08/02/19 13:38:54 LoS5WERv
ふと、床に落ちたゴミに目がとまった。
珍しいな。
部屋も身だしなみもいつも綺麗な美雪なのだ。
いつもはチリひとつだって落ちてない部屋なのに。
捨ててやろうと何げなく拾ったそれに金田一は良く見覚えがあった。
メーカーの違いはあれど、ふちがギザギザの薄っぺらい袋。
美雪と旅行の時は、金田一が必ず常備する、そして金田一には全く縁のない物だった。
コッ…コ…コンドーム…!!?
袋が破れ、明らかに使われた形跡のあるコンドームの空袋が美雪の部屋に落ちている。
金田一を動転させるには充分な状況だった。
あんなに潔癖な美雪が男を部屋に招き入れ、コンドームが必要な状況になったなんて。
美雪が笑顔で男を部屋に入れるシーンが浮かぶ。
あの美雪に限ってありえない、あるわけがない。
あの幼馴染みが自分の知らない内に他人に奪われていたなんて信じない。美雪を信じてる。
同じ問答が金田一の頭の中で繰り替えされた。
だが何度考えても芽生えた疑惑をかき消す事はできなかった。
金田一の瞳が恐る恐る部屋のごみ箱に向けられる。
人として、やってはいけない事だ。
そこまでプライドを捨てたくない。
だが、確かめずにはいられない。
ごみ箱にはティッシュと共に、大量の精子を溜めた使用済みのコンドームが捨てられていた。
金田一がへろへろと座り込む。
その頃、一階では。
草太を近くまで送ってきた美雪が帰ってきて玄関で靴を脱いでいた。
「草太くんたら、あんなに人のいる前でお別れのキスなんて…ふふ」
とんとんとん、と美雪が階段をあがっていった。
了