【貴方なしでは】依存スレッド2【生きられない】at EROPARO
【貴方なしでは】依存スレッド2【生きられない】 - 暇つぶし2ch50:名無しさん@ピンキー
07/10/30 10:50:05 xGc5UF6r
>>48
同意w
いい依存カップルだよなw

51:名無しさん@ピンキー
07/10/30 12:03:30 B/uRsXAT
まあここは何とか主人公に頑張って立ち回って治めてほしいw
ところで気になるのは妹って純粋に悪人か、ただ単に我侭なだけで姉と母に対しては父親を取られたって嫌悪感で暴走してるのか、どっちだろ?
後者なら、主人公のトラウマに似てる部分あるので、依存姉妹丼ルートもアリかと思うわw

52:名無しさん@ピンキー
07/10/31 07:03:32 7rGcAlDU
これはいい依存

53:名無しさん@ピンキー
07/10/31 23:54:35 J5U/jyDC
このまま新治も綾子に依存しそうだな

54:名無しさん@ピンキー
07/11/01 02:03:46 LH7M5YuR
まだ新治攻略には早い希ガス
新治の攻略難易度はたぶんラスボス級

55:名無しさん@ピンキー
07/11/01 02:07:11 souXxBds
新治「ボクは後二回……あと二回トラウマを残している……この意味がわかるな?」

56:名無しさん@ピンキー
07/11/01 10:15:50 PN0hZB0C
>>55
おまwww

57:名無しさん@ピンキー
07/11/01 19:26:39 54Vzbcrd
元ネタなんだっけ?

58:名無しさん@ピンキー
07/11/01 20:39:27 vlxaoLs2
>>55
綾子「新治君のことかーーーーーーッ!!」
で切れた姉の自慢の黒髪がパツ金になる訳か

59:名無しさん@ピンキー
07/11/03 16:14:08 gYzhfjO/
ほっしゅ

60:名無しさん@ピンキー
07/11/05 08:28:58 c7Zyy5yi
保守あげ☆

61:名無しさん@ピンキー
07/11/07 14:53:20 InKkKELx
保守。
まだかまだか

62:名無しさん@ピンキー
07/11/07 19:49:09 m4oqIqI8
投下に対する反響のレスが投下のレス数を上回ってるのも珍しいな。

63:名無しさん@ピンキー
07/11/07 22:09:57 3lrIsOBS
私このスレがないと生きていけないの

64:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/11/07 23:33:28 mJ7zga9y
<私が私でいられる時>・7

目が覚めたとき見えたのは、白い天井だった。
記憶にない、模様。
(ああ、そうだ。○×市のホテルに泊まったんだっけ)
自宅から電車で数時間のところにあるそこは、夫のコンサートツアーの会場がある街だった。
昨晩、準備のためにここにやってきて、夫と合流し、
ホテルで彼の世話をして、一緒に泊まった。
午前中、打ち合わせをする夫に秘書役として付き添い、雑務が終わった後で分かれた。
ホテルに置いてきた自分の荷物を回収しに戻り、疲れを感じてベッドで横になったが、
そのまま少し眠ってしまったらしい。
時間は、正午を過ぎていた。
(帰らなきゃ)
スーツについた皺に眉をしかめた。
身体が鉛のように重い。
疲労感がどうしても取れなかった。
特に何をしたと言うわけでもない。
逆だ。
何もしていないから疲れる。
そんなことがあるなんて、思っても見なかった。
今の夫と結婚して、この生活に入るまで。

娘─綾子が小学生の頃、最初の夫が死んだ。
病気とわかって、すぐに。
闘病生活さえ、ほとんどなかったあっけない死は、
しかし、私と娘の生活を変えるには十分すぎる出来事だった。
最初の夫とは、見合い結婚だったが、私はあの人のことを愛していたし、
あの人と、あの人との間に授かった娘との三人の生活も愛していた。
だがそれは、一瞬にして崩れ去ってしまった。
私、石岡美和(いしおか・みわ)……いや、今は龍ヶ崎美和の幸福は。

65:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/11/07 23:34:09 mJ7zga9y
私は、戸惑い、悲しみ、焦った。
私はピアノの教師をしていたが、それで食べて行くのは無理だった。
夫の収入と理解があってはじめて成り立つ程度の奥様芸は、
せいぜいが、娘を近所で一番のピアノ少女にしてあげるくらいが関の山だった。
その夫が天国に召されてしまうと、私はたちまちに窮した。
私に浪費の癖はないつもりだったし、夫もかなりの高給取りだったが、
今のご時勢、双方の親が資産家でもない限り、娘に普通の教育を施し、
マンションのローンを払い続ける生活に、さらに親への援助などが重なれば、
余裕などは、ないものだ。
マンションだけは、かけていた保険のおかげでローンが終了したが、
残された貯金は生命保険も含めてわずかなものだった。
私は仕事を探したが、それは、自分の無能さとキャリアのなさを思い知らされるだけの作業だった。
娘のためには、慣れないパート生活も耐えられもした。
しかし、一日一日、目減りして行く預金通帳の数字は、私の心を必要以上に蝕んだ。
そしてその頃に、私は、今の夫、龍ヶ崎八郷と再会したのだった。

八郷は、私のピアノの先生だった。
先生と言っても、当時から日本を代表するピアニストだった彼は、
本当は私が教えてもらえるような相手ではなかった。
しかし、私の祖父が面識があったおかげで、
年に何度か、ピアノを見てもらったり、教室のイベントに参加させてもらったりしていた。
私よりも二十も上の八郷は、まったくの偶然の再会を喜び、
喫茶店で話を聞いたのち、数日して交際を申し込んできた。
あちらのほうも、配偶者を亡くして、娘との二人暮らしだった。
彼は忙しい生活の中で、自分をフォローしたり、家庭を守る役目の女が必要だったし、
私は、娘と自分の生活基盤を守ってくれる人が必要に思えた。
そして、かつての師弟は、再婚相手に互いを選んだ。

66:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/11/07 23:34:50 mJ7zga9y
ベッドに横たわったまま、ぼんやりと手を動かす。
何を掴もうとするわけでもなく、
だが、その手が、放り出したままのバッグに触れ、
その中に入り込み、―小さなビニールの包みを探り当てる。
無意識にそれを取り出し、私は眉をしかめた。
毎日用意していて、昨日も使わなかったもの。
コンドーム。
八郷とは、昨晩、一緒に寝た。
このホテル、このベッドで。
性交渉、いわゆる<夫婦の営み>というものもした。
私を裸にして長い愛撫。
ピアニストの繊細な指先は、高校生の娘を持つ年増女の熟れきった身体を何度も絶頂に導いた。
クンニリングスもされた。
丁寧で執拗な舌は、二番目の妻を喜ばせるべく、
女性器やアヌスの中にさえも入り込み、女体を悶えさせた。
私は何度も達した。
前夫、つまり綾子の父親とのセックスでは経験のなかったことだ。
そして、その何度も女の絶頂に導かれる感覚は、私に疲労と絶望とを与えた。
八郷のセックスは、ペニスの挿入と、射精と、そして愛がなかった。

龍ヶ崎八郷。
今の私の夫が、この再婚を自分から望んだのではない事を、わたしはすぐに察した。
天才ピアニストには妻が必要だったし、娘の母親も必要だった。
だが、それは別に私でなくてもいい。
それなのに、何のとりえもない、三十後半の女を再婚相手に選んだのは、
私が、彼の最愛の妻、龍ヶ崎美浦(りゅうがさき・みほ)に、私が似ていたからに過ぎない。
綾子と、彩は似ている。
それは、母親同士が、よく似ていたから。
そしてそれは、二人を親の再婚という形で引き合わせ、互いを憎悪させた。
それは、八郷と私の罪だ。

67:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/11/07 23:35:31 mJ7zga9y
美浦とは、子供の頃から何度も会ったことがある。
その頃から、すでに日本屈指のピアニストであった八郷は、
私のように年に何度か教わるだけのお義理の弟子のほかに、
日常的に指導している直弟子が何人もいた。
その愛弟子の中でも、秘蔵っ子中の秘蔵っ子こそ、美浦だった。
美浦は、私より数年年下のその少女は、本当の天才だった。
あえて言うのならば、今の龍ヶ崎彩以上の。
彼女の才能は、あるいは八郷自身さえも凌ぐものがあったのかも知れない。
八郷は、彼女を溺愛し、そして、そのうち二人は男女としても愛し合うようになった。
二十も違う、親子ほどの年の差も、当時は、
三十代後半の日の出の勢いのピアニストと、二十歳前の実績のない少女のこと、
誰もがその結婚を祝福した。
「本格的なデビューは、子育てがひと段落してからになっちゃったわ」
結婚してすぐに妊娠した彼女は、龍ヶ崎門下生の同窓パーティで、そう言った。
その一言を、私は、傲慢とも思わなかった。
彼女の才能と努力は、多くの天才にとって致命的になるだろう数年のブランクを以ってしても
色あせさせることが出来ないものに思えたから。
すでに結婚し、前年、綾子を産んでいた私は、素直に彼女を祝福した。
こんな運命が待ち受けているなんて、
その時、自分なりの幸福に浸っていた私には想像もつかなかったから。
だが、運命は、私を、彼女の後釜へと導いた。
中身のない、後釜へ。
「―美穂さんと美和ちゃんって、似てるね」
それは、同門の一同が抱いていた感想だった。
私たちは、顔立ちも似ていたし、体型や雰囲気まで似ていた。
決定的に違ったのは、中身─ピアノの才能。
アルバイトレベルのピアノ講師がせいぜいの私と、まぎれもなく日本一の天才。
だが、その天才を失った師にして夫たる人物は、その偽者を欲した。
龍ヶ崎美和。
再婚すれば、名前さえも、一字ちがいになる女を。

68:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/11/07 23:36:12 mJ7zga9y
八郷は、美浦という支えを失い、
私は、夫という支えを失った。
互いは、互いを、偽者と知りつつ求めあい、
結婚と言う過ちを選んでしまった。
それが、自分の娘にどれだけの地獄を与えたのか、私たちはすぐに思い知った。
綾子は、彩を憎んでいる。
彩は、綾子を憎んでいる。
互いの親が、互いの親を奪ってしまったから。
そして、皮肉なことに、その親同士は、そこまでして手に入れたものから
何の幸せも掴むことができないでいた。

八郷が、私と普通のセックスをしなくなったのは、彩にそれを見られたから。
再婚当初、八郷は私を抱いた。
五十を半ば過ぎているとはいえ、若々しく体力もある男は、精力に満ち溢れていた。
その年齢の夫婦にしては、なかなか盛んだったセックスは、
しかし、ある日、彩が夫婦の寝室の前で泣いていたことに八郷が気がついたときに終わりを告げた。
以来、彼は、私を指と舌とで愛撫はしても、性器同士の交わりはしなくなった。
あるいは、それは、彼なりの<妻>への気の使い方であるのかも知れない。
だが、それは私にとって苦痛以外の何者でもなかった。
セックスは、もともと好きでも嫌いでもない。
綾子の父親は、それほど好色でもなかったが、淡白でもなかった。
小学生の娘を持つ夫婦は、子どもに影響がないように気をつけながら、
ごく一般的な頻度で交わった。
前夫は、八郷のような繊細な指先とテクニックを持っているわけではなかったが、
それは、私にとっては、むしろ相性がよかった。
私の身体はどうも感じすぎる体質のようで、
不幸なことに、それを楽しみ尽くすほどの体力は備わっていなかった。
「お前は、男で言うなら、早漏だな」
前夫はそう言って笑ったが、その当人も私の中に入ってからは数分も持たないで射精する似た物夫婦だった。
そして、一晩で十分もかからないセックスは、私にとって一番安心で楽しめるものだった。

69:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/11/07 23:36:53 mJ7zga9y
唇へのキス。
首筋へのキス。
どこのハウツー本で覚えたのか、耳に息を吹きこむ。
それから胸を揉み、乳首を吸う。
指で、私の女性器をなぞり、何度か指を出し入れして濡れ始めた事を確認する。
気が向けば、二分か三分か、クンニリングス。
同じくらいの頻度で、やはり二分か三分のフェラチオをせがむ。
それから、ペニスを挿入する。
体位は、正常位がほとんど。
たまに私に隠れてみていたアダルトビデオに興奮するのか、後背位を。
騎乗位は、私が下手なのと、互いの骨格や肉付きの相性のせいか、気持ちよくない。
その他の体位は、試したことがなかった。
射精までは、五分もかからない。
普段はコンドームを。
安全日には、二人の気分によって膣内射精を。
隣の部屋で寝ている娘に気付かれる間もなく終わる、短い営み。
だけど、私も、夫もそれで十分満足していた。
お互いの愛情は疑いもなく確認できたし、
互い以外の男や女を欲しがることも皆無。
私は、私と前夫は、それでよかった。
それで十分だった。
そして、二番目の夫、龍ヶ崎八郷は、それを理解してくれない人間だった。

「君を、もっと気持ちよくさせたい、愉しませたい」
私との初夜に、八郷はそう言った。
再婚同士だ。
処女と言うわけでもない私は、それに頷いて応えた。
しかし、八郷の愛撫は、私の想像を超えて巧みだった。
それを悦ぶ女は多いだろう。
龍ヶ崎美浦は、きっと全身でそれに応え、夫にしがみついたにちがいない。

70:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/11/07 23:37:33 mJ7zga9y
だが、私は、八郷たちに比べれば、ほんのねんねのセックスで満足する女は、
その丁寧で執拗な技巧に戸惑い、身体がついていけないことを感じた。
美浦は、一晩に何十回も自分を絶頂に導く夫を喜んだろうし、
夫の前で快感のあまりに失禁することも厭わなかっただろう。
私の前夫の倍もある大きさのペニスを嬉々として受け入れただろうし、
生理の日でさえ欠かさずに毎晩自分を求めることを、夫の愛情の証と信じて疑わなかっただろう。
だが、私には、無理だった。
私は、夫がいくときに一緒に一回いければ満足だったし、
ドライブ先の山などで用を足すところを見張ってもらうのは大丈夫でも、
セックス中にベッドの上で失禁するのは嫌悪感がある女だった。
ごく標準的な大きさだという、前夫のペニスが性に合ったし、
生理の前後や、娘がぐずかる夜は、ごく自然にセックスを我慢してくれる男(ひと)に感謝の念を抱いた。
それでも。
それでも、八郷が、性器のつながりと射精で終わる普通のセックスを続けていたのなら、
これほどまでの嫌悪感は持たないで済んだのかもしれない。
だが。
義理の娘、彩が泣いた次の日から、八郷は、私を愛撫だけになった。
その理由もいわず。
娘が拒むから、<妻>としては扱えない。
それでも、<夫>の義務として、満足はさせる。
指と舌は、そう言っていた。
そして、私は、私が望まぬやり方で、何度も絶頂に導かれる。
昨晩のように。

「んくっ……」
いつの間にか、私は、ショーツの中に手を差し入れていた。
綾子の父親と結婚していたときは、三十を過ぎた既婚女が自慰などするとは思っても見なかった。
ましてや、どんな形でも一晩に十回以上も達している女が。
だが、事実は逆で、私の自慰は、八郷が私とセックスをしなくなってから激しくなった。
皮肉なことに、技巧に慣れた身体は、自慰の指先も巧みになる。

71:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/11/07 23:38:14 mJ7zga9y
私は、自分の性器の隅々までをまさぐった。
八郷がそうするように。
そして、何度か細かい絶頂を味わった後に、最後に大きな波を迎えて仰け反った。
「……さんっ……!」
最後の瞬間に、唇から漏れた名は現在の夫の名前ではなく、
その時、脳裏に浮かんだ、精液を噴き出したペニスも八郷のものではなかった。
それが、今の私に出来る精一杯の復讐だった。

「……」
自己嫌悪に身を焦がしながら、私はのろのろと起き上がった。
女の粘液に汚れた指が、何かに触る。
昨日発売の、写真週刊誌。
<娘>が載っている。
龍ヶ崎一家の写真も。
今着ているのとは、また違う、だけど同じくらい値の張るスーツを着て、
髪型も、メイクもプロにきっちり仕上げてもらった<母親>も写っている。
でも、それは、誰なんだろう。
龍ヶ崎美和?
龍ヶ崎美浦?
私は、それがわからなくなっていた。
鏡を見る。
美浦にも、彩にも、そしてもちろん綾子にも似ている顔が写っている。
でも、それは、その三人と違ってひどく疲れた年増女の顔をしていた。
「……」
不意に、鈍痛が襲い、私は唇をかみ締めた。
そういえば、そろそろ生理になる頃だった。
PMS(月経前症候群)。
ここ数年、私は、ずっとそれに悩まされていた。
たぶん、これも、八郷とのセックスのせいだろう。
私と八郷は、不幸なことに、とことん相性の悪い夫婦だった。

72:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/11/07 23:39:08 mJ7zga9y
「……」
痛みは少し治まった。
不快感を抑えながら、私は鏡をもう一度見た。
「……綾子……」
不意につぶやいた自分に動揺を覚える。
なぜ、実の娘の名前が唇から漏れのか、は、すぐにその理由に思い至った。
昨日の出掛けの、会話。

「機嫌いいわね、……お姉ちゃん」
ここ数週間、別人のようににこにことしている綾子に、私はとまどいながら声をかける。
腫れ物にさわるように。
「ん。そう、ね」
くすくすと笑いながら、綾子は<妹>のカバンの準備をしていた。
一ヶ月前なら、どんよりと濁った怨恨しか映さぬ瞳でしていたその作業を。
「……そう」
なんとなく気おされるものを感じながら私は返事にならない返事をした。
「……今週は、なんか生理もすっごく軽かったんだ」
私より少し早めに周期が来る娘は、確かに今月、そうしたところをまったく見せなかった。
「……」
不意に私は、息苦しくなった。
それが、一体何を意味するのかが、唐突に分かったような気がしたから。

上機嫌。
女性ホルモンの大量分泌と、安定。
なによりも、自信と幸福感に溢れた笑顔。

それが恋をし、その恋が順調に
─女としての肉体に影響を与えるほどの精神性を与えるほどに─
すすんでいる、ということが、女親の目にははっきりとわかったから。

73:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/11/07 23:40:11 mJ7zga9y
チェックアウトを済ませて、ホテルを出る。
特急のチケットを買って乗り込む。
グリーン車。
私は、こんな贅沢をしたかったのだろうか。
ただ、パートでは娘を満足に育てられない、と思っていただけのはずなのに。
二時間弱の移動。
地元駅に戻ったときは、もう夕方だった。
なんとなく、すぐ家に帰る気がせず、行き付けの美容院に寄る。
少し乱れた髪を整えてもらう。
店を出るときは、もう夜になっていた。
携帯で、家に電話をする。
誰も出なかった。
なんとなく胸騒ぎを覚えた。
タクシーを拾って、家に戻る。
玄関の扉を開けた。

─とたんに、金切り声が聞こえた。
キッチンのほうで。

「―このっ! 人殺しっ!!」
「あんたの大切なものなんか、何度だってそうしてやるわよっ!!」

飛び込んだ私が見たのは、―ののしりあいながら床の上で掴み合いをしている二人の娘の姿だった。


ここまで


74:名無しさん@ピンキー
07/11/07 23:43:50 HHwHcXJk
GJ

75:名無しさん@ピンキー
07/11/07 23:51:10 /KZIQoGk
GJ
>>64がいないと生きていけないの

76:名無しさん@ピンキー
07/11/07 23:55:36 XCXviUI2
私もゲーパロくんがいないと生きていけないのッ。
というか、えらい所で切られた!!! もしかして新治殺された!?

77:名無しさん@ピンキー
07/11/08 00:37:50 MKtOU7jZ
またきてくれるって信じてたよぉ・・・

78:名無しさん@ピンキー
07/11/08 01:35:25 Jht0EMW7
人殺し?!
おいおい、まさか新治が・・・
新治と綾子のカップル好きだったのに・・このやろぅ・・

79:名無しさん@ピンキー
07/11/08 01:54:39 jO7xPVVG
乙であります


…ってシンジきゅん終了のお知らせ!?
もしそうならオワタ\(^o^)/

80:名無しさん@ピンキー
07/11/08 04:26:29 qo6rGvrZ
>>76
まあ待て。本当に殺してたら逮捕されてるだろう。多分大怪我負わせたくらいだよまだ。

81:名無しさん@ピンキー
07/11/08 05:47:51 l96WhZkB
超GJ!!
まあ、本当に殺してたら、親の所にも連絡言って、妹の立場なら対処に大騒ぎになってるわな。
……てか大怪我でも騒ぎになってる筈、未遂にしてもどの程度なのかが問題だ。
いや、母親の独白読んでる間は、姉妹丼だけでなくすわ母娘丼フラグも、なんて読んでたらこの急展開は驚いた。

82:名無しさん@ピンキー
07/11/08 07:46:07 6ayCTFLg
実際、全員に急所がある以上はハーレムENDはありかと

にしてもここで切るとは憎いぜ(依存的な意味で)

83:名無しさん@ピンキー
07/11/08 07:55:56 d1fihshQ
新治くん、大変な状況にはなってそうではあるな
それでも新治くんなら・・・新治くんならきっと何とかしてくれる
つハーレム和解エンド
あの女の気持ちを読む能力はきっとその為のもの
そして新治くんの方も過去の代償的にその状況に依存

84:名無しさん@ピンキー
07/11/08 10:44:46 a0bNegaT
姉も妹も独占欲が強そうだからな。
ヘタにハーレムENDを目指すと、Nice Boat.な展開になりそうだ

85:名無しさん@ピンキー
07/11/08 12:41:26 U0d6zXPt
こんな所で止めるなんてドSにも程があるぜ!
とにかくGJ!

86:名無しさん@ピンキー
07/11/08 14:18:23 aqO1G2xB
前スレの最後のほう見逃した所為でなにがなんだかわかんなくなった

87:名無しさん@ピンキー
07/11/08 20:04:32 GzI096Y7
あ゛あ゛あ゛あ゛、妹ウゼェ。
和解しようとハーレムEDになろうと妹はイラネって思うのは俺だけ?


>>86
URLリンク(www.23ch.info)

88:名無しさん@ピンキー
07/11/08 22:39:56 GkVLEGkD
>>87うぉ( ̄□ ̄;)!!?

有り難くいただきます

89:名無しさん@ピンキー
07/11/08 22:43:19 Jht0EMW7
俺も綾子と新治の二人っきりENDでいい
妹に何もかも奪われたんだから恋ぐらいお姉ちゃんに独占させてあげたい
隠し撮り動画を新冶に渡したとき、俺の綾子の好感度メーターはMAXになった

90:名無しさん@ピンキー
07/11/08 23:51:43 2wxMY/gb
個人的には絶妙の精神的バランスで成り立った依存ハーレムと言うのは展開的に面白そうだと思う。

91:名無しさん@ピンキー
07/11/09 00:08:30 RQ+QG0hA
せっかく綾子と新治で、完璧な共依存関係が成立する下地が整っているんだから、
このまま二人の世界が完成するのを見てみたいよ。


92:名無しさん@ピンキー
07/11/09 00:12:10 lrMzIZrR
みんな、もちついて続編を待とうぜ

93:名無しさん@ピンキー
07/11/09 00:34:45 rjqh+ko4
ハッピーエンド希望!
バッドエンドでも、まあそんなにひどくないもんがいいなあ

とにかく、ゲーパロ氏GJ!

94:名無しさん@ピンキー
07/11/09 01:32:27 6aVIBapZ
まあまて、とりあえず座ってテカテカしながら待とうぜ!

95:名無しさん@ピンキー
07/11/09 04:18:20 CF7I+qmS
お前ら、そこにせーざ!せーざ!



俺は胡座かいてwktk

96:名無しさん@ピンキー
07/11/09 16:39:36 mVK9y/+9
やはり一筋縄でいかないのがいいよな。個人的には泥沼路線大歓迎。
まあ、ハッピーだろうがバッドだろうが、引きの上手さは変わらんね。

97:名無しさん@ピンキー
07/11/10 16:45:05 rQiVWE+l
お前等ハードル上げすぎww
あまりハードルを高くしたら、投下できなくなるぞ?ここは黙って投下を待とうぜ!

98:名無しさん@ピンキー
07/11/10 17:27:58 tuyhbO92
ハードルが高すぎるならくぐればいいのさ

               ―車田正美

99:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/11/12 23:08:22 lzZ1ZIxC
<私が私でいられる時>・8

ガラス越しに見る街の雑踏は、見慣れたものとは違う雰囲気に思えた。
それは、曇り空のせいだったからかも知れないし、
店内に流れる洋楽のせいかも知れなかった。
カン・ナム・エクスプレス・カフェ。
カナダ人とアメリカ人の二人が作り上げて日本にも進出したカフェは、
私の密かなお気に入りだ。
あまり来ることができないけど。
テレビ局や、雑誌のインタビュアーには、先入観があるらしい。
取材は、駅の反対側にある英国風喫茶店ブリティッシュ・ブルドック・カフェでされることが多かった。
紳士と淑女の国から来た本格的なカフェで、気品溢れる紅茶の一時。
―それが、龍ヶ崎彩のお茶の時間に思えるらしい。
でも、私は、こっちの、紙コップに入ったコーヒーも嫌いではない。
このカフェは、全面禁煙ではないというところも。
私自身は、もちろん煙草は吸わない。
吸わないけど、煙草の匂いはそんなに嫌いではない。
特に、服に着いた程度の残り香なら。
それは、パパの匂い。
広い広い背中の、スーツの匂い。
ほっとする、匂い。
私は、それを嗅ぎに、この店に来る。
普段と違う服を来て、普段と違う髪型にして、色の薄いサングラスまでかけて。
やりすぎかな、と思わなくもない。
でも、こないだは、写真週刊誌にほとんど隠し撮りに近い写真を取られた。
体育祭の、スパッツ姿。
さすがにそれは世間さまから叩かれて、出版社はおわびをしたけど、
私の生活は、私の自由になるものではなくなっていた。
そして、週刊誌も、テレビも、みんなも、龍ヶ崎彩と言えば、
英国風カフェに行くもの、と思いたがるだろう。

100:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/11/12 23:08:53 lzZ1ZIxC
「……」
時計を見る。
17:00。
デートは、すっぽかされたらしい。
私は、ため息をついた。
不思議と、あの男の子に怒りは沸いてこなかった。
あの日、自分の家の前で立ち尽くしていた男の子は、<姉>の恋人。
ボーイフレンドというような軽い関係でないことは、一目見ただけで分かった。
彼女の人生を、丸ごと変えてしまうような、関係。
この一ヶ月、いいえ、三週間? くらい前から、私の<姉>は変わった。
私の住む家に怯え、悩み、恨む。
私と言う存在が心の半分を覆い、それがどうしようもないくらいそれが苦しくて、憎む。
そんな娘が、突然堂々と振舞い、艶やかに笑い、そして私を見なくなった。
私が、目の前に立てば、彼女は前と同じく挑戦的な瞳で睨みつけてくるが、
そうでなければ、前のようにわざわざ探し出してまで睨むことはなくなった。
この間は、どこかの児童施設でピアノを弾いていたらしいことを、クラスメイトから聞いた。
私に全然関係のないところでピアノをまた始めたということだ。
異変。私はそれを敏感に察知した。
<姉>が私を見ずにはいられないように、私も<姉>を見ずにはいられない。
二人は、互いを、互いの傷口のように思っていた。
痛みと苦しさの源。
だから、触らずにはいられない、確かめずにはいられない。
醜い傷がそこにあるということを、確認せずにはいられない。
龍ヶ崎彩と、石岡綾子。
両親の再婚で双方が望まぬのに<姉妹>になってしまった二人は、
互いが互いを、心の傷として認識していた。
だけど、石岡綾子は、私の傷口であることを止めようとしていた。
突然に。
唐突に。
そして、私は、その事実に、戸惑っていた。

101:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/11/12 23:09:23 lzZ1ZIxC
(オネエチャンがいると、私は私でいられない)
それは、ひとつ年上の<姉>ができた日に思ったことだった。
理由は、はっきりしていた。
彼女と、彼女の<母親>が、パパを取ったから。
ママが死んでから、私一人だけを見つめてくれていたパパが、
突然、他の人のことも見るようになってしまったから。
そして、その女が、ママに似ていたから。
そして、その娘が、私に似ていたから。
それは、私の心をかき乱した。
(―どうして、なぜ?)
疑問は、その答えを知っていたからこそ消えなかった。

パパには、ママが必要だった。
パパにとって、世界中で一番必要なのはママ。
でも、それは、別に変なことじゃない。
パパは、男と女としてはママが一番だけど、こどもとして、私は別格。
ママは、男と女としてはパパが一番だけど、こどもとして、私は別格。
毎日キスをして、毎日いちゃいちゃする両親は、
産まれたときから見慣れていれば、別に気にはならない。
もちろん、こどもだから、時には二人の仲に嫉妬したりすることもあったけど、
こどもにとっては、両親が不仲よりもずっとずっと好ましい。
父親と母親の仲が良く、互いに愛し合っていること。
それは、そこから産まれた自分が無条件で愛されることの下地になる。
こどもは、家庭で育つ。
小さなときは、世界の全てがそこにあった。
幼稚園に行き、小学校に通うようになって少しずつ世界が広がっても、
その中心は、父親と母親と自分が生活する家庭だ。
だから、家庭と言う基盤が揺るぎないもの、と疑いもなく信じられるこどもは、
とても幸せだった。
とてもとても、幸せだった。

102:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/11/12 23:09:54 lzZ1ZIxC
だから、パパが再婚したとき、私は、私の世界が崩れてしまったように思った。
本当に崩れてしまったのかもしれない。
パパがいて、ママがいて、私がいて、
一生懸命にピアノを習って、ママが誉めてくれて、パパが誉めてくれて。
……私は、そんな私でいられなくなった。
ママに良く似た名前の、ママに良く似た感じの女の人は、ママじゃない。
その女の人と一緒にいるパパは、私のパパなのだろうか。
わからない。
わかっているけど、わかりたくない。
パパが、ママと一緒に寝ていた寝室で、その女の人とセックスしていた。
白くて大きなお尻。太腿、胸。
私の何倍もボリュームのある、熟れた女体。
ママのような裸の女の人の上にのしかかり、夢中でそれを貪るのは、
私の大好きなパパだった。
父親が、母親以外の女の前で男になる。
それは、私にとって何よりもショックだった。
パパが、ママの前で男の人でいるのはいい。
ママが、パパの前で女の人でいることを望んでいたから。
パパが、ママとセックスするのは全然構わなかった。
でも。
パパが、ママ以外の人とそれをするのは、私にとって
吐き気がするくらいに嫌悪感のあるものだった。
そして、私は、昔の私でいられなくなった。
義母になった人をののしった。
義姉になった人をののしった。
意地悪をした。
傷つけた。
追い出そうとした。
優しい、いい子でいられなくなった。
ママが可愛がってくれた、優しい、いい子でいられなくなった。

103:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/11/12 23:10:25 lzZ1ZIxC
「彩ちゃんは、いい子ね。ママはとっても嬉しいわ」
ママは、いつもそう言って私のことを誉めてくれた。
頭を撫でながら。
家の中―こどもにとって世界の半分以上の存在─で、「そういう子」でいられるということは、
そのこどもの中身が本当に「優しい、いい子」ということだ。
そして、ママのいない家の中で、「そういう子」でいられなくなった私は、
中身が「優しい、いい子」でなくなってしまったのだ。
きっと。
「オネエチャン」に嫌味を言うたび、意地悪をするたびに、私は私でいられなくなる。
ママが頭を撫でてくれた、いい子の彩ちゃんが、どんどんなくなっていく。
それを、止められない。
「オネエチャン」を見るたびに。
長い髪。上品な雰囲気。優しい笑顔。
一つ年上の女の子が持っていたのは、私が持っていたはずの「優しい、いい子」だった。
だから、私は─。

「……」
ずずっ、という音にびっくりして私は我に返った。
ストローが、紙コップの底を吸ってしまった音。
ミルクとシロップをたっぷりと入れたアイスコーヒーは、いつの間にかなくなっていた。
ぼうっとしていたのだろう、それに気がつかなかった。
まわりの人が笑ってないだろうか、と恐る恐る見渡す。
誰も私のほうを見ていない。
ほっとため息をついて、私は立ち上がった。
帰ろう。
いつの間にか、あたりは暗くなっていた。
時計は、20:00を過ぎていた。
4時間も、ここに居たことになる。
(帰ろう)
私は立ち上がった。

104:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/11/12 23:10:55 lzZ1ZIxC
振られたことは、新鮮だった。
男の子には興味がなかったけど、<姉>の恋人は、
ほとんど反射的に誘惑をした自分よりも、<姉>を選んだ。
それが、不思議と嬉しかった。
「……オネエチャン」
言葉にして、心の中の傷に、そっと触れる。
痛い。
だけど、我慢できなくはない、と思う。
少なくとも、<姉>は、私という傷以外のものに目を向け始めた。
それは、良いことなのだろと思う。
冷静に考えれば。
「優しい、いい子にならなきゃ」
不意に出たつぶやきは、私を驚かせた。
「……そうね」
自分で自分に答える。
帰ったら、―祝福してあげよう。
<姉>とあの男の子との恋は、きっと素敵なものなのだから。
ママが生きていたら、きっと微笑むような。
だから、私は、それを祝福してあげたい。
昔の「優しい、いい子」だった私だったら、きっとそうしたから。
「……いいお休みだったかも」
学校から帰ってから何もなかった4時間。
その何もない、カフェでコーヒーを二杯飲んでぼうっとしたことの贅沢。
ちょっと穏やかな気持ちになれた時間だけで、私はとても満足だった。
<姉>に対する気持ちが、何か、変われるきっかけになったような気がするから。

─でも、やっぱり駄目だった。
家に帰ったとき、私は、やっぱり私でいられなかった。

105:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/11/12 23:12:09 lzZ1ZIxC
「―お帰りなさい。今、卵サンド作ってるけど、食べる?」
帰宅したとき、姉はキッチンで言葉どおりのことをしていた。
卵のサンドウィッチは、私の大好物だった。
好き嫌いは多いというつもりはないけど、食欲がなかったり、
コンクール前の緊張したときは、それしか喉を通らなかったりする。
<姉>は、何度もそれを作らされていて、
実際、料理上手の彼女が作る物は絶品だった。
ママが作ったもののように。
私は、ちょっと息を止めて心の中で十数えた。
<姉>の作ったサンドウィッチが、ママの味がするのは、
彼女が私の思い出に挑戦しているわけではない。
私が、味の好みにうるさく注文と駄目出しをしたから、
必然的にママが作ったものにそっくりになったからで、つまりは、私の為したことだた。
そして、私は、いつもそのことさえ気に入らなくて<姉>を怒鳴りつけていた。
優しい、いい子じゃなかった。
十、数え終えた。
言わなきゃならないことは、わかっていた。
「……ありがと。夕御飯、食べてなかったの。ありがたくいただくわ」
はじめて言ったかもしれないお礼の言葉に、<姉>が驚いたように振り向いた。
私は、思わずそっぽを向いた。
でも、耐え切れなくて、ちらりと上目遣いで相手を窺った。
しばらくして<姉>は、小さく微笑んだ。
優しい、穏やかな笑顔で。
誰かから愛されているから、世界中を愛したいと思っている人の優しさで。
誰かから優しくされているから、世界中に優しくなれる人の穏やかさで。
「―ん。ちょっと待っていてね。もうすぐ卵が茹で上がるから」
「うん……」
私は、まぶしい物を見るように<姉>のことを眺め、テーブルに着いた。
てきぱきと動く<姉>の後姿をぼんやりと見つめ、何か声をかけようとした。

106:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/11/12 23:12:40 lzZ1ZIxC
「……オネエチャン……」
「何?」
「……なんでもない」
<姉>は何も言わなかった。
何も言わないことで、彼女が恋人と充実した時間を過ごしたことはわかった。
私が衝動的にあの男の子のことを誘惑したことさえも、
今の<姉>にとってはささいな出来事なのだろう。
(ごめんなさい、って言わなきゃ)
ありがとう、が言えたのだから、それも言えそうな気がした。
でも勇気がちょっと足りなかった。
もう一度心の中で十を数える。
うん、きっと大丈夫。
<姉>は、絶対に許してくれる。
それには確信に近いものがあった。
あ、謝るときは、椅子に座ってちゃ駄目だ。
立たなきゃ。
そう思って私はテーブルの上に手をかけて─それに気がついた。

なんだろう。
何かを包(くる)んだティッシュの包み。
無意識のようにそれに手を伸ばしたのは、好奇心と言うよりも、
<姉>に謝るという、はじめての行為に戸惑い、
それをほんの数秒でもいいから後回しにしたいと思ったからだろう。
臆病な心が、その包みを開けさせ、―そしてもっと自分を傷つけた。
「な……に、これ……」
それを目にしたとき、私は、思わず声をあげていた。
薄いピンク色のそれは、見たこともある
用途も、知識として知っている。
使用済みコンドーム。
私は、悲鳴を上げた。

107:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/11/12 23:13:10 lzZ1ZIxC
避妊具。
男性が精液を女性の膣内に射精しないために使う。
あの日、パパの寝室のごみ箱に入っていたもの。
パパが義母とのセックスで使っていたもの。
義母の女性器に入っていたパパが、
性欲を満たしても子どもは作りたくないので使ったもの。
成熟した男女が、性愛を楽しむための道具。
じゃあ、このゴムの中に入っている大量の粘液は……。
どろりとした、ゼリーみたいな白濁の汁は……。
─男の人の、あれ、だ。
精子、精液、ザーメン。
<姉>とセックスした、あの男の子の、あれ、だ。
それが四つも。
私は呼吸さえ忘れて絶句した。
「なぁに、どうしたの、アヤチャン?」
<姉>が振り向いた。
穏やかな笑顔で。
成熟した女の顔で。
セックスに満足しきった女の顔で。
義母に良く似た、私のママに良く似たその顔を見たとき、私は金切り声を上げた。
「あ……それは……」
驚いたような表情で何か言いかけた<姉>に、私は我を忘れた。
<姉>に謝ろうとした私を。
<姉>と仲直りしようとした私を。
優しい、いい子の私を。
「このっ! 変態っ!! 色キチガイっ!!!」
私は、コンドームを掴んで投げつけた。
怒りのあまり、叩きつけるような感じになったそれは、
狙った<姉>の顔へではなく、キッチンコンロの上に落ちた。

108:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/11/12 23:13:41 lzZ1ZIxC
「あっ!!」
<姉>が狼狽しきった声を上げた。
避妊具は、サンドウィッチ用の卵を茹でている鍋の中に落ちた。
ぐらぐらと煮立つ、お湯の中に。
「あああっ!!」
<姉>の悲鳴は、切羽詰っていた。
まるで、愛する人が傷つけられたかのように。
いや。
しぶきが撒き散らされるのも構わず、鍋を掴んで流しの中にぶちまけた<姉>は、
大切な人が重症を負ったときの必死さを持っていた。
もうもうたる湯気の中、私は、呆然と突っ立っていた。
水道の栓がひねられ、鍋の中身に冷水がかかる。
湯気が収まるまでの数十秒、いや一分ほどの間、私は何をしていたのだろう。
気がついたとき、<姉>が目の前にいた。
鬼のような─と言ったら、鬼が怯えるだろう─表情で。
「……死んじゃったっ!!」
「……え?」
「新治君の、精子、死んじゃった!!」
姉の手のひらの上でくたくたになっているコンドームの中身、
透けて見えるそれは、先ほどとはまた違った白濁色に染まっていた。
卵の白身が、熱を加えられて白く固まるように。
それは、好物の卵サンドのイメージと重なり、私は強烈な吐き気を催した。
だが、<姉>にとって、恋人の精液は、とても大事なものなのだろう。
「―このっ! 人殺しっ!!」
そんなことを口走ってしまうくらいに。
私は、世界がグルグルと回るのを感じた。
ふらつく足を踏みしめ、吐き気を押さえながら、私は必死でそれに抵抗した。
「そうしてやるわよっ! ……あんたの大切なものなんか、何度だってそうしてやるわよっ!!」
<姉>が身体ごとぶつかり、私たちは床に転がって互いをののしりながら掴みあった。
義母が帰ってきて、叫び声を上げて二人を分けるまで、それは激しく続いた。

109:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/11/12 23:14:12 lzZ1ZIxC
「……」
一時間後、私は、自分の部屋の闇の中で、こみあげる吐き気と自己嫌悪と戦っていた。
義母が私と姉を引き離したが、彼女自身、動転しきっていて、
キッチンの中は、めちゃくちゃだった。
(人殺シッ!)
<姉>の憎しみの塊のようなことばが、耳を打つ。
(シンジ君ノ、精子)
生々しい性的な単語も。
私は、暗闇の中で、暴れた。
どちらも、聞きたくもない単語だった。
私、龍ヶ崎彩が、耳にすべきことばではない。
それを、投げつけてきた<姉>に、私は限りない憎悪を抱いた。
そんな自分そのものさえ、嫌だった。
嫌で嫌で仕方なくて、私は、それをもたらした相手に復讐をしなくてはならなかった。
……復讐?
どうすれば、いいのだろう。
(……アンタノ大切ナモノナンカ、何度ダッテソウシテヤルワヨッ!)
耳の奥に、自分自身の声が響く。
そうか。
そうすれば、いいんだ。
あの子の大切な物は、なんだろう。
二つ、思い浮かんだ。
どちらも、壊してやるには……?
枕元をまさぐって、携帯電話を手に取る。かける先は、私のクラスメイト。
「……もしもし、○○ちゃん? 私、彩。……ええ、こんばんは。
あのね、貴女って、ほら、児童施設のボランティアに行ってるでしょ?
そうそう、私のオネエチャンも最近行きはじめてる。……あれ、来週私も行ってもいいかな?
うん……みんなに、ピアノ、弾いてあげたいんだ。……そう、じゃ、お願いね」
電話を切る。
私は、唇に微笑が浮かぶのを覚えた。
闇の中にいるためにそれを見られないことを、私は感謝した。
自分でも、今私の浮かべているそれが邪悪なものだとわかっていたから。


ここまで

110:名無しさん@ピンキー
07/11/12 23:31:45 t+dVfaxF
GJ!!
人殺しってこういうことでしたか、上手い。
しかし彩の内面が生々しく描写され、妹さんの攻略無くしてのENDは無さそうな状況ですね。
まあ、新治に完全に依存の基盤がある綾子にピアノの方は通用しないでしょうが。
あと新治の方に来たら新治は読めるだろうから、そこからどうやって自己を守る為に必死に彩を懐柔するか期待。
まあ、彩の欠陥部分は性に対する嫌悪感だよなー。

111:名無しさん@ピンキー
07/11/12 23:32:37 l0mtGfkJ
ゲーパロさんGod Job!

112:名無しさん@ピンキー
07/11/12 23:35:28 TrK+FcvK
GJ!
氏ね!と思っていた妹に情が移ってしまった。どうしよう

113:名無しさん@ピンキー
07/11/12 23:42:34 vH9aPxXn
GJ!
両方ともいいかんじに病んでますな。

114:名無しさん@ピンキー
07/11/12 23:55:08 fgnwTB87
GJ。
しかし、俺は楓みたいに恋愛感情以外の原因で八つ当たり的に
善人を攻撃するような自己中には怒りしか沸いてこないな。


115:名無しさん@ピンキー
07/11/13 00:43:49 d0xrC6ZL
>>ゲーパロ専用
GJ!!
妹はツンデレだったのか…デレフラグがあっさり折られたが

116:名無しさん@ピンキー
07/11/13 00:58:47 bKRwOI/+
やばい、おもしろい。けど・・・
シンジ君、頼むから円満に収めてくれー

117:名無しさん@ピンキー
07/11/13 01:55:04 9q+NVhst
綾ちゃんは精子をどうするつもりだったんですか・・・

118:名無しさん@ピンキー
07/11/13 02:18:42 LN2Y5iMk
>>117
そりゃおまえ・・・・・・





野暮なコトは聞くなよ。

119:名無しさん@ピンキー
07/11/13 08:14:24 7mIJqMD1
ゲーパロ氏GJ

120:名無しさん@ピンキー
07/11/13 23:10:42 RbpEEK6U
超GJ!!
次は父親視点が読んでみたいなー
特に綾子のことをどう思ってるのか気になる

121:名無しさん@ピンキー
07/11/14 00:59:54 2gqp161k
GJ!
もう妹はいいよ・・また姉の幸せを奪おうとしてるし・・
新治と綾子が二人っきりで幸せになればいい

122:名無しさん@ピンキー
07/11/14 01:46:40 bhLaxRwA
しかし、妹が慰問に行ってもレパートリーの問題で「綾子お姉ちゃんのほうがいいー」とか言われたりしてw
結構衝動と勢いだけで動く傾向があるから何の下準備もしないだろうし、ガキに高尚なクラシックなんぞわかる訳がねえ。

123:名無しさん@ピンキー
07/11/14 02:03:58 GETuMojL
おいおいさすがに今回のに関しては姉の方にも問題あると言わざるをえないだろうw
正直食事になるはずの場面で精子を、とか想像したらw
そこからいきなり極端に走るのが問題なんであってw
きちんとそれぞれの問題点を描写していってるあたり最後は病んでいても完全ハッピーエンド期待できそうなのが良いんだがw
まあこの物語で最後に試されるのは新治君の甲斐性だなw

124:名無しさん@ピンキー
07/11/14 02:54:42 ysfIESvv
今のシンジのヘタレっぷりを見るに、シンクロ率400パーセント超えクラスの確変が要求されるな

頑張れ、超頑張れ

125:名無しさん@ピンキー
07/11/14 04:11:32 Z0ARIsLW
修羅場キタ

126:名無しさん@ピンキー
07/11/14 09:03:16 b0n63pHT
DQN妹には死んでほしいが、ごめんなさいだけで済まされて
家族仲良しハッピーエンドになりそうだな。

127:名無しさん@ピンキー
07/11/14 09:16:36 0EmnSz8X
あや は しんじ に こころないことば をなげつけた!
あやこ をみかたにつけた しんじ にはこうかがないようだ…
しんじ は かいしょう をはつどうした!
あやこ は はつじょう した!
あや は つんでれ に なった!


しんじ はしょうりした!
しんじ は 5 かいしょうをてにいれた!
あやこ は せいしいりコンドーム をてにいれた!
あや は こいごころ をてにいれた!

128:名無しさん@ピンキー
07/11/15 03:07:52 f6frnvdZ
まあ、使用済みのゴムを大事に持ってたらひくよな。
妹の気持ちもわからんではない。
ちょっとDQN過ぎるけど。

129:名無しさん@ピンキー
07/11/15 03:54:35 4kQQTbUT
帰ってすぐ部屋に大事にしまっておいたら問題は起きなかった筈
食事するテーブルの上にそんなもの置いておいたのがちょっと・・・
まあここで和解してたとしても色々棚上げにした和解だった気がするけど
あとDQNは依存の必須条件だと

130:名無しさん@ピンキー
07/11/15 17:36:08 pGRtVTOC
>>122
あー確かに。なんで姉がガキ共にウケてるか理解してない気がする。
おもっくそクラシック弾いて「どう!?これが格の違いよ!」とかテンション上げて振り返ったら
ガキ共全員、爆睡してて妹涙目とかw

131:名無しさん@ピンキー
07/11/15 19:13:18 8n5cexxp
でもガキってミーハーだから「あの」あやちゃんが弾くってだけで
大うけだぜ、きっと

132:名無しさん@ピンキー
07/11/15 20:51:53 pGRtVTOC
大人の視点から考えればそうだろうけど、自分が子供のだった頃思い返してみるとさ
どう考えても世界的クラシック奏者なんかより、教育TVに出てる歌のお姉さん&お兄さんのが
子供にとってはヒーローなんだよな。

つまり妹がマジで姉潰したいなら、まずは子供向け番組を網羅する必要があるかと。

133:名無しさん@ピンキー
07/11/16 00:43:57 L7eOt0w5
おまいら少しは黙って待てないのか?

134:名無しさん@ピンキー
07/11/16 12:50:42 RFn65vKE
そんなこと言いながら全裸・正座で待ってる>>133はツンデレ

続きにwktk

135:名無しさん@ピンキー
07/11/16 23:49:23 L7eOt0w5
>>134
な、なぜわかった…
まさか監視されてる!?

136:名無しさん@ピンキー
07/11/16 23:57:44 Q43ClYd/
>>133
だってこのスレ書き手が他にいないしな。

137:名無しさん@ピンキー
07/11/17 00:28:33 rttXjTKh
YOU!書いちゃいなYO!

138:名無しさん@ピンキー
07/11/17 00:44:38 YoIcmtcs
とりあえずシンジくん本体は無事らしいな。
いまや龍ヶ崎家の命運は彼の双肩にかかってしまっているぞ。

139:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/11/18 20:57:20 RUBfyf+q
<私が私でいられる時>・9

私は、きっと、思いつめた顔をしていたのだろう。
いつもの坂を上がって行くとき、すれ違った子どもたちが怯えたような顔をした。
一瞬ひるみかけた心を、だけど私はどうにか立て直すことが出来た。
(新治君に会いたい)
その想いが何よりも強かったから。
それでも、新治君の家に着いたとき、私は玄関前で躊躇した。
躊躇は、罪悪感と後ろめたさで出来ていた。

昨日の夕方、私は世界を手に入れた女王のように幸福だった。
その数時間後、私は牢獄につながれた罪人のようにみじめになった。
きっかけは、<妹>との喧嘩。
外から帰ってきた<妹>と私は、最初、不思議な空気に包まれていた。
本来なら、顔を合わせた瞬間、取っ組み合っていてもおかしくなかった。
<妹>が、私への当てつけで新治君に言い寄ったのを私は知っていたし、
新治君が家にいることを選択することで、<妹>が振られたということも事実だった。
龍ヶ崎彩。
誰もが知っている天才美少女が、そのことに対してどれだけの屈辱を感じたのだろうか。
新治君の家からの帰り道、私の頭をちらっ、とそのことが掠めた。
ちらっ、と。
ほんのちょこっと、だけ。
私の頭の残りの部分は、新治君と、新治君と先ほど交わした行為のことでいっぱいで、
少しだけ浮かんだ<妹>のこともすぐに忘れ去って、その隙間も新治君のことですぐに埋められたから。
(私、新治君と、セックスしたんだ)
そのことを思うたびに、私は幸せになった。
股の間に何かが挟まったような鈍い痛みも、気にならない。
それは、新治君に私の「はじめて」を捧げた証だから。
痛みや異物感は、むしろ誇らしくさえあった。
帰り道、私はその痛みと、バッグの中に持ち帰った新治君の温もりを感じることで、
自分が世界で一番幸せな女だということを反芻していた。

140:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/11/18 20:57:51 RUBfyf+q
バッグの中のティッシュの包み。
それには、使用済みのコンドームが入っていた。
新治君が、私とセックスしたときに使ったもの。
精液が詰ったゴムの袋。
そんなものを大切に持ち帰るなんて、どんな変態女の所業なのだろう。
でも、それは、私にとって宝物だった。
大好きな人と、私の「はじめて」の証。
新治君のエッセンス。
新治君が自分の子どもを作るときに生産する、新治君の遺伝子が凝縮されたエキス。
それを考えると、コンドームに入った精子を持ち歩くことで、
私は新治君といっしょにいるような気持ちになれた。
もちろん、それは錯覚だ。
本当の新治君は一人だけ。
明日になったら、また会える。また声を聞ける。またおしゃべりができる。
でも、冷たい家への帰り道に、新治君の一部と一緒に「いる」ことは、
私の心をとても温かくした。
そう。ゼリーのように濃い粘液が入った避妊具は、
指先に触れると、まだあの男(ひと)の体温を伝えてくれる。
それが嬉しくて、私は帰り道、何度もバッグの中をまさぐった。
薄いゴム膜越しに触れる新治君の体液は、私の心の中を新治君への想いでいっぱいにし、
<妹>とか、家のこととかを、みんな追い払ってくれた。
だから、私は、石岡綾子という人間にとって敵地に等しい
龍ヶ崎の家の玄関をくぐったときでも、とても心穏やかだった。
<妹>はまだ帰ってきていなかった。
拷問を待つ時間は、拷問そのものよりも苦しいという。
でも、私は、その時間さえ、微笑んで過ごした。
宝物をキッチンの机の上に置いて眺め、時々指先で触れることで温もりを確かめながら。
だんだんと精液が冷えていってしまうのは悲しかったけれど、私の心は穏やかだった。
戻ってきたら私を責めるにちがいない<妹>のために
好物のサンドウィッチを用意してやる余裕さえあったのだ。
そして、<妹>が帰ってきた。

141:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/11/18 20:58:22 RUBfyf+q
私の様子にとまどったような感じになった<妹>は、
サンドウィッチを作っていることに対して、
珍しく─はじめてかもしれない─私にお礼を言った。
そして、さらに何か言いかけ─私をののしり始めた。
テーブルの上に置いてあった、コンドームを見つけて。
ののしりながら、<妹>はそれを掴み取り、コンロの上に投げつけた。
私は悲鳴を上げた。
コンドームは、卵を茹でている熱湯の中に打ち捨てられ、
新治君の精子は、煮殺された。
「人殺しっ!!」
私は、そう叫んだのかもしれない。
叫んだ、自分の言葉に、私は戦慄した。
新治君の、エッセンス。新治君の、一番濃密な分身。
それは、熱湯の中で、白く固まったたんぱく質に変わった。
それは─新治君の死骸。
恐怖と罪悪感に染まりきった私は、その「殺人」を犯した<妹>に掴みかかった。
でも、それは─その状況を作ってしまった自分への怒りと後悔の衝動に過ぎない。
人殺しは、私だ。
新治君の精子を、温もりを、ただのたんぱく質の塊に変えてしまったのは、私。
私の行為と、選択。
それが<妹>にその行動を取らせてしまった。
少し考えれば分かっていたことなのに。
最初、そうしようと思ったように、冷凍庫の奥に深くしまいこんでしまっていれば、
料理なんてしない<妹>や、母さんに知られることなく
大事な思い出は生きたまま保存することが出来た。
あるいは、帰り道に思いついたとおりに、
まだ温もりが残っているうちに、その精液を飲み込んでお腹の中に収めてしまえば、
大事な思い出は、私の身体の中に溶け込んでずっと消えることがなかった。
でも、私はどっちも選ぶことが出来なくて、テーブルの上に乗せたまま躊躇して、
その大事な思い出は─<妹>に殺されてしまった。
それを認めるのが恐くて、私は、<妹>に罪をかぶせた。

142:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/11/18 20:59:03 RUBfyf+q
掴みかかり、ののしり、思い出を、温もりを殺したのが相手だと自分に納得させようとした。
<妹>はののしり返し、私を否定し、そして二人は相手につかみ合ったまま転げまわった。
母さんが帰ってきて、金切り声を上げて二人を引き離すまで、
私たちは互いを憎み殺さんばかりの勢いでわめき散らした。

「……」
チャイムを鳴らすまで、何秒かかったのだろう。
私は、新治君の家の玄関で立ち尽くしたままだった。
無意識の間に、チャイムは鳴らしたのかもしれない。
昨日の晩、あの後、部屋に帰って寝るまで記憶がないように。
母さんは、私に何か言ったかもしれないし、いつものように何も言わなかったのかも知れない。
娘が─出来の悪いほうの娘が─処女をなくしていようが、男とセックスをしてこようが、
日本中に誇れる義理の娘を持った母親は何も気にしないだろう。
私だって、母さんに気にかけてもらえなくたって、構わない。
私には、もっと大事な人がいるから。
でも、私は、その人の一部を殺してしまって……。
どの顔を下げて、私は新治君に会えばいいのだろう。
ドアが開いた瞬間、私は涙をこぼしていた。
「……あ、綾ちゃん……?」
びっくりしたような新治君の顔。
それが、視界ごと歪んだ。
涙で。
そして、その涙がこぼれる前に─私は温かく包み込まれた。
「ど、どうしたの? と、とにかく、中に入って─」
肩を抱いた手から伝わる本物の新治君の温もりは、
スキン越しに触れたそれよりももっと温かくて、優しくて、私は泣き出した。
そして、私は新治君に、私の罪を告白した。

143:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/11/18 20:59:34 RUBfyf+q
「えっと、その……」
新治君は、最初、戸惑ったような表情で私を見つめた。
それから、あちこちに視線をめぐらして何か考えているようだった。
当然だ。
私は、心臓が鷲?みにされたように怯えた。
血が凍る。
全身の産毛が逆立つ。
歯の根がかみ合わない。
自分の肩を抱いたのは、寒さに耐えられなくなったから。
砂漠の遭難の果てに見つけたオアシスに、拒否される感覚。
足元の大地が腐り果て、なくなる感覚。
世界に見捨てられて、私一人しかいない感覚。
でも、嘘はつけなかった。
新治君を騙すことはできなかった。
それは、新治君を裏切ることだから。
新治君に、自分の都合のいい嘘をついたり、
都合のいいことだけを喋ることは、新治君を一番傷つけることだから。
私は、新治君を絶対に裏切らないと誓った。
それは、きっとこういう時に嘘を言わないことや、隠し事をしないことも含まれる。
だから、私は、私が新治君の精子を殺してしまったことを、彼に伝えた。
「ええと、その……」
新治君は、しばらく考えて、それから、勢い良く何かを言った。
「……え?」
「……だ、だからさ、その、膝枕してよ、綾ちゃん……」
私は、混乱した。
「ひ、膝枕?」
「うん……だめ……?」
勢い良くそういった新治君は、聞き返されて声が小さくなった。
「あ、あああっ、大丈夫よ、新治君! するわ、するわよ、膝枕っ……!」
何を言われているのか、分からないまま私は慌てて頷いた。

144:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/11/18 21:00:05 RUBfyf+q
「……ごめんなさい。新治君の精子は……飲んだわ。
土に埋めてあげればいいのか、他に何か出来たのか、わからなかったから、
部屋に戻った後、全部、飲んだの。お腹の中で暖めれば、火傷した精子君もきっともう痛くないと思って……。
ごめんなさい……本当に、どうしていいか、分からなかったの……」
罪の告白は、覚悟していたよりもずっと穏やかに口にすることが出来た。
太ももの上、スカート越しに伝わる新治君の体温が、そうさせていた。
膝枕。
今は、それに耳かきが加わっている。
新治君が、突然言い出したのは、その「お願い」だった。
混乱、と言っていいほどに戸惑っていた私は、
ベッドに腰掛けて、新治君の頭を膝に乗せたときに、嘘のように気持ちが落ち着いた。
大好きな人と、触れ合っている。
そして、細かな手作業。
新治君の耳の中を傷つけまいと手元に集中すると、雑念は綺麗に消えた。
新治君は、向こう側を向いて、右の耳を私に預けている。
その耳たぶは真っ赤だ。
(そうか、……そうなんだ)
不意に私は、新治君が、私を落ちつかせるために膝枕と耳かきをねだったことを悟った。
臆病で、照れ屋で、傷つきやすい男の子が、
拒否されるかもしれない、という怯えを抑えて求めたことは、自分のためのものではなかった。
(どうして、この男(ひと)は、こう……)
私の心が分かってしまうんだろう。
「あ、あの、僕、全然気にしてない…から……」
むこうを向いたまま、新治君がつぶやく。
「ありがとう……」
心の奥を見透かされていることが、すごく、気持ちよかった。
不意に私は、小さな頃、両親になんでも言えたことを思い出した。
いたずらはあまりしない子だったけど、優等生でもできないことや失敗はたくさんあった。
それを、父さんや母さんには包み隠さず言えた。
怒られたけど、嘘をつかなかったことは誉められた。
正直に言えた自分が、大好きだった。

145:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/11/18 21:00:37 RUBfyf+q
父さんが死んでしまって、母さんに全てを正直に言えなくなった。
ずっと忘れていた感覚。
新治君は、その大好きな私を思い出させてくれた。
胸の中のつかえが、半分くらい、なくなってしまったことに私は気が付いた。
新治君は許してくれた。
コンドームを持ち帰った変態女も、
その精子を殺させてしまった罪深さも、
結局その精子の死骸を飲み込んださらに罪深い変態女の私も、許してくれた。
─後は、私の心の問題。
とげのように引っかかっている悔悟の念は、自分一人で溶かすしかない。
それでも、鉛のように重かった心は、随分と軽くなっていた。
何よりも、先ほど感じていた世界の消失感が、今はもうない。
それだけで、今の私には、十分だった。
「……」
私の膝の上で、新治君が一瞬固まる。
そのことさえ、伝わっているのかもしれなかった。
「……ん……反対側も、……お願いしていい?」
「うん、いいよぉ」
返事と同時に、新治君は、身体をころんと反転させた。
「え、えっ……えええっ!?」
逆側と言うと、てっきり、一回起き上がって逆側に寝そべるのだと思った。
けれど、新治君は、身体はそのまま、向きのほうを変えた。
つまり、私の太ももの上で、私のほうを向いたのだ。
「……」
「……」
二人は、時間が止まったように動かなかった。
すうっ。
新治君が深呼吸をした。
私の膝の上で、私のほうを向いて。
「あっ……」
私の背筋に、電流が走った。

146:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/11/18 21:01:45 RUBfyf+q
新治君の顔は、私のお腹のほうを向いていて、
つまりそれは、私の二本の太ももとお腹の合わさる接点に近くて、
もっと言えば、私の股間─性器のすぐそばにあった。
新治君の深呼吸が、ふたつ、みっつ。
スカートは、冬服であっても、数ミリしかない、ただの布切れ。
その下のショーツだって。
「……し、新治君」
「綾ちゃん……いい匂いがする……」
それは、体臭そのものや、香料入りの制汗スプレーのことを言ったのかもしれない。
でも、私の耳には、それが薄い布越しに、
新治君が私の奥をかいで言っているように聞こえた。
嗅がれている。
自分の女性器の匂いを。
大好きな男(ひと)に。
私の牝の本能は、たちまちのうちに燃え上がった。
熾き火のように胸の奥を焼くとげの痛みを、つかの間忘れるくらいに。
性器の匂いをかがれていると思ったのは、錯覚ではないのかもしれない。
新治君の耳はさらに真っ赤になっていた。
私の耳も、きっとそれ以上に赤いだろう。
新治君が、顔をうずめたまま、つぶやいた。
「……あ、綾ちゃん」
「な、何、新治く…ん……」
「見て……いい?」
「……うん!」
ベッドの上に横たわり、スカートをまくられる。
蜜に濡れたショーツを見られるのは恥ずかしかい。
けれど、それを脱がされるともっと恥ずかしくなる。
新治君が、ためらう様子もなく、そこに顔を近づけて、
唇と舌で愛撫を始めたときは、もっと。

147:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/11/18 21:02:16 RUBfyf+q
「ひあっ……んっ……」
濡れた舌が、もっと濡れた粘膜を這う。
舐められてる。
新治君に、私のおま×こを。
女の子が、最後まで隠しておかなきゃならない大事な場所を。
私の、牝の中心を。
無抵抗で、受け入れて。
その事実が、私の身体と心を熱く甘く支配する。
経験も技巧もない愛撫は、信じられないくらいの快感を生み出していた。
昨日まで童貞で女の子が恐くて仕方なかった男の子のクンニリングス。
はじめて異性の性器を舐める、というその作業に新治君は夢中になっている。
そして、私は、自分の女の部分を貪る男(ひと)の愛撫に、
声も上げることも出来ずに悶えた。
「ひあっ……!!」
昨日まで処女だった、敏感な女の子は、二分もしないで絶頂に達した。
オナニーとは違う、ものすごい刺激。
身体の底が抜けてしまったように、私はベッドの上でぐったりとした。
「あ……綾ちゃん……」
「し……んじ……君……」
汗まみれの顔を上げた新治君の顔を見て、私は衝動的に起き上がった。
「え……」
「……新治君にも、してあげるね」
ズボンの前をまさぐる。
ベルトとチャックは簡単に解けた。
「あ、そんな……」
焦ったような、新治君の声。
でも、それは欲情も期待も含んでいて……。
「新治君も、して欲しいんでしょ?」
「……う、うん」
私は、新治君のしてほしいことがわかる。
だから、私はためらいもせずにフェラチオを始めた。

148:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/11/18 21:02:46 RUBfyf+q
男の子のおち×ちんを舐める。
そんなこと、もちろん、したことない。
昨日まで私は処女だったし、昨日は、性器と性器の普通のセックスだけで精一杯だった。
でも、こういうことをする、というのは私の中で自然だった。
さっき新治君にしてもらったクンニリングスと同じくらいに。
生殖器は、自分の身体の一部だけど、自分だけのものじゃない。
自分の相手のために使用する器官でもあるのだ。
だから、ヒトは、愛しい相手の性器を愛撫する。
こういうふうに。
唾液にまみれた舌と口の粘膜は、固くて熱い性器に良くなじんだ。
お湯と石鹸の匂い。
新治君は、私を待つ間、お風呂に入っていたのだろう。
私が、家を出る前にシャワーを浴びてきたのと同じように。
こういうことをすることを、二人とも望んでいたのだ。
だから、未経験のクンニリングスもフェラチオも、二人の間では自然な行為だった。
「うあっ……、あ、綾ちゃん、僕、もうっ……」
新治君がうめいた。
「……っ!!」
新治君の手が、私の頭を抱え込んだ。
「んっ、んむっ……!?」
突然のことに、私はびっくりしたけど、かろうじて口は離さないですんだ。
「あ、や……ちゃん、いくよっ、僕、もう、精子、出るっ!!」
新治君が興奮しきった声をあげた。
ああ、新治君、いくんだ。精子、出すんだ。
私の頭を固定して、腰を振り始める。
「あっ……」
乱暴なそれが、男の子のいく瞬間の衝動的なものということを私は理解した。
女の子と違って男の子の性欲は、刹那的で、支配的で、乱暴なものだ。
私のことをいつも優しく気遣ってくれる新治君も、射精の時は、どうしようもない衝動に襲われるのだ。
だから、目を閉じて、私はそれを受け入れた。

149:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/11/18 21:03:17 RUBfyf+q
「うあっ、いくっ! 精子出るっ!
―飲んでっ、綾ちゃん、飲んでっ! 僕の精子飲んでっ!!」
甘い悲鳴を上げて、新治君が私の口の中に射精を始めた。
その横暴さも、私は喜んで受け入れた。
熱い塊が、口の中を満たす。
新治君の射精は、長かった。
生臭い、男の子のエキスが私の唇と舌を犯す。
新治君の精液の味は、知っている。
昨日、自分の部屋で泣きながら、死んでしまった精子を飲み込んで、お腹の中に収めたから。
でも、熱湯で固まっていた白い粘液と、今、口の中に出されているものとは全然違っていた。
「んんっ……」
私は、必死でそれを嚥下する。
新治君が、「飲んで」って言ったから。
新治君は、自分の女に精液を飲んでもらうのが好きだから。
新治君が、それを望んでいるなら、それがどんな乱暴なことでも受け入れる。
熱い粘液が、喉の奥を通っていく。
お腹の中が焼けそうな、感覚。
でも、それは─。
私がはっとして目を開けるのと、新治君がぐったりと力を抜くのは同時だった。
「……はあっ……はぁっ……」
荒い息をついて、新治君が離れる。
私は、口の中に残った粘っこい汁を飲みこもうとした。
「んっ……んくっ……」
新治君は、濃い精液がたくさん出る体質なのだろう。
喉の奥にひっかかるそれを、私はようやく飲み下した。
「あ、綾ちゃん……」
新治君が、我に返ったような声を上げた。
「ご、ごめ……は、吐き出してもいいよ……」
私は首を振った。

150:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/11/18 21:03:48 RUBfyf+q
「ううん。もう、全部飲んじゃった。新治君の精子」
「ご、ごめん、綾ちゃん、僕、調子に乗って……」
「ううん、美味しかったよ、新治君の精子」
私は、くすりと笑って新治君に返事をした。
新治君の、今の行為の意味が分かったから。
「……新治君、今、わざと私に精子飲ませたでしょ?」
新治君が、固まった。
図星を指されて。
「え……、あ、うん。マンガとかで、そういうの見てたから。
ごめん、ごめんなさい。そういうつもりじゃなくて……」
新治君は、しおしおとうなだれながら、謝ろうとした。
「ううん。そうじゃなくて、……私のために、そうしたんでしょ?」
「……!!」
「あはっ、やっぱり」
私は、口元に手を当てて笑った。
精液を無理やりに飲まされる。
女の子にとっては、屈辱だ。
たとえ、それを受け入れる覚悟のある女の子でも、
ああいうふうに、動物的な衝動を受け止めるのは、悲しい。
まるで、自分が男の子の射精のための道具のように扱われるから。
そして、新治君は理由もなしに、そんなことをする男の子じゃ、ない。
それは、私のための乱暴だった。
「うふふ。今ので許した、って私に伝えたんでしょ? 私、というより、私の身体に……」
「……」
この沈黙は、肯定。私も、新治君の心が読める。
新治君は、私が、私自身でも溶けないで苦しんでいるトゲに気がついた。
自分でも説明がつかない罪悪感。
それは、新治君の死骸─正確には昨日の精子の死骸―を死なせて飲み込んだことの罪悪感。
謝って、許してもらった。
それ以上は、誰にも望めない。新治君にも望めない。
でも、私は、自分自身が許せなかった。

151:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/11/18 21:04:19 RUBfyf+q
トゲは、飲み込んだ精子の死骸の形を取って私の身体の奥にひっかかっている。
誰も、それを溶かせない。
私自身が、時間をかけて溶かしていかなければならないトゲ。
でも、新治君はそれに気がついた。
そして、わざと乱暴に、私に精子を飲ませた。
それを受け入れ、耐えるという代償行為は、贖罪だ。
そして、新しい精液を新治君の意思のもとに飲まされることは、昨晩の私の行為を上書きする。
「新治君……私のお腹の中、あったかいよ」
私は服の上からお腹をそっとなでた。
今飲み込んだ新治君の精子は、温かい、生きてる精子。
それは、私の体の奥にささったままの、自分の仲間の死骸を溶かして流し去った。
ことばだけではできない、対処法。
代償行為。
それは、ものごとの解決につながらないという人もいるけど、それはきっとちがう。
こういう代償行為でしか解決できないこともあるんだ。
私はそれを知っている。
新治君も。
だから、私は、私の大好きな人に抱きついた。
抱きついて、甘えた。
私が、新治君を傷つけないようにしているのと同じくらい、
新治君は、私を傷つけないようにしてくれている。
私が、新治君を新治君のまま好きになっているのと同じくらい、
新治君は、私を私のまま好きになってくれようとしている。
それが、何より嬉しかった。愛しかった。
─だから、私は、何があっても大丈夫だった。
新治君の温かい塊をお腹の中に収めたまま、30分遅刻して、
児童施設のボランティアに着き、リーダーの人に怒られても。
そのまま慌しい準備にこき使われても。
そして、―<妹>が、龍ヶ崎彩が来ていて、
今日は彼女がピアノを弾くと言い出しても。

152:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/11/18 21:04:51 RUBfyf+q
「―すごいわ、本物の彩ちゃんよ」
ボランティアリーダーは、近くの女子大の生徒だった。
興奮気味に、<妹>を眺めている。
「昨日、大曾根さんから電話があったのよ。
彩ちゃんが、ボランティアでピアノ弾きたいって」
大曾根さんは、<妹>の同級生で、このボランティアにも不定期で参加している。
その伝手を使って、<妹>はここに来た。
たぶん、私に意地悪を、復讐を、するために。
「すごいよね、あの彩ちゃんだよ。近所で見かけるけど、
生演奏は市のコンサートのときくらいしか聞いたことないわ」
「これから、ずっと参加したいって。うちらがピアノ弾かなくてもよくなったわね」
「彩ちゃんが固定メンバーで参加してくれるサークルなんて、すごいよね」
別な子も、テレビの中で見る美少女に興奮気味だ。
調律まではいかないが、弾こうとするピアノの音を丹念に確認し始めた<彩ちゃん>に
普段と違った雰囲気を感じ取ったのだろう、子どもたちも、少し騒がしい。
そのうちの一人が、私のもとに走って来た。
「綾子お姉ちゃん、今日はピアノ、しないの?」
「そうね、今日は、アヤチャンが弾くわよ」
「アヤチャンが?」
「うん。私よりずっと上手いから、聴いてごらん」
「はぁい」
子どもたちのざわめきと、学生たちのささやきが頂点に達したとき、
日本中のミーハーと、世界中のピアノ関係者が<ホワイトプリンセス>と絶賛する少女は、
にっこりと笑って顔を上げた。
「―リストの<超絶技巧練習曲>を弾きます。一曲だけですが」
おお、と息を飲むのが聞こえた。
ボランティアのメンバーには、私のほかにもピアノが弾ける人間が何人もいて交代でピアノを弾く。
そして、そういう人間にはわかる。
その曲が、どんなものなのか。
それを弾ける娘が、どれほどの技術を持っているのか。

153:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/11/18 21:05:22 RUBfyf+q
<超絶技巧練習曲>。
ピアノ曲としては最高難度の曲の一つだ。
史上最高の天才ピアニスト、リストがその神がかり的な演奏技術を磨くために
自ら作曲したという練習曲。
当時、全曲を原曲のまま弾きこなせるのはリスト本人のみ。
何現代においては何名かのピアニストがレコーディングに成功したが、
それは、十分に調律したピアノを使い、何回もトライしたものだ。
こんな古びたピアノで弾くものではない。
「では─」
しかし、天才少女は、その難曲も楽々とこなした。
白い指が、魔術のように動く。
安物のピアノが付いていけない音さえ、上手くカバーした。
その曲が終わった後、私はため息が漏れるのを自覚した。
周りの学生たちも。
「―いかがでしたか。次は、第九第四章を演奏します」
<妹>は、確かに私のほうを見ながら、そう言った。
勝ち誇って。
私は目を閉じて、小さく頷いた。
ピアノでは、勝てない。
それは分かっていたことだった。
目の前で聴いてみて、それがよく分かった。
でも、私は、不思議とそれを悔しいとは思わなかった。
彼女が─龍ヶ崎彩が、どれだけの才能と努力との上で存在するのかが改めて分かったから。
そして、今、新治君が隣にいる石岡綾子は、それを素直に認めることができる女の子だったから。
私は、拍手をしようとした。
呆けたような学生たちも我に返って拍手をしようとして、
「つまんなーい」
という子どもたちのことばに、拍手は、そのタイミングを失った。

154:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/11/18 21:05:58 RUBfyf+q
「え……?」
思いがけないことばを耳にして、<妹>は戸惑ったような表情を浮かべた。
「つまんなーい。おうたの曲、まだー?」
「おうたー!」
「アッキアキにしてあげるー、はー?」
「やー。エアーウルフがたおせない、が、いいー!」
子どもたちが騒ぎ始める。
無理もない。
最高峰のピアノ曲は、それを理解できる人間が少ないのだ。
そして子どもは残酷だ。
わからないものは、わからないという。
全身で、遠慮なく。
「そ、そうね、みんなが分かる曲がよかったわね。何にする?」
強張った笑顔で、龍ヶ崎彩が聞く。
「―ぴくるー!!」
誰かが叫ぶ。
「ぴくるー!」
皆が、わっと同意した。
「ぴ、ぴくる……?」
聞いたこともない単語に、<妹>が困惑した。
「―ぴ、ぴ、ピラルクー、ぴっくるんるん♪」
男の子たちが歌い始めた。
「―ぴ、ぴ、ピラルクー、ぴっくるんるん♪」
女の子たちも歌いだした。
<恋のぴくる伝説>。
第二期放映も決定した、大人気の変身魔女っ子アニメの主題歌だ。
恐竜とともに塩漬けになっていた古代魔法王国のプリンセスが、
「魔法」と「腕力」と「野性」でご近所の事件を解決する単純明快なストーリーは、
少女アニメとは思えない蛮勇を奮ったアクションシーンと、
作中で自分は鯉(=恋)だと言い張る魚のマスコットキャラ・ピラルクー君のおかげで、
女の子のみならず男の子にも人気だった。

155:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/11/18 21:06:47 RUBfyf+q
「ぴくる……」
<妹>は、呆然としている。
無理もない。
私だって、新治君に教えてもらうまで知らなかった。
覚えてしまえば、いい曲だ。
何より、男の子も女の子も同時に満足させることができる。
男の子に受けのいい曲は、女の子がつまらないし、
女の子の人気の曲は、男の子が退屈する。
その点、どちらも熱心に見ているこのアニメの主題歌は、お遊戯にうってつけだった。
「ジュラ紀かーらー、やあってきた、おしゃまなビューティー♪」
「いつもみんなにー、肉をはこぶーのー♪」
「かもん、れっつばとる、かもん、れっつばとる、べいびー!!」
「はなーぢーをふいてー、走りだしたらー」
子どもたちはご機嫌で歌いだした。
もう、彩ちゃんを、見てもいない。
そこかしこで「ぴくるごっこ」を遊び始めてしまった。
「あの……」
学生の誰かが、声をかけようとして、息を飲んだ。
<妹>は、うつむいて、肩を震わせていた。
「彩ちゃん……」
私は声をかけようとした。
<恋のぴくる伝説>は単純な曲だ。
私でさえ、新治君から借りたCDで耳コピーできる。
<リストの超絶技巧練習曲>を弾ける龍ヶ崎彩にとっては、
息を吸って吐くくらいに簡単なことのはずだった。
でも、<妹>は─。
「帰る」
一言だけ言って、立ち上がった。
「ちょっ、あやちゃ……」
ボランティアのリーダーが慌てて声をかけようとするのを無視し、
止めようとする学生たちを突き飛ばすようにして、龍ヶ崎彩は、その場を立ち去った。
そして、この日が、龍ヶ崎彩の運命を変えてしまう一日だったことを、
<妹>も、私も、新治君も、まだ知らなかった。

                    ここまで


156:名無しさん@ピンキー
07/11/18 21:11:40 953uGmPc
GJ!
子供の反応は想定の範囲内だったけど
シンジ君のところは予想外だった
もう一分の隙も無いカップルだな
残るは妹だけだが・・・・・


157:名無しさん@ピンキー
07/11/18 21:34:48 xDfpDeqa
ピクル吹いた

158:名無しさん@ピンキー
07/11/18 22:09:54 3jfoXegV
依存スレなのに、
オレの感想がハルヒ+バキに全部持っていかれたw
殺伐としてるのに、殺伐としてるシーンなのにw

でも、次の投下辺りでの妹の行動とか想像すると背筋がゾクゾクします
妹にしてみればアイデンティティの根幹の否定と、
蔑んでる姉に出来たことが出来なかったという二重の劣等感
これからどうなるのか
乙でした

159:名無しさん@ピンキー
07/11/18 23:58:16 4LbLyuYw
GJ!!
子供達凄いなオイw
ネタの豊富さに吹いたww
あれ?何か新治君に甲斐性が湧いて来てますよ?ww
心を読んで慰めるのはともかく、まさかそれに性的手段まで取るとはww
漢として一皮も二皮も剥けたなww
あと多重にショックを受けている妹ww
>龍ヶ崎彩の運命を変えてしまう一日
><妹>も、私も、新治君
この状況とナレーション的モノローグは依存的に期待せざるを得ないww

160:名無しさん@ピンキー
07/11/19 00:06:39 MC6kzdhC
ゲーパロさん、早く続き投下してくれないと、あたしさびしくて死んじゃう

新治がいい男になってる。姉はアゲマンだな。
この二人はいいね。このまま幸せになってほしい。
んにしても妹よ、子供に超絶技巧練習曲はねえよw



161:名無しさん@ピンキー
07/11/19 00:53:46 xzgxmObm
妹wwww
だから言ったじゃねぇか、姉潰したいなら子供番組網羅してこいってw

162:名無しさん@ピンキー
07/11/19 00:58:18 2S4IiT0t
妹さんは高尚なので2ちゃんなんて見ませんからw

163:名無しさん@ピンキー
07/11/19 03:55:17 ppQmqn4h
>恋のぴくる伝説
何か朝目で見たことあるネタだ
ショッキングなイラストで印象に残ってる
まさかオリ歌詞が出てくるとはw

妹さん、相手は子供なのに・・・・・・
そこまでの技術レベルにいくと
耳の肥えた人より素人や子供のほうが、かえってやり難いのかも
特にガキなんて技術より曲目が大事だしね

164:名無しさん@ピンキー
07/11/19 09:11:07 27zmB9si
>>163
×目か。あれはすごかった。

165:名無しさん@ピンキー
07/11/20 00:03:05 k2pXSwMz
>ゲーパロ専用氏
Gj!
まさかそこでピクルとはwwwww

166:名無しさん@ピンキー
07/11/20 04:12:05 339FcVh6
とりあえずゲーパロ専用がニコニコを見てるのは分かったww

167:名無しさん@ピンキー
07/11/20 10:56:41 oAPD77zj
続きは!? 続きはまだか!?

168:名無しさん@ピンキー
07/11/21 02:33:37 4TYxf7bj
むしろ俺は子供たちが始めたぴくるごっこの詳細が気になって仕方ないぜ……
想像出来ねー!

169:名無しさん@ピンキー
07/11/21 21:18:16 RB8gAj6F
wktk

170:名無しさん@ピンキー
07/11/22 09:03:27 YyD2hMPw
ゲーパロ氏GJ!
シリアスな場面なはずなのに、ぴくるが出てきて吹いたw

171:名無しさん@ピンキー
07/11/23 00:32:52 GANum0q6
またしても 折れてしまった 和解フラグ・・。

にしても深夜アニメやニコニコまで見てるとは、今のガキは進んでるなwww

172:名無しさん@ピンキー
07/11/23 06:25:26 a3yUZx6U
妹の心が折れた事で別の意味で和解フラグ立ってる希ガス。

173:名無しさん@ピンキー
07/11/23 13:14:45 s60AQcXy
ゲーパロ氏はチャンピオン紳士か

174:名無しさん@ピンキー
07/11/25 00:03:30 PNbk9Rla
ほし

175:名無しさん@ピンキー
07/11/25 04:51:05 K32VdxWT
ピクルテラカワユス(*´∇`*)

176:名無しさん@ピンキー
07/11/25 06:29:51 8Ri7KgsB
超絶技巧練習曲ってネタ曲の中でも投げやり杉自重ww
と思ったらこの曲だけマジで実在すんのかよw リストが自重しるw

177:名無しさん@ピンキー
07/11/25 17:06:04 dE3BtDOs
釣りかと思ったら実在した件w

178:名無しさん@ピンキー
07/11/25 21:02:36 OJnFCq6U
スレがゲーパロ無双になっているので、こちらも何か援護をと思ってはいるのだが
如何せん卒論がががががが

179:名無しさん@ピンキー
07/11/25 23:50:31 Ja5nu43W
いや、卒論書いてからここ見ろよw

180:名無しさん@ピンキー
07/11/26 00:22:04 Jkj/qg69
行くスレ行くスレにゲーパロ氏がSS書いてる件 いやGJ何ですけどね

なんていうか、よくここまで書けるなと

181:名無しさん@ピンキー
07/11/26 05:28:37 bpccGNtr
>>176
「練習曲」ってのは、演奏技術を磨く為に作られた曲。
だから大概難しいことこの上なしなんだが、更にリストは別格中の別格。
自身がとんでもないピアニストだったから(とは言え一流作曲家なんてものは大概演奏家としても一流なわけだが、その中でもなお別格扱いされてる)、
その練習曲なんてもう、難度が半端ない。
弾ける人がいない、ってのはまぁ最近じゃそーでもないけど、それでもいち学生が弾くなら十二分に凄いよ?
いるとすれば音大の院生クラスだろうか。

以上、スレチな話題失礼しましたm(__)m
続きwktkしてます。

182:名無しさん@ピンキー
07/11/26 20:14:40 THase6Qo
>>181
もしかしたらプロでも弾けそうに無さs・・・なんでもないです

とにかく、GJでした。

183:名無しさん@ピンキー
07/11/27 00:49:35 ZXmKAORL
ここって今でも一次おkなスレだよね?
リハビリ中だけどなんか書けたら置きに来たいんだが

184:名無しさん@ピンキー
07/11/27 01:40:20 7rBlEr8i
1次?
2次?

185:名無しさん@ピンキー
07/11/27 01:57:19 NwFfnxIV
一次創作
二次創作っていみならおkだとおもう

186:名無しさん@ピンキー
07/11/27 01:58:52 ID6AS4RM
この流れでもなんとなくわかるとおり、
ラカンパネラとかCMとかで流れてて耳に馴染んだ曲ならまだしも、
きっと子供が一度も聞いたことのないチョイスでやっちゃったんだろうなあ妹。
何それ知らない曲で面白くなーいという子供の顔が目に浮かぶ。
そりゃ、ピクルコール来るよ……。
でもまあほんとの名人がひいたらつまらない曲も凄くいい曲に聞こえたりするわけだが。

続きをwktk

>>183
むしろ一次が主流だと思われ

187:名無しさん@ピンキー
07/11/27 22:08:53 ZXmKAORL
書いても書いてもヤンデレになる罠

188:名無しさん@ピンキー
07/11/28 10:52:55 K0mq2ERy
依存とヤンデレって境界線が曖昧な感じでよく分からない。
たとえばSHUFFLE!の楓とかはどっちに該当するのかとか。

189:名無しさん@ピンキー
07/11/28 19:05:21 WC4jWLd0
原作なら依存
アニメならヤンデレだと思う

190:名無しさん@ピンキー
07/11/28 21:32:01 dGLFnDrY
>>188
男に嫌悪されるかで躊躇するのが依存、しないのがヤンデレ
嬉々として男殺しに来たり、思考から常識が完全になくなって行動に躊躇が消えたらヤンデレかな
依存は「男のためなら常識も捨てる!」だけど、
ヤンデレは「男の意見とか関係なく勝手に常識捨ててる」感じ
「依存してるから言うこと聞く」のと、「依存してるけど言うこと聞かない」とか
依存は男に依存してて、ヤンデレは男に対して抱いてる自分の気持ちに依存してる感じ、かな
ヤンデレは、結局中心が自分の内部にしかない
「恋に恋してる」状態だから、自分が思ってる男像>現実の男なんだよね
「それは本当のアナタじゃない。アナタはそんな人じゃない」ってのの最終形みたいな
と、思う

依存がヤンデレに変化するパターンもあるからややこしいんじゃね?
アニメ楓さんとか、依存が病んで行ってヤンデレたような

ところで、やんデレ が未だにトラウマだお
正ヒロイン以外、一歩譲っても後輩はヤンデレじゃなくてただのサイコホラーやん

191:名無しさん@ピンキー
07/11/29 18:58:21 H8TokwEM
おまいらなんかいい依存のネット小説知ってたら教えてくれ

192:名無しさん@ピンキー
07/11/29 19:37:46 C3Y3eNl3
>>188
依存とヤンデレってのは別物だから境界とか無いんじゃ無かろうか?
原作の楓は依存でアニメ版は依存かつヤンデレだと認識してる

193:名無しさん@ピンキー
07/11/29 23:45:25 SQL9H8Ss
ヤンデレってのは恋愛感情の終着点じゃないかと思ってる

194:名無しさん@ピンキー
07/11/30 17:09:06 hPtxxoNO
進化は後戻りできないからなぁ・・・・・・

195:名無しさん@ピンキー
07/11/30 17:35:25 a1eCSkKx
もう後戻りできない恋、とか言うと非常に依存ぽく聞こえるのになぁ・・・
ヤンデレは、やはり依存とは全くの別物

196:名無しさん@ピンキー
07/11/30 20:43:57 EAiDWTQ8
依存好きと言ったら、友人から「それってヤンデレ好きだろ」と訂正された
やはり混同されやすいというのか……無念

197:名無しさん@ピンキー
07/11/30 22:06:00 iybwYafr
その友人とは小一時間話し合う必要があるようだな

198:名無しさん@ピンキー
07/11/30 22:31:33 Fy+Xh6oS
そうかなあ?俺はヤンデレと依存ってそこまで関連性無いとは思えないんだけどなぁー
多分気違い寄りのヤンデレが横行し過ぎてそう見なされるんだろうけど

199:名無しさん@ピンキー
07/11/30 22:51:28 pjpEktLI
全部守備範囲のおれはまちがいなくICHIRO-SUZUKI

200:名無しさん@ピンキー
07/11/30 22:56:44 PPvsANHI
>>198
「好きで好きでしようがない」という点では同じだからなぁ

誰かの受け売りだが個人的になんとなく共感したイメージ
  ヤンデレは「攻め」で依存は「受け」

201:名無しさん@ピンキー
07/11/30 23:00:31 Fy+Xh6oS
>>200なるほどねえ。確かにその言い方はしっくりくるわ

202:名無しさん@ピンキー
07/11/30 23:30:44 /ofVBjRa
精神的な意味を含めて自傷なのが依存で、
相手を含めた回りを暴力的に壊すのがやんでれな印象。
依存とヤンデレは違うと思うなあ。
ヤンデレは究極的には相手はいなくていいんだけど、
依存は相手がいることが必須な感じで、つまり自分は依存もの大好き。

でも、>>200のはなんとなくわかる気がする。


203:名無しさん@ピンキー
07/11/30 23:51:28 Fy+Xh6oS
>>202
>ヤンデレは究極的には相手いなくていいんだけど

それは、末期状態というかもう追い詰められた状態で狂いきったサイコなヤンデレだけじゃない?
半分位はやっぱり相手がいないことには生きていけないっていうキャラもいるしさ
ヤンデレも更に細分化されてると思ったから完全に

ヤンデレ≠依存

とは言い切れないんじゃないかと

例えば同じヤンデレでも言葉様やshuffleの楓みたいなキャラと
ヤンデレスレにあるようなサイコキャラみたいに…
特に言葉は絶対に誠のこと傷つけなかったし

204:名無しさん@ピンキー
07/12/01 01:16:55 FbY634+e
ヤンデレは攻撃性(対自分含む)のある依存として認識してる
依存にも攻撃性がないわけじゃないけど、どちらかというと受動的なものっぽいイメージがあるし

205:名無しさん@ピンキー
07/12/01 01:33:56 PDtRDY9O
・・・たぶん線引きが難しい上にそれぞれ違う価値観を持ってると思うんだぜ。
特にこんなジャンルはな。

・・・今はそうではないけど、喧嘩するなよおまいらw

206:名無しさん@ピンキー
07/12/01 06:33:17 vIDkteOW
尽きない話ではあるよな
そもそも、統計は取れても、その平均=定義になるとは限らないし

ヤンデレは自分勝手
依存は自分勝手にしたいけど相手の都合とか考えて躊躇する、だと思う
そこら辺が攻撃性の有無になるのかね?
ヤンデレは手綱が取れれば最強なんだが、未だにそれが出来るキャラは見たこと無いなw

207:名無しさん@ピンキー
07/12/01 07:13:07 mIxRuTzH
恋する乙女は常に想像の遥か上だから
孔明でも手綱を握るのは不可能

208:名無しさん@ピンキー
07/12/01 08:55:10 FbY634+e
>>207
最終的な目標は馬鹿でもわかるが、そこに至る過程で倫理観とか尊厳とか投げ捨てるからなあ……

209:名無しさん@ピンキー
07/12/01 12:27:43 s3/eWeit
>>206
未来日記の主人公がヤンデレの手綱を取りそうではあるw

210:名無しさん@ピンキー
07/12/01 15:07:52 SDvCqJRh
>>207
むしろ、想像は出来るんだけど、暴走したら止めるための現実的手段が無い
で、暴走しないように抑えるのもほぼ不可能、と
ヤンデレが暴走し出したら対抗できるのは戦国武将くらいだろうなぁ
麻薬で痛覚トばしてるような連中が、
チェーンソーやスタンガン片手に襲ってくるんだから

>>209
いや、あれは単に今はそこら辺気にしてる暇が無いだけだと思う
いずれまたお宅訪問とかVS巻物日記の時みたいになるね

・・・まあ、
やっぱ致死レベルに攻撃的女の子はいくないので、
世界の常識としてヤンデレ<依存でおk?

211:名無しさん@ピンキー
07/12/01 22:16:51 sU9B2x5U
>>190
ありがとうすごくスッキリした。


ヤンデレと依存は地続きではあるが全然別物だと認識してるよ俺は
だけど俺がいじくってるヤンデレが必ず依存的なもんを内包するからちょっと自分の中でカオスってた

212:名無しさん@ピンキー
07/12/02 11:05:44 iOSGvc/H
このスレ的には
「私、二番目でもいいの」
が依存?

213:名無しさん@ピンキー
07/12/02 11:27:19 JbcZXy0w
>>211
まあ、ヤンデレも部分的には依存を内包したりしなかったりするからじゃね?
「卵使う卵料理」が依存で、「卵も使うけど卵メインでない料理」がヤンデレとかさ

>>212
それも含まるとは思う
ただ、ヤンデレは「自分が一番出ないと嫌!」
ではなく「順番に関係なく彼の中に自分以外が存在するのが嫌!」
なので「オレにとってはお前が一番大事」というのが通用しないのに注意
ひどいのになると他の人間(男相手でも)と目が合っただけで首絞められるからな

しかし、考えると依存とヤンデレは結構違いあるもんだね

214:名無しさん@ピンキー
07/12/02 11:57:27 ANdNIrmu
あー新治君と綾子のカップルいいなー
ふたりとも凄い可愛い。妹の問題があるのもわかるが
もっとこの二人が単純にエロくいちゃつくのを読みたい

215:名無しさん@ピンキー
07/12/02 15:52:05 cxF1QbA/
このスレはゲーパロ氏に依存してんじゃね?

216:名無しさん@ピンキー
07/12/02 16:46:13 XqoCReek
少なくとも俺がゲーパロ氏のエロパロに依存してる事は確かだ

217:名無しさん@ピンキー
07/12/02 17:27:04 cvHgdaWn
オレのナニがこのスレに依存していることも確かだ

218:名無しさん@ピンキー
07/12/02 21:22:46 LhSL89bz
>>215痛いとこつくな

219:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/12/02 22:58:09 1berHH9T
<私が私でいられる時>・10

「ふう」
掃除が終わって、一息つく。
久々に綺麗になった我が部屋を満足して見渡す。
トイレやキッチンは、先に終わらせている。
最近、何かと忙しくて、あまり家事に時間を割けなかったから、
学校から早く帰ってこれた今日は、まとめて一気に終わらせた。
終わった今、時計はもう夜の九時を指しているけど。

─今日は、綾ちゃんに会えない日。
この間、彼女が「罪」を告白した後、そういう日ができた。
正確には、その日の会話がどうとか、その後行ったボランティアでのことがどう、というわけではない。
その前の日、僕と綾ちゃんが……セックスしたということが、その状況を作った。
綾ちゃんたち<姉妹>が大喧嘩した原因、
―綾ちゃんが持ち帰った使用済みコンドームを、綾ちゃんのお母さんに見られた。
それは、綾ちゃんがセックスをして来たと言う証拠。
当然のことながら、彼女の両親にショックを与えたと思う。
そして、綾ちゃんは、外出できない日が増えた。
週末の、ボランティアも当然禁止。
お母さんが家にいるようになって、買い物や家事も綾ちゃんがやることは少なくなったらしい。
綾ちゃんが外出できるのは、お母さんがどうしてもお父さんに付いていかなくてはならない日に
買い物とかをするときだけになった。
でも、綾ちゃんは、それを全然気にしていない様子だった。
僕は、綾ちゃんとセックスした。彼女の、処女を奪った。
それは、嫁入り前の娘を傷物にしたということ。
そのことで綾ちゃんの両親が怒鳴り込んでくるかと思ったけど、そういうことはなかった。
「母さんも、義父さんも、私のことは<心配>してないから……」
綾ちゃんは、そう言って笑った。
そして、僕らはメールと、携帯電話と、頻度は減ったけど濃密さを増した逢瀬を重ねた。

220:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/12/02 22:59:51 1berHH9T
綾ちゃん。
ベッドに腰掛けてぼんやりとしていると、すぐにあの娘(こ)のことが心に浮かんだ。
それは、甘い髪の毛の匂いと、優しい微笑みと、綺麗な声を伴った姿。
あの娘のことが、好きだ。
それは、会う機会が少なくなってから、強く気が付いたこと。
綾ちゃんに会えない日は、自分の心が半分になってしまったかのように、さびしい。
綾ちゃんの声を電話で聞けると、自分の心が倍になったかのように、うれしい。
綾ちゃんからのメールが来ると、いつもどきどきして、でもすぐに心が穏やかになる。
これが、恋と言うものなのか。
僕は、戸惑いの真っ只中にいた。
女の子って、みんな恐くて嫌な存在だと思っていた。
どんなに努力したって、僕を好いてくれることがない存在。
自分の心のままに振る舞い、ある日裏切って突然にいなくなってしまう存在。
だから、近づいてはいけない、好意を寄せてはいけない存在。
そんなものだと、思っていた。
僕の母親のように。
綾ちゃんは、自分はそういう女とはちがう、と言った。
そして、彼女は、それを僕に証明し続けた。
あの日、身体と心を重ねてから。
僕は、それを半ば受け入れ、半ば戸惑っていた。
彼女の存在に、戸惑っているわけではない。
彼女のことが好きだ、ということに戸惑っているのでもない。
それは、僕の中にある、もっと生々しくて卑しい感情だった。
「……綾ちゃん」
ことばにして、声に出すと、胸がどきどきと脈打つ。
そして、股間のものも。
僕は、僕と触れ合ってくれる女の子のことを考えると、
すぐに鎌首をもちあげてくる、自分のいやらしい器官のことを、
自己嫌悪とともに睨みつけた。

221:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/12/02 23:00:59 1berHH9T
綾ちゃんに会えない日、僕は自慰をする。
彼女のことを考えて。
何度も、何度も。
綾ちゃんの裸が、胸が、お尻が、あそこが、鮮明なイメージで蘇り、
僕のいやらしい欲望に奉仕する。
僕は、―あの娘の裸を知っている。
彼女が、どんなにスタイルがよくて、着やせをして、肌が白いのか知っている。
おっぱいやお尻が、どれだけ大きくて柔らかいのか知っている。
彼女の性器、女性のあの部分さえ、僕は知っているのだ。
そう思うと、僕の男性の部分は、どんどん硬くなってくる。
生身の女の子の身体がこんなに蟲惑的だなんて、僕は知らなかった。
いや。そうじゃない。
それは、あの娘だから、そうなるのだ。
綾ちゃんの身体だから。
綾ちゃんの裸だから。
綾ちゃんのおっぱいだから。お尻だから。
綾ちゃんのあそこだから。
僕は、こんなにも反応してしまうのだ。
「綾ちゃん……」
そのことばが思い出させる彼女の姿に、
僕の性器は、ズボンの生地を突き破らんばかりにそそり立っている。
自慰をしたい。
彼女のことを考えながら、オナニーをしたい。
綾ちゃんの裸を、綾ちゃんの女性器を、綾ちゃんとのセックスを思い出しながら、
おち×ちんをしごいて、思いっきり精液を吐き出したい。
─その欲望は、下劣で薄汚い。
なぜって?
そのとき、彼女の唇とか、声とか、微笑とか、そういうものさえ、
僕は、僕の欲望で穢(けが)してしまうから。

222:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/12/02 23:01:52 1berHH9T
(綾ちゃん……)
自慰を始めると、想像は、簡単に妄想に変わってしまう。
セックスのとき、綾ちゃんと向き合ったときには絶対にしないようなことまで、
僕は、僕の頭の中の綾ちゃんにはさせてしまう。
人の欲望は、限りがない。
綾ちゃんが、僕のために差し出してくれるもの。
僕とのセックスに供じてくれるもの。
自慰するとき、僕は、それだけに満足することが出来ない。

綾ちゃんは、僕のために喜んで裸になる。
僕のことをを大好きだと言ってくれる。
僕とセックスするために、ベッドに従順に横たわる。

でも、僕は─。
自慰をするとき、

彼女を裸にさせただけに飽き足らず、卑猥なポーズを取らせたり、
彼女が言ってくれる「大好き」という声だけでなく、淫猥なことばを言わせたり、
彼女が自由にしていいと与えてくれる身体を、まるで奪い取るように淫らに貪る。

もし、綾ちゃんが、自慰をしている僕の頭の中を覗いたりしたら、
きっと、彼女は幻滅し、怯え、そして僕を軽蔑するだろう。
僕が、綾ちゃんに対して見せている顔は、僕の、ほんの一面。
それも、一番いいところ。
あとは、もっと駄目な自分。
僕が彼女に隠している本性は、きっと自慰のときのそれなのだ。
それが、とても悲しいし、苦しい。
「……」
僕は、ため息をついた。
こんなに自分の性欲を、下劣さを嫌悪していても、それでも僕の下半身は自制がきかない。

223:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/12/02 23:02:25 1berHH9T
ズボンの下でぱんぱんに膨れ上がっているそれは、
精液を吐き出すという目的を達成しない限り、金輪際言うことを聞かないだろう。
僕は諦めて、立ち上がった。
本棚から、お気に入りのエロ小説やエロマンガを探す。
なかなか決まらない。
本棚の中はエロ同人誌や、巴里書院のコレクションなど、
その手の趣味の人間なら垂涎のアイテムに満ち溢れていたけど、
最近は、なぜかそれらのものが色あせて見えて、
自慰に使う気になれないでいたのだが、今日は、これにお世話になろう。
(どうせなら、うんといやらしいのにしよう……)
そう思った僕は、黒い表紙の小説を手に取った。
男の子なら、一度はお世話になったことがあるという巴里書院のエロ小説の一冊。

『リアル孕ませごっこ』
舞台は王政の敷かれた西暦三千年の日本。
王様は自分の姓である佐藤の人口が500人を切ったことから、
佐藤姓の男性に、妊娠の可能性がある女性がわかる「HR探知ゴーグル」を与え、
七日間でナンパしてセックスに持ち込み、より多くの女の子に「佐藤の子供」を作らせた男を
養子として迎え、次期国王にすると発表した。
主人公は、その佐藤姓の男の子。
セックスどころかナンパもしたことがないが、どうにかして憧れの女の子に……、というお話。
<誤字を超えた超表現>
<日本語の範疇を超越した>
その表現力はあの<愛空>にも匹敵すると評され、映像化もされた。
僕のお気に入りなのは、そのメインヒロインではなく、
お話の最初のほうに出てくる、サブヒロインのほう。

ゴーグルを持っている主人公に自分から近づき、その初体験の相手を努めた彼女は、
「君が王様になったら、私を王妃してね」というちゃっかり者だけど、どこか憎めない女性だ。
晩生な主人公をリードするシーンは秀逸で、メインヒロインとの人気はむしろ逆転してさえもいる。

224:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/12/02 23:03:06 1berHH9T
僕は、ページをめくってその場面を眺めはじめた。

「うわあ、おち×ちん、おっきいじゃない」
ブリーフを脱がした女の子は、にっこり笑った。
ものすごく機嫌が良くて、上機嫌な顔をして僕を見ている。
「そ、そうかな?」
僕はどぎまぎとした。
いかにも挙動不審な行動だ。
「うん、けっこう大きいよ、君。ちょっと自慢していいから。他の女の子に言われない?」
そんなこと、十六年間の間、言われたことない。
「あはは、君、童貞君だったよね、そりゃ言われたことないか」
女の子はころころと笑い、僕のおち×ちんを指でちょん、とつついた。
「うん。ちゃんと洗ってきているのね。えらいえらい。
うふふ、セックスする前に、おち×ちん、しゃぶってあげようか?」
「え?」
僕の心臓が騒々しく騒いだ。
「フェラチオ。して欲しいでしょ?」
女の子は、にやりと笑った。
「そ、そんな……」
「いいわよ、恥ずかしがらなくたっても。
男の子は、女の子におちんちんしゃぶられるのが大好きだもん。
君も、オナニーするとき、フェラされるところ想像したことあるでしょ?
私がしてあげるよ。あ、でも気持ちいいからってお口の中に射精しちゃダメだぞ?」
女の子は、僕を軽く睨んだ。
「精子を出すときは、こっちにだから、ね」
短いスカートから「わざと見せてあげてる」ショーツの前を意味ありげにさする。
「ま、あたしのフェラでいきたければ、王様になって私を王妃様にしてちょうだい」
女の子はまた笑った。
「そしたら、毎日でも君のおち×ちん、しゃぶってあげるから……」

225:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/12/02 23:03:54 1berHH9T
僕は、性器を握る手の動きをはやめた。
モテない、冴えない主人公の男の子は、僕には容易に共感できるものだった。
このサブヒロインのような女の子も。
主人公が最初の男ではない、という設定も、お話の中では受け入れることが出来る。
相手の男は出てこないし、彼女が主人公とヒロインを助けていったり、
最後の告白のシーンも含めて、主人公を裏切らない存在であることを知っているから。
そして、セックスは、あくまでも優しくリードしてくれながら、
処女の妹であるメインヒロインよりも、ずっとエッチシーンが大胆でいやらしい。
ページをめくる手が早くなる。
もう片方の手の動きも。

「うふふ、あたしの中に精子出したいでしょ?
いいよ、あたしのおま×こ、君に貸してあげるから、
気持ちよーく、童貞、捨てちゃおっ……」

─心臓が一瞬、止まった。
フィニッシュに近い、その文章を読んだ瞬間に、浮かんだイメージ。
僕にのしかかって、そのいやらしい誘惑のことばを吐いたのは、
原作の挿絵にある女の子でも、映画でその役を演じた少女でもなく、―綾ちゃんだった。
「んんっ……」
かろうじて、手が止まった。
おち×ちんは、びくびくと震えて、絶頂を迎えられなかった不満を声高に主張する。
最近、いつもそうだ。
自慰するとき、僕は綾ちゃんにそんなことをさせてしまう。
今まで集めた、いろんなエッチな本やビデオの中のセリフや、行動を。
それは、二次元の作り話のヒロインや、お金を貰って演じる女優さんがする行為。
頭の中で、それを綾ちゃんにやらせてしまうことに、僕は激しい自己嫌悪を抱いた。
僕のことを好きになってくれている女の子に。僕にすがって生きている女性に。
その信頼と愛情を、見えないところで利用し、裏切っている。
綾子ちゃんを都合よく使ったイメージでの自慰は、そんな罪深いものだった。

226:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/12/02 23:04:25 1berHH9T
僕は、本を放り出した。
股間の物はおさまりが付かない。
全身が性器になったような感覚を抱え、僕は─パソコンの前に座った。
何台か並んだパソコンの、一番奥のマシーン。
ネット配線から外した、どこにもつないでいない、安全な一台。
その中に大事に保存してあるのは─。
僕は、パソコンを立ち上げ、映像ソフトを起動させた。
フォルダを選び、データを開く。
微笑む綾ちゃんが画面に映った。

「綾ちゃん……」
僕のベッドの前で立っている綾ちゃんは、恥らうように笑い、スカートに手をかける。
何の躊躇もなく、中のショーツを下ろす。
白い靴下を履いた足から、同じ色の清楚なショーツがするりと脱ぎ取られる。
もう一度、恥じらいの微笑を浮かべてこちらを見た綾ちゃんは、
スカートの裾を、ゆっくりと持ち上げた。
(見えますか。これが石岡綾子のおま×こ、です……)
言いながら真っ赤になる。
白い太ももの付け根に、淡い翳り。その下がよく見えない。
(ん……、ちょっと、待ってね)
綾ちゃんは、ベッドの上に腰掛けた。
体育座りのような格好になり、それから、足を思いっきり広げる。
スカートの中で、無防備な女性器が丸見えになる。
カメラレンズ越しに、目が合う。
綾ちゃんは照れたように笑い、それから、片手を自分のあそこに這わせた。
(んっ……)
白い指が、自分の性器を思いっきり押し広げて、中の様子をカメラに晒す。
(もっと近くで撮っていいよ。私のここ、もっと奥まで見て……)
映像がちょっとゆれる。
撮り手が、カメラのズームを合わせることも思いつかずに、身体ごと近寄ったからだ。

227:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/12/02 23:05:31 1berHH9T
覗き込むようにして撮り続ける。
綾ちゃんの恥ずかしい部分を。
「ううっ!!」
どんな女性のものよりも綺麗で魅力的な女の子のそこを見ながら、僕は射精した。
びくんっ。どくんっ。
何度も途中で止めた欲望は、解放のときをむかえて、おどろくくらいに激しく汚液を噴き出す。
抑えるようにかぶせたティッシュから、どんどんとそれはにじみ出てきた。
画面の中の綾ちゃんは、今度はお尻を高く掲げて、僕にそれを撮らせていた。
僕を「安心」させるための「人質」の映像。
綾ちゃんは、裸やセックスするところを僕に撮らせている。
そのことで、綾ちゃんが僕を裏切れないということを証明させるために。
そして、僕は、それを拒めなかった。
信じているのに。
信じたいのに。
僕の臆病な心は、その「人質」を手元に置きたがっていたし、
僕の下劣な欲望は、好きな女の子の裸や性器の映像を欲していた。
だから、僕は、「そんなものがなくても、綾ちゃんを信じている」
ということばが言えなかった。
綾ちゃんは、そんなことも受け入れているように、何度も僕にビデオを撮らせ、
それを笑顔のまま差し出した。
無垢、と言っていいほどの笑顔で。
それは、彼女にとっては、僕の信頼を勝ち取るために神聖な行為なのだろう。
でも、僕は、それを自慰に使っている。
僕の大切な恋人の、優しさと思いやりの結晶を。
画面を見ながら、僕は、射精したばかりの性器がまた硬くなったのを感じた。
なにか言おうとして、僕は、僕が意図していなかったことばが口から漏れたのに気がついた。
「……あのポーズの綾ちゃんが、あの女の子みたいに誘惑してくれたら……」
その、心の奥にどろりとたまった下劣でいやらしい欲望は、
好きな女の子のことさえ信じきれないでいる臆病さと、
それでも僕に寄り添おうとしている綾ちゃんを認識しているずるさとともに、
自分を大嫌いになるのに十分すぎる罪だった。
「最低だ、僕……」
つぶやいて、僕はまたため息をついた。



ここまで

228:名無しさん@ピンキー
07/12/02 23:25:52 TKA1o2bU
リアル孕ませごっこワロスwwwww愛空ってwwwwwww

gj

229:名無しさん@ピンキー
07/12/02 23:30:20 ZHM1BkD1
ついにキター!
ゲーパロ氏超GJ!


230:名無しさん@ピンキー
07/12/02 23:46:52 gLXfMrVF
GJ
おれも巴里書院読みてえ

231:名無しさん@ピンキー
07/12/03 00:57:50 RTnMQzmO
GJ
山田流秘奥義吹いた


普通に面白い話にネタを混ぜてくるゲーパロ氏がにくい

232:名無しさん@ピンキー
07/12/03 02:01:21 j0eolWBk
超GJっす

リアル孕ませゴッコにフイタww

233:名無しさん@ピンキー
07/12/03 02:04:12 yqcrEGnQ
リアル孕ませごっこw

くやしい・・・でも噴いちゃゔ;`;:゙;`(;゚;ж;゚; )ブフォ オ

234:名無しさん@ピンキー
07/12/03 15:14:39 e7d/yaOP
リアル○ごっこw
エアーウルフやアッキアキに続いて、相変わらずゲーパロ氏の蝶変換は凄いなw

しかし、その分主人公の心境との落差がセツナス
やはりこのカップルは幸せになるべき

235:名無しさん@ピンキー
07/12/03 19:31:16 TETTpqgS
URLリンク(alfalfa.livedoor.biz)
弟に依存してる姉、に脳内変換したら萌えたw

236:名無しさん@ピンキー
07/12/03 22:02:30 bs+DIsH8
まさか、この板でここまで笑わされるとは思わなかった
(いい意味で

237:名無しさん@ピンキー
07/12/04 23:59:11 F1LP5RJS
しかし、喧嘩の現場を押さえた直後にはなんもせずに、妹が逃げ帰ったとたんにこれか。
結局母親はどこまでも妹の手先なんだな。
母親主観の回にしても「だから私は悪くない」という逃げ口上としか思えんし。
そりゃ食っていくことは奇麗事じゃすまんだろうが、再婚以後姉を妹の付き人に売り飛ばして
全く姉の味方をしてこなかったのはあんた自身だろうが。無能無策な親父主観はまだかね。

238:名無しさん@ピンキー
07/12/05 13:52:24 G3+hXdBv
娘がテーブルにザーメンコンドーム放り出してたのに
なにも言わないわけないだろ

239:名無しさん@ピンキー
07/12/05 21:15:01 /xNiRi4e
孕ませごっこがないのにリアル孕ませごっことは、これいかに

240:名無しさん@ピンキー
07/12/06 00:41:02 YkzYE2O0
<誤字を超えた超表現>
<日本語の範疇を超越した>
というがごとし。

241:名無しさん@ピンキー
07/12/06 03:36:00 EYhVmTK1
そう言えば、この両親にそれなりの制裁が加えられる
可能性は超展開でもない限りなさそうだな。
あー、3人とも殺したい。

242:名無しさん@ピンキー
07/12/06 08:45:28 HybkDtRH
いや、殺したいってほどに直接的問題行為はしてないと思うんだが3人とも。
親として最低限の義務は果たしてるので、自立して関わらないようになれば問題ないレベルだし。


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