08/08/04 00:30:52 52m03Pw7
>>813 続き
デートを数日後に控えたある日、デートの予定を立てるため千歌音の部屋の前ににやって来た姫子。
ドアをノックしようとした瞬間、部屋から楽しそうな笑い声が聞こえる。
(千歌音ちゃん?誰と話してるんだろう…?)
いけない事とは分かっていたが、あまりにも楽しそうなその声が気になって姫子は少しだけドアを開けて部屋を覗いた。
そこには楽しそうに微笑んでいる千歌音と乙羽がいた。
姫子は一瞬胸が締めつけられたような気がした。
姫子が見たものは、プレゼントをしたワンピースを着て乙羽の隣で微笑む千歌音。
(千歌音ちゃん…何で乙羽さんと…?)
カチャッとドアノブが音を立ててしまったため、千歌音と乙羽がこちらを振り向いた。
「来栖川さん…!?」
「あっ、ご、ごめんなさい。私…千歌音ちゃんに用があって…」
姫子は慌てて謝るがその時、千歌音と乙羽が慌てて何かを隠したように見えた。
「えっと…用事って、何かしら?」
気のせいだろうか?
千歌音が何か戸惑っているように見える。
「それではお嬢様、失礼致します。」
一礼した乙羽は何かの箱を持って部屋を出ていく。
「ありがとう、乙羽さん。よろしくね。」
「あの、それ着てくれたんだね…。」
あのワンピースはやっぱり千歌音に似合っていた。
「え、ええ…似合うかしら?」
姫子は千歌音の様子がおかしい事に感づきながらも話を続けた。
それは、次の日の夕方だった。
姫子が屋敷の廊下を歩いていると、窓から庭で千歌音と乙羽が二人きりで話しているのを見かけた。
(また乙羽さんと…?)
考えて見れば、あれからずっと千歌音の態度が変だった。
妙に姫子を避けているような気がする…。
(まさか…乙羽さんと…そんな千歌音ちゃんに限って…そんな事…)
無いとは言い切れない。
千歌音は記憶を取り戻してないのだ。
姫子を好きでいてくれた頃とは違う。
(千歌音ちゃん…)
姫子はまたチクッと痛んだ胸に手を当てた。