してくれたじゃな
い。大きくなったら結婚しようって」
「や、え……」
237:長いかも54
08/06/20 22:23:54 Oxf0K56G
「八重……覚えて?」
静かに頷く八重。だが、未だに記憶の混在が八重の
思考を混乱させていた。このままで良いのか? そん
な事を思う。生前の八重が愛した者と昔の、今の八重
が愛している相手は違うのだ。当然と言えば当然である。
「八重……」
樹月は八重の体を愛しそうに触れる。くすぐったさ
と快感をない混ぜにした感覚が八重を高ぶらせていく。
「ふ……んっ! あぁ、ぁん」
「気持ち良いの? 八重」
耳元で囁かれ背筋がゾクゾクと震える。それに気付
いた樹月は耳を重点的に攻め始めた。
「ひゃあ! はっ! ふぅん……ぅん、あぁ! ダメ
耳は……あん! ダメェ!」
嫌がる素振りを見せる八重の顔を耳元で抑え、樹月
は舌を耳に挿しこんだ。その途端八重の体が跳ねる。
耳に加わる刺激と、塞ぎたくても塞げない耳に直接響
く水音。これがイヤらしさを倍増させる。
「だめぇ……そんな、いやらしくぅ、舐めちゃだめぇ
……ふぁん!」
左手と口で耳を責めながら残った右手で胸を愛撫する。
下腹部が熱を持ち遂には体の中で破裂する。その瞬間
八重の視界は白く弾けた。
「んぁ……ああぁぁぁ! あ、あぁ。……ふっあぁ、
はぁ、はぁ」
腹の奥から痙攣する八重。体の中心から指先まで余
韻に浸る。
―すごい……あの人と、良蔵さんとじゃこんなの
なった事無い……。
初めて絶頂を迎えて正に茫然自失となっていた。
―ごめんなさいあなた……私このままじゃあなた
以外の人と……でも、もう拒めない。
生前の記憶……妻としての八重は不義理をした事へ
の罪悪感で一杯になっていた。
「嬉しいよ八重。感じてくれたんだね僕で……」
「……ごめん……さい、良蔵……さん」
「なっ! 何で、何で今宗方の事を……僕の事を、好
きって言ったじゃないかぁ!」
本来の人格である八重は絶頂を迎えた事で意思が弱
まってしまった。今表に出ているのは生前の記憶の方
だった……。
238:長いかも55
08/06/24 07:43:56 oflr38N5
「やめて、下さい。私には夫も娘もいるんです……お
願いします」
泣きながら懇願してくる八重に樹月は混乱していた。
夫に娘……何かの冗談としか思えなかった。
「八重……君は、八重だろう?」
「そうです。私は宗方八重……でも、私は貴方なんて
しりません!」
「むな……かた? 嘘だ。君が……君は黒澤八重だろう!?」
「きゃあ! や、違います! 私は黒澤何かじゃ……
あん!」
認めたくなかった。聞きたくなかった。樹月は再び
八重を組み敷くと、荒々しく八重の体をまさぐる。
形の良い乳房が歪み、淫唇を掻き分け腟内に抵抗も無
く滑り込む人指し指と中指。そして出し入れをする度
に親指が淫核を擦り上げる。
八重は同時に受ける快楽の波に翻弄され、体を大き
く痙攣させる。
「んくぅ! ぅう、嫌なのにぃ……あぁ! 何で、私
こんなぁ……はぁん!」
感じている様子の八重を見て、樹月は自然と笑みを
浮かべていた。好きな異性を征服する喜び、それを感
じていたからだ。
「どうしたんだい? 八重。あいつに操を立てたんだ
ろう? なのにそんなに感じている何て……。まさか
君がそんなにイヤらしいとはね」
耳元で嘲り罵る。八重は否定しようとしている様子
だが、樹月と目が合うと悔しそうに視線をそらした。
その時樹月は確信した。自分の方が優位に立ったと言
う事を……。
239:長いかも56
08/06/25 02:34:35 1hlk3zGj
「ほら、聞こえるかい八重? 君のココからこんなに
音が聞こえてくる」
樹月は腟内の浅い部分をわざと音を立てる様に掻き回す。
送り込まれてくる音と快感に身をよじりささやかな抵抗
を試みる。だが直ぐに樹月に抑えられ再び快楽を送り込
まれる。
八重は既に何度か達していた。が態度にだけは出さず
必死に堪えていた。が……。
「八重……この白いのはなんだい?」
樹月は右手を八重に見せる。その手には白くねばつく
液体が付いていた。それを見た直後八重は顔を真っ赤に
した。
達していた事は隠せていた。そう思っていた。だが、
樹月が誇らしげに見せているそれはそんな努力を嘲笑う
かの様な物だった。そして樹月はそれをゆっくりと舐め
とって行く。
「や……やめて!」
「どうしたんだい八重……別に恥ずかしがる事は無いさ。
これはごく自然な事さ」
樹月はそう言うと八重の胸の尖端を指先で擦る様にゆっ
くりと触れる。じれったい感覚が染み込む様に八重の脳
を犯して行く。
「は……ぁ……ふぅ」
くすぐられる様な感覚。大きな声を耐えるのではなく
出せない。それは想像以上に八重の理性を蝕んで行った。
「ぅ……んっ……はぁ、はぁ……だめ、だ、めぇ」
今まで受けていた強い快感とのギャップ。しかもあれ
から下の方へは触れられていない。痒い所を掻いて貰っ
ている時、丁度痒い部分だけ外している様なじれったさ
を今八重は感じていた。
―そこじゃない……。
そう思う度に駄目だと自分を戒める。だが、ひたすら
じらされて行く内、八重は再び堕ちかける。快楽に流さ
れてしまいたい。そんな事を思い始める様になっていた。
「何でだろうね? コッチはイジって無いんだけどね。
こんなに濡れてる……それに呼吸してるみたいにパクパ
ク動いてるよ?」
「あぁ……いやぁ、もぅいやぁ……こんなに辱めを受け
るなら死んだ方がましです」
「そう……死ぬ気なら君はもう何も考えなくて良いよ。
これからは君は僕の人形になるんだ……」
240:名無しさん@ピンキー
08/07/04 00:05:35 4kHn9oHR
こんな間あくと心配でつ
続き楽しみに待ってるよ
241:長いかもの人
08/07/04 19:52:07 LIEpIYKd
すまんかった。
携帯洗濯してアボンしてたorz
俺のデータがァ……!
242:あ
08/07/09 20:08:00 ctHfHbuW
あげ
243:名無しさん@ピンキー
08/07/14 09:32:01 v49OIFCq
>>長い人
洗濯その後大丈夫ですか
続きマダー?
244:長いかも57
08/07/15 02:39:28 R2IIUIQ3
樹月はゆっくりと八重に覆い被さる。八重は樹月の言葉に
戸惑い抵抗出来ないでいた。
怯えた表情をした八重の顔を両手で掴む。
「い、いや……」
かすれた声で呟くがそれを気に止めた様子もなく、樹月は
八重の唇を塞いだ。本来ならば抵抗の一つもするのだろうが
ゆっくりと落ち着いた動作の為に、何故か抵抗して良いのか
考えてしまった。
「んん、はむぅ……んぅ」
気持ちを確かめ合う様なゆっくりとしたキス。始めの頃の
貪る様であった強引な物では無いソレに、八重の戸惑いは大
きくなって行くばかりだった。
―確かに私はこの村の近くで目を覚ました。その頃には
記憶も無くなっていた。私はこの村に居たの? ここに居て
本当にこの人と?
そんな事を考えて居ると樹月はそっと唇を離した。静かに
見つめ合う二人。先に口を開いたのは樹月だった。
「……八重。余計な事は考えないで。僕に意識をむけて」
「私は、貴方に……」
「もう、良いんだ。君が宗方を好きなら仕方がない。でも、
今だけで良いんだ。今だけは僕の物で居てくれ。無理矢理は
虚しいだけだから……」
「貴方は……うっ!!」
突然頭を抑えうめく八重。樹月は心配そうに八重を抱き寄
せる。
「八重! 大丈夫かい?」
「……うん。ごめんね樹月君違う私のせいで困らせちゃった
ねぇ」
「え……八重? 君は……」
八重は小さく頷くと樹月に説明した。その間樹月は目を白
黒させていたが、最後には信じた様子だ。
「そうか、大償いでこの村は……僕の、せいかな? でも、
二人には……君には生きて欲しかった。後悔ばかりな人生だ
けど、こんな事になってしまったけど、僕は君に普通に生き
て欲しかった!」
「樹月君……」
力強く抱き締めて来る樹月の腕は震えていた。八重はその
腕へ愛しそうに手を添える。
「ありがとう……でも樹月君のせいじゃないよ。儀式から逃
げたのは私……紗重を置いて逃げたのも私」
「でも……いや、そうだな。じゃあ僕達は似たもの同士だ」
罪悪感を受け入れて切なく笑う樹月。八重は樹月を強く抱
き締めると耳元で囁いた。
「遅くなったけど昔の約束……する?」
八重にそう言われた樹月の顔は、きっと誰が見ても笑って
しまう様な顔だった。
245:長いかも58
08/07/15 09:05:50 R2IIUIQ3
「や、八重? い、いきなり何を言って」
「……しないの? したくないなら良いけど」
「し、したくない訳無い! けど……良いのかい?」
「あんな事しておいて、今更気にするの?」
八重は首を傾げながら樹月を見つめる。その何気無い仕草
と表情に樹月はクラッと来た。
「八重!」
気が付いていたら無意識の内に押し倒していた。口をパク
パクとさせながら樹月は固まっていた。そして一言……ごめ
んと呟いた。その申し訳無さそうな表情に八重は優しく微笑
み掛け、樹月を子供の様に優しく抱き締めた。
「大丈夫だから、樹月君のしたい様にして? まぁ、乱暴な
のよりは優しい方が良いけど」
今度は悪戯する子供の様な表情を見せる。そんなコロコロ
変わる表情を見て、樹月はおかしくて笑ってしまう。
そしてそのお陰かいつの間にか緊張は解けていた。
―そうだ、焦る必要なんて無い。僕は八重が好き何だ。
そして八重も受け入れてくれた。チャンスをくれたんだ。も
う一度初めから伝えよう。この気持ちを……。
樹月は一言好きだ。と呟くと八重にキスをする。先程と同
じゆっくりとした落ち着いたキスを……ただ先程と違うのは
心が篭っていた。いたわり、慈しみ……相手を思う全てが込
められていた。
「う、ん……む、はぁんぅ……ちゅ、んふ」
そしてそれは次第に激しさを増す。だが、ただ荒くなって
いるのでは無い。八重の様子を見て、強弱をつけていた。
激しい時には唾液が混じり合い舌が絡む度にイヤらしい音
が辺りに響いていた。
粘り気のある唾液が絡んだ舌が八重の口から抜かれる。
「もう……激しすぎ。でも、伝わってきたよ? 樹月君の気
持ち……」
「うん……」
「ふふ……嬉しかったよ」
「……うん」
「もう、うんだけ?」
「うん……あ、いや! 何かボーッとしちゃって、気持ちが
篭るとこんなに違うんだね」
「そうだね……気持ちが篭っていた方が、気持ち良いよね」
「うん……あ」
「ふふふ……続き、しよう?」
246:長いかも59
08/07/15 21:53:40 R2IIUIQ3
改めて樹月は八重の全身を見る。成熟していない中にもそ
の体は確かに女を秘めていた。
そっと胸に手を添える。張りのある感触。だが、それ以上
に手の中で柔らかく形を変える。樹月は荒くならない様気を
使いながらその不思議な感触を楽しむ様に揉みしだいた。
遊ぶかの様な樹月の愛撫だったが、八重はそれにも敏感に反
応している様で指を噛みながら声を殺していた。樹月はそれ
を見ながら、今度は舌を乳房に這わせた。ゆっくりと……。
まるでナメクジの様にゆっくりと舐めていく。微弱だが絶え
ず感じる胸への刺激に八重の声も次第に漏れ始めていた。
「んん……ふぅ……ぁあ、はぁ」
舌は乳房を上っていき、そして乳首に触れる直前にその動
きを止めた。そのまま乳輪の縁に沿う様に回り出す。焦れっ
たさに上半身が自然と動くが樹月は上手く動きに合わせる為
八重の焦れったさは次第に募っていく。
「は……んぅ! いつ、き君……もぅ、して」
「……何をだい?」
「うぅ……もぅ! 意地悪ね! ……その、ち、ちく」
「ん? どこ?」
「うぅ~! 先っぽ! もう良いでしょ? これ以上意地悪
するなら止めるんだから!」
目に涙を溜めながら樹月を睨みつける八重。その様子に樹
月は八重を抱き締める。
「ごめんね。八重が堪らなく可愛いくて……」
「なっ! ……うぅ、もぅ! 良いよ。許して上げる」
樹月は笑いながらありがとうと言うと再び胸への愛撫を開
始する。
左手で胸を揉みながら舌を乳首に押し当てるとグルリと周
りを舐め回す。待ちこがれた刺激に八重の体は大きく跳ねた。
「んん~っ! はぁん……んぁ! ふぁ、ひゃん!」
樹月が舌を動かす度に八重は鳴き踊る。無理矢理ではない
自分の手で奏でている楽器の音色に、樹月は酔いしれていた。
247:名無しさん@ピンキー
08/07/16 20:52:08 e90MGpXo
お帰りなさい!!長い人!!
待ってました!!
248:名無しさん@ピンキー
08/07/25 11:46:52 9NSYtbfc
さ