少女ファイトでエロパロat EROPARO
少女ファイトでエロパロ - 暇つぶし2ch156:少年もファイト
08/02/01 22:28:20 xcF0LANk
>>151の続き

奈緒の胸に顔を埋めたまま、厚子の嗚咽は続いていた。
(私が人前で泣くなんて……)
自分で自分の有様に驚く。一体、何故こんな気持ちになってしまったのか?
己の心の内に秘めた葛藤。絶対に誰にも言うまいと決めていたはずだった。これは、私一人の問題。
誰かに縋って、答えを導き出せるものではない。それに本来、厚子は他人に頼ることを由とはしなかった。
しかし正直、
(もう、疲れた……)
答えの出ない問いに思い悩む行為が、こんなにも苦しいものだったなんて。それは確実に厚子の精
神を疲弊させていった。その苦痛から逃れるために、世間のあらゆることから目を背けてきた。あん
なに好きだったバレーの練習にも顔を出さなくなった。煙草にも手を出してみた。だが、所詮は一時し
のぎの逃避に過ぎず、より一層自分を追い詰める結果となった。
(このままでは、私は本当に駄目になってしまう。どうすれば……)
そんな時、思いがけず奈緒が目の前に現れた。彼女とちゃんと言葉を交し合うのは、どれ位振りだろう?
 奈緒の明るく屈託のない声を耳にしている内に激しく胸に込み上げてくるものがあった。不意に涙腺が緩む。
(泣くもんか)
しかし、零れ落ちてくる涙は止めようがない。自分の急変に奈緒はさぞかし驚いていることだろう。
(格好悪いな)
しかし、そんな厚子を奈緒は黙って受け入れてくれた。そのことが何より嬉しい。
(あの頃に戻りたい)
登下校も休み時間も部活でもいつも一緒。奈緒さえいれば、それで良かった。
『厚子といたら、どこでも楽しーもん』
あの言葉を、もう一度素直な気持ちで聞けたら。
こうなったら、全てを吐き出してしまいたい。答えも意見もいらない。ただ、話してしまいたい。ただ、聞い
てもらいたい。それだけでいい。

「お母ちゃんが死んだとき……ただ哀しくて、つらくて……心の中にポッカリと大きな穴が開いてしまった
みたいで、どうしようもなかった。父ちゃんから『母ちゃんは、天国で幸せに暮らしてる』って聞かされて、
それでどうにか自分を慰めてきた。それでも埋められない穴はバレーに打ち込むことで誤魔化してきた。
とにかく身体を動かして余計なことは考えないようにして……なんとか、これで乗り切っていける。そう思っ
てた。だけど、しばらく前に家へ帰ったら知らない女の人がいて、とうちゃんが『今日からこの人が、お前の
新しい母ちゃんだ』って言うんだ―ショックだった。頭の中が真っ白になった。その人は、とても良い人で、
多分出会い方がこんな形じゃなかったら、私もすぐに好きになったと思う。でも、『もし私までこの人を受け
入れてしまったら、死んだ母ちゃんはどうなる? 誰も母ちゃんのことを思い出さなくなる。母ちゃんのことを
忘れてしまう。そんなの可哀想すぎる』 そう思ったら、とてもその女の人を受け入れることが出来なくなった。
ひどいことを言ったり、ひどいことをしたり……その人は、とても傷ついていると思う。でも、どうしようもなくて
―傷つけることで母ちゃんを守ったつもりになって、逆に母ちゃんのことまで傷つけてるようで……そんな
自分に、うんざりで― 奈緒、私どうしたら良いのかなぁ?」
(厚子が私に、自分の心の闇を曝け出してくれている)
その事実に奈緒は衝撃を受けた。例え親友同士であろうと己の弱い部分を見せることなど、普段のプライドの
高い厚子なら考えられない行為だ。逆にそれだけ厚子が追い詰められていたという証でもあるのだろうが。
目頭が熱くなった。涙もろい性格で『フランダースの犬』は何度観ても泣いてしまう。でも、今回ばかりは必死に
なって涙を堪えた。厚子は世界中の誰よりも私を選んで打ち明けてくれた。縋って頼ってくれた。私まで泣いて
しまったら、それは厚子の気持ちを裏切ってしまうことになる。
いつもなら泣き言を言うのは奈緒で、厚子はその度に『しょうがねえなぁ』という顔で奈緒の手を引いてくれる。
(今度は私が厚子の手を引いてあげる番なんだ)
だから、絶対に泣いてちゃいけない。


つづく



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