男主人・女従者の主従エロ小説 第二章at EROPARO
男主人・女従者の主従エロ小説 第二章 - 暇つぶし2ch456:忘れ去られた聖地 4/7
08/03/30 23:49:34 i6Ki5t0K
 情報に従い、追跡部隊は北部へと向かった。転移魔術で《聖地》支部へ、そしてそこから馬車で三日かけて鬱蒼とした森へ移動した。森の中の古びた館にクラウスがいるという。
 今までの記録から想像するに、追跡部隊が到着した頃にはもぬけの殻になっている。あるいは姿は見せるが交戦の間もなく逃げられる。あるいは―
「以前北部で発見した時は負傷者多数でほぼ壊滅状態だったそうですね」
「気まぐれな人だからな。毎度結果はあの人の気分次第というところだ」
 落とした声でシャロンとレスターは言葉を交わす。
「だが、死人は出てない」
 レスターが不快そうに眉を寄せる。
「死なない程度に痛めつけることが可能だということはあの人は追跡部隊全員束ねてもまだ数段高見にいるってことだ。あの時は一度目の追跡だったから面子も今ほど攻撃に特化した奴ら揃えてたわけじゃなかったが」
 レスターの話を聞き、シャロンはぎりぎりと奥歯を噛みしめる。
 今回の追跡部隊にシャロンがいることに、きっと師は気づいているはずだ。逃げずに向き合ってほしいと願う。
「クラウスは私が必ず捕まえてみせます」
 この日のためだけにシャロンは十年を越える歳月を生きてきたのだ。
 決意も露わに、シャロンは前方に現れた目的の館をじっと見つめた。



「可愛いシャル。僕の、僕だけのシャル」
 別れた時のまま、目の前で師は笑んでいた。
「会いたくて、触れたくて、気も狂わんばかりだったよ。でも怖くて会えなかった」
 悲しそうに表情を歪め、片手で掴んでいたものから手を離した。それは力なく床へ倒れ込み、師は一瞥もくれることなくそれから剣を引き抜いた。
「……レスター」
 それの腹の辺りからじわじわと血が滲み、それは恐るべき速さで床に血溜まりを作った。
 床に横たわるのは追跡部隊の長であり、マスターと呼ばれる高位の魔術師であり、シャロンの二人目の師であり、クラウスの弟子であるレスターだ。
「せんせい」
 血の臭いがする。レスターの命の臭いだ。
「ああ、シャル。怖いのかい」
「レスターが、レスターさんが」
「仕方がないよ。僕だって嫉妬くらいする」
 体が動かなかった。館へ入ってすぐに体の自由を奪われた。
 攻撃は唐突で確実。シャロンの周りにだけ防護壁が張られ、不意をつかれた追跡部隊は雨のように降り注ぐ強烈な攻撃魔術にさらされた。

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08/03/30 23:50:38 i6Ki5t0K
当然彼らもすぐに防護壁を張り、姿の見えない敵に備えたが彼の魔術には際限がなかった。応戦することすらままならず、気がつけば立っているのはシャロンとレスターの二人だけ。そこでようやく魔術は止まり、変わらぬ姿の師が現れた。
 この時もまだシャロンの体は動かなかった。動かない体で二人の師が争うのを眺めていることしかできなかった。
 一方的だった。レスターが放つ魔術はことごとく無効化され、クラウスはレスターが無効化できるように加減をして魔術を放つ。クラウスは遊んでいる。それは傍目から見ても明らかだった。
そうして暫くレスターとの小競り合いを楽しみ、クラウスは虚空から剣を取り出してレスターの動きを止めた。
 応戦するレスターが動かなくなるまで痛めつけ、クラウスはシャロンへ向き直る。もう体を戒める魔術は解かれたのだと気づいてはいたが、シャロンは動くことができなかった。
「綺麗になったね」
 へたり込んだシャロンの前に膝をつき、師は彼女の頬にまるで壊れものに触れるようにそっと触れた。
「先生……レスターさんが、死んじゃいます」
 師が余りにも変わらないから、最後に会ったのが昨日のように思える。シャロンは昔のように師の胸にすがりついた。
「大丈夫」
「でも、血が、血がたくさん」
 ぐずぐずと鼻を啜る。師は優しく背を撫でてくれた。
「可愛い僕のシャル。形あるものはいつか壊れるし、命あるものはいつか尽きる。死は誰しも等しく訪れるものだ。それを恐れてはいけない」
 辺りに転がる追跡部隊は傷を負ってはいるが、治癒に特化した魔術師を呼び寄せれば死ぬことはないだろう。クラウスが彼らを殺さぬように治癒を施しながら痛めつけているからだ。
 だが、レスターは違う。あのまま放っておけば出血多量で死ぬかもしれない。
「先生」
 レスターの血に濡れた手で師はシャロンに触れる。
 涙がとめどなく溢れた。恐らく本当にクラウスは変わっていない。姿形だけでなく、内面もあの頃と変わりない。シャロンへ向けられる愛情もあの頃のままだ。
 それを痛いほどに実感し、シャロンは泣いた。
「会えば君を壊してしまいそうだったけど……よかった。僕はまだ君の先生でいられる」
 変わってしまったのはシャロンだ。今のシャロンにはもう盲目的にクラウスだけを愛することはできない。
 それに気づき、シャロンは泣いた。あの日、連れ去ってくれたなら、きっとずっと師だけを愛していられたのに―


458:忘れ去られた聖地 6/7
08/03/30 23:51:29 i6Ki5t0K
「どうして」
 だからこそシャロンは問いかけた。
「私を置いていったのですか」
 師は目を閉じ、深く息を吐いて、それから困ったような顔でシャロンを見た。



 治癒はあまり得意ではなかった。それでも、シャロンは震える手でレスターにありったけの魔力を注ぐ。
「レスターさん……やだ、死んじゃ嫌です」
 独りきりになったシャロンの手を取ってくれたのはレスターで、彼はそれからずっと側にいてくれた。まだ恩返しはできていない。
 師は再びどこかへ消えてしまい、シャロンは今度は自分で選んだ。彼についていくのではなく、《聖地》に残ることを選んだのだ。
 師が去ってから止まっていたシャロンの時間はようやく動き出したのだ。それを伝えて、優しい兄弟子を安堵させてあげたい。もう心配しなくていいのだと言ってあげたい。
「レスターさん、レスターさん」
 大きな傷はすべて塞いだ。足りない血液を補うように魔力を注ぎ込んだ。後は目を開くのを待つことしかできない。
 シャロンはレスターの大きな手を両手で包み、祈りながら待った。
「……シャ、ロン」
 ぴくりと体が動き、レスターが歪めた顔をシャロンへ向けた。
「あ、レスターさん」
 安堵とともに力が抜け、シャロンの頬を涙が伝った。
「シャロン……」
 亡霊でも見たような顔でレスターはシャロンを見上げている。そして、暫くしてからシャロンが握っているのとは逆の手でシャロンの頬を伝う涙を拭った。
「行かなかったのか」
 辺りに師の姿がないことに気づき、レスターは言う。
「馬鹿だな。こんな機会、最後かもしれなかったのに」
 レスターは辛そうに眉を寄せたまま、何度もシャロンの頬を撫でる。
「あの人はお前を待ってたんだよ。追いかけてきて欲しかったんだ」
 シャロンはレスターの言葉を黙って聞きながら曖昧に笑んだ。
「ずっと怖がってた。お前が愛おしくて、愛おしすぎて壊してしまいそうだって。だから逃げた。逃げたくせに、それでも、待ってたんだよ。シャロン、お前を待ってたんだ」
 シャロンは力なく首を横に振る。
「レスターさん」
 それでもレスターは何かを言いかけ、けれどそれ以上は何も言わずに口を閉じた。
「眠って下さい。まもなく医療班が到着します」
 独り言のような呟きに頷き、レスターはゆっくり目を閉じた。





459:忘れ去られた聖地 7/7
08/03/30 23:52:30 i6Ki5t0K
 一年の四分の一を雪とともに過ごす北部でも可憐に花は咲き誇る。庭園の花壇を眺め、中央では見ない種の薔薇をシャロンは愛でた。
「シャロン」
 だらしなさを感じる一歩手前まで制服を着崩したレスターがシャロンの傍らに立つ。
 《聖地》支部にて治癒を受け、追跡部隊員たちは翌日には本部帰還が可能なまでに回復した。レスターも自由に歩き回れるほどに回復している。
「その、なんだ」
 言いにくそうに口ごもり、がりがりと頭を掻く。そんなレスターを見上げ、シャロンは楽しそうに笑った。
「私になにか、レスター?」
 少しばかりの逡巡の後、レスターはシャロンの右手をとった。そして、人差し指の付け根に輝く金と碧の光を見つめる。
「これ、取れんだろ」
「はい。取れません」
「……なんでそんなに嬉しそうなんだ」
「私、決めたんです。今の私では並んで歩けないから、だからまだ駄目なんです。先生が怖がらずにいられるくらい強くなったらそうしたら隣に行こうって」
 愛おしそうに指輪を撫でるシャロンを見下ろし、レスターは深々と嘆息する。
「並べるくらいとなるといつになるかわからんぞ」
「でも、いいんです。先生は私がおばあちゃんになっても待っていて下さるってわかったから」
 レスターの手が頬に触れ、ついで唇が軽く触れる。
「……わかってたけど、前途多難だな」
 不意の口づけに瞬きを繰り返すシャロンを見てレスターは苦笑する。
「レスター?」
「なんでもない。こっちの話だ」
 ぐしゃぐしゃと柔らかな髪をかき回すように頭を撫でられ、シャロンは不思議と好ましい感触をなぞるよう唇に指で触れた。
 髪の影で指輪がきらりと煌めいた気がした。




以上。後編おわり。
前後編ともに保管庫には保存しないで下さい。

460:名無しさん@ピンキー
08/03/31 16:51:55 bBB66fMo
いいものを読ませてもらいました!
GJです!!

461:名無しさん@ピンキー
08/04/01 05:21:16 imI18KrY


462:名無しさん@ピンキー
08/04/01 05:33:19 oIVkXQOZ


463:名無しさん@ピンキー
08/04/02 15:52:43 Xs2zrc7N
このスレに常駐してる職人サンって何人くらいいるんだろう?

464:名無しさん@ピンキー
08/04/02 22:32:37 vty0G0Y2
面白かった!
続き読みたい
先生が謎だなあ

465:名無しさん@ピンキー
08/04/07 02:23:08 Y6sXX+y1
保守

466:名無しさん@ピンキー
08/04/13 02:28:11 FP9Cer48
保守

467:名無しさん@ピンキー
08/04/18 03:13:44 XMq/OC5u
保守

468:名無しさん@ピンキー
08/04/20 02:55:53 UVm6XsqL
保守

469:名無しさん@ピンキー
08/04/23 03:38:46 4UniOlM7
保守

470:名無しさん@ピンキー
08/04/24 05:29:23 N5+GE9ue
凄い勢いで過疎ったね…
職人さんキテー

471:名無しさん@ピンキー
08/04/27 17:41:18 3L0/48pn
投下します。
エロ無しなので、ダメな方はスルーかNGでお願いします。

472:二組の”大佐と副官”-1 ◆GK0/6l5f56
08/04/27 17:42:10 3L0/48pn
 副官の机にうず高く積まれた書類の山がユラユラと揺れ始め、あっという間に
崩れ落ちていく様を、この部屋の主は「またか」といった表情で見つめていた。
  部屋の主の襟元には六つの星が並ぶ階級章が輝いている。王立軍の階級章は一つ星で
少尉、二つ星で中尉と言った具合に階級が上がる毎に星が増えていく。六つ星は現場の
トップである大佐を意味している。
 書類が散らかった床の真ん中にしゃがみ込み、オロオロとしている小柄な女性の襟元の
階級章は星一つの少尉のものである。
 暫くして落ち着きを取り戻した女性は、薄桃色のセミロングの髪を揺らしながら書類が
散乱する床に這い蹲った。そして、無数の紙の束を大慌てでかき分け何かを探し始めた。
そのかき分け方が尋常でなく、その場を余計に散らかすことなっていたが、彼女はお構いなし
だった─というよりも正直それどころではなかった。この紙の束に紛れ込んでしまった
本日の大事な会議資料を彼女は探していたのだ。
 しかし、崩れた書類の山は膨大な量で、目当ての資料は簡単に見つかりそうもない。
 「はあ」─部屋の主が額に手を当てながらついた大きな溜め息に反応して、彼女は
伏せていた顔を上げた。
 失態を恥じて彼女の細い秀麗な眉は”ハ”の字に引き下げられ、愛らしい円らな
ヴァイオレットの瞳はいつ泣き出してもおかしくないほどに潤みきっている。そして、
その桜色の可憐な唇を震わせながら、申し訳なさそうに頭を下げた。
「す、すみません、大佐。私、ま、またヘマを……」
 ”大佐”と呼ばれたこの部屋の主は黒髪の細身の男性である。歳の頃は二十代後半。
印象的な鋭い銀の瞳を持ち、鼻梁は彫像のように高くその下の薄い唇は固く引き結ばれている。
理知的で凛々しい印象を受けるその容姿から、彼が多くの女性の衆目を引いていることは
容易に想像できる。  
 額に掛かった前髪をかき上げヤレヤレといった様子で首を二度三度振ると、その男は
ゆっくりと革椅子から立ち上がった。
「こうしていては会議に遅れる。書類は後で構わないから行くぞ」
「で、でも……その会議に必要な書類じゃ……」
 今にも消え入りそうな声で、桃色の髪の女性は男の顔色を伺いながら恐る恐る発言した。
今にも泣き出しそうに歪められた顔立ちは実際の年齢よりも彼女を幼く見せる。
「気にするな、イルマ。一通り目は通し、中身は覚えている」
 長身痩躯の男は散らかった書類の束を避けて、マントを翻し部屋を出ていった。
「た、大佐ぁ!待ってくださいぃぃ!」
 イルマは自分の机に置いてあった革の手帳、羽ペンとインク瓶を抱きかかえるようにして
上官の後を慌てて追いかける。
─スヴェン大佐、怒っていらっしゃるのだろうか。そうだよね、だってとても大事な書類で
昨日もお持ち帰りになって夜遅くまで内容を頭に叩き込んでいたって、仰っていたのに……
私ったら。
 彼女は上官の三歩後ろを歩きながら、いつまで経っても治らない自分の不注意を呪った。
 イルマとドジは昔から同義語であり、士官学校時代から同窓生には散々からかわれていた。
目の前を歩く大佐の副官に任官されてからも、ミス、ヘマが減ることはまるでなかった。
冷淡な鉄面皮として彼女の上官は知られていてから、イルマはいつクビになってもおかしくないと
ビクビクしていた。 


473:二組の”大佐と副官”-2 ◆GK0/6l5f56
08/04/27 17:42:57 3L0/48pn
 しかし、歳が十以上─正確には男が二十八歳で、イルマが十七歳なので十一歳も違う
ためか、呆れられることはあっても怒られることは滅多になかった。それでも上官にいつまでも
甘えていてはいけない、とイルマは毎朝出勤前に心に誓うが、就寝前にはやはり間の抜けた
自分を呪う日々が続いている。
─大佐……ごめんなさい。
 途端に前を歩いていた男が立ち止まる。ぶつかりそうになりながらもイルマも何とか踏み
とどまった。申し訳なくて、イルマは振り向いた上官と目を合わせられない。
「イルマ、そう落ち込むな。あの資料が無くとも何とでもなる」
「ど、ど、どうして……私が落ち込んでいるとお分かりなるのですか?ま、魔術ですか?」
 ちなみにイルマの上官は若いながらも優秀な魔導師で王立軍の中でも、一目置かれて
いる存在である。一般的に魔導師は知識と魔術の探求に一生を捧げ、人との係わり合いを
好まない。人里離れた場所に塔を建て研究に没頭する魔導師のイメージはあながち的外れ
ではない。しかし、何事にも例外はあるもので習得した魔術を用い、人の世で生きる魔導師も
少なからずいる。
「……それだけシュンとしていれば魔術など使わずとも誰でも分かると思うが」
「すいませんでした。スヴェン大佐」
「気にするな、と言った。これは上官命令だ」
 到って真面目な口調で、スヴェンと呼ばれた男は応えた。
「はい……」
 許しを得たことで安堵したのか、イルマの声のトーンが心なし上がる。その返事を聞いた
スヴェンは再び前方を向いて、会議室へと歩き出した。

 ◆ ◇ ◆ 

 昼食を挟んだ長い会議が終り、執務室へ戻る途中のスヴェンは終始ウンザリした顔だった。
魔導師らしく合理性に欠けることを好まない彼は、長々とした意味の無い会議が大嫌いだった。
 書類などなくとも自分の報告を完璧に済ませると、スヴェンは目を瞑り飛び交う無味乾燥な
議論に無視を決め込んでいた。
「まったく無駄な時間だった。あんなことをわざわざ仰々しい会議など開いて決める必要が
どこにあったと思う?」
 額にかかった髪をかき上げたスヴェンは同意を求めるかのようにイルマをその銀色の瞳で
見つめた。その銀の目は戦場においては猛禽類の如き鋭い眼光を放つことから、”鷹の目”と
揶揄されている。
「そ、そんな私は……その……」
─大佐の意見には同意したいけど……あれは執政官様が開かれた会議だから、
「つまらない」なんて言うと失礼だし……でも大佐が同意を求めているのだから……いやいや、
どこで誰が聞いているか分からないのだからやはり、「つまらない」などと言ってはいけないわ……。
 まごまごと答えに窮するイルマを見限ったのか、スヴェンは彼女から視線を外し黙って
自分の執務室に向って歩き出した。

474:二組の”大佐と副官”-3 ◆GK0/6l5f56
08/04/27 17:44:32 3L0/48pn
─ああ、また私は大佐に嫌われてしまった。
 イルマは肩を落とし、スヴェンの三歩後ろを項垂れながらオズオズと部屋へ戻った。
 部屋に戻ったイルマの最初の仕事は、床一面に散らかった書類の片付けであった。
彼女がそれに取り掛かっている間、スヴェンはオーク材で作られた横長の執務机に
頬杖をつき、うららかな陽気の中で瞼を閉じ考えにふけっていた。
 床の片付けを終えたイルマは入り口に近い自分の机に座り、気取られないようそっと
スヴェンの顔を遠目に眺めていた。滅多に表情を崩さないスヴェンだが、午後のひと時、
黙考に耽っている間だけは穏やかな顔つきになる。イルマにとっては上官のその顔を
覗き見るのが、密かな楽しみであった。
─大佐のああいう顔を見れるのは、この部屋にいる私だけ……。
 だが、至福の時間はそうそう長く続かない。スヴェンが目を開けてしまったのだ。
その瞬間、イルマはすぐさま顔を伏せ、机の上の書類を読んでいるフリをする。スヴェンに
気づかれていないだろうかという心配から、小ぶりな膨らみの下に収められた心臓は
バクバクと大きな音を立て、全身の血が沸騰したのかと思うぐらいに熱くなる。
「イルマ」
 声を掛けられたイルマは思わずビクリと全身を震わせて、スヴェンに顔を向ける。
その様子はまるで油が切れたブリキの人形のようにぎこちない。 
「な、何でしょう?」
─お、お顔を盗み見ていたこと……き、気づかれていませんように……。
「さっきの会議の議事録を一応読んでおくから、貸してくれ」
「はい……えっと……この辺りに……えっ、あれっ?」 
 議場で速記を取っていた紙が見当たらない。
─確か、このバインダーに挟んだはずなのに……ない、ない、ない!!
 慌てたイルマは机の上の書類の束をひっくり返し、引き出しの中、書架の中、あげくの
果てに制服のポケットまで探り始めた。
「イルマ、幾らなんでもポケットには収まらんだろう?」
 スヴェンの呆れ声がイルマの胸にグサリと突き刺った。真っ当に考えれば確かに
そんなところにあるはずなかった。
「は、は、はい。すいません」
─ダメだぁ、またやってしまったわ……どうしよう……。
 本日何度目か数えることもできないヘマを後悔しながら、自分自身にほとほと嫌気が
さしたイルマの曇った視界には、滲んでぼやけたスヴェンの顔が映っていた。
「……ごめんなさい」
 しかし、スヴェンには別段咎める様子はない。彼からしてみれば、何時であろうとイルマの
ミスは織り込み済みなのだ。
「まあいい。アユタナの所に借りにでも行って来くれば良い」
 スヴェンが親しいラインベルガ=スニードの副官を務めるアユタナは、同性ですら
羨やまずにはいられない類稀な美貌に、煩雑な副官の仕事を事も無げにこなす能力を
兼ね備える完全無欠の才女として軍の中でも評判が高い。イルマにとってもまさに
憧れの存在であり、上官同士が仲が良いことから困った時にはいつも助けてもらっている。

475:二組の”大佐と副官”-4 ◆GK0/6l5f56
08/04/27 17:45:11 3L0/48pn
 少し間を置いて、スヴェンが珍しく和らいだ声で切り出した。

「議事録は後で構わないから、コーヒーを淹れてくれないか?」

 その言葉を聞くなり塞ぎこんでいたイルマの顔がみるみる喜色の色を帯び、明るく
生き生きとした表情へと変わる。
「あっ……はい!」
 スヴェンの前ではヘマばかりのイルマでも、褒められたことの一つや二つぐらい
あるものだ。勿論多くはないが、その代表格がコーヒーを淹れることだった。特別なことは
していない、と言うよりもできないが、イルマの淹れたコーヒーを必ずスヴェンは「美味しい」と
褒める。だから、イルマも嬉しくて上官が「コーヒーが飲みたい」と言い出すのをいつも
心待ちにしていた。
「美味しいの、淹れますね」
 満面の笑みで応えたイルマの様子を見て、スヴェンは少しホッとしていた。

─イルマの場合は普通の味がするだけでも充分、褒めるに値する……部下の機嫌を
取るのもなかなか一苦労だ。

 込み上げてくる苦笑を必死に噛み殺す。
「ああ、頼む」
 スヴェンは少し口元を緩めると、再び瞼を閉じて黙考に耽った。一方イルマは、はやる
気持ちを抑えながらいそいそとお湯を沸かし始めた。

 ◆ ◇ ◆ 

 西日が差し込む軍本部の廊下にて、軍服がはち切れんばかりの筋骨隆々の大男とその
人物とは対照的な長身痩躯のスヴェン=ホークが立ち話をしていた。
「スヴェン、お前のところの副官はどうにかならんのか?」
 太い眉が印象的な厳めしい顔つきのラインベルガ=スニードの階級章は、スヴェンと同じ
六つ星だ。三十代前半にして大佐に昇り詰めたものの、窮屈なデスクワークよりも
血風吹き荒ぶ戦場に身を投じる方を選んでしまう根っからの武人である。
 獅子の鬣の如き赤髪と巌のような体躯で得物の大剣を振舞わすその姿は神話に登場する
軍神さながらであり、周辺国から”アルセリウスの獅子”と畏怖を込めて呼ばれている。また、
類まれな武勇に加え裏表のない性格で部下からの人望も厚い。
「先程もアユタナのところへ今日の議事録を借りに来たぞ。議事録ぐらいならばどうとでも
なるが、あのような様子では何時か大問題を引き起こすぞ」
 イルマを副官にしてからというもの、ラインベルガのお小言は半年間毎日続いている。
─半年間も毎日欠かさずミスするのは大したものだが、イルマ本人はあれで到って真面
目なのだから可哀想というべきだろうな。
 ラインベルガは決してイルマを悪く言うつもりなどない。純粋に心配しているからだと
いうことはスヴェンにも痛いほど分かるが、ほぼ毎日繰り返されていてはさすがに話半分
に聞き流してしまう。

476:二組の”大佐と副官”-5 ◆GK0/6l5f56
08/04/27 17:45:51 3L0/48pn
「おい!聞いているのか、スヴェン!」
「そう言うな、ラインベルガ。あれはあれで良い所があるのだぞ」
 スヴェンの言葉にラインベルガは太い眉を寄せ、怪訝な顔をする。
「もしかして……お前、あういう娘が好みなのか?」
 突如、スヴェンの”鷹の目”が細まり途端に凄みが増す。その瞳に睨まれラインベルガは
全身に悪寒が走るのを覚えた。どうやらこの国きっての魔導師の虎の尾を踏んで
しまったらしい。
「誰がそんなことを言った?」
 聞いたものを凍りつかせんばかりのスヴェンの威圧的な声が響く。剛毅でならす、さしもの
ラインベルガもたじろがざるをえない。
「いや、う、噂だ。あれだけ足を引っ張られてもお前がイルマを解任しないことを不思議
がっている下士官どもの間で流れている噂だ」
「それを真に受けたでもいうのか、ラインベルガ?」
「ゴ……ゴホン。その……あのだな……あくまで、可能性として質問しただけなのだ」
「お前ともあろうものがつまらん風説を口にするとは嘆かわしい。噂は軍紀を乱し、
戦場では敵につけ入るスキを与える。よもやお前ほどの男が知らぬはずがあるまい」
 ピシリと言い放たれた正論に反駁の余地はまるでない。おまけにスヴェンの迫力から
推察するに、反論しようものならただではすまないことをラインベルガは本能的に悟った。
「あ、ああ。すまなかった」
 彼が冷や汗を垂らしながら頷くと、スヴェンの瞳がいつもの色に変わった。
─まったく、イルマのことになるとこの男は人が変わる。それでいて、恋心でもあるのかと
探ってみると今のように本気で怒りかね出しかねない……魔導師という奴らは厄介な連中だ。
 とはいえ、勘繰りを入れたラインベルガ自身がとびきりの朴念仁だったから、スヴェンが
僅かに見せた異質な気色に気がつくことはなかった。
 冷や汗が引き始めた友人を横目に、スヴェンが一言呟いた。
「イルマの良い所はだな……」
 ところが、イルマを褒めようとしたものの次が続かない。スヴェンの記憶の中のイルマは
ミスを犯して慌てている姿か、謝っている姿のどちらかだった。
 興味津々な様子でそのスヴェンをラインベルガは凝視している。
 暫く沈黙が続いた後、スヴェンがおもむろに口を開く。
「……コーヒーを美味く淹れる」
「コーヒー?」
 ラインベルガは呆気に取られたが、スヴェンは到って真面目に頷く。
「ああ、悪いか?」
「…………いや」
─お前、コーヒーだけなら副官にバリスタでも雇え!!
 と、叫びたいラインベルガであったが、命を天秤に掛けてまで口にすることはなかった。

477:二組の”大佐と副官”-6 ◆GK0/6l5f56
08/04/27 17:46:46 3L0/48pn
 ◆ ◇ ◆

─まったく付き合いきれん。
 そんな気持ちでラインベルガは自分の執務室に戻った。誰もいないと思っていた部屋の
ドアを開けると、副官のアユタナ=リーランドがまだ書類を整理していた。
「まだ、帰らんのか?」
 ラインベルガの声に、見事なブロンドの髪をアップに纏めた美しい女性が顔を上げる。
銀色の細いフレームのメガネが良く似合う聡明な相貌は何だか嬉しそうに緩められている。
「後、少しで終わりますわ、大佐」
 婉然と微笑を浮かべるアユタナはラインベルガと八歳違いの二十三歳である。文官、
武官を問わず幾人もの傑出した人材を輩出した由緒あるリーランド公爵家の子女だ。
 若く家柄も良くおまけに美しい彼女が、何故むさくるしい平民出の自分の副官になど
志願してきたのか、ラインベルガにとっては未だに謎である。
「ゴホン……そうか、あまり無理はするなよ。根を詰めすぎると身体に毒だぞ」
「お気遣いありがとうございます。ところで、終わったら食事をご一緒して頂けませんか、
ベル?」
 親しげに掛けられた「ベル」という愛称にラインベルガは慌てふためき仰け反ってしま
う。
「リ、リーランド中尉!!」
 アユタナのいないところであれば、いくらでも彼女の名前を口にできる。しかし、面と
向うと、あがりにあがってしまい、彼女が任官されてから半年も経つにもかかわらず、
いまだにラインベルガは副官を名前で呼べない。
「し、執務中はそのように呼ぶのは止めろと言ったはずだぞ」
「あら、では執務中ではなければ宜しくて」
 ほっそりとしたアユタナの指先がメガネのフレームを押し上げる仕草は、相手を本気で
追及する兆候だ。こうなるとラインベルガは、戦場での武勇はどこ吹く風で蛇に睨まれた
蛙の心地に追いやられる。
「……い、いや、そういう問題では……」
「では、どういう問題なのですか?」
 ルージュを引いた柔らかそうな唇が緩み、澄んだ双眸が悪戯心に満ちた輝きを放つ。
 ラインベルガはドサリと自分の執務用の革椅子に巨体を沈めると、長く溜め息を付いた。
「だから……その……ええい!ダメなものはダメなのだ!」
 ラインベルガは友人のスヴェンのように思慮深くもなく弁が立つわけでもない。文官の
中でも一、二を争うほどに優秀なアユタナを相手に舌戦を試みても、勝ち目がないことは
痛いほど良く分かっている。そのため、下手に言い争うよりも半ば強引に話を打ち切る方を
彼は選んだ。
 しかし、ラインベルガの答えに納得がいかないアユタナは、ゆらりと席から立ち上がり
ヒールの音を立てながら彼に歩み寄る。


478:二組の”大佐と副官”-7 ◆GK0/6l5f56
08/04/27 17:49:13 3L0/48pn
 軍の制服の上からでも分かる彼女の抜群のプロポーションには、強靭な自制心を誇る
ラインベルガですらわれ知らず見蕩れてしまう。重力に逆らう張りのある豊かな胸の膨らみ、
一切の無駄がない細く括れた腰とタイトスカートを押し上げる上向きのお尻があいまった
肉感的な体型は、美の象徴である月の女神の彫像が生命を得たのかと勘違いしそうになる。
そして、そんな色香を隠すどころかわざと強調するように、にじり寄ってくるのだから、純朴な
ラインベルガにしてみればたまったものではない。
「そんなつれないことを仰らなくても宜しくはありませんか?」
 薄いレンズ越しにラインベルガを見つめるサファイア・ブルーの瞳が妖しく揺れる。
 口元に微笑を浮かべたままアユタナはラインベルガの執務机の端に横向きに座り、わざと
見せつけるようにスラリと長く伸びた脚を組み替える。黒のストッキングとコントラストをなす
白い脚は生唾ものだ。挑発的な仕草にさしものラインベルガも思わずゴクリと喉を
鳴らしてしまう。それを見たアユタナはさも嬉しそうに微笑む。
「私、あなたがその気になるのをずっと待っているのですよ、ベル。そろそろお気づき頂
いてもいいかと」
「リ、リーランド中尉!か、か、からかうのは止めてくれ!」
 ラインベルガは耳まで真っ赤に染め、そっぽを向いて拗ねたように呟く。
「お、俺みたいな男を……お、おちょくって何が楽しいんだ?」
 その言葉を聞いて、アユタナは怪訝そうにラインベルガを見つめる。
「おちょくるなんて……今も昔もそんなつもりはサラサラありませんが?」
「き、君みたいな魅力的な若い女性が俺みたいなのを相手にするなど、誰が信じるという
のだ!」
 毎朝、鏡で見る自分の顔はゴツゴツと厳めしく武人としては申し分ないが、どう考えて
も女性の興味をひくとは、ラインベルガには到底思えない。そんな武骨な顔立ちと朴念仁の
性格が相まって、彼は三十一歳になる今の今まで女性には無縁の殺伐とした生活を送ってきた。
─そんな自分がアユタナのような若い美女に迫られるなど、夢だとしても信じられない。
これは何かの悪い冗談なのだ。そうとしか考えられん!
 眉間に深い皺を刻み、固く瞳を閉じたラインベルガが丸太のような太い腕を組む姿を見
つめたアユタナは、おもむろに制服の襟元に手を掛ける。

「では、こうすれば信じてくれますか?」

 室内に響くボタンを外す乾いた音に、慌ててラインベルガは瞳を開ける。
「…ちょ、ちょっと待て!」
「待てません!」
 彼の視線の先には、制服のボタンをドンドン外していく絶世の美女の悩ましい姿があった。
肌蹴た胸元から覗く黒い下着に包まれた豊かな膨らみが作り出す谷間に、ラインベルガの
視線は思わず釘付けになってしまう。
─いかん。いかん。な、何をしている!こ、こんな風紀に反するようなことは上官として止めねば!
「リーランド中尉、もう止めろ!じょ、上官命令だ!」 

479:二組の”大佐と副官”-8 ◆GK0/6l5f56
08/04/27 17:49:50 3L0/48pn
 それでもアユタナの指は止まらない。上着のボタンを全部外すと今度はベルトのバックルを
緩めに掛かる。
「き、聞こえんのか!上官命令だぞ!」
「……力づくでお止めになったら、如何です?”アルセリウスの獅子”とも称されるお方が
女一人組み伏せることなど、造作もないことでしょうに」
 挑発するような流し目に、ラインベルガはドギマギしてしまう。戦場ではどれだけ白刃が
降り注いでもいささかも変化を見せない心臓の鼓動が、今は早鐘のように滅茶苦茶な勢いで
打ち鳴らされる。
「た、頼む、リーランド中尉。気を確かに持て!」
「持っていますが、何か?」
「いやいや……いつもの冷静な君を取り戻してくれ!」
「普段と何ら変わりませんが」
「…………なあ、頼む。俺を困らせて何が楽しいんだ」
 はぁぁとアユタナは悩ましげな溜め息をつく。
─何て、鈍感なのかしら。
 形の良い顎に手をかけ、見目麗しい副官は暫し思考を巡らせた。
「……ではどうでしょう。私の名前を呼んで頂けるのであれば、今日のところは確実な一歩を
踏み出したということで譲歩致しましょう」
 ラインベルガからいつも「リーランド」と家名で呼ばれることがアユタナには常々、もどかしかった。
好きな人間に自分の名前を呼んで欲しい─まさか、自分がこんな少女じみたことを切に
望むようになるとは、とアユタナは呆れていた。たかだか、名前如きと思っていても、
ラインベルガの低く野太い声で自分の名前を呼ばれることを想像すると、彼女の心は
キュッと甘く締め付けられる。そして、自然と頬が紅くなり目が潤んでしまう。
─本当はいきなり押し倒してもらっても構わないのだけれど、ベル相手では現実的な
ところから一つづつ進展させていくしかないわね。
 ラインベルガは「今日のところは」というところに引っ掛りつつも、事態の収拾を図るべく
副官の提案に不承不承頷き、彼女の名前を呼ぶことにした。しかし、やはりというべきか
色恋沙汰への免疫をもたない彼にはこんなことですら羞恥心が先走り、モゴモゴと言い
よどんでしまう。
 純情なラインベルガが必死に羞恥と葛藤している姿を眺めながらも、アユタナは衣服を
脱ぐ手を止めない。濃紺のタイトスカートが脚をスルリと通り抜け、前が肌蹴た上着を
羽織った彼女の下半身はガーターベルドで止められた黒いストッキングとショーツだけ
という姿になっていた。
 とんでもなく悩ましげで扇情的な姿にラインベルガは頭を抱える。下手をすると夢でも
誘惑されそうだ。しかし、切迫した状況にラインベルガはやっと勇気を振り絞り、彼女の
名前を蚊の鳴くような小さな声で呟いた。
「…ア、……アユタナ……中尉」
「中尉は余計ですわ」

480:二組の”大佐と副官”-9 ◆GK0/6l5f56
08/04/27 17:50:49 3L0/48pn
 まったくどちらが上官かサッパリ分からない。

「…………ア……アユタ……アユタナ。頼むから、この辺で勘弁してくれ」

 ボソリした声だったが、アユタナにしてみれば至上の音楽と同じかそれ以上の響きだった。
あまりの喜びで飛び上がらんばかりに心が弾んだ。たかだか、名前を呼ばれただけにも
関わらず、彼女は身体の奥がキュッと熱くなるのを覚えずにはいられなかった。
 しかし、それとは別の感情も湧いてきた。
「私の裸など見るに堪えませんか?」
 口元には微笑を浮かべながらも、アユタナは少し悲しそうに目を歪めてみた。
「……そういう問題ではない。その、俺だって見てみたい……って、何を言っているんだ、
俺は!!!」
 あまりに恥ずかしい失言に頭を机に叩きつけ、ラインベルガは赤髪を掻き毟っている。
 その羞恥に悶える上官の姿と彼の口からはからずも漏れた本心を聞けたことから、
アユタナは安心した。
─ベルも興味があったのね。良かった。
「と、とにかくだ……服装を正してくれ。だ、誰か入ってきたら困るだろうが」
「私は構いません。できれば、情事の後ぐらいに勘違いしてもらった方が、話が早く良いの
ですが」
 平然とトンでもないことを言い放つ美貌の副官に、無粋の塊である上官は頭を抱える。
─何の話だ!何の!
「約束は守ってくれたまえ……頼む」
 今日何度、アユタナに頼むと言ったか数え切れないな、とラインベルガは思う。
「……仕方ありませんね」
 その返事にラインベルガはほっと安堵の息を吐くが、そんな気持ちとは裏腹に脳裏を
残念という思いがよぎる。慌てて理性を総動員して打ち消そうと躍起になるにもかかわらず
彼はアユタナが着衣を整え終わるまで、その姿から目を放せないでいた。

(了)

481:名無しさん@ピンキー
08/04/27 17:51:20 3L0/48pn
以上です。

お付き合い頂いた方、ありがとう。 


482:名無しさん@ピンキー
08/04/27 19:16:48 Dn0v6mIu
GJ

483:名無しさん@ピンキー
08/04/27 20:01:14 KAGwyLrt
GJ!アユタナ頑張れ!

484:名無しさん@ピンキー
08/04/27 23:14:58 Eu245mOz
GJ!
ラインベルガを追い詰めていくアユタナが可愛いな

485:名無しさん@ピンキー
08/04/28 01:16:19 p2es6Fl4
読んでる間、顔がニヤニヤしっ放しだったよ。GJ!
スヴェンとイルマの仲も進展させてやって下さい。

486:名無しさん@ピンキー
08/04/28 03:00:50 JOHC4jNG
ラインベルガは完全に尻に敷かれてるなw

487:名無しさん@ピンキー
08/04/28 22:57:41 ZP/6CYgg
違います。手玉に取られているだけです。コロコロ

488:名無しさん@ピンキー
08/04/29 01:14:10 smXYP3da
投下期待

489:名無しさん@ピンキー
08/04/29 14:09:41 cANfMZIA
良いもの読まさせて頂きましたGJ!!

490:名無しさん@ピンキー
08/05/01 13:49:05 vOy5XERi
上げとくか

491:名無しさん@ピンキー
08/05/06 01:22:28 TRdg896a
保守

492:名無しさん@ピンキー
08/05/10 23:00:55 whRFehbK
上げておこう

493:名無しさん@ピンキー
08/05/13 11:44:29 YghIJQEG
いつもはクールで表情を表に出さないような女軍人さんが主の前では、デレッデレになっちゃう、っていうのが好きだ

494:名無しさん@ピンキー
08/05/18 22:11:53 0BmPq05P
なんと素晴らしい

495:名無しさん@ピンキー
08/05/19 02:17:46 bGAm9tb1
最初は嫌悪と恐怖で主人に対して脅えている女性従者が徐々に主人に心を開くとかも好きだ。

496:名無しさん@ピンキー
08/05/19 23:49:09 21ldgLF9
上げ

497:名無しさん@ピンキー
08/05/24 10:55:58 wR4duyQO
盛り上がらない

498:名無しさん@ピンキー
08/05/28 00:22:08 RKzp50CP
保守

499:名無しさん@ピンキー
08/05/28 00:47:53 54K/f/J6
>>495
いいねえ。

500:名無しさん@ピンキー
08/05/28 01:33:43 mU45XrXp
人前では馬鹿殿のフリをしている主人が、
女従者の前でだけは素の真面目な顔に戻るとかいうのも好きだ。

501:名無しさん@ピンキー
08/05/28 21:56:12 7Ouqn1wN
ちと女の設定が姫だけど、大河篤姫の殿っぽいな

502:名無しさん@ピンキー
08/05/29 10:40:59 aPX2Xxmn
じゃあお志賀たん(側室)で

503:名無しさん@ピンキー
08/05/30 20:02:30 t/B57+OH
>>500
逆のパターンは結構あるよな

504:名無しさん@ピンキー
08/05/30 21:12:36 lc/gIor6
>>503
馬鹿のふりをしてる男従者だか女主人の前ではまじめってパターン?

505:名無しさん@ピンキー
08/05/30 23:20:07 3QIQmjMz
>>504
女従者と二人きりの時は自堕落でぐーたらしてて、
どうしてくれようこの馬鹿主人、とか思われてるような男主人が
公式な場では真面目一徹な超堅物で通ってる…とかじゃね?

506:名無しさん@ピンキー
08/06/04 05:59:48 StPtNPz/
投下期待

507:名無しさん@ピンキー
08/06/05 08:26:02 Lkc2MIU1

このスレの活性化を願って投下ー。

携帯から&初めてなもんで駄文になるかもだけど目を瞑ってやって下さい

508:名無しさん@ピンキー
08/06/05 08:27:58 Lkc2MIU1
とある世界の、とある街の、とある宿屋。
その一室の窓枠に一人の女が座っていた。

足首ほどまである長く美しい髪は燃え盛る炎のごとく紅く、月明かりに照らされて神秘的に輝いている。
青空を切り取ったかのような蒼い瞳は、優しく細められ、ベッドで眠る主人へと向けられていた。

いや―正確に言えばもう主人ではない。
契約期間である2年の月日は、数分前に終わりを告げたのだから。

「……」

彼女はこの世界では名が知れている。―この世の全てのものの中で最強だと。
そして、彼女を従者に選ぶと、契約期間の切れた日に、その者の命も切れる―と。

「……可笑しなものね。本来ならもう消しているのに」

後者の噂の真実は、彼女が契約主を抹殺していた。……それが彼女の使命だった。

彼女は数十人しかいない戦闘種族の娘。

生物研究者が彼女の一族を知ろうものなら、その身をモルモットとして欲するだろう。
そして多額の金を掛けて、彼女の一族を捕まえてしまうだろう。

数の少ない彼女達にとって、それは何より恐ろしいものだ。
しかし彼女は人目に触れてしまい、名が売れすぎてしまったため、姿を消せなくなってしまったのだ。


509:名無しさん@ピンキー
08/06/05 08:33:43 Lkc2MIU1
ならば情報を漏らす恐れのある者だけ――自分を従者として雇った者だけを消せと、一族は彼女に命じたのだ。

今、目の前で安らかに寝入っているこの青年も消すべき者。


――だというのに、彼女は青年を殺せずにいた。


何故かは、旅の中で知っていた。
彼女は気付かぬうちに、主人であったこの青年に想いを寄せていた。
そんなもの、一生抱くことはないと思っていたのに。

「複雑怪奇ね、感情って」

自嘲するように笑って、彼女は立って外に向き、普段隠している髪と同色の翼を出現させた。

そういえばこの翼を、この容姿を、褒めてくれたのもこの人だけだったな…。

ふと思い出す、今までの雇主。
この容姿を忌み嫌う者。興味のない者。そのどちらかだったはずなのに、彼はそれを褒めた。
不思議に思うだけだったのに、今今思い出すととても嬉しい。

「ありがとう…さよなら」

そうとだけ発し、彼女は夜闇へと飛び立






てなかった。

510:名無しさん@ピンキー
08/06/05 08:43:08 Lkc2MIU1
素早く手首に鎖が巻き付き、彼女を部屋に引き戻したから。
そのまま更に引かれ、よく見知った者の腕の中にすっぽりと収まった。

「…いつから起きてらしたんですか?マスター。いえ、元マスター…かな」

「残念ですが僕は寝てませんよ?」

見上げればにこりと笑っている青年の顔が目に入る。
手首に鎖が巻き付いているせいで、腰に回された腕から逃れたくても逃れられない。

「離して頂戴、元マスター」

「嫌ですよ。離したら貴女、どこかに行ってしまうでしょう?」

「当たり前でしょ。契約期間はもう切れたんだから」

“本当は貴方を殺さなければならないのだけれど。”
言葉の続きを呑み込んで、娘は俯いた。

「フレイヤ、僕のことを殺さなくていいんですか?」

「……!?」

何故知っているのかと驚いて顔を上げた途端、強引に口付けられた。
咄嗟に反応できず、口付けは深くなっていく。

511:名無しさん@ピンキー
08/06/05 09:56:52 Lkc2MIU1
僅かな隙間から舌が入り込んで、娘…フレイヤのものに絡められる。
体の芯が融かされるような感覚がして、力が抜けたフレイヤは青年に体を預けた。

互いに息苦しくなり唇が離れると、二人の間に名残惜しそうに銀の糸が引く。
ベッドに仰向けで寝かせられ、鎖で両手を柵に拘束された。

「も…と…マスタ…何を…っ」

「僕の名は“クロス”ですよ?前に教えたはずなんですが…」

「………」

勿論、覚えていた。
しかし彼は雇主。そして本来ならば殺さなければいけない存在。
だから敢えて呼ばなかった。

「取り敢えず僕は“元マスター”なんて名前ではないので何も答えられませんね」

一度彼女から離れ、もう一つのベッドの脇に置いていた自身のバッグからタガーを取り出した。

「あと…貴女の気持ちに気付けないほど僕は鈍感じゃありません」

一瞬真剣な顔付きになったかと思えば、再び妖しい笑顔を浮かべ、フレイヤの上に跨った。
そして、タガーで下着ごと服を裂く。

「ゃ…止めて!」

「止めて…ですか」

クスッと笑って、クロスは露になった豊かな胸の頂に触れた。
瞬間、甘い電流が体を突き抜けた。

512:名無しさん@ピンキー
08/06/05 10:00:02 Lkc2MIU1
「キスだけで立ってますよ?本当は嬉しいんじゃないですか?」

「…っんぁ…」

「クスッ…。いい声ですね、もっと聞かせて下さい」

固くなった頂を指の腹で弄び、片手ではもう片方の乳房を揉みしだく。

「ん…ぁっ…ひゃぅっ!」

想い人が相手だからか、それとも別の理由からか、抑えようとしても喘ぎが止まらない。

羞恥から涙があふれ、フレイヤの頬を濡らす。
それを舐め取られ、片手が胸から下へ滑っていくのを感じた。

513:名無しさん@ピンキー
08/06/05 11:55:26 Lkc2MIU1
取り敢えず今はここまでしか出来てないんで。
今週中には全部終わらせようと思うんで暫しお待ちを。

514:名無しさん@ピンキー
08/06/06 16:06:39 WTBX1rrb
おおGJ!
こういう展開大好きですwありがとう!

続き楽しみにしてます。
期待の意味もこめてage

515:名無しさん@ピンキー
08/06/06 23:44:28 AWlWCWZ/
>>513
gj!
エロの後も気になるぜ

516:名無しさん@ピンキー
08/06/07 00:56:56 YcIfotGg
+   +
  ∧_∧  +
 (0゚・∀・)   wktk
 (0゚∪ ∪ +
 と__)__) +


517:名無しさん@ピンキー
08/06/09 06:14:44 YESvdlXZ
スマン、昨日までに書き切れなかった。
今日か明日には投下できるようにするよ…

518:名無しさん@ピンキー
08/06/09 07:26:34 cou4Q+qD
がんばって!
期待してるよ!

519:名無しさん@ピンキー
08/06/09 17:59:29 Yb/6wCwo
楽しみです。

520:名無しさん@ピンキー
08/06/09 19:07:25 jAP/pUfl
“元マスター”って呼び方もいいな
正座で続き待ってるよ

521:513
08/06/09 23:52:22 YESvdlXZ
誰も見てないことを願いつつ、書けたので続き投下ー。

多分皆の期待には応えられんような文だと思うけどごめんよ。

522:513
08/06/09 23:53:30 YESvdlXZ
「…ぁ…ゃ…ダメ…っ」

喘ぎ混じりの制止の声も虚しくショートパンツが脱がされ、ショーツだけにされる。
それさえも自らの蜜に濡れ、あまり意味をなしていない。

「…“嫌”なんですか?本当に“駄目”だと思ってるんですか?」

どこか怒りを、悲しみを含めた様な声が耳に届く。
全ての行動が止まり、少しでも快楽から逃れようと閉じていた瞳を開くと、憂いを帯びた顔が目の前にあった。

「本当に嫌ならこんな風にはならないでしょう?」

「はぁ…んっ!」

ショーツ越しでもわかるほどぷっくりと膨らんだ蕾を撫で上げられ、甘い吐息が漏れる。

「気持ち良いんですよね?だからそんな声が出るんでしょう?だから濡れたんでしょう?」

くちゅり、と卑猥な音を立てて、ショーツの間から指が秘部へ3本入り込み、ナカを掻き回す。

「はぁぁ…っ!ひぅん…んっ…!」

「フレイヤ」

名前を呼ばれ、頬に温かい手が触れた。
心地よくてうっとりしていると、また深く唇が重ねられた。
続く下への愛撫に声を上げようとするも、くぐもった声になって満足に喘ぐことができない。

「フレイヤ」

唇が離れてまた名前を呼ばれる。今度は指が抜かれ、その際に吐息が溢れた。

523:513
08/06/09 23:54:30 YESvdlXZ
翡翠色の双眸と見つめ合っていると、少し前の様に妖しくニヤリと笑って耳に口を寄せた。

「貴女は…僕のことが好きなんでしょう?」

ビクリと体が揺れた。
身体は火照ったままなのに寒気を感じた。

鎖が解かれ優しく抱き上げられる。

直ぐに答えようとフレイヤは思ったが、自分の使命がそれを止めた。
彼は一族の存続ために殺さなくてはならない人間。
だから恋愛感情は持ってもそれを通わせてはいけないのだ。

…でも、クロスの哀しそうな瞳と目が合った途端、その心は霞んで消え失せた。

「…好きよ…」

「…僕もですよ、フレイヤ」

嬉しそうに笑うクロスを見て、フレイヤも釣られて微笑んだ。
同時に、胸がちくりと痛む。

自分は愚かだと心の中で自嘲する。
この先、この行為が終わった後に殺すというのに。
この笑顔を…壊さなくてはいけないのに。

「どうしました?」

「ううん、何でもない」

首を振りながら答えると、強く抱き締められた。

不思議に思って少し離して顔を覗くと少し顔を赤く染めて照れているようで。

524:513
08/06/09 23:56:39 YESvdlXZ
「すみませんフレイヤ。僕もう我慢の限界なんです。……いいですか?」

お腹の辺りに何か固い物が当たっているのを感じて、顔に血が上るのがわかった。

ゆっくり頷くと、また…でも今度は優しくベッドに押し倒される。
「勿体無いですが擦れて痛いでしょうから翼、仕舞って下さい」

言われた通りに仕舞いあぐねていた翼を仕舞うと、そっと啄むような口付けをされた。
さほど意味を成してないショーツが剥ぎ取られ、恥ずかしくも濡れそぼった秘部に熱い物が宛がわれた。

「いきますよ…」

「ん…っ!!」

指とは違う質量の侵入に息が詰まる。
そしてクロスも予想以上の締め付けに小さく呻きを漏らした。

「フレイヤ…もしかして、初めて…ですか?」

火照って赤くなった顔を更に赤く染めて頷く。

「そうだったんですか…では」

輝かんばかりにニコリと笑った後、いきなり蕾を擦り上げた。

「んぁぁぁあ…っ!!」

予期せぬ快感に身を捩りながら喘ぎ、締め付ける力が抜ける。
その隙をついて、一気に貫いた。

何かが破れる音がして、一瞬遅れて鈍い痛みが襲ってきた。
シーツを握り締めて痛みに耐えていると、そっと手が重ねられた。

「痛かった…ですよね?」

「ん…っへい…き……」

強がって答えたものの顔に出ているのだろうか、動き出しはしない。
実際破瓜の痛みは相当なもので、簡単には消えそうにもない。

汗で額に張り付いた髪が剥がされ、額に口付けが落ちる。
また見つめ合って、どちらともなく唇を重ねた。

525:513
08/06/09 23:59:08 YESvdlXZ
「…ほんとに…もう動いて…大丈夫だよ」

暫くそうして過ごし、大分痛みが消えてからそう告げた。

クロスは優しく笑って頷き、ゆるゆると動き始めた。
最初は痛みばかり覚えたものの、時が経つにつれ、それは快楽へと変わっていった。

「ぁ…っくぅ…っ!も…と…マス…タ…っ!」

罪に溺れぬよう、快楽に…欲に負けぬよう、わざと名前を呼ばない。
今更無駄なのかもしれないけれど、そうすることで自身に釘を打った。

そうでもしないと、離れられなくなりそうだったから。

「く……っ…!!…僕はクロス…です!」

「んぁ…ゃっ!!そん…激し…っ!!」

呼び方に反応して、クロスの律動が急に早くなった。
勿論そんな事をしても、名前を呼ぶつもりはない。

二人分の荒い呼吸、肌と肌がぶつかる音、互いの奏でる淫らな水音、抑えることのできない喘ぎ声。

静かな部屋にそれが響く。
隣の宿泊客に聞こえるんじゃないかと心配になって、快楽の波に掻き消される。

「ひゃぁ…っぅ…も…ダメ…っ!イっちゃう…っっ!!」

「んっくぅ…っ!!…いいですよ…っ…イって下さ…!」

元々早かった律動が速度を増し、更に奥へと入り込む。そうして絶頂へと駆け上っていく。

「は…っぁぁぁぁぁあん!!!!」

「…っ…フレイ…ヤ…っ!!」

絶頂を迎えたフレイヤはそのままベッドへ沈み、クロスも強い締め付けに殆ど同時に達し、その身体を横に倒した。

「愛してますよ…フレイヤ」

その言葉を残し、彼は気だるさからくる睡魔に負け瞳を閉じた。

526:513
08/06/10 00:00:03 YESvdlXZ
「……ごめんなさい、元マスター…」

今度こそクロスが完全に寝入っていることを確認して、フレイヤは囁いた。

「やっぱり、貴方の気持ちに応えるわけにはいかない」

重たい上半身を無理矢理起こして、隣にある若葉色の髪を撫でた。
この時ばかりは自分がスタミナの多い戦闘種族で良かったと思う。

「今、どんな方々でも貴方を殺せる」

それをせず立ち上がって、窓辺に落ちていたバッグから替えの服を取り出して着替える。

「今なら、ナイフか銃で貴方の心臓を確実に当てられる」

バッグを手に持ち、消していた紅い翼を広げて夜空へ飛び出し、振り向いた。

「ここからなら、ライフルで貴方の心臓を撃ち抜ける」

バッグの中からライフルを取り出し、それに照準を合わせる。

「さようなら……クロス。私がたった一人愛した人…」

ライフルの引金を引いた。
弾は見事に命中した。
明日になればきっと誰かが気付くだろう。

フレイヤの眼からは涙がこぼれ落ち、月光に輝いていた。

527:513
08/06/10 00:04:22 ThSUN6Px
時が経ち、季節は巡って再び同じ季節。

青々と木々が生い茂る森の中で、娘が一人、岩の上に座っていた。

娘の地面に付きそうなほど長い髪は紅く、月光に照らされて神秘的に輝いている。

大空を切り取ったような空色の瞳は、夜空にかかった星屑の川に向けられていた。

「もう…一年も経ったのね」

口元に笑みを浮かばせて、片手を空へ伸ばす。

「星を取りたいだなんて子供みたいなこと考えてるんですか?」

「……」

突然現れた青年に驚くこともせず、伸ばした手をそっと下ろした。

「起きたらいきなり感謝されてびっくりしましたよ。“就職中に開いてる窓から入り込んで荒らしてくる魔物を倒してくださった”…と」

「……」

「貴女でしょう?アレを撃ったのは」

「……何故…私だと?」

「近くに綺麗な紅い羽根が落ちていたので」

「それだけ?」

「貴女しかこんな綺麗な羽根を持つ人はいませんから」

青年は娘に近付くと、その手をとった。
娘は青年の方を向く。

「僕と契約を結んでくれませんか?僕が年老いて寿命が尽きるその時まで」

青年の強欲な申し出に驚いたような顔をした後、娘は嬉しそうに笑って告げた。


「はい…。マスター」




fin

528:513
08/06/10 00:08:41 ThSUN6Px
エロ薄くてごめん、つか下手でスマン。

初めてだから仕方ないと思ってやって下さい!

じゃあ腐った生卵投げ付けられる前に退散しますよ。

神の降臨を陰から願ってます。

529:名無しさん@ピンキー
08/06/10 01:27:12 FtY9SQhI
GJ!
無事再会して良かったよ(*´д`)

つ ゆで卵
これで栄養つけてまた投下してくれ


530:名無しさん@ピンキー
08/06/10 03:02:48 82AAE1VI
513いいぞ!もっとやれ

531:513
08/06/10 06:57:32 ThSUN6Px
スマソ、訂正部分発見。
>>527の“就職中に~”っていう台詞は就職中じゃなくて就寝中だったよ…。
orz


532:名無しさん@ピンキー
08/06/10 10:17:28 FGG/MGWq
方法 が 方々 になってるっぽいところもあったよw

何はともあれ乙でした。

533:名無しさん@ピンキー
08/06/10 23:59:42 0wvGwqcJ
いや~表現オシャレだったよ~GJ!

ただ「就職中に開いてる窓から入り込んで荒らしてくる魔物」って誰のことだったの?フレイヤじゃないよね?

534:名無しさん@ピンキー
08/06/11 06:38:07 HFfvXZPG
フレイヤの監視とエスパー

535:名無しさん@ピンキー
08/06/12 08:07:31 uOe8Dfbi
GJ!
軽く読めたのにエロくて良かった。

つ 新鮮卵かけご飯

536:名無しさん@ピンキー
08/06/14 20:03:37 +0SyWFd4
保守

537:513
08/06/14 21:08:43 afcqWsKB
おお、皆さん自分なんかに感想下さってありがとうございます。

>>532
〇.....TZ
確かに方々じゃなくて方法だな…。
気が付かなかった…。

>>533-534
それはただの魔物のつもり。
フレイヤ達の種族はひっそりこっそり暮らしてます。


ところでここって非エロ駄目だよね?

538:名無しさん@ピンキー
08/06/14 21:16:40 2GIWK6Nx
え?と思って、
確かにスレタイは「エロ小説」だな、と思って、
>>1
> エロなしSSでも主従萌えできるなら全然おけ。
という事のようだ。

539:513
08/06/14 21:43:15 afcqWsKB
>>538
㌧。
エロ話の前後どっちか書きたいと思ってたんだ。
書けたらまた来やす。

540:名無しさん@ピンキー
08/06/18 19:37:10 uTfRxlN/
期待age

541:名無しさん@ピンキー
08/06/24 18:11:12 ntY08BLF
金持ち優秀生徒会長と貧乏お馬鹿元スケ番で主従っぽいのを
書こうかと思っているんだが、
これはこのスレで合ってるかな


542:名無しさん@ピンキー
08/06/24 18:24:37 +0HTXt4U
>>541
男主人で女従者ならここ

543:541
08/06/25 03:21:46 w2+LMDz4
保守を兼ねて投下します。
あんまり設定がしっかりしているわけではないんですが、
↓のあらすじを前提にして読んで下さい。
あとエロくありません。
すみません。

【あらすじ】
元スケ番の水上優子は風紀委員会にはめられて退学になりそうになった所を、
成績優秀容姿端麗運動神経抜群の財閥御曹司で生徒会長というマンガスペックの同級生、
高野道隆に助けられて、その人物像の中に勘違いから男気を見出し、舎弟になると誓う。
舎弟になった暁には高野のためならいざ鎌倉と馳せ参じる覚悟であるといい、
生徒会の役員にも立候補したりと、水上は高野に懐いて付きまとうが、
いつも問題を起こしてばかりなので高野は絶えずイライラを募らせている。



544:痛いでしょう1
08/06/25 03:24:38 w2+LMDz4
午後の授業に見なかったその顔を放課後の生徒会室に見つけて高野道隆は軽く肩をすくめた。
明らかに不審な挙動でこちらのの様子を伺いながら部屋の隅から高野を見ている。
それでいて近寄ってくるわけではない。
ばれたくないのならわざわざこの部屋に来なければいいのに、
水上優子はそれでも毎日ここにやってくるのだ。
頭が悪いことこの上無い。
高野は思い切りいい笑顔をつくるとやんわりと水上に話しかけた。
「水上さん」
「は、はい!」
びくりと水上はあからさまなまでにうろたえた。本当に、不可解な女だ。
「顔、誰にやられたんですか?」
「あ、はい、ちょっとその…誰にやられたのかよくわかりません!それに多分ちゃんと三倍で返したし…」
「そういう問題じゃない。あんた午後どこ行ってきたんですか」
「ちょっとその、野暮用で…」
「授業をさぼってまでやらなければならない野暮用とは?」
「えーと」
真っ青な顔で必死に言葉を探す水上。この高野道隆を論破できるなどとよもや考えていないだろうが、それにしても幼稚だ。
高野はじりじりと水上に詰め寄る。水上は壁際で逃れようがない。
「立場ってものをわきまえて貰わないと困りますよ。あんたこの生徒会の書記でしょう」
「はいっ!すみませんでしたぁ!」
びくりと肩を震わせて背筋を伸ばし謝る姿にはため息もこぼれようというもの。
大体このやり取り、最近週に一度はやっている。
「反省だけなら猿だってできますよ!このっ……ゴリラ女」
「すみません、ほんっとーにすみません!もうしません!」
「何度目だ、そのセリフ。もう呆れてかける言葉もない」
「すみません、本当に本当にすみません。今度こそ、絶対に今度こそ二度としません!」
「俺は信じて裏切られるのは、嫌いなんですよ。いいかげん解任…」
「ごめんなさい!本当にごめんなさいぃ!」
ああ畜生まただ。
水上優子はぶん殴られて赤く腫れたぶっさいくな顔をぐしゃぐしゃにして、ほぼ八割方泣いている。
「……あのねぇ……ちょっと……あーもう。あんたみっともないでしょう」
使い物にならなくなりそうでもったいないが、目の前でぐずぐす泣かれているのも嫌なものだ。
高野はハンカチを水上に差し出した。
「生徒会に居たいんでしょう?」
「……はぃ。ぐすっ」
「なら我慢くらいしなさいって」
「うっ……うぇえ」
「今度は何です?果たし合い挑まれたんですか?後輩の尻拭いですか?」
「だ、だって……」


545:痛いでしょう2
08/06/25 03:26:42 w2+LMDz4
「だってなんです?」
聞き返すと黙り込んでしまう。もういい加減彼女の行動のパターンというものを把握出来始めている。
こういう時は大抵―
「我が校の生徒会長にどんな用事であれ、用事のある方々であれば、きちんと私に取り次いで頂かなくては俺が困るんですが」
「ち、ちがっ」
顔面蒼白だ。馬鹿のくせにこういうことばかり気にして事態を複雑にする。
「違わないでしょうが。その様子からして派手にやったようですね。どうせすぐにわかることです。喋って楽になりなさい楽に」
「違うったら!ちょっと喧嘩売られて……それで」
「私事ですか、仕方ない。それではあなた解任し…」
「…っ!」
こうしていじめ続けるのが楽しくないわけではないあたり、
高野自身も自分の性格が悪いと思うが、差し当たって今回は彼女が悪い。
完全に彼女が悪い。悪いのだが、
「……見事に、腫れましたね。医務室には行きましたか?」
水上の顎に手をやって無理矢理上を向かせると、そのブサイク極まりない顔がよく見える。
ただでさえ殴られた左頬が腫れ上がり醜いのに、べそべそ泣くものだから見られたものではない。
「酷い顔だ。自覚はありますか?」
「これくらい、平気です」
「平気ってねえ、あんた」
「高野さんをお助けするためならこんなの蚊に刺された程度のもんです!」
正真正銘の馬鹿めっ!
言ってしまってからこの馬鹿、気がついたらしい。
水上優子は突然慌てて前言を撤回しようとした。
「や、これは例えばの話でしてね、あの、高野さん!?」
「……これ以上自分の墓穴を掘ってるんじゃないですよ。俺はあんたの馬鹿さ加減には呆れるの通り越して泣きそうです」
事実、頭痛がしてきた。
「水上優子、あんた。土下座してまでやりたいって言うから生徒会に置いてやれば失敗ばかりだし、書記の癖に漢字は間違えるし、何かといえば乱闘騒ぎ、わかってますよね?俺が怒る理由は」
「お怒りは……ごもっともです」
「この上俺の面子まで潰されちゃたまったものではない。……俺があんたの汚い面を盾にしているなんて、冗談でも言われたくないんですよ」
「はい……ごめんなさい」
相手が萎縮すればするほどフラストレーションがたまる。
別に高野は三歩歩けば何でも忘れる水上に反省など期待しない。
だがイライラする。すみません、もうやりませんと言いながら、また同じ問題が起きたら同じ行動をするだろう水上が憎たらしい。


546:痛いでしょう3
08/06/25 03:28:55 w2+LMDz4
殴られて顔を腫らすくらいで済んでいるうちはまだいい方だろう。
それ以上の何かがあっても、水上は高野のために突っ込んでいくのだろうから。
馬鹿は死んでも治るまいから、治そうなどとは思わないが、ちょっと調教してやらないことには高野の精神が安まらない。
「他に怪我はありませんか?」
「え、それはこれといって…えっ!?」
水上の制服のネクタイをグッと引っ張る。そのまま壁に体を押し付けてボタンを外す。
「高野さっ…何を!」
「黙ってろ。あんた嘘をつきますからね。実際見てみなきゃわかりやしない」
「嘘って…」
シャツの裾をスカートから引っ張り出しキャミソールごとまくりあげる。
案の定白い水上の横腹には青黒い大きな痣があった。
指先でなで上げるとひゃんとかなんとか、間抜けな声があがる。
「嘘つきが。蹴られましたね」
「だって……平気……うっ!」
グイッと痣を押すと呻き声があがる。
「痛いですか?」
返事はない。
「痛いんじゃないですか?さあはっきり言え」
「痛いです、痛いっ!」
「よく言えましたって誉めてあげましょう、とりあえずは」
笑いながら水上の首筋に顔を寄せる。汗臭い。そしてその首を舐める。
「きゃっ…やっいやっ」
「静かにしなさい、いちいちうるさい」
首筋を舐めながら徐々に下方に移動する。水上が高野を押しのけようと肩を掴んでいる手に力がこもってゆく。
(このまま最後までしてしまおうか)
そんな考えが頭をかすめた。しかし、
「……ひっ……ふっくっ……ぅうっ……ぐすっ」
「………」
急にどうにもやる気がなくなって、いつの間にか床に落ちていたハンカチを拾い上げると、高野はそれでしゃっくりあげる水上の顔を拭いた。
「高野さん……もうしないから、だからごめんなさい」
「子どもじゃないんですからもう少しマシな謝り方したらどうですか」
「…ずっと………考えてるんだけど、私やっぱり、馬鹿、なんでしょうか……」
「今更何言ってるんですか。あんた馬鹿意外の何者でもないでしょう。学習能力も思考能力もない見事な低脳、役立たず」
「はぁ……」
「別に無理にあんたに頼ろうなんて俺は全く考えてないし、あんたにやってもらえることもない。
俺を気に入らないやつらの処理対応だってあんたの力付くに任せるくらいなら俺がやった方がうまくいく。
あんたになんにも頼んでない。でしょう?水上さん」
水上は黙ってうなずいた。
「もう止めてください。こういうこと」


547:痛いでしょう4
08/06/25 03:32:28 w2+LMDz4
もう一度うなずいた。
「それから人と話しているときに泣くのはよしなさい。……不愉快です」
再びうなずいた。
わかればいいのだ。彼女が理解して行動に示してくれればそれでいい。
それでいいはずなのに、高野のイライラはまだ収まらない。
うなだれる水上を見ていると異常な加虐心がかまくびをもたげる。

水上は馬鹿だ。
救いようがない馬鹿だ。
かつて高野が水上を助けたのはことの成り行きとちょっとの気まぐれが理由に過ぎない。
しかし彼女はそれに異常な恩義を感じて道隆に心酔している。
ずっと欺かれていたと知ったら、どうするのだろう。
それを知った時に高野が全てを奪っていたとしたら、この大馬鹿はどうするのだろう。
殴られて鼻血を吹き出しても泣かないが、高野の一言でボロボロに泣き崩れる水上が。

(これはやはり、)
(どう考えてみても)

高野は水上を愛してしまっているようだ。

(困った)

あんな馬鹿を相手にしていたら、高野はおかしくなってしまう。その結論だけは断固抗議をしたい。
だがしかし、
そう考えないことには高野の苛立ちの奥にある小さな痛みに説明をつけられないのであった。

fin

ありがとうございました。

548:541
08/06/25 04:24:10 w2+LMDz4
高野の一人称など間違いがいくつかあります。
あと日本語として妙な所もあとから見るとありました。
すみません精進します。
エロは書いてるうちにまだムリかなと思ってしまったので今回はフェードアウトしました。
その代わり少しSMっぽい描写でお茶をにごしていますが、いずれ書けたらちゃんとエロも書きたいです。
携帯からですのでお見苦しいところなどあると思いますが
目を通して頂ければ幸いです。
重ね重ねありがとうございました。

549:名無しさん@ピンキー
08/06/26 17:24:36 4rul/7sa
も え た !

550:名無しさん@ピンキー
08/06/26 17:49:32 KESUQ5Cg
も え な い

551:名無しさん@ピンキー
08/06/27 18:25:57 hnky+7fh
このスレ埋まったら次スレから女主と統合するんだよね。スレタイとかどうするんだろう?



保守がてらに一本。
メイド×ご主人様。あくまで軽くだけど逆レイプ要素あり。
ラノベっぽく軽く読める感じを目指してみた。

552:ご奉仕します! ‐聡子の場合‐ 1/5
08/06/27 18:27:21 hnky+7fh
「―またか」
 秀麗な眉を寄せて天井を見据えながら聡子は吐き捨てるように呟いた、と同時にロングスカートを翻して唐突に走り出していく。


「ご主人!」
 スパンと勢いよく襖を開き、聡子は仁王立ちして室内の主を睨みつける。
 先ほどまで何を行っていたかは一目瞭然。シャツの裾を引っ張って露わな下半身を隠しながら、誠一は驚愕と困惑と羞恥を足して三で割って二掛けした表情を聡子へ向けた。
「学生の本分は勉学だ。ご主人が学生である限り学ぶことからは逃れられず、またその苦しくも実りある学業という行為に喜びを見いださねばならん。かくあるべしと先代も申している。理解しておらぬわけではあるまい、ご主人」
 嘆かわしいといった体の聡子に素直に謝ればいいのか怒って追い出せばいいのかわからずに誠一は曖昧な返事を返す。
 とりあえずズボンを履かせてくれ、頼むから。心中で頼み込みながら脱ぎ捨てたズボンに手を出そうとした途端、聡子から再び檄が飛ぶ。
「それを貴様は何だ。一昨日も昨日も今日も自慰に耽り、勉学を疎かにしている」
 何で知ってるんだろうかと自らの赤裸々な下半身事情に羞恥で顔を赤くする誠一を見下ろし、聡子は目を細めた。
「貴様は盛りのついた雄……犬? いや、猫? まあ、とにかく! 畜生にも劣る行い、我が主として実に嘆かわしい。先代とて草場の陰で泣いておろう」
「聡子さん、親父死んでないから。っていうか、十六歳男児として健全な行為だと思うんだけど」
「先代の御前にて、ご主人が当主として真っ当な道を歩むよう誠心誠意お仕えすると私が誓ったことをお忘れか? 貴様の邪なる欲望が勉学の妨げとなるならば、この聡子が誠心誠意ご奉仕するのみ」
「いや、なにそれ、俺が当主になることと関係なくない?」
「案ずるな、ご主人。この聡子、ご奉仕のためなら手段は選ばん」
「聡子さん、ちょっと意味わかんないんですけど! それは最早奉仕じゃな――え、ちょっと、やめっ! うわぁぁぁぁぁぁっ!!」





553:ご奉仕します! ‐聡子の場合‐ 2/5
08/06/27 18:28:02 hnky+7fh
 戒められた手首はいくらもがこうと緩みもしない。暫く抵抗を試みたが聡子にかなうはずもなく、誠一はがっくりと頭を垂れた。
「……何かすごく間違ってる気がする。主従の力関係って普通逆じゃね? メイドに夜のご奉仕を強要するのがご主人様であって、メイドにご奉仕を強要されるご主人様っておかしくない? 絶対おかしい。俺はこんなこと断固として認めん」
 ブラウスのボタンを外し、聡子は自らの豊満な乳房を露わにする。
「往生際が悪いぞ、ご主人。さっきからぶつぶつと何を言っているのだ」
 聡子を見れば白く張りのある肌と淡い色をした突起が嫌でも目に入り、誠一はなるべくそちらを見ないように苦心しながらも素直な反応を示してしまう愚息に呪いの言葉を吐いた。
「う、あっ……っ、く……」
 傍らに座り込んだ聡子の指先が太股に触れる。そのまま触れるか触れないかの絶妙な加減で聡子は誠一の太股を撫でた。
「諦めて私のご奉仕を受けるがいい。貴様が二度と自慰などという愚かな行為に走らぬよう教育してやる」
 誠一はぐっと歯を噛みしめた。奉仕を受けることから最早逃れられぬと悟ったからこそ、誠一は戦うことに決めた。それならばせめて、聡子の奉仕よりも自慰の方がいいのだと思わせて聡子をやりこめてやるのみ。勝率は限りなく低いが負けるわけにはいかない。
「こんなに堅くして、どうやら貴様には羞恥心がないものとみえる。戒められて従僕にいいようにされることがそんなによいか」
「違っ……うあッ」
「ふふ、貴様の性癖なぞとうに把握済みだ。貴様のことで私の知らぬことなどないのだよ、ご主人」
 白魚のごとき聡子の手が誠一の猛った陰茎を握りしめた。痛みはない。快感だけを呼び覚ます程よい力加減で陰茎に指を絡め、聡子は手を上下に動かす。
 既に先端からは滴るほどに先走りが零れ、それを潤滑油代わりにして聡子は滑らかな動きで誠一に快楽を与えた。
「気持ちがいいか、ご主人。貴様の汚れた欲望がここにたっぷりと溜まっているようだな。思うさま出し尽くすがいい」
 空いた手で聡子は陰嚢に触れる。やわやわと優しく揉みほぐされ、誠一はぎゅっと目を閉じて快感を堪える。
 この世に生を受けて十六年、性的な意味合いを込めて他人に触れられたのは初めてのこと。誠一より幾らか年上とはいえ美しい盛りの女性に愚息を撫で回されてはたまらない。


554:ご奉仕します! ‐聡子の場合‐ 3/5
08/06/27 18:28:52 hnky+7fh
 男の手とは違う繊細で柔らかな感触が目を閉じたおかげでより鮮明に感じ取れ、誠一は先ほどの決意が嘘であったかのように呆気なく吐精した。
「……早いな」
 勢いよく飛んだ精液ははたはたと誠一の露わな腹部に落ちた。
 さも愉しげに口角を上げる聡子を誠一は羞恥心いっぱいに見上げた。早いなどと言われてはそれがいくら事実であったとしてもプライドが傷つく。
「もういいだろ。離せよ」
 常よりも荒っぽい口をきいてしまったのは仕方のないことであっただろう。
「まさか。自慰など馬鹿らしいと思うほどの快楽を体に叩き込むと言っただろう」
 聡子は立ち上がり、スカートを脱ぎ捨てた。
「え……?」
 白いレース付きの下着を脱ぎ捨て、誠一の腰を挟んで膝を突く。
「ちょっと、待って! 聡子さん、それはさすがに」
 慌てて腰を振って逃げようとするが膝で挟まれて身動きがとれない。しかも、聡子の半裸姿を目の当たりにしたおかげで愚息は既に臨戦態勢に入っている。
 聡子の手が陰茎に添えられ、ゆっくりと腰が落ちる。滑った場所に先端が押しつけられ、すぐにそこへ潜り込む。
「ほんとにダメだって!」
 半分泣きながら懇願すると聡子はぴたりと動きを止めた。
「何か問題でも?」
「俺、その……は、初めて、だから、その」
 恥じらいながらも意を決して告げた次の瞬間、聡子が一気に腰を落とした。
 とんでもなく気持ち良くてものすごく滑って狭い場所に迎え入れられる感覚は想像以上に誠一に快楽を与えた。ともすれば一瞬で果ててしまいそうだ。
「さ、聡子、さん……」
「初めてだと? そんなことは百も承知だ。古来より若君に性の目覚めを促すのは従僕の役目と決まっている。問題などない」
 きっぱりと言い切られ、誠一は脱力した。聡子の思考回路はやはり誠一には理解できない。
 しかし、聡子の中は気持ちよかった。もうどうなってもいいと思えるほどに。
「動くぞ、ご主人。遠慮なく喘ぐがいい」
 それが女の台詞かとつっこみたい気持ちはあれど、現実に誠一ができたことは女のように喘ぐことだけだった。
 聡子が腰を揺する度に全身が震えるほどの快楽が走る。たゆんたゆんと揺れる豊満な乳房や赤らんだ聡子の顔、結合部から響いてくるいやらしく粘着質な音。何もかもが未経験だった誠一を刺激する。
「さとこ、さ……手、といて」
「ん、だめ、だ……ッ」


555:ご奉仕します! ‐聡子の場合‐ 4/5
08/06/27 18:29:47 hnky+7fh
 あくまで誠一へのご奉仕というスタンスを貫き通すためか、聡子は何かを堪えるように眉根を寄せていた。自身が楽しまぬよう自制しているのかもしれない。
「胸、さわりたい」
 聡子はしばし無言で誠一を見下ろし、やがて動きを止めた。
 身を屈めて誠一の頭上へ手を回し、手首の戒めをといた。
「いいだろう。存分に味わうがいい」
 そうして、聡子は再び動き出した。
 誠一は揺れる乳房に手を添え、初めての感触を堪能する。聡子の乳房は柔らかく、揉んでいるととても気持ちがいい。
「っ……ん、くっ……ご主人」
 堅くなった突起を指で弄りだすと聡子が小さく声を漏らした。その艶めいた響きに誘われるように、聡子の腰に片手を添えながら誠一は強く腰を突き上げた。
「あッ……んんっ」
 ぎゅうっと中が締まり、誠一に吐精を促してくる。
「聡子さんっ! 俺、もう……」
 遠慮会釈なくがむしゃらに聡子を突きながら、誠一は悲鳴に近い声で訴える。
「かまわない。出せ。私の、中に……ああっ、ご主人……出してッ」
 腰を引き寄せるようにして一際強く聡子の中に潜り込んだ瞬間、誠一は二度目とは思えないほどに勢いよく射精した。全身が強張り、徐々に力が抜けていく。
「どうだ、ご主人」
 表面上はいつもと変わらぬ尊大な態度ながらも、聡子の頬は赤らみ呼吸も少し荒い。
「気持ち、よかったよ。自分でするよりも」
 素直に告げれば、聡子は喜色満面な微笑を浮かべた。年よりも幼く見える屈託のない笑顔を向けられ、誠一の胸が一つ大きく鐘を打つ。
「そうか。さすがは我が主。必ずや聡子の言い分を理解してくれると思っ―うあっ!」
 突如として聡子は前のめりに倒れ、後頭部をさすりながら体を起こした。
「聡子! あ、あなたという人は……! 騒がしいと思って来てみれば、私の若様になんということを」
 聡子の頭越しに一人のメイドの姿が見える。
「しかも……な、中出しだなんて、そんな、破廉恥なっ」
 真っ赤な顔でわなわなと震える明葉は崩れるようにうずくまり、ぽかぽかと聡子の背をグーで殴る。
「ご主人が一人遊びのし過ぎで馬鹿にならんよう躾ただけのことだ」
「若様だって、お年頃なんだからそのくらいいいじゃない」
「毎晩自慰に耽って勉学を疎かにしては問題だ」
「だからって、若様にこんな、こんな……っ」


556:ご奉仕します! ‐聡子の場合‐ 5/5
08/06/27 18:30:55 hnky+7fh
 自分そっちのけで自分についての討論を交わされるというのはものすごくいたたまれない。いたたまれないが、聡子が退いてくれないと席を外すことすらかなわない。
「あの、聡子さん、そろそろ抜いてほしいなあなんて」
 おそるおそる声をかけた誠一へ二人のメイドの視線が向けられる。
「なんだ。まだ抜き足りんのか。若いな、ご主人」
「違っ、そういう意味じゃなくて」
「聡子なんかに若様を好きにさせません。若様、ご奉仕ならば私が、誠心誠意を込めて若様に尽くさせていただきます! 聡子なんかより私の方がずっと若様を大事に思っていますからっ」
「男も知らない明葉がご主人を満足させられるわけがないだろう。せめてツーサイズは上げてから言え、貧乳め」
「む、胸が大きければいいというわけじゃないもの! 私には若様への愛があります」
 やいのやいのと再び始まった討論に口を挟む気力がもてず、誠一はぐったりと力無く布団にすべてを預けた。
「……さよなら、俺の童貞」
 ご主人様としての威厳ってどうしたら身に付くんだろう。制御不能なメイド二人を押しつけられた日から幾度となく感じた疑問を誰にともなく投げかけながら誠一は諦めに満ちた吐息を零した。


おわり



保管庫には保存しないで下さい。

557:名無しさん@ピンキー
08/06/28 02:51:41 VxAKkPzb


558:名無しさん@ピンキー
08/06/28 08:41:54 NLPOd6nv
いいよ~GJ!
聡子さんツンデレっぽくて好きだなあ

559:名無しさん@ピンキー
08/06/28 17:10:14 nhmbzcBs
口調からメイドガイしか思い浮かばん・・・orz

560:名無しさん@ピンキー
08/06/28 23:06:27 l+mhu5DB
メイドガイってなに?

561:名無しさん@ピンキー
08/06/28 23:29:56 u919r9GY
筋肉ムキムキのおっさんがメイドというギャグ漫画
今ならアニメでもやってるはず。

562:名無しさん@ピンキー
08/06/29 00:48:03 yh6N987J
>>559
お前のせいでコガラシにしか思えなくなった

563:名無しさん@ピンキー
08/06/29 02:19:39 rm7TdlYE
新規住人呼び込みのためにage

564:名無しさん@ピンキー
08/06/29 20:31:39 pwfGxglj
>>539の小説を期待してるのは俺だけだろうか。

565:名無しさん@ピンキー
08/06/29 21:13:55 UNu83NLe
>>564
俺もだぜブラザー

566:名無しさん@ピンキー
08/07/01 23:39:02 Nx2JWm1c
こんばんは、毎度お馴染み>>513です。
小説書けたのでまたもややってきました。

ただ前に言ったように非エロです。
興味ない方はスルーお願いします。
そして携帯からですのでそこもスルーな方向で。


因みに時系列はエロ話の前です。

567:名無しさん@ピンキー
08/07/01 23:40:11 Nx2JWm1c
青々と木々が生い茂る森の中で、娘が一人、岩の上に座っていた。

彼女の足首まである長い髪は紅く、月光に照らされて神秘的に輝き、大空を切り取ったような空色の瞳は夜空にかかった星屑の川に向けられていた。

彼女は空に手が届くのではないかという錯覚に囚われて手を伸ばす。
でもやっぱり手は届かなくて。

「星を取りたいだなんて子供みたいなこと考えてるんですか?」

近付いてきた青年の第一声はそれだった。

「……」

無視して伸ばした手を下ろすと、突然青年がその手をとった。
今まで触れてくる者などいなくて、驚いて彼女が青年を見るとにっこりと笑っていた。

「僕と契約を結んでくれませんか?」

ふたつめに紡がれた言葉。
笑っているけれど、本気の笑顔には見えない。正直言って怪しい。
契約なんて結ばない方がいいのかもしれない。
けれど、彼女の返事は決まっていた。

「はい、マスター…」

例えどんな人でも、最後には殺すのだから。

568:名無しさん@ピンキー
08/07/01 23:41:02 Nx2JWm1c
――――…………



雨が降り出した。
次第に強くなっていき、水滴が視界を奪う。

「困りましたね…次の街はまだ遠いですよ」

「急ぎたいところですが…」

紅い髪の娘―フレイヤは魔物に警戒しつつ、三ヶ月前に主となった青年―クロスの隣を歩いていた。
暫く歩いていると、雨に霞んではいるが魔物らしきものが遠方に見え、立ち止まる。

「…マスター、止まって下さい」

腰に提げていた拳銃を抜いて、かろうじて確認できる魔物へと銃口を向け、そのまま引金を引く。
銃弾は魔物の足元に当たり泥を跳ね上げ、 銃声と銃弾に驚いたのか魔物は何処かに消えていった。

「……」

おかしい。
気配が消えてから銃を脇に差し直し、小さくフレイヤが呟いた。
その声は雨音に掻き消され、クロスには聞こえない。

おかしい。
いくら威嚇射撃だとしても、先ほど見えた魔物は大きく、簡単には恐れなど抱かないはずだ。
よほど怖がりなのか、それとも何か他に理由があるのか。

「……」

「どうしました?フレイヤ」

気付けばクロスが顔を覗き込んでいて、慌てて何でもありませんと言いながら首を振り、少し距離を取る。

569:名無しさん@ピンキー
08/07/01 23:41:47 Nx2JWm1c
おかしいと言えばこの人もだ。
心の中で、そんな風に呟く。

今までの主人達とは違い、この容姿を忌み嫌うこともなく近寄ってきて、戦闘時は彼も戦う。
しかもフレイヤの力添えなんてなくても充分なくらい強い。

なのに、何故雇ったのだろうか。呪われていると言われる自分を。
確かに信じがたいかもしれないが、実際死者は出ている。

そんな命が危なくなるような者をどうして雇ったのだろう。

「わからない…」

息のような声で呟き、ため息をついて一歩踏み出したときだった。

「…!!」

急に気配を感じた。
先程の魔物の気配。
ただし何処にいるのかがわからず、辺りを見回すがその姿は見えない。

「マスター!気を付けて下さい!どこから来るかわかりません!」

不甲斐ない。
唇を噛み締めながら目を閉じ、神経を研ぎ澄ますが詳しい場所はやはり分からない。

「く……っ!!」

「グギュルガァァァ!!」

地面が揺れ、背後で鳴き声がした。
振り向くと、魔物がクロスに爪を降り下ろさんとするところで。
クロスはというと、いきなり地中から現れたため戦う準備などできていない。
このままでは、クロスは死んでしまう。

570:名無しさん@ピンキー
08/07/01 23:42:40 Nx2JWm1c
「マスター!!!!」

不甲斐ない。
最強など嘘じゃないか。
そんなことを考えながら紅い羽根を出現させそこから飛ぶと、クロスを突飛ばした。

クロスに当たる筈だった魔物の爪は、フレイヤの背中を切り裂いた。

「ぐぁ…っ!!」

痛みで意識が飛びそうになるのを我慢して、低く飛んだまま素早く銃を抜いて心臓を撃った。

「フレイヤ!!」

意識が遠退いていく途中、クロスの叫び声と、何かの温かさを感じた。

571:名無しさん@ピンキー
08/07/01 23:44:16 Nx2JWm1c
―……‥‥・・

『噂通りだ。気持ちの悪い紅い髪、得体の知れぬ紅い羽根…』

『異界の化物が化けているのではないか?』

『呪いがある…という噂が立っても仕方がないな』

過去の雇主達の声が聞こえる。

『いいか、俺に決して触れるなよ』

『怪我の処置ぐらい自分でするんだな。もし血に毒があったらどうする』

『何故戦わなければいけない。お前は強いんだろう?お前だけで戦え』

彼らは女としてどころか、人として扱おうともしなかった。

一度も戦おうとしなかった。

そんな者に情が沸く筈もなく、殺すことに躊躇いはなかった。

名目は一族のため。
心では自分のため。

罵ってくる彼らを契約期間中、何度殺したいと思ったことか。

だから、今の主人は不思議なのだ。
触れてきて、侮辱することもなく、共に戦って。

正直、戸惑う。
分からない。
考えていることが。

貴方は…一体何を考えているんですか――?



572:名無しさん@ピンキー
08/07/02 00:06:52 sft9jK0y
つ①①①①

573:名無しさん@ピンキー
08/07/02 00:07:35 Nx2JWm1c
―……‥‥・・


雨音が響いて聞こえる。
降られている感覚はない。
重たい瞼を上げると洞窟のような所にいて、寝かせられていた。

「気がつきましたか?」

クロスの声が聞こえて首を巡らせると、優しく笑っている彼がいた。

「起きたてのところ悪いんですが、座れますか?」

差し伸べられた手。
それを借りずに起きようとしたものの、背中の痛みと血を失ったとで力が出ず、結局力を借りて起き、仕舞っていなかった羽根を慌てて片付ける。

「綺麗な羽根ですね」

まただ。
前にも一度髪を撫でながら綺麗だと褒めてきたことがあった。
異端だと言われた、紅い髪を。

「じゃあ服、脱いで下さい」

「!?」

いきなり何を言い出すんだこの人は。

「服着たままじゃ治療ができないでしょう?」

「や…いいです…自分でやるので」

「そんな状態じゃ無理でしょう?それとも僕が脱がしましょうか?」

「!!」



574:名無しさん@ピンキー
08/07/02 00:08:11 x9FNnRU0
顔が熱い。
冗談ですよと告げるとクロスは背中を向けて座った。
外を向いてくれているため、誰かに見られる心配は少ないだろう。
仕方なくびしょ濡れの服を素早く脱いで、先程まで掛けられていた毛布を手繰り寄せ前を隠してから終わりましたと小さな声で告げた。

「……すみません。女性にこんな傷を負わせてしまって」

「いえ…私がちゃんと気配を感じ取れなかったからです」

「当たり前でしょう?熱があるんですから。気付かなかったんですか?」

熱?
確かに少し身体がだるい気がしていたが、雨が降っているからだろうということで片付けていた。

「…仕方のない人ですね…」

何か布が触れる感覚がする。
雨と血を拭き取ってくれているのだろう。

「…痛っ!!」

「我慢して下さい。化膿すると困るでしょう?」

消毒液が傷に沁みて、思わず声が漏れる。
でも化膿すると困るので、言われた通り我慢する。

さすがに前にも回さなくてはいけないため、包帯は一人でやることはできず、フレイヤと協力して巻いていく。
途中幾度となく手が触れたが、てくに気にした様子もなく、フレイヤがびくつくだけだった。

「これで終わりです…が、羽根の方は大丈夫ですか?」

「……」

「フレイヤ?」

「何故…ですか?」

「?」

「何故…マスターは私を褒めるんです?私に触れるんです?一緒に戦うんです?」

「……」

「第一マスターは私無しでも戦えるじゃないですか。契約期間が終わったら死んでしまうんですよ?なのにどうして私を雇ったんですか?」

「…理由なんてないです。ただ、貴女と旅がしてみたかっただけで」

「…どうして…死ぬんですよ?」

「貴女みたいな綺麗な女性と旅して死ねるなら構いません」

本気なのか、上辺だけの言葉なのかは相変わらず分からない。
でも。

「早く新しい服着ないと熱が上がりますよ?」

「…はい」

でも。
その言葉が本気であればいいと、ふと思った。

575:名無しさん@ピンキー
08/07/02 00:08:52 x9FNnRU0
―……‥‥・・



月日が過ぎるのは早いもので。
二年なんて時間はあっという間に経ってしまった。

「思えばあの時好きになったのかもね」

湯上がりの、火照った身体。
その背中にうっすら残る、三本の爪痕。

「……それでも私は…私は…」

自身の身体を抱き締める。
治まらない震えを止めようとするように。

「マスターを…消す…」

力なく呟くその声には、迷いがあった。

選んだ宿屋は夜中に魔物が襲ってくると言われている、客の少ない宿屋。
魔物に襲われたと思ってくれるだろうという考えでここを選んだ。

一日の終わりは、刻一刻と迫っていた。




fin

576:名無しさん@ピンキー
08/07/02 00:13:40 x9FNnRU0
以上で終了でつ。
途中原稿が消えてびびった。
なんとか打てて良かったです。

では石投げられる前に消えさせていただきます。
お休みなさい。

577:名無しさん@ピンキー
08/07/02 18:41:44 m7X5+C79
GJ!
石なんて投げないぜ

578:名無しさん@ピンキー
08/07/03 19:03:03 NgqBC7cD
   | \
   |Д`) ダレモイナイ・・トウカスルナラ イマノウチ
   |⊂
   |

ってことで、初めましてで3レスほどお借りします

579:名無しさん@ピンキー
08/07/03 19:03:58 NgqBC7cD
――酒精が入っていた為に、はっきりしない。
言い訳をするならば、ただそれだけだ。
また成熟するには早く、萌え出でたばかりの蕾。自分はそれを手折ってしまったのか?
また青く、まだ堅く、閉じる萼を一枚一枚むしり取り。色付くにはまだ早い、その花弁を押し広げて。
アレは自分の妄想だったのか。
彼女の態度が違うのなら判断のしようもあるのに。
まるで何もなかったのように接してくる彼女。或いは本当に何もなかったのか。
一体……――。

宗次郎は微睡みから醒め、その身を文机から起き上がらせた。
春も最中。
風もなく、ガラス越しに暖かく差し込む日差しは、上に一枚羽織っていなくても寒さを感じるほどではなかった。
はっきりとはしないままの眼差しで、そのまま外を見やる。
そこには余り背が高くないために、物干し竿を使い、苦心しながら洗濯物を干す少女の姿がある。

(沙知……)

それがその少女の名だった。
宋次郎は父が亡くなったのを契機に家を出、母が残したこの場所へとやって来たのだが。
どういう訳か屋敷を出たにも拘わらず、あの侍女は宋次郎に付いてきた。

「お前はあの家、あの屋敷に雇われているのだから、早く帰りなさい」

その言葉も、

「ですが宗次様お一人では、家事仕事がお出来に成らないじゃありませんか」

その様に言い返されては返答のしようもなく。
恐らくはあの堅物の兄に、自分に付くように申しつけられた、といったところが真相か。
それは兎も角として。
今まで何不自由なく過ごしてきた宗次郎が、自分で家事仕事が出来ないのは沙知の言ったとおり。
しかし、裏に建つアパートほどではないが、この家とてもそれほど広くはない。
書斎代わりにしているこの部屋が、もう少し整理整頓できていれば良かったのだが、床に積み上げられた書籍は如何ともしがたく。

早い話が、寝所に困り果てていた。
この書斎、台所、風呂トイレを除けば、使えるところは居間だけだ。
現状、その場にあるちゃぶ台を壁に立てかけ、布団を敷き延べていた。
では、屋敷を相続した兄が邪魔者の弟を、荒ら屋に行くよう誑かしたのかと言えばそうではなく。
この家は狭いが土地は広く、裏に建つアパート二棟がここの所有となっている。
物干し場の周りには芝が植え込まれ、アパートとの境は多少の木立が繁り遮っている。
小振りな池には鯉は居ないが、亀が甲羅を干し。
つまり土地に比べて、家が極端に狭いのだ。
生前父にこの家のアンバランスさを尋ねたが、さてあいつもその質問には笑っていただけだったな、との応えがあったばかり。

580:名無しさん@ピンキー
08/07/03 19:05:07 NgqBC7cD
話がそれた。
つまりは、若い身空の二人が一つ屋根、布団は離せど寝所は同じ、その様な環境に押し込められていることになる。
十近くも年が離れているとは言え、沙知も既に嫁ぐことも出来る年齢に達している。
いつ過ちが起こるか分からぬ環境なのだ。
そして、その様な折りに……。
あの夜、たまには来いとの兄の言葉に従い屋敷を訪い、二人して浴びるように酒を干した。
コレを持って行けと渡されたのは、封も切られていない洋酒のボトル。
家の前まで車で送り届けられ、家の中で封を切り、沙知にも勧め……。そこで記憶がとぎれる。
幸い二日酔いは味合わずに済んだその翌日、宗次郎が起き出す頃には既に沙知は床を上げていて。
故に答えは今にしても分からない。
直接問い質せるようなことでもなく、宗次郎は一人になると悶々と過ごすことになっていた。


(またあいつは)

宗次郎が笑みをうっすらと浮かべ、見る先には沙知が。
洗濯は終わったものか、脇には空になった洗濯籠。
陽気に誘われたか、芝の上に横たわるのは、屋敷時代から変わらぬ臙脂色のお仕着せと割烹着のままでだ。
和装の為に裾が少しはだけて、覗く素足が艶めかしく感じるのは、今までその様な思索に囚われていたが故か。
ヒラヒラと風に靡く蝶が、寝息に動く沙知の肩口に舞い降りた。
羽を休めて、二度、三度と。四度羽の動くのを数えたら、再び空へ舞い戻る。
また買い物に遅れたと、落ち込む姿を見るのも辛い。そう思って宗次郎は、沙知を起こすために文机の前から立ち上がった。




――嗚呼これは夢だな、と。訳も為しに宗次郎は、そう思った。

「宗次様。おやめ下さい」

そう言って、宗次郎の頭を押し退けようとするが、沙知の力では如何ともしがたく。
足を広げさせ、その花弁を己が指で開き、宗次郎はその部分にむさぼり付く。
陰核を皮の上から舌で突き。幾度となく舐め上げる。
押し広げた襞にも丁寧に舌を這わせて、一分の隙もないように唾を付ける。

「あっ、そこ、は……」

片方の手で押し広げ、舌は広いところで舐め回し、もう片方の中指を秘所の内へと進ませる。
中は既にうっすらと湿りを帯びて。動かす指の動きに滞る様子は見られない。
入り端、上部の凝りを擦り、

「や、やめ、て……ゃあ、んぁ」

と、声を上げさせ。
最奥の窄まりにまで届かせては、

「はぁぁ、ん……んかっ」

と、息を乱れさせ。
いつの間にやら裸身となっていた宗次郎は、足の間から己の牡を沙知に見せつけた。
そのものを、瞳を潤ませ見つめる沙知。指を抜き、未だ口を開ける穴はぱくぱくと。
それの所有を主張するように戦慄く。
それを認めると己の牡をそこに当て、沙知の牝を貫く宗次郎。

581:名無しさん@ピンキー
08/07/03 19:08:35 NgqBC7cD
――嗚呼、これはやはり夢なのだ。

僅かな抗いも見せず突き進む宗次郎の肉。それは沙知の出す愛液に導かれるまま最奥に至った。

――沙知の破瓜を示す物が流れていないのだから。

宗次郎は、沙知の襟元から手を入れ、その膨らみを見せ始めた乳房へと手をやる。
揉むと言うよりは撫で付けるように。掌を動かし続ける。
次第にその掌の中で、固く結んでいく物。
頂上を表す蕾に指をかけ、軽く摘む

「やぁぁん」

堅くしこり、指に弾力を感じさせる蕾を宗次郎は離し、今度はその周囲を執拗に指先でなぞる。
なぞりながら、宗次郎は最奥まで至って留めていた牡を、漸くに動かし始めた。
腰を振り、指で乳首の周りを弄ぶ。
腰を振り、指で牝の蕾を激しく揺さぶる。

「あっ、……あぁん、はあっ」

――いや、沙知の純潔を散らせてしまったのは、夢ではなかったのか?

宗次郎が両の手を使い、沙知の襟元を大きく崩した。そして露わにされる、その胸元。
その二つの白い丘は、先程より少しきつく宗次郎に揉み続けられていた。
沙知を攻め続ける、腰の往復。
蕾を同時に摘み上げる、宗次郎の指。
後は牡が吐き出す、白濁した物を最奥に植え付けるだけ。

――いや待て。それは確か、まずい事に。

睾丸が上がり、体勢は整う。

――いや、だから。……まずい事になったはずだ。

亀頭が、竿が膨らみを見せて、後は撃ち込むだけとなる。

――だから!

何処か耳の奥に「ン、ぃく……あぁん……」と甘く痺れる声を聞いた気がしながら。


宗次郎は目を開けた。
何より先に己の股間へと手をやる。
極限まで膨らみはすれど、その先へは至っていない。
助かった、と。
明日の朝、起き出してすぐに、この暗闇の中、隣で寝息を立てる少女に、

「どうしてお風呂場で下着だけを洗ってらっしゃるんですか?」

と、あの曇りのない瞳で見つめられずに済む。
ただ、それだけのことで。
宗次郎は、明日一日が幸せに過ごせるような気がした。


 ~ ~ ~ ~ ~

以上です。ではまた(;´Д`)ノシ

582:無しさん@ピンキー
08/07/03 19:41:39 v4vDTSbv
純文学風の表現に、エロ・・・。
普通より、よりエロに感じた。
GJ!

583:名無しさん@ピンキー
08/07/03 19:49:18 OhaZN+w+
>>578さん
眼福でございました。ありがとう御座います

そしてもっとやれ、いややってください

584:名無しさん@ピンキー
08/07/06 21:38:08 VoAtWN/f
>>500
そのお題もらった!
・・・というか、有り難く頂きます。

585:名無しさん@ピンキー
08/07/08 21:14:18 34Ztg1kw
京極?

586:名無しさん@ピンキー
08/07/13 02:24:56 LcgIGAry
保守

587:名無しさん@ピンキー
08/07/14 15:26:51 kMeIV/dr
今まで投下された小説でおすすめってある?保管庫読みにいく上で参考にしたい

588:名無しさん@ピンキー
08/07/14 22:11:39 +TkGfn52
女男主従スレにも書きましたがこちらにも念のため。
>>1の保管庫、リンク先が個人ブログになってる
+そのブログにウィルス仕込まれてます。
管理人さんご覧になってましたら修正お願いします…。

589:名無しさん@ピンキー
08/07/14 22:34:50 LPLW6gnS
管理人じゃないがwiki修正しました。
いまやいたちごっことなっているので、もしもリンク先が怪しいと思ったら、
左メニューの「ページ一覧」からリンクを開いてください。
こちらはスパムでもいじれない箇所のはずなので、安全です(確か)。



590:名無しさん@ピンキー
08/07/15 00:40:43 l2CunWZf
>>589
乙です!

591:wiki”管理”人
08/07/19 01:45:09 FzSuQtLZ
おふさしすぎです。
>>588-589
GJでした。ついでにTOPと各作品一覧ページに復元ポイントなるものを設定してみました。
(LivedoorWikiは1ヶ月以内の編集履歴しか保存しないようなので。)
スパムがあったばあいは復元ポイントを使うなどして復旧をお願いします。

592:名無しさん@ピンキー
08/07/21 21:23:21 kz3pco78
そろそろ合併について具体的に話し合ってみないか?
埋まったら女主スレに移動するだけでいいのか?

593:名無しさん@ピンキー
08/07/21 21:36:45 HxiLA7zH
個人的には合併しても良いと思うけどなぁ…

594:名無しさん@ピンキー
08/07/22 00:31:14 qXJDpXlV
いきなり移動するだけじゃだめでしょ。とりあえず向こうのスレにも話題ださないと。

595:名無しさん@ピンキー
08/07/22 00:34:21 zde9mbFz
>>592
向こうはどう言ってるんだっけ、合併の話って。

596:名無しさん@ピンキー
08/07/22 00:53:29 CG/zqRsA
女主スレの15からの流れを見るとわかるが合併に反対はなし。注意促しつつ、男主が埋まり次第移行で話がまとまっていたはずだ。
そろそろ埋まりそうだし、もう一度向こうにも注意促すべきか

597:名無しさん@ピンキー
08/07/24 02:35:31 4Ldf6zmJ
保守

598:名無しさん@ピンキー
08/07/27 00:06:25 bE7oHMG6
美人従者とか・・・大好きなんだぜ

599:名無しさん@ピンキー
08/07/27 20:00:37 WQrnSaBu
>>598
主人より年上の美人従者なんて大好物ですが。

600:名無しさん@ピンキー
08/07/27 22:24:48 s6a3q/Pe
年上の教育係と秘密のレッスンですね、わかります。

601:名無しさん@ピンキー
08/07/28 21:29:51 qxhMlXFr
年下の主人が年上の清楚な処女従者を手籠めにするとかそんな展開で

602:名無しさん@ピンキー
08/07/30 20:15:57 UYLJRKuE


603:名無しさん@ピンキー
08/07/30 22:32:32 s4aroZ6D
し ョタで生意気な主人が年上美人従者に恋なんて展開で

604:名無しさん@ピンキー
08/07/30 23:14:24 Zm19zWS0
ゆ うかいされた男主人を取り戻す為に銃を手にする女従者とかいう展開で

605:名無しさん@ピンキー
08/08/01 09:09:33 4JSWk2Ds
しゅ 従の関係にあるのに全く気にせず敬語はおろか友達みたいに接する女従者とか大好物ですが何か?

606:名無しさん@ピンキー
08/08/01 09:16:17 +AYVbzQo
ほ のかな想い、胸に秘め
し ずかに見守る
ゆ 

607:名無しさん@ピンキー
08/08/01 12:50:30 itthZCir
女主スレで合併後のテンプレについて話し合ってるから意見あったら参加してくれ

608:名無しさん@ピンキー
08/08/01 23:46:15 1GfAtEsC
和モノ、OKでしょうか?

609:目撃
08/08/01 23:54:31 1GfAtEsC
とりあえず、投下してみます。


610:目撃1/4
08/08/01 23:55:17 1GfAtEsC
朝から心ここにあらず・・・頼姫は朝からうきうきと人待ち顔である。

頼の父は大河と山陽道と瀬戸内海を結ぶ交通の要衝を押さえて小さいながらも山城をかまえ一国を治めている。
頼姫は今年、数えで十五になった。上に総領息子である兄虎正と、隣国に輿入れした姉ゆうがおり、末娘としてのびのびと育てられた。

姫が落ち着かないのは、父の命で京に使わされていた、幼馴染で乳兄弟でもあるたきが帰ってくるからだ。
主家のために隠密に働く草の一族の出で、同年代で唯一の友達であるたき。
いつも自分のために、ここでは見られないような珍しい、美しい土産を携えてきてくれる。
頼姫は一生足を踏み入れることがないであろう京の様子を面白おかしく教えてくれるに違いない。

「・・・遅い」
京からの一行は一昨日国境を越えた、と先に馬で戻った兄から聞いたのに、いくらなんでも遅い。
本丸の私室で待つのに飽きてしまい、頼姫は城口まで迎えに出ることにした。
収穫の時期にあたる秋は城内に人影も少なく、絶好のお忍び日和である。
途中、兄に見つかるとしかられるので、兄の居室のある二の丸を避けるため山城の城壁沿いにつくられた石畳の通路を行く。

「・・・ぅ」

うめき声が聞こえたのは気のせいか。

「ぁ・・・若」

気のせいではない。しかも城内で「若」と呼ばれるのは兄だけだ。
一人歩きを叱られる、と頼姫はあわてて弓場の影に身を潜める。
そっとあたりを伺うと、城内ではなく城壁の外に、人の気配がある。以外に近い。
頼姫は息を詰めて射掛け窓からのぞいてみた。
そこには。

611:目撃2/4
08/08/01 23:56:02 1GfAtEsC
一段下の狭い足場に、兄がいた。
そして。兄の肩脱ぎにした逞しい上半身と城壁の大岩の間に、たきがいた。

兄が、たきの細い両手首を握って城壁に固定し、うしろから押しつぶさんばかりに密着しているのだ。
顔はたきのうなじにつけられているので、その表情は分からない。
たきの顔は上を向いているので、頬を真っ赤にして、泣いているのか、目が潤んでいるのが分かる。
ときおり、くぐもったうめき声がもれてくる。さっき聞いたのは、たきの声だったのだ。

頼姫も、夫婦が子を作るためにまぐわうことは、知識として知っていた。秘め事である、と聞いている。
まして、間近で、よく知っている2人だ。早くこの場を離れなければ・・・と思うが、足が動かない。
着物の端からのぞく、たきの白い胸元や足から、目が離せなかった。

兄がたきを抱き上げ、体勢を変える。
頼姫の視線に胡坐をかいた兄の男根が見えた。それは隆々とそそり立ち、天を仰いでいる。
かるがるとたきを男根の上に座らせると、その白い胸元に顔を埋めている。
たきもおずおずと兄の背に手を回し、身体を支えている。
「・・・動け」
兄の要求を、たきは嫌々をするように力なく首を振って、拒絶している。
「たき」
兄の声は低く抑えられているが、頼姫の耳にもしっかりと届いた。頼姫を、真剣に叱る声に似ている。
「たき」
再度の要請に、たきは抗いきれず膝をつき、兄の身体をささえにして腰をくねらせ始めた。


612:目撃3/4
08/08/01 23:57:25 1GfAtEsC
「・・・っふ、う、ぅ」
動くたびにたきの口からうめき声がもれる。そのたきの口に、兄が唇を重ねた。
貪るような深い接吻を頼姫は初めて見た。
その間にも兄の手は休むことなくたきの白い身体をまさぐり続ける。
「ゃあっ・・・ぁあぅ・・う、ぅっ」
兄の唇がたきの乳房の頂に移動したとき、たきが不意にがくがくと震え始めた。
「気をやるか?」
兄の問いに答えるように、たきが白い手を兄の身体にまわしてしがみつく。
たきのみずみずしい乳房が、兄の手で滅茶苦茶に揉みしだかれている。
「若・・・ぁ、ぁ・・・あ、あ  」
四肢を小刻みに震わせ、眉根を寄せた恍惚のたきと、満足げな兄の顔が、頼姫の脳裏に焼きついた。

ぐったりと脱力して兄に寄りかかるたきの顔が、頼姫のほうを向いている。その顔は知らない大人の女に見えた。
兄がまたしても体勢をかえてたきを組み敷いた。
白い足を押し広げ、その間で盛りのついた馬や犬のように腰を振りたてている。
その腰に、そっと白いしなやかな手が回されるのを、頼姫はみた。
「果てるぞ」兄の低い声に確かな官能を感じ取り、頼姫は思わず身震いをした。

獣じみた一声のあと、兄の動きが緩慢になる。
たきの乱れた髪を撫で付けながら、一言二言なにかささやいたようだが、それは聞き取れなかった。
兄が離れた後、横たわるたきの兄が納まっていた場所から、とろりとした白いものがこぼれるのがはっきりと見える。

たきは身を起したものの、岩に寄りかかってぼんやりとしている。
兄は自分の身支度を済ませ、たきの着物を直してやり始めた。
「今宵、二の丸へ来い」
困ったようにたきが兄を見上げる。
「お前に否はない」その声は穏やかだが、有無を言わせない強い意志を感じさせる。たきを見てにっこりと笑う兄を、頼姫は恐ろしい、と思った。
もとよりたきは主人の命に逆らうことなどできないのだ。

613:目撃4/4
08/08/01 23:58:19 1GfAtEsC
立ち上がった兄が城壁を登ってくるかとおもい、頼姫は我に返って身を硬くした。
が、兄はたきに接吻を与え、先に城壁から送り出す。
さすがにたきは草の一族である。一跳びで気配が消えてしまう。
続いて兄も、たきとは違う方向へ、わずかな足がかりで軽々と跳ぶように降りていってしまった。
2人の気配が遠く消えさった瞬間、その場に取り残された頼姫の緊張の糸がふつりときれ、へなへなと座り込んでしまう。

頼姫が立ち上がることができたのは、居室にいない姫を心配して養育係の常盤が探しにきてからであった。
居室に、たきが来ているという。・・・どんな顔をして会えばいいというのだ。
結局、日差しに当てられ調子が悪いと横になってみたのだが、たきの顔を見ると先ほどのことが思い出されかぁっと頬が熱くなった。
その様子はたきや常盤に発熱と誤解され、臥所に押し込められて、たきがそばに控えてくれることとなった。
おかげで、兄とともにとる事にしている夕餉に出向くかずともよくなり、頼姫は安堵した。
甲斐甲斐しく世話を焼いてくれるたきは、頼姫がよく知っているたきで、先ほど出来事は夢であったのだろうか、と思う。
だが、夜半にそっと気配をけし、明け方戻ってきたたきを感じ、やはり本当のことであったのだ、と再び顔を火照らせた頼姫であった。



614:名無しさん@ピンキー
08/08/02 11:01:39 QYPCv8/d
う、うめえ。よかった
普段時代劇スレとかにいんの?他のものも読んでみたい

615:名無しさん@ピンキー
08/08/03 08:22:55 kcDMHVS0
GJです!
和もの好きだしエロくてどきどきしました

616:1/4
08/08/03 14:34:27 Tv1so3pb
「殿下ッ!」
悲鳴に近い声を上げて駆け寄ってきた相手を見ることなくアランは溜め息をこぼした。
「シャロン、小言は後だ」
逃げるように手を振って背を向けたアランは歩き出しかけてその足を止めた。
「いいえ、逃がしません」
きっちりと編み、背に流していた髪をシャロンが掴んだからだ。
煩わしさを隠しもせず、アランは振り向いてシャロンを見た。
そして、その眦に涙が浮かんでいることに気づき眉をしかめた。
「勇敢であることと無謀であることは同義ではありません。いくら貴方が高貴な血筋であり神の祝福を得ているからといって無策に敵陣に乗り込むなど無謀以外の何物でもありません。無茶苦茶です」
責める口調のシャロンの言葉はアランの耳にはまったく入らず、アランはシャロンの目に浮かぶ真珠のような輝きにのみ目を奪われていた。
「……泣いているのか」
形のよいアランの指が雫に触れる。
「貴方を、失うかと思いました」
「私を信じていないのか」
「今回ばかりは、無条件に貴方を信じてはいられませんでした。戦況の悪さは理解しています。貴方の無謀さもよく知っています。貴方はいつも私を不安にさせて下さる」
頬に手を触れ、アランは身を屈めてシャロンの眦に唇を寄せる。
頬や瞼にも同じく唇を寄せ、困ったような顔をしてシャロンを見下ろした。
「お前を泣かせた件に関してはすまなく思う。悪かった」
シャロンが何かを口にする前にアランは彼女の唇を塞ぎ、謝罪を込めて出来る限り優しいキスを彼女に捧げた。
「一度戻って、まだやらねばならぬことがあるから……」
唇を離し、アランは名残惜しそうにシャロンの頬を撫でる。
「お前は私の部屋で待っていろ。小言はその時にちゃんときいてやる」
不服そうながらも頷き、シャロンは歩み去るアランの背を見送った。


**********


アランがいかに無謀なことを行ったかを懇々と語っていたはずが気が付けばソファーに組み敷かれるような体勢をとらされており、シャロンは身じろいでアランの緩い戒めから逃れようとする。
やけに体に触れたり唇を寄せてきたりするものだと、真面目に話を聞かない彼に苛立ちはしていたが話が終わる前に押し倒すほど悪びれていないとは思わなかった。
シャロンが怒っている間は一応反省したふりをするくらいの気遣いは常のアランにはある。
「殿下、この体勢はなんですか」


617:2/4
08/08/03 14:35:08 Tv1so3pb
不満たっぷりなシャロンの訴えなど意に介さず、アランは彼女の耳朶に唇を寄せた。
「せっかく二人きりだから、時間は有効に使うべきだろう」
「何を、っ」
「最近させてもらってないし」
ご無沙汰というやつだとアランは言う。
確かにそう言われれば最後に肌を合わせたのは十日以上前のこと。
しかし、拒んでいたわけではなくそれどころではないほど互いに忙しかったことはアランだってわかっているはずだ。
「こんな、日の高いうちから、いけません」
「昼だろうが夜だろうが、始めてしまえばお前はすぐにわけがわからなくなるじゃないか」
行為に慣れていないこと、いつもアランに翻弄されている事実を指摘され、シャロンは意地になってアランの胸を押し返す。
「暴れると落ちるぞ。寝台と違って狭いんだ。しばらく大人しくしていろ」
せめてと顔を背ければ、そのまま体をひっくり返される。
シャロンはクッションに顔を埋める形にされ、アランはソファーとシャロンの間に手を入れて服をたくしあげた。
片手でシャロンの胸を弄り、片手で自身のシャツのボタンを外す。
クッションを掴んで堪えながら耳まで赤く染めるシャロンの後ろ姿を見て、アランは愛おしそうに微笑する。
「お前は、本当に可愛いな」
項に唇を押し付け、アランはシャロンの全身を優しく撫で回し始めた。
始めは声を出さないために頑なになっていたシャロンもアランと向き合うよう体勢を変えられ、彼が乳首を口に含んで愛撫しはじめると僅かながら声を上げるようになっていた。
「っ……ん、ぁ…んんっ」
アランの指が中を掻き交ぜ、シャロンは無意識にその指をきつく締め付ける。
幾度も肌を重ねてきたアランにはシャロンの弱点など目を閉じていてもわかる。
弱い部分を集中的に責め、短い時間で彼女の体を解していく。
「ふぁ、や……ん、っ」
びくびくと体を跳ねさせる彼女がアランの愛撫に感じていることは疑うまでもない。
それなのに、口元に手を当ててシャロンは声を堪える。
「声は我慢しなくていいといっただろう」
それを寂しく思うアランは前を寛げて取り出した屹立を前置きもなしに彼女の秘裂に突き立てた。
「や、あああああっ!」
いきなりの衝撃にシャロンは悲鳴に近い喘ぎを漏らす。
満足げにシャロンを見下ろし、アランはシャロンに口づけた。
舌を絡め、吸い付き、そうしながらゆっくりと腰を動かしだす。
粘着質な水音が動く度に室内に響いた。
「シャロン…っ」



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