【裏切りと】悪の女とH 第5期目【愛の狭間で】at EROPARO
【裏切りと】悪の女とH 第5期目【愛の狭間で】 - 暇つぶし2ch150:名無しさん@ピンキー
07/12/09 07:10:55 2KoVkXAX
エロゲーとかだと、そういう所から愛に変わったりする…

151:名無しさん@ピンキー
07/12/09 20:42:45 +RHAJ3hY
ストックホルム症候群だな。

152:名無しさん@ピンキー
07/12/10 21:06:36 Oiu6yBjH
>>151
幻覚みたいなものか?

153:名無しさん@ピンキー
07/12/10 21:19:43 WTHdPAAp
>152
幻覚とは違うな
こんなの
URLリンク(ja.wikipedia.org)

154:名無しさん@ピンキー
07/12/12 06:43:05 pLU4KFQF
高慢で高嶺の花だからこそ
モノにしたいというのはあるな

155:名無しさん@ピンキー
07/12/12 11:04:19 wVOGtP42
>>150
作品名kwsk

156:名無しさん@ピンキー
07/12/12 23:01:24 AhwWz0PB
>>83の神絵はもう見れないのか……


157:名無しさん@ピンキー
07/12/13 04:37:16 m60SqA+m
>>156
専ブラのプレビューで判断してない?

行けば見れるぞ

158:名無しさん@ピンキー
07/12/13 18:33:15 bBEoZb7V
久しぶりに投下します。
・ザーラ悪行話その2
・女幹部×男幹部(悪)
・エロは少なめ
・6レス程度消費予定

159:ある幹部の末路
07/12/13 18:35:20 bBEoZb7V
 秘密組織《シュヴァルツ・バタリオン》地下本部。この最深部はすべて首領自身の居室や
司令室で占められている。が、首領個人の休憩室から出てきた人間は、首領でもなければ
勤務の職員でもなかった。長身の女―軍服のような制服に身を包んではいるが
その胸元を大きく開けているため、巨大と言っていい大きさの乳肉が半ば露出している。
タイトスカートからは黒いストッキングが覗き、むっちりとした、それでいてすらりと長い
脚を彩る。美しくも鋭い刃を湛えた瞳には貪欲な闇が宿り、妖艶な唇には好色さと残虐さが潜む。
一目見れば忘れられないほどの美貌の持ち主―彼女はザーラ。《シュヴァルツ・バタリオン》
情報統括だ。
 彼女は黒髪を靡かせ、颯爽と歩く。卑猥としか言いようのない服装だというのに、
その表情と身のこなしに表れた傲慢な自信によって、むしろ威圧感を感じさせる。
かつかつとヒールの音を響かせて歩き、四つ辻で右に曲がり―そこで唐突に足を止めた。

「―ヴォルフ」
「嫌そうな顔をするなよ」
 通路に、男がいた。がっしりとした筋肉の目立つ体、顔には二筋の傷跡。
その男の顔を見るなり、女はあからさまに不快を交えてその名を口にした。
が、ヴォルフと呼ばれた男は表面的には軽い口調で答える。しかしその口調とは裏腹に、
一種の不快感をより強く醸し出しているのはむしろ男の方だ。彼は女の腕を乱暴に掴んで
引っぱると、彼女の背を壁に押しつけた。そしてその顔の両横に手をつき、口を開く。
「今日の『お仕事』は終わりか? 情報統括サマ」
「あなたには関係ないことよ、戦闘統括殿」
「そうでもねえよ」
 鋭くも挑発的な視線を投げ返す女に一言を返すと、その整った顎を掴み、顔を上に向けさせる。
次の瞬間、荒々しい口づけを。舌を奥深くへ差し込み、そしてその胸元へ片手を忍び込ませる。
吐息を漏らしながら口づけを続け、そして徐々に手に力を込める。淫らな反発を返す乳房を
今度は両手でもみしだきながら、口内にとろとろと唾液を流し込む。溢れたそれは
一筋の線を描いて胸元の谷間へ消えてゆく。たっぷりと流し込むと、女もそれを無造作に
飲み下し―ようやくキスは終わった。
 だが、情熱的なキスを交わした後とは思えないほど、二人の視線は冷たく、鋭い。
「久しぶりにお前を抱きたくなった。
首領の残り糟を味わうのはごめんだからな‥‥なに、ただでとは言わねえよ。
対価は次の円卓会議での賛成票だ―情報部門特別部隊に関する、お前の要求のな」
「あいにくね。他の連中に話は付けてあるの、あなたの票がなくても困らないわ‥‥」
 無粋な取引に女はくっくっと喉で笑う。その嫌味な含み笑いに、ヴォルフの纏う空気が
一気に燃え上がる。大きな手が、細首にかけられた。
「調子に乗るな、糞アマ‥‥。てめえはしょせん首領の肉便器だ。その汚えマンコに
俺のチンポをぶち込んでやりたいだけだ。見返りなんて期待してんじゃねえよ、売女が」
 下劣な言葉で女を罵る。が、女の表情はほとんど変化しない。
そのわずかな変化も、おびえではなく挑発だ。
「ふふ‥‥ふふふ、そう、だったら最初からそう言いなさい。
‥‥さっきの仕事はただの報告よ‥‥今日は首領とはしてないわ」
 ヴォルフはその答えに満足げな笑みを一瞬浮かべると、「ついて来い」とだけ口にし、
振り返りもせず自室へと足を進めた。
 首領専用区から出てれば、あちこちを忙しそうに職員と戦闘員が仕事に精を出している。
二人の最高幹部の姿を認めると、彼らは足を止め、最敬礼でその通過を見送る。
彼らの視線の先はヴォルフではない。その後ろを歩く女だ。男からの視線は欲望、
女からの視線は羨望が入り交じってはいるが―その視線の主成分は畏敬、または恐怖だ。
しかし、戦闘統括はそのことにも気付かない。愚かな男だった。だからこそ、
彼はザーラに対して無邪気に強圧的な態度が取れるのだ。序列自体は戦闘統括は情報統括より
上であり、また基本的に最高幹部は対等のはずだ。暴力こそが力だと信じる彼にとっては
男が女に勝るのは当然であり、したがって、自分の地位はどうあってもザーラより上だと
思ってしまう。

160:ある幹部の末路
07/12/13 18:36:33 bBEoZb7V
 もちろん、実際は違う。ザーラが統括になって以来、情報部門は飛躍的にその勢力を伸ばした。
各部門がそれぞれに持っていたはずの個別の情報網を一手に掌握し、組織内のあらゆる情報を
手にするようになった。その強力な情報力は敵に対しても当然威力を発揮したが、
内部の権力闘争にも激甚な影響を与えた。彼女の思惑一つでどんな情報でも集まり、
また、どんな情報でも捏造できる。
 急速に台頭するザーラを排除しようとした者は残らず返り討ちにされ、
むごたらしい末路をたどった。方針が鋭く対立した者もまた次々に失脚した。
多くの幹部たちが屍をさらし、その屍の山がザーラの踏み台となってゆく。
 血みどろの権力闘争を経て、諸部門のほとんどが彼女に屈服するか、
あるいは嫌々ながらもその影響下に甘んじている。いまや正面切って意見するのは
戦闘統括だけだ。しかし彼は剛腕と蛮勇、そして強運で成り上がった人物であり、
政治力は皆無だ。それ故ザーラに「相手にされていなかった」だけだというのに、
無邪気にも「ザーラも俺には手を出せない」と思っていた。自分の立場が分かっていなかった。
 ザーラは女だ。女は男に抱かれるためにいる。男に貫かれ、浅ましい声を上げて
よがり泣いていればいい。この美女を手にする資格があるのは、この組織で最も「強い」男、
つまり自分だけだ。―心底、そう信じている。どこまでも愚かな男だった。

 戦闘統括私室の前に、二人は至った。警備の戦闘部門所属上級戦闘員たちが
二人の最高幹部に敬礼する。が、彼らの敬礼はさすがにヴォルフに向けての敬意が勝るようだ。
ザーラに対してはむしろ強い警戒心が透けて見えるが、かといって敬意を減ずるわけにはいかない。
少なくとも形の上では最敬礼をし、うやうやしく二人を迎えた。
「入れ」
 戦闘統括はぶっきらぼうにそう言い、ドアを開けて情報統括を促す。
その動きはまるで彼がレディファーストとやらの習慣を身につけているかのようだ―が、
ザーラが部屋に入ったことを認めるとその本性がむき出しになった。女を組み伏せるように
押し倒し、がむしゃらにその唇を蹂躙する。軍服の上からそのたわわな果実を荒々しく
揉みしだき、そしてその邪魔な布きれを引き裂かんばかりに力を込め―その太い手首を、
白く滑らかな手が押さえた。
「待って」
「黙ってろ」
「破られては困るの。ボタンもね」
 静かな声だが、不思議なほどの迫力がある。思わず気圧されていると、彼女はみずからボタンを
外し、そのあまりにも美しく巨きな乳房を露わにした。
「ふふ‥‥あまり焦るとみっともないわ。ほら、食べていいのよ‥‥ぁ‥‥んっ‥‥」
「黙れ‥‥黙れ糞アマ」
 押さえがたいまでの苛つきを顔と言葉に滲ませる。だがその身体は欲望のまま
女の乳房にむしゃぶりついた。まんざらでもなさそうな甘い吐息が漏れ、
余裕を感じさせる喘ぎがときおり交ざる。その匂い立つフェロモンに反応する男根が、
戦闘服の下ではち切れんばかりになっている。女の指先がそれを狙う。つうっ、と付け根から
先端へ滑り行く。
 ヴォルフは苛ついていた。
 女が、こちらが望みもしないのにテクニックを発揮する―それは彼の主導権を
おびやかす行為だから。女に身をゆだね、女の主導によるセックスを楽しむなどという言葉は、
彼の辞書にはない。セックスとは「男が女を抱く」のであって、「互いに楽しむ」ものではなく、
ましてや「女に抱かれる」などあり得ない。極上の美女を味わうという楽しみの最中であっても、
彼は女が勝手に振る舞うのが気に入らない。
 ザーラの服を荒々しく脱がせると、白い指先が自分の服を脱がせようとするのをはねつけて、
急いでいるかのように手早く服を脱ぎ捨てる。そして女の身体を引き起こしてその前に
仁王立ちになり、艶やかな唇にペニスを突きつけた。
「しゃぶれ」
 命令に微笑を浮かべ、たかぶりに舌を這わせる女。挑発的な瞳、唇。舌先をちろちろと動かして
鈴口、カリ、裏筋を巧みに刺激する。強烈な快感がはい上がってくる。紅い唇が上下し、
亀頭も竿も舐め尽くしてゆく。ペニスは悦びにうちふるえ、大きく脈打ち、跳ね上がる。
それを見てか、女の目はますます艶を増し、淫らに挑発する。はらわたが煮えくりかえるような
苛つきが、ヴォルフの中を満たしてゆく。
 ついに彼は我慢の限界に達した。唐突に女を抱え上げるとベッドに放り込み、
その身体を一気に貫いた。

161:ある幹部の末路
07/12/13 18:37:50 bBEoZb7V

*

 甘い吐息が漏れる。最初は「んっ、んん‥‥」といった程度の呻きだったが、
次第に艶を帯びた喘ぎがそれに取って代わってゆく。眉根を寄せ、顔を横に傾ける。
ほっそりとした手を時に額に当て、時に胸をみずから揉みしだく。しっとりとした肌が
まとわりつくその感触を、ヴォルフはようやく充足感と共に感じ取った。
「そうだ‥‥喘げ、悶えろ‥‥」
「はぁっ、ぁあ、‥‥あんっ‥‥ああっ、はぁっ‥‥!」
 控えめな喘ぎは徐々にはっきりとしたよがり声になってゆく。
それでも―彼女の本来の乱れ方を知っている男なら、その声は到底「よがり声」ではないだろう。
「どうだ、俺のチンポは‥‥答えろよ」
 無粋な問いと共に、腰を突き込む。さすがに喘ぎも跳ね上がり、声にも熱がこもり始める。
ぐちゅっという音が同時に響いた。
「ああっ、はぁっ、いい‥‥太い‥‥長いわ‥‥っ、奥まで‥‥届いてる‥‥ああっ、
あんっ、そう、‥‥はぁんっ!」
 女が感想を口にすると、口元を笑みに歪めて腰を連続で突き込み始める。
「首領と、どっちがデカい」
「ああっ、くはっ、あ、あなたよ、あなたの、方が、大き‥‥い‥‥!!」
「ザーラ、俺の女になれ‥‥毎日抱いてやる‥‥」
「あああっ、そこ、そこよ、すごい、感じる‥‥っ!!
子宮、突いて、っくはぁっ!! イきそう、もっと‥‥!!」
 組み敷かれ、激しいピストンを受け、ザーラは悶える。じっとりと汗が額に滲むのを見れば、
それが演技でないのは確かだろう。だがその喘ぎが自分の答えをはぐらかしたものだとは、
ヴォルフは気付かない。そんなことよりも、ザーラが露骨に要求を出しはじめたことが
またしても彼の苛立ちを引き起こす。
「男に指図してんじゃねえよ、淫乱が‥‥!」
 女を黙らせようとするかのように、猛然と腰を使う。体位も変えず、荒々しいピストンで
子宮口を突き崩してゆく。喘ぎがさらに大きくなり、淫らになる。男をくわえ込んでいる部分が
卑猥にうごめく。熱くたぎる淫肉がペニスに絡みつき、吸い付く。入り口や奥の方でも締め付け、
射精感を一気にあおってくる。ピストンのために肉棒を動かすと、そのたびに凄まじい快感が
走り抜ける。
「はぁっ、あぁっ、っく、―ああぁっ!!」
 男をますます欲情させ、興奮させる媚声が響く。ペニスからの刺激と、
脳髄を麻痺させるような甘い喘ぎ―快感がついに彼のの限界を超えた。
 ヴォルフは腹の底から絞り出すような呻きを上げてペニスを引き抜くと、
女の顔へと白濁液をぶちまける。粘液が濃艶な顔を彩り、汚した。

*

(もう少し女の扱いを勉強してほしいわね‥‥)
 苦く粘つく液体を難なく飲み干しながら、ザーラは朦朧としつつも内心で愚痴をこぼした。
荒々しい行為ももちろん嫌いではない。が、“荒々しい”と“粗暴”は似ているようで
かなり異なる。強い男も、ぶっきらぼうな男も、嫌いではない―好きだ、といって良い。
が、みずからの腕力ばかりを誇り、気遣いもなく、横柄で粗暴な男は彼女の好みではない。
そんな相手ではあっても―子宮を突き上げられ、力強く犯されれば、彼女の女の部分が
反応してしまう。赤黒く張り詰め男を誇示する肉棒を見れば、どうしても欲情を抑えきれない。
相手が粗暴で愚かな男だと分かっているのに―自分の淫らな性に、
ザーラは思わず自嘲めいたため息を漏らした。
 この男に、もっと繊細さがあれば。もっと明敏で、気持ちを察することもできる男だったなら。
この組織でそんなことを求めるのは無意味と分かっていても‥‥ある種の思いやりを
彼が持っていたら。たとえ利害が一致しなくとも、おそらくザーラはこの男ともっと良好な関係を
築けただろう。数日に一度は身体を重ね、ことによっては睦言さえ囁いたかもしれない。
―だが、現実はそうではない。

162:ある幹部の末路
07/12/13 18:39:27 bBEoZb7V

*

 ヴォルフはザーラを休ませることもなく組み敷くと、今度は後ろから一気に貫いた。
身動きの取れないまま、女はくぐもった呻きを上げる。男がズシンズシンと奥底を連打すると、
シーツを掴み、逃げようとするかのようにもがく。もちろん、動けはしない。
そのまま追いやられ、喘ぎは激しくなる。背中に汗が光る。
「ああ、あぅっ、ぉ、おぁうっ! くはっ、ああ―っく、はぁうっ!!」
 声は徐々に高く荒くなってゆく。その様子に満足げな笑みを浮かべ、
ヴォルフはますます腰の動きを激しくしてゆく。
何の工夫もない、がむしゃらなだけのピストン。
「イけ―イけよ、悶え狂ってみせろ―オラッ!!」
「お、おぁ、あぁ、―あぁあああっ!!」
 頭をベッドに押しつけられ、肩と顔とで体を支えていたザーラは眉間に皺を寄せて達した。
男はますます調子に乗り、ますます荒く責め上げる。余韻を味わう間もなくまたしても喘がされ、
ザーラは苛つき、不快に思いながらもその体は素直に感じ続ける。
「わかってんだろ―お前は雌だ。俺に抱かれて喘いでいればいい‥‥」
 絶世の美女を征服しているという充足感に高ぶりながら、ヴォルフは自分の快感のためだけに
腰を動かし続け―やがて野獣のような咆哮と共に、その熱い体内へ精液を放った。

 * * *

 男は満ち足りた表情で息をつくと、股間から白濁液を溢れさせる女をそのままにして
一人シャワー室へと向かった。そしてすぐに水音が聞こえはじめる。その音を聞きながら、
ザーラはゆっくりと体を起こした。股間からごぼっと精液があふれ出る。それをティッシュで
無造作に処理し、ため息。呼吸はもう落ち着き、上気していた肌も普段の色と温度に戻っている。
―貫かれ、喘ぎ、悶えていた女とは思えないほどに冷め切った表情。
「‥‥つまらない男‥‥」
 シャワー室の方を見やり、侮蔑と冷笑の入り交じった表情を浮かべる。
 彼女は満足できなかった。
 ヴォルフの荒々しい攻めで二度、達した。小さな波も含めれば、何度も達した。
だが、足りない。身体だけではない、何かが物足りない。脳髄が痺れるような快感が、
高揚感が、陶酔感が、決定的に足りない。それは結局のところ、精神面での不満だった。
ザーラは主導権を握ったセックスが好きだ。その意味では、ヴォルフと同じだ。
だが、男というのはは大なり小なり女を思うがままにしたいと思うものだ。なら、互いに
快感を高め合うか、あるいは相手が与えてくる以上の快感で相手を虜にすればいい。
そういうセックスなら、ザーラは何の文句もない。だが、ヴォルフのそれはただ自分の主張を
通すだけの行為だ。そして、気に入らなければすぐに腕力を使って思いのままにしようとする。
そんな交わりをザーラが好むはずもない。
 渦巻く不満は今までの反感と混ざり合い、増幅してゆく。気だるい光を湛えていた瞳が、
徐々に刃を帯び始める。

 ばたんと音を立て、ヴォルフが現れた。バスタオルを腰に巻き、物憂げにこちらへと
向かってくる。ザーラはその頬に軽い口づけを与え、入れ替わりにシャワー室へ向かう。
(使えない、頭も悪い、しかも私の邪魔をする、そしてセックスは荒いだけ‥‥。
邪魔をしないなら放置してあげてもいい。私を芯から燃え上がらせてくれるなら、
多少の邪魔も我慢してあげる。それもできないなら―そろそろご退場願おうかしら)
 一時の欲望のままにザーラを貪るという贅沢―それはヴォルフにとって
あまりにも大きな代償を要求することになった。

163:ある幹部の末路
07/12/13 18:41:09 bBEoZb7V

 * * * * *

 その週の最高幹部円卓会議は当初の予定を変更し、別内容となった。
本来の議題は情報部門特別部隊の増強に関する可否その他だったが、
それは後日となった。本日の議題は―
「きっ‥‥貴様、これはどういうことだ!!」
 戦闘統括ヴォルフの周囲に、重武装の上級戦闘員が突如現れた。
そしてそれぞれの武器を寸分の狂いもなく、彼の頭へ突きつける。
「聞こえなかったのかしら、戦闘統括殿。―『反逆の容疑で逮捕する』、そう言ったのだけど」
 表面上は穏やかな口調で、情報統括はさらりと言ってのけた。氷点下の微笑は
ぞっとするほど美しく、そして邪悪だ。
「反逆だと!? ふざけるな、何の根拠があって―」
「情報部門を甘く見ないでほしいわね。
無許可の親衛隊増強、武器集合、通信の急増、偽装帳簿―」
「ザーラ!! 貴様、貴様か、貴様が俺を―」
 目は血走り、額には青筋が走る。蛮勇で知られた彼であっても、それほどの恐怖だ。
円卓会議は首領に次ぐ最高決定機関―その場で逮捕されるのは、処刑と同義だ。
「はめた、とでも? 言いがかりは止めてほしいわ、私は情報から推測される
最も蓋然性の高い可能性を指摘しているだけよ。もちろん、あなたが無実だという可能性も
あるけれど‥‥この膨大な資料、あなたに覆せるのかしら?
あなた程度の頭で‥‥ふふふ、あっはははははは!!」
 勝ち誇った哄笑が響き渡る。並み居る幹部は沈黙を守ったまま。
―誰もが、彼女の陰謀であることを知っていた。だが、首領の愛人であり、
組織のあらゆる情報を握る彼女に立ち向かうことなどできはしないのだ。そのことを、
「ヴォルフ失脚」という茶番が他の幹部に知らしめた。
 誰であろうと、どんな状況であろうと、機嫌一つですべてが変わる―ザーラは権力に
酔っていた。溺れていた。ほとんどの政敵を排除し、首領の右腕という地位を確立した以上は
無用の恐怖をあおるべきではないのに。ヴォルフの存在など、もはや路傍の石に過ぎなかったのに
―彼女をセックスで満足させられなかったという理由で、ただそれだけで戦闘統括は失脚した。
 権威と権力の絶頂―世界を食い殺そうとするこの組織、その最高幹部を牛耳るという
恐るべき地位。彼女を制御できるのは首領のみ、だが現在の所は彼も愛人の手腕を重用している。
「では戦闘統括殿、私はこれで」
 ゆらりと立ち上がり、無造作に歩みを進める。巨大な銃をこめかみに突きつけられたヴォルフは、
烈火のごとき怒りに満ちた目で彼女を睨む。睨み殺しかねないその視線に気付き、
ザーラは「反逆者」の前で足を止めた。
「ふふ‥‥いい目をするじゃない。‥‥素敵よ、ぞくぞくするほどね」
 男の奥歯がぎりりと鳴る。その顎を細い指先が捕らえ、上を向かせる。怒りで乾いた唇に、
妖艶な唇が一瞬だけ重なった。
「さようなら、ヴォルフ」
 憤怒と絶望がより合わさった怒号を聞き流しながら、情報統括は振り向きもせず去っていった。

164:ある幹部の末路
07/12/13 18:42:27 bBEoZb7V

 * * * * *

 その夜は盛大な宴となった。情報部門の中からザーラの気に入った部下たちが
統括私室へ集められ、女主人にかしづく。残りの職員や隊員にもおこぼれとして
恩賜の高級酒が振る舞われたのだから、彼らも彼らなりに宴を楽しんでいるのだろう。
が、ザーラのそれは当然そんなものではない。豪奢の限りを尽くした宴が行われ、
その後は一人の女を取り囲む肉色の宴となる。
「うあ、ああっ!! ザーラ様、ザーラ様‥‥っ!!!」
「あぁっ、はぁん、いい、いいわ‥‥イきそう? イきそうなのね‥‥いいわ、
ぶちまけなさい‥‥んっ、はぁぅっ!!」
 少年の腰の上で、ザーラは腰を振りたくる。耐え難いまでの刺激に少年は
女のような声を上げて達し、その熱い膣内に迸りを放った。間髪入れず次の青年が
情報統括を抱き起こし、いまだ白濁液があふれ出る秘部を、反り返った肉棒で貫く。
その激しい交わりにも女は余裕をちらつかせ、甘い声をあげて部下の欲情をあおる。
青年の腰はますます激しく彼女を貫き、それに合わせて喘ぎも高くなってゆく。
淫らな乳房を揉ませ、弾ませながら、腰をくねらせる女。ひくひくと物欲しそうな菊座に
気弱そうな少年が指を潜らせると、女は喘ぎながらもくすくすと笑う。
たまらず、少年はそこへ高ぶりを押しつけ、押し込んだ。跳ね上がるよがり声。
二人の美男子に同時に貫かれ、ザーラは狂う。その艶やかな唇さえも、
別の少年がペニスで塞ぐ。それぞれ高ぶりに堪えられず、順に精液を女の中へと放つ。
だが、宴は終わらない。男たちが次々にザーラを犯す。いや、ザーラに身体を捧げ、
身も心も犯されてゆく。
 ザーラの饗宴―狂宴は珍しくない。《シュヴァルツ・バタリオン》の幹部は欲望に忠実な者が
多く、程度の差はあれ私欲にまみれた生活をしている。乱交を伴うような宴を好む幹部も、
他にもいないわけではない。とはいえ、彼女の宴はその中で最も派手で、退廃的だ。
あらゆる政敵を蹴落とし、打ち倒し、葬り、ついに掴んだ頂点。その頂の脇にあった
最後の石ころ―大した害もなかったはずの存在―を、みずからの気まぐれだけで処分した。
後任人事への干渉も手配済み。これで自分の地位は揺るぎないものになるだろう。
 ―最上の美貌には最強の権力を。
 満足感、陶酔感が彼女の興奮と驕慢をますます高めてゆく。従順な少年たちを
全身で貪りながら、ザーラは悦楽に狂う。強欲と驕慢、そして色欲の醜悪な権化。
だがそれ故に、彼女はこの上もなく美しいのだ―。

 * * * * *

「ひどいことになったな」「ヴォルフも運が悪い」「あの男は確かに無能だ。
いままで消されなかったのが不思議だ」「しかし、あれはあまりに」
「あの淫乱‥‥いずれ止めねば」「そうだ。次は私かも知れない、それとも君かも知れない」
「だがうかつには動けん。どこに奴の手が回っているか―」「機が熟すのを待つしかあるまい」
 最高幹部たちは密やかに声を交わした。恐怖に支配された者だけが発する、怯えた囁きだ。
そして一定のレベルを超えた怯えは、いずれ溢れる。
 彼女の知らぬ所で―情報統括の彼女さえ知り得ないところで―最高幹部たちは徐々に
心を一つへまとめていった。「驕り」というみずからの最大の弱点に、
ザーラは気付いていなかった。もっとも、そのせいでザーラがすべてを失い、
代わりに心と体が極限まで満たされる相手と出会うことになるとは―ザーラも、他の幹部も、
それ以外も、誰も予想できなかったが。


(終)

165:名無しさん@ピンキー
07/12/13 18:43:37 bBEoZb7V
以上です。

166:名無しさん@ピンキー
07/12/13 18:45:29 yEINxQ6I
GJ!!!

167:名無しさん@ピンキー
07/12/13 22:05:31 vgJgJ5Mw
ザーラ様きたぁぁぁーーー!!
GJ!

168:名無しさん@ピンキー
07/12/13 23:22:59 5Gp66M55
久々ザーラ様キターーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
Gj!!!!!

169:名無しさん@ピンキー
07/12/14 10:02:36 vFhv1MWC
久しぶりのサーラ様だぁーーー!!
エロくて悪くて、かっこいい!!GJ!!!!!


170:名無しさん@ピンキー
07/12/14 10:14:02 2Chs+ILf
GJ!
もう、このスレ観てないのかなと心配してたけど
えがっだぁ

171:名無しさん@ピンキー
07/12/14 14:59:26 4DgKUFRu
グッドジョブです

172:名無しさん@ピンキー
07/12/14 19:34:05 rxBcq6B6
ところでこいつはこのスレ的にはどうだろう?
URLリンク(www.nitroplus.co.jp)

そういや一匹狼のならず者ってカテゴリーの女は
意外とこのスレでは出てきてないな。

173:名無しさん@ピンキー
07/12/14 22:45:57 dXTkyjji
>>172
個人的には当たりだったよ。
ちょっとだけネタバレすると、ビッチなヒロインたちが相手した男は3桁、そのうち9割が死亡w

174:名無しさん@ピンキー
07/12/15 01:15:24 YJttBMkK
>>172
まあ「幹部」か「下っ端ザコ」かに分類されることが多いな

175:名無しさん@ピンキー
07/12/16 10:31:23 vDh4fXXo
悪女が悪のまま仲間になる場合は自分がトップに立つために正義サイドと共闘するのと、
首領が自分の悪の美学に反する行為をしたから独自路線を行くのとどっちがすき?
と流れをぶった切ってみる。

176:名無しさん@ピンキー
07/12/16 16:51:14 jIcl5+4L
>>175
己の美学を貫く独自路線がいいのう。
悪と呼ばれながら、その実そんな単純ではないキャラが。

177:名無しさん@ピンキー
07/12/17 01:37:34 Ec9Kk6rW
悪の美学っつーか私利私欲丸出しがいいw

178:オシリス・キー
07/12/17 04:01:04 VP9UQW6O
投稿していた小説が落ちたので気を紛らわせるために書きました(;ω;)
・シャドーマン陥落
・男の子正義の味方×悪の女幹部
・導入部だからエロは少なめ 誘惑系

 敵のガーネットはドラゴノーツのガーネットとかぶせていただければ。
 5時間で書いたから誤字脱字はご勘弁……

179:オシリス・キー
07/12/17 04:02:56 VP9UQW6O
「シャドーマン陥落」

 ネオン煌めく東京都新宿。
 そのとあるビル屋上で、でっぷりとした腹をさすっていた巨漢……グレゴールが声を荒げる。

「今日は絶対に負けられんのだ! 者ども、かかれぇ!」

 グレゴールの後ろに控えていた黒服の男達が、月の照る空へと一斉に跳躍する。
 狙いは、隣のビルの天井に立つ、奇妙な格好をした男。
 黒いレザー地のマントとタイツに身を包み、小柄で華奢な体のラインを浮き上がらせる男は、
流線型の金属製バイザーをかぶっており、一見はただのコスプレをした少年といった風体。
 しかし、バイザーによって顔を隠したその少年は、今まで幾度となく、
世界の平和を守ってきたヒーローなのだ。
 その名もシャドーマン。
 世界征服をもくろむ悪の結社、「竜の牙」の活動を、その身ひとつで阻み続けてきたバケモノ。

「死ねぇ!」

 最初に飛びかかった黒服の男……竜の牙の下っ端が、シャドーマンに殴りかかる。
 しかし、シャドーマンは自然な動きでその拳を受け止めると、落下の慣性を利用して下っ端を叩き伏せる。
 続く下っ端からの攻撃も難なく避けては、一撃でもって一人一人を片付けてゆく。

(くそっ……このままでは……!)

 グレゴールは唇を噛みしめる。
 そう、今日シャドーマンを倒せなければ、「竜の牙」地球侵略部隊、一番隊隊長グレゴールは、
総帥の命によってお役御免となってしまうのだ。
 幾度となくシャドーマンに負け続けたツケとはいえ、竜の牙きっての無頼派と言われたグレゴールが、
一度としてシャドーマンに勝つことができなかった、という無様な結果を残すわけにはいかない。
 懐に入れておいたショットガンの安全装置を外すと、
シャドーマンと部下達が乱闘する中に狙いを定め―!

「死ねぇ!」

 発射。
 ショットガンから放たれた散弾は、グレゴールの部下達をも巻き込んで血飛沫を散らせた。
 次々と倒れてゆく部下達。
 その一人が、ずれたサングラスの隙間からこちらを睨んでいた。

「お前達のせいなんだよ!」その瀕死の部下達に向かって、唾を吐きちらしつつ声を荒げるグレゴール。
「お前達が弱いから、今まで失敗続きだったんだろうが! 最後ぐらい俺様の役に立てっつーのクズ共めが!」

 やがて、誰もが動かなくなったのを確認してから、グレゴールは隣のビルへと飛び移る。
 飛び散った肉片を踏みつぶしながら、死体の群れの中央へ行くと、そこには黒いマントが落ちていた。
 小柄な肉体を包むマントは、深紅の血に浸かっていた。

「ふふ……ふはははは! 殺した、殺したぞ、俺がシャドーマンを殺したんだ!」

 グレゴールは哄笑しながらマントの裾を掴む。
 その時になって、やっと違和感を感じ取った。
 散弾によって粉々になった部下の肉体。
 その中で、穴一つ開かずに落ちていたマント。
 ―防弾性!
 マントを翻すと、そこには小柄な部下の死体があった。

180:オシリス・キー
07/12/17 04:04:54 VP9UQW6O
「卑怯者め」

 その声は背後から。
 グレゴールが振り返る間もなく、脇腹に衝撃。
 吹き飛び、鉛筆のように横転する巨体。
 やがてその動きが止まり、ぐらつく視界の中に立っていたのは、無傷のシャドーマンだった。
 ―いや、無傷ではない。左足首から血が滴っている。
 どうやら、防弾性のボディスーツの隙間に散弾が入り、傷を負ったらしい。
 しかし、それは現状において、窮鼠猫を噛む以上の意味を持たない。

「く、くそっ……!」

 グレゴールは震える体をなんとか御して後じさる。それを追ってくるシャドーマン。

「もうこれ以上、人間界に踏み入るな。でないと次こそ地獄に堕とすからな」

 シャドーマンはそう言うと、グレゴールを強く睨みつけてから、夜空へと飛び立っていった。

「―無様ね、グレゴール」
「!」

 恐怖に全身を震わせていたグレゴールは、後ろから響いてきた女の声に全身を硬直させる。
 振り返ると、そこには褐色の肌を露出させた背の高い女が立っていた。
 紫色の軽鎧に身を包み、豊満な胸や臀部を惜しげもなく見せつける、銀色の髪をした女。
 褐色の肌は月光に照り、メリハリのあるボディを更に扇情的にしている。
 この女こそ、グレゴールのライバルであり、地球侵略部隊二番隊隊長であるガーネットだ。

「総帥より、任務失敗の暁には貴様を殺す許可をいただいている」
「が、ガーネット! 貴様、こんなに近くにいたなら、手助けしてくれても……!」
「ふざけるな。誰が貴様の穴だらけの作戦になど乗るものか。
猪突猛進、毎度毎度飽きもせず正面から殴りかかってあっさり返り討ち。
そんな知性のかけらもない作戦で命を落とした貴様の部下共に同情するよ」

 そう言って、ガーネットは腰元の長剣を抜き、剣先をグレゴールの顎にあてがう。
 唾を飲むグレゴール。上下したのど仏がその剣先に食い込み、血がしたたる。

181:オシリス・キー
07/12/17 04:05:17 VP9UQW6O
「……しかし」と言って、剣を鞘に収めるガーネット。「傷一つつけられただけ、
役に立ったと言うものだ。命だけは許してやろう。それに……」

 ガーネットは死体の海の中へ、高いヒールでもって踏み入ると、
中央に落ちていた血だらけのマントをつまみ上げて続ける。

「このマント。これで奴の力の源が解析できるというものだ。おい、サクラコ」
「――!」

 グレゴールは目を疑う。
 ガーネットが呼びかけたと同時に、どこからともなく女が現れ、ガーネットの横に現れたのだ。
 サクラコ―ガーネットの参謀を務める女は、何も言わずにそのマントを受け取る。

「材料を解析して、生産元を突き止めろ。あと、足下のあたりにシャドーマンの血痕が付着しているはずだ。
こう血まみれでは解析も難しいだろうが……奴が人間とは違う生き物なのか、
それとも着ているスーツによって強化されただけの人間なのか。
それだけ判明すれば打つ手も広がる。急げ」
「はっ」

 短い言葉を残して、夜闇の中へと消え去るサクラコ。

「さて……あとは保険の結果を待つだけだ」ガーネットはグレゴールを無視してビルの屋上の縁に立つと、

ネオン煌めく新宿の町を睥睨する。「シャドーマンよ。この私が相手となるからには、
今までのように一筋縄にはゆかんぞ? ククククッ……!」

 深紅のリップを引いた唇に含んだ笑みは、やがて哄笑へと変化する。
 その邪悪な、それでいて妖艶なガーネットの姿を見ながら、グレゴールは屈辱に肩を震わせていた……。

182:オシリス・キー
07/12/17 04:05:52 VP9UQW6O


 新宿都庁の隣に立つビル、そこが僕の秘密基地だ。
 痛む足をかばいながら、ビルとビルの間を跳んできた僕は、
やっと自分のビルの屋上に到着して胸をなで下ろす。
 腕時計を見ると、ここから出動して10分になろうかというところだった。
 やがて、ちょうど10分が経ち―その瞬間、僕の全身を包んでいた黒のボディスーツとバイザーが光に包まれると、
タンクトップにボクサーパンツという肌着姿に戻ってしまう。

「うっ、寒い……!」

 ビル風に当たる肩を抱えながら、屋上の隅……ヘリポート横に設置されたエレベーターへと向かう。
 そう、僕……桜田虎之助は、人知れず人類を守り続ける正義のヒーロー、シャドーマンなのだ。
 先祖代々受け継いできた変身能力によって、まだ未成年である僕は、
鋼鉄よりも固いボディスーツに身を包んだ勇者へと変身する。
 先代が急遽亡くなった都合上、まだ修行の足りない僕は、十分程度しか変身を保っていられないけれど、

それでも今まで半年近く、悪の結社「竜の牙」による地球侵略を阻み続けてきた。
 しかし、今日は油断してしまい……

「スーツの隙間に散弾が入ってしまうなんて……なんて未熟なんだ」

 悪の幹部、グレゴリーによる卑劣な不意打ちだったとはいえ、避けるタイミングを逸してしまった。
 これは相手が強かった云々の問題ではなく、ただ僕が未熟だっただけの話だ。
 そう考えなければ、今後勢いを増すであろう、竜の牙に対抗できやしない。

「武上さんに治療薬を用意してもらわ……っ!?」

 エレベーターの扉が閉じようとした瞬間。
 ネオン渦巻く町のどこかから視線を感じた。

(もしかして、グレゴールが?)

 下り行くエレベーターの中で、僕は嫌な予感に背筋を凍らせる。

(いや、奴は恐怖して動けなかったはずだ……)
(でも、ここがばれると大変なことに……)
(……いや、考えすぎだ。初めて実戦で傷を負ったから、不安になってるだけだ)

183:オシリス・キー
07/12/17 04:06:23 VP9UQW6O
 やがて、扉が開く。
 そこには、僕の執事である武上さんが立っていた。

「坊ちゃま、お帰りなさいませ……むっ! その傷は!」
「うん、かすり傷だけど、やられちゃった……早く治療を」
「承知しました」

 そう言って医療室へと向かう武上さん。
 このビルには大抵の施設が揃っており、シャドーマンとして活動する上で困らないように出来ている。
 これも、世界の平和を守るために世界中の財団と交渉して、財産を築き上げた先々代のおかげだ。
 シャドーマンの秘密がばれないように、ビル下層部の桜田財団関係施設以外には、
外部の人間が入れないようになっている。 
 なので、こうして傷を負った時も、執事である武上さん以外に頼れる人がいないのだ。
 ふかふかのソファーに座りながら、武上さんに足の治療をして貰う。

「坊ちゃま」武上さんは冷静な声音で言った。「おこがましい話ですが、
この老いぼれにこれ以上、心配をさせないでください」
「おこがましくなんてないさ。僕を子供の頃から面倒を見てくれたのは武上さんだよ。
今後はもっと修行して、こんな目にあわないようにするから」
「お願いいたします。この老いぼれも、そう長くないでしょうからな……」
「なにを言うんだ」
「もちろん冗談ですよ。虎之助様の次代が育たれるまでは、不肖武上、死んでも死にきれませぬ。
ただ、このようなつまらぬ冗談を言わなくても済むよう、ゆめゆめ怠りなくご自愛なされますよう……」
「わかってるよ。次からは完璧にやるさ。安心して」
「ありがとうございます」

 包帯を巻きながら頭を下げる武上さん。
 六十を超えながら、動きは機敏で老いを感じさせない武上さんは、
父の代から桜田家に仕えているベテランの執事だ。
 シャドーマンの秘密を守るため、僕の世話は全て武上さんに任せている。

(……もし今武上さんがいなくなれば、僕はどうすればいいのだろう?)
「もし私に何かあっても」そんな声に出せない僕の疑問に、話の流れから答える武上さん。
「ご安心ください。不測の事態に備え、次代の執事は選別してあります。
執事を育てるための国際機関において、特Aランクを取得した優秀な執事でしてな。
葵という名のヒヨッコですが、今度、虎之助様にご挨拶に来るよう伝えましょう」
「……大丈夫さ。武上さんに何かあったら、なんて、考えたくもない」

 にっこりと柔和に笑う武上さん。
 僕は安心して、痛む足首を武上さんに預ける。
 その時、僕は想像を拒んでいた現実。
 まさか、それがその次の日に訪れるだなんて、思いもしなかったんだ。

184:オシリス・キー
07/12/17 04:06:56 VP9UQW6O
 ◆

 心臓発作によるショック死。
 買い物にでかけていた武上さんの死因は、そんなありふれたものだった。
 葬式は行わない。桜井家の関係者は、その仕事の内容上、公な儀式を行う訳にはいかない。
 結果、僕は一人、この広いビルの上層でぼんやりと日々を過ごすしかなかった。
 正義を守る僕に、学校に行く義務はない。
 それは日本国によって特例許可が下りている。
 だから、僕は武上さんに勉強を教わり、武上さんに武術を教わり、
武上さんに全ての世話をして貰っていた。
 その武上さんを失った以上、僕は正義を守ることすらままならなくなってしまったのだ。
 僕は、冷蔵庫に残っていたジャムを舐めながら鏡を見る。
 そこには頬の痩せこけた、正義の味方とは到底思えない子供の顔があった。

「今日……今日、葵さんがやってくる」

 そう。武上さんが死んで三日目。
 武上さんの死は警察から知らされた。
 公共機関の情報経路から執事育成機関へと連絡が伝わったらしく、
早速明日に代替の執事を向かわせる、という旨の書かれた手紙が送られてきたのが昨日。
 今日、武上さんが言っていた葵さんがやってくるのだ。
 恐らく、二十~三十歳の男性の方だろう。どんな人なのだろうか。
 何より、このままでは僕が餓死してしまう。
 空になったジャムの瓶をゴミ箱に入れたところでチャイムが鳴る。

「来た!」

 僕は、まだ傷の完治しきらない足をもつれさせながら、エレベーターの扉へと向かった。
 このビルは四十階以下が、桜田財団の基幹企業に貸し出されており、
それ以上の階層は存在しないことになっている。
 財団企業によってカモフラージュされた、僕の住む四十一階に入るには、
指定のエレベーターのコンソールからパスワード入力が必要であり、
それを知るのは僕の執事しかいない。
 エレベーターの前に来ると、改めてパスワードを入力させてから、解錠を許可する。
 両開きの扉の中から現れたのは―。

185:オシリス・キー
07/12/17 04:07:25 VP9UQW6O
(お……女の人?)

 そう。そこには、背の高い女性が立っていた。
 褐色の肌に、艶のある化粧を施したその女性は、
メリハリのある体をスーツに包んでおり、短いスカートから長い脚が伸びている。
 高いヒールを履きこなしたその女性は、
まさに仕事の出来るキャリアウーマンといった風体、
それでいて銀色の髪をなびかせ微笑する様は、
どこか艶美さを感じさせる。
 今まで、死んでしまった両親や武上さんの他に人と接すること自体皆無だった僕は、
その女性を見て、人見知りとは別の意味で硬直してしまった。

「こんばんわ。古明寺葵と申します」

 上品な仕草で挨拶する葵さん。
 僕は、どうも、と小さくつぶやくにとどまった。

『葵という名のヒヨッコですが……』

 武上さんの口調から、男性だとばかり思いこんでいた僕は、
その不意打ちに言葉を失うほかなかったのだ。

「宜しくお願いいたします、虎之助様」

 しかし、そんな僕の事情を知らない葵さんは、
冷静にそう言って僕の元へと歩み寄ると、僕の手を掴んで胸元に寄せた。
 豊満で柔らかな葵さんの胸の感触が、手の甲に伝わってくる。

「よ……よろしく、あおっ、葵さん……?」
「? どうかなされました?」
「い、いや……男性だとばかり思っていたから……」
「子供の頃から、名前が男性っぽいと言われますわ」

 そう言って、再びニッコリと笑う葵さん。
 そうだ。葵、なんて名前、男だけの名前じゃない。
 僕が勘違いしていただけじゃないか。
 葵さんは僕の姿をじっくりと見てから、眉根を寄せた。

「ご主人様……」
「ご……ご主人様?」
「そうです。お仕えする方の呼称なのですから当然ですわ。それより、ご主人様……
……お風呂に入られていないでしょう? それに、食事も取られていない様子……
……それだけ先代の武上に生活を頼っておられたのですね」

 そう言って、僕の服を脱がしにかかる葵さん。

「ちょ、ちょっと待って! それぐらい、僕が……」
「いえ、お風呂にも一人で入れていなかったのですから、
無理矢理にでも入っていただきます」

 そうやって強引に裸にさせられると、僕は一人風呂場に放り込まれた……。

186:オシリス・キー
07/12/17 04:07:54 VP9UQW6O
 ◆

「潜入成功。これより作戦を開始する」

 台所から、衛星経由の無線で部下へと連絡する葵。
 いや、葵というのはもちろん仮の名前。
 彼女の名前はガーネット……そう。悪の結社、竜の牙の地球侵略部隊二番隊隊長だ。
 シャドーマンが住処へと戻るところを部下につけさせていた所、
このビルに入っていったことを突き止めたガーネットは、
すぐさまこのビルの由来を調べた。
 どうやらここは世界各国の財団より寄付を受けている財団らしく、
しかしそれに値するような事業は行っていない。
 そして、ビルの構造上、明らかに上層の作りがおかしいことを知ったガーネットは、
ここのビルの居住者がシャドーマンの関係者であることを推察。
 そのビルより、毎日出てくる老人を拉致し、薬で拷問したところ、これがビンゴ、
シャドーマンの執事であることが判明。
 あとは、その老人を薬投与で自然死に見せかけて放置。
 間もなくやってきた怪しい男……古明寺葵を拉致して殺害。
 その男女ともとれる名前を利用して、
悪の幹部であるガーネット自らがシャドーマン……桜田虎之助の住処に入り込んだ、という訳だ。

「見たところ、世間知らずのガキのようだ……ああ……まあ、上手くやるさ」

 そう言って無線を切る。
 とりあえず、当面は怪しまれないように表立った活動を控える必要があった。
 まだ子供とはいえ、
相手は竜の牙一の非情と知られるグレゴールを完封し続けた正義の味方なのだ。
 ガーネット自身も、このビルに入る際の身体検査の都合上、武器の類は持ってきていない。
 ここまで来たとはいえ、グレゴールのように正面から戦って勝ち目などないのだ。

「そう、焦る必要などないのだ」ガーネットは冷蔵庫を漁りながら邪悪に笑った。
「マントの件や、血液の検査結果の問題もある。まずはひとつひとつ作戦を遂行すればいい。
そう、いつも通りやればいいのだ。
私がここまでのし上がった時のように、男の劣情を利用しさえすれば……」

187:オシリス・キー
07/12/17 04:08:24 VP9UQW6O
 ◆

「うぅ……お風呂なんて入れないよぉ……」

 僕は浴室で体を濡れタオルで擦りながら呟く。
 大きな湯船が三つ並ぶこの浴室は、人が三十人ぐらい入れるスペースはあるものの、
利用する時はもちろん一人だ。
 武上さんがいた時だって一人で入っていた。
 今までお風呂に入るのを躊躇っていたのは、
武上さんが死んだことのショックもあるけれど、
何より足の怪我が原因である。
 まだ完治していない以上、湯船につかるわけにもいかない。
 だから、せめて包帯が取れるぐらいまで直ってから入ろうとしていたのだ。

「まあ、仕方ない……汗だけ拭いておこうか」

 体中についた垢を落としながら、僕は新たな執事、葵さんのことを考えていた。

(女性だから、執事じゃなくてメイド、ってことになるんだろうか?)
(そうだ、執事だったら男性のはずだ。執事養成の国際機関にいたのであれば、男性なんじゃないのか?)
(もしかして彼女は竜の牙のスパイとか……でも、今までグレゴールと戦っている最中に女性は見なかったし……)
(それに、疑うのはいけない。彼女は武上さんが仕事を任せられると信頼した人なんだから)

 そうこう考えていると、浴室の扉が開く音がする。
 見ると、そこには見るも恥ずかしい服に身を包んだ葵さんが立っていた。
 メイド服、というのだろうか。
 フリルのついた服は、サイズが小さいからだろうか、
ボタンの裾から彼女の胸元をきわどく露出させていた。
 また、スカートは見ていてハラハラするほど短く、
葵さんがこちらに歩いてくる度に、スカートの裏地の

フリルや、白いショーツの底をちらちらと見せつけてくる。
 僕はただ、呆然とその姿を眺めているしかなかった。

「ご主人様」葵さんは僕の眼前にまで来ると、膝をついてお辞儀をする。
「お背中を流しに参りました」
「……そ……」僕はやっと言葉を吐き出す。「そ、そんなの、
いらないよ! 僕一人でできるし……」
「しかしご主人様は足に傷を負われている様子。ここは私めにお任せください」
「だ、だめだってば!」
「遠慮なさらず。お会いしたばかりですから、
少しでもコミュニケーションを取っておきたいのです」

188:オシリス・キー
07/12/17 04:08:51 VP9UQW6O
 そう言って、なかば強引に僕の背中に手を這わせる葵さん。
 横を見れば、褐色のムッチリとした太ももが触れられるほどの距離にあり、
その付け根には短いスカートに縁取られた臀部と、
それを申し訳程度に隠す白いショーツがあった。

(ああ……! こんなの……テレビでも見たことがないよ!)

 女性と会う機会の少なかった僕にとって、女性はテレビの中で見る存在だった。
 もちろん僕とて年頃の男の子、女性に興味がない訳じゃない。
 時折水着姿で出てくる女性を見て、気分を悶々とさせることだってある。
 でも、葵さんは、そんなテレビに出てくる女性よりもよっぽど綺麗で……
……その綺麗な女性が、あられもない姿を僕に見せつけているだなんて……。
 ―僕の頭は、次第にぼーっとなってくる。
 やがて、葵さんは僕の背中を洗い終えて……。

「あら」

 ……僕の正面を見た葵さんは、感嘆の声を上げる。
 それを聞いて、やっと僕はその理由に気がついた―
 ―僕のモノが、半分ほど勃起していたのだ。

「うわああああああああああああっ!」

 僕は慌ててそれを両手で隠す。
 しかし、急いで動いたために痛めた足をほつれさせてしまい、後ろに転倒。
 仰向けに寝転がる姿勢となってしまった。

「ふふふ……」そんな僕のみっともない姿を見て、優しく笑う葵さん。「大丈夫ですよ。
私だって、初めて見る訳じゃないんですから」
「そ、そういうんじゃなくて、あの……」
「いいのです。恥ずかしがらなくて……私はご主人様に仕えるメイドなのですから」

 そう言って、彼女は僕の上に覆い被さると、僕の胸板をタオルで擦り始めた。
 下を見るだけで、彼女の豊満な胸が、メイド服の中で窮屈そうにたわむのが見える。
 股間を隠す手に増す抵抗―僕のモノは、すでに完全に勃起しきっていた。

「たくましい胸板……」

 妖艶に言う葵さん。
 僕は彼女に全身を見られていることに羞恥を覚えて、同時に興奮してしまう。

(み、見られてる……恥ずかしいところも、全部……)

 やがて、全身を拭き終わると、僕は葵さんに連れられて脱衣室に戻る。
 彼女の手で着替えさせられながら、僕は勃起した股間を手で隠すことしかできなかった……。

189:オシリス・キー
07/12/17 04:10:48 VP9UQW6O
一応ここまで。
とりあえずこっからエロシチュを連打する予定。
エロ少なめでごめんちょ。

一次選考落ちはマジでキトゥいわ……orz

190:名無しさん@ピンキー
07/12/17 05:25:50 UpXExanH
これは期待…!

191:名無しさん@ピンキー
07/12/17 22:07:53 8QW9Zg1y
wktk…!

192:名無しさん@ピンキー
07/12/18 00:57:15 um7Ksig0
>>189
良すぎ。

>一次
元気出せ

193:名無しさん@ピンキー
07/12/19 00:26:28 jsuye4Mq
闘え!僕らのスーパーヒロイン~悪の女幹部特集~

という本が売ってたんで買ってきた

194:名無しさん@ピンキー
07/12/19 00:58:45 8yqLSJ2r
>>193
レビュー期待してるよ

195:名無しさん@ピンキー
07/12/19 21:28:12 aEcUW/jF
全部、悪の女幹部だけじゃないので注意
幹部攻めのヒロイン受けとかもある

『敗北の理由』(女幹部が首領におしおきされる)
『特攻戦隊ヤサグレンジャー』(ヒーローが女幹部に逆レイプ)
『女幹部シーナ』(捕まった女幹部が多数の男に犯される)

これが良かった


196:名無しさん@ピンキー
07/12/20 00:19:02 ujk3JgPY
>>195

前に出た女幹部アンソロより充実してそうな気配だなw

197:名無しさん@ピンキー
07/12/20 07:29:01 yxhGXoIS
>>195 女幹部に逆レイプされるの激しく希望w

198:名無しさん@ピンキー
07/12/22 08:22:30 qnWGPnMq
立ってたよ。
スレリンク(feti板)

199:名無しさん@ピンキー
07/12/24 04:50:11 eGlfSKGc
あああ!!
メレサンタよすぎる

200:名無しさん@ピンキー
07/12/26 00:14:59 asDDxhyK
200GET


201:XXXR
07/12/26 08:41:46 5tSNcFdG
いきなりだけど、ここの住人たち的には「元」悪の女ってどうなん?
改心したいじめっ子とか、最初は敵だったけど後で仲間になる、戦隊の六人目
みたいなやつ。

202:名無しさん@ピンキー
07/12/26 08:47:13 hr3905Kz
大好物です

203:名無しさん@ピンキー
07/12/26 17:59:35 Ld6Kzcve
勿論あり

204:名無しさん@ピンキー
07/12/26 18:26:18 TCo9nMhT
大好物です

205:名無しさん@ピンキー
07/12/26 20:24:34 V9YM6xve
臨時保守

206:XXXR
07/12/27 01:54:20 EqC3VWEL
サンキューお三方。
実はそんな感じの話を一本書こうと思ってる。
多分時間かかるし、下手だし、こういうところに投稿すんの初めてだから、
何かやらかしちまうかもしれない。
それでもイイっていう人がいたら言って欲しい。

207:名無しさん@ピンキー
07/12/27 07:18:01 uZniJoAv
誘い受けはいいから黙って書け。話はそれからだ。

208:名無しさん@ピンキー
07/12/27 12:04:50 qCycjEvI
>>206
スゲェがんばってほしいけど、
そういう言い方は嫌われるよ。

209:XXXR
07/12/27 17:20:57 w2XXO9PM
ありがとう。
そうだな。とにかく書いてみる。できたらここに載せる。

あ、ちなみにネタは前に自分で書いた戦隊もののセルフエロパロ。
このスレ的ヒロインの悪の女幹部は、正々堂々真っ向勝負しかけてくる武人系。

210:名無しさん@ピンキー
07/12/28 01:20:08 msq7+Oxu
>>189氏の続きと>>209氏の投下をじっと待つ俺

211:XXXR
07/12/28 15:58:57 6tMwEmGk
とりあえず途中まで書き上がったから、投下する。

212:XXXR
07/12/28 16:01:18 6tMwEmGk
空が青い。
口の中には、鉄の味がする。
脇腹から、自分の体温が流れ出していくのを感じる。
空が青い。
首を横に向けると、ヤツは背を向けて悠然と去って行く。
待て、そう言おうとして口を開いたところで、ブラックの意識は途切れた。

射撃戦隊ガンレンジャー episode X 「エクスレイティッド」

私立大鷲大学付属高校、放課後。
校舎は次々に生徒を吐き出していき、生徒達は束縛からの解放に浮かれる時間。そんな中で一人の少年に、背後から声がかかる。
「大介」
声を掛けられた種子島大介が振り返ると、そこにいたのは均整のとれたスタイルの、ショートカットの美少女。同級生の大筒華美だった。
「何だハナビか。どうした?」
「いや、身体の調子、どうかなって。そろそろ一ヶ月になるけど」
「ああ、こいつか」
そういって脇腹に手を当てる。そう、彼が敗北してから、そろそろ一月が経とうとしていた。


213:XXXR
07/12/28 16:03:25 6tMwEmGk
半年前のこと。大介と華美は、ひょんな事からとある組織にスカウトされた。有り体に言えば、悪の組織と戦うヒーローに選ばれたのだ。
以来二人はガンレンジャーと呼ばれるチームの一員、ブラックとグリーンとして、仲間のレッド、ホワイト、ブルーと共に、悪の組織が送り込む怪人達と戦う日々を送っていた。
勝利を重ね、仲間達との絆も深まり、ヒーロー生活にも慣れてきた頃、大介は敵の幹部に敗北してしまった。

大介がやられたのは、日本の鎧甲と西洋の甲冑を組み合わせたような姿をした敵だった。
以前から時たま現れていたが、饒舌な他の連中と違って自分のことを語らないため、名前すらわからず「ヨロイ」という仮称で呼ばれている。
ヨロイは「お遊び」の過ぎる怪人達を諫める様な役回りをしていたのだが、その日はついに怪人を、その日本刀のような武器で切り捨ててしまった。
そして帰ろうとするヨロイを、大介は勝手に単独で追いかけ、一対一の戦いにもつれ込んだ末に敗北。
後から追ってきた華美に助けられ、一命を取り留めたのだ。それが、一ヶ月前の出来事である。


214:XXXR
07/12/28 16:04:33 6tMwEmGk
「大介、大介!」
ふと気が付くと、華美がこっちを心配そうに見ている。
「どうしたの? やっぱりまだ調子悪い?」
どうやらあの時のことを思い出してぼうっとしてしまったらしい。大介は気を取り直し、笑顔を浮かべる。
「大丈夫だって。もうかなり治ってきてる」
華美はほっと肩をなで下ろす。普段の彼女はもっと気っ風の良い性格であり、戦闘ではキャノン砲を使った豪快な戦法を得意とする様な女性なのだが、何故か大介に対してはしおらしい姿を見せ、過保護なくらいに世話を焼いてくる。
「本当に大丈夫? あんなに酷いケガだったし、それに・・・あんな事、毎日やってるし・・・」

華美の顔から不安な表情は消えない。ここ最近の彼の日課についても、あまり良くは思っていない様で、こうして再三やめるようにと言ってくる。大介としても仲間、それ以上に性別を超えた友人である華美の言葉を無下にしたくはないが、こればかりは譲れなかった。
「だ~か~ら、大丈夫だって、あれくらい。それに、ケガが治ったって、またあんな事があったら意味ないしな」
「でも・・・」
「あ、オレはここで。じゃな」
高校の隣に位置する大鷲大学の前に差し掛かると、大介は話を切り上げ、中へと入っていった。



215:XXXR
07/12/28 16:07:22 6tMwEmGk

大介が道場の扉を開けると、中からわっと男達が飛び出して来た。みな体中に傷やこぶや痣があり、必死な顔で大介を引っ張る。
「待ってたんだよ大介君!」
「助けてくれ! もう僕らじゃあの人の相手は無理だ!」
「ささ、こっち、こっちへ! さあ!」
「いや、ちょ、そんなに引っ張らないで下さいよ!」
そんな感じで大介が連れて来られた場所には、胴着を着て竹刀を持った人影がいた。ゆったりとした動作で振り返るその顔は、凛々しく引き締まっている。
「遅かったな」
その人が口を開く。
「いつもより五分ほど遅れている。何かあったのか?」
「いや、ちょっと知り合いと会っただけです」
「そうか。なら早速始めるとしよう」
そう言ったとたんに、その人は一瞬にして間合いを詰めると、大介に斬りかかった。

佐々木燕。それがこの人の名だ。
ヨロイに敗北した後、大介は剣術の知識を得る事を考えた。まずは身近なところからと思い、近所を虱潰しに巡った結果、彼は大学の剣道サークルに所属していた燕と出会った。その後交渉の末、こうして毎日放課後に稽古をつけてもらっている。
二人の稽古は、所謂異種格闘義戦となった。互いに防具は付けず、燕は竹刀、大介は素手で組み合う。実践での大介の武器は二丁拳銃だが、ここでは普段近くの敵を捌くのに用いている、蹴り主体の格闘スタイルでいくつもりだった。
しかし、そんな考えは初日に打ち砕かれた。振り下ろされた竹刀をいつものようにガードしようとして、あっさりと押し切られてしまったのだ。
その後はそれは無様な物だった。とにかく避けるだけ、それすらもまともに出来ずに一方的にのされていく展開。しかしその日の最後には、何故か筋がいいと褒められた。

216:XXXR
07/12/28 16:09:44 6tMwEmGk
次の日も、そのまた次の日も、それの繰り返しだったが、不思議な事に、燕は逃げてばかりの大介を褒め続けた。
一度など、始まりの合図と共に突っ込んで行ったら、一蹴された後に、
「巫山戯ているのか!」
と逆に怒鳴られてしまった。そして次に、表情を緩めてこう言った。
「悪いがお前にはパワーは無い。だが見たところ、脚力とスピードならすでに私と同じくらいの物を持っている。
お前が私のような奴を相手にする場合、正しいやり方はそれを使ってとにかく逃げることだ。攻撃を受ける事を考えるな。まず最初から、何があっても相手を自分に近寄らせるな。そうすれば、勝てる可能性も見えてくる。
てっきり、それが解っているものと思っていたのだがな」
その次の日からは、大介も攻撃は捨て、避ける事だけに集中した。まだ結果には繋がっていないが、燕の目から見れば少しずつ進歩しているらしい。今日こそは一撃でも避けようと、努力してきた。
そして・・・
「甘い!」
ビシッ!
・・・今日も結局避けられなかった。


217:XXXR
07/12/28 16:10:46 6tMwEmGk

夜。豪奢なテーブルに腰掛ける大介の元へ、メイド服を着た少女が食事を運んでゆく。メニューはパンとサラダ、それにスープだ。
「どうぞ。本日の御夕しょ・・・きゃっ」
スープの皿をうっかり傾けてしまい、中身が大介のズボンに零れる。
「も、申し訳ありません、大介様! すぐにおふきいたします!」
メイドはハンカチを取り出しす。と、大介はメイドの手を掴み、それを止める。
「こういうときは、どうするんだっけ?」
「・・・はい、かしこまりました」
メイドはハンカチをしまい、頬を紅潮させながらゆっくりと跪く。そのまま舌を伸ばすと、ズボンの染みをぺろぺろと舐め始めた。

「どう。スープ美味しい?」
「・・・っ美味しいっ・・・です・・・」
今度は口を付け、ちゅうちゅうと吸っていく。吸う力は上へ向かっていくほどに強くなり、股間にさしかかった時に最高潮に達した。
「うわ、顔真っ赤。恥ずかしいの? それとも、興奮してる?」
「・・・興奮・・・して・・・ます・・・」
「なんで?」
「・・・大介・・・さまの・・・股間に・・・おちんちんにキスしてるからです・・・」「へえ、いやらしいんだね」
「・・・はい・・・はい! 私は! 華美は! いやらしい変態メイドなんですう!」

218:XXXR
07/12/28 16:11:46 6tMwEmGk
吹っ切れたのだろうか。メイド姿の大筒華美の声が、途中から大きなものへと変わる。
「じゃあさ、直接舐めたい?」
「はい! 大介様のおちんちん、直接なめなめしたいですう!」
「いいよ。やりたいんならどうぞ」
許可をもらったとたんに、花火はズボンのジッパーに噛みつき、勢いよく下ろす。そのまま鼻や舌を器用に使って男根を取り出すと、口にくわえて吸い上げ始めた。

「うわあ、いやらしい。ほんとに興奮してるんだ。」
「してます! 興奮しすぎて、このままイっちゃいそうです!」
エンジンを吹かしているかのような音を立ててしゃぶりながらも、大介に語りかけられる度に律儀に返事を返してくる。
「ほんと? どこもいじってないのに?」
「そうですう! どこもいじらなくても、こうしてるだけでイっちゃいますう!」
「そりゃすごいや。じゃあさ、イってみせてよ」
「はい、イきます! おしゃぶりしたまま、変態メイドがイきますう!」
そう言うと華美は今まで以上の勢いで股間にしゃぶり付き、ほどなくびくんびくんと痙攣しはじめた。
「ん・・・ん・・・ん~・・・ア! ハァアアアアアアアアン!!」


219:XXXR
07/12/28 16:13:06 6tMwEmGk
大筒さん? 大丈夫?」
その声にはっと気がつくと、華美は周囲を見回した。豪華なお屋敷は消え去り、基地のシャワールームの個室へと取って代わっていた。当然自分もメイド服など着ていないし、大介もいない。

「大筒さん? 何か変な声が聞こえたけど、どうしたの?」
隣の個室からホワイト、濃姫千里の声が聞こえる。そうだ、自分は彼女と一緒にトレーニングをした後で、汗を流すためにここに来たのだった。
「あ、大丈夫です」
「そう、なら良いんだけど。最近大筒さん無理してるから、気をつけた方が良いわよ」
「そうですね、少し疲れてるかもしれません」
千里に返事を返すと、華美は壁にもたれてため息をついた。そのまま、ずるずるとしゃがみ込む。
またやってしまった。たしかこの前は全身を拘束されてのSMプレイ、その前は全裸に首輪だけ付けて大介にリードを引っ張られながら四つんばいで散歩していた。



220:XXXR
07/12/28 16:14:15 6tMwEmGk
こんな妄想を繰り返して、自分はどういうつもりなのだろう。あれを望んでいるとでも言うのか。大介に奉仕し、大介にいたぶられて愉悦に震える女になるのを、もっと言えば、大介の奴隷になるのを、望んでいるとでも言うのか。

おこがましい。

彼は今頃、大学の剣道場で佐々木とかいう人と特訓をしているのだろう。あのときのケガもまだ治りきっていないというのに、今日も痣や傷をたくさん作っているに違いない。それなのに自分はといえば、こんな場所で妄想に耽り、自慰をしている。

何様のつもりだ。


221:XXXR
07/12/28 16:15:32 6tMwEmGk
こんな事をやっている時では無いはずだ。自分だって強くならねばならない。あのヨロイとかいうやつから、大介を護るために。
そうだ、大介を護るのだ。悪が栄えようと、世界がどうなろうと、自分にとってはどうでもいい。ただ、大介を、危険な戦いに飛び込む事を決めた大介を護るために。そのために、ガンレンジャーになった。そのために、生きてきた。

それがこの様は何だ。こんな所で、ばれてしまったらどうするつもりだ。自分がこんな妄想をしていることが、千里に知られたら、仲間に知られたら、大介に知られたら、どうするつもりなのだ。
大介は怒るだろうか。私のことを、蔑むだろうか。いや、きっと大介なら、こんな女の事を友達と呼んでくれる大介なら、悲しむのだろう。
それはだめだ。また、私が彼を泣かせてしまうなど。そんな事はあってはならないのだ。

花火は目を閉じる。今度思い浮かぶのは、どこかの学校の校舎裏。何人かの子供達が、一人の少年にいじめを行っている姿だ。


222:XXXR
07/12/28 16:17:23 6tMwEmGk
少年は殴られ、蹴られ、シネだのキモイだの、バイキンだのといった聞くもおぞましい暴言を浴びせられる。少年はもう慣れてしまったのか、生気の抜けた目に涙はなかった。
いつもそうだ。妄想の後は自己嫌悪に浸り、そしてこの頃を思い出す。あの少年の、とても小学校三年生のする物とは思えない、何も映さない目を。
「やめて・・・ねえ・・・やめてよ・・・」
少年をいじめる子供達に語りかける。無駄なことは分かっている。自分の声は届かない。これは現実ではないのだ。
ねえ・・・何で?
少年は口を開く。震えるような声だった。今の陽気な声とは似ても似付かない。
何で・・・ぼくのこといじめるの?
たった一つの、質問。少年の、種子島大介の、たった一つの、抵抗。
「やめて・・・やめて・・・」
華美は、涙を流す、少年は、泣かないから。
やめてと、繰り返す、少年は、そんなことは言わないから。
泣いても無駄だと、言っても無駄だと、少年はもう、知っているから。


223:XXXR
07/12/28 16:18:40 6tMwEmGk
・・・何で?
質問に答える声に、華美はびくんと震えた。
アイツだ。
アイツが現れる。
この世で最も唾棄すべきアイツが、屑のようなアイツが、シネという、自分に向けるべき言葉をこの少年へと向けるアイツが、
「あ・・・あ・・・ああ・・・」
あんたばかぁ? そんなのきまってるじゃん
アイツは大介に顔をぐっと近づけると、笑いながらこう言ってのけた。

あんたを殴るのは、楽しいからよ。大介

「やめてええええええええええええええええええ!!!!!」
そしてまた大介を殴り、蹴り、嘲笑うアイツは、

小学三年生の頃の、私だった。



224:XXXR
07/12/28 16:20:20 6tMwEmGk
とりあえずここまで。エロ以降の展開で、少しでもビックリしてくれたら
成功なんだが・・・。

ところでエロ書いたの初めてなんだが、すごいな、手が震えたわ。


225:名無しさん@ピンキー
07/12/28 17:03:44 R/KemWLT
だがまだ腹五分だぜ…エロを…怒涛のエロを…

226:名無しさん@ピンキー
07/12/28 17:04:39 Hb3ZWKJ9
ほぉ…大作の予感…
頑張ってください

227:名無しさん@ピンキー
07/12/28 23:03:59 IsejAOoZ
>>224
ちゃんとsageた方がいい
後、・・・より……の方がスッキリして読みやすいと思う

次回に期待してます

228:名無しさん@ピンキー
07/12/29 17:44:20 g2XsUiqk
>>227
そういえばテンプレにはsage推奨とかは書いてないな
次スレ建てる時に付け加えてもらった方がいいかもしれん


>>224
先の展開が気になる…続き期待してます

229:名無しさん@ピンキー
07/12/30 23:27:33 Zb3IwTIk
悪女非情すれが流れてしまった…
URLリンク(orz.4chan.org)

230:名無しさん@ピンキー
07/12/31 01:26:10 9OjcMtOS
なんかぬるぬるしててきもちわるいなw

231:名無しさん@ピンキー
07/12/31 04:44:57 X71AShyv
>>229
Janeで画像出てこないんだが、例のウイルス……って事はないよね?

232:名無しさん@ピンキー
07/12/31 09:42:56 e0cDS0Go
火狐さんは画像拡張子のhtmlは弾いてくれるから困らない
でも画像なのかどうなのかは結局分からないから困る

233:XXXR
08/01/01 06:31:16 03E12/jG
次の話が書き上がったんで投下する。
長いけどエロがない・・・

234:XXXR
08/01/01 06:32:32 03E12/jG
都市化に失敗して生まれた、人通りもない郊外の廃ビル。静かなその場所へ音もなく進入する三つの影。
ガタンガタンッ!
「ばか、静かにしろ」
「すみません!!」
「Oh、今のコエの方がずっとウルサイね」
……訂正しよう。「ほぼ」音もなく進入する影。正義の味方、射撃戦隊ガンレンジャーの一員、マグナムレッドこと長篠信長、ガトリングブルーことビリー・ウェスト、そして我らがリボルバーブラック、種子島大介の三人。通称「男組」である。

一時間前、基地のレーダーが不審な反応を確認した。反応はすぐに消えたものの、その後も断続的にその近隣からの反応が繰り返されたために、偵察を送ることになった。
本来はスナイプホワイトこと濃姫千里が偵察を担当しているのだが、突然リーダーである信長が
「たまには他の奴も経験しといた方が良い」
などと言い出したために、この三人で赴く事になってしまった。
(キャノングリーンこと大筒華美も連れてくる予定だったが、ビルを破壊されてはたまらないので留守を任せる事にした。)


235:XXXR
08/01/01 06:34:11 03E12/jG
「ほんとにいるんですかね。あのセンサー、けっこう当てにならないし」
「それをカクニンするためにキタんでしょ」
「しゃべってないでよく見ろ」
「「はーい」」
大介がぼやけばビリーが相づちを打ち、信長が突っ込む。締まらないメンツである。
三人は首を動かし、部屋の中を見回す。右へ、左へ、そしてまた元の場所へ戻った時。
そこには妖しげな装置が置かれていた。
「な、何だこれ?」
それは円柱形をしており、数カ所に搭載されたモニターの中では、様々なメーターが上がったり下がったりしている。と、機械のスピーカーから甲高い音が聞こえ始めた。
「がっ……」
「み、耳が……」
「……Ouch……」
三人はその音を聞いたとたん、耳を押さえて苦しみ始め……


236:XXXR
08/01/01 06:35:33 03E12/jG
「それで、逃げられた、と」
「「「ごめんなさい」」」
大介達が気が付いた時には、謎の装置は影も形も無くなっていた。偵察の任は果たしたとはいえ、接触した相手を逃したのは大失態だ。
「はいはい、ちゅうも~く」
基地の司令室。ぱんぱんと手を叩いたのは、油だらけの作業着を着た女性。メカの整備や敵の分析を一手に引き受ける、羽柴佐里奈女史だ。

「今回の敵……って言うのも変だけど、この機械。どうやら音波で催眠術みたいなものを仕掛けてくるみたいね」
「催眠術ですか? あの時の変な音を使って、俺たちに幻覚を?」
信長はあの音を聞いた後の自分の体験を思い出しながら、羽柴に質問する。
「ん~、ちょっと違うかな。正確には、姿を見せる前からもう仕掛けられてるのよ」
羽柴は司令室のモニターに、今回の出動における唯一の収穫、謎の機械の画像を映し出す。さらにボタンをいくつか動かすと、映像は機械の内部を透視した物に入れ替わった。

237:XXXR
08/01/01 06:37:42 03E12/jG
「多分この機械は、姿を消している間にも可聴音域外の音波を使って、周囲の人間の脳にゆっくり刷り込みをかけているのよ。
そして深層意識に下地が整ったら、今度は姿を見せて注目を集め、可聴音波で表層意識からアプローチする。
そうやって相手を安定した催眠状態へ落としてしまうのよ。よくできてるわ~」
解説をする羽柴は、いつもながら楽しそうだ。
「そこまでわかってたら、何か対策はできないんですか?」
という大介の問いには
「ムリですよ」
とビリーが答えた。
「ワタシたちのradarでは、姿を消したこの機械をタンチできないのは、カクニン済みね。向こうにはいつもツカってる瞬間移動装置もアルはずですし、見つけ出すコトは不可能ですね」
「じゃあ、こいつの出してる音が聞こえ無いようにスーツを改造したら?」
「それも無理」
今度は羽柴が答える。
「いくら可聴音域外とはいえ、人間の耳に聞こえる音を制限するのは、戦闘において危険過ぎるわ。私としては、そんな改造は許可できないわね」
そして
「とりあえずこれに対抗するために、技術班が協力できそうな事はないわ」
という台詞で締めくくり、司令室を後にした。
回避不能の催眠攻撃を仕掛けてくる相手に、技術的な支援なしでどう立ち向かうのか。難しい命題に、五人の心は重く沈んだ。


238:XXXR
08/01/01 06:39:21 03E12/jG

ビシッ! バシッ! ガンッ! バキッ! ドスッ! ボンッ! カーーーンッ!
「よし! 今日はここまでにしておこう」
「あ……ありがとうございまし……た」
翌日。大鷲大学の剣道場では、丁度大介の特訓が終わった所である。
燕は汗を拭き、スポーツドリンクを飲むと、そのままタオルとペットボトルを大介へと渡してくる。大介は一瞬微妙な顔をしたものの、汗の不快感と喉の渇きには勝てず、使わせてもらう事にした。

「困りごとでもありそうな顔をしているな」
突然、燕が話しかけてくる。
「話してみろ。役に立てるかもしれないぞ」
その言葉に大介は少し考え、とりあえず要点をぼかして話してみる事にする。
「例えば、燕さんが……そう、催眠術師と戦うような事になったとするじゃないですか」
「ほう、面白そうな相手だな。それで、相手は具体的にどういう戦法を取ってくるんだ?」
「まあ、幻覚ですね。出会った瞬間に、こっちの欲望を具現化した幻を見せてきます」
「それは良いな。剣豪百人との仮想対戦なんてこともできそうだ。ぜひその催眠術師とやらに会ってみたくなったぞ」
「いや、それがですね、いきなりぱっと現れて、幻を見せて、正気に戻る頃にはもういないんですよ。とりあえず幻覚さえどうにかできれば、何とかなるんですけど」


239:XXXR
08/01/01 06:40:44 03E12/jG
「相手のやり方はわかっているんだろう? 要は最初から催眠術にかからなければ良いのではないか?」
「それも無理みたいなんですよね……」
「なるほど。何となく話はわかった。つまりお前は今、ゲームだか何だかで攻略法に悩んでいると、そういう訳だな」
「大体そういう訳ですね」

「そうか。で、」
燕は口元をにやりと歪める。
「欲望を具現化した幻、だったか。お前には何が見えたんだ?」
「え、え!? いや、その、それは……」
大介は急に斜め上を見上げ、押し黙る。燕は竹刀を手に取り、彼の喉元に突き付け
「言え」
「……ば……りん」
「何?」
「……バケツプリン」
「……なんだそれは」


240:XXXR
08/01/01 06:42:06 03E12/jG
「いや、だからアレですよ。ホームセンターとかで新品のポリバケツ買ってきて、それを型にして……」
「プリンを作る、と」
「そうです」
「馬鹿かお前は。そんな幼稚な願望だとは思わなかったぞ」
「はっきり言わないでください。あー、こんな話するんじゃなかった」
そして振り返って去ろうとする大介を、まあ待てと燕が引き留める。
「馬鹿と言った詫びに、私からアドバイスをやろう。必ず上手くいくとは限らないが、な」

241:XXXR
08/01/01 06:43:05 03E12/jG

再び例の郊外。今回はグリーンとブラックの二人で、あの機械を迎撃する。
「それで大介、秘策ありって言うのは本当なのか?」
通信機を通して、レッドがブラックに語りかける。
「上手くいくかはわかりませんが、試してみる価値はあります」
「わかった。催眠攻撃については、任せたぞ」
「はい」
「催眠を打ち破ったら、一気に機械の撃破だ。許可は下りてる。大筒、派手に暴れろ」
「了解」
通信を切ると、狙ったように機械が現れる。甲高い音が聞こえ、二人は幻の世界へと誘われた。

そして大介の目の前には、やっぱりバケツプリンがあった。
「さてと、じゃあやってみますか」
と、大介は大口を開けて、その特大プリンへとかぶりつき始めた。そしてあっと言う間に食べ終わると、
「他にはないのか~!」
と大声で叫ぶ。すると目の前には、次々と様々な甘味が現れる。様々なバリエーションがあり、一つとして同じ物は無かった。大介はそれらに飛びかかると、次々に口に放り込んでいく。


242:XXXR
08/01/01 06:44:32 03E12/jG
これが燕が授けた攻略法だった。
「幻覚を防げないなら、受け入れてしまえ。呑まれる前に、幻を呑み込んでしまえ。そして欲望に任せてもっともっとと望み続ければ、所詮は自分の妄想。いつかは自身の想像力の限界を超えて、あるいは……な」
大介はその言葉にかけた。
「おい、もっとだ! こんなんじゃまだまだ足りないぞー! こんなもんか、他には無いのか? おお、何だやれるじゃないか。だけどまだまだー!」
そして叫び、喰らいを繰り返し、もう何が何だかわからなくなってきた頃、大介の目の前には、もとの廃ビルだらけの風景が広がっていた。

「欲望はいつか身を滅ぼすって事なのか? まあいいや、次はハナビを」
「あぁ~ん、もっとぉ~!」


243:XXXR
08/01/01 06:45:36 03E12/jG
いきなり聞こえてきたピンク色な声に、大介はぎょっとする。
「次は、次は何をしてくれるんですかぁ~? 木馬とか、電気ショックとか、そんなのもう飽きちゃったんですぅ~! もっと、もっときっついおしおきしてぇ~! もっと虐めてぇ~! もっと、もっと、もっと……あれ?」
グリーンはキョトンとした様子で正気に返ると、ブラックの顔をじっと見つめ
「あっ、本物ね」
と、小さくつぶやいた。何か残念そうに。

……偽物のオレとやらは、いったいお前に何をしていたんだ?

今度は何やらいじけ始めたグリーンに対して、ブラックはそう言ってやりたかったが、それを聞いてしまった場合、今後彼女と円滑な人間関係を築いていく過程において、重大な障害になる気がしたので黙っておいた。
まあ、人の趣味はそれぞれ自由だよな、うん。


244:XXXR
08/01/01 06:47:05 03E12/jG
「えっと、ハナビ。とりあえずやっちゃおう」
「え!? あ、うん、そうね」
グリーンは何とか気を取り直し、キャノン砲を二門出現させると、両肩に装備し、さらに二門を両腰へと取り付ける。
ブラックは彼女の後ろへ廻ると、二丁のリボルバーを、両肩のキャノンの後ろに接続した。すると、キャノン砲は展開し、ミサイルを中心とした重火器が現れ、チャージ音が響く。

「究極乱射!」
「エンド・オブ・デイズ!」
「「ファイアー!!」」

ブラックが引き金を引くと同時に、全ての銃器が火を噴いた。

245:XXXR
08/01/01 06:48:02 03E12/jG

「ああ、やられちゃった」
過激結社「ナイトメア・ワンス・モア」通称NOMの首領、ドクトル・シャドウと名乗っている男はつぶやいた。
「安定性のある催眠機構、優秀なステルス機能、おまけに機械だから、負担を無視して短時間に連続した瞬間移動装置の使用が可能。けっこういけると思ったんだけど」
ぶつぶつと長い独り言を続けたシャドウは、
「ま、直接攻撃ができない事を考えれば、合格ラインかね」
と完結した。
「ジョシュくん」
「はいは~い、何です教授」
呼ばれて現れたのは、眼鏡をかけてだぼだぼの白衣を着た、いかにも何もないところで転びそうな雰囲気の女性である。
「すぐにこいつの量産体制に入って。同時に各国の軍部とか過激派組織に売り込みを。今後の課題は、転送装置を使った火器の安全な移送だね。あとシャドウビーストの新作もそろそろ着手したいから、準備よろしく」
「了解で~す」


246:XXXR
08/01/01 06:49:06 03E12/jG
ジョシュと呼ばれた女性は用件を聞くと、とてとてと走り出し……
「あわ、あわわわわわわわわわわあわわわわ!」
ずってん。
何もないところで転んだ。
シャドウは横目にそれを見てくすくすと笑うと、再び正面に向き直り、先ほどまで機械からの送られた映像を映していたモニターを見る。今は、砂嵐しか映ってはいない。
「しかし、催眠攻撃をこんなやり方で破るなんてねえ」
シャドウの笑いは、止まらない。
「自分で思いついたのか、それとも誰かの入れ知恵か……フフフ……」
まるで、おもちゃで遊ぶ子供のように。
シャドウは、楽しそうだった。

247:XXXR
08/01/01 06:54:09 03E12/jG
とりあえずここまで。最初にも書いたが、エロなしですまん。

みなさん、あけましておめでとう。
今年俺が気になるのは、特撮の新作と、ドラゴノーツのガーネットの動向と・・・
あとは明後日発売のルーンファクトリー2か。何しろ前作は
「悪の女と結婚できる」
ゲームだったからな。要注意だ。

248:名無しさん@ピンキー
08/01/01 08:40:18 bQvmHI8a
くっ悪の組織は休まず精力的に(性的な意味も含めて)働くのだなっ!
あけおめっ!

249:名無しさん@ピンキー
08/01/01 09:05:40 Dai4X8K2
あけおめ+グッドジョブ

250:名無しさん@ピンキー
08/01/01 13:57:03 ld1JvkG8
あけグッジョブ

251:名無しさん@ピンキー
08/01/02 02:21:28 7OnxvoG3
普通に続きが気になるGJ

252:名無しさん@ピンキー
08/01/03 01:04:00 SFbMVy5K
次回にwktkGJ

253:名無しさん@ピンキー
08/01/03 16:00:16 CBNToHlc
割り込む形で恐縮ですが、スレが盛り上がればと思いファイナルファイトの話をばひとつ。乱筆乱文失礼。

254:FFのSS①
08/01/03 16:21:14 CBNToHlc
ここ超犯罪都市メトロシティで、何と市長ハガーの娘ジェシカが犯罪集団「マッドギア」に誘拐されるという事件が発生。
恋人コーディは、ハガーと忍者ガイと共にマッドギア壊滅へ動き出す事となる。
他の2人とは別行動を取り、ジェシカをさらった張本人・ダムドを探すコーディは、遂にそのアジトを発見する。
それは煉瓦造りのあばら屋が建ち並ぶスラム街の中にある、1件の寂れたバー。早速突入しようとするコーディ、しかしドアの両脇には2人の女が立っていた。

「うっ」
その女達を見てコーディは一瞬目を逸らした。2人の出で立ちがあまりに過激だったからである。
2人共警帽を被り、上半身は豊満な下乳のはみ出る程短い白のタンクトップ1枚。
下半身はと言えば、手錠をぶら下げた、下着並みに切れ込むデニムのホットパンツから、太股はかなりの肉感だがふくらはぎはキュッと締まった生脚が飛び出している。

「ンフ、お兄さん何か用?」
左側の、鮮やかなピンク色の髪を腰まで伸ばした、狐色の肌をした女がコーディを見て声を掛ける。こちらもピンクに塗られた肉厚の唇が艶かしく光る。

255:FFのSS②
08/01/03 16:47:36 CBNToHlc
「ここにいる、ダムドに話がある。通してもらおうか」
「フッ、誰それ?…そんな事よりも、アナタイイ体してる…アタシ達と遊びましょうよ」

右側の、白い肌をした女が答えた。左側の女と髪型は同じだが、色はオレンジに染められている。

「ここがアジトだという事は突き止めている。美しい女性と色々な事をして遊びたいのはやまやまだが、ちょっと急いでるんでね」

コーディは2人の間から強引に店内に入ろうとした。その腕に両側から2人が絡み付く。2人の胸は腕に当たってひしゃげ、今にも大事な突起が見えそうだ。

「ンもう!…せっかく女の方から誘ってるのに甲斐性無しね。そんなんじゃ彼女も出来ないわよ…」

コーディの左耳に少し甘酸っぱい息が吹きかかる。ピンク女が顔を間近に寄せて囁いているのだ。唇がかすかに耳に触れる。
しかしコーディは毅然とした態度で、目だけ女の方に向けて答える。

「残念ながら最愛の彼女がさらわれていてね、お前等に。怒りにうち震える今の俺にはお前の安い色仕掛けは通用しないぜ…はっ!」

コーディは勢いよく両腕を振り払う。一歩飛び退く女達。
「勿体無いわね…じゃあやっぱりケガしてもらうしかない…か!後悔するわよ!」

ピンク女は声を張り上げ、再び一歩踏み込み右手を大きく振りかぶった。胸が揺れる。

256:FFのSS③
08/01/03 17:21:03 CBNToHlc
コーディは一瞬のうちに右も確認した。オレンジ女も同じ動作をしている。平手打ちか。

「ふんっ!」

2人の掛け声が同時に響く。2本の腕がコーディに襲いかかる…!
両手で思い切り蚊を潰した時のような音が2つ重なった…。

コーディの頭上で。

「んあぅ!」
女達の平手は、咄嗟にしゃがんだコーディを捉えること無く、互いの顔面にクリーンヒットしていた。
左頬を打たれて、口から唾液を吹き出しながら互いにそっぽを向く2人を下から仰ぐコーディ。
風圧でタンクトップが翻り、一瞬揺れる突起がサブリミナルする。コーディはピンク女のものを視界にとらえた。

「…え!?」
ピンク女は一瞬何が起きたか分からず右、左、右と確認し、次に下を向く。

「…んな、き、貴様!」
ピンク女の唇からは一筋の唾液が垂れている。
「エロい唇から美味そうな蜜が垂れてるぜ。しかしあれだけ振りかぶれば避けるのも簡単だ。それにしても響いたな、普段余程仲悪いのか?」

「…お…おのれ…あぅ!」頬を紅くした女がセリフを言い終わる前にコーディは足払いを繰り出す。
「あん!」
ピンク女はM字開脚の形で尻餅をつく。

257:FFのSS④
08/01/03 18:10:47 CBNToHlc
コーディは足払いをしつつしゃがんだままオレンジ女の方に向き直り、ピンク女と同じように下を覗き込むその顔めがけて勢いよく立ち上がる。

「んんっ!」
頭突きをまともに顔面に喰らい、のけぞるオレンジ女。両手で鼻を押さえ天を仰ぐ。
またしてもタンクトップが翻り、今度はオレンジ女の乳首が完全に露になった。やや黒ずんでいる。
コーディは完全にがら空きになっているへそを見据え構えようとした。

しかしコーディは一瞬考えた。オレンジ女は鼻血が出ているのか暫くあの体勢から立て直せそうにない。それなら…。

コーディはすぐ踵を返し、まだ尻餅をついたまま痛がっているピンク女の右腕を取り、近くの街灯まで引っ張りこんだ。
「んな、何…!?」
驚く女をよそに、彼女の腰に下がった手錠を引き剥がし、彼女の両腕を街灯に後ろ手になるよう回し、両手首に手錠をはめた。
「…え!ちょっとやめてよ!もう!」
盛んに両腕をバタつかせながら女は手錠を外そうとするが外れる訳もなく、手錠と柱がぶつかる金属音だけが響き渡る。

「これでよし、と…」
コーディは少しずつ持ち直しつつあるオレンジ女のもとへ駆け寄り、構え直した。

258:253
08/01/03 19:39:42 CBNToHlc
ひとまずここまで書きました。別スレに書いたものを一部変えたSSです。

259:名無しさん@ピンキー
08/01/03 23:59:23 fhKBXkaG
…ポイズンって男だったよな?

260:名無しさん@ピンキー
08/01/04 00:07:35 7BfwUbtQ
>>259
設定も情報も錯綜しているので好きなように解釈するべし
俺は女だと思っている

261:名無しさん@ピンキー
08/01/04 00:38:04 1L0FtjtV
GJ
続きマッテマス

262:名無しさん@ピンキー
08/01/04 02:56:22 RIB75/0+
グッドジョブです

263:名無しさん@ピンキー
08/01/04 21:18:41 ZhVes3Jo
>>259
当時は「女を殴るゲームはアメリカで訴えられる!」という危機感から、
シーメイル設定があったと思うけど、
国内向けのアンダーカバーコップスではそういうのは無かったよね。
こっちは雑魚を倒すと血反吐まで吐いてたしw
カプコンのアイレムの差なのかな?

264:名無しさん@ピンキー
08/01/04 21:19:29 ZhVes3Jo
×カプコンのアイレム
○カプコンとアイレム

265:名無しさん@ピンキー
08/01/05 05:11:02 o3CsK6ps
グッジョブ
もしや、あなたはゲーキャラ板の女ザコスレに
投下してくれた方?

266:名無しさん@ピンキー
08/01/05 07:26:59 Y5FlUyLq
>>260
確かに当時は雑誌によってキャラの説明が異なってたな




男という設定にするならボイスは女のにしてはいかんだろカプコン

267:名無しさん@ピンキー
08/01/05 07:59:54 oby2ytPC
続編って事になっている格闘の「ファイナルファイト リベンジ」では、
ポイズンは完全に女って事になってるな
ついでに、コーディに密かな恋愛感情を持っているって設定だった

まあ、俺はフタナリって事にした方が萌えてしまうんだが

268:253
08/01/05 10:37:56 u34mDJiK
>>261>>262
ありがとうございます。

>>265
いかにもあそこに投稿した者です。ただ今回はここまで微妙にスレ違いなので、今後修正します。

269:名無しさん@ピンキー
08/01/05 12:39:47 KBO6Njj/
いや、ふたなりは違うだろw

270:名無しさん@ピンキー
08/01/05 16:46:17 o3CsK6ps
>>267
SVCでも女扱いだったなぁ
まあ、プレイヤーとして使えるマキや春麗やキャミィが、普通の女性であるように
プレイヤーサイドとして使えるならニューハーフ設定いらないもんな

271:名無しさん@ピンキー
08/01/06 02:08:15 Q+KUHrbn
やっぱ女性に暴行くわえるのはよくないってコトで
ニューハーフって言われてたのかなぁ?

272:名無しさん@ピンキー
08/01/06 02:28:54 vtTtCarS
>271
全くその通り
>263も書いているとおり
当時のアメリカ世論にあわせて、そういう設定に急遽変更した。
ファイナルファイトと関係ないが、
当時はポケモンですら、動物虐待に繋がるという話がアメリカで持ち上がって
「ポケモンボールの中は居心地が良い」とか、そんな設定が急遽付け加えられたりとか
色々、日本国内では考えられんような難癖が付けられていた時代だったからね

ま、今のアメリカなら
「ニューハーフなら暴行しても良いというのも差別だろ!」
って絶対言われるだろうけどね

結論として
「ポイズンは女で、悪女萌えヒャッホイ」
ってことだ。そうに違いない。異論は認めない。

273:名無しさん@ピンキー
08/01/06 06:43:39 jvAssUTy
そういえば、こういうチンピラ集団のビッチ風な女構成員のSSって、あまり見ないな。
同じ女ザコでも特撮とかの女戦闘員とも、また違うんだよな

274:名無しさん@ピンキー
08/01/06 11:00:55 tJ43c2yc
そういえばてぃるちぇいさー3巻発売してるんじゃない?

275:名無しさん@ピンキー
08/01/06 16:44:52 7jSYz2ov
発売してるよ
見た目も性格も悪の女幹部と呼ぶにふさわしい
シヴァの絡みがメインなのが良い

個人的には主人公×ミュウが一番好きだけど

276:名無しさん@ピンキー
08/01/08 00:35:30 9NITMiby
このスレ的に、ラットマンは有り?

277:名無しさん@ピンキー
08/01/08 03:21:36 DSCRmcqI
ラットマン?

278:名無しさん@ピンキー
08/01/11 03:34:18 Tsl9X09V
サド(マゾも兼ねてると尚よし)
女幹部

ボンテージ
淫乱・好色・貪欲
残忍
精力吸収
高慢

理想像(・ω・)

279:名無しさん@ピンキー
08/01/11 16:58:12 Hb/+58my
>>278
巨乳(又は爆乳)とハイヒールを忘れてるぞ

280:名無しさん@ピンキー
08/01/11 18:49:43 T6VQ04mZ
個人的に褐色も

281:名無しさん@ピンキー
08/01/11 19:25:47 TbsXzkwG
アルトネリコのミュールが好きです

282:名無しさん@ピンキー
08/01/12 05:08:10 KM1jEg65
ショタ食いの女幹部モノとかないか?

283:名無しさん@ピンキー
08/01/12 05:42:51 xyL2UHxy
>>278
サド(マゾも兼ねてると尚よし)(「-15CP」
女幹部「20CP(地位レベル4)」
鞭「20CP(武器の達人/鞭)」
ボンテージ・ハイヒール「-5cp(トレードマーク)」
淫乱・好色・貪欲「-15cp」
残忍「-10cp」
精力吸収
高慢「-5cp」
美人・巨乳「15cp」

わかる人だけわかれば良いや…

284:名無しさん@ピンキー
08/01/12 05:59:55 NZUIHx/g
ガープス乙w

285:名無しさん@ピンキー
08/01/12 08:45:03 xyL2UHxy
うわ…ツッコミはや…

286:名無しさん@ピンキー
08/01/12 09:32:53 xFUbXjP7
CPとか書いてあるのでやったことない俺でもTRPG関係だなということがわかった・・・

287:名無しさん@ピンキー
08/01/12 13:07:53 IzbXFCrO
>>283
使えない部下「5CP(仲間・いつも)」とか
ヒーロー「-20CP(敵・頻繁)」もいそうだな


で、話が進むと
部下「-20CP(仲間・最愛)」とか
ヒーロー「-50CP(敵・最愛)」とかに
変わったりするんだろ?w

288:名無しさん@ピンキー
08/01/13 02:52:39 6Hoou48w
新しいドロンジョ様はポロリが無いらしいね。

289:名無しさん@ピンキー
08/01/13 05:48:51 CcWU/R7t
時間帯が時間帯だしねぇ

290:名無しさん@ピンキー
08/01/13 09:38:19 y95K8K3H
実写は深キョンみたいだしねぇ

291:名無しさん@ピンキー
08/01/13 09:45:28 SOJCX68n
アニメの後半何度かヤッターマン1号とドロンジョ様がラブロマンスを演じ
2号が冷ややかな目で見てたりボヤッキーが怒り出したりするのが好きだった

292:名無しさん@ピンキー
08/01/13 10:40:28 L81SE4kj
ああ、覚えがある。キラキラした演出があったな。

293:名無しさん@ピンキー
08/01/13 13:16:04 Pe++HMzy
ヤッターマン1号とドロンジョさまがくっつけばいいと思ってた。
変身前ガンちゃんはアイちゃんで。

294:名無しさん@ピンキー
08/01/13 14:00:28 CcWU/R7t
見た目はゼンダマンのムージョが1番好きだ

295:名無しさん@ピンキー
08/01/14 07:27:35 wRAr1Z9v
シチュ的に相手は誰がいい?

・ヒーロー
・同僚
・部下
・総統・首領・司令など上官
・名もない脇役
・怪物
・ヒーローの仲間たち
・博士や博士の子供など非戦闘員

296:名無しさん@ピンキー
08/01/14 18:01:17 WF0jZdLM
携帯から失礼。

ここの掲示板書き込むの初めてだから、不都合・粗相があったらスマソ。

戦隊モノで、敵側のプロローグ的なのをちょっと投下します。

あと、先に謝っておきます。
◇あまりエロくない
◇説明長い
◇キャラの描写ない
◇始まってすらいない。

女幹部&ショタ執事で脳内補正して下さい。

――

「あ、あ、イイ!あぁ!」
「ひっ……ぐぅっ」
空中戦艦「アウスフムラ」。
北欧神話に出てくる、巨大な雌牛の名を冠した厳つい戦艦に似つかわしくない、艶やかな喘ぎ声が牢獄からこだまする。
「うぁああ……もうっ…無理っ…」
「イイわよ、イッても……アタシも……イク…っ!あぁっあぁぁぁあ…っ!」
どうやら絶頂を迎えたらしい。
それを始終眺めながら、僕は目の前の甘美な行為にため息をついた。
ただし、悪い意味で。

世界規模で展開されている大企業、「ユグドラシル・コンツェルン」。
あらゆる分野に手を染め、軽く先進国よりも資産を所有する「スゴい企業」。
そこに所属しながら、僕にはその程度しか認識はない。

297:名無しさん@ピンキー
08/01/14 18:03:26 WF0jZdLM
なぜなら、僕には―僕らには、それが何だろうと関係ないからだ。
僕らはいわゆる「裏の顔」。
「ユグドラシル・コンツェルン」の「黒い噂」「見え隠れする影」―などと呼ばれる、「暗部」。
通称「ニブルヘイム」。
そしてその武力制圧・敵地侵略・武力抗争の鎮圧を担当しているのが、僕の主。
数々の異名を持つ、エルセリオン様。
ニブルヘイムの、五人しかいない大幹部の一人。
僕の、自慢の、主である。

その主に最近、趣味ができた。
それ自体は喜ばしい。
趣味は心にゆとりを持たせる。仕事にしか興味を示さなかった主にとって、それ自体は大変喜ばしい。
しかし、問題はその趣味だ。

「敵勢力の人員を拉致し、陵辱すること」

何とも困った趣味である。
戦闘の毎に、飛び交う弾丸の合間を縫って敵の人員を拉致しなければならないし、性病予防の為にメディカルチェックも欠かせない。
おまけに、メディカルチェックの振るいにおとされて誰一人確保できなかったら、主による半ば八つ当たり的な性的折檻が待ち受けている(その被害者は主に僕だ)。
更に、行為の後の事後処理も大変だ。
もし、主がこんな行為を繰り返し行っていることが他の幹部達に知れたら、主の地位は危なくなる。そのため、拉致し陵辱された哀れな彼らの記憶を、薬物なり電波なりで抹消しなければならない。
まったく……。


298:名無しさん@ピンキー
08/01/14 18:13:43 WF0jZdLM
何故か反映されてない……



下げかたもわからないし……


皆さんスイマセンでした。

299:名無しさん@ピンキー
08/01/14 18:22:07 WF0jZdLM

僕は、息を整え、燕尾服を整え、けだるさを完璧に隠して淡々と述べた。
「エリス様。お時間です」
「あぁ……ぅん……今ぁ……イくよぉ……」
未だに身体をヒクつかせながら、甘い声でどっちの意味かわからない返答をする主。
だが返答は返答だ。僕は構わず続ける。
「では、昼食をご用意致します。自室とブリッジ、どちらになされますか?」
エリス様は、食堂で食事をとらない。気分で場所が変わるので、食事を運ぶ僕としてはアンケートをとらなければならないわけだ。
「えぇと……あぁ…ひくっ!」
まだ余韻に浸ってるのか。
「えぇと……自室ぅ…でぇ…」
「かしこまりました」
一礼すると僕は部屋を出た。

300:名無しさん@ピンキー
08/01/14 18:22:49 WF0jZdLM

「美味しい~(はぁと」
「恐縮です」
エリス様の食事・スケジュール・健康その他諸々の管理は僕が行っている。
5年も仕えていれば流石に好みの味付けも把握している。
どうやら、嫌いなゴボウも美味しく頂けたようだ。我ながら上出来だ。
次は大根にも挑戦してみよう。
「ご馳走。では、報告を」
「はっ」
食事も終わり、エリス様は凛とした声で言う。
面倒くさがりな主のために、出来る限り要約して、かつ的確に手に持った資料と報告書を読み上げる。
「極東方面以外は、どこの戦線も異常はありません」
「極東?……中国かしらね……あそこは終始物騒な国だからね……具体的にはどこなの?」
僕は資料をめくる。
「ええと……じゃ…ぽん…?…ああ、日本ですね」
一瞬、空気が止まった。


301:名無しさん@ピンキー
08/01/14 18:23:43 WF0jZdLM
「……日本?」
「はい」
すてぽてちーん。
「日本?日本って、あの日本か?」
「はい。スシ、サムライ、ゲイシャ、スキヤキ、テンプラ、マンガの、あの日本です」
エリス様は難しい顔をして首を傾げる。
「何故日本」
その問いも無理はない。
日本は経済力、芸術性以外に特筆すべき点はない。
ましてや、経済担当でもない我々に「異常」という点など思い浮かばない。
「ええと……お待ち下さい。……」
僕は文面に目を走らせる。
「ふむ。どうやら、最近『エクスレンジャー』なる戦闘集団が台頭しているようです」
「『えくすれんじゃあ』?……ふむ。で規模は」
「五人編成の小隊だそうです。少数といっても、かなりの精鋭らしく、我が軍が劣勢になりつつあるそうです」
「ほぅ……」
エリス様はニヤニヤと笑い始めた。

302:名無しさん@ピンキー
08/01/14 18:24:50 WF0jZdLM
「もっと具体的な情報は?得意とする戦術や、所持している兵器などは?」
その声が喜々としているのがわかる。
僕は報告を続ける。
「柔軟なチームワークによる各個撃破を得意とし、強力な個人兵器、巨大な機動兵器を各々に所有していますね。更に、勝利を決定付けるために、個人・機動に関わらず兵器を合体させて出力を統合・収束して放つ「詰め」を必ず行っています」
「必ずトドメを刺すわけか。……なるほど。確かに、脅威だ。確かに驚異だ。それは「大変な勢力」だ。少数なりの戦い方を、戦術を心得ている。なるほどなるほどなるほど。我が軍が苦戦するのもわかる。フフフ……では、アルト」
エリス様が僕の名を呼ぶ。
その眼は邪悪に笑っている。
僕はその眼に捉えられ、名前を呼ばれ、歓喜に酔いしれるのを必死に堪えて、エリス様の言葉を待つ。

303:名無しさん@ピンキー
08/01/14 18:27:07 WF0jZdLM
「その勢力……「エクスレンジャー」は、「私を満足させられるか」?」
その邪悪で妖艶で狂気に満ち溢れた問いに、僕は答えた。
あらゆる性交よりあらゆる娯楽よりも、その邪悪さは僕にとって、絶頂を迎えるに足る程に甘美だった。
僕は……ゾクゾクしながら、ワクワクしながら、胸の高鳴りを、充実感を抑えながら、しかし隠さずに言った。

「存分に足る相手、で御座います」

「そうか」
フフフ…と笑い、エリス様は不敵に、傲岸に、不遜に、満面の笑みを浮かべた。
この人はいつもそうだ。
強い相手と戦いたくて仕方のない人だ。
まるで修羅のような、僕の主。
僕の人。
「日本に進路を取れ……私の戦争の始まりだ」
「では……?」
「フフフ……私自ら相手をしてやろう。私自ら引導を渡してやろう。フフフ……ハハハハハ!!」


プロローグ、完。

304:名無しさん@ピンキー
08/01/14 18:28:34 WF0jZdLM
何だか、途中エラーがあったみたいでスイマセン。
字数が多かったようです。
スレ汚しスイマセンでした。
m(_ _)m


あと、誰か下げかた教えて下さい。

305:名無しさん@ピンキー
08/01/14 18:32:30 aMKO/ZWW
メール欄にsageと入力

306:名無しさん@ピンキー
08/01/14 18:36:11 WF0jZdLM
こうですか?



ありがとう御座います
m(_ _)m

307:名無しさん@ピンキー
08/01/14 21:06:18 aWqAEnZU
がんばれ。ショタはいいな、ショタは。

おまえらリメイクヤッターマン見た?

308:名無しさん@ピンキー
08/01/14 21:24:36 WF0jZdLM
>>307
見た。


ドロンジョのコスが若干昔よりエロくなってる

309:名無しさん@ピンキー
08/01/14 21:51:21 aWqAEnZU
お腹出て、太ももに一本ラインが追加されてたなw
あとおっぱい揺れたけどうまいこと隠しちゃって残念だ

310:名無しさん@ピンキー
08/01/15 00:01:53 sNaDYQQD
ヤッターマン見たよ。
ポロリはなかったけど正直想像以上にエロかった。
やっぱドロンジョ様はいいなぁ(*´Д`)

311:名無しさん@ピンキー
08/01/15 02:10:32 hRskyHlW
声優さんが一緒だったことに驚いた
ドロンジョ様も他2人も中の人は
70代なのに頑張ってるんだねぇ

312:名無しさん@ピンキー
08/01/15 06:06:36 ZDa5mCTK
GJ、続き楽しみにしてます

ドロンジョさま、やっぱり多少今風なスタイルになってるなw

313:名無しさん@ピンキー
08/01/16 15:00:07 krBMl7vU
でも、なんでタイムボカンじゃなくヤッターマンなんだろう
ヤッターマンってタイムボカンシリーズの中でも優遇されてるよな

314:名無しさん@ピンキー
08/01/16 16:20:15 kRaj8HhH
つーかヤッターマンは若手声優にとってやりづらい職場だろうな。
70代の先輩が三人もいたら。

315:名無しさん@ピンキー
08/01/17 17:03:05 0uf6MeNF
プロなら関係ないと思う

316:名無しさん@ピンキー
08/01/18 02:53:43 RgDwxA3G
>>314
ドクロベー様も入れて4人だよ

317:名無しさん@ピンキー
08/01/18 03:44:40 cUPpaAtV
>>313
タイムボカンは、ポリゴンショックが起きかねないシーンがあるからボツ

318:名無しさん@ピンキー
08/01/20 02:36:07 Qk0kNUo2
絵板それなりに盛り上がってますね

319:名無しさん@ピンキー
08/01/21 02:11:08 brj0p7Cg
次の戦隊の悪の女幹部が及川奈緒な件について

320:名無しさん@ピンキー
08/01/21 03:36:45 liDv9pvP
ドラゴノーツのガーネットのエロSSが観たいわけだが更に

321:名無しさん@ピンキー
08/01/21 14:50:42 aYce8Fuv
「てぃえる・ちぇいさー」3巻目読んだ
ミャウとシヴァサイコー

322:名無しさん@ピンキー
08/01/21 23:54:15 EgaVagBw
ヤッターマン見た。
髪をアップにしたドロンジョ様にハアハアできた。

323:名無しさん@ピンキー
08/01/24 04:12:38 kzhb6y3b
なんか悪女が出るエロゲーでオヌヌメなのないか?

324:名無しさん@ピンキー
08/01/24 19:57:30 qY9S3Sls
七巴の剣
姫武者

325:名無しさん@ピンキー
08/01/27 05:31:29 xnwFT6ct
超光戦隊ジャスティスブレイドと超光戦隊ジャスティスブレイド2
主人公が悪の首領になるゲームなんだが、側近のお姉さんがエロい

326:名無しさん@ピンキー
08/01/27 09:58:22 vLdb0lgZ
>>325
公式を見に行ったが…
幹部のおねーさんだけで充分じゃねーか!という感じだった。
ヒロインいらんだろw

それにしてもヒロイン調教派は恵まれてるなあ…

327:名無しさん@ピンキー
08/01/27 12:59:21 ZJWRc/X5
悪堕ち好きの俺に言わせると、あの作品でヒロインが洗脳され悪の女幹部になったところがたまらない
スレ違いでスマソ

328:初代スレ558
08/01/27 18:57:22 UFQiPsaB
久しぶりに投下します。女幹部ものです。
いつものエロを抑えて、かなり乙女チックですので、そういうのが苦手な方はスルーしてください。
かなり長くなりましたので2、3回にわけます。今回の投下分ではHがないです。

329:名無しさん@ピンキー
08/01/27 19:01:40 UFQiPsaB
「ルアラ、今日こそ引導を渡してやる」
メタリックシルバーのコンバットスーツを装着したフレイダーが、
青白く光るレーザーブレイドでわたしの肉体を切り裂かこうと近づいてくる。
すでに満身創痍。黒革のボンデージスーツから露出した肌は擦り傷は数知れず。
武器である鞭を避けられたとき、私の命運は決まった。
ああ、ベリア様、ベルガ様、志半ばにして倒れることをお許しください。
愛しの将軍を胸に思い描き、その時を眼をグッとつぶって待つ。

しかし、いっこうにその瞬間がおとずれない。
片目をあけるとそこに褐色の肌、みかけは十代の半ばくらいの少年がフレイダーとわたしの間に立っていた。
「そこまでです」
フレイダーのレーザーブレイドはその剣先を真っ暗闇の異次元空間に吸い込まれている。
黒いボディスーツに身を包んだ少年、わたしの副官であるジミィルであった。
ジミィルはどんな影にでも潜りこめる能力を持つ。影を異次元空間として使用する能力らしいが詳しい理屈はわからない。
「フレイダー、退いてはもらえませんか。我々の作戦は失敗しました。今回はそれでいいでしょう」
「フン、まあいいだろう。いくら悪とはいえ、お漏らししそうなほど震える女を殺す趣味はない、ルアラ命拾いしたな」
「な、なにを誰が……震えているっていうのっ」
憤慨するわたし、フレイダーがマスクの奥でニヤリと笑みをこぼしたような気がしてホントにムカっときた。

「次はないぞ、覚悟しておけ」
「ま、待ちなさい」
そういうとフレイダーはこちらに背を向け、ゆっくりと振り向くことなく歩き去った。

330:名無しさん@ピンキー
08/01/27 19:05:50 UFQiPsaB
「また、負けたぁ」
フレイダーがいなくなると、緊張の糸が解けたのかその場にわたしはへたり込んでしまう。
「そうですね、けれど取り返しのつかないことにならず幸いでした」
「それはわたしが弱いと責めているのかしら、それともわたしのピンチを助けた自分を褒めてっていってるの?」
「いえいえ、ただルアラ様がご無事で本当に良かったと安堵しているだけですよ」
ジミィルの物言いはいつも癇に障る。
実をいうと、わたしはこの褐色肌で可愛らしい顔つきの少年に何度も助けられているのだが、
どうも素直にありがとうといえないのは、こいつの慇懃無礼な態度がムカツくからに違いないと思っている。

「あんた、また私の影に入っていたわね。プライバシーの侵害よ、いつもやめてっていってるでしょ」
「いや、その今回はそれでお救いすることができたわけですし……」わたしはジミィルをジッと睨む。
「……ええと、すみません、次からはやりませんのでお許しください」
仕方なさそうに謝るジミィル。彼のこの態度はよけいにわたしを苛立たせる。
「そう、ならいいのよ。わかっていると思うけど、わたしに触れていいのはベリア様とベルガ様だけなんだからね」
そう、大好きなお二人を思い描くと、心がポカポカとしてくる。
「はい、よくわかっていますよ。ボクはルアラ様の副官ですから出過ぎた真似は決していたしません」
「よろしい。一応言っておくけど、わたしに変な感情を抱かないでね。わたしの身も心もすべて将軍様たちのものなんだから」
「それを聞くのは今回で8回目ですけど……ああ、ええ、わかっています。
 そうですね、心の奥底でお慕い申し上げるだけにとどめておきます」
そういって白い歯をキラリとさせながら笑うジミィル。何がお慕いだ。何とも思ってないくせに……コイツはまったく。
ああ、キライなとこがもう一つあった。わたしに子どもをあやすように接するところだ。
どうせお荷物、無能な上司としか思っていないのだろう。
「もう、基地に帰るわよ……ってあれ? ああ、もうっ、腰が抜けて立てないじゃない。ジミィル、わたしをおぶりなさい」
「あれあれ、わたしに触れていいのはベリア様とベルガ様だけじゃなかったんですか」
ニヤニヤと笑うジミィル。ホントに頭にくる。こいつ、いつか締め上げてやらなきゃ。
「だから、そんなわたしに触れる機会を与えてあげようっていうのよ。感謝しなさい」
「はい、はい」
ジミィルはそういいながらも、わたしの眼の前で屈むと軽々とわたしをおぶってみせる。
「変な気起こしたら承知しないからね」
「はいはい、って。ああ、すごい。柔らかくて大きな胸が背中にあたって気持ちいいです」
「変態っ、死ね」
ジミィルの頭をパシっとはたく、ああ、最悪。
いつも作戦の邪魔をするフレイダーに、わたしをバカにするジミィル。
早くベリア様とベルガ様にお会いして慰めてもらいたい。


そう、ここまではわたしにとってはいつもの日常だった。
この時のわたしは、この後に待ち受ける運命を想像さえもしていなかった……

331:名無しさん@ピンキー
08/01/27 19:10:35 UFQiPsaB
『秘密結社のつくりかた』 第○話 女幹部ルアラのつくりかた 



女王アウルによって結成された秘密結社ゲルドは、世界征服を目的とした組織だ。
わたしはその組織の幹部として一年前から頑張っている。
わたしは下級戦闘員から出世してきたわけでも、いきなり幹部にスカウトされたというわけでもない。
この世界を認識したときから、わたしは既にこの組織の幹部だったのだ……

そう、わたしには一年以上前の記憶がない。この話をジミィルや他の部下達にすると気の毒そうな顔をするが全然気にはならない。
なぜなら、わたしのことをとてもとても大切にしてくれる素敵な男の人が二人もいるからだ。
右将軍ベリアと左将軍ベルガ、彼ら二人は私にとって父であり兄であり、また少しうぬぼれるなら恋人でもあった。
ベリアは細身で長身の男性でとても中性的な顔をした人で、ベルガは同じく長身だけど、筋肉質で男らしい顔立ちをしている。
二人とも何をやらせても優れているけれど、ベリアは作戦立案といった知的な作業を、ベルガは実際の戦闘を肉体作業を得意としていた。
性格もベリアは繊細で、ベルガは豪快だった。二人はわたしにとても優しかった。
わたしが作戦を何度失敗しても許してくれるし、何か不安なことがあったら傍にいてくれる。
いつも優しく微笑んでくれるし、包むように抱いてくれる。わたしは彼らに愛されている、そう思っていた。

ちなみにアウル女王陛下はみたことがないし、声も聞いたことがない。
いつもカーテンに覆われた奥の玉座に坐っていて、彼女の命令はすべて二人の将軍たちを通してしかわたしたちにこない。
わたしにとっては雲の上の天上人である。ただ、会ってみたいとかそんな感情はまったくといっていいほどなかった。
口が裂けても言わないけれど、わたしは女王などどうでもよくベリアとベルガの両将軍がいればそれでよかったのだ。

あと、憎らしいっていえば自由と正義の味方とかいって、わたしの作戦をいつも邪魔するフレイダー。
いつもわたしの部下である戦闘員や合成怪人をレーザーブレイドで切り裂いていくのだ。
わたしも今日のように何度、命を落としそうになったかわからない。
あいつが死ねば、世界征服に一歩近づくのに……いつも心の底から悔しくて、何度涙をこぼしたかわからないくらいだ。


ベリアが作戦を立てて、ベルガかわたしが実行に移し、フレイダーに阻止される、
わたしが作戦失敗した時には、ベリアとベルガが優しく慰めてくれる……それがわたしの日常だった。
そう、わたしは世界征服を叫びつつも、そんな予定調和な毎日がずっと続くと思っていた。


次ページ
最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch