08/07/02 15:22:37 TAisfF5r
何故先輩達の方が先だったのかはわからない。
食いでがあったのかもしれないし、先に目が覚めてアレの気を引いてしまったからなのかもしれない。
とにかく目が覚めたときには、哀れ一人目はすでに声も上げない■■■になっていた。
つんと激臭が鼻を突く。
コンクリートの外壁をブラウン管がほの淡く照らし出す、まるで腐りきった水槽の中に居るみたい。
水底で、ぼりぼりと音が響く。脈絡もなく小学校で飼っていたザリガニを思い出した。
出来れば聞いていたい音ではなかったが、あいにく耳は塞ぎたくても塞げない。
何故かといえばといえばこれが椅子に縛り付けられているからで、さっきからぎりぎりと締め付ける縄が痛いほど。
ボンレスハムというのはもはや比喩でもなんでもなく、きっとあたしの皮膚は少しどす黒く変わってると思う。
あまりにも執拗な捕縛、逃げられないようという次元を通り越して、何をされようとも一切の抵抗が出来ない縛り方。
もちろん視線を逸らすこともできない。こっちは別の意味だけど。
ぼりぼりと、音が響く。
化物が大腿骨を咀嚼する。二足歩行のために発達したそれを、実にまずそうに口の中へと押し込んでいく。
「死ニダグナイ、死゛ニダグナイ、死゛ニダグナイ」
嗚咽とともにそんなことを喚く。
それでも口に詰め込む手を休めないので、そのたびに髄液が汚らしく飛び散った。なんというか顔にかからないのが幸いか。
口の中まで胃液が充満しているのか、骨は一分も持たずに原形を失って、化物は一息にそれを飲み下した。
と、土気色の顔色をさらに一変させ部屋の隅へと駆け寄る。
吐いた。
デロデロと黄色とも茶色とも取れる、さっきまでピンク色をしていたたんぱく質の塊を、もはや変質しているたんぱく質の塊の上にぶちまける。
つんとした激臭が、さらに鮮度を増して部屋の中に充満する。