08/09/13 23:31:35 gcagJXJ1
高校1年生の僕、更級達樹(さらしな・たつき)は、とにかく普通の男子生徒だ。
体型は中肉中背、勉強や運動もまぁ平均的。
話したりする友達は何人かいるけれど、積極的な性格じゃないので交友関係が特に
広いわけでもない。
きっとドラマなどで高校生の役を振られても、一般生徒Aとかで終わってしまうだろう。
では綾門さんはというと、こちらはクラスではちょっと変わってる…というか少し浮いて
いる存在だ。
ちょっと時代遅れっぽい大きめなメガネとおさげが印象的で、女子にしては背が高くて
身長は170cmぐらい。
休み時間などはいつも一人で本を読んでいて、クラスメイトと仲良く話している姿とかは
見たことがない。
勉強はかなりできて、廊下に貼りされたこの前の中間テストの結果は上位10番に名前
があった。が、運動は苦手なようで、この前の体育祭の時は、短距離走に出てぶっちぎり
でビリだった。
つまり、身体は大きいけれど地味めな外見で、勉強はできるけど運動はダメダメ。ついで
にあまり人付き合いも得意じゃない、というのが僕の持っていた綾門さんのイメージ。
そんな、ちょっと変わった綾門さんだけど…どうやら人間ではなかったらしい。
「えーと綾門さん、一つ質問が…って、こっち向いてー」
「…何?」
しゃがんで子猫を解放した後、その喉をチロチロとくすぐっていてこちらを絶賛無視しまくり
中の綾門さんに、ついつい情けない声を上げてしまう僕。
そんな僕の声に応えて、綾門さんはようやく猫から視線を外して僕を見てくれた。
おもいっきり無表情で、なんだか作り物のようなイメージを受けてしまう顔。
それはまるで、精巧なロボットとかリアリティ溢れるマネキンとか、そんな印象を受ける顔だった。
これまでじっと見たことが無かったから気がつかなかったけど、確かにこういう表情を見ると
綾門さんが人間じゃないっていうことに真実味を感じてしまう。
それはさておき。