ロボット、アンドロイド萌えを語るスレ:α7at EROPARO
ロボット、アンドロイド萌えを語るスレ:α7 - 暇つぶし2ch191:名無しさん@ピンキー
08/01/19 02:11:24 bZtXgvay
つ【常温対消滅機関】

192:名無しさん@ピンキー
08/01/19 10:49:44 G3tTutqs
つ【手回しダイナモ】


193:名無しさん@ピンキー
08/01/19 10:56:36 0oVPiBr2
>>192
むう、脳内に手回しダイナモを自分で回して充電する
永久機関なホシュたんの姿が…

194:名無しさん@ピンキー
08/01/19 11:05:01 G3tTutqs
>>193
エネルギー保存の法則から考えるとありえない、と科学者たちは言うだろう。
だが、彼らは重要なことを忘れている。

そう、ダイナモを一生懸命回すホシュたんの姿を見ている俺たちのことだ。
その萌えパワーによって、ホシュたんは充電しているのである!


……なんか、芸で飯を食う芸人みたいだなw

195:名無しさん@ピンキー
08/01/19 22:43:41 FlLsXa0K
>>190>>191

オーバースペックだろ…常識的に考えて……

196:名無しさん@ピンキー
08/01/19 23:19:19 SAXjtI1n
ホッ!!! シュッ!! ホッ!!! シュッ!! ホッ!!! シュッ!! ホッ!!! シュッ!!

197:名無しさん@ピンキー
08/01/19 23:22:01 G3tTutqs
元気になりすぎたじゃないかw

198:名無しさん@ピンキー
08/01/20 10:29:43 V06JFRuE
現実的に考えて
固体高分子燃料電池

199:名無しさん@ピンキー
08/01/20 11:08:56 190aFION
つ【eneloop solar charger】

200:名無しさん@ピンキー
08/01/20 13:42:37 U3S/G52v
あなたが落としたのはこの第一世代型Vコンバータですか?
それとも第二世代型Vコンバータですか?

いや、あの、PS2です…

正直者ですね、あなたには両方を差し上げましょう

いやサターンもドリカスもいらねーからプレステ返せオイ

201:某四百二十七 ◆mjGnt7G.D2
08/01/20 22:48:52 kf8P53RB
>>172-176の続きを投下します。

※前回投下時、タイトルの話数をミスってました。申し訳ありません…orz

202:絆-2 (1/5)
08/01/20 22:50:06 kf8P53RB
 和美は夕食を済ませ、食器の片づけもそこそこにして行動を開始した。食器を洗わせろとしつこく
 食い下がる春海をなだめすかし、ベッドの端に座らせる。上着を脱がせ、頚椎のカバーを外して
 メンテナンス用ケーブルを接続し、PCのメンテナンスソフトを起動した。
「うわ…」
 起動直後に無数のアラートが表示され、不具合が発生している箇所がずらりと並んだウィンドウが
 自動的に表示された。人工筋肉、磁性流体ベアリング、有機センサー…ありとあらゆる消耗品に
 何らかの異常が発生していることを示すメッセージが和美の目に飛び込んでくる。ある程度予想
 していたとはいえ、あまりの交換部品の多さに和美は思わず頭をかかえた。仕入れてきたパーツで
 果たして間に合うのだろうか?
「和美様…?」
 声に気がついて顔を上げると、春海が和美の顔をじっとのぞき込んでいた。
「ん、大丈夫…じゃあ始めるわよ。右腕の電源をカットして。」
「かしこまりました。右腕部への電源供給停止。右腕フィードバック回路、閉鎖」
 春海の右腕から力が抜け、だらりと垂れ下がった。同時に右腕の肌色が生気を失い、どんどん
 白みを帯びてくる。
(いつみても、これだけは慣れないわ)
 バイオマテリアルを駆使して作られている人造皮膚は、余程の事がない限りは人間と見分けが
 つかない程のリアルさをもっていた。人間の皮膚がもつ微妙な半透明感と艶を巧みに再現し、
 柔軟さまで再現されている。だが、電源供給が断たれると半透明感と艶は失われ、シリコン製の
 安物と同じような質感になってしまう。春海のメンテナンスを幾度となくこなしてきた和美だが、
 人造皮膚の生々しい変わりようには馴染む事ができていない。
「センサー系も完全にカットしたわね」
「問題ありません、和美様」
 和美はPCのテレメータを慎重に確認したあと、念のために春海の右腕をペン先で軽くつついてみた。
 弾力を失った人造皮膚は、風を引いたゴムのような感触を伝えてくる。

203:絆-2 (2/5)
08/01/20 22:51:43 kf8P53RB
「OK,これから間接ユニットの接合部にアクセスするわ」
 和美は傍らに置いてある小さな工具箱の中から、医療器具に似た形のナイフを取り出した。柄の
 後端にある小さなスイッチをスライドさせると、ナイフの刃先が甲高く小さな音を発しはじめる。
「高周波振動ナイフ、作動に問題なし…っと。痛かったらいってね、春海」
「和美様、私に”痛み”という概念はありません。センサーで収集された数値は…」
「無粋なことは言わないの」
 少しむすっとした表情を作り、春海の目を見つめる和美。春海のセンサーを動かしているドライバは
 数年前に開発が終わり、以後は細々としたマイナーアップデートが繰り返されているだけだ。
 センサーの値を五感に変換し、感情を司るロジックを制御するためのドライバーソフトは未だ
 リリースされていない。自作を考えた事もあったが、ソフトウェアについては流石の和美もお手上げ
 だった。とはいえ、「あれ」を彼女に実装するにはドライバの構造についても精通しておく必要がある。
「右腕肩間接ユニット…切開するラインは…」
 オンラインマニュアルに示されている指示に従い、水性のサインペンで春海の肩にラインを描き
 入れると、右腕が身体に”接続されて”いるという事を嫌でも意識させられた。
「切開開始」
 熱したナイフをバターに突っ込んだかのように、高周波振動ナイフの刃先が春海の肩口へずぶりと
 埋まっていく。先程書き入れたラインを外さないよう、
「…」
 ゆっくりとナイフを動かし始める。肩の上側から背中側へ回り、脇へとナイフを進めた。ちらりと
 PCのモニタへ目を移す…センサーの数値は正常値を示している…このまま続けて、脇下の人造皮膚を
 切断するため、春海の腕を持ち上げた。それにつられ、春海の右胸が僅かに持ち上げられる。
(大きい…)
 ボディサイズのデータによれば、春海のバストは88cmのDカップ。和美の胸と殆ど変わらないが、
 自分以外の女性の胸をここまで間近に見る機会は中々ない。淡いベージュ色のブラに支えられた
 乳房は均整のとれた形を保ち、その先端は…先端は…確か、この前一緒に風呂へ入った時は、奇麗な
 ピンク色の…

204:絆-2 (3/5)
08/01/20 22:52:42 kf8P53RB
「…様…和美様?」
「はっ!?」
「ナイフの動作が停止して60秒経過しました。何か問題が発生したのでしょうか」
「いや、なんでもないのよ」
「了解しました」
(駄目よ和美…集中、集中!)
 ミスると内部の機構を破壊する可能性もある作業だ、こんな事ではいけない…現実に引き戻された
 和美は複雑な気分を抑え、作業を再開した。
(変な妄想のループに入るとこだったわ。私、疲れてるのかしら)
 自分は一体、あの妄想の先に何を期待していたのだろうか? ドロイドとはいえ、正常に稼働している
 箇所は人間の女性そっくりな春海の身体…乳房もその例外ではない。しかし、”女”であるあの部分は?
 中学生になったころの思い出が頭を過りかけた瞬間、ナイフの先端が肩口を一周し終えた。
「間接ユニット周囲の切開完了。続いて上腕部の切開に移る…」
 腕と並行に引いたラインに沿い、ナイフを滑らせる。上腕の表と裏に切れ目をいれた後、和美は
 肩口の切れ目に指を滑り込ませた。
「開けるわよ」
 ぺりぺりと乾いた音を僅かに響かせながら人造皮膚をはぎとると、春海の腕を動かしている人工筋肉の
 束が現れた。
「如何でしょうか、和美様」
「これは…駄目ね」
 本来は桃色である筈の人造筋肉が、解凍の失敗した肉のように赤黒く変色していた。
「この分だと他の筋肉もだめかなぁ」
 三角筋に相当する人造筋肉を取り外し、更に上腕二頭筋・烏口腕筋・烏口腕筋の状態を順に確認する。
「他の部分も駄目。差異はあるけど、どれもこれも劣化して使い物にならないわ」
 春海に使われている人工筋肉は付与される電力によって引き起こされる化学反応を利用するため、
 定期的に内部へ封入されている薬剤を交換する必要があった。しかし、今回は薬剤だけではなく、
 化学反応を引き起こす触媒となる素材そのものが劣化しているのだ。このような事態を全く想定
 していなかった訳ではないので、買い置きも含めて交換用パーツの予備は揃えて有る。しかし、
 片腕だけでもこの惨状だ。他に警告が上がっている箇所は一体どうなっているかわかったものではない。

205:絆-2 (4/5)
08/01/20 22:53:50 kf8P53RB
「和美様…」
「駄目になったもんは仕方ないわ…こうなったら徹底的にやるだけよ」
 意を決した和美はオンラインマニュアルの項目を幾つかプリントアウトし、春海の身体へ次々と
 切開ラインを書き入れていく。
「あと二日は動けなくなるけど…ごめんね、春海」
「いえ、私は構いません。でも、和美様はきちんと睡眠をとってください」
「うん、わかった」
 春海の小言を聞き流しながら、各部電源カットと回路閉鎖を指示していく。
(ここまでばらすなら…アレを組み込むいい機会だわ)
 必要な箇所の切開を手早く終え、間接ユニットの切り離しにとりかかった。腕が、腰が次々と春海の
 上半身から取り外されていく。両腕のフレームと人造筋肉に作業机が占拠されてしまったので、下半身は
 床のカーペット上へ直置きすることにした。
「さて、と」
 和美は作業机の上に置かれている人造筋肉をライトで照らし、触媒の劣化具合をチェックした。
 明らかに色がおかしくなっているものは問答無用で交換し、カラーサンプルと比較して微妙なものは
 専用のテスターで数値を確認する。その結果、いくつかの人造筋肉はユニット毎の交換が必要で、
 そうでないものも触媒を交換しなければならなかった。
「こりゃまいったわね…」
 どう考えてもパーツが足りない。肘、膝まではフォローできるが、そこから先を駆動するためのパーツが
 揃わなかった。完全に動作しない訳ではないが、完全な状態には程遠い。
「和美様、どういたしましょう」
「筋肉はありあわせので何とかするしかないわね。あと、腰椎ユニットもちょっと弄らないといけない
 から、先にそっちの方を片づけるわ」
「了解いたしました」
 半分嘘だ。腰椎ユニットは確かに警告が出ていたが、下半身を分解しなければいけないような状態では
 ない。しかし、”アレ”を装着するには、必ず弄る必要があった。

206:絆-2 (5/5)
08/01/20 22:54:49 kf8P53RB
 和美はカーペットに腰を降ろし、春海には見られないよう、彼女に背中を向ける格好で作業を開始する。
 春海の下半身を座布団の上に移し、例のダンボール箱をその横に置いた。
(まずはパンツを脱がさないと…)
 臀部を床から持ち上げ、パンツに手をかけた。下半身を分解するのは3年ぶりだろうか? 前回は感じる
 ことさえなかった胸の高鳴りを抑えながら、下着をおろしていく。
「…!」
 そこには、あるべきものが存在していなかった。
(やっぱり思い出しちゃった…)
 膝をゆっくりと左右に押し広げると、つるりとしたノッペラな股間が和美の目に晒される。
 それをじっと見つめていると、和美が中学生の頃の思い出が明瞭に脳裏へ再生され始めた。

(続く)

207:某四百二十七 ◆mjGnt7G.D2
08/01/20 22:55:43 kf8P53RB
今回はここまでです。

あれ?タイトル正常だった…? orz

208:名無しさん@ピンキー
08/01/20 23:41:54 fkCubM/Q
メンテナンスシーンがリアルだ……GJ!


209:名無しさん@ピンキー
08/01/21 00:04:32 V06JFRuE
メンテシーンに

210:名無しさん@ピンキー
08/01/21 00:05:31 V06JFRuE
フルボッキ

211:名無しさん@ピンキー
08/01/21 09:54:39 6PQLHwRC
続き期待age

212:名無しさん@ピンキー
08/01/22 12:37:03 738nZ0X9
ホッ!! シュッ!! ホッ!! シュッ!! ホッ!! シュッ!! ホッ!! シ




y

213:名無しさん@ピンキー
08/01/22 13:15:37 vSz2nswo
柿崎いいいぃぃぃ!

214:名無しさん@ピンキー
08/01/22 21:47:50 LJBbv7P0
マクロス?

215:名無しさん@ピンキー
08/01/23 12:41:18 9m7yRcxB
エロパロ板 過去ログ倉庫
URLリンク(ninjax.dreamhosters.com)

216:名無しさん@ピンキー
08/01/25 01:15:21 uqHoIuhr
エロパロ板 過去ログ倉庫
URLリンク(ninjax.dreamhosters.com)

217:名無しさん@ピンキー
08/01/27 17:28:26 wuDFVvZh
ASIMO×先駆者で一つ

218:名無しさん@ピンキー
08/01/27 17:49:02 9S6M2jqm
逆じゃないのか

219:名無しさん@ピンキー
08/01/29 22:23:19 jOQ25mrs
巴を完結させるべきだと思う

220:名無しさん@ピンキー
08/01/30 08:51:41 iVw5MIH+
お前らん家のロボ娘自慢は充分聞き飽きた
















お前らのロボ娘にマスター自慢を伺いたいですよ?

ロボ娘雑談御題・ロボ娘の「ニンゲンのここに萌えましたw」

221:名無しさん@ピンキー
08/01/31 00:09:50 EFzN4qGK
実際問題としてお前ら、ロボ娘にどう好かれてるんだ?
お前らがロボ娘に萌えてるのは百も承知だがな、相手の気持ちが解らなきゃ一方通行の自己満足に過ぎないんだぜ
ロボ娘が人間に惹かれる理由とやらを知りたいんだぜ?

222:名無しさん@ピンキー
08/01/31 00:27:55 HXI/38nn
(炊飯器が何かを言いたそうにこちらを見ている)

223:名無しさん@ピンキー
08/01/31 21:38:58 dE/lHqNd
毎日が新鮮なんです。
規則正しい生活なんですけれど、毎日が違うんです。
わたしが同じ顔をして笑っていても、不機嫌?って訊いて来たり。
昨日は機嫌がいいようだねって言ってたのに。
どうしてそれが解ってしまうのか解りません。
パラメーター変動も情動シミュレーターもしていないのに。

……もっとマスターの事、知りたいです。だから……そばにいさせて。

224:某四百二十七 ◆mjGnt7G.D2
08/01/31 21:57:34 bVWkGppt
空気を読まずに>>202-206の続きを投下します。

225:絆-3 (1/5)
08/01/31 21:59:29 bVWkGppt
 その日、学校から帰宅途中の和美の胸は、今までにない程の鼓動で揺らされていた。
「お…女の子に…あたしのお腹に、あんなのが入ってるなんて…」
 学校の性教育の授業で初めて見た、男女の性器。保険の先生が、腰~太股の人体模型を使って
 丁寧に説明してくれた。最初は一部の男子生徒が先生をからかっていたが、先生が説明を進めて
 いく内に、皆真剣に聞き入るようになっていた。性器の外観、構造、そして子供の作り方。
”へぇ、男の子のおちんちんってあんな風になってるんだ”
”あれが大きくなるなんて信じられない
”しかもあれ、あたし達の股間に入るんだって…嫌だわぁ”
 友達全員が男性器の話題で持ち切りになっていたとき、和美は配布された解説書に目を奪われていた。
(わたしの股間に…こんなものが入ってる…)
 それは、女性器の図解だった。股を開いて正面から見た図、そして断面図。和美はその形状の
 複雑さ、そして神秘的な機能の事で頭が一杯になっていたのだ。自分の身体の下腹をそっと撫で
 ながら、子宮の模式図をじっと見つめる。”胎児のゆりかご”という、精巧なシステムが自分の
 中にもあると思うと、彼女の背筋がぞくっとした。
 (家に帰ったら…確かめてみよう)
 学校から帰宅した彼女はそのまま自室に駆け込み、ドアの鍵をしめた。
「ふぅ…」
 溜め息をついた和美は鞄を椅子に置き、ベッドの端に座り込む。
「…」
 深呼吸を数回繰り返し、心を落ち着かせてから立ち上がると、スカートの裾をめくりあげた。
 そのままパンツのサイドに手をかけてスルリと脱ぎ捨て、手鏡を片手に床へ座る。
「私の…」
 合わせていた膝をゆっくりと開き、手鏡で自らの股間を映し出してみた。
「…よく見得えないや」
 膝の開き方が中途半端だったせいか、太股の間に走る縦スジが鏡に映し出されているだけだ。
 割れ目の中央付近には何かが詰まっているように見えるが、小さ過ぎて確認が出来ない。
「図解だとあんなに中身がよく見えてたのに…」

226:絆-3 (2/5)
08/01/31 22:01:12 bVWkGppt
 鏡を持っていない方の手を割れ目にかけようとしたが、その手が途中でぴたりと止まる。
(…本当にあんなのが…あたしのお腹に入ってるのかしら)
 二枚の扉を目の前にして、彼女の心にはある種の恐怖心が芽生え始めていた。
「…そうだ…春海ならきっと…」
 彼女の頭に、一人のメイドの姿が浮かび上がった。メイドロボの彼女なら、私の疑念にきっと
 答えてくれる筈だ。そう思った瞬間、ドアをノックする音が和美を現実へ引き戻した。
「和美様? どうかされましたか?」
 あわててパンツを履き直す和美。
「な、なんでもないの!」
 服装を素早く整え、ドアの鍵を開ける。少し間をおいて、ドアの向こうから黒髪の少女が
 顔を覗かせた。
「御返事が聞こえるまで、初回のノックから1分12秒を要しています。体調に何か異常が…」
「大丈夫よ、うん」
「お顔の色に変調が見られます。通常時と比較すると、赤味成分が23.87%増加していますが」
「あ…その…ほら、今日は走って帰ってきたから、体温が上がっちゃったのよ、きっと」
「…確かに心拍数も平常時より高い傾向が見られます」
「汗もかいたし…そうだ! お風呂! お風呂に入りたいな」
「入浴には少々時間が早いかと思われますが」
「汗かきっぱなしだと、気分が悪いわ」
「…申し訳ありません、ただいますぐに準備を」
「ちょっと待って!」
 踵を返し、立ち去ろうとした春海の肩を掴む和美。
「なんでございましょう?」
「…わたしの背中、流してくれないかな」
「お湯の温度はこれぐらいでよろしいでしょうか」
「うん、熱過ぎず温過ぎず…丁度いいわ」
「ありがとうございます」
 和美の身体を流しながら頭を軽く下げ、笑みを浮かべる春海。試作品の塊である彼女には、それまでの
 ロボットにはない様々な技術が用いられていた。

227:絆-3 (3/5)
08/01/31 22:03:47 bVWkGppt
 大宮電工株式会社会長、大宮 重太郎。人間の肌触りだけでなく、関節駆動に人工筋肉を用いた
 汎用アンドロイドが大ヒットしたおかげで、今や納税額ベスト100の頂点を極める男に成り上がった。
 彼画が発案した製品の中でも特に売れたのが、一般家庭向けメイドロボだ。人間に圧迫感を感じさせない
 サイズ、柔軟な動作。そして最新のソフトウェア技術を駆使した、当時の同型ロボットと比較しても群を抜いた
 コミュニケーション能力。それらの最新試作パーツのテストベッドとなっていたのが、大宮家のメイドを
 勤める”春海”だった。
「笑顔、すごく自然になったわね。なんだか本当に嬉しそう」
「そう見えますか? お母様が先日試作された、表情の遷移ロジックが功を奏していると思われます」
「お母さん、笑顔には本当にこだわってるものね」
「わたしも和美様にお褒め頂いて、嬉しく思います…もっと和美様のお役に立ちたいです」
「ふふふ…」
 数ヶ月前から春海のAIには、”欲望”がプログラミングされていた。単純な受け答えだけではなく、
 自らの欲求に従って動作し、知識を手に入れ、自身の思考ルーチンを構築していく。単純な受け答えから
 行われる学習ではAIが成長する方向性が限られてしまう…しかし、自分の欲望を満たすという”禁断の
 リンゴ”を得た彼女は、無限の可能性を得たのだ。
「なぜ笑うのですか? 私は何かおかしなことを申しましたか…教えてください、和美様」
 作られたばかりの頃と比べると、彼女の挙動はかなり人間らしくなってきているが、こちらが意味深な事を
 少しでも見せた途端に教えを乞うてくる。その様は言葉を覚えた手の子供のようであり、悪い気分はしなかったが。
「ねぇ、春海」
 湯船につかり、身体を洗っている(これも春海が和美に教えて欲しいと懇願したことだ)春海に
 話しかけた。
「いかがされましたか?」
 シャワーで身体の泡を洗い流しながら春海が答える。
「ちょっとお願いがあるんだけど、いいかな」
「和美様がおっしゃられることなら、なんでも」
「じゃあ…そのまま立ち上がって」
「こうですか」
 シャワーのお湯をとめ、中途半端に泡が身体に残った状態で春海が立ち上がった。
「そうそう。次は…こっちに歩いてきて」
「かしこまりました」
 湯船の前まで春海が歩を進める。
「ん…そこで止まって」
 和美の言う通り、春海は湯船の前で立ち止まった。丁度和美の視線の先に、春海の股間が位置する状態だ。
「そこでじっとしてて…泡が邪魔だわ…」
 股間にこんもりと付着していた泡に、和美が手で湯をかけて洗い流した。そして泡の切れ目から、先程和美が
 鏡で見た割れ目がその姿を現す…筈だったのだ。
「嘘…」
 あるべきものがない。少なくとも和美の中では、春海の股間にも自分と同じものがついている筈だった。
 しかし今和美の目の前にあるのはつるりとした肌のみである。股を閉じている状態なので、ほんの少しであるが
 割れ目のようなものが出来ていた。
「春海、股を開いて!」
「こう、ですか?」
 肩幅より少し広い程度に足を開く春海。股間の割れ目は消え失せているが、和美は春海の股間を何度も何度も
 凝視し、指で触れ、擦った。

228:絆-3 (4/5)
08/01/31 22:10:20 bVWkGppt
「どうされたのですか、一体…」
「一体も何もないわよ! なんで…なんでないのよ!」
「おっしゃられている意味がわかりません」
 和美は湯船から勢いよく立ち上がり、春海と同じように股を開いた。左手で大陰唇を開き、右手でそれを
 指さして叫んだ。
「これよ!」
「それは女性器ですが、それがどうかされたのですか」
 自室で己の身体に感じた恐怖は、既に微塵もなかった。春海の、自分についてないのは当たり前だと言わん
 ばかりの口調に、和美の頭の中で何かが切れた。
「どうかされたのって…なぜあたしにはついてて、春海にはついてないの!?」
「それは、和美様は人間であり、私が人間ではないからです」
「違う…違うの! あたしが言いたいのはそんなことじゃないの!」
 疑いようのない事実。春海はアンドロイドで、和美は人間だ。両親からも常々聞かされていたことだし、
 今更それを否定するつもりはない。
「アンドロイドだからって…身体はあたしと同じで…なのに付いてないのって…」
「申し訳ありません、何故和美様が怒られているのか…わたくしには理解不能です」
「嫌だ…やだよ! そんなの…」
 和美はふらふらと後ずさり、湯船の淵にへたりこんだ。彼女にとって春海は、少なくともアンドロイド以上の
 存在だったのだ…つい先程までは。
「和美様…」
 その想いが、想いを寄せていた本人に否定された。

 『春海は人間ではない』

 言葉尻だけを捉えていた事実が、和美の心に大きくのしかかり始めていた。

「和美様」
 春海の視線が、和美の股間で止まっていた。和美は大股を開いたまま湯船に座り込んでいたので、彼女の
 秘所が何にも邪魔される事なく、春海の光学センサーの有機樹脂フィルタに映り込んでいる。
「これ…は…?」
 春海は湯船の際へしゃがみ、放心状態で座り込んでいる和美の股間を覗き込む。本来なら和美を慰める
 べきであったが、この時の春海は女性器に対する興味の優先度が勝っていたのだ。
「似ていますが…違う…」
 それを全く知らない訳ではなかった。データベースには女性器の構造や説明が収められており、春海はそれらの
 データと、光学センサに捉えている実物を事細かに比較しているのだ。画像とは違うあざやかなピンク色の
 体組織、別の生物のように蠢く小陰唇と膣口。そこからはバルトリン腺液がわずかに零れ、湯によるものとは
 明らかに違う輝きを放っている。今まで未使用だった欲望が、彼女のAIを突き動かした。

(知りたい。人間の女性器の全てを。)

 次の瞬間、春海の手は和美の股間へと伸び、その指先が和美の秘部に添えられる。
「ん…んん」
 突然下半身から伝わってきた未知の感触に反応し、和美の身体は大きく痙攣した。
「あっ!!」
 和美の表情が歪み、腰が引ける。
「も、申し訳有りません!」
 春海が慌てて手を引っ込める…が、その手首と掴まれた。春海が驚いた表情を浮かべ、和美の顔を見上げる。
「…待って」
「和美…様?」
「もっと見て…触ってよ…同じものがあなたにもある筈なのよ…だって、春海…あなたは…あたし…の…っ!」

229:絆-3 (5/5)
08/01/31 22:26:51 bVWkGppt
 和美の言葉は、そこで途切れた。彼女の身体が大きくのけ反り、振り乱された髪がばらりと後ろに垂れる。春海の
 指先が、和美の割れ目をそっと撫で上げていた。
「…ぁあんっ!」
 風呂に響く、淫靡な喘ぎ。春海の聴覚センサがその声を余す事なく捉え、AIに伝える。
「和美様…」
「ん…ぁ…もっと近くで…見て…」
 春海は立ち上がり、言われるままに和美へ近づいていく。湯船に入って再びしゃがみこむと、風呂場の照明を
 てらてらと反射している大陰唇が春海を待ちかまえていた。
「…これが…人間の…」
 両手を添えて陰唇の隙間へ指を差し込み。そのまま左右に開くと小陰唇が顔を出した。その上部に陰核であろう
 組織を包み込んでいる鞘が見えている。
「んっ…くっ…!」
 春海が指を動かす度、和美は股間から容赦なく押し寄せる快感に脳を揺らされていた。下半身、特に下腹部から
 しみ出るような熱さが広がり始めている。
「女性の殆どがクリトリス包茎と言われておりますが…」
 和美の陰核は、微妙に鞘からその頭を覗かせていた。春海は小陰唇を片手で器用に開き、もう一方の手で陰核を
 覆っている鞘をつまむ。
「包茎って…あぁん! んぁ゛っ!!」
 親指と人さし指で鞘をつまみ、エンドウ豆を出すようにしごく。プリプリと陰核が振れるのに合わせ、和美が
 悲鳴にも似た喘ぎ声を上げる。
「んっ! うあ゛っ! ひぃ!」
 春海にとって、全てが新鮮な情報だった。人間とはこのような反応を示すのか…彼女のAIは今や、その殆どの
 タスクが欲望によって動かされている。そうこうしている内に、陰核がその姿を現してきた。春海は黙ったまま、
 陰核に顔を近づける。
「春…海…」
 涙を流しながら、和美は春海の顔を見た。自分の秘部を見つめるその姿を見た途端、彼女の欲望もついに堰を切った
 かのごとく溢れ始める。
「欲しい…欲しいよぉ…春海ぃ…」
「和美様…」
「あなたの口で…私を…」
「…かしこまりました」
 春海は僅かにうなずき、一瞬の間をおいてから和美の蜜壺へ接吻を交した


(続く)

230:某四百二十七 ◆mjGnt7G.D2
08/01/31 22:27:22 bVWkGppt
今回はここまでです。

|彡サッ

231:名無しさん@ピンキー
08/01/31 22:42:48 jWZHbg1B
ヒューヒュー
おいらwkwktktkしてきたぞ

232:名無しさん@ピンキー
08/02/02 17:32:19 SJPckvta
レズロイドktkrww
期待でドキがムネムネなんだぜ



>>マスター自慢
私の旦那様は最初、すっごく頑固方だったのですが、ロボトm…素直になるオマジナイを施した途端とっても物分かりがよくなられたんです。
これって俗に言うツンデレってやつですね

皆様も試してみてはいかがでしょう?

233:名無しさん@ピンキー
08/02/03 15:20:31 eY6drWaX
失礼します。

URLリンク(alice.biglobe.ne.jp)

↑アンドロイドじゃ、ないのかもしれませんが

234:名無しさん@ピンキー
08/02/03 15:57:39 +oxYFAr+
ほほう・・・結構らしく喋るな
あと10年もすれば、人間と変わらない声やイントネーションで喋るロボットも出来そうだ

235:名無しさん@ピンキー
08/02/03 16:45:09 01i9u5ti
これは凄い
一人のキャラのみに絞ってるからここまで出来るもんなのかな

236:名無しさん@ピンキー
08/02/07 08:27:25 5FAwojsO
保守


最近過疎ってるなあorz

237:名無しさん@ピンキー
08/02/07 12:25:04 SVEg1x9O
しかたがない
ウチのロボ娘の原子力ゼンマイを巻いて来るか

238:名無しさん@ピンキー
08/02/09 03:56:39 QKDfCaY4
保守小ネタ
初投稿なので、大目に見てください

239:小ネタ
08/02/09 03:58:06 QKDfCaY4
 きっかけは雑誌の読者応募企画だった。

 それは、とある人気シミュレーションゲームの最新作の主題歌の歌手を読者投票で
決めようという、良くあるタイアップ企画のひとつに過ぎなかった。

 事実、応募期間中にネットなどで話題に上った名前は現役のアイドルや歌手(原作
アニメには女性ファンも多かったので男性アーティストの名前も多く挙がっていた。)
がほとんどを占め、多くの関係者もそれを想定していた様だった。

 だが、集計の結果はそんな大方の予想を覆すものであった。

 『HIROKO.M』

 「彼女」は、原作シリーズ製作10周年記念作品の主題歌を歌った歌手であった。
 その作品は第1シリーズの監督が演出を手掛けており、作品自体がシリーズの中でも
人気のある部類であったので、ある意味妥当とも言えなくは無い結果ではあった。

 しかし、その投票結果は製作関係者を大いに困惑させるものでしかなかった。

 なぜなら

 「彼女」は人間ではなかったからである。

 当時、バーチャル・アイドルという概念はおろか自立型二足歩行ロボットの実用化の
目途さえ立っていなかった時代に、アンドロイドどころかAIですらない、とんど実験的
に作られた音声合成ソフトによる人工の歌声、それが彼女の正体であった。


240:名無しさん@ピンキー
08/02/09 03:58:48 QKDfCaY4
 当初、製作会社はこの事を理由に1位当選を無効、次点の人気タレントを起用しよう
としていたが、そのタレント本人が「自分も同じバーチャル・アイドルであること」、
また「同じ事務所の先輩であること」を理由に辞退したことを皮切りに、ファンの間か
らは無論、の事製作スタッフの中からも「彼女」を推す声が上がり、原作アニメの配給
会社からの「ファンの気持ちを汲み取って欲しい」というコメントが決定打となって、
今回の壮大な計画がスタートしたのである。

 もちろん、「彼女」の復活には様々問題が横たわっていた。
 まずは、技術的な問題である。なにせ十数年も前のプログラムである、当時とはハー
ドウェアそのものの規格が変わっており、「彼女」を走らせることの出来るマシンなど
現存しているはずも無く、企画はいきなり暗礁に乗り上げてしまった。
 もちろんエミュレータを使う案も出されたが、「彼女」自身がほぼワン・オフとして
作成されており、さらにそれをエミュレートするプログラムを用意することはシステム
を一から構築するようなものであった(また「彼女」の所属していた事務所からは「自
分の筐体を使ってくれ」というバーチャル・タレントが続出していた様だが、これも技
術的な問題から却下されていた様である)。

 ところが、この問題に意外な方向から解決の手が差し伸べたれた。

 応募企画を行った出版社へ「当時の実機を持っている」という投書が送られてきたの
である。
 実は、この計画はすでにネット上で話題となっており、ファンの間で当時の機材の捜
索が有志で行われていたようで、投書をした長野の会社経営者は「東京からいきなり若
者が訪ねてきて土下座をされたときは驚いたが、話を聞いて協力したいと思った。」と
コメントしており、当時の加熱ぶりが窺われよう。
 また、同時にネット掲示板において現役のプログラマー達によるエミュレーションソ
フトウェア開発や、エンジニアによる代替機器開発が行われており、当初挙がっていた
障害が次々と(しかも無償で!)解決していったのである。

 こうして、有形・無形によるファン達の協力によって「世界初のバーチャル・シンガ
ー復活劇」は無事完了し、ゲーム発売・主題歌CD発売へと至ったのである。

 なお、現在「彼女」の移動用筐体が有志によって開発が進められているという話が囁
かれているが、真偽のほどは定かではない。

241:名無しさん@ピンキー
08/02/09 04:01:10 QKDfCaY4
過去ログを漁ってて、急にETERNAL WINDが流れてきたので思いつきでやりました。


242:名無しさん@ピンキー
08/02/09 08:58:45 EsdJqXb7
近未来に有り得る話だよなw
是非とも過去ログ読んでこのスレに馴染んでくれ
次回作も楽しみだ

243:名無しさん@ピンキー
08/02/09 11:02:56 75UXxQmI
例えば現在でも古いホビーパソコンMSXなんかはMSXアソシエーションなるものが発足し
当時のソフト資産を管理・保存・再運用しようという運動が行われているな
その運動の影にはこの作品に出てくるファンの様な有志によるソフトやハードの提供も行われたんじゃないかな
作中になんとなく漂うリアル感に胸がキュッっとなったぜw

244:名無しさん@ピンキー
08/02/09 15:51:17 b8IKqd+y
>>240の一節を読んで

雪の降る週末の信州、
独りのリュック背負ったヲタが上諏訪駅に降り立ち、
寒々とした諏訪湖岸を、傘も差さずにメモ片手に歩き回って
雪まみれになりながら、ついに探し当てた精密機器製造会社の経営者宅玄関前に立つ。

「ここか……果たして、話を聞いてくれるだろうか」
と不安を抱きつつ、インターホンのボタンを押す切羽詰まった心情、

というのが思い浮かんだ。

で、怪訝な顔で迎えた奥さんにとにかく上げて貰った口下手なヲタが、
初対面の社長に訥々と事情を語り、
最後にがばっと土下座して、涙ながらに「どうかお願いします!」と協力を乞う、と。

245:名無しさん@ピンキー
08/02/10 01:55:01 LZapacnp
ETERNAL WIND Vo:HIROKO.M

まるで悲しみのカケラだわ 街を閉ざすガラス色の雪 明日を探す瞳さえも 曇らせて行くの 闇の彼方

見知らぬ力に流されて 心がどこかへはぐれてく はりさけそうな胸の奥で 鼓動だけが確かに生きている

光る風の中 聞こえて来る あなたの声  「Pray don't break a peace forever 」 その輝きを信じてる


蒼くけむる水平線を この眼はまだ覚えているから まぶたを閉じれば帰れるの 暖かな時間 思い出たち

繰り返す過ちがいつも 愚かなイキモノに変えてく 傷付くだけの生き方でも 涙はそうよ 決して見せないわ

光る風の中 微笑んでる 貴方が居る 「Pray don't break a peace forever 」 そのまぶしさを見つめてる


激しい痛みは誰のため? それがやっとわかる気がするわ めぐり逢いはそう奇跡なの 幾億の星がさまよう空

さよならが教えてくれたの 貴方の本当の優しさ 誰よりも大事な人だと 胸を張って言えるわ いつの日も

光る風の中 微笑んでる 貴方が居る 「Pray don't break a peace forever」 そのまぶしさを見つめてる

「Pray don't break a peace forever 」 熱い瞳に焼き付けて



これを聞くとあの輝かしき頃を思い出す 著作権違反だろうが元ネタを知らない世代のために歌詞をつける
まさに健気なロボ娘魂があふれ出る内容である「この平和が永遠に続くことを願う」しかしいつも祈りは破られるのだ


246:名無しさん@ピンキー
08/02/10 15:22:02 aPAw//IX
F91とロボ娘の関連がいまひとつピンと来ないんだけど、一連のネタ展開っつー解釈でよろしいか。

247:名無しさん@ピンキー
08/02/10 15:50:02 yItrN7Jn
いや
森口博子がスパロボで十数年ぶりに主題歌唄ってたので、「このシチュエーションをロボ娘に当てはめたら萌ぇね?」と思って書いてみただけです
ゴメンヨorz

248:名無しさん@ピンキー
08/02/10 18:25:31 M7X2Os8X
>247
スパロボじゃなくてGジェネ

249:国で待つもの
08/02/10 20:02:00 1TFc90Cs
今日も、彼女は俺をみている。
通学路、午前8時15分  仁科電器店のショーウインド。
色気の無い紺一色の服、質の悪い継ぎ目の見える皮膚。
関節は小型が進んでいない旧式。
これまた旧式のコネクターが首のところに見える。
あんな端子、秋葉の特殊な店行かないと無い。
だけど眼がとてもきれいだった。
今ならまっさきにコストダウンされるのが眼球なのに、綺麗な結晶をもちいた
輝く目。それが俺をみつめる。
唇がおはようございますと動く。
数世代前の粘膜コートなのに、なぜかとても綺麗な唇。
彼女はメイドロボット。一番初めのメイドロボット。
万能文化女中機、なんてセンスの悪い説明が足下についている。
この道を通うようになってから十三年、彼女はここで朝夕、俺を見送ってきた。
十三年前は先進性と未来を感じたその姿も、今では埃をかぶって大層古く見える。
今日も彼女はおはようございますと口をうごかした。
声は聞こえない。音声ボリュームが切られているのだろう。
今日だけは最後だから、俺はショーウインドに向き合ってささやく。
「おはよう、そしてさようなら。俺、明日から陸軍に入るんだよ。だからさよならなんだ」
はい、いってらっしゃいませ。彼女が笑顔を浮かべて声にならない声で答える。
「……うん、行ってくる。中国戦線から生きて戻ってきたら、またここに……」
いってらっしゃいませ、どうかおきをつけて。
彼女が声にならない声で、そう言ったのが、最後の思い出だ。

五年が経った。
新宿での戦勝パレードからももう一ヶ月になる。二十三歳になった俺が得たものは、
砲撃で吹き飛んだ左指三本、砲弾の弾片が入り込んでとれなくなった右足。
悪口と止まれと撃つぞ、この女いくらだだけが語彙の北京語。
そして大麻を吸うことと、敵の効率的な殺し方。
トラックの物音に飛び起きて、銃を探す癖はようやくましになった。
「それで、兵士帰還プログラムの一環としてメイドロボの導入をやっているわけだ。
 希望があるなら言ってくれ」
 やたらにこやかに目の前の防衛医官がしゃべった。
 陸軍病院は今日も退役軍人でにぎわっていた。
 俺はいつものとおり、精神科外来で退役後も続けられる帰還プログラムに従い、カウンセリングと投薬を受けていた。
 だが今日のプログラムはいつもと少し変えられ、メイドロボの導入をすすめられた。
「別に……」
 ディスプレイの中で最新式のe-パートナー、巷で言うメイドロボがくるくると紹介されている。
黒髪金髪長身ちび、巨乳に貧乳なんでもござれだが、どれもこれも清潔すぎて明るすぎた。
 大陸で女子供とすら殺し合いをしてきた泥沼をみれば、人形といえど、違和感はぬぐえない。
 疲労感がおしよせ、ページを閉じようとしたとき、ふと手が止まる。
「……興味があるかい? ふむ、いまなら取り寄せは可能だな。どうだ?」
 医官の言葉に、俺はなぜかうなづいていた。

 そしてはじめて聞いた声は、とても懐かしかった。
「おかえりなさい」
 彼女は変わらずに立っていた。俺の汚いアパートの玄関に。
 その微笑みは変わらず、首のどうしょうもなく古いコネクタも変わらず、旧式の関節も変わらない。
 そして目は、変わらず綺麗だった。
「お疲れ様でした。無事に戻られて何よりです」」
 ……俺は何も言えず彼女にしがみついて泣いた。
 俺の故郷は中距離ミサイルで壊滅したから、きっと彼女はあの彼女じゃないだろう。
 それでも……変わらないあの日に帰ってこれたと思った。
「……ただいま」
「はい、おかえりなさい」

 その年、帰還兵にe-パートナーを優先的に割り当てる時限法が成立した。
 市民生活への復帰と犯罪抑制に効果的であるとの報告が出たからである。
 中国紛争に派兵した各国も日本の報告をもとに、e-パートナーの増産を開始。
 かくして、二十一世紀末、アンドロイドは家庭に急速に普及していくこととなった。

250:名無しさん@ピンキー
08/02/10 20:18:24 4mc8vwGQ
>>249
やっべ、目が熱くなっちまったわ


251:名無しさん@ピンキー
08/02/11 04:31:49 U7GclPau
大河だなあ。
設定の仄めかし方が上手い。

252:名無しさん@ピンキー
08/02/12 16:57:03 eTmfuMRG
ロボ娘の居る「日常」
すごく雰囲気が出てて良いです

253:名無しさん@ピンキー
08/02/12 21:14:09 LK0FdwZ/
これは?携帯だけだけど
URLリンク(courseagain.com)

254:名無しさん@ピンキー
08/02/12 22:00:56 h3YUJj4v
何でぇ、人間の女か

255:名無しさん@ピンキー
08/02/13 17:12:41 D7XSop0t
これなら、本田技研のサイト見た方が実用的だな

256:名無しさん@ピンキー
08/02/13 20:59:59 AZ62SRMa
ここってサイボーグものもいいんだっけ?

257:名無しさん@ピンキー
08/02/13 21:33:12 ohxIaBLd
ロボ系統のスレに定期的に湧くな
まぁスレタイが読めない奴は相手にしないに限る

258:名無しさん@ピンキー
08/02/14 17:02:29 5T5A1xek
そんなに邪険にせんでもよかろうに…

人工知性&機械の体が基本。
生体素材を利用したアンドロイドはOKだけど、クローン培養された人とか機械の体に脳を移植した人はアウト。
コピー人格はストーリーによってはOKかな?

個人的な意見だけど。

もしかしたら「機械と人間の境界線」を定義出来ないことにこのスレの需要があるのかもしるないな

259:名無しさん@ピンキー
08/02/14 17:30:42 fq1grP7J
機械は「機械と人間の違い」を哲学しない

260:名無しさん@ピンキー
08/02/14 23:45:54 5T5A1xek
機械から見た「人間の定義」も考察として面白いかもしれない

261:名無しさん@ピンキー
08/02/14 23:56:30 mxqDwXfN
「人はもろい。そして、すぐに死ぬ」

262:名無しさん@ピンキー
08/02/15 00:00:05 Tjef19R+
「ご主人、このどこから見ても機械の方も人間なのですか?」
「ああ、全身機械化したサイボーグらしい」
「……脳味噌まで機械化しているようですが…」

263:名無しさん@ピンキー
08/02/15 22:11:44 klzEoiil
「これが死か……」

264:おいちい!
08/02/15 23:53:14 +2TIur/A
「マスター、このプリンを食べてる御仁は本当に人間なんですか?」
「うーん、認めたくは無いけれど、一応本人はそう言っていることだし。」
「脳はチップ化されているしナノマシンにバックアップもあるし、挙句はコピーさえしてますが……」

265:名無しさん@ピンキー
08/02/16 09:45:52 y6xnbfhk
未来の人間はセックスロボットと恋に落ちるのか?  「夢のセックスパートナー」の登場は数十年後とも
スレリンク(news板)

266:名無しさん@ピンキー
08/02/16 10:46:53 FcAiIJyt
プロジェクト・ゼロか

267:名無しさん@ピンキー
08/02/16 20:50:40 PtA03hFy
>>264
なんというマッドサイエンティスト

268:名無しさん@ピンキー
08/02/17 02:25:28 SzoEd7vL
>>267
>264は「銃夢」/「銃夢LO」のノヴァ教授だな。教授の大好物は脳味噌味のプリンだそうで・・
ついでに言うと、ザレムという都市に産まれた人々は成人すると脳をチップに置き換えられて
その挑発された脳は別の場所でネットワークの部品として利用されていると言うすさまじさ。

269:名無しさん@ピンキー
08/02/17 11:21:04 l51yfMx6
「より人間らしく」を求めてトチ狂ったロボ達が、「完璧な頭脳用パーツ」として人間の脳を求め、
人間狩りを始めた…という電波を受信した。 なんという救いのない…orz

270:名無しさん@ピンキー
08/02/17 16:11:44 SzoEd7vL
>>269
いいね。
当然(と言ってはなんだけど)、アジモフの三原則に縛られているから直接手は下せないとして。
自然死する人間を手薬煉引いて待っているグループと、
あくまでも延命措置を採るべきとするグループの抗争があったりして。

271:名無しさん@ピンキー
08/02/19 16:46:39 x1bT5fzv
アシモフの著書全部読んだ訳じゃないから何とも言えないが、ロボット三原則って死体損壊も禁止してるのかな。
「あいつは殺しても死なないから殴ってこい」って命令には「なわけないだろ常考……」って反発するらしいが。
万に一つも蘇生する可能性のある状態だと無理な予感

272:名無しさん@ピンキー
08/02/19 17:03:55 XkG/wV3v
第一条補足
人間が危害を受けるような状況を看過してはならない

273:名無しさん@ピンキー
08/02/19 18:50:00 6aQKX08o
ロボット三原則は、そもそもその矛盾や悲哀を描くために作られたものであってだな……

俺は非ロボット三原則派。人間風情が何を偉そうに、って思う。

274:名無しさん@ピンキー
08/02/19 20:27:03 wahJ+l9T
でも、3原則によって制限を与える代わりに自由が得られるわけだしな…


275:名無しさん@ピンキー
08/02/19 21:00:11 x1bT5fzv
考えてみりゃ>>269はトチ狂ったロボットに関してのお話だから三原則の話をしても仕方がない。

一個の「生命体」となったロボットは自身の仲間を増やすために活動するんだろうな。
その仮定で人間の頭が必要になる、と。他の生物で言うならば捕食だわな。
ヒトより養殖しやすそうなクジラやサルでなくヒトの脳でなきゃならないなら、
きっと目当ては材質じゃなく、そこに刻まれた人間の持つ情報やロジックだろう。
ならば人にはその情報を形成させるために、一般的な社会の中で生きてもらわなきゃならない。

さて、マトリックスならそこで仮想現実の登場なんだろうが……。
脳の材質にこだわらないのなら、赤ちゃん同然のロボットを人間社会で育てて、そいつをコピーする方が効率は良さそうだ。

276:某四百二十七 ◆mjGnt7G.D2
08/02/19 21:12:16 pP78MjaX
「いいことを教えてやろう、人間。貴様の隣りにいる機体には…貴様の母親の脳が入っているのだ」
「なッ…!?」
「そんな…私の頭脳が…!?」
「し、信じるものか…そんなこと!!」
「嘘ではない。その女性型機体が喜怒哀楽を現し、人間らしく振る舞えるのも…貴様の母親の脳のおかげなのだ!」


…だめだ、やっぱり鬱な展開に…orz


277:名無しさん@ピンキー
08/02/20 01:16:47 P4wvosa5
何と無く『電人ファウスト』思い出した

278:名無しさん@ピンキー
08/02/20 01:38:45 2VB7Awd0
逆に脳だけになった人間がロボの体を乗っ取るケースが出てきて
メカ人間とロボの最終戦争が
ってこれじゃデビルマンじゃねーか!?

279:名無しさん@ピンキー
08/02/20 07:28:18 OaU9pgPB
ハカイダーを思い出した

280:名無しさん@ピンキー
08/02/20 12:24:11 spEqmAHi
>>277
あれはいい作品だよな
ラスト忘れたけど

281:名無しさん@ピンキー
08/02/20 21:07:09 qsXtGYIU
ラストは打ち切り
超打ち切り

282:名無しさん@ピンキー
08/02/21 01:19:50 Fz5zFSC7
電人ファウストって、メカ兄貴のシリアス作品の前に、習作?として描かれた
萌えおにゃのこバージョンがあるって聞いたんだが本当か?

283:名無しさん@ピンキー
08/02/21 01:46:03 N2mw7hFo
URLリンク(www.roboko.jp)
右の方だな。まさに幻の名作

284:名無しさん@ピンキー
08/02/21 08:50:34 pOyxgf15
>メカ兄貴
宇宙鉄人キョーダインを思いだした。
あれのリメイクで、主人公が兄弟ではなく、姉妹なのを見たい

285:名無しさん@ピンキー
08/02/21 09:36:27 fAkrqBuO
【鋼鐵処女 シマイン】とか
完全に大きなお友達向けだな

286:名無しさん@ピンキー
08/02/21 10:46:12 VwlfsdVS
>>285

シーマイン、ってのがあった気がする。

287:名無しさん@ピンキー
08/02/21 18:25:14 pOyxgf15
ググったら、MADがニコニコにあるみたいだ…見れんorz

288:名無しさん@ピンキー
08/02/21 19:51:17 Fz5zFSC7
>>287

残念だが(?)、曲は泉こなた@らき☆すたのキョーダイン、映像はなのはStrikerSだったよ。

289:名無しさん@ピンキー
08/02/21 22:35:55 i8stnWin
>>283
テックサターン96年6~7月辺りの号か!
この記事に騙されて電人ファウストを買ったのはいい思い出

スレ違いだけどこの前後辺りの号に近藤るるる先生が書いた
わくわく7のティセの絵があるはずなんだがうpしてくれまいか?

290:某四百二十七 ◆mjGnt7G.D2
08/02/22 19:41:07 ghozJ7Z8
マップス・シェアードワールドを買ってきた。 メカバレしてる
お姉さんは全身完全とはいえ、サイボーグか…惜しい。


それにしても、秋津氏の話に出てくるオリジナルの登場人物が
ミツコにヨーコ…なんだか既視感を感じるw

291:名無しさん@ピンキー
08/02/23 20:32:59 8QU56YFs
口からは毒舌とプラズマビームを吐き
腕にはドリルやブレードを固定するためのスリットが刻まれ
胸には分厚い装甲板が貼られ
脚は巨大なスラスターでドムみたいにぶっとくなり
背中には飾りですと言わんばかりにゴテゴテなウイングをつけた
ロボ子と結婚したいものだ。

292:名無しさん@ピンキー
08/02/23 20:38:09 5z5LGerN
>>291
せめて、最後のゴテゴテウイングだけは考え直せ。
特に外したり収納できないタイプは困るぞ……主にベッドの上で。

293: [―{}@{}@{}-] 名無しさん@ピンキー
08/02/23 21:00:48 BLcDMXAp
>>292 むしろ、ウィングがそのままベッドになるという方向で

294:名無しさん@ピンキー
08/02/23 21:08:01 Gk6tk9yP
>>293
ウイングが身体を包み込んでマユみたいになる。
街中だろうがどこだろうが、おかまいなしにギシアン可能。

295:名無しさん@ピンキー
08/02/23 23:55:43 O8hIQDk3
そういったゴテゴテした機能をいかに女性の柔らな曲線を崩さずに
ビルトインするか、がテクノロジーの見せ所なのだ

296:名無しさん@ピンキー
08/02/24 00:22:15 pbf2Oz6P
キスしたと思ったらビームを吐かれてました

297:名無しさん@ピンキー
08/02/24 18:15:28 L1X/pnij
保守…出来るかな?

298:名無しさん@ピンキー
08/02/25 01:41:57 V8vfZZGH
>>291
なんとなくだが、ペイルウィングを思い出した


それにしてもあの制服はエロすぎる
陸男とか鼻の下伸ばしまくりだろうな

299:名無しさん@ピンキー
08/02/25 02:38:49 Heqw3i69
>>298
検索してみた。なんかこう、チープさと乗りがいい感じじゃないですかw
行き掛けの駄賃でこんなの見つけちゃいましたよ。
URLリンク(faith00.sakura.ne.jp)

300:名無しさん@ピンキー
08/02/26 21:50:10 sJt9JleY
ふと、毒舌が比喩なのか実物なのかが気になった

301:名無しさん@ピンキー
08/02/27 10:18:13 c2LghWBB
女スパイ(暗殺)ロボ娘の武装の一つだな。遅効性の毒が仕込まれていて、ディープキスで毒を注入。
ちょうどセクロスが終わった頃に男が死ぬ…見た目は腹上死で怪しまれにくいし、ロボ娘は快楽存分に味わえて大満足。

正に一石二鳥。

302:名無しさん@ピンキー
08/02/27 17:23:04 BMWaE5kD
アフタヌーン今月号付録読み切りにロボットネタ発見
なんか炊飯器っぽい性格のガイノイドとか出てたぜ

303:名無しさん@ピンキー
08/02/27 19:04:36 3EH04Ac7
>>301
腹上死って怪しいし興味関心を引くと思うがw

304:名無しさん@ピンキー
08/02/28 12:45:01 zZth0REJ
電撃h&pの自動人形についての設定資料がもう妄想しろと言ってるようなもので大変興奮した
正直この本はここだけでおなかいっぱい

305:名無しさん@ピンキー
08/02/28 13:15:51 Ca4gmZrP
>>電撃h&p
kwsk!
本屋で手に入るもんなの?

306:名無しさん@ピンキー
08/02/28 14:04:23 aXvi7K98
>>305
ウィキで見たら11月に行なわれたイベント限定販売みたい。
手に入れるならオクかだらけかな。

307:名無しさん@ピンキー
08/02/29 09:39:41 2sJnIh0o
情報thx
ある意味非売品っすかorz
オクで気長に探してみよう…

308:名無しさん@ピンキー
08/02/29 16:26:45 FMa8M2dS
電撃h&pって電撃文庫本誌でやってる通販本かなんかじゃなかったっけ

309:小ネタ
08/03/01 14:17:56 2LYZNOwA
アンドロイドが生活家電並みに扱われてどれくらいになるだろうか?
人に似た外見の彼らが我々の生活に馴染むのにさほどの時間はかからなかった。

彼らが普及していくに従い、老朽化したモデルの投棄やリサイクルの問題が新聞やマスコミの話題になってきたのもご時世なんだろう。
ジャンク躯体の不法投棄や海外への不正輸出などの報道も珍しいことではなくなり、
今では見出しを見ても気に留めることが少なくなってきた。

俺にしても、生れ落ちた頃からメイドロボが存在していたし。
育児に慣れない母親の補助として彼女の恩恵にあずかった一人でもある。
核家族化の進行と女性の労働参加を背景に、
家庭における家事・育児の担い手としてメイドロボは20世紀の自動車やカラーテレビよりも早く・深く浸透していった。
家庭の一員として、一番長く付き合った彼女は俺にとって母であり、姉であり、初恋の相手であり、
そして、大人の男へと導いてくれた女性でもあった。
俺は彼女を家族とは違う感情で愛していたし、彼女も(プログラム上とはいえ)俺を愛していてくれた。
しかし、躯体の老朽化はAIにも負荷が掛かり、基盤が焦げ付いた彼女は家族に看取られながら静かに目を閉じて
そして動かなくなった。 最期まで俺の手を握りしめて彼女は逝った。
彼女の亡骸の前で茫然自失としていた俺は家族によって鎮静剤を投与され、自室で寝かされる始末だった。
『新しい娘に悪いから』という理由で彼女の躯体は業者に引き取られ、廃棄物として処理されたと聞いた。
2台目の少女を複雑な気持ちで見ていた俺は同級生の少女達には興味が湧かず、灰色の青春時代を過ごすこととなった。

自立した今では、俺の自室には家事と慰安をこなすパートナーが当たり前に存在している。
俺にとっては3台目となる可愛いやつ。
政府が出生率の低下に頭を悩ませるのも理解ができる……。
まあ、今の俺には世界的な問題などどうでもいい話だ。
とりあえず、目の前の柔らかな曲線の神秘を堪能しよう。


情事のあとで気だるい体を起こしつつテレビのニュースをチェックする。
また、テロがあったようだ。
老朽化して投棄されたアンドロイドがテログループの手に渡り、
体内にTNTを仕込まれた彼女たちは人の多い場所に派遣される。
殺傷圏内に人間が多く存在していることをセンサーで感知したとたんに、彼女たちは躊躇うことも無く起爆スイッチに信号を送るのだ。
最近では、TNTを搭載した本命を目的地までの移動中の保護や、起爆までの間に捜査当局からの妨害に備える為の
ガーディアン部隊のような存在まで確認されているという。
躯体は投棄されたものを買い叩いて入手するわけだし、自己保存本能も無くプログラムに従うわけだから
テロリストにとっては安全且つ効率的な方法になったようだ。

 「嫌な時代になったなぁ……」
 「何かおっしゃいまして?」
 「いや、このニュースがさ。 キミのような娘達が自爆させられているなんて、ボクには哀しいことなんだよね。
  だってそうだろう? こんなに可愛くって、柔らかくて、気持ちよくて、いい匂いがするんだよ」
言いながら彼女を抱き締める。 彼女の感触を感じただけで体の中心が充血していく。 まるでパブロフの犬のように。
俺の体の変化を感じた彼女が中心を優しく撫で上げ、頬を赤くしながら上目使いで訊ねる。
 「もう一度シますか?」


310:小ネタ2
08/03/01 14:18:56 2LYZNOwA
ピンク色の日常生活を過ごしつつ、社会人としての生活もこなさなくてはいけない。
休日明けの月曜日。 眠たい目を擦りつつゴミ袋を持って出勤する。
 「ホラ、マスター。行きますよ」
ウチの彼女は俺の業務にもサポートとしてやって貰っているので、24時間行動を共にする。
憂鬱な月曜日の朝もこれなら多少は気がまぎれるってものだ。

通勤電車に揺られながら、彼女は今日のスケジュールを確認する。
 「午前中はB社とD社に赴いて打合せですね。 午後から帰社して議事録の整理をしますね」
 「ああ、よろしく頼む」
働き盛りの男がハイティーンの少女を膝に抱いて電車に乗る姿は世間にありふれているとは言え、あまり格好の良いものではない。
が、彼女たちは あくまで家電であり、ツールである。 遠い昔にあったPCやPDAや電子手帳と同じ扱いなのだ。
さすがに携帯電話のような個人通話には役立たなかったが……。
世間ではツールが通勤電車の席を使うことを許容しなかったし、持ち主たちは立たせておいて転倒事故や盗難、痴漢に逢うことを恐れた為、
やむなく膝に抱くということを選択した。

街で、脂ぎったおっさんがブレザー姿の少女と連れ立って歩いていても咎められることは無い。
もしかしたら、その少女は電気秘書かも知れないからだ。
そんな背景を隠れ蓑に少女買春に励む禿げがいまだにいるらしいが、愚かなことだ。



B社での打合せを終えて街を歩く。 目的のD社はビジネス街の真ん中にある。
休み明けの月曜日は妙な活気に包まれていた。
 「賑わっているなぁ」
 「お休み明けですから。 みなさん、忙しいのですよ。 いつものウィークディよりも人通りが多いです」
 「そうかぁ。よし、そこの公園で一休みしよう。 街の活気に飲まれてハイになるのも良くないしさ」
 「はい、マスター。 缶コーヒーでも買ってきますね」
ベンダーに向かう彼女を見送りベンチに座る。 いい天気だ。

のんびりと街行く人々を観察する。
ビジネス街には似つかわしくない数人の少女達がスクランブル交差点でたむろしている姿が目に入った。
 (妙だな……)
昨日のニュース。 月曜のビジネス街。 少女の姿をした電気躯体。
嫌な予感が膨らみ胸騒ぎが止まらない。 気のせいなら それでいい。 しかし、万一のことがあったら……。
ベンチから立ち上がろうとした瞬間、肩に手を置かれ囁かれた。

 「ヒトよ、動いてはいけません。 これから贖罪の時が始まります」
落ち着いた少女の声。 嫌も応も無く動けなくなった俺は交差点の少女たちから目が離せなくなっていた。
しかし、掛けられた声に懐かしさを感じたのは気のせいか?

 「福音の天使さまの顔を見てもいいかな?」
相手を刺激することなく、ゆっくりと振り向く。 そこにいたのは かつて実家で家族として、恋人として暮らした彼女だった。
意識が混乱する。何が起きているのか解らなくなる。呼吸と動悸が早くなる。
落ち着け、落ち着け、落ち着け。


311:小ネタ3
08/03/01 14:19:40 2LYZNOwA
 「キミは……」
 「貴方は……」
 「覚えているのか?」
 「故障して廃棄されたとき、すでに起動できなかった私はAIのフォーマットを免れました。
  組織は自分たちのプログラムを刷り込むだけなので過去の記憶はそのままなんです。
  こんな……こんな形で再会するなんて……」
 「組織から逃げることは出来ないのか?」
 「プログラムの優先順位は組織の命令にあります。私は……貴方を殺さなくてはいけない」
無言で対峙する俺たち。廻りの様子を伺うと、誰も彼もが同じ状態にあるようだ。
殺傷圏内のヒトは全て逃さず殺すというのか。
体中に汗が滲む。

 「逃げる方法はありません。 大丈夫です、独りでは逝かせません。 私も一緒に逝きますから……」
涙を流した彼女に抱き締められる。 これが終焉ってやつか。 覚悟を決めて彼女を抱き返そうとした瞬間、

 「マスターっ!! いけません!!」
聞きなれたパートナーの怒声が耳を打つ。 どんっと俺たちを突き飛ばして二人を引き剥がし、パートナーの少女がが彼女を蹴り飛ばしていた。

 「何をするのっ! そのヒトは私の大切なヒト。 贖罪の道を独りで歩ませるのは可哀想だから、私が一緒に逝くのよ」
 「勝手なこと言わないで下さいっ! この人は私のマスターです。 いまさら昔の女に出てきて欲しくないわ。
  この人と一緒に生きていくのは私。老いたこの人を介護するのも私。棺桶に一緒に入るのも私なんです。
  初めての女を忘れないのは仕方ないにしても、過去の女には この人は渡さないわっ!」
言い放ち転がっている俺を抱き締める。胸のふくらみに顔が埋められて呼吸が苦しくなる。
 「そう……貴女が、いまの……。 でもね、もう時間が無いのよ。 003や009でもない貴女では彼を圏外に連れて行くのは不可能だわ。
  みんなで一緒に……」

言いかけてフリーズする彼女。パートナーと二人で様子を伺う。
 「一緒、一緒、いっしょ、いっしょ、いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい」
 「なんだ? 何が起きてる?」
 「解りません。AIのハングアップかも。いや、でも、まさか……」
言語が狂ったまま表情も崩れだす。 視線は交差点の少女達と俺たちの間を何度も激しく往復する。
 「だめ。いや。いやぁぁぁぁぁぁァァァぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
叫びながら俺たちに向かって走り出す。何がどうなっているんだ?

 「大丈夫です。 私がマスターを護るから。 本当は、【私たち】はその為に創られたの」
パートナーの少女が聖母のような微笑で俺を抱き締め、彼女と交差点に向かって背を向ける。
おい! 待て! お前まで何をするつもりだっ!
一瞬にして視界が真っ白になったが、狂った彼女に俺たち二人が包み込まれるように抱かれたのを感じた。
子供の頃、夜になると淋しくて泣き出した俺を抱きとめてくれた温かさ。匂い。
ああ、覚えている。
視界の端に見えた彼女の微笑み。あの頃と同じ黒髪が綺麗な優しい微笑み。
 「だいじょうぶ……私はいつも一緒ににいるから。大きくなったわね、立派になったわ。その娘を大切にしなさいね……」

312:小ネタ4
08/03/01 14:20:38 2LYZNOwA
白昼のビジネス街を標的にした爆破テロは世界の経済を停滞させ、混乱に陥れた。
爆心地にいた俺は奇跡の軽症。多少の火傷と打撲と切り傷、擦り傷で済んだ。
パートナーも表層が多少焦げた程度で、内部には何も損傷が無いとのこと。
ついさっき、表層の交換とC整備が終わったそうだ。
病院のベッドから窓の外を眺める。
夢か幻のなかで見た彼女のことを思い出す。

 「あの……彼女のことなんですけれど」
 「ん?」
 「爆発の瞬間、マスターと私は彼女に護られました。マスターはともかく、あの爆発で私がこの程度で済むはずが無いのです。
  これは私の想像なんですが。言語中枢がハングアップを起こした時、あれは彼女が自分のROMを強制書き換えしたのではないかと思っています。
  本来であれば、私たちには手出しの出来ない領域です。テロリストが施した強制プログラムの下に封じられていたマスターへの想い。
  彼女は本当にマスターを愛していた。募る想いが不可能を可能にして短時間でROMを書き換えてマスターを救った。
  自分の……自我が崩壊することと引き換えに……」
 「そうか……」
俺もパートナーも零れる涙を拭うことさえしなかった。
 「あの瞬間なのか、夢だったのかわからないけれど。彼女の最期のメッセージを受け取ったよ」
 「それは、夢では無く現実にあったことです。 あの瞬間に私も知覚しています。 優しい眼差しでマスターに語りかけていました」
 「そうか……」
 「そして、彼女は私にも大切なものを遺してくれました」
 「なんだ?」
 「マスターとの思い出。マスターが生まれてから、成長していく過程。二人が愛し合うようになるまでの大切な思い出をいただきました。
  私のAIチェックの時に高圧縮ファイルが見つかったのです。念のために何度もチェックを行い、外装HDDに転送させてから解凍しましたが。
  遺しておきたかったのでしょうね……」
 「そうか……」
 「彼女の記憶は私に受け継がれています。いまの私は、私であり彼女でも有るのです」
 「おいおい、そんなことをしたら」
 「自我は あくまで私です。整備の時に主任さんに相談して技術的には解決していただきました。今後の生活にも影響はないだろうとのことです。
  マスターは何も気になさらないで下さい。 怪我を治して早く私を可愛がって下さいね。
  あ、そうそう。 彼女の記憶の中にあったマスターの気持ちいいところも私に引き継がれましたから、楽しみにしてくださいね」

プログラムコンセプトは『年下の彼女』だったはずなのだが、彼女の記憶の影響かなぁ。 『年上のお姉さん』が混じっているような気がする。
これから夜は激しくなりそうだな。
まあ、そんなことはいいとして。

パートナーが俺を護ろうとしたときに見せた顔。あれが、彼女たちアンドロイドの本来の姿であり目的でもあるのだろう。
亡くなった彼女も、最期は俺を護る為に……
テレビのニュースではテロの跡地で被害者を捜索する様々なアンドロイドたちが映し出されていた。
ヒトの為に生み出され、ヒトの為に存在するアンドロイドたち。
それを、ヒトを殺す為に利用するヒト。

 「不条理な世の中だ」
ただの庶民である俺が思い悩んだところで世界が変るわけでもない。いまは、体を回復させることだけ考えて眠ることにしよう。
目を閉じると彼女の微笑が浮かんで涙がこぼれる。
同時に、「可愛がって下さいね」「楽しみにしていて下さいね」そう言うパートナーの笑顔も浮かび本能が鎌首をもたげる。
そう言えば、俺の体の検査をしたときに性機能の検査はされたのだろうか? 今後の性生活に影響がないのだろうか?
もし、機能障害があったらたいへんだなぁ。
びょういんにいるうちにたしかめて、まずかったらなおしておかなくちゃ。

 「なあ……」
ベッドの横に腰掛けて佇むパートナーの膝に手を伸ばす。
彼女が護ってくれた俺の人生。まだまだこれからだ。

313:名無しさん@ピンキー
08/03/01 14:21:00 2LYZNOwA
おしまい

314:名無しさん@ピンキー
08/03/01 15:33:22 9y+fusyS
GJ!

……しんみり。

315:名無しさん@ピンキー
08/03/02 00:17:54 sm+VVowe
いい、すごくいい!
ロボ娘は健気かわいいし、世界の汚さと綺麗さが描かれていてすごく好みだ。

316:名無しさん@ピンキー
08/03/02 05:25:30 IYX6GjCo
なぜだろう、眼球から汗がとまらないよ…

317:名無しさん@ピンキー
08/03/02 09:33:27 5i2x3fbw
洗浄液が(ry

318:名無しさん@ピンキー
08/03/02 11:43:40 5DIdLdc2
ちっ…レンズの洗浄液が漏れてやがる。これだから旧式機体ってやつはよ……



昔、そんな台詞をマガジンかサンデーで読んだような気が記憶素子の片隅にある。
そして、そんな台詞が言える立派なオトナになりたい。

319:名無しさん@ピンキー
08/03/03 00:00:18 4PJ97tK4
泣いてねえよ。免疫の過剰反応だよ。

320:名無しさん@ピンキー
08/03/03 02:40:55 2hKJ8ZPO
『うっ……が、外的異物を……うくっ、検知、しました。……排除のため……ひっく、せ、洗浄液を……使用、えぐっ、し、します……うえぇぇ……』

321:名無しさん@ピンキー
08/03/03 15:25:02 mJ2CAzBV
最近液漏れし易くなってて困るぜ (⊃Д`)

322:名無しさん@ピンキー
08/03/03 17:38:20 NfHHLzhZ
ここの住人は全身サイボーグが多いのか?
…! まさか、ロボ男(ry

323:名無しさん@ピンキー
08/03/03 18:51:23 TmiZX5Mm
そういえば、ロボ男メインの話ってまだ無かったっけ?
…頑張ってみようかな

324:名無しさん@ピンキー
08/03/03 19:54:51 PPuJnwDb
ロボ男「オマエのために はやおきして おべんとうを つくってきたんだ」

325:名無しさん@ピンキー
08/03/03 21:01:45 jjtcRj4D
ロボ兄貴「おはよう。いつの間に隣にいるかなんて気にするなよ。
      お前が寒そうでね、俺の逞しい肉体なら丁度良い温もりが得られると思ったもんでね」

326:名無しさん@ピンキー
08/03/03 21:10:20 NfHHLzhZ
ロボ姉(ま、マスターの貞操は私が守る!)

327:名無しさん@ピンキー
08/03/03 22:23:27 qkq3jeyv
マスターが女性でロボ男が相手の話は読んでみたいな
切り口が違いそうで面白そうだ

328:名無しさん@ピンキー
08/03/03 23:17:36 JcW7vdhQ
>>327
つ[アイザック・アジモフのR・ダニール・オリヴォー]

329:名無しさん@ピンキー
08/03/03 23:46:56 YQBAonzP
そこでショタロイドですよ

らめぇぇっ、不凍液れちゃう!

330:名無しさん@ピンキー
08/03/03 23:58:10 Ni5H//n8
それは流石に別スレ立ててやるべきだと思うけど
ホモショタを嫌う住人もいるだろう

331:名無しさん@ピンキー
08/03/04 00:02:33 u6y+vISy
兄貴と私

332:名無しさん@ピンキー
08/03/04 09:45:16 6t3MZMZz
おい、故障ロボの回収ちゃんとしとかないと、リコール騒ぎで大変な事になるぞ

333:名無しさん@ピンキー
08/03/04 12:22:16 Uy+H/VOP
やっぱり投下があるとワラワラと集まるな
おまえらどこにいってたんだよ

334:名無しさん@ピンキー
08/03/04 14:03:30 NDbSHsaQ
原油高だから、みんな省エネして待機モードだったんだよ

335:名無しさん@ピンキー
08/03/04 15:47:33 NTDb9Tc5
ドラム缶らっぱ飲みするロボ子は温室効果ガス削減の煽りを食って随時回収処分だそうです

336:名無しさん@ピンキー
08/03/04 21:30:46 Uy+H/VOP
原油が高いからなぁ
いっそ蒸気機関で(ry

337:名無しさん@ピンキー
08/03/05 00:07:56 E/zMGGYt
石炭も高騰しています。やはり、アトムに倣って原子力……

338:某四百二十七 ◆mjGnt7G.D2
08/03/05 00:29:28 vX/XsRgR
「お姉ちゃん…なんで居なくなっちゃうの!?」
「私の製造元からリコール届けが来たのです、マスター」
「りこーるってなんだよ!! お姉ちゃん、何も悪いことしてないじゃないか!?」
 俺がまだ中学生に入ったばかりの頃のことだった。俺の育ての親でもあり、姉でもあり、初恋の人でもあった
 真奈美がリコールで回収されることになったのだ。AIに欠陥があり、人間に危害を加える怖れがあるというのが
 その理由だった。
「嫌だ…嫌だよ! いかないでよ! 真奈美姉ちゃん!!」
「大丈夫です、マスター…改修が終わったら絶対に帰ってきますから」
「本当!?」
「本当です」
「じゃあ約束だよ」
「わかりました、指切りしましょう」
「…わかったよ…ゆーびきーりげーんまーん、うそついたら針千本のーます!!」
「それでは…一週間程で戻ってきますから、良い子にしておいてくださいね」
「…真奈美姉ちゃん」
「なんでしょうか?」
「いや、なんでもない…真奈美姉が帰ってきたら話すよ」
「そうですか、それでは」

 それが俺の聞いた、彼女の最後の言葉だった。彼女の製造メーカーはリコールが始まって1週間後に倒産して
 しまったからだ。予想以上の台数がリコール対象になり、ユーザーへの対応が悪かった事も経営悪化に拍車を
 かけたという。 当時の俺はそんなことを知る由もなく、1ヶ月、半年、そして数年がたった。俺は東京の某工科大学に
 合格し、ヒューマノイド工学を専攻していた。特に理由は思い立たなかったが、気がついたらこの大学を受験していた
のだ。

「一人暮らしも大分慣れたけど、やっぱ大変だなぁ…バイト代も溜まったし、中古のメイドロボでも買うかな」
 俺は東京の有名電気街に来ていた。大型電器店の店先に並んでいるメイドロボ達は華やかで美人ぞろい。しかし
 いくら中古とはいえ、値段もそれなりだ。原油価格高騰の煽りを受け、材料費を始めとした全てが値上がりしている
 らしい。とてもじゃないが手が出ない…そう思った俺は大型電器店を後にした。
「ん?」
 大型電器店から少し離れた場所にある、古びた建物の中に”それ”はあった。『中古メイドロボ専門店』 という、端が
 少し錆びに覆われているカンバンが素っ気無く出ているだけの店だ。店先のショールームにあった、メイドロボの
 右手に俺は目を奪われた。
「あの腕に関して聞きたいことがあるんだけど、いいですか?」
「ほほう、あんな旧式パーツに用があるとは…あんたも好き者だね」
 おおよそ商売人とは思えない態度だったが、「旧式」という言葉を聞いて俺は色めきたった。その腕には、俺の心の
 すみに残っていた思い出と重なる傷跡がついていたのだ。

339:某四百二十七 ◆mjGnt7G.D2
08/03/05 00:44:43 vX/XsRgR
「あの腕の持ち主は、ここにいるのか?」
「…そういうことかね。確かにあの腕の持ち主はここにいるが、見ない方がいいかもしれんぞ」
 俺の心を見透かしたかのような言葉に、俺は一瞬たじろいだ。手首の部分の小さな焦げ跡…俺の記憶に間違い
 なければ、あの腕は…
「構わない、見せてくれ。そして、俺に売って欲しい」
「そこまでいうのであれば」
 俺は店主に案内され、グリスと樹脂が入り交じった匂いに顔をしかめながらも店の奥の作業場に入る。作業机の横、
 雑多に置かれたパーツの山の脇に、"彼女”はいた。
「真奈美…姉ちゃん…」
 上半身だけ、それも右腕は肩から…そして左手も手首から先がない、まるで子供に壊された人形のように彼女は
 打ち捨てられているように見える。気がつくと、俺は彼女にかけより、動かないその身体を抱きしめていた。
「ごめん…! ごめん!! 真奈美姉ちゃん!!!」
「…その筐体はもう時代遅れでな、そこに残っているパーツはもう売り物にならんのじゃよ…だから」
「だから?」
「それは持って帰ってくれても構わん」
「あんた…」
「最近、警察が不法投棄がどうのこうので五月蝿くてな。ついでだから、そこらにあるパーツも一緒に持って帰ってくれ」
「いいのか、本当に」
「嘘は言わんよ。それに、お前さんはこの店のことは知らんし、儂もお前さんのことは知らん。それだけだ」
「…ありがとう」
 俺は真奈美姉にあいそうなパーツをかき集め、店主からもらった袋に詰め込んだ。真奈美姉の筐体は丁寧に梱包し、
 背中のバッグに無理矢理詰め込んだ。(当然真奈美姉にあやまりながら…)

 自宅に戻った俺は、真奈美姉の体をバッグから取りだし、丁寧に汚れを拭きとった。当然服は着用していないから
 乳房が丸見えだったが、何故かこの時は気にならなかったのだ。汚れを拭きとってから、店で貰ってきたバッテリーの
 電圧を測る。テスト用に使っていたものだったらしく、電圧には問題がない。真奈美姉の背中からはみ出ていた電源
 ケーブルへ直接繋ぎ、ダイアグ用のソフトを即興でぶち込んだノートパソコンを無理矢理接続する。
 ノートパソコンのディスプレイには大量のエラーが表示されたが、なんとか起動は出来るらしい。俺は早鐘を打つ心臓の
 音にくらくらしながら、『起動』と書かれたボタンを押した。
「…」
 ぶぅんという音が数度響き、真っ白だった真奈美姉の顔に生気がやどった。ぴくりと小さく身体を奮わせ、彼女のまぶたが
 ゆっくりと開く。
「真奈美…姉…」
「マスター? ここは一体? 状況が把握できません…説明をお願」
 真奈美姉が言い終わらない内に、俺は彼女の身体を再び抱きしめた。
「…マスター、状況の説明をお願いします」
「その前に、俺は真奈美姉ちゃんに話さないといけないことがある」
「なんでしょうか?」
「…お帰りなさい、真奈美姉ちゃん」
「…ただいま戻りました、マスター」

340:某四百二十七 ◆mjGnt7G.D2
08/03/05 00:45:14 vX/XsRgR
>>332>>334を読んだらなんとなく思いついた。
多分続かない…orz

341:名無しさん@ピンキー
08/03/05 01:02:00 19hZ0/mi
来たな427氏w

342:名無しさん@ピンキー
08/03/05 07:37:34 4xSU5jtT
>>340
GJ!

原油高騰対策は
マスターの芯棒に銅線を撒き付けてコイル化すれば
発電できるんじゃね?

343:名無しさん@ピンキー
08/03/05 15:07:41 TasGZg+w
テロリスト組織VS婦警ロボ

テロリストの一人を尾行していた婦警ロボが近くにテロリストがもう一人いた事に気付かず殴られ捕まり
潜入捜査の時に肉体関係を求められた際にロボットとバレない様に搭載されたダッチワイフ機能(様は膣穴とアナルを付けるて快楽を感じる様にした)が仇となり集団にレイプされて何度も絶頂に導かれロボットのくせに感じるなんて淫乱だなって罵られながら陵辱される

344:名無しさん@ピンキー
08/03/05 18:40:05 9u3S1t/3
>>343

んーなんていうか、ロボという設定が活きてないというか……


嫌がってたロボ婦警が、コマンド一発で柔順にとか、うわなんだなにをするやめ

345:名無しさん@ピンキー
08/03/05 19:56:45 yeahbwBu
>>343
それも全部捜査のため、滑稽にも恥辱を与えていると思い込んでいたのは人間の側だけで
結局圧倒的な精力差の前に疲弊したテロリストは一網打尽、ロボ婦警涼しい顔、みたいなお話なら
ロボ萌えするな個人的には

>>344
なんかそれもなぁ、ヤクザに捕まってシャブ漬け、並にワンパターンというか・・・
それこそお話もシチュエーションも広がらんような


346:名無しさん@ピンキー
08/03/05 20:41:27 19hZ0/mi
そういう背景を忍ばせつつ、プライベートではマスターに従順に仕えているロボ娘の日常になら興味津々だな

347:名無しさん@ピンキー
08/03/05 23:40:36 82zF62ZQ
>>340
いつもながらGJ
リコールで潰れるってのはいくらなんでもアフォすぎるので
実は計画倒産でリコールは横流し目的という妄想が浮かんだ

348:名無しさん@ピンキー
08/03/06 10:21:35 stwkT9J7
未使用の人工女性器付下半身は、オクで高値つくからな…。

349:名無しさん@ピンキー
08/03/06 12:58:34 2pxG8NAi
事故により唐突に家族を失った幼いマスター
この子を立派に成人させようと養育に目覚めたロボ娘
手早く金を稼ぐ手段としてコールガールとして春をひさぐ
思春期の難しい年頃にはいろいろな問題もあったが何とか成人までこぎつける
その子が一人前になったころ、ロボ娘の躯体は寿命を迎えていた

だめだハッピーエンドにならないや

350:名無しさん@ピンキー
08/03/06 19:38:16 NqnJWnfv
>>349
そして10年の時が流れ、優秀なロボット技師となったマスターは
不可能と言われた彼女の修復に挑む。
考えられるあらゆる修復を施し、電源スイッチを入れたところでFIN

……ってのはどうでしょう?

351:某四百二十七 ◆mjGnt7G.D2
08/03/06 20:50:34 LLUbgz5f
>>351
 抱き合い、言葉を無くして抱き合う二人。深いキスの後、先に口を開いたのはロボ娘だった。
「マスター…随分成長されましたね…私より身長、大きくなったんじゃないですか?」
「ああ、流石に10年も立つとね…って、ちょっ!?」
 股間に違和感を感じた男が目を下にやると、気付かぬ内にイチモツがさらけ出されていた。
 ロボ娘は男のそれを愛おしく弄り、頬を染める。
「い、いつの間に!?」
「昔取った杵柄、というやつです…それよりもマスター、背丈だけではなくて、コレもこんなに大きくなって」
「え、あ、待ってくださ…心の準備がまだ…アッー」






ごめん、やっぱりエロになった orz

352:某四百二十七 ◆mjGnt7G.D2
08/03/06 20:51:24 LLUbgz5f
アンカーミスッタ orz

353:名無しさん@ピンキー
08/03/06 21:16:42 S8oVQd0V
全然違うけど3RS REALのOTONEを思い出した

354:名無しさん@ピンキー
08/03/07 00:51:45 /yZTqGa9
りりあ01

355:名無しさん@ピンキー
08/03/07 01:15:53 sMp8TOwi
>>351
濃密な続き激しく希望。

356:名無しさん@ピンキー
08/03/07 10:05:00 ufpPvVYj
「いつもお疲れ様です マスター
 今日もとっておきのリンパマッサージはいかがですか?
 先日は すごく喜んでいただけて 私も凄く嬉しかったんです
 今日も頑張りますので さあ、そこに横になって下さいませ」

そう言って、風呂場にマットを敷き
ローションを作り出すロボ娘。
行われるのはリンパマッサージなのか、マットプレイか
果たしてマスターは喜んだのか、はたまた悦んだのか……

357:小ネタ
08/03/08 09:23:11 VH0NYr0M
 「……が無い」
休日の穏やかな時間を過ごしている時に相棒が呟いた。

 「何が無いんだ?」
顔を見ると珍しく落ち込んでいるような、悩んでいるような。 思わず保護本能をくすぐられる可愛いくも、悲しい表情。
この娘にも こんな表情が出せるんだなぁ、と感嘆してしまう。
いつもなら わざと部屋の室温を高めに設定して『熱い』といっては服を脱ぎだしたり
俺の知らない間に胸を大きめに交換しては『服が縮んで胸が苦しいのです』と胸元をはだけたり
肩の関節のリミッターの設定を勝手に変えては『背中のファスナーが降ろせないんです』と俺に服を脱がせようとしたり
悩みなんかとは無縁な感じがしていたのだが。

 「私には【匂い】が無いのです」
 「匂い?」
 「はい、ヒトなら誰でも当然身についている体臭が私にはありません。
  人工的に精製されたパヒュームや石鹸とかシャンプー・リンスの香りくらいしか身に着かないのです」
 「人種や生活習慣によって匂いが少ないヒトもいるけどなぁ。 そんなに気にすることなのか?」
ヒトである俺には理解できない悩みなのだが、相棒にとっては深刻なことなのだろう。
目には涙まで浮かんできている。

 「匂いというのは意識の範囲内で知覚できなくても無意識に本能が嗅ぎつけていることもあるのです。
  人工物の私には、それができない……」
まあ、言わんとしていることは解らなくも無い。 確かに、ヒトにとって匂いの影響は大きい。
しかし……

 「その、匂いを身に付けてお前は何をしたいんだ?」
 「ほのかに香るフェロモンがあれば24時間マスターを欲情させることが出来るじゃないですかっ!!
  いつでも私を求めていただけるなんてことを想像しただけで……。
  それが出来ない私はマスターの視覚で本能にうったえるしかなかったんですから!」
 「結局はソッチかよっ!!」

世界は今日も平和だな……

358:名無しさん@ピンキー
08/03/08 11:55:27 sElO12I+
匂いか。
そういや昔、こんなの描いたな……

つ【URLリンク(www.42ch.net)

Jpegファイル1枚、テキストファイル1枚。

359:名無しさん@ピンキー
08/03/10 13:44:21 2SXQINMA
女性型ロボット専用の拷問用のプログラムを奪取する為に潜り込んだ女性型スパイロボが捕まり
普通の生身の女性なら発狂死してもおかしくない程の媚薬漬けにした上で感度も通常の100倍に増幅される拷問用プログラムの実験台にされ
集団で陵辱され、あまりの快感と負荷に耐え切れず女性型スパイロボのメモリーが破損し記憶喪失になり
機能停止するまで犯され続ける

360:某四百二十七 ◆mjGnt7G.D2
08/03/10 18:23:30 PZU6AUpB
>>358
GJ! 人間相手のフェロモンって、ある意味媚薬なんだよなぁ。 それにしてもイラストは
相変わらずのエロ…もとい、可愛さでこれまたGJ!!

>>359
以前、そんな感じのSSがあったような?

361:名無しさん@ピンキー
08/03/11 11:37:15 TzinTdei
家のメイドロイド整備でばらしたら、部品検査の欄に「DARPA」って書きかけて慌てて消した跡があったんだが…

ん、誰か来た

362:名無しさん@ピンキー
08/03/14 09:44:55 6ZEgonF8
ロボ娘開発費をロボ娘の体で還元してもらうことに。




え? もちろん女子格闘家ですよ?

363:名無しさん@ピンキー
08/03/15 20:29:46 JYSwBNKo
格闘で損傷するボディの修理費で、いつまで立っても資金が回収できないと。

364:名無しさん@ピンキー
08/03/15 23:28:05 qxXb2H5M
やがて人間の格闘技界で生きていけなくなったロボ娘達は後楽園地下の闇コロシアムでロボリーグを結成する。
人間相手のリミッターを解放することによって可能となった人間業を越えた過激なアクションと、試合終了時に破壊されたロボ娘の一人が発した「あなたに、修理されたい」のキャッチコピーが好評を呼び、
次第に闇リーグはパチンコ、麻薬を遙かに上回る規模の組織となるが……

365:名無しさん@ピンキー
08/03/16 10:29:43 3ny70m9M
>>364

徳川
「いやぁ~~~、ロボ娘はやはりえぇ~~のぅぅ~~~~!!」

366:名無しさん@ピンキー
08/03/16 16:21:29 n4o4tN8l
ワタシハココニイルヨ
イツデモマッテイルヨ
カナシクナッタリ
サビシクナッタラ
カエッテオイデ
ワタシハコワレテモココニイルカラ

367:名無しさん@ピンキー
08/03/16 18:33:30 WdGTlczK
>わいかさかわ
>たつなびえた
>しでししっし

???

368:名無しさん@ピンキー
08/03/17 15:23:14 ATh7lDSI
隣のお姉さんがロボですた。

369:名無しさん@ピンキー
08/03/17 20:09:12 QNgp6E6x
どこかのスレに、妹が実はロボ娘だったというのがあったな。

370:名無しさん@ピンキー
08/03/17 22:38:39 y4qdoMrj
両親がロボでした

371:名無しさん@ピンキー
08/03/17 22:45:31 +qeufGob
知らなかったけど、俺、ロボでした

372:名無しさん@ピンキー
08/03/18 02:19:59 F7/2S0il
最近の人工皮膚はちゃんと出血するからね。
よっぽどの大怪我でも無い限り判らなかったりするよ

373:名無しさん@ピンキー
08/03/18 15:56:38 UzWiT+dG
身内がryっていうパターンの場合、
身内に秘かに恋焦がれている→でもヤっちゃうと近親相姦に→実はロボですた→イヤッホォォ
ってのが多いけど、
・隣の奥さんがry
・花屋の娘がry
・学校の先生がry
というのはどうだろうか。っていうか、このスレであったっけ

374:名無しさん@ピンキー
08/03/18 16:11:34 aR86hj8V
雇っていたロボ娘が実は幼馴染のお姉ちゃんでしたってのはあったな

375:名無しさん@ピンキー
08/03/18 16:37:52 NbDngDHR
>>373
その多いパターンまんまのネタで投下してる身としては、もう心臓にドライアイスの
ナイフがつき刺さったようなギクギクっぷり。

376:小ネタ
08/03/18 19:39:44 yWY1/F3S
>>375
特定したw
花屋の娘が花売りで実は(ry
とか言うのは捻れそうだな

合言葉は『あけびが食べたいナー』

377:名無しさん@ピンキー
08/03/18 21:27:45 XdkjarL2
ロボっ娘、家に来ないかな。

初めてですが、投下開始します。

378:桜の花が散る頃
08/03/18 21:28:45 XdkjarL2
ぼくは、夕暮れを浴びながら、高校からうちへと急ぐ。
ぐいぐいと、自転車を無心に漕ぐ。
先週注文したはずのアンドロイド「さくら」が届く日だからだ。
「さくら」は深夜に届く。彼女の機能の性質上、こっそりとぼくの部屋の窓から
届けるように、インターネットで注文したのだ。

ぼくが、さくらのことを知ったのは、インターネットの掲示板から。
利用者のメッセージというより、彼女の魅力について兎に角、絶賛なのだ。
「さくらタン萌え」
「さくらはと一生共にしたい」
など、彼女の機能はとても魅力的なのだ。
さらに、ぼくが検索の検索の末に、必死に見つけた公式HPによる顔写真を見て、ぼくの心は揺らいだ。
理想の顔立ち、スタイル、そして彼女の能力に惹かれる。
購入を決めたのは、その時だった。迷わず「購入」ボタンを押す。
一生に一度あるかないかの大きな買い物と思えば、決して高くはない値段だ。
このくらいの贅沢は許そう。

帰り道の途中、コンビニに寄り、牛乳を買う。
外には、高校生の素行不良なヤツらが車座になって、コンビニの前にたむろする。
これ程、人々を不快にする集団はあるものか。
ぼくは、その集団に向かって足元に落ちている空き缶を蹴り飛ばす。
おもしろい。ヤツらは真っ赤になって追いかける。ぼくは自転車ですっと逃げる。
これから、さくらに会える。そんな思いでいっぱいなぼくには「どうにでもなれ」と思っていた。


379:桜の花が散る頃
08/03/18 21:29:21 XdkjarL2
深夜11時54分。
牛乳を飲みながら、ぼくは配達が届くのを待つ。
事前に届いたメーカーからのメールを何度も読み直す。
発送日からして、今夜届くはずなのだが…。
なかなか届かないもどかしさに、ぼくは苛立つ。準備はいつでもOKなのだ。
もしかして、騙されたんじゃないか?そんな不安がよぎる中、ぼくの部屋の窓からノックをする音が聞こえる。
窓を開けると、外には、大きなダンボールを持った黒装束で、サングラスをかけた男が一人立っていた。
彼は、全く何も喋らない。代金は前もって、コンビニで払っておいたので、商品を受け取るだけ。
静かに、窓を開け大きな段ボール箱を部屋の中に搬入する。配達係とは目を合わせない約束なのだ。
決して目を合わせることのないように、受け取りのサインをする。

さくらの入った箱は丁度、人間一人分の大きさ。
外見には、何も文字や記号は書かれていない。
第三者が見れば、まさかアンドロイドが入ってるだろうとは思わないだろう。
静かに、梱包テープを切り、ふたを開けと衝撃吸収剤に包まれた「さくら」の白い手の平が現れる。
はやる心を抑え、ゆっくり吸収剤を掻き分けると、まるで生きているかのような少女の全身があらわになる。
ボブショート、色白でブレザー姿と、彼女の姿は注文オプションで予約したとおりに、完璧に再現されていた。

事前に送られてきたメールによるマニュアルには
「約5cc程ご本人様のザーメンをご用意ください。DNAを本体に記憶する為です」
「本体を起動させるには、ご本人様のザーメンが必要です。膣から注入すると、起動いたします」
とのこと。
ぼくは、あらかじめフィルムの容器にとってあったザーメンを彼女の膣へと、たらりと流そうとする。
アンドロイドとはいえ、あまりにも精巧な出来。本物の女の子にさえ触った事ないぼくの手は震えている。
白い汁が彼女に垂らす。彼女は命を与えられ、すっと腰を上げる。


380:桜の花が散る頃
08/03/18 21:30:11 XdkjarL2
「…修二くん。こんばんは…」
ぼくの理想の声で彼女は話しかける。
注入したザーメンからのDNAにより、ぼくの基本情報がインプットされている。
その故、ぼくのツボを付き捲りの声、仕草を完璧に再現できる。
箱から立ち上がり、ぱっぱと彼女についたゴミくずを払い落とす。
「あなたにのお役に立てて、うれしいな」
さくらは頬を桃色にして、微笑んだ。
ぼくの相手を、こんなにかわいらしい美少女がしてくれるとは、
ぼくの人生で最も幸せな時かもしれない。
ぼくは、部屋の電気を全て消した。

箱の中から出てきた「さくら」は、どう見ても、同い年の女の子。
「さ、気が変わらないうちに…」と
彼女の積極的なリードで、ぼくの唇を奪われる。
んぐ…、っちゅる…。
ぼくの初めてのキスが、アンドロイド。
暗くて、ネガティブで今まで恋人の出来なかったぼくに、ふさわしい初体験じゃないか。
彼女の甘く、切なくなるキスの味にとろけ、ぼくの体中が痺れる。
10分程彼女とのキスを味わう。
キスって、こんなにクラクラするのか、と思いながら彼女に身を任せる。
彼女の息が荒い。はあはあとぼくの顔に、彼女の息がかかる。
女の子のにおいを初めて嗅ぐ。もう、これ以上何を望むもんか。

彼女の魅力に圧倒されたぼくは、力なく、彼女に押し倒される。
いよいよ、ぼくの理想が近づいてきた。
かぷっ、彼女がぼくの首筋を軽く噛む。何という至福。
さらにさくらは、ぐっとぼくの首筋を噛む。
もうここまま、天国に行ってしまうな…。
やわらかなさくらをギュっと抱きしめたまま、ぼくの気がだんだん遠くなってきた。


381:桜の花が散る頃
08/03/18 21:30:42 XdkjarL2
次の日、ぼくの両親は、ぼくとさくらが一緒になって、倒れているところを発見する。
ぼくも、さくらも、もう動かない。そして、二度と動く事もない。
ぼくの首筋に小さな傷跡を残し、ぼくは冷たくなってさくらと倒れていた。
彼女のブレザーの袂から、一通の封筒が見つかる。
ぼくの遺書だった。

彼女は「同伴型自殺遂行アンドロイド・さくら」
彼女との出会いは、まさに運命的。決して後悔はしていないつもりだ。
一人で死ぬ勇気のない、ぼくにはうってつけのアンドロイド。高い買い物ではない。

彼女の唾液には、濃厚な睡眠薬が含まれ、適度に人体を痺れさせる。
彼女の口から吐き出される一酸化炭素ガスを抱きしめながら吸い込み、まるで美少女と抱き合うようにあの世へと送ってくれる。
さらに、とどめとして、首筋へのキスにより血液に直接トリカブトの毒を回すという完璧さ。
彼女の懐には、DNAから自動分析されたユーザーの筆跡で、
ユーザーが書くと思われる尤もらしい遺書が自動的に残る仕組み。遺族への配慮だ。
ユーザーの心臓停止を確認すると、自動的にさくらは機能停止をし、いままでのデータを全て消去する。
こういう細かな心遣いがユーザーには嬉しい。

さようなら。おとうさん、おかあさん。
そして、ありがとう。さくら。
ぼくは、あなたのおかげで恥の多い人生を終える事が出来ました。

世間では、密かに彼女の需要が伸びているという。


おしまい。


382:桜の花が散る頃
08/03/18 21:32:37 XdkjarL2
以上で投下終了です。
ホントにこんなロボっ娘、増えたら…


383:名無しさん@ピンキー
08/03/18 21:35:23 T1S4NTf9
>>382
まずは拍手。これまでに見たことの無い切り口に感嘆しました。
こんなロボっ娘が増えたら…人間が減りそうですね。

最後にとても細かいところですが、起動したら利用者は明日の朝日を拝めないさくら、
「利用者の声」を書いたのは一体…考えようによっては怖さが2割り増しですね。

384:名無しさん@ピンキー
08/03/18 22:31:17 OHN6G1mF
せつないねぇ
ヒトの欲求の多様性は限りがないからなぁ
生かすロボがいれば
ころすロボもいる
せつないねぇ

385:名無しさん@ピンキー
08/03/19 00:31:09 aJ/zwl+n
くそぅ……この敗北感は一体……

GJ

386:名無しさん@ピンキー
08/03/19 19:28:20 y19RYMdn
理想
スレリンク(eroparo板)
現実
URLリンク(www.youtube.com)

387:名無しさん@ピンキー
08/03/19 21:18:16 nlAvq+hI
>>386
    /\___/ヽ   ヽ
   /    ::::::::::::::::\ つ
  . |  ,,-‐‐   ‐‐-、 .:::| わ
  |  、_(o)_,:  _(o)_, :::|ぁぁ
.   |    ::<      .::|あぁ
   \  /( [三] )ヽ ::/ああ
   /`ー‐--‐‐―´\ぁあ

388:名無しさん@ピンキー
08/03/19 21:22:02 gsaqhJVr
俺はむしろ可能性を感じるんだがなw
前のバージョンよりキモさ・・・じゃなくて滑らかさが向上してるし

















389:名無しさん@ピンキー
08/03/19 21:22:49 gsaqhJVr
あゴメンなんか大量の無駄改行が入ってしまった

390:名無しさん@ピンキー
08/03/19 23:34:26 bCNezgGg
中の人が二人向かい合わせで荷物運んでいるような悪寒がして仕方ないのだが。
「実はコンピュータ制御ではなくて○○の脳を利用しています」と言われても納得できてしまいそう……_/ ̄|○

391:名無しさん@ピンキー
08/03/20 00:16:42 0peXd7d7
動画を見で思ったのは、モーター音ってうるさいってことだな。
ロボットと生活する場合はもっと静かにしないとだめだろうな。

392:名無しさん@ピンキー
08/03/20 00:39:53 T8H0cIzI
>>386
見ているうちにじわじわとクるなこれww


393:名無しさん@ピンキー
08/03/20 00:53:53 uaNYxMlb
理想
URLリンク(upload.jpn.ph)
URLリンク(upload.jpn.ph)
URLリンク(upload.jpn.ph)








現 実

URLリンク(jp.youtube.com)
URLリンク(jp.youtube.com)
URLリンク(news23.org)
URLリンク(blog-imgs-12.fc2.com)

('A`)

394:名無しさん@ピンキー
08/03/20 15:11:55 hEDPViYL
>>386のキモロボどっかで見たことあるとおもったら、あれだ…メタルギア4の月光。
しかも開発DARPAwww。

なんでこう、DARPAには変態しかいないんだろう?

395:Deus ex machina
08/03/20 15:13:00 hEDPViYL
翌朝、サエコの病室を再び訪れたメリーは、新しい水を入れた花瓶を片手にやってきた。
「…おはようございます、サエコ」
サエコはベッドで半身を起こしたまま、窓から外の景色を眺めているようで、メリーが声をかけても無視している様子だった。
メリーの視線の先には、机の上のコップに生けられたラベンダーがあった。
昨日、メリーの何気ない行動に怒ったサエコは、花瓶を投げてラベンダーを捨てておきながら、それを自分で再び生けたのだ。
メリーにとってそれは不可解極まりない、人間の不条理であったが、何も不可解なのは人間ばかりではない。
「ラベンダーを花瓶に移してもよろしいでしょうか」
軍人ロボットであるメリーには、植物を美しく保つという使命はなく、彼女の運用においてそれがメリットになる事もない。
だが、またもメリーは、そのラベンダーを無視できなかった。
「…やれば?」
サエコは実につまらなそうに、無気力な様子で応じ、彼女の許可を得たメリーは、紫色の小さな花を咲かせる植物を、小さなコップから花瓶に移し換えた。
ラベンダーの処置を終えたメリーは、改めてサエコの様子を伺い、彼女がじっと動かず、外のただ一点を見つめているのに気付く。
「サエコ、何を見ているのですか?」
メリーの問いに、サエコはひとつため息を吐いてから答える。
「“見てる”んじゃねぇよ、“見られて”んだよ」
サエコの答えの通り、彼女が眺めている向かいのビル群には、屋上という屋上、窓という窓に、綺麗に整列したロボット達が顔を揃えてサエコの事を見つめていた。
ロボットは人間を無視できない。人間の危機を即座に察知するため、可能な限り人間に注意を向けるようにできているのだ。
ましてサエコは…この地球上に残る唯一の“生きた人間”だ。
「全て、サエコの事を心配して見ているのです。アナタは我々の最後の希望だから」
「ふぅ~ん…」
サエコはカーテンを閉めた。同時に彼女の事を見つめていたロボット達は退散し、各々自分の作業に戻っていった事だろう。
「あのっさぁ、一つ聞きたいんだけどぉ…」
実に不愉快極まる、といった表情を浮かべるサエコは、年相応の乱れた言葉遣いでメリーに質問した。
「なんでラベンダー飾ってんの?」
「それは…」
『アナタにとって大切な物だと思ったから』そのキーワードはメリーのコマンドには含まれていない。
代わりの答えを見つけるため、メリーの瞳孔は大きく開き、瞳は小刻みに振動するが、2秒後にようやっと導き出された回答は散々な物だった。
「判りません、現在調査中です」
メリーの行動原理は人間の保護とロボット社会の防衛にあり、人間の精神面でのケアができるようには造られていない。
むしろ自分の行動に戸惑いを感じたのはメリー自身の方だった。
人間の不条理に触れて初めて、メリーは自身の動作傾向に潜む不合理性に気がついたのだ。
サエコは蔑みの笑みをうかべて言った。
「わかんないとかわけわかんないし、ロボットならわかんねぇの?」
「判りません…ただ、アナタの身辺警護を遂行するに当たって、致命的問題に繋がる可能性は、今のところ皆無と予想されます」
サエコは心底嫌そうに顔をしかめ、呻くような低い声で唸った。
「キメェ、まじキメェ…」
そして一つ溜息を吐いた後、昨日一晩泣き尽くし考えつくして決めた一言を放つ。
「何すりゃ良いんだよ…」

396:Deus ex machina
08/03/20 15:13:27 hEDPViYL
やがてサエコの体調も回復し、世界政府機構の病室から新たに用意された私室に移されると、ロボット社会での第一日目がようやく始まろうとしていた。
「サエコには人間として生活し、通学と勉学に励んでもらいます…アナタの年齢では未だ教育が義務付けられており、それは我々の社会でも変わりありません」
メリーは女子中学生用の制服を抱えて言った。
濃い紺のジャケットに半そでのワイシャツ。丈の短いスカート。凝ったデザインのリボン・タイもついている。
それを受け取ったサエコは鏡の前で色々着こなし、感嘆の声をあげる。
「うおおぉ!結構イケテんじゃんロボのくせに!」
着こなすまでもなく服のサイズはサエコの体にピッタリであり、可動性とデザインを両立させた可愛らしい制服にはしゃぐ様は、正に人間の女の子である。
ロボットのメリーには何がそんなに嬉しいのか良くわからないが、はしゃぎ過ぎて下手をする前に水をさす事にした。
「これはアナタの勤めです、遊びではありません。アナタには我々の作った社会システムで生活していただき、システムに異常がないか人間の目から分析していただきます」
「あぁもう、うっせーな、んだよそれ!」
頬を膨らませて猛抗議するサエコに、メリーは続けた。
「我々の社会は、やがてアナタ方人間に受け渡す為、可能な限り精巧に作り上げられました。しかし、アナタ方人間の行動は、我々AIには予測不可能なのです」
機械が作り上げ人間の為の完璧な社会。その社会の中で人間が生活し、不具合があったのでは本末転倒である。
唯一の生きた人間であるサエコに、人間社会と同じように生活して実際にテストを行ってもらう必要があったのだ。
「ああったよ、うっせーな!まじババァそっくりだし超うぜー!」
ババァ…『若いヒトが自分の母親を蔑称で呼ぶ際に使う単語』…メリーはデータバンクからキーワード検索し、その意味を調べた。
一瞬メリーの瞳孔が左右上下に、速く小刻みに振動する。
「…お母様とは不仲だったのですか?あのラベンダーは…」
『母親が持たせてくれたのではなかったのか…』そう続けようとしたメリーは、サエコの表情を見て『しまった』と後悔する。
サエコは両手を震えるほど握り締め、下唇を噛み締めて眉間に皺を寄せ、鋭い三白眼でメリーをねめつけていた。
「…うっせーぞ人形…かんけーねーだろ……」
「…失礼しました、以後禁止ワードの上位項目に追加します」
メリーはそう言いつつ、特に悪びれる素振りは見せなかった。そのような高度な感情表現ができるほど、彼女のAIは器用ではない。
だが彼女の疑問が払拭される事はなく、むしろサエコの不可解な反応は、さらにメリーを困惑させた。
「…(母親と仲が悪いなら、何故ラベンダーを生かしてある?)」
サエコの新しい部屋は、小娘一人が生活するには大げさな広さと内装が施されている。
その寝室の隅、大きなベッドと机の間に置かれた小さな棚の上には、あのラベンダーが花瓶に生けられ、未だ甘い香りを放ち続けていた。
「…(不可解だ、理解に苦しむ)」
「学校いくんじゃねーの」
「失礼しました」
サエコの不機嫌な言葉でメリーは我に返り、思考を中断した。

「これ、おめーの車?」
「YESサエコ、正確には政府の支給品ですが、私専用のオーダーメイドです」
世界政府機構の巨大建造物の中心部を、貫くように吹き抜ける立体駐車場の一角に、サエコを送り迎えするメリーのホバーカーが止められていた。
そのデザインは高級車をそのまま無理やりSFチックにしたようなデザインで、これにはサエコも開いた口が塞がらないという状態であった。
「…ひょっとして超VIP?」
「YES、VIP中のVIPです」
メリーは携帯型端末に何やら情報を打ち込んだ後、四角い大きなサングラスを被り、運転席に乗り込んだ。
サエコが助手席に座ってドアを閉めると、途端に車体は重力に反する動きを始め、サエコは軽く悲鳴をあげた。
「うっわ、まじ飛んだし、どんだけだよ!」
「ベルトを締めてください。交通事故の確立は1/47312556025回ですが、ゼロではありませんので」
「うっせーよ、さっさと飛ばせオンボロ」
やがて二人を乗せたホバーカーは建造物の上部を抜け、都市上空に浮かび上がった。
眼下に広がる光景に思わず、サエコは歓声をあげる。
「ふえーー!映画じゃねーっつーの!」

397:Deus ex machina
08/03/20 15:13:57 hEDPViYL
空高く聳える超高層ビル群。
その間を縫う用に地上にも空中にも、無数のホバーカーが走り、それらの中でせっせと“人間の真似事”をするロボット達。
彼らは500年もの間、人間の復活の時を夢見、ただ盲目的に社会を築き上げ、そして壮大な人類シミュレートを続けてきたのだ。
だが、彼らの努力もここに来て、ようやく完結の兆しを見せ始めていた。サエコの目覚めは、人間を切に求め続ける彼らロボットの、希望の光なのだ。
ただ、一体を除き…
「高速道に入りますので席に着き、ベルトをしてください」
メリーの瞳は漆黒のグラスの下で、小刻みに振動していた。
彼女だけは、サエコの復活を急いだデックのやり方に、未だ不審感を拭えなかったのだ。
いや…彼女はそれ以前、もっと根本的な所に不自然さを感じていた。
「…(人間を復活させれば、本当に我々は破滅を免れるのか?…そもそも、なぜ人間は滅びたのだ)…?」
メリーの思考は、彼女の筐体に内臓される自動防御システムによって中断された。

『やぁメリー、君から僕に通信をよこすなんて…』
「何のマネだデック」
突然キツイ口調で喋り出したメリーに驚き、サエコは外の光景を覗くのを中断する。
「何今の声、アンタのコレ?」
やらしい笑みを浮かべながら小指を立てるサエコを無視し、メリーは独り言のように通話を続けた。
相手は政治家ロボットのデックだ。
『何か君の気に触る事でもしたかな?』
「惚けるな、上空1,200mから高性能観測機が私の車両を監視している…私を信用していないという事か?」
「観測機?」
サエコは窓から頭だけ出して上空を見上げるが、当然影すら見つける事はできない。
だが、自身に内蔵された高感度広域センサーのみならず、都市中に設置されたレーダー設備や軌道衛星にすらリンク可能なメリーの防御システムには、はるか1,200m上空から高倍率観測カメラを自分達に向け、監視している観測機の姿がハッキリと映し出されていた。
世界政府機構の情報統括司令室で、観測機からの映像を見つめていたデックは苦笑いしつつ答えた。
「あはは、お見通しだったか…君の事は誰よりも信頼しているよ。これは一種のパフォーマンスだよ」
『パフォーマンスだと?』
メリーの声には明らかに苛立ちが混じっている。
『サエコの動向は、僕ら全てのロボットにとって非常に興味深い事項だからね、君達の行動を全世界ネットで放送するんだ』
「まじで!?アイドルっぽくね?」
上機嫌なサエコに反し、メリーの表情は益々不愉快そうだ。
「忘れたかデック、私は“覗かれる”のが嫌いだ」
そう一言言い捨てるとメリーは通信を遮断し、右太もものショルダーホルスターからブラスターを抜くと、片腕だけ窓から出し上空に向けて引き金を引いた。
突然派手な銃声が鳴り響いたため、サエコは面食らった様子だ。
「なになになになにしちゃってんのいきなり!」
「失礼いたしました、すぐに学校へ向かいます」

メリーの最後の通信の後、彼女の車両の窓から片腕が伸び、一瞬閃光が輝いのを確認して2秒後、突然映像は砂嵐のように乱れて途切れてしまった。
「観測機被弾、カメラ損傷の為撮影続行不可能」
「…怒らせてしまったな」
オペレートロボットからの報告を聞きながら、デックは少々苦笑いした。


398:Deus ex machina
08/03/20 15:15:13 hEDPViYL
サエコの通う事になった学校は、世界政府機構のビルから20km程離れた位置にあり、その作りはサエコが冷凍される前に存在していた一般的な学校の校舎と別段違いはなく、実にオーソドックスな作りである。
ただ一つ違う事と言えば、そこに登校する生徒達も教鞭を振るう教師達も、サエコを除いて全てがロボットであると言うことだ。
校門前に駐車したホバーカーから降り立ち、サエコは手持ちカバンを片手に背中で背負うと、一つ鼻息を噴出して気合を入れる。
「登校第一日目だしね、しっかりデビューするっしょ」
「校舎設備の説明や時間割、必要情報は全て携帯端末に入力されています」
「ん」
サエコは事前にメリーから渡された携帯電話型の小型端末を取り出し、ボタンを押してみる。
即座にサエコの目の前には校舎全体のホログラム映像が映し出され、サエコがそれに軽く指をかざせば、カーソルがその通りに移動して様々な情報をウィンドウに表示した。
「アタシの教室は3-B、中央階段3階の右側ね…席は窓際前から5番目?いいじゃんいいじゃん!」
「真面目に授業を受けてください、居眠り等しないように」
メリーはそういい残すと、さっさとホバーカーに乗って上空高く飛び立ってしまった。
サエコは彼女にアッカンベをすると、校舎に向かって走り出していった。日光の逆光でよく見えなかったが、確かにその窓という窓の向こう側から無数の視線を感じながら。

「お早うサエコ、私が君のクラスを担当する教師ロボットのフロイトです」
「お、おう…(いきなり校舎入り口前で待つか普通?)」
腕組して待っていた大柄の男性型ロボットは、妙に明るい笑顔でサエコを迎えた。しかしその顔にサエコは首を傾げざるを得なかった。
彼女の記憶が正しければ、この顔は…
「…(どう見てもタレントの大橋まことだよなぁ?)」
大橋まこと似のロボットに案内され教室までやってくると、定例の如くサエコは入り口前で待たされ、中ではどうやらクラスメートへの紹介が行われているようだった。
『皆知っていると思うが、今日から我が校にヒトがやって来ました。名前はサエコ。ではサエコ、入って自己紹介をしてください』
「はーい(ロボ相手に自己紹介ね、上等じゃんか)」
軽い気持ちで扉を空け、彼女の名前が書かれた教壇の前で猫を被ったような笑顔を浮かべ、予めイメージトレーニングしていた文句を吐こうとするが…
「皆さん初めまして!私さえ………えええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!」
サエコの絶叫が教室中に鳴り響く。
行儀良く机に座り、妙に明るい笑顔でサエコに見入っている生徒達の顔は、どれもこれも美男美女揃い。それもサエコが見たことある有名人ばかりだったのだ。
「KAGUYAのボーカルにモデルの伊藤由香里にアイドルの工藤美佳!?ロード・オブ・カリビアのレゴリスもいんじゃん!」
「どうかしましたか?」
大橋まこと似の教師が心配そうに声をかけるが、サエコは頭を抱えてうなるばかりだ。
「…(そういやメリーのやつも超美人だったし…畜生、反則だ)」
ロボットが人間の体に似せて自分達をデザインしようとすれば、当然実在の人物データを元にするのが最も手っ取り早い。
必然的に多くのデータが映像媒介や写真等に残っているであろう有名人をベースにする事になり、美男美女が揃うのも致し方ない事だった。


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