07/06/28 20:58:08 ZfEP8ld5
私の楽しみは、夜の海を泳ぐこと。今夜も、暗い珊瑚の森へとでかけよう。
昼とは違い、夜は危険な魚もあまり姿を見せない。
私のようにあまり速く泳げなくとも、不安はない。
そう思ったのが、誤りだった。
突然のことで、何が起こったのかはすぐには理解できなかった。
槍が、私のお腹から飛び出していた。
遅れて、痛みがやってきた。
逃げないと!
暴れ出しても時既に遅く、槍が引かれ、私の身体も引き寄せられていく。
巨大な腕が私の胴を掴み、海から引き上げる。
血が喉まで上がり、目の前が、夜の海より暗くなる。
「 で っ か い 魚 、 獲 っ た ど ぉ ー 」
巨大な生き物が、私には解らない唸りをあげる
巨大な腕に運ばれ、私は生まれて初めて陸の上へ上げられる。
血も流れなくなり、既に意識も朦朧としている。
その傷に、何かが擦りこまれる。
痛みは感じるが、抵抗する力も無い。
再び腕が私を掴み上げ、眼下には油が広がる。
熱気が顔を襲う。
指が私を解放し、私は煮え立つ海へ帰っていく。
ジュッバアァァァ
身が煮え立ち、焼かれ、意識とは関係なく尾が跳ねる。
「 う お ぉ ぉ 、 美 味 い ど ぉ ー 」
化け物が何か吼えるのを聞きながら、
私はその腹の中へと墜ちていった。