07/11/17 21:54:18 Z2OX0EhD
「こんにちは。今日はどんなお花がお勧めですか?」
しなやかな長い黒髪。白いワンピースの良く似合う、清楚な二十歳くらいの女性。うちの花屋に良く来る常連さんだ。
「いらっしゃいませ。今日はユリの花なんかキレイですよ。」
オレはユリを一輪手に取って差し出す。
「綺麗ですね。私ユリの花が大好きなんです、私の名前も『百合』なんですよ。」
にこりと微笑むその笑顔は、正に可憐な花の様だった。
「キレイな名前ですね。あなたのイメージにぴったりの素敵な名前だ。」
我ながら歯の浮く様な恥ずかしいセリフだと思った。でもそれは営業用のサービストークではなく、素直な印象だった。
職業上、花を美しいと言うことに抵抗は無い。だから『ユリ』という名前を褒めることは恥ずかしいことではなかったし、以前からその女性に好意を持っていたから、その言葉はごく自然に出たものだった。
「ありがとうございます。ではユリの花と、一緒に生ける花を選んでもらえますか?」
はにかんだ笑顔がかわいらしい。