竹宮ゆゆこ作品でエロパロ 2皿目at EROPARO
竹宮ゆゆこ作品でエロパロ 2皿目 - 暇つぶし2ch750:名無しさん@ピンキー
08/01/04 23:42:48 PZjBM5ou
>ID:C6kYb+9U
──アタシの名前はユリ。心に傷を負った女教師。モテカワスリムで恋愛体質の愛されガール♪
アタシがつるんでる生徒は援助交際をやってそうなアミ、学校にナイショで
キャバクラで働いてそうなミノリ。訳あって不良グループの一員になってそうなタイガ。
 生徒がいてもやっぱり学校はタイクツ。今日もタイガとちょっとしたことで口喧嘩になった。

中略

男はハルタ病だった。連れていかれて洗脳された。「キャーもっとやって!」チャーハンを食べた。
「ガシッ!ボカッ!」アタシは死んだ、精神的に。スイーツ(笑)

こういうのが来そうでちょっと怖いと言う意図で

751:名無しさん@ピンキー
08/01/04 23:47:20 C6kYb+9U
この上なくわかりやすい実例サンクスw

752:名無しさん@ピンキー
08/01/04 23:53:36 PZjBM5ou
冷静に考えるとスイーツ(笑)よりは春田のほうがマシだな。
もし春田が♀だったらやっちゃんとは違った意味で天然入った可愛い女子になってそうだし


                  マチクタビレタ~
      ☆ チンチン〃   Λ_Λ   / ̄ ̄ ̄ ̄
        ヽ ___\(\・∀・) < ♀春田のSSマダー?
マチクタビレタ~ \_/⊂ ⊂_ )   \____
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /|
       | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  |   マチクタビレタ~

753:名無しさん@ピンキー
08/01/04 23:54:18 PZjBM5ou
冷静に考えるとスイーツ(笑)よりは春田のほうがマシだな。
もし春田が♀だったらやっちゃんとは違った意味で天然入った可愛い女子になってそうだし


                  マチクタビレタ~
      ☆ チンチン〃   Λ_Λ   / ̄ ̄ ̄ ̄
        ヽ ___\(\・∀・) < ♀春田のSSマダー?
マチクタビレタ~ \_/⊂ ⊂_ )   \____
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /|
       | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  |   マチクタビレタ~

754:名無しさん@ピンキー
08/01/05 16:08:29 pFZxha3d
>>751
スイーツ(笑)で終わる携帯小説のテンプレみたいなやつ(>>750もその改変)があるんだ
>>743がいってるスイーツ(笑)はたぶんそれのことで>>749とはちょっと違うと思うぞ

755:名無しさん@ピンキー
08/01/05 16:32:31 VFEGikjU
そうなんだ
でなんでこのテンプレ最後唐突に「スイーツ(笑)」で終わってるの?

756:名無しさん@ピンキー
08/01/05 16:35:32 LPY/kyyj
スイーツ(笑)層向けの小説(笑)って意味だから749であってるっちゃあってる

757:名無しさん@ピンキー
08/01/05 22:21:14 wV6UGZiu
>>755
あの唐突なスイーツ(笑)が笑いどころ

758:1/3
08/01/08 17:56:58 h626AY8a
SS書くのは初です。ここを知ったのも数日で
倉庫を全部見てないのでネタ被っていたらスンマセン。ついでにエロくもなし。
文字量もわからないので三回に分けておきます。


「竜ちゃんおみやげだよ~。早く着てみて~」
「なあ泰子……俺はこの手のものはいらんと口を酸っぱくしてきたはずだぞ」
「なになに? 何が入っているのよ!?」
母・泰子から受け取った紙袋の中身を一目で察した俺は、横で紙袋の中身を覗き込もうと
背伸びしたりピョコピョコ飛び跳ねる大河を視界に入れつつ嘆息した。

仕事帰りの泰子がおみやげを持ち帰ってくるのは別段珍しいことではない。
店で客が注文したにもかかわらず酔っていたため手付かずに残った料理。
仕込んでおいたがあまり注文がふるわず傷みそうな食材。
店内に飾ってあったが、ちょいと乾燥し始めたフルーツ。
食料ばっかで我が家の食卓事情しいては経済事情がバレてしまいそうだが、意外とこれが馬鹿にならないんだぜ!?
唐揚げひとつだって玉子で綴じれば弁当のおかずに大変身さ!
夏場は衣を取って自家製のワサビドレッシングで和えれば衛生面や健康面にもグッド!
そもそも泰子がもっと大きいタッパーを持っていって、なおかつ酔っぱらって
持ち帰るのを忘れたり、帰り道の途中でノラネコにあげたりしなければさらに充実した食生活を─

─いかん、思考が大きく逸れていた。
ともかく俺は紙袋の中身を出し両手に広げた。広げた瞬間渋い光沢が目に飛び込んでくる。
「うわ~すごい絵が描いてある! これ竜だよね竜! あんたの名前じゃん!」
「えへ~格好良いっしょ~。お店の~お客さんに~。やっちゃんそーゆーのが好きなの~
 って前に話したら倉庫にいっぱい眠ってるからあげる~って持ってきてくれたの」
漆黒のサテン生地に猛々しく金糸で刺繍された竜が踊るジャケット。
そうそれは横須賀ジャンパー、通称スカジャンであった。

759:2/3
08/01/08 17:57:22 h626AY8a
「ただでさえ誤解されやすいのにこんなん着てたらもっと誤解されるだろうが……!」
この俺、高須竜児は目つきが悪い。目が悪いではなく目つきが悪いのだ。
普通に歩いていても周りの人間は目を逸らすし、人混みに入ればまるでモーゼの十戒のように
人並みが割れていく。学校にいけば不良どころか番長と思われる始末。
もちろん俺は殴り合いはおろか、誰かに対して本気で怒鳴ることさえ気が引ける
ヘタレなのだが、やっぱり人は外見で判断されるんだなというのが人生16年で得た経験だ。
ゆえに俺は威圧感のない服装になるよう心がけている。せめてもの自衛策だ。
実のところファッションセンスには自信がないので自衛策が機能しているかは疑問を残すが。

「でも~竜ちゃんに絶対似合うと思って~。だから着てみて。ねえってば~」
泰子の鼻息が荒い。っていうか酒臭い。何を興奮してやがる。
そういやこいつは俺が顔面傷だらけにしてた時も興奮してたな。
そりゃ死んだ親父ならアッチ系の人っぽかったので好んで着たかもしれないが、
俺にはまったくノーセンキュー。……古着屋に行けばいくらになるかな?
「だからこの手のは着たくないっての! 悪いが古着屋かバザーに出すからな!!」
「え~、せっかくやっちゃんががんばって持って帰ってきたのに~ヒック。
 大河ちゃんも竜ちゃんに似合うと思うよね~」
「そうよ竜児! やっちゃんの真心を踏みにじるなんてサイテー!!
 これだからあんたはダメ犬からクラスアップできないのよ。むしろ下がる一方!!」
「何でそこまで言われなきゃならんのがわからんし、いまどきスカジャン着てるヤツなんて見ないぞ!?」
「スカジャン? なにそれ。ただの刺繍の入った格好いいジャンパーじゃないの?」
どうもこいつはスカジャンの存在を知らなかったらしい。微妙なところで世間知らずなヤツである。
ともあれ簡単にスカジャンの説明と、いまどき着ているのはトンがった思考の人間か
この手のものが大好きな外国人くらいなもんだと教えてやった。
「へ~そうなんだ。でも私は別に格好良いと思うけどな」
「大河ちゃんもそー思うでしょ。なのに竜ちゃんたらいけず~」
女性二人のセンスに疑問を持ちつつも、やはり突っ込むファッションセンスと
自信を持ち合わせない俺は会話を打ち切るべく告げた。
「ともかく俺は着ない。じゃあ俺と大河は待ち合わせがあるから行くぞ。ほれ大河、ジャケットを着ろ」
しかしハンガーに掛けてあった大河のジャケットを差し出してもこいつはスカジャンをずっと凝視中。Why?
「あんたがいらないって言うなら私が着るわ。いいよねやっちゃん?」
「うーんうーん。大河ちゃんが着ても似合うかも。着て着て~」

760:3/3
08/01/08 17:57:47 h626AY8a
大河の突然の行動に俺は茫然自失。スルリと袖に腕を通した大河はスカジャンを装着。しかし思いっきりブカブカである。
男でかつ同年代では大柄な方の自分に合うサイズなのだから、身長140センチ代の小柄な大河が着れば
当然の結果なのだが─なんというか服に着られてる、といった趣か。
「きゃー、大河ちゃんかっこいーかわいいー」
どっちだよとペチペチ拍手する泰子に呆れつつ、大河に視線をやる。
「どうよ! この格好良さがあんたにも分かるかしら!?]
どうよ!って言われて薄い胸を張られても困るというか、スカジャンの袖が余って手のひらが半分も出てないし、
いま大河が着ている明るい色のブラウスとモノトーンチェックのプリーツスカートとは、
相性がわる─わる─悪くないな。むしろ袖が余った感じと男物を着ているギャップが
俺的には妙にドキドキして─って俺は何考えてんだ!?
「お、おぅ。まあそこそこいいんじゃないか。ってもう待ち合わせ時間が!
 櫛枝さんを待たせるわけにはいかねえ! ダッシュでいくぞ!! 泰子、戸締まりしっかりな」
「ああっ引っ張んないでよ! ばか竜児!!」

街を駆けるなか大河の髪が走る勢いと風に揺られ刺繍の竜が見え隠れする。
(なんかコイツを守ってるみたいだな)
俺の名前の竜と刺繍の竜。大河は何にも考えなかったのか─妙な照れくささを覚えつつも、
櫛枝さんや北村たちが待つ場所へ走った。


すんません。ここでギブアップです。このあと待ち合わせ場所にいた亜美に竜の刺繍と竜児との
関連を揶揄されて真っ赤になる大河、とか北村に褒められて照れる大河、とか。
美乃梨も「わしにも着させろー!」と試着。竜児が眼福に至る、とか続けたいのですがつかれた……

761:名無しさん@ピンキー
08/01/08 22:19:10 S72ycPFh
いや、gj.
体力が増えたら続きを書いてやってくれ。

762:名無しさん@ピンキー
08/01/08 23:27:17 IBtK/coB
>>760
初ssとは思えなかったぜ!!
とりあえず続きをwktkしながら待っとくw

763:名無しさん@ピンキー
08/01/08 23:44:28 m8S0743o
竜児はみのりん呼び捨てで「櫛枝」って呼んでたような
でもテンポがいいね。続き希望w

764:名無しさん@ピンキー
08/01/09 16:07:48 xjUGVtzs
スカジャンを着た竜児…想像しただけで恐ろしい。
というわけでGJ

765:名無しさん@ピンキー
08/01/09 16:20:16 4JPDDaVc
てか正直竜児が仕方なくスカジャン着たらやっちゃんが興奮して逆レ…
とか想像していた俺は死んだ方が良いなw

766:名無しさん@ピンキー
08/01/09 17:25:12 q06mmXS8
まあ一応エロパレスレだしw

767:名無しさん@ピンキー
08/01/09 17:25:52 q06mmXS8
エロパロスレ、だな
何やってんだ俺w

768:758
08/01/09 19:38:51 nNDlwXOp
GJありがとうございました。話の落としどころが難しいですが
書き上がりましたらまた張りに来ますので。

あと誰が誰をどう呼ぶかをちゃんと一覧表作ってから書こうかと思います。
たしかに竜児はみのりんをさん付けでは呼ばなかったw

769:名無しさん@ピンキー
08/01/09 21:00:37 w9nDMHdx
エロパレスとは良い響きだな…
そしてgj

770:名無しさん@ピンキー
08/01/09 23:29:23 45ZTYtva
なんかSSって普段常駐してるスレの影響を受けるよな。
軽めの嫉妬を書きたいのに常駐スレがアレなせいで
どうしてもドロドロ修羅場な展開になっちゃう。


771:名無しさん@ピンキー
08/01/10 10:38:51 0NAobDWJ
>>770
逆に考えるんだ
『書きたい作風のスレに目を通してから書けばいい』
そう考えるんだ

ラーニングして書けばいいと考える俺はガイドライナー

772:1/6
08/01/10 16:34:04 6IQFL3Pj
あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
『スカジャンSSの続きを書こうと思ったらいつのまにか竜児と亜美の話になっていた』(AA略)
……なんか思いついたので書きますた。しかもまたエロなしで長ぇ。6回にわけます。スンマセンw



深夜の23時過ぎ─突然の来訪者だった。

「こんばんは高須くん。お部屋の電気ついてたから起きてるって思ったんだ」
「それはそうとこんな時間にどうしたんだ? 親は心配してないのか?」
招かれざる客─それは川嶋亜美だった。
こいつは以前にもうちに来たことがあるが、それはあくまでも昼間や
明確に俺に用がある時だけだった。正直驚きを隠せない。
「今日は仕事があってこんな時間になったの。で、高須くんの家の前を
 通りかかったから寄ったってわけ」
夜遅くまで出歩いてた理由はわかったが、俺に会いに来る理由がいまいち納得がいかない。
その程度で俺に会いに来るようなヤツだっただろうか。
が、川嶋はそんな俺の疑問もおかまいなしに玄関を見渡し。さらに居間のほうも覗き込んでいる。

「あのチビはどうしたの? いつも一緒に夕御飯を食べて一緒にいるって聞いてたけど」
「大河ならメシ食ったあと眠りこけそうだったんで家に帰したよ。
 寝室の電気が消えてるから今頃爆睡中だと思うぞ」
俺は振り向き、居間の窓の向かいに見えるマンションの一室を見る。
そこが大河の自宅であり、あいつの寝室だ。部屋の灯りは消えて静まり物音がしない。
「じゃあ問題ないよね。お邪魔しまーす」
たしかに川嶋と大河が鉢合わせして家の中が戦場になる問題はないが、
夜中に若い婦女子が男の家を訪ねるのは問題あると思うぞ─それも現役高校生アイドルが。
俺の胸中を知るよしもなく川嶋は靴を脱いで居間に上がっていった。

「なんか青顔色悪いぞ? ちょっと座って待っててくれ。いま飲み物入れてやるから」
居間にたどりつき手持ちぶさたに突っ立っていた川嶋のまえに座布団を置き、
座るように促すと俺は台所へ向かった。
なんか調子が狂うな。いつもの川嶋なら勝手に座ってくつろぎそうなものだが。
ともかく、なんだかんだいって川嶋は貴重な女友達だからな。それも俺の外見に怯まない貴重な─。
いつぞや出したハチミツ入りの牛乳を思い出し、暖めてテーブルに運んだ。

773:2/6
08/01/10 16:34:24 6IQFL3Pj
「あいよ。お待ちどうさん」
「ありがとう」
川嶋は置かれたマグカップに両手を添えゆっくりと口に運ぶ。
唇が離れる時のわずかな吐息が聞こえ、思わず彼女の桜色の唇に目がいってしまう。
なんでこう女の唇は柔らかそうなのかね。とくに川嶋のは特別なリップでも使っているのか、
いつも艶があり、いまも部屋の照明でなめらかな輝いている。
川嶋は俺の視線には気づいてない、そのせいで覗き見をしているような罪悪感を
感じていた俺だったが、次の瞬間にハンマーで殴られたごとく硬直した。

「なっ、なぜいきなり泣く! 牛乳マズかったか!? 熱くて舌をやけどでもしたか!」
「えっ……」
川嶋は俺の慌てふためいた指摘でようやく自分が泣いていることに気がついたらしい。
慌てて袖で目尻を拭い、強くかぶりを振る。
「ちがうの! 高須くんが’悪いワケじゃないの!!」
「いったいどうしたんだ ? いきなりうちに来たのも変だけど
 さっきから態度も顔色もおかしいぞ!? 何もないやつがいきなり泣くかよ!」
川嶋はうつむいたまま黙っている。マグカップに添えられた両手は小刻みに震えていた。
俺ももちろん平常心じゃなかったが、ギリギリのところで落ち着いていられるのは
大河が泣いているのを何度も慰めたからだろう。
「俺なんかじゃ無理かもしれんが、良かったら相談にのるぞ」
5分くらいだろうか─永遠にも感じた時間を経て、
時計の秒針の音だけが響く部屋で川嶋はポツリポツリ話し始めた。

「最近ドラマの仕事が入ったんだ。いちおうヒロインって役柄でさ」
「そりゃすごいじゃないか。高校生で主演なんてそうはいないだろ」
純粋にそう思う。モデルの仕事だって俺からすれば雲の上の世界だ。
本屋でこいつが表紙の雑誌を見かけるたびに、クラスメイト─ましてや
友人として遊んだり旅行に行ったり、こうして二人で話していたりするのが
とんでもない幸運ってことに気づかされる。
「でもね、全然ダメなの……」
「何がだ?」
「……演技。NG出して迷惑かけてばかり」
最後のほうは消えていくような声だった。

774:3/6
08/01/10 16:34:51 6IQFL3Pj
つまるところ川嶋の演技はお世辞にも上手いとは言えなかったそうだ。
周りのベテラン俳優にフォローしてもらってようやく─しかたなしに監督がOKを出したらしい。
文化祭のときのMCで何となくぎこちなさは感じたが、まだ高校生だ。
演技の拙さは仕方ないし、徐々に上手くなってくるものだと思うのだが。

「実のところ今回の役はパパとママのおかげ─事務所がプッシュしたせいなの。
 本来は私じゃなかった。もっと上手い人がいたの。
 ……事務所のほかの子たちも私の陰口を言ってる。
 川嶋亜美は母親のおこぼれでこの世界にいるようなものだって」
「…………」
正直なところ演技の善し悪しについては俺には何も言えない。素人だからな。
しかし川嶋の母親が有名な女優なのはまぎれもない事実だ。
その女優の娘で生き写しと言っていい容姿。どうしたって色眼鏡でみられる。比較される。
母親の演技を超えるような一端を見せないと納得はされないだろう。
それはいつの時代だって偉大な親を持つ者の宿命なんだ。

「母親や事務所の先輩にアドバイスもらえたりしないのか?」
「パパやママにはこんなこと相談できない。事務所の人たちも遠巻きに眺めてる……。
 誰にも相談できないのよ」
そうだった。川嶋は学校ではいつもアイドルの仮面を被っている。
おそらく仕事場でもそう、もしかしたら両親のまえでもそうしているのかもしれない。
なりふりかまわず努力する、あがくのはアイドルとしての川嶋亜美の仮面が許さないということか。
仮面を外す時は唯一、俺や大河たちのまえだけだったんじゃないだろうのか。

「これから流すドラマのCMだって、親の七光りを使ってちゃらちゃらと視聴者を煽ってさ……
 アイドルを作る、売るための実験だよまるで。私はその枠に嵌めこんでもらっただけ。
 私でなくてもよかった。たまたま私がいただけ」
「いいじゃないか売れるんなら。仕事があっての芸能人だろ?」
「そんな問題じゃないよ」
「贅沢言うなよ。他になにが望みなんだ?」
「─だから、そうじゃなくて! 演じるってことはもっとこう……みんなコツコツ努力して、
 上達して。それでなんとかモノになっていくんであって」
「別におまえが何も努力してないとは思わないぞ?」
「『努力した』ってことは言い訳になんかなんないの!」
「言ってることが矛盾してる!」
「矛盾なんかしてない!」
ヒステリックに叫ぶ川嶋。深夜に騒いでまた大家に怒られるなコリャ。
でもなんとなくわかってきた。こいつは自分の母親に誰よりも憧れているからこそ、
ふがいない自分の力量に憤慨しているのだ。同時に母親の名誉も傷つけてしまうから。

775:4/6
08/01/10 16:35:14 6IQFL3Pj
「私は…私には時間がない…間に合わないよ!」
「なんだそりゃ? おまえは不治の病か何かなのか?」
「あーそうだよっ! いまこうしてる間にも年取ってボロボロになっていつかは死ぬ!」
「いきなり飛躍しすぎだ!おまえそれ言ったら─」
「私はもう17で! こんな歳からようやく女優を始めて! 実力も努力もまだ全然足りなくて!!」
「もう17っておまえ……」
おまえの年齢でもうとか言ってたら三十路に入った担任が泣くぞ。
ともあれ川嶋が言っていることはおぼろげながら察した。
テレビを見てればわかるが芸能界ってのはすぐに新人が出てくる。川嶋がたとえ現役高校生アイドルでも
すぐに後輩がでてくる。そして才能のない、運の無かった者から押し出され消えていく。
川嶋がメインにしているグラビアはその最頂点と言えると思う。
そんな中で生き抜いている川嶋のストレスは、常日頃感じているプレッシャーは
どんなものだろうか。俺には想像もつかない。

「全然ダメで……」
再び消えてしまいそうな声で続ける。こいつがこんな顔をしてるのを見たヤツは
ほかに誰かいるのだろうか? もしかしてこいつの幼なじみの北村だって見てないかもしれない。
「精一杯背伸びしていろんな人にフォローしてもらって、それなのにあの程度の─
 あんなチャチな演技しかできない」
ああ、もうそんなに後ろ向きになるなよ! ここは発破をかけるしかなしだ!!

「いいかげんにしろ」
川嶋がハッと顔をあげる。裏切られた、見捨てられたといった表情。
違うっ!違うんだそんな顔しないでくれ!! まだ伝えるべき続ける言葉があるんだ!!!
どうしてこう俺は女と話すのが上手くないのか。毎度のことながら自己嫌悪だ。
「自分の仕事を自分でけなすんじゃねえよ。答えを出すにはなにもかもまだ早すぎるだろ」

川嶋の目からまた滂沱のように涙があふれはじめる。川嶋の視線に合わせ続けると俺の心臓は
早鐘のように鳴っているが、ここで目を逸らすわけにはいかない気がする。
ううっ……震えるな俺の手! 男だろ!!

776:5/6
08/01/10 16:35:36 6IQFL3Pj
「この仕事をどんなことをしてでも続けたいと思うの、けど、もう逃げたい─何もかも投げ出したいとも思う。
 私ってヒドイやつだよねえ? 私の責任だってわかっているのに私だけの責任じゃないって言いたがってる」
「川嶋……」
「高須くんに、初めて自分の本音で話せる高須くんに出会って、
 それだけで十分だって本当の本当にそう思うのに、都合のいいことを期待してた……
 悩みを言えば答えてくれて許してくれて。ぜ…ぜ…全部受け止めてくれるって……」
涙で頬を濡らし、嗚咽混じりに話し続ける川嶋。あの気丈な川嶋がここまで自分をさらけ出している。
俺がこいつに言えること、出来ることは─

「わた…私、わかんなくなってきて、わ…わかってなきゃいけないのに。
 『どうすればいいか』じゃなくて『自分がどうしたいか』……」
軽く川嶋の細い肩を手をふれる。手に伝わる川嶋の震えと体温。
わずかに川嶋は身じろいだが拒絶はされなかった。
「俺はおまえがうらやましいよ」
川嶋は黙って俺を見つめ返す。何を言い出すのかと呆れているのだろうか?
しかし一度言ってしまった以上止めるわけにはいかない。言葉を続ける、
「夢中になって追っかけて、手に入れたい、なりたいものがある。俺には何にもないよ。
 自分じゃなきゃいけないこと。いやむしろ、他の適任者までを押しのけてまでやりたいこと……
 そういうものが俺には無いから」
だからこそ……大河に強く求められること、あいつの面倒をみる、必要とされるあの快感に味をしめた。
怖がられ、誰からも疎まれる寂しさ。それを吹き飛ばしてくれたから。

だから─

「必要ならいくらでも俺を頼ればいい。迷惑なんかじゃないさ。
 それに俺も川嶋を必要としてるんだよ。うまく説明はできないけどな」
ひどく浅ましい考えだと思う。俺の気持ちを満たすために川嶋を利用してると思う。
だけど、それを最後の最後まで続けて、俺たちの間に何か残るものがあるならそれは─
「……ありがとう」
川嶋は自分の肩に触れる俺の手を握り返し、小さく、だけどはっきりと俺にささやいた。
時計をみるとすでに日付が変わろうとしていた。

777:6/6
08/01/10 16:36:12 6IQFL3Pj
「あ~あ、高須くんには情けないところばっかり見られちゃってるね。
 高須くんだけだよ。私のこんな弱いところを知ってるの。
 私のファンの人に知られたらスゴイ怒られちゃうぞ」
「お願いだから勘弁してくれ。春田あたりが喜んで刺しに来そうだ」
街灯に照らされた川嶋の顔は目尻がまだ紅く腫れている。
しかし晴れやかな表情をたたえ、いまは軽口をたたいていた。
こんな俺でも少しは川嶋の役に立ったのだろうか? 
「じゃあ、また学校でね」
「ああ、気をつけてな」

深夜の大通り、川嶋は捕まえたタクシーに乗り込むと走り去っていた。
はてさて俺は川嶋に学校で会ったときはどんな顔すればいいのかね。
……ま、なるようになる、かな。




以上です。「亜美が本当の意味で頼るのは竜児だけ」という前提でした。
メンタリティが二人とも原作と違いすぎる気もしますが、ご容赦を……

778:名無しさん@ピンキー
08/01/10 21:01:29 hYUKJg5I
>>772-777
勃った。

779:名無しさん@ピンキー
08/01/10 21:40:45 uyGVEl4e
>>777
GJ!
きっとそんな事があった翌日でもいつも通りの腹黒ブリッコで竜児に接するんだろうな。

780:名無しさん@ピンキー
08/01/10 21:48:15 HdMlAaAL
>>777
GJ。素晴らしい。
次はエロいのも頼むぜ兄弟。

781:名無しさん@ピンキー
08/01/10 21:56:37 Q05VitnU


つかその展開でエロに行かないなんて、とか思ってしまう俺は相当汚れてるなw

782:名無しさん@ピンキー
08/01/10 22:12:22 GPYgvNEH
GJ
ばかちーかわいいよばかちー

783:名無しさん@ピンキー
08/01/11 00:15:40 NQkPjrGR
>>777
ゆゆこ、仕事汁!
テキストの書き方がとらドラに似てていいね。
単行本に紛れてても違和感なさそう。
GJ!

784:777
08/01/11 18:04:52 Oq5rRKh3
>>778-783
GJどうもです。また何か書けたら貼りにきます。
エローイのを書けるかは難しいところですがw

とりあえず今日は書けそうにないので描く方向でいってみました。
絵は板違いだと思うけど勘弁!
URLリンク(zip.2chan.net)

785:名無しさん@ピンキー
08/01/11 18:24:32 RN9BJe29
吹いたwwwムダにGJwww

786:名無しさん@ピンキー
08/01/11 19:00:27 bKAlk+iP
これは何という目つきの悪い守護者w

787:名無しさん@ピンキー
08/01/11 19:13:35 KfMOEzi6
>>786
元ネタの人も竜児に負けず劣らずの目つきの悪さだぞww
てかとらドラは皇国みたいに途中で終わったりしないよねorz

788:名無しさん@ピンキー
08/01/11 23:32:38 nW7XA7Hk
>>784
うまいなちくしょうw

789:名無しさん@ピンキー
08/01/13 14:03:05 /5Zia4iW
それにしてもこのスレの男女比ってどれくらいなんだろ。

790:名無しさん@ピンキー
08/01/13 14:04:55 fTpQlxFw
そもそも何人このスレに居ることやら

791:名無しさん@ピンキー
08/01/13 18:11:03 7s2qHBTQ
点呼




792:名無しさん@ピンキー
08/01/13 18:17:06 KavJa1WX
わざわざageてまでそんな事しなくていいよ

793:1/7
08/01/14 18:59:01 mCeU6EC4
全7回でいきます。途中で連投制限に引っかかったら明日になるかも。
なんだかエロくもなく普通の学生生活のヒトコマになっちまいました。ドゾー。


「いくわよエロ犬……その下半身だけの本能で生きている無駄な人生を断ち切ってあげるわ。
 この優しいご主人さまに感謝しながら逝きなさい」
「おっ、俺は何も悪くないっ! どうしてこんなことに……」
暗く圧迫される視界の中、ただひたすら背中に冷や汗をかく俺がいた。
「高須負けるなー!」「逢坂に勝てるのはおまえだけだ。いけー!」「高須くんがんばれー!」
背後から様々な声援が聞こえる。最後のは川嶋だ。それが響いたとたん大河の目が吊り上がる。
頼むからこれ以上火に油を注がないでくれ……。

俺がどうしてこのような絶体絶命な状況に追いこまれたか。
時間を少し巻き戻そう─。

今日は天気予報で朝から大雨だった。
それはとくに問題じゃない。草木には水が必要だし、適度の雨は大気中をを撹拌し
新鮮な空気を生み出す。雨上がりの清涼感はむしろ好きな方だ。
しいていえば洗濯物が干せないのと、フローリングや浴室の
カビが出るかどうかが気になるくらいか。まあこれは季節にもよるが。
さておき問題が起きたのは本日最後の科目─体育の授業であった。

体育のときに雨でグラウンドが使えない場合は体育館に切り変わるのが普通である。
しかしここ数日ほどは体育館の老朽化で検査中なので使用不可になっていた。
それならそれで保険の授業と差し替えればいいだけの話だが、
授業で必要な資料ができていないのでそれも無理となった。
ここまでくれば教室で自習に期待したいのが個人的な希望だが
そうは問屋が卸さなかった。熱血体育教師黒間─通称黒マッスルである。
クラス全員着替えたあと集合させられたのは武道場であった。

ほかの学校はどうだか知らないが、うちの高校は基本的に男女で授業内容をわけることがない。
だから家庭科の授業も男女いっしょだし体育もいっしょだ。
ゆえに今回も武道場にて男女混合の剣道になったのである。
女子の連中は1年のときの授業で防具の臭さを知っているので、ぶーぶー文句を言っていたが
黒マッスルに逆らうことはできなかった。

794:2/7
08/01/14 18:59:52 mCeU6EC4
武道場の棚に押し込まれていた全生徒共有の剣道具を全員がジャージの上に身につける。
ちょっとマヌケな外見であるが、剣道部員でもないかぎり袴を持っていないし仕方がない。
こうして年に数回あるかないかの剣道の授業が始まった。
最初はいつもどおり柔軟体操だったが、そのあとは剣道の授業らしく素振りや足さばき。
ふたりペアになって面打ちや切り返しの練習などこなしていく。
そして授業時間の半ばを過ぎたところで黒マッスルが声を上げた。
「これから対抗戦をやるから出席番号の奇数偶数で2チームにわかれろ」
実に単純明快なわけかたで俺と同じチームになっためぼしい人間は春田、能登、そして川嶋亜美。
大河、北村、そしてなにより大事な櫛枝とは敵チームになってしまった。なんてこった……。
あの3人が仲良さそうに話している(大河は相変わらず北村に話しかけられると
しどろもどろになっていたが)のを遠巻きに見つめ、
俺はただうらやましげに指をくわえていた。ああっ、俺もあっちに行きたい!

「へへ。高須くんと同じチームだね。期待しているからがんばってね」
「悪いがこの手の荒事にはまったくもって自信がないぞ。期待されても困る」
横にちょこんと座り込んで俺の袖をクイクイッと引っ張るのはクラスのアイドル川嶋亜美であった。
近くにいた春田と能登から「どうして高須ばっか……」という怨嗟の声が聞こえるが、聞こえないふりをする。
こいつの本性知らないかぎりはそりゃ~うらやましいだろうさ。
俺は普通に話す分にはもうドキドキすることもなくなったがな。
……変なモーションをかけられると相変わらずドキドキするのが我ながら情けないが。
「でも高須くんて別にニブそうには見えないけどね。
 そりゃ裕作みたいな現役運動部とくらべたらアレだけどさ」
「……そうじゃなくて竹刀打ち込んだら相手が痛いだろ。
 俺は痛いのもキライだけど痛くするのもキライなんだよ」
「ふふふふ」
なんだいきなり含み笑いしてやがる。いまの発言に笑うとこはなかった気がするが。
「なっ、なんで笑うんだよ」
「べっつに~。ただ高須くんてやっぱり優しいなって思ってね~」
川嶋は小首をかしげ、俺の頬を人差し指でちょんちょんとつついてきた。
なんでこうこいつの仕草はいちいちコケティッシュなんだ。
転入直後の猫被り100パーセントのころならからかわれてるだけと
割り切れたが、最近は本来の川嶋が見え隠れするのでよくわからなくなってきた。
「……褒めても何も出ないぞ」
川嶋からそっぽを向き息を整える。やばい顔が熱くなってきた気がする。
落ち着け俺! なんてことはない会話だ。深い意味など無い!
春田と能登からは「となりの弓道場で弓矢借りてきて誤射しようぜ」とか聞こえてきたり、
相手チームの大河からも一瞬視線が合った気がするが気のせいだ。
恐いから気のせいということにしておこう。

795:3/7
08/01/14 19:00:27 mCeU6EC4
ともかくこうして対抗試合は始まった。
男女半数ずつ混じったチームになるが、実際のところ女子はいないも同然だった。
俺と同じで荒事が苦手なヤツ。単純にダルくてやる気がないやつ、etc......
そんな女子同士の試合は子供のチャンバラ以下の動きで決着がつくし、
男子もそんな女子が相手の時は空気を読んであっさり終わらせるので
テンポ良く進んでいったのである。ある人物までは。

─そう、愛しの櫛枝実乃梨である。

「あっはっはっはっ。昨日時代劇モノを見ていた私はひと味違うぜ!
 気分的には免許皆伝! 英語で言うとソードマスター!!って感じかな。ジェダイでもいいよ」
高らかに笑う櫛枝の足下には相手の男子が面を打たれて悶絶していた。すでに被害者は5人。
「さすが女子ソフト部部長。握力50オーバーは伊達じゃないな……」
「というかアイツの腕力はそのへんの男子を余裕で超えてるぞ」
横にいる能登と春田が櫛枝の恐ろしさに汗を拭っている。気持ちは同感だ。
櫛枝は真面目なぶんだけ何時も全力で向かってくる。
それが彼女の魅力のひとつだとは思うが、いかんせんこんな時は手加減してほしい。
「うわ~痛そ~だね~。櫛枝さんに当たる前に負けてよかった」
横にいる川嶋は最初の相手は男子だったので、言葉と仕草でいつもどおり骨抜きにし
なんなく勝利を収め、次の女子に敗退している。教師の採点もいいことだろう。
やはり世渡り上手がうまいヤツであった。

「俺の番だから行ってくるよ。いちおうガキのころにちょっとだけ剣道やってたから
 負けたくはないところだけどなぁ」
能登が春田にメガネを預けて、面を被りながら試合場中央に向かっていった。
このままだと自分が櫛枝と戦うことになるのでヤツの善戦に期待したいところだ。
櫛枝に打ち込むなんてことは俺にはできそうにないし、
好きな相手に殴られて喜びを感じるほど俺はマゾじゃない……と思うからな。

「ふっふ~ん。聞こえたよ能登くん! 君は経験者だね!
 ならば拙者も本気を出さねばなるまい!」
試合開始の合図とともに櫛枝は一歩下がり、正眼の構えを解きそのまま竹刀を床に突き立てた。
剣先は足の親指と人差し指の間にはさみグッと固定している。
竹刀を握る両手は右手を逆手に変え、なにより奇妙なのが上体をまるでブリッジをするかのごとく
やや横に反らして竹刀に寄り添っていた。身体を弓の本体にたとえると竹刀が弦、といった感じだ。

「あれこそは櫛枝必勝の構え。無明逆流れのお姿……」
相手チーム側に正座している北村が両手を合わせて、祈るようになにやら呟いたのが聞こえてきた。
そういや昨日みんなで寄った古本屋で二人が漫画コーナーで夢中になってたけど
それに何か関係あるのだろうか? あいつらたまにマニアックなネタを披露するクセがあるからなあ。
ちなみに俺は料理本のコーナーを物色してた。意外と夕飯のメニューを毎日考えるのは大変なんだよ。
スーパーの特価品だけで構成するとどうしてもマンネリになるしな。
それに大河のやつは刺激物が苦手なのであんまり辛い料理とかはダメなのも難しいところだ。

796:4/7
08/01/14 19:00:57 mCeU6EC4
それはさておき櫛枝はその奇妙奇天烈な構えのまま能登と相対していた─と思いきや、
よく見ると全身がプルプルふるえている。よくよく考えてみればあんな不安定な格好のままでは、
腰やヒザへの負担は相当のものだし運動部で鍛え抜かれた櫛枝でもキツいだろう。さらに─

「ちょっ、そっちがわに回り込まれると困るんですけど!」
能登は櫛枝を中心にして反時計回りに回り込み始める。当然櫛枝は無理な体勢がたたって
方向転換することができない。その必勝の構えやらの剣先と視線が向くのは虚空のみだ。
……誰だってそうするよな。5秒も考えればわかる。
そして櫛枝は回り込まれた能登にむき出しになった胴を打ち込まれ勝負は終わった。
このように櫛枝はたまに壮絶な自爆をしてくれるのでそのたびに困惑する俺である。

その後、能登は順調に勝ち続けたがついにクラス委員かつ生徒会副会長&ソフトボール部部長・
北村の出現によりその輝かしい時代(5分)に幕を下ろす。北村が櫛枝に負けず運動神経抜群なのも
あるが、まあ連続して試合すれば疲れるよな。おつかれさまだ。
そんな北村も次の試合途中にジャージのゴムが切れてパンツ(白ブリーフ)丸出しになるという、
裸族の名に恥じない所行を見せつけ反則負けとなった。呪われてるんじゃないかアイツ。
ちなみに大河はそれを見てゴロゴロ床を転がっていた。夏のアレを思い出したかな?
櫛枝は櫛枝で「男の下着は魂の色、純白であるべきだ! わかってるね北村くん!」と
また微妙にリアクションに困る理論を吹聴していた。ほんと櫛枝ってたまにわからん。
とりあえず昼飯あとで本当によかった。メシがまずくなるところである。

そして試合は進み、ついに相手チームは主将・大河の出現である。

手乗りタイガーに恐れをなし棄権を申し出る我がチームの相手だったが
黒マッスルは当然却下。まるで死刑台に向かうような足取りで試合に向かう。
気持ちはよ~くわかるぞ。自殺しに行くようなものだしな。
しかし意外なことに大河は力任せに竹刀を振るうようなことはしなかった。
相手がビビって立ちすくんでいるところに面を軽く叩いて終わらせるのである。
あいつも成長したんだなと、出会った頃の木刀を振り回していた頃を思うと
なんだかうれしい気分になる俺であった。
そして試合は進みついには大将の俺(ジャンケンで決まった)になったのである。

いまの大河ならケガもさせずに終わらせてくれるだろう。
俺は試合場の開始線に立つと大河に話しかけた。
「お手柔らかにたのむぜ」
「……」
返事はなく、しかもなぜかひどく剣呑な目つきで睨まれる俺。なぜだっ!?
「なあ大河。なんでそんなに機嫌悪そうなんだ」
「悪くなんかない」
悪くない人間は眉間に稲妻型のシワなんか寄らないと思うぞ。ううっ……恐ええ。逃げたい。
しかし無情にも開始の号令がかかり試合は始まった。

797:5/7
08/01/14 19:01:46 mCeU6EC4
俺は大河と向き合い剣を正眼に構えていた。ぶっちゃけ近付いてほしくないから
剣先でけん制しているだけだ。俺の腰は引けてヒザは恐怖に笑う寸前である。
ギリギリのところで留まっているのは櫛枝に格好悪いところを見せたくない、
ただそれだけだった。しかしそんな俺の心中を見事にスルーして大河の両目からは
必殺の気迫があふれている。……せめて必勝の気迫にしてほしいところだ。
大河は野生の虎が獲物を狙うが如く俺の周りのウロウロしつつ間合いを計っていた。
この状況で唯一の救いは武器が竹刀なことだ。木刀なら即死もありえるがこれなら
せいぜい打撲で済む。突きも禁じられてるよな? あいつの良心を信じよ─

一瞬の思考とまばたきのあいだに大河が飛び込み面を繰り出してきた。
きわどくバックステップで難を逃れる。大河の竹刀は勢いを殺さずものすごい破裂音を
させながら俺がもといた床に叩きつけられた。コイツ絶対さっき授業で習った残心という
ありがた~い教えを忘れているだろ。ええっおいっ!
「チッ」
「なんでそんなに残念そうなんだよっ! 俺を殺すつもりか!?」
「……」
「無視すんなっ!」
まったく聞き耳もたずまた大河は唐竹割に何度も切り込んでくる。
何とか逃げられるのは大河がどうしても俺の頭をカチ割りたいのかフェイントなしで
面しか打ってこないのと、ジャージのおかげで打ち込む際の予備動作がわかりやすいせいだ。
剣道着を着られるとゆったりとした布地に手足の動きが隠されてこうはいかない。
しかし延々逃げるわけにもいかないので大河の剣を覚悟を決めて受け止め、
そのまま鍔迫り合いに持ち込む。身長差ががあるので俺が見下ろす形になるが
俺と大河の顔は防具越しでもハッキリと表情がわかるほどくっつきあっていた。

─そして時間は現在に巻戻る。

「ぬぅぐぐぐ~。とっとと、斬られ、や、が、れ~!」
「理由も、わからずに、斬られて、たまるか~!」
なおも大河は犬歯むきだしで「う~」と獣のうなりをあげている。俺は俺で
身長差も体重差もものともしないコイツの馬鹿力に対抗するので必死である。
「バカチワワと最近ずいぶん仲良くなったようね~。
 ご主人様のキライなやつに尻尾ふるなんて恩知らずな駄犬なこと」
「くっ、クラスメイトなんだから仲良くするにこしたことはないだろ!?
 だいたい俺はおまえの犬じゃないぞ!」
「だまれブサイク」
「うっ」
なんでこーコイツはピンポイントで俺のHPを削るのか。
顔は文句なく美少女なだけにエグい言葉を言われると辛い。
「さっきから鼻の下のばしてんのがうっとおしくてしょうがないのよ!
 だからこの世から抹殺することにした! 文句ある!!」
大アリだ! そんな理由で殺されてたまるか。だいたい俺が死んだら
泰子とインコちゃんも餓死しちまう。おまえだってメシどうすんだ!
と叫びたいがこの拮抗した状況ではそれも叶わず鍔迫り合いが続く─と思われたが
いきなり大河の態勢が崩れた。どうやらほつれていたジャージの裾を踏んだらしい。
力んでいた分もあってものすごい勢いで床に倒れ伏しそうになる。
俺は反射的に手を伸ばしながら自分も倒れ込み、大河を引っつかむと
自分の身体を大河と床の間に滑り込ませた。直後俺の後頭部が床に激突し響く衝撃。
身体も背中をしたたかに打ち付け呼吸が止まる。超いてえ!
続いて大河の頭が俺の頭にぶつかり目の中に二重に星が飛び散る。
大河のやつは無事だろうか……?
「……竜虎相打つ、か……」
遠くで北村の呟きが聞こえた気がした。おまえなに上手いこと言ってやがる─
そんな悪態をつきつつ俺の意識はずぶずぶと闇に沈んでいった。

798:6/7
08/01/14 19:02:20 mCeU6EC4
「なあ、いい加減機嫌を直せよ」
夕日が沈む家路、俺は大河の尻を買い物袋でボスボス叩く。
結局あの試合は俺も大河も気絶したので引き分けということで終わったらしい。
保健室で目覚めた俺たちは帰りのホームルームが終了していることを知ると、
更衣室で着替えて学校をでた。北村や櫛枝も寝ている俺たちに付き添ってくれてはいたが
生徒会やバイトで帰ったらしい。会うことはできなかった。
まあいいさ、明日会って無事なところを見せればいいし、メールでも電話でもすればいい。
すでに夕日が傾きかけていたので帰りがてらスーパーで夕飯の材料を買って帰ることになった。
大河もさすがに飛びかかってくるほどの激昂はおさまったのか、
いまはただ俺の前をしかめ面ですたすたと歩いていた。

「うるさいエロ犬。尻さわるな! あと不機嫌なんかじゃない」
「どう見ても不機嫌だろ」
「あんたは私を不機嫌にしたいわけ? なんなら不機嫌になってあげるけど?」
「なんでいつもその結論になるんだ!」 
「ぎゃー触るな変態!」
大河を止めようと肩に手を置いたその瞬間─
「ちょっと君なにしてるのかな?」
「おぅ!」
突然かけられた声に思わず飛び跳ねてしまう。恐る恐る振り向くと
そこには濃紺の制服を着込んだ人─警官が立っていた。

「さっきからそっちの彼女はいやがっているようだけど、
 君はいったい何をしているのかね?」
「あっ、いや、その……」
「最近はストーカーとかも大きな事件になることもあるからね。
 まず君の名前を聞こうか。学校はどこだい?」
警官は手帳とペンを取り出し矢継ぎ早に質問してくる。どうみても俺の目つきから
一方的に悪者にされている。大河のやつは見た目だけならフランス人形と見違えるほどの
美少女だしな。俺が警官なら間違いなく俺を逮捕してるよ─ってそんなこと考えてる場合じゃない。
いま補導されたら泰子の出勤にメシが間に合わないし、なによりストーカー容疑で補導なんて
あまりに格好悪すぎる。櫛枝に顔向けできねえーっ!

799:7/7
08/01/14 19:03:07 mCeU6EC4
「いや、俺は、その、こいつの……」
「んー、だいぶ混乱してるようだね。交番で話を聞こうか」
「私の彼氏なんです!」
突然叫んだのは大河。顔を真っ赤にし、目も水分で潤ませながら警官に目を向けている。
お、おまえはいったいなにを言っているんだ?
「わ、私がいるのにすぐにほかの女を追っかけまわすし、へらへら鼻の下伸ばすから
 怒ってたんです! だ、だからケンカしてたんです!!」
警官は面食らったように大河をみつめ、そのまま俺に真偽を確かめるような視線を向けてくる。
「そ、そうそう。俺とコイツは付き合ってるんですよ、あはは」
もうヤケクソだ。このまま通してやる!
「だ、だけど、もう限界なんです! こんな男、す、すぐに別れてやるんだから!」
大河は俺の腕にしがみつき絶叫。俺は腕に感じる体温やら柔らかな感触に
磔にされたキリストよろしく硬直して言葉もでなかった。

警官はポリポリと頭をかいてわずかに逡巡したあと、
「……あ~、はいはい。夫婦喧嘩は犬も食わないとは昔の人はよく言ったものだね。
 ともかく往来で騒ぐと迷惑だから気をつけるようにね。いいかい?」
まったく最近の若い者はもう、とベタなお約束な呟きを残しつつ年配の警官は自転車で
去っていった。残された俺たちは互いの顔をみつめあう。
「……うそつき」
「あっ、あんただって話を合わせたじゃない! あんたが捕まったら誰がごはんを作るのよ!?
 助けてやったんだからつべこべ言わず感謝しろ!」
顔を真っ赤に染めてズカズカと大股歩きに大河は先に歩いていく。
まったくわけのわからんやつだと思いながら、大河のたった一言でうれしくなってしまったのは
やっぱり俺はこいつの犬なのかね? 額に手を当てて考えてみても答えは出ない。
「とっととはやく来なさい! 私はお腹減ってんのよ!」
先を行っていた大河がブンブン腕を振っている。そうだな、メシでも作りながら考えるか。
俺は夕飯の材料がつまった買い物袋を持ち直し、大河のあとを追った。

ちなみにこの騒ぎを偶然目にしたほかのクラスのやつから「高須&逢坂やっぱり付き合ってる」説が
流れ、それを聞きつけた北村と櫛枝から揶揄され俺たちが机に突っ伏すのは別の話だ。やれやれ。

800:名無しさん@ピンキー
08/01/14 19:36:59 g88sffnJ
一番槍でGJ!!

801:名無しさん@ピンキー
08/01/14 19:38:01 yEEEVjT3
ナイスツンデレ!

802:名無しさん@ピンキー
08/01/14 19:39:15 mpqL2p/9
俺の高校は柔道だったな……


あっ、忘れてた。GJ


はぁ…

803:名無しさん@ピンキー
08/01/14 20:46:42 dG0hsaLB
gj.

地の文がハルヒシリーズみたいだ。

804:名無しさん@ピンキー
08/01/14 20:54:50 g88sffnJ
>>803
確かにww
最初が主人公の回想から始まって終わりがやれやれってそれなんてキョンだなw
まあ面白かったんでどうでもいいが。

805:名無しさん@ピンキー
08/01/14 23:43:05 iYkiHAeC
みのりん、よりによってシグルイw
作者さん、お美事にござりまする

806:名無しさん@ピンキー
08/01/14 23:58:01 dG0hsaLB
麻耶、まるおのことで竜児に相談をもちかける

麻耶、テンパって竜児を押し倒す

竜児、鈍感全開で麻耶をたしなめる

麻耶、(竜児の態度を紳士的と取り違えて)クラッとくる

こんなハーレムルートを思い付いた俺を>>807が殴る

807:名無しさん@ピンキー
08/01/15 00:06:43 JsZXSZT6
──アタシの名前は>>806。心に傷を負った女子高生。モテカワスリムで恋愛体質の愛されガール♪
アタシがつるんでる友達は援助交際をやってる麻耶、学校にナイショで
キャバクラで働いてる 奈々子。訳あって不良グループの一員になってる亜美。
 友達がいてもやっぱり学校はタイクツ。今日も麻耶とちょっとしたことで口喧嘩になった。
女のコ同士だとこんなこともあるからストレスが溜まるよね☆そんな時アタシは一人で繁華街を歩くことにしている。
がんばった自分へのご褒美ってやつ?自分らしさの演出とも言うかな!
 「あームカツク」・・。そんなことをつぶやきながらしつこいキャッチを軽くあしらう。
「カノジョー、ちょっと話聞いてくれない?」どいつもこいつも同じようなセリフしか言わない。
キャッチの男はカッコイイけどなんか薄っぺらくてキライだ。もっと等身大のアタシを見て欲しい。
 「すいません・・。」・・・またか、とセレブなアタシは思った。シカトするつもりだったけど、
チラっとキャッチの男の顔を見た。
「・・!!」
 ・・・チガウ・・・今までの男とは目つきが決定的に違う。スピリチュアルな感覚がアタシのカラダを
駆け巡った・・。「・・(カッコイイ・・!!・・これって運命・・?)」
男はホストだった。連れていかれてレイプされた。「キャーやめて!」ドラッグをきめた。
「ガシッ!ボカッ!」>>806は死んだ。スイーツ(笑)

808:名無しさん@ピンキー
08/01/15 00:16:29 2mmUbAi7
>>807
──アタシの名前は>>806。心に傷を負った20代の女子高生。モテカワスリムで恋愛体質の愛されガール♪
アタシがつるんでる友達は援助交際をやってて学校にナイショで
キャバクラで働いてて訳あって不良グループの一員になってる807。
 友達が一人だけしかいないとやっぱり学校はタイクツ。今日も807とちょっとしたことで口喧嘩になった。
女のコ(笑)同士だとこんなこともあるからストレスが溜まるよね☆
そんな時アタシはいつも通り一人きりで繁華街を歩くことにしている。
がんばった自分へのご褒美ってやつ?友達がいない自分らしさを演出風にごまかすとも言うかな!
 「あームカツク」・・。そんなことをつぶやきながらしつこいキャッチを軽くあしらう。
「カノジョー、ちょっと話聞いてくれない?」どいつもこいつも同じようなセリフしか言わない。
キャッチの男はカッコイイけどなんか薄っぺらくてキライだ。もっと等身大のアタシを見て欲しい。
 「すいません・・。」・・・またか、とセレブなアタシは思った。シカトするつもりだったけど、
チラっとキャッチの男の顔を見た。
「・・!!」
 ・・・チガウ・・・今までの男とは目つきが決定的に違う。スピリチュアルな感覚がアタシのカラダを
駆け巡った・・。「・・(カッコイイ・・!!・・これって運命・・?)」
男はホストだった。連れていかれてレイプされた。「キャーやめて!」ドラッグをきめた。
「ガシッ!ボカッ!」>>806は死んだ。スイーツ(笑)

麻8、7子、亜3のキャラが捏造されたので正しい形に直してみた

809:名無しさん@ピンキー
08/01/15 00:25:18 ZdzufYln
>>808
恋寅ワロタ

810:名無しさん@ピンキー
08/01/15 00:27:19 13/0F3o4
>>808
これってよく見るけど元ネタってあるの?
読んでるだけでイライラしてくる文章を書くってのはある意味才能だよな。
ぜひ原文で読んでみたい、後学のために。

811:名無しさん@ピンキー
08/01/15 00:29:57 J0d4flWD
みのりんはキリノに似てると思うんだ

しかしステキなツンデレさんに成長したなあ、大河は……

812:名無しさん@ピンキー
08/01/15 00:31:04 2mmUbAi7
URLリンク(alfalfa.livedoor.biz)
素で書いた結果があれではなく
スイーツ(笑)や携帯小説をからかう為にわざと書かれたものらしい

813:799
08/01/15 14:38:59 rPlSSas6
GJありがとうございました。
原作者はパロディネタ好きなのでいつかシグルイネタもやると思ってる。
ほんとは大河に星流れやらそうと思ったけど、小手つけちゃチョキ握りできなかったので断念。
あとハルヒシリーズの文体に似てるのは読んでるので仕方ないかもw
1人称視点だと竜児の心情を書けばいいだけなので楽なんですよw
みのりんとかあーみんとか深い部分では何考えてるかわからんですw

あと落書きもういっちょ描いたのでおいてきます。
URLリンク(up2.viploader.net)

814:名無しさん@ピンキー
08/01/15 17:11:02 9ujCBMYb
性的な意味で吹いたw

815:名無しさん@ピンキー
08/01/15 19:09:36 bbH08HNs
>>813
ちゃんと三白眼になってる龍に吹いたw

816:名無しさん@ピンキー
08/01/18 13:50:43 6Mr5zfFZ
ここって結構非エロSSの許容率が高いよな。

817:名無しさん@ピンキー
08/01/18 15:25:24 abXUJBLO
うむ。投下がないよりは百万倍良い。

818:名無しさん@ピンキー
08/01/20 22:39:19 1AqIuZIx
センターが終わったな
新聞に掲載されてるのをやってみたが(英語のみ)、七割五分強しかとれなかったな……後一年かぁ

大河とかは何点ぐらいとれるんだろうか

819:名無しさん@ピンキー
08/01/20 22:48:44 OYYEVPaR
…………

820:名無しさん@ピンキー
08/01/21 00:17:38 hc+w1yrF
>>818
その書き方だとID:1AqIuZIxは受験生でありながらエロパロスレに来ている
キモオタニート候補のクソ虫野郎と誤読する伊欧が発生しかねないので注意しようぜ!

亜美はスドバで「勉強したい気分」と言っているし何気に勉強熱心だと思うが
大河や勤労少女みのりんはどうなんだろう

821:名無しさん@ピンキー
08/01/21 00:34:29 nf4f8V2U
それよりも先に
>>818ここは十八禁だ。留年してるのなら別だが

822:名無しさん@ピンキー
08/01/21 01:58:28 gK8h1zLt
>>821
あれ、21禁じゃなかったっけか?

ゆゆこの新刊まーだー?
そういやゆゆこってまだエロゲのライターやってんのかな。


823:名無しさん@ピンキー
08/01/21 02:09:14 6+k2dtsl
前に確か鯖が変わったかなんかで18禁になった。

824:名無しさん@ピンキー
08/01/21 02:16:23 CQemszpy
>>816
保管庫で確認してみたけど、エロSSの比率がやたらと小さいのな。
エロパロ板のスレとしては異質だけど、ここ以外でネット上にまともなSSがほぼ皆無な状況なせいで
非エロSSの需要と供給がここに集約されてるのかもしれんね。

話は変わるが、保管庫の文字に明朝やらゴシックやら太字やらが
無意味に混在してるのをなんとかしてほしいと思ふ。

825:名無しさん@ピンキー
08/01/21 21:02:53 yusZbdwL
現代仮名遣いでおk

826:1/2
08/01/21 23:33:48 74cRZr8i
 春休みも近くなったある日の昼休みだった。
 いつものように小森と橋本の二人とともに雑談をしていると、唐突に小森が春休みの予定は
あるのか、と尋ねてきた。
「ルーツを尋ねに行くのだ」
 訊かれれば答える。しかし、答えたにも関わらず、目の前にあるのはぽかんとした間抜け面
がふたつ、である。
 間抜け面の片方が、口の開きもやはり間抜けにさらに尋ねてきた。
「ルーツ?」
「そう、ルーツ。日本人たるものだな、自らのルーツとは何なのだろうか、などと思いを馳せる時
があっても良いと思わないかね」
 繰り返すが、尋ねられたから答えているのだ。この田村雪貞、訊かれたことに答えてやらない
ほど無粋ではない。
「俺の姓は田村だ。そこにこうなんというか、自分の先祖であるとかそういう話ではなく、坂上田
村麻呂が祀られている土地、ということにそういう繋がりのようなものを感じるわけだよ」
 俺の愛する鎌倉時代とは直接に関係ないのであまり注目することもなかったのだが、近畿の
ある県に田村神社、という神社がある。坂上田村麻呂が祭神であるのに、坂上神社ではなく田
村神社、というのは後々の土地の名前であるとか、あるいはそこに住まう一門が田村の名を受
け継いだりしているのでないか、と思ってみたりしたわけなのだ。
 それで、何となく出かけていって尋ねてみなければ、という使命感のようなものを覚えた―と
いうのは、半分事実、半分建前である。
 と、いうのも、絶賛遠距離恋愛中である俺の可愛いウサギちゃん、松澤小巻が父親を説き伏せ
てこの旅行に同道してくれるからなのだが。
 今は近辺に温泉付きの旅館などを探しつつ、松澤と歴史ロマンに浸る夢のような時間を夢想す
る、そんな夜が続いている。このために、松澤と会える一日二日を除いては夏も冬もバイトに明
け暮れたのだから。
 本当は初詣で行きたかったのだが、さすがにそこまでの無茶を松澤には要求できない、いや、
言えばうんと言ってくれるだろうが、正月早々からあの父親をこれ以上敵に回すのは得策ではな
い。

827:2/2
08/01/21 23:34:10 74cRZr8i
「坂上田村麻呂、って苗字は坂上だろ、関係ないじゃん」
 そう聞いてくるのは橋本だ。
 そこが問題ではない、というのはさっき言ったはずだが。まあ、それは良い。田村麻呂の坂上は
氏、俺たちが言うところの苗字は名字で、また、姓(かばね)と言うものとも違うものだ、と説明する。
「つまりだな、平家に源流を持つ織田信長などは、実際の氏は平氏であって、そのなかの織田と
いう名字の一族の一員と―」
「あ、相馬」
 そのような声が聞こえた。せっかく氏姓(うじかばね)、それに名字の違いを教えてやってるという
のに。まあ、良い。相馬か。相馬といえば。
「相馬家か。時代は下るが常陸最強と恐れられた名門だなあ」
 しかし、向こうから話題を変えてきたにも拘らず、話を聞きもせずに再び違うことを聞くのはあまり
にも無粋ではないか、と不肖田村、思ったりもするのですが。
「誰と行くの? まさか、松澤さん?」
 まったく無粋、無粋だと思わないのかね自分たちを君たちは。
 そんなことを思いつつ、腕を組んで目を閉じたまま答える。
「判ってて聞くのは無粋だと―」
「そんなのずるい!! 私も行く! 絶対に行く!」
 あれ、橋本の声じゃない、といまさらになって顔を上げた。
 そこにいたのは―

 悪の女魔王、相馬広香!

「うっきゃああああああああっ!!!!」
 情けない悲鳴とともに椅子から転げ落ちた。
 橋本らはすでにこの場を離れて、ツンドラ女王が俺を襲うさまを遠巻きに観察している。
「そ、相馬? いま何と?」
 あまりの驚きに俺の心臓はバックンバックンと破裂しそうな勢いで回転中なわけだが、そんな様子に
も動じることなく相馬が俺に詰め寄った。
「そ、そんな不順異性交遊みたいなこと許さないんだから! わ、わたしも一緒に行く! 貯金、はたい
て行く! 絶対だめなんて言わせ無いんだから! 田村、良いわよね?」
 詰め寄る相馬広香の勢いと、あまりに近い顔や相馬のいい匂いに思わずうん、と肯いた俺を弱いと笑
うなら笑うがいい。―なにしろ、一番そう感じているのが本人なのだから。

 こうして、俺の春休みは平穏無事にやってこないことが早くも決まった、のだった。

828:名無しさん@ピンキー
08/01/21 23:34:42 74cRZr8i
唐突に月から電波がやってきたので。

829:名無しさん@ピンキー
08/01/22 00:04:15 qrZ51u33


しかし月からやってきた電波の割には松澤に優しくないなw

830:名無しさん@ピンキー
08/01/22 02:57:43 JeS7+Avs
おお、GJ!
久々の田村くんSS投下、続きをwktkしながら期待してますぜ。

あと、相馬の一人称は「あたし」だったような。

831:名無しさん@ピンキー
08/01/22 05:36:40 IvcDcCl0
あと不純異性交遊じゃね?

832:名無しさん@ピンキー
08/01/22 23:21:57 Wi1Ygf+W
不順異性交遊
つまり順を問わず異性と交遊
つまり松澤と相馬を

833:名無しさん@ピンキー
08/01/22 23:48:10 QLeWH3h4
無粋は承知で言わせて貰うとあの親父が
まっちゃんと田村二人きりの宿泊旅行を許すとは思えないんだが

……もしかして同行した松澤父が田村を監視しつつ酔い潰している別室で
松澤と相馬があんな事やこんな事をする展開だったりしますか?

834:828
08/01/25 23:09:39 +5+XvaaO
御指摘感謝。続きは書いてます。何足も草鞋を履いてる浮気者なので筆遅いです。
そのうちまた現れるので懲りずに読んでもらえれば嬉しいです。
>>829
優しくなる予定です
>>830
相馬の一人称は「あたし」ですな、余所と混同してさ。ゴメン。
>>831
「不純異性交遊」チェックミス。間抜け極まりなし。とほほ。
>>832
つまり以下ry
>>833
それもいいなあ(オイ

835:名無しさん@ピンキー
08/01/27 19:41:57 XcVr2YzN
漫画版3巻読んで相馬に性欲を持て余した俺に誰か餌をくれないか

836:名無しさん@ピンキー
08/01/28 00:00:54 nvBbhFxG
>>828です。

少ないけど前回の続きを。
今回は(も?)相馬のターン。あと、題名つけた。

837:『田村麻呂さまが見てる』1/2
08/01/28 00:02:57 nvBbhFxG
                        * * *

 春休みの予定を根掘り葉掘り聞き出されて数日。
 たった一つ、大いに気になることを除いては、あの後、特に相馬は変わったような行動をするわけ
でもなく―
 なく―
「ちょっとごめんね。そこ、あたしが座るから。そうよ。田村とお弁当食べるの。そゆこと。じゃね☆」
 ………な、…く……。
「えへへー」
 橋本と小森を追い払って俺の机に弁当を並べた相馬が、緩みきった笑顔でその蓋を開いた。
「田村、はい、お箸」
「おう」
 孤高の美少女も作る弁当は意外なほどに家庭的……って、そうではない!
「じゃないっ! なんだその『えへへー』は。それに弁当を作ってくれるのは感謝しているがなぜあ
いつらを追い出す。でもってなぜ相馬が俺の前に座る。いいか、そういう行為が誤解を、」
「だってー、田村と旅行、って思ったらなんだかウキウキしちゃってさー」
 真夏の太陽のように瞳を輝かせた相馬が、同じく光り輝くような表情で俺を見つめてきた。

 相馬広香は美人だ。
 つん、と澄ました顔もまた美しいのだが、笑顔の美しい女はさらに魅力が増す。相馬はそれも兼
ね備えていて…はっ、い、いかん。
 いかん。
 この顔が、この顔そのものが罠なのだ。思わず赤面しそうになって、それをぐっ、とこらえる。

「いいか相馬。俺は松澤と旅行をするのだ。そのあたりを履き違えては」
「あたしも一緒でいいって言ったのは田村じゃない」
 まさに、ぴしゃり、といった感じだ。
 相馬広香の口調には迷いも惑いも遠慮も無い。ぐう、と俺が無念の表情を浮かべるその隙にも、
相馬は言葉を続けた。
「ちょっとだけ、あたしも調べたんだけどさ、田村が言ってたところって、ほんと何にも無いんだね。
でも、逆に何も無いくらいのほうが…あたしも、田村もお互いから気を逸らされなくて良いかもね。で
さ、今日の帰り、旅行会社行こうよ。どうせあんたのことだから、どこもまだ予約したりとか検討つけ
たりとかしてないんでしょ」
 一気に、畳み掛けられる。反論しようとして、
「はい、あーん」
「おう」
 相馬が差し出した玉子焼きに反応してしまった。しかし、それこそが相馬の狡猾な罠だったのだ。
「じゃあ、決まりね!」
 再び、俺の目の前で太陽のような笑顔が満開になる。
「……む、むぐ、こら、俺は、むぐ、良いなんて一言も…」
「今、おう、って言った」
 なにを言うこの女悪魔め。それはお前が箸を差し出してくるからだな、思わず―
「言った」
 この玉子焼き美味いな…じゃ、なくって! こっ、これは孔明の罠だ!
「言った」
 ジャーン、ジャーン。
「言ったもん」
「許してくれ。判ったと言えばいいんだろう女王様」
 ああ、許せ松澤。田村雪貞は弱い男です。




838:『田村麻呂さまが見てる』2/2
08/01/28 00:03:49 o8mHN2ny
 女の行動力、というものにはしばしば感心させられる―と言うか、その行動力というのも、ほと
んどはこれまでの相馬広香の『それ』を見せ付けられた結果なのだが、今回も相馬は見事なまでに
行動力を発揮していた。
 春ごろは、過去のこともあってか空回り気味だった相馬の行動も、ほぼ一年が経とうとしている今
では、俺には太刀打ちできないほど何事も鮮やかにこなしてしまう。基本が才女なのだろう。
 相馬が才女振りを発揮するにつけ、クラスその他からは、なぜか俺に対して、
『なんであんな奴に』
とか、
『気持ちを弄んでいる』
だのと言った雑音が聞こえてくるのだが、俺は相馬の味方ではあるが保護者では無い。そう答え
ても黙殺さえることが多いのは……納得が行かん。
「ふーん、ここ、良いわね……ちょっと田村、ちゃんと見てるの?」
「む、すまん、ちょっとボーっとしてしまった」
 相馬の行動を眺めているうちに、思考がどこか遠くに飛んでいたようだ。
 声を掛けられて、我に返る。
 制服のままで旅行会社などへ行って何か言われたりしないか、と言うのは杞憂に終わり、カウン
ターのお姉さんのなんとなく生暖かい視線が、俺には少々痛い。
 しかし、相馬はその視線もまったく気にならない様子で、
「もう。ほら、ちゃんと見てよ。こことか、お勧めなんだって。でね―」
 実に嬉しそうな顔で相馬がパンフレットに掲載されたホテルの案内を指差す。
 正直、どんなところが良いのかは、俺一人では判別付きかねるところだったので、この際だから
相馬が良い、と言ったところで決めてしまおう。諦めるしかない。
 諦めるしかない理由もある。
 まさか、松澤に話を押し込んであるとは。
 本当なのだ。
 昨日やってきた手紙に、『相馬さんも来るんだってね』と書いてあったのを見たときには腰が抜け
た。
 いつ松澤の住所まで調べたのだ相馬よ。
 再びむなしい思考の旅に出ていた俺の目の前に、出来上がってきたクーポンが差し出される。
 内容の確認と、移動方法などの説明を受ける。説明を終えたカウンターの女子社員は、ニコニコ
と笑いながらクーポンその他を封筒に詰めると、相馬に向かって言った。
「彼氏と旅行? いいなあ」
 お愛想笑いを浮かべながら出てきたカウンターレディの言葉に、笑顔はまったくのそのままで相
馬が答える。

「いえ、あたし、愛人なの。現地妻ってやつ? それでね、本妻と決着着けな―」

 ブッ、と思わず吹き出す。
 な、なんたる事を言い出すのだこの女悪魔はっ!
 俺は相馬の手を取ると、支払いが済んでカウンターに出てきていたクーポンを引っつかんで逃げ
るように店を出た。
「相馬っ! お前、なんということを言い出す―」
「だって、ほんとのことだもーん」
 相馬広香に悪びれた様子は無い。
 逆に俺に一歩近づくと、ジャケットの胸元を掴んで、俯き加減に、
「あたしだって、田村と一緒に居たいんだもの」
 などと言い出した。相馬の顔が赤くなっているのが判る。そしてたぶん、俺もそうなっている…の
だろう。
「ああいうことを言うのは勘弁してくれ」
 ようやく、たったそれだけ言葉が出た。
「さあ、どうかなっ?」
 相馬の顔にはすでに笑顔が帰ってきている。
 俺は両手を上げて降参のジェスチャーをした。多分、なにを言っても勝てないからだ。
 その日の帰り、相馬は別れるまでずっと上機嫌だった。
 高校一年生の終業式、そして春休みも、もう近い。

                        * * *

839:名無しさん@ピンキー
08/01/28 00:21:33 GCLCaI0l
乙です
つか現地妻ってw

840:名無しさん@ピンキー
08/01/28 02:40:32 PLsqzr5Q
待ってましたぜ。
先が気になる展開ですな……作者さんGJです。
次は松澤のターン?

841:名無しさん@ピンキー
08/02/01 02:10:43 V58HsYhc
続き期待sage

842:名無しさん@ピンキー
08/02/02 17:54:08 VUvo3dLZ
保守

843:名無しさん@ピンキー
08/02/02 18:03:02 vUIrUnhV
今更ですがGJ!

844:名無しさん@ピンキー
08/02/02 23:31:24 ZSvkqdqp
続きがwktk

845:名無しさん@ピンキー
08/02/03 22:36:20 r7KzRiWb
さあ愛人の先制攻撃に本妻はどう出るかw

846:名無しさん@ピンキー
08/02/05 16:21:38 YmAh54Rw
現地妻強いなw

847:名無しさん@ピンキー
08/02/05 18:09:39 ILDe4trP
いやいやここは本妻の巻き返しを期待だろ

848:名無しさん@ピンキー
08/02/08 15:10:28 mO4w6jzx
続き期待・・・ナムナム

849:名無しさん@ピンキー
08/02/09 21:46:59 RTpdgz3A
電撃文庫マガジン読んで早速春田で書いてみる猛者はいないのか?w

850:名無しさん@ピンキー
08/02/11 21:35:54 aq2nlHkT
考えもしませんでした、フヒヒ!

851:名無しさん@ピンキー
08/02/12 04:10:49 ZgDvXLKV
URLリンク(yuyupo.web.fc2.com)

852:『田村麻呂さまが見てる』1/5
08/02/13 00:56:41 U62Ei1FD
 どれほどバタバタするのか、と思っていた三学期も実にあっけなく過ぎ去り、春休みがやって
きた。
 月が変われば、俺たちも高校二年生だ。
 と、その前に松澤との旅行、という俺にとってはこれまでの人生で最大のイベントがあるわけ
だが。
 そうして出発の朝、昨夜は、起きなければならない時間がどれだけ早くても眠れないんじゃな
いだろうか、などと思っていたにも関わらずぐっすりと眠った俺は―俺も神経が図太くなった
ものだとは思う―まだおかんも眠っている。朝飯は駅前のコンビニでもいいか、と鞄を抱えて
家を出た。
 玄関の鍵を掛けて、鞄を肩に掛けなおす。そうして振り向いて、
「田村、おはようっ!」
「ぎゃああああっ!!!!!」
 誰かに声を掛けられる、と言う予測もしなかった事態に驚いて、俺は尻餅を付いた。
「何してんのよ田村?」
 見上げれば、一年間氷の女王を演じきった演技派の女悪魔が俺を見下ろしている。
 その女悪魔、相馬広香は丈の短いコートの襟元にざっくりと編み上げた小洒落たマフラーを
巻き、そのコートの裾からはフリルも可愛らしいミニスカートが覗かせていた。
 見下ろしながら、嬉しそうに笑顔を作る。
「……なぜ、相馬がウチの前にいて俺を見下ろしているのだ」
「田村を迎えにきてあげたに決まってるじゃない。へへ」

 と、まあ、そんなことがあって、俺たちは今まさに出発しようとする特急列車の中にいた。
 松澤とは本州の半分の距離がある。会えるのは、現地も近くなってローカル線に乗り換える
直前だ。相馬もそのあたりは心得ていて―
「そんなに近づかなくても席は充分広い」
「えー。 せっかく田村と二人っきりなのにー」
 乗車時間は長い。荷物もしばらくは邪魔者なので、網棚に載せようとする俺にわざわざすり寄
ってくる。首筋に息がかかった。あえて黙殺する俺に、相馬は負けじと声を掛ける。
「ねえ田村、これも上げてくれない?」
 なんだ、そんなことなら、と手を出すと、渡されたのは相馬のコートだった。む。女物のコート
だ、そっと載せてやらねばなるまい。
 ……いや、それくらいの気遣いは持ち合わせているつもりだが? コートを俺に手渡した相馬
はといえば、そのまま座席に座り込んだようだ。
 俺も、荷物を上げてしまって座席に着こうと半身を返し、相馬の方を向き、
「……田村、どうしたの?」
「い、いや、なんでもない」
 大きく開いた相馬の胸元が目に飛び込んできた。コートと小洒落たマフラーに隠れて判らな
かったが、このようなトラップを用意しているとはっ!
 平静を装いつつ、座席に腰をかけた。
「へへー」
 とびきりの悪戯を思いついた子供のごとく瞳を輝かせた相馬が、シートに腰を下ろした俺に寄
りかかるように近づく。

853:『田村麻呂さまが見てる』2/5
08/02/13 00:57:15 U62Ei1FD
「何かな相馬くん」
「見てたでしょ」
 見えたのだ。見たのではない。少しは目が行ったことは認めよう。しかし、目が行くように仕組
んだのは相馬であって、視線がそちらに向いたとしてもそれは不可抗力というものであってだ
な?
「なんで、目、逸らすの?」
 実に嬉しそうな顔で、相馬がわざわざ目線を逸らした俺の顔の前にと身体を寄せてくる。
「どんなカッコしたら、田村が喜んでくれるかなあ、ってずっと考えてて、あたしとしても気合い
入れてきたのになあ。感想、無いの?」
 ねえねえ、と顔を近づけながら相馬が俺の袖口を引っ張る。そうすると、これまたひらひらとフ
リルがたくさん付いている割には上品な感じのするミニスカートの、その向こうの相馬の太腿の
感触が手の甲に伝わり、俺は無理矢理に手を引っ込めた。
 その、手の引っ込め方が少々乱暴に感じたのだろうか、相馬が抗議の声を上げる。
「ひどーい。田村ったら、こっち向いてもくれないし、手だって無理矢理離すし……」
 やむなく俺は相馬の方に顔を向ける。顔を向ければ、嫌でも相馬の胸元が視線に飛び込む。
顔が少々熱くなるのが、自分でも判った。
「あのだな、相馬? 少々派手にすぎんか、その格好は」
 なんとかそう答えたが、逆に相馬は俺が目線を合わせたことで、その声に再びはしゃぐような
明るさが戻る。
「だってさ、田村と出かけるんだよ? しばらくは二人っきりなのに。言ったでしょ? 田村、喜ん
でくれるかなあって思って、あたしだって気合い入ってるんだから。ね、どう? 可愛い?」
 言いながら、相馬は俺に縋り付くように近づいてくる。そうすると、さらに胸元の肌色が強調さ
れるわけで。
 俺だって健全な青少年なのだ。こうも刺激が強いのは。その、それに、俺には松澤が―
「可愛い?」
 しかし、ダメ押しするかのように相馬が俺を詰問する。いや、詰問するような口調などではな
いのだが―悪魔が誘惑するような声が俺の耳に忍び込む。
「ああ」
「素敵だと思う?」
「ああ」
 実際そうなのだから反論のしようもない。確かに相馬は普段でも可愛いのだが、今日は本人
も言うとおり、お召かしにも気合いが入っているのだろう。眼福だ、という以上に目の毒だ。俺に
は刺激が強すぎる。
 平静を装うことに気を取られて、俺は生返事を繰り返していた。
「惚れちゃう?」
「ああ」
「あたしが一番?」
「―あ…ああ?」
 すんでの所で我に返った。
「ちょ、ちょいまち!」
「いいところだったのに。なんでなんでー。そこでもああ、って言ってよー」
 恐るべし相馬広香。ニコニコ笑いながら俺に失言を誘う。言ってしまってからでは遅いのだ。
気が付いて、ホッとする。繰り返すが、なにしろ俺には松澤が―
「まっ、今回はいいわ。とりあえず、お弁当にしましょ? どうせ田村のことだもん、朝ご飯食べ
てないんでしょ?」
 とりあえずは助かったようだ。が、読みが鋭いというか、行動を読まれ切っているというか、こ
こ最近は、なにかと相馬に先手先手を打たれてしまう。
 朝飯のこともそうだといえばそうなのだろう。隣では、相馬が鼻歌など歌いながら弁当を広げ
ている。ちらと横目で見ると、小さめのおにぎりに色とりどりのおかずと、こいつは一体何時に
起きたのだろう、と思わせるような品数のそれが目に入った。
「へへ、美味しそうでしょ?」
 相馬は頬を緩ませっぱなしにしながらそう言うと、箸でタコさんウインナーをつまみ上げて俺
に差し出した。
「田村、あーん」
「なんだそれは」
「あーん、しないの?」
「………」
「はい、あーん」
 悪魔の誘惑に俺は負けた。俺は今、自分の弱さを猛烈に呪いたい。


854:『田村麻呂さまが見てる』3/4
08/02/13 00:58:32 U62Ei1FD
 
                        * * *

 松澤小巻は走った。
 予定通りに移動してきて、待ち合わせの時間まではまだ充分に余裕がある。しかし、足が勝
手に動いてしまう。
 会いたい、会いたい、早く会いたい。その一心が足を動かす。
 とあるターミナル駅の、約束したホームの上に辿り着いて周囲を見回した。春休みとは言え
平日の昼間、人通りは多くない。待ち合わせの人物はまだ着いていないのだろうか、姿は見あ
たらない。
 それでも、もうすぐ会えるのだと思うと、松澤小巻は胸の鼓動が早くなるのを押さえられない。

                        * * *

「おい相馬、これはなんだ」
「なにって、何がダメなの田村? こんなところでクラスの連中とかそんなのが居るワケじゃな
いし、いいじゃない」
 俺の質問に満足に答えることなく、極上の笑みを浮かべた相馬が俺の腕に絡みついたまま、
ホームの階段を上がる。俺が困ったような表情をしているのを見て、さらに悪戯心を刺激され
たのだろうか、相馬は離れるどころかさらに密着の度合いを高めてきた。
 柔らかい何かが俺の腕に押しつけられる。
「……もう、待ち合わせ場所に着くのだが。離れることはできんのか、相馬」
 そんなことを、言い聞かせるように相馬に話しかけていると、
「田村くん。そういうの、嬉しいの?」
 傍らから声がする。
「いや、そのだな、―――あ? ………ま、松澤っ」
 その微笑みが本心からなのか表面だけなのかは判らない。数ヶ月ぶりに出会った俺の彼女、
松澤小巻が―じっ、と俺と、俺に腕を絡みつける相馬広香を微笑みながら見つめていた。
「嬉しいの?」
「うっ……」
 松澤の、微笑みながらも表情の読めない瞳に見据えられ、蝦蟇の油のごとくとろーりとろりと
脂汗が背中を伝う。
「嬉しいに決まってるわよね、田村っ」
 俺を堕落の道へと誘惑する女悪魔が耳元で嬉しそうに囁く。俺はと言えば、ただひたすら脂
汗を流すのみだ。
 そんな俺たちの姿をじっ、と見つめていた松澤だったが、すっ、と相馬とは逆の俺の横に立つ
と、突然その腕を絡めてきた。松澤の身体が強く密着してくる。
「嬉しい?」
 とは、松澤の声だ。
「嬉しいんだと、いいな…」
 松澤の方を向き、辛うじて肯首することで何とか返答を試みる。伝わると良いのだが。
 密着してきた松澤からは、石鹸かなにか、そう言った素朴な良い匂いがする。反対側の相馬
の、さりげないコロンの香りもまた――ああああっ! 俺は一体っ! 何を考えてっ!
 声も出せずに固まる俺を左右からがっちりと捕えたふたりの少女が、連行するかのように次
に乗るローカル線のホームへと足を進める。
 両側を固められ、ただ泡を食うだけの俺は、決めていた列車が何時来たのか、どんなところ
を通ったのか、そしていつ目的の駅に着いたのかさえ良く判らなかった、のだった。


 そうしてよく判らないままに現地の駅に辿り着いてしまって、俺はようやく我に返った。
 自分たちの感覚から言っても、いかにも田舎の駅、といった風情のそのロータリーにホテルの
送迎バスが待っている。
「あ、あそこのバスだ。と、とにかく、アレに乗ってしまおう」
 バスに乗る、ということを言い訳に―実際乗らなくてはならないのだが―、俺はこの雰囲
気を打破しようと試みる。功を奏するか否かは後の話にしても、とりあえずは、張り詰めた空気
が緩んだ。
「一番後ろに乗ろう」
 兎に角も、あの雰囲気の再燃は避けたい。最後尾のシートはバスの幅いっぱいのベンチだ
から、三人並んで座れる。こうすれば、俺の隣に松澤が居ても、相馬も俺の隣に座れるわけだ
から、少しは静かになるだろう。

855:『田村麻呂さまが見てる』4/5
08/02/13 00:59:48 U62Ei1FD
 バスの発車を待ちながらも、さっきは聞けなかったことを松澤に尋ねる。
「松澤と一緒に行けて本当に嬉しい。だがな、あの親父さんを…よく言いくるめたな……」
「んー…」
 きょとんとした表情でこちらを向いた松澤は、それでも特に言いにくいといった様子も無く、俺
に事の顛末を話してくれた。
「あのね、春休みに……ってお父さんに言いかけたら、詳しい話を聞く前に『田村君のことなら
ダメです』っていきなり言ったから、『お父さんなんてキライ』、って」
「え?」
 松澤とは思えない発言に少し面食らう。
「お父さん、なんだかその後、部屋に篭って出てこなかったんだけど、出てきてから、お願いが
あるんだけど、って言ったら、どんなことか言う前に『何でもオーケー、小巻の好きなことをした
ら良い』って」
 あの時は、あまりにもわざとらしく俺から松澤を隠すように帰っていったことには今でも悔しい
思いがわき起こるのだが、この言葉を聞いて、少しだけあのプロレスラー親父に同情した。しか
し、それ以上に松澤の決意に胸が熱くなる。
 いつに無く松澤は饒舌だ。
「うさぎは寂しがりやなんだよ、放っておかないでね、泣いちゃうよ。帰りたいって」
 そう言って、松澤は俺の目をじっと見つめた。
「松澤小巻は、田村くんのうさぎだから。……帰る場所も……」
「ま、松澤……っ!」
 聞いた瞬間、俺は松澤を抱きしめていた。なんて、なんて愛いやつ。ああ、俺、こいつの彼氏
で良かった、と胸に広がる熱い何かが、松澤を抱きしめた腕に力を込めさせる。
「田村君……」
 強引に抱きしめたわけではない。
 松澤の声も柔らかい。そして何より、松澤は女の子らしく柔らかくて、小さくて、良い匂いがし
た。俺のうなじに、松澤が顔を埋める。松澤からも近づいてきてくれるなんて。俺はますます感
動した。


856:『田村麻呂さまが見てる』5/5
08/02/13 01:00:14 U62Ei1FD
「――うううう……っ」
 が、背後から突然、俺たちの間を裂くかのごとく、地獄の底から響くような呻き声が上がった。
「ああ、甘い、甘いわ、砂糖、食んでるみたい」
 その声に驚いて振り向くと、表情は一見恨めしそうながら、目じりを潤ませた相馬がこっちを
睨んでいた。
 その、泣きそうな表情には俺も思わずドキリ、とする。
 相馬が再び口を開いた。
「学校じゃ、あんなに優しくしてくれるのに……やっぱり、遊ばれてるんだあたしっ…」
「お、おい相馬、人聞きの悪いことをっ……」
 俺が相馬に反論をしようとすると、またも意外なところから声が出てきた。
「田村くん、優しいから。優しくしてあげるのは良いよ、でも、田村くん、私に一等賞、くれたんだ
から…」
 ど、どうした松澤? 口調は温和しくても、俺には猛烈に挑発的に聞こえるのですがっ?
 そして相馬にも、その台詞はその様に聞こえたらしい。目じりを潤ませながらも挑発を挑発で
返そうとする。
「ふーん、そ、そう。飼われちゃう宣言までしてるんだもん、よっぽど進んでるんでしょうね、当然、
き、キスくらい済んでるわよね」
 こ、この地獄からの使者はなんということを言い出すのだっ! 松澤が困っているではないかっ!
「あら? ひょっとして、まだなの?」
 相馬広香がにやり、と不敵に笑った。その表情を見て、俺の背中には怖気が走る。
 俺の怯えに気づいているのかあるいは無視しているのか、相馬はその一瞬の不敵な表情か
ら一変、恥ずかしげに頬を染めて口元に片手をやると、
「そっかー、じゃあ、あたしのはじめては……田村に、あげたけど、田村も、はじめてをあたしに
くれたんだあ……」
 俺のほうに向き直って、肩に抱きつきながらささやいた。
 なんですか相馬さんっ! その誤解を招くような物言いはっ! 俺、泣くよ?
 そんな俺の心の悲鳴も虚しく、相馬の台詞は続いて、
「田村のはじめてに、あたしのはじめてをあげられて、あたし、嬉しい」
 これを聞いた、俺の腕にすがりつくようにしていた松澤の腕の力が強くなる。
 しかし、それ以上反論をすることはなく、松澤は俺の腕を取ったままぴたりと俺に寄り添い、そ
れはホテルに付くまで続いた。
 まあ、その逆では相馬が同じことをしていたわけだが。
 つまるところ、ローカル線の中でそうだったように、俺は身動きすらままならないまま―まさ
に連行される、と言うのがふさわしい状態に陥っていたのだった。

857:名無しさん@ピンキー
08/02/13 01:02:28 U62Ei1FD
>>828です。
前の続きを。なかなか話が進まないのを堪忍してください。
あと、レス数に混乱してなんかぐちゃぐちゃですがこれも勘弁してね。

858:名無しさん@ピンキー
08/02/13 01:04:17 ekw4wFVF
リアルタイムGJ!
当日、相馬に黙って出て行くために早朝から出発しようとしたら何故か相馬が家の前にいたっていう解釈でいいの?

859:名無しさん@ピンキー
08/02/13 01:19:25 0o2QIrVJ

さあいよいよガチンコ直接対決開始かw

860:名無しさん@ピンキー
08/02/13 03:42:11 qeZ3LisL
修羅場キター!

861:名無しさん@ピンキー
08/02/13 12:07:45 9cAMYZVI
これは?携帯だけだけど
URLリンク(courseagain.com)

862:保管庫”管理”人 ◆Dash///1.k
08/02/14 00:27:30 z9f+SkPt
だいぶん時間が経ってしまい申し訳ありません。
保管庫を更新しました。

前スレですがどうやら鯖が変わったのか、リンク先を開こうとしてもエラーが出てしまいます。
URLリンク(sakura03.bbspink.com) → URLリンク(yomi.bbspink.com) 
どなたかログを持ってらっしゃる方はいませんか?

それと>>799
ここでアップされた画像2つは保管庫の方でも載せてもよろしいでしょうか?
よろしければご返事の方をお願いします。

863:名無しさん@ピンキー
08/02/14 01:26:18 6cLAM/qf
>>862
ほいよ
URLリンク(sakuratan.ddo.jp)

あと、2つほどここに投下した職人が自サイトでも同じSSを掲載してるとこが有るんだけど、
そういう場合、保管事の兼ね合いってどうなるんかな?

864:保管庫”管理”人 ◆Dash///1.k
08/02/14 02:19:25 z9f+SkPt
>>863
ログ有難うございます。

作者様から保管庫でのSS掲載を取止める様に要望があれば
こちらもすぐにそのSSの公開を停止します。
あくまでもSSは投下した作者様自身の物ですので、その場合はいたしかないかと・・・


865:名無しさん@ピンキー
08/02/15 01:46:28 Oi5iAbAP
「抱き締めなさいっ、慰めなさいっ、私を好きって言いなさいっ!
 ……それからキスも、して」

なぜか仕事用の手帳の隅に書きなぐってあったメモ。
だめっぽいので、竹刀を構えたすみれとブルマみのりんの待つタイガーレス道場にいってきまス

866:名無しさん@ピンキー
08/02/15 02:08:10 EVoDTyRv
coccoのカウントダウンの歌詞と似てるな

867:799
08/02/18 10:44:40 kG4lEKgl
>>862
保管庫管理人様、更新おつかれさまです。
スカジャンを始め3つとも載せていただいてありがとうございました。

「台所の守護者」と「日本昔ばなし」を描いたのも自分です。
そちらもよろしければ掲載よろしくお願いします。

868:名無しさん@ピンキー
08/02/20 23:00:50 DcASU45U
比較的オリジンを壊さずにえちぃに移行出来るシチュはないものか

869:名無しさん@ピンキー
08/02/21 00:55:25 l5gebYlw
軽く怪我した竜児が保健室に行くと先生不在で代わりに二日酔いで苦しんでいる兄貴。
兄貴はゲロ吐いて制服を汚したので裸白衣。
適当に誤魔化せうんたらかんたら言っているうちに兄貴にベッドに連れ込まれ
揉みあっているうちに(性的な意味ではなく)白衣の胸元ボタンが弾け跳び乳

北村と竜児が××××菊×××挿×××

870:名無しさん@ピンキー
08/02/21 05:37:10 LMpWkD0a
やっちゃんの初体験

871:朝の風景
08/02/21 23:48:59 lXUYj7b0
 始まりは、朝の教室。ホームルーム開始直前の慌しくも賑やかな喧騒のさなかで、ある男子生徒が
その異常を察知したことによる。彼は後に友に語った―「いや、なんかさ、手乗りタイガーがおかしくて…
なんつうか、不機嫌、いや、不機嫌なのはいつものことか。机に頬杖ついてさ、つまんなそうな顔してんのが
むしろ普通。なんか、一週間毎日違う髪形とかにして来そうな感じ?いや、違うか。ああ、それはどうでも
いいんだ。」本当にどうでもいいので彼の述懐を借りるのはやめておく。とにかく、彼は気付いた。
 「あれ、なんか…手乗りタイガー、弱ってね?」と。その言葉を受けて、彼と談笑していた別の男子生徒も
それに気付く。いつもは自由を謳歌するフリーダムタイガー、そこのけそこのけ虎が走るといった風情を醸す
その少女が、今朝は明らかに気分が悪そうな表情で机にもたれかかっている。
 
 「おいおい、どうなってんだ」「あの手乗りタイガーもあんなにぐでんぐでんになるのか」「あの日か?」
「おまえは黙ってろ」「最低…」「ぎゃあ」少女の様子が只事ではないような気がして、いつも仲良し2-Cの面々は
声を潜めて事態を見守る。音は立てるな。不自然な態度を悟られるな…彼らの対応はすでに堂に入ったもの。
唯一、春田の頭部に爽快な打撃音が鳴り響いた以外は、自然同然。いつもの朝の風景そのもの。
 
 「お、高須だ…」「高須が声をかけるぞ…」生徒たちの眼前では、手乗りタイガーなる少女―
逢坂大河がぐってりとよしかかっている机の主が着席し、「邪魔だ」とばかりに虎を追い払おうとする光景が
繰り広げられる。何気ない仕草だが、見守る生徒たちからしたらその行動は命知らずもいいところ。
長老から決して行ってはいかぬと申し付けられている神域に全身に蜜を塗りたくって踏み入るようなものだ。
しかし、それを可能とするのが彼、その机のマスターであるところの高須竜児、手乗りタイガーの相棒なのだ。
 「おい、なんか話してるぞ」「ひそひそ話だ…」「聞かれたくないことか?」「全然聞こえないぞ」「誰か探ってこいよ」
手乗りタイガーと高須竜児が時折このようなひそひそ話に耽るのを見て見ぬ振りする情けが2-Cの面々にもあった。
情けはあるが好奇心もある。お年頃だから。故に、彼らは偵察役を立て二人の会話を探らんとする。
幸い、近くの席の女子生徒たちが自然に…出来る限り自然に着席することに成功した。
彼女らは可能な限り聞き耳を立て、メモをとることに勤める。
 
 「きもちわるい…」
 本当に、弱った、か細い声だった。どうやら、手乗りタイガーはよっぽど苦しんでいるようだった。
 あまりにか細いので、近くの席に座っていても全ては聞き取れない。
 「おおう、どうした?あ…まさか……………………」
 あまりに辛そうな大河の様子に、竜児も心配なようだ。机の上を占拠するのも非難せず、静かな声をかける。
 周りに聞かれたくないのか、彼もまたその声を小さくしてしまう。偵察役の女子生徒たちが神経を集中させる。

 「うん………できちゃったみたい…………」

 ゲホッホおお、と、得意のデビルイヤーを発揮していた女生徒が、カモフラ代わりに口にしていたイチゴ大福を思いっきり吐き出した。
隣の女生徒も飲んでいた野菜ジュースが変な所に入ったのかげほおげほおと余り可愛らしくない音を立てている。
あまりのことに、偵察役以外の生徒たちが彼女らに近寄ってきて、状況の説明を求める。
デビルイヤー少女が速攻で携帯電話のメモ欄に数文字の言葉を打ち込み、このお方をどなたと心得るなポーズで彼らに見せ付ける。
それを見た生徒たちも動揺し、突如ランダバを踊り狂ったり、溢れる混乱をボディランゲージで表現してみせる。
そういった馬鹿どもを無視して、偵察役たちは引き続き任務に集中。

 「やっぱりか……………最近は………毎日…だったし……悪りぃな……」
 「ううん…私だって…………好きだし………後悔してないよ……………」
 きゃああっ、と少女漫画かケータイ小説のようなイベントを目撃して興奮したのか、偵察役3号が黄色い声を出す。
竜児と大河の会話の前に、彼女は討ち倒れたのだ。他の偵察少女隊の面々が彼女の行動を非難し、睨もうとした、
が、出来ない。彼女たちとて限界ギリギリなのだから。

 「そうか…でも、高校生で………………ってのは、やばいんじゃねえか?」
 「だいじょぶ………………」
 …なにが大丈夫なものか。やばいに決まってる、と思わず偵察役1号がボソリ。ううん、愛があるならこういうのも
アリなんじゃないと2号がボソリ。

872:朝の風景
08/02/21 23:51:55 lXUYj7b0
 「そうだな……で…………………いつからだ………?…」
 「…………多分……………三ヶ月前………から………………」
 「………………やっぱり………………」
 え、三ヶ月前って「私のだあ事件」の頃じゃない!?と復活した偵察役3号、何々、それってそういう意味だったの!?と
全然関係ない女子生徒…既に、周囲には事態の重大さを察知した他の生徒たちも集まっている。

 「………………責任………………取ってくれる?」
 きたきたきたきたあお約束!、と、もはや自然な様子をゲシュタルト崩壊させて生徒たちが盛り上がる。
 「おう………………」
 「うん、ありがと」
 自然な表情で返答し、水筒のお茶を手渡す竜児。それを受け取り、今までの気分悪そうな表情が少しばかり
明るくなる大河…見守る生徒たちは、一つのハッピーエンドの瞬間に立ち会ったような表情で立ち尽くすしかなかった。

 「とりあえず………………病院行った方がいいよなあ………………子供のためにも」
 「……………将来のためにも…ね……………ああ、学校どうしよ………………………………」
 再び俯く大河。現実の難しさを噛み締めているのか―おそらく、二人の前には茨の道が立ち塞がるのだろう、
それを愛だけを武器に突き進んでいかなければいけないのだ…だが―見守るクラスメイトたちは信じている、
二人が自分たちの思いを貫き通すだろう事を。そして、自分たちのなすべきことは影ながらクラスメイトを
応援していくことなのだ。その第一歩として、まずは「タイガーだけに退学って!あははあははははは」と
自分で自分の言葉が面白くてたまらないのか、愉快そうに笑う馬鹿野郎の頭頂部に、
友の拳によるセカンドインパクトを起こしてやる。ああ友情よ永遠なれ。

 この日の休み時間、竜児と大河のもとに、二人の共通の親友である櫛枝実野里女史による非常に深刻な
説教&アドバイスがもたらされたことによって、いよいよ事態は混乱の極みに達し、大河が屋上に胃の中のものを
根こそぎブチ撒けることになるのだが、それは別の話。ちなみに、クラスのアイドル川嶋亜美ちゃんはこの事態を
当初から「くっだらねえ」と無視しておられた。
 

 で、くっだらねえ解答篇はこちら
 
 「『きもちわるい』。頭痛い…吐きそう…」
 「『おおう、どうした?『あ…まさか』昨夜も泰子に付き合って朝まで酒飲んでたのか?」
 「『うん。』二日酔いのまま『で、来ちゃったみたい…』うう、吐きそう…」
 「『やっぱりか…まあ、』康子も『最近は』大変だしな。『毎日』残業『だったし』。朝に帰ってきてから寝る前に
少し愚痴吐きたいみたいなんだ『悪りぃな…』」
 「『ううん…私だって』やっちゃんとお酒飲むの『好きだし』おいしいお土産も食べれるし『後悔してないよ』…でも、きもちわる…」
 「『そうか…でも、高校生で』毎朝酒飲んでから登校『ってのは、やばいんじゃねえか?』」
 「『だいじょぶ』平気。むしろやっちゃんのが心配じゃないの?」
 「『そうだな』ヨレヨレ『で』帰ってきてすぐに酒飲むんだからな。見てて、「こ『いつ、身体』壊すんじゃねえだろうな『?』」とか思うぞ」
 「ま、そこはやっちゃんもプロだし、『多分』大丈夫でしょ。寝る前にちょっと飲んだ方が気持ちよく起きれるって言ってたし。
むしろ、愚痴の内容のが大丈夫じゃないわよね…ナントカっておっさんが『三ヶ月前』に出てった息子が事故で入院したとか、
嫌な話ばっか。帰ってきて『から』飲みたくなるのもわかるわ」
 「ああ、ありゃ『やっぱり』きついよなあ」
 「なんか助言しようにも『責任』ありそうだし、やっちゃんも大変だわ…あ、水かなんかあったら『取ってくれる?』」
 「『おう』、ウーロン茶飲んでとっととアルコール追い出しとけ。先生にバレたらやばいぞ」
 「『うん、ありがと』」
 「『とりあえず』、佐々木のおっさんは、息子が入院してる『病院行った方がいいよなあ』。勘当したとはいえ、
そっちのが『子供のためにも』なるだろうに」
 「ま、どうでもいいけど、そっちのがおっさんの暗そうな『将来のためにも』いいでしょう『ね』…
うう、んなことどうでもいいわ。やばい、気持ち悪すぎる。『ああ、学校どうしよ』。サボっちゃおうかな」
 「おいおい、櫛枝が怒るぞ。ほら、向こうからなんかこっちを睨んでるし」
 「あ、本当だ。どうしたんだろ、みのりん」

873:名無しさん@ピンキー
08/02/22 01:18:32 AUSF3fUi
>>871-872
GJ!
というか最近マジ過疎ってねえ?!

874:名無しさん@ピンキー
08/02/22 08:25:52 QJ656tlQ
GJ!

875:名無しさん@ピンキー
08/02/22 09:59:14 V8KmMMqI


まあ最近のみのりんやばかちーなら違う反応になりそうな気もしないではないがw

876:名無しさん@ピンキー
08/02/22 17:23:59 4UOWDl4O
とりあえず新刊決まったしマターリとやりましょうや(´∀`)

877:名無しさん@ピンキー
08/02/22 18:19:35 3L3qxsyP
まさか4月とは…もっと遅くなるものかとw
さて誰が最初にデレるのか…

878:名無しさん@ピンキー
08/02/24 06:30:40 31PzET2P
たかすくんはちゃんと自己処理してるのでしょうか

879:名無しさん@ピンキー
08/02/24 09:42:50 xzcGhW+W
女性の描くキャラだけあって、そういうところはあんまり想像つかないよな。
他の男子もなんだかんだいってサワヤカ。
文化祭でおばけ屋敷とか、ホントは男子が乗り気なんだよな。
外部の女性客やらを相手にソフト痴漢行為(どういっても痴漢は痴漢なのだが
場の雰囲気で大事にならないだけで)にはしる層のせいで


880:名無しさん@ピンキー
08/02/24 18:38:54 DTVh5Lwv
>>878
大河から返してもらったマフラーで、ちょうど誰もいないときに…

という電波を受信した。誰か書いてくれw

881:名無しさん@ピンキー
08/02/24 22:42:58 fdRcLxUg
おかずもみのりん一筋なのか
それとも好きな娘は使いづらくてばかちーあたりをネタにしてるのか(ry

882:名無しさん@ピンキー
08/02/24 23:28:25 KL8MH7NB
驚いたわ竜児
あれだけみのりんLOVEを公言しておきながら
まさか二次元でしかぬけないなんてね・・・

883:名無しさん@ピンキー
08/02/24 23:44:34 LYnbBmR+
春田「高須、お前って何をおかずに自己処理してんの?」
太陽犬虎「!?」
能登「おい、変なこと聞くなよ」
竜児「おかず? 今日は給料日だから奮発してステーキにするつもりだが」

みのりん「たたた、たかすきゅん!?」
ばかちー「……ばっかみてぇ」
大河「やたっ!今夜はステーキ!」

884:名無しさん@ピンキー
08/02/25 00:03:07 fdRcLxUg
大河wwww反応するのはそこかよww

885:名無しさん@ピンキー
08/02/25 02:21:56 aiPzbmgX
>>881
ばかちーで妄想すると、甘い喘ぎ声じゃなくて罵詈雑言ばかりが浮かんできて
俺みたいな変態じゃない限り途中で萎えそうだ
大河は・・・なんか、終了後、みのりん使用以上の凄まじい罪悪感が襲ってきそうだ

886:名無しさん@ピンキー
08/02/25 04:48:27 FbyjTWFO
・・・やっちゃn(r

887:名無しさん@ピンキー
08/02/25 06:58:30 0q1DTQmG
大河使うのも違う意味で変態なようなw

888:名無しさん@ピンキー
08/02/25 07:50:06 hjrGdkdE
>>883
思わず「ステーキプレイ」なるド変態行為を思い浮かべた。

889:名無しさん@ピンキー
08/02/25 11:41:42 iTzygY6N
このスレ人いたのかwww


みのりんは恐れ多くて使えない
大河は性の対象認識外

やはりここはバカチーだろう

890:名無しさん@ピンキー
08/02/25 12:45:21 N6ffnUuO
知り合いをオカズに出来ないような人格のような気がする
そして、エロ本が見つかり、付き合ってもいないのに三者の機嫌を悪くしそうだ(エロ本に嫉妬)

891:名無しさん@ピンキー
08/02/25 16:40:30 fc4dhQXC
やっちゃんには何処にどういう本を隠しているのか、いつ耽っているのかバレバレだろうな…
むしろなんかアドバイスしてくれそうで困る

892:名無しさん@ピンキー
08/02/25 21:48:58 KT2CdB+V
意外と麻耶……って水着観察の時にギャル系は嫌いと名言してたか。やっぱばかちー?

893:名無しさん@ピンキー
08/02/25 22:48:38 0q1DTQmG
まあばかちーなら少なくとも(竜児脳内での)キャラ的に
あんま罪悪感感じずに使えそうではあるw

894:名無しさん@ピンキー
08/02/25 23:21:52 vM1wUlpe
賢者タイムになってから落ち込みそうだけどな

895:名無しさん@ピンキー
08/02/26 01:55:31 9nW5nAZh
つかばかちーだと思ってる人は具体的にどういう妄想でしてると思ってるわけ?

いつものちょっかいの延長線上でそのまま火がついちゃったばかちーに押し倒されるってシチュで妄想、なのか
それとも竜が男を舐めるなって攻守逆転したシチュで妄想してると思ってるのかw

896:名無しさん@ピンキー
08/02/26 01:56:31 r+zqreZs
グラビアでも見ながらシてそのまま後悔、みたいな感じ

897:名無しさん@ピンキー
08/02/26 02:02:15 cgZV9O0E
まあ、やっぱ普通にエロ本とかだろうな


そして、一仕事終えてから、ふと横を見るとカーテンを閉め忘れているのに気付いて…

898:名無しさん@ピンキー
08/02/26 02:03:58 S/+Op81Z
竜児は誰かで妄想とかは考えず、普通に寝ているときに夢の中で
妙に素直なばかちーが迫ってきて目覚めると……という系統だろ。

と考えたけれど竜児は別荘話やママ餓死爆発でトリップしていたのを思い出した

899:名無しさん@ピンキー
08/02/26 18:42:10 KcIh0d+V
家のどこかに秘密の隠し場所とかありそうだな。
しかし厳しい家計でやりくりしてるから、エロ本とかグラビアとかはあんま買ってないかも。
……やっぱ妄想発電かな。

900:名無しさん@ピンキー
08/02/26 19:02:57 iwabenOk
>>899
春田や能登から回してもらっているということもあるのでは?
学校で貸してもらおうとしてる時にばかちーあたりに見つかって……。

901:名無しさん@ピンキー
08/02/26 21:12:43 Bh+Bmlns
>>897
窓の向こう側のお隣さんもこちらを覗いていけない遊びに興じていたという展開
で一つ頼む

902:名無しさん@ピンキー
08/02/26 21:24:08 S/+Op81Z
そして、一仕事(調理)終えてから、ふと横を見るとカーテンを閉め忘れているのに気付いて…

窓の向こう側のお隣さんもこちらを覗いていけない火遊び(調理)に興じていたという展開

マンション炎上。巻き添えで借家も炎上

竜児は北村・みのりん・亜美のうち誰かの家で世話になることになり……

903:名無しさん@ピンキー
08/02/26 21:47:17 9nW5nAZh
普通に北村んちだろ
家出した時の協定まで結んでるぐらいなんだから

904:名無しさん@ピンキー
08/02/26 23:00:48 uy33Bgg2
>>903
いやいや、他二人が何らかの圧力を加えるかもしれない

905:名無しさん@ピンキー
08/02/27 07:31:37 vgOuhd75
>>902
やっちゃんと大河はどうなるんだ…

906:名無しさん@ピンキー
08/02/27 11:30:41 a0FTEVFB
>>905
大河はほら、おとうさんがいるだろ?

907:名無しさん@ピンキー
08/02/27 15:14:38 ZA8MoFIg
>>906
(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル

908:名無しさん@ピンキー
08/02/27 15:18:31 FFVkkrPs
むしろ、竜児×大河父展開で

909:名無しさん@ピンキー
08/02/27 19:59:03 dAkoP/6n
俺的には竜児VS大河父の方が…

910:名無しさん@ピンキー
08/02/27 21:31:59 2wpJd20B
「VS」だったはずが気が付いたら「×」になってるのはよくあること(ry

911:名無しさん@ピンキー
08/02/27 22:54:02 o30ASL3U
「竜児くん、私は惨めさのあまり死んでしまいたい気分だ…ああ、私は…なんて愚かな男だったんだ…」
「ああ、間違いねえ。あんたみたいな最低野郎は見たことないぜ」
「君に殴られて初めてわかったよ…本当に大切なものが何か…私は男である前に、父なのだと…」
「俺も、初めて人を殴って…わかった。あんたがどんな男であっても…やっぱり、あんたは大河の
父親なんだって…拳の表面で感じたんだ、これが親父の感触なんだ、って…」
「君が息子であったならば、私ももっと早く気付けていたかもしれないな…会社は隠居すると言って
やめたし、あの女とは無理矢理別れて来た。君たちに喜んで我が家を貸し出そう。好きなように使ってくれたまえ」
「で、でもよ、本当の家族でもないのに、それはいくらなんでも悪いぜ」
「いや、大河に聞いたよ。君は行く当てもなかった、友人ですらなかった大河を家族同然に扱ってくれたんだ
君は私の誇りだ。魂の繋がった真の家族だよ。もし良ければ…父と呼んでくれ」
「お、お父さん・・・!」
「む、息子よ・・・!」
そして激しく抱き合う馬鹿二人に炸裂する虎の木刀

912:名無しさん@ピンキー
08/02/28 11:40:03 8AUDMEkS
女性の身体を洗い、マッサージをする仕事になります。
射精の瞬間を見たいという要望も多数あります。
fukugyouinfom@yahoo.co.jp

913:名無しさん@ピンキー
08/02/28 19:20:33 zMDQ1Eqr
>>912を見ようとした瞬間、ヤンデレ化したまっちゃんか相馬に(性的含む)マッサージされる田村

914:名無しさん@ピンキー
08/02/28 20:38:24 aNbduaTr
「シクシクごめんまっちゃん俺汚されちゃった…」
「気持ちよかったぜ」

915:名無しさん@ピンキー
08/02/28 22:58:46 RHbIZpR4
最近の流れを横目で見つつ、てきとうに拾ってきた画像で処理していたら、
机の脇に置いてあった大河のフィギュアと目が合った。

悲しい顔じゃった

916:名無しさん@ピンキー
08/02/29 07:41:19 T9YCt87M
>>915
イ㌔。
強く生きろ泣くんじやない。

917:名無しさん@ピンキー
08/03/01 00:29:16 CMV+UU8c
1巻表紙のやつなら、ちょうど顔の下に両手のひらを合わせているから、虎をよけてぶっかk

918:名無しさん@ピンキー
08/03/01 01:58:30 Wk8h1aOn
田村麻呂さまの続きに期待

919:828
08/03/01 07:48:10 LKuvhlgm
うっ……

920:名無しさん@ピンキー
08/03/01 10:54:15 QvfVsSd7
マンボっ!

921:名無しさん@ピンキー
08/03/01 18:24:25 0AbjwpLS
そーいや漫画版ってどうなん?

922:名無しさん@ピンキー
08/03/02 00:14:26 mhzr7aQC
アニメイト限定版と通常を買ったが、まだ読んでない

923:名無しさん@ピンキー
08/03/02 21:12:58 mSf3NUYh
本スレでエロパロみたいなことやってるな・・・

924:名無しさん@ピンキー
08/03/03 19:05:48 3bO7FtRv
やあ。一応書いてみたんだが・・・サブキャラなんだ。
今までの作品見た感じで聞くけど、ここに載せて平気?

925:名無しさん@ピンキー
08/03/03 19:10:44 xu1vBgRl
+   +
  ∧_∧  +
 (0゚・∀・)   wktk
 (0゚∪ ∪ +
 と__)__) +

926:名無しさん@ピンキー
08/03/03 21:55:19 QbTkHoTI
大河「竜児が受けに決まってるでしょ!ばかちーはほんとばかちーなんだから」
亜美「はあ?どう考えても祐作が受けじゃない…馬鹿なのはあんたよタイガー」
竜児「……何をやってるんだあいつらは」
みの「ごめんね高須くん…何度も話を軌道修正しようとしたんだけどあの二人止まらなくて」
竜児「い、いや…俺としては櫛枝さえわかってくれてればあとはまあ割とどうでもい」
みの「高須くんは能登くんとだもんね。全く二人とも受け攻め以前にカップリングが間違ってるって何度も言ったのに」
竜児「…はい?」
みの「北村くんは男子ソフト部にちゃんとした相手がいるんだよ。女子ソフト部ではこれ常識」
竜児「うわぁぁぁぁぁん!櫛枝だけはまともだと信じてたのに!」(泣きながら走り去る)
みの「……だから言ったじゃん。高須くん私のことすごくイイモンだと思ってるって…」

927:名無しさん@ピンキー
08/03/04 00:45:53 Yh9XxbOD
ウホッいい裸族

928:名無しさん@ピンキー
08/03/04 00:52:24 RuS28t3w
兄貴「ふむ・・・しかし、それでは幸太の立場がないぞ。あいつは既に北村なしでは生きていけない体のはず…」
巨乳「幸太くんは庶務先輩の暖かい言葉と肉体に慰められるんだよ、お姉ちゃん」

929:名無しさん@ピンキー
08/03/04 10:13:12 Yh9XxbOD
鹿多「田村くんでBL?…う~ん、やっぱ小森くんか橋本くんかな」
相馬「何言ってんのあの二人はどう見てもデキてるじゃない!田村の入れる隙なんてないわよ」
鹿多「確かにそう言われれば…でもそれなら田村くんの相手は?まさか時宗とかブッ飛んだこと言い出すんじゃないよね」
相馬「まさか!あれは田村の片想い、所詮は実らぬ恋よ」
鹿多「いや片想いとかそういう問題じゃ…で結局誰だと思うわけ?」
相馬「そんなの決まってるじゃない!田村先生よ!!」
鹿多「……それって田村くんのお兄さん?相馬のカテキョやってたっていう」
相馬「そうよ!勿論田村が攻めね。クールで知的そうな眼鏡キャラが実はヘタレ受けとか凄くそそるじゃない!」
鹿多「それなら橋本くんでいいじゃない…つか近親モノとかさすがにハードルが高すぎて」
相馬「そんなこと言っても橋本は小森とデキてるんだからしょうがないじゃない!」
鹿多「なら三人で」
相馬「……つまり3Pってこと?ごめん、あたしにはそっちの方がハードル高い」
鹿多「そうかなぁ?せっかく入れる部分と入れられる部分があるんだからこう、数珠繋ぎになって」
相馬「それがイヤなの!リバですらあんま好きじゃないのに受け攻め同時になんて邪道もいいとこよ!!」
松澤「あの…」
鹿多「ああごめん二人だけで熱くなっちゃって…松澤さん、だよね?」
松澤「あ、はい…えと、田村くんと仲良い男子なら高浦くんが」
相馬「高浦って、あーあのヤジウマ男か…なるほど、それは盲点だったわ。あいつとなら田村の方が受けね」
鹿多「…てか誰それ?」
相馬「あそっか知らないんだよね…田村の中学時代の」
松澤「で、でも!」
馬&鹿「「…?」」
松澤「でも、田村くん普通に女の子が、好き…」
相馬「……そんなの言われなくてもわかってるわよ」
鹿多「そうそう、お遊びの妄想と割り切って楽しむというか」
松澤「わたしのこと、いっぱい可愛がってくれるし…」
馬&鹿「「!!!」」
松澤「たまにしか会えないから、会えた時は本当に凄くて……えへへ」
相馬「……きゅう(バタン)」
鹿多「ちょ、相馬大丈夫!?気を確かに!」
松澤「…だから妄想の中の男子でも田村くんは渡さない」
鹿多「はあ…どうもごちそうさまです」

930:名無しさん@ピンキー
08/03/04 14:53:52 tmb3renR
GJなのはいいとしてそろそろ次スレなわけだが。

931:名無しさん@ピンキー
08/03/04 17:04:16 KLsjmKOU
『大河の一滴』って何かエロイですよね


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