戦国BASARAでエロパロ 信者4人目at EROPARO
戦国BASARAでエロパロ 信者4人目 - 暇つぶし2ch600:夜明け前(佐×かす)【11/20】
08/03/14 23:25:05 poPREXWi
一年が経ち、佐助は真田忍隊の勤めが忙しくなり戦場を駆け回る日々が続いていた。
忙しさも一段落した頃珍しく千代女から呼び出しが掛かった。
半年程前越後へ出向いたかすがと繋ぎ役が帰らないという。
千代女は大変気を揉んでおり、見つけたら必ず連れ帰る様に重ねて佐助に命じた。
―あれには甲賀の禁術が伝授してある
脇息に凭れた千代女が握り締めている扇が、ミシッと音を立てた。
―決して敵方に渡る事罷りならん
能面の様な千代女の顔からは、隠し切れない焦躁が滲み出していた。
佐助はいつもの如く御意、と謹んで承る以外無い。
(あいつは何をやっているんだ)
何人か二人の所在を探りに行ったらしいが、越後の軒猿は殊に忍を狩る術に長けている。帰って来た者は未だ皆無だった。
既にかすがも葬り去られているのではないか―そんな考えを佐助は降り払った。
仮にも甲賀の禁術まで会得した忍が易々と討ち取られる訳が無い。
怪我を負って身動きが取れないか、敵に囚われているか。いずれにせよ自分の助けが必要だろう。
(やれやれ、世話の掛かる)
まだこの時佐助はそう思っていた。


601:名無しさん@ピンキー
08/03/14 23:28:36 poPREXWi
続きはまた後日投下します。お目汚し失礼しました。

602:名無しさん@ピンキー
08/03/15 00:38:28 +swz/M1E
GJ!続きが楽しみwktk

603:名無しさん@ピンキー
08/03/15 04:43:22 SkQPDZcL
GJ!佐助×かすがだ-
楽しみにまってます。

604:588
08/03/15 22:26:26 ICowO1se
昨日の佐×かすの続きを投下します。

苦手な方はスルーして下さい。宜しくお願いします。

605:夜明け前(佐×かす)【12/20】
08/03/15 22:27:44 ICowO1se
越後に入って佐助は愕然とした。
かすがは生きていた。怪我を負っていたわけでもない。
だが、彼女の心は完全に謙信に囚われてしまっていた。
彼女の目に映るのは謙信の姿だけ。彼女の耳に入るのは謙信の言葉だけ。
謙信に囁かれるまま、かすがは何の躊躇も見せず猛然と佐助に斬り掛かって来たのだ。
「おいおい、冗談だろ?」
最初の一撃でかすがが本気だと分かった。苦無と手裏剣が火花を上げてせめぎ合う。
二人の距離は肉薄していた。まるであの夜の時のように。
「お前、自分が一体何してるのか分かってるのかよ!!」
「黙れ!!」
謙信はかすがの背後で悠然と二人の斬り結ぶ様を眺めている。
「みせておくれ、わたくしのうつくしきつるぎよ」
「はい、謙信様」
佐助は舌打ちして謙信の方へ狙いを変え、地中に潜って距離を詰める。
至近距離まで近付き謙信を仕留めようとした。その刹那、佐助の前にかすがが割って入る。
「させるか!!」
「どけ!!かすが!!」
「うるさい!!」
激しい剣戟が続いた。
一体この半年の間に何があったというのか。
かすがに何が起ったのか。
何も分からぬまま、佐助は戦った。


606:夜明け前(佐×かす)【13/20】
08/03/15 22:32:48 ICowO1se
半年前任務に訪れた先で、かすがは神に出会った。
この上無く美しく高潔な神は言った。かすがが美しいと。
夜にしか生きられず、夜でしか生きる術を持たず、夜を血で染める穢れた女。
かすがは自分自身をそう蔑み疎んじていた。
浮世の汚穢を寄せ集めた様なこの自分が、よもや美しいなどとは晴天の霹靂だった。
神は続けた。
戦により民草の生活がどんなに踏み躙られているか。
一刻も早く乱世を終結させ世の歪みを正す必要があり、その為にかすがの力が要る事も。
(この私が、誰かの役に立てる?)
だがその疑問は浮ぶと同時に消滅した。
今自分の目の前に居るのは凡百な将ではない。
―神だ。
神の言葉は全て正しく、また神に不可能は無い。
(私がこの方のお役に立てる)
かすがの胸の内から言葉に出来ない感情が溢れた。
この世で千代女の屋敷しか知らず、血と色に染まるしかなかった穢れた自分を、
この方なら救って下さる。
夜毎肌を這い回る男達も血腥いしがらみも全て断ち切る事が出来るなら、
かすがは命など要らなかった。
「この命は、あなた様のもの」
神に跪き頭を垂れるかすがは、生まれて初めて充足感を味わった。


607:夜明け前(佐×かす)【14/20】
08/03/15 22:37:48 ICowO1se
『死ニタイノ』
かすがの剣戟の奥の呟きを聞いた時、佐助の背は粟立った。
(今、何て…?)
佐助は苦無を打ち返す。その火花の一つ一つがまた呟いた。
『私ハ アノ方ノ為二死ンデ 穢レヲ浄メルノ』
『アノ方ノ中デ 私ハ永遠ニナル』
『ソウスレバ ズット一緒二居ラレルカラ』
『イツマデモ アノ方ノ傍二 離レナイデ』
一度に返って来た答えに佐助は戸惑った。そして一番聞きたかった事を聞いた。
「何であいつなんだ?俺じゃなくて」
その途端、かすがが一段と険しい表情になった。
「お前に……っ!!」
瞬時に距離を詰め降り降ろされた一撃は、今迄と比較にならない力が込められていた。
二人は再び肉薄する。
「お前に私が救えると言うのか?!」
「……救う?」
「お前に何が出来る?!私をあの屋敷から連れ出せるのか?!あの夜から、あの閨から……
 私を解き放てるのか!!」
「………っ」
そんな事―佐助は疾うに答えを出して居た。
自分に出来る筈が無い。
かすがを千代女から解き放てば叛逆になる。そうなれば抜け忍になるしかない。
一人の女と自分の持てる全てを引換えにする青臭い無謀さや熱さなど、
佐助は遠い昔に捨てていた。


608:夜明け前(佐×かす)【15/20】
08/03/15 22:43:01 ICowO1se
―ならばせめて彼女に寄り添い支えよう。傍に居る事なら自分にも出来る。
かすがを伴って以来、佐助は忙しい合間を縫って何度も千代女の屋敷を覗いた。
既にかすがは千代女からの任務をこなしていた。
閨の中で己を愛した男を悉く斬り捨てる―まだ若い彼女は、たった独りで
その重荷に堪えねばならなかった。
あのかすがにそんな事が出来るだろうか。独りで泣いているんじゃないか。
余計なお節介だとは思いつつも佐助はそう心配していた。
案の定、いつも人気の無い場所でかすがは膝を抱え声を押し殺して泣いていた。
近付いて声を掛けると彼女は腕の中に飛び込んで泣いた。
顔を埋めて「もう堪えられない」と言いながら佐助の胸で泣きじゃくる。
取り縋るかすがを佐助はそっと抱き締めた。
何も訊かない、何も言えない。そんな苦い逢瀬を二人は幾度も繰り返した。
最初からこうなる事は分かっていた。
千代女の企みも、かすがの哀しみも、自分の無力さも。
今は凍て付く夜の世界だ。でも必ず夜明けは来る。彼女が解き放たれる日がきっと来る。
佐助はそう信じて前にも増して戦に没頭した。
かすががもうこれ以上、誰かを殺さなくても良いように。


609:夜明け前(佐×かす)【16/20】
08/03/15 22:48:29 ICowO1se
佐助は待つ道を選んだが、かすがは違った。
彼女は待ったりしない。死んで謙信が作る夜明けの礎になる事こそ彼女の悦びなのだ。
(それで死にたい、か)
佐助は急速に自分が乾いていくのが分かった。
絶望の闇の中、灯に惹かれ焦がれる哀れな羽虫を一体誰が止められよう。
(でもお前―)
言葉にならない苦い思いが佐助の喉を塞いで息を乱す。
自分と謙信は初めから比較にならない。
でも謙信はかすがの命を踏み台にしようとしている。
そこが佐助は気に入らなかった。
結局謙信も千代女も同じだ。でもかすがは喜々として謙信の為に死のうとする。
それも気に入らなかった。
「死んだら…死んじまったらそこで終りだろうが!!」
「―くっ!!」
佐助が渾身の力を込めて放った一撃を受止め、かすがは大きく後ろに飛びすさった。
体勢を直したかすがは改めて苦無をしっかりと握り直す。
佐助を取り巻く風が変わった。
(これが空を斬る忍)
果たして自分に勝てるだろうか。刺し違えれば僥倖だろう。
「うっ……」
あんな眼をした人間をかすがは見た事が無い。
―無機質な絶対零度の眼。
かすがの背に冷たい物が走る。
後ろの謙信さえ静かに刀に手を添えた。

610:夜明け前(佐×かす)【17/20】
08/03/15 22:53:28 ICowO1se
「本気なんだな」
「ああ」
「……そうか」
それだけ言うと、佐助はかすがに背を向けた。
「俺はお前を斬れと言われて無い。お前を連れ戻せと言われただけだ」
佐助は半分かすがの方を振り返る。その眼に最早先程の冷たさは無かった。
「好きにしろ。今俺がしてやれるのはここまでだ。後は自分で始末を付けろ」
「い、言われる迄も無い」
かすがは戸惑った。他人に優しくされた時どうしたら良いのか分からないのだ。
彼女の不器用さを見て佐助は寂しげに笑った。
「辛くなったらいつでも俺の所に来いよ。胸ぐらい幾らでも貸して…」
「うるさい!さっさと行け!」
かすがは真っ赤になって言葉を遮った。
「……じゃあな」
次の瞬間佐助はかすが達の前から忽然と姿を消した。
ヒラリと黒い羽がかすがの掌に舞い落ちる。かすがの胸に何かがつかえたが、
それが何であるか彼女は図りかねた。
はっきりしているのは、これから本格的に千代女や佐助と刃を交えるという事だ。
その覚悟は既に出来ている。
今度佐助に会うのは戦場だろうか、任務先だろうか。
(私は、後悔などしていない)
その眼に剣としての決意に満ち溢れていた。

611:夜明け前(佐×かす)【18/20】
08/03/15 22:58:35 ICowO1se
佐助は千代女の屋敷に戻ると事の顛末を報告した。
「お前ともあろう者がみすみす取り逃がしたと言うのか!?」
千代女の扇が真っ二つに割れた。
怒りの余り千代女の顔色は青くなりワナワナ震えている。
佐助はじっと静かに頭を垂れていた。
「我が甲賀の禁術、敵方に漏れて何とする!?答えや佐助!!」
「―畏れながら」
佐助は淡々と理由を告げた。
かすがは禁術を会得しているもののまだ未熟で、とても他の忍に秘儀を伝授するだけの
能力が備わっていない事。
今突然望月が単独で上杉に戦を仕掛ければ、武田から叛意有りと受け取られかねない事。
最後に今回かすがを使ったのは千代女の独断であり、武田の意向では無い事。
「くっ……」
流石の千代女も黙るしか無かった。
「……下がって良い」
不機嫌な表情のまま、千代女は佐助を下がらせた。
誰も居なくなると千代女は割れた扇を力任せに襖に投げ付け爪を噛む。
(何と口惜しい)
かすがの代わりを早急に育てねばならない。
しかしそうは言っても適当な者などなかなか居る筈もなく、千代女は臍を噛んだ。
先に織田方へ送り込むべきだったと後悔したが後の祭りだ。
(まこと口惜しい事よ)

612:夜明け前(佐×かす)【19/20】
08/03/15 23:03:25 ICowO1se
―羨ましい
最後に逢った時、故郷の事を彼女に話した。
―私には帰る所も家族も無いから
国境の大鳥居がある小さな峠には今も自分の家族が暮らしている。
「今度連れてってやるよ。何も無い所だけど」
「迷惑じゃない?」
今迄腕の中で泣いていたかすがはまだ涙の残る眼差しで佐助を見上げた。
「そんな事無い。『また娘が出来た』って喜ぶさ」
「また?」
「妹が生きてりゃ、お前と同じくらいの歳になってたからな」
危うい足取りでいつも自分の後をくっついて来た妹は、三才にならず逝ってしまった。
かすがの世話を焼くのはどこかに妹の面影を重ねていたからだ。
「正月休みに一緒に帰ろう。
 ああ、でも俺、毎年親父に雪掻きさせられて休みが終るんだったな。
 お袋も早く嫁さん貰えって煩くて……」
帰ろうと思った途端煩わしいあれこれを思い出してしまい、佐助は頭を抱えた。
「フフフ…」
そんな佐助を見てかすがは笑った。最初に会った時に見せた花の様な笑みだ。
「絶対連れて行く。約束だ」
「うん」
夕暮れの空に宵の明星が輝いている。
二人は初めて唇を重ねた。
絡めた舌先の柔らかさに、くすぐったい感覚とささやかな幸せを味わいながら―。



彼女が居なくなったのは、その直後の事だった。

613:夜明け前(佐×かす)【20/20】
08/03/15 23:09:08 ICowO1se
屋根の上で仰向けに寝転んだ佐助は星を眺めていた。
空にはあの夕暮れの時と同じ宵の明星が輝いている。
あいつは元気にしているかな、などという佐助の感傷をよそに、
さっきから熱血師弟が互いを呼び合いながら殴り合っていた。
いい加減止める頃合だ。佐助は溜め息を吐くと胡座をかいた。
遠く越後で彼女も溜め息を吐いているだろう。
そろそろ彼女の主が晩酌を始める時間だ。
謙信は大胆にも毎晩独りで縁側に腰掛け、梅干しだけを肴に手酌で呑む。
危険だからせめて供を付けるか屋内で嗜んで欲しいとかすがは嘆いているらしい。
今一つ考えの読めない謙信だが、佐助は感謝している事があった。
高潔な彼は決してかすがを閨に送らないのだ。
あのまま閨に送られる日々が続いていたら彼女は遠からず自害していただろう。
皮肉な結果だが武田を出たからこそ彼女は今日まで生きている。
いつか夜明けが訪れたら、約束通り彼女を自分の故郷へ連れて行きたい。
一緒に暮らすのもきっと悪くないと思う。
それまで悪態をつかれようが邪険にされようが、危なっかしい彼女を見守って行こう。
それが暗闇から彼女を救えなかった自分への罰だ。
さてと、と佐助は立ち上がる。
(お互い、頑張ろうな)
佐助は微笑み掛けた。
彼女も見ている、この星空へ。

614:588
08/03/15 23:11:12 ICowO1se
拙い文章にお付き合い頂きましてありがとうございました。
GJ下さった方、励みになりました。本当にありがとうございます。
また腕を磨いて精進して参ります。


615:場皿
08/03/16 04:36:55 76PXoVdi
>588
お疲れ様でした。良いお話を有難うございましたー!

また次作をわっふるしてお待ちしております!

616:名無しさん@ピンキー
08/03/16 10:49:20 jJLhB863
佐助せつねぇ…。
すごく深くて良い話でした!GJ
ちょうど佐助とかすが読みたいと思ってたから歓喜した。

617:名無しさん@ピンキー
08/03/16 19:20:49 y+N/tkuz
いい話だったよGJ!ちっとも拙くなんかないから自信持って。
また何か思いついたら遠慮なく投下して下さい。

618:名無しさん@ピンキー
08/03/16 19:45:57 cENkXZqT
>>588殿
GJ!
設定も話も素敵です!!ありがとうございました。
自作も正座してお待ちしておりまする

619:名無しさん@ピンキー
08/03/17 00:07:00 0w+ONHgc
元就×濃姫が見たいなあ・・・

620:名無しさん@ピンキー
08/03/17 00:55:59 kl0v5SOl
ちょっと賤ヶ岳もマンネリになってきたので気分転換に一身同体戦やってきた。
いつきのパートナーは政宗なのか。やっぱりと言うか意外と言うか。
というわけで、パートナーを組むことになった経緯をひとつ。

621:名無しさん@ピンキー
08/03/17 03:32:18 xoA3AD/w
>>588
Gj!
切ない話でよかったです!
たまにはこんな佐助×かすがもいいですね。
いつか佐助の思いが報われるといいな・・・

622:名無しさん@ピンキー
08/03/17 23:21:16 2yO4TN6l
>>620
いつきが政宗を叩きのめして強引に連れて来た

623:名無しさん@ピンキー
08/03/18 00:18:24 QlGjsvUB
>>622
今うっかり萌えた。

624:名無しさん@ピンキー
08/03/21 22:52:18 d6j5+gbo
蘭丸×いつきも見たい…

625:名無しさん@ピンキー
08/03/22 10:50:15 KBuDLaOk
前田夫婦のラブラブ物が読みたいです・・・

626:洗濯日和(前田夫婦)1/2
08/03/22 23:33:26 3t8Zo9AC
>>625

昔書いたものでよければ。



************



今日はとってもいい天気。

お洗濯物が、よく乾きそうでござりまする。


「犬千代さま、お布団を干そうと思うのですが」


縁側に寝転んでいる夫の顔をさかさまに覗き込むと、生返事が返ってきた。


「―…ああ、」

頼む。


と。

春の陽気に誘われて、
あいかわらずうとうとしている利家に言葉を投げかける。


「ついでに手にされていらっしゃる毛布、洗ってもよろしいでしょうか?」


利家がいきなりがばっと起き上がったので、こちらがびっくりしてしまった。
大きな体を縮ませ、うつむいて、もじもじしている。


「こ、これは、ダメなんだ。今度にしてくれ」

「なにをおっしゃいます、ここのところ花曇ばかりでしたでしょう。
晴れているうちに済ませてしまわねば」

「まつ、悪い!!今度な」


毛布を抱え込むと、そっぽを向いてしまった。
大きな成りして、中身は手のかかる子供のよう…。


「いーぬーちーよーさまー!」

「だーめーだー!!!!」

結局、毛布の引っ張り合いになる。

627:洗濯日和(前田夫婦)1/2
08/03/22 23:35:02 3t8Zo9AC
「今日中に全部洗濯を済ませてしまったら、
次に晴れた日は一緒にお出かけできますよ」
その言葉に利家がぴくりと動きを止める。
うん、あとひといき。

「犬千代さまのために、大きなおにぎりもたくさんこさえますゆえ」
「…」

黙って、利家は毛布を差し出した。

「まつ、ごめんな」
「なにゆえ、この毛布にそんなにこだわりをお持ちなのです」

この毛布、と手にとって、まつは気づいた。
これは利家のものではなく、自分のものだった。

「まつの、いい匂いがするから、離したくなくて」

でも、まつと一緒に出かける方がいいな、と
照れたように笑った。

「犬千代さま」
「ん?」

こちらを向く利家に、毛布をそっとかけ、あぐらをかいたその膝に腰掛ける。
硬く強い、男の脚の感触だった。

「…まつ?」
「失礼いたします」

頭のてっぺんに、利家の鼻先が当たって、くすぐったかった。

「まつはあったかいなぁ」
「毛布を纏われているからですよ」
「いや、まつ自身があったかいのだ」

後ろから、利家がやさしく腕を回す。
背中にあたる胸は、いつもより少し熱くて、早い。
春の陽気に、あなたとわたしの温度が溶ける。
通り雨が来ればいい。

洗濯なんかやめてしまって、

あと、

もう少しだけ。

628:626-627
08/03/22 23:36:30 3t8Zo9AC
文の最後に「終」を入れ忘れましたがこれで終りです
エロ無しな上に稚拙な文でゴメンナサイ!!!


629:名無しさん@ピンキー
08/03/23 00:46:46 RZUGRaL/
とてもいい!
この夫婦はやっぱ和むなあGJ!

630:名無しさん@ピンキー
08/03/23 22:40:16 8CEOh2ig
ニヤニヤが止まらない!
素敵な利×まつをありがとう!!

631:名無しさん@ピンキー
08/03/23 23:03:28 0yuPPtmm
GJすぐる!
前田夫婦はほのぼのしてて大好きだ

632:626
08/03/23 23:26:46 UlH5AFOr
みなさん、GJをありがとうございます!!素でうれしいです!
もうひとつ昔にかいたものがあるので、
厚かましながら投下させていただきます。
エロ無しですが、よろしければまたお付き合い下さい。
(次から始まります)


633:あまいのがお好き(前田夫婦)
08/03/23 23:29:53 UlH5AFOr
利家とまつは、慶次のいる京の都へ遊びに来ていた。
店先には華やかな着物や雑貨が所狭しと並んでいて、
さっそく利家がそれに目をつける。

「あの小紋、まつに似合いそうだなぁ」
「まぁ、犬千代さまったら」
「じゃ、俺はちょっと夢吉とその辺見てくるからさ、仲良くやんなよ!」

相変わらずの仲良し夫婦っぷりを見せ付けられ、
慶次が気を利かせて場を離れた。

「あっ、おい、あんまり遠くへ行くなよ!」
「もう、慶次ってば…落ち着きのないこと」

残された二人は顔を見合わせ、仕方ない子だ、とくすりと笑った。

「犬千代さま、わたくしたちも二人で見物いたしましょうか」
「うん、そうだな!まつ、どこか見たいところはあるか?欲しい物はあるか?」

着物でもかんざしでも香でも、欲しい物は何でも言ってみろ、
と顔を覗き込まれる。
考えた後、まつはためらいがちに、

あの、わたくし、

あんみつが食べとうござりまする。

と言った。

少し恥ずかしそうに、主人と甘味処を交互に見つめる。

「おお、某もちょうど腹が減っていたところだ!」
利家が明るく答えた。

634:あまいのがお好き(前田夫婦)
08/03/23 23:32:13 UlH5AFOr
「おまちどおさま」

二人を隔てる机の上に、硝子の器が置かれる。
鮮やかな寒天に彩られた餡蜜を前に、
まつは少女のようなうれしそうな目をした。
それでも“いただきます”と行儀よく両の手を併せ、
綺麗な所作で器を手に取った。

「うまいか?まつ」
「ええ、とても」
「そうかそうかー!それはよかった」

満足げに頷く夫は、頬杖をついてにこにことまつを見つめていた。
顔を上げると、ぱちりと一瞬互いの視線がぶつかる。

犬千代さまが、こんなにまつめを見つめていらっしゃる。
あんみつだなんて、子供みたいだったかしら。
せめて、お茶でもしませんか、とか、他の言い方があっただろうに。
途端に恥ずかしさがこみ上げてくる。

熱くなった手のひらに、硝子の輪郭がひやりとつめたい。

「と、ところで犬千代さま」
「ん?」
「犬千代さまは、お召し上がりにならないのですか?」

焦っていたとはいえ、何の気なしに口にした話題だった。
利家は頬杖をついたまま、きょとんとしてこちらを見た。


「いやぁ、それがしも、腹が減っていたはずなんだが…
まつが美味そうに食べる姿を見ていたら、それだけでもう腹いっぱいで幸せだ!」


ああ。

なんのためらいもなしに、

あなたさまは、

澄み切ったあおぞらのような笑顔で、そうおっしゃるんですもの。



匙が手から滑り落ちた。


犬千代さま、

あなたの甘いお言葉で

まつめも、お腹いっぱいでござりまする。




―了―

635:633-634
08/03/23 23:35:13 UlH5AFOr
二日連続での投下申し訳ございません。
前田夫婦への愛ゆえについついやってしまいました。
お付き合いいただき、ありがとうございました。

636:名無しさん@ピンキー
08/03/24 21:12:37 kOcIwuXR
GJ!GJにござるぅううう!
まつ可愛いなあまつ

637:名無しさん@ピンキー
08/03/25 00:40:46 KANnbXzN
二作も素敵な作品を有難う!GJ!
利まつイイ(*´д`)

638:鹿の子 ◆sgQn.7ocCg
08/03/26 23:15:02 vLDwQpCu
先日、前田家を二作品投下したものです。
皆様、感想ありがとうございました。本当にうれしいです!!
保管庫での分類の都合により、名前とトリップつけてみました。
書き溜めていたものがもう一作品あるので、
うpさせていただきたいと思っております。

※また前田家です
※四郎丸×まつ(?)です。
獣姦…とまではいきませんが、まつ様がちょっとえっちな気分になります。

駄文ですが、おkという方のみ、またお付き合いよろしくお願いいたします。
(次からです)


639:鹿の子 ◆znY2D3dUUE
08/03/26 23:25:09 vLDwQpCu
「まつー!!おかわりだー!
夕餉時の前田家。
元気よく叫ぶ当主・利家の片手には、味噌汁の椀が握られていた。
「はい、はい、ただいま…あら?」
その愛妻・まつがふと目をやると、いつもある位置に鍋がない。
膳の傍らにおいたと思っていた味噌汁の鍋を、台所へ置き忘れてきたのだ。
「犬千代さま、しばし、お待ちを」
まつは利家から椀を受け取ると、急いで台所へと向かう。
鍋から味噌汁をよそい、利家の元へと縁側を通ると、その横でくぅんと甘えるような鳴き声がした。
「四郎丸?」
見ると四郎丸が、尻尾を振ってまつを見上げていた。
あなたもお腹をすかせていたのね。わたくしの殿と同じにござりまする…。
くすり、と口許が緩む。
瞬間、うっかり椀を持った手を滑らせてしまった。
「きゃ…っ!!」
カラカラと椀が転がる軽い音と一緒に、味噌汁が床に飛び散った。
四郎丸も驚いたように飛び退く。
出来立てではなかったため幸い火傷はしなかったが、せっかくの味噌汁がこぼれてしまった。


「…!四郎丸、大丈夫?」
うぉん、と一吠え、主人の声に応える。
「ああ…わたくしとしたことが…。犬千代さまが、待っていらっしゃるのに」
それだけではない。
前掛けはしていたものの、薄紅梅色の着物も汚れてしまっている。
京の都に出かけた時に利家が買ってくれたこの着物。
優しい桃色がまつに似合いだと、彼が贈ってくれて以来、大切に着ていたものだった。
がっかりしたまつは、肩を落としてため息をつく。
片付けようと立ち上がると、少し下がっていた四郎丸が、
尻尾をぱたぱたさせてまつの方へ歩み寄った。


640:鹿の子/大きな子どもたち(四郎丸×まつ?)
08/03/26 23:28:53 vLDwQpCu
(タイトル入れ忘れました…。ごめんなさい。以下、続きです)

「四郎丸…」
大丈夫?と心配するように、身を乗り出しまつの頬をぺろりと舐める。
「…ふふ、心配は無用にござりまする」
にこりと笑って答えると、四郎丸がうれしそうに縁側に飛び乗り、まつを押し倒した。
「きゃ…!」
じゃれつかれた勢いで、まつは縁側に尻もちをついてしまう。
「こら、土足ではお行儀が悪うございまする!」
その声の調子に、いつもの元気が戻ったとはしゃぐ四郎丸がまつの身体に前足をかけた。
犬とは言っても体格はよく、二本足で立ち上がるとそれなりの大きさになる。
「四郎丸、なりませぬ!離しなさい!!」
まつが怒って四郎丸の前足を握った。
と、四郎丸はまつの手に鼻を近づけ、ふんふんとその匂いを嗅ぐ。
先ほどこぼした味噌汁がついていたのか、四郎丸はおいしそうにまつの指をしゃぶり始めた。
その重さに、まつは動きを封じられてしまう。
「こ、こら!いけません!」
突然のことに戸惑いながらも、四郎丸に乗られ身動きがとれない。
四郎丸はお構い無しにまつの指の間にまで、そのざらりとした舌を這わせる。
そこは利家以外の者になど、触れられたことのない敏感な領域。
夫の愛撫とは似つかぬ動物的な舌使いに、まつはびくっと身体をこわばらせた。
「…!」
四郎丸がおもむろに手から顔を離し、まつの身体中を嗅ぎまわる。
腰に回された前掛けのところで、四郎丸の顔が止まった。
「もう、悪戯する子はご飯抜きに…」
まつが身体を起こそうとしたのもつかの間、四郎丸はまつの前掛けの、ちょうど太ももの間に顔をうずめて、なにやらもぞもぞしている。
「なっ…!!」
相手は動物とはいえ、恥ずかしさに思わず顔が上気する。
自分の前掛けの股あたりに目をやると、味噌汁が零れた跡。
腹をすかせた四郎丸は味噌汁の匂いを嗅ぎつけ、懸命に前掛けに鼻先を擦り付けている。
そうだ、前掛けをとれば…。
気付いて後ろに両の手を回すが、きつく結んでしまってなかなかほどけない。
その間にも薄手の着物の上から、四郎丸が鼻先で乱暴にまさぐる。
「っ、およしなさい…っ、後で、説教…です!」
無骨な硬い鼻先が、利家にしか晒したことのない場所を強く刺激する。
焦れば焦るほどもつれる紐を後ろ手で探ると、四郎丸がまつの華奢な肢体に更に体重をかけた。


641:鹿の子/大きな子どもたち(四郎丸×まつ?)
08/03/26 23:32:03 vLDwQpCu
「…しろうまる…っ!」
叱咤のつもりが、思いのほか甘えたような声が出た。
身をよじらせ振り払おうとするが、
その甘い声に褒められたと思いこんだ四郎丸が、よりその奥を探ろうとする。
倒れこんだまつの着物の裾が割れ、白い脚が宵闇の縁側にふわりと浮かび上がった。
「や…!は…っ、はしたのう…ございますよ、しろ…っ!」
はしたないのはどっちだ、こんなところでこんな声を上げて。
思いがまつの頭を駆ける。
ふと、自分の秘部をとろりと伝う生ぬるい感触があった。
外気に晒された一筋のそれは、途端に熱を奪って冷えていく。
いや、まさか、こんなことで―…?
考えたくもなかったが、脚に伝った確かな感覚。
懐いた犬に組み伏せられ、探られ、感じて―
まつめは、なんと節操のない女子なのでござりましょう…!

「いぬ…ち、よ、さまぁあああっ!」

吐息交じりの、情事の最中のような声が出て
思わずまつは口を塞いだ。
まもなく、どたどたと大きな足音が屋敷中に響き渡る。
大きな握り飯を片手に、利家が現れた。
犬に組み敷かれた己の妻の姿を確認するや否や、
まつうううぅううう!!!!と、ものすごい勢いで縁側を駆け、彼女を抱きしめた。
「まつ、平気か、まつうう!!!怪我はないかぁああ!!!」
「犬千代さま…大丈夫、でござりまする」
「よかった…まつの身に何かあったら、それがし、それがし…」
ぎゅう、とまつを抱きしめ、安心しきった様子でにっこり微笑んだ。
「こら、四郎丸!まつをいじめてはいけないぞー!!」
まつもいつもの優しい夫の声に、平静を取り戻した。
「申しわけござりませぬ…お代わりを損じてしまいまして」
「いらぬ!!まつが無事ならそれで…それに、まつが作ってくれたこの握り飯が…」
そこまで言い、あーっと利家が叫ぶ。
見ると、片手に持っていたはずのおにぎりが地面に落ち、
それを四郎丸がはぐはぐとおいしそうに食べている。
夢中で向かってきたため、落としてしまったのだ。


642:鹿の子/大きな子どもたち(四郎丸×まつ?)
08/03/26 23:33:54 vLDwQpCu
「ああ…それがしの…飯が…」
がっくり肩を落とす夫に、まつはにっこり笑って言った。
「もう一度、作り直しまする。四郎丸も、お腹をすかせておりますれば」
「…そうかー!じゃあ、みんなで、夕飯にするかー!!
まつ、それがし、明太子の握り飯がいいぞ!」
「ええ、ただいま」

幸せそうな夫婦の声に、わん!と、四郎丸が元気に吠えた。
「それより、まつ、脚…?」
忘れていた。はっとして赤くなるまつに、利家がきょとんとして言う。
「葱と味噌汁が、脚にまで」

…え?

よく見ると、自分の太ももには、味噌汁の具だった葱のかけらがついている。
その上、四郎丸にじゃれつかれたため、泥だらけだった。
善くない誤解をしていた自分が、恥ずかしくも滑稽で、思わず笑ってしまった。
「ふふ…、恥ずかしゅうござります」
「まずは風呂に入るか!それがしがまつの背中を流す!」
「まぁ、犬千代さまったら」


夕暮れの夏。暖かいご飯の匂い。


「まつ、大好きだー!!」
「犬千代さま、まつめも、お慕いしておりまする」


前田家には、
今日も、幸せな笑い声。


643:鹿の子 ◆sgQn.7ocCg
08/03/26 23:36:59 vLDwQpCu
以上にござりまする!
長い上に稚拙な文章で、大変申しわけございません。
ここまでお付き合いいただいた皆様、ありがとうございました。


644:名無しさん@ピンキー
08/03/26 23:46:06 Zo//1+H9
リアルタイムktkr!GJ!!
前田夫婦いいよ前田夫婦(´∀`*)ハァハァ

645:名無しさん@ピンキー
08/03/27 18:37:03 lQL3nqZ1
エロいけど抜けない、抜けないけどエロい…
鹿の子GJ!マジGJ!

646:鹿の子 ◆sgQn.7ocCg
08/03/28 21:53:51 gUA7Omtb
今回も読んでいただけて、本当にうれしいです。ありがとうございます。
突然現れ、アイユエニー前田家作品ばかり投下する自分ですが
それにもかかわらずGJを下さる皆様に、本当に感謝しております。
私情ですが、四月から新生活が始まりますゆえ
作品を投下する機会が少なくなってしまいそうなので、
今ここぞとばかりに、長編を投下いたします。

※史実ちょこっとありな犬千代×まつ
※つまり幼少利家とまつでしかもちょっとばかしエロ
※そのわりに史実無視気味な点もあり

そんなの関係ありませんぞオヤカタサムァー。
読んでやろうユキムルァアー。
な方のみ、お付き合いをよろしくお願いいたします。
(次からです)

ちなみにわたくし、「しかのこ」ではなく「かのこ」です。

647:鹿の子/かけがえのないひと(犬千代×まつ)
08/03/28 21:57:42 gUA7Omtb
はぁ、と大きく息をつく。
時は丑の刻。
明日の朝も早い。もうそろそろ寝ないと明日に響くだろう。
行燈を灯したまま布団に潜り込むと、犬千代は目をゆっくり閉じる。
まもなく、からからと戸を開ける音がした。

「―誰だ?」

すばやく布団から抜け出し、構えた。
空気が張る。
武士たるものは、いつ襲われてもいいように、気が抜けない。
もっとも、襲われたくないというのが本音だが…。
いずれにせよ、誰だ、こんな時間に。

「いぬちよさま」

顔を覗かせたのは、まつ。
数え年は十二という、お転婆盛りな妻を犬千代が娶ったのはつい先日のことである。
夫婦ではあるが、二人は未だ別々の部屋で寝ていたのだった。

「まつ…どうしたのだ、こんな時間に」

張り詰めた空気が緩む。
敵軍の奇襲かと思ったら…
構えたものの、よく見ると自分の服は寝巻きな上、入ってきたのはまつ。
きまりがわるく、犬千代はぼりぼりと頭をかく。

「いぬちよさま。まつめは、夜這いに参りました」
こんな時間に何の用かと思ったら、まつが口にしたのはなんともたちの悪い冗談。
寝ぼけていた犬千代には、彼女のませた発言はまさに寝耳に水だった。
「よば…!?意味は、知っているのか?」
「好きな殿方のところへ、夜、遊びに行くことです」
なんとなく違うとは思ったが、分かりやすく説明できる自信もなかったのでつい、
大体あっているぞ!と答えてしまう。
「ところで…まつ、眠れないのか?」
問いかけると、はっとした顔をした。
「ちがいまする」
僅かに頬が染まって見えたのは、行燈の光のせいだろうか。
幼さの残る声でぶっきらぼうにおやすみなさいませ、と言い、
まつはまた戸を閉めようとした。
「あー…、待て、まつ」
慌てて引き止めると、 まつが半開きの戸から顔を覗かせた。
「せっかくだし、少し話さないか」
「…ん」
戸口でもじもじしていたまつがトコトコと隣までやってきて、腰をすとんと落とす。
「ちょっとだけでござりまする」
目をこちらに向けて、小さく呟いた。
まだ幼さが抜けきらないその仕草を、愛しく思う。
寝室を共にせずとも、犬千代はまつを“妻”として、大切に想っていた。
人から、はねっかえりのじゃじゃ馬といわれようと、
犬千代にとっては可愛く、ただ一人のかけがえのないひとであった。

648:鹿の子/かけがえのないひと(犬千代×まつ)
08/03/28 22:01:35 gUA7Omtb
しかし、彼には気にしていることがあり、共に寝る心は未だ持てなかった。

「いぬちよさまは、まだお休みにならないのですか」
思ったより近くでまつの声がした。
行燈のたよりない光だけが、漆黒の闇に飲まれかける二人をかろうじて浮かす。
「あぁ、今ちょうど寝るところだった」
「さようにござりまするか…ごめんなさい」
「いいんだ、いいんだ。それがし、まつが寝たら、部屋まで運んでってやるぞ」
「じゃあ、まつはいつ眠くなっても大丈夫にござりまする」
まつの頬が緩む。

かわいい、と思ったその時、
先ほどから自分の胸が早く打っていることに気付いた。
「ダメだ、やっぱり、自分で帰るのだ」
「いぬちよさま…」
「あ…えっと」
泣きそうになるまつの頭を行き場のない手で撫でてやると、
うれしそうな恥ずかしそうな、そんな顔で、懐いた子猫のように擦り寄った。
自分の手にすっぽり収まるほどの小さな頭。

犬千代がまつと寝ない“理由”は、これであった。
二人には、少しばかり年の差があった。
もちろん、二十、三十と年齢を重ねるごとに
気にならなくなっていく程の僅かな差ではあったが、
歳若い犬千代には、これが何か一生かかっても埋まらない差のような気がしていた。
まつを想えば想うほど、一点の汚れのない彼女に自分が触れてはいけないと強く感じる。
頭を撫でるその行為すら罪悪に思えて、なんとなく手を離した。
目に見えないはずのその差を、形で見せ付けられた気がしたのだ。

そんな気持ちを知る由もないまつは、なんだか花見のようでござりまする、とか
金平糖、持ってくればよかったとか言いながら、はしゃぎはじめた。

「…そういえばまつ、先日、ここの近くで猫を見たのです」
「…あ、それがし、この間、団子をあげたぞ」
「知っておられるのですか?」
「三毛のだろう」
「さようでござりまする、喉のこのへんに、濃い茶色のぶちがあって」

このへんに、と言いながら犬千代の喉のあたりを触る。
そういうときは自分のでやってくれ、と言いたかったが、
まつがまた泣き出してしまいそうなので、やめた。
触られたところが熱を帯びた気がして、あわてて話題を変えようとする。

「まつ、ところで」
「それで、猫はこのへんを触ると、気持ちいいのだそうです」

まつは頑として猫から話題を変えようとしない。
こうなってしまうと、とことん満足いくまで彼女の話に付き合わなければいけないのだ。
それより、手を、離してくれないか…。
犬千代の願いなど知る由もなく、まつは喉を撫でてくる。

「いぬちよさまもここ、気持ちよいのですか?」
「それがし、人間だから、その…」
気持ちを悟られないようにと目をかたく閉じ忍耐を極めると
心地よいのだと勘違いしたまつが更に丁寧に手を動かす。
やわらかい指先。
やめろと言いながらも、あと少しだけ、
このまま撫でていてくれればいいと思っているなんて、絶対に知られてはならない。
必死に耐えた。

649:鹿の子/かけがえのないひと(犬千代×まつ)
08/03/28 22:04:19 gUA7Omtb
「く、くすぐったい…」
「くすぐったいのでござりまするか?」
「そうだ、だから、ダメだ!!」

まつにあんまり触られると、変な気を起こしてしまいそうだった。
自分の中でなんとか均衡を保っている天秤が、いとも簡単に覆されてしまいそうで。
犬千代は、真剣に まつの目を見つめた。ところが、
「いぬちよさま、くすぐったいの、苦手でござりまするか?」
まつがにんまりして、飛びかかってきた。
思わず受け止めてしまう。
「いぬちよさま、こちょこちょー…でござりまする!」
犬千代=くすぐったがりという方程式を刷り込まれた彼女は、
小さな手で、これでもかというくらいにくすぐってくる。
いけない。まつを大切に想うのなら、これくらいのことに耐えられなくてどうする。
「こら、やめるんだ、まつ!!」
かろうじて平静を保ち、叱り付ける。
「いやにござりまする、きゃはははは」
まつが笑う。慌てるそれがしを見て、すっごく楽しそうに。
くすぐったいんじゃないんだ。

ばか。

まつの、ばか!

「…だめだと、言っただろう?」

脇腹に触れた手をぱしっと取ると、 まつが息を呑む気配がした。

「あ…ごめん、なさい、まつめは」

謝っても、無駄だ。
襲われたなら、返り討ちにするまで。
武士とは、時にそういう残酷なものなんだ。

「―お返しだ」

短く言うと、 まつの体に手を回した。
びっくりするくらい華奢で、それでも、ふわりと柔らかい。
ああ、小さくても、ちゃんとおなごのからだをしている。
破裂してしまいそうな心臓と逆に、頭は冷静に分析していた。
こんなことで、こんなに動揺するなんて…。
大人びたところのあるまつには、笑われてしまうかもしれない。
それでも余裕なふりをして、脇腹、腕、手のひら、背中。
順番に容赦なく撫で回す。

650:鹿の子/かけがえのないひと(犬千代×まつ)
08/03/28 22:04:38 gUA7Omtb
「はははは、あっはははは、や、やめてくださりませ、いぬちよさまー」
けらけらと声を上げ、身をよじらせる まつの降伏宣言にも構わず、
夢中で思い切りくすぐった。
引き寄せた首筋から、甘ったるい、子供くさい、女っぽい、不思議な香りがして
それだけで息が詰まる思いがした。
だめ、いいだろう、いけない、もっとさわれ。交互に理性と欲望が頭をかすめる。
大切なまつに触れてはいけないという、壊れ物に触るような気持ちが、
もっと触れてみたいという獣の如き単純で欲望じみた衝動に支配されそうになる。
仮にも引き止めたりするのが、そもそもの間違いだったかもしれない。
そんな思いと裏腹に、善くない気持ちは加速していく。

「いっ、いぬちよさまぁ、」

不意に、少し高い声が闇に溶けた。
その声が何か合図のように思えて
そっと胸に手を這わせると、少し膨らんだ、触られることに慣れていないような、
思ったとおりの感触がした。

「いぬちよさま…?」
名前を呼ばれて我に返る。
とてつもなく恐ろしいことをしてしまったような気がして、ざっと血の気が引く。

いやな沈黙。


「返り討ち…だ!」

おどけてみせたはいいけど、何の反応もない。
己の欲望に負け、大切なまつに触れてしまった自分に、嫌気がさした。
最低だ。

「まつ、すまな…」

謝ろうとしたら、遮られた。

「まつは…夜這いに来たと、申しましたでしょう?」

はかない灯りに浮かされた、潤んだ瞳。
なぁ、まつ。
そんな顔をしないで。
そんなこと言わないでくれ。

それがしは、本当に、どうにかなってしまうぎりぎりのところなんだ。

651:鹿の子/かけがえのないひと(犬千代×まつ)
08/03/28 22:05:43 gUA7Omtb
まつの、耳を疑ってしまうような言葉は
いとも簡単に闇に呑まれて消えた。


「まつ、冗談はよせよぉ…」
「いぬちよさま」
「ほらっ、帰るんだ」
「まつといぬちよさまは…夫婦でござりましょう?」
「いいから、帰るんだ」
「…お怒りでござりまするか?」
「ち、違う!!よい子は寝る時間だからだ!」

もちろん、余裕なんてない。
目が合えば引っ込みがつかなくなりそうで、顔を背けた。
鎌をかけたのにかわされたまつは、なにやら不機嫌そうに顔を覗き込もうとしてくる。

「まつのこと、お嫌いにござりまするか」


大好きだ。
言いそうになって、慌てて口をつぐんだ。

「…」
「いぬちよさま!まつめは、まだ童かもしれませぬが…あなたさまの、妻にござります!」
「その、でも、」

駄目なんだ。
触ってしまえば壊れそうで、それでも抱きしめたくて。
どうしていいかわからない思いが、犬千代のからだを、言葉を、吐く息を震わせる。
はっと顔を上げると、まつと目が合った。
部屋を包む闇の色より、奥底が見えない深い色の瞳に
迷子のような顔の自分が映っていた。


それがしは、

まつが、

すきだ。


馬鹿みたいに途切れ途切れになった言葉をつなぐと
零れたそれは、言わないようにしていたあの台詞だった。

652:鹿の子/かけがえのないひと(犬千代×まつ)
08/03/28 22:07:48 gUA7Omtb
「…いぬちよさま」

抱きしめた両腕に思わず力が入って
まつががふっと息を吐いた。

「す、すまない」
「だいじょぶ、にござります」

そう言って、少し見つめあった後、
どちらからともなく唇を重ねた。
刃物や武器の硬く冷たい感触に慣れた口許に
まつの唇は、あまりにも温かい。
舌でその両端を割った。小さな歯をなぞり、中を探り、まつの舌を捕らえる。
「…っ、ふ、うう」
声を封じるように、深く口付ければ
ますます鳴きそうな気配を見せる。
その仕草がたまらず、もう一度強く抱きしめた。
「まつ、可愛い…」
まつは黙ったまま、肩を大きく上下させている。
裾からすらりと伸びた脚を撫で、内腿に触れると
まつが強く拒否した。

「いけませんっ」
「仕掛けたのは、そっちじゃないか…」

だめです、と何故か叱られる。
それでも火がついてしまったものは、仕方がない。
「だめ…あっ、あの、あの、ほんとにもう、だめ、です」
まつの懇願などお構いなしに、
手のひらを脚の付け根にゆっくりと滑らせる。
戦の日々にさらされた自分のざらついた手のひらが、
まつのやわらかい太腿に吸い付く錯覚さえ覚えた。

ふと、行燈の灯りがわずかながらも、
障子に自分とまつの影を映し出していることに気付き、手を止める。

「いぬちよさま?」
「まつ、布団に入ろう」

優しく言ったつもりが急いたように聞こえて、ばつが悪かった。
布団を捲って、まつをゆっくりと寝かせる。
明日の朝、下女の間でまつが噂の的にならぬようにとの、犬千代なりの配慮だった。
影とは…。今の今まで、そんな基本的なことすら思い出さなかった。
戦だったら真っ先に倒されているところだ。


653:鹿の子/かけがえのないひと(犬千代×まつ)
08/03/28 22:08:41 gUA7Omtb
寝具に潜り込むと、まつが声を潜める。

「いぬちよさまと一緒に寝るのは、初めてでござりますね」
「―…ああ、そう…だな」

まつが静かに呟いたが
犬千代はそれどころではなかった。
震える指で、まつの鎖骨と胸のあいだを、つ、と指でなぞる。

「あっ」

ゆっくり、焦らすように手をその下へと動かす。
犬千代の手のひらには少し足りないくらいの膨らみの先端を、指がかすめた。
硬くなった先端を優しく指で転がす。
その指が震えているんじゃないかと思うほど、
余裕を装った声が上ずっているんじゃないかと思うほど、
熱に浮かされたような感情が犬千代を高ぶらせる。

「いぬちよさまぁ…」

まつが甘えるような、ねだるような鳴き声をあげた時には、
冷たかった布団は二人の熱で温まりきっていた。
犬千代は、心を決めた。

「まつ。―まことの夫婦に、なろう」

まつが困ったような、安心したような気配を見せる。
自分で呟いたその言葉に、腹の底に重く沈む感情が、確かに感じられた。
不意に「いけないこと、してるようでござりまする」と囁くまつの声に
己の心が形になってしまったようで、少し焦った。

いけないはずはない。それがしたちは、夫婦なのだ。
夫婦が同衾しないなど、おかしな話はない。
愛し合っている者同士なら、共に寝るのが道理であろう。
自分にそう言い聞かせても、罪悪感は拭えなかった。
それでも、いけないと思えば思うほど気持ちがはやって
耐え切れずにまつの両足の間を探った。
小鳥の羽のように、生え揃わない、かたい産毛が指に触れる。
大人になりきったかどうかの其処は、ふかふかと柔らかく
思ったよりも強く、湿った生暖かさが指に絡んだ。

654:鹿の子/かけがえのないひと(犬千代×まつ)
08/03/28 22:09:58 gUA7Omtb
「!…っ」
「まつ、夫婦とは、こういう…ものなんだ」

犬千代の言葉がまつの薄い耳元をさらった。
きゅっと閉じた両脚のせいで、埋もれた性感帯。
ゆっくりとそこを、指先で撫でた。

「っ、はぁっ…ああっ」
「大丈夫か、痛くはないか…?」

溢れかえる蜜を指先で救い、小さな芽に擦り付けると、
まつがうつむいたまま肩を震わせた。
撫でれば撫でるほど、そこは硬く存在を主張する。

「いぬちよさま、まつの、まつの…その…からだが、変にござりまする」
「心配ない、こういうことをすると、おなごはこうなる…らしい」

“らしい”と伝聞の言葉しか使えない自分が、情けなくも嬉しかった。
経験はないが、その分、初めての相手がまつなのだから。

「まつの…ここ…が、すごく、ぬるぬるするのですが」

ここ、と恥ずかしそうに自分の陰部を指差した。
いつも男子のようにやんちゃに弓を引く手が、震えている。

「安心しろ、病気ではない」

指をかたく閉じた女陰にあてる。
ひくひくと時折小さく動きながら、犬千代の指をとろとろと溶かしていく。
寸分の隙も見せぬ其処に、自分の太く無骨な指を一本入れることすら躊躇われた。


「いぬ、ちよ、さ…」

情欲を初めて覚え、快楽を求めるように。
それでいて、その自分に戸惑うように。
まつは、潤んだ瞳から涙を零した。
それでも苦しげな微笑みを浮かべ、彼女は夫を見上げる。

655:鹿の子/かけがえのないひと(犬千代×まつ)
08/03/28 22:10:56 gUA7Omtb
「…まつ」





まつ、わかっているんだ。

わかっていたんだ。

まつの、それがしに対する「好き」は、
それがしのまつへの「好き」と、全然違うことを。

まつは、きっと、それがしのような「好き」という気持ちをまだ知らない。

まつの「好き」は、
こんぺいとうも、屋敷にやってくる野良猫も、気に入りの萌黄色の着物も、
ふわふわ散る桜の花びらも、それがしも、全部同じ。
それがしがまつに思う、大人の、もっと汚くて、悲しい、切ない「好き」ではない。
屈託のないいつものまつの笑みと、今自分に向けられている苦しげな表情を思い、
犬千代は胸が締め付けられた。


それがしのために、まつは、無理をしている。


「まつ、もう、終いだ」
「な…ぜに、ござり…まするか?」
息も絶え絶えにまつが問うた。
「それがしは、まつが好きだから―…無理はさせたくない。今は、こうさせてくれ」

まつを抱きしめると、先ほどの甘い香りが汗の匂いに混じって鼻先に広がる。
ほんの数十分前の記憶だというのに、
ひどく昔の記憶のような、懐かしい気がして、涙が出そうになった。
ひと呼吸置いて、その香りを胸いっぱいに吸い込んだ。

「いぬちよさま?」
「―すまなかった」

でも、ひとつだけ、思うのだ。
無理して背伸びをしていても、まつの、それがしを好きと思う気持ちは嘘ではない。
今はまだ小さな「好き」かもしれぬが、きっといつかそれがしに追いつく。
それから、本当の夫婦になろう。
ゆっくりでいい。まつの気持ちが追いつくまで、



それがしは、ずっと、待っている。

656:鹿の子/かけがえのないひと(犬千代×まつ)
08/03/28 22:13:56 gUA7Omtb
「―…犬千代さま?」
「…ん」
床に寝転んでいた利家の顔を、まつが箒を片手に覗き込んだ。
「掃除中にござります、どうぞ、縁側に」
「ああ…すまん」

手際よく掃除を始めたまつの後姿を、ぼんやりと見ていた。
すらりと伸びた手足に、艶やかな黒髪。柔らかな腰は、背中からしなやかに曲線を描く。
美しく成長した妻は、本当に、あの日それがしに「よばい」をかけた童だろうか?
思い出した過去はすべて夢のようで、自分の思い過ごしのような気さえしてくる。
背中に当たる畳のちくちくとした感触だけが、確かであった。

「犬千代さま、お元気がございませぬようで」

まつが再び、横たわったまま動かない利家の顔を覗き込む。

「―…いや、その」
「どう、なさりました?まつめにお話くださりませ」
夫の手を取り、隣へと腰を下ろす。

「わたくしたちは、夫婦ではござりませぬか。さぁ、遠慮なさらず、何なりと」

大きな瞳は、変わらぬ宵闇の如き深さ。

「まつは―…変わらないな」
「え?」
「それでいて、変わった」
「あの、お話が見えませぬ」
「いいのだ、それで」

その瞳に映し出された己の姿は、あの日とは違う迷いのない目をしていた。

「分からなくっていいんだ!それがし、まつが好きだ!」
まつが優しい笑顔で言う。
「もちろん、まつも―…愛しておりまする」
「それがし、今夜は大好きなまつに、夜這いをかけるぞぉ!」

犬千代さま、夜這いなどとは、昼間からはしたのうございます!
と叱りつけるまつの声が、“夜這い”の言葉に
過去を蒸し返されたような、気恥ずかしさを帯びていたような気がした。


まつが好きだ。

あの日と変わらない思いでただ真っ直ぐに思い、
かけがえのないひとを強く抱きしめた。

それがしは、

まつが、


「好きだ」




―了―

657:鹿の子 ◆sgQn.7ocCg
08/03/28 22:17:59 gUA7Omtb
以上です。ものそい長さになってしまって、誠に申しわけございません!
楽しみに読んでくださっている方が一人でもいらっしゃれば、
本当に、嬉しく思います。
それでは、みなさま、またお会いする日まで。
稚拙にはございますが、いずれ再び、作品を投下させてくださりませ。

658:名無しさん@ピンキー
08/03/29 23:49:56 BiKJPZq/
>>657
うおおお大作GJでござる!!
一人でもやもやしてる犬千代さまかわいいよ犬千代さまw
またの投下お待ちしておりますぞオヤカタサムァー。


659:sage
08/03/31 10:28:28 R+ilabSm
>>657
素晴らしい!の一言です。

出来れば続きとして二人の初夜を!
到達するこの上ない幸せな感じのまつの破瓜をこの可愛らしさで
読みたいです。
是非ともよろしくお願いします。

660:名無しさん@ピンキー
08/03/31 10:29:58 R+ilabSm
sage間違いすみません。。。orz

661:名無しさん@ピンキー
08/03/31 22:01:40 gOx9qKst
>>657
毎回読ませてもらってるがGJ!まつの可愛さに鼻血が止まらんぜ!
一段落したらまた遊びに来てくれな!

662:名無しさん@ピンキー
08/03/31 22:09:36 ErRv6ohF
利まつGJです!!
まつ可愛いよまつ(*´Д`)

663:名無しさん@ピンキー
08/04/03 00:10:24 CHdc1N+Y
保守

664:MGS@戦国BASARA
08/04/03 20:14:42 96zaBkb0
完全にネタ。
ふざけた設定を許せる方、寛容な方はどうぞ。



【搬入ドッグ】
「こちらモンキー。予定ポイントに到着した。大将、聞こえるかい?」
「良好じゃモンキー。時間通りじゃな。ブランクが有るとは思えぬ」
「へっ、待たせたな」
「今回お主に与えられた任務は二つ。
 一つは織田・徳川連合軍に囚われたワシの義理の兄弟・本願寺顕如と今川義元の救出。
そして本田忠勝出撃準備の確認の有無じゃ。
奴等の要求は松永の九十九茄子じゃ。
24時間以内に要求が受け入れられない場合は本田忠勝を出撃させると言っておる」
「本田忠勝…!?あの最強の武人か」
「既にタイムリミットまで18時間を切っておる。頼んだぞモンキー」


【ヘリポート前】
「……滅機?長曾我部のカラクリが何故こんな所に」
「それにしても、この様な嵐の中カラクリを起動させるとは無茶でござるな」
「誰だ?」
「まだ紹介していなかったのう。今回の作戦でセーブを担当する真田源二郎幸村じゃ」
「お初お目にかかる、モンキー殿。セーブしたくなったら某に連絡するでござるよ。
 無線周波数は140.96。セーブ専用回線でござる」


【セーブ選択時】
「セーブでござるか?」
>YES
  NO
「お館様の教え・その壱!『慢心するな、精進あるのみ』!
 十分の勝ちが一つの負けに繋がると知れ、と言う意味でござるよ。
 うおおおお!!流石はおやかたさむああああ!!
 モンキー殿もこまめなセーブを心掛けるが宜しい」


【B1独房】
「動くな!」
「!」
「本願寺顕如を殺したな。何て酷い事を」
「実戦は初めてかい?新米」
「新米じゃない!う…動くな!」
「目に落ち着きが無く視点が定まらない。新兵特有の目だ」
「………」
「―返し刃になってるぜ」
「!?」
「さーて、どうする?新米!」
「言ったはずだ!新米扱いするな!」
「どうした新米!斬れ!」


【B2武器庫】
「生き延びた所を見ると、どうやら素質はあるか?」
「あなたは?」
「今まで名前が必要になった事は無いね」
「あ…!もしかして、モンキー?」
「そう呼ばれた事もある。お前がかすがだな」

……To Be Continue……(※続きません※)

665:名無しさん@ピンキー
08/04/03 22:54:01 tmHt9mb7
www
ちょっとMGSやってこよう

666:名無しさん@ピンキー
08/04/04 00:23:05 d5pXwn56
>>664
セーブ時の豆知識wwwそんなのあったなあ
芸が細かくてワロタww

667:名無しさん@ピンキー
08/04/04 01:37:55 W2F5Xozk
ワラタw
モンキー誰だw

668:名無しさん@ピンキー
08/04/04 03:40:15 pmqzyyvy
ワラタwwwww
スネークだとカッコイイのにモンキーだと
何かいまいちかっこよくない!!不思議!www

669:名無しさん@ピンキー
08/04/04 20:57:36 0C65yEp5
ワロタwwwww
ぜひ段ボールをかぶってくれwww

670:続・MGS@戦国BASARA(4スレ目588)
08/04/06 09:34:28 Jcg4hlGL
連投申し訳無い。

調子に乗って第2段。決して良いセンスではありませんが、ふざけた設定や
細かい間違い、前回との矛盾点を気にしない方はどうぞ。
尚、一部の台詞は省略して有ります。
誰かが楽しんでくれればいいな。それでは、いざ忍び参る。




【平原】
「気をつけなさい、モンキー!そこは地雷原です」
「誰だ?」
「……ファンの一人ですよ」
「旦那、聞きたい事がある。
 この無線に外部からの割り込みは出来るのか?」
「こちらでもモニターしていたでござるよ。
 確かに部外者であろうとモンキー殿の無線周波数を知っていれば割り込みできる。
 だが、一体どこで知ったのでござろうか?周波数は極秘事項だが……」

【核弾頭保存棟】
(VSニンジャ戦)

「ククク……懐かしいですね。この痛み、ずっと待っていました。これです、この拳!」

「もっと痛みを下さい」

(戦闘終了後)
「……光秀。奴は明智光秀だ大将」
「何じゃと?奴はお主に…」
「そう、殺されたはず。でも生きていたのよ。
 それから4年間。彼は死ぬ事も許されず、強化骨格と麻薬漬けにされ弄ばれたわ」
「酷い話じゃ」
「……濃姫」
「なに?」
「何故今まで黙っていたんだ?」
「機密事項、だったから」
「それだけかい?」
「………」

……To Be Continue……※今度こそ続きません※

671:名無しさん@ピンキー
08/04/06 12:22:47 GMGrrkpD
おお、MSX版ネタまで!今回はちょいとシリアスな感じでかっこいいね

672:鹿の子 ◆sgQn.7ocCg
08/04/06 15:18:17 j5j7fHId
お久しぶりでございます。皆様、前回も暖かいGJをありがとうございました。

>>659
お付きあいいただき、ありがとうございました!
稚拙な文章ではございますが、リクエストに必ずお応え致します。
生活が落ち着きましたら、必ずや利家とまつの初夜をうpしに参りますことを、お約束いたします。

>>658様、>>661様、>>662
ご覧頂き、ありがとうございます。
近いうちにまた前田家を投下いたしますので、
その際はまたぜひともお付きあいをよろしくお願い致しまする!

携帯から失礼致しました。

673:名無しさん@ピンキー
08/04/06 17:36:18 zUp+pPwW
>>672
楽しみにしてます!

674:名無しさん@ピンキー
08/04/09 02:04:16 zuK3t0Kx
伊達いつ・・・・・。が読みたい!!

675:名無しさん@ピンキー
08/04/09 06:16:30 4oBQg78H
>>667
猿 飛 佐 助

676:名無しさん@ピンキー
08/04/10 02:08:31 5RYLUhnk
ここはエロ絵以外はダメなのかな?まあ落書きな訳だけど。
URLリンク(p.pita.st)

677:利家×まつ
08/04/10 08:44:33 xDpMFJrA
「それじゃ」

聞こえてきた声に顔を上げると、気色悪いほど邪気の
見えない笑みで慶次が立ち上がるところだった。

「俺はそろそろ引き上げるわ。」
「え、もう寝るのですか、慶次?」

利家と一瞬視線で会話して、早々と部屋を出てゆく。

どうやら、知らないところで何か示し合わせていたらしい。
ふたりの時間と空間を得るためとは言え、蚊帳の外。
少し面白くなかった。

唐突に訪れた静寂は、却って肌をひりつかせる。


ぷ、と少しむくれたふりをして湯殿に逃げようとするのを
あっさりと腕の中に引き込まれた。

初夏を思わせる陽気な笑顔、それに不向きなセクシャルな
意味を持った指の動きに火照る。

678:利家×まつ
08/04/10 08:45:29 xDpMFJrA
「まつ、汗をかこう。」
「…っあ…?い、犬千代さま?」

それは誘いの言葉にしてはちょっと色がなさすぎでは。
でも、何も言い返せないのはそれを望んでいるから。

ちょっと拗ねながらも身体の方は早くも愛撫に応え始めていた。
触れられるより前に立ち上がってしまった胸の先を指先で確かめ
嬉しそうに笑う気配が伝わってくる。

図々しくて、甘ったれ。
少し掠れ気味の低い声。

深いところに隠してある官能を呼び起こされる。
いい気にさせるのはちょっと悔しいが、
服の上から押し潰すように捏ねられると、肉の芽は益々固く尖った。

あちこちを擽られ、あやされ、焦らされてすっかり力も抜ける頃には
膝を閉じることも叶わなくなっていた。

「…う…ん…」

丁寧に解された奥に先端を潤ませた熱の塊を押しつけられ、淫らに
押し付けられた部分が口を開くのが自分でもわかる。
与えられる快楽の予感に咽び泣く身体は、指先から髪の先まで全てが
甘く痺れていた。


679:利家×まつ
08/04/10 08:46:13 xDpMFJrA
一気に強く奥まで突き入れられたら、その衝撃だけで弾けてしまいそう。

利家は無茶なことはせず、形を馴染ませるように味わうように丁寧に
ゆっくりと捻じ入って来る。

内壁を擦られて沸き上がる軽い絶頂感に、内腿が細かくふるえた。

「は…あぅ……ッ」
「ここに当たると、ぎゅうぎゅう締めつけて来る。」


初めての夜はつい先日のこと。
破瓜の痛みと初めての利家とふたり、ぎこちなく泣いていたのに。

つい先日覚えたばかりのことを、そんなところばかり覚えが良くて。
一番感じるところを抉られ、イきそうになると今度ははぐらかされる。
上手い具合にコントロールされて、翻弄されるしかない自分が歯痒い。

「……く、…っん……」

抜き挿しされるリズムに合わせて腰を少し揺らし熱を刺激する。
自分ばかり悦すぎて訳がわからなくなってしまうのが我慢ならなかった。

680:利家×まつ
08/04/10 08:46:46 xDpMFJrA
「…っあ、まつ、すごい、良い……最高…」

溜息と共に降ってきた感嘆の声に目を開くと、恍惚の表情で見つめる瞳に
理由もなく鼓動が跳ねた。

吸い込まれそうな気分になる。

「な、もう、いい?」

甘える仕草で囁きながら、耳朶を軽く噛まれた。
頷く代わりに背中に腕を回すと、大きな手で腰を固定され、深く強く突き上げてくる。

「…あぁっ、あ、あ……いぬち……よさ……ま」

目が回るほど揺さぶられ、駆け抜ける快感に目の裏で火花が散った。



浴室に連れて行かれ、頭から足先まで洗われた後、清潔なシーツと柔らかな夜具にくるまれた。

「ほら、まつ」

大事に丁寧に両手に包み込んで白湯の湯のみを手渡された。
むず痒いような快適さに身も心も浸り切って、爪先まで愛おしむように扱われる。
心の負担にならない程度の絶妙な心地よさ。

肩を引き寄せられ、洗いたての髪を指でゆっくりと梳かれ、両手の中の湯のみを黙って握りしめた。

こんな風に安らげる自分にも、段々と慣れて来た。
それを不快に感じさせない気遣いがまたさり気なくて、どこまでも心憎い。


「このまま寝ても良いぞ。」

利家の腕の中で次第に微睡み始める。
やがて合図のように目蓋にくちづけられ、そのまま深い眠りの淵へと誘われた。




681:利家×まつ
08/04/10 08:51:40 xDpMFJrA
終。

最後はふとんにくるまれたまつが赤ちゃん抱っこ。


682:名無しさん@ピンキー
08/04/14 03:20:48 jgJDDa+o
>>677
GJ!

683:名無しさん@ピンキー
08/04/14 18:45:53 4yWaoDCI
近頃の利まつ投下コンボに鼻血が止まりませぬ!
GJGJGJ-----!!!

684:利家×まつ
08/04/16 14:34:43 ArCtJY8m
まつ、剃毛ネタ注意。慶次もまつの局所触りあり。




にかくこの不快感をどうにかしたかった。

一週間ほど前にふと気がついたソレ。
利家に気づかれたら何と言われるだろうと気恥ずかしさに狼狽え思わず剃毛をした。

問題はその後でやって来た。痒い、のである。

剃ったばかりのときはどうということもなかったのだが、
やがて生え始めた毛は皮膚を荒らし、激しい不快感をもたらした。
しかも眠っている無意識のうちに掻いてしまったりもして、肌は
益々痛んでゆく。
不快感と痛みを誰にも言えずに、頭を悩ませつつ眠れない夜を過
ごしていた。

 それにしても、痒い。

下肢を襲う凄まじいまでの痒みに耐えかね、まつは躊躇いがちに熱く
火照るその部分にそっと手を差し入れた。








685:利家×まつ
08/04/17 09:06:59 r/1zrJ7A
そのときかけられたは入室の声は、控えめすぎてまつの耳には入らなかったらしい。
唐突に襖が開かれ、室内に足を踏み入れようとした慶次の笑顔が固まった。

「…………」
「…………」

まつも硬直しているが、流石の慶次も言葉が出ない。
何しろ慶次の視界に映っているのは

夜具の上で、袷の前を開いてその中に手を差し込んでいるまつ、
という、あまりに刺激的なものだった。

「……失礼」
「ま、待ってください!慶次!」

彼にしては限りなく慇懃な詫びの言葉で張りついた笑顔のままドアを閉めようとした
慶次を慌てて呼び止めた。

「…う、ん…、でも…」

 ふすまを5センチほど開けてそこから覗かせた目をしきりに瞬かせながら、慶次はそうっと覗いた。
バクバクと波打つ心臓を宥めなつは自身に落ち着けと言い聞かせながらゆっくりと言葉を紡ぐ。

「誤解です。いいから早く入って閉めて。」
「…失礼します」

 気を取り直したらしい慶次が、ようやく室内に入って来た。

「…あの…」

 怪訝そうな表情の慶次を前に、まつは黙って袷の前をそっと開いた。

慶次は屈み込んで目を見張る。
さらされた下肢には、肌より幾分暗めの色をした本当に控えめな毛がすべて3ミリほどの
長さで生え揃っている。
見るからに痛々しく赤く腫れた皮膚は、ところどころ引っ掻き傷になっている。


「これは…」

露わになったまつの下腹部を見て、慶次が眉を顰める。
 
「何でまたこんなことに…」

ここで下手にごまかしても誤解が広がるばかり。
覚悟を決めた。
自称遊び人の甥。もしかしたらなんとかしてくれるかもと淡い期待を持って
まつは事の顛末を説明した。

なにも無いソレをそれは嬉しそうにしていた利家。
生えたら嫌われるのではと思ってしまった自分。

慶次の視線が宙を彷徨う。我が叔父にそんな趣味は無いはずである。
明らかな否定を示すまつに慶次は目眩を覚えた。

686:利家×まつ
08/04/17 17:11:34 r/1zrJ7A
「…引っ掻いちゃったの? これ」
「チクチクして痛いのです。痒いし」

憮然としたまつの顔を見つめ、露わになった下腹部を見て、慶次は深い溜め息をついた。

「ダメだよ、こんな…肌が傷だらけじゃないか。」


まつの前に跪き下肢をあらためた慶次はその痛々しさに眉を顰めると、すぐに自室に戻り薬箱を持って来た。

「取りあえず薬を塗らないと…ちょっと失礼。」

そのまま部分に伸ばされた手を止め、まつは頬をうっすらと染めて薬の瓶を取ろうとする。

「自分で…」
「大丈夫、任せて。その…奥の方までは、自分じゃよく見えないよ。」

 言いにくそうに言葉を選ぶ慶次の手元を見ながら、きり、と唇を噛んでまつは大人しくするがままに任せた。

「ああ、可哀想に、こんなに赤くなって…ここも傷に。しみるけど、少し我慢な。」


慶次の指が臍の下から始まってその下、更に奥、と軟膏を塗り拡げてゆく。
ヒヤリとした感触に縮こまった花芯は、その周囲を撫でられることにより、少しずつ潤いを増した。

もちろんそれを揶揄することもなく、慶次は表情を変えずにただ薬を塗っている。
それが余計に居たたまれなかった。

薬はピリピリと傷にしみ、でも痒みが緩和されて少し気分が楽になる。
ほっと肩の力を抜いたその瞬間、襖が何の前触れもなく再び開いた。

「…な…」

 入り口で固まる利家の姿に、まつは言葉が出ない。

「……っ」

 何しろ、利家の視界に映っているのは

袷を開き、下肢を露わにして座っているまつの前に何やら手を添えてかがみ込む慶次後ろ姿
という、あまりに衝撃的なものだった。


687:利家×まつ
08/04/17 17:30:28 r/1zrJ7A
「…い、犬千代さま!」

 振り返った慶次の陰で慌てて後ろを向き、着衣を直す。

「な何、してたのか、な? 」

やっと呪縛が解けたように部屋の中に踏み込めた利家は、二人を見比べた。
冷静なつもりでも動揺がその瞳に揺らいでいる。


説明されてようやく事態を把握した利家は、返す言葉もなく首の後ろを掻く。

毛も、揃わないうちに。 (いや、だって嫁に貰っちゃったし)
誤解されても仕方が無い。 (ご、誤解?な、なんの?)
嬉しそうにとか、してんな。 (誰も触れた事もないと思えば嬉しくて当然)


揶揄する慶次の言葉に思っていることすべて飲み込んでごもっともとうなだれる。



「それじゃ、俺はこれで。せっかく薬も塗ったんだし、当分の間は刺激しないようにね。」
 

慶次は念を押してから部屋を出て行った。

残されたふたりは、澱む空気の中で気まずく立ち尽くす。
互いに表情を盗み見ようとして視線がしっかりと合ってしまった。

688:利家×まつ
08/04/18 21:01:13 NObuAi0k
「……」

何とか声をかけようとした利家は、夜具に正座したまつを横目で見た。

「…あの、まつ?」
「……」

まつは俯いたまま唇を噛む。夜具上に置かれた手がそっとシーツを掴んだ。

「ご、めんな、大人になるまでって約束してたのに…」

詰るような言葉に顔を上げたまつは、待ち構える視線に囚われる。
その語尾は徐々に強さを失くして行った。

「だってそれは…元はまつめが我慢出来なくなったのでございます。」 



「慶次に触られてちょっと濡れて、たのか?」

 何て目ざとい、とまつは心の中で鬱ポーズを取る。

「…申し訳もございませぬ。修行が足りませねば、くすぐったく動きがその、なんとも。」


「そんなの、言えば某が塗ってやったのに。」
「犬千代様でございまするともっと大変なことになっておりまする!!」

勢いがついてうっかり口を滑らせたまつは、ハッとして唇を引き結んだ。
利家は瞳を光らせて笑う。さっきまでと違う色をした視線に気づいた。

いつの間にか隣に座る。

「某に触られたらもっと?」

逃がさないと言うように腰に手を回して顔を近づけた。

「修行して我慢出来るようになって貰っては某が、困る。」

 う、と詰まったまつの背に手を滑らせ、もう片方の手で細い指を握り込む。

相手の瞳に自分の姿だけを映しながら、ゆっくりと指を絡ませ合い、吸い寄せられるように
唇が近づいて行った。

吐息が触れ合っただけで、溶けそうな官能が全身を駆けめぐる。
柔らかく唇を重ね舌を絡め合うと、湿った音と息づかいだけが響いた。


689:利家×まつ
08/04/18 22:19:20 NObuAi0k
「…ん…」

背に腕を回し合って、濃厚なくちづけに酔いながら縺れるように倒れ込む。
首筋に顔を埋め、更にその先を求めて動く利家の手をまつの手が慌てて押
さえた。

「…ま、待っ…犬、千代さま…っ」
「何で?…」
「…だ、だめ!」

 ぐいっと押し退けられ、渋々手を離す。

「まつ?」
「さっき慶次が…擦れるとまた痒みも酷くなるから、と。当分は…」
「…あ、そうか。」
 
毛先が肌に刺さらなくなるまでの間、しばらくお預けを食うことになり、
残念そうに見た。
しどけなく横たわるまつの細い腰。
見つめていた瞳がふと輝きを取り戻す。

「後ろからすればよいではないか?」
「…え?」

振り返る隙を与えられず、今度は俯せに押し倒されて、まつは枕に顔を
埋めながら藻掻いた。

「…きゃ…っ」
「ほら、擦れると痛いんだろ?」
 
突っ伏したまつの腰を掲げさせ、くるりと剥くように着物の裾をまくり上げた。

「…や…っあ…っ」

 むき出しになった白い尻をふるわせながら、まつはシーツを握りしめた。
中途半端に着物のせいで手が拘束された格好になり、利家の手はうまく動け
ないのをいいことにどんどん先へと進む。
 
「あ…んん…っ」

柔らかくなるまで根気よく指先でゆっくりと解され、零れる声を抑えられなくなる。
潜り込む指の節に擦られ、揺れる花芯の先から蜜液が滲み出した。

待ちかねたように飛び出してくる熱源を握ると軽く扱き、口を開いて待つそこ
に擦りつけた。
熱い塊を入り口に押しつけられ、まつの唇から溜め息が漏れる。


690:利家×まつ
08/04/18 22:25:35 NObuAi0k

「挿れていい?」
 囁くように問われて、唇を噛みしめながら、こくりと頷いた。

白く細い項がほんのりと赤く染まるのを愛しそうに眺めながら、血管を浮かせた
それを中に少しずつ埋め込んでゆく。   

「…あ…あぁ…っ」

入ってくる利家を反射的に締めつけてしまい、内壁が引き攣れた。
あまりの狭さに立ちゆかなくなり、胸の飾りを摘み上げる。
指先で押し潰したり転がしたりされると下肢から少し力が抜け、食いしばるような
きつさが緩和された。

「んっ…ふ……」

 ヒクヒクと波打ち出した粘膜を感じながら、緩やかに腰を使い始める。
濡れた部分を擦られる音がくちゅくちゅと響いた。

「これ、イイ?」
「…ン…」

 微かに頷きながら、まつの腰がその動きに合わせて回転するようにうねる。

「あ、あっ…ん…」

薄く開かれたの瞳は艶っぽく潤み、水面に映る灯りのようにゆらゆらと揺れる。

「…っあ、も…う…っ」

 
 
きつく閉じた目尻から涙が伝った。翻弄される悔しさとどうにもできない気持
ち良さで混乱し、理性的な思考は組み立て直しがきかないほど粉々に砕かれる。


小刻みにふるえる肩に気づいた利家は優しく、でも強く激しくまつの最奥に突き
入れた。


691:利家×まつ
08/04/18 22:30:07 NObuAi0k
「…はぁっ…あ、あ…っや……」

 細い指先がくしゃくしゃになったシーツに弱々しく爪を立てる。
腕が身体を支えきれなくなり、頬を枕に押しつけながら腰だけを突き出す
格好になった。
ヒクつく内壁の甘美なうねりを味わいながら昇りつめる。
「…俺も、…」
 
立て続けに容赦なく腰を打ちつけられ、きつく閉じられたまつの目の裏に
光が散った。

「あ、あっ……ア!いぬち、……よさ……ま!!」

 



692:利家×まつ
08/04/19 03:13:02 rvKHWJcT
「そろそろお湯溜まったかなぁ。まつ、風呂に行こう」

力なく首を振るのを無視して、利家は動けないままの細い身体を難なく抱き上げた。

「…っや…」
「落っこちるぞ。」
 
ぐらりと体勢が傾ぎ、まつは反射的に首にしがみついた。

にっと笑った悪戯っぽい瞳にようやくからかわれたことを悟り、頬を染める。
これ以上は無い程顔をほころばせ腕の中の身体を抱え直した。


まつの嫁入りにあたり整えた利家自慢の露天の湯殿には既に湯がほどよく溜まっていた。
軽く身体を流して湯に浸かるとふっと緊張が解ける。

向かい合わせに湯船に浸かった利家もコキ、と首の骨を鳴らしながら満足そうに息を吐く。
形良く盛り上がった二の腕の筋肉に見とれてしまったまつは、居たたまれない様子で視線を逸らした。


「それにしても痛々しいな。」

落ちた視線の先を辿って、まつは更に頬を赤らめ膝を窄めた。


「ごめん。」

思わず凝視してしまった無遠慮であった自分をごまかそうと空を仰いだ利家は、
小さく瞬いている星を見つけた。小さくて可愛くて輝いている。
まつみたいだ、と小さく呟く。

「某、今でも時々信じられなくなる。」

溜め息と共に押し出される本音は、むしろ素直すぎるくらい滑らかに唇に乗る。

「何がでござりますか?」
「まつが某のものだということが。」
「え?」

顔をみようとはせずに湯に顎までつかりながら独り言のように囁く。


「きちんと、話そう。これから時間はたくさんあるのだから。」


ずっと視線が絡み合い、いつの間にか手を取って膝の上に乗せられた。

「ずっと一緒だ。」

同じ星を見つめながら、まつも幸せそうな息をついた。
幸福な胸の痛みをふたり味わっていた。






693:利家×まつ
08/04/19 03:15:13 rvKHWJcT
熱い唇で想いを確かめ合うと、充血し始めた湯の中の「利家」がゆっくりと頭を振る。
その先端に内腿の辺りを擽られ、まつの身体が跳ね上がった。

「まつ…もう一回…良いか?」

甘えるようにねだられて、頬が引き攣る。見開かれた瞳は困惑に揺れ、怯えるように睫毛がふるえた。
慌てて腰を浮かそうとするのを捕まえられ、柔らかく解けた縁を指でなぞられる。

「…も…無理…っ」
「某、優しくするから、な?」

詰る言葉は吐息にその姿を変え、湯気の中に溶けて消えた。
言葉が終わらないうちに利家が微量の湯と共に内部に侵入して来る。

「…あ、あぁっ」

あれほど慣らされたのに圧迫感は緩和されない。穿たれた利家の熱で軋むほどに押し広げられ、
まつの奥が軽く痙攣した。 

目眩のような快感の中で、まつは自分を包み込む温もりを全身で感じていた。



あまり遠くない未来。
幼さの残っていた胸や尻が丸みを帯び、しっとりと大きく美しくなる。
そしてがっちりとその尻に敷かれる事になる。

心配のあまり剃毛したことなど笑い話。今の若いふたりにはそんなことを
予測する余裕はもちろん、ない。




おわり。


694:名無しさん@ピンキー
08/04/19 05:40:12 DuQISmY0
GJ!!
今はほのぼの夫婦だけどこんな初々しい時もあったんだなぁ…朝から萌えたw

695:名無しさん@ピンキー
08/04/19 09:15:57 QmvPUEEq
GJ!
慶次絡みなのも良かった

696:名無しさん@ピンキー
08/04/19 10:25:37 VUZTjSf1
GJ!

でも…利まつは食傷気味

そろそろ違うカプ読みたい

697:名無しさん@ピンキー
08/04/19 17:55:38 PUhJJjoi
かすがリンカーンきぼん

698:名無しさん@ピンキー
08/04/19 18:04:43 nFoOFNP0
今こそ696が筆を持つ時ですぞ!

699:名無しさん@ピンキー
08/04/19 20:12:14 VUZTjSf1
>>698
はっはっはっ
実はBASARAやったことないんだ
ここでSS読んで女性キャラにハマっただけだし、原作の内容は知らないんだ
そんな人間が書いた話でもおkかい?

700:名無しさん@ピンキー
08/04/19 22:24:05 fedHlkG2
最悪スルーされるだけだからいいんじゃね

701:名無しさん@ピンキー
08/04/20 04:06:39 AjnLbY8B
急かすわけではないんだが未消化のSSの続きも激しく気になって仕方ないんだぜ

702:ハナシノブ【注意書】
08/04/20 21:39:50 aErckzVG
以前「夜明け前」を書いた588改め4スレ目588です。
感想を下さった方、ありがとうございました。本当に嬉しかったです。
さて、今回書き上がった物があるのでサクリと落としておきます。


・佐助×かすが
・「夜明け前」の続編
・英雄外伝 風魔小太郎外伝ストーリーネタバレ
・天王山抹消戦を旧暦4月(現・5月)に設定し、以降旧暦で話が進行

こんなストーリーモードの導入があったら良いなと思って書きましたので、
「何故ここで終るの?」と感じる方もいらっしゃると思います。
また、事の最中の描写は抜いてあり突然翌朝になります。

題は「君を待つ」「来て下さい」という花言葉を持つ花忍から取りました。

苦手な方はスルーして下さい。宜しくお願いします。

703:ハナシノブ (佐×かす)【1/17】
08/04/20 21:43:10 aErckzVG
京土産だというその小さな包みを開けた時、かすがは思わず息を飲んだ。
翡翠の玉があしらわれた玉簪が現れたからだ。
石こそ小さいし造りも簡素だが、その深い翠色に一目で高価な物と分かる。
「赤いのとどっちにしようか迷ったんだけどさ」
いつの間にか隣に立った男がヒョイと簪を手に取り彼女の耳元に添え、
満足気に笑った。
「うん、やっぱりこっちの方が似合うな」
見上げると屈託の無い柔らかな眼と視線が絡む。
「綺麗だ」
それは独り言だったのかも知れないが、思わず顔を赤らめ顔を背けた。
一番認めたく無いのは自分が心を動かされたのが優美な簪では無く、
この男の眼差しや言葉だという事実だ。
余りに高価な物だしそもそも受け取れないと言うと、彼は預かっていて欲しいと言う。
「翡翠はお守りだから大事に持ってろよ。今度私服の時着けて見せてくれよな」
頬を弛ませたまま彼が帰る素振りを見せたのでかすがは慌てた。
「待て!だから私は…」
「それじゃあな」
言い分も碌に聞かぬうちに彼は忽然と姿を消してしまった。
一体何故あの男は危険を冒してまで土産一つ手渡す為にわざわざ上杉領まで
来るのだろう。
全く度し難い迄の酔狂だ。
彼女は怒るのを通り越してつくづく呆れ果てた。

704:ハナシノブ (佐×かす)【2/17】
08/04/20 21:47:06 aErckzVG
結局簪は手元に残されたが、武家や大名の姫君で無いかすがには過分な代物だった。
私服を着た時、一度だけ隠れる様に自室で挿してみた事がある。
長持から取り出した青銅の手鏡に油を引いて恐る恐る覗き込むと、
そこには髪に深い翠色を乗せた見知らぬ女が映っていた。
かすがは目を瞬かせ、食い入る様に鏡を凝視した。
これが本当に自分なのかとても信じられない。
―綺麗だ
突然男の言葉が思い出され、あの屈託の無い柔らかい眼と簪が添えられた時
微かに触れた指先の感触が甦る。
何故見られたり言葉を交すと居心地が悪くなるのか、やっとかすがは理解した。
敵で無く忍でも無く、戦場ですら彼から女として扱われる事に苛立ちを覚えていたのだ。
―今度私服の時着けて見せてくれよな
こんな自分の姿を誰かに晒すなどかすがにとって恥辱に等しい。
誰かに見られてはと急いで簪を引抜き鏡を伏せる。
紅潮した頬と喩えようもない胸の疼きに狼狽え、暫く動悸が治まらなかった。
どうせあの言葉や仕草も喜車の術で自分をからかっていただけだという思いと、
心のどこかで本気にしてしまう自分が居て歯がゆい。
(馬鹿馬鹿しい。忍を市井の女の様に飾り立ててどうだと言うんだ)
八つ当たりめいた怒りを覚え、かすがは以後絶対身に着けまいと臍を曲げた。
それきり玉の簪は鏡と共に長持の奥底に仕舞い込まれたままだ。

705:ハナシノブ (佐×かす)【3/17】
08/04/20 21:51:21 aErckzVG
二度と着けるまいと思ったあの簪の夢を、最近頻繁に見る。
本来捨てるべき物だがつい捨てる機会を逸し、今でも越後に置いたままだ。
目を覚ますと丁度夜が明けた頃だった。空気はまだシンと冷えている。
身体を起こして見ると左足の痛みは引いていたし、利き手の感覚も戻っていた。
天王山で風魔に敗れてからもう四月経つ。
辛うじて自分が今生きているのは世話焼きな同郷出身者のお陰だった。
自らも重傷を負いながら彼は燃え盛る山頂から自分を抱えて落ち延びた。
追手が掛かる事を虞て繋ぎを入れるのも憚られ、用心深く居を転々として
漸く二月前に上田城下の外れにある彼の家まで辿り着いた。
初め一月はどちらも這うのが精一杯だったが、自分だけは上田に来てからも
暫く床に就いていたのだ。
山崎からの度重なる移動の際、彼はずっと左足に深手を負った自分を背負った。
最初は背負う背負わないで大喧嘩したものだ。
お互い気が立っていたせいで軽い口喧嘩すら数日尾を引き険悪さに
拍車を掛けたが、結局かすがが折れた。
同郷出身者の一度決めたら梃子でも動かない頑固さを良く知っていたからだ。
独り身の彼の家は、三畳程の三和土と囲炉裏の付いた六畳の板間が一つ
有るだけの極めて簡素なものだった。
部屋の中も必要最低限の物があるだけで生活感が殆ど無い。
その殺風景な侘しさに、今まで空き家だったのではないかとかすがは思った。

706:ハナシノブ (佐×かす)【4/17】
08/04/20 21:54:20 aErckzVG
床を上げ、衝立の裏で彼が用意して呉れた薄い浅葱色の小袖に着替えた。
流石に忍装束では目立つ為、まだ二人共傷が治り切らない時に
彼が骨を折って揃えて呉れた小袖だった。
これを見た時、最初に礼を言わずつい「何故」と言ってしまった。
彼はいい加減うんざりした面持で「何でお前は一々理由を訊くんだ」と返し、
そこからまた口喧嘩になった。
最後に彼は「つべこべ言わずにさっさと着替えろ」とぶっきらぼうに
小袖を彼女の前に放って背を向け、胡座をかいて頬杖ついた。
その態度に傷付いた訳では無いが涙が零れた。
敗北の衝撃と足が動かない動揺で不安定になっていた為涙が止まらず、
かすがは俯いて座ったまま長い間肩を震わせていた。
「身頃揃えたか?」
何とか涙を拭き小袖に腕を通した時、背を向けたまま彼が相変わらず
ぶっきらぼうな調子で問い掛けて来た。
「帯締めてやるよ。利き手がまだ動かないだろ」
彼の最大限の譲歩だ。
「頼む」
大人しくかすがは従った。
「……ごめんな」
後ろから白い帯を文庫結びにしながら彼はポツリと言った。
(いつも先に謝るのは向うだな)
そんな事を思い出しながら身仕度を整えていると家主が帰って来た。

707:ハナシノブ (佐×かす)【5/17】
08/04/20 21:57:21 aErckzVG
行李を抱えて帰って来た家主は彼女を見ると「ただいま」と声を掛けた。
「うん……」
かすがは戸惑う。
居候の自分がどう振る舞って良いのか分からず、いつも歯切れの悪い返事をした。
家主が帰ってきたのはこれで六度目だが、未だに何と答えて良いのか掴めない。
彼は気にせず戸を閉めて上がり框に腰を掛け、行李を脇に置いて足の小具足を外す。
その間に湯を沸かした。
上田に戻るなり仕事に復帰した彼と異なりかすがの傷は未だ癒えない。
手持ち不沙汰と居た堪れなさからつい慣れない家事に手を出した。
お陰で料理は人並みの域まで上達したが、それはどんな物を出されても
顔色一つ変えず食べ続けた家主の忍耐の賜物だった。
食事中、普段口数の多い彼は俯いて沈黙する。
美味いと言えば嘘になり、だが不味いとも言えない膳を前に編み出した秘策だ。
朝餉を済ませると一週間振りに帰宅した家主は、着替えるなり自分で床を設え
布団に潜った。
真田忍隊は上がりの前日に寝ずの番をするらしく、彼の休みは専ら睡眠に充られる。
早々と寝息を立て始めた家主を尻目に、水仕事を片付けてしまおうと
盥を取りに三和土に下りようとした時、框に置いたままだった行李を引っ掛けて
中を床にぶちまけてしまった。
(―え?)
中身を拾い集めようとした手が止まる。
それはここに有るはずの無い物だった。

708:ハナシノブ (佐×かす)【6/17】
08/04/20 22:00:34 aErckzVG
かすがは花色と葡萄の二着の袷を仕立てている所だ。
薄い浅葱と一斤染の二着は単で、八月の山の中では少し肌寒い。
全て質素な無地だったが彼女は気に留めなかった。
わざわざ貴重な布を用意して貰えたのだから、色や柄に注文を付けるなどという
滅多な真似はしない。
最初箸すら持てなかった利き手は針仕事をこなすまでになっていたが、
とても忍として要求される精密さに程遠い。
深手を負った左足の事も考えるといつも陰鬱になった。
癒え切らないこの足は、普通に歩く事は出来ても以前の様な跳躍は全く出来ない。
最も基本的な能力だけに激しい焦燥に駆られたが、家主から焦らず治すよう
何度も言われ、癒えていないからだと思い込もうとした。
ここで家事の真似事をしたのは傷から目を背ける為だったのかもしれない。
今まで見て見ぬ振りをして誤魔化して来たが限界だ。
家主が持ち帰った行李の中身は無慈悲に現実を突きつける。
見慣れた青銅製の手鏡と木製の櫛。
丁度掌に収まる丸い漆塗の紅入れ。
諸々の手入に使う油が入った陶器。
そして深い翠色を湛えたあの翡翠の玉簪―。
長持の中に仕舞ってある筈の、決して多いとは言えない自分の持ち物だ。
越後の自室にあった私物が上田の板の間で散乱していた。
これが一体何を意味するのか。
認めたく無いものを認めざるを得ない瞬間が遂にやって来た。
本能的な怯えで身体が震え、幾ら呼吸しても息が出来ない。
極度に混乱した頭の中でかすがは一つの答えを出した。
剣としての自分は、既にあの夜天王山で死んでいたのだ。

709:ハナシノブ (佐×かす)【7/17】
08/04/20 22:03:41 aErckzVG
佐助が謙信と極秘裏に連絡を取ってかすがの生存を伝えたのは最近の事だ。
命はあっても忍として役に立たない事実を告げねばならないのは
大変辛いものだった。
晩酌中それを聞いた謙信ははらはらと涙を流したが、
いつかこういう日が来ると覚悟していた、と言った。
「お前はさぞ私が憎いでしょうね。剣を奪い、道具として扱った挙句折ってしまった」
涙を拭きもせず珍しく自嘲気味に謙信が言った。
「あんたはあいつを誰かの閨に送らなかった。それには感謝してるさ」
謙信は微かに笑う。
「世話を掛けましたね、武田の忍。私の言えた義理ではないが―剣を頼みます」
表面上かすがが死んだと口裏を合わせる事を固く取り決め、
最後に彼女の身の回りの物を持って行くように言い謙信は晩酌を再開したが、
幾ら飲んでも酔う事は出来ない。
(いつもこの一時、お前は私を守る為心を砕いてくれた)
供も付けず独り気侭に縁側で晩酌を楽しめたのは、かすがのきめ細かで
行き届いた配慮があったからに他ならない。
ほんの短い間でも主に寛げる時間を、と警護を目立たせぬ様に
細心の注意を払っていた。
常に自分の懐刀として側近くに仕え、一心に慕ってくれた剣。
戦場で「斬れ」と言えば綺羅星の如き華麗な技で敵を薙払ったあの姿は、
もう二度と戻らない。
「……あなや、私の美しき剣が今は夢幻か……」
彼は独りごち、杯に映る月を一息に飲み干した。

710:ハナシノブ (佐×かす)【8/17】
08/04/20 22:06:25 aErckzVG
普段の休みならまだ寝ている昼前に佐助は起き出して来た。
「出来れば冬になる前に帰りたいんだけどさ」
次の仕事は長丁場で、二月は帰れないと庭で薪を割りながら言った。
彼の格好は戦場と全く違う。
野良着を着て、普段鉢金で引っ詰めてある橙色の髪を後ろで結い、
腰に手拭をぶら下げているその姿は農民にしか見えない。
郷士の息子である彼は身の回りの事は勿論田畑に至るまで器用にこなした。
「これだけあれば足りるか」
区切りを付け、縁側で葡萄色の袷の仕上げをしているかすがの隣に
どっかり腰を降ろして汗を拭う。
今日は良く晴れていて少し動けば汗ばむ程暖かい。
「一度にこんなに割らなくても良いだろうに」
丁度仕上げた小袖を畳み終えたので、一息つく彼に話し掛けた。
「ひょっとすると雪で年明けまで長引くかもしれないんだ。
その間に薪が切れたら大変だろ?」
彼の湯呑に白湯を淹れながらいつあの行李について問うか考えていると、
先に切り出された。
「なあ、このまま俺と一緒に暮らさないか」
唐突な言葉に驚いて湯をこぼしてしまった。
「……何?」
「ずっとここに居てくれよ」
いつもの軽薄さを装う表情の奥には拒絶を恐れる色が浮かんでいる。
かすがは「ふざけるな」と言わなかった。
呆れたり冷笑したり、佐助を張り倒したりする訳でも無い。
静かに目を伏せ、一呼吸すると小さいがはっきりとした声で言った。
「謙信様が、そう言われたか」
二人の間に気まずい空気が流れた。

711:ハナシノブ (佐×かす)【9/17】
08/04/20 22:09:31 aErckzVG
近所の住民が通り掛ったので佐助が良い陽気ですね、と気さくに声を掛けた。
表向き夫婦という事になっているせいで、無邪気に子はまだかと尋ねられる
時もある。
授かりものだからとはぐらかす彼に内心かすがは鼻白む。
部屋の両端に各々の床を設えるとは冷えた夫婦もあったものだ。
最も自分がしていた仕事を考えれば当然だろう。
遠く離れた床を見る度、否応無くかつて逃げ出した場所を思い出した。
高く晴れた空の下、風は日々秋めいて来た。じき紅葉が始まるだろう。
傷を負ったのは緑が眩しい頃だった。
いつか治る、きっと良くなると思う内にこんなにも時間が経ってしまった。
白湯を一口飲んでから彼は語り始めた。
あの後追手が掛からない様にかすがは死んだ事になっていて、
自分と謙信以外真実を知らない事。
ここで暮らして居るのは千代女を始め他の忍達にも隠してある事。
かすがが戦場に戻れない事を知って謙信が涙を流し、彼女を頼むと
自分に託した事。
今朝持ち帰って来た行李には彼女の私物が入っており、
謙信が持って行くよう言った事―。
全部話し終えると昼過ぎになっていた。
かすがは淡々と庭に視線を投げたまま彼の話を聞いた。
「……話は分かった」
葡萄色の袷を持って彼女は立ち上がる。
「少し考えさせて欲しい」
「返事はいつでも良いさ。…ずっと待ってる」
佐助の最後の一言がかすがの胸に鋭く突き刺さり、逃げる様に背を向けた。

712:ハナシノブ (佐×かす)【10/17】
08/04/20 22:12:59 aErckzVG
あの後夕方には戻ると言って佐助はそそくさと買出しに行った。
狭い家の中で一人きりになりたいかすがに気を遣ったのだ。
三和土で夕餉の支度をしながら彼女はずっと余所事を考えていた。
考えさせて欲しいと言っても他に選択肢は無い。
たとえ越後に帰るとしても女の独り歩きは国境で止められてしまう。
それに戦えなくなった自分に追手を撒いたり倒したりするのは無理だ。
自分を全力で庇って呉れている佐助の立場もある。
何より主の謙信が自分の身を彼に託した以上、ここに留まるしかない。
頭では理解していても「主の元へ帰りたい」と希う気持ちと、一度棄てた場所へ
戻る疚しさはどうしても拭い切れなかった。
希望が悉く打ち砕かれ、後は空しさしか残っていない。
今朝まで治ると信じていた自分の浅はかさが心底恨めしかった。
彼が真実を伏せていたのは自分に無謀な行動をさせない為だろうがしこりが残る。
今まで歩んだ事の無い道に踏み出そうとしている事実にも戸惑っていた。
全てに決着をつけ幕引をするのは自分だと言うのも分かっていたが、
そんな気力が自分の裡にあるだろうか。
様々な感情が津波の様に次々押し寄せて自分を翻弄し、一気に引いて行った。
野菜を刻む手を止め包丁を置いて上がり框にペタンと腰を下ろす。
(―疲れた)
空っぽになったかすがの中を虚無がジワジワと満たして行く。
もう全部投げ出してしまいたい。いっそ死んでしまおうか。
いつも自分は叶わぬ事を望む度し難い存在だと、かすがはどこかで自嘲した。

713:ハナシノブ (佐×かす)【11/17】
08/04/20 22:17:11 aErckzVG
夕餉を済ませたかすがは早めに床を設えた。
とても眠る気になれなかったが、布団を被り身体を丸めて無理矢理目を閉じる。
そうしないと虚無が満ちて脱力した五体が今にもバラバラになりそうだった。
「かすが」
後ろから声がした。
「今迄の事は全部忘れろ」
「そんな事出来るはず無い」
背を向けたまま彼女は答えた。主の事を忘れられる日が来るとは到底思えない。
「……だよな」
溜め息混じりに言うと彼は脇に胡坐をかいてかすがの頭を撫でた。
辛い時、いつも彼は何も言わずこうして呉れた。
自分は彼と任務に当たったあの夜から少しも成長していない。
この四ヶ月間改めてそれを嫌と言うほど思い知らされた。
「何でいつも中途半端に優しくするんだ」
佐助の手が止まる。
「突き放してくれればお前の事が嫌いになれるのに」
男の寝首を欠く女は抱けないとはっきり言って欲しかった。
「かすが……」
「もう私に構うな」
誰かに寄り掛からないと立って居られない今の自分を、誰より自分が
嫌っていた。
こんな自分などいっそ消えてしまえば良い。
全てに苛立ち、全てに絶望し、全てが哀しい。
「―お前なんか、嫌いだ」
それはかすが自身に向けた言葉だった。

714:ハナシノブ (佐×かす)【12/17】
08/04/20 22:20:27 aErckzVG
「……お前の一番悪い癖はな」
佐助は彼女の頭を再び撫でながら低い声で静かに諭す。
「大きな壁にぶち当った時、死んで楽になろうとする事だ」
「………」
図星だった。彼は的確に自分の心を見透かしていたのだ。
「確かに今の世の中、戦馬鹿だらけで生き難い。
 浮世を儚んで死んだ方がマシだって思う時もあるさ。
 でもなかすが、この世は戦ばかりじゃない。
 お前が知ってるのはほんの一握りの事だけだ。
 戦なんて関係ない平凡な生き方がある。お前にもそれが出来るんだ」
厳しいがとても優しい声色で彼は続けた。
「苦しみでのた打ち回ろうが精一杯足掻いて生き抜け。最期の時までな」
何故この男は冷酷な迄自分に生きろと言うのか。酔狂でなければ救い難いお人好しだ。
「いつもお前が焼くのは、余計な世話ばかりだな」
かすがは背を向けたまま諦めを含んだ声で呟いた。
「どう言われようが性分でね」
いつもの調子で佐助は言った。
「あんまり深く考えないでここで暮らせば良いじゃない。
 正直この家俺一人じゃ持て余しててさ。
 帰った時に誰か居るのと居ないのは全然違うし、居て呉れると助かるよ」
勇気を奮い起こして訊いてみる。
「……男の寝首を欠いていた様な女でもか?」
「うん、それでも」
即答され、胸にズキンと痛みが走った。
チラリと彼の方を見る。ヘラヘラした表情を浮かべ、これが犬なら
尻尾をブンブンちぎれんばかりに振っているだろう。
かすがは溜め息を吐いた。
「本当に酔狂な奴」

715:ハナシノブ (佐×かす)【13/17】
08/04/20 22:23:52 aErckzVG
起き上がると彼が懐から何かを取り出した。
「これ、持っててくれたんだな」
深い翠色を湛えた、翡翠の簪。
かすがは横を向きぶっきらぼうに呟く。
「捨て損ねていただけだ」
苦笑しながら佐助はかすがの耳元にそっと翠色を添えた。
「やっぱり良く似合う」
屈託の無い柔らかな眼を見詰め返す。
眼が合った瞬間、鳶色の双眸が微かに揺れた。
「忍には過ぎた代物かも知れないけど、たまには……いや」
そこで一旦彼は言葉を切って簪を引く。
視線を落とし下唇を噛んで少し逡巡していたが、再び顔を上げると
改めて簪をかすがに差し出した。
「これから先ずっと着けて呉れないかな、なんて」
何故この男はこうなのだろうとつくづくかすがは呆れた。
あれ程死ぬな死ぬなと口喧しいのに、肝心な所はいつも照れてしまう。
差し出された簪に目を向けた。
受け取れば忍の道と全く違う、市井の道に踏み出す事になる。
不安は大きいがもう自分は独りでは無い。
橙色の髪と鳶色の双眸を持つ酔狂な世話焼きが一緒だ。
忍の先輩で、家主兼同居人で、昔青臭い関係になったその骨張った手に、
かすがは自分の白い手を重ねる。
初めて会った時彼は少年で、自分はまだ子どもだった。
その時手渡してくれたのは鞠だったらしいが、幼かったかすがは覚えていない。
でもきっと自分はこうやって微笑んだ筈だ。
「……うん」
佐助が泣きそうな顔をしている。何故、と思いながら眼を閉じて唇を重ねた。
彼の腕の中、そのまま自分の帯が解かれる音を聞いた。

716:ハナシノブ (佐×かす)【14/17】
08/04/20 22:27:03 aErckzVG
睦言の後佐助はまず謝った。
どうも怖気づいて抱けなかったと言ったが、かすがは看破していた。
市井の道へ強引に放り込む事だって出来たのに、それをしなかったのは
彼が与えられた道と選んだ道の大きな違いを知っているからだ。
「……ウソツキ」
余韻を匂わせた甘い吐息で囁くとそのまま彼の耳を甘噛みした。
翌朝まだ暗い内に彼は発った。
起き上がると昨夜の名残が少し溢れる。
彼の激しさが一晩で体中を駆け抜け、まだ幾分気怠さを引き摺っていた。
―もっと早く体を重ねていれば叛かなかっただろうか。
髪を梳かしながら鏡の中の自分に問い掛ける。
それは違うと鏡に映る自分は答えた。
きっと自分は叛き、互いに憎み合いながら身体を求め合う爛れた関係に
なっていたか、叛いた時に殺されていただろう。
梳かして結った髪に翡翠の簪を挿す。
私服の時に着けて欲しいと言われたのはもう随分前だ。
見慣れない自分が鏡に映る。だがそれを見てもう取り乱す事はなかった。
ずっと昔から彼には自分の姿がこう映っていた。
市井の道を選んだ今、それを恥じる必要は無い。
今迄の事をすぐに全部忘れられないが、少なくとも心の奥底に鍵を掛けて
仕舞っておこうと決心した。
自分は最早剣で無く、唯の女なのだ。
秋も深まった頃、彼女は初めて体調の変化を感じた。

717:ハナシノブ (佐×かす)【15/17】
08/04/20 22:30:13 aErckzVG
木枯らしが吹くようになっても佐助はまだ戻らなかった。
冬になる前に帰りたいと言う希望は叶わなかったようだ。
暮が近付くと一段と寒さが厳しくなり、雪が舞うようになった。
寒さが障りにならないか心配したが、彼が多めに薪を用意していたお陰で
体調を崩す事は無かった。
―ひゅうううう
年が改まって間もない晩、かすがはその音で目を覚ました。
―ひゅうううう
最初はただの風の音だと思ったがどうも違う。
―ひゅうううう
この呼び掛ける様な音は一体何の音だったろう。
―ひゅうううう
どうも気になって寝巻のままそっと縁側の戸を細く開けた。
―ひゅうううう
「――!!」
外を見たかすがは文字通り凍り付いた。
満月を背にして庭先にあの男が立って居る。
自分から忍としての命を奪った男。
姿を見た者は全て葬り去って来た故に伝説と呼ばれる男―。
声にならない声で彼女は呟いた。
「……悪、魔」
―ひゅうううう
答える代りにその口から風の音がした。
体は震えて足が竦み一歩も動けないが、今ここで死ぬ訳には行かない。
悪魔はジリジリ彼女に近付いて来た。彼女は僅かに後退る。
(まだ死ねない)
悪魔の姿が一段と大きく迫り、その影が彼女を完全に呑み込んだ。
(私は、まだ死ねないんだ―)

718:ハナシノブ (佐×かす)【16/17】
08/04/20 22:33:23 aErckzVG
「どうした?佐助」
突然足を止めた従者を見て、白い息を吐きながら幸村が馬上から尋ねた。
任を終え帰路を急いでいる所だ。
「いや…何でも無え」
「ならばぐずぐずするな。また雪が降り始めたら厄介だぞ」
若い主はせっかちに手綱を握り直した。
ただでさえ信濃は急峻な地形のせいで行軍が困難だが、これ以上雪で足止めを
食うのは何より避けたい。
「分かってますって」
答えながら佐助は妙な胸騒ぎを覚えた。
(まさか、な)
白いものがヒラリと視界を過ぎる。二人は同時に天を仰いだ。
「また降り出したか……急げ、後僅かだ!」
幸村は忌々しげに呟くと隊員達に号令した。
遅れたりはぐれたりする者が居ないか佐助は眼を光らせる。
ふと自分の掌に雪が舞い落ちるのを見た。
体温で雪が儚く融けていく様は余計な事を思い出させる。
掴んだと思ったものがすり抜けた時の苦い思い。
一度目は奪われ二度目は自分の目の前で喪い掛けた。
ふと三度目はあるのかと考え、佐助は拳を握り締め視線を隊へ戻す。
かすがに執着するのには理由があった。
彼女と居れば、普段忘れがちな人としての感情が甦る。
隠し切れない血腥さを持つ自分でも、まだ人間なのだと確認したかった。
自分が剣なら彼女は鞘で、二つ揃わなければ意味がない。
鞘を喪えば自分は返り血塗れの抜き身の剣になってしまう。
抜き身の剣は敵味方関係無く傷付け、徐々にヒビが入って最期は折れる。
かすがを喪うのは最も忌諱すべき事だった。

719:ハナシノブ (佐×かす)【17/17】
08/04/20 22:37:31 aErckzVG
翌朝上田に到着し、細かい采配を終えた彼は久々に自宅に戻った。
白い息を弾ませ、長い留守になった事をどう詫びるか考えながら家路を急ぐ。
雪が降るだけあって今日は身を切る様に風が冷たい。
そうだ、朝餉にそばがきが食べたいとかすがにねだってみよう。
いい大人が間食を食事代わりにするなと彼女に叱られるだろうか。
しかし羹をすするという経験はここ半年近くすっぱり抜け落ちている。
ネズミの様に薄暗い所で干し飯や兵糧丸をひたすら齧り続けた記憶しかない。
長い仕事の後くらい少々甘えて我侭を言ってみたかった。
だが、そんな思いは家が近づくと跡形も無く消し飛んでしまった。
縁側の戸は開いたままで家の中はもぬけの殻だ。
(何でこんな時の勘は良く当るんだよ)
舌打ちしながら土足のまま中に上がる。
血痕が見当たらないので拉致された可能性が高いだろう。
薪の残量や寝具がそのままになっている様子から、それが一両日中の
夜間に起きたと当りをつける。
更に詳しく室内を見回すと壁に何かあった。
それはあの翡翠の簪で、矢文宜しく文が結び付けられ小さな布切れと共に
壁に突き刺さっている。
簪を引き抜き文に目を走らせてから布を広げたが、摘み上げて凝視した。
まだ縫いかけの産着だ。
一体これに何の意味があるのか。そもそも何故ここに産着があるのだろう。
結論に至るまで少々時間が掛かったが、至ると同時に血の気が失せた。
たった一度の契りで彼女は自分の児を宿したのだ。
佐助の眼が無機質な色を帯びて文は無言のままグシャリと握り潰された。
次の瞬間彼の姿は消え、産着と文だけが黒い羽が舞う中残される。
その文末には松永弾正の署名があった―。

720:4スレ目588
08/04/20 22:41:08 aErckzVG
読んで下さった方、ありがとうございました。
最後に一つプチネタを。



アスパラガスの花言葉は、無敵


お目汚し失礼致しました。

721:名無しさん@ピンキー
08/04/20 22:47:30 MtrPTEYS
リアルタイムで読ませてもらったが、マジGJ!
ほんとよかった。

722:名無しさん@ピンキー
08/04/21 01:49:24 gU3H6tgN
超GJ!情景描写や時代物の(行李とかそういうの)言葉遣いが丁寧で、
安心してすんなり物語に入っていけた。二人が結ばれたとこは切なくて泣きそうだぜ…
また作者の作品読みたいので待ってます!

723:名無しさん@ピンキー
08/04/21 08:59:37 5d3paQti
うおおおぉおぁああ!
GJです!
忍大好きせつな萌の人間には大変美味しゅうございました!

724:名無しさん@ピンキー
08/04/22 12:53:35 R0VN7a/m
超GJ!!!!!
話の構成がしっかりしてるし、2人の会話もすごく良かった!

そして予想外の展開に、いい意味で裏切られたぜ!
これからもがんばってくれ!

あ、下がってるから上げるね

725:名無しさん@ピンキー
08/04/22 20:39:25 wiT19u/N
すごい引き込まれる文章だな~。佐かすがますます好きになった!ありがとう!


今度はアスパラガスをタイトルでww

726:4スレ目588
08/04/22 23:15:47 0LxKk7uJ
感想を寄せて頂きありがとうございます。一つ一つ読んでます。
佐かすの需要がどれくらいあるのか分からず、正直投下するのを迷ってました。
また書きあがったものが出来たら投下させてください。

727:名無しさん@ピンキー
08/04/27 01:19:16 cu4SxjLQ
保守

728:相模/夕暮(筆頭×いつき)
08/04/27 18:35:32 0IlOKTsx
保守がわりに短文投下。
筆頭×いつきで甘いものを目指してみました。
エロはないのですが、もどかしい感じで。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

山裾に沈んでいく夕陽を眺めながら、いつきは小さく溜め息をついた。
そのまま後ろにぱたりと倒れこむと瞼を閉じた。
「どうした、いつき?」
「…えっ!」
不意に頭上から聞こえた声に吃驚して飛び起きる。
少し身を屈めて彼女の顔を覗き込む伊達政宗の姿に更に驚き、ちょこんと正座をした。
「Oh,sorry…今日は頑張ったからな、夕餉まで休んでいても良いぞ」
ちぐはぐないつきの様子に吹き出しそうになるのを必死で堪えながら、政宗は手で制した。
そして彼女の正面へと腰を降ろす。
「今日の様子なら、あと十日もすれば一緒に遠乗りに行けるな」
蒼味がかった隻眼を細めて表情を和らげると、いつきに声を掛けた。
「だども…」
「そんな顔をするんじゃねえ、あの時、俺達に啖呵切ったお前はどこいっちまった?」
政宗は悪戯っぽく笑いかけると、いつきの小さな顎へと指をかけた。
そのまま掠めるように軽く口付けると、じっと大きな瞳を覗きこむ。
「な、な、な…」
耳まで赤くそまったいつきは、そのままくるくると目を回すのではないかという程に慌てていた。
「お前は俺の隣に立つんだろ?」
「…んだ」
「ほら、良い女が台無しだ」
ぽん、と肩を叩かれ、いつきは瞳をぱちくりと瞬かせて再び赤面した。
「そうだな…明日はちょっとお休みにするか」
あまり根を詰めすぎても体を壊してしまうからな、と呟き、政宗の口元に緩く笑みが浮かぶ。
「俺も久方ぶりに休みが欲しい」

(続く)

729:相模/夕暮2(筆頭×いつき)
08/04/27 18:36:23 0IlOKTsx
長いといわれたので分けました。

政宗は手を伸ばすと、いつきの細い体を抱き寄せて、胡坐をかいた自分の膝の上に乗せた。
咄嗟に状況を掴めずに、ぱちぱちと大きな瞳を瞬かせていたが、いつきはすぐに顔を赤らめるとじたばたと暴れだした。
「まだ明るいだ…」
「ん、何だ、そんな事を気にしているのか?」
お日様が、と言い訳しようとするいつきの頬に口付けながら、政宗は細い顎に手をかけた。
「…それに夕飯もまだ食べていねえだ」
いつきの言葉に反応するように彼女の腹がきゅうっと鳴った。
二人は顔を見合わせ、しばし固まる。
「Ha…お前らしいな」
何だか気が削がれたぜ、と呟き、政宗は手を離した。
「あお…」
「俺の名前は『青いお侍』なんかじゃねえぜ、いつき」
「う……」
指をぐりぐりと弄りながら、いつきは政宗の名を呼ぼうとしているが、どうも最後の一歩が踏み出せない。
「…焦りすぎたか、俺も」
ふう、と溜め息とついた政宗はいつきの頭に手を置いた。
思案する素振りを見せ、何かを思いついたのか、彼女の顔を覗き込む。
「それじゃあ、夜にお前の所に行こうか」
「へっ!?」
「……喉が嗄れるまで俺の名前を呼ばせてやるよ」
それなら夕餉の後だし問題ないだろう、と意味深に笑う。
「ま、ま、待つだ…それは……」
「明日は休みだ、少しばかり遅く起きても構わねえぜ?」
長い腕でいつきの細い体を抱きすくめて捕まえると、政宗は果実のように赤くそまった耳朶を甘く噛みながら囁きかける。
そのまま政宗の手がいつきの着物の袷に触れようとした時、不意に背後から声がした。
「…政宗様」
ぱっと手を離すと、政宗は忌々しげに後ろを振り返る。
障子の向こう、正座して控えていた片倉は十分に間を置いてから入ってきた。
「夕餉の支度が整いましたので呼びに来たのですが…」
「OK,すぐに行くぜ」
「くれぐれも遅れませぬよう」
ぴしゃり、と障子を閉めると、足音が遠ざかっていく。
「さあ、飯を食いに行くか」
いつきに差し伸べられた政宗の手は温かかった。

(とりあえず終わる)

730:名無しさん@ピンキー
08/04/27 20:46:48 3QpoELqZ
ぐっじょぶでござるぁぁぁぁー!!
凄く萌えた!満たされた!

欲を言えば次の機会にでも
筆頭といつきがにゃんにゃんしているところが読みたいでござるよ


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