【貴方なしでは】依存スレッド2【生きられない】at EROPARO
【貴方なしでは】依存スレッド2【生きられない】 - 暇つぶし2ch250:名無しさん@ピンキー
07/12/11 23:42:21 V7W+0Odj
hosyu

251:名無しさん@ピンキー
07/12/13 23:33:07 e+qVqAaK
過疎っとるne

252:名無しさん@ピンキー
07/12/14 00:33:20 k4R95RTI
元々だyo

253:名無しさん@ピンキー
07/12/14 23:42:03 w0klV/aj
このスレがないと生きていけない

254:名無しさん@ピンキー
07/12/15 12:44:55 PgWKcz2c
それにしても、シンジ君は綾タンにどんなプレイをしたかった、
もしくはさせたかったのだろう・・

255:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/12/16 22:39:00 7xxuUfDS
<私が私でいられる時>・11

「―ぴ、ぴ、ピラルクー、ぴっくるんるん♪」
突然携帯が鳴り、僕はびっくりして振り返った。
<恋のピラルク伝説>の着メロは、綾子ちゃんからだ。
というより、こんな時間に僕に電話をかけてくるのは、彼女しかいない。
僕は、慌ててパンツとズボンを履きなおした。
「……」
どぎまぎして、手を伸ばす。
頬っぺと耳たぶが真っ赤になり、心臓がバクバクいっている。
今、頭の中でいやらしい格好をさせて犯したばかりの綾子ちゃんからの電話。
僕は、混乱しきっていた。
お、落ち着け。
し、深呼吸だ。
今、僕が、綾子ちゃんでオナニーをしたことは、言わなければわからない。
綾子ちゃんは、僕の考えていることがよく分かるけど、
それは、顔色や、ちょっとした仕草をもとに敏感に察知するということで、
それはエスパーとか、そういう類のものではない。
……最近は、ちょっと自信がないけど。
まあ、それは、ともかく。
僕は深呼吸をして、携帯に出た。
「も、もしもし」
「あ、新治君。こんばんは」
「あ、ああ、こんばんは……」
「ひょっとして、寝てた? だったらごめんなさい」
「い、いい、いや、お、起きてたよ、すぐに出れなくてごめん」
自分で分かるくらい、声が裏返っている。
「……も、もしかして、あの……その……お、オナニーとか、してたの?」
僕は、盛大にむせこんだ。

256:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/12/16 22:39:31 7xxuUfDS
「ちょっ! な、な、な、なんでっ、わかっ……」
日本語になってない声は、それでも綾子ちゃんには意味が伝わったらしい。
「だって、その……後ろで私の声が聞こえたから……」
「え?!」
「私の声。……こないだビデオに撮ったやつ、……だよね?」
僕は振り返った。
……電話が掛かってきた動揺のあまり、パソコンの映像ソフトを止めていなかった。
僕の家は、新築で窓は二重ガラスだし、遮音効果はかなりすごい。
雨戸とカーテンを閉めると、テレビやステレオを大音量にしても全然外に音が漏れないのだ。
だから、普段、ヘッドフォンでそういうのを聞く僕も、
ちゃんと戸締りしていると、けっこう大きな音で聞くことがある。
今日は、パソコンにヘッドフォンをつなげるのももどかしく、あれを始めちゃったから、
必然的にビデオの音はスピーカーから聞こえる形になり、
つまり、かなり大きな音量で─ビデオの中の綾子ちゃんの声が聞こえていた。

(―綾子は、一生、新治君以外の男の子とエッチしません。
こうやって、ここを見せるのも、新治君一人だけです……)

モニターの中では、綾ちゃんが、顔を真っ赤にして宣言していた。
上半身にまとっているのは、私服ではなく、ネームプレート付きの学校の制服だ。
それは、他の人に見せられない物になるように、つまり、
「もし、私が新治君のことを裏切って、
新治君がこの映像をどこかに流しちゃうときに、
これが、私のことだと皆にはっきり分かってしまうように」
下半身はソックスだけの姿で、女の子のあそこを僕の撮るカメラに晒している。
ことばとポーズを色々と変えて、何度も、何度も。
そして、綾ちゃんは、僕によくその「誓約」が聞こえるように、
カメラと僕の目を見つめながら、大きめな声ではっきりと喋っていた。
その声は、わずかながら、携帯の向こうの綾ちゃん本人に聞こえていたのだ。

257:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/12/16 22:40:02 7xxuUfDS
「……あっ、いっ……こ、こここっ……」
日本語どころか、人間の声の範疇を軽く逸脱するくらいに裏返った声。
「あ、あのっ……ちがっ……」
綾子ちゃんが、くすり、と笑った。
「―うふふ、オナニーしてたんだ、新治君。私の裸で」
「あああ、おおお……」
「嬉しい」
「えええっ!?」
綾子ちゃんが、携帯の向こうで微笑む気配が伝わった。
「私の裸で、そういうことしてくれてたんだ。……よかった」
「えええっ」
混乱している頭にも、綾子ちゃんの声にとりつくろった響きが全く含まれていないことは分かる。
小さな吐息は、ほっとしたような気配を確かに運んできていた。
「お、怒らないの……綾ちゃん」
僕は、恐る恐る聞いた。
身体を重ねあった間柄とはいえ、自分の穢(けが)れた妄想と性欲の標的に、
綾子ちゃんのビデオを使ったことは、軽蔑されるべきものだ。
このビデオは、綾子ちゃんから差し出された人質。
それは、取引が終わるまで、大事に保護されていなければならない。
僕は、その人質を欲望のまま犯している。
「なんで、私が怒るの?」
綾子ちゃんが聞き返す。
こちらも、恐る恐るという響きがあった。
「だって、僕は、綾ちゃんのビデオで、お、オナニーしてたんだよ……?」
「うん。……それで、なんで私が怒るの?」
「……」
「……」
かみ合わない話。
黙ったまま、お互い、深呼吸を一つする。もう一つ。もう一つ。
呼吸を合わせて十秒間。唐突に二人はお互いの言っていることを理解した。

258:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/12/16 22:40:32 7xxuUfDS
「もしかして、新治君、あのビデオ、エッチなことに使っちゃいけないと思っていたの?」
「もしかして、彩ちゃん、あのビデオ、そういうつもりで僕にくれたの?」
「……うん」
「……うん」
僕は、真っ赤になった。
携帯電話の向こうの、綾ちゃんも。
立ち直りは、綾ちゃんのほうが早かった。
「だって、女の子が男の子にああいうものをあげるっていうことは、
……そういうこと、でしょ?」
「う、うん」
「だから、その……あのビデオ、新治君の自由にしていい、って言ったのは、
そういうの……も、含めてのことだったのよ?」
「綾ちゃん……」
背中がぞくっとした。
久々の感覚。
忘れていた。
綾ちゃんは、「怖い」女の子。
自分の恋人がどんな覚悟で僕と向かい合っているか、あらためて思い知った。
綾ちゃんは、自分の人生を丸ごと差し出すつもりで僕と相対(あいたい)している。
それはわかっていた。
でも、最近、なんとなく互いが互いに安心して触れ合うことが多くなってきて、
僕は、綾ちゃんのそうした「恐さ」を忘れていた。
だけど、それは─。
「私、……もう、新治君の女、なんだよ。新治君だけとしかエッチしない女の子。
だから、新治君は、わ、私のビデオで、お、オナニーしても……いいんだよ!」
言い切って、微笑む気配。
背筋のゾクゾクが止まらない。
ああ。
綾ちゃんは、こういう娘(こ)だった。
綾ちゃんは、―怖い女の子。

259:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/12/16 22:41:14 7xxuUfDS
目的のためなら、なんでもする。自分の裸をビデオに撮らせたりもする。
目的のためなら、何でも捨てられる。自分の人生さえも。
でもそれは、─僕を安心させるための覚悟の恐さだった。
僕は、綾ちゃんと普通に喋られるようになった。
いや。
普通に、だけじゃなく、安心して喋れるようになった。
彼女に安心して話しかけ、安心して触れ、安心してそばにいられるようになった。

─それは、綾ちゃんが、「強くて怖い女の子」だから。
本当は、誰よりも「強くて怖い女の子」だから。
綾ちゃんは、僕を安心させるために、自分を縛って差し出した。
普通の女の子では絶対出来ないくらいの固さ、絶対逃げられない固さの鎖で。
綾ちゃんは、その鎖を自分で作って僕に結びつける覚悟を持っている。
そうしなければ、僕が安心できないと知っているから。
僕は弱くて臆病だから、強くて怖い綾ちゃんは、そうやって僕を安心させる。
だから、僕は、綾ちゃんとお話が出来て、綾ちゃんと触れ合うことが出来て、
綾ちゃんのそばにいることが出来るようになったのだ。
そして─。
僕は、ズボンの前が固く盛り上がってきたのを、唾を飲み込みながら見つめた。
綾ちゃんが、そうしてくれているおかげで、僕は─。
綾ちゃんに、欲情することが出来た。
綾ちゃんと、セックスすることが出来た。
僕は、僕がとうてい手に入れられないような「強くて怖い女の子」が好きだった。
僕の母親のような。
そして、その女の子が、僕だけを好きになってくれるのを望んでいた。
そんなことはありえない。あっても、きっと僕はそれを疑う。
僕より強くて怖い女の子は、いつでも僕から逃げられるから。
「逃げない」と言われても信じない。信じられない。
だから、綾ちゃんは、自分が僕から「逃げられないこと」を証明し続けている。
自分で自分を縛って、僕に差し出して。

260:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/12/16 22:41:45 7xxuUfDS
「……新治君?」
耳元で綾ちゃんの声がした。
「……な、何……」
かすれた声。
何分くらい、僕は黙っていたのだろう。
その間、綾ちゃんは何を話していたのだろう。
いや。
きっと、綾ちゃんは何も言わなかったのだろう。
僕の息遣いをじっと聞いて、そして、僕が何を考えているのか、考えていたのだろう。
僕が、綾ちゃんにそうしてきたように。
だから、綾ちゃんの口にした次のことばは、唐突だったけど、
僕には意味が良くつながって聞こえた。
「私も、新治君のこと考えて、……オナニーしてるよ」
「綾ちゃん……」
─鎖で縛られた人質の姫君は、花嫁のように微笑む。
彼女は、はじめから逃げるつもりも、帰るつもりもない。
だから、鎖の端を自分から陵辱者に与えるのだ。
「……私ね、オナニーするとき、新治君のこと考えながらするの
新治君にキスされたり、おっぱいを触られたり、
セックスしているときのこと、思い出しながら……」
「綾ちゃ……」
「今日も、しちゃった。……ついさっき。この電話をする前……」
僕が綾ちゃんの事を考えながらオナニーをしていたとき、
綾ちゃんも、僕の事を考えながら自慰に耽っていたのだ。
頭の中と、あそこが、かあっと燃え立つ。
「いやらしい、よね。私……」
「そ、そんなことない……よ」
僕は、また唾を飲み込んだ。
「ううん、きっと、私、すごくいやらしい女の子なんだと思う。
<妹>はそんなことしないって言ってたし、母さんもそういう感じじゃないから」

261:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/12/16 22:42:26 7xxuUfDS
「ぼ、僕だって、綾ちゃんのこと考えて、オナニーしてる」
突然、口をついてでてきたことばに、僕は驚きかけ、そしてすぐにそれを受け入れた。
「新治君のエッチ……」
「あ……」
「でも、それ、すっごく、うれしい」
「綾ちゃん」
「……うふふ、二人とも同じなんだね。同じくらいエッチなんだ」
「うん」
「二人とも、同じくらいにエッチっていうのは、
……きっと、すごく幸せなことなんだと思う」
「綾ちゃん……」
「私ね、あれから、母さんと何度か話をしたんだ。いろんなこと。
……母さん、今のお義父さんと離婚を考えてるんだって……」
綾ちゃんの言う「あれ」というのは、僕とのセックスと、
そしてそれが<姉妹>喧嘩の騒動の中で両親に知られたことを指しているだろう。
「離婚……」
トラウマになっているくらいに嫌いな単語が出てきて、僕はぎょっとした。
呼吸の音が、わずかに乱れる。
それだけで、綾ちゃんは気がついたようだった。
「あ……ごめんなさいっ、私……」
心の傷は、恋人の声で瞬時にふさがった。
二ヶ月前には、想像もつかなかった癒され方。
僕は、確実に何かが変わりつつある。
「いや、大丈夫。いいんだ、話、続けて……」
僕は、綾ちゃんを促した。
「う……ん。ごめんね。
それで……母さんは、私を連れて、もう一度二人でやり直すって言ってくれたの。
パートでも何でもいいから、二人だけで暮らそうって。
……本当のところ、私はどうすればいいのか、よくわからない。
母さんのこと、今、好きでも嫌いでもないの。一緒に暮らしたいかどうかもわからない」

262:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/12/16 22:43:17 7xxuUfDS
綾ちゃんの声は、冷静だった。
「誰かと一緒にいたい、っていうのだったら、私、新治君と一緒にいたい」
「……綾ちゃん」
「あ……」
綾ちゃんは、慌てたように口ごもった。
それから、今までよりもっと明るい口調で続けた。
「……それでね、色々話してて、なんだか、そんな話になっちゃんたんだけど、
母さんは、……今のお義父さんの愛され方がいやなんだって。
もっとちがう形の愛され方をされたかったんだって」
「……」
「母さん、言わなかったけど、それって、きっとエッチのことを言っているんだと思う」
「……え、エッチ?」
「うん。でも母さんは、色々良くしてくれている今のお義父さんをこれ以上困らせたくないから、
だまってそれを受け入れてたみたい。でも……どうしてもダメになったんだって」
「綾ちゃん……」
「だからね、エッチって、すっごく大切なことなんじゃないかなって、思う」
「……」
「私ね、男と女の結びつきって、この世で一番強いものだと思ってるんだ。
だって、家族って、最初、男の人と女の人がくっついてできるんだよ」
それは、僕の考えとまるっきり違っていて、まるっきり同じ考えだった。
「それでね、男の人と女の人って、何が特別かって、結局、エッチするのが特別なの。
親子って、エッチしないもん。兄弟姉妹もエッチしない。でも、夫婦や恋人は、エッチする」
「……そう、だね……」
僕のベッドで、僕の下になってうねる綾子ちゃんの裸体を思い出して、僕はまた唾を飲んだ。
「だから、新治君が私のこと考えてオナニーしてくれてるの、とってもうれしい。
私と同じだから。……二人が、同じだから。……私たち、すっごくお似合いなんだよ」
「綾ちゃん……」
「うふふ……。ねえ、新治君」
「な、何?」
「一緒に、オナニーしちゃおうか、今?」
「ええええーっ!?」
綾ちゃんの提案に、僕は、盛大にむせこんだ。
だけど、背中に、これ以上はないくらいのぞくぞくが走りぬけたのも感じていた。
ズボンの中で、おち×ちんが硬く硬くそそり立つ。
女の子と─それも、大好きな女の子と一緒にオナニーをする。
くらくらするほどの陶酔が僕を襲った。
「私は新治君のこと、考えて……。新治君は私のこと、考えて……。
いつもしてるオナニーを、相手に聞かせるの。
ううん、いつもいつも考えていたこと、相手に伝えて、するの。
きっと、きっと、すごく気持ちいいよ……」
綾ちゃんの微笑を、僕は携帯電話越しに「見た」。
僕の彼女は、まるで息を吸って吐くのと同じくらい自然に、
僕に自分の全てをさらけ出す覚悟を決めていた。
その強さと恐さ─僕は彼女に抗えない。
「……うん」
戦慄にも似た感覚の中、僕はそれを受け入れ、
そして二人は、互いをもっと知るための自慰をはじめた。


                        ここまで


263:名無しさん@ピンキー
07/12/16 22:55:58 plTlJIl6
>>262
お待ちしておりました!!
超GJっす

電話の二人のやり取りでお腹一杯です

綾と新治の結婚式はまだですか?

264:名無しさん@ピンキー
07/12/17 01:20:34 X3/dADKx
GJ
いつもお疲れ様です
寒くなって参りましたのでお体に気をつけて下さいね

265:名無しさん@ピンキー
07/12/17 02:10:43 9bnC4E3r
会話だけでも充分エロいし、改めて最強のヒロインだと実感した。
超絶GJ!

266:名無しさん@ピンキー
07/12/17 02:32:43 G7KgPRlB
GJ!!
最高だこの2人
幸せになってほしい

267:名無しさん@ピンキー
07/12/18 04:47:28 2pb1Aquj
恐ろしい子や・・・
綾ちゃんはほんに恐ろしい子や・・・・・・(((((; ゚Д゚)))))

268:名無しさん@ピンキー
07/12/18 22:32:44 jO1+wYvg
GJ!
ぴらるくーは二人の愛のメロディーになったか

269:名無しさん@ピンキー
07/12/19 00:27:49 n3LCXXzp
彼氏の影響でその音楽を知りました的なものかと

270:名無しさん@ピンキー
07/12/20 00:07:55 MuVic+Bu
この二人は本当にいいカップル
邪魔する奴は俺が出て行ってやっつける

271:名無しさん@ピンキー
07/12/20 13:26:24 sjDeDxWi
ちょんぎって捨ててやるんですね?

272:名無しさん@ピンキー
07/12/21 01:38:40 I/vGnp5e
邪魔者をちぎっては投げ、ちぎっては投げを繰り返す>>270


273:名無しさん@ピンキー
07/12/21 19:09:42 Mc4oUvtX
グシュ ブチャ ベチャ

274:名無しさん@ピンキー
07/12/22 02:58:52 K6QvQlqA
ぽいんぽいん ぐぎっ ばろろろろ

275:名無しさん@ピンキー
07/12/22 04:15:08 Vlx6+J5I
そして邪魔者をちぎっては投げていた頃を回想する>>270

276:名無しさん@ピンキー
07/12/23 20:11:05 snV7iJZO
妹がこのまま終わるとは思えない

277:名無しさん@ピンキー
07/12/25 00:42:23 JpfIYGNR
保守

278:名無しさん@ピンキー
07/12/26 16:02:24 b/eKMGcw
保守

279:名無しさん@ピンキー
07/12/26 20:29:40 imijhGqI
保守

280:名無しさん@ピンキー
07/12/28 01:05:35 N5G8YqS+
GJ!

281:名無しさん@ピンキー
08/01/01 00:10:03 zMh35mpr
新年明けましておめでとうございます。
今年も精一杯このスレに依存していこうかと思います。
昨年に引き続き、今年もよろしくお願い衣します。
                       依存スレ一同様へ

282:名無しさん@ピンキー
08/01/01 00:22:37 xlQXEJvD
明けましておめでとう!
オレはますますこのスレに依存していくぜ!

283:名無しさん@ピンキー
08/01/01 22:44:09 KLpmgFND
ここのすれって
依存したい派とされたい派どっちがおおいのかね?
俺はされたい派

284:名無しさん@ピンキー
08/01/01 23:40:54 OEkfwT3A
>>283
相互依存が好きな俺は
依存教相依存の異端派なんだ・・・

あてにならない意見ですまない

285:名無しさん@ピンキー
08/01/02 00:37:12 i7iFllY0
依存されているはずが、知らないうちに自分も依存していたっていう共依存の
形が一番美しいな、やはり。

286:名無しさん@ピンキー
08/01/02 10:40:09 UGs+yLAh
1番好きなシチュはなんかある?
俺は捨てられそうになった時の必死なとこかな。
何でもしますから捨てないで下さい的な

あとお前ら大好きだ

287:名無しさん@ピンキー
08/01/02 12:05:50 KQLuuiZf
今まで自覚してなかったけど、何かの拍子で気付いて依存度合いが深まっていくのが好みだな。
例えば、幼馴染みの世話をなんとなしにやいてた女の子がある男に告白され
→主人公が気を利かせて「俺の事には構うなよ」
→で幼馴染みが実は主人公に依存していた事に気付く
→一方の主人公も幼馴染みの存在が大切なものと自覚する


長文すまない、つい願望が入ると語ってしまう

288:名無しさん@ピンキー
08/01/02 15:07:44 OU/PFEFT
共依存の関係が、何かの出来事がきっかけで
さらにぐでっぐでに深まっていく場面が好きだなあ。

289:名無しさん@ピンキー
08/01/02 20:02:06 3EW5Osz3
>>287
>>288
ふむふむなるほど。それでそのあとは?詳しく最後まで聞かせてもらおうか…。
お互いに自分の気持ちに気付いてからの展開を特に詳しくな。いっそのことSSにして投下してくれても私は一向に構わん!


290:287
08/01/04 11:43:35 Pa3i8LdN
小過疎ってるので、神が来るまで場繋ぎを

(287続き)
でお互いが必要なのは分かってはいるが、今さら告白できない主人公に男に告白された幼馴染み
→幼馴染みの親友が主人公に興味を抱いて、幼馴染みに紹介を迫る
→追い詰められた主人公と幼馴染みは・・・

(略)

→お互い依存しあってハッピーエンド


ステロタイプですまん
で振られた男と幼馴染みの親友がくっつけばそれなんて月9の(ry)

291:名無しさん@ピンキー
08/01/05 08:33:03 ofA/lvqc
で、親友はアルコールに依存するわけだな

292:名無しさん@ピンキー
08/01/05 19:56:59 7skWUrCE
お正月なのでお屠蘇等で酔った世話焼きの幼なじみが幼児退行でもしながら、熱くなった体で絡んでくる展開はどうか?
風呂やトイレに立つだけで泣き始めたり。

293:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/01/06 15:54:26 42SrOrQn
<私が私でいられる時>・12

カーテンを閉める。
部屋のドアのカギを確認する。
スカートを脱いで、ベッドに腰掛ける。
さっきまで、充電器につなげておいたから電池の容量は十分。
携帯は、持ったまま、かけたままだ。
一秒でも、新治君の声から離れるのはいやだから。
ううん。
別に、声が聞こえなくてもいい。
息遣いだけでもいいし、それさえ聞こえなくてもいい。
新治君が、この電話の向こうにいるという気配を感じるだけで、私は、世界で一番幸せになれる。
その、私を世界一幸せにさせてくれる男(ひと)は、電話の向こうで緊張しきっていた。
こういう時、どうすればいいのか、私は知っている。
「吸った息を、どうやって吐いたらいいのか」と同じくらい、簡単にわかる。
身体と心を堅くしている、私の愛しい人を解きほぐすのは、私の一言。
「うふふ、新治君は準備OK?」
質問する私の声が弾んでいる。
どきどきが止まらない。
新治君に自分の秘密を教えるどきどき。
新治君の秘密を教えてもらうどきどき。
「あ、……あああ、だ、大丈夫」
「うん。私、スカート脱いだよ。新治君は?」
「ズ、ズボン下ろした……」
「えへへ、お互い下着姿なんだ」
「うん、そ、そうだね」
「お、オナニーするとき、下着着たままでするの?」
「ううん、脱ぐ……」
「あはっ、私は両方、かな。ショーツの上から触ることあるよ」
「そ、そうなんだ」

294:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/01/06 15:54:56 42SrOrQn
「うん、最初の一回目は、そうやってすることが多いんだ。
でも、二回目からは、ショーツがびしょびしょになっちゃうから脱ぐの。
私、エッチな気分になっちゃうと、何回も続けてしちゃうんだ」
「そ、そうなんだ」
「新治君は、その……一度に何回もするの?」
「う、うん。やっぱりエッチな気分になりと、三、四回くらいは……」
「わあ、すごいのね」
軽い会話。
お互いの呼吸がだんだんと合ってくる。
でも、それは、本当は他人に最後まで隠しておかなければならないもの。
性は、人の最後のプライベートだ。
オナニーなんて、その最たるもの。
自慰は、自分だけの楽しみ。
誰にも教えないもの。
たとえ、もうセックスをしている恋人同士でも、
自分の部屋に帰って「する」ことを教えあったりしない。
─だから、教える。
─だから、伝える。
新治君に。
あなたが手に入れた女の子は、こんな女の子だということ。
みんな教えてあげる。
女の子が男の子に絶対に教えちゃいけない、最後のことまで。
恋人でも夫婦でも絶対に見せない、一番奥の部分まで。
だって、私と新治君は普通の恋人同士じゃない。
もっともっと、深くて、濃密な関係から。
「私、最初は、ショーツの上からなぞるの。
そうすると、すぐに敏感になってきて……んっ」
水っぽい音は聞こえただろうか。
びくん、と跳ねた身体がベッドの上で立てた音は聞こえたに違いない。
新治君が息を飲む気配を感じて、私は携帯にさらに耳を押し当てた。

295:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/01/06 15:55:28 42SrOrQn
「んっ……気持ちいい。新治君の声聞きながら、ここ触るとすごく、気持ちいい……」
少し声がかすれた。
あそこは、こんなに潤っているのに。
私の身体って、不思議。
ああ、興奮するとこっちに水分を取られるから、喉のほうはかすれるのかな。
そんなことないか。
新治君とディープキスするときは、あんなに興奮してるのに、
お口の中は唾液でいっぱいだし。
「私、ここのお汁、いっぱい出る体質なのかも」
「そうだね。綾ちゃんは、濡れやすいかも……」
「新治君は、あ、あれ、いっぱい出るじゃない」
「う、うん、そうだね。……特に綾ちゃんとするときは、いつもよりいっぱい出るかも……」
「そ、そうなの……」
「うん、普段オナニーするときより……」
「そ、そうなんだ……」
あっという間に形勢逆転。
心臓がばくばく言っているのは私のほうになった。
新治君には、本当に敵わないなあ。
私は、布の上を這う指先が湿ってきたのを感じた。
「新治君がそんなこと言うから、もうショーツ濡れちゃった。……脱ぐね」
「うん、僕も、脱ぐ」
衣擦れの音。
二人が自分の性器に手を這わす。
これが、お互いの手であったら、もっと気持ちいいだろう、と思いながら。
自分の性器より、相手の性器に触れたいと、思いながら。
その軽い焦燥感が、快感を増していく。
無言。
少しずつ高まる息遣い。
自分のつがいが、昂ぶってきたことを感じて、私はさらなる解放へと進もうとした。

296:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/01/06 15:56:00 42SrOrQn
「……新治君は、どんなオナニーするのが気持ちいい?」
昨日から、考えていた質問。
慎重にタイミングに測り、流れに乗せる。
「えっ……あ、それは……あ、綾ちゃんの……」
さっきの動画のことを思い出したのだろう、ちょっと慌てながら新治君が答えた。
私に配慮した優しい答え。
嘘も、ついていない。
新治君にとって、その瞬間、たしかに私が最高の性的対象だったろう。
でも、男の子の性欲って、そういうものだけじゃない、というのを私は知っている。
男の子と女の子って、ちがう。
たとえば、私は、新治君以外でオナニーをすることはない。
新治君に再会する前にしたときは、別に何かを考えて「した」ことはなかった。
何かの拍子に触れてしまった、純粋な身体の反応。
それは、新治君にも話しているから、知っている。
でも、新治君は、きっと、私以外のことでオナニーをしている。
たくさんある、エッチな小説や漫画は、私がビデオをあげても減ることがなかった。
最近は、買い求める量が減ったと言うけど、捨てるほどにはなっていない。
私以外の女の子の裸。
私以外の女の子のセックスの描写。
愛する男(ひと)の性的関心が自分以外の女の子に向けられるのは悲しいし、悔しい。
それでも私が比較的平静でいられるのは、その多くが小説やマンガの世界のものだから。
新治君にとって、生身の女の子の中では私が唯一の存在ということには確信がある。
そうした架空のヒロインたちと並べても私が「一番」と想い始めてくれていることにも。
なぜ生身の世界のように、私が架空のヒロインを交えた中でもオンリーワンになれないのだろうかと。
私の心を捉えているのは、
嫉妬よりも、どうして? なぜだろう? という疑問だった。
新治君の心の中をもっと知りたい。
それが、私の一番の願望で、
そしてきっと、新治君の性癖やオナニーは、その答えを内包している。

297:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/01/06 15:56:32 42SrOrQn
私は新治君の心の中がわかる。
でも、全部が全部わかるわけではない。
むしろ、新治君の中を「見た」中で、
私が理解できるところだけを理解しているといったほうがいい。
当たり前だ。
新治君と、私は、別の人間だ。
─だけど、もっと近づくことが出来る。
なにか、もう一つきっかけがあれば、もっと強く。
なんだろう。
それがわからないのが、もどかしい。
でも、私は、その答えが、これから始まる二人の自慰に隠されていることを知っていた。
だから、私は、互いの全てをさらけ出す昂ぶりに新治君を誘った。
「うふふ、嬉しい。新治君、私でオナニーしてくれたんだよね」
「ああ、うん」
「……でも、私、もっと新治君のオナニー、知りたい。
私のとき以外は、どんなこと、考えてるの?」
「―!」
息を飲む気配。
とまどい。
それが、拒否に変わるまでの短い時間に、もう一言。
「私、怒らないよ。新治君が、私のこと以外でオナニーしてるって知ってるもん」
「!」
「だって、新治君、私と出会う前もオナニーしてたんだもん。
私以外でオナニーしたことあるのは、当たり前だよね」
そういう私は、新治君以外でオナニーしたことはない。
「あ、綾ちゃん……」
新治君の声から伝わる緊張が、ほんの五ミクロン緩まる。
うん。
いい感じ。
あと一押し。

298:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/01/06 15:57:10 42SrOrQn
「さっき言ってたよね、新治君。
オナニーするとき、頭の中で、私にいやらしいことさせてるって。
私、それ、―次にあったとき、新治君にして、あげたいっ……!」
最後のほうは、また声がかすれた。
言った瞬間、身体がびくん、と跳ねる。
軽く、イきかけた。
自分の欲望を、好きな人に素直に伝える快感と幸せ。
そう。
私は、新治君をもっともっと気持ちよくさせたい。
なぜなら、それは……。
「……知ってるかな? 新治君……?
新治君、私とエッチするときに、すっごく気持ち良さそうな顔をするんだよ。
すっごく気持ち良さそうな声をあげるんだよ……」
「あ、綾ちゃん……」
「─私、それを、見ると、聞くと、すっごく気持ちよくって、幸せになれるん、だよっ……!」
「……!!」
「わ、私っ、私は、新治君を気持ちよく、したいっ……。幸せにっ、したい……!
……それと、同じで、新治君は、私のことを、気持ちよく、幸せにさせたいっと……、
思ってくれているのが、すごくっ……よくわかるの……」
「あ……!」
そう。
新治君は、私のことをすごく大事に想ってくれている。
私が、新治君のことを想うのと同じくらいに。
だから─。
「新治君が、私のことを気持ちよくさせてくれたいのなら、……新治君が、いっぱい気持ちよくなって!」
新治君が、気持ちよくなること。それは、私が気持ちよくなること。
私が、気持ちよくなること。それは、新治君が気持ちよくなること。
新治君が、幸せになること。それは、私が幸せになること。
私が、幸せになること。それは、新治君が幸せになること。
ふたつは、まったくの同意義。

299:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/01/06 15:57:41 42SrOrQn
「……」
唾を飲み込む気配。
新治君が、私の言ったことを理解したのが伝わる。
私は、絶頂に達っしようとする指先を、かろうじて止めた。
自慰の最後の瞬間、身体も精神も堰を切ってしまった後でそれを止めることなんてできない。
─普通の女の子なら。
人間(ヒト)の心と体なんて、すごく弱く出来ている。
だから、麻薬とか媚薬とか打たれただけで、男の人も女の人も獣みたくなっちゃうんだ。
人は、痛みや不幸には耐えられるけど、快楽や幸せには耐えられないように造られているから。
─だけど、私は、それを止められる。
だって、私には、この快感以上の快感があるから。
私には、この幸せ以上の幸せがあるから。
今、携帯電話の向こうに。
私が一番気持ちよく、一番幸せになるには、新治君もそうなっていなければならない。
だから、私は、自慰の絶頂の瞬間でさえ、止められることができる。
はぁっ、はぁっ……。はぁっ、はぁっ……。
呼吸は荒く、甘く、切ない。
頭の中は、分泌された脳内物質でぐちゃぐちゃだ。
止められた快感は、どんな拷問よりも強く身体を悶えさせる。
でも、私がイくのは、私が与えているこの快感と幸せでじゃない。
もっと気持ちよくて、幸せなものでだ─。
「綾ちゃん……」
新治君は、私にそれを与えることに同意した。
自分の快楽のためだけでなく、私のために。

300:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/01/06 15:58:13 42SrOrQn
「……うん、じゃあ、どうするの、どうすればいいの……? 教えて、新治君……」
脳内物質のせいだろうか、五感がどんどんと研ぎ澄まされるのが分かる。
新治君の息遣い。
ことばに迷う一瞬。
意を決して、声を発する。
「あ、うん。じゃ、じゃあ、ちょ、ちょっとエッチに、お姉さんっぽく……ダメかな……?」
「ダメじゃないよ。大丈夫!」
反射的に答える。
今、新治君がどんな「お願い」をしてきても、
私の答えは肯定の一択だということを、新治君は半分信じていた。
そして、私は、その通りの答えを出す。
いつだって。
ううん、新治君の期待以上の答えを。
たった二言三言に隠された新治君の願望を、私は正しく読み取った。
普通にしていたって、私は、新治君の心は読める。
今の私がもっと読めるのは当たり前かもしれない。
「エッチなお姉さんって、……『リアル孕ませごっこ』の、杏子さんみたいな?」
「え……」
「ちょっと」は、新治君の照れと遠慮。
ほんとうの願いは、「すごくエッチ」に、だ。
私の知っている「新治君の好きなすごくエッチなお姉さん」は、あのキャラクターだった。
新治君の沈黙は、混乱と、―肯定だ。
まるで、最初から答えを知っているテストのように、私は新治君の欲望を言い当てる。
「あはっ……当たった、みたいだね」
「う、うん、なんで……わかるの……?」
「たまたま、だよ。こないだ、私に貸してくれたでしょ?」
「あ、そうだったっけ……」
正確には、恥ずかしがる新治君から少し強引に「好みのエッチな本」を何冊か借りてきたのだ。
黒い表紙の巴里書房のベストセラーはその中に入っていた。
「……あれ、新治君の部屋にももう一冊、あるよね。……ね、一緒に読もうよ」
新治君は、『リアル孕ませごっこ』を二冊持っていた。
一回買って、気に入ったので、「保存用」に買っておいたらしい。
私は、新治君が読んでエッチなことに使ったほうを借りたかったけど、
新治君はものすごく恥ずかしがって拒否したので、新品のほうで我慢した。
でも、これをこういう風に使うとはその時は考えもしなかった。
─いや、無意識にそれを考えていたのかも。
互いに文庫本を片手に、もう片方には携帯をしっかり握って始めた会話は、
すらすらと、最初から決まっていたようにうまく交わすことが出来たからだ。

301:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/01/06 15:59:06 42SrOrQn
「じゃあ、どこがいいかな。あ、42ページなんかいいかな」
「う、うん……」
「じゃあ、いくよ……。」

<うわあ、おち×ちん、おっきいじゃない。
うん、けっこう大きいよ、君。ちょっと自慢していいから。他の女の子に言われない?>

「……どうかな?」
「う、うんっ! す、すごくいいよ!」
「あはっ、じゃあ、新治君も、主人公のほう、読んで……」
「え、あ、ああ、うん……。」

<そ、そんなこと、十六年間の間、言われたことないよ>

今のは、小説では地の分のところだった。
アドリブでしてくれたのは、新治君がリラックスしてきた証拠。
新治君は、臆病な男の子だけど、おびえる必要がなくなれば、
ものごとに色んな、ものすごい能力を発揮する。
それが、私だけが知っている、本当の新治君。
私は嬉しくなった。
手を触れることさえためらい、恐がる男の子は、
女の子から手を握ってあげれば、ぎゅっと握り返してくれる。
あったかい手で。
それを知っている、それができる女の子が私だけということは、石岡綾子の誇りと幸せだった。

302:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/01/06 15:59:36 42SrOrQn
<あはは、君、童貞君だったよね、そりゃ言われたことないか
うん。ちゃんと洗ってきているのね。えらいえらい。
うふふ、セックスする前に、おち×ちん、しゃぶってあげようか?>
<え?>

ページをめくりながら、エッチな会話は続いた。
主人公と、第二ヒロイン─巷では一番とも言われる─との最初のセックスのときの会話。
経験豊富で積極的なヒロインが、晩生な主人公に迫るシーンだ。

<フェラチオ。して欲しい……でしょ?>
<そ、そんな……そりゃ……して欲しいけど……>

少しだけ、ほんの少しだけ語尾とかを変えてみる。
予想通り、新治君もセリフを少し付け加えてきた。
最後の<して欲しいけど>は、小説にはないことば─新治君のことばだ。

<いいわよ、恥ずかしがらなくたっても。
男の子は、女の子におちんちんしゃぶられるのが大好きだもん。
君も、私のことを考えてオナニーするとき、
フェラチオされるところ想像したことあるでしょ?>
<う、うん。ある……。き、君のお口でしてもらうこと、考えて……する>

<私のことを考えて>なんて部分、ヒロインのセリフにない。
それに答える主人公のセリフも。
それは、私と、私にと携帯エッチをしている男の子の心の中だけにあることばだ。
私は、どんどん昂ぶってくる私を自覚した。

303:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/01/06 16:00:07 42SrOrQn
<あはっ……じゃあ、私がしてあげる。
うふふ、気持ち良かったら、お口の中に射精してもいいよ?
私、全部飲んであげるから……>
<ほ、ほんと……?>
<うん。この間みたいに、無理やりっぽくでも大丈夫だけど、もっと優しく、のほうが好きかな?>
<ごめんね……こないだのは……>
<ううん、あれは、私のためだったんだもん。あれでよかったの>
<つ、次からは優しくするよ。もう、あんなことしない>
<うん、でも、時々なら、乱暴でもいいよ。私、それでも気持ちいいから。ほんとだよ>

目で追う小説の文章からどんどん離れている。
新治君と私は、主人公とヒロインの会話を借りて、この間の逢瀬のことを語り合っていた。
本質的に必要でないから、なんとなく言わないでいたことも、
こうしてきちんと語り合って、わだかまりを消していけばもっと良くなっていく。
面と向かった話し合いよりも手紙が効果的なときのように、
仮面舞踏会の逢瀬が普段の語らいより燃え上がるように、
二人はごく自然に相手に自分をさらけ出していた。

<新治君、女の子に精子飲んでもらうの好きでしょ?
女の子にフェラチオしてもらうと気持ちいいでしょ? 嬉しいでしょ? だから、私がしてあげる>
<うん……だけど、お、女の子の誰でもいいわけじゃ、ないよ>
<え……?>
「あ、ああ、綾ちゃんだから……気持ちいい……綾ちゃんだから、嬉しい……」
「新治君っ……」

私は、『リアル孕ませごっこ』をベッドの上に放り投げた。
新治君も。
片手でしっかりと愛しい人の声を伝えてくれる携帯電話を握り締め、
今、あいた片手で、性器を嬲る。
お互いの声とことばで達しようとして、二人は狂おしい自慰を再開した。

304:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/01/06 16:00:42 42SrOrQn
<あはっ、君、おちんちん、そんなに大きくして、
そんなに私とセックスしたいのぉ?>
<う、うん、そうだよ、き、君とセックスしたいっ>
「綾子の中に、精子出したいのね、新治君っ!」
「うんっ! 綾ちゃんの中に精子出したいっ!」
<い、いいのよ、いいのよっ! お姉さんの中に、出しちゃっていいのよ。
ほら、ここが私の入り口。エッチなおつゆでびしょびしょでしょ?>
「うん、綾ちゃんのここ、すごく、濡れてるっ!」
「ああっ、そ、それは新治君のおち×ちんが欲しいから……」
<いいのっ!? いいのっ、お姉さんっ、本当に入れちゃうよ!>
<来てっ! たくさん締めてあげるっ! エッチなおつゆもたくさん出してあげるっ!
君が射精しやすいように、うんとおま×こ良くしてあげる。だからいっぱい気持ちよくなって……>
「あ、綾ちゃんもっ、気持ちよくなってっ……!!」
「し、新治君もっ……!!」

誰かが言っていた。
恋愛は、ポーカーみたいなものだ、って。
お互いが裏返したカードを読み合い、駆け引きし合い、手を作っていく。
強いほうが、最終的な勝者になって関係を作るけど、
その手を作ったカードの一部は、相手の出した物だったり、
相手の対応で引き直したもので、決して勝者一人だけのものじゃない、って。
だから恋愛は面白いんだ、って。
でも、新治君と私のポーカーは、恋愛は、きっとちがう。
二人とも、一切、駆け引きなんかしない。
だって必要ないから。
相手に勝とうとなんて思ってないから。
相手の勝ちが自分の勝ちだから。
─二人は、お互い、自分のカードを全部、表に出して見せ合う。
そして、相手が役を作れるように、自分の手順を使うのだ。
私は、新治君のすべてのカードを見て新治君の手を作る。
新治君が、幸せになるように。
新治君は、私のすべてのカードを見て私の手を作る。
私が、幸せになるように。
だから、二人は、フルハウスでもフォーカードでも何でも作れる。
二人で、ロイヤルストレートフラッシュな幸せだって作れるんだ。

305:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/01/06 16:01:13 42SrOrQn
「あ、綾ちゃん、僕もう……」
「イッて! 新治君、イッて! 新治君、私でイッて!!」
「うんっ! 綾ちゃんもっ……僕でイッて!」
「ええ! イくわ、私、新治君でイッちゃうっ!」
「綾ちゃんっ!!」
「新治君っ!!」
お互いが、相手のイメージに包まれて絶頂に達する。
私は、新治君のおち×ちんが精液を噴き上げるのをあそこの中に感じ、
新治君は、私のあそこがおち×ちんの周りに絡みつくのを感じて、欲望を解放する。
一人でするのよりも、麻薬や媚薬を使ってするのよりも、何十倍も濃密で強い快感。
もう離れられない。
こんなものを知ってしまったら、二人は一生離れられない。
次に会えるのはいつだろう。
次に声を聞けるのはいつだろう。
次に愛し合えるのはいつだろう。
恋しい。
涙と、汗と、愛液でぐしょぐしょになった心と身体が、新治君を求めて彷徨い、
「あ、綾ちゃん?!」
携帯から聞こえる声で、戻ってきた。
「新治君……」
「あ、綾ちゃん……」
「新治君、私、すっごく気持ちいい……とっても幸せ……」
「うん、ぼ、僕も……」
「……ね、これから、いっぱいこうやってエッチしようね」
「あ、ああ、うん!」
「私、わかったんだ。私の中には、まだ私の知らないエッチな私がいっぱい、いるんだって。
『リアル孕ませごっこ』の杏子さんみたいな私もいるし、もっと違う私もいるって。
それも全部私で、―それ全部、新治君にあげたい、って」

306:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/01/06 16:01:45 42SrOrQn
「綾ちゃん……」
「私、わかっちゃった。……新治君は、色んな女の子が好き。色んな女の子とエッチしたいの」
夢うつつに微笑みながら、私はつぶやいた。
心の中で甘く蕩けていたものが固まって、ことばになってくる。
「……ううん、それは浮気とかそういうのじゃなくって、きっと男の子の性質なんだ。
新治君は、きっといつもの私が好きになってくれているだけど、そういうのとは別に、
杏子ちゃんみたいな女の子に責められたいときもあれば、別の女の子に優しくされたいときもあるんだよ。
男の子は、みんなそう。だから、エッチな本とか小説とか集めるの」
「ち、ち、ちが……」
「そして、女の子は、―私は、きっと一人で何人もそういう女をできるんだ」
「綾ちゃ……」
「うふふ、新治君はねえ、杏子さんみたいなエッチな女の人より、
杏子さんみたいなエッチな女の人を演じる私、が好き……なんでしょ?」
「!!」
それは、自慰の昂ぶりの中で感じ取った真実。
新治君は、私が好き。
私が、新治君がすきと同じくらい絶対的に。
だから、色んな私とエッチしたい。
色んな私に優しくされて、色んな私に気持ちよくされて、色んな私と幸せになりたい。
それは、
色んな私に優しくして、色んな私を気持ちよくさせて、色んな私を幸せにしたい、ということ。

─だから、私は、新治君をますます好きになった。

「ね、次、私、どんな「私」になればいい?」
私は、私のままで、どんどん新治君の好きな石岡綾子になれる。
そして新治君は新治君のまま、どんどん私が好きな新治君になる。
新治君が好きな石岡綾子が好きな新治君が好きな石岡綾子が好きな新治君が……。
─やっぱり、私たちは、もう離れられない。

307:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/01/06 16:02:23 42SrOrQn



「ふう……」
夜風が、火照った体に心地いい。
綾ちゃんと、声だけの、でも全てを重ねあった逢瀬から二時間経っても、僕は眠れないでいた。
あれから三回も立て続けに自慰で達した身体はだるいけど、爽快だ。
お風呂に入って冷水シャワーを浴びても、肉体の芯が熱くて、心の中が温かい。
時計はとっくに零時を回っている。
「コンビニでも行こうかな……」
もう、今日売りの<週刊少年チャンプDEAD>が並んでいる頃だろう。
『素手ゴロの王子様』と『こちら遠江国掛川藩岩本道場』の続きが気になった僕は、
Gジャンを羽織って外に出た。
坂の下にあるコンビニで<週刊少年チャンプDEAD>を買い物カゴに入れた僕は、
ふと、その横の棚の写真週刊誌に目を留めた。
昔は大売れしていたこいつも、最近ではすっかり部数が減っている。
一時期は、立ち読みもしていたけど、最近は全然興味がなくなった。
だけど、今日は、ものすごく大量に仕入れているな。
なんか特ダネでもあったのか。
表紙を見る限り、いつもと代わり映えしないけど。
手にとってぱらぱらとめくる。
面白い記事は何もない。
─と。
手が止まる。
思わずつぶやいた。
「何だ……これ……」
そこには、

「<彩ちゃん>が喫煙? <ホワイトプリンセス>龍ヶ崎彩子の地元でささやかれる黒い噂」

というタイトルの見開き記事が載っていた。
「あー、それ、すごいっしょ。お客さん、買ってったほうがいいよ。しばらく話題だよ、多分。
俺も気がついてさー、慌てて仕入れ追加したのよー」
にかっと笑った親爺さん(ここのオーナー店主だ)が手作りのポップを持ってあらわれた。

「あの彩ちゃんの記事、載ってます!!」

今書かれたばかりの、厚紙の上に踊るマジックのへたくそな字を、僕は、呆然と見つめた。



ここまで



308:名無しさん@ピンキー
08/01/06 16:14:18 66iV2T0O
うほほ!GJ!!
妹のほうがどうからんでくるのかwktk

309:名無しさん@ピンキー
08/01/06 16:45:13 W6URuoYo
きたきたきた!
らぶらぶ空間最高だわー
そしてそろそろ妹が絡んできそうだ

310:名無しさん@ピンキー
08/01/06 20:53:46 ppgyhUM0
なんか姉の幸せと反比例して妹が追い込まれてるな

311:名無しさん@ピンキー
08/01/06 21:43:09 pzSdxZIQ
ここから妹フラグがバリ立ちになっていく富田

312:名無しさん@ピンキー
08/01/07 01:13:57 o8xq3orw
GJ!GJ!!
GJ!!!!!!!


313:名無しさん@ピンキー
08/01/07 02:15:47 O9OQW9C1
妹フラグ立ったら修羅場スレにひっこされそうw

314:名無しさん@ピンキー
08/01/07 03:17:34 6pjTEiK5
この作品が他スレ行ったらこのスレは死ぬだろうが!
ここの住人の依存度、決してこの二人に劣るものではない!

しかし妹と彼はどう絡むんだろうね
必然的に姉も関わるし、最低でも血は見そうなんだが

315:名無しさん@ピンキー
08/01/07 14:59:53 0Ov7mwWt
自らの誇りたるピアノを幼稚園児に否定(?)され、回りからも喫煙報道で白眼視され。
頼るものを失った妹はどうするんだろうな。
姉に依存するか姉の彼氏に依存するか。それとも自立して姉から離れるか。
続きが気になりますな。

316:名無しさん@ピンキー
08/01/07 19:04:21 f+hBkX0W
ああいう他者を見下すことでアイデンティティ保ってるタイプは立場逆転すると弱い
というかストレスでずるずると落ちて行きそう
ある意味で見下してる他者に依存してるとも言えるし
それしても今までのレスを見てみると妹への立場でスレ住人は真っ二つに分かれそうだな

317:名無しさん@ピンキー
08/01/07 19:20:29 Ij18jFgh
だからこそ手を差し出せばあっさり依存してくれそうな気はするな
落ちることを知らない人間は、落ちた時に一人じゃ再起不能になりかねん

318:名無しさん@ピンキー
08/01/07 19:43:54 mjngZMfy
ちゃん様のようになるのか

319:名無しさん@ピンキー
08/01/07 21:24:50 jEKVKQuj
ちゃん様キャラは大好物です

320:名無しさん@ピンキー
08/01/07 21:52:24 QfhoGg4i
つつつつ遂に………キタ━( ´∀`)・ω・) ゚Д゚)・∀・) ̄ー ̄)´_ゝ`)`Д´)-_-)冫、 )ノД`)=゚ω゚)━!!!

2人のラブラブっぷりにもう萌え即死しそうっす!!!


お願いします、神様
この2人の幸せを永遠に栄えさせ賜え…


妹は一体、どう動くのか…2人の幸せを阻む壁にならなきゃ良いが…

321:名無しさん@ピンキー
08/01/07 22:55:27 0L1/EDJ/
待ち焦がれてもう心臓止まるかと思ったよ
読んだら読んだで萌え死ぬかと思ったよ

仮面が剥がれて落ち込んで姉貴依存に走った妹が、狂って二人の幸せを壊しませんように……
……この二人、引き剥がされたら心中してしまいそうだなあ

322:名無しさん@ピンキー
08/01/08 00:07:07 XqLjh7jk
姉も妹も母も みんなしあわせ

これがいい

323:名無しさん@ピンキー
08/01/08 10:58:03 mHEzsACS
しかし全員ヤンデレタイプだからまとめて依存されると
間違いなく新治は誰かに刺されて死ぬ

324:名無しさん@ピンキー
08/01/09 03:15:31 w3PWEJH9
GJっす

俺は恋愛対象になるのは綾子だけの方がいいよ派
ここまで愛し合ってるのに浮気なんて考えられない
妹にはあくまでも自立のサポートをしてあげる程度でいい
姉妹丼とかも・・・望んでる人はいるだろうが・・・自分は反対かな

325:名無しさん@ピンキー
08/01/09 08:37:52 vRDEQeEf
おまえら落ち着けってばさw

326:名無しさん@ピンキー
08/01/09 11:15:15 c5cEfbBs
書く人の好きなように書かせろや
何々には反対だ、やめて!とか自重しろよな

327:名無しさん@ピンキー
08/01/10 21:19:40 ZWR+utL+
読み手がSSに依存しちまってるから難しいだろうな・・。

328:名無しさん@ピンキー
08/01/10 22:23:29 7G/bqm31
誰上手

329:名無しさん@ピンキー
08/01/11 00:12:24 kSWn4G8R
誰もが可愛いと思う
上村先輩は
手を繋ぐ彼に依存

つまらんな…ごめん

330:名無しさん@ピンキー
08/01/11 01:45:03 8hLTLL+C
相変わらずこのスレはゲーパロ氏に依存しっぱなしなんですね


331:名無しさん@ピンキー
08/01/11 23:08:53 nJTYjqOZ
一事言わせてくれ。

>『こちら遠江国掛川藩岩本道場』
ここで吹いた。盛大に。

332:名無しさん@ピンキー
08/01/11 23:54:37 kSWn4G8R
↑誤爆?

333:名無しさん@ピンキー
08/01/12 00:06:01 xutxp/Vg
>>332
ちゃんとSSを読み返すんだ

334:名無しさん@ピンキー
08/01/14 00:56:38 V6WnkaL1
保守

335:名無しさん@ピンキー
08/01/15 12:58:33 b8eadZAK
>>331
伊良子のバカはどこだ!!

作者さんは間違いなくアサメ常駐者。

336:名無しさん@ピンキー
08/01/17 01:22:10 MTvXnNUg


337:名無しさん@ピンキー
08/01/17 13:52:56 gWu8VqzA
過度な展開予想はいけないぜっ。

保守

338:名無しさん@ピンキー
08/01/20 15:41:18 CFw4mKqL
保守

339:名無しさん@ピンキー
08/01/21 20:29:33 laBglHAp


神降臨↓

340:名無しさん@ピンキー
08/01/21 20:30:35 yXM1PznF
ちょっと神になってくる

341:名無しさん@ピンキー
08/01/21 22:24:42 FXlw3yiS
>>340
無茶しやがって……

342:名無しさん@ピンキー
08/01/21 22:45:27 uSg0yxOk
バカ野郎…

>>340は必ず帰ってくる

大きくなって…俺達を…楽しませてくれると……信じるんだ………

343:名無しさん@ピンキー
08/01/21 23:44:49 5K/YKkDs
>>340に依存するスレ。

344:名無しさん@ピンキー
08/01/22 18:45:28 9w7/jI9O
さあ皆、>>340に身を任せようじゃあないか

345:名無しさん@ピンキー
08/01/27 00:02:05 hPNkhdI2
投下します。

男が依存。
修羅場展開あり。
長文初。

駄目な場合はスルーしてください。

346:名無しさん@ピンキー
08/01/27 00:04:49 A4fazaHW
 悲劇というものはそれだけでは終わらないものだ。
 一つの悲劇が別の悲劇を産み、連鎖していく。


 一人の女性が、不倫の果てに相手の男と心中した。
 世間は彼女を、愛を貫いた悲劇のヒロインとして持て囃し、その悲恋歌に涙した。
 悲劇のヒロインがいれば、当然のように悪役が必要となる。
 彼女の遺族にその役割が求められた。
 自分から気持ちが離れていたにも関わらず、離婚を了承しなかった夫。
 離婚の足枷となり、実の母親を死に追いやった息子。
 この二人を非難する事で、多くの人々は、その悲劇に対する鬱憤を晴らした。

 その事が新たな悲劇を産む事になる。

347:名無しさん@ピンキー
08/01/27 00:06:21 8vsfq6tD
 高校生、新田圭一には殆ど表情がない。まるで能面のような、無機質な顔をいつもしている。
 昔からそうだった訳ではない。
 彼がこうなったのは、母親の心中事件以降だ。

 笑えば、実母の死を何も感じない冷血な子供。
 泣けば、周囲に同情を買う演技をする計算高い子供。
 怒れば、自分の責任を弁えずに周囲に当たり散らす身勝手な子供。
 次第に彼が表情を忘れていったのは、自然な流れと言えるだろう。

 そんな彼にも表情を出せる相手がいる。

 須藤里沙、彼の幼馴染みにして、彼が心を許している唯一の相手だ。


 「おはよう、圭ちゃん!」
 「あー、おはよう…」
 父親が仕事の関係で殆ど家にいない為、圭一が朝一番に挨拶する相手は決まって里沙だ。
 何時もの事であっても、明るい彼女の声に圭一は救われる気分になる。
 「ちゃんとご飯食べた?元気出ないよ!」
 「ちゃんと食べてるって、子供じゃないんだから。」
 少しだけ表情を緩めて答える。
 毎朝の定例のようなやり取り、それが圭一を不思議と落ち着かせた。
 「じゃぁ、学校に行こう、遅刻しないようにね!」
 里沙に引きずられるように、二人は学校へと向かった。

 時折、圭一は不安になる。
 里沙が自分をどう思っているのか、依存しているだけの自分に対して、どんな感情を抱いているのか…。
 それは恐怖を感じさせる不安だった。
 今の圭一にとって、里沙がいない生活など考えられないモノなのだから。


348:名無しさん@ピンキー
08/01/27 00:08:08 8vsfq6tD
 圭一が学校に着くと、下駄箱の中に一通の手紙が入っていた。
 その手紙は、ここしばらく投函されているものと同一のモノだ。

 「それ、ラブレターってヤツ?」
 目敏く手紙を見つけた里沙が圭一に尋ねる。
 「そんなんじゃないよ」
 手紙を手早くしまいながら、圭一が答える。
 「え、まだ中身も見てないのに…」
 そこまで言ってから、圭一の顔が曇っているのが里沙には分かり、言葉を切った。
 小学生時代、彼の下駄箱には良く罵りの手紙が入れられていた事を思い出したからだ。 
 「また、虐められてるんじゃ…」
 不安そうな里沙の声が圭一の耳に届く。
 「そんな事はもうないよ。」
 里沙を不安にさせない為、圭一が空元気を出した声を出す。
 そんな時の表情の作り片を知らない圭一がやっているのだから、当然に不自然になっているし、更に里沙を不安にさせた。
 「授業始まっちゃうから、早く行こう。」
 それ以上の追求をかわす為、強引に話しを終わらせるようにして、圭一はやや小走りで自分の教室に向かった。

 教室の自分の席に着いた圭一は、今朝の手紙を取り出した。
 内容は分かっている。

 須藤里沙から離れろ、須藤里沙に近付くな、貴様が須藤里沙を不幸にしている…等々の、誰かしらの嫉妬によって書かれたような内容だ。

 その日の内容も特別に変わった内容ではなかった。
 ただ一つ、放課後に体育館裏で待つ、との一文が目新しく、圭一の興味を引いた。

 どんな奴が、飽きもせずに毎回毎回手紙を出しているのか、その事に興味が沸いた。

 行ってみるか…、小さくそう呟く。

349:名無しさん@ピンキー
08/01/27 00:10:10 8vsfq6tD
 放課後、体育館裏で圭一を待っていたのは、見知らぬ下級生の女子だった。
 流石に自分とは関係ないとも思ったが、彼女が自分に向ける視線が、手紙の主である事をありありと告げている。
 嫉妬、殺意、憎悪、嫌悪、侮蔑、様々な負の感情がありありと彼女の目に宿っている。
 普通の人ならそれだけでたじろぐだろうが、圭一には慣れた視線であり、特に何かを思う事はない。
 むしろ、相手の正体が知れた事で、既に興味を失わせていた。

 それでも来た以上は、何かを話さなければいけない。
 「あの手紙を書いたのは君?」
 声に感情を感じさせない、圭一独特の喋り片で問い掛ける。
 その喋り方が相手の不快さを増させたようだ。
 「そうです!」
 まるで吐き捨てるように答えてきた。
 「ああ、そう。」
 自分を蛇蝎の如く嫌っているのは良く分かるが、圭一にとって見ればどうでもいい事、既に帰る気になっている。

 「手紙は読んだんでしょう!」
 圭一の言い方のせいか、相手の語気が荒くなる。
 「用件は分かっているハズですよね!」
 「用件…、里沙から離れろというのか。」
 声を荒げて熱弁を奮う女生徒、それに対してまるで表情を変えずに平坦に話す圭一、その事が更に女生徒の怒りを煽って行く。

 「なら、とっとと里沙先輩から離れろ!」
 「それは出来ない。」
 感極まったような怒鳴り声にも、間髪入れずに即答する。
 「な…!」
 「里沙は俺にとって大事な存在だ。俺から離れる事はありえない。」
  棒読み口調、これが芝居だったら絶対にNGが出る。
 だが、そんな中にも、揺るがない意思と相手に反論させない強さがある。

 「言いたい事は終わり?」
 何時通りの無機質な無表情で、相手の様子を伺う。
 特に反論はしてこないようだ。
 その事を確認すると、俺は帰るから、とだけ相手に告げ、その場を後にした。

350:名無しさん@ピンキー
08/01/27 00:11:04 8vsfq6tD
 校門では里沙が待っていた。

 「先に帰って良かったのに。」
 「ちょっと心配しただけだから、気にしない気にしない!」
 心配したと言う割りには、圭一の疑問にやたら笑顔で答えてくる。

 「どうしたの?何か嬉しそうだけど…。」
 「うん!ちょっと‥いや、かなり嬉しい事があったからね~♪」
 今に鼻唄でも歌い出しそうに答えた里沙、圭一はその姿に圧倒されていた。

 「今日は何が食べたい?私が何でも作るよ!」
 「えっ、え?」
 「そうだ、買い物していかないとイケないネ!スーパーに寄ってから帰ろう♪」
 戸惑う圭一を気にする事もなく、里沙は圭一の腕を取ると、終始ご機嫌に歩き出した。

 圭一にしても、ハイテンションな里沙相手に戸惑ってはいるものの、彼女が喜んでいれば、自分も少しだけ楽しい気持ちになれた。


351:名無しさん@ピンキー
08/01/27 00:12:19 8vsfq6tD
 仲睦まじく帰宅していく圭一と里沙の姿を、憎悪をもって見送っている女生徒がいる。
 ついさっき、圭一にしてやられた女生徒、名を小野瀬真由美という。

 噛み締めた唇、握りこんだ拳から血が滴り落ちる。
 「何であんな男に…!」
 怨嗟の声が口から漏れる。

 彼女が里沙と出会ったのは同じ委員会での事。
 右も左も分からず、戸惑い混乱していた自分を助け、教え導いてくれたのが里沙だった。
 それからと言うもの、視線は気付けば里沙を追っていた。
 テキパキと仕事をこなし誰にも媚びずしっかりと自分の意見を言う、その姿を見ていたのだから、同性としての憧れが恋心に昇華するのに時間は要らなかった。

 同性の壁は想像以上に高かったし、何より里沙に嫌われる恐れがある。
 自分の気持ちを抑え、ただの後輩としてだけ接していた。

 そんな中で知ったのが新田圭一の存在だ。

 もし、彼がもっとちゃんとしていれば、里沙に釣り合う容姿、成績、体力を持っていれば、彼女も里沙の事を諦めただろう。
 だが、新田圭一はそうではない。
 無表情でクラスから孤立し、周囲から腫れ物扱いを受けている。その上に母親を死に追いやった過去まであるという。

 それを知った時、彼女の中で何かが弾けた。
 何故、自分は我慢しなければイケないのに、そんな男が傍にいれるのか、里沙先輩はあの男に騙されているか、何か弱みを握られているに違いない。

 今、小野瀬真由美の中での新田圭一は、憧れの人を縛り付けて自分との恋路を邪魔する障害物でしかない。

 「里沙先輩、すぐにその男を始末しますから」
 腕力で勝てずとも、方法は幾らでもある。
 「そうしたら、私の気持ちに気付いて下さい」
 万感の想いを込めて、そう願った。

352:名無しさん@ピンキー
08/01/27 00:14:34 8vsfq6tD
投下終了です。
上手く共依存を書ければと考えてます。

353:名無しさん@ピンキー
08/01/27 00:26:38 dMRKT/Qs
>>352
これは素晴らしいSS!
続きにwktkして待ってます。

354:名無しさん@ピンキー
08/01/27 01:07:30 Sfz5FFV2
>>352
乙。
出だしの心中と世間の~辺りの展開が無理やりな気がするが
3人とも相手に依存しているようで今後に期待。


355:名無しさん@ピンキー
08/01/27 01:09:42 P6xPGIfY
里沙はやっぱり覗いてたんだろうなぁ
もしそうだったら真由美はとっくに嫌われてるかも
続きが気になるな!

356:名無しさん@ピンキー
08/01/27 05:10:31 bMj72oko
楽しみ。

357:名無しさん@ピンキー
08/01/27 22:39:02 S36paI66
>>355
なるほど。「嬉しい事」ってのはそれか。

358:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/01/28 00:37:21 ztFgcjAx
GJ!
これは続きをwktk。

<私が私でいられる時>続き行きます。
今回は、「お漏らし」がちょっとあるので、苦手な人は回避推奨。

359:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/01/28 00:38:46 ztFgcjAx
<私が私でいられる時>・13

♪ O-E-A-E-OO-、O-E-A-E-OO-……

悲しく伸びる美しい母音。
主題歌が始まる。
私は、テレビモニターを見つめた。

♪ あの時最悪のブラクラが向こうから会いにきたのは
♪ ぼくらのセキュリティはこんなにも脆弱だと笑いに来たんだ

♪ jpgだと思ってもexe偽装という真実に惑うよ
♪ 拡張子の何を信頼して開けばいい

♪ フォーマット:C(シー) フォーマット:C
♪ このネットの無数の罠の一つだと
♪ 今の僕には理解できない

♪ フォーマット:C フォーマット:C
♪ 恐れを知らない初心者のように
♪ クリックするしかない
♪ フォーマット:C……

「フォーマット:C……」
知らず知らずのうちに口ずさんでしまう音楽。
昨日よりも綺麗に歌えた、という自覚に、私は唇の端に笑みを浮かべた。
“あの人”から借りたDVDを、もう何度見ただろうか。

360:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/01/28 00:39:17 ztFgcjAx
TVアニメ<おたくの>。

絶望的にはびこる21禁ネット犯罪と、コンピューターウイルスとに業を煮やした政府が、
「大人が都合よく利用しやすい少年少女を育成する部活動」に属さない、
パソコン好きの帰宅部生徒たちを、15人単位のチームに編成、
インターネットを使ったウイルス/ブラクラバトルに投入。
バトルに敗れたチームは全員逮捕、勝ったチームも代表選手を逮捕、
という過酷な消耗戦を強制する筋書きのアニメ。
その主題歌「フォーマット:C(シー)」の美しい旋律とあいまって、大人気を博した。

私も、“あの人”に貸してもらってから、ファンになった。
というより、“あの人”の選ぶものは、みんな、とても素敵。
私は、うっとりしながら画面に見入った。
ドアをノックする音が聞こえるまで。
「彩ちゃん、いる?」
「……いない……!」
子供のような返事が反射的にこぼれたのは、それが、期待した声ではなかったからだ。
母親のことは、今でも苦手だ。
昔よりは、ずっと身近に感じるけども。
ここ数ヶ月の生活の中で、この女(ひと)はこの人なりに、
私や<家族>のことを考えてくれていることを理解した。
でも、まだ私の部屋の中に入れる気にはなれない。
それは、この人も理解してくれていて、
「そう……。朝ごはん、出来たんだけど……」
というか細い声が返された。
私は、ちょっとつまったけど、結局昨日と同じ答えをする。
「……食べたくない……」
実際、おなかはあまり空いていなかった。
でも、そう答えてしまうのは、他にも理由がある。
義母さんに、そう返事をしたら─。

361:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/01/28 00:39:48 ztFgcjAx
「……入るわよ」
─“あの人”が来てくれる。
ドアの鍵は閉められていない。
“あの日”、錯乱した私が三日間も篭城したせいで、ドアの鍵は外されたから。
でも、今、私は、もし鍵があっても締めようとは思わないだろう。
だって、そんなことをしたら、“あの人”が入ってこれなくなる。
そう。
「ん……おはよう……」
「おっ、おはようございますっ……!」
私は、跳ね上がるように立ち上がって、すぐに、うっとりとした。
入ってきたのは、私より、一つ年上の女の子。
私に似た、女の子。
でも、

─なんて綺麗なんだろう。
─なんて魅力的なんだろう。

「ん……。サンドイッチ持ってきたけど、食べる?」
「は、はいっ……」

義母の呼びかけを断ると、この女(ひと)が来てくれる。
手作りの卵サンドと、温かいココアと一緒に。
ベッドに並んで腰をかけて一緒に食べる。
“あの日”以来の習慣。
私の、ドキドキする、そしてキラキラする時間。
左隣に腰掛ける女(ひと)を、私はまぶしいものを見るように盗み見た。
私に似た、でも何百倍も素敵な女性。
「……ごちそうさま、でした……」
「はい。おそまつさま」
私が卵サンドを全部食べ終えたことを認めると、
<姉>は、にっこりと笑った。
「さ、学校よ、彩ちゃん。支度して」
「は、はいっ……」
私は、立ち上がって、着替えはじめた。
なるべく、きびきびと見えるように、一生懸命に。
学校に行くことは、もう、私にとって苦痛ではない。
だって……。
「ん。じゃ、いっしょに行きましょうか」
「はいっ!」

―私の<姉>。
龍ヶ崎……いいえ、石岡綾子お姉さまといっしょに歩けるんですもの。

362:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/01/28 00:40:30 ztFgcjAx
「―彩ちゃん……さ、今度の土曜、どこか行かない?」
「あ、ごめんなさい。第三土曜は、ボランティアなんだ」
「あっ、そ、そうだったよね、ごめん、ごめん」
「うん、よかったら、別な曜日に、誘ってね」
「ええ」
たわいのない会話。
……意味のない会話。
写真週刊誌の記事は、結局、中傷的なものだとされた。
喫茶店の写真が、喫煙しているものではなかったことが、決め手となった。
パパは出版社と争い、こないだ小さな謝罪記事が載ったことで、
騒動は一区切りが付いた。
でも、私は、……それまでの私ではなくなったことを、自分でよく知っていた。
いいえ。
気が付いた、と言ったほうがいいのかな。
こうして、笑っているクラスメイトたちが、本当は全然友達でも味方でもなかったということを。
街の人たちも、TVを通じてファンだと言ってくれていた人たちも。
─“あの日”。
写真週刊誌に載った「喫煙」写真は、私の世界を変えた。
雑誌の発売日、学校の皆がいつもと違うのに気がついたのは、
二時限目と三時限目の間の休み時間だったかな。
「何、―どうしたの?」
「あ、うん……なんでもないよ……」
違和感。
いつもは争うようにして私の周りに集まってくるクラスメイトの多くが、今日は私を遠巻きにしている。
私のまわりにいた女の子たちも、一人、また一人と離れて行く。
それが、クラス中に、そして学校全体に広まったのは、昼休みだろうか。
「龍ヶ崎、……ちょっと職員室に来なさい」
担任の先生が、呼び出した先で見せられた、その見開きページ。

「<彩ちゃん>が喫煙? <ホワイトプリンセス>龍ヶ崎彩の地元でささやかれる黒い噂」

そのタイトルの元に書かれている記事の人物は、私だった。
カン・ナム・エクスプレス・カフェでぼんやりと座っている、私の写真。
私のわがまま振りを伝える「友人」のコメント。
私は、悲鳴をあげ、そして、先ほどまでのみなの反応
─あいまいな表情と、遠巻きの視線と、ひそひそ話の意味を知った。

煙草は、吸っていない。
でも、わがままは─確かな事実だった。

363:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/01/28 00:41:01 ztFgcjAx
「綾ちゃんって、わがままなんですよね。
クラスメイトの子に夜中の二時にいきなり電話かけてきて、
明日のボランティアに参加したいから手配してって、突然命令したり、
そうかと思うと、そうして無理やり参加したボランティアも、途中で帰っちゃったり。
なんだか、お姉さんも振り回されてるみたいですよ。」

誰が、記者のインタビューに答えたのだろうか。
わからない。どうでもいい。
大曾根さんは、後で、絶対自分じゃないって泣いて言っていたけど、
誰が言ったのかなんか、どうでもよかった。
それは事実だったから。

私は─わがままなで、嫌な子。
優しい、いい子じゃない。
……ママが誉めてくれた、優しい、いい子じゃない。
その事実を突きつけられて、私の精神(こころ)は、砕けた。
そして、三日間、自分の部屋に篭城して、
─三日目に、この女(ひと)に出会った。

そう。
突然、出会った、としか言いようがないくらいに、
何年も同じ屋根の下で暮らした義姉は衝撃的な存在だった。
うん。
覚えている。
ろくにご飯も食べず、眠ることも出来なかった頭はあまり覚えていないけど、
心は、よく覚えている。

364:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/01/28 00:41:41 ztFgcjAx
「彩ちゃん、いい加減にしなさいっ!」
……いきなり、叱られたんだ。
“あの日”職員室で倒れて気を失い、家に戻った私は、
学校にも行かず、初日以外は、両親と話をしようともしなかったけど、
最低限、トイレだけは部屋の外に出ていたから、
パパも、義母さんも、ドア越しに声をかけ、私が部屋から出てくるのを待っていた。
悩みに悩んだ末、それが一番いいと考えたのだろう。
でも、この女(ひと)は、ちがった。
叱ってくれた。私を。
ドアに耳を当て、廊下に誰もいないことを確認し、
トイレに行こうとして、私は、この人に行く手を阻まれた。
そして、叱られた。
呆然と見上げる私に、続いて頭の上から降ってきたのは、
「部屋に閉じこもっていても、何もよくならないでしょう。
お父さんが待っているわ。階下(した)に降りるわよ!」
という言葉だった。
─何がなんだか、わからなかった。
わからなかったけど、涙が出た。
ううん。
私は、わかっていたんだ。
これが、この言葉が、三日前に突然なくなってしまった「日常」だと。
写真週刊誌の記事の形をとって、私の前から突然消えてしまった「日常」から戻ってきてくれた言葉だと。

遠巻きに見詰める視線。
遠くから聞こえる声。
それは、本当は私を快く思っていなかった人間だけでなく、
私を好いていてくれている人間でも同じだった。
私を嫌いな人間は、自分が傷つくことを恐れて、
私を好きな人間は、私が傷つくことを恐れて、
どちらも、遠巻きにして吊るし上げられた女の子を囲んだ。
それは、遠ざかる「日常」。
人は、一人では「日常」を生きていけない。
なぜなら、人は群れる動物だから。
だから、私は、パパと義母さんの優しさといたわりをドア越しに感じながら、
部屋から出られなかった。
だから、私は<姉>の声を聞いて、泣き出した。
こんなに近くから、叱り付けられたから。
こんなに近くから、叱り付けてくれたから。
そして、
……私は。
……私は……。
安堵のあまりに……お漏らしを、した。
<姉>の前で。

365:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/01/28 00:45:26 ztFgcjAx
トイレに行こうと思っていた我慢の限界。
意思の力では止められない、生理現象。
太ももをつたう、温かい感触。
フローリングの床に広がる、液体。
開放感と、脱力感と、一瞬遅れて来る激しい羞恥心―感情の波。
私は、今、自分が作り出したばかりの水溜りの上にへたり込んで、泣き出した。
「もう、いやー! みんな、嫌い! 嫌い!」
私は、金切り声をあげた。
自分の声が、誰か、もっと小さな女の子の悲鳴のように聞こえる。
先ほどの、安堵の涙ではなくて、恥ずかしさと、情けなさと、
今近づいてきてくれた「日常」が、また去っていってしまう恐怖に、
私は目をつぶって、泣き叫んだ。

─でも。
「日常」は、行ってしまわなくて。
“この人”は、そこに居てくれて。
私がお漏らしをしても、そこに居てくれていて。
「彩ちゃん……」
子供のように泣きじゃくる私に、また声をかけてくれた。
そして、“この人”は、私の上にかがみ込んで。
「……大丈夫」
と抱きしめてくれたんだ。

366:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/01/28 00:46:14 ztFgcjAx
「……ん。これでよし。じゃ、今度は彩ちゃんの番ね……」
<姉>は、下洗いしていた私の下着とパジャマを軽く絞ると、洗濯機の中に放り込み、こちらを見た。
裸の私は、お風呂場のタイルの上で子供のように立ちすくんでいた。
本当に、小さな子供のように。
「身体、洗える?」
「あ……」
声が出ない。
また、涙が出る。
「ん……。いいよ、今は無理しなくて。洗ってあげる……」
「ふあっ……」
何か言おうとしたら、変な声が出た。
<姉>は、泣きじゃくる私を抱きしめた。
「ごめんね。もう、大丈夫」
「あ……」
その瞬間、私の頭の中にあったのは、羞恥心。
“あの日”から、三日間、お風呂に入っていない。
それに、今、お漏らしをしたばかりだ。
でも、<姉>は、黙って、私の身体を洗ってくれた。
細くて優しい指が、タオル越しに私の肌に触れる。
甘くて優しい髪の匂いが、私の鼻腔をくすぐる。
綺麗で優しい微笑が、私の瞳を釘付けにする。
ああ。
午後の優しい日差しが、バスルームの曇りガラス越しに差し込む。
Tシャツとショーツだけを身にまとって、私の身体にシャワーをかける女性の後ろから。
それは、まるで女神さまの背負う後光のようで─。
そして、私は気が付いてしまった。
この女(ひと)、石岡綾子お姉さまが、どれだけ素敵な女性だったのかを。
いいえ。
素敵な女性に変わっていたのを。
そして、その女の人は、私を、いつもの「日常」に戻してくれた。
私のために。
自分が傷つくことも、私が傷つくことも、ためらわない強さで。
それは、その時の私にただ一つ必要なもので、
私は、私に戻れた。
……そして、それ「以上の私」が「ある」ということにも、気付いてしまった。

367:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/01/28 00:46:44 ztFgcjAx
どうして、見えなかったんだろう。
どうして、気が付かなかったんだろう。
どうして、認めなかったんだろう。
いつの間にか、変わってしまった、この女(ひと)の魅力を。
私に似ているけど、私以上の人。
私によく似ているだけど、私ができないことが出来る人。
私にそっくりだけど、優しい、いい娘な女(ひと)。

(ママ……)

死んだママが、そして、ママが私になりなさい、と言った理想の女の子。
優しい、いい娘。
それを具現化した女性が、目の前に居た。
一度、気が付いてしまうと、それは、
もうどうしようもないくらいに強く私の心を締め付けた。

(コノ女(ひと)ノヨウニ、ナリタイ)

それは、理想の私。
私がなりえる可能性のある中で、一番良い私。
ママのような、私。
パパが一番大好きだったママのような、素敵な私
今の私に出来なくて、でも、いつかならなきゃならない私。
私のあるべき姿の、私。
そう。
それは、写真の中でしか会えないママよりもずっと身近に、もっと身近に居た。
私と一歳しか違わない、私と同じ高校生の女の子の中に。

……だから、私は……。

368:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/01/28 00:47:19 ztFgcjAx
「彩ちゃん……」
「は、はいっ!」
いつの間にか、つまらない授業は終わりになっていたらしい。
放課後の教室で、私は、お姉さまが隣に立っているのに気が付いた。
慌てて立ち上がる。
「ん。……あのね、悪いけど、今日、先に帰ってね」
「え……」
お姉さまは、照れたように微笑んだ。
「あ……お兄さまのところに……行くんですか……」
「う、うん、ちょっとね……。夜には戻るから」
「そう……ですか……」
「ごめんね、夕飯は私が作るから……」
「……大丈夫……です。私が作っておきますから、八時くらいまで、大丈夫ですよ……」
“あの日”以来、龍ヶ崎家の中心は、綾子お姉さまになった。
家事などは、私もずいぶん手伝い始めたけど、そういうものではなく、
龍ヶ崎家の<主婦>は、お姉さまだ。
そして、その信頼感から、一時期禁じられていたお兄さまとの逢瀬も、黙認されるようになった。
今日のように、学校帰りにお兄さまの家に行くことも。
「あ、ありがとう!」
お姉さまは、嬉しそうに、本当に嬉しそうに微笑んだ。
「……」
私は、その笑顔に呆けたように見とれ、それが大きなバッグを担いで去って行くのを見詰めた。
そして、がっくりと、肩を落とした。

……お姉さまには、恋人がいる。
私も知っている人だ。
新治お兄さま。
お姉さまと同じ、石岡と言う苗字の、男の人。
お姉さまにふさわしい、素敵な男の人。
綾子お姉さまは、新治お兄さまに出会って、変わった。
私と、そんなに違わなかったはずの女の子が、理想の女性に変わった。

─私と、どこが違うのだろう。
─私と、何が違うのだろう。
わからない。
答えの出ない自問は、一人で帰宅しても終わらなかった。

369:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/01/28 00:47:55 ztFgcjAx
♪ ぴ、ぴ、ピラルクー、ぴっくるんるん
♪ ぴ、ぴ、ピラルクー、ぴっくるんるん

TV画面に、<恋のピラルク伝説>が流れるのを、ぼんやりと眺める。
朝起き掛けに見ていた<おたくの>と同じく、お姉さまから借りたDVDだ。
つまり、もとは、お兄さまの。
お姉さまが、お兄さまのことをもっと知りたいように、
私も、お姉さまのことをもっとよく知りたい。
だから、私は、お姉さまに近付き、同じものを同じように見て、
同じものを同じようにしている。
だけど。
お姉さまは、もっともっと、ずっとずっと魅力的になって行く。
私が、真似しても、真似しても、追いつかないくらいに。
それは、お兄さまがいるから。
綾子お姉さまは、新治お兄さまと二人で、どんどん成長している。
それは、私だけが知っていることではない。
最近は、皆が、認めていることだ。
お姉さまが、素敵な女性だということは、もう学校の皆が言っている。
お兄さまも、そう。
お姉さまは、前よりも、ずっとずっと綺麗に、美しく。
お兄さまは、前よりも、ずっとずっと格好良く、逞しく。
二人は、並んで歩きながら、寄り添いながら、重なり合いながら、お互いを高めている。
そして、私は、私だけは、取り残される。
二人をまぶしく見つめるだけの、龍ヶ崎彩は。

……私は、身震いをした。
ああ。
今、耳から聞こえる音楽は、お姉さまの携帯の着信音だった。
お姉さまの、一番大事な人からの電話を告げる音。
それを聞いたときのお姉さまの笑顔を思い出して、私は涙を流した。

370:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/01/28 00:48:39 ztFgcjAx
なぜだろう。
どうしてだろう。
私は、お姉さまみたいになれないのだろう。
私は、理想の私になれないのだろう。
─答えは、分かっている。
私には、新治お兄さまがいないから。
お兄さまのような、人がいないから。
お姉さまは、お兄さまと愛し合い、心と身体を重ねることで成長している。
今日も。
お姉さまが、肩に担いでいたバッグ。
それは、昔の罪深い私が担がせていた私の荷物ではない。
入っているのは、衣装。
お兄さまの好きな、お姉さまの服。
巫女服だろうか、ゴスロリだろうか、もっと他の服だろうか。
お姉さまは、それを着て、お兄さまとセックスする。
今、お姉さまは、きっとお兄さまの下で、あられもない声をあげている。
大好きな人と交わって、自分を高めている。
今でさえ、私の理想を具現化しているのに、もっと、もっと高く、遠くへ。
「―!!」
私は、目をつぶり、耳を塞いだ。
<恋のピラルク伝説>から。
だけど、脳裏に焼きついたその音は、消えてくれない。
お姉さまの嬌声も。
─お姉さまは、お兄さまと会えない日は、オナニーをする。
お兄さまと電話で話しながら。
お姉さまの部屋の前で、ドア越しに漏れ聞こえるその声を聞きながら、私は何度も自慰をした。
私の理想の女性が、まさにその女性を生々しく解放する瞬間を聞きながら。
自分がいつかなりたい、成熟した牝の声を聞きながら、何度も達し、そして泣いた。
あの女(ひと)になれない、自分に。
私になれない、私に。

371:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/01/28 00:49:32 ztFgcjAx
「……」
いつの間にか、DVDは終わっていた。
白い画面をぼんやりと見つめ、私はのろのろと立ち上がった。
身体の芯が熱い。
自分の性器が淫らな蜜を吐いているのを自覚した。
「ショーツ、洗わなきゃ……」
自分の言葉に、何をすればいいか思い出して、階下に行く。
洗濯物は、もう一人で出来るようになった。
お姉さまのやっていたこと、ママがやっていたこと。
ちょっと前までできなかった、やらなかったことが、どれだけ大事なことか、
今の私には悲しいくらいに理解できていた。
ショーツを脱いで、お風呂で下洗いをする。
洗濯籠の中のものと一緒に洗濯機に入れようとして、私は動きを止めた。
洗い物の中にある、薄いブルーのショーツと、ブラジャー。
私の物でも、義母のものでもない。
綾子お姉さまの、下着。
私は、震える指でそれを手に取った。
甘やかな、若い、だけど十分に成熟した牝の匂い。
「―!」
脱いだままの下半身の中心が熱く蕩ける。
「ん……お姉さまぁ……」
理想の女性の下着で、私は何度も自慰に耽った。
お姉さまが、こっそり持ち帰ったお兄さまの下着で自慰をしているときと同じくらいに、狂おしく。
指を自分の女性器に伸ばしかけて、私は、不意に目を見開いた。
天恵のように、脳裏に走った衝動。
「お姉さまの下着……私がつけたら……」
ごくり、と喉が鳴るのを私は止められなかった。
洗濯前の、お姉さまが昨日身に付けていたショーツを履くのも。
一回り以上大きなサイズのブラジャーを付けるのも。
そして、理想の女性の下着を身に付けた私の身体を、さらなる「天恵」が稲妻のように貫いた。

372:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/01/28 00:51:43 ztFgcjAx
(三次元の女の子は、二次元の女の子に勝てない……)
(おっぱいも、お尻も厚みのない萌え少女に……)
(……だったら、どうする?)
(なっちゃえばいいじゃん! 萌え少女に!!)

アニメ<ノース・ドラゴン>のヒロインの一人、
<魔法のコスプレイヤー・工藤建子>の決めセリフ。
やっぱりお姉さまから借りて、見ていたその言葉は、突然に私を襲った。
そうだ。
なっちゃえば、いいんだ。
お姉さまに。
私が。
石岡綾子に。
龍ヶ崎彩が。
私は、お姉さまの部屋に駆け込んだ。
無人の部屋の中で、私は、それを手に取った。
お姉さまの匂いがする、服を。
お兄さまが愛する、服を。
二人が交わるときに、愛し合うときに、成長するときに使う服を。
身に付ける。
整える。
鏡に映す。
─髪の毛がちょっとだけ、お姉さまより長い。
ハサミを取り出して、切った。
─うん。
完璧。
お姉さまの下着を付け、お姉さまの服を着て、お姉さまと同じ髪型の娘が鏡の中に居た。
それは、―石岡綾子。
私の、理想の私。
私は、お姉さまのように微笑み、そして家を出た。
冬の夜は早い。もうあたりは真っ暗だ。
<マジ狩る少女ピクル>の格好をした石岡綾子は、新治お兄さまの家に向かって歩き出した。
どうするんだろう。
何をしに行くのだろう。
お兄さまに、セックスしてもらいに行くのかしら。
自分を、もっともっと魅力的な私にしてもらうために。
それとも……?
わからなかった。
まだ、私は、綾子お姉さまの姿をした龍ヶ崎彩でしかなく、
─そして、この姿で新治お兄さまに会ったときに、答えは出るような気がした。



ここまで

373:名無しさん@ピンキー
08/01/28 00:55:22 hngf7o/m
今の僕には理解できない吹いた
GJ

374:名無しさん@ピンキー
08/01/28 01:56:23 v/xiVKNJ
毎度ゲーパロ氏のネタには笑わせてもらってます
GJ

375:名無しさん@ピンキー
08/01/28 02:12:55 TO9hIAcj
な、なんかすごいことになってきてる……

376:名無しさん@ピンキー
08/01/28 02:16:18 AwpezIuB
フォーマットされますた

377:名無しさん@ピンキー
08/01/28 14:07:12 wmPTBScJ
予想だにしない展開
これからどうなるのか…グッジョブ!

378:名無しさん@ピンキー
08/01/28 17:05:33 OSNxd4fw
ゲーパロ氏のパロ・改変のセンスは異常www
それにしても一転して、もとい相変わらずなんという萌え話だ
脱帽しすぎて禿げそう
文才のない自分が恨めしいぜ

GJ!

379:名無しさん@ピンキー
08/01/28 21:15:16 tjDzV5Ti
GJ!


380:名無しさん@ピンキー
08/01/28 22:52:49 VNqAnB8K
GJの一言に尽きますわ
しかしフォーマット:Cてwww

381:名無しさん@ピンキー
08/01/28 23:09:53 y1r5CHYM
GJ!!!
予想の遥か斜め上を行く展開に驚いた
そして妹の危うさに身震いしてしまった……

382:名無しさん@ピンキー
08/01/28 23:14:22 28vfz86a
これでもし「カエレ!」言われたら、ガクブル

383:名無しさん@ピンキー
08/01/29 00:11:16 nJj5a3TG
姉妹丼フラグがとうとう立ったか!

384:名無しさん@ピンキー
08/01/29 04:01:54 gveSzNUQ
「二人きりEDしか認めん!」「妹ウゼェ」
とか言っていた昔の自分はどこへ行った?
“お姉さま”のあまりにも寛大な包容力に当てられたか?

385:名無しさん@ピンキー
08/01/29 08:29:22 f8xSG6aE
俺は最初から姉妹丼派だったんで無問題

386:名無しさん@ピンキー
08/01/29 10:25:21 r8xdooxr
ここからドロドロになるかもしくは…

387:名無しさん@ピンキー
08/01/29 16:46:15 JNYZcOFf
いつものことながらGJ!
<恋のぴくる伝説>が<恋のピラルク伝説>になってるww
あと>>363の1行目は
「綾ちゃん」じゃなくて「彩ちゃん」じゃないですか?

388:名無しさん@ピンキー
08/01/29 22:32:27 vZJ3z+iV
神すぎる…これで最終的にハッピーエンドになれば間違いなく俺の人生史に残る…

389:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/01/30 06:53:35 5Vs0pqy1
>>387

Σ(゜Д゜;) 

orz

390:名無しさん@ピンキー
08/01/30 17:37:34 3womO68j
オチがついたなw

391:名無しさん@ピンキー
08/02/02 01:23:12 DyE9JdJr


392:名無しさん@ピンキー
08/02/02 16:09:35 TELqQJxE
>>389まあそういうこともあるさ
(o・_・)/"(ノ_<。)ヨシヨシ

393:名無しさん@ピンキー
08/02/02 19:20:20 wh5+uJ6g
いや、妹が好きなのは姉なんだからドロドロにはならんだろ
むしろ綾子ハーレムが出来る予感・・・!

394:名無しさん@ピンキー
08/02/02 21:09:09 gS5ARQY7
前スレの終わり頃に投下させて頂いたんですが、
あまりにも投げっぱなしだったので。続きというか。

IN THE BLUE

映画が好きだった。学校から帰ってきて、眠るまで。学校の無い日はほとんど見続けていた。
ジャンルや監督、俳優などにこだわりは無かった。この部屋の同居人もよく一緒に見たりはするが、
良く分からない、と言って寝てしまう事が殆どなので、寂しくもあった。
そして、僕はいつも通り映画を見続けようとして、背中に重みを感じ、その思考は打ち切られた。「ミカ。どうしたんだい」
長い髪が僕の体にかかり、鬱陶しい。今年で19になる女の子とは思えない、拍子抜けするほど軽い、彼女の矮躯。
「眠いの」そのまましなだれかかる様に、俺に身を任せるミカ。「ベッドに行けよ」僕は体にかかる髪を愛でながら言う。
そうしている間にも、フィルムは進んで行く。フィルムの中の世界だけが、この部屋の中で唯一、活きている部分だ。
寝にくくないのだろうか、と軽く心配はありつつだが、思考は目の前のフィルムに集中した。
ビアーを口に含んだ役者は、そのままカメラに向かってそれを吹き出す。シーンが変わる。
これから、死んで行くふたり。悲しいそれは、だけど、一番美しい。死に際に見せるその光だけが。
そしてこの世界に等しい。薄れて行くその存在が。
その車は工場へと向かう。フラッシュバックする記憶、その栄華。いまは廃れ地に落ち砕けた栄光。
「さくちゃん」背中に自縛霊よろしく張り付いたミカが揺れる。「……起きてたんだ」
「寝てるとでも思ったの? あ、でも油断してるさくちゃんも、もえー」
ミカの重みが揺れる。背中で、とくん、とくんと鼓動に合わせてただ揺れる。
「油断なんかしてない」ささやかな重みが消える。そしてそれが移動して、僕の目の前に立った。
「さくちゃん」「見えないんだけど」ミカは薄い唇を尖らせ、僕をじろとにらむ。
「あたしより映画? 」ミカは眉を寄せる。そして、笑う。
くるくると変わる表情に、僕はあの青いフィルムの売女を連想した。
「泣くと思った? ねぇ。まさか」言って、それより映画とあたし―と、
また言いかけたので、僕はミカの手を取って半ば無理矢理に、自分の膝に座らせた。
「なぁに」幼いその顔と体。なのになぜか、そう言う横顔がとても妖しく、ひどく艶やかに見えた。
「ミカ」僕の手は熱を帯びている。いつもならば冷たく、死んでいる様だと揶揄されるその肌。
それが熱を持っている事がひどく汚らわしいような気がする。そんな感覚を打ち消す様、僕はミカに触れる。
「ぃや……」薄いスカートの中手を入れて、短いキスをする。その細いもも肉に優しく触る。ガラス細工を扱うように。
「…………さくのばか」ささやいて僕の顔に指を走らせるミカの表情はどこか熱っぽい。
この部屋に彼女が入って来た時から、求めているだろうとわかっていた。
だから、僕はそれに応える。向きなおったその躯に触れ続ける。
「脱がすよ」言うなり僕は少女を軽く持ち上げるようにして、スカートをするっと取り去る。
ピンク色の、豪奢な肌着を視界の端にとらえる。「へ、へ…変態」「ひどい言い様だ」
ミカは口をぱくぱくさせる。スカートから脱がせた事を怒っているらしかったので、その口を僕の口で塞いだ。
「んむっ!…………へんたい」そういうと僕との密着面積を少なくした姫君は、自分で上着を剥いだ。
「…………」僕は開きかけた口を閉ざす。

395:名無しさん@ピンキー
08/02/02 21:11:21 gS5ARQY7
「やぁだ、見つめちゃって」下着だけになったミカ。何度も見たはずのその姿に、みとれた。
思えばこの奇妙な生活も長い。ミカに出会って、自然に惹かれあった。そこまでは、健全な恋だった。
きっと、どこかで間違った。間違ってしまった二人は、自分たちだけの楽園を作り上げた。
「さくちゃん、い、いいけど」生まれたままの姿で、少女ははにかんだ。
けして、魅力的とは言いがたいその肢体が、しかし僕には天使に見えた。
何かを呟いて少女の隅々まで触れる。意識ここにあらず、というふうを装って。
すべらかな肌、ささやかな膨らみを撫で下ろし、その下まで。
「ん……」少し顔を俯かせて恥じらうミカの視線は、どこか儚げだった。
口づけをする。ミカが僕の目蓋を舐め、熱い息とともに言葉を吐いた。
「いつも泣きそうな顔するよね」

フィルムが終わりを告げた。

何度も何度も貪りあって、汚れたシーツや、溜まった洗濯物をランドリーへ持って行く。
姫君は疲れて寝たようなので、その隙を見て。
ドラム式の層のなか、洗濯物は回り続けて、汚れは薄れて行く。
みつめる。回り続ける。ぐるぐると、ぐるぐると。なぜか泣きそうになる。
吐きそうになって、嗚咽が漏れる。

「さくちゃん……? 泣いてるの? 」
ぼろぼろの顔でランドリーの入り口を見上げる。
そこには、大きすぎるカーディガンを羽織った、小柄すぎる少女がいた。
「ミカ」「どこに行ったかと思ったの。さがし、ぅあっ!」
僕は少女に駆け寄って抱きついていた。
少女はたっぷり黙ってから、悟ったように、その薄い胸の中にある頭を撫でながら言う。
「……なんだ。いいよ、さくちゃんはほんとに甘えんぼさんだね」
「……ん」
僕はその評を甘んじて受ける事にした。

帰ったら、映画を見よう。甘いラヴストーリーを。
ミカにも分かるような、単純なラヴストーリーを見よう。

396:名無しさん@ピンキー
08/02/02 21:14:34 gS5ARQY7
文章詰まり過ぎですね……orz
拙作失礼しました。勉強になりましたー。

397:名無しさん@ピンキー
08/02/02 21:59:55 wZRzD/Y5
>>396
gj

お前さんの文体は個人的に好きだ

398:名無しさん@ピンキー
08/02/02 22:34:58 c18oH/qL
GJ
俺もこういう雰囲気好きだな

399:名無しさん@ピンキー
08/02/03 08:54:10 9qY2DaHj
>>396
投下乙
だけどセリフを地の文と一緒くたに書くのはやめてもらいたいのだがどうか。
正直読みにくくて仕方がないのだが

400:名無しさん@ピンキー
08/02/03 12:26:18 RHnW2q69
>>399
あ、それ俺もちょっと思った。
セリフと地の文を改行したらいいんじゃないかな。

なにはともあれGJ。いい作だったよ。

401:名無しさん@ピンキー
08/02/06 23:35:27 b3hahxMJ
最近はにぎわってうれしいよ

402:340
08/02/09 01:02:57 euFsjG42
すいません、神は無理でした
でもせっかく書いたので5分割で投棄します

 今日も疲れた。
このご時世になんとか正社員になれたはいいが、
毎晩9時過ぎまでこき使うのはほんと勘弁願いたい。
先輩は慣れれば平気だという。
だが慣れたとしても平日は毎日12時間近くも働かされ、
休日は昼まで眠り、たまった家事をこなすだけの生活に何の意味があるというのか。
そもそも休日出勤も珍しくない、
もう10時も過ぎているし、飯を作って食う気にもならない。
弁当でも買って帰ろうとコンビニに立ち寄るが、
どれもこれも一度は食ったことあるのが笑えてくる。
しかたなく何度も食ったチキン南蛮弁当を買う。
あとは買い置きの野菜ジュースとインスタントみそ汁でも飲もう。
実家に住んでいればもう少し楽なのかもしれないが、
職場まで2時間弱かかるうえ、何より実家にはいたくない。

 俺は3人兄弟の真ん中だ。
兄貴は今ある弁護士事務所の助手をしていいる。
前聞いた話ではもうすぐ独立して事務所を持つということだ。
それに合わせて今の彼女と結婚するらしい。
弟は京々大の工学部に通っていて今確か3回生のはずだ、
何をやってるか一度説明してもらったはずだが全く分からなかった。
うちの家庭は教育熱心で兄貴も弟もその成果なのかはしらないが
なかなかの進路を進んでいる。
そんな中で俺だけは異質だった。
決して頭は悪くなく、むしろ中学までは頭の良い方だったが、
実家の中ではカス同然だった。
断わっておくが両親も兄弟も俺を馬鹿にしたことは一度もない。
しかし、
中学受験に失敗したときの父親のただ驚いたような顔が、
中学の担任に公立校の名をあげられた時の
母親のあきれ返ったような顔が、
必死に勉強してなんとか志望の国立大学にひっかかった時の
家族全員の無感動な顔が今も忘れられない。
とにかく俺のいらないあの家にはもう帰りたくない。
俺が出ていくと伝えた時も家族は皆

「そう」

と言うだけだった。

403:340
08/02/09 01:06:15 euFsjG42
 アパートにつくと一人暮らしのはずなのに電気がついている。
まず間違いなく奈緒だろう。
何度か俺が返ってくるまでドアの前で待っていたことがあり、
中にはいれるように合鍵を渡してある。ドアをあけ

「ただいま」

と言うと、狭いキッチンから奈緒が顔を出し、

「おかえり、りょーちゃん!」

といってとろけそうな笑顔で俺に飛びついてきた。
匂いから察するにカレーを作って待ってくれていたようだ。
もっとも奈緒の作れる料理はカレーを入れても
手の指で数えられるぐらいしかないわけだが。

 奈緒は実家の向かいに住んでいる同い年の幼馴染である。
幼稚園、小学校、中学校は同じところに通った仲である。
そして奈緒はあんまり頭がよくない。はっきりってお馬鹿さんだ。
日常生活を送るぐらいは何とかなるが、
到底一人で社会人として生きていくことはできない。
幼稚園の頃はこちらも子供だったし特に問題になるということはなかった。
近所に俺と奈緒以外に同い年の人間がいなかったので、
帰ってからは毎日のように二人して公園の砂場で遊んだり、
奈緒の家で飼っている犬のコロと遊んだりしていた。
しかし、小学校に上がると文字を覚えるのが遅かったり、
計算が遅かったりと奈緒の馬鹿さ加減が表面化してきた。
奈緒はいじめられた。
そして、いじめられるのが怖かった俺は次第に奈緒と距離を置いた。
一緒に学校に行かなくなったし、奈緒の家にも遊びに行かなくなった。
それでも学校で休み時間になると別のクラスから

「りょーちゃん、あそぼぉ」

といってわざわざ俺のクラスまで何度もやってきた。
でも、やはり俺は自分までいじめられたくなかったので、
ある日、自分のクラスに帰れ、もう学校で話しかけないでくれと言った。
後で思えばかなり残酷なことをいったと思う。
しかし小学生の俺はただ自分と、自分の居場所だけが大事だった。
そう告げると奈緒は哀しそうな顔をして、

「じゃあ、おうちにかえったらあそんでくれる?」

と言ってくいさがってきた。
早く話を終わらせたかった俺は、
今度遊びに行ってやるといって奈緒を教室にかえした。
その日からぱったりと奈緒と学校で会うことはなかった。
登下校のときにたまに目にしたが、向こうからもこちらからも話しかけはしなかった。
初めは少し気になったが、学校生活を送るうちに奈緒のことは忘れていった。

404:340
08/02/09 01:10:10 euFsjG42
 確か小4の時だったと思う。
初めて奈緒と同じクラスになった。
俺がいるのに気づいた奈緒は遠くから俺に微笑みかけてきたが、俺は他人のふりをした。
奈緒はこのクラスでもいじめられていた。
確かに極端に学業が苦手で、運動神経も悪く、
気の弱い奈緒がいじめの対象になるのは当然といえば当然だった。
暴力をふるわれたり、無視されたりといった悪質なものではないが、
休み時間は誰にもまともに相手にしてもらえず、当番を無理やり押しつけられたり、
持物を隠されてからかわれたりといったことが日常茶飯事であった。
どうも級友の話を聞くと、小学校入学直後からこのような状態だったらしい。
幼馴染の境遇に多少心は痛んだが、
やはり俺は自分が大事だったので話しかけたりはしなかった。

 ある冬の日奈緒が風で学校を休んだ。
家が近いということでプリントを担任に持たされた。
4年ぶりに奈緒の家に行くとコロは俺を覚えているのかいないのか
犬小屋からじっと俺を見つめて一度だけ吠えた。
インターホンを鳴らしたが誰も出ない。
ポストに突っ込んで帰ろうと思ったら、どたどと音を立てて奈緒が出てきた。
確かに熱があるようで顔が赤く息も荒かった。
俺がプリントを渡そうとするとものすごい勢いで

「りょーちゃん!あそびにきてくれたんらぁ!」

といって鼻声で飛びついてきた。

「かなね、ずっとまってたんらよ、きょうはおすなばいく?コロのおさんぽいくぅ?」

正直この瞬間まで1年生の時の約束なんか忘れていた。
玄関の橋をみると埃をかぶった砂場セット(と、当時奈緒はいっていた)が置いてあった。
どうも何年も使っていないようである。
その場しのぎの言葉を律儀に信じて4年間も待っていたのにはさすがに心が痛んだ。
とりあえずその日は風邪が治ったら遊びに行くという約束をして、
なだめすかしてうちに帰った。
次の日曜には奈緒も風邪が治ったので一緒にコロの散歩に行った。
終始奈緒は楽しそうに喋っていたが、
俺は同級生に見つかったときの言い訳を考え続けていて
ほとんど生返事だったが、奈緒は喜んでくれたようだった。
それからは2週間に一回ぐらい奈緒の家で勉強を教えたり、
コロの散歩に行くようになった。
学校での奈緒に対する仕打ちはら前のままだったが、
6年の時、男子にからかわれた奈緒がちょっとした怪我をして、
これが問題になりいじめられることはなくなった。
ただ、相変わらず学校では一人だったようだ。

405:340
08/02/09 01:13:43 euFsjG42
俺は中学受験に失敗し、奈緒と同じ公立の中学に進学した。
中学ではまとな部活には入らずに勉強に打ち込んだ。
両親の期待にこたえようと必死だった。
奈緒の方は小学校とは違い相手してもらえるようになっていた。
だが俺と奈緒の関係も中学生になったからと言って特に変化はなく、
コロの散歩と奈緒の勉強がメインだった。
奈緒は授業中はまじめに座ってノートも取っているのに、
成績はあいかわらずさっぱりで、よく俺の家に聞きにきた。
特に英語数学理科がさっぱりだめだった。
素直にふんふんと俺の言うこと聞いてはいたが、
30点を割ることも珍しくなく、教えている側としてはかなり複雑だった。
ただ、自分の勉強で煮詰まっているときに、能天気な声で奈緒が

「りょーちゃん、ここの問題おしえてー」

といってやってくるのは気が休まって正直ありがたかった。
奈緒も小学校から続いていじめられることはなく、
クラスのマスコットのような扱いをうけ、それなりにかわいがられていたようで
奈緒なりに充実した中学生活だったようだ。

 しかし俺の中学生活はとてもいいものとはいえなかった。
周りの連中は成績はクラスで5本の指に入っていて、
運動神経も中の上だった俺に一目置いていたようだが
兄と同じ国立中学にはいれなかった俺は家では肩身が狭く、
3年になって弟がその入試を楽々パスしてからは立場がさらに悪くなった。
家族は誰もはっきりとは俺を責めなかったが、
態度からして俺をさげすんでいるのは明らかだった。
学校行事や授業参観はおろか、面談にも来てもらえなかった。
弟も兄も弁当がない日に渡される
前の日の夕食の残りが無造作に詰められただけの弁当を見るのはかなりきつかった。

406:340
08/02/09 01:19:50 euFsjG42
状況が最悪となったのは3年秋の三者面談だった。
この日だけは親も来るように担任がしつこく迫ったため、
しぶしぶうちの母親が仕事を午後から休み学校まで出てきた。
この面談で前に行った校内実力テストの結果を返してもらい、
内申とを照らし合わせてどの高校を受験するか決めるのが目的だった。
自信はかなりあった。
かつてない手ごたえで校内2~3番には入っているはずで、
この点数なら兄の行っている私立の有名進学校にも届くはずだった。
かくして面談で帰ってきた点数はかつてないほどよかった。
そして担任はニコニコしながら

「亮二君の成績なら十分この高校を狙えます。
彼は一年の時から頑張っていたのでその成果が表れてますね!」

といって学区内の公立高校の名前を出してきた。
そんなはずはないと思って成績を見ると
順位はいつもとそう変わらなかった。
要するに今回はテストが簡単で平均点が高いだけだったのだ。
この順位ではせいぜいそこそこの公立高校が関の山だ。
担任は特にいうこともないくこれまで通り頑張れといった。
俺も母親も最後まで無言だった。
面談の前に母親に今回のは自身あるといってしまった自分が馬鹿みたいで消えてしまいたかった。
面談の最後に母親は
「先生のおっしゃる通りにします」
とだけ言った。
担任は息子さんともよく話し合ってくださいと言って
面談は終了し俺は言われた高校を受けることとなった。

 俺は家に帰って部屋で呆然としていた。
すると奈緒がやってきていつもどおり質問しにきた。
奈緒は授業態度がいいのでテストの点に比べて内申点がよく、
普通科の高校に通えるめどが立っており
受験勉強の真っ最中だった。
あまり気乗りはしなかったがいつもどおり問題を説いて説明してやった。
すると奈緒もいつもどおり大きな目を見開き能天気な声で

「すごーい、やっぱりりょーちゃんは頭いいね!」

と言った。
この言葉に俺は頭が真っ白になり、

「うっせーよ馬鹿、おまえに何がわかるってんだよ!!」

気がついた時にはそう言って奈緒を突き飛ばしていた。
奈緒は椅子ごと床に倒れこんだ、
奈緒は何も悪くないのだがこの時はただただ腹が立っていた。
最初奈緒は何が起こったのか理解できないといった表情でこっちを見ていた。
「もう帰れよ」

と言うと奈緒は半泣きになって

「あ、あの、りょーちゃん、ごめんね・・・
お勉強の邪魔しちゃったから怒ってるの?
それとも奈緒がわるいこといったの?
ご、ごめんね、あ、あの・・・もう帰るね・・・。」

と言って帰って行った
少しして頭が冷えてくると奈緒に悪いことしたなという気持ちが出てきたが、
もう何もする気にならず謝る気にもならなかった。 すいません、計算ミスでまだ続きます・・・

407:340
08/02/09 01:23:18 euFsjG42
もう奈緒は来ないだろうと思っていたが、
次の日に奈緒はまたやってきた。
目と目の周りが真赤で痛々しかった。

「あのさ・・・、昨日の事は俺が「あのっ、ごめんなさい」

「は?」

「今日りょーちゃんの教室いったんだけど
なんか元気なかったから・・・
やっぱり奈緒のせいなのかな?
いつも勉強教えてもらったり、遊んでもらったりしてるのに
奈緒はなんにもしてあげてなくてごめんね。
あと、これりょーちゃんが好きなキャラメルスコーンだよ。」

「あ、サンキュ・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「あの、どうしたら許してくれるかな・・・?」

「いや、だから昨日は「も、もう勉強教えてくれなくていいからっ」
「コロのお散歩も奈緒ひとりで行くから・・・」
「もう学校でもはなしかけないからぁ・・・」

「だから、あの、今まで通りなかよくしてください!」

今まで通りも何も奈緒のいうとおりにしたら
俺と奈緒の接点はほぼゼロになってしまう。
それにキャラメルスコーンが好きだったのも何年前の話だ。

「だから昨日は俺が悪かったよ、ごめんな、」
「別に奈緒に怒ってたわけじゃないから、
今まで通りに勉強教えたり散歩したりしてやるよ」

「ほ、ほんと?」

「ああ」

「あ、ありがとう、奈緒にできるこどあったら、なんでもいっでね。」

「はいはい、なんで泣くんだよ、ほれティッシュ」

「うん・・・・・ずびー・・・へへへ」

「じゃあキャラメルスコーン一緒に食うか?」

「うんっ」


-とりあえず今回分投棄終了-

408:名無しさん@ピンキー
08/02/09 01:46:50 JmIXlHDX
超GJ!!
奈緒が健気で可愛いなぁ

409:名無しさん@ピンキー
08/02/09 03:19:54 pTmZDuyC
GJ
さてさてこれからどう話が進むのか楽しみです

410:名無しさん@ピンキー
08/02/09 18:09:33 pY+/kmtf
いーねー
続きに期待!

411:名無しさん@ピンキー
08/02/09 18:34:11 qOP7aTkr
GJ!
共依存の匂いがプンプンとするな。

412:名無しさん@ピンキー
08/02/09 23:55:34 rn+7D2Cd
> 「かなね、ずっとまってたんらよ、きょうはおすなばいく?コロのおさんぽいくぅ?」

ここは”なお”ってことでいいのかな


そしてGJ!すげー先が楽しみ

413:名無しさん@ピンキー
08/02/10 00:53:52 CKDKXmIK
こういう、どこまでも純粋な娘に好かれてるって
最高に幸せなんだろうな・・・。

続きを楽しみに待ってますわ。

414:340
08/02/10 01:15:35 lh617V/7
>>412

すんません、その通りです。
途中で名前変えたのでひらがなの部分が置換されてなかったorz

415:名無しさん@ピンキー
08/02/10 13:10:36 7EmkdUJ7
ゲーパロさんまだー?

416:名無しさん@ピンキー
08/02/10 16:13:24 4jjQgnvn
>>407
なんか胸の奥のほうがキュンキュンしてきた







どうやら俺はお前さんに恋をしたようだw

417:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/02/10 23:28:26 5npKeMUY
>>415

今週の烈老子があまりにも
「考えていた彩の展開」だったので、ちょっと練り直しをw

418:名無しさん@ピンキー
08/02/11 07:28:58 YrCZj8ml
>>417
バキ読んでる時に噴きましたwww
だってまんま烈=彩で烈スタンド=綾子の状態でしたからね
烈が「ならなっちゃえばいいじゃない、烈海王に」とか言い出したらどうしようかと思ってました

419:名無しさん@ピンキー
08/02/11 11:32:32 /moOpaTJ
いっそ先に考えていたという事実は忘れて、
ひらきなおったバキパロにしちゃうとか

420:名無しさん@ピンキー
08/02/11 23:18:33 /7mfWxSV
烈の足コk…

いやなんでもない

421:名無しさん@ピンキー
08/02/12 01:02:24 5kYQfZtD
彼の懐に……!!

422:名無しさん@ピンキー
08/02/12 21:46:26 i7pJkXo1
これは?携帯だけだけど
URLリンク(courseagain.com)

423:名無しさん@ピンキー
08/02/13 08:14:00 tcecYrSY
武にまかせるんだ…

424:名無しさん@ピンキー
08/02/16 11:49:35 0G2YdwNL
保守

425:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
08/02/16 23:19:30 cFt88QA2
<私が私でいられる時>・14

「ん……」
重なる唇から、全てが伝わる。
絡み合う舌が、心の奥までを相手に教える。
溶け合う唾液が、二人を一つにする。
「んむ……」
激しく深く交わった後で、そのままベッドの上で交わす口付け。
キス一つで、人ってこんなに幸せになれるんだ。
ううん。
それは、新治君とのキスだから。
新治君と、私のキスだから。
「んんっ……」
息が続かなくなって、やっと唇を離す。
離れたくない。
いつまでも重なっていたい。
白い糸となって唇と唇をつなぐ二人の唾液が細く細く伸びて行く。
「あ……」
伸びきったそれが、空気に溶け込むように途切れたとき、
私は思わず小さな声をあげた。
「ん……」
ふわっと肩を抱かれる。
素肌に感じる、この男(ひと)の体温。
キスが終わって、切なさや喪失感が襲ってくる前に、暖かさが私を包み込む。
だから、キスが終わっても悲しくない。
ううん。
キスも、ハグも、一つ一つがとても気持ちよくて、とても大事で、
一つ一つが終わるたびに怖いくらいに悲しいけど、私はそれに耐えられる。
だって、キスが終わっても、こうして抱きしめてもらえるから。


次ページ
最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch