ケロロ軍曹でエロパロ 其の6at EROPARO
ケロロ軍曹でエロパロ 其の6 - 暇つぶし2ch2:名無しさん@ピンキー
07/03/28 13:45:56 bLdE49Bg
2GET
>>1

3:名無しさん@ピンキー
07/03/28 14:07:21 ys9f+04b
3get

4:名無しさん@ピンキー
07/03/28 18:17:45 Po2k8lkF
>>1乙!
向こう早く埋まらないかな

5:名無しさん@ピンキー
07/03/29 12:52:25 mk435Xw8
>>1
乙であります

6:ギロ夏スキー
07/03/29 22:52:02 adb6TXcI
皆様どうも、前スレで擬人化バージョンの劇場版の話を投下したいと言っていた者です。
冒頭部分が完成したのでこれから投下させていただきます。
体調の都合上、完結までもっていくには長い時間がかかりそうです。
という訳なので気長にお付き合いくださるようお願いします。
では超劇場版ケロロ軍曹2 深海のプリンセス擬人化バージョンをお楽しみください。

7:超劇場版擬人化ケロロ軍曹2 深海のプリンセス
07/03/29 22:55:50 adb6TXcI
皆さん、どうも、ナレーターです。
超劇場版ケロロ軍曹2 深海のプリンセスは既に御覧になったでしょうか?
今回このスレで展開されるお話はその劇場版のパラレルストーリーのようなものです。
もしケロロ達が擬人化していたら、もし劇場版オリジナルでは登場しない人物がいたら。
そのもしも、すなわちIFはケロロ軍曹の物語にどのような変化を与えるのでしょうか?
ケロロ軍曹の世界自体、我々の世界から見れば奥東京市といった架空の街がある事から、
もしもの世界、すなわち平行世界ことパラレルワールドになりますが。
これはケロロ軍曹オリジナル本編が始まる以前に、IFによって分岐、そこから派生した
現実の歴史とはどこかが異なる歴史を歩んだもう一つの地球での、つまり現実世界と
並行して存在するパラレルワールドで起こったケロロ軍曹のお話です。
ちなみに平行世界である以上、現実世界と異なる歴史背景や、それによる日本領土の違い、
自衛隊が存在せず日本軍のままであるという、相違点等が見られますが御了承ください。
口上が長くなりましたが言いたいことは以上です。
ではお楽しみください、もう一つの劇場版、エロパロ版ケロロ軍曹2 深海のプリンセスを。



南太平洋上、某海域
物語は嵐の中、戦艦と空母を中核とする艦隊が航海しているシーンから始まる。
日本海軍の誇る連合艦隊に所属する第三機動艦隊は、ハワイ王国近海で行われた
米軍艦隊との合同演習から帰還、南洋における日本領土の一つであり海軍の根拠地でもあり、
トラック環礁に建設された宇宙開発の為の海上都市、トラック宇宙港を目指していた。
艦橋およびCICに配備されている軍人たちは、普段通りに黙々と作業を続けている。
「このまま行けばもう少しでトラック海軍基地に着くか……」
「はい、演習も大成功を収めましたし、後は無事に帰還するのみです」
「西澤グループの開発した最新システムを導入したお陰だな」
「西澤グループ様々ですね。しかし司令官、今回の演習には不可解な点もありました」
「ああ。米海軍の艦艇の事故だろ? 原因不明の衰弱状態の乗組員が言うには白い怪獣
みたいなのに襲われたと」
「ええ。その件に関してなんですが、事故の後でハワイの陸に上がった時、カフェでこんな
話が耳に入ってきたんです。老人の、ある祠がハリケーンの影響で破壊されたという内容の
話だったのですが……」
「祠と事故がどう関係するんだ?」
「老人は米軍艦艇の事故を聞いてこう言ったんです。祟り神キルル様は目覚めてしまった。
キルル様の力の源は負の力、だから力を求めこの地の民だけでなくアメリカ軍をも襲った。
そしてキルル様は強くなってこの世は終わる、と。高齢で半ばボケているのもあり誰も
まともに聞いていませんでした。でもハワイ王国全土で似たような衰弱事件が起こっている
のは確かです」
「我が国でも奥東京市で似たような事件が起こったが、どういうことなんだ?」
戦艦艦橋内部の席に座る艦隊司令官とその副官が雑談中、突然艦内に警報が鳴り響く。
「前方に障害物です!」
「潜水艦か?」
クルーの声に司令官は質問する。
「いいえ、もっと大きい。浮上してきます!」
彼らが見たのは自分達の乗っている艦が小さく見えるほど、大きく盛り上がった海面だった。
〈キルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル……〉
それと同時に鳴き声らしきものも聞こえてくる。
各艦艇は海中から現れようとしている巨大なものにサーチライトを当てた。
「ま、まさか、さっきの話から予測して、こいつが米艦艇を襲ったものの正体?」
「ハワイ王国からずっとこの艦隊を追跡していたのか!?」

8:超劇場版擬人化ケロロ軍曹2 深海のプリンセス
07/03/29 23:01:06 lJaIgG+O
サーチライトに浮かび上がったのは、前作劇場版に登場したケロン星の超古代侵略兵器キルル。
そのサイズは奥東京市に出現した初代キルル巨大バージョンの数倍はある。
おそらく話題にあがっていたハワイの祠に第二のキルルが封印されていたのだろう。
そして台風の被害によって封印が壊され活動を開始したらしい。
二代目キルルはサーチライトに上半身を照らされながらゆっくりと艦隊に近づいてくる。
艦隊のクルー達の身体の各所にはキルルの額と同じ「×」マークが浮かび上がっているが、
そんなものに気をかける暇など今の彼らには皆無だった。
「巨大生命体、接近してきます!」
「慌てるな! 奴が敵意を持っているのは確かだ。戦艦の艦砲射撃でしとめる!」
我々の世界の大和とよく似た形状だが、近代化され二回りも大きい巨大戦艦前方の
第一砲塔と第二砲塔に弾薬が装填され、標準をキルルに合わせる。
「発射準備完了!」
「てぇーー!!!」
次の瞬間56サンチ砲弾6発が轟音とともに放たれ直撃、キルルは爆炎に包まれた。
誰もが勝利を確信した、しかし……煙が晴れた時、すさまじい絶望感が襲ってきた。
「も、目標、依然健在!」
「バカな!? 56サンチ砲の直撃を喰らって無傷だと!?」
そしてまったくの無傷な二代目キルルが攻撃態勢に入った寸前―。
どこかから"歌声"が、子供が歌っている子守歌のようなどこか懐かしい歌が聞こえてきた。
異様な気配を感じ取ったキルルは周囲を見回す。
次の瞬間海面から二つの光球が飛び出し、左右から別々にキルルを包囲した。
歌声がどんどん大きくなってゆく中、キルルは光に包まれ、最後に粒子となって消滅した。
「た、助かった…………のか?」
「夢じゃないよな。それにあの光はいったい……」
嵐はキルル消滅とともに収まり、空では綺麗な星が見えている。
艦隊の誰もが目の前の光景に呆然としながら、青白い二つの光球を見つめていた。
ただ彼らは光の中に影が浮かび、会話をしていることまでは見抜けなかった。

だが光球の正体を見破った者達がいた。
嵐が去った後の夜空に残っている雲の中から話し声が聞こえてくる。
空に浮かぶシルエットは女の子、身に纏うはキンモクセイの香り。
「ダディ……あれは」
「我々の手に余る。冬樹君達の力も必要だ」
少女の問いに頭のカチューシャが答える。
「フユキ…………」
そして舞台は日本へ移る。




9:超劇場版擬人化ケロロ軍曹2 深海のプリンセス
07/03/29 23:06:26 lJaIgG+O
日本本土、奥東京市、季節はジリジリと暑い夏。
ケロロ小隊が居候させてもらっている日向家の浴室、今一組の男女がまぐわっている。
女は日向家の長女、日向夏美。
男はサラサラな赤い髪に、美少年の部類に入るイメケンな容姿で、
年齢は夏美より二、三歳年上だろうか?
特徴として顔の左側に目の上を通る大きな古傷がある。
ここまで言えば正体はわかるだろう。
赤髪の若者はギロロである。
そもそもクルルの技術によってケロロ小隊全員が地球人化したのが始まりだった。
地球人化したきっかけは、ケロロが自由にガンプラを買えるようになりたいという、
なんとも情けなくどうしようもない理由だったが。
しかしギロロが地球人になった事は、夏美との関係にも変化を与え、
最後二人は晴れて相思相愛の関係になった。

話は風呂場の光景に戻る。
既に何も身に着けていない二人は一通りの前戯をすませ、互いを受け入れる準備を整えていた。
「ああ……」
夏美が切なそうに首をそらす。
ギロロの掌が夏美の全身を撫で、唇が水滴を吸い取ってほの赤い跡を肌に残す。
「ギロロ……」
愛おしそうに夏美は両腕を伸ばして、自分の体を抱えて愛撫を続けるギロロの
髪をそっとまさぐった。
ギロロはその掌に導かれるように、己の唇を夏美の唇に重ねる。
(あたたかいな)
髪に触れる掌、甘い唇、滑らかな舌、何度身体を重ねようが夏美の魅力は尽きない。
「ねえ、ギロロ――もう私はいいからひとつに……」
唇を離して小さな声で言うと、夏美はゆっくりと指をギロロのものに這わせる。
遠慮がちにギロロの下腹部にある分身を包む夏美の手は徐々に大胆になり、
むずむずしたもどかしさがみるみる快感に変わっていった。
「お願い……」
隆々とみなぎったみなぎった肉棒をそっと捧げ持つようにして、夏美は濡れた瞳で懇願した。
(夏美……俺だけなんだな。夏美のこんな姿を知ってるのは)
愛おしさの中、愛する夏美の乱れる姿をもっと見たいと夢中になる。
「ギロロ――」
想いに捕らわれていたギロロは、夏美の呼びかけで我に返った。
「……いくぞ」
ギロロがうなずくのを見届けて、夏美はそっと彼に背を向け、壁に両手を置いて、
腰を突き出した。
静かに、夏美の入り口を確かめる。
滑らかな尻の下で、既に充分に濡れて開いた花肉が、とろりと粘ついた液体を流しながら
ギロロを待ち受けている。
ちゅぷ、と濡れた音がして、夏美の秘所が先端を咥え込んだ。

10:超劇場版擬人化ケロロ軍曹2 深海のプリンセス
07/03/29 23:10:12 lJaIgG+O
「はぁん……!」
夏美は心の底から快楽に酔ったように、甘く細い喘ぎ声を上げる。
静かに腰がうねりだし、外見の可憐さとは裏腹に、貪欲な肉洞がギロロ自身を深く、
奥へ奥へと招き入れてゆく。
「あっ、うぅん――あ……ん、ギロロ――」
丸いヒップが揺れて、くびれた腰がギロロを誘うように蠢いた。
たまらなくなってギロロが腰の動きを速めると、くちゅん、くちゅんと熱い蜜が
音を立ててかき回されてゆく。
「んっ、はぁ……あふぅ―」
夏美もつられるように腰の動きが早くなり、小刻みに髪が震えているのがわかる。
「ギロロ、もっと――もっと、中に―ああ……」
深く繋がりたいのか、快楽を求めてなのか、夏美はギロロを振り仰いで愛訴の声を上げた。
ギロロはちょっと考えた末に、繋がったまま思いきって夏美の太ももを抱え上げた。
だてに鍛えているわけではなく、辛くはなかった。
その姿勢で、再度思い切り突き込んでやる。
「ああぁああっ!」
ぐちゅっ、ぐちゅっ――。
「あんっ、あっ――はぁんっ、す、すごい……ああんっ!」
かなり練れた膣壁をこそげるように、あちこちを突き回すと、夏美も狂ったように
腰をくねらせて呼応する。
「はっ、あふ……あ、いい、いいの――」
夏美の背中の窪みにたまっているのが汗か水滴かわからないくらい、前身をほの紅く
上気させて悦楽にうち震えている。
「あふっ、あ、あぁ――そこ……!」
瞬間、きゅっ、と夏美の最奥がしまった。
亀頭がねとねととした熱い粘膜に絡め取られ、その快感がギロロの背筋を駆け昇る。
ギロロはぶるん、と身体を震わせた。
「夏美、最高だ……」
思わず出た言葉に夏美の身体が反応する。
膣のひだがざわつき、ギロロの肉棒を決して離すまいとするように締めつけた。
それを無理矢理引きはがすかのように、ギロロはピストン運動を続け、強引に抜き差しする。
「んんっ、あっ、す、すごいよぉ――」
夏美の喘ぐ姿を見て、射精感がずん、と身体を襲う。
かちかちになった肉棒でギロロは夏美の中を奥を何度もこじった。
「あ――あっ、い、いっちゃう、いきそうなの……ギロロ――!」
夏美の絶叫が浴室に響き渡り、次の瞬間。
「うっ」
夏美の膣肉はギロロのものを喰いちぎるほどに締め上げ、ひくん、ひくんと
しゃくりあげるように震えた。
もう限界だった。
「夏美、俺も――」
「ギロロ、ギロロも一緒に、一緒に――ああんっ、いくうぅぅっ!」
夏美の背中が反り返り、全身に力がこもる。
足の指がきゅっとすぼめられ、彼女は達したようだった。
ギロロの中を怒涛のごとく射精感が駆け抜けた。


11:超劇場版擬人化ケロロ軍曹2 深海のプリンセス
07/03/29 23:17:39 adb6TXcI
風呂場での情事を終えた二人は、火照った身体をシャワーで冷やした後、
リビングに移動、ギロロは武器を磨き、夏美はテレビを見つめていた。
ニュースでは南太平洋で起こった日本艦隊の事故と、ハワイで合同演習時に
起こった米艦隊の事故との関連性を語るシーンが放送されていた。
それが一区切りついたら、次に青空を飛ぶ風船が映し出されたCMが始まる。
「夏美、どうかしたのか?」
ボーっとテレビを眺めていた夏美は、ギロロの声で現実に戻される。
「夏休みに入っても変わりばえのしない毎日が続いてるなって、考えてたのよ。
ママの仕事が忙しい時だし、あたしがしっかり家の事やらないとね。でもまあ、
我が家が一番よね。ギロロもいるしね」
負け惜しみとも慰めともつかない台詞を呟いたが、ギロロがそばにいるのもあり、
孤独感を感じる事はなかった。
「そ、そうか」
「でも、どこかに行きたいと思うのはホント。海水浴でも行けたらいいんだけど」
ギロロと夏美がまるで新婚夫婦のような空気を形作っていると、
「ただいまぁ~」
「おじゃまします」
玄関から冬樹と桃華の声が聞こえてくる。
「冬樹おかえり~。桃華ちゃんいらっしゃい」
リビングに入ってきた二人は筒みたいなカプセル型の水槽をテーブルの上に置いた。
「何だこれは?」
ギロロがカプセル内部に浮かんでいる物体を見て聞いてくる。
カプセル内部には、青い尻尾の生えた胎児のような生物が、
タツノオトシゴのような姿勢で浮いている。
「UMAかもしれないって、西澤さんが持ってきてくれたんだ」
「今日のニュースでやっている、艦隊が巨大生物と遭遇した海域で、
うちの調査隊が発見したんです」
冬樹と桃華がギロロの質問に答える。
「ああ、さっきニュースでやってたやつね」
夏美は先程見ていたニュースの内容を思い出す。
「こんな生き物がいる海、思いっきり調査できたらいいのになあ」
オカルト好きの冬樹はカプセルの中の生物に夢中だ。
それを桃華は見逃すつもりはなく、勇気を振り絞って言葉を放つ。
「あの……冬樹くんさえよければ、これを見つけた海域に一緒に『行きたいか? そこに……』」
桃華の言葉はどこからともなく聞こえてくる女の子の声、彼女にとって最悪な相手によって遮られた。
台所の方向から声の主が放つキンモクセイの香りがしてくる。
突然の声に驚いた冬樹がその方向に視線を向けると、そこにいるのは闇の者を刈る少女。
「アリサちゃん!?」
「また会えてうれしい……フユキ」
アリサ=サザンクロスその人だった。
「突然、どうしてここに?」
こちらに黙々と歩み寄ってくるアリサに冬樹は疑問の声を投げかける。
アリサは冬樹の目の前で歩みを止めると訳を語りだした。
「求めるものは同じ。だから迎えに来た」
「えっ?」

12:超劇場版擬人化ケロロ軍曹2 深海のプリンセス
07/03/29 23:20:07 adb6TXcI
「そこから先は私が説明しよう」
アリサの着けている、猫耳型のカチューシャの姿をしているネヴラが代弁する。
「南太平洋でこの国の艦隊と巨大生物が遭遇したのは知っているね。実はその場に私達もいたのだ。
我々はハワイから南太平洋へ移動している強力な力の波動を感知、それを狩ろうとした。
姿を現した獲物は白い巨体に額に赤いバツ印があり、キルルルルルという鳴き声をしていた」
「まさかキルル!?」
「君がそう言うのなら、キルルで間違いないだろう。そのキルルは艦隊を襲おうとしていた。
だが次の瞬間、何処からか歌が聞こえてきたのだ。そして海面から光球が浮かび上がり、
キルルをあっさりと倒してしまったよ。ここに来たのは君の協力が必要だからだ。
あの光球の正体を突き止めるために。冬樹君、どうか力を貸してくれないか?」
「さあ行こうフユキ、例の海域へ」
「ちょ~っと待て! 冬樹くんを南の島に誘ったのはあたしが先だぞ!!」
折角の、冬樹くんとの南の島で二人っきりラブラブ大作戦を邪魔された桃華は、
裏桃華の面を剥き出しにしてアリサに噛み付いてきた。
しかしアリサは気にすることなく話を続けようとする。
「ちょ、ちょっと二人とも、特に桃華ちゃん冷静に」
夏美がこの二人を仲介しようとする中、さらにここに空気を読まない者が乱入してきた。
勇壮な音楽とともに床が割れ、そこから緑の髪の少年がせり上がってくる。
顔つきは童顔で幼い感じだが、ギロロと同い年だ。
もう気づいている人は気づいているだろうが、彼は地球人化したケロロ軍曹である。
おおかた新しい侵略作戦を思いついたので、それを皆に披露するつもりなのだろう。
「ゲ~ロゲロゲロ。愚かなペコポン人……」
「ただでさえややこしい状況を、これ以上ややこしくするんじゃないわよ!
このボケガエルーーー!!!!」
口上が終わる前にケロロは夏美に外まで殴り飛ばされた。
「まだどういう侵略計画なのかも、言ってないのにぃ~~~」
塀に半身を陥没させながらも泣くケロロ、しかし同情する者は皆無だった。
この後、結局南の島へは日向家、ケロロ小隊、その関係者一行で行く事になった。
「ちっきしょう……こうなったら南の島でチャンスを作るしかねえ。あの女~今に見てろよ」
裏桃華がぶつぶつと呟いたのは言うまでもない。



舞台は再び南太平洋へ。
あの後夏美と冬樹の母である日向秋の許可をもらった後の行動は迅速だった。
ケロロ達一行は、日本から西澤グループの航空機でトラック諸島へ直行。
そこから同じく西澤グループ保有の豪華客船に乗り換え、目的地を目指していた。
『―そっちは快適なの?』
「うん、天気も快晴だし。とっても楽しい旅行になりそう」
受話器の向こうにいる母親に夏美は嬉しそうに答える。
秋は編集部の仕事が忙しく、一緒に来るのは無理であり、今も仕事中だ。
受話器の向こうからは、大きな声や電話の音といった喧騒が聞こえてくる。
なのにこっちはデッキで心地よい風にふかれながら、ガーデンチェアでくつろいでいる。
向こうはしめ切り前の戦場なのに、なんだか申し訳ない。
そう思っている今だって、夏美にとっては大切な人、ギロロが隣にいてくれている。
こんな時も武器の整備をかかさないのはギロロらしいが。
夏美は受話器に耳を傾けたまま、にっこりと彼に微笑みかける。
次の瞬間、ギロロ真っ赤になり、磨いている武器もテーブルの上に落としてしまった。
身体を何度も重ねている仲なのに、こういうウブな部分は変わっていない。
『本当はママも一緒に行きたかったけど、夏美もいるし大丈夫よね。もう時間だから
切るけど、皆にもよろしくね!』
「うん、ママもお仕事がんばってね」
「な……夏美、日向秋はなんだって?」
夏美の突然の微笑みによるフリーズ状態から解除されたギロロが聞いてくる。
「うん、皆で思いっきり楽しんできなさいって」
母との電話を終えた夏美はそう答えると、ギロロが先程持ってきてくれた最高級の紅茶
を飲んで一息ついた。

13:超劇場版擬人化ケロロ軍曹2 深海のプリンセス
07/03/29 23:26:11 lJaIgG+O

ところでこの豪華客船、やけに人が少ないと感じてないか?
――と、思った人、それもそのはず、なぜかというと……。
この巨大豪華客船全てが貸切、しかも内部は西澤邸が再現されている細かさ。
さすが西澤ピーチグループの財力―全ては冬樹と過ごすために用意されたものだ。
同じデッキの、夏美とギロロがいる場所から少し離れた場所に冬樹、桃華、アリサが
テーブルを囲んで座り、執事のポールが少し離れて待機している。
しかし、場を包む空気は一触即発寸前、険悪な雰囲気だった。
西澤桃華は不機嫌の極みにある。
なぜなら愛しの冬樹の知り合いが同行するならまだしも、
冬樹を巡る恋敵であるアリサまで一緒にいるのだ。
穏やかでいられるはずがない。
現在桃華とアリサの視線がぶつかりあい、激しい火花が発生していた。
冬樹もこの空気には気付いており、この場を和ませようとなんとか話題を絞り出した。
「も……もうすぐ問題の海域だよね」
発した言葉のお陰か場の空気が少し和らぎ、冬樹も一安心する。
「ああ……私達が謎の光球を確認したのもこの辺りだ」
「この辺りの海域は全て西澤グループが買い取りましたので、じっくり調べられますよ」
アリサに続いて桃華も負けずに答える。
このチャンスを逃すつもりはなく、桃華はさらに話を続ける
「あの、それで……この先の島でキャンプになるんですが、今晩の食事は、
私と冬樹くんで作ろうかなあなあんて思って……」
「うん、そうだね折角探検隊気分で来たんだし、テントを張ったり、料理を作ったり……
アウトドアも楽しみだね」
と、うなずく冬樹、そこにアリサもキャンプ話に加わる。
「狩なら私に任せろ。あと私の身体は人間にかなり近づいているから食事も問題ない」
「別にお前には聞いてねえんだけどよぉ~。冬樹君との会話邪魔すんじゃねえよ」
「お前こそ邪魔をするな。フユキと話をしているのは私だ」
「―んだとゴラァ~!!」
売り言葉に買い言葉、せっかく和んだ空気は険悪なものに元通り。
「二人とも落ち着いて~! こんなところで喧嘩しないで~~~」
そして冬樹は二人の喧嘩を止めるのに必死だった。
一方、テーブル上に置かれたカプセルの中の青い胎児は夏美を、日向家にいる時から
じっとカメラのような無機質な瞳で見つめていた。

「ドロロ、島が見えてきたよ」
「どれどれ……おお! 確かに」
豪華客船の頭頂部にいるのは小雪と青髪の美少年。
小雪より二、三歳年上で、ケロロやギロロと同世代に見える地球人、そうドロロだ。
遠くに見える小さな島を期待に満ちて眺めている。
「島に着いたら夏美さんやギロロと、ビーチバレーしようね」
「ギロロくんも一緒でござるか。それは楽しみでござるな」
ドロロと小雪は顔を見合わせて微笑んだ。


14:超劇場版擬人化ケロロ軍曹2 深海のプリンセス
07/03/29 23:32:42 lJaIgG+O
一方少し離れたプールサイド付近のデッキチェアで、ケロロ、タママ、モア
といった面々がのんびりとくつろいでいた。
「やっぱペコポン人形態で来て正解だったね~。ケロン人の姿じゃ海水は合わないもん」
そう言いながらケロロは呑気そうにガンプラカタログに目を通していた。
本来ならここでギロロのツッコミが入るはずだが、肝心の当人は夏美に夢中なので
こちらのことなんて見向きもしていない。
すっかりリゾート気分に浸っている、自分と同じ年齢くらいの地球人の姿を
しているケロロに見とれながら、モアは幸せいっぱいなため息を漏らす。
「モアは幸せです。だっておじさまとて一緒に南の島でバカンスなんて。
てゆーか、婚前旅行?」
「なんだとゴルァ~~~! うたるっぞぬっしゃ~!!!」
冬樹と同年代らしい容姿で、中性的な雰囲気の地球人形態のタママは嫉妬の炎を燃やす。
かわいい顔も目くじらを立てていきりたつ形相のせいで台無しである。
そんな雰囲気をスルーしてケロロはどこからかスイカを取り出した。
「みんな注目。今からペコポン夏の風物詩、スイカ割りを行うであります」
モアもタママも、スイカを見た途端に目を輝かせケロロの手伝いを行う。
一通り必要な道具を揃えた後、ケロロは離れた場所にスイカをセット。
「それじゃ、私からいきまーす」
最初に目隠しをしたモアが、タママに回される。
「モア殿~。ガンバ~♪」
「はーい。おじさま~♪」
モアとケロロの何気ないやりとり、タママの嫉妬の炎を再燃させるには十分だった。
「あの女ぁ~、許せねぇですぅ~」
タママはモアの回転を止めた後、彼女の背中をスイカとは別方向に押したのだ。
モアはよろよろしながらも、そのままケロロにめがけて歩き出した。
しかも持っているのはルシファースピア、これにはケロロの顔も青褪める。
「ちょ、ちょっとモア殿、スイカは反対。こっちじゃ……」
「ハルマゲドン、十兆分の一!」
無情にもケロロが言い終わる前にルシファースピアは振り下ろされた。
「ギィ~ヤァ~!!」
そして爆音と悲鳴が響きわたる。
さらに悲劇は終わらず、発生した爆風はガンプラカタログを空へ吹き飛ばす。
「ゲロ~! 我輩のガンプラカタログ(各MSの細かい設定資料つき)がぁ~」
黒こげになりながらも、ケロロは空を舞うカタログを捕まえようとするが、健闘空しく
そのまま海に落ちてしまう。
「ケ~~ロ~~」
滝のような涙を流しながらケロロは真っ白になってしまった。

「ク~ックックッ……こんな暑い中、よくやるぜ」
「とかいってクルルもついてきてるじゃん」
サブローと、外見はサブローと同じ年齢で金髪でメガネをかけた人物が話している。
その正体は地球人化したクルル、二人のいる場所はケロン軍潜水艦ロードランジャー内部だ。
潜水艦は豪華客船の船底にコバンザメのようにピタリとくっついている。
二人はそこから海上の様子をモニターしていた。
当然ケロロが黒こげになるのもしっかり見ている。
「ほう、例のエネルギー反応が二つあるな。場所は豪華客船上ともう一箇所は……?」
クルルの操作によって、モニターには海域の全体図が映し出される。
豪華客船付近にあるもう一つのエネルギー反応をチェックしてみた。
モニターに映ったのは、海に落ちたガンプラカタログを何かが泡に包んで回収する光景だった。
「クルル……これって」
サブローの問いかけに心底愉快そうにクルルは返す。
「ああ、こりゃあ面白いことになってきやがったぜぇ……。ク~ックックッ……」



to be continued……

15:ギロ夏スキー
07/03/30 00:05:31 ugFnmy6J
今回はここまでです。
続きが完成したらまた投下させていただきます。
これからの展開を少しだけばらすと以下の予定です。

テントや薪の準備をする時、冬樹、桃華、アリサの3P。

夏美がさらわれる際に登場するナイトメア達が、ズゴックE、ハイゴック、アッガイといった水陸両用MS。
これらはケロロが海に落としたガンプラカタログから、メアボールによって創り出された。

ケロロと夏美がメールとマールに出会う時、もう一人メールに仕えるオリキャラが登場。

メールがギロロ(式典礼装バージョン)の姿になるが、夏美は本気になれない。

城に乗り込む前に責任を感じているケロロをモアが慰める形でエッチ。

メールを寝かせた後、ギロロが夏美に
「プリンセスというより母親だな」
と言うが
「じゃあ、ギロロはさしずめお父さんね」
と返答されてしまい慌てふためく事に、その後いい雰囲気になってエッチシーンへ。

城に乗り込む時、冬樹とケロロをドム3機がジェットストリームアタックで追撃してくる。

メールに夏美が取り込まれた際、助けるのはケロロではなくギロロ。

この他にも劇場版とは別に、ギロロと夏美が結ばれる話や、
プルルの登場によって焦ったモアがケロロに告白する話も考えています。

16:名無しさん@ピンキー
07/03/30 00:29:59 QdFffET4
GJ!!
続き期待しています。お体に気をつけて。

17:名無しさん@ピンキー
07/03/30 18:40:53 Bi/RXZQu
エロが無くても読みたくなる展開GJ!
映画に326が出なくて不完全燃焼気味だった我輩的には楽しみすぎて仕方ないです。

18:名無しさん@ピンキー
07/03/31 02:31:01 1SpZ4l38
や、やべー!
エロマダーという言葉すら口を閉ざすレベルだ!
貴方のペースでお書きください。

19:名無しさん@ピンキー
07/04/01 08:55:48 OUcJF5Mv
.....

あえて言おう、GJだと!

20:ギロケロ想定
07/04/03 22:05:26 KkGDEqcy
ギロケロスキー少ないと思いますが・・・
1本部から何故かギロロに通達。
2内容は、地球侵略の物理的な証拠(今回は国に限定)。
3そして本部のちょっとアレな奴から
    「無理な場合はたいちょの{ピーーー}な画像を定期的に送る」(ヤバスw)な内容まで。
4国はさすがに無理と判断。
5ご想像におまかせします。
いきなり失礼しました。皆さん、作品投降がんがってください。

深海のプリンセス&ギロ夏スキー>>
続編が楽しみです!期待

21:名無しさん@ピンキー
07/04/03 23:16:46 QMeV5ZFm
>>20
何が言いたいのかよくわからんが、801は801板に行ってくれ

22:名無しさん@ピンキー
07/04/04 04:39:23 iZvQ7TeY
801内容は801でだろ?
ギロ夏を待っていますていうのは問題無いがほかはヤバイ


23:名無しさん@ピンキー
07/04/04 08:22:13 hnUsoRAc
冬雪とか…

24:名無しさん@ピンキー
07/04/05 14:49:35 DO59uKvR
ケロ♀マダー?

25:20
07/04/05 19:17:11 UzufthsY
すいませんでしたorz
801板、よろしければアドレス張っていただけないでしょうか?
(20の、人物をかえればいろんなCPでできそう・・・)

26:名無しさん@ピンキー
07/04/05 19:38:39 zYnunf2N
擬人化ギロロ×擬人化ネコなんてどうやろう?

27:名無しさん@ピンキー
07/04/05 21:55:11 LzwPJI4W
>>26
ギロ→夏前提擬人化猫ちゃん×擬人化ギロロなら書き始めたところなので、
投下OKならいくらか早めに仕上げますけれどもいかがでしょうか?



28:ギロ夏スキー
07/04/05 22:09:21 3x603BB5
OKなのでどうぞ投下してください。
私の書いている擬人化バージョンの劇場版の続きももう少しで投下できますので。

29:名無しさん@ピンキー
07/04/06 07:34:53 BjTsc9Jo
>>26もギロ夏スキーさんもどっちもガンバ!

30:名無しさん@ピンキー
07/04/08 14:38:28 nGpEkIkv
夏美のオシッコ我慢でアニメ134話の続きと言う設定はどうかな?

31:sage
07/04/08 14:44:17 6mi0HNa8
グっとくるね。

32:ギロ夏スキー
07/04/08 20:48:12 Bf80smpv
皆様お待たせしました。
続きが完成したので投下します。
それでは超劇場版擬人化ケロロ軍曹2 深海のプリンセスをお楽しみください。

33:超劇場版擬人化ケロロ軍曹2 深海のプリンセス
07/04/08 20:49:11 Bf80smpv
「夏美! いくぞ!」
「オッケーギロロ! 小雪ちゃんいっくわよぉー!」
「ドロロ、手加減無しでいくよ!」
「承知した! 小雪殿」
水着姿のギロロ、夏美、小雪、ドロロらは砂浜でのビーチバレーに夢中だ。
出場者のレベルがハイレベルなだけに、凄まじい試合が展開されている。
「皆~。はしゃぎすぎて怪我だけはしないようにね」
ちなみに審判はサブローがしていた。




「西澤さん、最後の金具をお願い」
少し離れた場所で冬樹と桃華はテントを設営中。
「あ、はい!」
桃華は冬樹と二人きりという状況に、幸せを感じていた。
いつも邪魔するケロン人達も、いつの間にか姿を消している。
「さ、これでよしっと」
このチャンスを逃すつもりはなく、冬樹との仲をさらに深めようとする桃華。
「あのう……冬樹君……」
「フユキ、食料を狩ってきたぞ」
しかし桃華が話しかけようとしたタイミングに、食料集めに出かけていたアリサが戻ってきた。
カチューシャを変形させたカゴが二つ、一つは海産物、もう一つは果物でいっぱいになっている。
「アリサちゃんありがとう。今夜はごちそうだね」
「気にするな」
冬樹とアリサが会話する光景を見て、ケロロ達がいないので安心していたが、
よく考えればそれ以上に厄介な相手がいるのを忘れていたことに気付かされる桃華。
(……あああ……なんでいっつもこうなんだよ~~~)
桃華が落ち込んでいる間に、冬樹はかまどの前にしゃがみこんで火をおこそうとする。
「アリサちゃん、西澤さん、薪をこっちに持ってきてくれる?」
「わかった」
「……はい、冬樹君!」
アリサはもちろん、桃華も気持ちを切り替えて、これまで集めた流木やヤシの枯れ枝を運んでゆく。
冬樹はポケットを探るが、火種となるマッチやライターが見つからず、今度はバックの中を調べる。
「あれえ? ライターかマッチ持ってきたはず……これってケロボール?」
普段は机の中にしまってあるケロボールが出てきたのだ。
「間違えて持ってきちゃったんだ……。まてよ? うん、これって使えるかも」
ケロボールを取り出した冬樹はそれを薪へと構え、ボタンを押した。
するとボッという音と共に炎が噴き出し、薪は燃えやすい小枝を中心に燃え始める。

34:超劇場版擬人化ケロロ軍曹2 深海のプリンセス
07/04/08 20:51:46 Bf80smpv
「流石は万能兵器だね。じゃあ、こっちは……?」
感心した冬樹が誘惑に負けて別のボタンを押すと、ピンク色のガスが噴出した。
たちまち三人はガスに包まれてしまう。
「ゴホッ、ゴホッ、西澤さん、アリサちゃん、大丈夫?」
煙が晴れていくうちに、身体の調子がおかしいことに気付く。
気持ちが昂り、股間に熱が集まってゆく。
「身体が熱くなってくる……。これって、催淫ガス?」
まず桃華が顔を上げたが、その表情は紅潮して、今までになく甘えるように目尻が下がっている。
「冬樹君……。私って魅力ありませんか……?」
冬樹が驚きながら答えようとした口元を、アリサの唇がふさいできた。
それを押しのけるように、桃華の少し薄めの唇が重なる。
「――んっ……くっ……ちょ、ちょっと待って……」
二人分の体重で、冬樹は仰向けに倒された。
口の中に桃華の舌が入り込み、冬樹の言葉を封じる。
アリサは冬樹の胸を撫でながら、下半身に手を這わせ、海水パンツを降ろしてしまった。
既に半立ちになった冬樹の肉棒に頬ずりし、下から上へ舌先でつつく。
そして、陰嚢の付け根から亀頭まで、肉棒に絡むように舌全体を動かしてゆく。
「ん……んむむむ……うう……」
冬樹が漏らした呻き声を唇で聞いて、桃華もまた頭を降ろしていく。
冬樹が羽織っていたパーカーも脱がせ、乳首からヘソまで舌を往復させる他、
片手でアリサの頭の脇から、彼の陰嚢を撫で回す。
一人の男を巡って二人の女は協力的になっていた。
熱いため息とともにピチャピチャと液体の絡まる音だけが、この一帯を満たしている。
アリサの舌は左から、桃華の舌は右から、冬樹の肉棒を責める。
片方の唇が亀頭を挟みつけると、もう片方の唇は陰嚢を吸いたてる。
「フユキ。舐めて……」
アリサは黒のビキニを脱ぎ、自分の指で股間の陰裂を開くようにして冬樹の顔面にまたがってきた。
その秘所は人間のそれと全く同じであり、アリサが元は人形だったと言っても信じる者は皆無だろう。
大陰唇の奥、ピンク色の小陰唇は甘い蜜液を滴らせて冬樹の舌先を誘う。
「っ……いいっ……でも――もっと、上を、フユキ……」
お尻の後ろに回したアリサの手が、冬樹の頭を押し戻す。
舌先が細長く腫れだしたクリトニスに触れる。
そこを集中的に攻めてほしいのだろうか、冬樹は先端から根元へ円を描くように舌を動かした。
「あっ――はぁっ、そこ……もっと強くして、いい……」
クリトニス全体を舌に含んで軽く吸いたてると、アリサがお尻を押しつけてきて、
冬樹の鼻先は膣口に埋まった。
陰部全体が卑猥に回転運動をする。
愛液の臭いと鼻と口への粘膜の圧迫で、冬樹は窒息しそうだった。
「冬樹君……私にもお願いします」
喉の奥までペニスを出し入れして、ディープスロートに熱中していた桃華も、
アリサの喘ぎ声を聞かされて我慢できなくなり、フリルつきセパレーツの水着を
もどかしげに脱いだ後、冬樹の下半身に腰を落としてきた。

35:超劇場版擬人化ケロロ軍曹2 深海のプリンセス
07/04/08 20:53:45 Bf80smpv
慌てていたために一撃目は肛門に当たってしまい、その後自分の指で位置を戻して、
もう濡れそぼっている膣口へ導いた。
「んっ――はあああああああああっ…………んあっ!」
カリ首が熱い粘膜を掻き分けていく。
吸盤を剥がすような音が聞こえ、すぐに湿った摩擦音に切り替わった。
「あっ、あっ、あっ、うんっ……あん、あん、あん、あはん、あんっ―」
自分のヘソの近くで亀頭を感じながら、桃華は前後に激しく腰を揺すり、
アリサもクリトリスを吸われるたびに下半身を痙攣させる。
しかし彼女達はこれでも満足しないのか、アリサと桃華は互いの胸に手を当てて、
女同士だからこそ熟知している乳腺や乳首のツボを、ピンポイントで刺激し合った。
「あっ―あっ、そこっ……いいですっ。もっと、引っぱって」
「――っ、ひゃっ……フユキ……もっと、いじって。もっと、舐めて」
冬樹は再びアリサの陰裂に顔を埋め、下半身で桃華を突き上げた。
「冬樹君……いい、いいです。―あん、きゃん!」
「……っ、はっ―んんっ……フユキ、吸って、もっと、もっと……」
唇の間でアリサのクリトリスが張りつめて硬くなるのを、舌でさらにつつき回す。
冬樹のペニスは、桃華の膣内の複雑な肉壁に巻かれて弄ばれるのを楽しむ。
桃華は上下動に切り替わり、カリ首が膣壁と擦れあい、亀頭が子宮内に当たる感触を堪能した。
「あっ、冬樹君の……ああっ、凄いです……。あん、んあっ」
「ふぁっ……んっ、ひゃんっ、あっ、あっ」
冬樹の頭の上ではアリサが、腰の上では桃華が、エビ反りになって離れてゆく。
それをつなぎ止めるように、互いの両手が互いの乳首をまさぐり合う。
冬樹の肉棒はさらに強く締め付けられ、上下に激しく擦り付けられ、
下半身全体が痺れて爆発寸前になっていた。
アリサの粘膜の圧迫で窒息が強まり、頭もボーッとしてきて、これ以上我慢できない。
膣の奥で亀頭が急に膨らむのを悟って、桃華は腰の動きをさらに速くした。
「待ってください、あっ……もうちょっとで、もう少しでイク――あっ、あっ」
「――私も、限界が近い……フユキ――!」
「いっちゃいます、いっちゃいますから……冬樹君も、冬樹君も来て――あああああっ!」
冬樹の唇からクリトリスが離れ、アリサの上半身は後ろに倒れた。
小水を漏らしたかのように、大量の愛液が冬樹の前髪にふりかかる。
ほとんど同時に桃華も仰向けに倒れる。
冬樹の肉棒は下に曲がり、締め付けて痙攣する膣内をずり下がり、
ちょうどGスポット周辺でカリ首が踏みとどまりそこで射精した。
亀頭のビクつきはなかなか収まらず、桃華の小陰唇と冬樹の肉棒のわずかな隙間から、
白く濁ったドロドロの液体が漏れてくる。
膣口から一気にガスが抜けて、精液と愛液が冬樹の腹に飛び散った。
アリサ、冬樹、桃華がほぼ一直線に寝転がる中、アリサが一番先に起き上がり冬樹も起こすと、
「フユキ……今度は私に頼む」
そう言うと絶頂の快感でか未だ放心状態の桃華をどかして、アリサは再び冬樹と唇を重ねる。
そのまま冬樹はアリサの胸に手を伸ばし、その感触を確かめるように揉みしだく。

36:超劇場版擬人化ケロロ軍曹2 深海のプリンセス
07/04/08 20:57:13 Bf80smpv
「ん――んっ……」
やがてアリサは目を閉じたまま、冬樹の舌に舌を絡め口腔内を貪る。
冬樹の腕をつかんで、自分の方へと引き寄せていたアリサの手から、段々力が抜けていく。
その手は冬樹の胸から腹へと撫でるように降りて行き、やがて一回射精して萎れた肉棒を探り当てる。
アリサの白い指が、冬樹のペニスを軽く締め付けるように握って、上下に擦る。
テクニックが上手いのか、たちまち天を向いて怒張するほど回復する。
「……そろそろ……いいか?」
「…………うん、こんなになったし」
「―来てくれ……私の、中に……」
冬樹はアリサの背中の側に回りこみ、抱きかかえる。
アリサ自身から、既にネトネトと蜜を垂れ流している入り口に肉棒をあてがって、
腰を下ろしながら中に分け入って行く。
「あ―ああっ………!」
冬樹がアリサの白いうなじに舌を這わせると、
「んっ!」
アリサの体がぴくんと跳ねる。
冬樹は彼女の脇から手を回し、下から持ち上げるように胸を揉んだ。
手のひらを使って胸全体をもみながら、指先ですでに固くなっている先端を刺激する。
「ああっ! こんなに……すごい……!」
冬樹のピストン運動に合わせて、アリサは腰をグラインドさせ、
その中は冬樹の分身に絡み付くように圧迫してくる。
すごい締め付けに、すぐに果てそうになるのを必死に我慢する。
「ア、アリサちゃん……僕、もうイキそうだ……!」
「……わ、私も……! フユキ――な、中に……! ……あ――んんんっ!」
「あぁ――!」
冬樹は最後にアリサを思いっきり突き上げ、中に熱い奔流をぶちまけた。
「……はぁ……はぁ……」
冬樹を真ん中に、裸の三人は行為の後の余韻に浸っていた。
ぼんやりした頭で冬樹はふと思う。
「ところで軍曹はどこに行ったんだろう……」
ちなみにこの後、行為の後片付けと、料理の準備に大慌てになった。




その頃ケロロはキャンプではなく、サブローとクルルが乗ってきた潜水艦であり、現在島の洞窟内部
に停泊中のロードランジャーに、ドロロとギロロを除く小隊メンバーを集結させていた。
「ゲ~ロゲロゲロゲロ……。諸君等に集まってもらったのは他でもない。
今回の侵略計画に関しての説明のためであります」
不気味な笑い声を上げつつ、ほおづえをついてニヤニヤしながら宣言するケロロ。
しかし「ホントか? 後付けじゃねえの?」という疑問がモアとタママの心を満たす。
特に新しく新調した水着を着ているモアは、侵略より愛しのケロロと遊びたいようだ。
「軍曹さん……。ここまできて今更とってつけたような……見苦しいですぅ」
「おじさま、本当は遊びたいのを無理して誤魔化さなくてもいいんですよ。てゆーか、大義名分?」
二人の言葉が胸に刺さりつつも、表面上、冷静さを保ちながらケロロは話を続ける。
その顔には無数の冷汗が流れているが。
「て、敵を欺くにはまず味方からというでありましょう? 今回の作戦は夏美殿や冬樹殿を
油断させるため、あえて現地に到着するまで、諸君にも内緒にしていたのであります。
それに下調べはもう終えているのであります。クルル曹長、例のデータを!」

37:超劇場版擬人化ケロロ軍曹2 深海のプリンセス
07/04/08 20:58:55 Bf80smpv
「あいよ。クックックッ。ポチッと!」
クルルがボタンを押すと、海域図がモニターに映し出される。
図に表示されている赤い「×」印は、ハワイからこの付近の海域まで移動、
青白い「?」マークと接触した時点で消滅させられた事を示していた。
「これって……」
タママが思わず声を上げる。
「アリサ殿の話によると、ハワイに封印されていたキルルは覚醒後、この島近くの海域まで移動、
日本艦隊を襲おうとした際、謎の光球によって倒されたのであります。これはキルルが覚醒、
謎のエネルギーによって封印されるまでの経路を図にしたもの。今回の作戦はキルルを
倒したエネルギーの正体をつきとめ、その力をペコポン侵略に利用するというものであります!」
ここでとばかりにケロロは胸を張って宣言する。
「でもサブローもそん時一緒にいたから、そう簡単にうまくはいかないと思うぜぇ」
しかし、クルルの次なる一言でたちまち場は凍る。
「マジ……? つーかなんで部外者を同席させてんのよ?」
「トラブルアクシデントは俺の信条だからな」
ケロロのツッコミにもクルルはモットーで返す。
「なんか今回も失敗しそうっすね……」
「てゆーか、前途多難?」
タママもモアもたちまち意気消失してしまう。
どうやら今回の侵略計画も失敗する確率は高そうである。




その後ケロロの侵略計画は、サブローに情報が漏洩した事から一時保留となり、冬樹のUMA調査の
結果次第でどうするか決めることに、今はバカンスを楽しむ事に専念するという結論に達した。
それから数時間後、夕日の沈んだ浜辺。
ケロロ達は夕食のバーベキューを食べ終え、一息ついていた。
アリサの狩って来た果物や海産物のおかげで、かなり豪華な食事になったと付け加えておく。
「ふ~っ、食った食ったであります。しかし冬樹殿がアウトドア料理もこなすとは、」
「あはは、西澤さんとアリサちゃんが手伝ってくれたおかげだよ」
こういうことを全く意識せずに本心からさらっと言ってくれるのが冬樹の特技といえよう。
言われたほうは胸キュン状態だ。
「そ、そんなこと! 私は……別に……」
ああもう、ずっとこの島で暮らしてもいい、そう思う桃華であった。
アリサも冬樹の言葉が嬉しく、にっこりと微笑んでいる。
実にリラックスした空気が漂っているが、夏美とギロロの姿だけこの場には見えない。
少し離れた茂みの向こうに湧いている泉で、二人は食器を洗っているのだ。
今夜の日向家の家事シフトは夏美であり、ギロロは彼女を手伝っていた。
たまたま家事当番が自分でない幸運に浸りつつ、ケロロはふと気にしていたことを口にする。
「ところで冬樹殿に桃華殿にアリサ殿、気のせいか腰の動きがぎこちないようでありましたが、
日中なんかあったのでありますか?」
ケロロの質問対象にされた三人は慌てたり、妄想に耽ったり、頬を赤くしたりと様々な反応を見せる。
「な、なんにもないよ。ぐ…軍曹の気のせいじゃない? あははは……」
「冬樹君の……冬樹君の……デヘヘヘヘ」
「……フユキと……(ここで日中の行為を思い出して赤くなる)……フッ……」
まさか三人でセックスしてました、なんて言えるわけがない。
その後冬樹の機転によるスターフルーツのごまかしで、ケロロが真相に至る事は避けられたが。





38:超劇場版擬人化ケロロ軍曹2 深海のプリンセス
07/04/08 21:00:19 Bf80smpv
「楽しそうだな……」
「そうだね。早く終わらせて皆のところにいこっか」
茂みの向こうから「肝試し」や「スターフルーツ」といった単語が楽しそうな声と共に聞こえてくる。
夏美はギロロに懐中電灯で照らしてもらいながら、最後の仕上げとして食器を拭いていた。
当番だからだけでなく、かたづけものが終わらないとどうにも落ち着かないからだ。
作業も一段落着いて、フウッとため息をつく。
「夏美、ここ最近ため息が多いが、どうしたんだ? まさか、俺が知らないうちに何かしたのか?」
「違うよ。なんか、南の島に来ても、いつもとやってることと変わんない感じで……」
恋人の気遣いに感謝しながらも、どうしてこんな心境になったのか考えてみる。
(なんだか急に、おいてかれたようなさみしい気持ち。いつもの自分じゃとても考えられない。
みんなも、ギロロも、すぐそばにいるのに、どうして? そういえばニュースの時に赤い風船の
出るCMを見た時も。ママに電話した時も。こんなふうに……。ううん、違う。もっとずっと前に、
同じ気持ちになったような……)
「夏美――何か来る」
「……えっ?」
ギロロの言葉で現実に戻されるのと同時に、ガサガサという音が聞こえてくる。
音がした方向はキャンプの方とは逆のジャングルの奥。
暗闇の中に光る小さな光――。
忍び寄ってくるそれは、ギロロと夏美にとっては、見慣れたもののような感じがした。
「夏美! 避けろ」
ギロロは咄嗟に夏美を抱きしめ後方にジャンプした。
シャキンという鋭い音とともに、夏見の立っていた場所に何かが刺さる。
密林から突き出されたのは、巨大なカニのハサミ――?。
続いて、赤く光るモノアイを持った本体が現れる。
「こいつは……!」
「ボケガエルのガンプラ!?」
ギロロと夏美が見たもの、それは足の無いカニに似たロボット。
ジオン公国軍の宇宙用試作型モビルアーマー、ガンプラにもなったその名はヴァル・ヴァロ。
この場にケロロがいればすぐに正体を見破っただろう。
何らかの方法で浮遊しているらしく、その巨体は地面に接していない。
ヴァル・ヴァロは両手のハサミ改め、クローアームで夏美を狙ってきた。
「夏美ー! 下がってろ!」
ギロロは亜空間内の武器庫からバズーカを手元に転送、ヴァル・ヴァロに撃ち込んだ。
だが……爆煙に包まれた場所から、無傷のヴァル・ヴァロがその巨体を滑空させつつ追ってきたのだ。
ギロロは夏美の手を引いて全速力で走りだす。
ヴァル・ヴァロは進路上の木やテントを薙ぎ倒しつつ、確実に二人との距離を縮めてゆく。
焚き火を囲んでくつろいでいるケロロ達に聞こえるように、夏美は大きな声で叫んだ。
「みんな、逃げて!」
「夏美殿、さっきの爆発は……って後ろのヴァル・ヴァロはなんでありますか!?」
「軍曹さん、下がっていろですぅ」
いち早く状況を察知したタママの目の色が変わったのを見て、ギロロと夏美は咄嗟に伏せる。
「タママインパクトォーーー!!!!!」
口から放たれた必殺のエネルギー弾は、二人の頭部を通過して敵の巨体に直撃する―かに見えたが、
ヴァル・ヴァロはタママインパクトをクローで弾き、まだ伏せた状態の夏美とギロロに接近していく。
そしてクローを伸ばして夏美を捕獲、ギロロはもう片方のクローで弾き飛ばされてしまう。
「ぐぁっ、夏美~~!!」
「ギロロ! ちょ、ちょっとなんなの!? 放してっ!」
捕まりながらもギロロの心配をする夏美。
「僕のタママインパクトが効かないなんて……」
「姉ちゃん! 伍長!」
冬樹も駆け寄ろうとしたが、ギロロと同じくクローで弾き飛ばされる。
ヴァル・ヴァロは戦うつもりは無いのか、跳躍してケロロ達の頭上を飛び越えると、
そのまま海へと滑空してゆく――夏美を捕まえたまま。

39:超劇場版擬人化ケロロ軍曹2 深海のプリンセス
07/04/08 21:01:58 Bf80smpv
「夏美さん!」
「小雪殿、丸腰でなど自殺行為でござる!」
小雪に続いてドロロが猛スピードで波打ち際の敵に接近、あと一息で追いつこうとしたとき――。
水面が盛り上がり、海中から次々と新手の敵が飛び出してきた。
「ゲロォ~! どゆこと!?」
それを見たケロロが驚くのも無理はない。
目の前を阻む敵はいずれもケロロとなじみの深いものばかりだからだ。
ズゴックE! ハイゴッグ! ゾック!
そう、ガンプラ好きのケロロなら知らないはずがない、水陸両用モビルスーツ達がいたのだ。
いずれも見上げる巨体であり、そこから発せられる威圧感は充分だ。
その後ろでは、夏美を捕まえたヴァル・ヴァロが海へと逃走しようとしている。
「ちょっと! ヴァル・ヴァロは本来宇宙用なのに何で水に入って平気なの!?」
「こんな時にまでガンプラ考察してる場合か!」
気持ちはわかるが、場違いな発言をしているケロロにギロロが鉄拳を喰らわせて黙らせる。
「このもの達は一体? ケロロ君のガンプラにそっくりでござるが?」
「クックックッ、なんだかはわからねえけどよ……キルルを封印したのと同じエネルギー反応だぜぇ」
右目にセットされたスカウターで相手を調べたクルルがドロロの疑問に答える。
「マジ!? じゃこいつらがキルルを!? そんなのに敵うわけないじゃん!」
頭にたんこぶを作ったケロロは青褪めつつ、じりじりと後退する。
ハイゴッグが長い腕を鞭のようにしならせ、ゾックはレーザーを放ってきた。
ハイゴッグの鉤爪は小雪を狙ったが彼女はジャンプで難なく回避、
ゾックのレーザーもドロロの抜いた刀にことごとく弾かれる。
と、今度はズゴックEが頭部発射管から無数のミサイルを発射してきた。
ギロロの銃捌きによってミサイルは次々と撃ち落されてゆくが、なにしろ数が多い。
撃ち漏らしたミサイルがクローにやられて動けない冬樹と、彼を助け起こした桃華にも容赦なく迫る。
「フユキ!!」
声と同時にアリサがカチューシャを盾に変形させ二人を庇う。
ミサイルは危ういところで盾に防がれ大事には至らずに済んだ。
「このままじゃ姉ちゃんが……そうだ! 軍曹、これを使って!!」
冬樹はポケットから取り出した小さな黒色の球体をケロロに投げ渡す。
「おおっ、これはケロボール! これさえあればあんなやつら――」
ケロボールを受け取り、構えようとした矢先、モビルスーツ達を凝視してケロロは固まってしまう。
「――ダ、ダメであります……。いくら我輩でも、愛しのガンプラを、
モビルスーツを攻撃することなんてできな~~い!!」
頭で理解していても、ケロロのガンプラマニアとしての本能が、攻撃するのを許さなかったのだ。
「ええい、何をしてる! 夏美の命がかかってるんだぞ!!」
「んな事言ったって~~~〈ポチッ〉あ……」
ギロロと揉み合った拍子に何のボタンを押したのか、いきなりケロボールからロケットが噴射、
ケロロは空へと勢い良く飛び上がっていく。
「ゲゲゲッ、ゲ~ロ~? なんか押したぁ~。助けて~~~」
「軍曹!?」
「ケロロ、ふざけてる場合か!」
一筋の噴射煙を残して急速上昇したケロロ姿はたちまち見えなくなっていった。

40:超劇場版擬人化ケロロ軍曹2 深海のプリンセス
07/04/08 21:05:09 Bf80smpv
「あいつに頼ったのがそもそもの間違いだった……。こうなったらこいつの出番だ! 装着!!」
ギロロはどこからかケロン人形態の時、肌身離さず着けているベルトを取り出し、身に着け叫んだ。
ギロロが光に包まれた次の瞬間、ケロロがよく知っているガンプラのケンプファーがそこにいた。
ただ、オリジナルケンプファーと違う点として、赤いカラーリングに人間サイズ、武装も
二挺のショットガンの代わりにビームライフル、マシンガン、この他にシールドを装備している。
これこそ地球人化したのきっかけに、ギロロが用意した専用パワードスーツ。
パワードスーツを装備した夏美をパワード夏美と呼ぶなら、ギロロの場合はケンプファーを訳すと
「闘士」という意味合いからして、ケンプファーギロロと呼ぶのが相応しいだろう。
「ケンプファーギロロ! 出る!!!」
サブローも負けじと実体化ペンを使ってモビルスーツの絵を紙に描いて実体化させてゆく。
ズゴック! ゴッグ! アッガイ! グワブロ!
「さあ、そっちと比べて性能は劣るかもしれないけど、戦力はこっちが優勢だよ。どうする?」
戦局はこう着状態に、その隙にヴァル・ヴァロは潜水を開始、夏美をつかんだままでだ。
「きゃあ~っ!」
夏美の悲鳴をきっかけに、ズゴックE、ハイゴッグ、ゾックもヴァル・ヴァロの後に続く。
「夏美ぃぃ!! 逃がすかあーーー!」
ギロロは海に潜ろうとするヴァル・ヴァロに向かって飛行して急接近、チェーンマインを巻きつけ、
そのまま背中にしがみついて夏美を助けようとするが、
「ゲ~~~~~~~ロ~~~~~~~~~!!!!!!」
真上から叫び声、ギロロが空を見上げると、さっき空へと消えたケロロが真っさかさまに落ちてきた。
「何!? ケロロ…………って、グギャ~~!」
ギロロとケロロの頭がぶつかり、打ち所が悪かったのか双方気絶してしまう。
「ギロロ! ボケガエル! 水が……ゴボゴボ……ガボッ……!」
二人の心配をする夏美の声は、彼女を捕獲しているヴァル・ヴァロが海に消えると同時に途切れる。
その背中で気絶しているケロロとギロロも一緒に海に飲み込まれてしまった。
「姉ちゃん!」
冬樹は浜辺を走って海に飛び込もうとするが、
「冬樹殿! ……泳げないのでは」
「あ…………」
ドロロのツッコミで正気に戻った時には手遅れ、既に海中では足が着いておらず溺れそうになる。
「ガボガボッ、た、助けて~~」
すぐさまアリサが飛んで行って救出、桃華が彼の介抱を行う。
「フユキ、しっかりしろ」
「冬樹君、大丈夫ですか?」
いつもは冬樹を巡って反目している二人だが、こういう時の息はピッタリ合っている。
謎のガンプラ達は、暗い海に溶けるように見えなくなった。
「ギロロ、夏美ちゃん……。クルル、ロードランジャーで追跡しよう!」
「オッケ~いつでもイケルぜぇ~」
全員顔を見合わせてうなずく。
『行こう!!』








41:超劇場版擬人化ケロロ軍曹2 深海のプリンセス
07/04/08 21:07:39 Bf80smpv
セピア色の風景。
デパートの屋上で家族とはぐれ、迷子になっているのは5歳の夏美。
心細さをごまかすため、赤い風船を繋いだ紐をギュッとつかんでいる。
でも強い風が吹いて、うっかり手を緩めた隙に風船は宙へ。
おいてかないで……ひとりに……しないで……。
夏美は泣き顔で見上げるが、それでも風船はどんどん小さくなってゆく。
しかし次の瞬間、風船目掛けて小さな影がジャンプして――。




夏美は、ハッと目を覚ます。
さっきのは夢だったらしい。
まだぼおっとしている頭で、隣に気絶しているケンプファー姿のギロロを起こそうとする。
「ギロロ、ギロロ、しっかりして」
「―ん……夏美、無事だったか。ところでここは?」
「わかんない。気がついたらここに」
二人とも周囲を見回してみるが、わかったことは今いる場所は深海であり、ここだけ
透明な泡のようものに包まれドーム状の空間になっており、呼吸が可能という二点だった。
普通に考えればとても逃げられないと思うが、それを可能とする手段が二人にはあった。
「夏美、パワードスーツは装着可能か?」
「ちょっと待ってね……。あった」
ギロロに聞かれた夏美は、思い出したかのように水着の上に羽織っているパーカーの
胸ポケットから変身チョーカーを取り出した。
今回キルルが封印された海域を調べるにあたり、万が一に備え、肌身離さず持っていたのだ。
まさか自分がさらわれるとは予測していなかったので、使う機会は遅れてしまったが。
パワード夏美になれば深海の水圧も平気になり、既に変身しているギロロと一緒に脱出できる。
夏美が早速チョーカーを首に着け、変身しようとした矢先、青白い光球が近づいてきた。
「「……!?」」
敵かと二人とも身構えていると、光球から女の子の声が発せられた。
「お目覚めですか、プリンセス」
「誰っ?」
「怪しいものではありません。迎えのナイトメア達が手荒なことを、申し訳ありませんでした」
声の主が迎えと断言しているナイトメアというのは、あのガンプラ達を指しているらしい。
「ふざけるな! あれは迎えじゃなくて誘拐……って夏美がプリンセスだと~っ!?」
(夏美がお姫様? なんか、いいかも……って誰のプリンセスだ!? 俺か? 俺なのか?)
ギロロは夏美がプリンセス、というキーワードが引き金になり、妄想状態に入ってしまう。
「プリンセスって……あたし?」
「はい、プリンセス・ナツミ、私はマールと申します。」
光球はドームの中へ、膜を通り抜けるように入ってくると、その正体を現した。
幼い感じのするその子は、青く小さな身体で、優しそうな大きな目でこちらを見ている。
海底人、半漁人、宇宙人、とにかく人間でないことは確かであり、大きな頭に小さな身体はケロン人に
似ているが、手足に小さなヒレがついてついている違いから、カエルというより魚やイルカのようだ。
「ちょ、ちょっと待って、なに言ってるの? 迎えとかプリンセスとかどういうこと?」
「メール王子が、あなたをお見初めになったのです」
「へっ?」
マールは、それで必要な説明は終えたという顔つきだが、夏美にはなんのことか意味不明だった。
ちなみにギロロはまだ妄想の世界にいる。
「こらっ、マール! 王子の僕より先にプリンセスと話すなんてずるいぞ! お前は下がってろ!」
突然暗闇から別の、男の子の声が聞こえてきた。
「はっ。もうしわけありません、王子―」
まるでわがままいっぱいの幼稚園児のような命令に、マールはかしこまって引き下がる。
と、ドームの床に波紋が広がり、うずが巻き上がったと思うと、すぐに竜巻に変わった。
その中から現れたのは、イルカやサメの背びれを連想させる頭部のでっぱりが、マールよりも
長く突き出しているのが特徴の、不思議な男の子だった。
マールと同じ種族の男の子、王子と呼ばれている彼は、おごそかな雰囲気を出したいらしく、
夏美に対して優雅におじぎをしてみせる。
「ようこそプリンセス。僕の名前はメール。夏美、君は今日から僕のプリンセスになるんだ」
まるで幼稚園児の"王子様ごっこ"をしているような、気取った口調に仕草で手を差し出しているメール
の口調に、夏美はあっけにとられていた。

42:超劇場版擬人化ケロロ軍曹2 深海のプリンセス
07/04/08 21:11:23 Bf80smpv
「…………ナツミガ、オマエノ、プリンセス? ……フザケルナアァーーーーーー!!!!!」
「ちょ、ギロロ! 相手はまだ子供みたいだし、落ち着いて!」
一方、やっと脳内妄想劇場から戻ってきた途端、今度はメールの爆弾発言に暴走状態になるギロロ。
そして夏美は今にもメールに襲い掛かりそうなギロロの暴走を止めるのに必死だ。
「へ~~~ギロロっていうのか。こいつなかなか面白いな」
メールにはギロロは過保護な夏美のボディガードに見えるらしく、楽しそうにその光景を眺めている。
やっとギロロが冷静になったところで、控えていたマールが進み出る。
「メール王子は、あなたのような強くて優しいプリンセスを探していらしたのです。
ずっと、ずーっと、気の遠くなるような時の中……」
「そして、やっとナツミを見つけたってわけ。こいつが知らせてくれたんだ」
メールの手中に、カプセルの中にいた、尻尾の生えた青い胎児が表れる。
「こいつは……! こいつを通じて俺達を、夏美を監視していたのか……!」
ギロロは全ての元凶とばかりにメールとマールを睨みつけた。
メールとマールはギロロの視線を受け流しながらも、この生物はプリンセスを探すため、
世界中の海に放った探査用ナイトメアだと夏美に説明する。
他にも役割に応じて色々な種類の、形も大きさも全然違うナイトメアがおり、
あのガンプラにそっくりなのも、ナイトメアの一種らしい。
しかし夏美とギロロが聞きたいのはそんなことではなく、
「だからって、どうしてあたしがプリンセスになるのよ」
「それはもちろん、あの"ボケガエル"を一撃で倒し、二人の争いを見事に収拾した勇姿を王子は―」
「ゲロ~」
声の方向から、長身の人間に似た体形のナイトメアが三体、ケロロを引きずって現れる。
先頭にいるクジラのような顔をしたナイトメアの手には、ケロロが海で落としたカタログがある。
「メール王子、マール様、お二人の他にこのような者を捕らえました」
背後のサメとシャチのような顔をしたナイトメアは、ケロロの両腕を左右から挟む形で拘束している。
「あ、ボケガエル……とりあえず放してあげなさい」
夏美がそう言おうとするより先に、マールが護衛用のナイトメア達に命令する。
拘束状態から解放されたケロロは、そのままバタリと倒れこんだ。
ギロロも夏美もここに来た時、ケロロの姿だけ見当たらなかったこともあり、少しホッとする。
しかし起き上がったケロロはとんでもない行動に移った。
「こ、これはこれは王子様! お初にお目にかかるであります!」
揉み手しつつ、猛スピードでペコペコとおじぎを始めたのだ。
「お二人がキルルを封印した凄いパワーの持ち主でありますか?」
キルルを倒した力を手にするため、ケロロは腰の低い姿勢で、メールとマールに接する。
「……どうする夏美? このまま強行突破して逃げるか?」
メール達の相手をケロロがしている内に、ギロロと夏美は小声でこの状況をどうするか話し合う。
「でもそうしたら、ボケガエルだけ置き去りになっちゃうし、ここは様子を見ましょ」
その間もケロロはペラペラと早口でまくし立て、なんとか彼等と手を組もうと必死だ。
「……というわけで友好の証としまして、是非とも砂浜で見かけたようなモビルスーツ、
もといガンプラを我々に提供してもらえんでありますか? もちろんそれなりの対価を……」
話題が個人的な趣味に移っているのは気のせいだろうか……?
だがその努力も次の一言で切り捨てられてしまう。
「……お前、下品だな。それにつまんない」
「ゲロ? 下品? つまんない~?」
メールとマールとナイトメア達の冷たい視線の中、ガクッと膝を折るケロロ。
それでもあきらめず必死に食い下がろうとする。
「そりゃないっしょ? こっちは苦労してこんな海底まで来たのに、そのカタログも我輩のもの―」
「マスターナイトメア。こいつ、捨てちゃって」
最後まで聞くつもりはなく、メールは護衛ナイトメア筆頭に命令する。

43:超劇場版擬人化ケロロ軍曹2 深海のプリンセス
07/04/08 21:16:26 Bf80smpv
「かしこまりました。というわけですので緑の頭髪のお客人、ご退場を願います」
マスターと呼ばれたクジラ型ナイトメアは部下のシャチ、サメ型ナイトメアに指示を出す。
「ケロロ、貴様らやめんか!」
ギロロが止めようとするが、メールは首を横にふり、やけに気取った態度で言った。
「だめだ! 僕が必要なのはプリンセス・ナツミ、君だけなんだ。お前達なんてお呼びじゃない」
視線をギロロから夏美に変えるメールに対して、ケロロ、ギロロ、夏美は驚きを隠せない。
「ゲロ? 夏美殿がプリンセス?」
「ち、ちがうわよ、あたしだってなにがなんだか……じゃなくてボケガエル! この事を皆に―」
夏美が言い切る前にケロロは再び拘束され、クジラ型ナイトメアによりシャボン玉に包まれる。
「ヘルプ、ヘルプミー! ギロロ~! 夏美殿~!」
ドームの外へ、思いっきり投げ飛ばされたケロロの姿は、すぐに見えなくなった。
「次はこいつだ」
今度はギロロにその矛先は向くが、ギロロ自身、黙ってやられるつもりはなく、
右手にビームライフル、左手にシールドを装備し、万全の戦闘態勢で身構える。
「やめて! ギロロにまで手を出したら、ただじゃ済まさないからね!」
夏美もギロロに危害が及ぶのなら黙っていない、とばかりに強く睨みつける。
夏美の剣幕にメールはしょんぼりとうつむきかけたが、すぐに何か思いついたらしく、
ごそごそとケロボールにそっくりな赤い球体を取り出す。
「わかった……。そいつは君のお気に入りみたいだし、特別に一緒にいることを許すよ。
面白そうだしね。でも大丈夫、いずれそんな男より、僕のほうをもっと好きになるから」
(あれはケロボールに似てるな。んにしてもあのガキィ~夏美に馴れ馴れしくしやがってぇ~~)
未だギロロはパワードスーツで全身を覆っているから表面上は何も変わらないように見えるが、
その内面ではメールの言葉にハラワタが煮えくり返る思いでいっぱいだった。
まあ目の前で恋人を口説かれたのだからその心境は理解できなくもない。
しかし夏美の言葉を思い出して、メールをギッタギタにしたい気持ちを抑える。
「君の為に、素敵なプレゼントである町を用意してあるんだ。きっと気に入るはずだよ」
ケロボールに似た赤いボールが軽いうなりを上げると、ドームの空間がふくらみはじめ、
ものすごい勢いで海水を押しのけてゆき、波の引いた地面にはごく普通の日本の町の姿があった。
「海の底に……町?」
「な、なによ、これ!?」
「どう? このメアボールでナツミの記憶から作った町。夏美の大好きだった町さ」
ギロロと夏美があまりの出来事に呆然としている中、メールが得意そうに声を上げる。
町の中心、頂上が平たくなった小高い丘の上に夏美達は立っており、ここを中心に町は広がっていた。
「私の……大好きだった町?」
夏美は町を見回すが、奥東京市とは違うことに気付く。
でもこの町を見ると、どこか懐かしい気がして、気分がなごんでくるのだ。
(大好きじゃなくて、大好きだった町、この町は夏美の心中から創り出されたものなのか?)
ギロロはメールの言葉から、この町が意味するのがなんなのか突き止めようとする。
「あとは、プリンセスが暮らすお城が必要だ。ナツミのお城、ナツミ城が」
「ナツミ城ねえ……」
自分の望むがままにお城が作れる、ちょっと面白そう―。
そんなふうに思ってしまった夏美は、ついつい言われるがままに想像してしまう。
そうしているうちに、メールの持つメアボールが光りだす。
次に地面から水の柱が飛び出し、城の姿を形作ってゆく。
「……うそっ!?」
「城が一瞬に!?」
目の前にあっという間に城が現れたのには、夏美もギロロもあっけにとられた。
何もない丘の上に、誰も見たことのないような、巨大でファンタジーなナツミ城が。





44:超劇場版擬人化ケロロ軍曹2 深海のプリンセス
07/04/08 21:18:50 Bf80smpv
一方そのころ――。
クルル曹長の操る潜水艦ロードランジャーは、一行を乗せて海底目指して潜行していた。
護衛としてズゴック、ゴッグ、アッガイ、グワブロが周囲を警戒している。
「確かなのアリサちゃん? 姉ちゃんをさらったのは、キルルを倒したのと……」
「間違いない、同じ力の気配を感じた」
「クーックックックッ、浜辺で戦ったガンプラもどきとカプセルの生物の分析が完了したぜ。
こいつらは生体メカ、生物みたいなつくりをしているが、人工的に創り出されたもの、当然ながら
ペコポンのものじゃなさそうだな。ちなみにキルルが封印された時と同じエネルギー反応だったぜぇ」
冬樹の問い掛けに、アリサとクルルは共通の答えを返した。
敵の正体がキルルを倒したのと同じという確証が成り立つにつれ、艦内は重苦しい空気に包まれる。
かつてキルルと戦った時も、あれだけ苦戦させられたのに、今度はそれ以上の敵が相手なのだ。
「安心しな、エネルギー反応はしっかり追跡してるぜぇ。まあ、オッサンもいるから大丈夫だろ」
「おじ様も一緒だから大丈夫ですよ。てゆーか、一蓮托生?」
クルルに続いて、モアがにっこり笑って言い切るが、ケロロに関しては余計心配な気がする。
「しかし、一体何が目的でござろうか?」
「きっと、夏美さんがかわいいからだよ」
ドロロと小雪は夏美がさらわれた理由を考えていた。
「あ、きれいなクラゲ。おじ様、待っていてください。モアが必ず助け出しますから……」
窓の外のクラゲ達を見ていたモアは、その中にシャボン玉に包まれた人影を見つけて慌てて言い直す。
「クラゲじゃないです! てゆーか、おじ様発見!?」
この後すぐケロロは回収されたが、艦内に入る時にびしょ濡れになってしまった。




「ブェックション!!! ……死ぬかと思ったであります」
「でも、おじ様が見つかってよかったです。はい、どうぞ」
モアが深海を漂って疲れ切ったケロロのために、スターフルーツを切って差し出す。
スターフルーツを食べながらケロロは皆に愚痴と共に海底の様子を話して聞かせた。
「軍曹、姉ちゃんとギロロは一緒じゃないの!?」
冬樹は残った夏美とギロロの安否が気になって仕方がない。
「あ~。夏美殿ね。あいつらにプリンセスなんて呼ばれていいご身分でありましたよ。
ギロロもこっちに回収されてないってことは、恐らく夏美殿とまだ一緒なんでしょ。
まったく夏美殿ばっかり下にもおかない歓待ぶりでさあ……」
ヴィー! ヴィー! ヴィー! ヴィー!
ケロロの話は突然の警報に遮られる。
「レーダー、ソナー、各種センサーに反応、敵さんこっちの接近に気づいて刺客を
送り込んできやがった。隊長、あんた尾行されてたな。ク~ックックッ……モニターに出すぜ」
クルルの手によってモニターに映し出されたのは、ユーコン級潜水艦からザク・マリンタイプ達が
が次々と発艦して、こちらに攻撃しようとしている光景だった。
「サブロー、実体化ペンで描いたガンプラ達の出番だぜ。お前は敵機、俺は母艦をやる」
「オッケー、クルル。相手はザク・マリンタイプ、負ける気がしないよ」
今、夏美達のいる海底の真上の深海で、死闘が展開されようとしていた。





45:超劇場版擬人化ケロロ軍曹2 深海のプリンセス
07/04/08 21:19:45 Bf80smpv
そしてこれから起こる戦いを暗闇の中、監視している影達がいた。
場所は薄暗くてよくわからないが、ケロロ達の日向家地下秘密基地の司令室のような感じだ。
巨大モニターには、ザク・マリンタイプ部隊がケロロ達に迫らんとするシーンが映し出されている。
映像を見ている影は複数、リーダー格らしい人影だけ立派な椅子に座っている。
その手元にはケロロのガンプラカタログと、メアボールよりシンプルでボタンの数が少ない、
まるでメアボールのレプリカのようなボールの存在が確認できた。
「ザク・マリンタイプ。目標ト戦闘状態ニ入リマス。シカシ……」
「ヨロシイノデスカ? ワザワザコチラノ居場所ヲ教エルヨウナモノデスガ」
椅子の背後左右に控えている影は疑問を口にするが、これに対して座っている者は、
「構わない。奴らの技術力なら何もしなくても遅かれ早かれこの場所はばれる。それに、
丁度実戦データが欲しかったところだ。カタログスペックだけでは見えない性能もあるからな」
ガンプラカタログを眺めながら、まるで全て予想済みのように返答した。
「ところで、メールとマールはどうしている?」
「"プリンセス・ナツミ"ト"ギロロ"ニ城ノ内部ヲ案内シテイマス」
「ドウシマスカ? 今ノ内ニ計画ノ邪魔ニナリソウナ"ギロロ"ダケデモ排除シテオキマスカ?」
「まだだ、まだプリンセスは我々の目的を果たしていない。……今は好きなようにせておけ。」
ケロロ達はともかく、メールやマールでさえ知らないところで、巨大な何かが動き出そうとしていた。




to be continued……

46:ギロ夏スキー
07/04/08 21:28:12 Bf80smpv
投下完了。
ギロ夏色を強めてみました。
エロシーンでかなり苦労しましたが、無事に完成までこぎつけられました。
ただ次の話は映画の展開上、エロはないのでご了承ください。
オリキャラの登場が物語にどう影響するのかにご期待ください。

47:ギロ夏スキー
07/04/08 21:36:44 Bf80smpv
>>44
ここで小さなミスを発見。
「軍曹、姉ちゃんとギロロは一緒じゃないの!?」
   ↓
「軍曹、姉ちゃんと伍長は一緒じゃないの!?」
失礼しました。

48:名無しさん@ピンキー
07/04/09 00:30:45 tQq/L62/
ギロ夏スキーさん、新作乙です。

物語の核となるギロ夏は勿論良かったですが、
今回は桃華とアリサの反目、協力など原作でも未だない描写に萌えました。

あと、ケロロエロパロ史上、アリサのHを初めて投下したのもGJです。
これからの創作にも期待しています。


49:名無しさん@ピンキー
07/04/09 01:36:29 W/swc17j
寝る前にいいもん拝ませてもらいましたgj!

50:名無しさん@ピンキー
07/04/09 12:22:19 V1YePooT
ギロ夏スキーさんGJです!がんばってください!

前スレの小説が無事保管庫に移されたようでよかったです

51:名無しさん@ピンキー
07/04/12 11:59:17 O37ocqgP
う~ん過疎ってるなぁ・・・
職人さんのがんばりを期待するしかないか・・・

ところでこの板のスレってどのくらい書き込みが無いと落ちるか知ってる人いる?

52:名無しさん@ピンキー
07/04/13 03:08:08 LYhJwghL
保守

53:名無しさん@ピンキー
07/04/14 04:12:06 4XYBH3Ye
年度始めはしかたない、みんなバタバタする時期だからのう
まったり待とう

そんな中 ギロ夏スキー氏長編G.J!
勲章をあげやう。


54:名無しさん@ピンキー
07/04/14 19:54:39 63+me7IR
女ケロロが冬樹に接近する話の続きってまだ?

55:名無しさん@ピンキー
07/04/14 23:05:34 o/69eUjZ
♀タママ×ケロロって需要ある?

56:名無しさん@ピンキー
07/04/15 01:06:20 gV4BJ1up
そういや前スレでしつこく♀タママ×ギロロをリクしてた人がいたな

57:名無しさん@ピンキー
07/04/17 03:12:38 PAGL7wB5
ケロランでプルルが擬人化したらしいね。
見てる人いる?どんな感じ?

58:名無しさん@ピンキー
07/04/17 03:59:45 /1nPebgc
擬人化というか、支給品の異星潜入用生体スーツだそうで。
見た目はほぼ夏美…地球人メスのサンプルとして、夏美がモデルなのかも
アホトロン星人の変身能力を応用して開発された、のか?
(詳細不明。プルルはケロン人だよな)

正式な擬人デザインじゃないのかな。どっちにせよツインテールで可愛いが




59:名無しさん@ピンキー
07/04/17 07:46:57 PAGL7wB5
>>58サンクス
スーツかぁ…話から察するに、内部に入って操縦するタイプでは無さそうだが、
あの首だけ出てるスーツしか思い出せない俺はケロラン買ってきます

60:名無しさん@ピンキー
07/04/17 12:27:39 Y7WeA2YI
まてまて。
タママが使った「怪しいカメラマン」verを忘れているぞ?
ちなみに、俺はあの腹部の不自然なスペースには、
卑猥な触手が詰まってると信じている。

61:名無しさん@ピンキー
07/04/19 18:12:13 eHxp5ULN
保守ってことで

62:名無しさん@ピンキー
07/04/21 13:37:14 kc9qY/bz
ケロプルってどうですかね

63:クルル大好き
07/04/21 15:44:14 xXaPCzES
クル夏をよみたい

64:名無しさん@ピンキー
07/04/21 19:19:33 HDO/tok8
俺もクルル好きだが、いかんせん幸せになれる相手がいないのがなー。
夏美やモアだと、保管庫にあるみたいなレイプ系だし。

プルルとどうにかできないかな。
新兵にHなイタズラ→プルルが勘違いし本気になり、焦るクルル、とか。

65:名無しさん@ピンキー
07/04/21 19:38:16 9DF0UwWX
そこで秋ママの登場ですよ。

というわけで前スレからクル秋待ってます。

66:名無しさん@ピンキー
07/04/21 19:41:49 DDI1oOBP
プルルはエロパロ的に幅広く応用できそうな便利な存在になりそうだな


ケロロ・ギロロ・ドロロ…幼馴染み云々でカタがつく
タママ…ケロロに近付かれるのを危惧したタママによりエロ展開へ
クルル…気に入らないと思って手を出す
モア…ほぼタママと同じ流れ

ガルル…上司と部下のインモラルな恋愛模様
タルル…女がガルル小隊に来るなんて認められないッス!→骨抜きにされる
ゾルル…誰にも公平な態度で接するプルルに有り得ない感情を抱く
トロロ…あまり感じたことのない母性をプルルに感じ、体を重ねる

まぁどんな流れになろうとも、人体を知り尽した看護長だからヤった相手が枯れ果てる
のが目に見える…

67:名無しさん@ピンキー
07/04/22 00:21:33 jEiKt38K
>>65
同志よっ!!

68:名無しさん@ピンキー
07/04/24 17:51:02 dT/klwnL
メルマルは……


キルミラと同じ感じにっちゃうかな。どうしても

69:名無しさん@ピンキー
07/04/25 07:25:54 p3FQMr/+
成体の頭身が高い分、絵的にはエロを想像しやすいと思うが…

70:名無しさん@ピンキー
07/04/26 12:27:09 fezzPgoN
メル夏は読みたいですなあ。

71:名無しさん@ピンキー
07/04/28 12:08:05 GAhqafNm
先週と今週の放送のせいで、土下座する夏美に萌えるようになっちまったい。
心の底から本気でケロロに土下座する夏美とか、いいだろうなあ。

72:名無しさん@ピンキー
07/04/28 12:51:09 DscgtcwJ
今モーレツにギロロ×クルル♀が読みたい!!!

73:名無しさん@ピンキー
07/04/28 15:40:37 6l5zNLrK
>>72
あの話はクルルが女だったとか説明せんとつじつまがあわないなw

74:名無しさん@ピンキー
07/04/29 05:53:00 NXoBExEu
クルモアだとどうしても凌辱系になるのかな?
心ではおじ様が好き、だけど体はどんどんクルルに開発されて、
どっちが本当の気持ちかわからない…
んでクルル自身はもっとわからんくなってる。

そんな設定に禿しく萌える。
保管庫の話がガチガチのツボになってしまったせいだなー。

75:四七四式 ◆sqiwCTHRg6
07/04/30 21:03:15 017Dnrbx
お久しぶりな四七四式です
やっと♀ケロの続きが完成しました
今回はタマ桃がメインであまりエロは多くないかも…
週末にも投下しようと思います

76:名無しさん@ピンキー
07/05/01 12:48:45 XE1cV076
>>75
うおおキター

77:名無しさん@ピンキー
07/05/03 01:22:16 D8keQQ+Q
期待アゲ

78:ギロ夏スキー
07/05/03 03:48:26 ZdA1r8uK
かなり時間がかかってしまいましたが、パート3が完成しましたので投下します。


79:超劇場版擬人化ケロロ軍曹2 深海のプリンセス
07/05/03 03:50:23 ZdA1r8uK
「すごい……」
ナツミ城を案内してもらっている夏美とギロロのうち、夏美は感嘆としたため息をついている。
メールとマールは、その姿を満足そうに見ていた。
城の上空には逆さまの虹が天空へと伸び、無数の皿型のテラスは空中庭園、水上庭園になっている。
その全ては夢の中の景色のように美しい。
そして極めつけは最後に案内されたプリンセスルームだった。
「お待ちしておりました。プリンセス、さあお入りください」
部屋の前で待機していたマスターナイトメアが、自動ドアとなっている扉を開ける。
「わあ……!」
部屋に入った夏美は、感動のあまり声を上げてしまう。
目を輝かせて広々とした室内を見回す。
どんなファンタジー世界のお姫様でも、こんな素敵な部屋には住んでいないだろう。
幻想的なだけでなく、部屋の隅にはテレビやコンポが設置され、
小さな冷蔵庫には冷えた飲み物まで用意されており、夏美にとって実に理想的な部屋だった。
「う~ん。すてきね……」
夏美は感心しきってそうつぶやいた。
(ほんと、この子たちっていったい何者なのかしら……?)
心の中では素敵な城にわくわくする気持ちと、逃げなきゃいけないという気持ちが入り混じっている。
「フン……」
しかしその光景を、既にケンプファーギロロ状態を解除しているギロロは面白くなさそうに見ていた。
それを見たメールは、まるで勝ち誇ったかのような得意げな笑みを浮かべる。
「どう? 気に入った?」
メールは例の赤いボールの形をしたアイテムをかかげて見せ、反対側のマールが解説を始める。
「あちらのメアボールを使えば、頭の中のイメージや記憶にあるものをなんでも実体化できるんです」
「また、お前ばっかり喋って! 僕が説明しようと思ったのに!」
「はっ。申し訳ありません、王子――」
かしこまっておじぎをするマールに、大人ぶった調子で、やれやれと首をふるメール。
「まったく、マールはいつもこうなんだから……やんなっちゃうよ」
夏美は二人の微笑ましい姿を見てクスッと笑う。
「……ん?」
気がつくと、メールがじっとこっちを見つめている。
「ナツミ……」
「えっ?」
「こ、これに……」
なんだか真剣な目をしながらメアボールを差し出すメール。
よくわからないまま、夏美はボールに手を近づけるが――メアボールがポワッと光を放つ。
「「!?」」
怖くて手を引っこめると、光はすぐに消えたが、ギロロは警戒の色を隠せない。
「…………?」
この時、マスターナイトメアの目の色が一瞬変わったのに、ギロロだけが気付いた。
その光景を食い入るように見つめていたマールの方は、肩の力を抜いてホッとため息をついた後、
たしなめるように言った。
「王子、焦りは禁物です」
「マール!」
「あっ!」
余計なことを! というように睨み付けるメールに対して、しまった、と口を塞ぐマール。
「え、なに? なんなの?」
わけがわからない夏美。
「さっきの言葉はどういう意味だ? やはり何か隠しているな」
メールの挙動不審な行動に、ギロロは疑惑の念を強める。
「な、なんでもない! ……それよりさナツミ、街を探検しに行こうよ! ナツミの街を!」
なんだか知らないが、とにかく夏美の気を引きたくてしょうがないらしいメール。
(随分気に入られちゃったわね)
夏美が心の中で呟いている内に、メアボールをしまったメールは、窓を開けてパッと外へ飛び出した。
「あっ! ちょっと待ってよ!」
思わず窓から乗り出して外をのぞくと、最初見た時より大きくなっている広大な市街地を一望できる。
「ここだよナツミ!」
窓の外からメールの声がしたと思うと、夏美の目の前に何かが浮かんできた。
そこには移動用らしい、巨大な空飛ぶマンタ型ナイトメアの、広々とした背中に乗ったメールがいた。
上に乗っているメールは、マンタの頭部から生えている二本の触角を手綱のように操っている。

80:超劇場版擬人化ケロロ軍曹2 深海のプリンセス
07/05/03 03:51:49 ZdA1r8uK
「それで飛んでいくの?」
「大丈夫! 僕がいれば怖くないから!!」
夏美はメールの手を握り締めておっかなびっくりマンタ型ナイトメアの背中に乗り込む。
マールも後からいそいそと乗り込んできた。
「ま、待て夏美! 俺も行く!」
夏美を一人にしておけないとばかりに、最後にギロロが慌てて飛び乗る。
「さあ行くよ!」
メールが触角を引っぱると、それに従いマンタは街の賑やかそうな一画へ降下していった。
「一筋縄でいかないのはわかっていた……。あの時封印したこれを使うのも考えておくべきだな……」
一人残され呟くクジラ型ナイトメア、マスターナイトメアの手には怪しい、禍々しい壺があった。




後ろへと飛び去ってゆくのは、人っ子一人いない、どこか古臭い街並み。
「不思議――」
「どうした、夏美?」
夏美の呟きに、街を観察していたギロロが彼女に視線を変えて聞いてくる。
「なんだかとっても懐かしい感じがするの」
「当然です。ここはプリンセスの記憶にある、プリンセスの大好きだった街なのですから」
「私の大好きな街……ね」
(本当かしら? 懐かしいって事は、記憶にある街なのかもしれないけど……)
マールの返答に対して、どうもどこか引っ掛かるものを感じてしまう。
「わあっ、あれはなんだ!?」
メールの声に、夏美はハッと我に返った。
彼の指さすものは、広告つきの気球が上がり、屋上に小さな観覧車も見える建物、デパート。
「あそこに行ってみようよ!」
メールが宣言すると、マンタ型ナイトメアはデパートへ進路を定めた。




「うわ~い!」
歓声を上げて、メールはデパート内へ駆け出していった。
「お待ちください王子――!」
エスカレーターに乗り込んだメールをマールが追いかける。
「三人とも僕のそばから離れるな。迷子になっても知らないぞ!」
たちまち二人の姿は上の階へと見えなくなった。




「まったくもう! どこ行っちゃったのかしら、あの子達……」
後を追ってエスカレーターで三階の家具売場まで上がった夏美は、ため息をつく。
「夏美、今なら二人きりだ。邪魔な護衛もいない。逃げるなら今のうちだ」
彼女と同行しているギロロが逃げる案を提案したところへ、マールが飛び込んできた。
「プリンセス・ナツミ! 一大事です!」
「ど、どうしたの?」
「メール王子の姿が見えないのです! 恐らく迷子に…………どうか、どうか一緒に探してください」
「……うん、まかせといて」
「夏美!」
これにはギロロが思わず声を荒げるが、
「だって、あんな心配そうな顔されたらほっとけないじゃない」
「…………わかった、俺も手伝おう」
惚れた弱みというか、なんだかんだ言いながらも、夏美についてゆくギロロだった。
その後三人がデパート内を捜索した結果、業務用エレベーターの中で泣いているメールを見つける。

81:超劇場版擬人化ケロロ軍曹2 深海のプリンセス
07/05/03 03:55:07 ZdA1r8uK
「いたいた。王子様発見~」
「ナツミ……」
一人ぼっちで心細くてたまらなかった―そんな目でこっちを見つめるメール。
「なになに? ドアの開け方がわからなかったの?」
夏美が言い終わる前に――メールは彼女に抱きつき、こらえきれずウッウッと泣き出した。
迷子がお母さん、お父さんに再開した時のように、首にしがみついて、顔をこすりつけて。
(あたしも迷子になって心細かった事があったなあ。あれは、いつだったけ? あの一人ぼっちの感覚。
そう、たしか風船が……おっと! とにかく今はこの子を安心させてあげなきゃね)
「もう大丈夫よ、メール」
夏美は、しゃくりあげて震えている小さな身体をそっと抱きしめた。
「まったく……。これからは勝手にうろつかないことだな」
ギロロも、メールの頭に手を乗せ優しく撫でている。
安心したのか、メールの身体から力が抜け、しゃっくりもおさまっていく。
「……あっ!」
夏美の後ろでマールが驚いているのに気づいたメールは、ギョッとしたように顔を上げた。
彼は凄い速さで夏美から離れると、ごしごしと涙を拭いて、顔を真っ赤にしてマールに食ってかかった。
「も、元はといえばマールのせいなんだからな! お前がちゃんとついてこないからいけないんだぞ!」
「はっ、申し訳ありません、王子!」
照れ隠しに怒鳴り散らしてプイッと飛び去っていくメールに、反射的にかしこまって平謝りするマール。
夏美は、そんなマールに微笑みかけ、軽くウィンクしてみせる。
「さ、今度はちゃんとあたしたち保護者同伴でデパートを探検してみましょうか?
王子様がまた迷子にならないようにね」
「はい!」
嬉しそうにうなずいたマールは、こっそりと呟いた。
「……よかった。プリンセスが、ナツミで……」




「……母艦撃沈、てこずらせやがって」
「こっちも片付いたよ」
深海へと潜航中のロードランジャー内部、ケロロ達の目の前のモニターには、クルルの操艦と
サブローの操るガンプラに破壊されたユーコン級潜水艦とザク・マリンタイプ部隊が映っている。
「フィ~、危なかったであります。まさかガンプラが敵になるとここまで手強いとは」
ケロロは戦闘中の緊張感から解放されホッとしている。
「でも、これで一安心〈ズガアァン!〉キャアッ!?」
続いての桃華の言葉は、突然の衝撃によって途絶える。
ロードランジャー後方から無数の魚雷が襲来、そのうちの一つが当たったのだ。
「後方からの魚雷により、第三艦橋大破! 敵、第二派接近中! てゆーか油断大敵!?」
コンソールを操作するモアによって、魚雷の来た方向の海域の画像が映し出される。
「ゲロッ! 今度は種ネタまで!?」
驚愕の表情を浮かべるケロロの見たものは、サブローのガンプラに襲い掛かり、次々と破壊していく
ビグロ、カプール、グーン、ゾノ、そしてそれらの母艦であるマッドアングラー級潜水艦の姿だった。
「また間違えてるよ~! ビグロも宇宙用なのに~ブツブツ……」
ケロロは浜辺の時のようにガンプラ考察に入ってしまいそうになる。
「おおかた海中用に改造してあるんだろ。マズイぜぇ~。ガンプラもどきの攻撃で護衛が壊滅、丸裸だ。
サブローに新しいのを書いてもらうにしても、船外に出すまでにこっちがやられちまう」
「つーことは、僕達、大ピンチですか~~~!?」
クルルの返答にパニック状態になりかけるタママ、しかも敵は無情にも次なる攻撃を放つ。
しかし迫りくる魚雷は、思いもよらない第三者の魚雷攻撃によって相殺された。
「高速物体接近、速度100ノットを超えています! 正体はペコポンの、日本海軍の潜水艦です!」
「確かにペコポンには100ノットを超える潜水艦があると聞いてあるでありますが、
いくらなんでもこの深度まで潜れる性能はなかったはずであります」
モアの解析により自分達を助けてくれた存在の正体は判明したが、ケロロはいまいち納得できない様子。
そうこうしているうちに潜水艦の方から通信が入ってきた。
『桃華お嬢様~! ご無事ですか~~!?』
「ポール!?」
桃華の驚きの声と同時にモニターに映ったのは、西澤家執事ことポール。
彼は軍とのコネを使って日本海軍保有の、核融合機関搭載電磁推進潜水艦を人員と一緒に拝借、
桃華のピンチに深海まで駆けつけてきたのだ。

82:超劇場版擬人化ケロロ軍曹2 深海のプリンセス
07/05/03 03:56:28 ZdA1r8uK
『我々だけではここまで来る事は困難だったでしょう。しかしある方の協力によって可能となりました』
するとセンサーがポールの乗艦している潜水艦とは別の、高速で接近する物体を察知しモニターに映す。
『お久しぶりですね。ケロロ軍曹』
物体の正体はケロン軍宇宙艇、乗っているのは――ガルル中尉率いるガルル小隊。
これにはケロロも驚きを隠せない。
「ガルル中尉! 何でこんな所に!?」
『たまたま第二のキルル覚醒の調査の際に出くわした敵を排除するだけです』
『ホントはギロロ伍長が心配だからじゃないスか?』
『ププ~~ペコポンの軍の潜水艦を改造しろって言ったのには驚いたけどこういう事とはね』
『フン、公私混同だな』
『フフッ、でもそれがガルル中尉のいいところじゃないかしら?』
ガルル自身は真面目でも、彼の部下の反応のせいでどうもしまらないが。
『『こちらが敵をひきつけます。その隙に行ってください』』
宇宙艇はガンプラ、潜水艦はマッドアングラーへ攻撃を開始する。
頼もしい援軍の到来によって気を取り直したケロロは命令を発する。
「今の内であります。ポール殿とガルル中尉が敵を引き付けている間に敵陣へ突入を! クルル曹長!」
「ク~ックックッ、こいつの出力なら問題ねぇ」
クルルはロードランジャーを更に加速させ、海底に展開されている巨大なドーム型バリアに突入させた。






屋上にある遊園地の小さな観覧車――。
夏美とメールが乗り込んだゴンドラはすぐに一周してしまわないよう、ゆっくりと上がってゆく。
観覧車自体は小さくても、ビルの屋上に設置されているため見晴らしは抜群だ。
街の中央、霧の中から塔を突き出しているナツミ城もよく見える。
向かいの席に窓の方を向いて座っているメールは、「びゅ~ん」とか口で言いながら、
デパートで夏美からもらったZガンダムをウェイブライダー形態に変形させて、飛ばして遊んでいる。
ギロロとマールはすごく乗りたそうにしていたが、下で待っていた。
ちなみに夏美とメールが二人きりになる時、一悶着あったのは言うまでもない。
「あ~あ。なにやってんだろあたし……あの時ギロロの言うとおり逃げるべきだったかな?」
街を見下ろして、夏美はぼそりとつぶやく。
逃げ出すところか、無人のデパートでメールとマールと遊び倒した上に、家具のベットで眠ってしまい、
おまけにこんなところでメールとのんびりしてしまっている。
(なんで? この街が妙に懐かしいから? 特にこのデパートが気になるの……。こんなに狭かったのね。
あの頃は、あたしのほうが小さかったから広く感じたんだわ……ん? あの頃?)
「ここって……なんだっけ……あれ?」
奇妙なものを見つけて、夏美は思わず身を乗り出した。
観覧車の下、フェンス付近の空間に赤い風船が浮かんだ状態で静止している。
「あの風船は……」
夏美は必死に記憶を呼び起こそうとし、何か思い出しかけたその時、突然メールが声を上げた。
「あ、そうだ!」
「どうしたの? もしかしてトイレ? んもう、だから乗る前に聞いたじゃ―」
「ちがうよ」
メールはメアボールを取り出すと、Zガンダムを大事そうに座席に置いた。
「これのお返しに、僕からもプレゼントをあげる」
「えっ?」
夏美が驚いている間に、輝き出すメアボール。

83:名無しさん@ピンキー
07/05/03 03:57:49 HOWZdzJl
超支援

84:超劇場版擬人化ケロロ軍曹2 深海のプリンセス
07/05/03 03:57:51 ZdA1r8uK
光は波のように伝わり、パーカーや水着までが光り出し、光の粒子となって消えようとしている。
「ちょ、ちょっと……!」
そう言いかけた瞬間、すうっと全身が涼しくなり、服が消え失せた。
身に着けていたもの全てが、光と化してパッと弾け飛んだ瞬間、光の粒子は別の物質に変化していた。
「こ……これって……!?」
ようやく声を絞り出し、夏美は全身を眺め回した。
透けたベールのついた髪飾り、可愛らしく肩の部分で膨らんだ袖、ヒラヒラでふっくらとして上品な
透けているドレススカート……まさにプリンセス!
それも、着ていたビキニのイメージを残した、人魚姫のような大胆なデザインだ。
こちらを見上げたメールが、満足げな顔をする。
「ねっ 素敵だろ? ナツミ」
「う、うん」
「プリンスの姿だって、君と同じように……」
次の瞬間メールの全身が光に包まれ、光の塊となったシルエットが大きくなってゆく。
光が収まった後にいたのは、夏美より少し年下、冬樹と同年代位の、地球人の姿となったメールだった。
王子様の服を着ており、蒼い髪に整った顔立ちをしている。
「ねっ、どう? こんな感じ? ナツミと同じような姿になってみたんだけど」
地球人化したメールの容姿は美少年の類に属するものであり、異性を惹きつけてやまないだろう。
「……う、うん……」
しかし、夏美はそんなメールの姿を見てもときめかず、むしろここぞとばかり、
(どうして? どうしてこんなに苦しいの? ……ギロロ…………)
ギロロの姿が、地球人、ケロン人を問わずに浮かんできてしまい、思わず俯いてしまう。
「……どうしたのナツミ? 大丈夫?」
そう言って夏美の顔を覗き込もうとしたメールだが、
「オンワァ~~~!!! ナンジャコリャア!!!!!!???????」
下から聞こえてきた大きな絶叫によってそれは適わない。
観覧車から降りた夏美は思わず「ウッ」とひるんだ。
目の前にいるものは、それほどまでに危険なオーラを放っていたのだから。
他にマールの姿が見当たらない代わりに、見慣れない女の子がギロロの姿を見て青褪めた顔をしている。
「おい……これはどういうことだ……」
美しく黒く長い髪、十二単、手には扇……そう、ギロロは平安時代風の美人に……
ああ、いや、ただ平安時代風のとだけ言うべきか。
いくらギロロが地球人形態では美少年でも、「美人」と言うにはあまりに無茶なその姿。
なにしろ顔に白塗り極太マユの、まるで志○けんのバカ殿のような化粧が施されているのだから。
どうやら夏美がドレス姿になったと同時に、ギロロもこの姿にされたようだ。
「ああ、ナツミにドレスをプレゼントしたついでに、ここの本で読んだので最も似合わそうなのを」
ブチッ!!!!
メールのなんの悪気も無いような答えに、ギロロの中で何かがキレた。
「このガキィ~~~もう許さん!!! またんかーーー!!!!!」
「ヘヘーン。悔しかったら捕まえてみろよ~」
城の方向へ逃げるメール、それを追いかけるギロロ。
ケンプファーギロロになって武器をぶっ放さないところを見ると、多少正気は残っているらしい。
しかし着物姿で爆走する姿は……不気味以外の何者でもない。
「メール王子! プリンセス、追いますので乗ってください!」
「えと……あなたは……」
「マールです。早く!」
蒼い髪の少女、メールと同じく地球人の姿になったマールが手引きする。
マールが言うには、メールが地球人化した際、自分もこの姿になったという。
「ギロロ……! わかった」
夏美とマールはマンタ型ナイトメアに乗り、壮絶な鬼ごっこをしているギロロとメールの後を追う。
そして城に着いた二人の見たものは、

85:超劇場版擬人化ケロロ軍曹2 深海のプリンセス
07/05/03 03:58:43 ZdA1r8uK
「ほ~れほれ! あはは! 本に載ってたコレ、やってみたかったんだ」
「あぁ~れぇぇぇぇ~~~って、やめろ~~~!!!」
下帯をつかんだメールが、ギロロをグルグル回して着物を脱がしてゆく光景だった。
メールはすっかりギロロを回す事に夢中になっている。
「ギロロ……あんた、なにやってんのよ……」
「こ、このガキ、思った以上に、素早くてぇぇ~~。一瞬の隙に帯を掴まれたと思ったらぁぁ~~~」
猛スピードで回されながらも、あきれている夏美のツッコミにかろうじて答えてみせるギロロ。
「なんの、なんの、まだまだ、よいではないか~!!」
「あ~れ~ごかんべんを~~~~!!!!」
ついついつき合って熱演を続けてしまうギロロ、だがまんざらでもないようなのは気のせいか?
あっけにとられて、ぽかんと見ている夏美とマール。
十二枚重ね着していて、現在三枚脱がしたから、後九回は続ける事ができる。
その時、海底に作り出されたこの街の空にある天井を突き破り何かが落ちてきた。
ギロロもメールも帯回しをやめ、夏美とマールと同じく落ちてくる物、ロードランジャーを見上げる。
艦首からすさまじい勢いでテラスの池に着水したロードランジャーは、高潮のような水しぶきを上げた。
そのまま逆立ち状態のロードランジャーのハッチが開き、まず最初にケロロが降り立つ。
続いて冬樹、桃華、アリサ、サブロー、小雪、モア、タママ、クルル、ドロロが後に続く。
ちなみにケロロ小隊メンバーは戦闘に備えて、全員それぞれのコスチュームに着替えていた。
「またさっきのボケガエルですか。しかも今度は団体で……」
やれやれと肩の力を抜くマール。
「ギロロ伍長~、夏美殿~、助けにきたであります、って――何やってんの……?」
皆を意思を代弁するかのようにケロロが話そうとしたが、ギロロのあまりの姿に言葉を失ってしまう。
夏美のドレス姿が霞んで見える程その衝撃は大きく、ケロロだけでなく他の皆も硬直状態に陥っていた。
「し、しまった……この姿なの忘れてた……」
ギロロも今更ながら自分の今の姿を再認識して、ガクッと項垂れてしまった。
「と、とりあえずギロロの事は置いといて、夏美殿迎えに〈ビシッ!〉ヒイィッ!?」
いち早く立ち直り夏美に近づこうとしたケロロの足下に銃創ができる。
「困りますなあ。緑髪のお客人、貴方は当然の事、他の方々も招待した記憶はないのですが」
声と共に城の中から現れたのはマスターナイトメアとジムの、ビームスプレーガンではなく
ビームライフルを装備した大部隊、そのうち一体のビームライフルの銃口から煙が上がっている。
ミイラ取りがミイラになる、夏美とギロロを助けるつもりが、逆にケロロ達が包囲されてしまった。




to be continued……

86:ギロ夏スキー
07/05/03 04:14:47 ZdA1r8uK
今回はここまで。
前のと比べて少し短いかもしれません。
劇場版との微妙な違いを探してみると面白いかも。
例としてはドリルモグラの代わりとしてのZガンダムや、ギロロがメールの頭を撫でるシーン等ですね。
ゴールデンウィーク中にはなんとか完結させたいので続きを急ピッチで執筆中です。
こう思ったのはアニメ158話の影響もあります。
記憶改竄ネタはあまりにも酷すぎましたからね……。
ギロロと夏美のこれまでの話を全て台無しにするような内容でしたから。
クルルにはマジ殺意が湧きました。
その鬱憤を全て創作にぶつけていますのでもう少しお待ちください。

87:名無しさん@ピンキー
07/05/03 11:12:18 is5Tp2ax
GJ!!!!!
GW中に完結支援.

88:名無しさん@ピンキー
07/05/03 23:35:03 Pnydaqwo
GJです!
続きお待ちし取ります~!

89:名無しさん@ピンキー
07/05/05 20:35:51 XCQY9/vu
♂タママ×♀タママなんてダメかな?
まだ構想段階だけど・・・

90:名無しさん@ピンキー
07/05/05 21:15:58 JkJnaUAH
人格分裂でもすんの?

91:名無しさん@ピンキー
07/05/05 21:17:04 fSKgUQbq
♀ケロマダー?

92:名無しさん@ピンキー
07/05/05 21:20:38 XCQY9/vu
そこは例によってクルルの発明で・・・

93:名無しさん@ピンキー
07/05/05 21:22:15 XCQY9/vu
追記 某アニメの魔獣"切ったり貼ったり"を参考にしたものです。

94:四七四式 ◆sqiwCTHRg6
07/05/06 23:28:44 JozObRqI
お待たせしました、四七四式です
予告にあったように♀ケロの続き投下です
今回は前言通りタマ桃を絡ませてみました
では…

95:『Dreaming sergeant Part-03 "偶"』(タマ桃)
07/05/06 23:31:01 JozObRqI
基地内に響かんばかりの大きな音を立て、ギロロはケロロの部屋の扉を開いた
否、どちらかというと蹴り破ったと言った方が正しいか
部屋の中ではケロロがタママと、さっき買ったガンプラを仮組みしているところだった
団欒とした空間を劈いてギロロが現れたものだから、2人は思わず手にしていたガンプラを落としてしまった
眉間に深い皺を刻みつつ、赤く燃えるギロロの視線はケロロへと注がれる
また侵略か何かの話かと思い、ケロロはごく自然に応対した
「ああギロロ、どったの?」
「…ッ」
しかし、ギロロの心情はそれどころではない
風呂場で自慰に耽る想い人と、その少女の口から漏れた気になる言葉の数々…
確かな事は解らずとも、ギロロは夏美の異変の原因がケロロにあることを、持ち前の動物的勘で察知していた
ギロロはケロロにズンズンと詰め寄り、おもむろにその首根っこを掴む
「貴様っ…夏美に何をしたァ!?」
「ゲ…え、え??」
こんな光景は小隊内でも日常茶飯事の筈だった
だがギロロの様子はいつもの激昂時に見せる顔のそれとは明らかに違っている
無論、この事に関してケロロは何も知らない
全く噛みあわない両者の問答に、強引にタママが割って入った
「ちょ、ちょっとギロロ先輩待って下さい!」
「どけタママ!これは重要な問題だッ!」
「えっと~…ワガハイ何かしたっけ?」
「き、貴様!!」
身に覚えのない訴えに言葉が詰まるケロロだが、その行動がギロロをもっと刺激した
横のタママを突き飛ばし、そのまま掴みかかるとケロロをその場へ押し倒す
流石にここまでの行動に出られるとケロロも憤りを感じ、言葉を荒げた
「ぎっ…何をするでありますか!!」
「黙れ!そこまでしらばっくれるとは…見下げ果てたぞ!」
「2人とも、ホントに止めて下さいですぅ!ギロロ先輩、どうしちゃったんですか!?」
側のタママを完全に無視したギロロの顔は、怒りで真っ赤になっている
血が滲むほどに拳を握り締め、その様子は尋常ではない
「ギロ…ロ?」
押さえつけられ、涙さえも瞳に浮かせている友の姿を見て、ケロロは喉を鳴らした
幼い頃からいつも一緒だった赤ダルマ
ちょっと融通が効かなくて、偏屈で、頑固で、だけどイイ奴
子供の頃からの腐れ縁で、ケロロも彼を異性として意識した事が無いわけでもない
何だかんだで頼りになるし、小隊内では一番頼りにしているつもりだった
そんなギロロがこんな顔を見せ、しかも自分を拘束して怒りに震えている
ケロロは、背中に嫌な寒気が走るのを感じた



『Dreaming sergeant Part-03 "偶"』



96:『Dreaming sergeant Part-03 "偶"』(タマ桃)
07/05/06 23:32:24 JozObRqI
「待たれよ!」
小隊始まって以来と思われる一触即発の状況下に、一陣の風が吹いた
次の瞬間、とんっ…とギロロの背に微弱な衝撃が起き、同時に彼の視界は暗転し、ケロロの上に倒れた
「わぷ!?」
「あ…ドロロ先輩」
そこに、小隊の縁の下の力持ち、ドロロ兵長がいた
彼は今にもケロロに殴りかからんとするギロロを止めるため、背中のなんたらかんたらというツボを刺激したらしい
ギロロをどかして起き上がったケロロは、晴れ晴れするような笑顔でドロロに感謝の意を述べた
「いやぁ~ドロロ、ほんとに助かったでありますよ」
「無事でなにより…と、言いたいところでござるが」
ツボを付いたときに使った小太刀の鞘をなおすと、ドロロはケロロに本当に身に覚えがないのかと、今一度問いただしてみた
事態は収拾したとはいえ、このギロロの過剰ともいえる行動や言動は無視できないものだったからだ
「だ~か~ら~、ギロロが勝手に言いがかりをつけてきたんでありますよぉ!」
「僕たちはずっとここでガンプラを作ってたですぅ」
「ふむ…」
いまいち納得ができない流れだ
ともかく、このままギロロを放置しているわけにはいかないので、ドロロがギロロを預かると進言した
「ダイジョブで…ありますか?」
「何があってこうなったかは存ぜぬが、また暴れだすとも限らんでござる」
ぐったりとしたギロロを見つめ、とても複雑な心境のケロロとドロロ
沈痛な面持の2人を前にして、タママも同じく嫌な気分になった
…しばらく静寂が部屋の中を包んだ
ドロロはギロロを水車小屋へと運び、タママは遅くなったので西澤家へと帰宅する準備を整えていた
そろそろ飯時なので、ケロロも散乱してしまったガンプラを片付けている
タママが持ち込んで食べ切れなかったお菓子をかたしている側で、こっそりケロロはあの薬を取り出す
「…」
この薬を手にしてから一ヶ月と少し…確かにこれは自分に大きな幸せを呼んだ
しかし、この薬と今回のギロロ暴走とは無関係なはず―なら、何も問題は…
…そういえば、薬を使い終わる時に自分はどうするのか?
いっそ人間になってしまって冬樹と歩むか、それともケロン人に戻ってこの僅かな蜜月に終止符を打つのか?
というか、使っているところを見られたりして、自分が女性だと周囲にバレたら?
冬樹はもちろん、夏美や秋の反応は?
いや、それよりも長年連れ添った小隊の皆に知れたらどうなる?
今回の騒ぎどころではない、恐ろしい結果になってしまうのでは?
最悪の展開の果てに待つバッドエンド
連鎖的にケロロの頭を恐ろしい情景が巡った
その途端、自分が手にしている薬が、今まで自分たちが手にしたどんな兵器よりも恐ろしいものだと思えて、ケロロはぞっとした
「(けど…ずっとずっと、冬樹殿のことが…)」
だが、もしかすると、逆にもっと良い結果が待っている可能性だってある
皮肉にも悪い結果より良い結果を連想することが難しかったが、ネガティブな思考に翻弄されていてはどうにもならない
ケロロはその大きな不安を、無理矢理自らの内へと封じた

97:『Dreaming sergeant Part-03 "偶"』(タマ桃)
07/05/06 23:33:42 JozObRqI
「ぐんそ~さん♪」
「…」
「軍曹さん?」
悩みで上の空のケロロに、タママの呼びかけは聞こえていない
もう帰るから別れの挨拶ぐらいしたかったのだが、応答がないのでタママは残念に思った
でも、ついさっきあんなことがあったのだから無理もないと察し、そっとタママは退こうとする
「じゃ、帰りますね?」
「…」
「……ん?」
名残惜しそうにタママが振り返る…すると、ケロロの側に赤い宝石のような何かが落ちていた
それはあの大事な秘密の薬で、ギロロに押し倒されたときに落としてしまったものだ
この薬、パッと見は綺麗なルビーのように見えるが、甘いものに眼のないタママには美味しそうな飴玉にそれが見えた
「(危ない危ない、拾い忘れがあったです……っと)」
ケロロの気分を害さないように、タママはそっと薬を手に取ると、持参したお菓子専用のリュックへと放り込んで立ち去っていった
…タママは、小型UFO以外の移動手段として、最初のころはワープを使用していた
時が経つにつれて円盤で移動するようになったが、たまに荷物の多い日などはワープを利用しており、今日のタママはワープでこちらに来ていた
そのワープ中、タママはケロロといたとき食べ損なったお菓子を見つめ、重々しく溜息をつく
「お菓子でもいいから…モモッチには元気になってほしいですぅ」
みんなには話していなかったが、あのあと冬樹に会えなかった桃華はかなり落ち込んでいるらしい
食べ物も喉を通らないようで、せめて何か口にしないと体に悪いと思い、後でタママはこのお菓子を桃華と食べようと思っていたのだ

98:『Dreaming sergeant Part-03 "偶"』(タマ桃)
07/05/06 23:35:13 JozObRqI
…その後、ケロロはいつも通り夕飯のため、食卓へと足を運んだ
だが、その席には夏美と秋の姿が無い
秋は仕事の関係でいないが、夏美は風呂場でのぼせて気分が悪くなったとかで、もう眠っているらしい
ギロロもドロロが連れて行ったので、今食卓を囲んでいるのは、冬樹とケロロだけである
先の騒動を振り払うかのように、ケロロは楽しげに膳を取った
「いやはや、ママ殿の作り置きがあったからカンタンにご飯ができたであります」
「…ごめんね、軍曹」
「ゲロ?」
箸を取り、ご飯を突付こうとしたケロロに、申し訳なさそうな顔で冬樹が謝った
何事かと思えば、例の頼まれたガンプラの一件のことだった
「あんなに楽しみにしてたのに…今日ね、とても面白い女の人に会ったんだ」
「ゲ……そ、それで?」
「その人、なんだかどこかで見たような感じだったんだけど、話してるととても楽しくって、まるで軍曹みたいだったよ」
「!」
「もしかしたら、あの人も宇宙人かも…なんてね」
冬樹にしてみればただの何気ない会話だったろうが、ケロロはそれを聞いただけで内心ドキドキであった
人間になった自分がどう思われたのか、正体がばれていないか…
だが、思いのほか冬樹が擬人化ケロロに感じた印象は、割と良いものだったようだ
ケロロは、そこで思い切って、冬樹にもっと突っ込んだ質問をぶつけてみた
「けど、その人が軍曹と同じガンプラを欲しがってて…それで譲っちゃったんだ。軍曹、ごめんね」
「ふっ…冬樹殿」
「ん?」
「その女の人って…えっと、冬樹殿はまた会ってみたいでありますか?」
かなりぶしつけなケロロの質問
一瞬、冬樹の脳裏に帰り際の夏美の言葉がよぎる
だが人を見る目が確かな冬樹は、迷わずこう言った
「うん、会ってみたい…かな?」
「…っ!!!」
まるで心臓を鷲掴みにされたような衝撃が、ケロロの心に響いた
嬉しい…ちゃんと、好意的な目で冬樹に見られていた
それが解っただけでも、ケロロは天にも昇る気持ちだった
今すぐにでもこの喜びを発散させたい衝動に駆られたが、取り敢えずはぐっと抑え、ニコニコ笑顔で冬樹に自分のおかずを分けるに止めた
「軍曹、鳥の唐揚げいらないの?」
「ふふん♪何でもないでありますよ、冬樹殿」
「あははっ、変な軍曹」
にこやかな談笑を交えながら、日向家の食卓は深けていった


99:『Dreaming sergeant Part-03 "偶"』(タマ桃)
07/05/06 23:36:44 JozObRqI
一方、ここは西澤邸・中央食堂
いつも数十人のスタッフが配備され、常に一流ホテル顔負けの料理ともてなしができる設備が整っていた
しかし、今ここを利用する人はおらず、非常に寒々としている
その食堂に現れたのは、さっきケロロと別れて帰ってきたタママだ
大きいテーブルには最高のコース料理とオードブルが置かれていたが、どれも全然手が付けられていない
ちょうどそこに屋敷内の警備をしていた吉岡平が通りかかったので、タママは話を聞いた
「桃華お嬢様ですか?…残念ながら、まだお食事には手をつけていらっしゃらないご様子です」
「そっか…やっぱり…」
吉岡平が言うには、桃華は自分の部屋にまだ閉じこもっているという
タママはそこへ向かい、大きな扉をノックした
「…モモッチ、起きてるですか?」
…反応は無い
桃華のこういう行動はたまにあった
大規模な予算を賭けたラブラブ作戦が失敗したときとかは、よく塞ぎこんでいたものだ
いつもだと、しばらくしたらまた気を取り直していたが、今日はちょっと長いので心配だった
「モモッチ…入っちゃうですよ…」
タママは、極力音を立てないように、そっと扉を押し開いた
部屋に入ると、タママは桃華を探し始めた
勉強机、トイレや洗面所、広大な庭を一望できるテラスと探したが、そのどこにも桃華の姿は無い
西澤財閥のご令嬢というだけあって、自分の部屋だけでも日向家とほぼ同じぐらいあるのだ
なかなか桃華が見つからず、困っていたタママは、まだ探していない場所があることに気付いた
「も、モモッチ~…?」
そこは寝室だった
桃華とタママは仲良しだが、さすがに部屋は別々にある
ことプライベートな場所なので、あまりタママもこの部屋自体に入った事はない
そして、有事以外はポールでさえも入れないのが、この寝室だった
うら若き乙女の寝床なのだから、触れられたくないこともあるのだろう
タママが桃華の寝室に入ったのは、かつて地球を去ろうとした時に訪れた時以来、初めてだった(詳しくはアニメ一年目最終回参照)
寝室は明かりが点いておらず、薄暗い中でタママは眼を凝らして桃華を探す
すると、ベッドでうつ伏せになっている姿を見つけた
「…」
「モモッチ、大丈夫ですぅ?」
「…ほっとけよ」
不機嫌なのか、今は裏モードらしい
「モモッチ、ご飯食べないと身体に良くないですぅ…もしダメだったら、僕のお菓子でもいいから食べて欲しいですぅ」
「いらねぇよ…」
言葉遣いは確かに裏モードのものだが、覇気が無い
毎度の事とはいえ、冬樹と会えもしなかったのは余程応えたと見える
それでもタママは引き下がらず、持っていた袋からお菓子を取り出した
「これ、前にモモッチがくれたお菓子の…ホラ、おいしいですよっ」
「お前のだろ…食べろよ」
「んもぉ…モモッチ!」
桃華は横にあったクッションを被り、自らタママの声を遮断した
そこまで意固地にされると、流石にタママもちょっとムッとして、ボリボリとお菓子を食べ始めた
「ふん!あとで欲しいって言っても、モモッチにはひとつもあげないですぅ!」
「…」
互いに険悪なムードのふたり
桃華を元気にさせるどころか、更に事態をこじれさせてしまったことを残念に想いつつ、タママはお菓子を口に運んだ


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