07/10/01 01:42:17 X09/Nsuo
気付いた時には抱きしめられていた。
長生種の身体が反応できないほどの速さで抱きしめられたのではない。
むしろ緩慢なほどの動作で、アストの身体は絡め取られてしまっていた。
サラリ、と銀髪が頬に触れている。短く息を吸って怒鳴ろうとしたが、声が上ずってしまった。
「…何のっ、つもりだ…今すぐこの手を―」
「本気で嫌なら…アストさんなら振りほどけるでしょう?」
自分の言葉を遮るようにして耳元で囁かれ、アストは固まってしまった。実際、アベルの腕にはほとんど力は込もっていなかった。長生種でなくとも振り払えるほどに。
『振り払う』という選択肢を与えながらも、アベルの優しい腕は確実にアストの自由を奪っている。
拒絶する素振りを見せないアストの様子に満足し、アベルはアストの左耳の後ろに鼻を押し付けた。
「アストさん、いいにおい…」
「っ馬鹿者…!!」
蕩けたような声につられて、アストの身体も熱くなっていく。
入浴後だったアストの薄い部屋着の背中にまわされていたアベルの両腕は、今は左腕だけでアストを支えている。
右手はアストのうなじからこめかみを撫で、髪をかきあげる。
そしてチュッと音をたてながら、かきあげた髪の生え際にキスを落としていく…
携帯から失礼をいたしました。エロ無しですが、繋ぎになればと思い書き込みました。