おんなのこでも感じるえっちな小説8at EROPARO
おんなのこでも感じるえっちな小説8 - 暇つぶし2ch550:名無しさん@ピンキー
08/08/17 11:39:24 cJd1PeBb
待ちあげ

551:名無しさん@ピンキー
08/08/19 19:14:46 Iz7En9fg
職人さん待ち

552:名無しさん@ピンキー
08/08/20 00:02:48 jUBQ8pny
「週末のパズル」を書いた者ですが、連投になりますが一作できた所なので投下します。
注意書きとして

※年の差(10歳程度)
※血縁無し、親子とも兄妹ともつかない微妙な関係
※未遂だけど強引な箇所有り

長いので取りあえず1/3程度にします。エロは今回少な目、
それぞれの該当スレにするには中途半端過ぎたので…
あと男、ヘタレかも…


553:montage~真夏の雪解け~ 1/15
08/08/20 00:04:29 jUBQ8pny
「大丈夫だよ」
 その温もりの主はそう言った。

「僕がいるから」

 ぎゅうっと握り締められた私の左手が、微かに震えていたのを覚えている。

 そして、その頬に流れていた涙のことも……。




「ねえ、アレだれかのお兄さん?」
「本当だ。若いね」
 今クラスの子達が噂してるのは、歳の頃は20代後半のスーツ姿の男性だ。
 高2の冬、来年は受験や就活となる私達は今日は三者面談という事もあり、廊下にちらほら
見える親の顔に皆緊張や興味で、小学生の参観日のように浮き足立っている。
 この歳になればそうそう親が出て来る事なんてありはしないから、無理もないのか?
何だかんだ言っても暇なんだ。
 そんな中、中年に紛れて1人中途半端に若い(?)のがいたら自然と目に付くのは仕方の
ない事なのだろうが、それを感じてか見られている方も落ち着かない様子で益々ぎこちなく
所在なさげに小さくなっている。
「林葉。林葉香子(かこ)」
 はい、と呼ばれて立ち上がると私はそのまま男の元へ向かった。
「いくよ、イチ君」
 ああ、と小さく返事して私の後につき進路指導室へと向かう。
 背中に感じる視線やひそひそと聞こえてくる声にも、もう慣れた。好きに想像して下さいな。


「そんじゃ今日このまま仕事戻るよ。下手すりゃ帰るの午前様かもー。ご飯いいから先に寝てな」
「ん、わかった。行ってらっしゃーい」
 役目を終えてホッとしたのだろう。月末の忙しさからなのか(いや、いつもか)ボサボサの
頭を掻きながらまた会社へと急ぐ姿を見送る。
 八神伊知朗(やがみいちろう)は私の保護者だ。年は27歳。
 かといって兄ではない。血は繋がっていないのだ。

 もしママが生きていたら……。
 彼は私の―パパになる筈の男だったのだ。


554:montage~真夏の雪解け~ 2/15
08/08/20 00:06:10 jUBQ8pny
「ただいま」
 二間のアパートに戻ると直ぐに茶の間の隅にある小さな仏壇に向かい、まず手を合わせるのが
我が家のルールである。
「ただいま、お母さん」
 右側の写真立てにあるふっくらした優しい顔に声をかけ、それから左側の写真立てに挨拶する。
「ただいま……ママ」
 2人に手を合わせると台所へ向かった。
「あー何もないな。今日は1人だから卵でも焼くか」
 小さな2人掛けのテーブルに1人で着くと、ふと思い出す。あの頃もこうしてママの帰りを
待っていた事を……。


 7年前の今頃、雪の降る日に学校から帰ると具合が悪くなって、なかなか帰らないママを
待っているうちに心細くなった私は、徒歩10分程の職場へ自ら歩いて向かう途中に倒れて
しまったらしく、気が付いたらママの勤める病院のベッドで寝かされていた。
 側にいたのは心配そうに手を握っていたママと、青い顔して私を覗き込んでいた若い男の人だった。
 私の顔を見るとホッとした様子で『良かった~』と呟くと、私の頭をわしわしと撫でた。
その手の温もりとママの顔に安心して、またそのまま眠ってしまったのを覚えている。
 当時流行っていたインフルエンザに掛かってしまっていた私は、その後数日寝込んでしまった。
道の真ん中で倒れていた私を背負って近くの病院まで運んでくれた若い男の人は、何度も
家まで見舞いに来てくれて、元気になってもママのいない時の話し相手になってくれた。
 当時大学生だった彼は、自分より15も年上の子持ちナースに惚れたのだ。だが大学を卒業
したら結婚してくれと猛アタックし、唯1人の身内である母親の説得を済ませた直後、
ママは事故で呆気なくこの世を去ってしまった。
 未婚のまま私を産んだママには頼れる人間は誰もなく、私は1人ぼっちになってしまった。


555:montage~真夏の雪解け~ 3/15
08/08/20 00:07:46 jUBQ8pny
 ママのお墓の前で佇みながらその人は私の手を握り締め、
『大丈夫だよ』
そう言って微笑んだ。

『僕がいるから』

 かすかに震えるその右手で私の左手を強く握り締めながら、泣きはらした瞳で。
『僕が守るから』
 きっぱりと揺るぎない口調で。

 親戚には猛反対されたらしい。当然ながら若さ故の気の迷いだとか、まだ自分も学生の癖に
甘い考えが過ぎるだとか、まあもっともだと思う。だけど、彼は決して私を捨てようとは
しなかった。
『きょう子さんに約束したんだ。香子ちゃんも同じように大事にするからって』
 その言葉通り、私は大切に守られて今まで暮らしてきた。学生時代はバイト、就職してからは
建設会社で真面目に働いて、私に決してひもじい思いはさせまいと頑張った。
 彼の母親も最初は戸惑ったけれど、本当は女の子が欲しかったから、と私を可愛がってくれた。
私も「お母さん」と呼んですぐに懐いていた。
 だけど、お母さんも3年前の中2の時に病気で亡くなってしまった。

 それから、私は彼―イチ君こと八神伊知朗と暮らしている。
 親子でもなければ、兄妹でもない。一体私達は何なのだろう?
 お母さんが死んでしまってから、経済的な理由もあって今の部屋に越して来たけど、
周りには兄妹だと言ってある。名前が違うので色々噂されているかもしれないけど、
余所の家庭の事情までは皆口出しなど下手に出来ない。学校でもしょっちゅうあったしもう
慣れてしまった。
 私達は「家族」という括りの中にいる。それだけだった。

 だけど今、私は彼が父親になり損ねた10歳違いの兄のような人間から、「男」という
生き物である事を見せつけられて恐ろしい程動揺してしまっていた。
 何気に目についた本棚の裏の隙間から覗くモノ。
 思わず引っ張り出して思いっ切り後悔した。そして見なかった事、としてまた元に戻した。
 イチ君がいない日で良かった。それだけが救いだった。


556:montage~真夏の雪解け~ 4/15
08/08/20 00:09:49 jUBQ8pny
「なあ、本当に就職すんの?香子は頭いいんだから大学行ってもいいんだよ。それ位の貯えは
 あるから」
「いいの!私勉強そんなに好きじゃないし、やりたい事もあるわけじゃないからさ。それに
 りっちゃんも進学はしないみたいだし」
 りっちゃんとはママが生きてた頃からの長い付き合いの友達だ。腐れ縁でもうずっと同じ
クラスというから驚きである。彼女んちとは家族ぐるみで付き合いがあるので、私達の事情も
知っている、数少ない関係者である。
「そっか、りっちゃんもかぁ」
「それに私早く一人前になって、イチ君に甘えてばかりじゃなくなりたいんだよ。……もう、
 夕べ遅かったんだからさー、寝てて良かったんだよ?今日は出勤遅くでいいんでしょ」
 欠伸を繰り返しながらヨレヨレのスウェットで味噌汁を飲むイチ君に、テレビで時間を
見ながらご飯をよそう。
「駄目!朝は一緒がうちのルール」
 そうなのだ。昔からどんなに二日酔いで辛くても絶対起きてきて、私と必ず会話するのだ。
 だから余程でない限り、1人で朝ごはんを味わった事はない。
 お母さんが生きていた頃から学校の行事にも来てくれたし、亡くなってからは尚更。お陰で
私はママが居なくなってからも寂しい思いをした事はなかった。
 それを当然のように受けていた。私は大切にされていたのだ。それは成長するにつれ彼への
感謝の気持ちを私の中に満たしていったし、信頼を増す一方のものだった。
 だけど今、それがどこかでほんの少しだけ狂い始めている。
 今朝、初めて目を合わせずに「行ってきます」を言って部屋を出た。
 何故か一刻も早くあの場から離れたくて、余裕はあるのにやたら急ぎ足で駅まで向かった。
 1本早い電車に乗りながら、私は胸の奥からどす黒い気持ちが渦巻いては消えようと
もがいてるのを感じていた。
 何に対してかは解らない。だけど。
「イチ君のばか……」

 裏切られたような気がした。


557:montage~真夏の雪解け~ 5/15
08/08/20 00:12:01 jUBQ8pny
 今日も残業か、と彼の分の夕飯をテーブルに残して部屋に引きこもった。
 私の机は二間のうちの奥の部屋にあって、寝るのもそこにしていた。
 布団を敷こうと押し入れを開けようとして、ふと隅の本棚に目が止まる。背板と壁の隙間
から覗くそれを少し躊躇しながらも引き出すと、怖いもの見たさからついページを捲って
しまった。

『Fカップの誘惑』
『現役女子大生のフルヌード』
『特選風俗情報』

 袋綴じまで開いてあった。--絶句。
 隠すように置いてあるって事は、やっぱり知られたくないって意味で、私も見ない事にする
つもりでいたのに……好奇心と何から来るのかわからない苛立ちが私を襲った。
 見なけりゃ良かった。
 そう思ってまた元の場所へ、それを汚いものを棄てるような気持ちで押し込んだ。
 しばしぼうっとしながら部屋の真ん中で固まってしまっていた。
「あ、洗濯物忘れてた……」
 リビングに放り込んだままの塊を思い出して、気持ちを切り替えるようにそっちへ動いた。
 彼は寝るときはこっちに布団を運んで寝ている。お母さんがいた時はよく川の字で寝ていた
けど、2人になってここへ来てからは一緒の部屋で寝なくなった。
 ふと考える。一体いつそんな事してるんだろう……?
 私はまだ異性とも、自分での経験もなかった。だけど17歳ともなれば周りには色々な変化は
あるし、知識としては既に頭に入っていた。
 イチ君のような歳ならまだ若いし、男なのだ。そういう事位は当たり前にするんだろうと
頭ではわかってる。わかってるつもりだった。
 だけど私と襖1枚隔てたここで?などと想像してしまうと、生々しくてどことなくぞっとする。
それと同時に胸の奥が押しつぶされそうに痛むのだ。
 あのグラビアを見て何を想うのか、もしかしたらどっかでビデオでも観てるのかも……。
そう思うと、何だか苛ついてくる気持ちをどう呼んだらいいのかわからなくて、
なぜか悔しくてたまらない。


558:montage~真夏の雪解け~ 6/15
08/08/20 00:13:57 jUBQ8pny
 洗いたてのYシャツを畳もうと触れて、ふとその大きさに両手で目一杯広げたそれをしげしげ
と眺めた。
 意識した事無かったけど……こんなおっきな体してたんだ。背は178は軽くあると思う。
痩せてはいないけど、現場に出る事の多い顔はよく焼けていて、がっちりした体格に合ってる。
 何気に香る洗剤のと共に男の人の匂いが残っている。気が付くとシャツに顔を埋めていた。
「……なにやってんだろ?ばかみたい」
 そう思いながら、ふとそれはどんなものなのだろうかという気持ちに駆られていた。

 イケナイ。

 なのに私の右手は、パジャマの上からそうっと誰にもまだ触れられた事の無い自身の体を探ろうとする。
 どんな気持ちになるんだろう……?
 下着を付けていない上からの刺激に、直ぐに先端の尖った様子が生地越にもわかった。
 そっと触れると驚く程感覚が鋭くて、小さく声が漏れてしまった。
「あっ……」
 何これ?へんな感じ。摘むと少し痛くて、軽く擦るように撫でると痺れるように疼く。
 そんなにも強くない程度の暖房の部屋の中、首筋と脇辺りにじわっと汗が流れそうになった。
 やだ、やめなきゃ、こんなコト。
 そんな風に思うのに、ボタンをはだけて直にまさぐり始めた胸の感覚から逃れられない。
「んんっ……」
 終わらさなきゃ。
 何故か途中で止めることが出来ないと思った私は、嫌悪を抱きながらも胸の上に左手を
残しながら右手をパジャマの中に入れた。
 下着の上からそうっと割れた部分を撫でると、初めてそこがじんわりと熱くなって疼いて
来る感覚にたまらず床の上に投げ出した脚がじたばたと動くのをやめられない。
「あ……」
 熱い。何かが中で焼け付くように暴れて、もっともっと、と欲している気がして、それを
知るために躊躇無く直に下着に指を差し入れた。
 裂けた深みにそって恐る恐る指を滑らせると、ぬめりを帯びたものが絡まる。そのなめらかさが
益々快感を産んでいくのをどうにも出来なくなっていた。


559:montage~真夏の雪解け~ 7/15
08/08/20 00:15:53 jUBQ8pny
 一心不乱に指をかき回しているうちに小さな芯に触れた。その途端、今までにない程の
快感が全身に駆け巡った。
「っあ……」
 発するつもりがないのに自然に吐く息に声が混じる。だめ、やめなきゃ、なのに止まらない。
 ふといつの間にか閉じていた瞳を開けると、投げ出したままのYシャツが目についた。
「…………イチ……」
 27の男ならどう動くのだろう?
 強く胸を掴む。
「こう?」
 それとも。
「……はあぁっ、ん」
 下着の中を自ら玩ぶ指の、もはや暴走とも呼べる動きを止めることなど出来ず、無意識に脚を
開いては気付いて閉じようと繰り返す。
「イチ……」
 何故そうなってしまうのかわからない。口を開けばその名を呼んでしまう。何度も、何度も。
 自分の息遣いに紛れて耳を掠める濡れた音が段々と速く流れていく。それは指の動きと同化
して痺れるような疼きを私に送り込んでくる。
「……あっ!た、たすけ、て……イチ……っ」

 ぼやけた視界にその顔を思い浮かべながら、呼吸困難に陥ったような感覚のまま私は
眠ってしまった。



「……れ?」
 布団の中で目が覚めた。いつの間に?確か夕べは……。
 記憶の糸を必死で辿りながら、段々と羞恥心がその中を占めてゆく。
『私……何てこと』
 しかし、と考える。自分で布団に入った覚えはなく、あれは夢だったのかと思えば、ふと
確かめた胸元はそのまま2つ程ボタンが外れたままだった。普段きっちりと上まで閉めないと
気が済まない癖があるので、やはりあのまま寝てしまったのか。
「お、起きたか?」
 襖が開いてイチ君が顔を覗かせたのでびっくりした。
「12時頃帰ったら部屋の真ん中で大の字になって寝っ転がってたんだぞ?……風邪、ひいてない?」
 おでこに手のひらが当たった瞬間、反射的に自分でそれを払いのけてしまった。
「あ、ごめん。大丈夫だから!」
「……へ?あ、なら、いいけどさ。早く起きないと遅刻すっぞ」
 卵を焼いた匂いがする。
「……もっと早く起こしてくれたら良かったのに」
 少し焦げた匂い。それを嗅ぎながら襖を閉めて制服を取った。


560:montage~真夏の雪解け~ 8/15
08/08/20 00:17:59 jUBQ8pny
「あ、やっぱ焦げてるじゃん!もう無理しないで起こしてくれりゃいいのに。……イチ君は
 モノ造る仕事してるくせに、料理のセンスはないんだからさ」
「心が痛っ!ちょっと傷ついたかも。でもそろそろ家事くらいちゃんと出来ないとな」
「何で?今更」
 私を育てると言った手前、料理やら何やら頑張ってはくれたものの結果は散々だった。
だから結局の所お母さんがやって、その後は私が頑張ってる。まあ最初は散々だったけど。
「俺だっていつまでも香子に甘えてるわけにはいかないからな」
「え?」
 どういう意味かと問おうとして固まった。
「そのYシャツ……」
「ああ、香子がやってるの思い出してやってみたんだけど、難しいなー。高いけどこれからは
 形態安定のやつにすっかな」
 アイロンまで自分でやったんだ。所々まだ皺が残ったままのシャツを眺めていて、テーブル
の隅にある桜色の封筒に目が留まった。
「何これ?」
 手に取ってみた途端イチ君が慌てて引ったくろうとするが、私の方が中身を引き抜くのが
一瞬だけ速かった。

「……どこに行ってた?」
 まだ昼間なのにカーテンを引いたままの部屋は薄暗かった。
「何時だと思ってる」
「……11時」
 はぁ、と溜め息をついて低い声で背中を向けたままもう一度訊かれた。
「どこにいたんだ?香子」
「……どこだっていいじゃん。イチ君には関係ないでしょ?どうせ他人になるんだから」
 瞬間振り向いた彼は私の頬を平手打ちした。
「っ…………!?」
 焼け付くような熱さと痛みが後から徐々に襲ってくる。
「どれだけ……俺がどれだけ心配したと思ってるんだ!?連絡1つ寄越さないで、もしもの事が
 あったらって俺がどんなに……」
 痛さと腹立たしさで涙が溢れた。その瞳で睨みながら私の中で切れた何かが喉の奥から
次々と気持ちを爆発させてゆくのがわかりながらも、自分を抑える事が出来なかった。
 だが、本棚の裏から引き出され大きな音で床に叩きつけられた物を見て、呆然とするイチ君の
顔は何故か妙に冷静に見ている自分もいる。


561:montage~真夏の雪解け~ 9/15
08/08/20 00:20:20 jUBQ8pny
「イチ君だって男だもんね。わかってるよ、別にこんなのじゃ驚きも何ともしないってば」
 彼はそれをばつが悪そうに拾うと、黙ってゴミ箱につっ込んだ。
「……ごめん」
「何で謝んの?」
 苛々してきた。頬が痛いのと得体の知れない悔しさが体中を駆け巡る。
「色々。……いきなりぶって悪かったし、ごめんな」
 ぶたれた事なんかなくてびっくりした。そのショックで黙っていた私の頬にそっと彼の手が
触れた。だが、
「……触らないでよ!!」
反射的にその手を思い切り払いのけた。
「香子」
「ママが死んでからも7年も経つもんね。本当我慢したよね?いい加減自由になりたいよね?
 正式に結婚してたわけじゃないし、私がいなくても……むしろいない方が都合いいよね?
 色々と」
 ダイニングテーブルにあったままの封筒を掴んで中から二つ折の台紙をまた床に投げた。
 和服姿の女の写真がひしゃげた状態で壁にぶつかった。
「それは……上の人が世話好きでたまたま今回持ってきただけだよ。俺だけじゃない」
「そんなの!……じゃあ何で今更家事なんかすんの?私が居なくなるのが当たり前みたい
 じゃない。あんな……本とか。時々石鹸の匂いさせてくんのもどっか行ってんじゃないの?
 最低っ」
「あれは、現場で汚れた時に会社のシャワールームで汗流して来るって言ってるだろ!?」
「どうだか?」
「……もういい。勝手にしたら?」
 じっと私を睨みながらも、話にならないと言った様子で首を振りながら溜息をついている。
「俺は誰とも付き合う気もないし、結婚だってしない。……他の誰とも」
「は?何言ってんの。もう頑張んなくてもいいってば。ママだってきっと許してくれるよ?
 私には反対する権利はないんだしどうでもいい」
「……本気で言ってんのか?」
 冷たく静かながらもきつい声だった。普段の柔らかな喋りからは想像がつかない位堅い。
「本気で言ってんのかよ!?」
 手を掴まれて乱暴に引っ張り寄せられた。その強さに負けるように、私の体は床に転がった。


562:montage~真夏の雪解け~ 10/15
08/08/20 00:22:10 jUBQ8pny
「イチく…っ」
「結婚なんかしないって言ってるだろ!?」
 倒れた私の上にのしかかり手首をがっちりと掴まれた。
「や……!」
「何で、何でわかってくれないんだよ……」
 何か言わなきゃと開いた唇はすぐに彼のそれで塞がれた。初めてのキス。
 思い描いていたのとは違って、強く激しく押し潰されるような感覚に空想の壁が打ち崩されてゆく。
 彼の-―男の体の重さに押しつぶされて苦しい。息が出来ない。
 乱暴なキスは、押し当てられただけの様な感覚から、徐々に緩く柔らかく軽く啄まれる
ものに変わっていった。それに何故か声が漏れる。
「んっ……」
 何度も何度も繰り返し唇を重ねられる毎に自然と体の力が抜けていく。不思議。
「香子……」
 ようやく離れた唇からその声が漏れた時、私は完全に力が抜けていた。何も抵抗できずに。
「香子」
 私の顔の映るその瞳がまた再び近づき距離を無くした。もうされるがままになりつつキスの
雨を受けると、ふいに両手が楽になった。それと同時にブレザーのボタンが外され
一気にブラウスが捲り上げられた。
「!!……いやぁっ!?」
 いきなりの事に停止しかけた思考が戻り、おかれている状況に精一杯の対応を試みるも、
剥き出しになったブラのカップが引き下ろされかけて、彼の舌が中に侵入しようとしていた。
「や、だめっ」
 頭を押し退けようとして逆にまた腕を掴まれ胸に顔を埋められた。
「香子……香子」
 頬や唇の触れる感覚に羞恥と恐怖が入り混じり、もう一度声を上げて抵抗しようとした。
だが、ふと私は開きかけた口を閉ざしてしまった。それと同時に僅かに残る力での抵抗も止めた。
 その様子に腕を押さえる力が緩み、胸の重みが消えた。
「……どうして?」
 抵抗を止めた事に戸惑ったのか顔を上げた彼と目が合って、恥ずかしくなって逸らした。
「いいよ。好きにしてくれて構わない」
 これだけ薄い壁だ。声を出したら近所の誰か通報するかもしれない。そしたら世間の噂になる。
2人とも益々好奇の目に晒されて、きっと何を言ってもダメになる。隣のテレビや外の車の
音が私の耳に届いた時そう感じた。
 私は……まだ彼と離れたくはなかった。


563:montage~真夏の雪解け~ 11/15
08/08/20 00:23:43 jUBQ8pny
「ごめん」
 重い体を引きずりながら動くように、ずるずると音を立てて私から離れ立ち上がった。
「ごめん。俺どうかしてる……」
「どこ行くの?」
 ジャンパーを羽織る背中に急に不安を感じて声を掛けた。
「……ちょっと友達んとこに行ってくるから。今日は泊めて貰う、本当にごめん」
「……私昨日りっちゃんとこに居た。おじさんたち旅行で居なかったから電話も留守にして
 貰って、携帯も切ってた。私こそ心配かけてごめん。酷い事も……」
「わかった。もういいから」
 いつもの顔で少し弱々しく微笑む口元には、さっき胸に感じた無精髭が見えた。そういえば
Yシャツにネクタイのまま。一晩中私を待っていたのか。かくいう私も制服のままだった。
 昨日の朝例の見合い写真を見てから飛び出すように学校へ出て行き、そのまま帰る気がしなく
なった私は幼なじみの家へ行った。
 無断外泊も初めてだったけど、あんなに叱られたのも初めてだった。

 ……もっとも、なるべく波風の立たないように過ごしてきただけの事かもしれないけど。
困らせたいと思った事も一度だってなかった。
 玄関が閉まり、足音がしなくなるのを聞いてから小さな引き出しをそっと開いた。
 隅っこにひっそりとしまわれていた小箱を取り出すと中を開く。
 決して高価とは言えないその中身は-―指輪だった。
 ママに渡されるはずだった物。貧乏大学生には精一杯の贈り物だったんだろう。
 中学生になった頃にふざけて指にはめてみて言った事がある。
『これ私が大人になったら貰っていい?』
 たわいない子供の言葉だったのに、彼は真剣に言ったのだ。

『駄目だよ。それはママのために買ったものなんだから』

 それは私の心を静かに、だけど確実に打ちのめした。

 それが何であったのかはその時の私にはわからなくて、ただ深く傷ついたのを覚えている。

 私達は義理とはいえ父親と娘になり損ねた上に、兄と妹になりきる事も出来ず。
「なんで死んじゃったの?ママ」
 あなたさえ生きていてくれたなら。
 ごく自然な筈の感情がこんなに自分を傷つけ苦しめる物だったのなら。

「私って悪い事してるの?……」

 恋なんか知りたくなかった。


564:montage~真夏の雪解け~ 12/15
08/08/20 00:25:46 jUBQ8pny
*** ***

 俺は何という事をしでかしてしまったんだろう。
 宝物のように守って来たつもりの香子に酷い事をしてしまう所だった。
 ……いや、もうやってしまっているのかもしれない。

 いつ頃からか、肩の上で揺れる髪に気軽に触れる事が出来なくなった。スカートから伸びた
脚から意識的に目を逸らすようになり、顔を寄せて喋る事も自然にしなくなっていった。
 そんな自分がいつか抑えられなくなる日が来てしまうのではないかといつも恐れていた。
 欲望を爆発させてしまうのを防ぐために時折自己処理を施して体の欲求を抑えつけても、
気持ちの高ぶりは置いてけぼりになって益々体と心がバラバラになっていく気がした。
 もしそれがバレたらどんなに軽蔑されるかと思っているうちに、それはとうとう見つかって
しまった。目の前に突きつけられた時にはまるで犯罪を暴かれたような気持ちになった。
 想像はついていた筈だったのに、まるで汚い物を見るような香子の瞳が刺さるように痛くて
あんな物さっさと棄てておけば良かったと思い切り後悔した。
 なじられたその瞬間抑えていたどす黒い欲望が否応なく噴き出して、気が付けば無抵抗に
躰を投げ出した香子の悲しそうな顔があった。
 あのまま助けを呼び叫べばきっと、俺は悪意の塊として香子から引き離される事となって
世間に曝され二度と彼女と逢うことは無くなってしまったかもしれなかった。
 そんなことは堪えられないと今の今まで思っていたが、いっそそうなってしまった方が
楽なのではないのだろうか?

 昨夜帰宅した俺の目に映ったのは、畳みかけたYシャツを抱き締めて眠る香子の姿だった。
 布団に運んだ時にはだけた胸元が見えたが、直そうかと手を出しかけて本心は違う事を
思っているのに気が付いて、触れてしまう前に布団を掛けて隠し離れた。
 子供のままの寝顔に密かに見える女としての姿に、俺は……怖くなったのだ。

 きょう子さん、あなたが生きていてくれたなら。

 あの子を傷つけずに済んだんだろうか……?


565:montage~真夏の雪解け~ 13/15
08/08/20 00:27:38 jUBQ8pny
*** ***

 鍵が開く音がして、玄関に立った。
「お帰り」
「……ただいま」
 あれからずっと、翌日の晩まで彼は連絡一つよこさず。私はいつ帰るのかと問うことさえ
出来ず部屋で待ち続けていた。
「……待ってたのか?」
 ラップをかけたまま冷えて並んだ夕飯の皿を見て、申し訳なそうに目を伏せた。
「だって、いらないって聞いてなかったし。……もう済んじゃった?だったら別に」
「いや、まだ。食べるよ」
 上着を脱いでハンガーに引っかけ席についたのを見て、温め直した食事を出した。
「……来年から出るつもりなの?家」
 突然思ってもみなかった事を言い出されたので、ずっと何となく合わせ辛かった視線が絡んだ。
「は?」
「だって就職したら自活するつもりなんだろ?」
 ぽつりとそう言うとゆっくり静かに箸を口に運び、私の方を見ないまま食事を続けた。
「……何でそういう事になるの?」
 私は自分も食べ始めるつもりで持った箸をまた置いた。声が震える。
「違うのか?」
「そんな事言ってないじゃん!……私が邪魔?いない方がいい!?」
 私自身驚く位の剣幕におののいたのか、彼は箸をくわえたまま目を見開いた。
「……誰もそんな事言ってないよ。ただ、もう俺に頼る気はないような事言ってたからさ」
「あれは、今までみたいに生活の負担をイチ君に全部かけなくて済むようにって意味で……」
 役に立ちたかっただけなのに。
「私一度もここを出ようなんて思った事ないよ。だからこれからだって家事なんて私がやるから」
 そんなふうに思われてたのか。だから急に出来ない料理なんかやろうとしたんだ。
「そっか……俺の早とちりか、ごめん」
 ほっと肩の力を緩めた。だが
「でもいつかはそうなるんだよ」
その言葉にまた私の心が痛みをぶり返した。


566:montage~真夏の雪解け~ 14/15
08/08/20 00:29:40 jUBQ8pny
「なんで?なんでそんな事言うのよ……」
 たった今その気はない事は言った筈じゃないか。
「いつまでもこのままってわけにはいかないだろ?香子だってこれからなんだから」
「何でよ!今までこれでやってきたじゃない。これからだって……」
「無理だよ」
 彼はきっぱりとそう言った。
「いつまでもこんな暮らし、不自然だと思うよ?俺は香子の親みたいなもんなんだから。
 その代わり……お前が嫁に行くまでは……」
 我慢のならない一言だった。
「しないよ。私……イチ君がするまでは」
「俺はしないって」
「だったら私だって好きにするよ。勝手に決めないでよ、そんな事!……やっぱり私がいない
 方がいいんじゃない」
 それに対して動きを止めた彼は静かに箸を置くと、唇を噛んで瞳を逸らす私の方を見て
信じられない言葉を吐いた。
「そうかもな。その方がいいかもしれないな、俺達は」
 まさかそんな事を言われるなんて考えもつかなくて、冷水を浴びたようなショックで
動けなくなった。
「その方がいい。俺達一緒に居すぎたんだ」
「……」
「ごめんな。香子の事大事にするって約束、守れそうにない。ごめん」
 涙腺が壊れた。
「……嘘つき」
「うん、ごめん」
「僕がいるって言ってくれたのに!ずっと一緒にいてくれるって……。なのに今になって
 私を1人にするの?じゃあ何であんな事……」
 しようとしたの?昨日のあなたは。
「ごめん。それしか言えない。ごめんなさい」
 テーブルに付くくらい頭を下げ続ける彼をこれ以上見たくはなかった。
「謝らないでよ……謝るような事しないでよ、バカ!!」
 いたたまれなくなって席を立つとそのまま部屋に引きこもった。その間、キッチンからは
身動き一つする気配はなく、私は唯流れ続ける涙を手の甲で拭い続けた。
 その間、昨日出て行ったままの皺の残るシャツと剃られないままの無精髭がずっと焼き付いて
益々私はたまらなくなるのだった。


567:montage~真夏の雪解け~ 15/15
08/08/20 00:33:03 jUBQ8pny
 翌日の朝からは、食事の用意だけをすませて早めに家を出るようになった。
 夜は同じように夕飯をテーブルに並べて置いて、後はずっと部屋に引っ込んで過ごした。
 もっとも、連日遅く帰ってくるようになった彼とはどのみち顔を合わさなくなったんだけど……。

 もう何日会話していないのだろう。
 朝になると必ず空にされて洗い桶に浸けてある食器を眺めては、取り留めのない言葉の
やり取りが今となっては遠い日々の事のように思える。


 そんな事を考えながら布団に潜って眠れない夜を過ごしていた。時計を見ると11時半。
明日も早いし寝なくちゃ、と灯りを落とした所で玄関の開く音がした。
「ただいま……」
 誰も返事のない電気の消えた部屋に小さく呟く声に、胸が締め付けられた。
『おかえり』
 その一言がかけてあげられない自分が情けない。
 彼の気配に神経が全て向かってしまう。それを悟られたくなくてじっと身を固く耐えていると、
ゆっくりと襖が開いた。
 向こうに背中を向けた状態だったので、幸いにも目を閉じてさえいれば寝たふりをする
事ができた。
 しゃがんで覗き込んで居るのだろうか?ズボンの衣擦れの音と側での気配がする。
「香子……」
 そうっと髪を撫でられて小さな声で囁かれる。
 バレないようにひたすら我慢してじっとしていると、髪に絡んだ指がゆっくりと離れた。
「ごめんな……」
 そう言って静かに隣室へ消えた彼の後には、微かにお酒の匂いがした。


 翌朝洗濯しようとしたYシャツからはやはり友達のだろうか、煙草の匂いがした。毎朝私が
出して置いたシャツを着て出勤する。昨日はこれだった。
 文句も何も言わず食べて着て……穏やかながらもそれは何だか冷たく寂しいやりとりに思えて、
ふいに哀しくなって思わずシャツを抱き締めた。
「香子」
 まさか起きてくるとは思わなくて慌てて振り向いた。
「俺今日は早く帰るから。……話したい事もあるし」

 いきなり脆い足場に立たされたような不安な感覚に陥って、シャツを掴んだ手に力がこもった。


                                   「続」


568:名無しさん@ピンキー
08/08/20 01:49:28 lzb9ecTd
うお…
一気に引き込まれてしまった。
ここで引きなんて鬼だーw いやいや、GJでした!
続き楽しみに待ってまする。

569:名無しさん@ピンキー
08/08/20 02:00:58 3hvOycjF
乙です!
もどかしさがいいですね、きゅうっとなります。
続き早く読みたいです~

570:名無しさん@ピンキー
08/08/20 13:56:26 7OuwlJpG
既に泣いた…
続き楽しみにしてます!

571:名無しさん@ピンキー
08/08/21 08:35:28 2Ov3R3VR
GJ!!
続きが楽しみすぎる!
全力で待ってます!


572:名無しさん@ピンキー
08/08/21 13:58:50 hbEAiuHA
続き投下します
今回のあともう1回で終わります


573:montage~真夏の雪解け~(その2)1/15
08/08/21 14:01:15 hbEAiuHA
*** ***

 好きな女と堂々と一緒に暮らす、というのはどんな気持ちなんだろう。俺は経験出来ない
うちにその夢が砕けてしまった。
 それでも大切なものを手元に置いておく事が出来た。おかげで残された幸せを噛みしめて
生きて来れたのだというのに、それさえも失う覚悟を迫られている。
「それはお前の勝手な強迫観念じゃねえの?」
 この部屋の主である早川は大学からの友人だ。
「俺は……元々そんなつもりで香子を育ててきたわけじゃない」
「んなの俺だって解ってるさ。でも人の気持ちなんか変わるもんだろ?」
「…………」
「周りの目なんか気にすんなよ。誰だよハタチで結婚なんて散々俺ら驚かしてくれたやつ。
 なんかお前らしくねえよ」
「若かったんだよ。あの時はさ」
「お前あのコ引き取ったの、後悔したりしてるわけじゃねえんだろ?」
「まさか」
 香子と暮らしてきて一度だってそんな事考えた日はない。ただ、こんな気持ちの誤算が
起こるなんて思わなかっただけだ。
「そんなに大事ならちゃんと一緒にいてやれ」
「それが無理なんだよ。ただでさえ好奇な目で……って何、お前タバコやめんの?」
 早川は洗った灰皿をゴミ箱へ突っ込みながら頷く。
「ん。いい機会だからな。……出来たらしいんだ」
「へ?」
 何となくキッチンに洗って伏せてあるカップや、2つ並んだ枕に目がいく。
「もう7年越になるしな。なかなか半同棲から進ましてくんなかったから、やっとって感じかな」
「いよいよか?」
 家庭にトラウマを持つという彼女はなかなか結婚に踏み切れなかったらしい。
「生きてる限りは忘れることも必要なんだよ。じゃなきゃ何時までも縛られてばかりだしな。
 俺がそれになれるかどうかは解らんが、後で悔やむ前に手に入れとく。……だから連れてくよ」
 大事な物を守ると決めた奴の顔は清々しく羨ましかった。

 あの頃の自分もこんなふうだったんだろうか。
 今の俺は……。
 想えば想うほど、傷つけてしまう。そんな気がするのは何故なんだろう。

 ―そんな気持ちが俺の背中を押した。


574:montage~真夏の雪解け~ 2/15
08/08/21 14:02:38 hbEAiuHA
*** ***

「美味しい?」
「うん」
 数日振りの一緒の夕飯は和やかな時間だった。
「寒いし今日はお鍋にしといて正解だったよね。あ、ビール切れた?ほらそこ煮えてる」
 冷蔵庫から新しいのを出して、休む間もなく野菜を取り皿に入れてやる。
「そんな食べらんないよ」
「だめです!」
 端から見たら普通の家庭の団欒に見えるのだろう。自分でも意識していた。だけど無邪気な
高校生のはしゃぐ様は、単に沈黙が怖いが為の必死の振る舞いだったし、ちびちびと
アルコールを口にするのも、多分手持ち無沙汰をごまかすにすぎない。元々そんなに強い方
ではないのだし。
「香子」
「何?……あ、ご飯忘れてた」
「いいよ」
「あっそう。じゃ、後でうどん入れよっか」
「いいから」
 何かと理由を付けて席を立とうとする私に、
「何もいらないから。聞いて、お願いだからさ」
そう言うと箸を置いた。
 少し上目遣いに見つめられ、何だか自分が意地悪をしてしまったような気になって、妙に
逆らえない雰囲気を感じて仕方なく腰掛けた。

「いきなりだけど。俺転勤する」
「……本当いきなりだね」
「うん。こういう話は早い方がいいから」
 あんまりサクッと切り出されたから、逆に何というか、「へえー」って感じで冷静な気がした。
「早川が結婚を機に、地元に帰って向こうの支社で働くらしい。そんで俺も誘われた。
 ……まあ転勤というより転職だな。設計士が欲しいって引き抜かれた」
「そう」
 大学の友達で私も知ってる。確か年下の彼女さんがいて、ちょっと無愛想だけどいい人だ。
「いつ行くの?」
「春休み中かな。4月からはあっちだと思う」
「そっか。……私なら大丈夫だから」
 イチ君にならどこにでもついて行きたいのに。
「うん」
 だからお願い。
「この際思い切ってそうしてみようと思ってる」

 言わないで。
「香子は大事なひとだから」

 聞きたくない。

「そろそろ離れよう―俺達」



 ママ。
 どうして私が好きな人は、みんな私を置いていってしまうの?


575:montage~真夏の雪解け~ 3/15
08/08/21 14:04:25 hbEAiuHA
 今までと変わらない日々が続いた。
 朝は一緒に必ず過ごし、私がいつも通りの時間に家を出た後に、彼は私がアイロンがけ
したYシャツを着て出勤する。
 夜は一緒に夕飯。時々、残業。
 だけど着実に準備は進み、部屋は徐々にダンボールで埋め尽くされ、粗大ゴミの日も
待ち遠しくなってきた。

 別れへのカウントダウン。

 カレンダーの×印が増えてゆく度に、残された時間は消えてゆく。



「香子。何か俺にして欲しい事はある?」
 いつものように朝食を取りながらの慌ただしい時間。突然の質問にしばし悩む。
「欲しいものでもいいけど」
「え……うん」
 欲しいもの、して欲しい事。
「いきなり言われてもわかんないよ」
「そうか。んじゃ考えておいて」
 
 その日の私は、頭の中がそれで埋め尽くされ、先生に3度は怒られた。

 私のしたい事。
 欲しいもの。
 それは絶対手に入らないであろう、叶わないであろう事。

「ただいま」
 夕飯が並ぶ頃タイミング良く帰ってくる。
「おかえりー」
 貴重な時間。
 スーツを脱いで掛ける背中を見ながら想う。

 行かないで。
 私を1人にしないで。
 だから、あなたと一緒に……。

「今日は焼き魚かー」
「煮付けにしたかったんだけど時間無くて」
「なんで?充分じゃん」

 でもあなたを困らせる事は出来ない。
「イチ君、お願い決まったよ」
「あ……うん、何?」


「……どっか行きたい。2人だけで。その日だけは」
「わかった」
 私をまっすぐ見て小さく微笑んだ。
「どっか行こう。そん時は……」

 忘れておこう、色んなことを。


 ―あなたの時間を、私にちょうだい。


576:montage~真夏の雪解け~ 4/15
08/08/21 14:06:20 hbEAiuHA
 私達はその週末の朝に車に乗って出掛けた。買い物などの雑用以外で2人でどこかへ行くのは
本当に久し振りだった。
 お母さんが死んでからは特に、年齢的なものもあったのだろうか。それぞれ友達といる事が
多くなったりしたから。
 新しく出来た観覧車目当てに水族館に行った。着くまでは何となくどう振る舞えば良いのか
終始どちらも無言に近かったけれど、巨大な水槽の魚の群れや周りの和やかな雰囲気にいつしか
私達も溶け込んでいた。
 いつ以来だろうか?2人で外食するのも。新鮮な空気に自ずと気分も軽くなり、その後は
ゲームをしたり、初めてプリクラを撮ってはしゃいだりした。

 散々遊んでやっとメインの観覧車に乗れたのは、もう陽も傾きかけた頃だった。冬の日差しは
弱く短い。
「今日は疲れた?」
「ちょっとな。でも楽しかったよ」
「……イチ君ごめんね。我が儘言って」
「そんな事思うなよ。俺だって香子と一緒にいたかったさ」
「本当に?」
 そういうと頷いた。
「私そっちに座ってもいい?」
「いいよ。おいで」
 何故か無性に近くに寄りたくなって、体をずらして開けて貰った場所へ腰を下ろした。
「ちょっと狭いー」
 上着のせいもあってか元々きっちりくっついた体を、彼は肩に手を廻して更に抱き寄せた。
「今日は……」
「うん」
 何も聞かない。黙って肩に頭を乗せるようにしてもたれかかっていた。
 ふたりきり。
 この空間だけに許された世界を出来るだけ味わおうと、ただあなたの事のみを想う。
「頂上に来たな」
「うん……」
 外を見ると、普段は決して知ることの出来ない景色が広がっていた。小さな小さな建物や
取り囲む木々に、人間なんて何てちっぽけな存在なんだろうかと思う。
 その中でどうして私は今ここにいるのだろう。
 どうしてこんなに哀しい気持ちにならないといけないの?
 俯き気味だった顔をふと上げると、私を見つめている彼と見つめ合う形になった。


577:montage~真夏の雪解け~ 5/15
08/08/21 14:07:46 hbEAiuHA
 ゆっくり近付いてくる顔を避けようと思えば出来たのに、そうはしなかった。この前の
ように早急ではなく、優しく触れる唇を何も考えず受け止める。
 軽く触れるだけのキスは初めは短く、段々と長く時間をかけて重なるようになり、何度も
何度も私達は距離を無くしては離れるのを繰り返した。
 やがて触れるだけのものから舌で唇をなぞられるようになり、そのうち口内は彼のそれで
いっぱいになる。
 肩にあった手は頭の後ろに廻り、私の髪をくしゃくしゃにしながらもう片方の手は
腰にあって、しっかり捕まえられている状態にありながら、私は私で彼の背中に腕を廻して
しがみついた。
 やがてやって来た地上への帰還に
「もう一度乗る?」
という私の提案に反対の声はあがらなかった。

 次の回も、景色はほとんど見ることは無かったけど……。

「暗くなったな」
 夕飯を済ませて車に乗りながら、寒さに身を小さくする。
「後は……なんかしたい事ない?」
 エンジンを掛けながら前を向いてハンドルを掴んでいる手に自分の手を重ねた。
「…………イチ君のしたい事でいいよ」
「俺は……」
「いいよ私。……どっか連れてって」
 いつもの日常とは離れた所。ただの私達になれる場所。
「いいのか?」
「うん」
 手を離してシートベルトを止め、同時に覚悟も決めた。
「香子の事壊すかもしれない」
「大丈夫だよ」
 私が一番怖いのはそんなものじゃないから。


 まさかこの人とこんな場所に来るなんて誰が想像しただろうか。
「いきなりこんなトコでごめん。俺そういうのわかんなくて」
「それがいいの。だってめったにこんなチャンスないよー」
 ラブホテルの一室。これほど今までの私達に縁遠かったものがあるだろうか。
 入り口で固まっている彼とは対照的に、私の方は気まずい空気を払拭しようと必要以上に
はしゃぎまくっていた。


578:montage~真夏の雪解け~ 6/15
08/08/21 14:09:25 hbEAiuHA
「あーお風呂おっきいー!」
 家の3倍はあろうかと言う浴槽にお湯を張っていると、ふとある事を思う。
「そう言えば……」

 数分後、洗った髪を束ねて湯船に浸かる。
「いいよ、もう」
 暫くして開いたドアからおずおずといった感じで入ってくる様子が、背中から伝わってくる。
 一緒に暮らし始めた時私はもう10歳で、一度もお父さんと―男の人とお風呂に入った
経験がない。
 何となく間が持たなくて、気まずい空気になるのを避けようと冗談めかして言ってみた。
『一緒に入ってみる?』
 つとめて明るく。

 本当に魔が差した。
 まさか頷くとは思わなかったし。無邪気な戯言と一蹴されると踏んでいた。なのに私の
背後で今髪なぞ洗っている様子……。
 シャワーの音が聞こえ、それを耳にしながら膝を抱えて湯船に丸まる。
 ざはっと派手な水音がしてお湯が少し溢れると同時に、私の背中にぴたっと何かがくっつく
感触がした。
 軽く振り向くと背中合わせに膝を曲げて、私と同じポーズでお湯に浸かっている。
「今日は楽しかったよ。久しぶりだなー、あんなに遊んだの」
「……仕事忙しそうだもんね。ここ数年私のために」
「違うってそれは。俺は社会じゃまだまだ若僧だからそういうのは関係ないの。
 ……香子のせいじゃない。それよりもっと早くこういう事ぐらいしてやれば良かったな」
「今からだって出来るよ」
 彼は答えなかった。答えられないと言った方がいいかもしれない。一瞬だけ、私に体重を
掛けてもたれ、また背を離した。
 ぶつかった背中の大きさをもう少しだけ味わいたくなって、体を捻ると首に腕を廻して
しがみつき、もたれた。
「香子?」
「ちょっとだけ、こうしていい?」
 廻した腕に乗せられた手のひらの温もりと共に彼が小さく頷いたのがわかって、ちょっとだけ
くっつく力を強めると、私の胸がいびつに形を変えて潰れる。


579:montage~真夏の雪解け~ 7/15
08/08/21 14:10:59 hbEAiuHA
 ―7年前のあの日。
 私をママの元まで背負って運んでくれた背中に久し振りに触れる。今でも充分に広いこの
場所は、昔と比べると小さくなって、そして少し遠くなってしまったような気がした。
 私が大人になってしまったからなのか。
 ……こんなにそばにいるのに……。

 変わらないものなんて有りはしないのだ、この世界には。
 いくつになっても忘れないものがあるように、それは時には残酷な現実となって私達を苦しめる。
 そうっとしておいて欲しいのに、生きている以上それは許されない事もある。
 何が正しくて何が間違いなのかは私にもわからない。あるのは芽生えた正直な気持ちだけ。

「もっかい還りたいよ……あの頃に。そしたらイチ君の事なんか、今度は好きになんかならない」
「言うなよ。そんな哀しいこと」
「じゃあ何で……私達そんなに悪いことしてるの?」
「違うよ。俺が弱いだけなんだ、多分」
「……」 
 私の顔が濡れているのは湯気のせいなのか、涙のせいなのかはもはやわからない。
 ただ、哀しみが止まらなかった。
「先に出る」
 立ち上がる気配がしたから体を離して、また背を向けた。裸を見るのはまだ恥ずかしかった。
「ゆっくりでいいよ。……待ってるから」
「うん」
 でもそれ程待ち時間は必要なかった。出て行って落ち着いた頃を見計らって浴槽から
立ち上がった。


 髪を拭きながら部屋へ入ると、ソファーに腰掛けてビールを飲んでいた。
「珍しい」
「……こうでもしないと勢いがつかない」
 両手で缶を握り締めたまま私を見ると、
「髪、拭いてやろうか?」
と言うので頷いたらあとの残りを無理して飲み干したらしく、缶をゴミ箱に捨てながらむせた。
「イチ君焦りすぎ……」
「バカ」
 照れ臭いのか酔ったのか(弱いくせに)少し赤らんだ頬をして
「おいで」
と手招きされたので、彼の座っている前の床にぺたんと腰を下ろした。
 わしわしとタオルで頭を包まれるように拭かれながら、幸せな時間に身を委ねた。


580:montage~真夏の雪解け~ 8/15
08/08/21 14:13:00 hbEAiuHA
「ありがと」
 タオルを外そうとした手を掴まれて、そのまま引っ張られるように立ち上がった。
「見せて」
「へ?」
 いきなり何を言うのかと面食らって、座ったままの状態から私を見上げている彼を凝視した。
「な、何を……」
「酔った勢い」
 元来気の弱い自分に言い訳するように呟くと、着ていたバスローブの紐をするりと解かれた。
「!」
 慌てて前を押さえようとして手首を捕らえられたのでそれは出来ず、合わせの部分がだらんと
中途半端に広がって、体の中心部のみが晒される事となってしまった。
 胸の部分は乳首なんかはうまく隠れているものの、おへそやその下―肝心の場所は
ヘアーが見え隠れしている状態になっている。
「却って恥ずかしくない?」
「……は、恥ずかしい」
 私は目を合わせまいとするのに、今度は両手で顔を挟み込むようにして見つめられた。
「だから、脱がしていい?」
「……うん」

 その手が下がり、ゆっくりと肩を露わにしていく。
 肘まで脱がされかけた状態で抱き寄せられ、晒された胸に顔を埋められた。
暫くの間そうされたままじっと立っていたが、ふっと顔を離してから今度はまじまじと
上から下まで何度も視線を往復されて、その羞恥に耐えられなくなってきた。
「あんまり見ないで……っ」
 胸だってそんなにある方じゃないし、お腹もどうもぽっこりしてる気がする。いわゆる
幼児体型?というか。
 ただでさえ初めて人に見せるのに……こうも明るい所でじろじろ見られるなんて思いもしなかった。
「綺麗だよ。香子は」
「んな事ないもん。エロ本のおねーさんとかもっと凄……痛っ!?」
 胸に唇がついた、と思うときつく吸い付かれ、かと思えば軽く噛まれた。離した跡が少し朱い……。
「ばか。お前の方がいいに決まってる」
 両腕からバスローブを抜かれ、足下に落ちたと同時に私の躰は彼の腕の中にあった。
「柔らかくて気持ちいい」
 言われながら胸にキスされて、言葉を失った。
「……抱っこしようか?」
 ただ頷くしか出来なくて、言われるがままに膝の上に乗っかった。


581:montage~真夏の雪解け~ 9/15
08/08/21 14:14:27 hbEAiuHA
 横向に座るとお姫様抱っこのような体勢になり、よくよく考えてみるとバスローブ
を羽織った体の上に裸の自分がくっ付いているのが凄く不自然で、恥ずかしくなって
彼の首にしがみついて顔を埋めた。
「どうした?顔上げなよ」
「やだ」
 仕方ないな、と言ってぎゅっと抱き締めてくると、その手で背中を撫で回された。
「ひゃっ……」
 首筋に這う舌の感触と、背筋にそって滑り出した指にぞわぞわっとしたものが走る。
 思わずぴったりくっ付いていた胸を離すと、背中を這っていた左手がそっちに回った。
 膨らみを掴むと同時に唇は塞がれ、忍び込まれた舌に口内をオトされ、
しっかり腰に回した右手に逃げ場を塞がれてどうにもならず、ただ仰け反りながら
膝から落ちないように必死で掴まりその刺激に耐える。
「はあっ……あっ」
 ふと離れた唇から息をつくと同時に漏れた声に
「もっと出して」
と囁かれ、首を振ると指で胸の先端を摘まれた。
「ああっ!……やあぁ」
「俺しかいないんだぞ?だから……」
 躰をずらすと彼は私の上に覆い被さるようになり、ソファーに押し倒された。
「ここなら大丈夫だから」
 両手首を掴まれキスをされる。
「いっぱい声、聞きたい」
 耳元で囁きながら手首から離された手は肩をなぞり、また胸元へと下りてゆく。私の肌に触れる
彼の羽織ったままのバスローブが、動く度に擦れて変な感じがした。
 首筋から徐々に肩、胸へと下りていき唇と舌が手の動きを伴ってまた堅くなっていく
胸の先を弄り始めると、そんな、と思う気持ちとは裏腹に胸が反り出し、自然と続きを求めて
しまう。
 仰向けになったせいでぺたんこに近くなった胸を寄せて出来る谷間に口づけながら、彼は
私を見てニヤリとした。
「やだ!あんまりみ、みちゃダメ」
「なんで?可愛いのに」
 再び顔を近付けてきて軽くキスする。


582:montage~真夏の雪解け~ 10/15
08/08/21 14:16:15 hbEAiuHA
「だって……胸小さい方だし」
「俺はそんなの気にしてないけど」
 返答に詰まって黙っていると、ガバッと脚を開かされ間に体をねじ込んできた。
「ちょっ……えっ!?」
「そういう事言えなくしてやる」
 両手首を再び掴まれ頭の上に置かれた。それを驚く事に左手だけで押さえられると、右手は
何の躊躇いもなく曲げさせられた両膝の間にあてられた。
「嘘っ、なに?……いやっ」
「本当に嫌?」
 じっと私の目を覗きながらゆっくりと指がヘアーをかき分けてゆく。
「!」
 すっとすべった指がヌルヌルと何かを絡ませて動いていく。それと同時にむずがゆいような
痺れるような説明のし難い不思議な熱さが全神経を集中させて襲ってくる。
「んーっ、や、あっ」
「クレーム終わり。……他は、好きなだけ出しな」
「あ……ば、ばか……っ、あんっ!」
「もっとヤらしくなれ」
 静かにゆっくりと中に何かが入り込んでくる。
「痛い?」
 ううん、と首を振ると
「辛かったら言うんだぞ」
と言い、さっきよりきつく締まる感じがした。
「2本入ったよ……俺の指、香子の中に」
「う、うん」
「大丈夫?」
「……多分……うぁっ!?」
 ゆっくりと出し入れされる動きにつられて呻いてしまった。
「は……」
「力抜いて。すぐ慣れると思う」
 その言葉通り、はあっと息を吐いて脱力するように努めると、少しずつ楽になってゆく気がした。
それと同時に、抜かれる指の動きに多少の残念さを感じてさえしまって、こっそり赤面した。
「あっちに行こう。狭いし」
 目線の先にあるダブルベッド。頷くと先に体を起こした彼に抱き抱えられた。
「ひゃあ!」
「よいしょっと」
 本当のお姫様抱っこ。
「お、重いよ?」
「大丈夫だって、香子の1人くら……い」
 絶対無理してるよね?
 だけどせっかくだから知らんぷりしておいた。

 ママが好きだった人。
 ママを好きになった人。

 でも今は、私だけを見ていて……。



583:montage~真夏の雪解け~ 11/15
08/08/21 14:17:59 hbEAiuHA
 ベッドに寝かされると、向こうも息をついてごろんと横になった。
「ちょっと休憩……」
 重かったのかな?……ダイエットしときゃ良かった。
「言っとくけど最近運動不足だったからだぞ。さっきみたいな事言ったら怒るから」
 胸に残った朱い噛み痕を撫でながら睨まれた。
「何も言ってないし」
「ならいいけどな」
 私の上に再び跨ると、自分も着ていたバスローブを脱いだ。手も脚も長くてがっちりしている。
「触っていい?」
「ん」
 そうっと寄せた手を掴むと胸板にあてられた。堅くて、若干の胸毛があった。
 初めて見るオトコのヒトの躰にしばし釘付けとなったが、それよりも何気に動かした視線が
捉えたそれに目を奪われたまま動けなくなってしまった。
 それに気付くと胸にあった手を引き剥がし、そこへそっとあてがった。
「わかる?勃ってんの」
「う、うん」
 これがそうなんだ。話には聞くけど、本当に堅くなるんだ。……って普段を知らないけど。
「香子がそうさせるんだぞ」
 それにあてがった私の手を握る。
「だからお前が気にするような事無いんだよ。……わかるだろ?」
「……本当?」
「ずっと、ずっとな、我慢してきたんだ。触れる事、抱き締める事、こうする事も」
 軽く唇をなぞるとそっと触れ合って、また舌を絡ませ合いながらまたずらした唇で乳首を弄び、
下半身へと手を伸ばす。
「ひぁっ……」
 この間自分で触れて達した突起を摘まれた途端に、声が勝手に漏れた。
「いいの?」
「あ……いやぁ」
「だめ?やめる?」
 自分でした時よりも数倍強い刺激に朦朧としながら首をゆっくり振ると、
「やっぱり可愛い」
と更に潤いを塗りつけるようにして撫で回され、それに背中を思い切り反らしながら、
悲鳴をあげて応えた。
「目、開けて」
「だめ」
 さっきから色んな事をされてるけど、実のところ私はほとんどまともに顔を向けてはいなかった。
「なんで」
 不服なのか唇を啄みながら聞いてくる彼に、指をさして示した。
「えっ!?」
 さすがに驚いたか。振り向いた先にあったのは天井―鏡張りの―だった。


584:montage~真夏の雪解け~ 12/15
08/08/21 14:19:53 hbEAiuHA
「なる程……」
 まともに見ると物凄い絵。重なった躰が全て仰向けの私からは見えてしまう。
「恥ずかしいの?」
 頷いて目を逸らした。
「けどここまできたら我慢出来ない……」
 濡れた指を外し、太ももの付け根に置いたと思うと、躰をずらしていく。
「……!い、やぁ……っ!?」
 突起を弄ぶものが指から舌に変わった。吸い付く刺激に体中の血液が全ての流れを変えた
気がした。―熱い。
「ああっ……」
 わけがわからず溢れてくる涙に滲んだ視界には、ぼんやりと開かれた私の躰とそれを貪る
彼の姿がこれでもかと写し出され、いかに此処が特別な場所であるのかが思い知らされる。
「あっ……ああ、い、いくっ……だ……め」
 一度味わった感覚は染み着いていてまた蘇る。舌の動きが強くなり、彼の髪に手を触れた
瞬間。
「……あ……ぁっ」
 背中に突き抜けるような感覚が走り、呼吸が出来なくなった……。

 ふっと頬に触れる手の温もりに目が冴えた。
「あ……私?」
「一瞬だけな。意識あるか?なんか凄くいやらしかった」
「えっ!?す、すけべっ」
 何とでも言って、と私の膝を曲げさせ
「入れるけど」
と準備体制に入った。
「……あ、うん」
 いよいよか、と覚悟を決めて深呼吸した。意外と怖くはなかった。
 入り口にぐっと堅いモノが当たって、来る、と思った瞬間―離れた。
「イチ君?」
「うっかりしてた」
 情けなさそうに頭を掻いて慌てて部屋の隅にあった自販機?みたいな物で何かを買った。
「危なかった。ごめん」
 段取り悪いなーとか何とか呟きながら箱から何か出してる。
「あっ……間違えた」
「…………」
 その辺に放り出してある残りの小袋を手にしてみて、裏表があるのを知った。……これか。
 新しいのでやり直しをしてるのを待っていて、ふとさっきのままでいたのを思い出して
慌てて脚を閉じ、鏡に写る自分が恥ずかしくなって、脱ぎ捨ててあった彼のバスローブで隠した。


585:montage~真夏の雪解け~ 13/15
08/08/21 14:21:21 hbEAiuHA
 でもすぐにそれは引き剥がされ、また脚は開かれる。
 指の探る感覚が消えると、それより明らかに太いと思われるモノがぐぐっと押し込まれ、
あまりの痛さに悲鳴をあげかけて仰け反り耐えた。
「う……あっ……痛っ……んっ!」
 はあっとさっきを思い出してゆっくり息を吐くが、無意識に力が入る。指なんか比べものに
ならない。
「すぐ、楽になるから。凄い締まる……」
 私の手を取ると、
「掴まれ」
と自分の背に回し、体重を掛けてくる。躰が沈む度に突き抜ける痛みに、背中の皮膚を掴む
手にどうしても力が入る。そしてそのたびに彼の顔が歪むのだ。
「ごめん……でも、あっ」
「俺は大丈夫だから。気にするな」
 額に汗を滲ませ軽く微笑むと背を丸めてキスをしようとする。
「んっ……」
 半ば無理やり近づけた口づけを離すと、胸を合わせて腰をぶつけた。
「ああっ!!」
 始まった痛みの波に呑まれ、思いっ切り爪を立てた。
「イチ君……」
「ん」
 なんとなく呼んでみたくなった。行為の最中だというのにその存在を確かめたくなって。
「香子……だ」
 呼吸が速く、荒く苦しくなる。打ち付けられて躰が上下し、そのせいで段々揺れが激しく
なっていく。
「……チ、く、イチ君……」
 意識も視界も滅茶苦茶に壊れていきそうになって、不安になってそこに有るはずの躰を
必死で腕をばたつかせ捜すと、彼の手が私の手を掴み取り、シーツに押し当て指を絡めた。
「いるよ、ここに」
「あ……あ……」
 痛みはあるものの、それ以上の何かが私の中を満たしてゆく。
「香子が好きだよ。大好きだ」
「う……」
 ぎゅうと絡む指に力が痛い位に伝わってくる。
 こみ上げてくる切なさに涙が溢れて絞り出すように呟いた。
「行かないでよぉ……イチ君……」
「か……」
 滲む視界に映ったのは力尽きた彼の背中と、その長い脚に絡みつく私の脚の重なり合った
影だった。



586:montage~真夏の雪解け~ 14/15
08/08/21 14:23:11 hbEAiuHA
「あんまし血出なかったなあ」
 まだ少し残る痛みに、さっきの事が現実なのだと記憶する。
「もう大丈夫か?」
「うん」
 下着を着けてバスローブを羽織ろうとすると、腕を引っ張られてベッドに寝かされた。
「このままでいて」
「やだ。ちょっと恥ずかしいってば」
「このままがいい」
 自分もパンツ一枚で私を抱き寄せ、ぎゅうっと抱き締められる。
「しばらく触らせといて」
「は?……もう、何よぉ……エロ親父!」
 片手で胸を包みながら撫で回す。
「そうだよ。俺は男だからこういう事したいって思うよ。何度だって……」
「それって私じゃなくても?エッチな本見てたじゃん」
「あれはいわば道具なの!だからって相手は誰でもってわけじゃないんだ。少なくとも俺はな。
 ……あんなん見てたって、結局は最後に考えるのはお前の事なんだ。香子が欲しかったんだ。
 俺はそういう男なんだよ。……軽蔑したか?」
「……」
 首を振ると、ごめんなってまた抱き締められた。
 だって、望んでいたのは私も同じだったから。
「香子が好きだ。離したくなんかない」
「私だって離れたくないよ」
 強く、強く抱き締め合う。互いに息が出来なくなるくらい。
「でも、連れて行ってはくれないんだね。置いてくんだね、私を」
「……」
「どうして?何で離れなくちゃいけないの」
「香子はまだ色んな事を知らなすぎるから。だからね、それをいい事に俺に縛り付けとく
 わけにはいかないんだ。それに……多分世間からはきっと受け入れて貰えないと思う。
 そうしたら不幸になるのは避けられないんだ。俺は……」
「……ママにはプロポーズしたんでしょ?反対されても貫いたんでしよ!?なのにどうして」
「……俺さ、何回かきょう子さんには振られてるんだよね」
 驚いた。初めて聞いたよ、そんな話。
「若かったんだよ、あの頃は怖いものなんか何も無かった。でも今ならあの人の気持ちもわかるよ」
 私を覗き込む瞳は潤んで切なく哀しい。


587:montage~真夏の雪解け~ 15/15
08/08/21 14:24:48 hbEAiuHA
「まだろくに世間を知らないあの頃の俺は今の香子だ。自分では違うと思ってたけど、
 あの頃のきょう子さんの立場にいる俺からしたら、孵化したてのひよこみたいなもんだよ。
 知らないから、それが全てに思える。そんな想いが危なっかしくて怖いんだ。
 大人になるともっと現実を知って、そのために苦しんだり後悔したりするんじゃないかって」
「イチ君は後悔してるの?ママの事」
 私の事も。
「……いや。ただ」
「ただ?」
「変わってしまうものなんだなって。時間が経つと、人の心も。……俺、写真が残って
 なかったらきょう子さんの顔が思い出せない。どんな表情でどんな声で笑ってたかわからない。
 まだ香子はあと1年高校もあるし、そこから世界が変わればもしかしたら……」
 今好きだから。それだけでは駄目だというのか?
 確かに今の私はまだまだひよこなのだろう。だけどひよこはひよこなりに精一杯自分の世界を
広げようと羽ばたくその日を待っている。
「待ってはくれないの?」
「いや……待てるよ。だけど」
 怖いんだと彼は言う。
「俺の1年と香子の1年は違う。それだけあれば忘れるには充分かもしれないだろ?」
「私は……」
「怖いんだ。要するにこれ以上踏み出すのが、その勇気が、自信がないんだ。情けないけど」
「ほんと情けないよ」
 信じてくれないの?どうしてあの時のように言ってくれないの?
『僕がいるから』
 大丈夫だよって笑って欲しい。
「すっごいいい女になって後悔しても知らないよ……ばか」
「…………」
 泣きながら私から口づけて求めた。時間が許す限り彼を感じていたいと思った。

 私達は悪い事してるわけじゃないのに。
 誰も悪くないのに、なぜ胸を張って好きだと言えないのか。
「ごめんな香子。……愛してる」
「……うん」



 それからの私達は通常の暮らしに戻り、あっさりと別れの時はやって来た。
 りっちゃんちに居候する私の事を頼んで、彼は新しい地へと向かった。
 消えてゆく車を見送りながら、それでも私は夢を見ることをやめようとは思わずにいた。

 胸の噛み痕は薄れてしまったけど……。



                                  「続」


588:名無しさん@ピンキー
08/08/21 20:46:12 mE8paDdA
イチくん!!

589:名無しさん@ピンキー
08/08/22 02:09:28 tEg7zZB1
完結するまでコメ我慢しようと思ったけど言わせて
「あなたが投下した作品、全部好きだ~!!」
物語に引き込まれて一気に読んでしまった
香子の強がりと脆さ、恋心と家族愛の間で揺れ動く心の描写がいい。
イチくんのヘタレ具合もむしろ愛おしく感じてしまう。
完結編、楽しみにしてます


590:名無しさん@ピンキー
08/08/23 18:19:37 2LeMKEo8
最後投下します

591:montage~真夏の雪解け~(ラスト) 1/10
08/08/23 18:21:28 2LeMKEo8
*** ***

 香子を幼なじみの家に預けて新しい土地で生活を始めた。
 1人暮らしは初めてで、最初は職場に馴染むの優先に頑張ったせいもあって、なかなかうまく
生活のサイクルが組めなくて困った。
 香子からはしょっちゅう心配してメールが送られてくる。

『おはよう。朝はしっかり食べるように!じゃ、いってらっしゃい』
 相変わらず卵はよく焦がすし、うっかりパンにカビが生えた。
『今頃お昼休みかなとメールしました。忙しくても野菜はちゃんと食べて』
 よく美味しいと評判の店に連れて行って貰うけど、何だか味がしないんだ。
『今日はりっちゃんと帰りに久々に駅ビルに寄り道したら、バーゲンだから激混みで疲れたよ!
 って遊んでばっかりみたいで申し訳ない。ちゃんと勉強も頑張ってるよ。イチ君も頑張って
 仕送りしてくれてるから、無駄遣いはしませーん。欲しいものなんかないから……お休み』
 欲のない奴。……俺だって本当に欲しい物は他にあるけど。
 かと思えば
『体育で思いっ切り顔面レシーブしちゃったよ(ノ△T)鼻血出た』
なんて勤務中に吹き出しそうになって困ったものや
『今日こっちはいい天気だけどそっちはどう?休みだからってゴロゴロしてないで掃除!
 洗濯も、ちゃんとYシャツアイロンかけてる?』
お見通しに慌ててたまった家事を始めたり
『今日ナンパされました』
そんな資格はないと思いつつちょっとムカついてみたり
『りっちゃんデートでおばさん達買い物。1人でお留守番暇~(`ε´)』
無性に会いに行きたくなったり。

『今何してる?』
 そのたびに我慢が切れて電話を掛ける。掛けたが最後、どうしても切る勇気が持てなくて
それもギリギリまで耐えてしまう。

 どこにいても何をしてても想うのはあのコの事ばかりで、会いたくて仕方がなかった。
 だから早く忘れてくれという気持ちと、変わらないで欲しいと思う身勝手な矛盾した考えに
嫌んなって泣きたくなる。




592:montage~真夏の雪解け~ 2/10
08/08/23 18:25:34 2LeMKEo8
「順調そうで良かったじゃないか」
 早川の携帯の待ち受けにある奴の嫁の写メを見ていた。少し膨らみが目立ってきたお腹で
恥ずかしそうにしている。
「最近よく動くんだよ。面白れーから腹触りすぎて怒られた」
「……お前変わったな」
 こいつこういうキャラじゃなかったような……。この調子じゃ産まれたら携帯のフォルダは
全部子供で埋まるな、多分。
 幸せと愛に満ちた男というのはこうも変わるもんなのか。いや、案外それが本当の中身なの
だろう。特別なひとの前でだけ、存分にそれを発揮出来るものなのかもしれない。
 そういえば前にボソッと奴の彼女、もとい嫁が言ってたっけ。『むっつりツンデレ野郎』って……。
 俺はあの時、出来る限り男としての姿の全てを見せたつもりだった。何もかも晒した上で
嫌われても仕方がないと半ば勝手にやけっぱちになっていた。
 それでも香子はまだ、俺を見てくれている。
 なのにどうして俺は……。
「お前がヘタレだからだ」
 はっきり言うな、早川よ。
「結局一生責任持つのが怖いんだろ?お前。自分基準過ぎるんだよ。幸せなんか主観だろ」
「……じゃあお前、幸せか?嫁さんもそうだって自信もって言えるか?」
「知るか」
「なんだよそれ」
「俺は幸せだからいいんだよ。だから今度はあいつを……マナが幸せだって思えるように
 頑張るんだよ、俺は」
 俺は幸せだから。
 だから、今度は―。
「早川……お前男前だな。マナちゃんが惚れるわけだわ。俺でも惚れる」
「気持ち悪りいわ。昔の誰かさんには負ける」
 確かに。ヘタレで女々しくて今の俺は自分でも嫌んなる。
 その時。
「はいこちら○○建宅……もしもし?……ええっ!?」
 女子社員が取った電話の様子に周りの視線が集まる。ただならぬ空気に自然と緊迫感が
高まっていき何故か胸騒ぎがした。
「あ、あの八神さん。今高速道路で……」


 足元でカップの割れる音がした。


593:montage~真夏の雪解け~ 3/10
08/08/23 18:28:07 2LeMKEo8
 車に乗り込んだ途端携帯が鳴った。
「りっちゃん!?」
 こちらへかけ直すように言って事務所を飛び出した。本当は危ないのだけれどそんな事は
今はどうでもいい。運転しながら心臓はバクバクしている。
「うん……うん。わかった。何かわかったらまたかけて」
 携帯を切ってから、とりあえず会社を飛び出しはしたものの、どうしようと思いながら先ずは
自宅へ向かう。

 慌てた声で会社へ掛かってきた電話は香子がお世話になっている家のりっちゃんという子で、
同い年の幼なじみだ。突然の知らせは一瞬にして俺の目の前を真っ暗にした。

 香子が乗ったはずの高速バスが先程途中で事故にあったものらしいというのだった。
向こうでは速報が流れたらしい。
『いきなり行って驚かしてやるんだ』
 そう言って家を出たそうだ。
 ―俺に会いに来るために。
 夏休みになったら行っていいか、とは聞かれていたが、休みが取れないとか何とか
はぐらかして返事を濁してしまっていたのだ。それにきっと痺れを切らしてしまっていたのだろう。
 カーナビをニュースに合わせてみるが、今の時間は再放送のドラマや何かで流していなかった。
念の為、香子の携帯にも掛けてみるが繋がらない。移動中だからなのか、もしくは……!?
ばかな、と頭を振った。
 信号待ちの車内で最後にきたメール……今朝の内容を確認して眺めた。
『会いたい。側にいきたい』
 たった一言がとんでもなく重く切ないものに思えた。

 会いたいのは俺もなのに。
 側にいたいのは俺だって同じなのに。
 何故それをたった一言言ってやれなかったのだろう。
 ちゃんとそれを伝えておけば良かったと思った。きっと不安で不安でたまらなかったのだろう。
簡単な事だったのにと激しく後悔している。
 守るなんて言いながら守られてきたのは実は俺の方だ。
 香子がいるから1人で生きているんじゃないと思えて、支えていてくれたから立っていられた。

 アパートの階段をその足で昇りながら、一刻も早くその安否を確かめようと現場へ向かう
決意をした俺の目に信じられない光景が飛び込んできた。


594:montage~真夏の雪解け~ 4/10
08/08/23 18:29:29 2LeMKEo8
 ドアの前に置かれた見覚えのあるバッグ。
 しゃがみ込んだ人影は俺の姿を見ると立ち上がった。
「あ、お帰り」
「…………」
「予定より早い便に乗れたから早く着き過ぎちゃって、どうしようかと思っちゃったよ。
 良かった、場所合ってて」
「…………」
「いきなり来てごめんね。びっくりした?」
「…………ああ」
「……怒ってる?」
 それには答えず、近づくと思いっ切り抱き締めた。
「香子……!本当に香子か?お前なんだよな!?」
 いきなりで驚いたのか一瞬怯んだが、すぐに自ら強くしがみついてくる。
「会いたかったの……どうしても会いたかったの!夏休みになったらだから絶対って……
 いきなりごめんなさい……」
「いいよ」
 どちらも泣いているようで、互いの声は震えて苦しげにぶつかった。
「いいんだよそんなの……俺だって」

 会いたかった。この手で抱き締めたかった。なのに我慢して香子を苦しめ泣かせていた。
「ごめんな。本当ごめん」
 隣室の人が気まずそうに通路に立ち尽くしているのに気付くまで大分掛かってしまって、互いに赤面した。


「はい、無事でした。本当にご心配かけてすみませんでした」
 りっちゃんちと早川に電話を掛けて会社にも無事を伝えると、ようやく腰を下ろした。
 テレビではやっと事故のニュースが流され、その内容から香子が乗るはずだったバスも
数台の玉突き事故を起こしたとかではあったが、幸いにも車は大破したが奇跡的に怪我人が
数名でた程度で済んだらしい。神様はいるのだ、と本心からほっとした。
「うっかり携帯充電忘れちゃって、連絡つかなくて……心配かけてごめんなさい」
 荷物の横で申し訳なさそうに座っている体を側に行って抱き締めた。
「いや、俺がしっかりしてなかったからだ。ごめん、本当にごめん。会いたかった。だから
 無事で良かったし嬉しい、ありがとうな」
「イチ君……」
「会いたかったよ。俺だって本当は会いたくて仕方がなかった。なのにお前の為とか言って
 結局逃げてたんだ。世間の目とか年齢とか、色々気にし過ぎて狡い男だよ俺は……わかったよ
 やっと。そんなのどうだっていい。生きていればそれでいいんだよな」


595:montage~真夏の雪解け~ 5/10
08/08/23 18:31:36 2LeMKEo8
 そんな事は一度好きな人に先立たれてしまった時に気付くべきだったのに、なんて学習能力の
ない奴なんだろうな俺は。
「休み中、居たいだけいていい。俺は仕事で構ってやれないかもしれないけど……」
「いいの?」
「うん。都合悪いの?」
「……女の人、いないんだ?」
「は?居るわけないだろうが。この部屋見りゃ解るだろうが……もしかして」
「うん。案外それで私の事避けてんのかと思ったけど、ないねこの様子じゃ」
 部屋は今朝急いでて敷きっぱなしの布団、とりあえずまとめたコンビニ袋のゴミ、乾いた
まま畳まずの洗濯物の山。仕方ないなあとそれらを片付けだす。
「んっとに駄目なんだから!……私がいないと」
 そうかもしれない。確かに香子がいないと単なるダメ男だ。……いや、元々か。
「ごめ」
「イチ君て謝ってばっかりだよねぇ」
「……」
 あと何万回のごめんなさいを俺はこのコに言うんだろう。そして何万回のありがとうを
言うことが出来るのだろう。
「香子」
 布団の上で座って洗濯物を片付けていた香子に顔だけ近づけて口づけ、それから肩を
掴んで抱き寄せるようにして押し倒した。
 顔を離すと一瞬驚いたように俺を見たが、また強く押し当てた唇からねじ込んだ舌の動きに
従ってしがみつきながら声を漏らした。
 何度も何度も離しては繰り返し久々のキスを味わうと、唇の端から引いた透明な糸を拭う
のもそこそこにたくし上げたTシャツから覗く胸に目を奪われる。
 背中のホックを外してブラを押し上げて顔を埋め頬をすり寄せた。
「イチ君……?」
 そのまま動かなくなった俺に戸惑って声を掛けてきたが、じっと静かに胸に耳を押し当てた
まま黙っていた。
 心臓の規則正しい音が聞こえる。はだけた白い膨らみが微かに上下して震えているのがわかる。

 生きてる。

 間違いなく今俺が抱いている……いや、抱かれているのはこっちかもしれない。だけど、
この確実に感じる事のできる温もりを、今度こそ絶対に失いたくないと思った。


596:montage~真夏の雪解け~ 6/10
08/08/23 18:33:53 2LeMKEo8
「何ももう考えない。香子ももう何も心配しなくていい。俺はもうお前を離したくはないから」
「……本当?ほんとうに」
「ああ。これ以上我が儘言ったらばちが当たるよ」
 生きてるだけでいいじゃないか、大事な人が側にいたいと願ってくれる、だったら何も
いらない。恥じるような関係じゃない筈だ、俺達は。
「何度でも言う。好きだ。いつからかはわからない。けど、守りたい気持ちに変わりはないよ。
 香子を愛してる」
「……うん。うん、私も、イチ君じゃなきゃダメなんだよ。寂しかったよ。会いたくて
 会えなくてこんなに辛くなるなんて……」
 愛おしいその泣き顔にまたキスを落とすと、露わにしたままの胸を揉みしだいた。
「あ……」
 すぐに堅く尖った先を指で摘んで転がすと甘い声が上がり始める。
「だ、だめ。まだ明るい……のに。声、聞こえ、ちゃ……ああっ!?」
「構わないよ」
 指を離して唇を充ててそれを含んだ。更に乱れる声がする。

 そこにいる証を俺に見せて。

 頭のどこかで冷静にそういう事を考えながらも、実際は俺の体はせっかちで、早く香子に
挿れたい、繋がりたいとうずうずしていた。
 まだ経験の浅すぎる俺達には早急過ぎると思いつつも、少しぺたんと広がった胸を味わい
ながら片手はジーンズのファスナーを下ろす仕事に掛かっている。
 俺はこういう面白みのない奴なので、あまり女の子と付き合った事がない。だから
セックスもほとんど経験は無いのだ。大体すぐに振られてしまうか自然消滅で、長続きも
しなかった。
 なので、この前の香子との事も仕入れた知識をフルに使って頑張りはしたが、あまり
上手くはないんじゃないかと不安になる。経験のないコだから受け入れては貰えたけど……。
 焦るな、と思いながらも我慢が効かなくなってきて、ジーンズそのものを脱がしに掛かった。
 クーラーは付けているものの昼間の部屋でこんな事をしてるのはやはり暑くて、じんわり
汗ばんだ躰にぴたりとしたパンツは張りついて剥ぎ取るのに苦労する。


597:montage~真夏の雪解け~ 7/10
08/08/23 18:35:55 2LeMKEo8
 ようやく足から引き抜いたジーンズを放り投げ脚の間に体を割り込ませると、これまでにない
苛立ちでネクタイを外し、Yシャツのボタンを外しながら覆い被さる。
「だめ」
 肩を押されて顔を背けられてしまった。
「嫌?」
 目を伏せるとううん、と頷いて黙ってしまう。
「じゃ、なに?」
「……明るすぎて恥ずかしいから。閉めてよ」
 言われてはっと気が付いた。慌ててカーテンを閉めに行き、そのまま思い出して引き出しを
探る。
(まだ大丈夫だよなぁ……)
 あれ以来使用していないままのゴムを確認して手に取り戻る。
 頬に触れてきた手を握り返してシーツに押し付けながら、横たえた躰を合わせ首筋に這わせた
舌に喘ぐ声に酔い、離した手を下腹部に回した。
 はやる気持ちを精一杯抑えながら貼り付いた下着を指でなぞって弄ぶと、その動きにそって
俺の脚に香子の脚がごそごそと絡み付く。
「んん……あっ」
 半開きになった唇から零れる声が徐々に高くなる。下着の上から手を差し込むとそれは
小さな悲鳴となった。 
「やっ……だめ。そこ、あっ……!」
 指先に絡み付く濡れた感触に思わずほっと息を吐く。俺の愛撫に満足いくものかどうか
正直好きに触りながらもドキドキしていた。
「もっと開いてくれなきゃ触れないだろ?」
「だめ。だって」
「仕方ないなあ」
 力を入れて開かないように閉じようとしている膝の間に、俺の脚をねじ込んで止める。
「諦めろ」
「んーっ……いやぁ……」
 耳元で力を抜くように呟きながら指を動かすと、初めは多少の言葉の抵抗が感じられたものの
仰け反る背中の動きと共に膝の力も抜けていく。
 入口を探り当て中指に侵入させつつ親指を堅い蕾に当てると、両の刺激で言葉にならない
声を出し俺の肩にしがみつく香子の力に事後の爪跡を思い浮かべながら、もう自身の
待ちきれないという要求を抑えられなくなってきていた。
「香子……もう」
 虚ろな目で俺を見上げながら頷く。その半開きの唇に長いキスをしながら気持ちを少し
落ち着かせ、枕元のゴムを手に離れた。


598:montage~真夏の雪解け~ 8/10
08/08/23 18:37:37 2LeMKEo8
 焦る気持ちを我慢しながらもたもたと準備を終わらせて香子の下着に手を掛けるが、
それすらも待ちきれなくて引っ掛けた指を外す。
「ごめん」
「えっ?……ひゃっ!?」
 下着を脱がさずずらしただけでソレをあてがうと、自分も膝までズボンを下ろしただけと
いう格好で繋がった。
 もう僅かでも待てない。
「んん……」
 まだ経験の浅い香子には久々という事もあってか、準備はできてる筈なのに苦痛の表情
が見られる。
「痛い……よな?」
 やっぱり急ぎすぎたか。もっと優しくしてやらなきゃと多少落ち着いた頭で考えて、
無理に動くのをやめた。
「今更何だけど、無理だとか本当に嫌ならちゃんと言えよ?これから先だってあるんだからさ」
「これから……?」
「ん。お前としかやらないよ」
「信じていい?ほんとに?」
「うん」
 他の誰とも結婚はしないと誓った。最初はあの人にだったのに、いつの間にかそれは
香子に対する自分自身への縛りになっていた。
 知らないうちにただそれだけを想って―。
「じゃ、ちゃんとイって」
「え?」
「私大丈夫だから……最後までしていいよ。その代わり、離したりしないで」
「わかった」
 離すもんか、絶対に。
 できるだけゆっくり出し入れするうちに、香子の眉間に寄っていた皺が消えて、少しずつ
甘い声が漏れ始める。
「痛くない?」
「んん……少し、でも大丈夫だよ……」
 赤く色づいた頬や中途半端に身に付けた着衣が却っていやらしくて、腕を伸ばして
見下ろしながら動くとすぐイきそうになって、何度も堪えながらまた動く。
「いいよ、凄く……我慢したかいがあった」
「……自分のより?」
「全然違うよ、ばぁか」
 それに満足したのか、嬉しそうに肩に乗せてきた腕を引き寄せようとしたのに応えて
重くならないように気を遣いながら肌を合わせた。
 それからあっさりと果ててしまって、背中が汗で貼り付いてしまったYシャツを脱ぎ捨てて
香子を抱き締めながら横になった。


599:montage~真夏の雪解け~ 9/10
08/08/23 18:39:09 2LeMKEo8
「卒業したらこっち来ちゃだめ?」
「えっ?」
「また一緒に暮らしたい。ここなら、私達の事だってどうこういう人もいないでしょ?」
 ここなら。新しい場所で1から……。
「ここはだめだよ」
「…………そう」
 胸に顔を埋めて静かになった香子に気付いて慌てて話し掛ける。
「あ、違う、違うぞ!そういう意味じゃなくて。俺の稼ぎじゃもっとボロくなるけど」
 きょとんとして上げた顔を見ながら、それが面白可愛くて吹き出したくなるのを堪えて喋る。
「もう一部屋はないと無理じゃん。だからそれでもいいなら一緒に暮らそう?」
「……本当?」
「うん。だから、今度こそちゃんと家族になろう。もっと先でもいいからさ、待つよ」
「……いいよ、待たなくて。春までだって永いよ」
 絡めた指にキスをすると、今度は向こうから同じようにそれを返してくる。それから互いの
頬に、唇に。
 幸せな甘い気分に浸りながら考えた。
 このぶんじゃ、家族があっという間に増えるんじゃないだろうか……?
 それはそれで楽しみだが。

 早川の気持ちがわかる気がした。


 香子は夏休みギリギリまで俺の所にいる事になった。
 殺風景だった部屋に少しずつ小物が増えていき、2本並んだ歯ブラシや洗顔料なんかが
並んでいくのを見ていると、彼女が出来た男の部屋というのはこういうもんかとウキウキした。
 次は冬休みにまた来ると決めて今からその日を指折り数えていると、まだ帰るまで
あるだろうがと早川にバカにされた。ほっといてくれや。
 それまでに秋に連休があるので、俺からもりっちゃんちに挨拶がてら会いにいこうと思う。
その時にはきちんと話しておくつもりだ。もしかしたら何か思われるかもしれないが、
良い方達なので多分解って下さるんじゃないかと信じている。
 自分達がちゃんとしていれば恥じる事はないのだ。

 春になったら卒業式にはちゃんと行こうと決めている。そして、彼女を迎えに。



600:montage~真夏の雪解け~ 10/10
08/08/23 18:41:49 2LeMKEo8
 地元へ帰ってしまう日があと数日にせまった夕暮れ、俺は灯りの点いた部屋へ帰り着いた。
「ただいま」
「お帰り。ちょっと遅かった?」
「うん。寄り道してた、ごめん」
 部屋に上がると床に座って、香子においでおいでする。
「なにー?」
「いいから。手出してみ?」
 ポケットからそれを出す。今の俺にはこれが限度だけど……あの頃と大して変わりはしないが。
「違う、そっちじゃなくてこっちの……そう、そっちの指な」

 以前香子にねだられた物はこっちに来るとき処分してしまった。
 あれは、あの人のために買った物だから。その時の想いばかりが詰まった物だから……。
 そんな物を香子に渡すわけにはいかない。俺の言葉が足りなくて、酷く傷つけてしまった
事はずっと後悔していた。
 香子への気持ちを認めた時に、それはもう思い出となってしまっていた事を同時に認めたのだ。

 あの雪の日に始まった出来事がこんな結末を迎えるなんて、誰が予想できただろうか。
 背中に背負ったあの時の命を今はこの腕に抱き締めながら、降り積もってきたあれからの
悲しみや切なさが少しずつ解けて流れ行くのを感じながら想う。

 きょう子さん。
 あなたを忘れてしまったように、香子が僕を忘れてしまう事が本当は怖かった。そして
香子を愛したことであなたを裏切ってしまった気もした。
 あの時あなたを一生愛しますからと誓った事が嘘になる、それは罪だと。

 だけど形は変わっても約束は守り抜くつもりです。僕の気持ちは変わってしまったけれど、
あなたに対する感謝の心は生きています。
 香子を大事にします。守ります。それは決して裏切りません、約束します。
 あなたが彼女に与えようとした愛情を、その分僕が注ぎます。幸せにしたいと思います。
 僕は今幸せだから……。

 だから香子を―僕に下さい。


                                       「終」


601:名無しさん@ピンキー
08/08/23 18:43:09 2LeMKEo8
以上で終わります。
お付き合いありがとうございました。


602:名無しさん@ピンキー
08/08/23 19:02:52 51ycUjcZ
投下にリアルタイムで遭遇
>>601
前回の引きがあんなだったからドキドキしながら読んだけど
二人がしっかり決意した上で結ばれて良かった!!
最後の一文が泣かせます。長編、お疲れ様でした。
心からのGJを送ります。

603:名無しさん@ピンキー
08/08/23 22:52:42 t0BHwFHB
GJ!
半脱ぎHエロす
切なくてエロくて良かったです!


604:名無しさん@ピンキー
08/08/24 10:05:15 AVg1ZzyW
GJ!!!!!!!!

605:名無しさん@ピンキー
08/08/25 00:39:59 PAIRYMxE
>>601
いつもながらですが、胸がキュンキュンしました。GJ!
特に香子のパートは本当に切なくて、久々に目頭が熱くなりました。
後、「週末のパズル」の後日談部分も嬉しかったです。


606:名無しさん@ピンキー
08/08/25 20:08:27 yWgthLNc
605のレスを見て『週末のパズル』読み返したら
イチくんの友達はあのコージ君だったんだ!
おめでたを機にマナは早川愛永になるんだ……よかったね

意外なところで登場人物が繋ってて更に楽しめた。作者さんGJ!

607:601です
08/08/27 19:50:01 oy1mWWp7
コージに関しては友人を書いてて思いついたんですけど、きっとスルーだろうなと
思ってたので気づいて貰えて嬉しいです。
何より喜んで貰えて良かった。
長くなってしまいましたが最後まで読んでいただきありがとうございました。


608:名無しさん@ピンキー
08/08/29 04:06:23 HP9ETHeI
今やっと全て読みました。もう夜明けだ!
皆さんGJです、長い時間かけて見入ってしまいましたw

皆さんと同じく繭ちゃん小説の続編が気になるところですが‥作者様はどうか気負いなさらずに、のんびり執筆して欲しいと思います。
私もゆっくり待ってまーす。

609:名無しさん@ピンキー
08/08/30 14:00:20 oRjK6fr4


610:名無しさん@ピンキー
08/08/31 11:02:25 LUcRiJWX


611:名無しさん@ピンキー
08/08/31 14:14:11 hUJHgIPl
あきこ

612:名無しさん@ピンキー
08/08/31 17:21:33 F1BwOXBl
どうしろとw

613:名無しさん@ピンキー
08/09/01 00:06:51 b8fJ68tg
星 亜希子‥ゴクリ

614:名無しさん@ピンキー
08/09/01 01:40:31 xi2ehoa/
後の 若本規夫 である。

615:名無しさん@ピンキー
08/09/01 06:20:46 N/eYzyKD
電柱の陰から「かわいそうに、ひゅるま」

616:名無しさん@ピンキー
08/09/03 22:46:48 Ev2vQdUc
巨人の星スレッドと聞いて

617:名無しさん@ピンキー
08/09/04 00:58:15 NCEuCd3p
ほしゅ

618:名無しさん@ピンキー
08/09/04 14:21:36 Y8hIEA5V
ひゅーま

619:名無しさん@ピンキー
08/09/05 10:49:58 pf5XsRA9
あの巨人の星になれ!

620:名無しさん@ピンキー
08/09/05 22:42:02 c4uGqRLd
その巨人が後のラ・セーヌである

621:名無しさん@ピンキー
08/09/06 18:03:35 XwpTMA8r
巨人がセーヌ川になるのか。神話でありそうな話だナー。

622:名無しさん@ピンキー
08/09/06 19:43:41 uKcpBDOu
よし、「巨人がセーヌ川」をお題にいっちょ書いてみよう!
………文才があったらなぁorz

623:名無しさん@ピンキー
08/09/09 22:16:58 QoDRM+xi
なんだこの流れw

624:名無しさん@ピンキー
08/09/10 21:13:11 hhC5U6kD
「巨人」「セーヌ川」はあだ名
お互いに単なるクラスメートな2人だったが、ひょんな事から、巨人「が」セーヌ川に好意を抱いていく
…っていうのはどうかな……

625:名無しさん@ピンキー
08/09/11 08:21:46 RiVS2evi
発育が早くて小学生の時のあだ名が巨人、だが高校生になった今は標準サイズ。
なのにあだ名はそのままにアンチ巨人どころかアンチ野球に育った女の子と、
川の流れのような動きでチームメイトをフォローする野球を愛するナイスガイ
セーヌ川(本名征之助)の野球部と手芸部を巻き込んだ一大スペクタクルエロチシズムロマンですね。

626:名無しさん@ピンキー
08/09/11 12:40:45 qN3Yb3dJ
あだ名が巨人の所をあだ名が巨乳に見えた自分はもうだめだと思いました

627:名無しさん@ピンキー
08/09/11 17:00:30 awI58gpi
なんという才能の無駄遣い。
いいぞもっとやってくださいw

628:名無しさん@ピンキー
08/09/12 10:50:44 52EvGRIy
巨人とセーヌ川待ちw

629:名無しさん@ピンキー
08/09/12 23:31:39 8FTUdYuc
巨チン? 虚珍…

630:名無しさん@ピンキー
08/09/13 09:25:53 pLTTALMX
>>629
君は私と同じプロ野球板の住人かな?

631:名無しさん@ピンキー
08/09/13 09:39:22 0FUrsV2s
神待ちの切なさを紛らすために、雑談ネタ。

おな感ってことで、スレ的には女性一人称が多いんだけど、どう思う?
投下していただいた作品はもれなく美味しく戴いているんだけど、
別に女性一人称に拘らなくてもいいのではないかと思ったりする。
というか、三人称は勿論、男性一人称も読んでみたい。
男性側の心理は非常に興味あるから。
そうなるとどこがおな感なんだとなるけれど、男性と違い抜きの要素は低くても構わない、
性行為に至る必然性をきちんと描き、そこで萌えられれば嬉しいなと
思っている。
このスレの作品はエロ度の高い一般書でも通じそうな作品が多いから
気に入っているんだけど、そこら辺を皆さんの意見を聞いてみたい。
とか言いながら、大好きなこのスレの作品は、女性一人称のものなんだけどさ~
いや、書き手さんたちの幅に繋がれば、と。

632:名無しさん@ピンキー
08/09/13 10:03:23 0FUrsV2s
連続ごめん。

細やかな心理描写が好きなんだよね。
心と体の解離とか、お互いの想いがすれ違うのが体を通してもう一度向き合ったり。
ラブラブバカップルの幸せも好きだし、空虚な心がセックスを通して
満たされるのも好きだ。
二人の体の反応が心を動かしていく過程とか物凄く萌える。
だから、設定はSFだろうが女の子が不幸にならない凌辱だろうが、
「私は」おk。
だが、女の子を物扱いしたり、あまりにも男の都合だけで描かれると萎える。
ちゃんと人間として書き手さんも女の子を尊重して欲しい。
男性向けって、女の子にドリーム入りまくりだったり、肉便器扱いしていたり、
そういうのが多いのがきつい。

633:名無しさん@ピンキー
08/09/13 23:40:54 pLTTALMX
同意するが解離ではなく乖離が正しい

男の一人称でって難しいんだよなあ

634:名無しさん@ピンキー
08/09/14 01:29:16 KG509gxV
前に二次もので男性一人称エロ書いたことある。
ある程度までは書けるんだけど、挿入後の感覚とか分からないから
書きづらかった。
ヴァキナの中ってよく暖かくて気持ちいいって言うが、
快感の種類というかどういう風にリビトーが上がっていくのかとか、
感覚が全く分からないんだよね。
結局、ありがちな表現しかできず、納得いかなかった。

635:名無しさん@ピンキー
08/09/14 13:30:46 EE7BxA3+
三人称って難しくない?
書いてるうちに混乱していつの間にか一人称になってしまう(´・ω・`)

636:名無しさん@ピンキー
08/09/15 12:01:44 Fe/InNsT
難しいと思ったことはない。
確かに、部分的一人称が入ることはあるが、視点を定めておけば書けるものだよ。
一人称だと複数キャラが入り乱れる話など、主人公以外の場所での動きが書けないため、
話を動かしづらい。
アクティブなキャラか、内省的キャラが一人称に向くと思う。


637:名無しさん@ピンキー
08/09/18 08:11:34 8ppqUPmm
ほす(`・ω・´)

638:名無しさん@ピンキー
08/09/18 11:34:53 iKwGYdz+
たしかに。

一人称は主人公の心理描写に長けるけど
その他の登場人物の心理描写できない欠点もある。
それを想像で補うのが好きな人もいるかもしれないけど。

だから、自分としては部分的に一人称を入れた三人称のほうが好き。

もちろん、女性一人称も大好きなんだけど。

639:名無しさん@ピンキー
08/09/18 13:50:46 N+Qm691W
保守

640:名無しさん@ピンキー
08/09/22 13:26:07 BL7vyPNr
男性一人称で、年下の彼女と交際している男性が肉欲wと、彼女を汚してはいけないという理性の間で
葛藤するような話だとどうだろうかねぇ。
彼女のほうは背伸びしている感じで彼に抱かれる気まんまんであれこれ誘惑するけど、彼氏のやせ我慢の
おかげで現状維持してしまっているとか。

小娘相手ではなくて相手が男性にとって憧れの対象である女性(女教師とか若い叔母とか)で、彼女に
不貞をさせてはいけないという理性との間の葛藤でも話は成立するかもしれないけど。

でもコメディ向けだろうか?w

641:名無しさん@ピンキー
08/09/22 13:37:46 IAcTs7Z0
家庭教師が中学生の教え子と・・・みたいなサイトはあった
コメディでした

642:名無しさん@ピンキー
08/09/22 13:43:40 BL7vyPNr
やっぱそうなりますかw
つか、少年誌や青年誌のちょっとHなコメディ向けの設定の基本ですしね。
でもそれを男性読者向けではなくて、女性読者向けに男性主人公の葛藤とか書いたらどうなるんでしょうね。

643:名無しさん@ピンキー
08/09/23 06:58:04 ofYg6Rzi
>>640
いいなぁそれw
自分的には後者がぐっとくる

644:名無しさん@ピンキー
08/09/23 07:10:25 yELsYrb+
現代版 源氏物語ですね。

645:名無しさん@ピンキー
08/09/23 08:47:24 8o+RZpUd
>>640
後者の場合女性の方から誘惑する理由が必要だねぇ。
それでいて、主人公が彼女に幻滅しないような設定も必要か。
女教師じゃなくて叔母さんであれば昔からの付き合いだろうから
多少の欠点?は承知した上で憧れを維持できるだろうけど。
普段は清楚なのにお酒を飲むとだらしなくなるとかw


646:名無しさん@ピンキー
08/09/23 12:36:38 1uoU/jts
この前読んだ、図書館戦争シリーズの小牧×マリエのカップルだな。

647:名無しさん@ピンキー
08/09/23 13:06:42 bQvG4OdP
>>640
前者は「こどものじかん」がそれっぽい気がする。
後者は・・・飛龍乱の昔の作品を思い出した。でもあれは母娘丼の話か。

648:名無しさん@ピンキー
08/09/25 11:40:04 5h2nrKwW
しかしあれか。
ヒロインの絶頂は男の視点で描かれ、
男が出すときも同様。
やせ我慢の後で火照る身体を鎮めるための自家発電や
その後始末もw

649:名無しさん@ピンキー
08/09/26 14:41:44 0dqWyEwz
黒澤くんを待っている

650:名無しさん@ピンキー
08/09/26 21:00:57 Jyb7QZz0
>>649
同じく。だけど黒澤くんと同じくらい他のSS職人様の光臨にwktkしてる‥

651:名無しさん@ピンキー
08/09/29 15:03:41 +RZFdOTS
>>649
職人様期待上げ

652:名無しさん@ピンキー
08/09/29 15:04:10 +RZFdOTS
あがってなかったorz


653:名無しさん@ピンキー
08/10/01 23:01:16 nNUWGUVf
じゃぁ自分は密かに巨人とセーヌ川を待っている

654:名無しさん@ピンキー
08/10/04 09:27:24 J2aXAqXL
みかんちゃん…

655:名無しさん@ピンキー
08/10/06 01:00:20 VIMngx5l
30代くらいの男性教師と女子高生の設定で誰か書いてくれないかな><

656:名無しさん@ピンキー
08/10/06 01:17:26 itLp2ikB
頑張ってあなたが書きなヨ☆

657:名無しさん@ピンキー
08/10/06 08:53:09 yzfmPmRd
>>655
エロにならない切ない恋物語しか浮かばない。

658:名無しさん@ピンキー
08/10/06 21:32:13 XMwePDCX
>>657
忍空~切ナイ恋物語~を思い出しました。
あれより面白い話なら、是非読んでみたい。

659:名無しさん@ピンキー
08/10/08 22:49:32 I8vSP8v5
>>657
エロになると途端につまらんくなるかもしれんしな><
書き方にもよるかも

660:名無しさん@ピンキー
08/10/09 08:46:07 mwHVylHz
ほす(`・ω・´)

661:名無しさん@ピンキー
08/10/10 11:25:36 Ybl2/EED
SM系が大丈夫って人なら、調教SSスレの愛奴日記を読んでみるのもいいかも~(*^艸^)
間に熟女書いてる荒らしがいるけど、一読の価値は有るよ!
だんだん文が上手くなってきてる愛奴タン、ここでも連載してくれないかなぁ…

662:名無しさん@ピンキー
08/10/13 15:35:46 r8BdYmOH
上げときますね

663:名無しさん@ピンキー
08/10/13 18:18:14 T/4vsc6F
今までの投下周期からして、二ヶ月以内に繭ちゃんが来ると信じてる

他の神職人さんも待ってる

664:名無しさん@ピンキー
08/10/16 14:56:29 3TLdl+zf
ほしゅ

665:名無しさん@ピンキー
08/10/17 16:07:45 CXiBBi/m
保守としか言えない芸なしの自分が情けない。

666:名無しさん@ピンキー
08/10/18 12:59:17 FZVP4sOS
保守

667:名無しさん@ピンキー
08/10/19 08:21:42 qNXdxTD2
いま新婚スレに行くと幸せになれる

668:名無しさん@ピンキー
08/10/19 12:42:13 i5oxy1DB
年下の童貞男子にエッチを手ほどきしていく話ってこのスレで受け入れられるかな?
受身な話だと興奮しなくて、そういうことばっかり考えているんだけど

669:名無しさん@ピンキー
08/10/19 14:03:44 g9lKAHGW
私はおっけー!だな。
この板は男性が多いせいか、どうしても男が能動的な設定のお話が多く、
女が能動的でも男にとって都合のいい展開系になりがちなので
このスレならではのお話に期待しちゃう。

670:名無しさん@ピンキー
08/10/19 16:02:19 kU27oA4m
480KB超えてるから次スレを立てて投下した方がいいかもね。

671:名無しさん@ピンキー
08/10/19 20:56:34 2rwtuzzs
>>668
同志!
私も初めてでぎこちない男の子とそれなりに経験してるお姉さんとのエッチをよく妄想してます

>>670
そういえば、最後の職人さんの投下からもう2ヶ月近く経ってるね
次スレ立てたいけど今規制かけられてるorz

672:名無しさん@ピンキー
08/10/20 11:31:12 qkMDH0hG
>>667
おまいのお陰で幸せになれた
教えてくれて㌧

673:名無しさん@ピンキー
08/10/21 00:12:51 fDHO0yxs
黒澤くん登場一周年記念あげ

674:名無しさん@ピンキー
08/10/21 00:14:26 TeuLJCIr
もう1年たつのかぁ早いな

675:名無しさん@ピンキー
08/10/22 19:37:23 //m0Dc1/
>668
女王と虜(うろ覚え)以来、女攻ものに飢えてたんだ
それっぽいスレも立ってるけど、やっぱカラーが男向けだったんで
このスレならではの女攻が読みたいな~

676:名無しさん@ピンキー
08/10/24 00:12:11 k2GNALXW
>>665
20代なら自分書けそうな気がするようなしないようなorz

677:名無しさん@ピンキー
08/10/24 00:43:49 7No7Rp0t
>>676
アンカ間違えてないか、おまいさん(・ω・)

678:名無しさん@ピンキー
08/10/24 18:34:33 k2GNALXW
>>677
本当だショボー(´・ω・`)ーン
スマソorz >>655だった

679:名無しさん@ピンキー
08/10/24 18:48:04 0GWV4u8n
>>678
それもいいじゃマイカ
自分は読みたい!

680:名無しさん@ピンキー
08/10/24 20:54:59 frmquI3S
>>678
自分にも読ませてくだしあ><

681:名無しさん@ピンキー
08/10/24 22:27:02 k2GNALXW
>>679-680
あわわわわ(・Д・´)

時間かかると思うけど
国語力ないけど
色々問題あるけど

いいのかい?(´・ω・`)←

682:名無しさん@ピンキー
08/10/25 06:53:47 1iegix1b
>>681
いいとも

683:名無しさん@ピンキー
08/10/25 16:15:29 lmqNRvaK
で、次スレは?

684:名無しさん@ピンキー
08/10/25 16:59:14 qCQMpQsk
立てようと思ったら規制くらったorz
テンプレ置いとくのでどなたかお願いします


おんなのこでも感じるえっちな小説9

女の子でも感じるえっちな小説ってありますか?
なんか「おま○こ!」とか直接ドーンと言ってるのも
冷めるけど、「秘密の果実」とかとおまわしすぎるのも
かなりわらっちゃう(笑)
ネット上で読める小説ならなおよろしーですvv
オトコノヒトにちょっとSっ気があるとなお萌えvv(笑)
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(スレ1より引用)

過去スレ 1
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縮刷版
URLリンク(www2.gol.com)

はぁ…はぁ… また……ここから始まるのね……?

685:名無しさん@ピンキー
08/10/26 01:37:33 dCeBTCcn
立ててみます

686:名無しさん@ピンキー
08/10/26 01:42:40 dCeBTCcn
だめでしたー
お願いします

687:新スレ立てました
08/10/26 07:15:49 i5tdVJa0
スレリンク(eroparo板)
おんなのこでも感じるえっちな小説9

688:684
08/10/26 18:55:16 kZd1ICUB
>>687
ありがとう!
そして乙


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