おんなのこでも感じるえっちな小説8at EROPARO
おんなのこでも感じるえっちな小説8 - 暇つぶし2ch300:名無しさん@ピンキー
08/01/20 02:55:23 ZEs3RXXN
自分も繭子たんの話をまた読みたい

301:名無しさん@ピンキー
08/01/20 09:54:17 aU/gDVcz
カツオ「マ、マスオ兄さんッ太くて大きい。」
マスオ「カツオ君のアナル、すごい締まりだ。」
中島「ワカメたん、ハァハァ。」


302:名無しさん@ピンキー
08/01/20 21:50:19 SaqYn3WR
 _,._
(・д・)…

303:名無しさん@ピンキー
08/01/21 13:14:46 lna2LssF
保守がてら投稿します
携帯からですみません…。



「優、ほんっとごめん!ダッシュで行くから!」
「早く来てよねもー!電車の中で走れっ!」
私は賢に言うだけ言って電話を切った。
賢とは遠距離で、付き合ってもうすぐ1年になる。そして今日が付き合ってから初めての賢の誕生日。
…なのにヤツは寝坊したと言うのだ。
こっちへ来るのに4、5時間はかかるというのに、賢が起きたのがたった今。こっちへ着く頃にはもう夜だろう。私は朝からバイトで、モーニングコールできなかったから気にはなってたけど…見事にやってくれた。
(お昼からデートしたかったのに…こんなのエッチだけになっちゃうじゃん)

遠距離でなかなか会えないから、会うときはデートの後にホテルでいちゃいちゃするのがお決まりのコースだ。それは嫌いじゃないけど…むしろスキンシップは大好きなんだけど。
(賢がすぐ触ってきたりするから、なんっか満足できないんだよね…)
ほんとは、ホテルではまったりとデートの話をしながらちゅーしたり抱っこしてもらって、気分が乗ってきてからエッチしたいのだ。
でも彼は普段あんまり会えないし、思春期真っ盛りだしで、ちゅーしてたらすぐに手が胸にいったり、色々といじってくる。


304:名無しさん@ピンキー
08/01/21 16:16:21 lna2LssF
それがドキドキするときもあるけど、やっぱり気持ちよくなりたいから、物足りない。

でもお互い初心者で、まだ恥ずかしいのもあって、もっと焦らして濡らして気持ちよくさせてほしいなんて言えない訳で。
それでもいつもは一日中遊んで、気持ちが満たされてる状態だったからそんなに気にしなかった。
(でも今日は、寝坊して遊べなかったから、さっさと手ぇ出してきたらキレる!絶対させてやんない!)
と、女性脳の特異な思考回路で私はよく分からない決意を固めていた。

305:名無しさん@ピンキー
08/01/22 03:44:49 BHme3Rno
紫煙

306:名無しさん@ピンキー
08/01/22 15:43:12 sXQ8+7Zv
男の敬語に萌えるので、色々あさってみたんだけど、
なかなかないねぇ~
「恋するたんぽぽ」くらいかな~

307:名無しさん@ピンキー
08/01/25 11:32:11 5lPBLfzQ
このスレ初めてなんですけど、保守がわりに投下してもタイミング的に大丈夫ですか?

携帯からなのと、ちょっと長くて15レス位なんですけど…

308:名無しさん@ピンキー
08/01/25 12:21:33 DE4pak8J
>>307
過疎の村へようこそ。お待ちしておりました。
どうぞどうぞ、遠慮なく。

309:名無しさん@ピンキー
08/01/25 12:52:21 5lPBLfzQ
307です。投下させて頂きます。
改行には気をつけたつもりですが読みにくければすみません。
あまりエロくはないかも

310:週末のパズル 1/15
08/01/25 12:54:43 5lPBLfzQ
 えーっ。ちょっと、そこあたし使ってんですけど。

 ジュースを買いに立ったらその間に場所取られた。有り得ない。
 あたしは構わずカーテンを開けてやった。
「ちょ、テメェ何しやがんだ!」
 慌てて男がパソコンの画面を手をバタバタしながら無かった事のように隠そうとする。
「……それ位じゃ今時誰も驚かないよ」
 わざわざんなとこまで来てエロ画像かよ。ダサッ。
「つうかさ、人が使ってるとこ勝手に開けんじゃねえ!」
「それはこっちのセリフだよ」
 ああ?と男はあたしが指差した椅子の下を見た。
 小振りのバッグが1つ。足下にあるのに気がつかなかったらしい。
「……悪い」
 気まずそうに頭をポリポリと掻いて電源を落とすと席を立って、隣りへ移った。
 あたしは再び席に着こうとする、が、館内放送に仕方なくバッグを手に立ち上がった。
「何だよ、使わねえのかよ」
 さっきの男が顔をしかめてこっちを覗く。
「時間」
 この店―いわゆるネットカフェだが―では9時までしかあたしのような女子高生は
いられない。
「ガキは早く帰れよ」
 男は軽くばいばいと手を振りながら紙コップに口を付ける。
 あたしはそれを見ながらこの後の事を考えていた。
 そして、閉めかけたカーテンに手を掛けてその動きを止めた。
「な、なんだよ!まだ何かあんのか?」
「……ねえ、あんたさ、彼女いないよね?」
 金曜の夜にこんな所でエロ画像見てるんじゃ当然そうだろうけど。
「う、うるせえな。だったら何なんだよ?」
 こいつ、口は悪いけど人は悪くなさそうに見えた。ちょっと無精髭が残念な感じ?
ちゃんと髪も手入れしたらそこそこの見た目だろうに。
 思い切って言ってみた言葉に男は飲み物を噴き出しかけてむせた。
「な…………!?」

 無理も無い。だってあたしが言ったのは……。

「あたしとどっか泊まらない?」


 だって、あたしはその日帰るつもりなんかなかったんだから。


311:週末のパズル 2/15
08/01/25 12:56:20 5lPBLfzQ
 1週間後。

 あいつ……『コージ』はまた居るだろうか?正直期待は出来ない。部屋のパソコンが
壊れたから来ただけだと言っていた。修理が終われば用はない筈だから、あれっきり
でも不思議じゃない。
 メアドも携帯番号も教え合う事はしなかった。聞かれはしたけど、教えなかった。
そんな事したら何だか格好悪い気がして、だから互いに下の名前―それも普段呼ばれ
慣れた愛称位の物だけを教えてあった。それも便宜上の事だから大して意味は成さな
かった筈。

 醒めた1度だけの付き合い。それだけでも良かったのだ。

 あの後コージは戸惑いながらも結局はあたしとラブホに行って、当然セックスした。
 ただ、する前と事後とではあいつの態度はちょっと変わっていた。


『お前……!?』
 苦痛に歪んだ顔と少し汚れてしまったシーツを目にした途端、頭をポリポリ掻いて 
『ごめん……』
と消え入りそうな声で呟いた。
 部屋に入れば当たり前の様に交替でシャワーを浴びてさっさとベッドに入った。
そのまま当たり前の様に始めた行為だったから……それは驚くのも無理はないのかも
しれない。
『なんでお前……!?』
『別に』
 捨てるという事自体にはあたしは正直何の感傷も抱いてはいなかった。ただもっと
こいつがイヤらしいオヤジだったりし馬鹿そうなヤンキーだったりしたらさすがに
そんな事しなかったけど、なんて考えてた。
『家に帰りたくなかったから。誰かが一緒にいてくれたらそれで良かったんだ』
 それが、たまたまあんただっただけだよ。
 そんな風に考えながらただグッタリとベッドに沈んでいたあたしは、気付いたら
コージのされるがままに腕枕されて眠ってしまっていた。
 気恥ずかしくて朝、ばいばいとだけ言って速攻ホテルの前で逃げる様に別れた。


 それから一週間後、またあたしはネカフェにいる。


312:週末のパズル 3/15
08/01/25 12:59:09 5lPBLfzQ
「マナ、か?」
 思わずビクッとして振向いた。この間の様にパソコン周りをうろついて見た。でも
まさか居るかどうか期待半分、諦め半分だったから正直凄い驚いた。
「来たんだ?……てことはまだ直してないんだ?パソコン」
「ん」
 短い返事だけしてコージは空いたブースに座る。
「お前は?」
「別に。……時間まではいるつもりだけど」
「そっか」
 口調はこの間と変わらずぶっきらぼうだった。だけど何故かあたしはちょっとだけ
ホッとしていた。何ていうか、知らない場所でやっと自分の知り合いに会えて安心す
るような感じに似ている。

 会いたかった?まさか!
 1回寝た―大して大事にしていたわけでもない貞操とかいう奴をたまたま渡した
だけの相手に?そんなのダサすぎる。
 
 あたしは両親が互いに不在がちで上手くいっていない、よくある話に乗っかって
しまって週末に1人家にいるのがばからしかったのだ。

 だからあたしが家にいてもいなくても同じなわけで、だったらどうせなら誰かと
一晩位過ごして見たかっただけだったのだ。その最初の相手がたまたまこのコージ
だっただけ。それだけ。

「なあ」
「なに?」
「今日はちゃんと帰るのか?」
「さあ」
 特に何をするわけでもなくパソコンの前に陣取りながら言う。
「だったらまた今夜も俺といるか?」
 ほっぺを指先で掻きながら目線は画面に向けたまま、低く小さな声で呟く。
「……そうする」
答えた途端あたしの手を掴むと立ち上がって、そのまま店を出た。


 またこの間と同じ様に交互にシャワーを浴びてセックスした。
 ただ違ったのは、黙ってさっさと始めてしまった慌ただしくどこかギスギスしたこの
前とは雰囲気が変わった気がした。
「んっ……」
 おざなりだったキスを嫌と言う程浴せられ、時間をかけてあちこち丁寧に撫でられた。
 その後はまた腕枕されて眠って、同じ様に朝には別れた。


313:週末のパズル 4/15
08/01/25 13:00:41 5lPBLfzQ
 翌週も同じ様にそこにコージはいて、同じ様にラブホに行った。

 今度はあたしが先に入ったシャワーの途中でいきなり自分も入って来て、そのまま
押し倒された。
「なん……っ」
 驚く事もままならないうちに唇を塞がれ、ソープの泡で滑る身体を長い指がはい回る。
「あ、ちょっ……」
「……嫌なら、やめるけど」
 そう言いながら後ろから抱き締められ……というよりはがい締めにされた感じで
あたしは身動きが取れないままツルンと乳首の先を摘まれ、思わず
「……は、ああっ」
と声をあげてしまった。
「立ってるじゃんか」
「こっ、これは、寒かったからで……や、んぁっ」
 耳朶の後ろに熱い息が掛かり、そのまま噛まれてぞくぞくした。この間気付いたん
だけど、あたしの弱点だったようだ。
 その上両胸を鷲掴みにされたまま中指で尖端を擦られ、おかしくならない方がどうか
してる。
「……ふ、あぁ、や、だめ、だめ、だっ……あああっ!!」
「よく滑るな」
 右手がいつの間にか下半身に伸びていて、ぬるぬるとした感触とカッと火照りだした
そこの熱を帯びた感覚にあたしは思わず膝が震えた。
「辛いか?」
 必死で頭を縦に振ると、コージは立ててあったマットを敷いてその上に座り、あたし
を膝の上にまた後ろ向きにしてから乗せた。
「泡とお前のとどっちだろうな」
 もうあたしのあそこは音を立てて濡れまくっている。
「声出せ」
「そんなやだぁ……っ、あ、ああっ」
「やめたくないだろ?」
「…………っ」
「俺もやめたくないから」
 肩に乗せられた横顔をチラッと見る。切れ長の目がSっぽい雰囲気を醸し出してる。
だけど決して乱暴な事はやらない。むしろ、回を重ねる毎に優しくなる気がする。
 愛撫は止まず、風呂場にやらしい水音とあたしの喘ぎ、コージの息遣いが響き渡る。
「あ、ーーーー……っ!!!!」

 その日、初めてあたしは、イク感覚を知った。


314:週末のパズル 5/15
08/01/25 13:02:19 5lPBLfzQ
 全てが済んでもまだぼうっとマットに沈んでいたあたしを、コージは抱き抱えて
起こしてくれた。そのまま何となく流されるままに身体を洗われて、髪を洗うのも
手伝ってくれた。
 気恥ずかしいけど嫌じゃなくて。だから、あたしも背中を流してコージの頭を洗って
あげた。
 やだ、なんか。
 あたし笑ってる。
「これって気持ちいい?」
 指先でマッサージするように地肌を洗ってやると
「うん」
と心なしか弾んだ声が聞こえた気がした。
「……また、頼むな」
「いいよ」
 またって事はこの次もあるって事。約束したんだあたし達……初めての約束。
 どこまで続くのだろう?正直、初めてのあの時で終わるもんだと何の疑問も持たな
かったのが嘘の様だ。

 次を決めてしまったら、切れてしまう事を考えるのが恐い。あたしはどうしてしま
ったんだろう?

 2人で広い湯船に向かい合わせで膝を立てて漬かった。改めてじっくり見合うと、
今更何だか気恥ずかしい。
「なあ、歳聞いていいか?」
「…………17歳。高2。あんたは?」
「ハタチ。××大の2年」
 そういやあたし達は互いの事ほんとに知らない。
「17か、本当はこれってやばいんだろうなぁ?」
「さあ」
 コージは頭を軽く掻きながらあたしを眺めている。
「別にいいじゃん。いちいち誰も聞きやしないよ」
「だな」
 本当に今更。そんなの最初に考える事じゃん?だけど、だからって会うのやめよう
かと今更思いもしなかったのも事実。
 頬から首筋まで自然にコージの指があたしに触れる。長くて綺麗だな、といつも心の
中で思いながらそれを眺めている。
 代わりにあたしは無精髭を何となく撫でてみる。と、引き寄せられるように唇が軽く
触れ合うだけのキスをした。
「……ちょっとチクチクすんね」
「悪い」
 でも嫌いじゃなかった。


 あたしはコージの事を知らない。コージもあたしを知らない。それでも良かった。
 でもこのままだとあたし達はどうなるのだろう?

 いわゆるセフレ。それでいいのかもしれない。


315:週末のパズル 6/15
08/01/25 13:03:55 5lPBLfzQ
 今夜は迷っていた。
 建物の前まで行ったものの、中に入るのはためらわれた。
 コージは来てるだろうか?最初の時から3週間は経ってるし、パソコンが直ってい
たらもうここには用はないんだ。
 時間はもうすぐ9時になろうとするから、今から中には入れない。仕方ない、今夜は
うちに帰ろう。

「…………待て!」
「きゃっ!?」
 後ろから肩を掴まれて驚いて振向いた。
「なんだよ。もう来ねえのかと思っただろうが」
息を切らして店から飛び出して来たのは奴だった。
「…………うん、ごめん」
 何で?あれ、何であたし謝ってんの?
「具合でも悪かったのか」
「ううん」
「そっか」
 心配してくれた?……まさかね。
「行くか」
 自転車を取って来ると、いつもの様に後ろに乗れと促された。だけどあたしは動か
なかった。
「ごめん……」
 まさかそんな返事が返って来るとは思わなかったんだろう。切れ長の目がかすかに
開いた気がした。
「どうか、したのか?」
「今日はダメなんだ」
 行きたくても一緒に行けない。何故なら……。
「あたし今日できないから」
「は?」
「だから、昨日から、始まっちゃったから、その……」
 最初は首を捻っていたコージは徐々に理解したようで、途中から
「あ、ああ、なるほどな。そっか」
頭を掻きながら
「いや、いいんだ、うん。そっか」
って心なしか顔を赤らめた気がした。
「……んじゃ、送ってやる。乗れよ」
「いいよ」
「気にすんな。いいから、ほら。こんな時間に1人で帰せるかよ」
 確かにこんな時間に来た道を戻るのは賢いとは言えなかった。あたしはコージの言う
事を聞くことにした。

 ダウンのフードのファーの感触がくすぐったいけど、奴の背中は広くて暖かいと思
った。落ちないようになんて言い訳しながら掴まる手に力がこもる。
「……良かった」
ふいにコージが呟いた。


316:週末のパズル 7/15
08/01/25 13:05:33 5lPBLfzQ
「え?」
 何を言うのだろう。あたしは思わず聞き返す。
「ねえ、何が?」
 するとその場で自転車を漕ぐ足を止めて言った。
「もう会わないんだと思ったから」
 肩越しにあたしを見る目はいつものつり目の筈なのに、寂しげに―だけど少し安心
した様に感じたのはあたしの思い上がりだろうか。
「そんなの考えた事ない」
 あたし何を言ってるんだろう?でもそれは思わず口をついて出た言葉だから、きっと
本心だろう。
 ……あたしは自分で自分の気持ちをわからないのか。捻くれてる。
「そう、か」
 ちょっと笑ってまたコージは自転車を漕ぐ。
 まだこいつとは離れたくなかったんだ。あたしはそれに気付いてしまった。
「止めて」
「え?」
 近所の寂れた公園の前で自転車を降りた。
「おい、どこ行くんだ」
「いいから」
 戸惑うコージの手を引っ張って奥のベンチにあたしは向った。

 植え込みの側のベンチにコージを座らせた。あたしはそのまま前に跪き地面に座る。
「おい、何を……うわっ!?」
 許可を得ずにベルトを外して一気にジーパンのジッパーを下ろすと、勢いで下着の
上からコージのモノに触れてみる。戸惑いながらも一気にそれは硬くなって。
「大丈夫だよ。昼間だってほとんど人なんか来ないから、ここ」
「お、おい……う」
 思い切ってそれに唇を当ててみる。布越しにもその熱が伝わって来て、何故かあたし
まで喉の奥が渇いてゆくような熱を帯びて来た様な気がして、
それを治めるかのように一気に下着を下げてそろそろと先端に口づけをした。
「……あっ」
 小さく呻く声が漏れた。ピク、と微かに反応して唇からブレたそれに思い切って
もっと深く含む。
「何でこんな……マナッ……」
 そのテの雑誌なんかで読んだ程度の知識だがそれを思い出しては動いてみる。
 戸惑いながらも徐々に反応を示し始めてそのうちコージは黙ってしまった。


317:週末のパズル 8/15
08/01/25 13:07:11 5lPBLfzQ
 もはやあたしのするがままになっている。荒い息遣いをしながらその手は押さえる
事のない程度の力であたしの頭に撫でる様に乗せられている。
「…………っ!?、ダメだ、マ、ナッ……!!」
 小さな悲鳴の様に似た声をあげてコージの身体が震えた瞬間、それまでにじわじわ
と溢れて来た物とは違う何かが勢い良く口の中に流れ出て、思わずむせ返りそうになっ
た。
「悪い……」
 大丈夫かと火照らせた頬をしながら申し訳なさそうにあたしを見下ろす。目が合って
初めてあたしは急に恥かしくなって、口元を押さえたまま目を逸らした。
「無理に飲まなくていい」
 確かに辛い。頷いてバッグから何とかティッシュを取り出して吐き出した。まともに
見たのは初めてだ。いつもコージはゴムを付けていたから、それ越しにしか目にした
事はなかったから。
 勢いとはいえ、何て真似をしたんだろう。まともにコージの顔が見られない。

 無言で家の前まで辿り着いた後、やっとコージの方から口を開いた。
「新庄っていうのか」
 表札を見て呟いた。
「新庄。新庄愛永(まなえ)」
 それがあたしの名前。今更だけど。
「……まなえ、でマナか。なるほどな」
 自転車を降りて門へ向う。
「親とか大丈夫なのか?」
「まあね。多分どっちもいないから平気。明日は母親が帰るけど、父親はいつかわか
 んない」
 そう言うと、何とも言えない複雑な顔をした。無理もない、こんな時普通は何と
言っていいかわからないもんなんだろうし。
 両親とも仕事が多忙で家に帰れず、2人共それぞれの職場の近くに部屋を借りて
いる。母親は土曜になるとあたしに会いに帰って来る。……ていうのは建前で、単に
月~金まではいる家政婦に洗濯物を押し付けて新たな着替えを取りに来るだけなのだ。
 父親に至ってはもう月1あれば良い方で、すっかりそれに慣れてしまった。
 どちらにもそれぞれ別に相手がいる事も、もはや公然の秘密である。


318:週末のパズル 9/15
08/01/25 13:09:18 5lPBLfzQ
 コージはあたしのそんな下らない独り言のような語りを黙って聞いて、
「だからあんな事したのか?」
と呟いた。
「俺でなくたって良かったんだよなぁ……」
 俯きながら、息を吐く。白くて深い溜め息。
「……俺だって人の事言えたもんじゃねえけどよ」
 自転車の向きを変えるとしばらく背を向けていたが、やがてゆっくり振向いて聞いた。
「……なあ、何で今日あんな事した?」
 その顔は何だか少し哀しそうに見えた気がした。
「……出来なかったから」
「だからって何で?」
 問われていきなり締付けられたように苦しくなって、思わず胸を押さえた。
「だって、やれなかったら意味ないじゃん。あんたにとって、あたしは会う事の意味が
 なくなって、だから……」
 あたしは何を言ってるんだろう?いたたまれなくなって、逃げる様に家に入った。

 しばらくして、自転車が走り去るのを自室の窓から眺め、泣いた。


 単なる逃げ場であり、セフレだった。
 そうしておけば深みに嵌らず傷付かずにいられる筈だった。

 なのに誤算だった。あいつはそうするには優し過ぎたんだと思う。
 最初はあっちだって単にやりたいだけだったんだろうし。それがあたしがうっかり
処女だったりしたもんだから、優しいあいつは構わずにはいられかったんだろう。
 優しくされるのは嬉しいけど辛い。だから今のうちに捨ててしまえば良い。
 愛情だなんて勘違いに気付いて深みに嵌って傷付いてもがき苦しむ前に……自分で
断ち切ってしまえばいい。


 土曜の夜には一応母親と呼ぶ人がやって来る。情けないけど、食べさせて貰ってる
らしい今は偉そうな小言に付き合って母親風をふかせてやらなきゃなんないらしい。
 日曜は学生である以上、翌日のために備えておく。
 だから空いた金曜の夜、あたしは自分を求めてもらいに行こうと思っていた。
 そして運良くコージを見つけた。


319:週末のパズル 10/15
08/01/25 13:11:07 5lPBLfzQ
 もう会わないつもりだった。だから大してショックは受けずに済む筈だった。
 だけど、突然やって来たそれは自分が思っていたより空いた穴をさらにえぐる様に
苦しみを与えた。

『勝手ながら閉店します』

 気が付けばまたフラフラと足が向かっていたその場所は、もう踏み込む事が出来な
くなっていた。
 コージには結局携帯番号もメアドも敢えて教えていないままで、名前も正確には聞か
ないままにしてしまった。家も知らない。
 あたしは完全に居場所を失くしていた。
 そして、コージも失った。

 もう会う事はない。いや、会えないんだ……。
 そう思ったら、初めてあたしは自分がしでかした事の馬鹿さと重さに気が付いた。
でももう遅過ぎた。醒めたフりしてコージを傷付けて、自分自身も痛め付けただけ。

「よお、暇なんだろ?俺に一晩付き合えば2万やるぜ?」
 背後から中年のオヤジが声を掛けて来た。
「こんな時間に1人でいるんじゃ、どうせ家出かウリだろ?どう?いい気分にさせて
 やるよ、ん?」
 どうしよう。でも元々最初はそういう事も考えなかったわけじゃなし、もう捨てる
物なんかない。だけど、けど……。
「な、行こう」
 酔った息が気持ち悪い。
「いや……」
 ダメだ、やっぱり嫌だ、嫌だ、嫌だ!
「嫌だ!離してよ……コージ……コージ……」
 あたしは弱々しい声で、涙を堪えながら掴まれた腕を振りほどこうともがいた。
いや、恐い。初めて恐怖を感じた。夜の町は何てあたしのようなガキには恐ろしい場所
なんだろう。
 今更後悔しても遅いのかな、もう色んな事が。
 そう思っていたら、
「悪いな、待たせて」
そう言ってオヤジに掴まれた腕を引っ張られ、引き離された。


320:週末のパズル 11/15
08/01/25 13:12:46 5lPBLfzQ
 そのままその腕に抱えられるようにして抱き寄せられた。
「悪いけど、コレ俺んだからさ。他当たってくれ」
 そいつは静かに切れ長の目で相手を睨む。涼しげな目元に長身はそれだけで迫力が
あるらしく、アッサリ敵は逃げ出した。
「何で……?」
 信じらんない。だって先週あんな別れ方したのに。店だってなくなって、ここには
もう用はない筈じゃない。
「あれから考えた。最初は単に溜まってたし、暇だしヤれりゃ別に悪くない話だしっ
 て正直な話、思った。けど、何か気が付いたらハマってて……。ヤれなくても別に
 がっかりしなかった。会えないかもと思った方が辛かった」
 冷たい夜風から守られてる様な気がしながら、抱きすくめられて聞かされた。通る
人間の視線がたまに向けられてもどうでも良かった。
「……うち来るか?」
 あたしは迷わず頷いた。


『早川浩史』
 アパートの表札に書いてあったそれが名前だった。
 相変わらずパソコンは潰れたままだそうで部屋の隅にカバーを掛けられたまま放置
されていた。
「結構片付いてんじゃん」
「……実はバイトの給料前で金キツくてさ。だから連れて来るつもりで片付けた」
 部屋の隅にはゴミ袋が積まれてあって、洗濯物がカーテンレールに掛けてあった。
そういえばホテル代はいつも全部払ってたし。ああ、だからか。
「パソコンもまだ直せないんだ……?」
 あたしがそう言うと頭を掻いて
「茶飲むか?」
と流しに立った。畳がミシッと湿った音を立てる。
「ううん、いい。それより……こっち来て」
 ベッドに座ってコートを脱ぐと、コージに手を差し延べた。
「……やらなくてもいい、無理に」
「あたしもだよ。だけどそうして欲しいの」
 近付きたい、彼に。
「もう抱きたくない?」
「いや」
「本音は?抱きたい?」
「……うん」
「じゃあそうして」
「……マナ」
 あたしの腕を掴むとコージは体重を掛けて来て、一緒にベッドに倒れ込んだ。


321:週末のパズル 12/15
08/01/25 13:14:26 5lPBLfzQ
 激しく、深く舌を絡ませてコージはあたしの口内を弄ぶ。
「ふ、……んっん、ん~」
しばらくの間濡れた音を静かな部屋に響かせて、やっと離れた時には唇から唾液が流
れた。
「あたしの事好きになった?」
「うん」
「やれなくてもいいんだ?」
「うん」
「でもしたい?」
「うん」
 あたしはさっきまで重なり合っていた頬を両手で挟んで、自然と潤んで来た瞳を精
一杯開いてコージを見つめながら、じわじわとわかってきた自分の気持ちに胸が締付
けられていた。
 ああ、これがそういう事なんだ。

「会いたかった。あたしも会いたかったんだ。あんたが……コージが…………好き」

 生まれて初めて人に好きだと言われた。好きだと言った。
「なんで泣くんだ?」
「わかんない」
 わけもわからず流れて来る涙を、コージの長い指が拭い、優しく唇がその跡をなぞる。
「マナ」
 そのままその唇はあたしの耳朶へと動き、指は首筋から下へ這ってゆく。
 セーターの裾を掴むとそれを捲りあげ、ブラが覗いた胸をそれごと揉み上げながら
首筋へと舌が動く。
「あ、はぁ……やっ」
 カップの上の隙間から指を忍ばせ乳首を軽く転がす様に探る。
「立ってんな」
 耳元でボソッと低く呟くと背中に手を回してホックを外した。
「脱がせていいか?」
 頷くと身体を起こされて、バンザイさせられてセーターを脱がされ、ジーパンも脱
がされた。その後慌てて思い出した様にヒーターのスイッチを入れに立つと、自分も
トレーナーを脱ぐ。
 ジーパンに手が掛かりボクサーブリーフが覗くと、もうそれが膨らんでいるのがわ
かって、この間自分がした事を思い出して赤くなった。
「あんま見んなよ」
 ほっぺを掻きながら近付いて来て布団を捲る。そのままあたしの上に重なると、唇を
啄む様にキスをしながら鎖骨、胸へと手をやり再び乳首の先を
苛め始める。
 両手の指で左右それぞれの先端を円を描く様に撫でられると、くすぐったくてそれで
いて痺れる様に感じてくる。だめ、気持ちいい……。


322:週末のパズル 13/15
08/01/25 13:15:49 5lPBLfzQ
 キスをやめて唇を離しても、おでこを、鼻をくっつけたままあたしの唇から漏れる
吐息を確かめる様にじっと黙って目を閉じたままのコージがイヤらしくて恥かしい。
 反応を確かめている。
「これはいい?」
ちょっと摘まれる。
「あ……ちょっと痛い」
じゃあこれは?と軽く擦る。
「んっ……やあっ、あ、あんっ」
 背中を反らせて胸を突き出してしまうのを自分でもどうにも出来ない。
「もっと声、出せ」
「いやぁ……き、聞かれちゃう」
 壁にピッタリのベッドじゃきっと隣りの部屋まで届くんじゃないか?なんてこんな
時に変に冷静に頭に浮かぶから不思議だ。まだ余裕があるのか。
「マナの声好きなんだ」
 そう言うと目の前にあった顔は胸の上にあり、舌の先で吸い付きながら弄ばれる。
「……ああ、あ、もっ、とぉ」
「ん」
 今度は舌で押さえ付けられる。のけ反った背中の隙間から滑り込んだ掌で背筋を撫で
られてぞくぞくと快感が走り回る。
「あああっ!」
 もうどうにでもして。そう思った時にはショーツの端に指が掛かっていた。
 一気に引き下ろされ、膝を曲げられると指があそこをじっくり上下に動く。その滑
らかな感触から自分がかなり濡れているのがわかって恥かしい。
「……いい?」
 何を?と問う間もなくその指先は一番敏感な花芯を捕えた。
「…………っ、はあっ、いや、やあそこっ、だめ、あ、あっ……」
「嘘付け」
 水音を立てながら確実にそれはあたしを狂わせていった。さっきまで気にしていた
隣室のことなんてどっか行ってしまった。
 指がふと止まる。
「…………う、嘘、そんな……あっ……あ」
 初めてヤられた。唇を当てて、舌で充分過ぎる程敏感になった場所を攻められてあた
しはやがて目の前が真っ白になっていった。

「イッたな」
 少ししてコージを見るといつの間にか避妊の準備を済せ、あたしを間近で見つめな
がら入口に自身をあてがっていた。
「いくぞ?」
 あたしはただ黙ってしがみついた。


323:週末のパズル 14/15
08/01/25 13:17:18 5lPBLfzQ
 苦労せずしてそれはすんなり中に納まった。
「大丈夫か。もう、動くぞ」
「うん……」
 2週間ぶりの痛みは感じなかった。
 安物っぽいパイプベッドが動きに合わせて軋む。
「マナ、マナ」
 あたしの名前が何かの呪文のように繰り返される。
「何?」
 返事なんか期待しない。けどコージの唇は何かを漏らしたそうで、つい聞き返して
しまう。
「……きだ、好きだ。マナ」
 もう1度言って。
「俺は……好きだから」
 うん、うん。
 苦しくて、伝えたい言葉は喘ぎ声にすり変わってしまう。あたしもだよって伝えたい
だけなのに、ただ呻いてしまう。
「はあっ、は、はっ」
 コージの顔が歪み始めて言葉が聞き取れなくなってきた。潤んだ瞳が愛しくて、腕
を回してキスをせがんだ。
 唇を重ねながら繋ったまま、コージの身体が大きく震えた。
「んっ……んん、ん……」
 苦しげに微かに呻くと唇を離し大きく息を吐くと、あたしの上に倒れ込んだ。


 どれくらいこうしていたのか。コージの腕枕にまどろみながらぼうっと部屋を眺めて
いた。
 田舎から大学進学のために出て来たため、ほとんど余分な物は無いという。ベッド
とパソコン、小さなコタツと暖房器具。あとは小さな食器棚?とか冷蔵庫位か。他は
押入れってとこか。
「何見てんだ?」
 寝てると思った相手が起きてたのでびびった。
「いや、人ん家って面白くてさ」
「そんなもんか?」
「コージはそうじゃないの?」
「ん……どうかな。向こうじゃともかく、こっちじゃあんまり知り合いいないからな」
 どちらかと言うと無口で、お世辞にも陽気とは言えない男だ。無理もないかもしれ
ない。時間を掛けて付き合えば良さのわかる奴なんだろう。
「あたしもあんまり付き合い良い方じゃないよ」
 だから一緒にいて心地よいのかもしれないと思う。


324:週末のパズル 15/15
08/01/25 13:18:40 5lPBLfzQ
「なあ」
「何?」
「携帯教えといて欲しい」
「わかったよ」
 2人で携帯を取り出して、メアドと番号を交換した。
「こういうのって普通は最初にするんだよね」
「だな」
 なんか全てが順番飛ばしなあたし達におかしくなって、気が付いたらただ笑ってた。
 バカだよ。バカ同士で似合いだ。
 一通り笑って、また腕にあたしの頭を乗せる。
 こんなの寝苦しそう、ってテレビとか漫画なんかじゃ思いながら見てたのに、それが
心地よくて好きになってる。
 コージがあたしを意識したのは、最初の日の腕枕らしい。
『無防備に寝る顔が可愛いと思った』
 多分知らずに安心してたんだろう。パズルの凹凸がうまく嵌るように、あたしはこの
場所にハマったのかもしれない。
 ふと近くで見て今更気が付いた。
「無精髭がない」
「お前チクチクするって言ったから」
 マメに剃ったのか。思わず吹いた。
「笑うな」
「ごめん。でもさ、あたしそれ、嫌いじゃないよ?」
 ちょっと痛いけど、くすぐったくて何か本当に嫌いじゃなかった。
「そっか」
 また頬を掻く。
 あっ、とそれで気が付いた。わかってしまった。

 コージの癖。困ると「掻く」んだ。
 頭を掻く時は困った時。けど頬を掻くのはきっと同じ困ったでも「照れ」たり「嬉
しい」「恥かしい」時だ。
「何ニヤついてる」
「いや、別に」
 わかると面白い。
「あのな、来たくなったらいつ来てもいいから。後で鍵やる」
「……ヤれなくても?」
 ちょっと間はあった気もするけど。
「別に構わん」
「うん」

 半端なあたしは欠けていたピースかもしれない相手と、居場所を手に入れたのかも
しれない。
 それは逃げ場ではなく、安らげる場所として。

「来るよ」

 逃げるんじゃなくて、好きな人に会うために。


<END>


325:名無しさん@ピンキー
08/01/25 13:20:07 5lPBLfzQ
以上です。粗り

326:名無しさん@ピンキー
08/01/25 13:22:36 5lPBLfzQ
すいません、途中送信しました。
粗削りな文章になってるかと思われますが、少しでも暇潰しになれば幸いです。


327:名無しさん@ピンキー
08/01/25 23:11:47 jO5s4w9w
GJ!
読了感すっきりで、すごくよかった(*´∀`)

328:名無しさん@ピンキー
08/01/25 23:57:34 +ua9sjVr
GJ!
個人的に凄く好み。

329:名無しさん@ピンキー
08/01/26 02:21:07 /9PKi5dG
確かエロくはないんだけど、そっけないようでいて、雰囲気の伝わってくる文章に引き込まれました。
GJでした!

330:名無しさん@ピンキー
08/01/26 15:36:48 ynDqO6yj
謎が解けた瞬間、タイトルのつけ方が巧いな~と感心した。
マナの子供っぽい虚勢や内に抱えた孤独が癒されていく過程が
丁寧に綴られているし、エチシーンもあれくらいの描写で抑えたのが
リア女子高生って感じで良かったです。
GJ! 次の登場をお待ちしてます。

331:名無しさん@ピンキー
08/01/27 00:19:48 iDpMLVHn
書き手です。初投下にレスありがとうございました。
話重心の上あまりエロく書くのが上手くないので心苦しかったのですが、
お誉めいただいて嬉しいです。
また勉強してきます。

332:名無しさん@ピンキー
08/01/27 13:45:16 iZIl+MKQ
>>331
いまきた。GJ!
体の関係から始まる話、好きですw
またなにか書けたらよろしく~

333:名無しさん@ピンキー
08/01/31 17:55:20 zw2OIcRz
書き手様、ありがとうございました~

334:名無しさん@ピンキー
08/02/08 13:11:29 Vqx9pkKU
捕手しとくか

335:名無しさん@ピンキー
08/02/13 22:11:31 mIlL5eZN
黒澤くん待ち保守

336:名無しさん@ピンキー
08/02/15 03:02:53 sYy8XbrM
ほす

337:名無しさん@ピンキー
08/02/15 10:14:16 FbHt6KlR
おいらも黒澤くんほしゅ

338:名無しさん@ピンキー
08/02/17 23:32:08 BIHJZeIJ
バレンタインの話を書きかけて途中で放置しているのだが、
次のバレンタインまでもう一年寝かせておくべきだろうか……

339:名無しさん@ピンキー
08/02/18 16:43:47 RyJ+0Yln
一気に書いてココに投下しちゃいましょう

是非ぜひっ!

340:名無しさん@ピンキー
08/02/20 17:48:41 GJuKI3FC
あなたが保守い

341:名無しさん@ピンキー
08/02/21 01:26:35 c5mZpQMs
黒澤くんマダァ?(・∀・ )っ/凵⌒☆チン チン

342:名無しさん@ピンキー
08/02/22 18:11:03 E0gBU3BM
黒澤儲うぜぇ

343:名無しさん@ピンキー
08/02/23 03:37:26 KIhMiIrm
繭たんまだー?

344:338
08/02/23 22:38:38 iAQOMrRt
バレンタインの話を投下します。
たぶん6ページぐらいのはず。

345:名無しさん@ピンキー
08/02/23 22:40:26 iAQOMrRt
 チヨコレイトー。ねえ、チョコレートちょうだいよー。手作りのやつぅ~。
お菓子よりも甘ったるい声を出して私にチョコレートをねだっているのがれっきとした
成人男性だというのだから私はうっかりこの国の将来を案じてしまう。
素人が作るチョコレートなんて、市販のチョコレートを溶かしてまた固めただけで、それのどこが「手作り」
なんだと私は疑問に思っているし、そんな素人が加工した食べ物が美味しいとはとてもじゃないが信じられない。
おまけに、私自身はチョコレートという食べ物がわり苦手なのだ。
 その訴えは棄却されました。
甘ったるい願いを一刀両断に却下してみた。
 ええー。ひどいや。樹璃さんは男のロマンってモノを理解してないよぅ。味は二の次、ハートがこもった
チョコが欲しいんだよう。去年もチ□ルチョコ詰め合わせだったし…!
 チ□ルでも何でも貰えるだけでもありがたいと思いなさい。
 えー。でもみんなは義理チョコでももっといいもの貰ってるよ。
 じゃあ私以外の人から貰えば?
 ヤダヤダヤダ、樹璃さんからもらいたいんだよう。どうしてそんなに意地悪なの。
だって可愛いから。心の中で返事しておく。
なんというか、この子のこういう子供っぽいころも嫌いじゃない、というか好きなのだ。
きっとバレンタインデーまでに私はチョコレートを用意してしまうんだろう、内心にやけながら。
 チョコレートが駄目なら、リボン巻いて「私がプレゼント(はーと)」とか! いっそ
生クリーム女体盛りとか!!ねえ!ねえねえ!!
……頭痛がしてきた。誰がするか、そんなもん。
 食べ物を粗末にする子にはバレンタインデー開催中止のお知らせですよ。
 わぁーん、女体盛りは嘘です、嘘。でも願望って言ったほうがいいか。
じゃれあいながら、その日はファーストフードで夕食を済ませて駅で別れた。

346:名無しさん@ピンキー
08/02/23 22:42:34 iAQOMrRt
それが目に飛び込んできたのは偶然だった。一人で地下街を歩いているときに店頭キャンペーンを
やっているのに遭遇したのだ。意地悪だって怒るかな? でもプレゼントは自分が貰って嬉しい
ものを贈るのが鉄則だよね。それにイロイロイイコトもできそうだし。

バレンタインデー当日。私達はちょっと奮発して高級焼き鳥屋で早めの夕食をとった。
地鶏と地酒が有名なこの店は早い時間だと客も少なく落ち着いた雰囲気で、私達はたまにここに
来る。そういえば前に来たのはクリスマスだったっけ。そんなことを考えていると、
 まだ時間あるでしょ? デートしよう。
確かに私が帰宅するにはまだ早い時間だ。でも、上手に彼の家に誘導しないと。
借りたい本があると言って彼の家に行こうとしたのだけど…
 バレンタインデーだよ? 恋人たちの祝日だよ? 外でいちゃいちゃしようよ~。
別に祝日じゃないし。それに、外でデートするよりももっとイイコトをしてあげようと
思ってるんだけど。なんておくびにも出さないで、私は強引に彼の家へ上がりこんだ。
本当は借りたい本なんて無いんだけど、適当な本を見繕って借りることにする。
テレビをつけて……黙ってテレビに集中していると思ったら、違った。
澄んだ瞳がこちらを見つめている。
 樹璃さん。ずっと、一緒にいようね。
真面目な顔でそんなことを言われると、こっちまで照れてしまう。
私から抱き寄せて、ぽんぽんと背中を撫でる。大丈夫。大好きだよと伝わるように。
不意をつくように髪の毛をわしゃわしゃと掻くと、びっくりした表情になるのが可愛い。
 髪の毛、煙くさいね。焼き鳥の臭いだ。お風呂入っといで。
言えた。作戦決行だ。


347:名無しさん@ピンキー
08/02/23 22:43:22 iAQOMrRt
彼の家のお風呂はいわゆるユニットバスというやつで、単身者用のそれは本当に狭い。
なので彼は湯船には浸からずにシャワーを浴びるだけのことが多いらしい(窮屈な湯船に浸かっていると自分が漬物になったみたいな気分がするのだと言う)。
だけど今日は作戦のことがある。さっさと出られては困るのだ。頭洗ったら湯船に浸かりなさいよ、と念を押しておいたから大丈夫だと思うけど。
頃合いを見て、自分も手早く服を脱ぐ。カバンの底に隠しておいた例のブツを取り出してバスルームへ向かう。
 頭洗った?
 うん、洗ったよ。どうかしたの、樹璃さん?
 一緒に入ってもいいかな。
 ……そ、それは期待してもいいのかな。
彼の声が上ずっているのを感じて、こちらもにやけてしまう。いかんいかん。表情をなるべく普通にして……
 お邪魔します。
なんだか間抜けな第一声になってしまった。
 何持ってるの?
目ざといというわけではないと思う。裸眼での視力はすこぶる悪いはずだ。だからきっとそれは、香りのせいだったと思う。
 んー、甘い匂いがする。
鼻をクンクン鳴らしてる姿は大型犬に似ていて、そんな彼をたまらなく愛おしいと思う。
自分もバスタブに移動して、持っていた石鹸を手早く泡立てる。
 あ、それかぁ~。いい匂い。チョコレート……だよね?
 食べられないけどね。
石鹸のついた手を彼の手に重ねる。
 洗ったげる。
そう宣言して石鹸を彼の身体に塗りたくった。
 ちょ、ちょっとくすぐったいです、樹璃さんッ。
逃げ回ろうとしても、バスタブは狭いのですぐに捕まえられる。大事なところも、しっかり洗ってあげよう。


348:名無しさん@ピンキー
08/02/23 22:44:20 iAQOMrRt
 ひゃっ! や、そこはいいですってば!!
 どうして? 生クリームプレイしたがってたよね?
 それはちーがーうーっ、…っうん。はぁっ、っあっ。
抗議の声に吐息が混じったのは、泡だらけの手で私が彼のモノを握ったからだ。
 樹璃さん、恥ずかしい。恥ずかしいよ。
 我慢しなさい。
上下させる速度を速め、石鹸を舐めないように注意しながら先のほうに息を吹きかける。
ついでに袋のほうもやわやわと揉むと、
 ダメッ、もう我慢できないっ。出ちゃうよぉ。
目線を合わせて、いいよのサイン。
……!!

ふう、と息を吐くとニッコリ笑って
今度は樹璃さんを洗ってあげますよ。お礼です。
結構です、と断るより前にぬるぬるした大きな手が胸に触れる。いつもとは違う感触と
濃厚なチョコレートの香りに肌が粟立つ。
 ごめんなさい、寒かったですよね。
そう言ってシャワーが私の背中にかかるように調節してくれる。
 もう一個、男のロマンを言ってもいいですか?
瞳が輝いている。悪巧みをしているときの表情だ。
 胸に石鹸を塗って……、こうしてもらえますか。
言われるがままに両脇を締めるような格好になって初めてわかった。
 おっぱいちっちゃくてゴメンネ。
いわゆる、パイズリというやつができるほど私の胸は大きくないと自分では思っていたし、
彼も今まで言い出さなかったのでそういう趣味はないのかと思っていたのに。
 いえいえ、樹璃さんがしてくれるから嬉しいんですよ。
そういいながら、無理やり作った胸の谷間に彼自身をあてがって往復させる。 チョコレートの香りと
彼自身がさっき放出したぬめりが一体化して、それなりの形にはなってると思う。たぶん。
 気持ちいい?
 気持ちいいっていうか……すっげぇコーフンします。


349:名無しさん@ピンキー
08/02/23 22:45:16 iAQOMrRt
  樹璃さんすっげえ色っぽい。ね、もしかして感じてるの? 乳首勃ってるよ?
 や、これは寒いから!
 じゃあシャワーかけますね。
お互いにシャワーをかけあう。狭いユニットバスの中では身体を離すのも一苦労といった感じなので、結局おおまかにしか流せないのだけど。
 んー、いい匂い。
嬉しそうに笑ってくれると、こっちまで嬉しくなってくる。
 樹璃さん、大好きだよ。
そういうと私の身体を半回転させて
 後ろ、向いて。
え?と聞き返す間もなかった。後ろから抱きすくめられて耳朶に吐息がかかる。
 ここでしたい。今すぐ。
気がつくと彼の片手はそっと私の乳房に添えられていて、もう片方の手は後ろから濡れた割れ目をなぞっている。
 樹璃さんも、濡れてるよ。
反論できない。
 壁に手をついて。
言われるがままに、壁に手をつくと、お尻を突き出したポーズになってしまう。
 入れます。
宣言して、彼は入ってきた。意外にすんなりと侵入を許してしまうあたり、やっぱり私も興奮してたのか、
なんて考えることができたのは後になってからで。
 ……嬉しい。
そういって律動を刻みだす。
深く、浅く、私の一番いいポイントを探そうと動くと同時に、乳房に添えられた手は乳首に触れるか
触れないかのところで淡い快感を送り出す。


350:名無しさん@ピンキー
08/02/23 22:46:58 iAQOMrRt
駄目だ、声が出てしまう。しかもお風呂場だから響くし。盛大に恥ずかしい。我慢して声を押し殺そうとすると耳元で
 樹璃さんの声、聞きたいよ。我慢しないで。
でも、隣に聞こえる、と最後まで言わせてくれなかった。
最奥を激しくノックする動きに変わったのだ。
同時にクリトリスをつままれる。
 ダメ、お願い、あ、ああ……ッ
階段を昇りつめるにつれて私の声はすすり泣くようになっていった。
彼のスピードが速くなる。
 樹璃さん、愛してる、愛してる……
うわごとのように繰り返される魔法の呪文に、普段封印している言葉を私も言ってしまう。
 好き、大好き!
狂ったように繰り返すと高みへ昇るスピードも速くなっていく。
宙に浮きそうなのを必死につかまってるみたいな、あの感覚。
彼も同じなのだろうか。
 樹璃さん、俺、もうイきそう。
 来て…い、いいっよっ。
先に達したのがどちらだったかなんて憶えていない。
気がついたら、ふたりともバスタブのなかでへたりこんでいた。

 ……酸欠で死にそう。
 私も。のぼせちゃったね。お風呂上がったら冷えたビールを飲もう。


 ホワイトデー、楽しみにしといてくださいね! 三倍返しにしますから。
 んー、何のことかなぁー?
うそぶいて彼の目を見る。
大好きだよ。声には出さないけどね。


351:名無しさん@ピンキー
08/02/26 23:58:41 GFu53qKN
三日もレスないのかよ。書き手さんへこんでそう。
間空くと感想付けづらいな。悪くはなかったと思う。乙でした。
個人的には恋人同士のラブラブな話より片想いの切ない話が好きだ。





352:名無しさん@ピンキー
08/02/27 15:40:48 1WFYOYie
ひこーきの運転手、ってのを思い出しました。

353:名無しさん@ピンキー
08/02/27 23:05:54 7bqYOkCc
今来て今読んだ!亀ですが職人さんGJでした!
最初セリフか心の声か分かりづらいと思ってたのに、読み終わってみたら逆にそれがいい味出てた。
…四日も経ってからエラそうにスマソorz
ただこれだけは言わせてくれ。甘々好きとしては大満足でした(*´д`)

354:名無しさん@ピンキー
08/02/28 12:12:37 ZD0PosyW
樹璃さんの職人の方GJ。
彼氏のキャラがいい。
ええカップルですな。自分はラブラブ話好きだから楽しく読めた。

355:名無しさん@ピンキー
08/02/28 13:56:49 NWatMVn9
女性の身体を洗い、マッサージをする仕事になります。
射精の瞬間を見たいという要望も多数あります。
fukugyouinfom@yahoo.co.jp

356:名無しさん@ピンキー
08/03/01 22:05:38 zyflxyx7
>>352
カーラセンセイが上り調子だった頃のネタだな
生真面目なキャラが祟って描けなくなり、鹿児島で淋しく余生を送っておられると聞くと悲しくなる

357:はじめての彼(仮)
08/03/03 12:39:12 X8JXz/5w
>>137のつづき

***************

―ケセラセラ。
学校を2日休んで迎えた土曜日の昼下がり、しぶしぶ結論を出す。成るように成る、だ。
ベッドの上でごろごろごろごろ考えてたら、疲れちゃった。知恵熱(?)まで出る始末。
もっとも、そのおかげで学校を休めたわけだけど。熱が引いていくにつれ、徐々に吹っ切れてきたような……。

うー、もうどんな顔して学校に行けばいいのッ!?
黒澤君も青山君もなにも言ってこない。嵐の前の静けさ? 不気味。あたしどうなっちゃうのォォ!?
などと悩んでいてもしょうがない。いくら考えてもどうすればいいのかわかんないんだもん。
だいたい、あたしに相手の出方を見て臨機応変に対処するとかできるわけないんだし、成り行きに任せるしかない。
ほんとにいいのかそんなんで。自分でも自棄になってるなとは思うけど、いまいち現実感がない。
それはあの日、青山君に聞かれてるかもしれないという状況にもかかわらず、
狂ったように自分から腰を振ってイってしまった時から続いているような気がする。

―夢じゃない!
あの日、失神して意識が戻ってきたあたしは開口一番そう叫んだ。
目が覚めると、書庫にはあたしひとり。制服も下着もきちんと身に着けていたからもしやと思ったけれど、
けだるい疲労感や下腹部を覆う鈍い痛みがあたしの淡い期待を打ち砕いた。
まあ本気で夢だと信じてたわけじゃないけど。陰部をきれいに拭かれた形跡に赤面する。
く、黒澤君はどこ? 鞄を胸に抱きかかえ、そろそろとドアから首だけ出して窺う。少し離れた場所から水を流す音がした。
トイレ!? 気付いたのと同時に廊下へ飛び出し、忍び足で階段の上段まで突き進んで身を伏せた。
書庫に歩いていく黒澤君の足音を聞きながら、一段一段慎重に後ろに下がる。
ドアが開かれたのを合図に猛ダッシュで玄関まで駆け下りた。

―藤野っ!
黒澤君ちから逃げるように、というか正に逃げ出した際、背中に突き刺さった張りつめた声が耳に残っている。
それだけじゃない。体中に残るキスマークや節々の痛みが実際に起こったことだと如実に物語っていた。
まさかセックスで筋肉痛になるとは想像もしていなかった。たぶん黒澤君も一緒。あたしよりひどいかも。
あの最中には気が付かなかったけれど、黒澤君はあたしに負担がかからないように無理な体勢で自分の体を支えていた。
硬く締まった肩や腕の筋肉を思い出し、顔が火照る。いやああーーーッ、人の筋肉痛心配してる場合じゃないし!
布団をかぶり、またごろごろと転がった。

358:はじめての彼(仮)
08/03/03 12:42:07 X8JXz/5w
「繭子ー、お友達が心配してお見舞いに来てくれたわよー」

部屋のドアをノックされ、母親の妙に弾んだ声に思考を中断される。
ちょうどいい。ひとり悶々としていても埒が明かない。ここはひとつ千明に相談だ。
何度か電話をくれたけど、口ごもるばかりだったから心配して様子を見に来てくれたのかな。
さぞかし的確なアドバイスが―と、リビングに入った足がソファに座っている人物の後姿を見てぴたりと止まる。

「あああ青山君!?」
ゆっくりと振り向いた顔は満面の笑み。良かった元気そうで、とこぼれるような白い歯が眩しい。
リビングには和気藹々な空気が流れていた。仔犬のように人懐っこい青山君に目尻を下げている母親。
青山君のことはちょくちょく話題に上げてたから、初対面という気がしないのかもしれない。
「それにしてもそっくりですね。でも親子には全然見えません。美人姉妹って感じかな」
「うふふ、嬉しいこと言ってくれるわー。繭子ったら、いつまでも立てないで座りなさい。
青山君にシュークリーム頂いたのよー、紅茶でいいわね?」
あんぐりと口を開けているあたしに、もう照れちゃってというような視線を寄こしながらうきうきと訊いてくる。
そんな浮かれている母親を無視して、青山君の腕を引っ張り立ち上がらせた。
「部屋で飲むからっ。青山君、ちょっとこっち来て!」

部屋に押し込めたのはいいけれど、これはこれで困ったことになった。
まだまだ話し足りなさそうな母親からトレーを受け取り、
テーブルにケーキ皿やティーカップを置いたあとはすることがなくなってしまう。
あたしは所在なく、お気に入りの大きなテディベアを抱きしめながら青山君を探るような目で見る。
青山君はあぐらをかいて座り、体を左右に揺らしながら興味深げに部屋を見回していた。
今時のアイドルではなく剣劇スターのポスターが貼ってあるのが異質なくらいで、
あとはファンシーな小物やぬいぐるみに囲まれたよくある女の子の部屋。
見慣れてるだろうに、と思うあたしの気持ちは平静だった。
はじめて部屋に男の子を入れて、しかもその相手が青山君だというのに、自分でも驚くほど落ち着いている。
ひとしきり眺めて満足したのか、青山君が動きを止め静かにカップを口に運んだ。

359:はじめての彼(仮)
08/03/03 12:44:02 X8JXz/5w
「ここのシュークリーム好きだったでしょ。食べたら?」
「……うん。ありがと」
なんかさっきから変だあたし。
いつもなら、青山君を前にすると苦しいくらい心が浮き立つはずなのに、いまのあたしは笑っちゃうほど冷静だ。
ケセラセラと何回も口ずさんでたせいで度胸が据わったとか? 首を傾げながらシュークリームにぱくつく。
さくさくのシュー皮と卵の味が濃厚なカスタードクリームが、いっとき幸せな気分にさせる。

「繭ちゃん最近変わったよね」
口一杯頬張ってるのをいいことに、黙って見返す。
寂しそうな言い方にもやっぱり心は波立たない。いったい話はどこに行き着くのか、困惑するばかり。
「前からかわいかったけど、さらに磨きがかかったっていうか……はっとするほど色っぽくなったよね」
熱のこもった眼差しが降り注がれる。ひたすら口をもぐもぐと動かすあたし。
こ、これはひょっとすると……完全にロックオンされちゃってる? 困るッ。えっ、ええぇぇえええええーーーっ!?
ショックに身を強ばらせた。ああああたしっ、あんなに焦がれて焦がれて何度もつらい思いをして、
苦肉の策で仮の彼氏まで作って、やっと自分が望んでいたとおりの展開に進んでいるというのに、ちっとも嬉しくない!
むしろ迷惑。やめて欲しい。いったいぜんたいどうなっちゃってんのォォ!? 
そんな気持ちが表情にも現れていたらしく、青山君がなじるような口調で言い募る。
「そんなに黒澤君のことが好き? でも本気じゃないでしょ。僕の気を引くためにわざと付き合ってるだけだよね」
あ、バレてたんだ。まあ百戦錬磨の青山君からすれば、あたしの拙い作戦なんて先刻承知か。
そんなことより、別のことに心が奪われていた。

―黒澤君のことが好き? 好き? 好きいいィィいいいいい!?
その衝撃で一瞬反応が遅れた。
「口にクリームが付いてる。取ってあげるね」
とっさによけたけど、ほっぺたに柔らかい感触を受ける。
唇を肌に押し当てたまま、青山君がくぐもった声で悲しそうに言った。
「僕のこと嫌い?」
「き、嫌いとかじゃなくて、そうじゃなくて……! もっともっと好きな人がッ。どどどどうしようっ!?
ミイラ取りがミイラ? 策士策に溺れる? あ、あたしっ、黒澤君のことがすっごく好きみたい!!」
青山君を突き飛ばし、両手でばっと顔を覆う。体の震えが止まらない。

360:はじめての彼(仮)
08/03/03 12:45:57 X8JXz/5w
「―みたいってことは、はじめての相手は忘れられないってやつじゃないの? 繭ちゃん思い込みが激しいから、
好きだと勘違いしてるだけじゃない? それにしてもあんな声、聞かされるとは夢にも思わなかったな。
あれ結構傷つくね。僕好きな子を盗られる気持ち、はじめてわかったかも。ケータイ叩きつけて壊しちゃった」
青山君がさらっと本気とも冗談ともつかない調子で言い放つ。
そのことに一切触れてこないから、おかしいと思いつつ完全に油断してた!
「や、やっぱり聞いてたんだ! どどどどこまでッ!?」
「ふたりがほぼ同時にイったとこまで。ふたりっきりの時はまゆって呼ばれてるんだね。
繭ちゃんは黒澤君のことなんて呼んでるの? かおるだと僕のこと思い出したりしない?」

待って待って待って! 頭の中がぐっちゃぐちゃ。ちょっと整理させてーっ。
とりあえず名前の件はあとでゆっくり考えよう。いまはそれどころじゃない。
恥ずかしすぎる声を聞かれてしまったこともこの際どうでもいい。済んだことをぐちぐち言ってもはじまらない。
そそそれよりっ、空耳かと思ってたけどやっぱりまゆって呼ばれてたんだ。
黒澤君があの瞬間に発した言葉、聞いてたんだ。でかしたッ(?)、青山君!
「あああ青山君っ。あの時黒澤君すっごく焦ってたみたいなんだけど、まゆって呼んだあとなんて言ってた? 聞いてたんでしょ!」
きょとんとしてる青山君を揺さぶりたい衝動はなんとか抑えたものの、問い質す声が裏返ってしまった。
「んー? なんだったかなー、イクとか出るとかだったと思うけどー?」
うそだッ。だって二文字じゃなくて三文字だったような気がするし、思わせぶりに語尾延ばしてるんだもん。
キッと睨みつけるも青山君は屈託のない笑みを返してくるだけ。む、喋る気全然ないな。

「もういいッ。本人に直接訊くからいいもん!」
「黒澤君はプライド高いから絶対言わないんじゃないかなー。そんなことより、僕かなり本気で好きなんだけど?
繭ちゃんが他の男と一緒にいるの、なんかすごく嫌だ。胸が苦しくてたまらない。―助けて」
青山君が息も絶え絶えといった様子で手を握ってくる。
なんだか妙な成り行きになってきた。目まぐるしく変わる展開についていけない。
「僕は誰かさんみたいに意地悪なことして泣かせたりなんかしないよ? 思いっきりやさしくするよ?」
甘い甘い声で囁き、ふわりと引き寄せ床に横たえようとする。
だめだってば……。押しのけようとするけれど、腕に力が入らない。
ここ一番に見せる天使のような笑顔には、あたしの抵抗を奪うだけの威力がまだ残っていた。

361:はじめての彼(仮)
08/03/03 12:48:16 X8JXz/5w
……ま、まずい。あたし髪触られるの弱いんだよね。
美容室でも毎回猫みたいに目を細めてうっとりしちゃう人なんだけど……。
青山君は肩肘をついてあたしの横に寝そべり、もう片方の手であやすようにさっきからずっと頭を撫でていた。
あー、ぽわぽわする。正直気持ちよくて眠たくなってきた。最近考えることがありすぎて寝不足気味。
自然とまぶたが重くなり、ふあぁと大きなあくびが漏れる。
がちがちに固まっていた体がゆっくりと弛緩していくのがわかった。それと思考力も。
あれれ、なんかおかしなことになってなァい? でも手付きにいやらしさは微塵も感じられなしィ、マッサージ? みたいな……。

「繭ちゃん凝ってるねー」
「……うん。悩みごとが多くて……あ、そこそこッ。気持ちいいィィ」
青山君の繊細な指が的確にツボを押す。絶妙の力加減で首、肩、腕と揉みほぐされていく。
時々ふっと意識が飛び、ふわふわした温かいものに包まれる感覚がする。うーん、とろけちゃいそう……。
足も揉んであげるね、と遠くのほうから声がして、足裏マッサージ? 痛いのはやァ、とまどろみながら返事をしていた。

「フフ……舐めるだけだから、痛くなんかないよ」
「―ひあぁっ!? くく、くすぐったい!」
足の裏にむずむずした刺激を受け、がばっと跳ね起きる。
目の焦点が合ってくると、いつの間にやら足元のほうへ移動している青山君がいた。
しかも、あたしの左足首(靴下脱がされてるし!)を掴んでいる。さらに、美味しそうに足の指を咥えていた。
夢心地から一気に目が覚め赤くなる。
「ななななにやってんのーっ!? 離してってば!」
「こうされると気持ちいいでしょ?」
人の言うこと全然聞いてないしーっ。青山君の手から足を引き抜こうとしてもびくともしない。
痩せて、力なさそうに見えるけどやっぱり男の子なんだと愕然としてる間にも、せっせと足を舐めてくる。
尖らせた舌先で指の股をつつき、一本一本ちゅーちゅーと音を立ててしゃぶっていた。

あああ脚フェチ!? 
はっ、いけない。
見事な舐めっぷりに呆然としながらも見入ってしまっていた。驚いているヒマがあったらいい加減やめさせないと!
恍惚とした表情を浮かべた青山君がふくらはぎに頬ずりし、上へ上へとついばむように唇を落としている。
いまや完全に脚を持ち上げられ、青山君の位置からだとスカートの中が丸見えだった。

362:はじめての彼(仮)
08/03/03 12:50:48 X8JXz/5w
「―青山君。それくすぐったいだけだから、もうやめて。あたしわかっちゃった。
ぼけっとされるがままだったくせになんだけど、こういうのは好きな人にされないと感じないんだよ。
念のため言っとくけど、さっき気持ちいいって声上げたのは単に凝ったところをほぐされたのが理由だから。
あたし確信した。やっぱり黒澤君のことが好き。どうしようもないくらい好き。だからごめん。青山君の気持ちには応えられない」
ひゃー、まさか青山君に対してこんなことをとうとうと述べる日が来るとは! 
スカートの裾を押さえながらってのがいまいちサマになってないけど、ちょっと感動。
とは違うか、なんか一抹の寂しさを感じる。人って変わっていくんだなー、と。あんなに好きだったのに……。
しょぼんと項垂れている青山君を見るとさすがにズキっとくるけれど、あたしの決心は揺るがない。
罪悪感よりも恋する高揚感のほうがまさった。そうとわかればこうしちゃいられない!
黒澤君に会いたい。声が聞きたい。笑顔、は見たことないけど見たい。

ひとり勝手に盛り上がっているところに不意打ちを食らう。
突然青山君が圧し掛かってきて、スカートの中に手を入れられた。
「……そっか、繭ちゃんやさしくされるより強引にされるほうがいいんだ。確かに濡れてないね。
でも大丈夫。僕Sにもなれるから、それに手マン得意だし任せて。そのうち緊張もとれてくるよ」
だからーっ、人の話を聞きなさいってええええええ! 緊張してるんじゃなくて嫌がってるんだってば!
てかその空気読めないふり、やめてよッ。そんな青山君なんて見たくないし、じゃないとあたしなにするか―

「ああっ!? そ、そこに触っていいのはっ、黒澤君だけなのおおォォおおおおお!!」
パンツのわきから指が滑り込んできて、ぶち切れた。渾身の力を込め踵をお腹に叩き込む。
ぐえっと蛙が潰れたような声を出して青山君が尻餅をつき、そして苦しそうに体を折り曲げ咳き込み始めた。

「繭子っ、静かにしなさーい。下に響くでしょー」
ドアの向こう側から聞こえてきた母親の叱り声に、はーい、と慌てて返事をする。
視線を青山君に移すと、むせていたのが次第に壊れたような笑い方に変わっていくところだった。
「げほげほっ、は、ははっ……こんな、文字通り足蹴にされたの、はっ、はじめてだよ。ははっ……あははははは」
ちっともおかしくなんかない。怒りと悲しさと虚しさがどっと押し寄せ、涙がにじんだ。

363:はじめての彼(仮)
08/03/03 12:53:29 X8JXz/5w
「……青山君、もう帰って。このままだとあたし嫌いになっちゃいそう……」
ようやく笑いの発作が治まり、静かになったのを見計らって疲れた声でそう告げた。
弾かれたように頭を上げた青山君がくしゃりと顔を歪め、またすぐ頭を下げる。
「ごめん! ほんとごめん。どうかしてた。繭ちゃんが僕から離れていくのかと思ったら、かーっとなってつい。もうこんなことしない!
だから泣かないで。わかった……つらいけど諦める、ようにする。繭ちゃんの恋が成就するよう応援する。協力するよ!」
―協力。どっかで聞いたセリフ。まったくどいつもこいつも。その手には乗らないもん!

「……遠慮しとく。自分でなんとかするからほっといて」
「えー、でも繭ちゃん男のことよくわかってないしー、このままだとセフレ一直線だよ?」
「せ、セフレえええ!? そんなのやだッ」
「でしょー。だったらもう黒澤君と寝ちゃだめだよ? それと簡単に好きとか言っちゃだめ。利用されるだけだから。
気を許したら最後、要求はどんどんエスカレートしてくるよー。毎回ごっくんさせられて、アナル中出し当たり前。
撮られた写真をネタに複数プレイを強要されたりなんかして、気が付けば肉奴隷。やでしょ?」
「に、肉奴隷て……黒澤君はそんな鬼畜なことしないと思うけど?」
「甘いっ」
一喝され、思わず正座をしてしまう。
青山君曰く、10代男子の性欲を侮ってはいけないらしい。
それはそれはすさまじく、想像を絶する世界だそうだ(自主規制とやらで具体的には教えてくれなかった)。
あの、えっちな行為を聞かせてくる時点で鬼畜の萌芽はすでに見えると言い切られ、なにも言い返せないあたし。
……た、確かにすっごくいじわるだった。普段のクールな黒澤君からは考えられないほどの暴走っぷり。
溜まりに溜まった性欲が爆発すると、あんなことになっちゃうのか。しかもあれで序の口とは……。
ほっといたら、もも、もっととんでもないことされちゃうわけえええ!?
くらくらして、ごくりと生唾を飲み込んだ。

「黒澤君みたいに自制心が強いタイプはさー、一度箍が外れると大変なんだよ。
おまけに支配欲も強いときてるからタチが悪い。とことん屈服させるまで容赦ないでしょ?」
「わ、わかる!? そうなのッ。淡白そうに見えて実はねちっこい性格なの! 
むむ、むっつりすけべなのおォォ。ああああたしっ、いったいどうしたらいいの!?」

364:はじめての彼(仮)
08/03/03 12:56:01 X8JXz/5w
藁にもすがる思いだった。これまでの経緯を洗いざらい打ち明ける。
時折顔をしかめながら、ふんふんと真剣に聞き入っている青山君がなんだか頼もしく見えてきた。

「―寝取られ大作戦か、またばかなこと考えたね。
まあ、すぐそばに一番大事な子がいるのに今頃気付く僕もばかだけど。
繭ちゃんとはいずれ結ばれる運命だったのに……。あ、僕二股でも全然構わないよ?」
「そんなこと訊いてないっ」
「ちぇ、切り替え速いなー。えーと、はいはい黒澤君ね。
知ってた? 繭ちゃん校内のオナペットランキングでいつも上位に食い込んでるんだよ。
まず間違いなく体目当てだろうねー。簡単だよ、拒否って不機嫌になるようだったら別れればいいだけの話。
嫌われたくないからって安易に体を許すのは絶対だめだからね! いざとなったらさっきみたいに強烈な蹴りをお見舞いして、
一目散に逃げてくればいいって。逃げるが勝ちだよ。その時は僕が守ってあげるから、安心して!」

がっくりと肩を落とす。すでに黒澤君ちから逃げ帰ってきてるのに、わかってて言ってるのか。
ちょいちょい自分をアピールしてくる青山君がうるさい。
それに体目当てだったら別れればいいなんて、恋愛問題でよくあるQ&Aじゃん。
そりゃあ、あたしも黒澤君はやりたい一心で付き合ってるんじゃないかと疑ってたけどさぁ。
そこをなんとか打開する斬新な解決法はないわけ? って、まだ完全に体目当てって決まったわけじゃないしーっ。
だいたいセフレなんて言い出したのも……あ、あぶない。まんまと青山君のペースに引きずり込まれるところだった。
まったく油断も隙もない。そんな邪気のない顔で丸め込もうとしても、もう通用しないんだから!
そうは思っても、ずけずけと指摘してくる言葉を聞き流すこともできず、どんどん暗くなっていく。

体目当てかどうか訊いたところで素直にそうだと答えるバカはいないだの、
いまさら好きだと告白しても今度はなにを企んでるんだと思われるのがオチだの、
気分はすっかりどん底に。あーあ、変な工作で付き合うんじゃななくて、健全な恋愛の手順を踏みたかったなぁ。
でも、青山君のことで切羽詰ってなかったら黒澤君のことなんて見向きもしなかっただろうし、人生ままならない。
結局どうしたらいいのかわからないまま。むしろ混迷を深めただけ。ひどい徒労感。
青山君に相談したあたしがばかだった。げんなりとため息をつく。
生返事を繰り返すあたしに潮時だと感じたのか、青山君がそろそろ帰るねと言い出す。
ずっと部屋にこもりっぱなしだったから、気分転換を兼ねコンビニに行くついでに下まで一緒に降りることにした。

365:はじめての彼(仮)
08/03/03 12:58:20 X8JXz/5w
「あっ」
エレベーターの扉が開いてすぐ、青山君が愉快そうな声を上げる。
つられて顔を向けると、マンションの入口付近で仁王立ちしている黒澤君の姿が飛び込んできた。
ぱああと胸が弾んだのと同時にうろたえる。ひー、冷気がここまで伝わってくるッ。あ、あれは絶対なんか誤解してる顔だ!
それにしても、まさか青山君に続いて黒澤君まで家に乗り込んでくるとは。怒涛の奇襲攻撃。
そりゃ会いたかったけどっ、声聞きたかったけどっ、ここ心の準備があああああ!

「じゃあ繭ちゃん、今日はほんと楽しかった。またあとで連絡するね」
ちょっと! なに言ってくれちゃってんの。しかもわざとらしいウインク付きでっ。
数メートル先からびしびし放たれる視線が痛い。赤くなったり青くなったりと忙しいあたしに頓着せず、
さっさと去っていく青山君。黒澤君とすれ違いざま、にやりと笑いかけるのも忘れない。
あたしの恋を応援するんじゃなかったの!? ま、信じちゃいなかったけど。
てかどうしたらいいのッ、この凍りついた空気! 

黒澤君の体が近づいてくる。
あのしなやか腕で抱きすくめられて、あの大きな手で鷲掴みにされて、あの長い脚で押さえつけられて―
だ、だめだ……あの時の感覚が次から次へと鮮明に蘇ってきて、頭がどうにかなりそう。
見たいのに、恥ずかしくてまともに顔を見られない。うつむけばうつむいたでついつい股間に目がいってしまう。
いまは平常時みたいだけど、あれがあんなことになってあんなことされて―
いやああっっ!? なに考えてんのッ。あたしってば、もしかして淫乱!? そんなーっ!

「―したのか?」
声を聞けば荒い息遣いが再生され、それとセットで激しい腰使いも呼び起こされる。
大好きな黒澤君の匂いに包まれて、朦朧としてきた。
「あいつと寝たのかって訊いてるんだよ」
「……ふえ? (ぼーとしてて、なに言われたんだかわかんない。め、目が怖い。ばば場を和ませないと!)
えとえと、黒澤君……きき、きん(肉痛大丈夫だった? なんて訊けないッ)……もくせいの香りが漂う季節になったねぇ。
朝晩すっかり冷え込んで、あさってから衣替えだねぇ……(うわ、なに年寄りじみたこと言ってんの、あたし!?)」
「なんだその誤魔化し方は。見せろよ、あいつのことだから盛大に上書きされたんだろ」
「はあ? 言ってる意味、ぜんっぜんわかんないんだけど。な、なに? どこいくの? い、痛いってば!」

366:はじめての彼(仮)
08/03/03 13:01:49 X8JXz/5w
腕を掴まれ、ずるずると引きずるように連れていかれた場所は1階と2階をつなぐ階段の踊り場だった。
いきなり壁に背中を押し付けられたと思ったら、着ていた前開きのカットソーのファスナーを一気に下まで下ろされる。
よりにもよってフロントホック。抗う両手を後ろで固定され、あっという間に胸を剥き出しにされてしまった。
素肌に空気が触れ、さっと鳥肌が立つ。黒澤君に見つめられ、寒いんだか熱いんだか怒ってるんだか喜んでるんだか―

「やだっ、や……あん、誰かに見られちゃう……だめえぇぇっ!」
いくら抗議の声を上げようがお構いなし。冷たい指先が肌の上をすべる。
数日前、黒澤君に付けられた鬱血痕をひとつひとつ丁寧に触られた。
その、わずかな変化も見逃すまいとする真剣な眼差しに、やっと上書きの意味がわかる。
「もしかして……青山君が上からキスマークで塗りつぶしたとか思ってる? ありえないからっ、そんなの!」
すっと細められた眼鏡の奥の瞳は猜疑心ありありで、その後も体の検証は無言で続いた。

鎖骨、胸、脇腹とあちこちに散らばる赤い痕。それらがすべて自分が付けたものだと納得したらしく、
ようやく手首の拘束が解かれ、あたしは急いでブラを直しファスナーを引き上げる。
「黒澤君のばか! 信じらンない! こんなところで―ッ、あ!? ちょっと、やっ、まだ調べる気ィィ!?」
おもむろにひざまずいた黒澤君がスカートをめくり、太ももに手を置いた。
ぎゅっと膝に力を入れたのに、内股の柔らかい部分を撫でられ簡単に体を開いてしまう。
すぐ反応する自分が情けない。やっぱりあたしってば淫乱!? こんなこんな……っ、流されちゃだめだ!

足の付け根を念入りに点検している黒澤君は隙だらけ。
顔面に膝蹴りして撃退するチャンス。って、そんなこと好きな人にできるわけないしーっ。
どうやったらこれをやめさせられんの!? 体がぶるぶると震えて立ってるのもつらい。もう泣きたい。

「……そ、そんなことしても意味ないもん! だって、青山君とはなんでもないんだからっ。
終わっちゃったんだもん(あれ、なんか未練がましく聞こえたかな?)……え、えーと、これまでもなかったし、
これからも金輪際ないの! それでいいのッ。だって……だってあたしっ、黒澤君のことが好きなんだもん!!」

367:はじめての彼(仮)
08/03/03 13:06:29 X8JXz/5w
ひゃあああああ。言っちゃった! 言っちゃった! 言っちゃった!
でもいい。これですっきりした。妙な小細工なんかするより素直に気持ちを伝えるほうが性に合ってる。
それにあたし、こういうことは男のほうから言って欲しいとか古風なこだわりないし。
あとは黒澤君の気持ち次第。緊張で口から心臓が飛び出そう。きつく目をつぶる。
たぶん、嫌われてはないと思うんだけど……嫌ってたら付き合ったりしないよね? 体目当てだったらどうしよう……。
祈るような心境で黒澤君の言葉を待った。

「―今度はなんだ。なにを企んでる」
「た、企んでるって(青山君の言ってたとおりになっちゃってる!?)……違うッ。ほんとに好きなの!
じゃなきゃあんなことできるわけないもん! 本気でいやだったらもっと死に物狂いで抵抗してたはず。
あたしばかだから自分の気持ちに気付くの遅くなったけど、好きなの。黒澤君とええええっちしたのっ、後悔してないから!」
意を決して、立ち上がった黒澤君と目を合わせた。……なんか、複雑そうな顔してる。
あたしだってついさっき好きだと気付いて驚いてるくらいだから、突然こんなこと言われて戸惑うのは当然かもしれない。
「あ、あのォ……青山君の気を引くために黒澤君をダシに使ったの、すごく後悔してる。……ごめん、ごめんなさい。
いまさら謝ってももう遅い? あたし黒澤君とちゃんと付き合いたいんだけど、無理? 
だめだったらちゃんと言って欲しいんだけど……?」

耳を澄ませても、聞こえてくるのはどこかの部屋で飼ってる犬の鳴き声や玄関を開け閉めする音のみ。
なんで黙ってるの!? これ以上の沈黙は耐えられないッ、とやきもきし始めた頃。
不意に腕が伸びてきて、くいとあごを持ち上げられた。
やるせない表情の黒澤君。こ、このシチュエーションはっ、きききキスううう!?

「れ?」
あごに添えられていた親指がすっと下に降りてゆき、胸の先端を捉えぐりぐりと押し潰した。
あん、と思わず掠れた声が漏れる。無意識にこすり合わせた太ももを一瞥した黒澤君の口元が歪む。
「こうされるのが好きってだけだろ。嫌いな相手にイった自分が許せなくて、そんな理由をあとから付けたんだろ」
「ち、違うもん! こんな風になっちゃうのはっ、黒澤君が好きだからだもん! 
好きだから感じて濡れちゃうのッ(やー、なんてこと言わせるの!?)。だ、だって青山君に触られた時は全然濡れてなか、あ、いや。
いまのは言葉のあや……でもなくて、いい一瞬危なかったんだけどっ、蹴り飛ばして事なきを得たしっ(もうしっちゃかめっちゃかー)、
ななななんでもないのッ。気にしないで! と、とにかくっ、あたしがいま一番好きなのは黒澤君なのっっ!!」

368:はじめての彼(仮)
08/03/03 13:11:01 X8JXz/5w
「―いまだけか。ま、いいよそれで。あんな気持ちいいことそう簡単に手放すつもりないしな。
藤野が飽きるまで付き合ってやるよ。ただし、他の奴との共有は認めないぞ。するのは俺だけにしとけよ」
「……黒澤君、言葉尻を捉えてわざと婉曲してない? 体目的を正当化しようと―」
「その言葉、そっくりおまえに返す。したいだけのくせに好きでもないのに好きとか言うな!」
みなまで言わせず怒鳴り付けられた。
なんなのこの展開は。二の句が継げないとはこのこと。
相変わらずの傲慢な物言いのわりに被害者面している黒澤君が解せない。
傷ついてるのはこっちのほうだ! あ、飽きるまでってなに? したいだけのくせにってなに? まるで人を、人を―

「淫乱。だったんだな、藤野は」
「~~~!」
自分でも薄々思っていたことをずばりと指摘され、口を開けたまま固まってしまった。
違う違うと首を振って訴えるものの、見返してくる黒澤君の表情に絶望的な気分になる。
こんな強情で冷ややかな顔をしている時になにを言っても無駄だ。危険だ。
告白したタイミングがまずかったかも、といまさらながら気付く。
ここは一時撤退したほうがよさそうだと周囲を見回した時、またもやがしっと腕を掴まれた。

「そう簡単に手放すつもりはないって言っただろ。それに―」
と、淡々と告げながら下半身をまさぐり出す。
パンツの中に手が忍び込んできて、びくんと体が跳ねた。
「こんなに濡らして説得力ないんだよ」
「ちがっ、んんッ……やぁああ」
黒澤君の中指が吸い込まれるようにして中に入ってくる。親指が敏感な突起を転がす。
内側と外側からクリトリスをしごかれ、頭がまっ白に。はあはあと崩れ落ちそうになる体を腕にしがみついて支えた。
「好きだろ、こうされるの」
「んん、そこだめぇ……やあ、こんなところで……はあ、あっ、あっ、ぁあああっ!?」
切ない疼きが突然消えた。
取り残されたような気持ちでぽかんとした視線を黒澤君に向ける。
苦笑、冷笑、嘲笑。皮肉った態度にみるみる顔が熱くなっていく。
「ふっ、ここではいやなんだろ。だったら明日俺のところに来いよ。いくらでもしてやる」
追い打ちをかけるような捨て台詞を残して、黒澤君は帰っていった。

脱力したあたしはその場にへたり込む。
濡れたパンツを通して伝わってくる床の冷たさに、体を震わせながらぼんやりと考えていた。
どうしよう……10代女子の性欲も侮れないみたい、と。

369:名無しさん@ピンキー
08/03/03 13:11:38 X8JXz/5w
投下終了。
遅筆につき、つづきはまた何ヶ月か先になりそうです。あしからず。

370:名無しさん@ピンキー
08/03/03 17:52:21 T/mUO7Xg
GJ!
楽しませていただきました。

371:名無しさん@ピンキー
08/03/03 19:36:58 bFCFGYVU
続きktkr!
青山くん、電話で聞いてたのか。
繭たんの心のぐるぐる感が良く伝わってきて、読んでて楽しかったです。
鬼畜モードの黒澤くんがデレになるところを期待。
作者様、GJでした。



372:名無しさん@ピンキー
08/03/03 20:42:57 xugYVek7
ヤバイ面白い!gj!

373:名無しさん@ピンキー
08/03/03 22:14:02 7rtCx2xe
超GJ!です。
続きがまた読めるなんてうれしいです。
のんびり続き待ちます!

374:名無しさん@ピンキー
08/03/03 22:38:36 vbQQHDka
待ち焦がれてました!
超GJ!!
鬼畜な黒澤くんも、ラブラブな二人も読みたいです

まったりお待ちしてます

375:名無しさん@ピンキー
08/03/04 00:04:00 Y0WuGuAW
うわー、黒澤君だー
また読めて嬉しいよ
黒澤君がデレるまでのんびり待ちますよ

376:名無しさん@ピンキー
08/03/04 00:09:55 RRV1CoS5
GJ!!!
繭ちゃんがかわいくてしょうがないw

377:名無しさん@ピンキー
08/03/04 01:15:22 LssGLLNX
超絶GJ!!!!!
続き楽しみにしてます!!!

378:名無しさん@ピンキー
08/03/04 01:35:39 ZJXAy/T2
GJGJ!戻ってきてくれてありがとう!
待ってた甲斐があったよー!
黒澤かおる?くん大好きだw嫉妬してるとこに萌えるww
続き楽しみにしてます。

379:名無しさん@ピンキー
08/03/05 00:39:28 JBCe79LH
黒澤君にまた逢えてうれしい!
今回も面白展開&黒澤君と繭ちゃんに萌えさせていただきました!!!
黒澤君のデレ期が来るのを楽しみにしながら
まったりと続きお待ちしてます!GJ!!

380:名無しさん@ピンキー
08/03/05 21:38:03 54rHqGuQ
黒澤君もたしか初めてだったんだよね?
のわりには余裕あるなあw
本や映像でみっちり勉強してシミュレーションしていたと思うと可愛いかもw

381:名無しさん@ピンキー
08/03/05 21:39:05 XHVNFBE/
黒澤君 キテタ━(´∀(´・ω(゚∀゚)_ゝ`)゚ω゚)━!!!!
正座しながら萌えたw
繭ちゃんホントに可愛いな。続編を鎮座してお待ちしております。


382:名無しさん@ピンキー
08/03/05 22:59:15 rOJ4E5rd
繭ちゃんが、書庫から逃亡するシチュに禿萌えw
後ろから叫んだ黒沢君は何を思っていたのだろう。ああああああ気になる。


383:名無しさん@ピンキー
08/03/05 23:37:06 Cq0lflHJ
ちょっと似てるスレ?

愛あるレイプ
スレリンク(eroparo板)

384:名無しさん@ピンキー
08/03/05 23:39:24 wHUyxKqb
>>380
イメトレか

385:名無しさん@ピンキー
08/03/06 23:58:40 GZ+0APvx
Sっぽいけど本当は優しい黒澤君イイヨイイヨー
壁に背中を押し付けられて後ろで両手固定シチュもツボw
逃亡時の「張りつめた声」も切なくていいなー。
できることならシリーズ化キボン!

386:名無しさん@ピンキー
08/03/08 23:23:09 UvKaDJSo
パンツ脱いで待ってます

387:名無しさん@ピンキー
08/03/09 13:54:37 eW/WM7Lk
こんなにレスがつくSSは珍しい
投下の仕方もスマートで良いな

388:名無しさん@ピンキー
08/03/09 22:39:24 tnlWN+3C
繭たんが俺の好み過ぎて困るぜ…GJ
続き投下に出会える日を気長に楽しみに待ってるよ

389:名無しさん@ピンキー
08/03/13 16:05:50 1IcWg354
繭たん&黒澤君待つ間に恐れ多くも、ちょいと投下させていただきます。

390:名無しさん@ピンキー
08/03/13 16:10:43 ybmfyWhl
支援?

391:ヘタレ男と高飛車女(1)
08/03/13 16:14:21 1IcWg354

===========

あたし、板倉リカ。
悪びれもなく言うけど、モテる。
155センチの低身長だけど、おかげで男心をくすぐる上目使いは自然発動できる。
ふわふわロングの天然栗毛、沢尻エリカに似てると言われる黒目がちな大きな瞳。ハーフじゃないの、純日本人。
ああ、あたしって神様に愛されて生まれた天使かも。
17年間生きてきて付き合った男は20人強。
全員年上、詳しく言えば25歳以上の職有り。車持ち。1人暮らしのマンション住み。
これを満たしていれば顔は中の上でも我慢する、してあげる。
それ以外は論外。ありえない。
安定した収入のない男なんて眼中にないんだから。
あたしに見惚れるなニート共!…のはずだったんだけどなあ…。


高校2年の夏、
あたしに革命が起きた。




392:ヘタレ男と高飛車女(2)
08/03/13 21:09:23 1IcWg354
なんか書き込めないな…
更新遅くなります。

========

蒸し暑さがピークに達する昼休み。
都立は私立と違ってクーラーがない。国は学生を熱中症で殺す気なのか。
自宅から教室に持ち込んだ卓上扇風機のなまるい風を親友の愛(めぐみ)と取り合いながらコンビニで買ってきた冷やし中華をすする。
ショートヘアのさっぱり美女の愛こと通称メグとは中3の時に塾で出会った。
塾内で有名なセクハラ講師の被害を受けていたあたしは、靴箱に入ったそいつのスリッパに接着剤を塗ろうとしていたところ、
激辛練り唐辛子のチューブを持ったメグと遭遇した。
聞けば同じ目的だと言う。
意気投合したあたし達は力を合わせて、接着剤と激辛練り唐辛子をスリッパに塗りたくった。
セクハラ講師は何も知らずにスリッパを履き、足裏の激しい痛みから逃れられずにのたうち回っていたらしい。ざまーみろ。
その後同じ高校を目指していることを知り、さらに意気投合。
切磋琢磨しながら見事2人で合格!
まさかの腐れ縁で2年間同じクラスになって今に至る。


「これあたしが持ってきたんだけど」
「いーじゃんケチ」
「あ、メグ目の周り黒いよ。アイラインにじんでる」
げ!とメグは鞄の中の鏡をガサゴソ探す。
その隙に扇風機を抱え込み、風を独り占めする。
「全部にじんでないじゃん!………なるほどね。あんた本当に卑怯ね」
「賢いと言ってくれます?」
左手で扇風機を抱え、右手で冷やし中華をすすりながら爽やかーな笑顔を向ける。
すると思わぬ反撃。



393:名無しさん@ピンキー
08/03/13 22:09:38 9F7V6Lxj
イイヨイイヨー

394:名無しさん@ピンキー
08/03/13 23:10:52 Q1iAZ+0O
ヘタレ男いいねぇ
更新楽しみに待ってるよ!

395:名無しさん@ピンキー
08/03/14 16:37:21 DNMQ/8gl
>>392
 一行目が改行(エンターキーを押しただけの)空白で、22行以上のSSを書き込もうとした
 もしくは、一レスに書き込める分量を守っていても、同じ記号を多用(20個以上?)し過ぎ

 暫く前から、↑のような文章は、荒しスクリプトの類とみなされて『書き込み出来ました』と
 表記されても、実際にはスレに反映されない仕組みになっているようです

 どうしても、一行目を空白にしたい場合は、全角スペース挿入&改行すれば、OK
 記号多用の場合は、分割して投下してみて下さい


396:名無しさん@ピンキー
08/03/14 21:44:29 spAgQExC
イイヨイイヨー続き待ってます。
今、私の中で空前のラブコメブームが!

397:名無しさん@ピンキー
08/03/14 22:01:08 C1ji+rjY
>>395
丁寧にありがとうございます。
2ちゃんはROM派なので書き込みには慣れていなくて…
更に半年ロムらなきゃ…
しかし、その前に書き上げちゃいますね。
深夜に投下するのでしばしお待ちを…

398:ヘタレ男と高飛車女(3)
08/03/14 22:55:56 C1ji+rjY
 
 
「このクンニマニ…もがっ?!」
『ア』まで言い切る前に席から勢いよく立ち、ぐわしっとメグの口をふさいでやった。
周囲を見渡す。いまの誰も聞いてないよね?
幸運にも昼休みの喧騒のおかげでセーフだったようだ。
一人だけクラス委員の男子(あいつ名前なんだっけ?)がうるさそうに顔をしかめて見てきたので、にこっと笑って首をかしげれば
しかめっ面をほんのり赤くして手元の文庫本に視線を戻した。ウブ男はちょろい。

「むうーっ!んぐぐ!むぐうーっ!」
苦しそうにもがいているので手を離してやった。
「ぷはー!何すんのー!」
「あんたねぇ…」
顔を寄せ、声のトーンをうんと低くする。
「それ禁句だって言ったでしょ!」
だってー、とメグが不満げに唇を尖らせた。
「本当のことじゃん、リカのせーへき」
「べ、別に性癖じゃないもん!…ただ何てゆーの?舐められるのが人よりもちょーっと好きなだけだもん…」


399:ヘタレ男と高飛車女(4)
08/03/14 23:09:31 C1ji+rjY
 
 
メグは呆れているような引いてるような様子で口元を引きつらせた。
「あたしだったら好きな人に自分の股間舐めさせるなんて恥ずかしくて死んじゃうよ」
その恥ずかしさもスパイスになるんだってば、と思ったが口には出さなかった。
これ以上クンニマニアなどと言われる要因を作っていけない。

そう、あたしはクンニが大好きなのだ。もはや『人よりちょーっと好き』なんてレベルではない。
テレビで筋肉くんが出る度にクンニを連想してしまう程なのだ。重症なのだ。
それは中2の時、3人目の彼氏によって開拓された。
当時からあたしは年上好きだった。
そして大人に異常に好かれた。まだロリコンの意味を知らなかった。
2人目の彼氏と初体験を済ませたあたしは当然3人目ともエッチをすることになった。
 
 
彼の部屋のベッドの上でじゃれ合っていたら、そーゆう雰囲気になった。男と女だもんね。
何度もキスをされて、舌を絡ませ始めたあたりでパンツの中に手を入れられた。
特に抵抗もせずに足を軽く開いてあげた。
彼が優しく笑って、チュッと音をたてて首筋に吸い付いた。
割れ目をさすられる、いやらしい心地よさ目を閉じると耳元で喜々とした声があがった。
『わ、リカちゃんてパイパンなんだね!』



400:名無しさん@ピンキー
08/03/14 23:27:04 spAgQExC
私もマニア的支援

401:ヘタレ男と高飛車女(5)
08/03/14 23:39:25 C1ji+rjY
 
 
「んっ…!パイパ…?」
知らない単語に反応し目を開くと、
『パイパン。ここに毛が生えてないことだよ。剃ってるの?』
彼は笑顔を輝かせながら、クリトリスを親指と中指で上下にしごき始めた。
「あんっ…剃って…ないよ…っ!リカの…やっ…はぁん!んっんっ…!喋ってるんだから…ぁ…手止めてぇ…!」
『ははっ、ごめんごめん!一生懸命しゃべる姿が可愛くてつい』
そう言いながらも手を休めようとしない彼の腕を起き上がって掴んだ。
「はぁっ…ちゃんと聞いてよっ!リカは元から体毛が薄いのっ!だから…その…下も全然生えなくて…」
だんだん恥ずかしくなり口ごもったあたしを見て、彼もゆっくり起き上がった。
そっかあ、と微笑みながらあたしのYシャツのボタンを外していく。
『リカちゃん、それは悪いことじゃないよ。むしろ好都合ってゆうか』
「好都合?」
『うん、こちら側としてはやりやすいというか…』
なんのことを言ってるんだと訝しげな顔をしていると、
彼は『百聞は一見にしかず』と目を光らせた。



402:ヘタレ男と高飛車女(6)
08/03/15 00:06:15 2c4Z+j3v

そして『あ、せっかくだし』と言うとYシャツのボタンを留め直してしまった。
「え…エッチしないの?おしまい?」
拍子抜けして聞く。
『ううん、これからだよ。でも制服着たままの方がそそるし!あ、パンツだけ脱いで。靴下は履いたままで。リボン着け直しといて』
何を言っているんだ。
彼の企みが理解できないまま、とりあえず言われた通りの格好になる。
ベッドから離れた彼は部屋の照明を明るくして、タオルを一枚持ってきた。
ますます訳がわからない。
股間のスースー感に身をよじりながら、彼を見上げると『準備完了』と親指を立ててきた。
『じゃあリカちゃん、ねっころがって良いよー』
額にキスをされて、ゆっくり押し倒された。
次はばんざいしましょー、とまるで赤ん坊相手のような口調で指示される。
今は149センチだけど、まだ成長期なんだからね!なめてると痛い目にあうわよ!チビの恨みは怖いぞバカ!と胸中で文句をたれていたら、
『できた!』と彼の陽気な声が聞こえた。
手首に感じる違和感に視線をやると、タオルで器用に縛られていた。



403:名無しさん@ピンキー
08/03/15 00:08:10 2c4Z+j3v
本編?というかヘタレ登場まで、もうしばらくかかります。
序盤が長くてすいません…

404:名無しさん@ピンキー
08/03/15 00:21:45 mKjwkl3j
全然おk
いい流れだわー
男性目線だとこういうのないんだよね

405:名無しさん@ピンキー
08/03/15 16:23:30 494771Yc
超紫煙

406:ヘタレ男と高飛車女(7)
08/03/16 01:38:59 YpLIvAFo
 
さすがに身の危険を感じる。縛るってやばいでしょ…

「ちょっ…なにコレ?!」
『あー…リカちゃんさ、クンニって知ってる?』
質問を質問で返されムッとする。
「知らないっ!それより解いてってば!」
『やっぱり。あのね、初めてだと抵抗あるだろうし、暴れられたら楽しめないからさ。ちょっと我慢して?』
あたしの太ももをやんわり撫でながら、眉を下げて申し訳なさそうに彼が言う。
子犬みたいな表情にドキっとしちゃうよ。
「わ、わかった。痛いのなしだよ?」
負けじと、とびきりの上目使いで言ってやった。
『痛くなんてないさ。うんと気持ち良くさしてあげる』
そう言うと彼は下の方に下がっていった。
なにかの儀式なのか?顔付きは神聖なことでも行なうかのように真剣だ。



407:ヘタレ男と高飛車女(8)
08/03/16 01:39:38 YpLIvAFo
 
すると突然足首を掴まれ持ち上げられた。
その手の冷たさに「ひゃっ」と声をあげ驚いていると彼はあたしに向かって力をかけ、閉じたままの膝を曲げて太もも全体をお腹にペタンとくっつけてしまった。
スカートがパラリとめくれる。
シワになることを心配し脱がせてと訴えると
『そこは譲れないよ。十分気を付けるから履いてて』と懇願された。
不満だったが、それは次の瞬間吹き飛んだ。
『オープン!』
彼が楽しそうに言うと、あたしの膝に手を当て一気に広げたのだ。
「…っ!」
あまりの恥ずかしさに叫ぼうとしたが声がでなかった。
彼は足の間を凝視する。荒い呼吸が聞こえてきた。
こんな明るい部屋でまじまじと他人に秘部を見られている…こんな屈辱初めてだ…!
「っ…やっやめて!見ないで!電気消してよ!やだっ!お願い!」
やっとのことで声を出し、まくし立てる。
しかし彼は何も聞こえないかのようにそこに顔を近付け
『いただきます…』とささやいた。



408:ヘタレ男と高飛車女(9)
08/03/16 01:40:39 YpLIvAFo

まさか…と思った時には遅かった。
彼の舌が秘部全体をベロリと舐めあげたのだ。
「いやぁ!汚いよっ…そんなとこ…あっ…だめ…やああ!」
続けざまに舐めあげられる。
半分パニックになり涙が止まらない。
『汚くないよ…舐め甲斐のある綺麗なおまんこだよ…』
彼のくぐもった声が股間から聞こえる。恥ずかしさが頂点に達し目をギュッと閉じた。
「だめぇ…!やぁぁ…」
―チュッチュッ
大丈夫だよ…とでも言うように彼が2度優しくクリトリスを吸った。
しかし恥ずかさのあまり恐怖を感じていたあたしには大丈夫とは思えなかった。
『一度イッたら緊張もほぐれるかな』
泣きじゃくるあたしを見て彼はつぶやいた。
そして指を一本ナカに入れると軽く曲げて出し入れをし始める。
「あぁっ!はっ…やぁ!んっんっんぅぅ!あぁん!」
 


409:ヘタレ男と高飛車女(10)
08/03/16 01:41:13 YpLIvAFo

クチャクチャクチュッ…
粘膜をこすられる音が弾みを付けて聞こえてくる。
「あっ…あぁっ…!」
涙はいつの間にか止まり、恐怖の代わりに快感につつまれた。
彼は指を出し入れしたまま再びクリトリスに吸い付いた。「…っ!あっあっあっ!いやぁ…はんっ…!きも…ちいい…よぉ…ぁん!」
それを聞いた彼は指を更に激しく動かし、吸い付いたクリトリスを舌先で激しくこねる。
「もっ…だめぇっ…いっちゃうぅ…あぁん!いっちゃうよぉ…っ!ぁっあぁぁん!イクっイクぅ!!!!!!はぁぁぁん!!!!!!」
腰を跳ねらせてあたしはイッた。頭がしばらく真っ白。ぷかぷか浮いてるみたい。気持ちいー…。
うっすら目を開くと満足そうな彼の顔が映った。
『気持ちいいでしょ、クンニ』
声を出すのが億劫でコクコクとうなずく。
『緊張もほぐれたし再開しよっか!』
言い終わらない内に彼は再び顔を股間にうずめた。
 


410:名無しさん@ピンキー
08/03/18 19:41:52 j3Wb6t9D
続きマダー?

411:名無しさん@ピンキー
08/03/24 19:24:28 PN8VXwt5
捕手

412:名無しさん@ピンキー
08/03/25 19:03:16 UdyWUosL
また過疎かよ!

413:名無しさん@ピンキー
08/03/25 21:43:47 am2xBIRK
>>409
続き…

414:名無しさん@ピンキー
08/03/26 23:51:48 5ULL9LYC
質問
ファンタジー系の作品って以前は投稿されていたよね?
それっぽく書けていればファンタジーでも投稿おk?

415:名無しさん@ピンキー
08/03/27 00:06:15 kORCUfd8
いいと思う
あ、エロスをお忘れなくwお待ちしてます

416:名無しさん@ピンキー
08/03/28 19:44:00 wcUn5Jiz
待ちつつ保守

417:名無しさん@ピンキー
08/03/30 17:17:01 5wpaVF8j
投下町

418:名無しさん@ピンキー
08/03/31 23:37:16 n6GDfSws
自分のSSがどこまで女性に通じるか試そう思ったが、
投下された作品見てギブ。

俺は死んだ。スイーツ(笑)

419:名無しさん@ピンキー
08/04/01 00:17:00 G0HAjncv
自分の性別を伏せて思い切って投下していただきたかった。
あとスイーツでないのも好きって人はいますよ。愛が無い話ばかりになるのも辛いけれど。

420:名無しさん@ピンキー
08/04/01 00:32:16 bIpQvjhl
男性と女性の嗜好って違うよね。
でも、人によっても違うし、何でも歓迎!

421:名無しさん@ピンキー
08/04/01 00:47:48 OHMpvwrY
>>418
投下してくれれば良かったのに
個人的にこのスレのSSすごく楽しめる
逆に男の人向き?なSSは読めないこともある
人それぞれだね
とりあえず投下して~

422:名無しさん@ピンキー
08/04/01 00:50:36 3CBxhzYF
一度読んでみたいので投下願う。

423:名無しさん@ピンキー
08/04/01 01:07:27 V3LrtfWF
今他のも書いてて、新作投下できないから、また今度既作を転載させていただきます。

小生、ついに女性相手に羞恥オナニーをしようとする我が身に畏れを覚えました。

424:名無しさん@ピンキー
08/04/03 09:42:26 QbK851Dc
保守

425:名無しさん@ピンキー
08/04/07 20:26:33 p3lDoCXZ
黒澤君待ち保守

426:名無しさん@ピンキー
08/04/10 09:14:02 3yx0ZX/t
黒澤君カモーン

427:名無しさん@ピンキー
08/04/12 02:18:09 YRTDewvy
ヘタレ男と高飛車女続き待ち保守!

428:名無しさん@ピンキー
08/04/12 08:49:31 2jLlqra8
>>418
情けない男だな。誘い受けにしても包茎短小で見苦しい


とりあえず繭子たんを楽しみに待つ俺も保守

429:名無しさん@ピンキー
08/04/14 18:39:04 ZKAV72P6
待ち

430:名無しさん@ピンキー
08/04/17 06:28:16 VRThmW7p
補習

431:名無しさん@ピンキー
08/04/19 19:09:34 y9WpzZ7d
保守

432:名無しさん@ピンキー
08/04/21 21:20:42 V/Zyc6Hr
支援

433:名無しさん@ピンキー
08/04/24 00:12:44 9WM0vTtx
職人さん待ち捕手

434:名無しさん@ピンキー
08/04/27 23:40:22 uldyQ677
スレ1の虜囚ってもう読めないんですか?かなり前のものだと思うんですが

435:名無しさん@ピンキー
08/04/28 01:32:25 2YKZtxS2
>>434
ここの1に過去スレへのリンクがあって、1とか2とか読めるのでそれで。
あと縮刷版に作者さんサイトへの行き方があるので、それでも。


436:名無しさん@ピンキー
08/04/28 20:48:41 0pfMm70J
ほっしゅ

437:名無しさん@ピンキー
08/04/30 18:56:46 5HSYi7jC
そろそろ投下してくれー

438:名無しさん@ピンキー
08/05/03 15:24:40 Sq8Gt05+
黒澤きゅん…

439:名無しさん@ピンキー
08/05/04 18:10:49 2lWCeelA
GW保守

440:名無しさん@ピンキー
08/05/05 00:44:02 XjFomuQo
短めのやつをうpしようと思っているのですがおkかな?

441:名無しさん@ピンキー
08/05/05 01:38:28 sfqNGJOp
ばっちこ~い

442:440 (1/3)
08/05/05 01:55:30 XjFomuQo
いつも感じる、背中に突き刺さるような視線。
思わず振り返れば鋭い目付きの男性が資料を読み進めている男。
あぁ、まただ。また見られていた。
気にせずに、作業を再開するのにやっぱり気になってしまう。
スカートのポケットに入れていたケータイのバイブが振動する。

深夜のオフィスで全裸になったあたしの胸を揉みしだきながら、あそこに入れた指を動かす。
十分にされた愛撫に蜜がどんどん溢れ出てくる。
次第に音が大きくなる水音に身体がもっと火照っていく。
もっとして……下さい。
恥ずかしくて口にはしない言葉。
けど、この人は察してくれるようでいつも気持ち良くしてくれる。
指の出し入れが早くなっていくよ。
乳首も痛いぐらいに沢山摘んでくれて声が抑えられない。
あ……指引き抜かないで。もう少しでイキそうだったのに。

机の上に押し倒されて両脚を開かされて、何かが触れる。
やだ、今度は貴方ので感じさせてくれるの?
時間をかけてからしてくれるのに、なんだか切羽詰っているみたい。
昨日も一昨日もしたのにあたしがそんなに欲しいのだ。

443:440 (2/3)
08/05/05 01:56:13 XjFomuQo
昼にはあんなに厳しい目線を送っているのに、夜はこんなに優しくしてくれる。
スーツをばっちり着こなして髪の毛も整えているのにね。
今はジャケットを脱いでネクタイは外している。オールバックの前髪が額に垂れているよ。
乱れた彼の姿を見ているのはここで働く人は知らない。そう、あたしだけしか知らない。

は、入ってくるぅ。ゴム越しなのに熱くて、凄く硬いの。
ゆっくり、そう、ゆっくり入れて。
奥まで届いてそんなに慣れていないから苦しいや。
動くの? いっぱいしてもいいよ、夜景に照らされた貴方の表情を見つめていたい。
すごいや……初めっから激しいなんて。
グチュグチュって音大きいし、あたし濡れすぎ。
「やだ、熱い」
「お前の中はそれ以上に凄いけど? エロい表情もそそるし」
お互いに見つめ合って微笑む。
そして、舌を絡ませるキス。

ホント、こんなの彼誰にも教えたくないよ。

いっぱいピストン運動されて吐息が漏れていく。
大丈夫、ただの吐息だから。警備員さんに見つかるわけがない。
癖ついちゃったね、ホテルとかでしている時にうまく喘ぎ声出せるかな?
頭がボーっとして全身がビリビリ痺れていくような感覚。
やばい。さっき中途半端に指でされていたからイッちゃうかも。
って、突き上げるように動いてこないで。一緒にイキたいのに。
だ、ダメ。本当に、イッちゃう! イ……くぅ……。
ゴム越しに彼のも痙攣して、熱いのを放った。
なんだ、結局一緒にイッちゃった。

444:440 (3/3)
08/05/05 01:58:19 XjFomuQo
彼は後処理をし、あたしは服を着てから、ふと思った。
セックスしているのばれたら彼、クビにされるし。
あたしはインターシップだから大学に報告されちゃって、下手すれば退学かも。
今更だけど彼の家でした方が安全じゃない。あたし、気が付くの遅い。
「ここでするのは止めない?」
「何で?」
「警備員さんにばれたら会社、クビにされるよ」
「そうかもな。でも、昼と夜の態度の違いが楽しめるからここでしたい」
……あはは、思わず顔が引きずるような答えを出したよ。
ま、いいけど。

翌日、いつも通りの雑用が続く。
と、やっぱりあの視線を背後から感じ取れた。
昨晩と今日とのギャップがあまりにも激しすぎて、口元が緩んでしまう。
あたしは冷たすぎる視線を浴びながら、今晩も行うだろう熱すぎる情事に胸が高鳴った。

おわり。

445:440
08/05/05 01:59:53 XjFomuQo
以上です。
うまく30行で切れなくて、微妙なところで切ってしまったので
読みづらかったらごめん<(_ _)>

446:名無しさん@ピンキー
08/05/06 16:14:31 8M1fGO7e
よかったよ。
なんかぐっときた。
妙にリアルで臨場感があるのがよかった。

447:名無しさん@ピンキー
08/05/07 20:31:39 R58w396M
GJ!

448:440
08/05/10 00:40:32 zn4fKuiy
感想ありがとうございます。
スレが過疎化しているので、何にも反応がなかったらと不安でした。
※をいただけけただけでも感無量です(*ノ-;*)

書けたとしてもSSぐらいですが、機会があればうpしに来ます。

449:名無しさん@ピンキー
08/05/10 03:00:50 1WfHfbFS
投下してくれてありがとう
大好きなスレだから過疎って悲しかった
またSS投下しに来てね

450:sage
08/05/10 20:11:31 yPv9qW1n
GJ

451:名無しさん@ピンキー
08/05/13 14:10:43 QGYtWGPy
SS投下希望~

452:名無しさん@ピンキー
08/05/14 00:35:44 1A4h1hj/
>>445
ありがとう。良かったよ。
次に期待しているのでちょっと言わせてくれ。
インターンシップ、 顔が引きつる
     ^^^           ^^^^

453:名無しさん@ピンキー
08/05/14 23:49:05 raWmn2sk
良作豊作ホックホク~

454:名無しさん@ピンキー
08/05/16 09:39:53 zA/TRFaD
保守しまぁす

455:名無しさん@ピンキー
08/05/17 00:33:25 fUxJ+l+B
黒澤君マダー?

456:名無しさん@ピンキー
08/05/20 00:31:47 qZGY4moT
投下してくれるのならなんでもええ。
保守。

457:名無しさん@ピンキー
08/05/22 09:00:24 3I0mLVMo
>>456
投げやりね
でもそんな貴方も好き…

保守


458:名無しさん@ピンキー
08/05/22 20:13:02 BONK12Tz
黒澤君&繭ちゃん、いいね。
次の投下が楽しみです。

それにしても、このふたりラブラブになったら絶対、「大奥ごっこ」とか
「越後屋プレイ」とかするよねw

459:名無しさん@ピンキー
08/05/23 16:32:38 48ekQ8WF
すいません
「ごっこ」とか「プレイ」とか一体何のことですか
無知な私めに事細かに説明して下さい

460:名無しさん@ピンキー
08/05/24 01:08:15 hadA6VNq
>>458
「そちも悪よのぅ、越後屋…」
「えっへっへ、お代官様こそ…」

…これはプレイなのか?www

461:名無しさん@ピンキー
08/05/24 20:48:32 BW2cDbh4
>>459
「上様、どうかお許しを」
「フハハハ…良いではないか良いではないか~」
 ほどけた帯(or腰紐)を引っ張ると女の体がクルクルと回る
「あ~れ~!ご無体な~~~」

という脱衣プレイ

462:名無しさん@ピンキー
08/05/25 11:40:10 bVEsrsRf
>>461
なんかワロタw

463:名無しさん@ピンキー
08/05/26 20:39:35 YH80qze0
>>461

漢の浪漫だ

464:名無しさん@ピンキー
08/05/28 01:29:31 7JA+FF5Q
>>461
それで投下お待ちしてますw

465:名無しさん@ピンキー
08/05/29 01:17:18 1p11dKsU
こっそり
鮮魚センター
とつぶやいてみる

466:名無しさん@ピンキー
08/05/30 00:58:17 yo/R0tUK
ロリっ子ハードル、とかもつぶやいてみる。

467:名無しさん@ピンキー
08/05/30 03:56:10 bQLZio1j
意味がよくわからな

468:名無しさん@ピンキー
08/05/30 23:10:44 TG2XjGp9
水沢君とさくらちゃんの再登場を待っている俺は一体

469:名無しさん@ピンキー
08/05/31 18:19:38 esRimARN
誠司と千佐子の再登場を未だに待っている俺は一体

470:名無しさん@ピンキー
08/06/02 19:30:47 gfldc4he
ホシュ

471:名無しさん@ピンキー
08/06/05 17:24:27 arIlJ+9B
黒澤君、お待ちしてます。

472:名無しさん@ピンキー
08/06/07 02:30:47 fWqzryJB
   | \
   |Д`) ダレモイナイ・・投下スルナラ イマノウチ
   |⊂
   |

そういう訳で、拙いですが投下させてもらいます。
元々ここ向けに書いていた物だったんですが、
なりゆきでで別スレに既に投下しちゃった奴です(つっても2年前ですが)。
枯れ木も山の賑わいという事で、場の繋ぎにでもなれば嬉しいです。

473:無題 1/3
08/06/07 02:31:40 fWqzryJB
どうしようどうしたらねえどうしようごめんなさい

そんな言葉は彼に届くはずもない。
うなじから耳にかけて、舌で舐めあげられる。熱い。それだけで体の中心から、また
零れ出してしまう。私のなかをかき乱している指を、また締め付けてしまう。
体育館に通じている非常階段の踊り場。遠くでバスケ部の練習の声が聞こえる。
耳元で、クッと喉がなる音がした。軽蔑されたのかもしれない。こんなところで、しっかり
濡れている私は。ひどい格好だ。シャツはボタンが外されて胸だけが露出するように
なっているし、ブラもホックが外されている状態。ショーツは足首のところで絡まっている。
もしかしたら、もしかしたら誰かがここを通るかもしれないのに。

「なんで、逃げたの」

熱っぽい吐息と共に、彼が言葉を吐き出す。体がびくびくと震える。
だめ、この人の声だけで私は。私は。

「ねえ……」
「…ぁ……んん…っ」

何も考えられない。あまり触ってもらえなかった敏感なそこを、こねくりまわされる。
長く美しい、私の好きな彼の指で。
きっと私はこの上なく、うっとりとした顔をしていたと思う。だから、指を引き抜かれて
彼と向き合うように体を回された時、ひどく残念だった。腹立たしくもあった。

「答えてよ」

私のなかから引き抜いた指を舐めながら、彼が問う。ああ、その目が好きだ。
太腿にとろりと、零れる感覚がした。

「あ……ごめんなさ…その、私、」
「ホテルのロビーから、君が見えた。声、かけようと思って外に出たのに、なんで」

474:無題 2/3
08/06/07 02:32:24 fWqzryJB
昨日の話だ。ガラス張りの戸の向こうに彼がいた。私はたまたま通りがかっただけ。
まさか会うとは思わなかった。そして彼は女の子といたのだ。少し離れた高校の制服。
なのに、まさか、彼が私のもとにわざわざ来ようとするなんて。

「なんで、逃げるの」

舐めていた指を、そのまま私の口のなかに突っ込む。犯されている。彼に犯されている。
私は彼の手を取ると、指を舐めあげた。そして彼のものを奉仕するかのようにしゃぶった。
好き、彼の指が好き。
とても久しぶりだった。こんな事をするのも、彼に触れるのも、彼に触れてもらうのも。
彼に触れてもらえなくなって、1ヶ月。その間、彼は全く単なるクラスメイトとして振舞ってきた。
何故彼が触れてこないのか、怖くて、全くわからなくて、私はただ心が空ろになったいったの
を覚えている。でもどこか頭は冷えていて、仕方がないと思ったのだ。突然始まった関係は、
突然終わるものだろう。そう納得したのに、昨日はきっとどうかしていた。

「だって、もう耐えられない……」

あなたこそ、なんで近づいてくるの。
彼が、私以外の女の子と一緒にいる。それも仕方がないと思っていたはずだ、少し前なら。
なのに悲しくて、耐えられなくて、そして体が疼いてしょうがなかった。

「あの時話していたら私、きっと馬鹿な事言ってた。軽蔑されてもおかしくない、いやらしい事」

指から唇を離して、少しずつ話す。目は合わせられない。怖い。
すると顎を持ち上げられたかと思うと、キスをされた。舌が入ってくる。いつもより乱暴なキスだ。
そういえば、今日初めてキスをしたなと思った。
私は本当に馬鹿な女だった。彼の行う全てに欲情し、すぐ濡らす。
キスが久しぶりで、それでも私は確実に幸せを感じていて、涙が零れた。
唾液を交換しながら、舌を絡めながら、階段に座らされる。
唇が離れて、彼が目尻の涙を舐め取った。そしてそのまま額にもキスされる。

475:無題 3/3
08/06/07 02:32:52 fWqzryJB
「言ってよ」
「……え?」
「今。そのいやらしい事」

少し微笑んだように思えるのは気のせいだろうか。
その表情があまりにもきれいで、見とれてしまっていると、ほら、と彼が催促する。
それでも口にするのはためらいがあった。

「……いっぱい……して…。いかせて…」

やっとの思いで、口に出す。羞恥で声が震える。きっと真っ赤な顔をしている。
こんな風にねだった事などなかった。
おそるおそる彼を見ると、今までに見た事のない目の色をしていた。
軽蔑された? 嫌われた? わからない。
けれども不思議と怖くない。そんな事、今までなかった。
彼は、私の足を開かせた。どろどろしたそこが丸見えだ。

「ぁ、やぁっ…何…」

一瞬ひるんでしまって情けない声を出してしまう。
彼は構わずに私の中心に唇を寄せた。そして、嬲られる。

「ん、や、やぁ、あ、」

舌で、その啜る音で、指で、追い詰められる。
何より、彼が彼が私に触れている。
その事実が、

「ぁ、は、いい……っ あ、んん、好きぃ…」

もう何が何なのかわからない。私はうわごとのように、好きと繰り返した。

ああ、そうか。
頭が朦朧としていく中、ひとつだけわかってしまった。
逃げたのも、耐えられないのも、彼を欲したのも、全部、そうだ。

私は彼が…


End.



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