08/08/07 19:22:02 qzWfLknG
>>847 続き
千歌音が姫子を見上げてると、なんだかぼうっとした顔で姫子が千歌音を見つめていた。
「どうしたの姫子?」
「えっ、あ…ううん、何でもないの!」
姫子は顔を赤らめ両手を振った。
(千歌音ちゃん、水着姿も素敵なんだもん…見とれちゃうよ)
プライベートビーチで、2人きりの時間を満喫する姫子と千歌音。
海で泳いだり、パラソルの下で寝そべって日光浴も楽しんだ。
「千歌音ちゃん」
「?」
姫子の声に振り向くと、カシャッと姫子がカメラで千歌音を撮った。
「きっと綺麗に撮れてるよ」
「もう、さっきから姫子ったら私ばかり撮ってない?」
ぷくっと頬を膨らませ、反論する千歌音。
姫子はカメラを置いて千歌音の下へ駆けてくる。
「だって水着姿の千歌音ちゃんなんてめったに見れないもん。この際に撮って置かないとね。」
「も、もう…っ!」
恥ずかしげもなくそんな事を言ってくる姫子に、照れた千歌音は海水をピシャッとかけた。
「きゃっ…やったね、千歌音ちゃん!」
姫子も千歌音に負けずにかける。
二人ではしゃぎ、海水をかけ合っていると突然波が千歌音の足をさらった。
「きゃっ…!」
「千歌音ちゃん…危ない!」
バランスを崩した千歌音を姫子がとっさに抱きとめた。
「大丈夫?千歌音ちゃん!」
「え、ええ…ありがとう姫子。」
千歌音が姫子から離れようとすると、ギュッと姫子の腕に引き寄せられた。
「姫子…?」
顔を上げると姫子の顔が間近にあった。
「千歌音ちゃん…」
「ひ…め…」
唇が近づいてくる。
触れ合おうとしたその時…。
「お嬢様ー!」
「 …っ!! 」
遠くから千歌音を呼ぶメイドの声が聞こえた瞬間、二人は慌てて離れた。
「な、何?どうかしたの?」
少し戸惑ったように千歌音はメイドに尋ねる。
「お電話が入っております。メイド長の乙羽様からです。」
「乙羽さんから?ちょっと待っていて。すぐに行くから。」
「かしこまりました。」
一礼したメイドは別荘の中へ戻って行く。
「ごめんなさい、姫子。ちょっとだけ外すわね」
千歌音は申し訳なさそうに姫子に謝った。
「ううん、気にしないで…」
千歌音が別荘へ入って行ったのを確認すると、ひとり残された姫子は気まずくてもう少しで千歌音の唇に触れるはずだった自分の唇を指で押さえた。
(私ってば…)