竹宮ゆゆこ作品でエロパロ 2皿目at EROPARO
竹宮ゆゆこ作品でエロパロ 2皿目 - 暇つぶし2ch600:名無しさん@ピンキー
07/11/22 15:46:24 dUPPFxeU
まあカップリングについては全ての想いが成就することは
もうあり得ない構図になってるわけだから誰かが泣かないといけないわけだけど
どう転ぶにせよ無駄に泥沼とか鬱展開とかなく決着がつけば
それは一応ハッピーエンドと呼んでいいんじゃないかと思う

泣かないといけない人に何らかの救いみたいなのを提示できればさらに言うことなしと

601:名無しさん@ピンキー
07/11/22 23:36:03 FE63B1AX
JCでアニメ化され、
大河はくぎゅで上目遣いで頬を染めて「ナニヨ!」とかいう安っぽいツンデレに改変され、
竜児はオリジナルに近い田村竜児と世界観を壊す赤毛の高須隆一の二人に分裂して竜児は空気になり、
みのりんは帰国子女になってぽっと出のサックスと速攻でフラグを立てたかと思ったら竜児に気があるような素振りを見せたかと思ったらサックスにいきなりキスされ、
ばかちーは登場するなり隆一にキスする痴女にされやっちゃんは隆一の母親になる


という鬱展開

602:名無しさん@ピンキー
07/11/22 23:51:55 M3ecMKwm
>>601
そのサックスがわからなかったからググってきたらキミキスかよw

603:名無しさん@ピンキー
07/11/23 01:11:55 vaefM23u
>>601
仮にアニメ化されるとしても釘宮はやめて欲しいよな。
正直もう釘宮のツンデレは食傷気味です。

604:名無しさん@ピンキー
07/11/23 03:50:01 Pix7ad1u
正直釘宮の声を聞いてると耳が痛くなるのは俺だけか?
スレチだがFF4の双子の声優も釘宮になった。スクエニは馬鹿だと思った。
かと言って大河の声優は誰がいいって聞かれてもなかなか出てこないな。
どこかにいい声優いないかね?

605:名無しさん@ピンキー
07/11/23 04:08:13 W/1biInH
ロリ声が上手い声優といえば北都南かね

606:名無しさん@ピンキー
07/11/23 07:14:41 jhniT+TR
個人的には生天目とか…
このご時世だと釘宮か平野になりそうだが

607:名無しさん@ピンキー
07/11/23 12:27:52 mQ1wfdh7
釘宮釘宮うるせーよ
好きだった原作が次々と釘宮出演のアニメでぶち壊されてムカつくんだよ

608:名無しさん@ピンキー
07/11/23 12:30:52 /7VWaiyt
銀河万丈とかどうだい?

609:名無しさん@ピンキー
07/11/23 13:50:58 TB/ykVRh
ロリツンデレ=釘宮は定着してるからなぁ
釘宮嫌いじゃないけどツン多めの大河にはあわなそうだよな

他となると沢城とか小清水あたりかなぁ
もしくは思い切って新人つかうとか

610:名無しさん@ピンキー
07/11/24 11:29:01 d99qzJhb
>>608
いいねぇ。
他にも大塚さんや神谷さんとかがいいねぇ。

611:名無しさん@ピンキー
07/11/24 11:32:48 BVlqLM7E
>>591
声優談義とどっちがマシかね?

612:名無しさん@ピンキー
07/11/24 14:05:13 KB/3Ocyg
>>608
ギレンがツンデレになってるの想像して吹いたwwww

613:名無しさん@ピンキー
07/11/24 17:15:08 qw5gRQj6
大河をわかりやすいツンデレにするのはマジ勘弁

614:名無しさん@ピンキー
07/11/24 23:44:36 nl4hRWhd
もし釘使うなら竜は日野でバカチーは川澄で徹底的にやれと言いたい

615:名無しさん@ピンキー
07/11/25 15:57:41 j/R7VRly
じゃあ北村を野島に

616:名無しさん@ピンキー
07/11/25 18:22:33 VdEawwkK
>>614
いやいやいや、そこは川澄じゃなくて桑谷の方が…

617:名無しさん@ピンキー
07/11/25 19:07:35 kY3xvDQJ
にわかヲタ共の空気読めなさは異常
板違いの声優談義をいつまで続けるつもりなのか

618:名無しさん@ピンキー
07/11/25 22:43:40 /vm9rjmf
そんなことよりゆりちゃんの幸せを考えてあげよう

619:名無しさん@ピンキー
07/11/25 23:10:38 CaQpFNi/
独身拳は誰に相伝するのか、それが問題だ

620:名無しさん@ピンキー
07/11/26 00:36:01 bkeXMkCO
誕生日までオナ禁しようと決めたのに保管庫読んでたら死んだ

621:保管庫”管理”人 ◆Dash///1.k
07/11/27 00:37:42 jIZ7ZTHq
保管庫を更新しました。
ついでにトリも付けましたのでよろしくお願いします。


622:名無しさん@ピンキー
07/11/27 22:22:29 vLUVxzsW
おぉ、管理人さん!乙です


623:名無しさん@ピンキー
07/11/27 23:29:12 EUtdiLVT
なんだかんだ言っても結構スレに投下されてたんだな。
一覧見てると意外と多いことに気付いた。

624:名無しさん@ピンキー
07/11/28 00:05:37 RHAiFP6E
とらドラで検索してもスレが出てこなくてdat落ちしたのか・・・orz
と思ってたら単純にスレタイにとらドラが入っていなかっただけという。

625:名無しさん@ピンキー
07/11/30 19:44:27 VVDCn/hp


626:名無しさん@ピンキー
07/11/30 20:20:42 aK9crI+U


627:名無しさん@ピンキー
07/11/30 20:57:18 u8BEoXnU


628:名無しさん@ピンキー
07/11/30 21:56:29 8Xeq6XeO


629:名無しさん@ピンキー
07/11/30 23:06:12 Er/tC61r


630:名無しさん@ピンキー
07/11/30 23:38:51 aK9crI+U


631:名無しさん@ピンキー
07/11/30 23:53:56 n3cq5pIU


632:名無しさん@ピンキー
07/12/01 00:11:55 1d8/OJY6


633:名無しさん@ピンキー
07/12/01 00:15:13 xEJl7+rW
それよりお姉ちゃん好きが止まらなくなったさくらが暴走する
さくら×すみれ(兄貴に非ず)はまだですか?

634:名無しさん@ピンキー
07/12/01 09:44:49 8dbdDymk
狩野家は妹攻の姐受これだけはガチ

635:名無しさん@ピンキー
07/12/01 21:00:08 AtqqAh7l
保管庫で「やんドラ」連作を読ませてもらった。
想像を遙かに超える壮絶さにただただ白旗を揚げるばかりだ。

636:名無しさん@ピンキー
07/12/02 03:00:11 3Jly/oO3
>>634
同意

637:名無しさん@ピンキー
07/12/02 15:41:31 xkcsyLb3


638:名無しさん@ピンキー
07/12/02 15:50:13 7VukJOwY
兄貴がさくらではなく竜児を相手にする事になったら序盤は兄貴×竜児、
しかし後半は竜児×すみれに立場が逆転している気がする

639:名無しさん@ピンキー
07/12/02 23:36:20 3CKte4ia
よもや竜児×兄貴にはなるまいな?

640:名無しさん@ピンキー
07/12/03 10:32:33 WGwQ70tl
竜×兄貴?
何そのまるおタイガーみのりんばかちー全員涙目展開w

641:名無しさん@ピンキー
07/12/03 19:21:38 vLAOnPA0
>竜×兄貴
「こんな怖い顔の人が義兄だなんてorz」
「義兄の家事スペックが高すぎて義姉に色々比較されるorz」
「さくらの店の手伝いで義兄とさくらが二人っきりになっている事が多いorz」
「最近さくらが義兄と料理の話ばかりして俺の相手をしてくれないorz」

幸太がさくらと結婚すれば幸太の不幸パワーに巻き込まれて実現するよ

642:名無しさん@ピンキー
07/12/03 22:40:30 W+/WNLJz
面白い!!
書いてみてはくれまいか?

643:名無しさん@ピンキー
07/12/03 23:13:58 vLAOnPA0
>>642
       ノ L_____
       ⌒:::\:::::/::\
      / <●>::::<●>\   そんな文才があればとっくの昔に
     /    (__人__)   \  「(さくら×竜児)×すみれ」を書いておるわ!
     |       |::::::|     |
     \       l;;;;;;l    /l!|
     /     `ー'    \ |i
   /          ヽ !l ヽi
   (   丶- 、       しE |    ドンッ!
    `ー、_ノ       ∑ l、E ノ >
               レY^V^ヽ

という事であなたが書いてください

644:名無しさん@ピンキー
07/12/05 18:05:24 PwTja1+I
「ゆりちゃんの一人遊び」なる電波を受信したが、途中で切れて先が受信できん。

645:名無しさん@ピンキー
07/12/05 22:04:53 X1fFyiMs
すぐに全方位にパラボラアンテナを立てるんだ

646:名無しさん@ピンキー
07/12/05 22:21:51 r4ZoGZFo
>>644
深夜、酔っ払った独身が人生ゲーム引っ張り出して一人寂しくやっている姿が受信されたが・・・
「わーい、けっこんできたよー」(棒読み)

647:名無しさん@ピンキー
07/12/05 22:26:54 QGNA83qP
それ本当にやめてくれwww

如実に想像でき過ぎるwww

648:名無しさん@ピンキー
07/12/06 23:03:13 8ARUaZ69
>>647
そして無駄に子宝に恵まれる

649:名無しさん@ピンキー
07/12/08 23:26:54 K/lStnHH
青い果実と田村兄が実は先輩後輩で田村兄の片想いでした、なんてネタを受信したが既出かね?

650:名無しさん@ピンキー
07/12/08 23:28:10 K/lStnHH
しかし歳の差考えると無理だった。残念だが没。

651:名無しさん@ピンキー
07/12/08 23:34:42 CsqXh/Fv
>>650
小学校とかだったら良いんじゃね?
それだと幼馴染フラグも立つしなw

652:名無しさん@ピンキー
07/12/09 01:53:50 qyxYV0W3
ああなんというか
新刊のネタバレが早くしたいっ……
六日の時点で読了してしまった俺はっ……いわば寸止めの状態……言うに言えないっ……出すに出せないっ……

653:名無しさん@ピンキー
07/12/09 02:44:54 RxumwHDI
ネタバレ
みのりんが竜児の棒を握る。
最初は自由自在にいじくって気持ち良さそうにしていたけど牙をむかれて一転ピンチ

巨乳の金髪女子高生と亜美たんそっくりの女子高生追加

654:名無しさん@ピンキー
07/12/09 03:00:17 qyxYV0W3
吹いた

655:名無しさん@ピンキー
07/12/09 12:11:57 4lOaDh4M
ちょwww

新刊はとりあえずゆゆぽ自重w

656:名無しさん@ピンキー
07/12/09 16:30:34 daSBRxOM
(大河、竜児)、+やっちゃん
1/13

『遊園地のひと時』

「え、二人で遊園地?」
 大河と竜児は驚いた。二人して顔を見合わせて、気まずさに目線を
逸らした。三枚しかチケットがなく、やっちゃんは仕事で一緒に行
ける日がない。必然的に大河と二人で行くのが確定だった。
「でもなあ……」
「竜ちゃんおねがい~。一緒に行って来て~」
「行くっきゃねえけど。……でもなあ」
 竜児は複雑な気持ちで大河を見た。案の定、大河は釈然としない様子
である。ぶすっとした顔の口には苦笑いが張り付き、唇をひくひく
させていた。そこまで嫌がることはないだろうに。
「あーもう! 一緒に行ってやるわよ、そうでしょ犬!」
 投げやりに大河は言った。
「え、いや。行かないことに決めようと」
「がぅぅぅぅるるるるるる!」
 どうやら行くことに反論の余地はないようだった。
「フンッ!」
 と大河はそっぽを向いてしまった。
 やっちゃんはそれを見てニヤニヤしている。それほど大河は怒ってる
のだろうか。ますます竜児は肩を落とした。
「わかった! 行くから。それでいいでしょやっちゃん、大河」
 やっちゃんはニコニコしながら頷いた。
 大河も振り返って勝ち誇った顔をしている。手はがっつポーズだ。
 竜児はなにも言えなくなり、いつもの日常へ戻っていった。

 当日の朝を向かえ、朝食と弁当の用意を終えて大河を呼び出す。
 いつの間にやら家に来ていた大河は、用意されていた布団から寝ぼけ眼で起き上がった。
あっちにフラフラ、こっちにフラフラで、危なっかしい。寝不足なのだろうか。


657:名無しさん@ピンキー
07/12/09 16:32:36 daSBRxOM
2/13
「ほら、そろそろ行くぞ」
「あ、うん……」
 大あくびを繰り返し、何度も竜児を見上げる。
「きょ……ぅ」
「今日?」
「で……デッ……は!」
 ガバッと大河は起き上がった。慌てて周りを見回す。
「竜児、ちょっと待ってて! す、すぐ用意してくる」
 大河は立ち上がると眼にも止まらぬ速さで走りドアを開けた。ドンと
ぼろい扉が大音量で閉じられる。
 ―三十分後
「りゅ、竜児! 早く行こう。それと……どう?」
 戻ってきた大河は服と髪を整えてたらしかった。竜児の前でくるくる回る。
 ふわっとした、いつもとは違うなにかを大河から感じる。正直可愛い。
「……良いんじゃないか」
 小声でぼそぼそと、まあ可愛いと思うぞ、と竜児は続ける。
「か、かわいい? かわいい……かわいい。ふっふふ」
「良いと思う、だからな」
 竜児はぶっきらぼうに装って答えた。
 満足したように大河は頷く。そしてはたと気づいて、顔を真っ赤に
しながら言った。
「な、なに勝手に評価してんのよ! バカ犬に評価されて喜ぶほど
落ちぶれてないわ」
 ほんと困ったもんねバカ犬は、と大河は続けた。
「あんたはいつもどおりに。ま、それがお似合いかもね」
 はっきり大河に言われて悔しくして仕方ない。
「こ、こんのおおおお。言いたいこと言いやがって。せっかく一緒に
行こうとしたのに」
 気持ちが煮え切らなくなってきた。
 竜児も竜児でブツブツと続ける。


658:名無しさん@ピンキー
07/12/09 16:34:42 daSBRxOM
3/13
「別に俺と行く必要はないんだし……。く、櫛枝と……うん。櫛枝とお前
で一緒に行けよ」
 もうここまで来ると恥ずかしさとか関係なく、どうでもよくなってきた。いまなら
誘えるんじゃないかと思えてきた。予定が合えばの話だが。
「ま、待って。りゅ、竜児!」
 大河は慌てて竜児にしがみついた。必死になって竜児に目を向ける。
「な、なんだよ」
「あのねあのね」
「……だからなんだよ」
「ご、ごめんなさい」
 大河はシュンとして素直に謝っていた。
 どうせすぐ本性を出すに違いないが、ひとまず竜児は大河に言った。
「わかった……さっさと行こうぜ」
「やったー」
 大河はすぐに顔を上げて満面の笑みを見せた。眩しい眩しい笑顔だった。
「竜児……良かった」
 大河はそのまま手を握り締めて竜児を引っ張る。竜児は呆気に取られて
なにも言えない。今日は天変地異が起こるんじゃないかと、心配になった。

 遊園地につくと、同時に手を離していた。息が合ってたのはたまたまだ。
「大河、迷子になるなよ」
「そんなことしないわよ」
 さっそく遊園地の地図を見る。
「まずどれに寄ろうか? あ、ちなみにジェットコースターはお昼の後な」
 ブツブツブツブツと竜児は説明する。
「その前に背が届くかどうか」
 大河はすこし不安だった。

659:名無しさん@ピンキー
07/12/09 16:36:43 daSBRxOM
4/13
「ん? なんか言ったか?」
「なんでもない!」
「うおっ」
 突然大河に睨まれたのでビビッてしまった。だから俺がなにをしたんだ、と
抗議の視線を送るがすぐに折れた。別にその視線上で男の人が白眼を剥いて
倒れたからじゃない。
 お昼までもう時間少ないし、まずは動物触れ合いコーナーでいいかもしれない。
「竜児、まだ?」
「まずは動物触れ合いコーナーで良いか」
 大河は少し思案して、
「うさぎ?」
「うさぎと、犬と猫くらい」
「じゃあそれでいい」
 と決めてその場所へ向かった。
「とおりゃあああああああ」
 突然大河は走り出した。竜児は一瞬怪訝な顔をし、その先を見る。顔面蒼白。
周りの親子づれがそれにびびって悲鳴をあげたが今は傷ついてる暇はない。
 大河の先には、着ぐるみが居て、それはヒヨコみたいな、オボ―
「大河やめえてええええええええええええ」
 大河は跳躍して、右足をそいつに向けた。
 マスコットが危ない。竜児は思いっきり走った。
「キーーーーック!」
「うおおおおお」

 ドスバシッ―間一髪、竜児は大河のキックを後ろから押さえ込むように手で取る。

 着ぐるみはしりもちをついてる。
「はあはああああ……はははは。危ない……危なかった」
 冷や汗も垂れ流しながら、大河を下ろした。
「竜児……あんたもなかなかやるじゃない」
「っ……」

660:名無しさん@ピンキー
07/12/09 16:38:43 daSBRxOM
5/13
 二人して謝り、なんとかことなきを得る。
 そのままコーナーへ向かう。
「突然走り出すなよ! そしてキックするな! 相手が怪我したらどうするんだ!」
 今も息がつらい。まさかいきなり初っ端から疲れが出始めるとは思ってなかった。
理由を問いただし、こんなことは二度とやらせてはいけない。
「だって」
 大河は困ったように竜児を見て、
「だってなんだよ?」
「良く分からないけど、無性に蹴りたくなった」
 と、キックのポーズをとった。
 竜児もなぜか蹴りたくなったのを思い出す。だが、すぐに頭から振り払い、
「たく……蹴ればなんでもかんでもすむもんじゃないんだし」
「でも……まあいいわ。それよりもほら、あそこにうさぎうさぎ!」
 いつの間にかコーナーに着いてたようだった。
 大河はコーナーの敷居を跨いで座りこんでうさぎを抱きかかえる。「よしよし」と
その背中を撫でていく。うさぎは気持ちよさそうに身を預けた。
「可愛い」
 どれ、と竜児は抱きかかえようとすると、うさぎはビクッと震えて逃げてしまった。
あまりの理不尽に、頭を抱える。まさかうさぎにまで怖がられるとは思っても
いなかった。
 しょぼくれて大河を見上げる。
「竜児……さすがに同情したいわ」
 仕方なく、彼女の隣に座った。
「撫でてみる?」
 大河は照れくさそうに言った。
「……ああ」
 うさぎも気付いて慌てるがもう遅い。
 すかさず背中を撫でた。
 最初ビクビクしていたうさぎもしだいにおちついた。
「良かったね……なついてくれる動物がいて!」

661:名無しさん@ピンキー
07/12/09 16:40:52 daSBRxOM
6/13
 笑いを堪えながら言う大河に、返す言葉がない。だって本当に嬉しいことなのだ。
「お、俺ってそんなにだめか」
「でもあのぶさいくなインコちゃんとか居るじゃない」
 大河は笑いを抑えきれなくなり、ついに笑った。
「ハァー……プププッ」
「こ、このお。だ、だが、言いかえせねえ」
 大河はさっとうさぎを放すと、立ち上がりかけだした。
「あ、待て!」
「……で、でもねえ。ほかにも懐いてくれる子いっぱいいるからねーだ」
 大河は舌を出してベーをする。
「はあ?」
「ほら、お昼お昼弁当弁当! しょうが焼き~♪」
 昼食のチャイムが鳴り響く。もうお昼の時間らしい。
 竜児は立ち上がって、大河が座っているベンチに向かった。
 大河は弁当箱を受け取るやいなや、すぐに開けて食べだす。
「おいし~」
「そりゃどーも」
 やっちゃんと三人で行くはずだった弁当を二人分にまとめたのだ。まずいはずはない。
それでも大河の「おいしい」の一言は嬉しい。竜児は怒ったような顔を周囲に見せ付ける。
敵を仕留めたというわけじゃない、褒められて嬉しくて仕方ないのだ。竜児の顔は満足感
でいっぱいだった。
 あっと言う間に弁当は空箱になった。これで弁当の中身がどうなるかの心配はない。
これならジェットコースターは大丈夫だ。
「次はジェットコースターだな。その後はコーヒーカップ。次はお化け屋敷。最後に
観覧車。……それで良いか?」
 竜児は一応一通り決めていたルートを教えた。
 大河は思い悩んだすえ、
「それで良い」
 竜児は大河が食べ終えたのを確認し、ささっと弁当を片付け立ち上がる。
「あ、でも休憩しなきゃ、あとで大変か」
「んなの大丈夫大丈夫」
 大河はそんなことお構いなしに竜児を引っ張ってジェットコースターの列に並ぶ。

662:名無しさん@ピンキー
07/12/09 16:42:52 daSBRxOM
7/13
「いや、やばいだろ……本気でやばい」
 逃げ出そうとするが、大河はがっちり手を掴んで離さない。
 後ろにもしだいに人が列をなしてきた。これでは逃げられない。
「まさか、怖いって言うんじゃないでしょうね?」
「そ、そんなわけねえだろ」
「なら、堂々とやる!」
「くっ!」
 ここまで言われちゃ仕方ない。竜児は腹を決めた。
「ヒッ!?」
 先頭に来たところで店員さんがビクビク震えていた。腹を決めたのだ。別に
悔しくとも悲しくともなんともない。
 ゴクリ

「うぎゃああああああああああああああああああ」
「キャアアアアアアアアアアアアアアアア」

 青空が美しかった。まるで天国に居る気分だった。
 息も絶え絶え竜児はベンチに腰を下ろした。
「ちょ、ちょっと休ませてくれないか?」
「根性なしだねえ」
 そんなこと言われても、と竜児は空を見上げてボーッとする。
「……それじゃあみのりんとはまだまだだよ」
 大河はコーヒーカップを指差して言った。
「次はあれ。ほら! 情けない姿をさらしてちゃ……」
 別にみのりんとかじゃなくて、ただたんにお腹がキツイのだが。仕方ない、と竜児は悲
壮感を漂わせながら立った。
「い、良い所をみせてやれば良いんだろ」
「そうそう、その粋」
 大河は嬉しくなって竜児をひっぱり上げた。
「ほらほら早く!」

663:名無しさん@ピンキー
07/12/09 16:44:53 daSBRxOM
8/13
「あ、ああ」
 頭がぐるぐる回ってるが竜児は憤怒でそれを抑え付けた。周りで悲鳴が聞こえたような
きがするが、もう気にしない。やるしかない。
「だらしねえまねは見せたくねえ!」
 竜児は思いっきり大河をを引っ張りあげて歩き出した。
「ちょ、ちょっと……うん。いいわよその勢い」
 大きなコーヒーカップに向かい合って座り、二人してくるくる回していく。眼の端には
カップルがたくさん映って無性に恥ずかしいのだ。
 時折二人してカップルを見つめてしまう。
 何回も何回もそれを繰り返すので、大河はイライラがたまってきた。
「あいつら……こんなところで。ぶちのめしたい」
「いやいや、やめろやめろ。それに俺たちもそう見られてるだろ」
 ギロッと大河に睨まれて息を飲み込んだ。
「バカ犬! あくまでも、主従の関係……なのよ」
 諭すようにじっくり大河に言われて、竜児もはっきり言い返す。
「あ、当たり前だろ!」
「ムゥ……」
 回転がしだいに速くなり、風景が霞んでいく。竜児は力でゆっくりにしようとするが、
そうはいかない。圧倒的に大河の力の方が強かった。
「たんまたんま」
 酔いが頭に駆け上っていく。身体が熱くなってきた。
「な、怒るなよ。俺がなにした!」
 先ほどのジェットコースターの疲れが今になって襲い掛かってきた。
「……別に怒ってなんかないから! ……そんなんじゃいつまでたってもみのりんとは無理ね」
「――」
 く、苦しくて言い返せない。
「私が許可するまで二人して仲良くなろうなんて思わないでよ」
 そう言ったあと、大河は急に手を止めて倒れた。
「な!?」
 竜児は加速を慌ててコーヒーカップとめて、大河を抱きかかえ外に出る。

664:名無しさん@ピンキー
07/12/09 16:46:57 daSBRxOM
9/13
「お、おい。だいじょうぶか? 無理すんじゃねえぞ!」
 大河を揺り起こすが、なんにも反応なし。
「おいおいどうにかしろ。生きろ!」
「ん、んふぁ……」
 息を吹き返し、大河はゆっくりと立ち上がった。
「べ、別になんでもないから。……ふぅ」
「顔色悪いぞ」
「そんなことない!」
 大河はいやいやをして竜児の手を振り払った。そしてあっかんべー、をしてお化け屋敷の
方へ歩いていく。
「ほら、元気じゃない」
 有無を言わさない態度に竜児は押し黙った。それに、身体の調子がおかしいのは大河だけでは
ないのだ。
「わ~かったよ」
 さっきの言葉を思い出し、意地で行く。心配したって無駄なのだ。ここは互いに意地を張るしか
ないのだ。
 大河はお化け屋敷で待っていた。
「……ふん!」
 手を出して、手をにぎにぎしている。
「なんだよ?」
「ちょっと、ほんとにちょっとだけ体調が悪いのは確かなんだし。……手を繋ぎなさいよ!」
 言われたままに竜児は手を掴んだ。まさか、怖いんじゃないだろうか。でも、それを口に出すと
今の状況は危ないので、考えを飲み込んで着いていく。
「あんたこそ、お化け屋敷とか大丈夫?」
「そんなわけないだろ」
「そうね、そうじゃないとね」
「ほら、いくぞ」
「しっかりしなさいよ」
「言われなくても」
 彼女から強く握り締められ、竜児もそれに対して強く握り返した。今二人を繋いでいるのは
この手なのだ。手を緩めたらはなればなれになってしまう。真っ暗闇で確認できるのは手だけ。
情けないが、手を離したらさびしいだろうと思った。

665:名無しさん@ピンキー
07/12/09 16:48:58 daSBRxOM
10/13
 ちょっと怖くなってきた。
 それでも一歩一歩、足を進めていく。
「……なんにもないね」
「そうみたいだな」
 コツーンコツーン
 と響くのは足音だけ。しだいに数が増えてるような気がした。
「ねえ、なんか増えてない?」
「そ、そうだな」
 竜児は緊張でろれつがうまくまわらない。
「幽霊は竜児が怖くて近づけなかったりして」
 大河はギュッと握り返した。
「そ、そんなことありえるのか?」
「当たり前じゃない。中の人も人間よ」
「そ、そりゃそうだな」
 アハハハハハと竜児は苦笑いをする。
 また大河は強く握り返してくれた。今はなんとなく、彼女は頼れる存在だと思った。

 コツーン

「……なんも音しなくなったね」
「結局お化け屋敷の従業員にさえも」
 竜児はガクッと頭を垂れた。
 大河は急に立ち止まり、指を指しているようだった。
「どうかしたのか?」
「りゅ、竜児。あれ見て」
 視線をだいたいの方向に向けた。
「っ……」
 眼が合った。
「ねえ、私を見れば大丈夫よ」
「……っ」
 言われたとおりにする。

666:名無しさん@ピンキー
07/12/09 16:50:58 daSBRxOM
11/13
「ばぁ!?」
 ご丁寧にも、ライトの下で怖い顔をしている。
「う、う、う」
「うどん?」
「うぎゃああああああああああ」
 竜児は思いっきり叫び、走り出した。壁にぶつかり、人にぶつかりつつとにかく進む。
「ちょっと、落ち着いて!」
「きゃああああああ」
 従業員が失神して倒れていく。
 竜児はその間を縫ってとにかく走った。
 大河は走りながら失神していく従業員を呆然と見ていたが、とにかく気にしないことに
決めたらしい。またギュッと竜児の手を握り締めて追いかけた。
 暗闇の奥から光が見えて、二人して駆け出す。
 外は一面の夕焼けの世界が広がっていた。
「ぷはああああああ。アハハハハ、はははは。」
 外に出て、大河は笑いだした。おかしくて仕方ない。
「ふぅー、ふぅー」
 竜児は肩を落として、跪いた。
「ったくもう、これだからバカ犬は! あはっは、フフフ。アハハハハ」
 これはきつい。今も竜児は足がガクガク震えてる。
「し、死ぬところだったんだぞ」
「死にはしないわよ」
「ま、まじで怖かったんだぞ」
 竜児はブルブルっと震えてあたりを見回した。
「ほんとに冗談なんだから。まじになっちゃって」
「ふぅー、ふぅー、ふぅー……」
 竜児はむすっとして立ち上がった。ばくばくする心臓を胸の上から必死に押さえて
時計を確認する。帰りの時間まで残りわずかしかない。時間が経つのが意外に早かった。
「はあ。たくよ~」
「ごめんごめん」



667:名無しさん@ピンキー
07/12/09 16:52:57 daSBRxOM
12/13
「もう時間もないし、あと一つぐらいだな」
「……あとは観覧車だけね」
 ちょうど夕焼けと並んだ方向に観覧車があった。まるで太陽が二つあるようだった。
「ほ、ほらまだ怖いんでしょ。手を握ってあげるから」
 大河は竜児の手を取った。
「たく、やめてくれよ」
 竜児は疲れたように言った。言い返す気力ももうないらしい。
「もう終わったことなんだし。さあ、行こう行こう!」
 夕焼けが眩しい。なにかに包まれている気がする。

 観覧車に乗り込んで、二人して夕焼けを眺める。真っ赤な夕焼けに、いつのまにか
仲良く顔を真っ赤にしていた。
「疲れたね」
「なんだかんだで楽しかったな」
 竜児はいままで乗ったのを思い出し、今になってドキドキしていた。
「ふぅー。ふわあああわああ」
 大河はというと、どうやらお疲れのようで、あくびをした。
 竜児もそれに釣られて同じようにあくびをした。
「真似しないでよ」
 ごめん、と竜児は答える。
「でも楽しかった。……今日はあんがと」
「それは良かった」
 夕焼けが暖かい。
「ねえ……竜児」
 ぽつりと大河は口を開いた。
「ん? ……なんだよ」
「ほんとはね。……ほんとわね」
「んん!?」
 大河は薄眼を開けながら言う。
「嬉しかったよ」

668:名無しさん@ピンキー
07/12/09 16:55:00 daSBRxOM
13/13
「ん、あ、ああ」
「それと……ふぅー」
 竜児も眠くてしかたない。あくびをなんどもかみ殺していった。
「……そ……れと」
 まぶたを一回ぱちくりしたときには音はどこか遠くに行っていた。
 ゴロゴロゴロガタガタガタ
 竜児はガバッと起き上がり、周囲を見回した。夕焼けは彼方に移動し、暗闇があたりを
覆っている。それに、降りなきゃいけないところのすぐそばだ。いつのまにか竜児も寝てたらしい。
 大河を見ると、すでに眠りこけているようだった。
「くそ、しかたないな」
 竜児は大河を負ぶってドアの前に立ち、そとに出る。
 時計を確認して、出口の門に向かった。本当はまだまだ時間はあるが、二人が今日遊んでいられる
のはここまでである。やっちゃんもお腹すかして待っているだろう。
「大河、帰るからな」
「すぅー。すぅー」
 大河の鼻息が妙にくすぐったかった。
 出口から出て、電車に乗る。
 空いた座席に上手くすわりこんで二人して肩を並べた。
「これで良いかな」
 眠くて仕方ない。そしていつのまにか竜児も眠り込んでいた。
 肩を寄せ合って寝たのは初めてかもしれない。
 太陽じゃないけど、ぽかぽかして暖かかった。             END

669:名無しさん@ピンキー
07/12/09 17:21:16 S2JMhY/N
ほのぼのしてていいね。
GJ


670:名無しさん@ピンキー
07/12/09 23:04:03 8Z2kU441
おぉ、久々のss!
いやァ良いですねェ、GJ

671:名無しさん@ピンキー
07/12/10 19:05:57 p7gNRrtT
6巻発売記念保守

672:名無しさん@ピンキー
07/12/10 19:37:30 9w3RO+xT
あと4時間半…


解禁と同時に話しに花を咲かせたいヤツはいないか?

673:名無しさん@ピンキー
07/12/10 22:05:40 6VHT2rt/
Amazonで注文した俺は負け組w
明日発送、着くのは明後日orz

674:名無しさん@ピンキー
07/12/11 05:48:55 z093qA0T
とりあえず好感度が
みのりん>>兄貴=たいが>>>>>あみになった

675:名無しさん@ピンキー
07/12/11 07:27:18 H9eVzE2B

日が暮れて、紅に染まる教室。廊下からは微かな生徒たちの声が聞こえ
校庭からは部活動に勤しむ立派な少年少女たちの声が聞こえる

「おぅ…」

目に写る朱に染まった教室を眺め、高須竜児は唇の端を上げて声を漏らした
決してこれからこの教室を破壊と混沌に沈めようなどと思ってるわけではない
自らの手によって生まれ変わったこの教室を眺め、にやけていただけだった

始まりはLHRを終えた後の清掃の時間。教室を割り当てられた竜児は、いつにもまして邪悪な笑みを浮かべていた
証拠が残らずアシもつかない殺しの仕方を思いついて歓喜しているのではない
たった1日で汚れてしまった学び舎を綺麗に出来ることに至福を感じているだけだ
机が片付けられ、箒、雑巾の順で順調に床のゴミが払われていく
だが竜児は見つけてしまった。教室の隅に、端に
竜児にしかわからない程度にゴミが堆積していることに

(塵も積もれば山となる…ゴミも積もれば核となり、地球はやがて死の星に…)

いろいろとぶっ飛んでるが、地球環境愛好家を自称する竜児にとって、それは決してあってはならないことだった
他人からみて不気味をしかとれない笑みで掃除を続けていた竜児が止まったことで、他の面々も思わず止まる

「た、高須が止まった…」
「活動限界か?」
「ピクリとも動かない…」
「どうする? 俺たちはどうすればいい…?」

ひそひそと聞こえるクラスメイトらの呟きも、今の竜児には届かない
心の奥に密かな決意を秘め、竜児は清掃活動に復帰した
動き出した竜児に他の面々も安堵し、教室の掃除は滞りなく終わった



676:名無しさん@ピンキー
07/12/11 07:52:27 H9eVzE2B

他の掃除場所から戻ってきては荷物とともに出て行く生徒らをしり目に、竜児は行動を開始した
北村は生徒会。大河は部活が休みになった実乃梨とデート。亜美は仕事
高須竜児と何かと縁のある面々はそれぞれの用事ですでにいない
放課後の2年C組に残る生徒は竜児のみ。その竜児は、万能高須道具No.1<高須棒>を手に
教室の隅を回っていた。高須棒は見る見るうちに溜まったゴミをかきとっていく

「ふふふ……」

不気味かつ恐怖の笑みを浮かべた竜児を止められるものはもはやいない
教室をぐるりと回るように、鼻歌さえ歌ってしまいそうなほどご機嫌な様子で高須棒を滑らせていく
水で濡らして固く絞った雑巾でもう一周。仕上げに渇いた雑巾でもう一周
全ての作業を終えたとき、竜児は真っ赤に染まった教室の真ん中で光悦の表情を浮かべていた
真っ赤になってるのはすでに日が暮れているからであり、竜児はただやり遂げた満足感で笑ってるだけなのだが
決して血の海と化した教室で魔王のごとく高笑いしているのではない

「おぅ…もう夕方か。早く買い物して帰らねば…」

腹をすかせた凶暴凶悪肉食獣に自分自身を喰われかねんと、鞄を取った竜児の背中に
とすん、とやわらかい感触と決して苦しくない重みが加わった
背中に押し付けられる柔かなふたつの感触。それがなんであるかなど言うまでもなく
またそれを感じて顔を朱に染めない男がこの世にいるのかなど言うまでもないのだが
男の幸せ絶好調にあるはずの竜児の顔は、青から白に変わっていく

「お、おぉ……」

絞まってる。入ってる。決まってる
竜児の背中に乗りかかる人物の腕が、ものの見事に竜児の頚動脈を締めていた

「だーれだ…?」

耳元で囁かれた女子特有の甘くやや高い声に、竜児の頭は脊髄反射で答えを導き出した
だが答えが分かっていても、息ができないのだから喋れるわけがない

「ほらほら、早く答えないと死ぬぞ?」

だったらこの腕をなんとかして頂きたいと決死の力を振り絞って、ギブアップの意思表示
タップタップと、ギリギリと力の込められた腕を叩く

「もうギブアップか。だらしのない男だな」

するりと解かれた腕から残像さえ残りそうな速さで逃げ出した竜児は
息ができるということがどれだけ幸せであることなのかを改めて感じていた
荒い息を何とか整え、小馬鹿にしたような笑みを浮かべたその人物を恨めしそうに睨みつける

「いきなり何するんですか…先輩」
「スキンシップだ。わからなかったか?」
「人をたやすく殺めてしまえるものをスキンシップとは言いません」
「大丈夫だ。お前はそう簡単には死なないだろう」

本心から言ってるのか笑ってそう言いきったのは、この学校で知らぬものなどいない有名人
才色兼備、完全無敵、完璧超人こと、生徒会長・狩野すみれ兄貴だった

677:名無しさん@ピンキー
07/12/11 08:15:34 H9eVzE2B

紅色に染まった教室に、今2人の人物が向かいあっていた
その組み合わせは誰がみても驚く以外のリアクションなどとれはしまい

「…生徒会、もう終わったんすか?」

片や学園最狂の顔を持つ『超ヤンキー』こと高須竜児

「大きな行事も控えてないからな。細かいことは北村に押し付けてきた」

片や学園最強の呼び声高い、『無敵の生徒会長』こと狩野すみれ

誰がみても、両者に共通点など見つけられるはずもなく、ただ首をかしげるしかないのだが
本人たちにしてみれば、2人でいることなどまったくもって『ごく自然なことなのだ』

「押し付けてって…生徒会長がそれでいいんですか」
「後輩を鍛え上げるのも先輩の務めだ。それに無理矢理押し付けたわけじゃない」

あぁ、それはわかると竜児は思った。あの北村のことだ、すみれが半分冗談で「やっておけ」といったのを
それはもう喜んで任されたのだろう。この生徒会長を崇拝する親友のいい顔を、竜児はたやすく思い浮かべることができた

「で、お前はなぜここにいる。もうとっくに帰っていてもいい時間だろう」
「俺は…」
「いや、いい。どうせお前のことだ。教室の端に溜まったホコリを
1人で掃除してたら日が暮れてしまったんだろう」
「……」

竜児は頷いた。というかこの人はなぜさも見ていたかのようにずばりと当てられるのだろうか
竜児が思考に沈んだ一瞬の間に、すみれは再び竜児の背中に回りこんだ
そのまま躊躇うことなく竜児の背中に抱きつく。ただし今度は首はしめずに優しく腕を回す



678:名無しさん@ピンキー
07/12/11 08:50:10 H9eVzE2B
「せ、先輩……」
「なんだ、竜児」
「っ……!」

耳元で名前を囁かれ、竜児の心臓は一気に跳ね上がる。すみれの声が、息が、竜児の心をハートブレイク
そしてさっきは余裕がなかったために気付けなかったふたつの柔らかい感触は体中の血を沸騰させる

「ちょ…せん、ぱい…」
「私は竜児と呼んだ。なら、お前も言うべき言葉は分かってるはずだが?」
「んな……」

それは2人だけの約束。2人きりで居るときは、どちらかが名前で呼んだならもう一方もそれに習う
竜児はバクバク煩い心臓もチカチカする視界もオーバーヒート寸前の頭も気にならない
ただ一言。その一言を言うのに、体中のエネルギーを使わなければならない

「す、すみ…」
「ん…? はっきりいってくれ、竜児」
「すみれ、さん…」

もはや林檎やトマトを通り越して溶岩のような色になってしまった竜児をみて、すみれは笑う
竜児は気付かない。気付く余裕などないのだから仕方がないが
すみれの頬も、赤みを帯びていることに。その笑顔は、まさしく恋する少女の笑みであるということに

「全く、これくらいで照れるな。気持ち悪いぞ」

そんな心を隠すためか、はたまたホントにそう思っているのかはわからないが
すみれのそれは竜児のハートを掘削機で粉々に打ち砕いた

「気持ち悪いって…普通言わないですよ」
「なぜ? 私がそれを竜児に言うののどこが変なんだ?」
「そりゃ、俺たち、は、その…いわゆる……」
「ん? 私とお前の関係はいわゆるなんなんだ?」

またしてもすみれの罠に嵌まったことにようやく竜児は気付く。これはやばい。やばいといったらやばい
口ごもる竜児をすみれは心底嬉しそうに見続ける。彼女の趣味には『竜児いじり』なるものが存在するのだ

「その、こ、こいび、と、じゃないですか…」

ぼそっと、本当に小さな声で呟かれた言葉。それを発するのに竜児がどれだけの気を消費したかは推して知るべし
だが、竜児の決死の覚悟もすみれの悪戯心には勝てなかった

「悪いが聞こえなかった。もう一度、はっきりと、聞こえるように言ってくれ
なに、生徒などもうほとんど校舎に残っていまい。さぁ、思い切って言ってみようか」
「―――っ!」

甘く囁かれる悪魔の声。竜児は思う。人は、恥かしさで死ねるのだと


679:名無しさん@ピンキー
07/12/11 08:50:47 H9eVzE2B

ぷつん、と竜児の中で何かが切れた。何かは分からないがとにかく大切な何かが切れた
肩から垂れる白く細い腕をぐいっと引張り、すみれを正面から見つめる

「り、竜児…?」

いつもと違う彼氏の態度にすみれは焦る。怒らせたか? 嫌われた? それは困る。非常に困るのだ

「あ、あの……」
「すみれ」
「――!!????」

すみれ、と名前を呼ばれた。呼び捨てで。『さん』をつけてでさえ顔を真っ赤にしていた竜児が、だ
すみれの顔が一気に赤く染まる。心臓が煩い。胸を突き破って出てきそうなほどに高鳴っている

「俺は、すみれの彼氏だ。だから、恋人のすみれからそんなこと言われると、辛い」
「あ、あぁ、うん。その…ごめん」
「冗談だってわかってても辛いから、できれば少し手加減してほしい」
「うん、わかった…」

すみれはただ頷くしかできなかった。初めてみた、男らしい竜児の姿
いつも自分にからかわれ、あたふたして、顔を真っ赤にする竜児がすみれは好きだ。可愛いとさえ思えるほどに
だが、この男らしい竜児を目の前にして、心臓がさっきから大変なことになっている
…なんだ、とすみれは思う。つまりは、とても簡単なことなのだと

「ん……」
「………」

すみれが動いた。顔を少し前にだしたあけで、2人の唇が重なる。竜児の唇は以外と柔らかかった
ほんの数秒足らず。夕焼けに染まる教室でかわした、初めてのキス

「竜児、喜べ。私は、どうしようもなくお前の事がすきなようだ」

世界中探しても、これほど綺麗な笑顔などこの世にはないのだろう
そう思わせるほどに、すみれの笑顔は美しく、艶やかで、可愛らしく、愛しかった
だというのに、竜児は何の反応も示さない。目を開けたまま固まっている

「竜児? どうし…」

バタン、と竜児が倒れた。完全にブレーカーが落ちている。先程のキスは竜児の意識をたやすく刈り取っていた
さっきまでの男らしさはどこへやら。すみれはこぼれる笑いを止められなかった

「あっはっはははは! そうそう、竜児はそうでないとな!」

誰も居ない教室で、倒れた少年と腹を抱えて笑う少女。そんな不思議な光景は、それでも幸せに満ちていた





680:名無しさん@ピンキー
07/12/11 08:52:03 H9eVzE2B

新刊を読んで兄貴に萌えて一気に書いてみた。とりあえず後悔はしていない
お目汚し失礼しました。こんなものでも喜んでくれる人がいればうれしいです

681:名無しさん@ピンキー
07/12/11 09:39:24 z8LlW+Cg
うわぁ………、お前………。

GJ! 家に来てオレのタラスパをファックしていい!

682:名無しさん@ピンキー
07/12/11 11:00:18 0Db6cw3J
GJ!!

sageてくれたらもっと嬉しかった!!

亜美も色々だな…
大河に気を使ってアピール出来なかったみのりんにエールを送ろうとしたら、嫉妬で違うこと言っちゃった…て感じかな?

竜二がみのりんのことが好きってわかってるからこそ、自分の気持ち閉じ込めてたからなぁ

683:名無しさん@ピンキー
07/12/11 15:03:44 z093qA0T
なんでこう


主人公はモテるんだ


あの好きだ発言から兄貴が出発するまでまだ時間があった
つまりまるおと……わかるな?

684:名無しさん@ピンキー
07/12/11 19:01:24 vb59vPAf
>>680のせいでニマニマが止まらない件について。
gj.

685:名無しさん@ピンキー
07/12/11 22:34:19 +2/LzD4L
新刊で兄貴の非正規カップリングは非常にハードルが高くなった気がするな。

……カラーの制服姿の独身に不覚にもときめいてしまった。ロリコンだった筈なのに。

686:名無しさん@ピンキー
07/12/11 22:44:53 rn9WkDLU
おいおいおい、なんなんだ、この自然な描写は。
はっきり言って全く想像した事のないカップリングにも関わらず、
状況が鮮明に浮かぶじゃないか。
一言で言うと、GJ。

687:名無しさん@ピンキー
07/12/12 07:21:14 Mf12jYQn
ふと、ゼクシィのページをパラパラめくりながら
ニヤけてる独神を受信した。

688:名無しさん@ピンキー
07/12/12 15:10:15 HyAnY8I7
開始40ページでニヤニヤが止まらないわけだが。独身とかすごいぞーかっこいいぞーのあたりで

689:名無しさん@ピンキー
07/12/12 18:36:55 0sv57htL
>>680
GJ! 極々自然な感じでいいねぇ
大河が知ったらシャレにならない真似をしそうだwww

690:名無しさん@ピンキー
07/12/12 23:56:50 1u8gKlOF
(亜美、竜児)、+その他

『クリスマス side-Ami』
1/5
「あ、竜児。おっそ~い」
 亜美は彼に駆け寄った。
「そんなこと言ったって」
 竜児は困った顔を見せる。目線を彼女から逸らし、少し顔を
赤くした。
「やっぱりやらなきゃいけないのか?」
「五分遅れたんだし、ば、罰として。一回キスだよ」
 いままでのを数えてこれで三回目のキスになる。亜美と付き合い
だしてからというもの、ことあるごとに彼女はキスを要求してくる。
竜児にとっても断るわけにもいかなく、むしろしたい方であるのだが。
如何せん、それが公衆の面前だったりすわけで、竜児は逃げ回っていた。
 それで仕方なく、亜美は約束を破ったら、ということにしてくれた。
「ほら。……は、早くしてよ!」
 それでも竜児は恥ずかしくて仕方ない。でも、逃げられないようにすでに
腕を掴まれている。周りを見回し誰もいないのを竜児は確認すると、彼は
観念して亜美を抱きしめた。
 ビクッと彼女が肩を震わせたのが分かる。なんともいじらしくて可愛い。
「いくぞ」
 白い吐息がかかるほどの近くで彼は言った。
「うん」
 亜美はそっと背伸びをする。
 竜児はそこに顔を近づけ、
「ん……」
 キスをする。
 時間のはほんの数秒間。
 でも二人には長い長いひと時だった。
 合わさった唇。
 白い吐息がより白く。

691:名無しさん@ピンキー
07/12/12 23:58:51 1u8gKlOF
2/5
 二人はそっと離れ胸の前に手を置き、気持ちを落ち着かせる。
「……遅刻しちゃうから」
「そうだな。行こう行こう」
 ふとなにげなく竜児は空を見上げた。
 雲で覆われた空は白からしだいに濃い鼠色に変わっている。
「雪、降ると良いよね」
「クリスマスだもんな」
 せっかくのクリスマスなのに、と亜美は小声で続ける。
 今日は急きょ学校でクリスマス会を開くことになったのだ。それは、春田の思いつきの
発案で、独身でさびしいだろうというゆり先生を励まそうという企画らしい。本人いわく、
冗談だったらしいが。ゆり先生はそれを聞くやいなや号泣しはじめ、泣き崩れたのだ。
その後先生は笑って、別に良いから、とは言うものの。あれは絶対マジ泣きだったと
竜児は思ってる。結局クリスマス会を学校で開くことになったのである。
 だから今日は半日の授業を終えていったん帰宅し、また学校に集まることになったので
ある。
「寒いね」
 亜美はかじかんだ手を擦り合わせている。
 竜児はそこにそっと手を差し出し、
「手をつ、つなごうぜ」
「……ありがと」
 手と手を合わせて体温を通わせる。最初はそ~っと、でも掴んだら二度と離さないように
ギュッと握り締めた。なんだか心の奥から身体がポカポカしてくるようだった。
「ゆり先生に渡すプレゼントをちゃんと持ってきた?」
「ほら、忘れるわけにはいかないしな」
 竜児はポケットから包装された小箱を取り出して亜美に見せた。
「私もほら」
 亜美も大事そうに小箱をポケットから取り出して見せる。
「これでなんとか大丈夫だな」
 竜児は満足げに言った。
 家にあるものでもなんでも良いから、とにかくプレゼントしてあげようということで、
いまさっきまで用意してたのだった。
 これでゆり先生は喜んでくれるに違いない。
「タイガーにも一応言っといたけど、どうかしらね」
「まさか、忘れてるんじゃ……」
「もう、せっかく二人の時間なのに」
「いや、その、ごめん」
 竜児は困ったように目配せする。


692:名無しさん@ピンキー
07/12/13 00:00:56 1u8gKlOF
3/5
「プー、アッハッハッハッハ」
 亜美は突然笑って、言った。
「ジョーダンよ冗談。……それにそんなことで怒らないし」
 竜児はまたか、とうなだれた。
「ごめんごめん。……ほらほら、みんな待ってるかもしれないし、行こうよ」
 亜美に引っ張られて竜児も走る。
 走ってる途中で頬になにかが当たった。冷たかった。たぶん今夜は雪だ。

 2-Cの教室に入ると、すでにほとんど準備出来てるみたいだった。黒板の上には
【クリスマス会】と書かれた横断幕があり、壁にはキラキラ光る装飾品と、教室の真ん中
には小さいけど立派なクリスマスツリーが飾ってある。それと机もいくつかグループに
分けられ、上にはお菓子とちょっとした料理が乗っていた。準備万端。後ろから遅れてきた
幾人かも教室に入ったところでライトが消される。どうやら全員集まったらしい。
「始まるね」
「先生、さっき泣いてたぞ……」
 教卓の電気が付き、その下には先生と、サンタに扮したみのりん、大河、それと鹿に扮した
北村が居た。
「それでは前置きをなしにして」
 マイクを持った北村は周囲を見回し、
「それでは、ゴー!」
「わーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 電気がぱぱっと付いたところでクリスマス会は始まった。
「お~いばかちーに竜児!」
「あーみんに高須くん。えーと、おめでとう!」
「ふん! あんたたちも案外言うじゃない。……あんがと」
 大河は竜児に近づき、ひじでツンツンしたところで、
「どーよ、しっかりやってるの? ばかちーの世話?」
 いつになく大河はニヤニヤ笑いながら言った。
「しっかりお世話になっています」
「世話じゃねーだろ、ったく」
「おーーー」
 みのりんは満面の笑みで拍手をする。
 大河はヒューヒューと言ったあと、
「お暑いことで、冬も忘れちゃうなこりゃ」
「ま、まぶしすぎるぜコンチクショー」
 二人は二人になりに祝福してくれるらしい。それは本当に嬉しかった。
「ほら、みなさいよ」
 がしっと竜児の手を掴んで亜美は彼を引き寄せる。
「お、おい。やめろって」
 竜児は真っ赤になって困惑する。亜美は亜美で耳を真っ赤にしていた。
「ねえみのりーん」
「ん、なんだタイガー」
「せっかくの二人の邪魔しちゃ悪いし、あっち行こうぜ」
「そうだな、タイガー」
 二人は答えることなく違うグループに行ってしまった。


693:名無しさん@ピンキー
07/12/13 00:02:58 1u8gKlOF
4/5
 掲げた手をどこにどうするか思い浮かばいようで、亜美と竜児は顔を見合わせた。
「ど、どうしようか」
「先生にプレゼントを早く渡して、外出てようぜ。屋上とか」
「それ良いね。さっさと済ましちゃおう」
 なんとなく手を離し辛いので、このままにしておくことにする。
 先生は黙々と、涙を流しながら食べていた。周りの同級生たちも困ったようにそれを
見ている。話しかけられる雰囲気じゃない。
「どうする?」
「せんせい。……先生! 先生先生先生!」
「んむ。あ、お二人さんじゃないですか」
 そんな眼で見つめないで欲しい、と竜児は思う。手を繋いでいるところが気になる
のだろう。竜児は居心地が悪くて亜美を見るが、彼女はそんなこと気にしてないよう
だった。猫かぶりはいまだ健在である。
「先生にプレゼントです。はい」
 竜児も亜美に促されて、先生の手の上に小箱を置いた。
 さっそく先生はそれを開ける。
「あ、あありがとう」
 先生のろれつの回らない声がたりに響いた。
 竜児のプレゼントは料理に使うタイマー。亜美のプレゼントはまだまだ勝負は始まった
ばかり、と書かれたカードと化粧品だった。
「先生は嬉しくて死にそうです」
 良かったね、と二人顔を見合わせる。
 竜児はどうもいたたまれない気持ちになって亜美の手を引っ張り、そのまま屋上に向かった。
 屋上にはうっすらと雪が積もっている。空は真っ暗闇で、ライトが映す小雪は幻想的。
 吐く息はとても白くて。二つの影が屋上からはみ出ていた。
「キレイだね」
「こういうのも良いな」
 竜児は亜美の肩にうっすらと積もった雪を払った。しかし、すぐにまたうっすらと
積もっていく。
「別に良いよ。ありがと」
 そう言うと、亜美は背中に抱きついた。
「あったか~い」
「……ここに居ても寒いし、戻ろうか」
 しかし、亜美は背中越しに首を振って言った。
「もうちょっと居ようよ」
「ああ」
 雪が降り積もっていく音がしだいに大きく聞こえ始めたころ、亜美は口を開いた。
「私たち、対等になれたよね?」
「なんだよいきなり」


694:名無しさん@ピンキー
07/12/13 00:04:59 1u8gKlOF
5/5
 竜児は肩をすくめて、彼女の次の言葉を待つ。
「対等だよね。私の考え、間違ってなかったよね?」
「…………」
 竜児は押し黙り、思案を見せる。
「ねえ、なにか言ってよ。不安なんだよ」
 それでも竜児は答えない。
「ねえなにかいってよ!」
 答えるのは雪の音だけ。
「バカバカバカ!」
「あのなあ、亜美」
「な、なによ?」
 竜児の声は低く冷たい声で、そのときは怖かった。
 彼をさっと回り、亜美を正面から抱きついて言った。
「んなこといちいち考えんな。ほら、証明してやるよ」
 亜美の熱のこもった涙を拭い去り、言った。
「キスだ」
 はじめはそっと。次は少しずつ少しずつ押し付けていく。
 二人の顔には笑顔が広がっていく。
「んん……はー。はー」
 亜美はそっと離れて笑って言った。
「竜児、大好き」
「お、俺も」
 竜児は深く息を吸い。
「亜美、好きだ」
 真っ暗闇の空に、二人の思いは溶け込んでいった。
 溶けてが積もり、溶けては降り積もり。何度でも繰り返せば良い。
 だって彼らには深い思いがあるんだから。
 竜児は彼女の手を、始めから強く握り締めていた。           END

695:名無しさん@ピンキー
07/12/13 01:59:39 tzbEXP5R
あー兄貴をグチャグチャに攻めて屈服させたいなあ

696:名無しさん@ピンキー
07/12/13 20:58:08 c652rV6B
>>695
兄貴 に一致する日本語のページ 約 5,830,000 件中 1 - 50 件目 (0.17 秒)
関連検索: 超兄貴, 兄貴の館, プロシュート兄貴, 兄貴と私, ハンサム兄貴, 六尺兄貴

どの兄貴にグチャグチャに責められたいんだい?

697:名無しさん@ピンキー
07/12/13 21:44:01 8pfeu+Cn
>>694
こいつぁまた…
半端無い甘さっていうか…
ギリギリ狙いっていうか…
なんかすごいね。
乙、です。


698:名無しさん@ピンキー
07/12/14 00:29:39 DOkYYM7k
>>694
 GJ! つうか先生がかわいそうでなぁ。

>>696
エルメェス兄貴で。

699:名無しさん@ピンキー
07/12/17 12:26:05 ZLn843N6
保守age

700:名無しさん@ピンキー
07/12/17 14:50:08 SLnl8pOT
6巻読んで思ったんだが、まるお→←兄貴なんだろうか?
みのりん→←竜←あみたんとか


701:名無しさん@ピンキー
07/12/17 18:30:44 pyTp/vhF
裸族→←兄貴←さくら←幸太
とみた

702:名無しさん@ピンキー
07/12/17 21:57:35 IYwBEvv5
兄貴がアメリカに行ってしまって両思いとはいえ恋も終わって失意の裸族を麻耶が体で慰める、
という展開のSSを探しているのですが、どなたかご存知ありませんでしょうか?

703:名無しさん@ピンキー
07/12/17 22:18:13 loOtj96f
You書いちゃいなよ

704:名無しさん@ピンキー
07/12/19 00:33:25 nQw+w43B
いつものあーみんの挑発に竜児がかっとなって押し倒しお互い引っ込みがつかなくなってつい、
というシチュエーションのSSを探しています

705:名無しさん@ピンキー
07/12/19 00:38:31 MFsCd/FK
>>704
>>703

706:名無しさん@ピンキー
07/12/21 13:30:29 qKG+V4+9
恋するみのりんはせつなくて竜児を思うとすぐえっちしてるところを大河に見つかってくぁwせdrftgyふじこ
っていうSSを探しているのですがドコにも見つかりません!誰か見たことありませんか?


707:名無しさん@ピンキー
07/12/21 17:02:53 Ya0h6T9o
それはみたことないけど
>>706が業を煮やしてそのシチュエーションで書く未来は見えるよ

708:名無しさん@ピンキー
07/12/25 23:45:06 k1UXGcQw
保守

709:名無しさん@ピンキー
07/12/26 16:02:59 b/eKMGcw
ほす

710:名無しさん@ピンキー
07/12/26 19:14:46 wsR+FrcV
保守

711:名無しさん@ピンキー
07/12/26 20:38:55 wsR+FrcV
保守

712:名無しさん@ピンキー
07/12/27 22:53:18 8CnE5A+9
オナテクとか荒しひどかったらしい
ここが生き残ってて嬉しいよ



はいいとして今回のコミケにゆゆぽモノは何かありますか?

713:名無しさん@ピンキー
07/12/28 17:21:39 ivavitAH
保守

冬コミ行ければ探してくるんだがいかんせ年末は・・・

714:保管庫”管理”人 ◆Dash///1.k
07/12/29 13:10:27 SQwitmp3
保管庫を更新しました。
また来年もよろしくお願いします。
それでは

715:名無しさん@ピンキー
07/12/29 17:29:48 XKNMeIA6
>>714



716:名無しさん@ピンキー
07/12/29 20:39:48 /U0cIXO0
>>714
お疲れ様です、よいお年を

717:名無しさん@ピンキー
07/12/29 23:09:20 XKNMeIA6
別のスレでTamuraDaysと瓜二つのSSが投下されている件について……


718:名無しさん@ピンキー
07/12/30 11:37:14 HKBZ4H9E
>>714乙です

実物を見てないからどのくらいにてるのかとか解らんのでなんとも言えんが
TamuraDaysの人はトリつけてたから本人確認は簡単に出来るはず
何にしてもここが荒れることは避けたい

719:名無しさん@ピンキー
07/12/30 13:45:21 6W6bQzj2
えっと似ているところは
ヒロインが勝手に合鍵つくって忍び込んだり、
盗聴機を設置したり、
オナニーティッシュを盗んだり、
その盗聴機から別の女の名前を呼びながらオナニーしている主人公がいたりしてる。
ちなみにトリはついてなかったら何とも言えんけど……
荒れそうだから作者本人かどうか判断できない以上スルーしたほうがいいんかな?


720:名無しさん@ピンキー
07/12/30 21:02:36 ZZKlV8nz
ブームで、嫉妬系やヤンデレ系の作品が沢山作られて
その中で、ヒロインの行動として、いわゆるお約束的なものがパターン化してきている。
(他でいえば、主人公を監禁したり、ヒロインが自分の一部を主人公に食べさせたり)
挙げられているような行動も、そういう「よくある」もので
tamuradaysの作者さんの独創によるものでもないと思うよ。

ただ、あまりにも被ったり、細かい描写などが一緒だったりすれば
やっぱりパクリというのもあるだろうけど。

721:名無しさん@ピンキー
07/12/30 22:01:09 6W6bQzj2
いやぁ、何か殺伐とした雰囲気にしてしまって申し訳ない。
だけど読んでみるとわかると思うんだが、思いっきりまるまるコピーみたいなシチュだったからついカッとなってしまった。
マジで荒れそうなんでもうこの話やめときますね。

722:名無しさん@ピンキー
07/12/30 22:40:18 XzUfKRSa
>>721
いやぁ、何か殺伐とした雰囲気にしてしまって申し訳ない。
マジで荒れそうなんでもうこの話やめときますね。

謝るだけなら2行目は不要。
最後にするつもりならつまらない嫌味や言い訳はしなくていい

723:名無しさん@ピンキー
07/12/31 14:11:34 85QjYNL0
さて最近の大河はヤンデレ的にいい素材だと思うのだが

724:名無しさん@ピンキー
07/12/31 15:32:15 iWpuplyz
ヤンデレヤンデレうるせーよ糞ども

725:名無しさん@ピンキー
07/12/31 16:42:37 9REkz5Y+
(´_ゝ`)<自治房のつぎは荒らしかよ

726:名無しさん@ピンキー
08/01/01 02:28:22 aR50mKeL
あけましておめでとう

727:名無しさん@ピンキー
08/01/01 03:20:58 RoJpNKiy
あけおめ
ことよろ

高須家のおせち食いたいな

728:名無しさん@ピンキー
08/01/02 01:07:24 7anvyvmM
>>727
・お正月向け食材が高くなるクリスマス後を避け、早めに買い足す高須
・年末の大掃除に気合いを入れる高須
・↑に対し「いつもあれだけ掃除しておいて今さらどこ掃除するつもりよ」とつっこむ大河
 及びそれに鬼気として(誤字にあらず)説明する竜二、引く大河

までは受信した

729:名無しさん@ピンキー
08/01/02 02:59:14 GGTEi5xx
>>728
さあ、今すぐそれを筆に起こす作業に戻るんだ。

ところで、みのりって竜児のことなんて呼んでたっけ?
「高須君」?それとも普通に「竜児」だっけか?
ぴらぴらと流し読みしたけどいっこうに見つからねぇorz

730:名無しさん@ピンキー
08/01/02 06:23:06 tgYXM4PM
>>729
たしか「旦那様」だった気がする

731:名無しさん@ピンキー
08/01/02 10:53:20 Zjg8EE3o
ご主人様って言ってる

ソースは俺の妄想

732:名無しさん@ピンキー
08/01/02 10:56:01 QwNI4xzq
たまに変な呼び方をするが基本的に高須君。
たしか9巻から「竜児」になって32巻で「お父さん」
80巻で「おじいさん」になっていたはず

733:名無しさん@ピンキー
08/01/02 11:53:11 QyGtZ5Ft
80巻ってお前w

734:名無しさん@ピンキー
08/01/02 22:56:33 mIk2kf4i
おいおい、67巻でちょっとした喧嘩で「おたく」になってたのを忘れるな

735:名無しさん@ピンキー
08/01/03 01:28:19 NEVm0tP0
十巻の百八ページの「りゅうちゃ~ん」を忘れるな、俺的ベストワンなのに

736:名無しさん@ピンキー
08/01/03 10:52:27 hH6QBazU
おまいらそれで話書いてくれよw

737:名無しさん@ピンキー
08/01/03 12:09:25 RkI//FMS
>>736
むかしむかし、ある所におじいさんとおばあさんがおりました。
六つ子と12人の美孫娘と19人の美ひ孫娘に恵まれ大層幸せな日々を送っておったそうな。

ある日、おじいさんは厨房に調理に、おばあさんは買い物に出かけることになりました。
トタタタタトタタタントタタン
「さすが竜児さんだべ、味皇グランプリ連続60回制覇は伊達じゃねぇべさ」
今や街の名物となった神速と呼ぶに相応しい包丁捌きの音が今日も響き渡ります。

タタタタタタタタタタタタッ
「この音は実乃梨さんだべか?女だてらにメジャーリーグ盗塁王連続30回は伊達じゃねぇべさ」
今や街の名物となった老女らしからぬ軽快すぎる走りは皆の目には留まりませんでした。

昨日も今日も明日も明後日もふたりはとても元気です

738:名無しさん@ピンキー
08/01/03 21:56:07 j8EZNpEQ
>>737
これはGJせざるをえない

739:名無しさん@ピンキー
08/01/04 18:39:01 QLQ+HW2a
今月ガオの大河がやたら可愛い件について

740:名無しさん@ピンキー
08/01/04 18:44:57 C6kYb+9U
ちょっとデレさせ過ぎのような気もするけどなw

741:名無しさん@ピンキー
08/01/04 19:01:58 QLQ+HW2a
本編ではあんまりデレデレしてるっていう構図ないから自分としては差分できていい感じなんだw

三巻ラストなんか楽しみで仕方ないZE☆

742:名無しさん@ピンキー
08/01/04 21:44:31 Dg8vV7x9
暇つぶしに春田×独神でも書いてみる。
二週間程待っててくれ。携帯で凄まじく遅筆なんだ。

743:名無しさん@ピンキー
08/01/04 21:59:22 PZjBM5ou
実際の力量も知らずにイメージだけで言っているが
携帯+遅筆宣言+小説だとスイーツ(笑)な展開になりそうで怖いんだ

744:名無しさん@ピンキー
08/01/04 22:20:08 Dg8vV7x9
うん…気をつける。
一応ヒエロの予定で

745:名無しさん@ピンキー
08/01/04 23:07:22 C6kYb+9U
つか最近よく見るけどその「スイーツ(笑)」って何よ?

746:名無しさん@ピンキー
08/01/04 23:12:14 9JX36/c5
ググれ

747:名無しさん@ピンキー
08/01/04 23:21:45 C6kYb+9U
いや洋菓子をスイーツなんて言っちゃう層がどうとかって意味は知ってるのよ

こことかラ板とかでの>>743みたいな用法がよくわからん

748:名無しさん@ピンキー
08/01/04 23:25:20 9JX36/c5
恋空(笑)
ケータイ小説(笑)

749:名無しさん@ピンキー
08/01/04 23:33:12 C6kYb+9U
あーなるほど
 洋菓子をスイーツなんて言っちゃう層=ケータイ小説とか読んでる層
ってある意味ちょっと乱暴な決めつけに基づく派生的な用法ってわけねw

サンクス

750:名無しさん@ピンキー
08/01/04 23:42:48 PZjBM5ou
>ID:C6kYb+9U
──アタシの名前はユリ。心に傷を負った女教師。モテカワスリムで恋愛体質の愛されガール♪
アタシがつるんでる生徒は援助交際をやってそうなアミ、学校にナイショで
キャバクラで働いてそうなミノリ。訳あって不良グループの一員になってそうなタイガ。
 生徒がいてもやっぱり学校はタイクツ。今日もタイガとちょっとしたことで口喧嘩になった。

中略

男はハルタ病だった。連れていかれて洗脳された。「キャーもっとやって!」チャーハンを食べた。
「ガシッ!ボカッ!」アタシは死んだ、精神的に。スイーツ(笑)

こういうのが来そうでちょっと怖いと言う意図で

751:名無しさん@ピンキー
08/01/04 23:47:20 C6kYb+9U
この上なくわかりやすい実例サンクスw

752:名無しさん@ピンキー
08/01/04 23:53:36 PZjBM5ou
冷静に考えるとスイーツ(笑)よりは春田のほうがマシだな。
もし春田が♀だったらやっちゃんとは違った意味で天然入った可愛い女子になってそうだし


                  マチクタビレタ~
      ☆ チンチン〃   Λ_Λ   / ̄ ̄ ̄ ̄
        ヽ ___\(\・∀・) < ♀春田のSSマダー?
マチクタビレタ~ \_/⊂ ⊂_ )   \____
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /|
       | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  |   マチクタビレタ~

753:名無しさん@ピンキー
08/01/04 23:54:18 PZjBM5ou
冷静に考えるとスイーツ(笑)よりは春田のほうがマシだな。
もし春田が♀だったらやっちゃんとは違った意味で天然入った可愛い女子になってそうだし


                  マチクタビレタ~
      ☆ チンチン〃   Λ_Λ   / ̄ ̄ ̄ ̄
        ヽ ___\(\・∀・) < ♀春田のSSマダー?
マチクタビレタ~ \_/⊂ ⊂_ )   \____
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /|
       | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  |   マチクタビレタ~

754:名無しさん@ピンキー
08/01/05 16:08:29 pFZxha3d
>>751
スイーツ(笑)で終わる携帯小説のテンプレみたいなやつ(>>750もその改変)があるんだ
>>743がいってるスイーツ(笑)はたぶんそれのことで>>749とはちょっと違うと思うぞ

755:名無しさん@ピンキー
08/01/05 16:32:31 VFEGikjU
そうなんだ
でなんでこのテンプレ最後唐突に「スイーツ(笑)」で終わってるの?

756:名無しさん@ピンキー
08/01/05 16:35:32 LPY/kyyj
スイーツ(笑)層向けの小説(笑)って意味だから749であってるっちゃあってる

757:名無しさん@ピンキー
08/01/05 22:21:14 wV6UGZiu
>>755
あの唐突なスイーツ(笑)が笑いどころ

758:1/3
08/01/08 17:56:58 h626AY8a
SS書くのは初です。ここを知ったのも数日で
倉庫を全部見てないのでネタ被っていたらスンマセン。ついでにエロくもなし。
文字量もわからないので三回に分けておきます。


「竜ちゃんおみやげだよ~。早く着てみて~」
「なあ泰子……俺はこの手のものはいらんと口を酸っぱくしてきたはずだぞ」
「なになに? 何が入っているのよ!?」
母・泰子から受け取った紙袋の中身を一目で察した俺は、横で紙袋の中身を覗き込もうと
背伸びしたりピョコピョコ飛び跳ねる大河を視界に入れつつ嘆息した。

仕事帰りの泰子がおみやげを持ち帰ってくるのは別段珍しいことではない。
店で客が注文したにもかかわらず酔っていたため手付かずに残った料理。
仕込んでおいたがあまり注文がふるわず傷みそうな食材。
店内に飾ってあったが、ちょいと乾燥し始めたフルーツ。
食料ばっかで我が家の食卓事情しいては経済事情がバレてしまいそうだが、意外とこれが馬鹿にならないんだぜ!?
唐揚げひとつだって玉子で綴じれば弁当のおかずに大変身さ!
夏場は衣を取って自家製のワサビドレッシングで和えれば衛生面や健康面にもグッド!
そもそも泰子がもっと大きいタッパーを持っていって、なおかつ酔っぱらって
持ち帰るのを忘れたり、帰り道の途中でノラネコにあげたりしなければさらに充実した食生活を─

─いかん、思考が大きく逸れていた。
ともかく俺は紙袋の中身を出し両手に広げた。広げた瞬間渋い光沢が目に飛び込んでくる。
「うわ~すごい絵が描いてある! これ竜だよね竜! あんたの名前じゃん!」
「えへ~格好良いっしょ~。お店の~お客さんに~。やっちゃんそーゆーのが好きなの~
 って前に話したら倉庫にいっぱい眠ってるからあげる~って持ってきてくれたの」
漆黒のサテン生地に猛々しく金糸で刺繍された竜が踊るジャケット。
そうそれは横須賀ジャンパー、通称スカジャンであった。

759:2/3
08/01/08 17:57:22 h626AY8a
「ただでさえ誤解されやすいのにこんなん着てたらもっと誤解されるだろうが……!」
この俺、高須竜児は目つきが悪い。目が悪いではなく目つきが悪いのだ。
普通に歩いていても周りの人間は目を逸らすし、人混みに入ればまるでモーゼの十戒のように
人並みが割れていく。学校にいけば不良どころか番長と思われる始末。
もちろん俺は殴り合いはおろか、誰かに対して本気で怒鳴ることさえ気が引ける
ヘタレなのだが、やっぱり人は外見で判断されるんだなというのが人生16年で得た経験だ。
ゆえに俺は威圧感のない服装になるよう心がけている。せめてもの自衛策だ。
実のところファッションセンスには自信がないので自衛策が機能しているかは疑問を残すが。

「でも~竜ちゃんに絶対似合うと思って~。だから着てみて。ねえってば~」
泰子の鼻息が荒い。っていうか酒臭い。何を興奮してやがる。
そういやこいつは俺が顔面傷だらけにしてた時も興奮してたな。
そりゃ死んだ親父ならアッチ系の人っぽかったので好んで着たかもしれないが、
俺にはまったくノーセンキュー。……古着屋に行けばいくらになるかな?
「だからこの手のは着たくないっての! 悪いが古着屋かバザーに出すからな!!」
「え~、せっかくやっちゃんががんばって持って帰ってきたのに~ヒック。
 大河ちゃんも竜ちゃんに似合うと思うよね~」
「そうよ竜児! やっちゃんの真心を踏みにじるなんてサイテー!!
 これだからあんたはダメ犬からクラスアップできないのよ。むしろ下がる一方!!」
「何でそこまで言われなきゃならんのがわからんし、いまどきスカジャン着てるヤツなんて見ないぞ!?」
「スカジャン? なにそれ。ただの刺繍の入った格好いいジャンパーじゃないの?」
どうもこいつはスカジャンの存在を知らなかったらしい。微妙なところで世間知らずなヤツである。
ともあれ簡単にスカジャンの説明と、いまどき着ているのはトンがった思考の人間か
この手のものが大好きな外国人くらいなもんだと教えてやった。
「へ~そうなんだ。でも私は別に格好良いと思うけどな」
「大河ちゃんもそー思うでしょ。なのに竜ちゃんたらいけず~」
女性二人のセンスに疑問を持ちつつも、やはり突っ込むファッションセンスと
自信を持ち合わせない俺は会話を打ち切るべく告げた。
「ともかく俺は着ない。じゃあ俺と大河は待ち合わせがあるから行くぞ。ほれ大河、ジャケットを着ろ」
しかしハンガーに掛けてあった大河のジャケットを差し出してもこいつはスカジャンをずっと凝視中。Why?
「あんたがいらないって言うなら私が着るわ。いいよねやっちゃん?」
「うーんうーん。大河ちゃんが着ても似合うかも。着て着て~」

760:3/3
08/01/08 17:57:47 h626AY8a
大河の突然の行動に俺は茫然自失。スルリと袖に腕を通した大河はスカジャンを装着。しかし思いっきりブカブカである。
男でかつ同年代では大柄な方の自分に合うサイズなのだから、身長140センチ代の小柄な大河が着れば
当然の結果なのだが─なんというか服に着られてる、といった趣か。
「きゃー、大河ちゃんかっこいーかわいいー」
どっちだよとペチペチ拍手する泰子に呆れつつ、大河に視線をやる。
「どうよ! この格好良さがあんたにも分かるかしら!?]
どうよ!って言われて薄い胸を張られても困るというか、スカジャンの袖が余って手のひらが半分も出てないし、
いま大河が着ている明るい色のブラウスとモノトーンチェックのプリーツスカートとは、
相性がわる─わる─悪くないな。むしろ袖が余った感じと男物を着ているギャップが
俺的には妙にドキドキして─って俺は何考えてんだ!?
「お、おぅ。まあそこそこいいんじゃないか。ってもう待ち合わせ時間が!
 櫛枝さんを待たせるわけにはいかねえ! ダッシュでいくぞ!! 泰子、戸締まりしっかりな」
「ああっ引っ張んないでよ! ばか竜児!!」

街を駆けるなか大河の髪が走る勢いと風に揺られ刺繍の竜が見え隠れする。
(なんかコイツを守ってるみたいだな)
俺の名前の竜と刺繍の竜。大河は何にも考えなかったのか─妙な照れくささを覚えつつも、
櫛枝さんや北村たちが待つ場所へ走った。


すんません。ここでギブアップです。このあと待ち合わせ場所にいた亜美に竜の刺繍と竜児との
関連を揶揄されて真っ赤になる大河、とか北村に褒められて照れる大河、とか。
美乃梨も「わしにも着させろー!」と試着。竜児が眼福に至る、とか続けたいのですがつかれた……

761:名無しさん@ピンキー
08/01/08 22:19:10 S72ycPFh
いや、gj.
体力が増えたら続きを書いてやってくれ。

762:名無しさん@ピンキー
08/01/08 23:27:17 IBtK/coB
>>760
初ssとは思えなかったぜ!!
とりあえず続きをwktkしながら待っとくw

763:名無しさん@ピンキー
08/01/08 23:44:28 m8S0743o
竜児はみのりん呼び捨てで「櫛枝」って呼んでたような
でもテンポがいいね。続き希望w

764:名無しさん@ピンキー
08/01/09 16:07:48 xjUGVtzs
スカジャンを着た竜児…想像しただけで恐ろしい。
というわけでGJ

765:名無しさん@ピンキー
08/01/09 16:20:16 4JPDDaVc
てか正直竜児が仕方なくスカジャン着たらやっちゃんが興奮して逆レ…
とか想像していた俺は死んだ方が良いなw

766:名無しさん@ピンキー
08/01/09 17:25:12 q06mmXS8
まあ一応エロパレスレだしw

767:名無しさん@ピンキー
08/01/09 17:25:52 q06mmXS8
エロパロスレ、だな
何やってんだ俺w

768:758
08/01/09 19:38:51 nNDlwXOp
GJありがとうございました。話の落としどころが難しいですが
書き上がりましたらまた張りに来ますので。

あと誰が誰をどう呼ぶかをちゃんと一覧表作ってから書こうかと思います。
たしかに竜児はみのりんをさん付けでは呼ばなかったw

769:名無しさん@ピンキー
08/01/09 21:00:37 w9nDMHdx
エロパレスとは良い響きだな…
そしてgj

770:名無しさん@ピンキー
08/01/09 23:29:23 45ZTYtva
なんかSSって普段常駐してるスレの影響を受けるよな。
軽めの嫉妬を書きたいのに常駐スレがアレなせいで
どうしてもドロドロ修羅場な展開になっちゃう。


771:名無しさん@ピンキー
08/01/10 10:38:51 0NAobDWJ
>>770
逆に考えるんだ
『書きたい作風のスレに目を通してから書けばいい』
そう考えるんだ

ラーニングして書けばいいと考える俺はガイドライナー

772:1/6
08/01/10 16:34:04 6IQFL3Pj
あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
『スカジャンSSの続きを書こうと思ったらいつのまにか竜児と亜美の話になっていた』(AA略)
……なんか思いついたので書きますた。しかもまたエロなしで長ぇ。6回にわけます。スンマセンw



深夜の23時過ぎ─突然の来訪者だった。

「こんばんは高須くん。お部屋の電気ついてたから起きてるって思ったんだ」
「それはそうとこんな時間にどうしたんだ? 親は心配してないのか?」
招かれざる客─それは川嶋亜美だった。
こいつは以前にもうちに来たことがあるが、それはあくまでも昼間や
明確に俺に用がある時だけだった。正直驚きを隠せない。
「今日は仕事があってこんな時間になったの。で、高須くんの家の前を
 通りかかったから寄ったってわけ」
夜遅くまで出歩いてた理由はわかったが、俺に会いに来る理由がいまいち納得がいかない。
その程度で俺に会いに来るようなヤツだっただろうか。
が、川嶋はそんな俺の疑問もおかまいなしに玄関を見渡し。さらに居間のほうも覗き込んでいる。

「あのチビはどうしたの? いつも一緒に夕御飯を食べて一緒にいるって聞いてたけど」
「大河ならメシ食ったあと眠りこけそうだったんで家に帰したよ。
 寝室の電気が消えてるから今頃爆睡中だと思うぞ」
俺は振り向き、居間の窓の向かいに見えるマンションの一室を見る。
そこが大河の自宅であり、あいつの寝室だ。部屋の灯りは消えて静まり物音がしない。
「じゃあ問題ないよね。お邪魔しまーす」
たしかに川嶋と大河が鉢合わせして家の中が戦場になる問題はないが、
夜中に若い婦女子が男の家を訪ねるのは問題あると思うぞ─それも現役高校生アイドルが。
俺の胸中を知るよしもなく川嶋は靴を脱いで居間に上がっていった。

「なんか青顔色悪いぞ? ちょっと座って待っててくれ。いま飲み物入れてやるから」
居間にたどりつき手持ちぶさたに突っ立っていた川嶋のまえに座布団を置き、
座るように促すと俺は台所へ向かった。
なんか調子が狂うな。いつもの川嶋なら勝手に座ってくつろぎそうなものだが。
ともかく、なんだかんだいって川嶋は貴重な女友達だからな。それも俺の外見に怯まない貴重な─。
いつぞや出したハチミツ入りの牛乳を思い出し、暖めてテーブルに運んだ。

773:2/6
08/01/10 16:34:24 6IQFL3Pj
「あいよ。お待ちどうさん」
「ありがとう」
川嶋は置かれたマグカップに両手を添えゆっくりと口に運ぶ。
唇が離れる時のわずかな吐息が聞こえ、思わず彼女の桜色の唇に目がいってしまう。
なんでこう女の唇は柔らかそうなのかね。とくに川嶋のは特別なリップでも使っているのか、
いつも艶があり、いまも部屋の照明でなめらかな輝いている。
川嶋は俺の視線には気づいてない、そのせいで覗き見をしているような罪悪感を
感じていた俺だったが、次の瞬間にハンマーで殴られたごとく硬直した。

「なっ、なぜいきなり泣く! 牛乳マズかったか!? 熱くて舌をやけどでもしたか!」
「えっ……」
川嶋は俺の慌てふためいた指摘でようやく自分が泣いていることに気がついたらしい。
慌てて袖で目尻を拭い、強くかぶりを振る。
「ちがうの! 高須くんが’悪いワケじゃないの!!」
「いったいどうしたんだ ? いきなりうちに来たのも変だけど
 さっきから態度も顔色もおかしいぞ!? 何もないやつがいきなり泣くかよ!」
川嶋はうつむいたまま黙っている。マグカップに添えられた両手は小刻みに震えていた。
俺ももちろん平常心じゃなかったが、ギリギリのところで落ち着いていられるのは
大河が泣いているのを何度も慰めたからだろう。
「俺なんかじゃ無理かもしれんが、良かったら相談にのるぞ」
5分くらいだろうか─永遠にも感じた時間を経て、
時計の秒針の音だけが響く部屋で川嶋はポツリポツリ話し始めた。

「最近ドラマの仕事が入ったんだ。いちおうヒロインって役柄でさ」
「そりゃすごいじゃないか。高校生で主演なんてそうはいないだろ」
純粋にそう思う。モデルの仕事だって俺からすれば雲の上の世界だ。
本屋でこいつが表紙の雑誌を見かけるたびに、クラスメイト─ましてや
友人として遊んだり旅行に行ったり、こうして二人で話していたりするのが
とんでもない幸運ってことに気づかされる。
「でもね、全然ダメなの……」
「何がだ?」
「……演技。NG出して迷惑かけてばかり」
最後のほうは消えていくような声だった。

774:3/6
08/01/10 16:34:51 6IQFL3Pj
つまるところ川嶋の演技はお世辞にも上手いとは言えなかったそうだ。
周りのベテラン俳優にフォローしてもらってようやく─しかたなしに監督がOKを出したらしい。
文化祭のときのMCで何となくぎこちなさは感じたが、まだ高校生だ。
演技の拙さは仕方ないし、徐々に上手くなってくるものだと思うのだが。

「実のところ今回の役はパパとママのおかげ─事務所がプッシュしたせいなの。
 本来は私じゃなかった。もっと上手い人がいたの。
 ……事務所のほかの子たちも私の陰口を言ってる。
 川嶋亜美は母親のおこぼれでこの世界にいるようなものだって」
「…………」
正直なところ演技の善し悪しについては俺には何も言えない。素人だからな。
しかし川嶋の母親が有名な女優なのはまぎれもない事実だ。
その女優の娘で生き写しと言っていい容姿。どうしたって色眼鏡でみられる。比較される。
母親の演技を超えるような一端を見せないと納得はされないだろう。
それはいつの時代だって偉大な親を持つ者の宿命なんだ。

「母親や事務所の先輩にアドバイスもらえたりしないのか?」
「パパやママにはこんなこと相談できない。事務所の人たちも遠巻きに眺めてる……。
 誰にも相談できないのよ」
そうだった。川嶋は学校ではいつもアイドルの仮面を被っている。
おそらく仕事場でもそう、もしかしたら両親のまえでもそうしているのかもしれない。
なりふりかまわず努力する、あがくのはアイドルとしての川嶋亜美の仮面が許さないということか。
仮面を外す時は唯一、俺や大河たちのまえだけだったんじゃないだろうのか。

「これから流すドラマのCMだって、親の七光りを使ってちゃらちゃらと視聴者を煽ってさ……
 アイドルを作る、売るための実験だよまるで。私はその枠に嵌めこんでもらっただけ。
 私でなくてもよかった。たまたま私がいただけ」
「いいじゃないか売れるんなら。仕事があっての芸能人だろ?」
「そんな問題じゃないよ」
「贅沢言うなよ。他になにが望みなんだ?」
「─だから、そうじゃなくて! 演じるってことはもっとこう……みんなコツコツ努力して、
 上達して。それでなんとかモノになっていくんであって」
「別におまえが何も努力してないとは思わないぞ?」
「『努力した』ってことは言い訳になんかなんないの!」
「言ってることが矛盾してる!」
「矛盾なんかしてない!」
ヒステリックに叫ぶ川嶋。深夜に騒いでまた大家に怒られるなコリャ。
でもなんとなくわかってきた。こいつは自分の母親に誰よりも憧れているからこそ、
ふがいない自分の力量に憤慨しているのだ。同時に母親の名誉も傷つけてしまうから。

775:4/6
08/01/10 16:35:14 6IQFL3Pj
「私は…私には時間がない…間に合わないよ!」
「なんだそりゃ? おまえは不治の病か何かなのか?」
「あーそうだよっ! いまこうしてる間にも年取ってボロボロになっていつかは死ぬ!」
「いきなり飛躍しすぎだ!おまえそれ言ったら─」
「私はもう17で! こんな歳からようやく女優を始めて! 実力も努力もまだ全然足りなくて!!」
「もう17っておまえ……」
おまえの年齢でもうとか言ってたら三十路に入った担任が泣くぞ。
ともあれ川嶋が言っていることはおぼろげながら察した。
テレビを見てればわかるが芸能界ってのはすぐに新人が出てくる。川嶋がたとえ現役高校生アイドルでも
すぐに後輩がでてくる。そして才能のない、運の無かった者から押し出され消えていく。
川嶋がメインにしているグラビアはその最頂点と言えると思う。
そんな中で生き抜いている川嶋のストレスは、常日頃感じているプレッシャーは
どんなものだろうか。俺には想像もつかない。

「全然ダメで……」
再び消えてしまいそうな声で続ける。こいつがこんな顔をしてるのを見たヤツは
ほかに誰かいるのだろうか? もしかしてこいつの幼なじみの北村だって見てないかもしれない。
「精一杯背伸びしていろんな人にフォローしてもらって、それなのにあの程度の─
 あんなチャチな演技しかできない」
ああ、もうそんなに後ろ向きになるなよ! ここは発破をかけるしかなしだ!!

「いいかげんにしろ」
川嶋がハッと顔をあげる。裏切られた、見捨てられたといった表情。
違うっ!違うんだそんな顔しないでくれ!! まだ伝えるべき続ける言葉があるんだ!!!
どうしてこう俺は女と話すのが上手くないのか。毎度のことながら自己嫌悪だ。
「自分の仕事を自分でけなすんじゃねえよ。答えを出すにはなにもかもまだ早すぎるだろ」

川嶋の目からまた滂沱のように涙があふれはじめる。川嶋の視線に合わせ続けると俺の心臓は
早鐘のように鳴っているが、ここで目を逸らすわけにはいかない気がする。
ううっ……震えるな俺の手! 男だろ!!

776:5/6
08/01/10 16:35:36 6IQFL3Pj
「この仕事をどんなことをしてでも続けたいと思うの、けど、もう逃げたい─何もかも投げ出したいとも思う。
 私ってヒドイやつだよねえ? 私の責任だってわかっているのに私だけの責任じゃないって言いたがってる」
「川嶋……」
「高須くんに、初めて自分の本音で話せる高須くんに出会って、
 それだけで十分だって本当の本当にそう思うのに、都合のいいことを期待してた……
 悩みを言えば答えてくれて許してくれて。ぜ…ぜ…全部受け止めてくれるって……」
涙で頬を濡らし、嗚咽混じりに話し続ける川嶋。あの気丈な川嶋がここまで自分をさらけ出している。
俺がこいつに言えること、出来ることは─

「わた…私、わかんなくなってきて、わ…わかってなきゃいけないのに。
 『どうすればいいか』じゃなくて『自分がどうしたいか』……」
軽く川嶋の細い肩を手をふれる。手に伝わる川嶋の震えと体温。
わずかに川嶋は身じろいだが拒絶はされなかった。
「俺はおまえがうらやましいよ」
川嶋は黙って俺を見つめ返す。何を言い出すのかと呆れているのだろうか?
しかし一度言ってしまった以上止めるわけにはいかない。言葉を続ける、
「夢中になって追っかけて、手に入れたい、なりたいものがある。俺には何にもないよ。
 自分じゃなきゃいけないこと。いやむしろ、他の適任者までを押しのけてまでやりたいこと……
 そういうものが俺には無いから」
だからこそ……大河に強く求められること、あいつの面倒をみる、必要とされるあの快感に味をしめた。
怖がられ、誰からも疎まれる寂しさ。それを吹き飛ばしてくれたから。

だから─

「必要ならいくらでも俺を頼ればいい。迷惑なんかじゃないさ。
 それに俺も川嶋を必要としてるんだよ。うまく説明はできないけどな」
ひどく浅ましい考えだと思う。俺の気持ちを満たすために川嶋を利用してると思う。
だけど、それを最後の最後まで続けて、俺たちの間に何か残るものがあるならそれは─
「……ありがとう」
川嶋は自分の肩に触れる俺の手を握り返し、小さく、だけどはっきりと俺にささやいた。
時計をみるとすでに日付が変わろうとしていた。

777:6/6
08/01/10 16:36:12 6IQFL3Pj
「あ~あ、高須くんには情けないところばっかり見られちゃってるね。
 高須くんだけだよ。私のこんな弱いところを知ってるの。
 私のファンの人に知られたらスゴイ怒られちゃうぞ」
「お願いだから勘弁してくれ。春田あたりが喜んで刺しに来そうだ」
街灯に照らされた川嶋の顔は目尻がまだ紅く腫れている。
しかし晴れやかな表情をたたえ、いまは軽口をたたいていた。
こんな俺でも少しは川嶋の役に立ったのだろうか? 
「じゃあ、また学校でね」
「ああ、気をつけてな」

深夜の大通り、川嶋は捕まえたタクシーに乗り込むと走り去っていた。
はてさて俺は川嶋に学校で会ったときはどんな顔すればいいのかね。
……ま、なるようになる、かな。




以上です。「亜美が本当の意味で頼るのは竜児だけ」という前提でした。
メンタリティが二人とも原作と違いすぎる気もしますが、ご容赦を……

778:名無しさん@ピンキー
08/01/10 21:01:29 hYUKJg5I
>>772-777
勃った。

779:名無しさん@ピンキー
08/01/10 21:40:45 uyGVEl4e
>>777
GJ!
きっとそんな事があった翌日でもいつも通りの腹黒ブリッコで竜児に接するんだろうな。

780:名無しさん@ピンキー
08/01/10 21:48:15 HdMlAaAL
>>777
GJ。素晴らしい。
次はエロいのも頼むぜ兄弟。

781:名無しさん@ピンキー
08/01/10 21:56:37 Q05VitnU


つかその展開でエロに行かないなんて、とか思ってしまう俺は相当汚れてるなw

782:名無しさん@ピンキー
08/01/10 22:12:22 GPYgvNEH
GJ
ばかちーかわいいよばかちー

783:名無しさん@ピンキー
08/01/11 00:15:40 NQkPjrGR
>>777
ゆゆこ、仕事汁!
テキストの書き方がとらドラに似てていいね。
単行本に紛れてても違和感なさそう。
GJ!

784:777
08/01/11 18:04:52 Oq5rRKh3
>>778-783
GJどうもです。また何か書けたら貼りにきます。
エローイのを書けるかは難しいところですがw

とりあえず今日は書けそうにないので描く方向でいってみました。
絵は板違いだと思うけど勘弁!
URLリンク(zip.2chan.net)

785:名無しさん@ピンキー
08/01/11 18:24:32 RN9BJe29
吹いたwwwムダにGJwww

786:名無しさん@ピンキー
08/01/11 19:00:27 bKAlk+iP
これは何という目つきの悪い守護者w

787:名無しさん@ピンキー
08/01/11 19:13:35 KfMOEzi6
>>786
元ネタの人も竜児に負けず劣らずの目つきの悪さだぞww
てかとらドラは皇国みたいに途中で終わったりしないよねorz

788:名無しさん@ピンキー
08/01/11 23:32:38 nW7XA7Hk
>>784
うまいなちくしょうw

789:名無しさん@ピンキー
08/01/13 14:03:05 /5Zia4iW
それにしてもこのスレの男女比ってどれくらいなんだろ。

790:名無しさん@ピンキー
08/01/13 14:04:55 fTpQlxFw
そもそも何人このスレに居ることやら

791:名無しさん@ピンキー
08/01/13 18:11:03 7s2qHBTQ
点呼




792:名無しさん@ピンキー
08/01/13 18:17:06 KavJa1WX
わざわざageてまでそんな事しなくていいよ

793:1/7
08/01/14 18:59:01 mCeU6EC4
全7回でいきます。途中で連投制限に引っかかったら明日になるかも。
なんだかエロくもなく普通の学生生活のヒトコマになっちまいました。ドゾー。


「いくわよエロ犬……その下半身だけの本能で生きている無駄な人生を断ち切ってあげるわ。
 この優しいご主人さまに感謝しながら逝きなさい」
「おっ、俺は何も悪くないっ! どうしてこんなことに……」
暗く圧迫される視界の中、ただひたすら背中に冷や汗をかく俺がいた。
「高須負けるなー!」「逢坂に勝てるのはおまえだけだ。いけー!」「高須くんがんばれー!」
背後から様々な声援が聞こえる。最後のは川嶋だ。それが響いたとたん大河の目が吊り上がる。
頼むからこれ以上火に油を注がないでくれ……。

俺がどうしてこのような絶体絶命な状況に追いこまれたか。
時間を少し巻き戻そう─。

今日は天気予報で朝から大雨だった。
それはとくに問題じゃない。草木には水が必要だし、適度の雨は大気中をを撹拌し
新鮮な空気を生み出す。雨上がりの清涼感はむしろ好きな方だ。
しいていえば洗濯物が干せないのと、フローリングや浴室の
カビが出るかどうかが気になるくらいか。まあこれは季節にもよるが。
さておき問題が起きたのは本日最後の科目─体育の授業であった。

体育のときに雨でグラウンドが使えない場合は体育館に切り変わるのが普通である。
しかしここ数日ほどは体育館の老朽化で検査中なので使用不可になっていた。
それならそれで保険の授業と差し替えればいいだけの話だが、
授業で必要な資料ができていないのでそれも無理となった。
ここまでくれば教室で自習に期待したいのが個人的な希望だが
そうは問屋が卸さなかった。熱血体育教師黒間─通称黒マッスルである。
クラス全員着替えたあと集合させられたのは武道場であった。

ほかの学校はどうだか知らないが、うちの高校は基本的に男女で授業内容をわけることがない。
だから家庭科の授業も男女いっしょだし体育もいっしょだ。
ゆえに今回も武道場にて男女混合の剣道になったのである。
女子の連中は1年のときの授業で防具の臭さを知っているので、ぶーぶー文句を言っていたが
黒マッスルに逆らうことはできなかった。

794:2/7
08/01/14 18:59:52 mCeU6EC4
武道場の棚に押し込まれていた全生徒共有の剣道具を全員がジャージの上に身につける。
ちょっとマヌケな外見であるが、剣道部員でもないかぎり袴を持っていないし仕方がない。
こうして年に数回あるかないかの剣道の授業が始まった。
最初はいつもどおり柔軟体操だったが、そのあとは剣道の授業らしく素振りや足さばき。
ふたりペアになって面打ちや切り返しの練習などこなしていく。
そして授業時間の半ばを過ぎたところで黒マッスルが声を上げた。
「これから対抗戦をやるから出席番号の奇数偶数で2チームにわかれろ」
実に単純明快なわけかたで俺と同じチームになっためぼしい人間は春田、能登、そして川嶋亜美。
大河、北村、そしてなにより大事な櫛枝とは敵チームになってしまった。なんてこった……。
あの3人が仲良さそうに話している(大河は相変わらず北村に話しかけられると
しどろもどろになっていたが)のを遠巻きに見つめ、
俺はただうらやましげに指をくわえていた。ああっ、俺もあっちに行きたい!

「へへ。高須くんと同じチームだね。期待しているからがんばってね」
「悪いがこの手の荒事にはまったくもって自信がないぞ。期待されても困る」
横にちょこんと座り込んで俺の袖をクイクイッと引っ張るのはクラスのアイドル川嶋亜美であった。
近くにいた春田と能登から「どうして高須ばっか……」という怨嗟の声が聞こえるが、聞こえないふりをする。
こいつの本性知らないかぎりはそりゃ~うらやましいだろうさ。
俺は普通に話す分にはもうドキドキすることもなくなったがな。
……変なモーションをかけられると相変わらずドキドキするのが我ながら情けないが。
「でも高須くんて別にニブそうには見えないけどね。
 そりゃ裕作みたいな現役運動部とくらべたらアレだけどさ」
「……そうじゃなくて竹刀打ち込んだら相手が痛いだろ。
 俺は痛いのもキライだけど痛くするのもキライなんだよ」
「ふふふふ」
なんだいきなり含み笑いしてやがる。いまの発言に笑うとこはなかった気がするが。
「なっ、なんで笑うんだよ」
「べっつに~。ただ高須くんてやっぱり優しいなって思ってね~」
川嶋は小首をかしげ、俺の頬を人差し指でちょんちょんとつついてきた。
なんでこうこいつの仕草はいちいちコケティッシュなんだ。
転入直後の猫被り100パーセントのころならからかわれてるだけと
割り切れたが、最近は本来の川嶋が見え隠れするのでよくわからなくなってきた。
「……褒めても何も出ないぞ」
川嶋からそっぽを向き息を整える。やばい顔が熱くなってきた気がする。
落ち着け俺! なんてことはない会話だ。深い意味など無い!
春田と能登からは「となりの弓道場で弓矢借りてきて誤射しようぜ」とか聞こえてきたり、
相手チームの大河からも一瞬視線が合った気がするが気のせいだ。
恐いから気のせいということにしておこう。

795:3/7
08/01/14 19:00:27 mCeU6EC4
ともかくこうして対抗試合は始まった。
男女半数ずつ混じったチームになるが、実際のところ女子はいないも同然だった。
俺と同じで荒事が苦手なヤツ。単純にダルくてやる気がないやつ、etc......
そんな女子同士の試合は子供のチャンバラ以下の動きで決着がつくし、
男子もそんな女子が相手の時は空気を読んであっさり終わらせるので
テンポ良く進んでいったのである。ある人物までは。

─そう、愛しの櫛枝実乃梨である。

「あっはっはっはっ。昨日時代劇モノを見ていた私はひと味違うぜ!
 気分的には免許皆伝! 英語で言うとソードマスター!!って感じかな。ジェダイでもいいよ」
高らかに笑う櫛枝の足下には相手の男子が面を打たれて悶絶していた。すでに被害者は5人。
「さすが女子ソフト部部長。握力50オーバーは伊達じゃないな……」
「というかアイツの腕力はそのへんの男子を余裕で超えてるぞ」
横にいる能登と春田が櫛枝の恐ろしさに汗を拭っている。気持ちは同感だ。
櫛枝は真面目なぶんだけ何時も全力で向かってくる。
それが彼女の魅力のひとつだとは思うが、いかんせんこんな時は手加減してほしい。
「うわ~痛そ~だね~。櫛枝さんに当たる前に負けてよかった」
横にいる川嶋は最初の相手は男子だったので、言葉と仕草でいつもどおり骨抜きにし
なんなく勝利を収め、次の女子に敗退している。教師の採点もいいことだろう。
やはり世渡り上手がうまいヤツであった。

「俺の番だから行ってくるよ。いちおうガキのころにちょっとだけ剣道やってたから
 負けたくはないところだけどなぁ」
能登が春田にメガネを預けて、面を被りながら試合場中央に向かっていった。
このままだと自分が櫛枝と戦うことになるのでヤツの善戦に期待したいところだ。
櫛枝に打ち込むなんてことは俺にはできそうにないし、
好きな相手に殴られて喜びを感じるほど俺はマゾじゃない……と思うからな。

「ふっふ~ん。聞こえたよ能登くん! 君は経験者だね!
 ならば拙者も本気を出さねばなるまい!」
試合開始の合図とともに櫛枝は一歩下がり、正眼の構えを解きそのまま竹刀を床に突き立てた。
剣先は足の親指と人差し指の間にはさみグッと固定している。
竹刀を握る両手は右手を逆手に変え、なにより奇妙なのが上体をまるでブリッジをするかのごとく
やや横に反らして竹刀に寄り添っていた。身体を弓の本体にたとえると竹刀が弦、といった感じだ。

「あれこそは櫛枝必勝の構え。無明逆流れのお姿……」
相手チーム側に正座している北村が両手を合わせて、祈るようになにやら呟いたのが聞こえてきた。
そういや昨日みんなで寄った古本屋で二人が漫画コーナーで夢中になってたけど
それに何か関係あるのだろうか? あいつらたまにマニアックなネタを披露するクセがあるからなあ。
ちなみに俺は料理本のコーナーを物色してた。意外と夕飯のメニューを毎日考えるのは大変なんだよ。
スーパーの特価品だけで構成するとどうしてもマンネリになるしな。
それに大河のやつは刺激物が苦手なのであんまり辛い料理とかはダメなのも難しいところだ。

796:4/7
08/01/14 19:00:57 mCeU6EC4
それはさておき櫛枝はその奇妙奇天烈な構えのまま能登と相対していた─と思いきや、
よく見ると全身がプルプルふるえている。よくよく考えてみればあんな不安定な格好のままでは、
腰やヒザへの負担は相当のものだし運動部で鍛え抜かれた櫛枝でもキツいだろう。さらに─

「ちょっ、そっちがわに回り込まれると困るんですけど!」
能登は櫛枝を中心にして反時計回りに回り込み始める。当然櫛枝は無理な体勢がたたって
方向転換することができない。その必勝の構えやらの剣先と視線が向くのは虚空のみだ。
……誰だってそうするよな。5秒も考えればわかる。
そして櫛枝は回り込まれた能登にむき出しになった胴を打ち込まれ勝負は終わった。
このように櫛枝はたまに壮絶な自爆をしてくれるのでそのたびに困惑する俺である。

その後、能登は順調に勝ち続けたがついにクラス委員かつ生徒会副会長&ソフトボール部部長・
北村の出現によりその輝かしい時代(5分)に幕を下ろす。北村が櫛枝に負けず運動神経抜群なのも
あるが、まあ連続して試合すれば疲れるよな。おつかれさまだ。
そんな北村も次の試合途中にジャージのゴムが切れてパンツ(白ブリーフ)丸出しになるという、
裸族の名に恥じない所行を見せつけ反則負けとなった。呪われてるんじゃないかアイツ。
ちなみに大河はそれを見てゴロゴロ床を転がっていた。夏のアレを思い出したかな?
櫛枝は櫛枝で「男の下着は魂の色、純白であるべきだ! わかってるね北村くん!」と
また微妙にリアクションに困る理論を吹聴していた。ほんと櫛枝ってたまにわからん。
とりあえず昼飯あとで本当によかった。メシがまずくなるところである。

そして試合は進み、ついに相手チームは主将・大河の出現である。

手乗りタイガーに恐れをなし棄権を申し出る我がチームの相手だったが
黒マッスルは当然却下。まるで死刑台に向かうような足取りで試合に向かう。
気持ちはよ~くわかるぞ。自殺しに行くようなものだしな。
しかし意外なことに大河は力任せに竹刀を振るうようなことはしなかった。
相手がビビって立ちすくんでいるところに面を軽く叩いて終わらせるのである。
あいつも成長したんだなと、出会った頃の木刀を振り回していた頃を思うと
なんだかうれしい気分になる俺であった。
そして試合は進みついには大将の俺(ジャンケンで決まった)になったのである。

いまの大河ならケガもさせずに終わらせてくれるだろう。
俺は試合場の開始線に立つと大河に話しかけた。
「お手柔らかにたのむぜ」
「……」
返事はなく、しかもなぜかひどく剣呑な目つきで睨まれる俺。なぜだっ!?
「なあ大河。なんでそんなに機嫌悪そうなんだ」
「悪くなんかない」
悪くない人間は眉間に稲妻型のシワなんか寄らないと思うぞ。ううっ……恐ええ。逃げたい。
しかし無情にも開始の号令がかかり試合は始まった。

797:5/7
08/01/14 19:01:46 mCeU6EC4
俺は大河と向き合い剣を正眼に構えていた。ぶっちゃけ近付いてほしくないから
剣先でけん制しているだけだ。俺の腰は引けてヒザは恐怖に笑う寸前である。
ギリギリのところで留まっているのは櫛枝に格好悪いところを見せたくない、
ただそれだけだった。しかしそんな俺の心中を見事にスルーして大河の両目からは
必殺の気迫があふれている。……せめて必勝の気迫にしてほしいところだ。
大河は野生の虎が獲物を狙うが如く俺の周りのウロウロしつつ間合いを計っていた。
この状況で唯一の救いは武器が竹刀なことだ。木刀なら即死もありえるがこれなら
せいぜい打撲で済む。突きも禁じられてるよな? あいつの良心を信じよ─

一瞬の思考とまばたきのあいだに大河が飛び込み面を繰り出してきた。
きわどくバックステップで難を逃れる。大河の竹刀は勢いを殺さずものすごい破裂音を
させながら俺がもといた床に叩きつけられた。コイツ絶対さっき授業で習った残心という
ありがた~い教えを忘れているだろ。ええっおいっ!
「チッ」
「なんでそんなに残念そうなんだよっ! 俺を殺すつもりか!?」
「……」
「無視すんなっ!」
まったく聞き耳もたずまた大河は唐竹割に何度も切り込んでくる。
何とか逃げられるのは大河がどうしても俺の頭をカチ割りたいのかフェイントなしで
面しか打ってこないのと、ジャージのおかげで打ち込む際の予備動作がわかりやすいせいだ。
剣道着を着られるとゆったりとした布地に手足の動きが隠されてこうはいかない。
しかし延々逃げるわけにもいかないので大河の剣を覚悟を決めて受け止め、
そのまま鍔迫り合いに持ち込む。身長差ががあるので俺が見下ろす形になるが
俺と大河の顔は防具越しでもハッキリと表情がわかるほどくっつきあっていた。

─そして時間は現在に巻戻る。

「ぬぅぐぐぐ~。とっとと、斬られ、や、が、れ~!」
「理由も、わからずに、斬られて、たまるか~!」
なおも大河は犬歯むきだしで「う~」と獣のうなりをあげている。俺は俺で
身長差も体重差もものともしないコイツの馬鹿力に対抗するので必死である。
「バカチワワと最近ずいぶん仲良くなったようね~。
 ご主人様のキライなやつに尻尾ふるなんて恩知らずな駄犬なこと」
「くっ、クラスメイトなんだから仲良くするにこしたことはないだろ!?
 だいたい俺はおまえの犬じゃないぞ!」
「だまれブサイク」
「うっ」
なんでこーコイツはピンポイントで俺のHPを削るのか。
顔は文句なく美少女なだけにエグい言葉を言われると辛い。
「さっきから鼻の下のばしてんのがうっとおしくてしょうがないのよ!
 だからこの世から抹殺することにした! 文句ある!!」
大アリだ! そんな理由で殺されてたまるか。だいたい俺が死んだら
泰子とインコちゃんも餓死しちまう。おまえだってメシどうすんだ!
と叫びたいがこの拮抗した状況ではそれも叶わず鍔迫り合いが続く─と思われたが
いきなり大河の態勢が崩れた。どうやらほつれていたジャージの裾を踏んだらしい。
力んでいた分もあってものすごい勢いで床に倒れ伏しそうになる。
俺は反射的に手を伸ばしながら自分も倒れ込み、大河を引っつかむと
自分の身体を大河と床の間に滑り込ませた。直後俺の後頭部が床に激突し響く衝撃。
身体も背中をしたたかに打ち付け呼吸が止まる。超いてえ!
続いて大河の頭が俺の頭にぶつかり目の中に二重に星が飛び散る。
大河のやつは無事だろうか……?
「……竜虎相打つ、か……」
遠くで北村の呟きが聞こえた気がした。おまえなに上手いこと言ってやがる─
そんな悪態をつきつつ俺の意識はずぶずぶと闇に沈んでいった。

798:6/7
08/01/14 19:02:20 mCeU6EC4
「なあ、いい加減機嫌を直せよ」
夕日が沈む家路、俺は大河の尻を買い物袋でボスボス叩く。
結局あの試合は俺も大河も気絶したので引き分けということで終わったらしい。
保健室で目覚めた俺たちは帰りのホームルームが終了していることを知ると、
更衣室で着替えて学校をでた。北村や櫛枝も寝ている俺たちに付き添ってくれてはいたが
生徒会やバイトで帰ったらしい。会うことはできなかった。
まあいいさ、明日会って無事なところを見せればいいし、メールでも電話でもすればいい。
すでに夕日が傾きかけていたので帰りがてらスーパーで夕飯の材料を買って帰ることになった。
大河もさすがに飛びかかってくるほどの激昂はおさまったのか、
いまはただ俺の前をしかめ面ですたすたと歩いていた。

「うるさいエロ犬。尻さわるな! あと不機嫌なんかじゃない」
「どう見ても不機嫌だろ」
「あんたは私を不機嫌にしたいわけ? なんなら不機嫌になってあげるけど?」
「なんでいつもその結論になるんだ!」 
「ぎゃー触るな変態!」
大河を止めようと肩に手を置いたその瞬間─
「ちょっと君なにしてるのかな?」
「おぅ!」
突然かけられた声に思わず飛び跳ねてしまう。恐る恐る振り向くと
そこには濃紺の制服を着込んだ人─警官が立っていた。

「さっきからそっちの彼女はいやがっているようだけど、
 君はいったい何をしているのかね?」
「あっ、いや、その……」
「最近はストーカーとかも大きな事件になることもあるからね。
 まず君の名前を聞こうか。学校はどこだい?」
警官は手帳とペンを取り出し矢継ぎ早に質問してくる。どうみても俺の目つきから
一方的に悪者にされている。大河のやつは見た目だけならフランス人形と見違えるほどの
美少女だしな。俺が警官なら間違いなく俺を逮捕してるよ─ってそんなこと考えてる場合じゃない。
いま補導されたら泰子の出勤にメシが間に合わないし、なによりストーカー容疑で補導なんて
あまりに格好悪すぎる。櫛枝に顔向けできねえーっ!

799:7/7
08/01/14 19:03:07 mCeU6EC4
「いや、俺は、その、こいつの……」
「んー、だいぶ混乱してるようだね。交番で話を聞こうか」
「私の彼氏なんです!」
突然叫んだのは大河。顔を真っ赤にし、目も水分で潤ませながら警官に目を向けている。
お、おまえはいったいなにを言っているんだ?
「わ、私がいるのにすぐにほかの女を追っかけまわすし、へらへら鼻の下伸ばすから
 怒ってたんです! だ、だからケンカしてたんです!!」
警官は面食らったように大河をみつめ、そのまま俺に真偽を確かめるような視線を向けてくる。
「そ、そうそう。俺とコイツは付き合ってるんですよ、あはは」
もうヤケクソだ。このまま通してやる!
「だ、だけど、もう限界なんです! こんな男、す、すぐに別れてやるんだから!」
大河は俺の腕にしがみつき絶叫。俺は腕に感じる体温やら柔らかな感触に
磔にされたキリストよろしく硬直して言葉もでなかった。

警官はポリポリと頭をかいてわずかに逡巡したあと、
「……あ~、はいはい。夫婦喧嘩は犬も食わないとは昔の人はよく言ったものだね。
 ともかく往来で騒ぐと迷惑だから気をつけるようにね。いいかい?」
まったく最近の若い者はもう、とベタなお約束な呟きを残しつつ年配の警官は自転車で
去っていった。残された俺たちは互いの顔をみつめあう。
「……うそつき」
「あっ、あんただって話を合わせたじゃない! あんたが捕まったら誰がごはんを作るのよ!?
 助けてやったんだからつべこべ言わず感謝しろ!」
顔を真っ赤に染めてズカズカと大股歩きに大河は先に歩いていく。
まったくわけのわからんやつだと思いながら、大河のたった一言でうれしくなってしまったのは
やっぱり俺はこいつの犬なのかね? 額に手を当てて考えてみても答えは出ない。
「とっととはやく来なさい! 私はお腹減ってんのよ!」
先を行っていた大河がブンブン腕を振っている。そうだな、メシでも作りながら考えるか。
俺は夕飯の材料がつまった買い物袋を持ち直し、大河のあとを追った。

ちなみにこの騒ぎを偶然目にしたほかのクラスのやつから「高須&逢坂やっぱり付き合ってる」説が
流れ、それを聞きつけた北村と櫛枝から揶揄され俺たちが机に突っ伏すのは別の話だ。やれやれ。

800:名無しさん@ピンキー
08/01/14 19:36:59 g88sffnJ
一番槍でGJ!!

801:名無しさん@ピンキー
08/01/14 19:38:01 yEEEVjT3
ナイスツンデレ!

802:名無しさん@ピンキー
08/01/14 19:39:15 mpqL2p/9
俺の高校は柔道だったな……


あっ、忘れてた。GJ


はぁ…

803:名無しさん@ピンキー
08/01/14 20:46:42 dG0hsaLB
gj.

地の文がハルヒシリーズみたいだ。


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