少女ファイトでエロパロat EROPARO
少女ファイトでエロパロ - 暇つぶし2ch100:名無しさん@ピンキー
07/10/19 23:49:48 u1Aw/N6o
つか>>96が間違いだと思った訳が知りたい
「誰だよ。」ってツッコミがあるじゃんよ

101:名無しさん@ピンキー
07/10/26 10:12:50 /HZ/q/1M
あげ

102:名無しさん@ピンキー
07/11/01 11:31:44 rGLGQ/QX
続きを待ちつつ保守

103:名無しさん@ピンキー
07/11/07 01:41:35 NdEjqfd+
保守。
今更だが今回もさりげなく学とミチルが仲良さそうなのに萌えた。
ああ言う派手に表に出さないってのが2人らしくて良いね。

104:名無しさん@ピンキー
07/11/07 14:02:24 2qQTlm8m
町ルミ、お待ちしてます。

105:名無しさん@ピンキー
07/11/12 21:00:46 xecHNi5y
つづきをきたいしてあげ

106:名無しさん@ピンキー
07/11/20 22:12:50 s/HlzXlf
このままじゃ落ちそうだぞage

107:名無しさん@ピンキー
07/11/24 13:38:11 Oayjt+1s


108:名無しさん@ピンキー
07/12/04 19:32:21 NoQO+KwC
ほす


109:名無しさん@ピンキー
07/12/04 21:29:50 +bhYj0UZ
保守しかないので保守ついでにちょっと妄想一行シチュ
箇条書きで数個投下してみる



・犬神(父)に絡まれて不可抗力涙目状態鎌倉
・泥酔状態で弟の服を脱がしにかかる政子様(その際弟は全力で拒否ってるとベター)
・お嬢×千石 と見せかけた千石×お嬢
・他にも色々考えて結局ミチルと学の初々しい二人に原点回帰←

現実逃避用のマイサプリメモR18区分ともいうが 

110:名無しさん@ピンキー
07/12/07 09:59:19 qxUIvxLm
今度の少女ファイト掲載イブニングは12月25日発売かな。

なんかクリスマスのイラストとかプチ漫画みたいなのがあるといいな。

公認カップルのそれぞれのクリスマス
みたいな



111:名無しさん@ピンキー
07/12/09 14:36:42 v0Ot4lnc
「恋人はサンタクロース♪ 背の高いサンタクロース♪」
「私、そんなに背高くないですよ~」




なんてやり取りを想像してしまった

112:名無しさん@ピンキー
07/12/09 17:34:07 KdRg6vWo
学とミチルで勝手に>>111の続き。

「や、お前十分背ぇ高けーよ」
「あんまり言わないで下さいってばー。結構気にしてるんですから」
「いーじゃん、バレーすんのには恵まれてんだから」
「でも一応女の子としては彼氏と同じくらいっていうのはちょっと…」
「多分まだ伸びるから安心していいぜ?つーかちゃんと彼氏だって思ってくれてんだな」
「えぇ!?あ、その、当たり前じゃないですかっ!」

どこの少女漫画だよってくらいベタで失礼。

113:名無しさん@ピンキー
07/12/10 20:39:57 jCDnZNGk
何を仰る
充分、有り得るシナリオですよ♪


114:名無しさん@ピンキー
07/12/13 05:27:09 tKkh7hzu
>>112
萌えた、あり得そうで萌えた。
この二人のクリスマスは健全そうだよな。

二人で普段よりちょっと良いケーキ買ってきて、公園でいつもの練習がてら一緒に食べて、
突然降った雪にホワイトクリスマスだ~とか言いながら束の間の幸せを噛み締める…

自分も少女漫画展開になってしまった…でもこの二人の初々しい恋の行方を妄想するのは楽しい。

115:名無しさん@ピンキー
07/12/13 20:07:25 AZrOrZ1C
この二人はかわいいよなホント…
どんな展開にするにも汚せない。
>>112グッジョブー


116:名無しさん@ピンキー
07/12/16 00:41:27 t9CO+Qhx
>>111-112、>>114の少女マンガ展開にうずうずと萌えた

最近単行本で読んで少女ファイトにハマったんだけど、3巻ラストのミチ学がよすぎた
よく考えたら不良少年(?)と優等生なんだな、この二人
小中時代のクラスメイト以上友達未満な二人の妄想が止まりません

117:名無しさん@ピンキー
07/12/16 03:25:30 bPITFi7f
上の方でミチ学書いてた人続きマダー

118:名無しさん@ピンキー
07/12/24 19:31:08 ct+z2+Aa
たったいま見てしまった光景の衝撃が拭い去れず、心の整理がつかないまま俺は来た道を引き返し
ていた。
あれはきっと『良い事』なんだろう。想いあっている者同士が辿る自然な成り行きでの行為。兄貴のこ
とは尊敬している。練のことも大切に思ってる。俺だって、二人の幸せを望んでいたはずだ。
だったらどうして心の底から『良かったな兄貴』、『良かったな練』と思えないんだろう。俺は……俺っ
て奴は……。
不意に誰かが俺を背後から抱きしめる。学だ。すっかり忘れてた。二人で練を探していたんだった。
「お、おい……」
「……すいません。でも……ミチルには私がついていますから……だから……あの……元気出してく
ださい……って。わたし……何を言ってるんでしょうね……はは……」
……こいつはいままで、どんな気持ちで俺の背中を見ていたんだろう? 抱きしめる腕と声が震えてい
る。馬鹿野朗! なんでお前が謝るんだよ! なんでお前が泣いてるんだよ!
悪いのは全部、俺なんだ。
どうした、俺。こういう時こそ、いつもの俺らしく振舞わなきゃ。そうだろう?
『やぁ、なんかスッゲーもん見ちまったよなぁ。これぞ『決定的瞬間』ってやつ? あっ、このことはお互い
黙ってようぜ。あんなシーン見られたとあっちゃぁ、いくらなんでも立つ瀬がないだろうからよ。あっはっは!』
馬鹿面で、馬鹿みたいな声で、馬鹿みたいに笑って。そうすれば、学だって
『あはは……そうですね』
と、笑い返してくれるだろう。
だけど……だけど、どうしても声が出せない。出せばその場で泣き崩れちまいそうで……最低だ。
わりぃ、学。許はと言えば俺のあまりに手前勝手な理由で『交際』することになっちまった俺とお前だ。い
つかはお前も俺に愛想をつかして去っていってしまうかもしれない。
だけどその日が来るまで……せめて今だけは……こうして、俺の傍にいて欲しい。






今週号を読んで、勢いだけで書きました。色々おかしな点が多々見られるかもしれませんが、クリスマス
ということで大目に見てください。


119:名無しさん@ピンキー
07/12/25 12:20:35 VXDITvRC
>>118
GJ!!
神すぐる!!

今回の内容ヤバすぎる…そんな時に名作をありがとう。

120:名無しさん@ピンキー
07/12/26 10:40:29 0VttFKoL
>>118と今回の内容に触発されてミチ学書いてはみたけど…長くなった。
あと、今までROM専だったから改行とか一回にどれだけ書き込めるのかとか全然分かってません。
内容も大したことないんで、お目汚しすいません。

121:名無しさん@ピンキー
07/12/26 10:42:47 0VttFKoL
「この街に住むなら、みんなはどの家がいい?」

真理が聞いた時、ほんとは一番最初に惹き付けられたのは、丘の上にポツンと立ってる赤い屋根の家だった。

練が脱走から帰ってきた翌日、自由時間にフラリと街に出た。
軽く飯だけ済ませて帰るつもりだったけど、気付けばあの模型センターの前にいた。
脱走した練を、兄貴がここで見つけた。
このジオラマを見ていると、練もあの日のやり取りを思い出すんだろうな。

「オレここがいい」

兄貴が選んだのは木造二階建ての落ち着いた感じの家だった。
オレは…と赤い屋根の家を指す前に、隣の練が口を開いた。

「ねりもー」

反射のように口を付いたのは
「オレもー」
という、ありきたりな肯定の言葉。
あの時は、何で嘘を付いているのか自分でも分からなかった。
皆と話を合わせたかったのか、雰囲気に飲まれたのか、それぐらいに思ってた。
今なら分かる。
オレは、練と一緒にいたかったんだ。
あの頃から、ずっと。

122:名無しさん@ピンキー
07/12/26 10:45:05 0VttFKoL
昨日、橋から眺めた光景が頭から離れない。並んで話す兄貴と練を見つけた時、咄嗟に声をかけられなかった。兄貴と練の姿はとても自然で、風景の中から一枚切り取った絵のように綺麗だった。
兄貴が手を伸ばして練にキスして、そっと押し倒す姿を、コマ送りのように見ていた。
上に伸びたままの練の手がそっと兄貴の背に置かれた時、自分の中で何かが死んだ。
いつか二人が幸せになるべきだと言い聞かせてきた自分。
二人がちゃんと結ばれた時に、笑いながら「おめでとう」と言うつもりだった自分。
そんなオレの中にあった覚悟とか、守ってきた小さなプライドが、ガラガラと崩れる音を聞いた。

寝ている練に一度だけキスをした。
猛省したし、もう二度とあんな事しないと決めてたけど、昨日気付かされた。
練が好きだった。
唇も、腕も、指も、背中も、ホントは全部オレだけのものにしたかったんだ。

123:名無しさん@ピンキー
07/12/26 10:48:13 0VttFKoL
ジオラマの前に立ち尽くすオレの足元に影が重なった。
それだけで、誰なのかすぐに分かった。

「何でここって分かった?」

「…自由時間、過ぎてますよ?みんな、練さんの次は式島君かって心配してます。」

小田切が、小さな声で噛み合わない返事をした。

「…式島君?」

小田切は隣に並んで、心配そうにオレを見ている。

「真理と兄貴と練と四人で、よくここに来たんだ。練がここ好きでさ。」

「式島先輩に聞きました。多分ここにいるって…」

小田切はガラスにそっと手を添えた。

「オレ達さ、あの頃は四人でこの家に住みたいって言ってたんだ。でも、もう無理だよな。」

乾いた声がこぼれた。
「バレーは三人でもできたけど、恋愛はペアでしかできないもんな。」

小田切の手が、そっとオレの手を握った。

124:名無しさん@ピンキー
07/12/26 10:51:26 0VttFKoL
「とりあえず出ましょう…式島君」

二人並んで、昨日の土手を歩いた。
橋の上で自然と足が止まる。

「ワリ…あんな話して。オレ達一応…付き合ってんのにな。」

小田切は、真っ直ぐにオレを見つめて

「ずっと想い続けてきた人への気持ちが、すぐにリセットされるわけないです。」

柔らかく、笑ってくれた。

「いんです。練さんの事を好きでもいんです。その方が、私も式島君の人を想う気持ちを、好きって言葉を、信じられますから。」

オレの頬を小田切がそっとなぞる。
気付けば、自分の頬が濡れていた。

「ちょ…ワリ…オレ、かっこ悪…」

慌てて顔を背けようとしたら、小田切に抱きしめられた。

「あんまり恋愛経験の無い私が言っても説得力ありませんが…誰かを好きになった気持ちって、たとえ叶えられなくても十分意味があると思うんです。大切な宝物だと思んです。だから…。」

おでこをくっつけて、小田切が頭をそっと撫でてくる。

「今まで他の人の前ではずっと隠してきたんですから、私の前では練さんへの気持ち、隠さなくていいですからね。」

気持ちの中で張りつめていた糸がプツンと切れた。
小田切の肩に顔を埋めて、いつ以来だろうか、声をあげて泣いた。

125:名無しさん@ピンキー
07/12/26 10:55:30 0VttFKoL
人前で恥ずかしかっただろうに、オレが泣き止むまで小田切はずっと頭を撫でてくれた。小田切のシャツの肩口は色が変わるくらいに濡れてしまったけど、ずっとそのままでいてくれた。
それから、夕焼けの中、手を繋いで学校へと歩いた。
小田切の表情を盗みみるといつもと全く変わらなくて、さっきまで泣きじゃくっていた自分が逆に恥ずかしくなった。

練を好きだった気持ちはすぐには消えない。多分、これから先も胸が痛む時はある。
でも、幸せな事にオレには今、一緒に歩いてくれるコイツがいるんだよな。

目が合うと、小田切はしまらない顔でニヘラと笑った。
そんな顔を見てると、俺も釣られて笑いが出てくる。

「ジオラマの街…覚えてるか?」

「はい、良くできてましたよね。」

「俺、ガキん頃はみんなと一緒にあの家に住みたいって言ってたけど…ほんとは一番最初に惹き付けられたのは、丘の上にポツンと立ってる赤い屋根の家だったんだ。」

「ああ、あのちょっと目立ってる家ですね。何か式島君らしいです。」

「なんか…調子いいけどよ、今度あのジオラマを見に行く頃にはきっと、あの赤い屋根の家でお前と暮らせたらなって思うようになってるよ、オレ。」

へ?と間の抜けた顔で小田切は聞き返してくる。

なんでもねえよっと頭を掻いて、人がちょっと勇気出した時に限って恐ろしく察しの悪い恋人の手を引き、そっと頬にキスをした。

126:名無しさん@ピンキー
07/12/26 12:32:49 Es2zQMLA
>>118>>120もGJGJGJGJGJ!!!

ミチまないいなー。可愛いなー。


127:名無しさん@ピンキー
07/12/26 18:47:36 qhhH1/Yk
支援age

128:名無しさん@ピンキー
07/12/26 20:45:07 feT+qU+7
>>118>>120もかわいすぐる…
GJ!!!!
ミチ学萌えるよミチ学

129:少年もファイト
07/12/28 20:19:36 O3L03Mqt
私の中学校時代の渾名は、『鉄仮面』
他者から見た私の印象は、『無口』、『暗い』、『何を考えてるのか分からない』、『犬神の犬』
心無い男子生徒からの聞こえよがしの中傷が、何故か耳から離れない。

『鎌倉ってさぁ、感情ってもんを親の腹の中に忘れて来たんじゃねえの?』

目が覚めた。
時計を見れば、深夜の2時。普段は寝付きのいい私が、何故こんな中途半端な時刻に。胸騒ぎがした。
何の根拠もない。だが、確かめずにはいられない。私は躊躇無くベッドから起き上がり、部屋をでた。闇
と静寂に包まれた廊下を慣れた足取りで進む。不躾な足音を立てることなく速やかに。長年、犬神家に
仕えている母から仕込まれた歩行法で、目的の場所へ向かう。
(どうか、私の思い過ごしであってほしいが……)
だが、悪い予感は的中した。部屋の外からでも激しく咳き込む声がする。自然に足が速くなる。
「失礼します。お嬢」
ノックをするのももどかしく、同級生にして親友、そして私が仕える主人、犬神鏡子の部屋のドアを開けた。
一刻も早く安否を確認したかった。
私がそこに見たのは、ベッドから上半身を起こし、背中をくの字に曲げて口元を押さえ咳き込む彼女の姿。
布団の上には何やら怪しげな工具やら部品やらが散らばっている。
「大丈夫ですか、お嬢?」
ベッドの傍らに腰掛け、背中を擦る。
「……やあ、新しい玩具に夢中になっててねえ。根を詰めすぎちゃったみたい。今回のは、少しキツかった
かな?」
「あまり無理はなさらないでください。練習試合も近いことですし」
「そうだった、そうだった。心配させてごめん」
「いいえ、とんでもありません。……で、今度は何を作っておられたんです?」
「ああ、これはねえ……」
お嬢が私に製作途中の工作の説明をしてくれる。この手のことに関して私は詳しくなくて、残念ながらお嬢の
言っていることの半分も理解できない。だけど、実に楽しそうなお嬢の顔を見るのが嬉しくて話に聞き入ってし
まう。
「それはまた、由佳に怒られても知りませんよ」
私が、そう言うと、クックックッと愉快そうに
「そうだねえ、怒るだろうねえ。楽しみだなあ」
悪戯を仕掛けた子供のような笑顔を向けてくる。
顔を真っ赤にして憤る、もう一人の親友、蜂谷 由佳の姿がありありと脳裏に浮かんだ。でも、それは彼女なり
のお嬢への気配り。感情をストレートにぶつけられる彼女が、時々羨ましいと思うことがある。私は自分の性格
上と立場上、とてもそんなことは出来そうも無いから。
その間も、私はお嬢の背中を擦り続けていた。これには、ちょっとしたコツがある。どうすれば、お嬢の発作を軽
くして上げられるか。長年、試行錯誤して編み出した私がお嬢にして差し上げられる数少ない奉仕の一つ。
「ああ、やっぱり沙羅は上手だよねえ。すごく、楽になったよ。……悪いけどさあ、もうしばらくの間、このまま……」
(はい、お嬢が望まれるなら、いつまでだって)
やがて、私の腕の中で軽い寝息をたてられたお嬢を、頃合いを見計らってベッドに寝かせ布団を掛ける。でも、油
断は禁物だ。治まったと思った発作がぶり返すことは、決して珍しいことではないからだ。椅子に腰掛け、お嬢の寝
顔を見守る。穏やかなその表情を窺っていると、その体内に病魔が巣食っていることなど信じられない思いがする。
それだけに、お嬢が不憫で……。
(止めろっ! お嬢の前で、そんな顔をするなっ!)


130:少年もファイト
07/12/28 20:22:51 O3L03Mqt
激しく己を戒める。危なかった。私らしくも無い失態だった。
十分ほど経過して、お嬢の容態が安定したことを確信すると、ようやく安堵の息をつくことが出来た。
布団の上の工作の部品を一つ一つ丁寧に、後でお嬢が困らないよう配置を崩さないよう慎重に箱に
しまうと、音を立てないよう部屋を出て軽く一礼してドアを閉めた。
部屋に戻りベッドに潜り込むと、堪えてきたものが限界を越えて溢れ出して来た。
「う……くっ……」
お嬢は決して弱音を吐かれない。『つらい』とか『苦しい』とか『もう駄目』など一度も仰ったことはない。
だけど、私は見てしまった。中学時代、大事な試合でチームがピンチの時、笑顔で応援しながら試合
に出られない悔しさを拳を握り締めて堪えているお嬢の姿を。私はお嬢のように強くない。由佳のよう
に素直になれない。私は弱い人間だった。だから私は感情を棄てた。お嬢を含め周囲の人間全てに
冷徹に、冷静に、慇懃に対応してきた。お嬢と接した際、感情が乱れないよう。もし、お嬢の前で同情
するような素振りを見せれば、それはお嬢を侮辱するような行為だと思った。
しかし、その抑制も効かずに暴発してしまう瞬間がある。いまが正にその時だった。
(ここが、私の部屋で良かった)
この部屋だけが、私が己を吐露できる唯一の空間だった。
医学書をよく読む。少しでもお嬢の力になりたい一心で。医学は飛躍的に進歩したという。ガンの特効
薬さえ開発されつつあるという。
(だったら何故、お嬢の発作一つ止めることが出来ないのか!)
私は無力感に打ちひしがれた。
夢をみる。それは決まってバレーの試合の夢。
お嬢はセッター。両サイドには私と由佳。お嬢と『風神』、『雷神』の3人を前にして敵うチームなど在りは
しない。お嬢はとても生き生きとしていた。走って、跳んで、ボールを追い掛ける。試合終了の笛が鳴る。
勝った。フルセット出場したお嬢は全身汗みずくになりながらも、実に清清しい笑顔で皆と健闘を称えあ
う。やがて、私の方を向き、
「やったね。よく頑張った、沙羅」
と肩をたたく。
「はい、お嬢」
お嬢の笑顔に、私も笑顔で……
……いつも、そこで目が覚める。分かっていた、これが夢だと。在りえない夢物語。だから、わたしの笑顔
など夢の中でも思い描けない。そしてまた、ベッドの中でむせび泣く。
(早く寝よう。練習試合も近い。今日も厳しい特訓が待っている。無駄な体力を消耗しているヒマはない)
お嬢は感の鋭いお方だ。泣いた跡が残らないように気をつけないと。いつもの自分らしく振舞えるようにして
おかないと。
電気を消して闇の中に身を横たえ、目を閉じた。寝付きの良い私は、すぐに眠りに落ちていた。
お嬢が安らかな一時を過ごせるよう祈りながら。
決して夢を見ることのないよう願いながら。


131:名無しさん@ピンキー
07/12/29 08:57:14 A14IrI/h
>>129GJ!!!

鎌倉×お嬢が来るとは思ってなくて油断してた俺が通りますよ。
百合マンガ系の同人サイトで「微百合」の項目に少女ファイトがあったけど、これは鎌倉×お嬢とか、学×練あたりなんだろうな。
厚子×ナオは友情ということで。
少女ファイトは百合好きな人にもそういう視点で楽しめる作品なんだと思った。

実際、鎌倉のカップリングはお嬢もありだよな。
お嬢×千石も好きだが。
まぁ…俺は学はミチル派だがノ

132:名無しさん@ピンキー
07/12/30 07:39:16 CU4T5YFo
鎌倉×お嬢GJ!!
お嬢につくしすぎな鎌倉萌えw


ただ……苦手な人もいると思うから百合作品には注意書きあったほうがいいと思います。

>>131
おいおい。厚子ナオだって十分百合だぞ。

と厚子ナオ好きの自分が言っておくw

133:少年もファイト
07/12/30 09:18:53 8imCwfN1
そうでした。読み返してみてレズ・百合スレに投下すべき作品
だったかもしれんと反省。
ここの空気がすきなので、ついここで書きたくなる。


134:名無しさん@ピンキー
07/12/30 11:59:44 3RsiaiNt
>>132
うん、正直言うと俺も厚子ナオ好き。
ただ、どっちも彼氏ぽいのがいるから保守的に友情て書いたけど、俺以外にも厚子ナオ派がいて嬉しいw
好きな気持ちが、ちょっと厚子>ナオぽいのがいい。
厚子はナオの事考えまくってて泣ける。

>>133
いや、132の言うように注意書きさえ書いてくれれば、百合嫌いな人は問題無いわけで、これからもバンバン投下してください。
せっかくの少女ファイトのSSをここで読めないのはもったいない。てか俺がもっと読みたいのでお願いします。

135:少年もファイト
07/12/31 01:11:20 Piz43iFy
百合です。しょ-こりもなく鎌倉×お嬢で(笑) あんまエロくもない。苦手な方はごめんなさい。

今日も私はお嬢の傍らに立つ。お嬢の影として僕として、自分を押し殺したまま。

「はい、鎌倉先輩、大ファンです?」
(え……ちょ……)
スカッ
(ああ……)
瞬速のスパイクになるはずだったボールは、見事、鈍亀のヘナチョコボールと化した。
ギャラリーが騒つく。『まさか、ここでフェイントとは……』という声が聞こえてくるが、そんなんじ
ゃない。黒曜谷ストレイドッグス恒例のエキシビション。新入部員実力測定テスト『制服レシーブ』
を任された私の失態だった。
(まさか、この程度のことで動揺するなんて……)
今までも私の『ファン』と称する生徒は何人か存在したが、遠巻きに眺めるだけで声を掛けてくる
様なことはなかった。こうまであからさまに直球で好意をぶつけられたのは初めての経験だった。
(まさか、私の動揺を誘うための作戦?)
と勘繰ってみたが、様子を窺うと本心からの叫びだったようで、
(天然、恐るべし!)
長年の付き合いである由佳は、流石に気付いたようで
(沙羅が、あんなにうろたえた姿なんて、初めて見たわ)
と、苦笑している。恥ずかしくて、穴があったら入りたい気分だ。
お嬢は……とても顔を向けられなくて、どんな表情をされていたのか分からなかった。

お嬢は、終始ご機嫌だった。新入部員が曲者揃いの粒揃いだったせいだろう。廃部寸前まで追い
詰められ、紆余曲折を繰り返してきた女子バレー部も、いよいよ本格始動となりそうだ。お喜びに
なられるのも、むべなるかな。
部活終了の下校時、帰宅されてからもテンションは高いままで、浴室で私がお嬢の背中をお流し
している時も、なにやら鼻唄まじりで、私もつい嬉しくなって、
「何か良いことでも、御ありだったんですか?」
と訊いてみた。
「うん? ああ、あった、あった。お澄まし顔以外の沙羅の表情が久しぶりに見られたもんだから、
嬉しくなっちゃってさあ」
「えっ……見られてましたか? やっぱり」
思いがけない返答に、言葉が詰まる。
「とーぜん?」
「申し訳ありません」
「おかしいよ。何故、謝るの?」
何を思ってか、お嬢は突然、こちらへクルリと向き直り、私の顔を両手で挟みこむ。不意のことで
身体が硬直し、訳も無く心臓がドキドキした。
「私はね、幼い頃のことをよく憶えてる。あの頃の沙羅はとても表情豊かで、よく笑ってた。沙羅の
笑顔を見なくなって随分久しい気がする。前から思ってたんだけど、それって私のせい……」
「違います」
私は言下に否定する。
「前から申し上げている通り、私は本来こういう性格で……」
「本当に?」
お嬢の瞳がいつになく真剣な眼差しで、私の心を射抜く。核心をつかれた人間の心理は脆い。だけ
ど、私はその点、充分に鍛え上げていた。お嬢の真っ直ぐな瞳に耐えるのは、至難の業だったが。
「本当です」
「……そう」
そう言って、目を伏せられる。嘘を述べたつもりは無い。だけど、お嬢を傷つけてしまったことは間違
いなく、私は激しい罪悪感にさいなまれた。




136:名無しさん@ピンキー
07/12/31 01:17:59 Piz43iFy
「はい、鎌倉先輩、大ファンです」

「とーぜん」
の語尾には、本来、ハートマークが入るはずでした。
ハズカシイ・・・・・・

それと、もうちょい続きます。気長にお付き合いのほどを。


137:名無しさん@ピンキー
07/12/31 10:59:08 p9/P3Kfe
支援age

138:名無しさん@ピンキー
08/01/03 18:49:55 Bb9LwXWA
>>135の続き

重苦しく気まずい沈黙が浴室を覆った。
何とかしてこの嫌な空気を払拭しなければと焦るが、何をしても空回りしてしまいそうで、それが恐
ろしかった。
お嬢には、誓って嘘は言ってない。だから、堂々としていれば良い。しかし、どうしても後ろめたい思
いがつきまとう。それが私を、ひどく臆病にしていた。いつだって冷静沈着でいられる自信はある。で
もお嬢絡みのことになると、その自信は雲散霧消してしまう。
先に動いたのは、お嬢の方だった。そのまま何も言わず立ち上がり桶で湯を掬い、身体の泡を洗い
流す。黙ったままでいるときのお嬢を見ていると、妙な不安に掻き立てられる。その後に大抵、突拍子
も無い行動に出られるからだ。私は嫌な予感がしていた。
そして、それは的中した。
クルリとこちらを振り返った時のお嬢は、普段通りのにこやかな笑みを浮かべて、こう仰った。
「さあ、今度は私が沙羅の背中を流してあげよう!」
「え……ちょ……そんな、結構です。自分でやれますから」
「いーから、いーから。おねーさんに、任せなさい♪」
「同い年じゃないですか!」
お嬢が、一度こうと決めたらテコでも動かない。結局、使用人の娘が雇い主の一人娘に背中を流して
もらっているという、母が知ったら卒倒しそうな光景が繰り広げられていた。
「どっか、痒いところはございまして?」
「……いえ、大丈夫です……」
もう緊張して、それ処じゃない。一体、何故こんなことに。
仕方が無い。諦めて成り行きに任せることにした。状況が状況であるが、やはり背中を流してもらうと
いうのは気持ちがいい。日頃の部活に疲れ、適度に温まった身体。いつしか私は半分、夢うつつの中
に身を浸していた。
あれは……中学一年の夏休み。バレーボール部の練習に向かう途中の出来事。暑い日がずっと続い
ていて、その日も早朝だというのにすでにジリジリと日差しの照りつける真夏日の様相を呈していた。
そこで私は初めて見た。お嬢が発作に襲われる瞬間を。隣にいたはずのお嬢の姿が消え、後ろを振り
返るとお嬢が道上に蹲っていた。慌てて駆け寄ると顔色は真っ青で激しく咳き込んでいた。これまでは
何かしら予兆めいたものがあったらしく体調が悪くなると事前にかかりつけの病院に行ったり、床に臥
せられるようにされていた。今回はお嬢にとっても不意打ちの出来事だったようだ。
(何とかしなきゃ……)
だが、一体どうすれば? 早朝ということで周囲には誰もいない。私は完全なパニックに陥っていた。足
が竦んで動けず、声も出ない。ただ、呆然と見ていた。太陽のように輝くお嬢の顔が苦悶に歪むのを、歌
うように軽やかな声を発するお嬢の口から獣のような呻き声が漏れるのを。何にも出来ないまま、ただ見ていた。
(このままじゃ……お嬢……死……)
そこでやっと足が動くようになった。私は走った。
(誰かに知らせないと!)
犬神家まで戻り、私の泣き声に驚いて飛び出してきた家人に事情を説明し、緊張の糸がプツリと切れてし
まい、私は気を失った。
夢を見た。
『何故、私を一人にしたの? 何故、傍にいてくれなかったの? あんなに苦しかったのに! あんなに心
細かったのに!』
お嬢の批難が、私の心に突き刺さる。
『親友だと……信じていたのに!』
悲鳴を上げて飛び起きた。全身汗まみれで、蒸し暑い夜だというのに震えが止まらない。夢。だけど、ただ
の夢じゃない。きっと、お嬢もそう感じているに違いない。
あの時私は携帯を持っていた。お嬢の傍を離れる必要は無かった。その場で家になり病院になりに連絡す
ればいいだけの話だった。私は怖かった。怖くて怖くて仕方なかった。目の前で苦しみもがくお嬢が。それを
何も出来ない呆然と見ていることしか出来ない自分が。
……だから、逃げ出した……親友なのに。
次の日、病院へ見舞いに行った。
(一体、どの面下げて逢いに行くつもりなのか……)


139:名無しさん@ピンキー
08/01/03 18:51:49 Bb9LwXWA
でも逢わずにはいられない。逢って、きちんと謝罪したかった。たとえ何と言われようと、罵詈雑言
浴びせられようと構わない。そうされても仕方ないことをしてしまった。だから逢いに行く。そうしない
と私の罪は償えない。私の魂は救われない。
だけど、お嬢から告げられた言葉は
「ありがとう」
という謝辞だった。
「沙羅がいなければ私一人じゃ、どうしようもなかったよ。沙羅がいてくれて良かった。命の恩人だね」
(違います!)
そう叫びたかった。
(私は逃げ出しただけです……お嬢を見捨てて……命の恩人どころか……ただの卑怯者なんです!)
だけど、言い出せなかった。お嬢が誤解しているのを良いことに、それを利用した。苦しんでいるお嬢
からも真実からも逃げ出して……私はつくづく最低の人間だった。

それ以降、私は己を棄てた。もう、二度とお嬢の傍から逃げ出すことのないよう、弱い自分を切り捨て
た。これは自信への戒め。そうしないと、私はお嬢の傍らに立つ資格が無い。

「お嬢?」
過去の古傷を思い返すことに意外に嵌まり込んでいたせいか、背中のお嬢の手が止まっていることに
気が付くのに時間がかかった。振り向こうとした瞬間、お嬢のしなやかな腕が首筋に巻き付き、背中に
しな垂れかかって来た。お嬢の柔らかい肌が密着する感触が、はっきりと伝わってくる。思いがけない
事態に、心臓が飛び上がりそうになった。
「お……お嬢。いくらなんでも、お戯れが……」
立ち上がろうとして、足が滑った。頭をしたたかに打って目の前に火花が散った。天使が輪を描いてダ
ンスを踊る様を眺めながら、今度はお嬢と正面から抱き合って押し倒されているような形になっている
ことに気が付いた。
「お嬢、いい加減に……」
「沙羅、好きよ」
幻聴だと思った。だけど、
「沙羅、大好き」
今度は、はっきり聞こえた。
「……だけど、だからこそ、あなたには自由でいて欲しい。自分の運命は、とっくの昔に受け入れる覚悟は
している。だけど、沙羅まで重いしがらみに囚われるような顔をしているのを見るのは、とてもつらいんだ。
だから、私の分まで生きるのを楽しんで……」
(ああ、お嬢。どうか、どうか、私のことなんかで苦しまないでください! 泣かないでください!)
何も言わず、ただお嬢を抱きしめた。世界中の何よりも愛しく大切なものを、腕の中に留め置いた。今まで、
お嬢の言葉には全て『はい』と従ってきた。だけど、今回ばかりは首を横に振らざるを得ない。これは自信が
考え抜いて決めた道。迷いも後悔もない。お嬢が涙する理由など、何一つ在りはしない。これが、私なりの精
一杯の愛情表現。
(お嬢。私も、お嬢のことが大好きです)

そして、今日も私はお嬢の傍らに立つ。お嬢の影として僕として、自分を押し殺したまま。

「はーい、じゃあレシーブ練習、開始!」
「鎌倉先輩、よろしくお願いします!」
(ああ……)
スカッ
だけど最近、いつまでこの状態を保てるか。ちょっと自信が無くなってきている。



140:名無しさん@ピンキー
08/01/04 20:33:38 fEcjES2Z
>>138>>139
GJ…鎌倉に瞬殺されました。

141:名無しさん@ピンキー
08/01/04 22:45:18 DUtMPmaP
>>140

ありがとうございます。
でも、エロパロ板にエロ要素の薄い百合物投下
するのも考えものなので、これからもう少し
精進します。



142:名無しさん@ピンキー
08/01/05 17:54:36 lFTtUoHX
>>138超GJ!
サラがお嬢を好き過ぎて泣ける。
俺もまた何か投下したいなぁ…ミチ学でシチュのアイデアがあったら教えてください。

143:名無しさん@ピンキー
08/01/07 01:12:42 xGDj/lg3
少女ファイトメンバーの初詣が見たい。
組み合わせ関係無く。

144:名無しさん@ピンキー
08/01/07 21:40:01 JumzMqvZ
みんなで、練の家の銭湯にいく話が読みたい。


145:名無しさん@ピンキー
08/01/10 22:30:51 B5Jlq3sN
厚子ナオでSS書きたい。
エロイのと微エロっぽいの
二つくらい。
時間がなぁ~。

146:名無しさん@ピンキー
08/01/15 14:58:38 00avjUIo
ほしゅ


147:名無しさん@ピンキー
08/01/19 13:09:43 XBmTZgsG
hosyu



148:名無しさん@ピンキー
08/01/22 00:55:53 AKc9pW1v
ほーしゅ

149:名無しさん@ピンキー
08/01/25 21:32:16 lEMowVme
ほしゅっとな


150:少年もファイト
08/01/28 22:44:03 zJwFtbA6
性懲りも無く百合です。苦手な方はスルーで。
設定は、厚子と奈緒の中学時代。

昼休みが終わり、午後の授業が始まったにも拘らず、厚子は教室に姿を現さなかった。
(ははあ……またか)
状況を察知した私は、手を挙げて教室に入ってきたばかりの先生に告げる。
「せんせーい、お腹が痛いので保健室に行ってきまーす」
先生の返事も待たずに教室を飛び出す。構うことは無い。どうせ私はクラスでも馬鹿で通ってる。私
がいなくったって、誰も気にしやしない。それで結構。いまの私には、授業よりも大切な事があるんだ。
迷うことなく目的地を目指す。
(きっと、彼女はそこにいる)
私には確信があった。外へ出る。木枯らしが吹き付けて寒い。体育館とグラウンドの間にある用具置き
場。使わなくなった工具やら備品やら……とにかくガラクタを貯蔵しておく場所。滅多に先生や生徒が
やって来ることもない。一目を気にせず、コソコソと何かやらかしたい者には打ってつけの不良どもの
隠れスポット。
重く錆付いた鉄の扉に手を掛けて開ける。ガラガラと耳障りな音が響く。ツンと鼻を衝く独得の臭気。饐
えたカビの臭い。染み付いた汗の臭い。時間と共に積もりに積もった埃の臭い。そして、真新しいニコチ
ンの臭い。
そこに彼女はいた。
「サボリ魔、見―っけ♪」
煙草を口に咥え、三段重ねの飛び箱にドッカと腰を下ろした我が親友、延友厚子が私を凝視し固まっていた。
「―なんだ、奈緒かよ。びっくりさせんな。いま授業中だろ、こんなとこで何してんだ?」
「それはこっちの台詞でしょ。厚子こそ何してんの?」
「私は……その……一服してんだよ」
「ふ―ん」
「寒い。入るんならさっさと扉を閉めれ」
「うん♪」
厚子の隣に腰を下ろし、ポケットからプリッツの箱を取り出しポリポリと齧る。
「ねえ、厚子も食べる?」
「いらん」
「ねえ」
「何だよ」
「煙草ってさあ、美味しいもんなの?」
「―駄菓子を嬉しそうな顔で食ってるようなお子様には、理解できんだろ」
「ああ、ひどーい! 同い年のくせにい―えいっ!」
隙を衝いて、厚子の手から煙草をもぎ取る。
「おい!」
取り返そうとする手を制して、素早く口に咥え思い切り煙を吸い込んで、そして―思い切り咽せ返った。
「ゲホッゲホッ! 何なのよこれ。喉が痛い。よくこんなの吸ってられるね、厚子」
「馬鹿! だから言ったろ。奈緒にはまだ早いんだよ。返せ!」
私の手から再び煙草を取り戻し、口に咥える厚子を見て、不意に思ったことが言葉になって出て来た。
「あっ、間接キスだ!」
今度は厚子が咽せ返った。指から煙草がポトリと落ちる。
「ゲホッゲホッ……馬鹿……突然、何を言いやが……ゲホッ! ああ、もったいねえ。まだ充分吸えたのに
……ゲホッゲホッ!」
煙がよほど深く気管に入り込んだのか、厚子の咳はなかなか治まりそうも無い。仕舞いには涙まで浮かべて、
私は申し訳なくなり背中を擦った。


151:少年もファイト
08/01/28 22:45:40 zJwFtbA6
「ああん、ごめん厚子。大丈夫? 悪気はなかったのよ。私って馬鹿だから考えなしに何でも
口に出しちゃうのよ。ねえ、まだ苦しい?」
まだ喉をゼエゼエ言わせながら涙を浮かべている厚子が、私にしがみ付く。そしてそのまま私の身体
に頬を埋めてきた。
「う……くっ……うう……ううっ」
「―厚子、もしかして泣いてるの? そんなに苦しいの?」
予想外の事態に気が動転する。これはもしかして、保健室に連れて行った方が良いのかも?
でも……
「……大丈夫。ごめん……でも、お願い。もう少し、このままでいさせて」
厚子は同い年だなんて思えないくらい、しっかりしている。私なんて、いつも厚子に叱られてばっかりだ。
だけど、その分、私を助けたり励ましたりしてくれたのも厚子だけだった。失恋して落ち込んだ時、バレー
の試合で私のミスで負けて泣いた時、母さんと喧嘩して家を飛び出した時。厚子がいてくれなかったら、私
はどうなっていたことか。
厚子は確かにしっかりしている。でも、やっぱりただの十代の女の子であることに変わりは無い。脆さや弱
さも併せ持っている。厚子がSOSを発信したときに、それを受け止めてあげられるのは、きっと私だけなんだ。
「うん、いいよ。厚子の気の済むまで。私なんかで良かったら、いつまででも良いよ」



つづく





152:名無しさん@ピンキー
08/01/29 01:28:13 kZRdLBAF
学とミチルが付き合うようになってから、はや一ヶ月が経過しようとしていた。
当初ミチルは、部員たちに冷やかされるのでは?と心配していたのだが、
それは男女別々のバレー部員の中でも、入学当時からかなり仲のよかった二人のこと。
すんなりと納得してしまう部員の方が多く、学の冷やかしに全く動じない度胸も相まって、
ただのミチルの杞憂で終わってしまっていた。
今日も校舎を出てすぐ他の部員たちと別れ、ミチルと学は二人きりで帰路へつく。
『付き合う』ことになってから、特に用事のない時は二人きりで帰るようにしているのだが、
ミチルと学の間に流れる空気は、付き合う前も後も何も変わらないものであった。

「それでですね、その時練さんがですね…」

しかも、帰宅まで話す内容は9割方練のことなのである。
もともと学とミチルは私生活での接点(趣味や嗜好など)がバレーを除けばほとんどない。
仲がいいのは小学生の時幼馴染だったことが大きな理由で、それがなければ、
ただの優等生と不良。お互い最も親しくない部類の相手になるだろう。
最も、この付き合い自体、『練を守るため』に始めたものなのだから、この会話の選択は間違っていないのかもしれない。
部活中の練の様子、部活中に何を話したか、部活内の関係はどうか……。
学が口にする内容は、どれも練の現在を知るには必要不可欠なものであり、
『練を守る』という付き合いの主旨には決して反していないだろう。

が、しかし……。

(な~んか『付き合ってる』って感じじゃねえよな、俺たち……)

次第に、そんな状況に不満……というほどではないにしろ、疑問を覚えてしまう自分がいることにミチルは気付き始めていた。
二人きりの時、学がする会話、時折見せる笑顔、これからの目標、そのどれもかれもが練さんが、に始まり、練さんに、で終わるのだ。
分かっていたことではある。否、知っていたことではある。
学がどれだけ練に憧れていたのか。その理由も、切っ掛けも、全部ミチルだけが知っているのだ。

だけど、それでも……。

「私も、練さんみたいに、あんな風に…」

隣でただ、練のことだけを話されるのは、面白くない。
―そう、ミチルは感じ始めていた。

153:名無しさん@ピンキー
08/01/29 01:31:36 kZRdLBAF
うわ~~~すみません、>>152です。
リロ忘れて割り込みになりました。

今号の展開でちょっと思いついたのでミチル×学を書きたいと思っています。
ただなんか難しいんで、ちまちまと、ですが…。
とりあえず今は>>152だけです。

いきなり割り込んでしまい申し訳ありませんでした。
厚子と奈緒続き楽しみにしています。

154:名無しさん@ピンキー
08/01/29 09:20:18 6P7SyKTH
いいよ、いいよ。
こちらこそ続き期待してます。
お互い良作目指して頑張ろう


155:名無しさん@ピンキー
08/01/30 09:19:53 EpdF1t2V
>>152>>153
お二人とも期待しています。
自分も燃料があったら、またミチ学書きたいです。

156:少年もファイト
08/02/01 22:28:20 xcF0LANk
>>151の続き

奈緒の胸に顔を埋めたまま、厚子の嗚咽は続いていた。
(私が人前で泣くなんて……)
自分で自分の有様に驚く。一体、何故こんな気持ちになってしまったのか?
己の心の内に秘めた葛藤。絶対に誰にも言うまいと決めていたはずだった。これは、私一人の問題。
誰かに縋って、答えを導き出せるものではない。それに本来、厚子は他人に頼ることを由とはしなかった。
しかし正直、
(もう、疲れた……)
答えの出ない問いに思い悩む行為が、こんなにも苦しいものだったなんて。それは確実に厚子の精
神を疲弊させていった。その苦痛から逃れるために、世間のあらゆることから目を背けてきた。あん
なに好きだったバレーの練習にも顔を出さなくなった。煙草にも手を出してみた。だが、所詮は一時し
のぎの逃避に過ぎず、より一層自分を追い詰める結果となった。
(このままでは、私は本当に駄目になってしまう。どうすれば……)
そんな時、思いがけず奈緒が目の前に現れた。彼女とちゃんと言葉を交し合うのは、どれ位振りだろう?
 奈緒の明るく屈託のない声を耳にしている内に激しく胸に込み上げてくるものがあった。不意に涙腺が緩む。
(泣くもんか)
しかし、零れ落ちてくる涙は止めようがない。自分の急変に奈緒はさぞかし驚いていることだろう。
(格好悪いな)
しかし、そんな厚子を奈緒は黙って受け入れてくれた。そのことが何より嬉しい。
(あの頃に戻りたい)
登下校も休み時間も部活でもいつも一緒。奈緒さえいれば、それで良かった。
『厚子といたら、どこでも楽しーもん』
あの言葉を、もう一度素直な気持ちで聞けたら。
こうなったら、全てを吐き出してしまいたい。答えも意見もいらない。ただ、話してしまいたい。ただ、聞い
てもらいたい。それだけでいい。

「お母ちゃんが死んだとき……ただ哀しくて、つらくて……心の中にポッカリと大きな穴が開いてしまった
みたいで、どうしようもなかった。父ちゃんから『母ちゃんは、天国で幸せに暮らしてる』って聞かされて、
それでどうにか自分を慰めてきた。それでも埋められない穴はバレーに打ち込むことで誤魔化してきた。
とにかく身体を動かして余計なことは考えないようにして……なんとか、これで乗り切っていける。そう思っ
てた。だけど、しばらく前に家へ帰ったら知らない女の人がいて、とうちゃんが『今日からこの人が、お前の
新しい母ちゃんだ』って言うんだ―ショックだった。頭の中が真っ白になった。その人は、とても良い人で、
多分出会い方がこんな形じゃなかったら、私もすぐに好きになったと思う。でも、『もし私までこの人を受け
入れてしまったら、死んだ母ちゃんはどうなる? 誰も母ちゃんのことを思い出さなくなる。母ちゃんのことを
忘れてしまう。そんなの可哀想すぎる』 そう思ったら、とてもその女の人を受け入れることが出来なくなった。
ひどいことを言ったり、ひどいことをしたり……その人は、とても傷ついていると思う。でも、どうしようもなくて
―傷つけることで母ちゃんを守ったつもりになって、逆に母ちゃんのことまで傷つけてるようで……そんな
自分に、うんざりで― 奈緒、私どうしたら良いのかなぁ?」
(厚子が私に、自分の心の闇を曝け出してくれている)
その事実に奈緒は衝撃を受けた。例え親友同士であろうと己の弱い部分を見せることなど、普段のプライドの
高い厚子なら考えられない行為だ。逆にそれだけ厚子が追い詰められていたという証でもあるのだろうが。
目頭が熱くなった。涙もろい性格で『フランダースの犬』は何度観ても泣いてしまう。でも、今回ばかりは必死に
なって涙を堪えた。厚子は世界中の誰よりも私を選んで打ち明けてくれた。縋って頼ってくれた。私まで泣いて
しまったら、それは厚子の気持ちを裏切ってしまうことになる。
いつもなら泣き言を言うのは奈緒で、厚子はその度に『しょうがねえなぁ』という顔で奈緒の手を引いてくれる。
(今度は私が厚子の手を引いてあげる番なんだ)
だから、絶対に泣いてちゃいけない。


つづく


157:少年もファイト
08/02/10 23:09:36 9vB1PCaF
>>156の続き


「うちはお父さんもお母さんも元気だから、厚子の気持ちをとても全部理解してはあげられないけど。
―-厚子はさ、もっと自分に自信を持ってもいいと思う。厚子はとっても優しくて強い娘だから、何があ
ったってお母さんのことを忘れたりなんかしないよ。厚子のことを、ずっと見てきた私が言うんだから間
違いないよ。それよりもさ、厚子が落ち込んだ顔をしてることの方が、お母さんに悪いと思うんだ。厚子
が元気になってくれないと、お母さんだって安心して天国にいけなくなるじゃない。つらいこともあるけれ
ど、世の中には楽しいことがもっと一杯あるし、厚子はこうして生きてるんだからさ。もっと二人で楽しも
うよ。ねっ、厚子」
傷ついた親友を励ますという、およそ自分には不向きな大役を引き受けた今、奈緒は必死になって脳を
フル回転させ、言葉を紡ぎ出した。何とかして友達を救いたい。その一心で。
お母さんを亡くしたことの哀しさ、喪失感は理解できるつもりだ。だけど、それに囚われすぎて厚子まで死
人みたいな状態になっているのは間違っている。
(厚子……お願い。元気を出して)
だけど
「無理だよ……。私、そんなに器用じゃないし要領よくもない。お母ちゃんのことが頭から離れない。何を
やってても楽しいと思えないし……。やっぱり前みたいには戻れそうもないよ」
厚子はすっかり萎縮してしまっていた。母親という拠り所を失い、父親にも裏切られたという思いを抱えて
懸命に一人で突っ張って生き続けてきた結果、自らの殻に閉じ篭り、そこから出て来れなくなってしまって
いた。今の彼女にとって世界はとても窮屈で息苦しいものなのだろう。そこから彼女を解放することは容易
ではない。生半可な慰めや励ましの言葉の羅列では、なんの効力もない。
では、どうすれば? 実力行使しかない。それもかなり荒療治の。
ゴクリッと、唾を飲みこむ。正直、これから自分がやろうとしていることが正しいことかどうかわからない。
(でも、私が厚子にしてあげられるのはこれだけ。これは、私にしか出来ないことなんだ)
「厚子。顔をあげて」
深く息を吸い込み、決意を固めると奈緒は言った。その先に起こることも知らず、厚子は言われるままに顔
をこちらに向ける。その後頭部をそっと右手で抱えて自分の方に引き寄せる。そして一息に唇を奪った。










親友との初キッスは、しょっからい涙と臭いニコチンの味がした。



158:名無しさん@ピンキー
08/02/11 22:07:04 Z1LSRyK/
>>156>>157
GJ。
あれ、何で目頭熱いんだろうな…

そういえばもうすぐバレンタインですね

159:名無しさん@ピンキー
08/02/15 22:37:37 CvnjqQ2l
>>157の続き

(こ……これって……なんなの?)
一体、どうしてこういう展開を迎えているのか? 目の前一杯に奈緒の顔が迫って来たかと思えば、
唇が得も言われぬ感触に包まれた。徐々に状況を理解した。唇を奪われている。女同士でキスし
ている。私と奈緒が。
(ふ、ふざけないで!)
カッとなった。頭に血が上った。親友だから、奈緒だからこそ心の闇を吐露した。慰めや同情なんか
いらない。ただ聞いてさえもらえれば良かった。奈緒ならきっと、分かってくれる。そう思っていた。そ
れなのに……こんなことをするなんて。あんまりだ。
急いで唇を引き剥がそうとする。
『馬鹿っ!』
そう吐き捨てて、引っ叩いてやるつもりだった。
だが、奈緒がそれより早く厚子の肩を掴み、そのまま引き倒した。腰掛けていた飛び箱の下には体
操用のマットが放置されていたおかげで怪我をするようなことはなかったが、先程とは逆に、厚子の
顔から血の気が引いた。
奈緒が、冗談やおふざけのつもりで、こんな行為に及んでいるわけではないということを悟ったからだ。
「な、何を……するつもりなの?」
声が震える。闇が急速に勢いを増し、目の前にいるはずの奈緒の表情さえ判別できない。それが否
が応でも不安を掻き立てる。相手の本心が読めない。目的が分からないというのは、こんなにも怖い
ことだったのか。
「さっき言ったでしょ。『世の中には、もっと楽しいことが一杯ある』って。私がそれを今から厚子に教え
てあげるの」
淡々と、いつもと変わらぬあっけらかんとした口調で奈緒が言う。そしてそれをすぐさま、実行に移した。
厚子の右の耳朶を軽く軽く甘噛みし、次いで舌先を耳の穴に差し入れる。穴の淵をザラザラとした舌が
這う『ジョリッ』という音が、やたら大きく聞こえた。
背筋を冷たいものが駆け抜けていく。
「嫌ァッ!」
パニックになった。気が狂いそうだ。全力で奈緒を払いのけようとした。
冗談じゃない! 冗談じゃない! 冗談じゃない!
(私は……私は、こんなこと知りたくも無い! 望んでなんかないっ!)
パアァンッ!
乾いた音が闇に響く。一瞬、何が起きたのか分からなかった。激しい電流に打たれたような。頬が熱い。
叩かれたのだ、と脳が理解した。奈緒に。心がそれを受け入れようとしなかった。この期に至ってもまだ
信じられない。あの……奈緒が。
だが、


「手間を取らせないで。暴れると、余計に苦しい思いをするだけなんだから」



奈緒の抑揚のない冷たい言葉が、それが真実であると告げていた。




160:名無しさん@ピンキー
08/02/26 02:59:46 9mtebJTm
hosyu



161:名無しさん@ピンキー
08/02/29 00:26:40 bagC+Gw0
千石*お嬢(逆アリ)
とかはないもんなのか…?

162:名無しさん@ピンキー
08/02/29 16:23:22 HNrdMiIC
>>161
自分的にはすごくアリだと思うよ

163:--
08/03/04 21:38:43 0SLn66W4


164:名無しさん@ピンキー
08/03/08 01:09:07 9vAyEpwt
捕手

165:名無しさん@ピンキー
08/03/08 22:29:19 hQz2hRsg
>>159の続き

厚子の全身から急速に気力が萎えていった。
唇を奪われ、押し倒され辱めを受けて、抵抗したら頬を打たれた。
長い付き合いの、誰よりも理解しあえていると思っていた親友の突然の豹変に思考は混乱し、どう対
処して良いのかさっぱり分からなかった。不安だった。恐ろしかった。
授業をサボり、煙草を吸い、不良を気取ってはいるものの、厚子はそれ以外では至って一般的な十
代の少女に過ぎなかった。鬱屈した感情をコントロールする術を知らず、自分を傷つけ周囲に当り散
らすことでしか解消できない不器用な女の子だった。
月に一度の『お客さん』が訪れるようになって以来、そこそこ性の知識はあるが、それ以上の興味は
無く寧ろ嫌悪していた。
(女であることが、鬱陶しくて仕方ない。生理の不快感、膨らんでくる胸、周囲の視線。全部、全部、
ウザッたい!)
それなのに……何をどう間違えて、こういう事態に陥っているのか?

木枯らしの吹きすさぶ中をやって来たせいか、奈緒の手はひどく冷たい。その冷たい手が今、厚子の
セーラー服の下に差し込まれ臍の上を這い進み、自分以外誰も触れたことの無い小ぶりの乳房を掴んだ。
「痛ゥ……」
奈緒の指の力が思いのほか強く、呻き声が洩れた。
「あっ、ごめんね」
奈緒は案外素直に謝ると、今度はそっと優しく包み込むような加減で揉み上げていく。だからと言って
厚子の気持ちが変化するようなことはない。
「お願い。もう、やめて」
一縷の望みをかけて懇願するが、もちろん受け入れられはしなかった。それどころか乳房への愛撫は徐
々に激しさを増していく。
「はぁああ……」
背筋を電流が走りぬける。脳に靄がかかっていく。血が沸き立ち皮膚の表面を小さな虫の大群が這い回っ
ているかのような疼痛感。
(なにこれ……私、まさか―感じてるの?)
認めたくない。だけど身体の芯から絶え間なく生じる熱は、厚子の理性を着実に溶かしていっていた。
脚を擦り合わせ、何かを縋りつこうとするように手は宙を彷徨う。その手を奈緒が掴んだ。
「ねえ、厚子も私に触ってよ」
そう言うと、厚子の手を自身の服の下に滑り込ませ導いていく。振り払いたかったが、先程の頬を叩かれた
痛みがフラッシュバックのように蘇り抗う気力が失せた。あの衝撃はかなり深く厚子の心に根付いてしまっていた。
外気は氷のように冷たいのに、奈緒の身体も汗ばむほどに熱かった。他人の素肌に触れたことなど、ほとん
ど無い。そして意外に豊満な奈緒の乳房に指がかかった。その大きさ、熱さ、柔らかさに息を呑む。
「―ねえ、もっと、もっと気持ちよくしてあげるからさあ……厚子も私を気持ちよくしてよぉ」
淫猥な毒気を含んだ奈緒の吐息が、厚子の耳朶を擽った。


166:名無しさん@ピンキー
08/03/09 11:24:16 Cx3mnlSK
思ったけど鏡子って胸何カップぐらいだろ?
2巻のカラーを見て気になった

167:名無しさん@ピンキー
08/03/10 14:18:20 R6iOcEzY
ほす

168:名無しさん@ピンキー
08/03/12 15:09:05 YfnfFRNS
だれか何か投下してくれ

169:少年もファイト
08/03/13 18:24:47 yvKcnsBi
取りあえず、燃料投下。出来は保証しない。


「あの……式島クン」
登校途中の俺を、学が呼び止めた。
「んっ、よお学。おはようさん」
「あっ、おはようございます―あの、それで……これ……」
と、言って差し出したのは綺麗な包装紙に赤いリボンのかかった小さな箱。そこから漂う甘い香りが
鼻腔を擽る。
それで、ようやく今日が何の日か思い出した。
「ああ―ありがとう。気ィ遣わせちまって、悪ィな」
「いいえ。私達、一応付き合ってることになってますから」
「あ、ああ―そうだよな」
「それじゃ、私、朝練がありますから。お先に失礼します。じゃ、じゃぁ、また後ほど」
と言って駆けて行く学。
「お、おおい!」
一人取り残される俺。
それが先月の今日。ヴァレンタイン・デーの話。


「おい、学」
登校途中の学を俺が呼び止める。
「あっ、式島クン。おはようございます」
「お、おはよう。それでだなぁ―これ」
と、言って差し出したのは綺麗な包装紙に白いリボンのかかった小さな箱。そこから漂う甘い香りが
鼻腔を擽る。
「?」
「―先月のお返しだよ」
「あっ、す、すいません。わざわざ、ありがとうございます」
「そ、それとだなぁ」
「はい?」
「俺たちは『一応』付き合ってるんじゃねえ。『ちゃんと』付き合ってるんだからな。ここ、結構重要なポイ
ントだからよ」
俺のこっ恥ずかしい宣言に、キョトンとした表情をしていた学の顔。が、すぐに頬を桜色に染めて晴れや
かな笑顔で
「はい―はい、そうですね。私達『ちゃんと』付き合ってるんですよね」
その笑顔に、俺は思わず見とれて―更に追い討ちをかけるように
「二人ともおはよう。何してるの、こんなところで?」
「げっ、練! 何でもねえ、本当になんでもない! じゃ、俺、朝練あるからお先に!」
「あの、式島クン―」
見られたくない光景を、一番見られたくない相手に見られた気まずさに、俺は後ろを振り返ることなく駆け
続けた。
これが、今日。ホワイト・デーの話。


エピローグ

「ミチル、どうしちゃったの。あれ、何か良いことあった?」
「どうしてです?」
「何だか瞳がキラキラしてるから」
「―はい、とっても」






170:名無しさん@ピンキー
08/03/18 00:05:13 f7NQUnbH
hosyu



171:名無しさん@ピンキー
08/03/22 12:20:13 A9MC9P5F
保守


172:名無しさん@ピンキー
08/03/27 02:37:58 QPu8/W6+
最新号の内容がミチ学全開すぎて悶えまくった。ちくしょうにやにやがとまらねえ

173:名無しさん@ピンキー
08/03/28 23:38:26 TVKXEJ9t
誰か何か書いておくれ


174:名無しさん@ピンキー
08/04/02 22:27:02 4/qMC1Wo
>>137
何でもいいなら昨日見た夢の話でも

夢で鎌倉と由良木が一緒の布団で寝てました
性的なのじゃなくて添い寝っぽい(服着てたし
でもちゃっかり手を握ってらっしゃいました

うん、それだけ。
ツッコミどころはミチ学期間中なのに鎌倉と由良木だったってところ

175:名無しさん@ピンキー
08/04/12 12:49:13 EI4GsU8J
saade

176:名無しさん@ピンキー
08/04/19 04:30:56 vr2px6hF
保守

177:名無しさん@ピンキー
08/04/24 16:06:12 Sls2Q+OS
下がりすぎage

178:名無しさん@ピンキー
08/04/24 19:02:48 4DF33RAX
4巻合間合間の鉛筆書きシゲルがムッツリすぎてワロタ。

179:名無しさん@ピンキー
08/05/24 22:57:29 Gn4tmN0h
まさか、ここまで過疎るとは


180:名無しさん@ピンキー
08/05/26 00:17:17 4awcj3fa
今更にハマって来てみれば過疎っているこの事実。
ミチル学で何か投下したいけど、絵じゃなぁorz

181:名無しさん@ピンキー
08/05/26 02:33:57 hpk5DIOv
>>180
期待してます

182:名無しさん@ピンキー
08/06/16 01:50:47 lQ4VZ5EX
>>180
活性化のためにも是非がんばってくれ!!

183:名無しさん@ピンキー
08/06/19 06:34:50 4EpNmT5d
>>120とかの神作品の頃はまだ元気だったのに、あれからまだ60しかレスを消費していないのか…
職人カムバック

184:名無しさん@ピンキー
08/06/20 01:23:15 QoloIDAJ
百合っぽいのなら書けるんだけどな


185:名無しさん@ピンキー
08/06/20 17:28:30 TQTyxoGz
かいてかいて

186:名無しさん@ピンキー
08/06/21 01:38:15 BNwXa+tV
前に『スレちがい』って言われたから、止めといた方がいい


187:名無しさん@ピンキー
08/06/24 15:52:16 5gLzy1RC
age

188:名無しさん@ピンキー
08/06/27 22:05:54 iQbvDJcT
少女ファイトだけ?
日本橋ヨヲコの他作品もスレ違いなんかな

189:名無しさん@ピンキー
08/06/28 15:45:00 z+BKTAig
いや、前に百合もの投下したら、『百合スレの方が良くね?』
って言われたことあるので


190:名無しさん@ピンキー
08/07/15 03:47:21 txkFbIpd
保守

191:名無しさん@ピンキー
08/07/28 01:55:48 LY5FFXYC
初書き込みです。ルールとか、もし間違っていたらご容赦を。

今月号の最後のシーンから。
隆子を並んで見送る、ミチルと学。
「隆子、行っちまったな・・・」
「えと、わたし、何かまずいことでも言ったでしょうか」
「いや、そうじゃなくて、あんな、
 他人をコントロールできない隆子、見たことなくて。
 でも、あれでよかったんだよ」
「式島くんにはまだ想いがあるのでしょうね・・・。
 なんだか気の毒な感じもします。」
「あのさ」
「はい」
「さっき、『唯さんがいやでしょうから、しません』って言ってたよな」
「は、はい・・・」
「いないんだけど」
「そうですね」
「いい、のか・・・?」
ミチル、向き直る。一歩踏み出す。学、答えられない。
「目、閉じてみ」
「は、はい」
抱き寄せられて、ふとあごを持ち上げられ、くちびるに軽い、くちづけ。
「オレ、もう、フリじゃなくて、ずっとお前と・・・」
「えっ、あの、練さんのこと、とか」
「学は、イヤか?」
「いやだなんてとんでもないです・・・。
 あの、わたしなんかで、いいんですか」
「学がいいんだ、オレは」
「はい・・・」


192:名無しさん@ピンキー
08/07/28 17:29:51 +mV1rDXo
夏休みの作文か

193:名無しさん@ピンキー
08/08/30 11:09:00 HNJ1dN+3
保守

194:名無しさん@ピンキー
08/10/11 21:12:57 OqxJ0a3s
ほっしゅ

195:名無しさん@ピンキー
08/11/14 22:19:40 dcekIvop
耳年増な母親に無理やり着させられたメイド服でおどおどしながら
母親仕込みの誘惑台詞を棒読みで放つ学と
そのあまりのいじらしさに思わず押し倒してしまうミチルという夢を見た捕手

196:名無しさん@ピンキー
08/11/15 16:16:34 E8EUOZuy
↑いいね

197:名無しさん@ピンキー
08/12/16 00:04:34 Rkv3UZcP
>>180の絵を今でも待っている。


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