08/05/05 01:08:03 rvTWCzoO
深夜にこっそり投下。
SS初挑戦なのでお見苦しいところもありますがご容赦くださいますよう。
あと、飲尿ネタなので苦手な方はどうぞスルーしてください。
「ねー、おにいたまー。これはなんていうどうぶつさん?」
「これかい?これはね、ライオンっていう動物さんだよ」
「ライオンさんかー、かっこいいね」
兄の隣で小さな雛子が、オリの中のライオンをじーっと見ている。そんな無邪気な妹の頭を
なでてやると、雛子は兄の顔を見上げて「えへへ」と嬉しそうにはにかんだ。
初めて見るライオンの逞しさに興奮している雛子の手を取って、兄は次のシマウマのオリへと
向かった。そこにはすでに家族連れが何組もいて、子供にシマウマを見せてやれるポジションを、
しっかりと陣取っていた。
(・・・やっぱり混んでるか。まぁ、しょうがないけど)
ここは都内でも特に大人気の動物園であり、ましてや今日はGWの中日、日曜だ。雛子を
連れて遊びに来る事を決めた時点で、ある程度の混雑は予想していたが、まさかここまでとは。
ふと下を見ると、雛子が兄の服のすそをくいくいと引っ張り、心配そうな顔をしている。
「おにいたまぁ、シマウマさん見られないの?」
「ちょっと待ってね・・・よし。雛子、肩車してあげるよ」
「やったー!ヒナ、おにいたまにかたぐるまするの、だーいすき!」
元々身長は高い方だ。肩車なら見えるだろう。兄はしゃがみこみ、雛子の太ももの間に、
頭をくぐらせた。
「それじゃ立ち上がるよ。だいじょうぶ、雛子?」
「だいじょーぶ!」
雛子の元気な返事を合図に、兄は立ち上がった。体の前にぶら下がった、赤い靴と、
青のストライプのソックスをはいている雛子の足をしっかりと掴んでから、雛子に訪ねた。
「どうだい、雛子。見えるかい?」
「うん、すっごくよく見えるよ!シマウマさんがバケツからお水のんでる!」
雛子がはしゃいだ様子で答える。シマウマにぶんぶんと大きく手を振っているようで、
体重が移動するのを感じた。
「こらこら雛子、あんまり動くと落っこちちゃうよ」
「へーきだもーん。ねえねえおにいたま。ヒナはお水をのむときにコップつかうのに、
どうしてシマウマさんはコップつかわないの?」
兄は苦笑した。子供って、ホントに変な所を気にするもんだなぁ。
「うーん、シマウマさんは手が使えないから、コップが持てないだろ?だからそうやって、
バケツから直接飲むんだよ。でも、お行儀が悪いから、雛子はマネしたらダメだよ?」
「ふーん、シマウマさんておててがつかえないんだ。ヒナはつかえるよー」
そう言って、ふたたびシマウマに向かって手を振り出した雛子の足を、兄はもう一度、
しっかり支えなおしてやった。