【SO・VP】 トライエースSS総合スレ5 【ラジアータ】at EROPARO
【SO・VP】 トライエースSS総合スレ5 【ラジアータ】 - 暇つぶし2ch200:名無しさん@ピンキー
08/01/29 13:50:30 CLhUMF6W
ここでもクレアスレでもフルボッコか
自分はSOよく知らないから基本スルーしてたが、たまってる人はたまってたんだな…

201:名無しさん@ピンキー
08/01/30 12:45:01 XcJ8peJX
こういう流れ見てると
あまり期待してるとか書かない方がいいんかなと思う

202:名無しさん@ピンキー
08/01/30 13:46:03 yBDdMg2z
そして更なる過疎化へ。

203:名無しさん@ピンキー
08/01/30 14:27:05 LruuMH8c
過度の馴れ合いや自分語りがウザがられるだけで、SS自体にケチがついたワケではない件。

204:名無しさん@ピンキー
08/01/30 15:47:43 NWkcE4X0
あとは空気が読めてなかっただけだな

205:名無しさん@ピンキー
08/01/30 16:17:15 Y+pUNHqJ
>>201
今回は特殊なケースだろ
職人さんに期待してること伝えるのはいいことだ
>>203
「過度の」馴れ合いなんてあったか?
クレアスレでもバイエルンの取り巻き、信者が・・などと言ってる輩がいたが
そんな熱烈なレス見かけたことないが・・・

206:名無しさん@ピンキー
08/01/30 16:21:24 taIIov9l
こうして職人は誰ひとり居なくなりました

207:名無しさん@ピンキー
08/01/30 17:06:45 XcJ8peJX
まだだ、まだ(ry
つか書いてるって宣言してる職人さんいるじゃん
待つよ

208:名無しさん@ピンキー
08/01/30 22:18:54 NeyNg4NP
ファビョニス投下をひたすら待つ

209:名無しさん@ピンキー
08/01/30 22:40:47 Y+pUNHqJ
あと>>143>>171もいる
まったり待とうぜ

210:名無しさん@ピンキー
08/01/31 00:15:44 RGeuYTUC
ああ。俺は>>143をひたすら待っているんだ…

211:名無しさん@ピンキー
08/01/31 00:23:37 LtKAuZBn
俺は>>171だぜ

212:名無しさん@ピンキー
08/01/31 00:24:04 jDwVeZg0
ファビョニス!ファビョニス!

213:名無しさん@ピンキー
08/01/31 02:16:22 dQ4BWS0R
>>205
馴れ合いじゃないけど、彼の人の自己顕示欲が(ry

214:名無しさん@ピンキー
08/01/31 02:52:07 /4p1QEhk
もうバカの話はいいから職人降臨を待とうぜ

215:名無しさん@ピンキー
08/02/03 01:02:28 l3WdtokT
ほしゅ

216:名無しさん@ピンキー
08/02/03 22:59:14 l3WdtokT
エロ要素なしのフェイマリなら書けるが……需要ある?

217:名無しさん@ピンキー
08/02/03 23:27:58 8C2+4IcI
凄くあります。

218:名無しさん@ピンキー
08/02/03 23:58:04 /UBUNjWP
そういやフェイマリスレはお亡くなりになったんだよな

219:名無しさん@ピンキー
08/02/04 06:12:18 E51CQssS
職人の誘い受けなんて幻想だ。いっつも期待させておいて放置プレイ
いや放置プレイもいいけどな

220:名無しさん@ピンキー
08/02/04 09:21:39 EAMHV+BA
ファビョニスまだー?

221:名無しさん@ピンキー
08/02/04 21:57:00 QLb+BAW9
とりあえず
>>217が凄くあるって言ってくれたので製作にあたらせていただきます。


222:名無しさん@ピンキー
08/02/04 21:57:47 rmLcA0YP
>>143>>171まだー?

223:名無しさん@ピンキー
08/02/06 00:09:47 rZVFR+Ct
>>221
せっかくだからエロくしてよ。
お風呂でキャッキャウフフとか

224:名無しさん@ピンキー
08/02/06 01:24:32 2zvtsL1b
>>213
エロ要素を入れるのは苦手ですが、少しならいけると思うのでできるかぎりの範囲でやってみます。

225:名無しさん@ピンキー
08/02/06 01:26:18 2zvtsL1b
すまない。
213ではなく223に対してです。

226:名無しさん@ピンキー
08/02/06 15:04:45 kXfT7NOz
意気込みは結構だが、それをわざわざ書き込まなくても良いよ。
そういう馴れ合いや誘い受けを嫌がる奴もいるから、思いの丈はここじゃなくて
執筆のほうにぶつけてやってくれ。期待してるから。

227:名無しさん@ピンキー
08/02/06 18:55:35 4dpYEZeV
>>226がいいこと言った

228:名無しさん@ピンキー
08/02/06 19:50:09 mJidlMjF
しっかし例の人以外の投下は
もう数ヶ月なしかあ・・・・・
何がいけないんだろうなあ

229:名無しさん@ピンキー
08/02/06 19:57:10 rZVFR+Ct
トライエースが長らくゲームをリリースしてないから仕方ないんだぜ。

230:名無しさん@ピンキー
08/02/06 20:52:27 xwkVx1G5
1と2のリメイクはあるけど、やっぱりリメイクだし
でもインフィニットが出るって分かってるだけいいかと

231:名無しさん@ピンキー
08/02/06 23:11:40 rZVFR+Ct
これまでのヒロインを集めたギャルゲ的なものを出すか、クレアやマリア辺りをメインにしたゲームが出れば、すぐに人が溢れると思うw

232:名無しさん@ピンキー
08/02/07 00:44:53 oM1EA2TT
むしろクリエイターを中心にだな……
あ、ルイドさんは呼んでないです、すいません

233:名無しさん@ピンキー
08/02/07 01:12:48 scw2ngCi
エロエロなクレアさん相手に部下が襲い掛かるも
性的な意味で返り討ち的展開マダー?

234:名無しさん@ピンキー
08/02/07 01:27:11 n3ndgVLE
クリエイターならアクアはほしいなー。エヴィア?いりませんがなw

235:名無しさん@ピンキー
08/02/07 01:29:46 oM1EA2TT
おいおいスターアニスだろう、常考

236:名無しさん@ピンキー
08/02/07 02:18:46 zT8EJO1k
>>228-230
時間たっててもSS投下の多いゲームスレはある
残念だが、単純に作品としての魅力が足りないのだろう
これだけキャラの頭数そろってんのにな

237:名無しさん@ピンキー
08/02/07 02:23:45 QVRIZEvC
あらかた出てしまったってのと、
SO3はサブキャラ同士のエンディングがないこと
VP2はエロがつくりにくいストーリーと舞台設定だからかと

SO2なんかは一番書きやすそうだね

238:名無しさん@ピンキー
08/02/07 02:27:25 YaBMn2Nj
まぁそんな事はどうでもいいさ。
『こんなシチュエーションが見たい』とか妄想語りしてりゃ職人も食い付いてくるかもよ。

239:名無しさん@ピンキー
08/02/07 02:31:58 7U/0mRG9
>>237
なんかどれも的はずれ

240:名無しさん@ピンキー
08/02/07 04:36:12 E/JBZpVN
職人をやたらと叩くからだろ。
だから皆おらくるルームに去っていくんだ。

241:名無しさん@ピンキー
08/02/07 04:48:36 QVRIZEvC
叩かれてたのは一人だけだろ

242:名無しさん@ピンキー
08/02/07 22:34:19 zT8EJO1k
やたらとまではいかないが
職人にやさしくないスレだとは思う

243:名無しさん@ピンキー
08/02/07 23:22:47 YaBMn2Nj
しつこく蒸し返す奴がいるな。叩かれた経験でもあるのか?

244:名無しさん@ピンキー
08/02/08 12:17:00 vlZ8fduD
どっちもどっち

245:名無しさん@ピンキー
08/02/08 16:57:55 lg32wfD7
                   /
                 ′  ,イ
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   _l,. ┐┼┴、  イ      /        / . -   _ .. -―- 、 `ヽ  |l lj  i
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   |  (´__    !    ゝ  /}    ',  , :.:/⌒i, 一ァ'´   /⌒/    ヽ.___/
  _   ‐一ァ  |      {     , ′   ′ V⌒l/   ′ /⌒ ′   /
    )   /  ////   ゝ /        ヽ \ `ー―一´  /   /
    ´     {_ ・・・・    {‐'´   ,. -―: 、   \` ̄ ̄ ̄ ̄      !    /:
  ////              \-‐ァ'.:.:.:.:.:.:. .:.\_ 丶、 __   '´    ヽ/ン'´/.:
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246:名無しさん@ピンキー
08/02/08 18:58:03 Ib5gq+W/
来なくていい。

247:名無しさん@ピンキー
08/02/08 19:38:28 PIYHmlom
246みたいな事をいうやつがいるから他の職人もこな(ry

248:名無しさん@ピンキー
08/02/08 19:42:21 RmvQ0qd2
>>245
AAはワロタが やめてくれ。

249:名無しさん@ピンキー
08/02/08 20:08:43 g7DPq/af
たしかに空気読めないバイエルンはもう勘弁してほしいな。
その辺りが改善されてるならその限りでもないが。

このスレは職人に優しくない、というより叩かれる要素を隠そうとしない
職人自身の身から出た錆なだけのような気がするんだが。
全ての職人が叩かれてるわけじゃないし、現に叩かれるどころか
次作の投下を望まれてる職人だっているわけだし。

250:名無しさん@ピンキー
08/02/08 21:09:15 J85XqpSV
バイエルンは特殊だからおいといて
上の方でも誰か書いてるが
一投下にほぼ必ず一つはケチつけるレスついてんのは気になってたかな
まあ今ではその投下自体ないけどな~

251:名無しさん@ピンキー
08/02/09 21:30:27 f6+oBR7E
まあ過疎スレにしてはレスつく方じゃね?ここ
まったりと投下待とうや

252:名無しさん@ピンキー
08/02/10 03:53:13 fWfJ3IKU
トライエースのスタッフがウルフチームから独立したのってテイルズがほぼ出来上がった後なの?
それとも、半分もできてないころなの?

253:名無しさん@ピンキー
08/02/10 05:15:11 GWXYsl2i
>>252
そんなディープな事は知らんがお前のIDがイクだ

254:名無しさん@ピンキー
08/02/11 07:49:59 MkmpHKgL
保守

255:名無しさん@ピンキー
08/02/11 08:37:28 t91Ro0Na
心配するな。バイエルンはまた来る。
つーか、こっちで引き取ってくれ。

256:名無しさん@ピンキー
08/02/11 09:55:34 IqkFG6EI
>>253
俺も知らんがお前のIDがWXYだ。縦に並べると女体に見えるらしい。

257:名無しさん@ピンキー
08/02/11 10:50:23 DUAdFd0s
バイエルンはクレアスレでもここでも自演してるからなあ、まだ。
まあ、まったり待つさ

258:名無しさん@ピンキー
08/02/11 12:56:43 KKjSN42f
クレアスレの自演見て来たけどこれはマジでひどい
バイエルン大人しく2ちゃん以外でSS書いとけよ
叩かれるだけだぞ

259:名無しさん@ピンキー
08/02/11 23:12:16 mofux9pH
こんばんは。

以前フェイマリを書かせていただくと言ったものです。
読み手に上手く伝わるかどうか不安ですが作品が出来上がりましたので報告にあがりました。
それでは次から始まります。



260:名無しさん@ピンキー
08/02/11 23:17:43 mofux9pH
ソフィアは何かと理由をつけてフェイトの傍から離れようとしなかった。
そして、シランドからペターニへ向かう途中の今もソフィアはフェイトの隣で楽しそうに話をしていた。
時折、笑い声も聞こえる。
そんな様子をマリアは後ろから面白くなさそうに見つめていた。


261:名無しさん@ピンキー
08/02/11 23:18:34 mofux9pH

〈伝えたい想い〉


一同は目的地である交易都市ペターニに到着すると、休息を兼ねて自由行動にした。
酒場に行く者、買い物へ出かける者、喫茶店へ出かける者、皆様々な行動をとる中、マリアだけは外出をしようとはせずベッドの上に横になっていた。
先程の光景を思い浮かべながら。
「フェイトがいないだけでこんなにも退屈するなんてね……」
マリアは誰に向かって言うわけでもなく小さな声で呟き、つまらなそうに溜め息を吐いた。
自分が今までフェイトの傍にいたのだ。
街に買い物へでかける時も、アイテムクリエイションをする時も。
どんなに細やかな事でも、フェイトの傍にいると楽しそうに笑っている自分がいた。
しかし、ソフィアが仲間になってからは2人で過ごす時間はまったくなくなり、今だってソフィアがフェイトを連れ出して買い物にでかけている。
だから、こうして暇をもて余しているのだ。
(きっと明日もつまらない1日になりそうね)


262:名無しさん@ピンキー
08/02/11 23:20:08 mofux9pH

「んっ………」
目を覚ますと辺りが暗い。いつの間にか寝てしまっていたようだ。
そろそろ顔を出さないと皆が心配するかもしれない、そう考え起き上がろうとした時、ふと、誰かが傍にいることに気がついた。
しかし、特に慌てることもなくその見慣れた人物に目をやり、
「まったく、何しに来たのかしらね?」
呆れが混じった声で、しかし表情はどこか嬉しそうに微笑んでいた。
そう、フェイトがベッドの傍で気持ちよさそうに寝ていたのだ。
そんな様子を暫く眺め、起きる気配がないことを確認すると自分の気持ちを打ち明け始めた。


263:名無しさん@ピンキー
08/02/11 23:22:11 mofux9pH

「フェイトがいないと私はダメね。あなたと過ごす時間がなくなってみてようやく気がついたの。私はフェイトを必要としていることに。同じ紋章遺伝子改造を受けた同類だからとかそんなんじゃなくて、私の幸せにあなたを必要としていることにね。」
告白にもとれる言葉。
起きていたら絶対こんなこと言わない、いや、むしろ言えない。
寝ている相手に言葉を伝えただけで耳まで真っ赤にしてしまったのだから。


264:名無しさん@ピンキー
08/02/11 23:24:26 mofux9pH
その時、
「ん………マリア…起きたんだ…」
まだ眠たそうに目を擦りながらフェイトが目を覚ました。
「フェ、フェイト!?」
もしかして聞かれたかもしれないと思い不安になったが、
「突然ゴメン。マリアが気持ち良さそうに寝ていたから僕もつい眠くなってね」
そう言ってフェイトは欠伸をし、体を精一杯伸ばした。
どうやら聞かれていなかったようで安心したが、少し残念な気もした。
「それより何しに来たのかしら?勝手に人の部屋に入るなんて失礼よ。」
冷静さを取り戻し、いつもどおりに振る舞った。


265:名無しさん@ピンキー
08/02/11 23:26:13 mofux9pH

「久しぶりにマリアとゆっくりしようかなって思ってね。逢いたくてもソフィアがいて中々逢いに行く機会がなくてさ。」
フェイトは優しく微笑んだ。
「ふーん。それよりソフィアと一緒に買い物にでかけたんじゃなかったの?」
どんな理由であれ、フェイトも逢いたい気持ちでいてくれたことが嬉しかったが、普段から素直な気持ちになれないマリアは素っ気ない言葉で返した。
「ソフィアとならすぐに別れたよ。用事があるからまた今度にしようって言ってね。」
「珍しいわね。ソフィアとの約束を途中で反故にするなんて。で、その用事はもう済んだのかしら?」
そう返したマリアの言葉にフェイトは少し困った様な表情をした。


266:名無しさん@ピンキー
08/02/11 23:27:27 mofux9pH

「だから、マリアに会いに行くための理由だって。そうでも言わないとソフィアが離してくれるわけないだろ?マリアとって言えばなおさらだし。」
「……え?」
驚いているマリアをよそに、フェイトはもう後には引けないと思いながら話しを続けた。
「ソフィアといても楽しいよ。幼馴染みだしね。でもそれ以上は何も思えない。だけど、マリアといると幸せでずっと傍にいて欲しい、そんな風に考えるんだ。」
こういったことに鈍感なマリアもさすがに気が付いた。
フェイトが私のことを好きでいてくれることに。
「もっとわかりやすく説明しなさいよ。」
嬉しさで涙がでそうなのを必死に堪える。
「ようするに、僕はマリアのことが好きってこと。」
フェイトは照れた様子で想いを告げた。
一方的に想っていなかった、フェイトもまた自分を想っていてくれたことがマリアにとって嬉しかった。
「私も…!」
マリアはついに抑えきれなくなり涙を流した。
そんなマリアをフェイトが慰めるように優しく抱き締めた。


267:名無しさん@ピンキー
08/02/11 23:28:11 mofux9pH

そして、暫くしてマリアがようやく落ち着つきを取り戻し、その頃を見計らってフェイトは話し始めた。
「そう言えばさ、僕が寝ている間に何か話しなかった?寝惚けてたから聞き取れなかったけど。」
フェイトの気持ちもわかった今となっては聞かれてもよかったかもしれない、そんなことを考えながら、
「もういいのよ。」
そう一言だけ答えた。
「そっか、まぁいいけどね。」フェイトも追及するわけでもなく納得した。
「さて、クリフに娘さんは僕がもらいましたって言いに行かないとね。」
「……バカ…」
(ずっとこの人と共に歩みたい。)
抱き締めながら二人はそう願った。

fin



268:名無しさん@ピンキー
08/02/11 23:30:21 mofux9pH

以上です。
大変長くなってしまい無駄にレスを費やして申し訳ありませんでした。
それでは失礼します。

269:名無しさん@ピンキー
08/02/12 00:05:47 Aksc2nvS
乙女フィルターがかかったマリアっぽいけど乙

270:名無しさん@ピンキー
08/02/12 00:15:58 T0x/Tocj
キタデー(゚∀゚)ー!

271:名無しさん@ピンキー
08/02/12 22:28:24 cSGmshEI
これは?携帯だけだけど
URLリンク(courseagain.com)

272:名無しさん@ピンキー
08/02/14 14:40:51 qzg2Dzm7

ここに来ているやつ挙手


273:名無しさん@ピンキー
08/02/14 19:06:21 k1i4gj/4
そろそろラジアータ分が欲しいな…

274:名無しさん@ピンキー
08/02/14 21:21:03 GKm84jq5
俺はVP2に飢えている

275:名無しさん@ピンキー
08/02/14 21:23:03 r2pcUky2
VP2って誰が居たっけ?
アリーシャのふとももしか記憶にない。アリーシャの顔すら忘れつつある。

276:名無しさん@ピンキー
08/02/14 21:59:44 GKm84jq5
ふともも王女・半妖精・不死者王・忠臣、
変態・傭兵と雇い主・3女神・花屋のおねえさん
メインキャラだけでもこんなもんか。
あとは神とか空気なエインフェリアとかお好みで

277:名無しさん@ピンキー
08/02/14 22:37:01 FgMDarg4
犬もいるな10匹ほど

278:名無しさん@ピンキー
08/02/14 23:44:05 fMDRXuR8
それよりもSO1に(ry

279:名無しさん@ピンキー
08/02/15 04:24:04 3LBEOKnR
書いてる宣言してるお三方マダー?
〆切もうけさせたいんじゃないんだが
せめて書いてるなら
今どれぐらいの状況か教えられる職人は教えてくれよ

280:名無しさん@ピンキー
08/02/15 07:53:29 6iL1Pacj
美しい尻のエインフェリアも忘れないでください

281:名無しさん@ピンキー
08/02/15 09:04:38 XjdStrZV
VP2のキャラは上半身より下半身に魅力が集中している
トライエースはよくわかっているな

282:名無しさん@ピンキー
08/02/15 19:28:50 jAFlNEmW
気が付いたら女の子ばかりが手元に残りハーレム完成間近なVP2のデータ……

283:名無しさん@ピンキー
08/02/15 20:19:09 3Ql2h0eE
>>279
前から思ってたんだけど、そのお三方の内の一人に数えられてる>>69
書いてるとは言ってないと思うんだ…
>>69の最後の一言は社交辞令っつか、そんな感じじゃね?
もちろん動いててくれたらうれしいけどさ
待ってる人たちには申し訳ないが

あー職人こねーかなー

284:名無しさん@ピンキー
08/02/16 01:01:17 EtEleqXB
待ってんだから悲しいこと言うなよ‥orz

285:名無しさん@ピンキー
08/02/17 00:50:48 dc1tA7LV
むちむちクレアさんにふぐふぐされたい

286:名無しさん@ピンキー
08/02/17 01:18:07 vMT8N3Z7
クレアはスレンダーなんだよばーかばーか!

287:名無しさん@ピンキー
08/02/17 20:48:32 CTyK7U3m
>>283
・゚・(つД`)・゚・。

288:名無しさん@ピンキー
08/02/18 12:28:12 hTyrrNBV
ラジアータのユーリをアンアン言わせる話キボンヌ

289:名無しさん@ピンキー
08/02/18 12:48:44 hTyrrNBV
>>285
クレアさんのどこでふぐふぐされたいか。それが問題だ。

290:名無しさん@ピンキー
08/02/18 16:45:35 dsvSStHJ
>>289
おっぱいとふとももとお尻だけで今回は我慢しておく

291:名無しさん@ピンキー
08/02/19 04:41:03 7mHFLFki
>>290
それは贅沢すぎる。
……何かクレアさんが夜のバイトを始める姿を想像してしまった。

292:名無しさん@ピンキー
08/02/21 00:30:13 FFqjaXFY
ほちゅ

293:名無しさん@ピンキー
08/02/22 08:45:06 LcTJ5RWZ
ひちゅ

294:名無しさん@ピンキー
08/02/22 20:56:54 63VOgKfV
>>283
うわあ…ほんとだorz
無駄な期待を費やしてしまった…

295:名無しさん@ピンキー
08/02/26 01:07:01 JiACx1fV
保守

296:名無しさん@ピンキー
08/03/01 01:57:49 DZ3odBSM
こんばんはファビョニスです。何度も出てきてしまいサーセン
現在、>>74さんにご希望もらった後日談を挫折のお詫びに書いています
ご指摘の通り69の時点では社交辞令でした、まぎらわしくてすいませんでした
少し仕事忙しいので今月末くらいに投下します
次回も長文でお邪魔させてもらいます

297:名無しさん@ピンキー
08/03/01 06:06:01 J29V5PU1
わー!楽しみに待ってます!!

298:名無しさん@ピンキー
08/03/01 20:19:07 BB7uOOQc
落ちそうだからあげとこう

299:名無しさん@ピンキー
08/03/02 00:37:28 LcUw7P5Q
>>296ようファビョニス
何だよ実質リクおk状態だったのか…書いてみりゃよかった
まっいっかセレス好きだし
月末を心待ちにしてる
職人さんSOとラジアータもよろ

300:名無しさん@ピンキー
08/03/02 16:50:42 +CZro9jt
ちょwよりによってあれの続きかよwどうなることやら
だが待ってる!

301:名無しさん@ピンキー
08/03/02 20:31:17 ae2kuKp8
>>296
楽しみすぎてもう服脱いじまったじゃねーか

302:名無しさん@ピンキー
08/03/02 22:30:11 5DLeYQaK
とりあえず服は着ろw

303:名無しさん@ピンキー
08/03/03 00:05:55 /agbq7Nz
昔のSO3の保管庫ってもう見れないんだね

304:名無しさん@ピンキー
08/03/03 01:04:38 uNs3rmGi
>>301
月末までまだ長いぞ
まだまだ寒さ厳しいんだから服きとけ
俺もパンツ下ろして待ってたが今穿いた

ところでリメイクSO1まだ一作もきてねーの?ある意味すごいな…orz

305:名無しさん@ピンキー
08/03/03 01:13:31 9nbUb+x7
>>304
このさい、お前でも書いてくれないか>SO1
てかマジで誰か書いてくれorz

306:名無しさん@ピンキー
08/03/05 01:28:19 wF40xB5S
女とヤってお金が貰える♪
まさに男の夢の仕事!
出張ホストっておいしくない?
URLリンク(neets.net)

307:名無しさん@ピンキー
08/03/05 02:04:44 lKJt5APG
月末を正座して待ってます!けどエルドルートの方はお蔵入りか…ショボーソ
仕方ないか…

308:名無しさん@ピンキー
08/03/07 05:08:27 isBT5uvJ
ラジアータのキャラで妄想するためにゲーム購入

序盤の雰囲気は結構気に入って、妄想もいい具合に進む

あれ? なんだか話が重くなってきた?

人間編終了 orz  いや、まだ妖精編が

妖精編終了 orz


なんで俺、友人の忠告を聞かなかったんだろう
なんでゲーム買っちゃったんだろう

教えて偉い人

309:名無しさん@ピンキー
08/03/07 07:11:17 xqMvGjZK
そんな事はどうでもいい。ユーリを仲間にできない事に憤慨しろ。

310:名無しさん@ピンキー
08/03/07 19:42:17 XaoO0hJT
妖精編ですらリドリーをまともに使えない事にこそ絶望すべき

311:名無しさん@ピンキー
08/03/08 12:03:45 DKWAkMoP
過疎なんで聞いてみたかったことを聞いてみる
ここってやっぱり各作品だけしかやってないって人が多いのかな
それともAAA作品全部制覇してますが何か?な人が多いのかな

312:名無しさん@ピンキー
08/03/08 17:21:40 dzwMzKFh
SO2とブルースフィア、VPとVP2くらい

313:名無しさん@ピンキー
08/03/08 18:32:53 rZnZPmcE
SO1のみ。ただひたすらに投下されるのを待ってる

314:名無しさん@ピンキー
08/03/08 19:07:11 UMumFx3R
VP1.2だけ。だが雑食なので投下されたものはすべて目を通させてもらってる。
キャラの名前だけよく覚えてしまった。
月末のファビョニス待ちだが、それまでに各作品で一作ずつくらいくるといいな。

315:名無しさん@ピンキー
08/03/08 21:08:33 g8qCdJZU
SO3とVPだけ

316:名無しさん@ピンキー
08/03/09 00:22:23 7psJH9Q5
ブルースフィアとラジアータ以外は全部やってる

317:名無しさん@ピンキー
08/03/09 00:54:35 1KeEH6Xj
全部制覇してますが何か?

318:名無しさん@ピンキー
08/03/10 00:11:32 1nTRG7Zx
VPは両方とも、SOは何故か2だけやってる

319:名無しさん@ピンキー
08/03/10 05:09:17 HLOceHOf
SOはBS以外全部、あとVP

320:名無しさん@ピンキー
08/03/12 17:01:45 I++QNZDV
結構VPも多いな


マジ何でもいいから誰か職人きてくれー
月末まで長すぎる………

321:名無しさん@ピンキー
08/03/12 20:29:50 siunwssG
コラ何でもいいって言うな
例の人が来てしまう悪寒



322:名無しさん@ピンキー
08/03/12 21:37:28 zbC/EGt0
ここには言葉の使い方もろくに知らない子供が混ざっているな。
「何でもいいから」とか「お前でも書いて」とか「無駄な期待」とか
微妙に他人を見下している態度がどうにも嫌な感じだぜ。

323:名無しさん@ピンキー
08/03/12 21:49:43 siunwssG
>>322
深読みのしすぎっつーか他人の言葉を悪く捉えすぎだと思うぞ
俺はまったくそうは思わない
過疎スレ住人のただの悲しい雄叫びだろ


324:名無しさん@ピンキー
08/03/12 22:35:26 eYDvnSd2
>>323
お前が言うな

325:名無しさん@ピンキー
08/03/13 04:13:54 cU/qzkpX
>>323に普通に同意
気にしたこともなかったからポカーンだ
意地悪く解釈してる奴もいるもんだな

326:名無しさん@ピンキー
08/03/13 04:15:30 jUcVIvE0
あの人じゃねーの?

327:名無しさん@ピンキー
08/03/13 14:48:05 TT/KJdlN
>>324はガチあの人

328:名無しさん@ピンキー
08/03/14 18:55:58 jV1uJJWD
スレに活気戻るのは完全新作のインアンかな
4月のSO2リメイクもできるだけ来てほしいけど

329:名無しさん@ピンキー
08/03/15 01:11:28 c1UcMHX3
戻るかね・・・

声はともかく、あの絵柄のレナじゃおっきしないだろ

330:名無しさん@ピンキー
08/03/15 09:07:20 WtLr2f+s
ネガティブだなあ

331:名無しさん@ピンキー
08/03/16 03:47:44 oT4cyhKD
新作はDSでVPだとか


332:名無しさん@ピンキー
08/03/16 08:10:06 mMk+NkU1
身を削り寿を削り心を削り財布の中身も削れる
俺はAAA系のスレってここにしか居ないんで最初冗談かと思ったけど、本当っぽくてびっくりだよ

333:名無しさん@ピンキー
08/03/16 14:20:19 wXmpgVQE
レザード乙

334:名無しさん@ピンキー
08/03/16 18:07:16 /G9/mPux
今更なマジレスだけど
攻略サイトではエルウィン>ニュクスだけど実際どうだろね
最強編制をイセリア戦を想定して比べると
レナス
接近系と遠距離系を交互に使って安定感がある、切り技はダメージがもっとも大きい
HPも高く間違いなく最強だが時々ボーとしている節がある
エルウィン
常に敵を切っていて与える合計ダメージがトップ
しかし切り技しかなく接近し続けるので被ダメが多く回復に手間がかかる、放っておけば最初に死ぬ
ニュクス
どの技も一回で四連撃になるのでガードされても攻撃がやむ事がなく与えるダメージはそこそこ
近接技1遠距離技2の割合で敵と離れている事が多く被ダメも少ない
上記の特徴上攻撃がよく外れるのが欠点

335:名無しさん@ピンキー
08/03/16 23:51:01 5n8BQGR/
>>332
あー、Aエンドルートの終盤だっけ。
そうか、お前はそんな気持ちだったかって思ったもんだw

336:名無しさん@ピンキー
08/03/19 01:11:55 YkfFn6Qh
ヴェルカント退治の際に味方殺られてヤられるイリアとか

337:名無しさん@ピンキー
08/03/23 11:45:00 7nflMbRg
>>336
そういえばイリアを使ったSSが全く無いな

338:名無しさん@ピンキー
08/03/23 15:37:41 OA3kMgcF
>>336
よう!兄弟

339:名無しさん@ピンキー
08/03/24 00:16:28 e90ZVDY1
>>337
イリアどころかSO1が全くない状態

340:名無しさん@ピンキー
08/03/26 00:08:06 iCNDPKba
1だとペリシーのSSがあるくらいだっけ?イリアさんは人気あるのにSSが全くない罠

341:名無しさん@ピンキー
08/03/26 16:53:27 THDLD6Tz
スターオーシャンTilltheEndofTimeスレ時代の保管庫はもうどうやっても見れないの?

342:名無しさん@ピンキー
08/03/30 15:16:36 wXdQhzIU
>>341
>URLリンク(www.archive.org)

保管庫じゃないけど
>URLリンク(www9.atwiki.jp)

343:名無しさん@ピンキー
08/03/30 15:21:42 q9d0ZHxV
月末ってそろそろかなと、めちゃくちゃワクテカしてる今日この頃。

344:名無しさん@ピンキー
08/03/30 16:13:45 FVxpVssV
月末って今さっ

345:名無しさん@ピンキー
08/03/30 20:00:58 YHnLwGCY
書く書く詐欺さっ!

346:名無しさん@ピンキー
08/03/30 23:19:43 4tbUO5Wu
同じくワクテカ待ち
予習で前作読み直してきた
相変わらずバカだったw

347:名無しさん@ピンキー
08/03/30 23:35:01 tF9M8fvp
そうか続編だったっけ俺も読み返しとこうかな



しかしSO1リメイクものは本当にこねーな…

348:名無しさん@ピンキー
08/03/31 00:33:39 agwaTenG
月末「あたり」って話だから5日位まで様子見かな
何にせよ久しぶりの投下楽しみだ

前作読んでVP2買おうか迷ったんだが評判悪かったり
エインフェリアの扱いがアイテムレベルらしかったので
結局やめてしまった

349:名無しさん@ピンキー
08/04/01 19:49:16 wDJr8f6D
「ねぇ、私の事愛してる?」
「もちろんだよ」
「私もあなたの事愛してるわ」
「知ってるよ」
「私、あなたとの子供ができたみたい」
「嘘……だろ?」
「ええ、嘘よ。だって今日はエイプリルフールだもの」
「ああビックリした。一瞬頭が白くなったよ。この年齢で子供を持つにはまだ早いからな」
「ふふ、ビックリした? じゃあ成功ね」
「全く。……心臓に悪いよ」
「そう良かった。あなたの子供じゃないもの」
「……え?」
「あなたとの子供じゃない。きっとあの人との子供」
「な、何を言って……」
「あの人と最後に寝た日が、ちょうど逆算した日に一致するの」
「……冗談はよしてくれ」
「でも、あなたとの子供かもしれない。可能性は否定できないわ」
「……」
「私の事愛してるならお腹の子供も一緒に愛してくれるわよね?」
「……」
「一生愛してくれるわよね?」
「……」
「あなたの事愛してるわ」
「……」
「……なんてね。今までのは冗談よ。そんなに暗い顔しないでよ~」
「そ、そうか。そうなのか……?」
「ええ、でも本当の事も言ってるわ」
「……え」


「さて、どこからどこまでが私の嘘でしょう? 分かるわよね? 私を愛してるあなたなら」


テキトーなキャラにあてはめるといいかも

350:名無しさん@ピンキー
08/04/02 00:49:15 8Hpxiszo
後味のあまり良くないあたり、藤原祐のSSを思い出すな

351:名無しさん@ピンキー
08/04/02 10:54:19 jRaTvIcN
>>349やな女だな

352:名無しさん@ピンキー
08/04/02 11:26:40 g3cwhv5F
いまふとこんな感じの関係を思い付いたんだが…


ヨシュア←ペリシー←ティニーク→エリス

よく考えたら食物連鎖だった
これじゃ性的な意味じゃなくて、食的な意味で喰っちゃう

353:名無しさん@ピンキー
08/04/02 12:26:21 BUw98eU3
>>349
こんなやついたら嫌だな
なぜかフェイトとクレアで脳内再生されたが

>>350
同意見

354:名無しさん@ピンキー
08/04/03 00:52:44 05TFRBiA
盛り上がらないな・・・

355:名無しさん@ピンキー
08/04/05 12:47:44 x0aOJY25
リメイク2やってるけどセリーヌさんてこんなどこの馬の骨ともわからん王子とくっついたっけ?
もう完全に忘れてる\(^o^)/

356:名無しさん@ピンキー
08/04/05 13:28:20 loOwvg8l
>>355
確かPS版では、PAの結果次第で王子とくっついたはず
EDは相性のいいキャラがいなかったら専用EDになったようなそうでないような

357:名無しさん@ピンキー
08/04/05 17:49:52 p5VEKDlL
>>355-356
クリス王子だっけ?
レナ編限定のPAでくっつけられたはず。
ブルースフィアでもくっついてたはず。

358:名無しさん@ピンキー
08/04/05 20:30:23 STg+9lR4
ヴァルプロ新作キタコレ

今度は過去のレナスに復讐を誓う人間の話だそうな。

359:名無しさん@ピンキー
08/04/07 01:15:37 AImTYylL
まぁ、初代で唯一神と化したからな、レナスは。
俺の望みは一つ。ちっちゃい子でないかな~…だが。

そういやAエンディングの最後のムービーでレナスを抱きしめたルシオが
レナスの作ったコピーだと知ったとたんに救いようの無いエンディングに見えるようになったっけな。

360:名無しさん@ピンキー
08/04/07 01:53:42 z0JYvyGt
ファミ通に一報が来てたが
レナスがアーリィみたく馬車馬のように働いてた時代の話らしいな。
その過程で家族をエインフェリアとして奪われ家庭崩壊したガキに恨まれるレナスのお話。

あーいや主人公はそのガキか。

361:名無しさん@ピンキー
08/04/07 23:13:39 HqthjEHw
投下に備えて服を脱ぎ一ヶ月が経った…
それでも俺は服を着ない!!

362:名無しさん@ピンキー
08/04/11 01:57:18 gkdA1yMr
1で何か書きたいがネタがないないと悩んでいるうちに、
PSP版2が発売されてしまった(´・ω・`)
PS版2が出た頃に書いたプリシスSSとか、今ならタイムリーだらうか…

363:名無しさん@ピンキー
08/04/13 15:34:45 97M5n4W5
ファビョニス(もうコテ化しとるW)をひたすら正座して待つ!!…全裸で。

364:名無しさん@ピンキー
08/04/14 00:54:13 +X6IkL90
>>362
御託はいいからさっさとそのプリシスSSとやらをうpしろ

…うpしてくださいおながいします

365:名無しさん@ピンキー
08/04/14 17:14:19 aHJeLUUW
猫の手の助っ人でモリブはブックの中の人ってわかったけどプラチナムとジョージがわからん
ジョージの人は慣れてないっぽかったしさなえたん?
プラチナムの人は勝手にイリーナの中の人とか思ってんだが

366:名無しさん@ピンキー
08/04/14 17:21:15 rrqsch9n
SWからの誤爆か?

367:名無しさん@ピンキー
08/04/14 18:17:07 fcxHL80D
自称職人は誘い受けするわりには投下しねーな

368:名無しさん@ピンキー
08/04/14 19:22:51 NhdhkFjZ
俺の場合後先考えずに投下して後で
冷静になってから死ぬほど恥ずかしくなった覚えがあるぜHAHAHA

……('A`)

369:名無しさん@ピンキー
08/04/14 19:46:05 Patb0f9h
>>369その気持ちわかるw
俺も後先考えずに投下して後になって恥ずかしくなった覚えがあるからなw

370:名無しさん@ピンキー
08/04/14 19:47:13 Patb0f9h
訂正>>369→×
>>368→○

371:名無しさん@ピンキー
08/04/16 00:10:19 WFUCIuz9
遅くなりましたファビョニスですすいません
前作の続きものが出来上がったので投下させてもらいます
リクエストしてもらった鬼畜ルートは度を過ぎた長文&泥沼化により挫折してしまいました、申し訳ないです

・前回「終焉」と設定同じです。VP2エインフェリアのアドニス×セレス。非常に無節操なギャグで長文
・アドニス(ってかもうアホニス)視点。前作よりかなり下品になってます、性格改変注意
・結婚してます。喧嘩はしますが相思相愛です、むしろ甘くしすぎて俺死亡
・メインキャラと他エインフェリアもギャグパートで多数出ています。下ネタが苦手な方は回避願います
・挫折したSS引きずっちゃっててエルドが今回本当に酷い扱い、エルド好きな人マジにごめん、お気をつけて
・NGワードはタイトルの『代償』です

372:代償
08/04/16 00:12:21 WFUCIuz9
良い剣というものは鞘に収まっているものだと昔何処かで聞いたことがある
馬鹿らしいと鼻で笑った
抜き身で結構だ
ずっとそう思っていた
たとえ生涯をともにする女が出来たとしても


気がつくと面白い程赤い世界にいた。
突如襲ってきた化け物どもと、それに乗じて隙をつこうとしてきた馬鹿どものが肉塊となり、
だだ漏らす体液で赤く辺りを染めている。
つい先日まで仲間ごっこをしていた男の胴に蹴りを入れる。
報酬配分が気に入らなかったのだろう。
――何匹つるもうが雑魚の火力で俺の相手になるか、屑ども。
空は夕焼け。焼け付くかのように赤い。
普段の夕暮れは彼女を思い出すのだが、今日の空から振る赤はあの女を思い出させる。
侵攻先でずっと焦がれていたあの女に会った時は、幾度となく窮地に追い込まれ、脱してきた自分にさえ鳥肌が襲ってきた。
長かった。
とことんまで追いつめられてやっとお出ましになった。
ずっとずっと、先の大戦で目にした時から、その麗姿が脳裏に焼きついて離れなかった。
紅く鮮烈で、そのくせ嘘のように清廉。自分という存在の何もかもを狂おしいほど滾らせた。
煉獄に放りこまれたかのような灼熱の緊張感はあまりにも心地よく、内でたぎる炎火をさらなる業火へと煽る。
この女を形成した全てに、この女に至るまでの脈々たる血流に、この女が自分と対峙する運命に感謝した。
口角がつりあがる。
干戈を交えると魂にまで打ち響いてくる。
熱源から全身に行き渡り、滞りなく燃焼していく。
剣戟の響きの何と心地よいことか。
最高だと思った。
死んでもいいと思った。
ほんとに死んだ。

373:代償
08/04/16 00:14:13 WFUCIuz9
「しっかし」
赤い海原に立つ漆黒の死神は、亡骸に囲まれつつもため息をついて空を仰ぐ。
実力に差がありすぎて張り合いがない。
「つまらねえなあ……」
正直、彼女のビンタの方がよっぽど痛い。
そういえば一人逃がしてしまった。常時おどおどして役に立たない年若い男だった。顔も覚えていない。
何故だろう。以前なら大喜びで追い殺しにいくのだが、元気が出ない。面倒くさい。
生前はそうした容赦のない残虐さにより名の上がっていくことに喜びを感じていたが、
そんな殺戮家業を二度目の生でも続けるのは流石に疲れる。
俺も年か。
いや違う。あれだ。
苦しまないようにしてだの殺戮よだの結果は見えていただの、離れていても彼女が耳元でぎゃんぎゃんとうるさいからだ。
アホか。殺し合いにモラルもクソもねえだろ。殺らなきゃ殺られるだけだ。うぜえんだよ本当にテメェは―――
エインフェリアになってからはいつもそんな言い合いをしていた。
怒鳴り返しても怯えすらせず、さらに綺麗事を並べて噛み付いてくる。
うんざりするほど煩い女だった。
解放されたら即刻ぶった斬って転がった首を足蹴にしてやる。
何処へ行きやがっても必ず見つけ出して復讐を、必ず――
ずっとそう思ってきた。
認めたくはないが、以前から自分が彼女に病的な執着を持っていることは薄々感じていた。
その膨らみゆくばかりの熱を、殺されたのだから当然のことだと必死で思い込もうとしていた。
記憶の中で紅い髪が揺れる。
同じ色をしていても、自分の目玉とは質が違うといつも思っていた。
絶対に相容れない赤だとばかり思っていた。
それが彼女の赤だったのか、あの女の赤だったのかは、覚えていない。



名はアドニス。歴史に悠然と名を刻むカミール17将の一人である。
名を刻むとはいっても、アドニスの場合は限りなく悪名に近い。
前世では黒刃という二つ名を与えられる程、金とともに戦場を与えられるごと、傍若無人に暴れ回っていた。

374:代償
08/04/16 00:15:19 WFUCIuz9
……どうでもいいけど俺の二つ名って何て読むんだ?
こくじん?こくは?くろやいば?
本人も知らない。
ぼったくり設定資料集ではちゃんとふりがなふれよ!
そして自慢ではないが、といいつつ自慢だが、当時最強の戦士だったとも言われている上、
歪んだ世界樹で最終決戦寸前まで一軍に在籍していた唯一のエインフェリアでもある。
…変態と本格的に戦りあう前に御役御免にされてしまったが。
あれはそう、ラスボス戦である対変態2戦目の直前。
エインフェリア解放とヴァルキリードーピング作業中の話だ。
最早女を捨てたといっていい程にムキムキマッチョメン化してゆくヴァルキリー。その勇姿を横目に、
他のエインフェリア連中と共に自身まで解放されてしまうことについて、アドニスは激しく噛みついていた。
「ふざけんな!ここまでやらせた俺まで解放するっていうのか!?最後までやらせろよ!!」
捕らわれのレナスを解放するため、レザードを攻撃して生まれる少しばかりの合間に結晶を叩くという、
地味で苛立つ作業をずっと強いられてきたのだ。
これからだという時に解き放たれるというのである。
納得がいかない。
願い叶わずなのは薄々予感していたが、それでも冗談じゃねえぞとしつこく粘った。
腕組みした不死者王が尊大な面持ちのまま、ゆっくりと口を開く。
「何ゆえに死に急ぐ…」
「へっ。何だよ説教か?俺は戦れれば何でもいいんだよ!その先に何があろうが知ったこっちゃねえ」
戦うためにエインフェリアになったのだからリスクなど当然のことだ。
どうせ死んで悲しむ人間もいない。
聞き分けのないアドニスに小さくため息をつき、目を閉じると、ブラムスは歪んだ世界の天井を仰いだ。
「“死”を…感じる……」
「……それちょっと台詞早いだろ。つかごまかすなコラ」
ツッコミを食らうと、ブラムス、いや元ディパンの賢王は、何かよくわからんが
姿勢を正し深々と丁寧なお辞儀をしてきた。
「いたらない上にはねっかえりにも程がある子孫ですが、どうぞ末永く可愛がってやってください」
あまりの意味不明さにむしろ脱力する。

375:代償
08/04/16 00:16:08 WFUCIuz9
「…………………何言ってんだ?じいさんついにボケたか?」
訝しげにブラムスの顔を覗き込もうとしたら、
「あああぁあうるっせええっ!!ぐだぐだ言ってないでとっととミッドガルドもどれ!!おらっ餞別だぁ!!」
あさっての方向から矢が二本飛んできて、アドニスの兜に容赦なくぶっ刺さった。
「ぎゃあぁあぁ何すんだヘタレ半妖精!!俺の選び抜かれた兜が!洗練されたフォルムがああ!!」
「ヘッ!即席ウサ耳だ!ただでさえ中ボスみたいな見た目なんだからこれで何とか可愛がってもらえんじゃねーの」
まだひこ●ゃん兜を装備させられる方がいい。
ていうか、可愛がってもらえって、誰に!!
「てめ、ルーファス…!」
胸ぐらを掴もうとしたら、
「いいじゃんか!行けるんだからとっとと行けばいいだろぉおおっ!?」
半狂乱に叫ばれて先に掴み上げられてしまった。
「俺だって!俺だって、ホントはっ!!アリーシャ連れて逃げてーんだよぉおおぉ!!」
「新主神本音&半泣き自重」
「おおお俺なんかっ、まだキスさえしてないのにオワタんだぞ………。
 越えてはならない一線どころの話じゃねえよあぁああ俺のアリーシャアァアあああぁあ」
大絶叫の背後でアリューゼが体育座りでずーんと落ち込んでいる。
「ルーファスはまだいいじゃねえか、よせあげネーちゃんトコ行くんだから…。
 俺なんかお供はオーブだぞ…球だぞ…ツンデレ長女フラグがボッキリ折れたのに、玉だけ3つあっても…」
「お前ら5周目だからって余裕ありすぎだ」
落ち込む二人に毒づくと、猛烈な反撃が返ってくる。
「うるせー!アドニスのくせに生意気だぞ!」
「そうだそうだー」
「いてっ!いていてっ!……てめーら俺をのび太ポジションにするとはいい度胸だあぁあぁあ!」
アリュアンとルー夫とのびニスが無駄に争っている地点から少し離れたところで、
他エインフェリア達の解放作業は着々と進んでいる。
最早お祭り騒ぎである。
ええい、こいつらではラチがあかねえ!
そう判断したアドニスは、今やガチムチの兄貴さえときめくであろうヴァルキリーをギロリと睨んだ。

376:代償
08/04/16 00:17:06 WFUCIuz9
「おいシルメリアいるんだろ!何とかいえ!シルメリアオラッ!!早く出てきやがれシルメリアど畜生が!!」
一番付き合いの長い戦乙女の名前を連呼し、朝のトイレ争奪戦よろしく鋼鉄のヘアバンドを高速ノックする。
しばらくすると、限りなく春日部市の幼稚園児を思い出させる声が重々しく響き渡った。
「うるさいわね。入ってるわよ。そして痛いわよ。何よアドニス。
 新作で自分のターンがこなかったアーリィが最高に機嫌悪いんだから静かにしてよ」
「何を言うシルメリア!私は三姉妹として当然の権利を主張しているだけだろうがっ!何もおかしくない!!
 ……わ、私だって! 私 だ っ て な ぁ あ あ ぁ 」
「落ち着いてくださいアーリィ次出るのは外伝じゃないですか、ねっ?きっといつか皆が待ち望んでいる神シナリオと
 神システムと神演出と神その他で邪神じゃない等身大神フィギュア付き超豪華特装版VP-長女-が出ますよ…ねっ」
「下手な慰めはよせアリーシャ!だいたい、だいたいだな、レナス…  ま た お 前 か ッ ! ! 」
「アーリィ…出れれば良いというものでもないわよ…私次回作こそ絶対に穿いてないわ」
四人の言い争い…もとい、かしましいお喋りは傍から見ていると、完全に一人芝居にしか見えない。
「と に か く っ ! !」
話が盛大にそれているので大声を上げて軌道修正し、面倒そうなヴァルキリーに血走った目でこれでもかとガンをつけた。
「いいから俺も連れてけやシルメリア」
「駄目よ。命を無駄にすることないわ。早くミッドガルドへ戻りなさい」
「ニーヴァレまでのつなぎくらいはできる!!」
「イラネ」
「即答かー!!」
さすが主人公の扱いを受けなくてもモッコス後継者にされても耐え凌いだ強靭な戦乙女シルメリア、非常に容赦ない。
「いいの?」
ブチ切れ寸前のアドニスの目前に、指を一本すっと立てる。
依代の大事にしている指輪が優しくきらめいた。
「あなた、本当はもっと話をしたい人がいるんじゃないの?」
一瞬目の泳いだアドニスを確認して、運命の女神は目を細めた。
「今誰かよぎったでしょ」
「別に…「大丈夫よ。あなた結構変わったもの。正直、解放して大丈夫かなって心配なうちの一人だったのよ。
 一人だと心配だけど、二人でなら解放できるわ……」
「…何だ二人でならって」
「言わせたいの?」
一人の女から四人分のくすくす笑いが聞こえるのは多分気のせいではない。
「じゃ、そゆことで」
「コラ!勝手に話を終わらすんじゃねえ!待たんかしんメリアー!!」

377:代償
08/04/16 00:21:15 WFUCIuz9
掴みかかろうとしたら、あさっての方向からグングニルが飛んできて衝撃を起こし、会話を遮断される。
「話が進まあぁあん!!」
次の瞬間には、全てを超越した変態…………いや、破滅を求める変態に胸ぐらをつかまれて激しく揺さぶられていた。
「お情けで行かしてやろうと言っているのだぞ!早く戻って虫けらどもで最後の告り合いでも楽しむがいい!!」
「ぐあ!やめろレザード!変態が伝染る!」
「うおおお!!万能たる神の私がフラれたのに何故貴様ごとき蛆虫を想う女がいるのだあああ!!!」
「あーわかったわかった三周目はエインフェリアクリアで転生できるよう頼んでやるから!来世でがんばれ!なっ!」
「嫌だあぁっ!レナスでなければ!レナスで…我が愛しき女神でなければ何の意味もなぁあい!!
 今の貴様にならわかるだろう黒い蛆虫!!」
「だあぁあぁっ!いい年した男が泣くなぁあ!あーもう時間!時間だから!!スタンバってろホレっ!!」
「ふじこおおぉおおぉ」
必死に変態を定位置に押し戻してから一息つき、さあ再度ヴァルキリーに詰め寄ろうとしつこく決意の顔を上げた途端。
「いい加減にしないかアドニス!さあ来るんだ!!」
醜態を見かねた元赤光将軍によって羽交い絞めにされた。
「ぐあ!やめろエーレン!老け声が伝染る!」
暴言を吐いたら、そばにいたエーレン信者のお嬢様に殴られた。
「殺すぞ貴様!せめてナイスミドルボイスと言え!」
「ナイスじじいボイス」
「貴様ー!!」
「よさないか二人とも………」
この義理の親子(と言うとクレセントは不満げだが)とアドニスの関係は、生前から何も変わっていない。
「エーレンやっぱり止めることないわ!とっととシルメリア様達と行かせてしまいましょうよこんな奴!」
暴言ながらもクレセントが自分の味方をしている。やはりここは異世界だ。
そんな彼女を、彼女が慕う男は眉をひそめて軽く諌めた。
「何を言っているんだクレセント」
「だ、だって」
鼻息の荒さが失せて、見る見る間にしょんぼりする。
「セレス様のためにも行かせちゃった方がいいと思うんだけどなあ……」
初代黒光将軍を毛嫌いしていた白光将軍は、二代目とは結構仲が良かったらしい。
ぴくりと反応する。
「おお、そうだ。あの女のためにも俺を行かせちまった方がぜってーいいに決まってるだろ?
 なんせ解放されたら首落とさなきゃなんねえからな!」
陰湿なにやつきを浮かべながらそう言っても、エーレンには失笑を、クレセントには嘲笑をかっただけだった。
「「どうせ斬れないくせに」」
「ハモるなあぁああぁっ!!斬る!斬るっつったら斬 るッ!!」

378:代償
08/04/16 00:22:32 WFUCIuz9
怒声を張り上げると、クレセントからいつも通り、汚物を睨め付ける視線を容赦なく注がれる。
「あーあやだなあもう…最悪。こんなウロコイカスミ鎧つけたゲス野郎の一体どこがいいのかしら…。
 セレス様絶対どうかなさっちゃってるのよ。そうよ。きっと一時的な気の迷いなんだわ。
 決して“ボディパは強いけど男の趣味はエインフェリア史上最悪”とか、そんなことないのよ!
 これから時間はたっぷりあるんだし、もっとゆっくり探せばきっと釣り合うステキな人がいるのに…。
 かといってエーレンは駄目だけど…」
むくれるクレセントの肩にエーレンの手が添えられる。
「そういうなクレセント。大事なのはお互いの気持ちだろう?元は同じロゼッタの仲間、応援してやろうじゃないか」
「う~。エーレンがそう言うなら…。う~でもやっぱりやだなあセレス様にこんな珍獣…やだなあ…泣きそう」
「ごちゃごちゃ言ってんじゃねえ!!俺は残るぞ!」
あからさまに周囲に気持ちがダダ漏れてしまっている現状がいたたまれない。
さっきから何なんだ、みんなして、まるであの女もこっちのことを、みたいな言い方ばかりしやがって。
そりゃあそんな奇跡みたいなことが起こるのなら、戻ってやるのも一興だが…。
駄目だろ。無理だろ。殺すだの斬るだの実は重戦士のくせに誤魔化すなだの散々怒鳴り散らしてきたのだ。
奇跡は起こらないから奇跡という、の典型的な一例だ。
つうかそんなことが起こるなら、今死んでもいい。
その隙を、アドニスが前世で最後に仕えた男の、眉毛を伴わない片目が見逃すはずもなかった。
『スピリチュアルソーン!』
「ぐわあああっ!!」
見事に即死魔法が炸裂し、身体から動く力が失われる。
「あとでエヴォークフェザーしてあげますからねーアドニス」
「ア…アンタなあ…」
ぼやけゆく視界で、ゼノンがにっこりと、さよ~なら~とばかりに手を振っているのと、
「せいせいしたわホントに」
最早癖になっているのか、ただの本心か、クレセントがお決まりの台詞を吐いたのと、
「さあ早く連れていこうか――彼女の元へ」
エーレンが(老け声のくせに)爽やかに自分を担ぎ上げるのを感じたのを最後に、がっくりとうなだれた。
遠のく意識の中でオマケとばかり、クレセントの諦めを含んだ大きなため息が聞こえた。


「………」
回想を終えると頭痛を感じていた。
今思うと、エインフェリア連中のみならず、シルメリア達にまで強力に背中を押されていたらしい。
いくらアドニスとはいえ多少の気恥ずかしい思いで満たされる。
ちっ、おせっかいどもが。誰もんなこと頼んでねーよ。どいつもこいつも死ね。

379:代償
08/04/16 00:23:36 WFUCIuz9
とは毒づいても、連中にとっては予定調和だったのだろうその奇跡は起こってしまったわけで。
らしからぬ重いため息をつく。
他人に道を作られるのは好きではない。
「………………」
もうすぐ、ヴィルノアに到着できるだろう。
彼女の元へ戻る。
復讐の相手ではなく、自分の女になってしまった彼女の元へ。
――足が重い。
現状に、自分の選んだ道に、本当にこれで良かったのだろうかと思う。
空からの赤が静かに失われてゆき、闇が広がる。
地面を汚す体液の赤だけが残されて、何だか取り残されるような気持ちになる。
光というのは、去っていくものなんだな…
そんな、自分らしくないことを感じるようになった。
己が人間として輪を形成できない異端な存在であることはわかっている。
皆と同じ行列に並べるような性格でもない。
理解なんぞされたいとも思わない。
生前なら孤独を感じた時は酒でも女でもいいからその場を凌げればよかったし、
鮮血に呼ばれて絶叫を引きずって恨まれ嫌われ憎まれて、
今も昔もこれからもずっと一人だと思っていた。
おいシルメリア。
何が大丈夫だ、何があなた変わっただ。
やっぱり俺は普通の生き方ってのに全然向いてねえぞ。
他人を大事にすることなんてガラじゃねえんだ。
適当なこと吐いて、結局は体のいい厄介払いしたかっただけなんだろ?
戦乙女さんよ――
答えが戻ってこないのをわかっていて空を仰ぐ。
宵闇が視界にも心にも忍び込んでくる。
――多分。
自分が選んだ女の中には、大きく分けて二人存在する。
一人は早く戻ってきてねと微笑むが、一人はさようならと言って微笑む。
今こうしている間にも、少しずつ、あの女を殺していることを感じる。
本当にちょっとずつ。
ゆっくりと、静かに、寝かしつけるように。
本当はそんなことは欠片も望んでいないのだが…。
かぶりを振る。
悩んでいても仕方ないと思考を遮断する。とりあえず帰宅しよう。
「あー…」
重苦しい息をつくと本音までぼとりと落ちた。
「おっぱい揉みてー………」


目が覚めると陽は昇り、窓から明るい光をこぼしていた。
ヴィルノアへの帰路、小さな村にある宿の一室。
外からは子供達の無邪気な笑い声がする。

380:代償
08/04/16 00:24:41 WFUCIuz9
混沌とした世界がほんの少しずつだが安定を取り戻しゆくのを感じる。どうやらアリーシャ達はうまくやったらしい。
あれだけやる気だった自分を放り出しやがった雇い主なんぞもう知ったことではないが、一応は褒めてやる。
ため息をついて頭をかく。
気を許した女との二人寝の味を知ってしまうと、一人の床がどうも空虚に感じる。
欠伸の後、性格を体言しまくる威圧的かつ凶悪な緋色のツリ目がぎょろりと動く。
全体的に見ればかなり美形の部類ではあるのだが、普段の黒い防具と持ち前の粗雑な性格で常に台無しである。
ふと、幼い声に名前を呼ばれた気がして、窓の下に目をやる。
兄弟だろうか。年端もいかない少年が二人、木の棒を振り回して遊んでいた。
ちっこい方が弾丸のように猛突進してゆく。
「このげどーめ!おまえのあくじもここまでだアドニちゅ!かくごー!とりゃー!」
「ぐあああああっ!せ、せれすきさまー!やーらーれーたー」
兄らしき少年の方がわざとらしい呻きと共に首をおさえて膝をつき、「ばたっ」と口で言って倒れた。
弟はふんぞり返って棒を高々と掲げる。
「せーぎはかつ!」
…………。
薄ら笑いと青筋が浮かぶ。
悪鬼扱いなのは別に構わない。事実だから。
悪者扱いなのも別に構わない。似合うから。
だが目の前でやられると結構むかつく。
自分達が派手に戦り合っていた時代から既に数百年が経っている。
後世に語り継がれている姿としては、嫁は英雄で自分は悪魔である。
どうでもいい。
先達の偉人なんぞ、正義か悪かどちらかに大きく偏っていた方が、頭を使わず扱いが楽なのだろう。
実際にはあの女もあっち行ったりこっち行ったりと十分にアレな人生だったと思うのだが――
まあどうせあながちは間違っていないのでどうでもいい。
いいのだが。
…一騎打ち自体は俺の方が圧倒的有利だったんだ。想定外の信じらんねー一発逆転劇だったんだ。
ちょっとは史実どおりにやれ。つうかやられたなんて言ってるヒマあるか。首とんだんだぞこのクソガキども。
鼻水たらしてねえでちったあ勉強しろ。
と怒鳴りたいのを必死で堪える。
もっとも―――。
ヴィルノアに構えた新居では、その首ちょんぱ女が自分の帰りを待っているのだから、事実は小説より奇なり、なのだが。
「…………」
本当に。
…何でこんなことになってしまったのだろうか。

381:代償
08/04/16 00:25:59 WFUCIuz9
まさにぬるぽと言えばガッと返される仲になってしまった。
時々自分に用意されている人生選択肢の凄惨さに眩暈を覚える。
いつ俺はこんなトンデモフラグおったてたのであろうか。
そう、確か。
生前の(逆)恨みから絶対復讐してやるといろいろとちょっかいを出しているうちに何故かそんなことになってしまっていたのだ。
男と女なんて本当にいつどう転ぶかわからない…としか言い様がない。
解放後、水鏡の破片からミッドガルドへ放り出されてからの経緯としては下記のとおりである。
決着を着けるべく正々堂々と果し合いを申し込んだところ、
『私じゃもうあなたに敵うわけないから体で許して!』と懇願するので仕方なく妥協してやったら、
『本当はずっと前から素敵な貴方が好きだったの!離れたくない……!』と縋りついてきた為、
まあいいかとそばにおいてやることにしたのだ。
ただし、これは黒刃菌による都合のいい脳内変換が95%ほど行われているため、事実とは徹底的に異なる。
そんなわけでとりあえず一緒になった。
だが、二人だけになり、剣も交えず、普通に自分の隣りを歩かれるのは最高に落ち着かず、むずがゆい気分だった。
正直とんでもないことになったと一夜のあやまちを後悔し、トンズラしてやろうと思った回数は片手では数え切れない。
刃で結ばれた間柄とはいえ根本的な人間としての種類がまったく違う。
無理だ。絶対うまくいかない。いくはずもない。
そう常々思ってはいても。
夜半、伏せ目がちに寄り添われ薄紅の頬でOKサインを出されては、
すいません俺が悪かったですありがたくいただかせていただきます状態へ、べしっと簡単に叩き落とされる。
少し歯止めがきかなかった日でも、終わった後には疲れきった顔でそっと微笑まれる。
その繰り返しである。
めちゃくちゃな組み合わせは意外にも相性が良く、しばらくは何事もなく世界をぶらついていた。
それが崩れたのは、大きな仕事を果たして依頼主の村に戻った日の夜だった。
村人達から割れるような拍手と歓声で出迎えられる。
無駄に纏わりつかれるのが心底嫌いなので、自然と人目を集めてしまう彼女の輝きが非常に助かる。
それでも自分におべっかを使いに数人が近寄ってきたが、
彼等に美人だきれいだと相棒を褒められるのは決して悪い気分ではなかった。
いい…。
とてもいい。
やはりこいつを斬らなくて正解だった。
俺一人でも十分大量破壊兵器だが、こいつがいれば天下さえもう一度望めそうな気がする。
このままどちらかがくたばるまで一緒に、ずっと無双っていたい――
この女と一緒なら何だってできそうな気がしていた。
とにかく非常に気分が良かった。
良かったのに。

382:代償
08/04/16 00:26:55 WFUCIuz9
眠りにつく前、何か言いたげだったので吐かせてみたら、実はもう剣を置きたい、とぽつり呟いた。
耳を疑うと同時に、やはりか、という交わらない二つの感想が頭に浮かんだ。
この女が剣を持つ時には何か大きな理由が必要で、その為だけにあの鮮烈な剣技は現れる。
持ってしまえば潔いもので迷いはない。だが、本音は持ちたくはないし、できる限り戦場から遠ざかりたい。
だいぶ前から気付いてはいた。
この女は自分と違って剣を振るうことに恍惚を感じていない。
本当によくわからない女だ。天武の才を投棄する気らしい。それだけの腕をドブに捨てると言うのか。
それを喉から手が出るほど手に入れたい輩が一体どれだけいると思うのか。
…いや。自分には理解し難いが、結局はそういうものなのかもしれない。
それ以前に。
すぐにでも剣を置きたい今現在、持ち続けている理由は、
……………俺のため、か。
舌打ちする。強気で身勝手なくせに変なところだけ献身的で気色が悪い。
沈黙していると、『ちょっとそう思っただけだから気にしないで』などと見苦しい言い訳をしてくる。
こいつぁもうだめだと思った。
これ以上やらせると彼女は自分でも気付かぬうちに、戦い続ける程、己を追い詰め削っていくのだろう。
紅い花は己に宿る烈火に喰われてゆく。
本能的にもう戦いたくないのだ。
沈黙の後、『じゃあどうすんだ』と訊ねたら、『…できれば何処かに落ち着きたい』と珍しく弱腰に答えた。
『なら好きにしやがれ。別に無理して付き合えなんて一言も言ってねえぞ』と返した。
『でも』
『でももクソもねえ。んな半端な奴に付いてこられてもこちとら迷惑だ』
『…私は大丈夫よ、だから』
『大丈夫ってほざく時点でもう駄目だな。つーかうぜえ。疲れたからもう寝るぞ』
遮断してベッドに潜り込むと、隣りでうつむいていたセレスがぽつり呟いた。
『…たまには会いにきてくれる?』
『あぁん?何勘違いしてんだ?お前が住むのは俺の家だボケ』
この台詞がほとんどプロポーズみたいなもんだったことに、吐いた本人が気付いて茶を吹くのは、かなり後である。
資金が貯まるまでのつなぎとしてヴィルノアで借りたのは、古ぼけてお世辞にも立派とは言えない一戸建てだったが、
彼女はいいと言った。
こんな調子で、いつの間にやら事実婚といっていい関係になってしまっていた。
誓う神などいない。
誓ってやってもいいたった一人の女神である戦乙女はもういない。
互いのみだという契約のようなものだろう。

383:代償
08/04/16 00:27:52 WFUCIuz9
戦士だった女が慣れない手つきで家事を始める姿は実にたどたどしかった。
壁や家具の破損を伴う度重なる凶悪な失敗に、がんばれ借家成仏しろよ家具、と何度も思ったものだった。
出される食事もけして美味くはなかった。
最初に出された夕食で泡をふいた時は正直謀られたかと思った。
しかしどの失敗にもあまり強くは言えなかった。
元は身分の高い女、他人がやって当たり前の世界にいたのだから、家事など初めてなのだろう。
それでも懸命に頑張っているのは伴侶をしていればよくわかる。
しょげる彼女に(ツンデレ全開で)次がんばればいいと(力いっぱい遠まわしに)言った。
仕方ないので泡を吹いた次の日は何百年かぶりに自分で料理した。
何とか喰えるだろうという大雑把な野郎料理そのものだったが、彼女はいいと言って微笑んだ。
彼女は本当に何も文句を言わなかった。
安い服、きたない家。昔なら食べる心配も無い栄華の頂点で皆にちやほやされながら生きていただろうに。
ふと、思い出したくもない糞野郎がセレスをからかってお姫様などと呼んでいたことを思い出す。
そうだ…こいつお姫様だったんだよなあ。………………かなり規格外だが……。
仮にも現在も続くラッセンの元領主夫人、滅びたとはいえ出身は王家。
メイドの一人も雇えないのかこの甲斐性無しとなじられるかと恐れていたが、彼女はやはり何も求めてこなかった。
あまり欲を示さない。
同じ屋根の下で生活していると色々なことに気づかされる。
戦姫だったとはいえ立ち振る舞いに気品が染み込んでいて、育ちのよさをうかがわせる。
彼女には何気ない動作なのだろうが王家仕込みの優雅で上品な作法が垣間見え、粗末な部屋と雑種な旦那にまったく合わない。
そんなのを嫁にしてしまった。
非常に落ち着かない。
そんな姿を見ていると心なしか哀れになってきて、彼女にそんなミッドガルド版神田川を強いている自分が情けなくなり、
逆に何も期待されていないのかと焦りを覚え、
自分の妻になった女なのだから、メイドは雇えなくてもせめて少しは良い家を与えようと思うようになった。
ある程度の生活はさせてやりたい。
別に惚れた女には良い暮らしをさせたいとかそういうのでは決してない。
あんまり貧乏生活させてるとそのうち書き置き残して逃走されるとか危惧したわけでは絶対にない。
とにかく金がほしい。金は幾らあっても困りはしない。
酒場で受けた簡単な仕事の後、遠くだが割の良い仕事が見つかったので、そのまま現地へと流れた。
気がつくと数ヶ月が経過していた。


宿を出る頃には、先ほどの兄弟は友達を交えてニブルヘイムの霧ごっこに没頭していた。
午前中は自分だった少年が、昼下がりには英雄ディーンと成り代わっている。

384:代償
08/04/16 00:29:12 WFUCIuz9
そう、その程度なのだろう。
カミール17将などと讃えられても所詮歴史という記憶を綴るひと欠片でしかない。
現在ではその肩書きすら使えない、一介の戦士だ。
彼女も、もう――
一人の女でしかないのだ。
理屈はわかっているつもりなのだが、実際にはうまく融合してくれない。


ヴィルノアが一歩一歩近づいてくる。足も重いが気も重い。
この数ヶ月、彼女から離れることで薄々と気付き始めてしまった問題がある。
自分が執着している女はやはり“斬鉄姫”ではないかということだ。
再会して現在の彼女にがっかりするなどという事象が起こったら、一体どうすればいいのだろう。
認めたくないのだが、ほんの少し、ほんの少しだけではあるが、恐れていた。
乱雑なため息をつく。
腐れた運命とけなしてはいたが、エインフェリアであった頃は良かったと今ではつくづく思う。
悩む必要など一切なく、戦乙女の形成する輪に属し、戦い、文句を言っているだけでよかったのだから。
あの女が一緒なのも、嫌だが仕方ない、で済ませられる空間だった。
共に呼び出されて使役されるのも然りだ。
速い。
何故、自分のものより一回りほど小振りなだけの大剣で舞えるのだろうと戦慄する。
何十匹に囲まれても気迫だけで魔物どもをたじろがせる、その圧倒的な存在感。
相手を真っ直ぐに見据える静かすぎる冷たい瞳は同時に紅蓮の炎を巻き起こしている。
動けば苛烈。それでいて艶麗。走る鮮紅は囚われることを知らず、消えた瞬間に映り、
驚愕する相手の血でもって更なる赤を誘う。
しなやかで残酷。
地べたに転がるのは必ずその双眸に映された方――
赤い雫を滴らせる剣にただ恐怖しているだけの連中には反吐が出た。
最高にいい女じゃねえか。
この良さがわからねえ弱虫どもは勝手にキンタマ縮めて怯えてろと鼻で笑っていた。
彼女の宿敵であると同時に、彼女の理解者を気取っていた。
だが、彼女は剣を捨てて変わってしまった。
言葉遣いからは剛毅が失せ完全に女のものになった。
剣を捨てることなど決してできない同類、というわけではなかったのだ。
結局何もわかっていなかった。
――それが悔しい。
今の彼女は時折別の生き物のように映り、そのギャップが非常に受け入れ難い。

385:代償
08/04/16 00:29:52 WFUCIuz9
とはいえ。
どちらかを選択しなければならないのだったら、正解は自分の選んだ選択肢だろうという確信はある。
鋭い眼光をちらつかせることはあるが、長い睫毛に大き目の緑色をした瞳、基本的に顔立ちの整ったとてもきれいな女だ。
脱いだら下乳のネーちゃんと肩を並べてエインフェリア第二位のナイスバディを誇り、
87・61・85などという、まったくもって実にけしからん(ry 
もちろんよせてあげるアレなど一切不使用の天然ものゆえ、逆に厄介である。
あまり、いやかなりモテるタイプではなく、むしろ逃げられるか拒絶される、限りなく真性喪男に属するアドニスとしては、
自分を想ってくれるなどという奇跡の女との出会いはまさに一期一会、絶対に逃せるはずもなく、
いつかきっと商売女以外に相手にされる日がくると信じて三十路近く、
さらに死んでから数百年、待って待って待ち続けて、
人生で一瞬だけモテる瞬間というヤツがやっときたと思ったら
前世で自分の首を刎ね飛ばした女だった。
皮肉なのかそれとも己のギャグ体質が招きよせたのか、
待ち焦がれていた運命の相手は前世で自分を首ちょんぱして真っ赤に染めた女だった。
おでん(故人)を心底呪った。何の罰ゲームなのかと思った。
こいつか。こいつなのか、俺の紅い星は。ほんとに赤いじゃねえかいろんな意味で。
魅かれている部分もあったのは認めたくない事実だが、正直、悩んだ。
前世で殺されたという因縁の壁を超えられない。
一度は拒絶した。

386:代償
08/04/16 00:30:30 WFUCIuz9
が。
普段強気な女に傷ついた顔をされ潤んだ目で見上げられる(オプション:全裸)などという反則技を用いられては、
素直に投降するしかないというものであった。
だいたい重装備の女が一糸まとわない姿になるというだけでも既に万歳三唱モノなのに、
そこに加え強靭なバネで跳躍し飛びかかってきやがる忌々しいあの二本の脚も、
褥では長く艶かしい別の意味での凶器に変化していた。
そういえば俺らエインフェリアのキャラデザインはエロ絵師だった。脱げばすごいに決まっているではないか。
ハッ!!しまった迂闊だった!これは罠だ!!孔明だ!!と気づいた時には既に遅かった。
ぬれた唇の下で深い谷間が刻まれているという絶景強力コンボをモロにくらい、
普段はまとめられている長い髪が肌にかかっている妙になまめかしい全身図はまるでクリティカルミスティファントム、
どうせ全部胸筋なんだろと馬鹿にしていたら、実は大変たわわに実った素晴らしいモノをお持ちであったなどという
驚愕のボディパッセージこの世の楔たる銀の以下大変お見苦しい表現により略。
秒殺フルボッコである。
ボイン好きとして、エロい人として、巨乳属性として、その壮絶たる色香の前に
ただ打ちのめされひれ伏すしか術がなかったのである。
不可抗力である。
俺は悪くない。
あいつがエロいから、そう、エロいからいけないのである。
うん、そうだ俺は悪くない。
まったくもって恐ろしい女だ!!
勿論、納得いかない部分が無いと言えば嘘になるのだが…。
結局は『ま、嫁にしたんだから俺の勝ちだ!』というご都合主義な極論に達するしかなかったのだった。


…………………。
…………………おい。
なんだよその蔑んだ目は。
ああそうだおっぱいに負けたんだよまた負けたんだよあの女によなんか悪いか文句あんなら表へ出ろこのやろう


いつの間にかヴィルノアへと到着していた。
…真面目に悩んでいたはずなのにいつの間にか変な方向へねじれた気がする。さすが俺。しかし気にしない。
だいたいそんなことで頭使う性分でもねえんだよなぁ……。

387:代償
08/04/16 00:32:36 WFUCIuz9
街道を歩く。商業の都に軍事色の強まる気配は未だ継続され、活気の中にも微妙に歪んだ空気を醸し出している。
四宝の一つが戻ってきたところでこの流れは変えられないのだろう。
徴兵なんぞ喰らう義理もない。
まだしばらくは大丈夫だろうが、今後の情勢によっては彼女を連れてとっとと別の地へ流れることも考慮している。
それにしてもかつての黒刃が生きていて、しかも宿敵の斬鉄姫を妻にしたなどと、
この大量の人間の中でも誰が信じるだろうか。
本人もたまに信じられなくなるから無理もない。
未だに実はバーボンハウスのサービステキーラでアホな夢見てるだけじゃねえのか、と己を疑う時がある。
ざわつく街並みを歩いてゆくと、例の花売りが相変わらずの笑顔を振りまいていた。
真横を通り過ぎると、
「あっ!セレスさんの旦那さんお帰りなさい!」
などと声を張り上げるので、思わずこけそうになった。
嫁はこの花売りの常連客だ。
アリーシャが贔屓にしてた花売りさんだから…とかいうわけのわからない理由で、
小額とはいえ無駄金をはたいて買い続けている。
追悼のつもりだろうか。馬鹿馬鹿しい。
とは思うものの、季節の花を手にして微笑む嫁の姿も悪くないので放っておいている。
それに、彼女にとってはアリーシャは実兄の子孫。以前アリーシャには兄の面影があると目を細めていたことがある。
自分とは捉え方が違うのだろう。
………。
セレスさん……か。
それは未だ数える程しか呼んだことのない彼女の名前だった。
剣を置き、殺気の充満する世界から解き放たれて、彼女は緩やかに変わっていった。
もともとあの破天荒熟女の姉とは思えない程落ち着き払った女ではあったが、
それに加えてしっとりとした雰囲気を醸すようになった。
それでいて今までどおり強く、女らしい深さを持ち合わせている。芯が一本通っているせいだろう。
そして。
選んだ相手―つまりアドニスに対して、とても真っ直ぐ、誠実になった。
エインフェリア時代から自分をちゃんとかまってくれる女など彼女くらいのものだったが、さらに真摯になった。
認めたくはないが、…………非常に認めたくないが、……可愛い女になった。
彼女と違い、こちらは名前すらちゃんと呼べない体たらくぶりだった。
呼ぼうと思ってもどうも息がつまる。
何かきっかけがあれば違うのだろうが、待っていてもそれは来ない。
男は愛には素人だとどこかで耳にしたことがあるが、多分そんなものなのだろうと思いこむようにしている。
自分でも認めるが、良い旦那ではない。
彼女が伝えてくる気持ちにまともに返事をした覚えがない。
仕方ない。性分だ。
彼女もそういう男だということはきっちり踏まえた上で一緒になったはず。

388:代償
08/04/16 00:33:33 WFUCIuz9
言い訳を並べていたらいつの間にやら家の前に到着していた。
迷いは持て余すものの、やはり数ヶ月ぶりの再会は心躍るものもあることを認めざるをえない。
とりあえず数カ月分まとめてヒィヒィ言わせてやらねえとな、などと下卑た思考で脳内を満たしたままドアを叩く。
それにしても今回は少々遠出をしたため時間を空けてしまった。
予定を告げてもいないが、連絡もしていない。
さすがに寂しい思いをさせただろうか。
………。
ま。
そうだとしても。
浮気なんざ、あのお堅い女に限ってねぇわなー。
つうか、あいつ俺にベタ惚れだしな。
フン。やれやれだぜ…と思いつつドアが開くのを待つこと数秒。
勢いよく開け放たれたドアから信じられない生き物が元気に出迎えてきた。
「はーいっ!どっなたですかー!!」
ちょ
「ザ」

「ザン…デ…」
裏の裏の裏の裏をかかれたとはこのことなのか――違ったそれは逃げ足魔導師だった
きょとんとした顔をして、蒼剣グランスティングの英雄・ザンデが立っていた。
視界が暗転する。
…間男いたよ間男。
嘘だろ。
よりによってこいつかよ!!どんな趣味だよ!!
こんな頬に渦巻き書いたらすげー似合いそうな奴のどこがいいんだ!?
母性本能がくすぐられるとかいうヤツなのか!?
それとも意表を突いて、とぼけた顔してモノは人妻殺しマグナムとかなのかッ!!
「おー!アドニスじゃないか!あははおっかえりー!!」
当のザンデはこちらの気もしらないで、硬直する肩をばんばん叩いてくる。
「相変わらず真っ黒いなー。洗濯したらホワイトアドニスになるのかなこれ」
意味不明な暴言とともに高らかに笑う。蹴り殺したくなる。
何が悲しくて、帰宅したら半裸の野郎におかえりを言われるなんていう拷問を受けなければならないのか教えてほしい。
全力で罵声を浴びせ問い詰めようとした瞬間、新たなる刺客が視野に入ってきた。
「帰ってきたのかアドニス!久しぶり元気だったか」
同じくヴィルノアに住んでいる堅物ローランドが爽やかに手をあげた。殴り殺したくなる。
「何だぁ?アドニス帰ってきたんか?邪魔してるぜ」
ひょっこりと出て来たのはむさ苦しいヒゲを生やした海の男イージス。沈め殺したくなる。

389:代償
08/04/16 00:34:30 WFUCIuz9
唖然とする。
かつての仲間も今のアドニスには不貞の淫棒どもとしか映らない。
何故俺の家から茸が生える。何故こんなわらわらと吹き出てくる。
お…俺の嫁が、
俺のみさえがそんなふしだらな……!!
アドしが状況をけ止められずにいると、騒ぎを聞きつけて奥の台所からその嫁が現れた。
ヴィルノアに住む同年代の女と同じ服をきているが、遠目からでもどこか違う雰囲気を漂わせているのは、
内に潜めてある強い煌きがどうしても滲み出てしまうからかもしれない。
単に旦那の欲目という説もある。
「アドニス…?」
姿を確認すると表情に花が咲いた。
「おかえりなさいアドニス」
その表情を見れば彼女の心が誰のもとにあるかなどすぐにわかるはずなのに、
憤怒の塊と化したアドニスには、家庭を夢見る男なら誰でも憧れるその微笑みも目にはいらない。
「テメエこのひまわり女っ!!なんだこの状況はぁっ!!」
「は?」
「ちょっ、おい!待てって!」
彼女に詰め寄ろうとしたアドニスを、ローランドが慌てて止めに入った。
「おいおい何だよ何だよ」
セレスに一番近かったイージスが丸腰の彼女をかばう形で立ちはだかる。
血管が切れる。
何故伴侶である自分の方が悪者になっているのか、理解できるが理解したくないのでしてやらない。
「てめえ斬鉄姫!!そんなに若い男がいいかあああぁあっ!!」
「落ち着けアドニス!装備がおっさん臭いがお前も実はまだ若いじゃないか!」
天然のローランドは悪気がないので本当に一言多い。
「放せっ!あああほんっとにうぜえなあこのカミナリ野郎はっ!!
 アリーシャ狂いのテメェを同じ街に置いとけばいくらか安心だと俺は踏んでたんだぞ!!
 何がっつり参加してんだよっ!!畜生所詮男かテメェも!!」
「落ち着けって!意味がわからん!あとアリーシャ様またはアリーシャ王女と呼べこのイカスミ星人!!」
「だいたいテメェは口ばっかりで実際に何とかしてくれたためしが殆どねーじゃねーかっ!!
 俺がバカだった!!まったくもって安心できねー!!」
「何だと!?お前正直者すぎるにも程があるぞっ!!」
八つ当たり先のローランドとの衝突が起きようとした瞬間、ザンデが突然頭を振りながら雄たけびをあげた。
「駄目だダメだだめだあアドニス!ずっと待たせてた奥さんに酷いこと言っちゃだめだー!!」
誰 の せ い だ

390:代償
08/04/16 00:35:25 WFUCIuz9
「違うだろおぉお!?やっと帰ってきて久しぶりの再会なんだからさあっ!!
 もっとこう、逢いたかったとか!愛してるとか!それからこう、ぎゅー!とか!!ちゅーとか!!」
「アホかボケこのザンデ流が!俺が街中でそんなことしたらわいせつ物陳列罪でしょっぴかれるだろうが!!」
「罪状が違うぞ。強制わいせつ罪だ」
「いやあながち間違ってねーと思われ」
「うるせーぞエリンギ二本!!」
「ああぁあっ!その態度…さてはまったく反省してないなあ!?ここは一発お仕置きだああぁ!!ザンデ流!」
諌める間も与えず、バカの身体が回転しながら空高く飛び上がる。
「オリハルコンチョ―ップ!!」
自分めがけて振り下ろしてきた。
向けられた害意を目の当たりにして、アドニスの、腕っぷしだけではない、戦乱の世をたくましく生き抜いた
強靭な戦士の頭脳が高速で回転する。
―――え?チョップて……
大剣もってる俺にチョップで対抗?
無謀すぎるだろ!実はなにか計算があるのか!?
はっ!
しまった!
そうじゃない!!
こいつは本物のバカだった!!――(この間約0.8秒)
……まともに戦略を計算しかけた自分が情けなくなった。
それが苛立ちと連動する。
「ああぁあもう糞うぜえんだよとりあえず死んどけゴルァ!!」
大剣を振り上げ迎撃用の構えをとると、
「ばかっ!本気になるなよ!!」
ローランドに邪魔されてしまって舌打ちした。
フン、だがな!俺のこの選び抜かれた黒い兜にチョップかましたところで痛えのはそっちの方……
などと鼻で笑っていたら、背後からイージスに補助魔法を叫ばれた。
『マイトレインフォース!!』
こ の 溺 死 野 郎 
避けることも防御することも許されぬまま、1.5倍に増強されたザンデチョップが容赦なく振り下ろされる。
勝敗は決した。
「ローランドサンキュー!イージスナ~~~イス!」
「やっぱり仲間とする連携は最高だな!」
「や~エインフェリア時代を思い出すな~」
ぷすぷすと煙を上げている自分をよそに、朗らかに笑い合っている三人が忌々しい。
予想外としか言いようのない帰宅の洗礼に震える拳を握り締めていると、
「アドニス」
目線の先で紅糸がさらりと揺れる。
「何してるの……もう」
思い切り呆れ顔のセレスが、膝をついて自分を見おろしていた。

391:代償
08/04/16 00:36:10 WFUCIuz9
目にかかる髪を耳にかけて髪留めで押さえているため、今は両目が自分を見据えている。
長い指先が一撃を食らったあたりを心配そうに撫でてくる。
珍しいまでにあでやかな朝摘みの薔薇色をした長髪、素でも十分に華やかな顔立ち。人目を引く美しい女なのは認める。
しかしだからといって浮気をしていい免罪符にはなるものか。
「てめ…っ!元はといえばてめえが…!」
肩をつかもうとした瞬間、夫婦の間を一本の古ぼけた杖が遮断する。
ぎょっとして顔を上げた先には、ミスタークゥルダンセル・ミトラが非難めいた渋い顔をして立っていた。
「騒々しいと思ったら…。まったくいつまでも落ち着かんなお前は」
「ぎゃああ!!決して若くない男までいやがるのかー!!」
嫁の守備範囲の広さに驚愕して思わず絶叫する。
「何だその言い草は。私とて肉体年齢はお前と6つしか違わないぞ」
とてもそうは見えない貫禄の魔道師は、たくわえたフサフサのヒゲを撫でつつ、諭す。
「手を出す前に、まず話を聞いてやりなさい。彼女はお前の妻となり剣を置いた身なのだぞ。
守るべき立場のお前がそんな簡単に手をあげてどうするのだ」
ぐっとつまるアドニスの背後で、
「お~さすが年長者は言うことが違う」
先ほどのチョップトリオから拍手が起こった。
「うるせえ!説教なんてきかねえぞ」
自慢ではないが、ていうか当然のことだが、手を上げたことなど一度もない。斬ろうとはしたが。
「そう大声でわめくな。ほら聖水やるから少しは落ち着かんか」
「そんなすさまじく疑わしい聖水いるかー!!」
何なんだこのメンツは。何でこんな連中が集ってるんだ。理解できない。
「おいてめえ!何でこんな、男ばっか生えてんだよッ!!」
そう嫁に怒鳴りつけると、間をおかず反論が飛び掛ってくる。
だがそれは嫁の声ではなかった。
「女もおりますよ。奥様とお昼の支度をご一緒させていただいておりました」
いつのまにかセレスの隣りにきていた青い髪を束ねた女が、はっきりした口調で言った。
ぴしりとした態度に一瞬詰まったが、顔に見覚えがなかったのと、セレスを奥様と表現したことより、
家政婦か何かの類だと判断する。
「おいっ!!勝手に家政婦なんて雇ったのか!」
怒鳴りつけるとセレスの顔から速攻で血の気が引き、女の顔には弱く苦笑が浮かんだ。
「あら…うふふ、覚えていただいていないようですね」
「もう!あなたって人はホントにっ!ああ…ごめんなさい気を悪くしないで」
「構いませんよ。彼とはあまり交流もなかったし、鎧を脱いでしまったらわかりませんよ」
どうも知人らしいその寛容な女は、聞き覚えのある上品な声で朗らかに笑った。
「お邪魔しています」
ここでやっと記憶がつながる。
白銀のリシェルだ。

392:代償
08/04/16 00:37:17 WFUCIuz9
彼女が丁寧に頭を下げると、嫁とは対称的な青い艶髪がさらりと揺れた。
ずいぶんと印象が違う。セレスよりさらにお堅いなどという論外な女だと思っていたのに。
芯の強さは感じさせつつ、楚々として流麗な女だ。
嫁が夫の無礼を必死で謝罪している最中、当の馬鹿旦那はというと、
…こんな綺麗な女だったっけか?と目を丸くしていた。
これは盲点だった。
「一緒に戦った仲間を覚えてないなんて」
嫁には非難がましい視線を浴びせられたが、
そんなこと言われたって当時はほぼ尻しか見てなかったからわかるわけねえだろ 
とか言ったら包丁でボディパられるのでやめておく。
リシェルは微笑を絶やさぬまま、落ち着いた物腰で何気なく説明を入れる。
「驚かせて申し訳ありません。ゾルデとコリアンドルあたりに住んでいる者達で、こちらに遊びにきたんですよ。
 本当に、奥様とローランド殿のご好意に甘えさせていただいてばかりで。心から感謝しております」
だからどうぞご安心くださいね、と言わんばかりの美しい微笑みに押されて、口ごもってしまった瞬間だった。
屋内から何もかもをぶち壊す、母譲りを隠そうともしない一陣の風が吹く。
「セレス伯母様どうされましたー?あっ!ああああっ!!やああっと帰ってきたんだこの首もげ野良亭主!!」
派手なピンク色のフリルふりふりエプロンを装着したクリスティが飛び出してきて、物凄い勢いで絡んできた。
「ねーねーアドニスアドニス~アタシやっぱりアドニス伯父様って呼んだ方がいい?
 でもアドニスって伯父様ってカンジじゃないよね!屋台のおじちゃんみたいだよね!
 ねじり鉢巻とかすっごい似合いそうなんだけど。だからもうアドニスでいいよね!!ねっ!
 本当はさあアタシ的にはセレス伯母様にはもっとステキな人がいいって思うんだけど、良かったねアドニス!
 あっはははは棚からぼた餅ってヤツ?あっ違うかあ猫に小判?いや豚に真珠かなー!!?」
「ほっとけ!!」
「ああ~んそうそうそうなのよアドニスなんかホントどうでもいいの!それよりさそれよりさ~~聞いてよお!!
 またはぐれちゃったの!!愛しのセルヴィア様とお!!セルヴィア様見なかった!?」
あのやかましい義妹と双子同然な姪が、自分のまわりをくるくると回る。
そういえば水上神殿の近くを通りがかった時に緑色の物体が蠢いているのを遠目で確認したが、
あれはひょっとしてこちらに手を振っているセルヴィアだったのだろうか。
確証はない。違っていて八つ当たられたらムカつくので黙っておく。
どうせ手がかりがなくても地の果てまで追いかける気なのだこの娘は。
「ねえねえアドニスってばー」
にしてもうるさい。
セレス達曰く、『母と同様で自由奔放だが誰からも愛される性格』らしいのだが、アドニス的にはただの騒音である。

393:代償
08/04/16 00:38:18 WFUCIuz9
ハエを振り払うのごとく怒鳴り散らす。
「うぜえ!しらねーよ!ファーラントの野郎なら鉱山の入り口でショートして煙吹きながらぶっ倒れてたが」
「ええっ!たっ倒れてたんですか!?」
「ちょっと!まさかそのまま放置してきたのっ!?」
「サイテー!オニー!アクマー!」
リシェルの驚き声とセレスの怒った声とクリスティの煽りがセットでアドニスを責める。
余計なことを口にしてしまった。
「知るか!そこら辺で拾った戦士の秘薬恵んでやっといたからいいだろ!何で野郎なんぞ助けなきゃなんねーんだよ!」
本当はあっさり元気になったファーラントに
『久しぶりにセレス様にもご挨拶に伺いたいからついていっていいか?』と尋ねられたのだが、
嫁に会わせたくないから振り払って帰ってきたなんて言えない。
ファーラントは(脳みその構造はともかく)熱血漢な上に顔立ちも良く、子供向けの正義のヒーローを絵に描いたような男だ。
自身を殺めたクレセントにも、裏切り者なはずのセレスにも寛容で態度が良い。
散々苦労したはずなのに欠片も捻くれていない晴れやかな笑顔が気にくわない。
というか、その気がなくてもセレスに馴れ馴れしい野郎などみんな敵だ。
『いいじゃないか連れてってくれよー』
笑顔でだばだばと追いかけられて必死で逃げた。
『うぜええっ!!どうせならお嬢様んとこ行きやがれ!精霊の森だ!10オースくれるぞ!がんばって海泳いでけ!!』
まるでロケットランチャー無しでタイラントに追われるジルの気分だった。
奴の自慢の逃げ足を振り切るのは非常に困難だったが、裏の裏の裏の裏の裏をかいてマッハアドニスとなり何とか煙にまいた。
なんてことをしたら当然ながら非難の的である。
その場にいる全員にぎゃんぎゃんとわめかれ、逆ギレゲージが順調にたまっていく真っ只中、
ほれトドメとばかりに、大あくびをしながら最終兵器が現れた。
「エルド……」
少年の容姿に似合わぬどぎつい漆黒を纏った元暗殺者がふと立ち止まる。
アドニスとはロゼッタ時代からそりが合わない男だった。荒くれた気性が同じなのだ。
ラッセン襲撃時、半分ほど、いや半分以上見殺しにしてくださった、目障り極まりないクソ同僚である。
快く思っていないのは相手も同じようだった。
眠そうな顔から一転、苦虫を噛み潰したような表情になり、心底からうざったそうに吐き捨てる。
「帰ってきやがった」
しつこい汚れを発見したような視線を浴びせられる。
自分の家に戻ってきたことがそんなに悪いのか。
「テメェ…何でこんなところにいるんだよ」
「はぁ?お姫様んとこ遊びに行くって声かかったから来ただけだ。なんか悪りぃのか?」
何でこんな奴に声をかけたああぁっとばかりにローランド達にガンと飛ばしたが、みんな一斉にそっぽを向いた。
今にもブチ切れそうな怒り心頭の夫と、その隣りで困り顔をしている妻の顔を交互に見比べた後、つばを吐いて毒づく。
「こんな深海で蠢いてそうなムラサキイカスミのどこがいいんだか…」

394:代償
08/04/16 00:39:07 WFUCIuz9
「あぁ!?何か言ったかこの ド チ ビッ !!」
言ってはいけない言葉を一文字一文字正確に発音して堂々と投げつける。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ という擬音の醸す威圧感とともに、病的で凶暴な瞳がギョロリと動く。
互いに外見がJOJO化するのをやめようともせず一触即発の言い争いは開始された。
「人のこと言う前にその変態全開のむさ苦しい装備何とかしろよ!キメェんだよその胸当てッ!早いとこまた首もげろ糞がッ!」
ドドドドドドドド
「ヘッよくもまあ偉そうに小人の分際でッ!とっととセラゲ行って純白の腰布でも巻いてハムに噛まれつつ犬小屋覗いてろッ!」
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
「アドニス、エルドもやめて」
セレスが割ってはいると、喧嘩相手は面白くねえとばかりに舌打ちをして目をそらした。
それすらも癇に障る。
「おい何故そこで言うことを聞くチンピラ暗殺者!かかってこい」
沸騰して大剣を構えるアドニスにエルドは呆れ切った顔を向けていたが、
直後に悪巧みを思いついた表情になって口元を歪める。
「あーあ!そりゃこんなクソ旦那じゃ余所見したくなるのも無理ねえよなー!」
「何だと…」
人妻の肩ををぐいと抱き寄せ、耳元でわざと聞こえるようなささやきを漏らす。
「続きは後でな。お姫様」
その場にいる全員がピシッと固まる。あらま、と口に手を当てたフィレスの娘以外は。
セレスに手を振り払われるとククッと陰湿に嗤い、再度けだるげな欠伸をしながら立ち去ろうとした。
「テメェっ!!誰が逃がすか…」
怒りに任せて後頭部を鷲掴んでやろうとしたら、即座に振り返られ、その鋭い眼光と火花を散らす。
だが先ほどと違い、相手の声色は既に落ち着いていた。
「ならちゃんとそばにいてやれよ。連絡もしねーで長らく一人きりにしとく方が悪りぃに決まってんだろ。
 此処もナリ潜ませてた連中がずいぶん出しゃばってきてるじゃねーかよ。
 こんな状況の街に剣置いた自分の女一人ぼっちにしとくか?ばっかじゃねーかこのビチグソイカスミ」
無駄に正論を含んだ毒を吐くだけ吐くと、
「ほんと男の趣味悪すぎ。AAA史上最悪」
後は振り返りもせず人ごみに紛れてしまった。
しばし呆然と立ち尽くす。
何故だ。
何故あんなドチビにダメ出しを喰らわなければならない。
何故目の前で他人に嫁の肩を抱かれなかればならない。
何故『今のはエルドが正しいわな』と言わんばかりの視線を方々から注がれなければならない……!
心底困り果てたといった様子の嫁の手を振り払う。

395:代償
08/04/16 00:40:44 WFUCIuz9
全身から瘴気を放出しながらずんずんと歩き出す。
「何処行くの!?」
「とりあえず殺してくる。話はそれからだ」
「ちょっともうっ!」
「ガタガタ言うな死なねえよ殺すだけだ」
「「子供かお前はっ!!」」
一歩進む度に一人制止してくるので、七歩進んだ時にはもみ合って丸めた団子虫のようになっていた。
その神レベルのうざさに、ただでさえ短い導火線が終了の合図を告げる。
絡みつく連中を乱暴に振り払っって牙をむいて吼える。
「出て行け!!どいつもこいつも俺の家から出て行けえええぇぇええ――――ッツ!!」
その気迫は赤の他人になら身も竦むような鬼神の咆哮なのだろうが、彼をよく知っている仲間達には、
ただただ場を白けさせるだけのものであった。
円陣を組んだ一同により、ヒソヒソと会議が始まる。
「ま~たご乱心だよ」
「ブチ切れはこいつのお家芸だから」
「ほんとセルヴィア様とは大違い!」
「だーいピーンチ!」
「自分は連絡もせずブラブラしてたのは本当なくせにな」
「身勝手なくせに嫉妬深いんだよこういうヤツって」
「きっと俺らのことも淫棒×5とか思ってるぜ」
「皆さん下品です…」
「まったくあんな男のどこがいいんだねセレス」
「ホントホント~セレス伯母様どこがいいのー?」
「たまには息抜きにゾルデ里帰りするか?無理しない方がいいぞ」
「え?ええっと…やっ、そんな皆で……えっと。そうねえ、多分無意味に黒いところ。かな?とか、素敵?なのよ?」
「そんなの絶対気のせいです夢です蜃気楼ですセレス様byクレセント」
「でも本当に、うまく言えないけど、良いところもあるのよ…」
「つーかそんなんで選んでもらえるのなら私も10分後にはカノンローブ着用なわけだが」
「俺漏れも」
「愛って難しいな!」
「ああーんセルヴィア様ー!!」
「そういえばリシェル殿、俺も先日ゴーラ地方へ行ってきたんですよ。土産の銘菓カノン焼きを後でお渡ししますね」
「まあありがとうございますローランド殿、苦しまないように頭からかじるといたします」
「ところでどうするこれから?」
「誰か聖水いらんか?」
「一時撤退だな」
「一時じゃねえ!!永久に撤退しろ!!つーかいい加減にしろテメエらあああああぁぁあ――っ!!!!」
「セぇルヴィア様あああっあぁあぁああ――――っ!!!!!!」
流石にこれだけ騒いでいると人の目が気になり始める。
それぞれ不満を口にしながら、ローランド宅へと撤退していった。
「待てそこの俺の嫁!!お前は残れ殺すぞ!!」
「えー」
「えーじゃねえこの豚野郎!!」






396:代償
08/04/16 00:41:40 WFUCIuz9
苛立ちが止まらない。
去り際にカナヅチが小声で、大丈夫かと声をかけていた。
心配しないで、ありがとうと小さく微笑む。
何が心配しないでだ。何がありがとうだ。
何もかもが気に入らない。
家の中に足を踏み入れると、相変わらず小奇麗に片付いてはいた。
ウォルターから贈られた“結婚生活に福を呼ぶ”らしい観葉植物が、今日も不気味に蠢いている。
使われなくなった剣が立てかけてある。隕石から作られたと言われている鈍色の名剣ムーンファルクスだ。
解放時にセレスが持たされた刀剣である。
シルメリアやキルケ・ソファラといった女エインフェリア達が、セレスのために選んだ。
故に、剣を捨てた今でもとても大事にされている。
特記事項は聖属性+30。
さらに『ファルクス』とはアドニスと同じ場所でマテリアライズできるもう一人の英霊の名。
セレスは否定するが、アドニス的には聖属性-30の自分への集団嫌がらせの何者でもないと信じている。
室内は荒れてこそいないものの、多くの人間がいた形跡が当然とばかりに残っていた。
雷鳴まんじゅうだの聖水お得用タイプだのがテーブルの上を我が物顔で占領している。
来客の目を楽しませるためか、中央では白い花が普段の数倍咲き乱れていた。
外した防具を力任せに投げ捨てて騒音を立てつつ、留守を任せておいたはずの嫁をギロリと睨む。
「何だこの惨状は」
「何だもなにも。見ればわかるでしょ。ゾルデとコリアンドルあたりに住んでるもしくは生息してる
仲間達が遊びにきてるのよ。リシェルもそう言ったじゃない」
冷静な対応がアドニスをいっそう煽る。
「百歩譲って女どもはいい!!野郎泊めるなんて何考えてんだ!!」
「泊めてないわよ。男はみんなローランドの家。今は食事にきてただけ」
拍子抜けな事実に勢いを殺がれて沈黙する。
腕組みしたセレスが重いため息をついた。
「これでOK?心配しなくてもあなたに顔向けできないようなことは何もなかったわよ」
いだいていた疑念の内容が筒抜けである。
そして実際、本当に何もなかったのだろう。自分の妻とは思えないほど貞操観念のしっかりしている女だ。
「いいじゃないの知らない仲じゃないし。宿代だって馬鹿にならないのよ」
頭ではわかっているのだが、どうしても納得がいかない。
「……じゃあ一万歩譲ってあの連中も許そう」
大きく息継ぎして腹の底から叫ぶ。
「あのドチビを入れるなあぁあ!!」
「もう怒鳴らないでってば。正直私もエルドが来るとは思わなかったわよ。こういう集まり好きそうじゃないし。
 でも来ちゃったなら無下にはできないでしょ」
当のセレスはどうでもよさそうな口調だが、あの男に関しては苛立ち以上にどうしても不安が募る。

397:代償
08/04/16 00:42:50 WFUCIuz9
「おい…マジに何にもなかったんだろうな」
滝のように汗を流しながら問いつめたら平然と言い返された。
「そりゃちょっとくらいは迫られたけど」
「な、なんだってー!お前まさか‥‥!」
「馬鹿な心配してないで。応じるわけないじゃない。
 あの人別に私がどうこうじゃないもの。ただまとまったものを引っかき回して、壊したいだけよ。困った人よね」
とは言われても動揺の火はなかなか消えてくれるものではない。
「だいたいだな続きってなんだ続きって!何してたっ!」
「もう、見事に惑わされてないでよ。あくびしてたでしょ。
 あの人昨夜はローランドの家に泊まらないで夜中ずっと遊び歩いてたみたいよ。
 うちに来て朝食食べてからずっとソファで寝てたもの。続きも何もないわ」
「だが……!」
「アドニス」
以前は交えることを躊躇うこともあったその視線は非常に潔く、迷いなく自分に注がれる。
「エルドの性格はわかってるでしょ?あなたがそうやって反応するから喜んでああいう嘘つくのよ。少しは落ち着いて」
閉口する。あまりにもその通りなのだが、何も悪くないのに叱られたようで気に食わない。
「…前から思ってたんだが、あいつ実はお前を」
「ないない。ないない。私なんか。それにエルドってかなりモテるみたいだしね」
この嫁の何気ない一言が、傷口生々しい生前の記憶を否応なしに呼び起こす。
そう、あの糞野郎は妙に女に人気があった。あんな女顔したミラクルドチビの何処がいいのかさっぱりわからないが。
エーレンも適度にきゃあきゃあ言われていた。クレセントが殺気を放出して蹴散らしていたが。
ゼノンにいたっては状況に合わせて不気味な眉ナシ顔と美形な眉アリポリゴン顔を使い分けるといった人外な凄まじさだった。
他の連中には黄色い声援が飛び交うのに、自分だけウホウホ動画だった将軍時代のつらく悲しい過去が抉り出される。
現実に打ちのめされる旦那の周囲に縦線が何本も入って人魂が浮いているというのに、
「ロゼッタのみんなとも集まる機会があるといいわね」
のほほんとクレセント頑張ってるかしら?などと言っている嫁の姿には実妹と同じ血を感じる。
つい嫌味を言いたくなる。
「いいご身分だな。旦那が稼いでる合間に何匹も男連れ込んでよ」
さすがのセレスもこれにはムッとしたらしい。
「そんな言い方しないで。本当は日程とか相談したかったのよ?でもあなた、ちっとも帰ってきてくれないんですもの。
 みんなの都合もあるし延期はどうしても出来なくて」
「俺のせいだっつーのかよ」
「そうじゃなくて……!」
「ケッ。何本咥えこんでたんだかな」
それは言ってはならない一線を越えてしまった一言だった。
身持ちの固いセレスには余計に残酷である。
目を見開いたまま硬直していた表情は、だんだんと悲しげに歪んでいった。
「ひどい‥‥」

398:代償
08/04/16 00:43:42 WFUCIuz9
うつむく彼女から目をそらし、
「あーあー!俺も遊んでくりゃよかったな」
大声で嫌味を吐き捨てる。
流石に傷付けているのはわかるのだが、止まることができない。
「やめてよ皆に失礼じゃない!私なんか…」
斬鉄姫として恐れられ続けていたせいなのか、嫁はどうも容姿の割に女としての自己評価が低く、ちぐはぐに感じる。
それさえもアドニスには他の男どもを庇ったように聞こえて、さらに機嫌の悪さを増すばかりだ。
暴言を続けようとしたら、キッと顔を上げたセレスに先制された。
「何よっ!アドニスだって!!」
「おお何だ俺がなんだ!俺は潔白だぞテメェと違ってな」
「聞いたんだから!キルケやクレセントに飽き足らず、手当たり次第声かけてたでしょ!?」
…チッ。
バレてら。
「ソファラに『今日はちゃんと穿いてんのか』とか馬鹿なこと聞いてスクランブルガストされたでしょう!!」
「なっ!待て!違う!」
「『姉さんに失礼なこと言わないでください!』って怒られてミリティアにもスクランブルガストされたでしょう!!」
「それはあくまで絶対領域による一部庶民への破壊的効力について考察するべき永劫の螺旋へと続く純粋なる探究心でだな!」
「仕舞いにはゼノンにも『セクハラはいけませんねアドニス』って制裁のグランドトリガーくらったでしょうっ!!」
「つーか本気で冷えるんじゃねえかと心配しただけだ!!無実だ!!濡れ衣だ!!」
「嘘 つ き っ ! 何でそんなこと言えるのよ信じられない馬鹿!変態!ドスケベ!!最っ低!!
 そんなんだからエインフェリアセクハラ四天王の不動の一人に数えられてるのよばかばかばかっ!!」
口げんかのボルテージが上昇するといつも思う。
や っ ぱ り 斬 り た い 
逆ギレも兼ねてテーブルを思い切り叩きつける。
「ああわかったぞこのクソ女が!!ケンカ売ってんなら全力でかってやるぞ剣を持てコラあ!!」 
「何よばかっ!そんなこと言ってるとまた首飛ばすわよっ!!」
「上等だてめやってみろこのやろ偶然の産物とかほざいてたくせに」
「何よばかばかっ!!そんなんだから聖属性-30なのよ!!」
「何だコラ!全属性抵抗+5だのボディパだのクソ優遇設定だからって威張ってんじゃねーぞ!!」
「やっ!ちょっとムーンファルクス持たせないでよ!!あなたホントたまにドSなんだかドMなんだかわからないわ!!」
「生前は漢の中の漢を極めてたテメェにとやかく言われたかねー!!」
とても前世で英雄だったとは思えない夫婦の低レベルな口喧嘩が展開される。
こうなるとどちらも退く気ゼロだからタチが悪い。
それが幸運にも一時停止されたのは、ぎゃあぎゃあともみ合っているうちにアドニスの荷物がどさりと落ち、
オースと戦利品がぼろぼろとこぼれ出たのがきっかけだった。

399:代償
08/04/16 00:45:07 WFUCIuz9
通貨とともに、価値を知っている者なら生唾ものであろう珠玉や金銀財宝が床の上に撒き散らかされ、
ある意味夢のような世界が広がる。
宝石が一つ転がっていってセレスの足元を小突いた。
「ケッ!真面目に稼いで戻ってきてやったらこのザマだぜ!やってらんねーったく」
「…」
大人しくなった嫁の手が大粒の宝石を一つ、つまみ上げる。
フン所詮女だな光り物で黙りやがった―――
アドニスが鼻を鳴らすと同時に、宝石はテーブルの上にコトンと置かれてしまった。
二つの瞳は相変わらず自分を見つめている。
「…どうして連絡をくれなかったの?私は酒場で受けた仕事だけかと思ってた」
「ヘッ!別に関係ねーだろ俺が何やってようとテメェにはよ。お楽しみだったんだろ?」
「いい加減にしてよっ!!」
突然の悲痛な叫びに耳をつんざかれる。
そのあまりに痛々しい音に面食らって暴走を止めた時、己のせいで嫁が深く傷ついてしまった現状をようやく理解した。
…ヤバい。あっちもブチ切れ寸前だ。
血の気がひく。
あっという間に重苦しい空気に支配されてしまった。
下手をすれば離縁がチラつく絶体絶命の真っ只中、セレスが先に沈黙を破る。
「…言わないと溜まっちゃうから言わせてもらうけど」
「ケッ!」
つっけんどんな態度を取りつつも、何を言われるのかと焦燥して身構えていると、
「私は。たくさんのお金より、一日でも早く無事に帰ってきてくれる方が。…私は、嬉しいのよ…」
意外にも素朴で可愛い答えが返ってきた。
…いかん。抱きしめたい。でも我慢。
「おいせっかく稼いできてやったのに何だその言い草は」
「わかってる。わかってるから、だからもう怒らないで。やっと戻ってきてくれたのにケンカなんてしたくない」
気づくと距離をつめられている。
胸に手を添えられて、そのまま自然な流れに乗って抱きしめられていた。
「会いたかったのよ…」
こうされると口ごもるしかない。
嫁は明らかに狂犬旦那の扱いに慣れている。
「みんなとは本当に話をしていただけだから」
仲間内からは狂犬馴らしのゴッドハンドと評される手が頬をなでる。
いいように宥め賺されているのはわかっているが、悪い気分ではない。
「フン…」
「近況とか、後はエインフェリア時代のこととか。思い出話をしてただけ」
完全に手玉に取られている気がしないでもないが、悪い気分ではない。
けれども。
夫をゆったりとほぐしていく中、奥方は一つとんでもない墓穴を掘ってしまった。

400:代償
08/04/16 00:45:44 WFUCIuz9
「私も、ラッセンでどんな生活してたのかとか。それだけよ」
セレス的には、平穏な生活という他愛無い話題だったと言いたかったのであろう。
だがしかし、ラッセンという単語は彼女の現在の伴侶にとって激しくNGワードであった。
何故なら、
ラッセン(ぽく)
領主(ぽく)
前の旦那(ちーん)
という脳内展開がなされてしまうからである。
「…へえ。………前の旦那がどうしたって?」
引っ込めかけていた黒いものが勢いよく噴出し、笑顔が壮絶に引き攣っている。
「ちょっ…何でそうなるの!?待ってよ!あの人のことはもう……」
「 ア ノ ヒ ト だ あ ? 」
心底どうしようもない男だと言わざるをえない。
「冗談じゃねーぞ」
兜を乱暴に投げ捨てる。
いくら嫁が猛獣調教のゴッドフィンガーでも、旦那は射殺処分相当レベルの珍怪獣である。
無造作に伸びた髪からのぞく血色の目がぎょろりとセレスを捕らえる。
「忘れさせてやる」
「ちょっ」
乱暴に引き寄せようとしたが相手が身を引いたため、胸元の布だけが裂けて手の内に残った。
反射的に胸元を覆う彼女の肩を捕らえて抱き寄せ、鼻先で睨みつける。
「思い出だぁ?ふざけんなそんなもん全部消せよ。つーか俺が今潰す」
生前は『こんな女を娶らなくちゃならねえなんてな』と同情と嘲笑対象だった男が死ぬほど憎い。
生きているなら今すぐにでもブチ殺しにいってやるのによ――!!と思う程に。
既に消えていて危害を加えられないその存在に、腹の奥から煮えたぎる。
「いいかわかってねえようだから教えてやるぞ」
ギリギリまで顔を近づけてから、彼女の身に叩き込むかのごとくはっきりと言い放つ。
「お前は俺のもんなんだよ。何もかもだ!!余計なモンはとっとと捨てちまいやがれ!!」
この俺様暴言に、セレスの表情がすっと曇って冷気を帯びた。
「物扱いしないで」
その言葉とほぼ同時。
容赦ない膝蹴りがアドニスの某所に打ち込まれた。
それは剣を置く彼女に護身術としてアドニスが教えこんだ、必殺の殺人技だった。とても男性限定的な意味で。
結果、己に使用される回数がどう見てもダントツ一位です本当にありがとうございました。
悶絶してぶっ倒れるしか術はない。

401:代償
08/04/16 00:48:43 WFUCIuz9
「てめ…お前のモノでもあるんだぞこれは…」
「ええよく知ってるわよ。不必要なくらいタフな息子さんよね」
M属性なら瞬間昇天ものの冷ややかな視線が降り注ぐ。
このクソ女、嫁になって本物の鬼女に昇格しやがった……。
「俺はどうなってもいい‥‥息子にだけは手を出す‥‥な‥‥‥‥」
バターンと床に沈む夫を無視して、付き合ってられないわとばかりにため息をつく。
「もう乱暴なんだから。これお気に入りなのに…繕わなきゃ…針仕事苦手なのに」
そんな嫁の豊満な胸の揺れを察知して、まだ終わらねー!とばかりに夫は復活する。
「捨てちまえよ。じゃなきゃ雑巾にでもしろ。服なんざいくらでも新しいの買えばいいだろ」
「そんな勿体無いことできないわ」
「金なら持ってきてやる。だから浮気だけはすんじゃねぇ」
「そういう問題じゃ」
「当然別れてもやんねーからな!!ざまあみろ!!」
語気を荒げると、ほとほと呆れ果てたといった顔をされた。
「もー…どういう反応すればいいのよ私は…」
「知るか!」
誰に似合わないだの不釣合いだの言われようが知ったことではない。
手放すつもりなど毛頭ない。
自分にこんな手をして触れてくる女は何処にもいないのだ。誰が放すか!
片腕で乱暴に抱きしめる。
「抱くぞ。文句ねえな」
「何言ってるの皆が」
予想通り血の気を引かせて拒絶しようとしたので、有無を言わさず唇を塞いでやった。
「んっ、んふ…。んんっ」
息継ぎのために離しても、抗議の声をあげられる前に再度強引に吸い付く。
「やっ!待っ、こんな所で‥!」
抵抗など無視して壁際に追い詰め、押さえつけた。
首筋に舌を這わせ、布ごしに柔らかく白い膨らみを揉みしだく。
数ヶ月間焦がれていた肌はとても甘く感じる。
止まれるわけがない。
「や…っ」
女の匂いと感触。柔らかな唇。息遣い。小さな抵抗。欲情するなという方が無理だ。
「待って、お願い後にしましょ?久しぶりなんだからゆっくりじゃないと……」
「好き勝手しといてんなこと言える立場か?あぁ?」
「そんな」
「気ぃ立ってんだ大人しくしとけ」
「…」
多少のねじれはこの際気にしない。


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