戦国BASARAでエロパロ 信者4人目at EROPARO
戦国BASARAでエロパロ 信者4人目 - 暇つぶし2ch800:続 性のあれこれ1
08/06/30 03:12:48 wNJM06sK
かすがは、捕らえられていた。
敵陣の真っ直中で多数の男達に乳房を揉みしだかれ、乳首を吸われ、陰核を舐め回され、膣を指で掻き回される。
一通り弄ばれ、膣を掻き回していた男がかすがの前髪をぐいと掴み、生暖かい息を吹き掛け囁いた。
「可愛い面して、女陰はぐちょぐちょだぜ…雌猫よぅ。入れて欲しくて堪らねぇんだろぉ?」
「…………」
かすがは答えない。自分の蜜が絡んだ中指を頬に押し付けられても、ふん、と男からわざとらしく顔を逸すだけ。
「ぶち込んで欲しいんだろぉ!今の状況判ってんのかぁ?!」

ばしっ。

手甲をしたままの手で思い切り頬を張られる。白い頬はみるみる腫れ上がり、切れた唇の端から一筋の血が流れて滴った。

―確かに―

こいつ等の行為に身体は反応している。乳首は隆起して女陰から蜜は滴ってはいる。

―だがな―

かすがはぺろりと舌で血を掬い上げると、目を細めて唇を窄めた。彼女を打った男を見つめる。

―私はくのいち―

媚びる様な視線におののいた男達の下卑た笑いを余所に、俯いたかすがは実にふてぶてしく目を爛々と光らせ唇を歪ませる。

―貴様等の精、ごっそり抜き取らせて貰うさ―

801:続 性のあれこれ2
08/06/30 03:14:25 wNJM06sK
「おっ、おっ、おっ…うぅっ!」
かすがの金色の髪を陰茎に絡ませながら、男は彼女の口腔に精を吐き出す。
震える陰茎をずらして亀頭を舌で刺激すれば、じわりと更に精液が迸った。ぶるぶると首を揺すり絶頂を迎えた男を尻目にかすがはすかさず彼女の乱れた姿に欲情していた男の陰茎を咥え込む。

―もっと、だ―

「くあぁっ!」
かすがの膣を突き上げていた男が同じく震えて彼女の子宮に精を吐き出した。

―まだだ、まだ…!―

じゅぽじゅぽと音を立てて陰茎を啜るかすがが、尻を突き出し白濁した液を膣から滴らせれば。また別の男が花に誘われる蜜蜂の様に女陰にむしゃぶりつく。

「おぉ、おぉ!畜生、こんなにぐちょぐちょのゆるゆるにしちまいやがって…」
わざと音を立ててかすがの膣に指を突き立てる男が、多少残念そうに呟いた。
それでも膣に陰茎を突き立て、激しく男は腰を振る。


「うおぉう!」
「くはぁっ!」
「らめぇぇっ!!」

―半刻も立たぬ内に―

白濁した液体を滴らせ、ふん、と息を吐くかすがの周りに奇妙な赤い玉を転がした男達が地に伏していた。

「貴様等の精、たっぷり受け取った」

呟いたかすがの肌は、やけに艶やかだった。男達の精を搾り取り、満面の笑みで彼女はその場を立ち去ったのだ。

802:続 性のあれこれ出題
08/06/30 03:15:07 wNJM06sK
絶倫絶倫w
いやはや、くのいちは恐ろしい。
卿等も気をつけ給え。誘って来る「女」は必ず下心があるものだw

Q2:膣は性交を重ねると、緩くなる

Q3:何度も射精すると赤い玉が出て、「打ち止め」になる

Q4:精子は栄養満点だ

忘れた頃にやってくる。それが「性のあれこれ」だ。

803:名無しさん@ピンキー
08/06/30 23:21:37 Q9JjAaQT
>>802
懐かしのボンバーマン松永乙wwwこれ○×問題ですか?
××○かな……

804:名無しさん@ピンキー
08/06/30 23:46:31 /Mj6HNbo
らめぇで鼻水出たwww

えーと〇××かな?


805:名無しさん@ピンキー
08/07/01 15:48:47 xCJSeFTq
全部×にしてみる

解答編待ってます、松永先生!

806:名無しさん@ピンキー
08/07/01 16:42:02 Ztwr4bWb
性のあれこれキテル━━━(゚∀゚)━━━!
前回すごく笑ったので心待ちにしてたでござるよw

A:○××かなあ。
前全部×だったから今回もとは思うがあえて。
解答お願いいたしまする。

807:名無しさん@ピンキー
08/07/02 01:14:35 euSNLZC/
らめぇぇワロタww
くのいち本来の姿?のかすががかっこよかったですw

自信無いけど○××かなー。教えて松永先生。


808:続 性のあれこれ 解答編
08/07/02 02:19:28 NVvvmUhP
さて、解答だ。間違えた者は…(すっ、と指を翳して)……いやいや。先ずは卿達の聡明さを称えよう。
問参を誰も〇にしなかったのは素晴らしい。順序は逆になるが、問参から解説しよう。

簡潔に言えば、これは「親父ぎゃぐ」なのだ。昔の「ぱちんこ台」は打ち止めとなると目印として「赤玉」が出た事に引っ掛けて「打ち止め=赤玉」と言う。卿等の祖父に聞いてみてはどうかね?…まぁ、その後の祖父との関係については責任は持てないが、ねw

さて、問弐については…これも×だ。女人の膣は伸縮性に実に富んでいる。性交、更には出産でも膣が広がる事は無い。卿等の居る時代には「膣圧計」なる素晴らしい器具がある。それを使えば一目瞭然。
「名器」はいつ迄も「名器」だ。

問四だが…先ず、実際精液が一回の射精でどれ位出るのかから始めよう。

「5~7㍉㍑」

がっかりしたかね?しかも成分の殆どが水分で、たんぱく質や「こらぁげん」は数㌘という有様だ。栄養価等、たかが知れるだろうww
よって、これも×だ。
正解は全部×。くだらない都市伝説に惑わされず、楽しい「性らいふ」を贈り給え(指を弾く、後には火薬の焼けた匂いと焦げた地面だけ)


機会があれば、また今度。

809:名無しさん@ピンキー
08/07/04 16:06:42 u14or2il
松永先生、またぜひ来て下さいww



そういえば、松永のSSってまだ投下されてないよな。
松永×濃姫の凌辱ものとか読んでみたい…。

810:名無しさん@ピンキー
08/07/05 00:15:35 DL4STSXp
>>809
松永先生に凌辱される濃姫を妄想しようとしたのにただの不倫ものになってしまた
欲のままに絡み合う関係とかいいかも

「魔王の妻…とは形ばかりか?欲に餓えている獣の様な目ではないか」

とかなんとかいって破廉恥なことをし始める松永先生に
夫婦だけど夜のこととか一切ないから欲求不満な濃姫は抵抗ができない

松永先生は楽しみながら、濃姫は背徳感を感じながらも快楽に負けて身体を重ねる…

みたいなことを妄想した
でもまずなんでそんな関係になったかがわからん

811:名無しさん@ピンキー
08/07/05 20:03:41 vTvuvCDS
>>808
松永先生勉強になりますた!!
すでに自分の中で松永=先生になってきてるw


>>810
松永そういうの似合いすぎるw
ありきたりだけど、人質助ける為に松永んとこ行ったけど逆に捕まって……みたいな?

812:名無しさん@ピンキー
08/07/05 23:43:04 pD2Q3Mzp
人妻三人攫って柱に縛りつけて動けなくして
それぞれに三好三人衆あてがって無理矢理やらせて
それを杯片手に膝に猫乗せて眺める松永を受信した
そして達した順番に今度は自ら味わうと

813:名無しさん@ピンキー
08/07/06 11:01:28 nm4xXGbT
>>812
ひとりだけ三郎丸にボコボコにされてるんですね。わかりま(ry

814:名無しさん@ピンキー
08/07/09 01:17:37 1tT+D46l
まつ姉ちゃんはパッと見無害そうなのに一番怖いな

815:名無しさん@ピンキー
08/07/10 01:25:07 Y7nq+liC
それは旦那をしっかり尻に敷いているからですよw

北国のアイドルやうつくしきつるぎも先生の毒牙に!

816:名無しさん@ピンキー
08/07/12 11:33:39 YvtLreIP
これも花嫁修業の一環です、と教え込むんですね。わかります。

817:名無しさん@ピンキー
08/07/13 03:12:00 1id8POYJ
>達した順番に
とか言われると、順番が気になります松永先生!

818:名無しさん@ピンキー
08/07/13 12:40:41 yeeTycVe
>>810
書こうかと色々考えたが
どうしても、団地妻に良いよる宅急便の兄ちゃんみたいにしかならなくて辞めた
おいしいと思うんだけどなー

819:名無しさん@ピンキー
08/07/13 20:20:27 ftuKoJtq
そのまま書いたらいいじゃないか。
欲望のままに行動しろって、松永先生も仰ってるじゃないか。

820:名無しさん@ピンキー
08/07/13 21:14:42 PKdgOcez
冷静に書くより、欲望のまま勢いに乗って書いた奴の方が良かったりする
ソースは俺

821:名無しさん@ピンキー
08/07/15 07:57:45 lNhIgFv+
松永先生のお言葉には背中を押されますな
とりあえず下がりまくってるのでアゲ

822:名無しさん@ピンキー
08/07/17 19:12:02 WNYYQB7b
ところでわたくしはいつまでおんせんぷれいとやらをしていれば
よいのでしょうね? このままではとけてしまいますよ

823:名無しさん@ピンキー
08/07/19 23:32:15 T0zwI54/
>>822
どうぞ、そのままこころゆくまで、
おつづけくださいけんしんさま。
ごじつでかまいません、かすがさまとのじょうじをかたってください。

824:続々 性のあれこれ
08/07/20 01:11:39 kvELOkEZ
さて、そろそろ趣向が卿達にも判って来たと思うが、敢えて出題させて貰おう。
温泉…といったらこれだろう。

825:続々 性のあれこれ 蘭丸の日記
08/07/20 01:12:46 kvELOkEZ
蘭丸、今日はお城がいちぼうできる温泉に一番乗りでした。
お城をながめながらお湯につかってたら、なんだかワクワクしてきました。
そしたらチンチンがたってきたので思いっきりシコシコしてみました。
お城を見ながらチンチンシコシコするのはとても気持ちがいいです。
シコシコシコシコしてたら、湯船に白いの出しちゃいました。すっげ~気持ち良かったです。
濃姫さまが蘭丸の次に温泉に入ったんですが、白いのはバレませんでした。

そのあと、信長さまが光秀の変態ヤローのせいで行方不明になっちゃって…。でも色々あって、濃姫さまが光秀をぶっ殺したあと、濃姫さまに赤ちゃんが出来ました。

…でも、変なの。蒼いのが言うには、信長さまと濃姫さま「せっくすれす」とかいう、一緒に寝ない事だったみたいなのに…。
コウノトリが連れて来てくれたのか、玉菜(きゃべつ)に赤ちゃんがいたのかな?
でも、赤ちゃんができたのはうれしいことです。

信長さまが帰って来るまで、蘭丸が濃姫さまとおなかの赤ちゃんをまもります。

826:続々 性のあれこれ 出題
08/07/20 01:17:52 kvELOkEZ
……無邪気無邪気。

いやはや、実に恐ろしい。自分のした事に責任すら感じない、子供のいたずら…?
よくある話だが…どうかね?

問:湯船に射精し、その後妊娠する可能性のある女性が入浴すると受精する。

827:名無しさん@ピンキー
08/07/20 03:18:30 NBuZsWO+
>>825
蒼いの自重w

精子が膣の中に入らないかぎり妊娠はありえないでしょ
湯船の精液では受精しないに一票

828:名無しさん@ピンキー
08/07/20 08:40:23 UgBA8KHe
精子の保存は確か冷たい方が良いと聞いたので×だと
多分浸透圧の関係で生存出来ないと思います

829:名無しさん@ピンキー
08/07/20 09:50:33 93ABNuLs
精子は熱に弱かった気がする。×でお願いします、松永先生!

しかし空気に触れても死滅するって聞いたけど本当か?

830:名無しさん@ピンキー
08/07/21 21:22:02 u1jEmt4W
ヒトの体温より若干低い温度(35℃前後)が最適と聞いたから、風呂の水温じゃ無理

831:名無しさん@ピンキー
08/07/22 02:20:14 BESO93su
>>824
出た瞬間全滅wwww
卿達より卿等の方がいいんじゃないかと言って見る。

832:名無しさん@ピンキー
08/07/23 13:41:26 BGoBH9I4
質問だが、いつきで本番が少ないのって皆ロリ自重してるからだろうか?


後、話題には登るのになかなか書く人が居ないあのカプ・・・
慶次×まつ..._| ̄|○<ヨミテェ

833:名無しさん@ピンキー
08/07/23 14:27:49 qsfUey2e
>>826
いやいや、これは×でしょ松永様w
…×だよね?

834:名無しさん@ピンキー
08/07/23 15:29:33 cWiN8fSL
無印上杉軍のOPの後
暗殺者の寝返りなど簡単に信用できない
そこで、上杉への忠誠心を試すためだとか言って
かすがに兵全員の相手をさせてしまう腹黒謙信様(自分には指一本触れさせない)

をこっそりリクエストしてみる

835:名無しさん@ピンキー
08/07/23 19:02:15 /JqWbwi+
>>832
(゚∀゚)人(゚∀゚)ナカーマ
筆頭がいつきにおイタするのとか
KGがまつにセクハラするのとか
欲望のままに欲してみる。

836: ◆Al94qE2sQg
08/07/24 19:01:45 g0iq/C3H
赤いの×濃姫ってまいなー杉?

837:名無しさん@ピンキー
08/07/25 08:39:15 FiDgxcpz
マイナーだとは思うけど読んでみたい

838:名無しさん@ピンキー
08/07/25 09:48:14 igM4T9TM
無印の時から、幸村への濃姫様の台詞はやけにエロ美しい

839:名無しさん@ピンキー
08/07/25 10:09:15 RLG3kuTt
幸村みたいな女性に免疫がない、性的な事が未体験なタイプって
一回体験して性的な悦びを知ると、今度は逆に快楽に溺れて肉体を徹底的に貪りそうな気がする。

840:名無しさん@ピンキー
08/07/25 13:11:44 U0WTusY/
幸村って濃姫のことなんてよんでたっけ?
奥方?濃殿??

841:名無しさん@ピンキー
08/07/28 02:55:54 3c7BfclY
保守

842:松永×幼濃姫(1)
08/07/28 23:28:49 abycZ+vC
松永×ロリ濃姫(帰蝶)
需要がなくても構わない!
斎藤道三と松永先生知り合いだって言うから!!

…避難所送りにしたほうがいいですか?








美濃の蝮と呼ばれる男は、旧知ではあるが友と呼ぶにはいささか苛烈な間柄である。
世間は下剋上という言葉で松永と斎藤を並べたがるが、国盗りという言葉以外に共通項などありはしない。

否、一つ。

美しいものに執着する、耽美に悦楽を覚える人種、その一点のみで二人は交流を保っていた。

ある日、松永自慢の茶器へ餓えたような視線を送っていた道三が、ふと顔をあげた。

「今日の花は菖蒲であったか」
「左様」

道三自慢の花器に活けられた花は菖蒲。
今を盛りに美しい花、そのはかなさもまた哀れ。

「花器には収まらぬが、良い花が咲いておる。お見せしよう」
「それは興味深い」

競うように持ち込んだ茶器に花器、いささか道三のものが見劣りするのは確かだった。
しかし、にわかに機嫌を良くした道三に興がわいたのもまた事実。
松永が言われるままに中庭へ歩を進めれば、菖蒲の緑の中に、ひときわ大輪の紫が見えた。
白地に踊る、菖蒲の中の菖蒲柄。

「帰蝶」

呼ばれて振り返る幼子は、絹糸のごとき髪をわずかに揺らし、こちらを仰ぎ見た。

「ととさま?」

薄く開かれたリンゴの唇に松永の喉が鳴る。

「佳い花であろう」

どれほど魅入っていたのか、したり顔の道三に松永の口の端が歪む。

(なるほど、今度は私が餓えた視線を送っていたわけだ)

「いや眼福。これは末が楽しみなことだ」
「ふふふ」

含み笑いで道三は姫君の手を引いた。
視線をそらさない松永に何を感じたか、そっと姫君は庇護者の影に隠れた。

(男の欲情を本能で解するか、末といわず楽しみな姫君ではないかね。)



843:松永×幼濃姫(2)
08/07/28 23:29:27 abycZ+vC
視界の隅で蝶々が踊る。

「松永さま」

舌足らずな貴夫人はいじらしい足取りで武士のもとへ駆けていく。
今日は薄緑の紗に揚羽の柄。父親の見立てだろうか、涼しげに美しい。
あの日以来足しげく土産を持参して通う松永に、すっかり警戒を解いた様子でなついている。
その警戒心のなさが愛おしくも愚かしい。

「帰蝶殿、今日は桃丸はどうされた?」
「桃丸?」

きょとん、と純真な瞳を丸くして、姫君は首をかしげる。
世が世ならば天子に愛でられたやも知れぬ、ぬばたまの髪はさらりと揺れる。

「桃丸ならば、ととさまの…父上の御用でおりません」
「そうかね」

年の離れた従兄殿は、この無邪気な蝶の番犬だ。
守護者の不在を簡単に暴露してしまった帰蝶の手をとり、安心させるように頭をなでた。
くすぐったそうに身をよじるしぐさに、猫を思い出す。

「今日は、とっておきの茶器をお見せしよう」
「茶器…?」

幼い瞳に、失望と好奇心が浮かぶ。
甘いお菓子や煌めく簪を期待したのだろう。
しかし、父親の陶酔然とした茶器への情熱を見知っている少女の関心を引くには十分だったようだ。

「ただし、帰蝶殿にだけ…それもごくごく秘密裏に」
「秘密?」
「私の一等大切な茶器だ。父君にも見せたことはない」
「父上も…」
「誰にも秘密に、内密にできるというなら」
「…はい!誰にも、秘密にします」
「重畳、重畳。ではこれをあげよう」

指先ほどの琥珀の飴玉を差し出すと、疑いもなく小鳥の口に放り込む。
きらきらと好奇心に輝く瞳に屑ほどの良心の痛みと…嗜虐めいた歓びの予感が松永を貫いた。
小さな手を引いて、花々の間を通り抜ける。
母屋から離れた庵…道三の持つ茶室の一つにたどり着く。
周りに人はいない。
ひっそりとしたその庵の扉が、ぱたりと閉じられた。


844:松永×幼濃姫(3)
08/07/28 23:30:11 abycZ+vC
稽古事では立ち入ったこともあるが、作法に則らずに茶室へ入り込むのは初めてのことである。
帰蝶はわずかな緊張と身の内のわずかな違和感にぎゅっと松永の手を握った。

「そこへかけたまえ」
「はい」

素直に松永の向かいに正座する。
父が常々羨ましいとこぼしている松永の茶器、それを見るために。

(…なんだか、おかしい…)

体の違和感がぬぐえないのだ。
確かに蒸し暑い季節ではあるけれど、外側からではなくて体の内側から熱い。

(でも、松永さまに失礼があっては…)

幼くとも厳しい教育を受けてきた美濃の姫君として、帰蝶はしゃんと背筋を伸ばして松永を見上げた。
おや、と、松永は口の端を持ち上げた。
主犯はこの男である。先ほどの飴は大陸から手に入れた媚薬。
肉体の快楽を知っている女であれば耐えがたいほどの焦燥を覚えるそれだが、幼すぎる姫君にはいささか効果が薄いらしい。

「…どうかしたかね?」
「ぃえっ…ぁ、」

声が裏返ったことで帰蝶はますます動揺してしまった。
動揺してこぼれた吐息が熱っぽい。
熟れた桃の様に染まる頬に、震えるまつげが影を落とす。

「熱でも?」
「ぁ、」

触れられた肌がざわりと粟立って、帰蝶は震えた。
その反応に気を良くした松永は、膝で詰め寄ってその細腕をとらえた。

「城下で流行っている病やもしれん」
「えっ」
「失礼するよ」

薄く笑った松永の笑みは帰蝶には見えなかった。
唇が重ねられ、意図するところのわからない幼子は侵入してくる舌をこばむことができなかった。

「んっ…んんっ」

苦しげに訴えられる抗議の声に、しゅるしゅると布の擦れる音が重なる。
角度を変えてその柔らかい唇を味わいながら、松永は帯をほどき終わってしまった。
簡単に止めてある数本のひもも器用に探り当ててほどくと、紗の着物の隙間から珠の肌がのぞいた。

素肌に当たる空気に帰蝶はびくりと体を震わせたが、死んでしまうのではないかと思うほど口を吸われていて、
しかも体の中には何か得体のしれない疼きがあって、思うように動かせない。

「今私が診て進ぜよう」
「は…ぁ…」

無骨だが繊細な手が、茶器を扱うように優しく姫君を畳に寝かせ、着物の前をはだけさせた。
白い肌に黒い髪が散って、その隙間から薄桃色の乳首が覗いている様は、初々しくも瑞々しい果実を思わせる。
薬のせいか口付けのせいか、とろんとした目つきで帰蝶はただ松永を見上げている。

845:名無しさん@ピンキー
08/07/28 23:50:47 abycZ+vC
とりあえずここまでー


846:名無しさん@ピンキー
08/07/29 00:33:11 5C6moANS
まさか松永×濃姫(幼)が読めるとは!

続きワッフルワッフル

847:名無しさん@ピンキー
08/07/29 13:02:50 KVBMHyoO
こ、これは…!
続きワッフルですぞ

848:名無しさん@ピンキー
08/07/29 16:10:10 sfSNHJHC
ワッフルワッフル!(*´∀`)
続きを楽しみにしております!

849:名無しさん@ピンキー
08/07/29 20:37:45 zGf4b2xd
女体化ネタがちょっと浮かんだんだが避難所行きかー…
と思ったら避難所が1000スレ行ってるじゃないか。どうしてくれる

850:名無しさん@ピンキー
08/07/29 21:31:37 aTrhwrwM

戦国BASARA エロパロ避難所 女体化5夜目
URLリンク(jbbs.livedoor.jp)


851:名無しさん@ピンキー
08/07/29 22:07:58 fAfC748P
わっふるわっふる!

852:名無しさん@ピンキー
08/07/30 00:00:37 Jp0W9ONz
わっふるわっふる!
続きを全裸で待っておりまする。

853:松永×幼濃姫(4)
08/07/30 00:10:54 6SRxmNPS
大丈夫そうなので続き投下します~








膨らみと呼ぶにはささやかすぎる胸をやわやわと揉むように撫で、その肌のきめ細かさを愛でる。
くすぐったさが勝るのか、細腰をよじって逃れようとする様は猫そのものだ。
まだ閨術を教わった気配はないのに(そもそもこうして男の前に肌をさらしている意味も知らない様子なのに)
男を誘うすべを知っているようだ。松永はくつりと喉の奥で笑った。

「まつ、なが・さま、ぁ…?」

混乱から、不安げな声で帰蝶は松永の手を止めようともがく。
傷をつけないようにその手を取って口づけると、松永は優しく優しく囁く。

「やはり、卿は病にかかっているやもしれないな」
「…っぁっ、ぁん」

脇腹をなで上げ、胸の頂をつまむ。
ぎゅうと押しつぶすように力を込めれば、刺激が強すぎるのか骨細の体は雷に打たれたようにびくりと揺れた。

「体がおかしいとは思わないかね?」
「はぁっ…はぁっ…ぁぁ」

こくこくと大きく首を縦に振るたび、細い髪の毛がひらひらと踊った。
固くとがった乳首を解放し、掬いあげるように優しく撫でてやると、帰蝶はほっと息をついた。
少し無体をしすぎたかと、松永は帰蝶を膝に抱き上げた。
するりと帰蝶に絡みついていた着物が腕から抜けて、細い二の腕があらわになる。
ぐったりとのけぞった首が艶めかしくも白いので、惹かれるままに口に含んだ。

「ひぁっ!?」

なめ上げ、歯をたて、思うさま味わう。
ぞくぞくという震えの他に、しゃくりあげるような泣き声が重なって松永は動きを止めた。
帰蝶は漆の瞳を潤ませて、ほろほろと涙をこぼしている。

「何を嘆くのかね?蝮の姫よ」
「だって…松永さまは、私を食べてしまわれるのでしょう?」

その言葉の意味合いであれば、正しく松永は帰蝶を食べつくすつもりであるが。
この怯えの意味合いが違うことを、やはり正しく松永は理解していた。

「私が喰らうは卿の身の内の病のみ」
「…?」
「その熱も、疼きも、私に委ねればすべてとりさってあげよう」
「…食べたり、しない?」

先ほどの甘噛みを捕食と勘違いしたらしい。
松永は自信が薄気味悪くなるほどやさしい笑みを浮かべて幼子の髪をなでた。

「私が卿を害することは、天地が裂けようともあるまいよ」

そう、害するつもりなどない。
ただ、優しく蹂躙するだけだ。
そんな内心の声など聞こえぬ帰蝶は、場違いにも安堵の笑みを見せた。
優しい父親の友人に、間違いなどないと信じ切っている。

854:松永×幼濃姫(5)
08/07/30 00:13:06 6SRxmNPS



松永の手が行為を再開し、その薄桃の乳首を口に含んでも、くすぐったそうに身をよじるのみだ。

「ふぅっ…ぁっ、あんっ」

己の唇から洩れる息が常と違うためであろう、帰蝶は無意識に声を抑えようとしていた。
美濃の姫君としての矜持であったかもしれない。
しかし、抑えてもこぼれる艶声は成熟した男の本能をただあおるものでしかない。
あえぎ声は、抑えて漏れるものが一番飢えを誘うことを知っているかのように。

「ぁあっ…やぁ、ぁふっ」

その細腰を両手でつかめば包めてしまいそうなほどにこの器は小さい。
執拗に、固く尖った胸の頂を吸い上げ、舌で押しつぶすようにねぶると、帰蝶はふるふると首を振った。
薬の影響かもともとの感度か、帰蝶は敏感に反応しては背をしならせ、足をひくつかせた。



松永は自身の羽織を畳に敷くと、そこへ帰蝶を横たわらせた。
白い肌に汗をにじませた帰蝶は、人形めいた美しさと生々しさが合わさって倒錯的な艶めかしさを見せる。

「嗚呼、ここだ」

わざとらしくもさも見つけたかのようにその腰を抱えあげ、足を広げて固定した。
ちょうどM字に開かれた足の間には、処女独特の肌色と、子供独特の汚れない薄桃が覗いている。
まだ毛も生えそろわない恥部が、時折ひくりと動くのが目に楽しい。
顔を近づけると、吐息に反応したのか、びくりと帰蝶が震え、目が合った。
腰を固定されているので、逃げることもできずただ見下ろすことしかできない。

「見えるかね、毒が」
「ひぅぅっ!?」

松永は遠慮なくその割れ目に指を入れると、しっとりと湿った入口をぐるりと人差し指で回転させた。
そのまま手を引くと、つと糸を引いてわずかな液がてろりと光る。
帰蝶が息をのむ音がした。
再びその幼い蜜壺へ無遠慮に指を挿入し、ほのかにぬめりを帯びた内壁を探る。
予想はできていたことだが、指一本でかなりきつい。

「いかに蝮の姫君といえど、この毒は卿にはつらかろう」
「ふぇっ、ま、まつながさっ…いっ…ぁ…」
「おっと…足を閉じては治すことも叶わない。そのまま力を抜いていなさい」
「ふくぅっ…ぅ、ぁ、やだぁ…中、いやぁ…」

臓腑をかき回されるような違和感と、痛み、そして肌の内側で感じるぬるりとした何かに帰蝶は怯えていた。
毒だと言われれば毒なのだと信じてしまえるような、それほどの恐怖だった。


855:松永×幼濃姫(6)
08/07/30 00:13:44 6SRxmNPS
松永の指は繊細に、しかし依然無遠慮にぐりぐりと帰蝶の中でうごめいている。

(いや、名器名器。よく締め付けて絡むことだ)

肉壁の感触を楽しんでいた松永だったが、ぷくりと愛らしく熟れた豆に目をとめた。
幼さゆえか処女ゆえか、恥ずかしげに埋まっているそれを空いた左手でゆっくりと押しつぶす。

「ひぁっ!?」

快感に逃げようとする体を、足を抑えて固めてから口を近づけた。
口に含めばほのかに雌の匂いがして、よく回る銘酒のように松永を酔わせた。
舌先で転がしてやれば、中を探っていた松永の指をきゅうと入口が締め付けた。
反応の良さに思わず笑みがこぼれる。
指を引き抜くと、ひくんと秘所が反応した。

「…ぁっ」

帰蝶から洩れた声が思いがけずねだるような甘さを含んでいたので、
松永はずいと帰蝶の顔を覗き込んだ。
とろりと酔ったように焦点の合わない眼で松永を見上げながら、帰蝶は首をかしげた。

「まつなが、さま、」
「なんだね?」
「体が、おかしくて…」

帰蝶は戸惑っていた。
薬のせいではあるが、体の内側からむず痒い様な熱い様な何かがせりあがって不愉快なのに、
松永の指が中を這いまわっている間はそれが一切なくなるのだ。
こうして指を引き抜かれた今はまた切なくてむず痒くて仕方がない。
味わったことのない焦燥に、幼い体は我慢というものを知らなかった。

「もっと…もっと、して、下さい…」

その舌足らずなおねだりは、無邪気を形にしたような愛らしい唇から発せられたのだ。
女と呼ぶには幼い体はくたりとだらしなく男の前にさらされて、己のしていることの意味さえ理解できていない。


856:松永×幼濃姫(7)
08/07/30 00:14:21 6SRxmNPS
これほど扇情的な光景はそうはあるまい、松永はつばを飲んだ。

「少々荒くなるかもしれないが…かまわないかな?」
「…ぅ、んんっ、は、い…はぃっ松永っ、さまぁ」

再び指を入れた秘所は狭さは相変わらずだが先ほどより潤んでいる。
口が笑みの形になるのが止められない。
松永は二本目の指を滑り込ませた。

「ぁうっ…!」

帰蝶の柳眉が一瞬苦痛の形に歪んだが、刺激は疼きを納めてくれる。
背筋を貫く甘美なものが官能の歓びだと理解しないまま、幼子は貪欲にそれを求めた。
愛らしい人形が、悶え、喘ぐ姿に嗜虐的な欲望が頭をもたげる。
この経験のない花はもう指二本で限界だろうことは彼の目にも明らかだが。
薬で官能を無理やりこじ開けられた体は幼いというのに蜜をあふれさせて呑み込んでいるのだ。

(出来ない道理はあるまい)

実に無理ばかりの理論で、その実ただ嗜虐的な欲求に耐え切れず、
松永は三本目の指をねじ込ませた。

「いっ、痛い!痛いっ嫌ぁっ松永さまぁ!」

哀れにもぷくりと膨らんだ下腹部を見下ろしながら、ぞろりとその指を動かした。
痛い痛いと帰蝶は泣きながら体をよじるが、そうすると松永がじっとしていても指と肉壁が擦れてずるずると
愛液を掻きだしてしまう。松永の手を伝って、透明な蜜がとろとろとあふれてくる。
しばらくそうしてじっとしていると、痛みが治まってきたのか、帰蝶はおとなしくなった。
動くと痛むことを学んだのか、肩で息をしながら松永の様子をうかがっている。
ここに至っても助けを呼ぶという考えの至らない姫君の幼さに、改めて松永は苦笑した。

(佳い花だが、すこし無防備にすぎる…虫も寄ってくるだろうに、もっと棘をつけてやらねばなるまいな)

ずるりと一気に指を引き抜くと、帰蝶はびくりと震えた。
ものほしげに入口がひくつくので、やさしく、ぬるりとした蜜を塗り込めるようにその入口をなでてやる。

「もう少しで病も治せるが…最後の治療は少々手荒い。耐えられるかね?」
「…っ」

先ほどの痛みが脳裏に走り、体をすくめた帰蝶だったが、
予想外に目をそらしてこくりとうなずいた。

「帰蝶は…帰蝶は蝮が娘です。恐れるものなど、ありましょうや」

この場合その健気さこそが最大の問題だと、彼女に教える人間はいなかった。
頼りない小動物の威嚇に似た強がりは、猛禽類にはやさしい晩餐にしかならない。


857:松永×幼濃姫(8)
08/07/30 00:15:39 6SRxmNPS
松永は懐から絹の袱紗を取り出すと、二つに折って帰蝶に差し出した。
不思議そうな顔をする帰蝶の口に噛ませると、ゆるりと笑う。

「先ほどから唇を噛んでいる様子が、実に哀れでね」
「…っ」

上品な香をたきしめた袱紗を、小さな唇に噛ませたまま、松永は帰蝶の体を反転させた。
やわらかな桃尻がひんやりと心地よい。
軽々とその腰を持ち上げると、衣の前を寛げた。
すでに苦しいほどに張りつめていたそれが、茶室の薄暗い畳に影を落とす。
その大きさから帰蝶が恐慌状態にならないための配慮である。

ぐ、と

おしつけても、先ほども花には入らない。
ささやかすぎる蝶の花にねじ込むには哀れなほどの体格差。
しかし、朱色の袱紗を唇に噛ませ、ふるふると震えているその姿が松永の嗜虐心を煽ってしまった。

「んんっ!!!んー!!!!」

振り向くこともできないほどの激痛が帰蝶を襲う。
手足をばたつかせても、腰を抑えている松永の手はびくともしない。

「美濃の姫君ともあろうものが、はしたない」
「っ!!」

その言葉に帰蝶の抵抗はぴたりとやむ。
黙って手足を突っ張らせ、激痛に耐えている。
その隙に武人の腕は無理矢理に秘所をこじあけ、とうとう雁の部分をすべてねじ込んでしまった。
流れた血を指にとって舐めながら、松永はさらにぐいと腰を進めた。

「…んぅ、んーっ!!」

半ば中に浮かされるように挿入されながら、帰蝶は耐えていた。
痛いほどに狭いそこを傷だらけにするつもりなど松永にはなかった。
しばらくはつながったまま、先ほどと同じように痛みに慣れるのを待つ。
帰蝶が肩で息をし始めると、とん、とん、と軽く後ろから突いた。

「んっ、んっ、んんっ」

小さな体を持ち上げ、膝に抱えあげる。
えぐれる位置が変って帰蝶は涙をこぼしたが、松永はやはりとん、とん、と軽く挿入を繰り返した。
うしろからささやかな胸のふくらみを愛撫し、花芯にも愛撫を加え、首筋を甘がみしていくと、
次第に挿入が容易くなった。蜜の量が増したのだ。


858:松永×幼濃姫(9)
08/07/30 00:16:02 6SRxmNPS
(そろそろ、かまうまい)

つらぬいたまま、人形でも扱うように帰蝶の体を反転させる。
帰蝶は袱紗を加えたまま、目を堅くつぶって震えている。

鷹狩りの最中に、仕損じた兎を思い出した。
急所を外した獲物は、それは無残に震えているのだ。

(それもまた、哀れというのだろうがね)

震える幼い体を一気に引き下ろした。
弓なりに反った背中を支え、ずるりと自身を引きずり出し、抜けぬところからまた一気に引き下ろす。

「んーーーーっ!!!」

ぼろぼろと零れる涙、震える睫毛、白い肌に朱色の袱紗。
これほど背徳の中にありながら、ただ美しい絵画のようでもあって、松永は酔ったように腰を打ち付けた。
淫猥な水音はぐじゅぐじゅと泡立つ音に変わり、太ももがぶつかるたびにぱちんとはじけるような高い音をたてた。

「!」

と、松永の一物がひときわ強く締め付けられた。
その感覚を松永は知っていたが、それは成熟したおみな達に感じてしかるべきものだ。
まさかと、帰蝶の加えている袱紗を取り去った。

「あっ…ぁあ、ふっ…んっ」

嫌だ痛いの言葉を覚悟していた松永の耳朶を打ったのは、予想外の善がり声だった。
陶然と男根を飲み込み、瞬きの隙間に焦点の合わない眼で快楽を見つめながら、幼子はきゅうきゅうと松永を締め付けていた。
無論故意ではあるまいが、器の小ささもあいまってかつてない快楽を松永に与えていた。

「流石、と言うべきか…卿は傾国となるだろう、末の恐ろしい花だ」

凄みのある笑いを口元に張り付けたまま、松永は帰蝶を抱える腕に力を込めた。
がくがくと揺さぶられ、帰蝶の嬌声がいっそう激しくなる。

「ぁああぁっぁ、やぁ、んぁ」
「くっ…」

ひときわ強く締め付けられ、松永は己の精を小さな蜜壺に放った。
ただでさえいっぱいに満たされた器からは、どろりとあふれて羽織を汚した。


859:松永×幼濃姫(蛇足1)
08/07/30 00:30:53 6SRxmNPS


「美濃の国と和睦を結ぶか…悪くない」

夕暮れを告げる蝉の声が、茶室に響く。
すっかり身支度を整えた松永の膝で、やはり身なりを整えた(松永が整えた)帰蝶が眠っている。
懐の袱紗には、幼い紅が朱色の真ん中でかすれていた。
親子ほども年の差のある幼子に、耽溺しきっている自分を松永は小さく嗤った。

(いずれいずれ、時が来るまで)



じきに斎藤道三は鷺山城に隠居し、帰蝶も連れだって居城を移ったため、
その後松永と帰蝶が顔を合わせたのは数えるほどである。
あまりに幼すぎる混濁した記憶は、やがて帰蝶からは忘れられる。

恭順の意は九十九髭茄子

織田に下った松永は、年重ねて謀反を起こし、今一人の捕虜を手に入れていた。



縄を打たれたまま畳に転がされた濃姫は、そこが茶室であることを悟るとさらに混乱した。
花器に飾られた花は菖蒲。
床の間の花器も、飾られた茶器も、湯を沸かす釜も、何もかもが一級品。
和歌に通じ茶道に通じ、その所有する品々は諸国垂涎の的である。

(なぜ…捕虜を尋問するならもっと…)

ここはあの男の心臓部とも言える場所ではないのか。
それと同時に、ひどく体が粟立っていた。
この香り、あの男の焚きしめた香を嗅ぐたびに、なにか得体のしれない衝動が
濃姫を襲うのだ。意味もなく不安にさせる、父の友人とはいえ、あの男は嫌いだった。

「近々畳替えを考えていてね」

す、と
声に遅れて松永が入ってきた。
作法に則っり、流れるような所作で窯の前に座す。

「真新しいものというのは往々にして馴染まないものだが、
真新しい井草の香りには落ち着きを覚える…不思議なものだ」

まるで世間話をするように。
まるで茶の湯でも始めるように。

「私をとらえてどうするつもり、上総之介殿は」
「うつけ殿は」

私など、と続けようとした濃姫に、強い声で松永は言葉をかぶせた。
その強さに、うつけと呼ばれた無礼を濃姫は一瞬遅れて理解した。
しかし、濃姫が怒りを口にする前に松永は口を開いていた。


860:松永×幼濃姫(蛇足2)
08/07/30 00:31:53 6SRxmNPS

「卿を、満足させられたかね?」
「…何の話?」

口の端を釣りあげて、松永は嗤った。
静かな笑いだった。

「魔王と呼ばれるほどだ。さぞ、卿の肉欲を満たしたことだろう…それとも、魔王の方が溺れたかね?」
「おだまりなさい!」
「卿には…情をあげよう」
「何を…っ」

ぱさり、濃姫の前に朱色の袱紗が投げ出される。
絹の袱紗は仕立てはいいが、いかんせん古ぼけているように見えた。
だが、濃姫はその袱紗の中央、かすれた紅に引き付けられた。

「体がうずくのではないかね?卿が眠っている間に飲ませた水、いつぞやあげた飴玉と同じもの
…あの時のように可愛らしい反応では済まないだろう」

飴玉
琥珀色の

一回、二回、釜を柄杓がかき混ぜて、一滴の滴をぽとりと落とす。
美しい茶器に注ぎこみ、完璧な角度で釜に戻した。

茶室の、薄暗い明り
上品な、空焚きの香
体の内にこもった熱が、じりじりと濃姫を追い詰める。


「…誰が卿に肉の悦楽を教えたか、思い出せたかね?」



ようよう手に入れた、いや、取り戻したよ、蝮の姫君。








蛇足でしたorz
そして松永×濃姫に続…だれか書いてー

861:松永×幼濃姫
08/07/30 00:35:14 6SRxmNPS
一応↑で松永×幼濃姫完結です!
いいわすれたーごめんなさいー

862:名無しさん@ピンキー
08/07/30 00:45:16 IVhMZFqM
GJ!
松永雰囲気あってイイヨー
幼帰蝶も濃姫もエロ美しい。

続きもワッフルしていいかい?

863:名無しさん@ピンキー
08/07/30 07:00:21 2LOp18yE
GJすぐる!
まさにエロうつくしい!

864:名無しさん@ピンキー
08/07/30 21:28:49 XVWjLxbl
圧縮回避保守

865:名無しさん@ピンキー
08/07/30 21:39:12 fgvR7ChP
GJですぞ!

余談だけど、
今2の濃姫さまルートの三章で幸村をフルボッコしたんだが、濃姫にはそなたって言ってた


866:名無しさん@ピンキー
08/08/01 01:55:11 +Zst+rgA
保守

867:名無しさん@ピンキー
08/08/01 10:24:31 8uBBh/em
(´∀`*)松永先生のおかえりは何時かしらワクワク

868:名無しさん@ピンキー
08/08/03 17:08:12 yDx+zSFD
>>861
GJ!ロリなのにしっとりした色っぽい雰囲気ですごく好みのエロだった
続きもわっふるわっふる!

幸村と濃姫もこっそり期待

869:名無しさん@ピンキー
08/08/04 01:01:40 0bt3Q3+M
政宗×市

密かに萌え

870:名無しさん@ピンキー
08/08/04 13:48:03 SI6RSqI/
>>869
伊達は市に嫌われてるから…レイープ?

871:名無しさん@ピンキー
08/08/04 16:54:30 /iMly9GI
市にレイプとか嵌りすぎて逆にきっついわー

872:名無しさん@ピンキー
08/08/05 00:26:22 /I7r4YJT
むしろ市が伊達を逆レイープ。

873:名無しさん@ピンキー
08/08/05 14:41:59 QttMIexv
手のひらに刀ぶっ刺して伊達の上に跨ってるレイプ目市を想像した
これはいい

874:名無しさん@ピンキー
08/08/05 15:03:04 W3TgahEz
黒い手で伊達を拘束して逆レイープなら書きかけたことあるw
データ飛んでないけど

875:名無しさん@ピンキー
08/08/05 16:50:22 1MDkBumM
>>874
あとは…わかるな?

876:名無しさん@ピンキー
08/08/05 16:50:53 5Z73U2vW
>>874
飛んでないなら今すぐ書くんだ!!!

877:名無しさん@ピンキー
08/08/05 17:22:23 W3TgahEz
残念ながら、データが飛んで「ない」んだ…
書きなおす気力も飛んだ

878:幸村×濃姫
08/08/06 02:46:35 8MTGS6JA
>>861です…
幸村×濃姫、妄想したら書けそうだったんで
途中まで書いてみたんだけど…
>>836、先に投稿させていただきます。横入りすみません






戦国の世の常で、戦に敗れ属国となった国には人質が要求される。
 多くは反乱の時祀り上げるべき後継ぎであったり、それに近しい一親等の縁者であったりする。
 上洛し、天下を治めた武田のもとには、やはり各地からの人質が集められ、
相応の待遇を受けてひっそりと暮らしている。
 多分にもれず、織田の人質として濃姫は京にいた。
 敗将…魔王と呼ばれたかの夫は、遺体こそ見つからないが死んだものとされている。
 生きていても、再び首をさらされるだけ。
 ただ静かに、ただ夫のの残骸を守るためだけに、濃姫は生きていた。

 眼下の京は桜の祭り、賑わしさと騒がしさが楽しげな喧騒となって鼓膜を打つ。

「お濃ちゃん、飲んでるかい?」
「慶次」

 着物の襟首も艶めかしく、視線を流して濃姫は振り返る。
 ほんのりと染まった目もとが実に色っぽく、慶次の目じりが下がる。
 しかし人質としての生活、慣れぬ京の都で今亡き夫を偲ぶ生活、いささか痩せた頬が痛ましい。

「あぁぁ旦那、飲みすぎですって!」
「このくらい武士であればーっ」
「そうそう、武士ならこれくらい飲めないとな」
「あんたもあおらない!」

 一服の絵画のような窓べりから一歩引けば、そこは酔っ払いどもによる惨状である。
 虎若子とその忍びを見やって、濃姫はひそかに頭を押さえた。
 まつの使いで現れた慶次を見た時は、その懐かしさと明るさにひそりと涙を隠した。
 桜の季節だから祇園を案内してやると言われれば、確かに京の桜は美しく、
祇園は庭だと豪語する慶次ならばさぞ美しい桜を見せてくれるだろうと花見に応じた。
 
 なぜか案内された部屋には武田の若獅子とその忍主従がいたのだけれど。



879:幸村×濃姫
08/08/06 02:46:59 8MTGS6JA
 親しい友人なのだと慶次に笑われれば、濃姫には返す言葉もない。
 甲斐の虎の懐刀を前に無礼を許される権利など、人質の濃姫にはないのだから。
 それに、知らぬ人ではない。
 知らないからこそ、困る。

 幸村は何かと濃姫を気にかけてくれた。

 夫を殺したその手で、夫の最期を見たその瞳で、じりじりと焦げ付くような視線をよこす若者が
濃姫は苦手だった。夫の敵だというのに、憎ませてもくれない、逆恨みと分かっていてもただ憎い。
 ほら、今も、濃姫の視線の先で、目が合うだけで赤い顔をさらに赤くしてフクロウの如く首ごと視線をそらす。
 色恋に聡い慶次が気づかないわけがない。
 そして彼の忍び、佐助もあきれたような視線をよこした。

「…あれ?」

 視線をそらしたまま、頭を振ったのが良くなかったのか、ごつりと景気のいい音をさせて幸村は転倒した。
 
「幸村ー?」

 酒が回ったのか当たり所が悪かったのか幸村はぴくりともしない。
 ただ呼吸が規則的なのを確認して、佐助はため息をついた。

「だから飲みすぎだっていったのに」
「隣に寝かしとくか」

 決して華奢とは言えない幸村の体を軽々と抱えると慶次は隣接した部屋にしかれた布団に放り出した。
 桜の眺めがいいからと慶次が用意したのは宿の二階、人数分用意してある布団が何とも寒々しい。
 一瞬この4人で並んで眠るさまを想像し、濃姫と佐助は同時に苦笑した。

「悪いね、うちの旦那、お子様で」
「酒の飲み方はそろそろ学ばないとなぁ」

 幸村は飲みすぎた。濃姫の姿を認めたとたん赤面し、慶次に「はれんち」を連発し、
逃れられないと悟ると浴びるように酒を飲み始めた。
 露骨すぎて三人ため息しか出ない。

「…ね、あんたは旦那のこと、どう思ってんの?」
「佐助」

 慶次がとがめるように声を大きくしたが、佐助はひたと濃姫を見つめたままそらさない。
 濃姫は眼を伏せる。
『織田の奥方』
 顔を真っ赤にして、暴れ馬もかくやと日参してくるボウヤ。
 その手で夫を殺した武将。
 織田の行方を握る武田の懐刀。
 無下に扱うこともできず、それでも湧き上がる哀惜と憎悪を抑えることができず、何より
 向けられる視線の熱さに、慈しみに満ちた扱いに、ほだされそうな自分こそ憎みたかった。


880:幸村×濃姫(3)
08/08/06 02:47:37 8MTGS6JA

「もう少し年をとったら化けるんじゃないかしら?」

 わざと答えを揺らすと、佐助は無言で目を細めた。
 殺気に似たそれに、普通の姫なら悲鳴を上げたかもしれない。
 しかし、濃姫は力なく嗤うだけだ。夫と過ごした時間は、そのまま戦場で過ごした時間。
『今日からそなたは濃と名乗れ』
『は、花をっ…そなたに、届けたくて…』
 穏やかな時間も確かにあったはずなのに、思い出そうとすれば最近の幸村に塗りつぶされる。
『濃よ』
『奥方!』
 耳慣れた低い声が、若く生命に満ちた声にかすれていく。
 その事実がただ恐ろしかった。

「旦那は、あんたのこと…わからないわけじゃないだろ?」
「わかりたくもないわ」

 濃姫は手元の盃を傾けて酒をあおる。
 こくりと、喉が鳴った。

「上総之介様を殺したボウヤを、私がどう思うかですって?憎い以外の何があるの」

 わざと語気を荒げたのは、瞳が揺れていることを自覚してたからかもしれない。
 そうであればいいと、縋るように握りしめられた手が白くなる。
 ふ、と息を吐いて慶次はその手をほどいてやる。

「お濃ちゃん…そうやって自分を追い詰めるのはやめな」
「…お前に何がわかるの…」
「わかるさ。お濃ちゃんは魔王に恋してた…与えるばかりの恋を」
「ちがうわっ!私は、上総之介様は、与えてくださったわ…」

 視界が歪むが、涙をこぼすことは蝮の娘として、魔王の妻として矜持が許さなかった。

「あんたがさ」

 佐助は静かに酒をあおる。

「あんたが、幸せそうじゃないから、つらそうな顔して戦場に立つから…旦那は織田を討とうと決意した」

 もともと戦うしか道はなかったかもしれないけど、そう佐助は付け加えた。
 武田の力は強大で、織田は唯一武田に対して平身低頭の外交を続けた。
 織田が力を蓄える前に武田は動き、そして織田は壊滅した。

「…惚れた女、助けたかったんだろ」
「…私を…?」
「…」

 喧嘩でも始まったのか、喧騒が大きくなる。
 桜の花びらがひらりひらりと濃姫の膝に落ちる。

「…頼みがある」

 向き直った佐助の気迫に、濃姫はわずかにあとじさった。
 

881:幸村×濃姫(4)
08/08/06 02:48:32 8MTGS6JA
「一晩でいい、旦那と」
「ふざけないで!」
「ふざけてない」
「なお悪いわ」
「あんたは織田の奥方。織田の人質…旦那は武田の武将、真田の跡取りだ
 旦那がどんなに想ったって、どんだけ思いつめたって、結ばれることはない」

 じくり、濃姫の胸にとげが刺さる。
 死んでしまいたいほど大きな胸の穴を、憎しみでも戸惑いでも、覆ってくれたのは幸村だ。
 
「はっきり言って、あんたは旦那の初恋だ。初恋ぐらい、添わせてやりたい」
「無粋だぜ、佐助。恋のかじ取りに手ぇ出すもんじゃねぇ」
「放っておいて旦那が進められると思うか?」
「体で、心が切れるかよ。それこそ無粋だ」
「思い出くらいはあってもいい」
「一緒になればいいじゃねぇか」
「そんなこと出来ないのはあんただってわかってるだろ」

 織田の寡婦。慶次もわかっているのだろう、つらそうに眼を伏せた。
 帰蝶を抱くことは美濃を抱くこと、美濃を制する者は天下を制すると言われた要所、それが帰蝶の価値だった。
 今は、織田に慕われている御台所…人質としての価値しかない未亡人。
 真田の妻にと望む人間は、武田にも織田にもいはしない。

(…思いきれと、いうのね)

 濃姫はそっと目を閉じた。
 この忍びは、濃姫の心にあるささやかな波紋など何もかも知った上で言っているのだ。
 幸村の思いを添い遂げると言いながら、濃姫の心が傾いていることへ釘をさしている。
 
「…桜が、綺麗ね」

 窓の縁にもたれるようにして、濃姫は囁くように呟いた。
 美濃にもこうして桜は咲いた。幼い思い出の花見はただ優しい。
 織田の桜をよく覚えていないことを、濃姫は少し残念に思った。

「…春の宵だもの、夢くらい見るでしょう」

 佐助と慶次の目が隣室で眠る幸村に向いた。
 
「お濃ちゃ…いや、なんでもねぇ…」

 慶次が伸ばしかけた手を力なく落とす。
 こんなつもりではなかったのだろう、眉を寄せる慶次を、優しく見つめて濃姫は二人を見送った。
 祇園の桜は、ただただ美しく黙って散るのだ。

 おみなのようだと、濃姫は小さく嗤って障子に手をかけた。
 
 




とりあえずここまで。
エロスシーンうまく書けるといいですが…

882:名無しさん@ピンキー
08/08/06 20:31:14 ffuZcvp5
うおおおおお
期待で胸が張り裂けそうです

883:名無しさん@ピンキー
08/08/06 20:38:47 0OD68otG
ぐぐぐっじょぶ!

884:名無しさん@ピンキー
08/08/06 23:02:04 fpbsxsYX
濃姫様…!

885:名無しさん@ピンキー
08/08/07 02:16:15 zSFK3/YJ
楽しみ

886:名無しさん@ピンキー
08/08/07 11:02:43 rP5/R2Vr
wktk

887:幸村×濃姫(5)
08/08/08 03:09:28 LB98kkiO
続き投下しますねー…ほかのみんなも続いてくれると信じてる!w



下腹部の違和感に、幸村はぐらぐらする視界の焦点をなんとかして合わせようとした。
 
「あ…くっ…」

 自分の口から洩れた声に、恥ずかしさの余り一気に覚醒する。
 いったい何事かと体を起こせば、ずきりと頭が痛んで視界がまた揺れる。
 しかしその先にある光景に幸村は絶句を通り越して硬直した。
 すっかりくつろいだ…くつろぎすぎた着物はもはや体を隠す役割を果たしておらず、
大の字に開かれた足の間に濃姫の顔があったのだ。

「…う、を、お、おおおおおおおおおおおおおおおお!?うぐっ」
「しっ」

 身を乗り出した濃姫の指が触れたとたん、大砲にどやしつけられたかのように幸村は黙った。
 襦袢姿の襟の合わせからは素肌が透けて見える。

「これは夢よ、ボウヤ」
「夢…っ!?しかしこんな破廉恥なっ」
「夢よ。そうでなければ…」

濃姫の空いた右手が、幸村の男根の竿に触れた。
ゆっくりとしごき上げる動きに腰が浮きそうになる。

「私がこんなことするはずがないでしょう?」
「そ、れは・・・っ」

混乱する頭が導き出す結論。
そう、濃姫がこんなことをするはずがない。潔癖な女性なのだ。
彼女の夫を殺したのは幸村で、いつも悲しみと苦しみの混ざり合った表情で
幸村の訪問を迎えていた。あの佳人が振り向くことはない。

先走りの汁を掌に絡ませるように時々亀頭に触れながら、濃姫は幸村をしごいて追い詰める。
すでに固く滾ったそれは限界に近かった。

「くっ」
「夢よ、ボウヤ」

言い聞かせるように濃姫が繰り返す。
(…そうだ、濃姫殿ならばもう某のことを「ボウヤ」とは呼ぶまい…)
人質として、ただ礼儀として、「幸村殿」と呼ぶその声がひどく悲しかった。
(やはり、夢なのか)
現のはずがない。何一つとして、現である要素がない。
細い指が陰嚢の後ろまで柔らかく這いまわり、滴る露で滑るほどの竿を強くしごき始めた。

「う、あっ」

短く呻いて、幸村は射精した。
勢いよく飛び出た精液が濃姫の手をべっとりと汚したが、幸村のそれは一向に萎える気配もない。

「あらあら、若いのね」

含み笑いで赤黒い肉塊に口づけると、ひくりと反応して震える。
指についた精液を、赤い唇と湿った舌先が舐めとるのを幸村は呆然と見上げていた。
ぴちゃり、という水音が耳からも幸村を犯しているようだ。
酒が残っているのもあるが、酔いというならこちらの方が段違いに強い。


888:幸村×濃姫(6)
08/08/08 03:11:08 LB98kkiO
「は…っ破廉恥、な…」

いつもなら合戦でもあるのかと疑うほどの大声が、情けなくもかすれたことに濃姫は首をかしげた。
この若武者は何が悲しいとこんな泣きそうな顔をするのだろう。

「…情けない…」
「ボウヤ?」
「あさましい…これが某の心なのか…」

こぶしを握り、瞑目する幸村に、濃姫は小さく息をのんだ。
幸村は気づかぬ風で首を振る。

「濃姫殿を…お守りしたいと、そう…某は、それなのに…っ」

切腹しかねない勢いの幸村に、しばし考える。
自分たちが思った以上に純粋な、甲斐の虎若子。
愛しい、と思った。
しかし、この感情はかつての夫に向けたものとは違う。
ゆっくり、腹筋から胸筋まで舌を這わせる。日に焼けた肌を甘く噛むと、幸村が目を開いた。

「私を好き?ボウヤ」
「…っ、す、す…えぇい、確かにそなたは慕わしい女人でござる!!」

夢の中ならと自暴自棄になったのか、自棄ぎみに幸村が吐き捨てた。
そっと微笑んで、濃姫は抵抗しない首筋を撫でる。

「愛する人であれば、欲が出るものよ。手に入れたいと、願うもの」
「願えど…そなたは手には入らぬ、入れられぬ」

血を吐くように幸村がつぶやいた。
誰にも望まれず、武田の益にもならない、殺すしかない想いは強すぎて鬱屈していく。

「夢の中であれば叶うわ」
「汚したくござらぬっ!」

幸村にとってはこれは夢の中、己の欲望が形をとったと考えれば潔癖な幸村には苦痛だろう。
濃姫は小さくため息をついた。

「そんな簡単に汚れないわ」
「…何を…」
「甘く見ないで。女を体で汚せると思うのは、男の思い上がりよ、ボウヤ」

唇が触れた。
甘い香りが幸村の鼻腔をかすめる。頭の芯がしびれていく。

「夢よ、幸村」

言い聞かせるように濃姫が囁くのと、幸村が濃姫を組み敷くのはほぼ同時だった。



889:幸村×濃姫(7)
08/08/08 03:12:40 LB98kkiO
「濃姫殿…濃…」

せわしなく襦袢の隙間から手を差し入れながら、縋るように名前を呼ぶ。
濃姫は背中に手を回すことでそれに答えた。
襦袢の上から幸村が豊満な胸をもみしだくと、薄い絹の襦袢からうっすら透ける桃色の乳首がつんと尖って上を向いた。
ごくりと喉を鳴らすと、幸村は襦袢の上からそれを口に含んだ。

「ん、ぅ」

じんわりと、布越しの感触はやがて唾液が襦袢にしみて一気に直接的な愛撫になる。
舌とは違う、濡れた布でこすられる感触に濃姫は腰をくねらせた。

「ぁ、んんっ」

動いた拍子にゆるんだ襟元から胸がこぼれ、濡れた乳首が外気にさらされてさらに固くなる。
やわやわと弾む感触を楽しんでいた幸村だったが、耐え切れなくなったようにかぶりついた。
帯をほどき、くびれた腰元やすらりと伸びた足に見惚れる。

「美しい」
「う、美しくなど…ひゃん!?」

突然内またをなめられ、濃姫は甲高い声を上げた。
左足の刺青が踊る。
艶めかしく戦場で踊るこの蝶に、どれほど惹かれ混乱したことか。
丁寧に、幸村はその蝶を舌でなぞった。

「あぁ、や、くすぐった…あんっ」

濃姫の反応に気を良くし、幸村はがしりと濃姫の足を固定すると何度も足の付け根から内股を往復した。
濃姫からは甘い香の匂いと、仄かに酒の香りがして、酔うように幸村はそれに噛みついた。
何度目だろうか、幸村の鼻先が濃姫の茂みに触れた。
呼吸で吹きつけられる息がくすぐったくて濃姫は腰を浮かす。

「…濃姫殿、濡れておられる」
「ぁ…」

吐息のようなため息とともに濃姫の顔に朱が上った。
まるで幼子のようにきらきらした瞳で秘所をのぞきこまれると、なんともいえない羞恥が濃姫を襲う。
幸村は濃姫の羞恥などかまわぬ風で腰を持ち上げると、そのまま肩まで担ぎあげてしまった。

「えっ、幸村、何を」
「こんなところまで…」

太ももを肩に乗せると、腰を支えて幸村は濃姫の秘所に顔を突っ込んだ。

「!!あぁぁっ、んふっ」

じゅる、じゅく、滴るような水音をさせて、幸村の舌は濃姫の秘書に侵入してきた。
濃姫がびくりと体を震わせるが、足は幸村の肩に担がれて空をかくばかり、腰は伴力のような力で支えられている。
稲妻のように体をかける快感に濃姫は精いっぱい背を弓なりにそらして耐えた。
茂みに埋まった幸村の鼻息が、ちょうど陰核を刺激して微妙な快感を与えてくる。
子供が飴を舐め尽すように、幸村はひたすら蜜壺を舌で探り続けた。

「あぁっ、あん、ぁ、ゆきむ、ら、んんっ」
「…っぷは、はぁ…あぁ、こんなに…」


890:幸村×濃姫(8)
08/08/08 03:13:12 LB98kkiO
濃姫の秘所から幸村が顔を上げると、中に浮かされる形になった濃姫の秘所から臀部にかけてぬらぬらと光る愛液が見えた。
ごし、とこぶしで顔をぬぐって、幸村は濃姫をおろした。
力を入れて快感をそらすことができない体制だったため、濃姫はぐったりと布団に体を投げ出した。
力の抜けた様子に幸村は少し戸惑ったが、濃姫の花がひくひくと動いているのに目をとめた。
そっと、優しく触れると、ひくりと反応する。
やわやわと外唇だけをなで続けていると、やがて指をべとべとにするほど蜜が滴り落ちてきた。

「感じてくださるか」
「ぁ、ふ…ええ、幸村、ふぁっ」

恐る恐る指を差し込むと、熱い内壁は一瞬拒絶するように収縮し、やがてざらりとした襞で指を迎え入れた。
ぷくりとした豆を親指の腹で撫でると、濃姫の嬌声が大きくなった。
ゆっくりと指を挿入を繰り返すと、かきだされた愛液が糸を引いて流れていく。
そのさまを、幸村は熱に浮かされたように眺めた。
執拗なまでの愛撫に、濃姫は足を閉じることで抗議した。
太ももの隙間から手を抜くと、くちゅりと粘度のある水音で指は解放される。

「幸村、もう…」

その先は濡れ切った幸村の指先が示している。
雌の匂いに酔ったように幸村は指を口に含み、濃姫の足を押し開いた。
濃姫は抵抗しなかった。
だらしなく涎を垂らして限界を訴える肉塊をつかみ、蜜滴る秘所にぐっと押しこんだ。
めりめりと、締りの好い器の中に男根が飲み込まれていく。

「ひっ…ぁ、く、大きっ…」
「は、ぁ…濃姫殿…」

下腹部にじかに響く熱く湿った感触に、幸村は陶然と濃姫の腰をつかんだ。
体重をかけて、根元まで埋めてしまう。
濃姫は、自分の体の中にあるものの大きさに、深さに、夫を思い出していた。
夫とは違うものが、自分の胎内にある。
その事実が唐突に濃姫の目に涙をあふれさせた。

「!…痛むのか?」
「いいえ、違うの」

幸村が濃姫を抱きしめる。
ぴたりと素肌を密着してしまえばこの世に二人の間を邪魔するものなど何もないように思えるのに。
幸村の背中には武田という国が背負われていて、濃姫の中には夫がいる。
濃姫の涙を唇でぬぐい取ると、幸村はゆっくりと動き出した。
ずるりと、内壁と男根の擦れる感触に二人の肌が粟立つ。


891:幸村×濃姫(9)
08/08/08 03:13:43 LB98kkiO
「ん、ふぅ、」
「今だけは・・・どうか」

ぎりぎりまで引きずり出したそれを、幸村は力任せに再び打ち込んだ。
ぱん!とこぎみいい音が響く。
ずん、と臍のあたりまで響いた感覚に濃姫はのけぞった。
続けざまに幸村は強すぎるほどの挿入を繰り返す。

「ひぐっ、あああっ、あっ、ひっ」
「どうか、某だけをっ」

嬌声さえ途切れ途切れになる。
濃姫はうるんだ瞳に荒々しい若武者をとらえて…小さくほほ笑んだ。
もっとしっかり見たいと思うのに、下半身からせりあがる衝動は獣のように
目の前の体をむさぼることしか考えさせない。
ごつごつと子宮口まで届く快感に濃姫の足がびくりとひくついた。

「濃姫殿っ濃っ…っ!!!」
「ひぁ、イクっ、あ、あああああっ!!!」

ひときわ強く締め付ける濃姫の動きに抗わず、幸村は胎内に射精した。
白濁した液体が締りのいい蜜壺を埋める、ねっとりした感触を教える。
汗ばんだ体を後ろから抱きしめて、幸村はその香りのいいうなじに顔をうずめた。

「泣かないでくだされ」
「んっ」

濃姫は答えなかった。
いまだ衰えを知らない幸村が、胎内でもう一度その大きさを取り戻したせいで、返事は嬌声にかわってしまう。
いったいどこまでむさぼる気なのだろう、この若武者は。
どうか泣かないでくれと、繰り返し呟きながら再び押しつぶしてくる虎若子を優しく抱きしめる。
鍛えられた肩ごしに、桜の花が散っていくのが闇に見えた。



892:幸村×濃姫(10)
08/08/08 03:14:06 LB98kkiO


小鳥の鳴き声がして、幸村は眼を覚ました。
ぼんやりする頭で、ここは一体どこだったかと部屋を見渡す。
自室ではない。
ぼんやりとしたまま襖に手をかけて、幸村は硬直した。
窓べりに腰掛け、ぼんやりと外を眺めている佳人があまりにも美しかったからではない。
幸村は可能な限り迅速なスピードで己の着物を見やり、背後の蒲団を振り返り、目の前の濃姫を確認した。
寝ていたせいで着崩れたのだろう、しかしそれ以上の何か…具体的には先走りの染み等…は褌にさえ見当たらない。
布団はいつもの通り蹴飛ばされたらしく無言で床の上に横たわっているし、それ以上の(以下略)は見当たらない。
(あぁ、そうだ、夢だ…夢以外の何がある)
目が覚めて、隣に彼女が寝ていたら、それはどんなにか幸福な朝だろうかと幸村はうなだれた。

「あら、目が覚めました?幸村殿」

幸村殿
遠い呼び名が、幸村の胸に小さくずきりと突き刺さる。

「昨日は急に倒れてしまわれるので、心配しました」
「そ、それは・・・申し訳ござらぬ…」

くすくすと笑う濃姫に、幸村は赤面して頭を下げる。
本当は土下座して詫びたい気持ちでいっぱいだった。
何度も何度も、濃姫の声が枯れても、きゃしゃな体を犯し続ける夢を見た。
それも、強姦ではなく和姦で…願望にも程がある。
濃姫はただ桜を眺めている。
その横顔は、やはりいつもと同じようにさびしいのだ。

「そなたは・・・桜が、好きか?」
「・・・桜は、おみなのようですもの。一春のためだけに咲くのを、いじらしいとは思わないかしら」

力なくほほ笑む濃姫に、幸村はただ「そうか」と言葉にもならない返答をした。
佐助が迎えにきて、慶次が濃姫を連れて帰っても、幸村はぼんやりと通りの桜を見上げながら歩いた。

「…旦那」
「ん」
「泣きながら歩かないでよ恥ずかしい」
「すまぬ」
「一応人目もあるし、旦那有名人なんだからさ」
「ああ、すまぬ…だが」
「…はぁ…逆効果か」
「?」
「なんでもない」



桜は二度咲かない。
遅れてきた春に、散った桜は戻らない。
仄かな香りの、夢を見せるだけ。




893:幸村×濃姫(了)
08/08/08 03:16:02 LB98kkiO
幸村×濃姫終了です。
基本濃姫しか書けないんだ…
連投すみません。ちょっと自重します。

894:名無しさん@ピンキー
08/08/08 04:11:40 T5icv9Ud
GJ!
雰囲気のある文体で好きです。

幸村いい奴だよ幸村。
濃姫には儚げな雰囲気が似合うね。濃姫と桜の取り合わせが(・∀・)イイ!

895:名無しさん@ピンキー
08/08/08 14:26:38 1MBvwgNX
GJ!!
もしかして松永×幼濃姫書いた方ですか?

前回も今回も文章や情景がすごく素敵でしたから、これからも気の向くままに投下なさって下さい。

896:名無しさん@ピンキー
08/08/08 21:35:58 Hf91N3FC
ぐっじょぶううううう
エロイだけでなくすごく魅力的な文章を堪能させてもらいました。

897:名無しさん@ピンキー
08/08/09 01:42:39 MAB3hDDA


898:名無しさん@ピンキー
08/08/10 00:04:05 xL6yXCXU
いつきちゃんでエロいのを……と考えてみたが一揆のお仕置に座敷牢で小十郎に躾られるくらいしか浮かばなかった。けど、どうしてもエロじゃなくほのぼのになるんだ……。
いつきちゃんでエロは難しいな。


899:名無しさん@ピンキー
08/08/10 09:10:36 /aVhjwBf
>>893
乙でした!

900:名無しさん@ピンキー
08/08/10 15:12:26 AghFm+VV
>>898
1の筆頭だったら多少鬼畜でもやってくれると信じてる。
農民たちに聞こえるように、隣の部屋でYa-Ha-!

でもいつき好きだから、最後は和姦がいいと思ってしまう

901:名無しさん@ピンキー
08/08/10 15:23:20 AMYldN6F
2の筆頭だと最初はゴラア!!!って感じで犯すけど泣きはらすいつき見て
しゃーねーなーとかいって最後は優しくしそう

902:名無しさん@ピンキー
08/08/10 19:44:43 itF+/XlA
パンチラオブジョイトイな感じの筆頭でプリーズ

903:名無しさん@ピンキー
08/08/11 08:51:59 S0U1VlAN
>>902
意味不明

904:名無しさん@ピンキー
08/08/11 09:11:58 CsgCRCgD
>>903
>>902の元ネタは多分これ。
URLリンク(www.nicovideo.jp)

905:名無しさん@ピンキー
08/08/12 18:45:46 yxVmESkH
「お…おらのぱんつは…あっ…青の…ひゃあぅっ…しましま…」

wktkな筆頭と無理矢理捲き込まれたktkrの前でストリップするロリータの映像を受信しました


906:名無しさん@ピンキー
08/08/12 19:50:52 AZyQcM6Z
>>905
もっと受信してくれ いや、してください

907:名無しさん@ピンキー
08/08/12 19:55:01 7Q9pDfa5
遅れながらも幸濃ぐっじょぶぅぅぅぅうううああ!!
エロいし切ないし言うことなし

欲を言えば若魔王×濃姫が見たい

908:名無しさん@ピンキー
08/08/13 08:07:52 MY0PG49a
今更ながら>>703が、自分の中で神作だった
>>703さんGJです!!

あのSSの続きで、佐かすのラブラブEDを受信しまくりな自分

909:名無しさん@ピンキー
08/08/13 10:52:26 WHe78uGq
>>902
ボツイラストでようじょのパンチラ見るどころか
パンツむしり取ってたオープンスケベですね

910:名無しさん@ピンキー
08/08/13 11:01:25 dEDGiU49
>>588さんの
>>703の「ハナシノブ」に感化され、短い佐かすを書いてしまいました

>>588さんすみません
苦手な方はスルーしてください

初投下です

---------

その後、数日は佐助は家にいた。

あの夜からかすがは佐助に対して、素直になりつつあった。
でもかすがの性格、少しずつであった。
佐助はそんなかすがの変化が嬉しくてたまらなかった。

かすがが夕餉の支度をしている
台所に立つかすがの後姿を佐助は胡座を掻きながら、頬杖をついて見つめていた
『あいつは俺と一緒にいてくれると言っていた』
佐助はその事を思い出すだけで嬉しくもあり、不安であった。
本当はまた自分の腕からいなくなってしまうのではないかという不安

「かすが・・・」
「なんだ?」
かすがは佐助の方を振り向いた
佐助の顔は真顔でかすがを見つめている
目が合った瞬間、かすがは顔を赤くしながらまな板に視線を戻した
「まっ、まだ夕餉は出来てないぞ。
 もう少しだから待っていろ・・・」
また包丁の音が鳴り始めた時だった
かすがを温かい腕が包んだ
「お前を失いたくない・・・」
佐助は力強くかすがを抱き締めた
でもその声は不安雑じりで掠れていた
「……」
かすがは優しく佐助の腕に手をあてた
「昨日の夜も言ったではないか
 …一緒にいると…」
かすがのその言葉は本心から出た言葉だった
謙信様を忘れる事は出来ないが、この腕のぬくもりを手放す事の方が出来ない
忍びの自分ではなく、『女子』として愛してくれてる男のぬくもりを
手放したくなかったからだ
かすがは佐助の方に向き直し、佐助の顔を優しく両手で包んだ
「私はお前の妻であろう?」
優しく微笑みかけ、そっと口付けをした



911:名無しさん@ピンキー
08/08/13 11:04:18 dEDGiU49
初投下なので、ヘタなSSでお目汚し失礼しました

912:うたかた【注意書き】/4スレ目588
08/08/13 22:40:44 33bSabfv
>>910
大丈夫ですよ。お気になさらずに。
健気で可愛らしいかすがですね。gj!

書きあがったので投下させて下さい。
時間の都合上連投になってしまい>>910さん大変申し訳ありません。

・【!】死にネタ要注意【!】
・ハナシノブの続編
・佐助×かすが
・筆頭×いつき(少しだけでメインではありません)
・いつき=愛姫説採用
・真田主従はどちらも子持ち
・キャラの年齢が30代~40代に突入

大坂夏の陣がベースになっており、死にネタを含んでいます。
苦手な方は激しくスルーを推奨です。
本編に未登場の史実キャラ、重綱・阿梅・幸昌(大助)・横山隼人(黒脛巾組)と、
オリキャラで佐助の子どもが出て来ます。

オリキャラ出過ぎですが、許せる方はお付き合い頂けると幸いです。
宜しくお願いします。

913:うたかた【1/18】
08/08/13 22:45:01 33bSabfv
闇の中聳え立つそれは巨大な塔を思わせた。
濠を全て埋め立てられ無防備になった城は地の果てまで覆い尽くす大軍に
取り囲まれている。
大気はいつに無く張り詰め、その場に居る者が皆固唾を飲んで夜明けを
待っていた。
大軍の中から数機の騎馬が城門の前に進む。
「片倉小十郎御約束通り参上仕った。開門して頂きたい」
細面の優美な若者がそう告げると小十郎だけが門の内へ通された。
「片倉殿、突然の事ですまぬ」
赤備えの武士が小十郎に向かって頭を下げる。年は三十代半ばだろうか。
彼が戦の最中に矢文で娘との婚姻を申込んだのはまだ昨日の事だ。
「どうかお顔を上げて下さい。真田殿の武勇は殿や父から良く伺っております。
それで……」
小十郎は幸村の後ろに所在なげに立つ女子供を見た。
「阿梅」
幸村が呼ぶと年長の娘が顔を上げた。一目で青ざめているのが分かる。
「お前の婿になる片倉重綱殿だ」
怖々と前に進み出た娘は目を伏せたままだ。
「詳しくは後程。とにかく安全な場所まで参ろう」
「はい」
阿梅は小さな声で応えた。
「大助、お前も」
十を過ぎて間もない弟に阿梅は声を掛ける。
「大助は真田家の嫡男です。ここに残ります」
父親に良く似た少年はきっぱりと言った。
「阿梅殿」
小十郎に促され阿梅は身を割かれる思いで兄弟と共に城を後にした。
もう二度と生きて父と弟に会う事は無いのだ。
婚姻と肉親の死を同時に味わう混乱で呆然としたまま阿梅達兄弟は山寺に預けられた。
「戦が終ったら迎えに来る。不自由だが辛抱して欲しい」
短く言い残すと未来の夫は慌しく陣へ戻って行った。
(今日父が死に、弟が死に、戦の世が終るのか)
阿梅は頭の片隅でぼんやりと考えた。

914:うたかた【2/18】
08/08/13 22:50:00 33bSabfv
一人の男が駆けて去って行く騎馬達を山寺の屋根の上から眺めていた。
長めの橙色の髪を鉢金で引っ詰めた男は四十に差し掛かった頃で、
器用に軸足を使って空中に腰を下ろしている。
(やっぱり若旦那は来なかったか)
主をそのまま小さくした様な少年が一行に居ないのを見て溜め息を吐く。
「やれやれ…」
あの少年をどうやって宥め透かして此所まで連れて来るべきか。
男は暫し黙考する。
その時背後に気配を感じた。
「ちょっとアンタ、此所で何して……ってあれ?」
若い男の声だ。
振り向くと黒い脛巾を着けた青年が居た。
「よう、また会ったな若僧」
独眼竜が直々に組織した忍集団は揃いの黒革の脛巾をしている事から
黒脛巾組と呼ばれている。
少数精鋭で人数は最盛期の三つ者に比べれば一割程度でしかないが、
殊に諜報や籠絡に於て群を抜いていた。
「真田の忍隊長の親父さんじゃない。何の用だい?」
青年は顔を見るなり親しげに話し掛けた。
「ちっと様子見に来ただけだし、もう帰るわ」
うぅん、と首を回して忍隊長は立ち上がる。
「頃合を見てあの撥ねっ返りを外に出す。頼めるか?」
「任せてくれ。親父さんは?」
青年に親父呼ばわりされても気に留めず忍隊長はヘラっと笑った。
「俺は良いさ。俺達みたいな古い戦忍はここですっぱり滅んだ方が良い。
 ……それに」
一瞬、忍隊長の目がとても穏やかになって青年は驚いた。
「あいつの母親を独りにしとけないからな」

915:うたかた【3/18】
08/08/13 22:55:04 33bSabfv
「馬鹿親父!一体何処ほっつき歩いてたんだ!」
城に戻った佐助を迎えたのは十七になったばかりの娘の翠の罵声だった。
長い金の髪を無造作に後ろで束ね、男物の忍装束に身を包んだ娘の顔は
女房に瓜二つだ。
心根の優しい所や勝気で男勝りな所まで良く似ていて佐助は苦笑する。
翠は母親に会った事が無い。
難産の末に産まれた直後、児の顔を見て安心した母親はすぐ息を
引き取ってしまった。
「ちっとな。そうだ、若僧に会ったぞ。阿梅様達の警護に当るみたいだ」
「隼人が…?」
その名前を呟く娘は年相応の顔を見せる。
調べた所、独眼竜の抱える忍の中でも青年はそれなりの地位にあるらしい。
半年前の冬の戦で彼と娘の間に何かあったらしいが敢えて佐助は
深く詮索しなかった。
だが、その後小競合いの度に青年が娘を追い掛けるのを何度か見て居る。
寄るな触るなと苦無を投付けられて退散した遠い日を思い出した。
「若旦那はどうした?まだ残ってるのか」
「『俺は退く訳にいかん』だって。状況分かって無いのかあの馬鹿大助!」
苛立ちを隠さず翠は爪を噛む。
「お前なぁ、もうちっと娘らしくしろよ。若僧に嫌われるぞ」
娘のがさつな言動に半ば呆れつつ佐助は諫めた。
「フン、別に構うものか」
吐き捨てる様な物言いまで女房そのものだ。
「そう言う所まで本当母ちゃんそっくりだねぇ。振り回される若僧も
 気の毒だな」
翠はプイと向うを向いた。
もっと素直さに重点を置いて育てるべきだったと今更ながら後悔する。
「忍にするな」と女房から釘を刺されていたにも拘らず
忍隊の中で育った娘は自ずと忍術を習得してしまったが、
流石に佐助も殺生と閨房術だけは厳しく禁じていた。

916:うたかた【4/18】
08/08/13 23:00:01 33bSabfv
「頼む。只でさえ母ちゃんの言付け破って忍術教えちまったんだからさ。
 この上がさつな所が直らなかったら父ちゃんあの世で苦無の乱れ打ちだ」
つい懇願する口調になる。
佐助は気付かないが、それは女房を拝み倒した時と全く同じ口調だ。
そんな父親に冷たい一瞥くれただけで再び翠は外方を向いた。
「また女達を城から逃がすって。親父も警備に当たれって幸村様が言ってた」
「そうか。多分これで逃げる者は最後だろうな」
大坂城には二百人以上の娘が養女の名目で囚われていた。
彼女達は皆良家の子女ばかりで十二になると秀吉の閨に上がり妾となる。
その世話をする侍女達や下働きの者まで含めると女の数は相当なものだった。
「お前も行け。こんな負け戦に付き合う義理は無いぞ」
何度も佐助は促すが娘は頑として受け付けない。言外に父娘でと言っている。
佐助にとってそれは出来ない相談だった。
この戦は言わば天下獲りと言う国を挙げての乱痴気騒ぎの終点だ。
今までその祭の輪の中で踊り続けて来た大人が幕引をするべきで、
若い世代に背負わせる事は無い。
(やれやれ、本当に困った撥ねっ返りだ。頑固な所は一体誰に似たんだか……)
警備の合間、佐助は懐から取り出した玉簪を見詰めながら考えた。
娘の一度決めたら梃子でも動かない頑固さは父親譲りなのだが、
当の本人はてんで気付いていない。
その玉簪はどこにでもありふれた様な品だが、とても大切に佐助は扱う。
石に瑕は無いか暇さえあればしょっちゅう確かめた。
それほど大事な物なのに佐助は何処へでも玉簪を携えていく。
かつてこれを身に着けていた者の姿を重ねているかの様に、片時も離そうとしない。
(なぁ、お前はどう思う?)
朝日に照らされ玉簪の石が光った。
深い翠色を湛えた翡翠の玉を覗き込む佐助の目は、戦場に不釣合いな程穏やかだった。

917:うたかた【5/18】
08/08/13 23:05:03 33bSabfv
警備から戻ると既に幸村は馬上で手綱を握っていた。
出陣が迫っているのだ。
「おお、ご苦労だったな佐助。後の陽動は任せたぞ」
「征くのか旦那」
深刻な顔付きをした従者を幸村は一笑に付した。
「俺は武士だ。武士には武士の道がある。お前達忍に忍の道がある様にな」
道と言う言葉が佐助に重く伸し掛かる。
市井の道を選ばなければあいつは生きられたのではないか―佐助は今も悔やんでいた。
二十年近く経った今も、産まれたばかりの児を見て微笑んだまま逝った顔がちらつく事がある。
(赦してくれ。俺はお前の命を縮めただけだ)
女房の墓前に立つと佐助はいつもそう詫びた。
「若旦那は?」
重苦しいものを振り払う様に話題を変える。
「子供をこの陣には加えん。父として武士の生き様を見せるのみよ」
猪突猛進な熱血漢だった幸村は沈着な武士へと成長した。最早傅役の必要など微塵も無い。
幸村が少年の様な笑顔になった。
「さらばだ佐助。最後までお前には世話を掛けた。だが俺は戦馬鹿の方が性に合う」
佐助もいつもの困った様な諦めた様な笑顔になる。
「あばよ旦那。楽しかったぜ」
「―佐助ぇっ!!」
突然幸村の拳が佐助を襲った。
寸での所で佐助は拳を受け止める。
主従はニヤリと笑い合った。
「また、来世で会おうぞ」
「ああ」
幸村は手綱を廻らせ出陣を待つ兵達を激励した。
「豊臣の兵よ、これがこの国最後の大戦だ!これが武士の晴れ舞台だ!
 今こそ荒ぶる魂を以て己が力を存分に奮え!
 たとえ最後の一兵になろうとも徳川の眼に我等が旗印を焼き付けてやろう!
 ―征くぞ、日の本最強の古兵達よ」

918:うたかた【6/18】
08/08/13 23:10:02 33bSabfv
「始まったか」
青い鎧兜に身を包んだ隻眼の男が呟いた。
「左様で」
傍らには山寺から戻った小十郎が控えている。
「時に政宗様。今少し陣を前に出されては如何でしょう。
徳川殿の目が光っておりまする故」
それは暗に家康が抱える伊賀者達が自軍に忍び込んでいる事を指した。
恐らく将の働きを細大漏らさず報告する為であり、怠けていれば後で咎められるだろう。
「気にすんな小十郎。こっちは昨日散々痛い目見たんだぜ?
 今日は誰かに譲ってやらなきゃunfairnessってもんだ」
「ですが―」
カラカラと政宗は笑う。
「Ha!こんなつまんねぇ戦、高みの見物で充分さ。
 万が一徳川本陣の馬印が倒されたら動く。焦らず構えてろ」
最早小十郎は黙った。徳川の馬印が倒れるなど有り得ない。
それに昨日の戦で著しい損害を受けた自軍を徒に動かす訳には行かなかった。
政宗も本当は戦いたくてうずうずしているが、これ以上損害を被らぬ為に自重していた。
「所でお前のprincessは無事か?」
暇を持て余して政宗は話題を変える。
「はい。真田殿が政宗様に深く感謝しているとの事です」
「Shit!幸村め一切合切俺に押し付けやがって。こっちは良い迷惑って奴だ」
口では悪態をついているが政宗は上機嫌なのが良く分かる。
―あのお二方には敵味方を越えた友誼があるのだ
以前父から聞いた言葉を小十郎は反芻した。
(阿梅殿と私も敵味方を越えて夫婦になれるだろうか。
 ―たとえ私が真田殿を斬り、あの弟をも斬ったとしても)
青ざめ震える阿梅の顔が一瞬胸に浮んだが、小十郎の理性はすぐにそれを打ち消す。
(何れにせよ生きて帰った時の話だ)

919:うたかた【7/18】
08/08/13 23:15:03 33bSabfv
入梅も間近な頃、赤子を抱いて現れた佐助に幸村は仰天した。
先の遠征の直前に所帯を持ったが難産で亡くして鰥夫になったのだと言う。
「結局三月かそこらしか一緒に過ごせなかったよ。可哀相な事したな」
「後添えは貰わぬのか?」
「まだそこまで考えられなくてね。差当り乳母を雇って凌ぐさ」
佐助は子の母親に触れなかったが、長じるにつれそれが誰であるか明らかになった。
「翠は母親に良く似ておるな」
ある時幸村は幼い翠に言った事がある。
「幸村様は母をご存じですか?」
七つになった翠はびっくりした。
「ああ、良く知っておる。佐助から聞いておらぬか?」
翠は首を振る。
「そうか……」
それから数日後、翠は偶然男達の会話を耳に挟んだ。
「……しかしあれも母に益々似て来たな」
「あの忍も恐ろしい女と契ったものよ」
「まさか月下為君とは……。他の男なら死んでおるわ」
「誰ぞあの娘と契って朝まで首が繋がっておるか賭けぬか?」
「止めておけ。あの女の娘なら皆首を掻き斬られてあの世行きじゃ。賭けにならぬ」
「相違無い……」
男達が自分と母の事を話題にしている事は分ったが、何故母が恐ろしいと言われるのだろう。
母の事を尋ねると父はいつも同じ答えを繰り返した。
「顔も性格も皆お前にそっくりさ。翠は本当母ちゃんに良く似てるよ」
父は母を恐ろしいなどと言った事は無い。なのに何故男達はあんな風に言うのだろうか。
「げっかいくん」という耳慣れぬ呼び名と、
あの女の娘なら皆首を掻き斬られてあの世行きだという言葉が
翠の頭にこびりついて離れなかった。

920:うたかた【8/18】
08/08/13 23:20:01 33bSabfv
「母さんって何をしてた人?」
夜、忍具の手入をしている父に翠は尋ねた。
「どうした急に?」
手を休めず父は応える。
「男の人達が言ってた。『恐ろしい女だ』って」
一瞬父の手が止まった。
「聞き違いさ」
「本当だもん。私は『げっかいくん』の娘だから皆の首を斬―」
突然父が拳で力任せに床を叩いた。
翠は驚いて黙る。こんな乱暴な父を見たのは初めてだ。
父は溜め息を吐いて暫く眉間に手を当て考えていたが、真直ぐ翠の目を見て
話し始めた。
「良いか翠。母ちゃんの事をとやかく言う奴は多い。
 でも、連中が何と言おうと母ちゃんは誰より強くて優しい人だった―本当さ。
 嫌な事や辛い事を沢山乗り越えて父ちゃんなんかと一緒になってくれたし、
 命懸けでお前を産んでくれた。
 生きた時間は短かったけど母ちゃんは一生懸命生き抜いたんだ。
 その母ちゃんそっくりのお前も強くて優しい子だよ。
 父ちゃんが言うんだ、間違い無いぞ」
父が初めて語る母は男達が話していたものと程遠い。
だが翠は父の話を信じる事にした。
「でも怒った母ちゃんはおっかなくてなぁ。
 言付け破って父ちゃん忍術教えちまったからきっとあの世でカンカンだ」
慌てて翠は言う。
「私が怒らないでって母さんに言う。父さんは悪くないって」
「ありがとよ。母ちゃんお前には甘いだろうからきっと父ちゃん見逃して貰えるな」
父は翠の頭を撫でて悪戯っぽくパチリと片目を閉じる。
まだ翠が幼く、比較的世も安定していた頃だった。

921:うたかた【9/18】
08/08/13 23:25:01 33bSabfv
夕暮れが迫っていた。
幸村達が出陣してから半日以上が経過している。
中庭に立つ父の傍らに翠は久し振りにそれを見た。
背中の大きく開いた黒服を着た若い女の幻だ。
女は自分だけに見え、いつも後ろを向いている。
「父ちゃん一応隊長だろ?だから色々あるんだよ」
そう父が気遣う娘を丸め込む時、決って若い女は姿を現した。
父の傍らにそっと寄り添い、背や肩に手を置いている事もある。
小さい頃から何度も見て来たせいか怖いと思った事は無い。
今日女は父の背に取り縋っていた。静かにかぶりを振り、肩を震わせている。
翠は息を飲んだ。
初めて振り返ってこちらを見た女の顔は、驚く程自分に良く似ている。
(母さん?)
泣き顔のまま笑みを浮べ、父の肩をポンと叩くと女の幻は淡雪の様に消えた。
「翠か」
背を向けたまま父が呼ぶ。
「親父、今…」
「うん?」
父の手には母の形見の翡翠の簪が握られていた。
恐らく父は母に相談したい事があったのだろう。
母もそれに応えるべく幻となって現れたのではないか―翠はそう直感した。
「母さんに何話してたの?」
「色々さ」
「何か言ってた?」
父は肩を竦めて笑う。
「どうだろうな。でも傍であいつが聞いてた気がするんだ」
「誰か泣いてたよ」
「え?」
「黒い服の女の人が泣いてた。今親父の背中に抱き付いてさ、イヤイヤって」
父は簪に視線を落とした。
「そうか……」
顔を上げ宵の明星を見上げる。
「……そうか」
翠には父が寂しげに笑っている様に見えた。

922:うたかた【10/18】
08/08/13 23:30:02 33bSabfv
「翠、若旦那を連れて阿梅様の元に行け」
父の口調は有無を言わせない忍隊長のものだ。
「これは大人がケリを着ける最後の大戦だ。
 お前や若旦那みたいな子どもに横槍入れられちゃたまらん」
ここで殉じるつもりだ―翠は分った。
「若僧を頼れ。父ちゃんの眼に適う男なんてそうそう居ないぞ」
佐助は父親の顔に戻り悪戯っぽくパチリと片目を閉じる。
「こんな所でお前を死なせたら母ちゃんに合わせる顔が無いからな。
 お前は忍じゃないんだ、好きに生きろ」
翠は唇を噛み締めた。
「うん」
佐助は頷くと翠の手に翡翠の簪を握らせた。
「嫁に出す時渡すつもりだったけど今渡しとくな」
両肩に手を置き改めて女房に良く似た娘の顔を覗く。
翠が生まれた晩を思い出した。


―見て、やっと生まれたわ。女の子よ
微笑む女房の隣に生まれたばかりの赤ん坊が眠っていた。
後産で傷ついた胎内の大きな脈から血が止め処も無く失われ、
女房は血の気の失せた顔色をしている。
―名前は考えてくれた?
「うん。翠だ」
―みどり
青白い手が愛しげに生まれたばかりの娘の頭を撫でる。
―お願い、この子を忍にしないで。私の様な目に遭わせたくない
「分かってるよ。この子が大きくなる頃にはきっと戦も終わってるさ」
突然娘が甲高い声で泣きだした。
「ああ、重湯だな。ちょっと待ってろよ」
慌てて佐助は三和土に降りた。
―よしよし、翠。良い子ね。ほら、泣かないで……
「これじゃ温過ぎるか―」
重湯と手拭を持って振り返った時、楽しい夢を見ている様に微笑んだまま
女房は眠っていた。
二度と覚める事の無い眠りだった。

923:うたかた【11/18】
08/08/13 23:35:09 33bSabfv
尚も甲高く娘は泣き続ける。
佐助は泣かない。
泣きたくても泣けない。
涙は遠い昔に凍て付かせたままだ。
静かに枕元に坐り、まだ温かい女房の頬に触れた。
揺り起こせば目を開けて重湯は、と尋ねそうだ。
(なぁ……お前、幸せだったか?)
望まぬまま生き延びる為忍になり、閨を血で染め、叛き、
紆余曲折を経て自分の元に戻った妻。
生きて居て呉れれば良いと思っていた。
暗闇から救えず、かと言って奪う勇気もなかった弱気な自分の傍に
居て欲しいと頼んだ時、迷わず是と言って呉れた。
ずっと離れず共に生きるつもりだった。
だが寄り添う事が出来たのは児が胎に居たほんの短い間だけだ。
佐助はぎこちなく娘を抱いて重湯を含ませた手拭を吸わせてやる。
娘は拳を握り締め懸命に重湯を吸った。
(翠、いっぱい泣いて呉れ。父ちゃん泣けないんだ。だからお前が代りに泣いて呉れよ)


翠が泣き止まない時は昼夜を問わず肩車をして空を飛んだ。
母が恋しいと言えば、宵の明星を指差して「あそこでいつもお前を見て居る」と教えた。
高熱を出した時は女房に助けて呉れる様に祈った。
良く無事に長じてくれたと佐助は思う。
勝気な所や男勝りな所を矯める事は出来なかったが、それはあの若者に託そう。
「さ、もう行け。達者でな翠」
佐助に背中を押され走り出したが、一度だけ翠は振り返った。
「死ぬなよ馬鹿親父!!」
涙混じりの罵声に佐助は手を挙げて応える。
徐々に遠くなる後ろ姿を見送りながら小さく呟いた。
「……生きろよ」

924:うたかた【12/18】
08/08/13 23:40:00 33bSabfv
安居神社の境内に赤備えを身に着けた負傷者達が座り込んで居る。
彼等こそ徳川本陣深くまで切り込んだ真田幸村率いる真田隊の生き残りだ。
自身も傷を負いながら幸村は休まず他の隊員の手当てをしていた。
槍の先端は既に綻び、彼の腕も二槍を支え切れなくなっている。
「幸村様、やりましたね俺達…」
「ああ。徳川に目に物見せてやった。あの三河守の驚いた顔と言ったら無い」
顔面蒼白の家康は本多忠勝に守られ命からがら撤退した。
ここまで敵の心肝寒からしめた負け戦などあるまい。
圧倒的な兵力差がありながらも馬印を蹴倒した倒した彼等の心は昂ぶっていた。
「真田源二郎幸村殿とお見受け致す」
背後から声がした。
「拙者西尾仁左衛門宗次。御首、頂戴致す」
幸村は振り返りもせず手当てを続けながら静かに言った。
「某逃げも隠れもせぬ。が、暫し待て。この者の手当が先だ」
「幸村様…」
淡々と包帯を巻く幸村を見て西尾は刀を下げる。
「相分かった」
「忝い」
手当てを終えた幸村は最後の力を振り絞って二槍を掴んだ。
―きっとこの武士に自分は負ける。
悔いは無い。
子ども達を政宗の元に託した今、後顧の憂いも無い。
胸に有るのは六文銭の旗の元、数多の戦場を駆け抜けた矜持のみ。
瞼を閉じると巨大な戦斧を傍らに置いた大きな背中が見えた。
あの背中に追いつこうと、自分はいつもひた走り続けてきた。
一体どのくらい近付く事が出来ただろうか。
熱い拳で語り合い、抜山蓋世を体言した様なその出で立ちに若い自分は圧倒され、
仕える事の出来る仕合わせを人一倍噛み締めたものだ。
そして不幸にも、遂にその人を超える主君を幸村は見出せなかった。
(見ていて下され、お館様)
幸村は亡き師に呼び掛け息を整えると二槍を構える。
「西尾殿とやら、いざ参られよ。この真田源二郎幸村がお相手致す」

925:うたかた【13/18】
08/08/13 23:45:06 33bSabfv
暗闇の中、翠は大助を半ば担いで走る。
最期まで城に踏み止どまろうとしていた所を邪魔された大助は激しくもがいた。
「こら翠離せ!破廉恥だぞ!」
「五月蠅い!つべこべ言わずに走れ、馬鹿大助!」
叱咤しつつ、翠は天満門を出てからずっと自分達がつけられているのに気付いていた。
恐らく徳川に与する伊賀者だろう。
(数が多すぎる……!)
尚も暴れもがく大助に苛立ちながら翠は舌打ちした。
大助を守りながら阿梅達の居る山寺まで辿り着けるだろうか。
(ダメだ、弱気になれば負ける)
父が居ない事で自分が激しく動揺しているのが翠には情けない程良く分った。
山寺まで後少しと言う所で遂に囲まれ、翠は大助を庇いながら苦無を構える。
「敵か!?」
徒ならぬ雰囲気を察して大助も獲物を構えた。
父の手ほどきを受けた大助の短槍の腕前は佐助を唸らせた事もある。
「若旦那は筋が良いよ。流石は真田幸村の息子だね。
 ひょっとすると父君を越える日はあっという間にやってくるかもよ?」
そう親子二代の傅役になった佐助に褒められると、大助は舞い上がった。
早く父のような立派な武士になりたいと人一倍鍛錬に励んだものだ。
「囲まれた。いいか大助、絶対私の傍を離れるな」
翠が低い声で言った。
姿は見えなくとも圧倒的な数の殺気がジリジリと二人の肌を焼く。
無意識の内に翠は翡翠の簪をしまった懐に手を伸ばした。
「―!!」
突如新しい気配が猛烈な速さで翠達と敵の間に割り込んで来た。
「良く頑張ったな翠!後一息だ、さっさと走れ」
「隼人…」
僅かに気が弛んだ翠に厳しい声が飛ぶ。
「気を抜くな、行け!坊主、お前も自分で走りな!女に担がれてんじゃねぇ」
「こっちだって好きで担がれ……うわっ」
大助は最後まで言えず再び翠に担がれる。
追おうとした忍の前にすかさず隼人が苦無を投げて遮った。
「あの二人はウチの筆頭のお客でね。お引取り願おうか」

926:うたかた【14/18】
08/08/13 23:50:03 33bSabfv
佐助は満身創痍で城の片隅で壁に背を預け胡座をかいていた。
全身の痛みで感覚が麻痺している。鉢金を外し落ちて来た髪を掻き揚げた。
城内には火が放たれ焼け落ちるのは時間の問題だった。
(なぁ…俺、これで良かったよな?)
ここに居ない彼女に問い掛ける。
突然、頬に誰かの掌が触れた。
その懐かしい感触に目を開けると、薄い浅葱色の単を着た彼女が居る。
「…嘘だろ…」
娶ってから三月半しか共に居られなかった愛しい妻。
彼女が生きていた時の思い出が次々に甦った。
初めて逢った時鞠を手渡した事。
再会した時美しくなっていて気圧された事。
彼女が叛いて敵と味方に分かれた事。
怪我をした彼女を背負って延々と歩いた事。
翡翠の簪を受け取ってくれた事―。
振り返るには遠く、眩し過ぎる日々。
群雄割拠の中陽炎の様に消えたあの日々と共に彼女は逝き、
自分は忘れ形見と共に取り残された。
赤子だった娘が今では母親の生写しだ。
「……夢でもいい、幻だっていい」
痛みを堪え生前のままの彼女に震える手を精一杯伸ばした。
「ただもう一度……お前に逢いたかった」
凍て付き枯れ果てた涙が温かく頬を濡らす。
妻の名前を呟いたものの、最早掠れて声にならない。
金の髪の柔らかい手触りも、触れた手の温もりも、まるで生きているようだ。
「流石に疲れたよ。ちょっと…一眠りさせてくれ」
佐助は妻にゆっくり凭れ掛かる。
―こんな所でうたた寝すると冷えるわよ
まだ上田に居た頃、縁側で寝そべっていると必ず妻に窘められた。
この陽気だから大丈夫だ、と佐助は言う。
そのまままどろむと小袖を掛けておいてくれたものだ。
―風邪引くぞ、馬鹿親父
佐助は僅かに笑みを浮かべる。
妻の温かい胸に抱き止められた刹那、燃え盛る天井が二人の上に崩れ落ちた。


927:うたかた【15/18】
08/08/13 23:55:08 33bSabfv
大坂城は落ちた。
豊臣は滅び、天下は徳川の物となった。
「I'm home, My sweet honey!」
帰還した政宗が妻を軽々と抱き抱上げて口付ける。
「怪我してねぇだか?藤治郎様。何はともあれ、稲刈りに間に合って良かっただ」
嫁いだ時妻は名を改め「愛」と名乗って居る。
愛はその名の通り愛くるしい笑みを浮べた。
「おいおい、夫の無事と稲刈りが同列かよ。相変わらずだな」
政宗は苦笑する。
「藤治郎様も米もどっちも大事だべ。何でそんな事言うだ?」
今度は頬を膨らませた愛の額に唇で触れた。
「Forgive me.」
政宗は膝に愛を座らせ、煙草盆を引き寄せる。
「小十郎の嫁さんは赤いお侍の娘っ子なんだべ?似てるだか?」
背を政宗の胸に預けて見上げながら愛は尋ねた。
「いや、そうでもねぇな。忍の娘の方は母親そっくりだったぞ」
妻の銀の髪を撫でながら政宗は答えた。翠を見た時、忍は年を取らないのかと
一瞬思った程だ。
「本当か?おらも一度会ってみてぇだ」
愛が目を輝かせる。
「ああ良いぜ。今度城に呼んでやるよ」
煙管を咥えながら気安く政宗は応じた。
「今日ぐらいはゆっくりさせてくれ。戦の後のゴタゴタも片付けなきゃなんねぇし……」
考えを巡らせながら深々と紫煙を吐き出す。
遺族への補償、武器と人員の補充―その他にもやるべき事は山積していた。
「半月待ってくれ、それで全部終らせる。それにしても」
「?」
愛は首を傾げる。
「これからは誰も戦場で死ぬ事なんざ出来ねぇ。あぁ、つまんねぇよなぁ」
何か言いかけた愛など目に写らないかの様に遠くを見て政宗は呟いた。
「幸村は―あいつは日ノ本最後の武士になって逝っちまった。
 最後の最後まで勝ち逃げしやがって」

928:うたかた【16/18】
08/08/14 00:00:01 UFOQu5kj
庭の縁側で愛は感嘆した。
「本当だ。あの姉ちゃんそっくりだべ」
愛にまでそう言われて翠は狼狽える。
政宗と良い幸村と良い、雲の上の人達が何故自分の父や母を知って居るのだろう。
「な?言った通りだろ」
何故か誇らしげに政宗が言う。
「懐かしいだ。おめぇの母ちゃんが軍神の側に居たのがついこの間の事みてぇだ」
「お前が一揆の連中纏め上げてたのもな」
隣に坐る煙管を持った政宗が横から口を挟む。
「藤治郎様!」
愛が唇を尖らせた。政宗は本当の事だろうが、とくつくつ笑う。
少し年が離れているが政宗と愛はとても仲睦まじい。
どこか兄妹を思わせるような雰囲気も持っていた。
「私の母はどんな人でしたか?」
勇気を出して翠は尋ねた。
「そうだなぁ……」
政宗は煙草盆に肘を付き、煙管を咥えながら良く澄んだ空を見て考える。
「血の気が多くて、思い込みが激しくて、怒ると怖い―って痛ぇぞ愛!」
愛に尻を抓られ政宗は悲鳴を上げた。妻の怪力は健在だ。
「そんな事ばっか言うでねぇ、藤治郎様」
ブツブツ文句を言う政宗を尻目に愛は翠の方を向く。
長く美しい銀の髪が幾筋か前に垂れた。
「堪忍な。おめぇさんの聞きたい答えじゃなかったべ?」
「いいえ、母の良い事も悪い事も聞き及んで居ります」
その落ち着いた態度に愛は感心した。
「おめぇさん優しくて聡いだな。―隼人」
控えていた隼人が愛を見る。
「おめぇも嫁子貰うならこう言う娘っ子にするだよ」
それを聞いてカラカラと政宗が笑った。
「そうだぜ、隼人。小十郎も娶ったんだ、序にお前も祝言挙げちまいな」

929:うたかた【17/18】
08/08/14 00:05:04 UFOQu5kj
「筆頭、冗談も大概にして下さいよ」
慌てて隼人が言った。
「Ha!何が冗談だ?その娘にattack掛けてんの知らねぇ俺じゃねぇんだぜ?」
政宗が戦場の笑みを浮べて恫喝する。だが次の瞬間愛に頬を抓られ悲鳴を上げた。
「そんな怖い顔するでねぇ。怖がらせてどうするだ?」
「分かったから離せって!ちょ、マジ痛え!」
翠と隼人は顔を見合わせ呆れた様に笑った。
「お方様の言った事、気にするなよ。あの方はいつもああなんだ」
並んで歩きながら隼人は言った。
二人の前を下がった翠は、隼人に送られて厄介になっている片倉の屋敷へ戻る最中だ。
「でもあんな事言い出したのも俺が黒脛巾組辞めるからなんだけどさ」
「辞める?」
翠は驚いた。
「天下泰平で忍抱えてちゃ不穏過ぎだろ?
 豊臣の時みたいに謀反捏ち上げられたら洒落にならないし」
小石を蹴って歩きながら隼人は答える。
「これからどうするの?」
歩みを止めて尋ねた。もう会えなくなるのかと不安になる。
「船に乗るんだ」
隼人は笑顔だった。反対に翠の表情は曇る。
「……遠くへ行くのか」
「ああ。お前も行かない?もし、嫌じゃ無かったらだけど」


二月後、翠は世話になった小十郎夫妻に別れを告げた。
「どうだ翠、背は俺が勝ったぞ」
「五月蝿い。背より頭で勝てなくてどうするんだお前は」
痛いところを突かれて固まった大助を見て翠は溜め息を吐く。
「全く…。精進しなさいよ、日本一の兵になるんでしょ?」
「言われずとも分かっておる!」
むくれてそっぽを向いた大助の頬に柔らかいものが触れた。翠の唇だ。
大助が首筋まで真っ赤に染まったのを見て初心だな、と苦笑する。
「じゃあね、馬鹿大助」
破廉恥、と言う大絶叫を背に、翠は軽やかに駆け出した。

930:うたかた【18/18】
08/08/14 00:10:06 UFOQu5kj
「すまねぇ、遅くなった。大丈夫か?」
佐助は漸く妻と再会した。
遠征から帰ると家が蛻の殻になっていて、手掛りを元に荒っぽい方法で捜し出した。
力ずくだったが今はそんな事に構って居られない。
「平気」
少し痩せた妻は健気に答えた。
その目立って来た腹に佐助は手を当てて話し掛ける。
「おーい、父ちゃんだぞー。ただいま」
ポコン、と何かが妻の腹の中で跳ねた。
「ははっ、返事してら」
男か女か生まれるまで分からないがどちらでも良い。今から楽しみだ。
「じゃ、我が家へ帰りますか」
妻を抱え大鴉に掴まって空を飛びながら気がついた。
(そうだ、名前考えなきゃな)
親から一文字ずつ取ろうかと考えたがどうも上手くいかない。
妻の顔を見る。月下為君、軍神の懐刀―。
「あ」
「何?」
佐助はヘラっと笑う。
「いや、別に」
一緒になって欲しいと妻に差し出した、深い翠色を湛えた翡翠の玉簪。
(女なら翠も良いか)
もう一つ忘れていた事を思い出した。
「なぁ、帰ったらそばがき作って」
「良いけど……」
妻が怪訝な顔をする。
正月の蕎麦切りならまだしも、そばがきを食べたがるのは珍しい。
「よーし、しっかり掴まってろよ!」
佐助は速度を上げた。
―早く帰ろう。そばがき食べて、子どもの名前考えて、仕事もしなくちゃ。
   ああ、それにしても疲れたな。帰ったらまず一眠りしよう―
一番大事な光を大切に抱えて佐助は飛ぶ。
暁の中、その姿は朝日へ吸い込まれて行った。

931:4スレ目588
08/08/14 00:14:22 UFOQu5kj
読んで下さった方、お付き合い頂きありがとうございました。
死にネタで申し訳ありません。
また思いついたら投下させて下さい。

>>743
携帯乙です。でかしたぞ半兵衛!
次作正座してお待ちしております。


932:名無しさん@ピンキー
08/08/14 00:27:22 UFOQu5kj
容量490kb超えたので次スレ建てました。
移動宜しくお願いします。

戦国BASARAでエロパロ信者5人目
スレリンク(eroparo板)


933:名無しさん@ピンキー
08/08/14 01:22:24 Gj0h4VLe
>>931
GJ!!!これは最早SSではない!!芸術であります!!!

読み始めてすぐに泣きそうになって、佐助と幸村が別れる場面からずっと泣いてたよ…。
翠にだけかすがの姿が見えてたり、佐助と翠が昔を思い出す場面が特に切なかった。
SSでこんなに泣いたの初めてだけど、最後に子供世代が幸せになってくれて本当に良かったよ。

あと、一番最後の場面が佐助がかすがを助けた直後っていうのも良い演出でした。
次回作も楽しみにしてます。

長々と感想すいません

934:名無しさん@ピンキー
08/08/14 10:41:15 A2y8myN/
GJでした!
パスタが冷めるくらい読みふけってた。
ちょっとだけ伊達いつも読めてまりがたやーまりがたやー (-人-)

935:名無しさん@ピンキー
08/08/14 13:05:09 8B5/TDTh
GJでした!
泣いた(つД`)

936:名無しさん@ピンキー
08/08/14 16:50:28 3H5vgCqA
乙でした!!!
ああああ…素敵すぎる
目元が熱いです
なんかもう言葉にならないです…胸がいっぱいです‥
ほんとにほんとに素敵な作品ありがとうございましたあああああ
次回作も期待していますっ


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