らぶドルat EROPARO
らぶドル - 暇つぶし2ch600:かわいいあの娘は耳年増
10/04/17 00:08:05 1fz1htEd
 琴葉が蒲団に入ってから、時計は10分、20分と時を刻むが、いまだ琴葉に睡魔が訪れない。
 むしろ、暗闇に目が慣れてしまっているほど、しっかりと瞳を開いている。
「……眠れない……」
 すでに時刻は10時をすぎており、特別に早いというわけではない。
「早く寝ないと……」
 明日は映画館。
 睡眠不足にでもなれば、暗くて暖かいだけに居眠りをしてしまうかもしれない。
 まして、明日は早起きをしないといけない。
 逆算すると、ここで寝ておかないと睡眠時間がどんどん削られてしまう。
 しかし、早く寝ようと意識するほど、目が冴えて眠気が訪れる気配がない。
「あーん、こんなんじゃ、智弘くんにいい顔を見せられない」
 睡眠不足は、化粧のノリも悪くなる。
 折角のデートなのだから、少しでも綺麗な自分を見せたい。
「いっそ、早く朝になればいいのに」
 眠れないのなら、この瞬間にでも朝になってもらいたい。
 そうすれば、眠れずにやきもきすることもない。
「智弘くんとのデートって、どんな感じかなぁ」
 期待と不安で想像が脳裏に浮かぶ。
「映画を観たら、丁度お昼でしょ。お昼はすぐそばのショッピングモールの中かな。
そのまま午後は一緒にショッピングで。智弘くんには何がいいかな。ネクタイなら使って
いるのが判るし、普段でも使えるわよね」
 一緒にネクタイを選び、試しにと自分が智弘にネクタイを締めてあげるシーンが浮かぶ。
「なんか、奥さんみたい」
 自分でいって、顔を赤くする。
「智弘くん、いつもスーツだから、結婚したら毎日してあげるんだよね」
 芸能マネージャーという仕事柄、スーツ、ネクタイの着用は必須。
 夫のネクタイを締めてあげるたびに、彼の妻であることを実感する。
 ネクタイを締めることで自然と近づく二人の顔。
 彼は、ネクタイを締めた御礼にと、彼女に軽くキスをする。
「智弘くんと毎日キスしちゃうんだ……」
 琴葉の妄想は止まらない。
「ネクタイを買って、他のお店も見て回ったら、沈む夕陽を観ながらホテルのレストランで
早めのディナー。ディナーが終わったら……」
 琴葉は、右手をパジャマのズボンの中へと潜り込ませた。
 指先で、ショーツのクロッチ部分に触れた。
「やだ……」
 琴葉は、指先にほんのりと湿り気を感じた。
 ディナーの後、まだ帰りたくないと智弘にねだり、彼はホテルの一室を取り、二人で部屋へと消えていく。
 その中で行われるは、男と女の関係。

601:かわいいあの娘は耳年増
10/04/17 00:08:32 1fz1htEd
「だめ……だめ……」
 琴葉は、指先でクロッチの上からスリットを撫でる。
 彼と結ばれることに想いを馳せ、止まらぬ妄想は琴葉に自らを慰めさせる。
「ん……ん……あ……」
 指が動くにつれ、クロッチの湿り気が増す。
 体全体が熱を持ち始め、琴葉は左手を上着の中へと潜り込ませると、ブラの上から乳房を軽く揉んだ。
「あっ……あん……智弘くん……」
 大好きな彼に、ベッドの上で愛撫される。
 彼を受け入れるための準備を、優しく丁寧に愛をもって彼にされる。
 琴葉の体は、それに応えようと体を火照らせ、乳首を隆起させ、秘裂の奥にある秘口からは蜜を滴らす。
「あ……智弘くん……そこ、ダメ……恥ずかしい……」
 彼に愛撫されたいと願うも、彼に見られることに羞恥する。
 たとえ、脳内の出来事にしても、想像でさえ気恥ずかしくなる。
「はぁ……はぁ……んんっ……そんなトコ……なめちゃダメ……」
 クロッチ越しにスリットを擦る琴葉の指は、今、彼女の中では智弘の舌と化している。
 その指も、次第に速度を上げていく。
「智弘くん……ダメ……ダメ…ダメェ…あっ…あああぁぁーーっ!」
 琴葉は、指をスリットに強く押しつけると両足を伸ばしてシーツを突っ張った。
「んっ! んっ! んんっ!」
 奥歯を噛み締めて唇を閉じるも、喉奥から声が漏れる。
 ビクビクと体を震わせ、閉じられた瞼からはうっすらと涙が滲み出た。
 次第に震えも収まると、全身から力が抜けて肉体の緊張が解けた。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」
 琴葉の体に、長距離を走っていながら最後は短距離を猛ダッシュさせられたかのような
疲労感が襲った。
 琴葉は、気怠くなった体を起こして膝建ちになると、ズボンを膝まで下ろした。
 クロッチに触れると、かなり濡れている。
 ショーツを下ろすと、クロッチ部分と秘口の間で粘質の体液が糸を引いた。
「やだ……こんなに濡れて……」
 ティッシュを数枚とると、自分の秘裂を拭い、次にショーツを拭いた。
「デートの前の日なのに……ひとりエッチだなんて……」
 琴葉は、軽い自己嫌悪に見舞われた。
 このまま寝るわけにもいかず、もう一度シャワーを浴び、下着も全部新品のものに取り替え、
再びベッドの中に入ったときにはすでに日付が変わっていた。

602:かわいいあの娘は耳年増
10/04/17 00:09:21 1fz1htEd
続きは二週間後(マテ)

603:名無しさん@ピンキー
10/04/17 00:30:24 AGwqWTUc
全裸待機で待ってる


604:名無しさん@ピンキー
10/04/17 13:09:05 jo0m+T6X
おっ、なんかキタコレ! (;´Д`)ハァハァ/lァ/lァ
琴葉さん濡れまくりですな

605:名無しさん@ピンキー
10/05/14 15:41:50 TmHt4zkx
一月たちそう…


606:名無しさん@ピンキー
10/05/17 01:07:58 26rX39Ji
忙しいか、最近よくある規制の巻き添えかの
いずれかではないかと

そういうウチも2ch本体には全然書き込めない
瑞樹の誕生日もお祝いカキコできなさそうだし
キャラスレは今にも落ちそうだ


607:名無しさん@ピンキー
10/05/24 21:31:33 RAVFFCly
一月立ったな

608:名無しさん@ピンキー
10/05/24 21:39:12 xz6gyoaQ
すんません。
GW前から別のことで時間を割かれて、
GWすぎまでPCの作業はすべてそれに費やすことになり、
完全にスケジュールが狂ってしまいました。
書き始めたのが今日からで、
今度は最後まで書いてアップするので今週末ぐらいになるかもしれません。

609:名無しさん@ピンキー
10/05/25 00:34:43 IY+YhD2J
気長に待ってますから急がなくてもいいですよ

610:名無しさん@ピンキー
10/05/25 11:57:55 8ph+aq2y
ですね
楽しんでやってナンボだし、無理せずに(´ー`) >>608

611:名無しさん@ピンキー
10/05/29 01:48:11 pPuLfaKo
中古屋にゲームが売ってたから買ってみた
結構面白いな

612:名無しさん@ピンキー
10/05/30 00:55:54 m18DxQCU
おお、アレか
俺も前、ネット上で攻略みながら進めたよ

613:かわいいあの娘は耳年増
10/06/04 22:54:50 KXcjGftz
 琴葉の部屋へカーテン越しに外の光が差し込み、朝を迎えたことを告げる。
 外の明るさに急かされるように、琴葉はうっすらと目を開けた。
「……ん……」
 寝ぼけまなこのまま、枕元にある目覚まし時計を手にした。
「……9時……」
 今日はオフ。
 就寝時刻が遅かったためいまだ眠気があり、もう一寝入りと行きたい。
 琴葉は、目覚ましを手にしたまま、枕に顔を埋めて二度寝に入った……はずだった。
 いきなり上体を起こすと、目覚ましを目の前に持ってきて時刻を再度確認した。
「9時!?」
 琴葉は、現時刻を認識すると慌ててベッドから抜け出た。
「何で9時なのよー!?」
 愚痴をこぼしながら、急いでバスルームへと駆け込んでいく。
「ちゃんと目覚まし掛けたのにー!」
 確かに7時にアラームが鳴るようにセットをした。
 本人は気付いていないが、ちゃんとアラームが鳴った。
 ただ、残念なことに、琴葉自身、無意識のうちに止めてしまった。
 とかく女の子の支度には時間がかかる。
 琴葉は、その髪のボリュームから、かなりの時間を要する。
 まして、今日は恋の勝負の日。
 いつもより念入りに支度をしなければならないのに、あろうことか10時待ち合わせで9
時起床では、遅刻か支度時間短縮かの選択になる。
 当然、遅刻は御法度なので支度時間を詰めなければならない。
 気合いを入れてセットするどころか、最低限の身支度でも間に合うかどうか。
「もーう! なんだって今日に限って寝坊なのよー!」
 琴葉は、半べそをかきながら支度をして出掛けていった。
 大通りまで走りタクシーをつかまえると、映画館へと急いだ。
 タクシーの中では、軽く掻いた汗をハンカチで抑えながら、化粧崩れをチェックする。
 少し荒い塗りになっている化粧を直し終えると、車内からは映画館が見えた。
「お釣りはいりません!」
 釣りをもらう時間も省き、待ち合わせ場所へと小走りで駆けた。
 周りを見渡すと、混んでいるというほどではないが、それなりに人が集まっている。
『智弘さんは―』
 琴葉は、目を走らせて待ち人を探すも、視界に捉えることは出来なかった。
 時刻は10時。
 もう来ていてもいいはず。
 携帯に着信がないか、ポーチから取り出すと着信音が鳴った。
 発信者は智弘だった。

614:かわいいあの娘は耳年増
10/06/04 22:55:46 KXcjGftz
「もしもし、琴葉です!」
 嬉しさを抑えきれず声がうわずる。
「はい。はい。えっ? …………はい…………はい……そうですか…………はい……それじゃ、
仕方ありませんね………いえ…………はい…………お仕事頑張って下さい…………」
 通話を終えた琴葉の顔は、通話を始めたときと一転して曇っていた。
 通話の内容は、今朝、他社との打ち合わせに行くことになっていたマネージャーが急病
になり、智弘の姉であるチーフマネージャーの美樹から、代わりに打ち合わせに行くよう
に指示を受けたとのことだった。
 今日はオフで約束があることを告げたが、チーフマネージャーに逆らえるはずもなく、
強制的に休日返上となってしまったという。
「どうしようかなぁ……」
 そもそも、一人で観る予定はなかったので、このまま入場するのも気が乗らない。
 窓口を見ると、カップルが腕を組みながら楽しそうに入場していく。
 芸能人という立場上、公衆の中で腕を組むことは出来ないが、それでも好きな人と一緒に
並んで映画を、というシチュエーションは憧れる。
 自分たちがもらってしまったチケット。
 もし、あのとき断っていれば、他の人の手に渡って誰かが映画を見られたかもしれない。
 そう考えると、このまま無駄にしてしまうことがためらわれた。
 琴葉は、軽く溜息をつくと入場口へと足を運んだ。
 シアター内は、カップルの姿が目に付く。
 作品の内容がカップル向きなのだから当然だ。
 少し前の座席に着座しているカップルに目が止まると、女性が心持ち男性に寄り添うようにしている。
 本当なら、自分もあのカップルのように、智弘に寄り添ったり、手を触れ合ったりしていたはず。
 琴葉は、上映中、そんなことばかり考えていて、ほとんど映画を観ていなかった。
 上映後、屋外で今度の予定を考えていると、カップルが目の前をよぎっていった。
 先程、劇場内で目に付いたあのカップルだ。
『いいなぁ……』
 琴葉は、仲良く会話をしながら歩道を歩いて行く二人を、羨望の眼差しで見た。
 そして、二人に引き寄せられるようにしてその後を歩き出した。
 二人に特別な興味があったわけでもなく、本当に自然にであった。
 カップルは、後ろから見ていても、幸せオーラが全開なのが良く判る。
 隣の彼を見上げて話す彼女の横顔は、とても輝いている。
 彼女は、彼に何を楽しそうに話しているのだろうか。
 今観た映画のことだろうか。
 これからとるであろう昼食の話だろうか。
 それともたわいのない雑談だろうか。
 話の内容は判らないが、彼女はくすっと笑みを見せる。

615:かわいいあの娘は耳年増
10/06/04 22:56:34 KXcjGftz
『智弘くん……』
 思わず、自分が智弘に向かって話しかけている姿を重ねた。
 一緒に映画を観ていたなら、今、あのカップルのように、ここで同じようにしていたかもしれない。
 同じ映画を観ていたカップルの姿を目の当たりにしていると、自分たちも同じようにして
いたであろうという想いが頭に浮かぶのは仕方のないことだ。
 カップルが、途中の角を曲がり通りから外れると、琴葉も、無意識のうちにカップルと同じ角を曲がった。
 一本向こう側の道への抜け道なのか、裏通りでまばらながらも人の往来がある。
 道は一本道だったが、何度か曲がるようになっていてその先は見えなかった。
 カップルが道なりに左折し、続いて右折をすると、その後を歩いている琴葉も同様に曲がる。
 琴葉が右折をしたとき、先を歩いていたカップルは道に隣接しているアーチ状の門をくぐっていった。
 琴葉は、そのまま歩いて門の前までくると、止まることなくその場所が何なのかを確認した。
『えっ!? ここって……』
 門の横には『Fashion Hotel The Emperor』という名前が記された看板があり、
そこには時間や宿泊の料金が書かれていた。
『ラブホテル!?』
 琴葉が羨望の視線を向けて自分の姿を重ねていたカップルは、ラブホテルに入ったのだ。
 琴葉は、かあぁっ、と顔を赤くすると、足早に裏道を駆け抜けて、表通りの人混みの中へと戻っていった。
『びっくりした…………昼間からラブホテルに入るなんて…………』
 経験のない琴葉は知らないが、ラブホテルに入るのに時刻は関係ない。
 ホテルに入ってしまえば昼か夜かの区別はつかないし、お互いに気持ちが昂ぶったときが
するときなのだから、そこには昼だの夜だのといった時間概念が差し挟む余地はない。
『もしかしたら私たちも……あのカップルのように……』
 そう思うと、体の奥が熱くなる。
 気持ちを落ち着けるためにも、人混みの中でウィンドウショッピングをすることにした。
 琴葉は、興奮を収めるために雑踏と喧噪の中に身を置き、ウィンドウショッピングなどで気を晴らした。
 夕暮れ間近になると、琴葉はSFPの入っているビルへ自然と足が向いていた。
『智弘くん、まだお仕事だよね……』
 映画がダメだったのなら、せめて夕食でもと思ったが、朝に電話が一回あったきりだ。
 今も仕事中だと考えるのが正しい。
 なにせ、SFPはタレントが多く、それも軒並み売れっ子ときている。
 それだけに、マネージャーの仕事がなくなることはなく、SFPが誇るらぶドルの
トップクラスの売れっ子たちにさえ専属マネージャーがついていない。
 マネージャーは、猫の手も借りたいほど忙しいのが実情だ。
 琴葉は、ビルの中へと入っていった。

616:かわいいあの娘は耳年増
10/06/04 22:57:44 KXcjGftz
 事務室へと続く廊下を進むと、丁度智弘が事務室から出てきた。
 脇に書類を抱えているので、まだ仕事中であることが見て取れた。
「琴葉」
 先に声を掛けたのは智弘だった。
「お仕事、お疲れ様です」
 琴葉は、軽く会釈をした。
「今日は悪かったな」
「仕方がないです。お仕事の方が大切ですから」
 琴葉は、努めて明るく応えた。
 仕事の特質上、こういうことになるのはやむを得ない。
 それでも、急病になった人に少なからず不満な気持ちがないといえば嘘にはなるのだが。
「あの、今夜、お時間取れますか? もし、よかったら一緒にお食事でもと思って」
 琴葉は、心臓をどきどきさせながら智弘の返事を待つ。
「うーん、ちょっと時間が読めないからなぁ」
「そうですか……」
 流石に、琴葉の表情も曇る。
「それでは、また機会があったらお願いしますね。あ、お仕事の途中でしたね。それじゃ、
今日は帰りますのでお仕事頑張って下さい」
「ちょっと待って」
 踵を返して立ち去ろうとした琴葉の手を智弘が掴んだ。
「ちょっとここで待ってて。すぐ戻るから」
 智弘は、事務室へ戻ると、本当にすぐに戻ってきた。
「これ」
 智弘は、片手ほどの大きさの老舗デパートの紙袋を差し出した。
「え?」
 琴葉は、とまどいながらもそれを受け取る。
「あの時間、もう映画館にいたんだろ。待たせた上にキャンセルしたからお詫びだ」
「そんな! 悪いですよ! そこまで気を遣ってもらうのは!」
 そもそも、誘ったのも急ならば、チケットだってもらい物。
 智弘がキャンセルした理由も仕事なのだから彼に非はない。
「折角の休みなんだから、もっと早く連絡出来たら予定を変えることも出来ただろうし。
それに、琴葉に買ったものだから俺じゃ使えない」
『私のために……』
 それは、昼休みの時間を利用して琴葉のために購入したものだった。
「あのー、開けてみていいですか?」
「ああ」
 琴葉は、丁寧に紙袋を開けていく。
「そういうのならいくつあっても困らないだろうから」
 智弘の話を聞きながら袋から取り出したものは、三枚のハンカチだった。
 それぞれ、蝶、花、リボン、をモチーフにした小さな柄があしらわれていた。

617:かわいいあの娘は耳年増
10/06/04 22:58:50 KXcjGftz
「これ、本当にもらっていいんですか?」
「もちろん」
 琴葉は、ぎゅっ、とハンカチを握りしめた。
「ありがとうございます」
 琴葉は、深々と頭を下げた。
「いや、そんなに感謝されることじゃ」
 お詫びの品なので、感謝されるとかえって困ってしまう。
「お兄ちゃーん!」
 かわいい声が、廊下の端から聞こえると、どどど、と廊下を駆ける足音が近づく。
 そして―。
 どごっ!
 声の主は止まることなく、智弘の腰にタックルを見舞った。
「ぐはっ!」
 智弘が呻く。
「おまえなー! いつも抱きつくなって言ってるだろ!」
「ぶーっ! るりは妹なんだから、抱きついていいんだよっ! お兄ちゃんに抱きつけるのは、妹の特権なんだよ!」
 瑠璃は、実妹であることで自身の行為を正当化しようとしている。
「今、姉貴がいるから説教してもらうか」
 その脅しに、瑠璃はぱっと離れた。
「むーっ! それ、反則!」
 犬猿の仲である実姉を持ち出され、瑠璃は不承不承引き下がった。
「あ、琴葉ちゃん」
 瑠璃は、そばにいた琴葉の存在に今気がついた。
「今日はどうしたの? 今日、オフだよね?」
「え、ええ。ちょっと近くまで来たから……」
「ふぅーん。ねえ、何持ってるの?」
 瑠璃は、琴葉が手にしている紙袋と握られている何かが気になった。
「あ、あの、これは……」
「ハンカチだよ」
 琴葉が口ごもっていると、智弘が横から差し挟んだ。
「ハンカチ? 何でお兄ちゃんが知ってるの?」
「俺があげたから」
「ええーっ!? なんでーっ!? 琴葉ちゃん、誕生日じゃないでしょ!?」
 瑠璃の中では、クリスマスなど特定の日でない限り、プレゼントをもらうのは誕生日という思考のようだ。
「まあ、ちょっとな」
「うー、琴葉ちゃんずるーい!!」
「ええーっ!?」
 琴葉は、瑠璃から『ずるい』という責め句を受けるとは思いも寄らなかった。

618:かわいいあの娘は耳年増
10/06/04 22:59:58 KXcjGftz
「お兄ちゃん、るりにも何か買ってー!!」
 だが、瑠璃の思考はすでに兄に向けられていた。
「却下だ」
「えーっ!? 今度始まる新作の魔女っ子アニメの杖でいいからー」
「いくらするんだよ」
「デラックス版で12800円!」
「自分で買え」
「ええーっ!!」
 藤沢兄妹の掛け合い漫才が繰り広げられる中、
「あの、私、これで失礼します」
 琴葉は、改めて軽く会釈をして別れの挨拶を告げた。
「ああ。気をつけてな」
「琴葉ちゃん、またねー」
 琴葉は、二人からお返しの言葉を受けると、彼らに背を向けて廊下を歩き出した。
 背後からは、引き続き藤沢兄妹の掛け合い漫才が聞こえていた。
 事務所を後にしてからは、手近なところで一人夕食を済ませ、早々に帰宅して浴槽に浸かっていた。
「今日はちょっと残念……」
 本来なら最高の一日になっていたはずで、今頃はホテルの一室で二人っきりの甘い世界になっていただろう。
 もっとも、そんな簡単に巧くいくはずもないのだが、自分も年頃だしそういうことを期待するのは自然なことだ。
 同学年にあたる高校三年生の女子の50%近くが性交経験者というアンケートが雑誌に出ていると、
自分もという気持ちが少なからず沸き上がる。
 なにせ、慕っている人はある意味禁断の相手であるマネージャーで、彼を狙っているライバルも多い。
 真面目で恋愛ごとにはいささか鈍いところがある彼をゲットするには、積極的に動かないと何にも進展しない。
「でも……」
 お詫びとはいえ、ささやかながらプレゼントをもらえたのは嬉しい誤算だった。
「また、機会があるよね」
 琴葉は、次回に期待して風呂から出た。
 いつものように身支度を済ませて、少し早めながらベッドに潜り込む。
 枕の横には、智弘からもらったハンカチのひとつを置いて、彼に想いを馳せる。
 いい夢が見られるようにとのおまじないのつもりだが、プレゼントをもらった嬉しさが
蘇ってきて興奮してかえって眠れない。
 そもそも、今夜は彼の腕の中にいたかもしれず、それを期待していた心と体の行き場がないまま、
大人しく眠れるはずもない。

619:かわいいあの娘は耳年増
10/06/04 23:01:14 KXcjGftz
 琴葉は、埋み火のようの体の奥にある火照りに動かされ、そっとパジャマの上から股間に手を滑らせた。
 30秒ほど股間をこすっていると、パジャマのズボンを膝までずらし、ショーツのクロッチ部の
上から秘所に沿ってさする。
「ん……ん……智弘くん……」
 琴葉の予定通りなら、今夜、ここをさすっているのは琴葉の指ではなく彼の指だった。
 彼のことを想い、彼にさすられていることを想像してさらになぞる。
 次第にクロッチは、じんわりと湿り気を帯び、秘所の形が浮き出てくる。
 今度は、パジャマの上着のボタンを外してブラを露出させると、左手をブラの下に潜り
込ませて乳房を揉み始め、右手はショーツの中に入れて直接秘所をなぞりだした。
「あっ……んっ……んんっ……」
 彼に抱かれることを望んでいた体はすぐに熱くなり、乳房は張り、乳輪を隆起させ、乳首を勃たせた。
「そこ……なめちゃ……ダメ……」
 右手を智弘の舌に見立て、さながら彼に嘗められていると夢想する。
 自慰ではなく愛撫されていると考えると、胎内の温度は上がり、とろっとした蜜が流れでてくる。
「んー……んー……んふー」
 次第に呼気が大きくなり、鼻息も荒い。
 秘所と指が奏でるぬちゅぬちゅという淫猥な音が琴葉の耳に届くと、左手を乳房から
股間へと移動させ、恥丘のすぐ下部にある、ぷっくりと充血しながらも包皮に半分その姿を
隠している花心に触れた。
「んんっ!」
 琴葉の体がビクンと跳ねた。
 ここには何度も触れていて刺激が来ると判っている。
 それでも、体内を貫いて脳天に響く刺激には耐えられないほど甘美だ。
 優しく包皮を向いて花心を露出させると、親指と中指で軽く摘んだ。
「んぐっ!!」
 またも体が、ビクン、と跳ねる。
 充血して過敏になった花心は、包皮がないと刺激は何倍にも強くなる。
 少し痛いという感覚はあるが、気持ちよいという刺激が圧倒的に支配する。
 右手は、秘所の筋をこする速度を次第に上げ、にちゃにちゃと粘質っぽい音を立て、
膣内から溢れ出た蜜を飛沫として四散させる。
「んんっ! んあっ! 智弘くん!」
 右の指を小刻みにこすり動かし、左の指は、ぐっ、と花心を摘んだ。
「くううっっ!!」
 琴葉は、大きく呻くと足を開き気味に伸ばしてシーツで踏ん張ると、全身に、ぐっ、
と力を入れて体を硬直させた。
 びくっ、びくっ、と体が打ち震える。
 体内を走る刺激は、体を痺れさせ行動不能にさせる。
 金縛りのようにしばらく硬直していた体は、深く息を吐くと一気に脱力した。

620:かわいいあの娘は耳年増
10/06/04 23:02:32 KXcjGftz
「はぁっ、はぁっ、はぁ……」
 口を半開きにして、ただただ呼気を整えていく。
 だらりと体の横に投げ出されている腕。
 その右の指先は蜜に濡れ、蛍光灯の光を集めてきらりとしていた。
 左右に開いた太股の間からは、とろりとした蜜がシーツに染みを作っていた。
 いつもならこれで終わりだが、今夜の琴葉は違った。
 気怠さの残る中、右手を股間へと這わせると、中指と薬指で筋を撫でた。
「んっ……」
 蜜で濡れる筋を撫でるが、琴葉の脳内では違った。
『琴葉、いいよね』
 智弘が、琴葉の股の間の体を入れ、彼女に覆い被さるような体勢で囁いている。
 彼の股間に生えている雄の象徴たるペニスは、今、琴葉の股間の筋に沿って這わせている。
「うん……来て……」
 琴葉の返事を受け、智弘の腰が動く。
 ぐっ、と胎内への入口たる膣口にペニスの尖端が押し当てられると、それに伴って琴葉の
中指も押し当てられた。
 そして、智弘のペニスが膣内に押し入れられたとき、実際に中指が膣内に挿入された。
 挿入といっても、僅かに数センチ、第一関節しか入れていない。
 それ以上入れてしまうのは痛いし、恐い。
 何より、愛する人に捧げるべき処女をみずから喪失させてしまいかねない。
 たかが第一関節だが、琴葉にとってはそれでも充分だった。
 琴葉は、中指の腹で膣口周辺内部の襞を撫でる。
「んんっ! んあっ! 智弘くん!」
 あたかも、彼のペニスによって刺激されているかのような錯覚に陥る。
『大丈夫かい?』
 自分の体を気遣う智弘に、
「大丈夫です……んんっ……」
 心配させまいと答える。
 妄想の中で智弘が腰を動かし始めると、自分も中指を動かして、さも智弘を受け入れて
いるかのような気にさせる。
 智弘の顔が近づき、唇を重ね合わせてくれば、左指を唇に触れさせ、舌を絡めれてくれば、指を舌に絡める。
 智弘は、キスの次は乳房に口を付けてくる。
 それに合わせ、琴葉はブラを鎖骨へとずらし上げると、智弘の唇で甘噛みされる乳輪を撫で、
乳首に歯を合わせられれば乳首を、きゅっ、と摘む。
「くぅっ!」
 自分の指なのに、まるで他人にされている感じがする。
 それだけ、琴葉の妄想は強い。
 今夜は、すでに一度イッている。
 二度目のアクメを迎えるのはそう遠くない。

621:かわいいあの娘は耳年増
10/06/04 23:03:08 KXcjGftz
「んっ……んあっ! ……智弘くん……」
 肩で息を始め、吐く息は高い湿度と熱を含み、全身にじっとりとした汗を掻き始めた。
 左手が乳房から股間へと移され、剥き出しで存在を主張している花心を中指で、ぐっ、と押した。
「ぅくっ!」
 刺激に体をよじる。
 体が熱い。
 それも、体外ではなく胎内。
 子宮が熱く呻いている。
 その熱を発散させようと、膣襞を撫でる指は速くなり、花心を押す指にも力が籠もる。
「ともひろくぅん……ともひろくぅん……」
 琴葉は、まるで不安な子犬が鳴いているかのような声で、夢想の中で自分を抱いている人の名を呼ぶ。
 胎内の奥で、子宮が動く感覚がある。
 そろそろ絶頂を迎えるというシグナルだ。
 何年にも亘り、何度となくオナニーをしている琴葉であっても、いつもはクリトリス感でアクメに達している。
 これは、手軽にイキ易く、天に昇るようなふわっとした感覚が気持ちいい。
 一方、胎内の奥からアクメを迎えるヴァギナ感は、達するのも大変ならば、その後は動けなくなるし、
地の底へ堕ちていくような感覚は、まるで麻薬のような快楽の強さでおかしくなりそうになるが癖にもなる。
 そんな、数えるほどしか経験していない快楽の渦へ、琴葉の体は飲み込まれようとしていた。
「ともひろくぅん! ともひろくぅん!」
 琴葉の呼び掛けに、彼も達しようと腰の動きを早める。
 それは、琴葉の指の動きへと反映される。
 ぐちゅぐちゅと淫猥な音を立て、もう琴葉が絶頂を迎えるまで猶予がない。
 そのとき、琴葉の深層心理が求めていたのか、彼が不意に琴葉に告げた。
『膣内に出すよ』
 これには、琴葉自身驚いた。
「ダ、ダメッ! 赤ちゃんデキちゃうっ!」
 芸能人である以上、体調管理として自分の生理周期は完全に把握している。
 まして、今日は『そういうこと』を想定していたため、今が危険日だということも判っている。
 これが現実なら、彼に避妊具を使用してもらうが、妄想の中までそんなことはしない。
 それゆえ、妄想でありながら意図していない彼の科白に本気で焦った。
 だが、琴葉の体はフィニッシュに向けて動いており、指の動きが加速していく。
 それにリンクしている妄想内の彼の動きも、膣内出ししようとしている。
「ダメェ! 膣内は! んんっ! 妊娠しちゃうっ!」
 そもそも、危険日ということは、体そのものが男を受け入れようとしており、感じやすくなっている。
 昨日からの自慰行為は、まさにその現れで、もはや琴葉自身にも止めることが出来ない。
 琴葉の女としての器官もそのように反応していて、膣内に挿入している指を膣が締め付けながら
襞がまとわりつく。
 それは、ペニスから精液を搾り出させようという準備運動。
 琴葉の体は、完全に男の精を受け入れる用意が整った。

622:かわいいあの娘は耳年増
10/06/04 23:03:40 KXcjGftz
「あーっ! あーっ! あーっ!」
 もう止められない。
 あとは、果てることしか出来なかった。
「んくっ! イクッ! イクッ! イッちゃうっ!」
 琴葉の右中指が膣襞を強くぐりっと擦り、左親指と中指は花心を潰してしまうのではと思うほどに、
ぎゅっ、と摘んだ。
「いやあああぁぁぁーーーっ!!」
 もはや、自分の体でありながら完全にコントロール不能に陥り、叫び声にも似た嬌声を張り上げた。
 足は先程のアクメ時同様にシーツを突っ張りながら伸ばされ、腰を浮き気味にすると、
琴葉にとって始めての体験が起こった。
 プシャアァァーーッ!!
 右手に吹きかけるように、秘所が体液を放出した。
 いわゆる『潮を吹いた』のだ。
 プシャッ! プシャッ! ピシャッ!
 琴葉は、体を痙攣させながら何度か潮を吹いた。
 歯はガチガチと震え、体が壊れるような感覚の中にいた。
 妄想の中の智弘は、そのままの体勢を維持して、琴葉の膣内へ射精している。
 琴葉は、自分の体に何が起こったのか理解することなく意識が薄れる中、智弘に向かって
微かな声で呟いた。
「……ちゃんと……責任とって……下さいね……」

623:かわいいあの娘は耳年増
10/06/04 23:04:13 KXcjGftz
 どれくらい意識を失っていたのだろうか。
 琴葉は、怠い体を無理矢理動かして上体を起こした。
「ふぅーっ」
 自分の股間から先のシーツを見ると、びっしょりに濡れていた。
「やだ…………こんなに濡れちゃったなんて…………」
 オナニーでシーツを濡らすことはあるが、まるで放尿したかのようにびしょ濡れという
経験はなく、少し自己嫌悪した。
 琴葉は、先程、夢想の中で智弘を受け入れた入口を指で撫でた。
「智弘くんに出されちゃった……」
 無論、それは妄想の中で現実ではない。
 しかし、非現実と言って切って捨てるものでもない。
 昨今、芸能界は出来ちゃった結婚ばやり。
 スクープされて変な扱いを受けるぐらいなら、既成事実として出てしまった方がいい場合もある。
 女性芸能人とマネージャーの場合、芸能人がある程度の年齢に達していたり、お笑い芸人ならば、
交際していても問題ないだろうが、なにぶん琴葉はアイドル。
 下手に『自社のアイドルタレントにマネージャーが手を出した』という事実がゴシップ扱いに
なるのならば、交際発覚で変な目で見られるより、妊娠というおめでたい出来事を盾にして
雑音を封じた方がいい。
 それに、琴葉は、親の同意が必要という前提ながらも結婚が出来る歳だ。
 らぶドルにおいて、突出した才能がないことを気にしている琴葉にとって
『らぶドルのママドル第一号』という称号も悪くない。
 そう思うと、むしろ今の妄想の出来事が現実であって欲しかったとさえ思った。
「智弘くんとの赤ちゃんて、どんな感じのなんだろう……」
 彼に似て格好良くて優しい子だろうか。
 自分に似て、少し落ち着いたおっとりした感じの子だろうか。
「くしゅっ!」
 そんな想像をするのもいいが、今、琴葉は半裸状態だ。
 体も汗を掻いたままで、火照りもなくなり体温が下がっている。
「いけない。風邪ひいちゃう」
 琴葉は、身なりを整えようと、適当に近くの布を手にすると股間を拭いた。
「え? ああーっ!! これ、智弘くんにもらったハンカチー!!」
 ぼけていたのか、枕の横にあったハンカチを気にもせずに秘所の蜜を拭うのに使ってしまった。
「やーん! もうー!」
 ハンカチを洗うべく急いでベッドから降りたが、半脱ぎ状態だったズボンとショーツが膝元にあり、
足がもつれてそのまま床に転んだ。
「あいたたたたた」
 それでも、何とか洗面所へ駆け込み、手洗いでハンカチを洗う。
 その後、シーツを洗濯機に放り込んで軽くシャワーで体を洗い流した。
 今夜も、眠りについたのは日付が変わってからだった。

624:かわいいあの娘は耳年増
10/06/04 23:04:44 KXcjGftz
「くしゅっ!」
 琴葉は、SFPの事務室へと向かう廊下を歩いていた。
「風邪ひいちゃったかなぁ」
 咳がでるわけではないが、ときどきくしゃみが出る。
 昨夜、半裸状態でしばらく意識を失っていたのが良くなかったようだ。
「はぁ……」
 しっかりと健康管理をしないといけないのに、そんな自分への嫌悪から溜息をつく。
『今日は舞さんとスタジオ収録だから、くしゃみが出ると困っちゃう……』
 うつむきながらとぼとぼ歩いていると、廊下の角で、どん、と何かにぶつかった。
「あっ!?」
 不意の衝突に体がぐらりと後ろへ倒れていく。
「おっと!」
 倒れ行く琴葉の腕を、咄嗟に伸ばされた手が掴んだ。
「大丈夫か、琴葉」
「智弘くん!」
 琴葉とぶつかったのは、別室へと移動しようとしていた智弘だった。
『膣内で出すよ』
 彼の顔を見た途端、昨夜の妄想がフラッシュバックしてきて、一気に顔を赤くした。
「廊下は左側通行だぞ」
「あ、すみません」
 琴葉は、頭を下げた。
 ぼけていたのか、うっかり右側を歩いていたことで、左側通行をしていた智弘と出会い頭でぶつかっていた。
「くしゅっ!」
「どうした? 風邪か?」
「大丈夫です。ちょっとくしゃみが出るだけです」
 慌てて否定した琴葉だが、智弘の表情は険しい。
「顔も赤いし、熱があるんじゃないのか? 今日はスタジオ収録なんだから、風邪だと
他の共演者にも迷惑がかかるぞ」
 そういって、智弘は琴葉の前髪をよけておでこを露出させると、自分のおでこをくっつけた。
「あ、あ、あの……」
 とまどう琴葉だが、智弘に至っては全く気にしていない。
 姉妹がいる智弘にとって、即興で熱を測るときに女の子とおでこをくっつけることは
普通に経験してきていることで特別な感情はない。
 だが、測られている琴葉は違う。
 昨夜の妄想による恥ずかしさでのぼせているときに、さらにこんな接近をされれば、
ない熱も上がるというもの。
「んー、やっぱり少し熱があるな」
 智弘は、おでこを離した。

625:かわいいあの娘は耳年増
10/06/04 23:06:05 KXcjGftz
「念のため医者に診てもらってから―」
「あーっ! 智弘と琴葉がキスしてるー!」
 智弘の指示を遮るように、今のシーンの目撃者が声を挙げた。
 琴葉は、背後からの声に振り返った。
 そこには、舞がいた。
「こんなところでキスするなんて、一体どういうことなんだ!?」
 心なしか、少しムッとしている。
「キスなんてしてないぞ」
「そうですよ。智弘くんとは別に―」
「そんなこといってごまかそうとしたって無駄だぞ。ちゃんと見たんだからな」
 舞は、目撃者としての主張の正当性を譲らない。
「あれはだなー」
「お兄ちゃんと琴葉ちゃん、キスしてたのぉ!?」
 舞の声に引き寄せられるように、さらにその背後から急ぎ足で瑠璃が駆けつけてきた。
「またややこしいのが……」
 智弘は、思わず愚痴た。
「琴葉ちゃん、お兄ちゃんとキスするなんて、そんなのるりが許さないんだからねっ!」
「だから、私は智弘くんとキスは―」
「お兄ちゃんとキスしていいのは、実の妹のるりだけなんだからっ!」
「いや、普通、妹とはキスしないだろ」
 瑠璃の主張に、舞が突っ込む。
「なになにー? キスがどうしたのー?」
 騒ぎを聞きつけ、有栖川唯が寄ってきた。
「何でもないから」
 智弘は、唯を寄せ付けまいとする。
 これ以上騒ぎになると面倒だ。
「キスがぁ、どうかしたんですかぁ?」
 脱力系な物言いで唯の後方より声を掛けてくるのは北条美奈。
「朝から廊下でキスの話?」
 怪訝そうな声は、美奈の隣にいる妹の知奈のものだ。
「キスで何かあったの?」
 唯は、琴葉たちのところまで来ると連中を見渡した。

626:かわいいあの娘は耳年増
10/06/04 23:07:03 KXcjGftz
「いえ、本当に何でもないですから」
 火消しに走る琴葉。
「どう見ても、あれはキスしていただろ」
 火を煽る舞。
「るり以外の子とキスして、怒っているんだからねっ!」
 ぷくっと頬を膨らませて、火に油を注ぐ瑠璃。
「何!? 智弘―くん、キスしてたの!?」
 唯がさらに薪をくべる。
「マネージャーってば、廊下でキスを!?」
 智弘が否定する間もなく、やって来たばかりの知奈にキス話が飛び火した。
「ちがーうっ!」
 女三人寄ればかしましいというが、トップアイドル連中だけあってアクティブさでいえば、
普通の女の子以上だろう。
 ぽんぽん言葉が口をついて飛び出してくる。
「キスをするなとはいわないが、人目のある廊下でするのはどうかと思うぞ」
 舞が、大人ぶって講釈を垂れる。
「どこでだってダメ!」
 瑠璃は、キスそのものを否定する。
「いいじゃないですかぁ。私もぉ、智弘さんとキスしてみたいですよぉ」
 美奈の大胆発言に、場の空気が固まった。
「ね、姉さん。そういうことは、あまり……」
 口に出していうことではない。
 まして、乙女の秘め事としての会話の中ならまだしも、本人を目の前にしていうなど、
美奈ぐらいなものではなかろうか。
「あらぁ? 知奈ちゃんはしたくないんですかぁ? 智弘さんとのキスぅ」
 美奈に指摘され、知奈の顔が、かぁ、と赤くなる。
「な、な、何言ってるのよ! そ、そ、そういうことじゃないでしょ! い、今は、
マネージャーがキスをしたって話で……」
 知奈は、慌てふためきながら話の話題を自分からそらす。
「そうそう! 智弘―くんのことだよね」
 唯も、話を本筋に戻ることに荷担する。

627:かわいいあの娘は耳年増
10/06/04 23:07:47 KXcjGftz
「違うんです!!」
 突如、琴葉が張り上げた声は、廊下の端まで響いた。
 反響する声を残し、誰もが声を殺した。
「違うんです! 私がくしゃみをしていたから、智弘くんがおでこをくっつけて熱を測っただけなんです!」
 琴葉を除いた者たちの視線が智弘に集中する。
「そうなのか?」
 舞が智弘に尋ねた。
「ああ。くしゃみをしていたし、顔も赤かったからな。今日は舞と一緒にスタジオ収録だ。
もし、風邪なら他の共演者に迷惑が掛かる」
「なんだ。そうならそうと早くいえばいいのに」
「キスだって騒ぎ出したのは舞だろ」
「まあ許せ。私と智弘の仲じゃないか」
 舞は腰に手を当てて何かを成し遂げたかのような満足顔をしている。
「るりは信じていたよ」
「そうだよね。智弘―くんが廊下でキスなんてしないよね」
「マネージャーは、そういうことをする人じゃないって、私は判っていたから」
「知奈ちゃ~ん」
 美奈は、知奈の顔を覗き見る。
「な、なによ」
「少しはぁ、自分の気持ちにぃ、素直になった方がぁ、いいと思うんですけどぉ」
 少し天の邪鬼な妹の気持ちは、何でもお見通しの姉だった。
「おまえら、これから仕事なんだろ。早く支度して行った行った」
 智弘は、ぱんぱん、と手を叩いてみんなの尻を叩く。
「いっけない! 姉さん、急がないと」
「それじゃ、行きましょうかぁ」
「るりもアフレコに行かないと」
「ボクは少し発声をしていこうかな」
 彼女たちはめいめいに呟くと、別れの挨拶を残して蜘蛛の子を散らしたように去っていった。
 智弘、琴葉、舞の三人がその場に残された。

628:かわいいあの娘は耳年増
10/06/04 23:08:58 KXcjGftz
「とりあえず、舞は収録の支度をして。琴葉は病院に行かせるから、もしドクターストップがかかったら、
向こうのディレクターと話して、舞一人か、代打で誰かに出てもらうか決めるから」
「判った。琴葉、具合が悪かったら休めよ」
 舞は、待機のため事務室へと行ってしまった。
「まずは病院だな。すぐにかかれるように俺から連絡を入れておくから」
「はい。ご迷惑をかけてすみません」
 琴葉は、ぺこりと頭を下げた。
「君たちの面倒を見るのが俺の仕事だよ。ほら、舞が待っているから、早く先生に診てもらって来ないと」
 智弘は、どこかすまなさそうにしている琴葉の頭に手を乗せると、ぽんぽん、と軽く頭を叩いた。
「はい」
 琴葉は、柔らかな笑みを湛えて返事をした。
 階段までくると、琴葉は病院へ向かうために階下へ、智弘は階上へと別れた。
『智弘くんは、やさしいよね……』
 たとえ、それが『桐生琴葉個人』ではなく『らぶドルの桐生琴葉』に向けられたものだとしても。
 おでこで熱を測ったり、頭を撫でて励ましたり、さりげない行為がときには罪でもあるが。
 琴葉は、それらを想い出すだけで胸がときめき、体の奥が熱くなる。
『あっ……』
 琴葉が、立ち止まる。
『やだ……また……』
 子宮がきゅんと疼き、僅かながらに蜜が秘所へと滲み、ほんのりとクロッチを湿らせた。
『……私の体、智弘くんに責任取ってもらわないとダメかも……』
 琴葉の熱く激しい夜は、当分続きそうだ。

     -了-

629:かわいいあの娘は耳年増
10/06/04 23:10:39 KXcjGftz
他の娘たちも賑やかしで出てきてしまい、長くなってしまいました。
もう少し手を入れれば、イベントで頒布する状態になってしまう(苦笑)。

実際の本番がないのは、あくまでも耳年増だからであり、
本番をしてしまうと、智弘が選んだことになってしまうからです。
そもそも、琴葉のオナニーシーンが描きたくて始めました。
他にも、らぶドルの中でオナニーシーンを描くとしたら、
あの娘とかあの娘とかあの娘とかいるんですが、とりあえず存在がエロい琴葉さんということで。

P2が切れていて書き込み可能にするのに時間がかかってしまいました。
べ、別にセルニア=伊織=フレイムハートさんにハマったからとか、そういうのは関係ないんだからねっ!
なにはともあれ、これでおしまい。


630:名無しさん@ピンキー
10/06/05 04:51:41 oh0OYqK5
おおっ、なんか気合入ったのキタァ(゚∀゚)ァァァア(*´Д`)アァン!!
じっくり読ませてもらうとしますよ

631:名無しさん@ピンキー
10/06/05 07:33:34 1BNwh1Nc
琴葉好きの俺狂喜乱舞ーーーーーー

632:名無しさん@ピンキー
10/06/05 11:25:24 splgJqpE
うぎゃああああぁぁぁ。
プリントアウトして校正したのに、またミスがああぁぁぁぁ。
まあ、前回同様、適当に補正してくんなまし。

633:名無しさん@ピンキー
10/06/05 13:36:44 splgJqpE
「かわいいあの娘は耳年増」は、
>>595から始まっています。


634:名無しさん@ピンキー
10/06/06 02:07:40 5dy2RRC7
琴葉かわいいよ琴葉ぁぁぁぁぁん

635:名無しさん@ピンキー
10/06/07 20:47:38 aecvEImy
>>495の人は今年の夏コミ受かったのだろうか。

636:名無しさん@ピンキー
10/06/13 00:47:47 5x10rCMT
保守

637:名無しさん@ピンキー
10/06/14 10:49:52 TqPhD0zY
>>613
久々に来たらGJ!

>>635
落ちました、すいません……

638:名無しさん@ピンキー
10/06/15 03:32:02 pVNbB1Hr
そういや再来月はもう夏コミなんですねえ…
早いもんだ

639:名無しさん@ピンキー
10/06/16 01:27:04 FHHtWdYk
らぶドル本はでるのかな?

640:名無しさん@ピンキー
10/06/22 07:19:22 h9/PvEhR
ある朝智弘が目を覚ますと、すぐに異変に気付いた。
別に自分の寝相が特段いいとは思っていない。ベッドで眠っていれば、ある程度寝返りだって打つ。打たなきゃ、それはそれで怖い。
しかしいくらなんでもこの状況は―
「あ、やっと起きたんだね。おはよう、マネージャー」


唯がいた。
「……ああ、おはよう。なんでお前はここにいるんだ?」
「えーとね、無用心なのはあんまり感心しないなぁ」
ひょっとして昨夜、鍵を掛けるのを忘れていたのだろうか。
「お姉さんに頼めば、合い鍵ぐらい簡単に作れるんだからね。無用心なのはあんまり感心しないなぁ」
「それ犯罪だろ。返せって!」
しかし智弘は、身動きが取れない。
「ん~、そんなこと言っていいのかなぁ?」
それもそのはず、智弘は現在、四肢をベッドの端に括りつけられていた。
「すいません、ほどいてくれませんか?」
思わず丁寧口調になってしまう。
「え~、やだよ。楽しいことはこれからなんだよ?」
「何をする気だよ……」
「ん~、まずは家捜しかな?」
智弘をベッドの上に放置したまま、唯は部屋の中を闊歩する。
「別に面白いものなんか何もないぞ?」
「それはボクが判断することだよ」
そう言って唯は、本棚へと歩み寄った。
一冊を取り出し、智弘の顔面に近付ける。
「ね、これ見てもいい?」
そこには『○○小学校 卒業アルバム』と書かれていた。
「駄目。戻しなさい」
「うん、わかった」
言葉ではそう素直に答え、聞く気はさらさらないと言わんばかりに、ページを開いた。
「ばっ、やめろって!」
「別にいいでしょ。見られて困るものでもあるの?」
冷や汗を流しながら、智弘は苦しげに答える。
「だって……その、昔の写真を見られるのって、恥ずかしいだろ」
「えー。ボクは恥ずかしくないよ?」
「そりゃ唯は見る側だからな」
「そういうことじゃなくて。ボクたちらぶドルは、見られるのも仕事の一つでしょ。だから、平気」
「……唯が平気なのは分かったけど、俺は別に平気じゃないぞ」
「まぁまぁ、ボクたちの仕事を少しは理解すると思って」
そうたしなめ、アルバムの中の智弘を探す。
「この頃は、まだカッコイイっていうよりカワイイって感じだね。マネージャー、身長低かったんだ!」
「ほっとけ……」
ひとしきり騒いだ後、写真のページも終わりに差しかかり、ようやく一息つけると、智弘は一瞬安堵した。
「ほら、もうそろそろ写真は終わりだろ。元の位置に返してきなさい」

641:名無しさん@ピンキー
10/06/22 07:19:52 h9/PvEhR
「ほら、もうそろそろ写真は終わりだろ。元の位置に返してきなさい」
唯の目が、ギラッと妖しく輝いた。
「マネージャー、何言ってるのさ。ここからが本番じゃん」
もともと智弘が、卒業アルバムを見られるのを拒んだのは、何も写真を見られたくないからではない。それは表向きである。
本来はその後に控える、卒業文集だ。
「唯! いや、唯さま! それだけはどうかカンベンしてもらえないでしょうか!」
必死に抵抗する。
「うわ、必死だね……一体何書いたの?」
「それを言いたくないから必死なんです……」
「ま、読めばわかることか」
唯がゆっくりとページをめくる。
「まっ、待って! 言う、言うからっ!」
できれば読まれたくない。智弘は必死にごまかすことにする。
「読まれるのは嫌で、言う分にはいいの?」
「まだそっちの方が、精神的ダメージは少ない気がしてな」
唯はアルバムを閉じ、顎で促した。
「……小さい頃、俺はアイドルになりたかったんだ」
「へぇ、マネージャーも?」
「ああ。でもこんな見てくれだし、叶わなかったけどな。それでも芸能界への関心は強かったから、今こうしてお前たちのマネージャーをさせてもらってるんだ」
「ふーん、そうなんだ……」
無表情でうなずきながら、唯は再びアルバムを開いた。
「おい、話しただろ! なんで開くんだよっ!」
「ゴメンね、マネージャー。どうやってマネージャーがSFPに入ったか、美樹さんから全部聞いてるんだ」
嘘はバレていた。もう読まれる事態を避ける術はない。
「ふんふん、マネージャー、バスケやってたんだ。背低かったのにね」
「ああ……」
「NBA選手になりたかったんだ」
「ああ……」
智弘にとっては、情けなくて、あまり思い出したくないことである。
「中学校ではどうだったの?」
「……2週間で、バスケ部辞めちゃったよ」
「ふーん、どうして? 怪我でもしたの?」
「……………………練習が、キツくて」
「…………」
無言でアルバムを閉じた。
「……なんか、ゴメンね。聞かなきゃよかったよ」
「だから辞めろって言ったのに……」
唯はアルバムを本棚に戻した。
「疲れちゃったな。マネージャー、何か飲み物ない?」
「冷蔵庫にあるヤツでよければ適当にどうぞ……」
冷蔵庫に向かい、中を物色し始める。
「あ、このジュースもらうね」
そう言ってゴクゴクと口をつける。
「あー、おいしい。マネージャーも飲む?」
「この縛られた状態でどうやって?」
「こうやって」
缶の中身を口に含み、その顔を智弘のソレに近付けてくる。
そしてゆっくりと触れる、唇と唇。
「…………っ!」
口移しで液体を流し込み、最後には舌まで押し込まれた。
「えへへ……どう?」
妖艶に微笑む。
「お前、これ、酒じゃねーか!」
彼女がジュースと言ったものは、チューハイだったようだ。
「どう、マネージャー? おいしかった?」
「え、いや、あ、おま……え?」
「ボクは……おいしかったよ?」
その台詞に、二人揃って顔を赤くしてしまう。酒のせいだけではない。


642:名無しさん@ピンキー
10/06/22 07:21:54 h9/PvEhR
続きは時間できたら書きます。頭の中では話できあがってますので。
誰か代わりに書いてくれてもいいですが。

643:名無しさん@ピンキー
10/06/22 16:54:05 xfB69TTH
いつまででも待ちます

644:名無しさん@ピンキー
10/06/27 07:10:19 y939M9+V
携帯からです。


>>637
合同誌でもやったら面白いかなと思ったりしたのでw

p2proxyも規制されてしまい、もうPCでは書き込めないようなので、
琴葉の作品をもって終了です。
丁度新しい人も来たのでバトンタッチです。
呼称などのデータを出して下さった方々のおかげで書くことができました。
大変お世話になりました(__)


投下作品
・猫喫茶
・ハワイ旅行
・海羽ミュージカル
・09年バレンタイン
・海羽バレンタイン
・地方ホテル
・神社絵馬
・「決戦は日曜日」
・「かわいいあの娘は耳年増」

ショート含めそこそこかきましたね。
いないと思いますが、一切転載禁止でお願いします。
このスレ用に投下したわけですから。


645:名無しさん@ピンキー
10/06/27 16:12:02 pU4FWz64
え、もう書かないの?

646:637です
10/06/28 06:24:10 2d+WQIWg
>>644

合同誌、いいねえ。字しか書けないけどそれでもよければ。

あと、新しい人ではないです。2007年から張り付いている人間です。
貴方以外の作品は、ほぼ全て私と思っていただいて結構です。


647:名無しさん@ピンキー
10/06/28 08:29:19 wDr/UJw5
>>645
携帯で書いて投下は無理。
ブラインドでかな入力する身としては携帯での入力は苦痛。
本来のフィールドは同人誌ですし、規制は潮時かと。

>>646
うちは文字オンリーで勝負してます。
コミケも当選してます。
前にサークルでらぶドルが却下されていたから、
そちらの所属サークルとは別で合同誌(二人だから夫婦誌かw)もおもろいかなぁという戯言w
うちの本の体裁でいいなら、原稿貰えるならやりますよw
コピー誌、縦書き、三段組等ですけど。
まず赤字なので「記念に本を出した」という考え方ですね。

なんか大分スレチでスマソ。


648:名無しさん@ピンキー
10/07/01 05:25:07 KFM/pjAC
>>633
読んだよー
規制は最近多くて困ったねえ…
レス代行スレを使わせてもらうとか?
スレリンク(pinknanmin板)

>>640-641
乙乙ー、やや鬼畜な設定の唯キタw
どんな表情でそのセリフをいうのか想像すると楽しいな

649:名無しさん@ピンキー
10/07/02 07:21:24 V2mgEjpx
>>640-641の続きは非常に申し訳ないが、来月になっちゃうかと。
ダメ学生なモンで、毎年7月は修羅場なのです。。。

>>647
やりたいですねぇ。やりたいですねぇ。
ウチもコピー誌なんで、前々から原稿を用意してない限り、執筆を始めるのが毎度8月入ってからなんです。。。
原稿が上がるのが8月の1週とかでもよければ、喜んで渡します。コピー代半分持ちます。
さすがにその日程ではキツいというのであれば、冬にでも。

650: ◆yj5iT3hh0I
10/07/02 12:50:17 ikz0Jyer
>>648
代行は知っているけれど、そこまではいいかなと。
元々の活動場所があるので。


>>649
8月第一週ならなんの問題もないです。
とりあえず、打ち合わせをしてから実行するか決定してもいいかと。
さすがにスレチなので、あとはメールで。
sweetfishproduction@gmail.com
「らぶドル事務局」(笑)まで

ちゃんと>>594と同じトリップになったかな?


651:名無しさん@ピンキー
10/07/09 21:45:07 ULu3VmlI
>>649
了解ですー
本業もがんばってねん

652:名無しさん@ピンキー
10/07/23 08:15:10 xF6TKIEW
そういや智弘の誕生日っていつなんだろう?

653:名無しさん@ピンキー
10/07/23 22:31:11 wX8lvzpn
たしか智弘は設定なかったような気が……。

654:名無しさん@ピンキー
10/07/24 21:46:02 XjUUjCUJ
一応、ゲーム版で誕生日イベントはあったけど、特に時期が限定できるような描写がないんだよな
とりあえず、ゲーム中の玲のイベントで、プロ野球の最下位争いをしてるチーム同士の試合を見に行くイベントがあるから、
シーズンがある程度進んだ時期、7~9月暗いじゃないかと思う

655:名無しさん@ピンキー
10/08/03 05:21:09 w+sv7tu8
まあ主人公(≒プレーヤー)だから敢えて曖昧なんだろうね

656: ◆yj5iT3hh0I
10/08/16 16:38:34 jogNyI+M
コミケで合同誌(成人向)を出しました。
あゆみと沙有紀の本です。
一冊に二人のらぶドル(それぞれが主役)の話を収録しています。
次回は違う二人が主役です。
出すときにはカットで告知をしているので、よかったらぜひ。
今回もカットで告知しています。

今更らぶドルなので、正直売れ行き悪いです…。
当サークル歴代ワースト2……。


657:名無しさん@ピンキー
10/08/17 05:13:51 E3e/AyAw
乙です。合同誌、もう出来たのかw 早い、早いよ

658:名無しさん@ピンキー
10/08/17 17:07:38 E/JUoTpi
同人誌って買ったことないんだけど今からでも委託とかで手にはいるのかな?

659: ◆yj5iT3hh0I
10/08/17 21:08:30 59noQ7NX
彼が課題後に、頑張って執筆したのででました。
彼の原稿があがるまで自分は他作品の原稿をやっていたから、
むしろ自分がらぶドル原稿を落とし兼ねない事態に(苦笑)
一冊につき二人のらぶドルという形式。
予定通りなら9冊で全員になるわけです。
すでに打ち合わせで担当らぶドルと、何番目の本で誰を掲載するかは決まっています。
無事に最後まで頒布できるかどうかは、あなた次第(C)ハローバイバイ・セキ

委託は、ショップに委託するサークルの場合です。
うちは委託していませんしその予定もありません。そもそも審査でおちる(笑)
参加イベントでお買い求め頂くかたちになります。
受かれば冬コミになります。
冬では、らぶドル新刊は1~2冊を予定しています。


660:名無しさん@ピンキー
10/08/18 12:41:23 4+fP5puh
仕事で夏コミ行けなかったからなー
サンクリか冬コミあたりで是非とも買いたいな

661: ◆yj5iT3hh0I
10/08/18 23:27:10 /UWnbLBY
サンクリは、前は出ていましたが、今は参加していません。
当選すれば直近は冬コミ(恐らく大晦日)になります。
男性向創作のカットに「らぶドル」の文字が書いてあったらぜひ。


662: ◆yj5iT3hh0I
10/08/28 23:20:49 cVRne0VH
冬コミ、申し込みました。
次は、瞳子と真琴。
カットにも書いてあります。
当選したらぜひ。
保守がてらに。

663:名無しさん@ピンキー
10/09/09 10:02:31 hvQai+I7
冬 → 寒い → 熱燗 → 酔っ払う → 押し倒す

もっとも今みたいに、リアルで熱い季節のうちから
想像するにはちょっとアレだが……

664:名無しさん@ピンキー
10/09/11 23:02:18 i8C0lZTw
押し倒すのは智弘なのか、それともらぶドルたちなのか。


665:名無しさん@ピンキー
10/09/12 10:21:43 3hGiKDd3
未成年アイドルが酒飲んじゃまずいだろ
ということで、美樹か社長

666: ◆yj5iT3hh0I
10/09/13 01:33:07 3TLp+u9h
慰労会で、ジュースのはずが手違いでアルコール飲料が出てしまい、知らずに飲酒。
だんだん酔ってきて、笑い上戸に泣き上戸、絡み上戸にキス魔で、混沌とした雰囲気に。

というネタを思いついたw

美樹ということは、美樹×智弘の近親相姦物?
近親相姦(姉弟物)は、大好きだぜw


667:名無しさん@ピンキー
10/09/14 03:05:18 FF6FjAdi
あの二人がやってるところを想像するのは俺には無理だ

668:名無しさん@ピンキー
10/09/18 04:34:41 ybhjnT8W
まあ少なくとも智弘はほぼ受身が基本かな
まず自分で仕掛けて行くキャラじゃない

669:名無しさん@ピンキー
10/09/27 04:02:57 iw/qWgdB
ほしゅってみる

670:名無しさん@ピンキー
10/10/11 12:21:59 PD9nrwRy
キャラ多く並べてもあまり殺気立たないのがらぶドルのいいところ。

671:名無しさん@ピンキー
10/10/11 13:34:37 nOhpeQWL
みんな仲間だからね。
同期だったり同級生だったり。
A*B48のようなのとは違うから。

沈みすぎなのでage。

672:名無しさん@ピンキー
10/10/12 19:35:30 PmS7RS3p
書いてるんで心配しないでください。
ただ、もう少し待って……

673:名無しさん@ピンキー
10/10/13 23:52:03 8ABj0wAD
はーい
待ってます

674:名無しさん@ピンキー
10/10/17 17:43:19 c8oALXFV
>>81の件、書いたまますっかり忘れていたので
ひとまず一つ置いておきますね
SSの資料用にでも、ということで
URLリンク(2d.moe.hm)

675:名無しさん@ピンキー
10/10/29 02:56:58 pHb4ylVQ
しばらく経ったので上記リンクは削除しましたー

676:名無しさん@ピンキー
10/10/31 02:16:48 STMNxG2z
冬コミ落ちました……。
瞳子真琴本は来年夏予定で……。


677:名無しさん@ピンキー
10/11/01 11:19:36 5FmYRga1
まあよくあることかと
仕方ない

678:名無しさん@ピンキー
10/11/02 01:27:17 JIIhALGn
瑞樹可愛すぎ
ストリート瑞樹SS書いてもいい?
エロで。

679:名無しさん@ピンキー
10/11/02 18:19:16 jU15G71t
とりあえず脱いだ
さぁさぁさぁ

680:名無しさん@ピンキー
10/11/02 19:20:45 hQ8mCF0/
問題ないけど、鬼畜陵辱物なら最初に注意書きを入れた方がいい。
あとは、読んだ人が「自分に合わない」と思った時点で読むのを止めればいい話。
どういう作品が出てくるか楽しみにしている。

瑞樹、あんな可愛い娘が単独でストリートやっていたら襲われない方がおかしい。
私はそんな歪んだ大人(爆)


681:名無しさん@ピンキー
10/11/05 04:01:53 UopKLKzS
>>678
おkおk

682:名無しさん@ピンキー
10/11/06 11:09:45 /D+Uwpwt
>>641の続きです。お待たせしました。


唯が智弘の下腹部の辺りに跨る。
「何やってんだよ、ゆ―」
名前を呼ぼうとした口を、再び塞がれる。
頬を両手で包まれ、唯の閉じた瞳がすぐ眼前にある。
智弘はその行為を、ただただ受け入れる。
唇をこじ開けられ、舌が侵入する。口の中を蠢き回り、唾液と唾液を交換する。
濃厚なキス。
アルコールの力など関係なく、頭のなかがぐるんぐるんと、軽い混乱状態に陥る。
時間にして一分ほどだろうか、呼吸が苦しくなってきた唯が顔を上げる。
息が乱れ、二人の口の間を結ぶ唾液の糸が微かに揺れる。
右手が下へ移動し、首筋を爪がなぞる。
「……マネージャー、苦しそうだね」
「そ、そりゃ、こんなことされればな」
唯のやわらかい身体に圧迫され、首をなぞられ、智弘の肉棒はすっかり怒張してしまっていた。
ズボンに手をかける。
寝巻きはゴムで締めているため、下着ごと容易にずり下ろされる。
しかし両脚を開いてベッドに括られているため、脱がされることはなかった。
膝の辺りで止まってしまう。
外気に晒された息子が天を向く。
「うわ、マネージャーの……大っきいね」
マジマジと見つめながら、そう表現する。
「これはマズいって、唯!」
優しくそっと、それを握る。
それにつられて握られたそれは、びくんと反応する。
「ねえ、マネージャー」
智弘の耳にふっと口を寄せる。吐息を感じ取れる距離。
「マネージャーは、両手両脚を縛られちゃってるんだよ。だから、抵抗できなくても、仕方ないんだよ」
一言一言、言い聞かせるように言葉を紡ぐ。
「マネージャーは、朝起きたら、女の子に襲われていた。決して自分が、アイドルに手を出したわけじゃない。ね?」
そう言って口を塞いだ。
智弘は黙ってそれを受け入れる。
ここまで言われて、何も分からないほど、智弘も馬鹿ではない。
据え膳食わぬは何とやら、という言葉がある。それはこの律儀に固く考えを巡らせるこの男にも、同様であった。
自分が何もしなければ、これから起こる行為に、非は一切ない。唯はそう、逃げ道を作ってくれているのだ。
よろしくないことだとは理解しつつも、本能だってある。
流れにすべてを任せることにした。

683:名無しさん@ピンキー
10/11/06 11:11:31 /D+Uwpwt
「そういえばさ!」
覚悟を決めたところで、唯が途端に口調を変える。
肉棒に添えられていた手を離し、智弘の上から降りる。
ここでのお預け状態は、誰だって辛いだろう。
しかし続きを催促するわけにもいかず、口を半開きにして、部屋を歩き始める唯を目で追う。
「さっきこんなモン見つけたんだよねー」
棚に置いてある何かを手にする。
「ねえマネージャー。これ、何?」
手よりも少し大きい、黒くて太い、円筒状のものを見せてくる。
中心部は白くギザギザになっていて、電球のように見えなくもない。
「ねえ、これ、何?」
「何って……」
以前現場で会ったことのあるタレントから、偶然もらったものだった。
『マネージャーさん。これ、良かったらどうぞ。さすがに女の子には勧められないッスからね。いやー、これ、スゲえッスよ』
『え、あ……ありがとうございます。これ、何ですか?』
『何って、オナホッスよ、オナホール。良かったら一度試してみてください』
業界でも有名な男で、甘いルックスで女性からの人気も高いのに、至る所でこれを人に勧めているのだった。
本人に会うまでは智弘も、やっかむ誰かが流し始めた噂だろうと思っていたのだが、そんなことはなかった。
「何って……オナホだよ」
用途を説明するのはさすがに気が引ける。唯に名称だけを伝えた。
「ふーん。何に使うの?」
「…………」
さすがに言えない。口を噤んでしまう。
唯は角度を変えていろいろ眺めた後、底面にあったシールを剥がす。
「へー、中はもう濡れてるんだ」
「唯、本当は何か知ってるんじゃないのか?」
「え、何が?」
とぼけた顔を貫き通す。
挿入口に人差し指を入れてみると、ふにゃんと中に吸い込まれる。
抜くと輝くローションの糸。
「ね、マネージャー。これ、何?」
わずかに濡れた指で、赤い岐立に触れる。
裏筋を這われ、またしてもびくんとその身を揺らしてしまう。
「うぐっ……お、オナホールだよ」
「うん。で、どうやって使うの?」
「ひ、一人でオナニーをする時に……」
唯がそれを握る。くっちゃくっちゃと音がして、充分な潤いがあるということを教えてくれる。
「どんくらい使ったの?」
「いや、まだ一度も……」
自分を慰める行為など、ここ暫くはとんとご無沙汰だった。
誰かとそういう行為に及んでいるというわけでもなく、性的な事象に興味がないわけでもない。現にこうして勃っているのだから。
それよりも身体は睡眠を欲していたのだ。起きてる間は常時仕事のことを考えていて、優先順位が自然と下になってしまっていた。
そもそもそれ以前に、オナホールをもらったことさえ忘れてしまっていたのだが。

684:名無しさん@ピンキー
10/11/06 11:12:17 /D+Uwpwt
「じゃあ、ボクがしてあげるね」
先端に当てる。冷たい感覚が襲い、大きく揺れてしまう。
「ちょっと、マネージャー。暴れないでよ!」
「無茶言うなって」
「もう、しょうがないなあ」
左手で根元を、きゅっと握られる。
またしても反応したが、先ほどまでとは違って、そこまで大きくは動かない。
再び構える。そしてゆっくりと侵入。
「うっ、ひあぁ……」
亀頭が埋まる。
まだ入り口近くだというのに、無数の突起が刺激を与えてくる。
これで最後まで入れてしまったら、と智弘は予想する快感に思わず身構える。
「どう、マネージャー? 気持ちいい?」
「ああ、すごく」
「じゃあもっとしてあげるね」
そう言ってゆっくりと、根元まで下ろしていく。
中の構造は外からは見えないが、おそらく突起以外にも、様々な仕掛けが凝らしてあるのだろう。
腰が浮く。全身に鳥肌が立つ。
今までに経験したことのない快感。これはあのタレントが、『スゲえッスよ』と力説していたのも頷ける。
唯の手が上下する。最初はゆっくりと、次第に早く。
「ゆっ、唯! も、もう射精るッ!」
早いとは思うものの、押し寄せる快感の波には抗いようがない。
それでも唯は手を遅める気配はない。
一際大きく震えて、智弘はホールの中に欲望を吐き出す。
「あっ、ああ、くっ……!」
乙女のような恥ずかしい声を漏らしてしまう。
構造上外からは見えなく、達してしまったことが唯には分からなかったようだ。
手を緩めることなく、上下させ続ける。
「ちょっ、唯。待ってくれ」
腰をガクガクさせながらも、慌てて声をかける。
「ん? どうしたの、マネージャー?」
「俺、その、もう……」
「もう? もう、何?」
相変わらず激しい刺激が与えられる。
自分の絶頂を口に出すことは恥ずかしくもあるが、背に腹は変えられない。
「もう……イッちゃったからさ、……や、止めてくれ……」

685:名無しさん@ピンキー
10/11/06 11:12:46 /D+Uwpwt
「ふーん、そっかあ。イッちゃったんだあ」
復唱し、口角をつり上げる。
唯はオナホールを強く握り、ゴポッと根元から、空気が漏れる音が聞こえる。
肉棒がより密着し、刺激がさらに強くなる。
外壁から唯の手が微かに感じ取れる。
「気持ちよかった?」
「ああ……」
担当のアイドルに、下の世話をさせてしまった。
そう罪悪感はありつつも、身体は正直なものだった。
空気を取り除いたことで吸い取られるような感触を覚え、智弘のソレは小さくなることはなかった。
「……じゃあ、もう一回してあげるね」
そういって微笑んだ唯の顔は、天使にも悪魔にも見えた。
再び手を動かす。先ほどよりも、速く。
「いやいやいや、待ってくれ!」
達したばかりでまだ敏感なそこが、強い刺激に襲われる。
「それはダメだって! マズいって! ヤバいって!」
とうとう余裕がなくなり、叫び始める。
「ダメなの? じゃあ、こうしてあげるね」
オナホールを両手で握った。
そして原始人が火を熾すかのような動作で、回転を加えてくる。
もちろん上下させるのも忘れない。とても器用な手つきだった。
快感がこうも襲い続けると、拷問になるのか、と感じた。
まさかこういった行為が、辛く思えるだなんて。
「ああっ! か、勘弁してくれっ!」
叫ぶ。余裕も外聞もなく、叫ぶ。
しかしどう叫んでも、手は緩めない。腹の上に跨り、暴れないよう体重をかけて押さえつける。
「もう、しょうがないなあ。じゃあ、次イッたら、やめてあげるよ」
そう言って、手を動かし続ける。
その時が来るのか、意識が耐えられるのか、智弘は顔を青ざめた。
しかし背を向けている唯には、その表情は見えない。
「ほら、早くイッたら楽になれるよ?」
ホールの中が蠢いている。
根元から先端まで、ローションでぬるぬるになった突起が、凹凸が、捩れながら上下して襲う。
「あっ、ああ、あああっ」
もう呻くことしかできない。
思考回路は途切れ途切れで、ただ快感が苦しいだけ。
擦られ続ける。
回され続ける。
絶えず刺激が与えられ、二回目だというのに、もう達してしまう。
「ああああっ!」
イクということを言うことさえ許されなかった。ただ嗚咽を漏らす。
そして腰を痙攣させながら、白濁を放出する。
「マネージャー……今、ひょっとして、イッちゃった?」
オナホールを抜く。
白い、ドロドロした液体が鈴口から出ているのが目視できた。
竿を握るが、次第に小さくなっていく。連続はさすがにキツかっただろうか。
「ねえ、マネージャー。もう一回してあげるって言ったら、どうする?」
にやりと笑みを浮かべながら訊ねるが、反応はない。
顔を見ると、口を半開きにして目を閉じてしまっていた。
あまりの衝撃に耐え切れず、気を失ってしまったようだ。
「ちょっとやり過ぎちゃったかな……?」
口と口を重ねる。優しいキス。
「えへへ、ゴメンね。マネージャー」
縛っていた手足を解放する。股間を綺麗に拭いてやり、ズボンを穿かせる。
「続きは起きたら、ね」
もう一度キスをして、智弘の隣で横になる。
目が覚めた後を期待して―

686:名無しさん@ピンキー
10/11/06 11:15:01 /D+Uwpwt
半年も待たせてしまって申し訳ないです。遅筆でごめんなさい。
今後は全部書き上げてから投下することにするよ。

687:名無しさん@ピンキー
10/11/07 00:19:58 UVjXoQAX
乙乙
半年くらい余裕ッスよ

688:名無しさん@ピンキー
10/11/07 23:52:41 fqE8XgEO
>>686
おおお。乙です。強制射精とな!
唯が攻めに回るキャラクターとして動くのが新鮮な感じでした。
分割投下でも、続き物ってことで、全然いいんじゃないかと。

689:名無しさん@ピンキー
10/11/20 01:46:33 /OuDCEOG
襲われたとなれば問題ないよね

690:名無しさん@ピンキー
10/12/05 01:46:00 IQqYFoy8
巷は冬コミ追い込みの季節になってきたか……

691:名無しさん@ピンキー
10/12/05 12:03:18 0wMzbf+I
冬コミ? ああ、落ちた落ちた。3連続落選……
原稿はやってるけど

692:名無しさん@ピンキー
10/12/05 12:57:52 Aly0em54
冬落ちたしな。
それでも年内中に真琴の原稿やっておかないと。
来年5月1日のCOMIC1に参加予定。
らぶドルで申し込む。


693:名無しさん@ピンキー
10/12/27 01:31:17 5r1+Peb0
クリスマスはらぶドル寮の中で何組の百合カップルが出来たのだろうか…
と想像しつつほしゅ。

694:名無しさん@ピンキー
10/12/31 17:38:48 IVgMtTAk
今は>>678の待機ターンだからな。
気がついたら適当なのを30分そこらで書き上げたんだが、載せられないぜ。
そもそも18禁じゃないし

695: 【末吉】 【1972円】
11/01/01 09:12:28 Kj/O4A73
18禁とか関係ないから。
規制で、ただでさえ人がいない。
そうと判ったら投下すべし。

696:名無しさん@ピンキー
11/01/01 12:37:01 sVlFVgb/
そうね。さっさと投下すれば

「なんで私達はオフなんだよ!」
 3期生最年少の野々宮舞が声を荒げた。
「まぁまぁ。最近は忙しかったんですから、たまにはこういうのもいいんじゃないですか?」
 そうやって宥めるのは、桐生琴葉。ユニットを組んでいるというわけではないが、この二人組みで何かをするというのは非常に多かった。SFPに入る前からの知り合いで、気が合うのだ。
「この年末年始の忙しい時に、オフがあるというのがおかしいんだよ! まったく、それというのも―」
 そのとき、扉を開ける音が聞こえた。
「あれ、舞に琴葉? 何やってんだ、こんなところで」
 その人物は、彼女たちのマネージャー、藤沢智弘だった。
「お前のせいだ!」
 ビシッ、と指をさす。
「……えーと、何が?」
 いきなりそんなことを言われても何がなんだかわけが分からず、智弘は間の抜けた声で聞き返す。
「舞さん、自分が今日はオフだからって、機嫌が悪いんですよ」
「私じゃない、私達だ!」
「別に私は、機嫌が悪いとか、そんなことはないですよ? むしろこの忙しい時期の中、スケジュールを調整して大晦日に休みをとってくれた智弘くんに感謝しないと……」
「いーや、感謝なんかできないね! だったら、らぶドル全員を休みにしてくれよ。それならまだ分かる」
 ああ、と智弘は頭を掻いた。
「なんで瞳子のやつだけ、紅白の仕事が入ってるんだよ!」
「舞さん、それはしょうがないですよ。舞さんは今年、一枚も曲なんて出してないじゃないですか」
「ああ、そうだよ。出してないよ。出させてもらえなかったんだ。敏腕マネージャーが誰かさんにずーっとべったりで仕事してたんだからな!」
 それは確かに機嫌も悪くなろう。
「舞さん、舞さんでは年齢的に出るのは難しいですよ」
「前半ならいいだろ? 赤組トップバッターで、『今をときめくらぶドル3期生、野々宮舞です! よろしくお願いします!』とか言ってみたいっつーの!」
「無理ですよ。舞さんの地はだいぶ世間に知られてしまってますよ。そんなぶりっこできません」
「それは智弘がバラエティの仕事ばかりとってくるからだろ!」
「いいじゃないですか。私達はらぶドルの漫才師というポジションをいただいているんですから」
「私達は芸人じゃなくてアイドルなの! そんな売れ方ばっかしたくない! 智弘、新年の私のスケジュールは?」
「『新春生放送爆笑スペシャル!アイドルはお笑いで芸人に勝てるのか』の生放送だな」
「バラエティじゃねーか!」
 被っていた帽子を床にたたきつける。その動作もまるで芸人そのものだったが、また機嫌を損ねるだろうので琴葉も智弘も黙っていた。
「今日は俺と瞳子以外は全員オフだからな。事務所も閉めるからもう帰れ」
 ちっ、と舌打ちをして、帽子を拾う。
 被りなおす時に、前後に一回転させたのを琴葉は見逃さなかった。
「ふんっ、よいお年を!」
 爽やかな捨て台詞を吐いて事務所から出て行った。琴葉も軽く会釈して、舞に続く。
「舞……お前、すっかり芸人だよ……」


697:名無しさん@ピンキー
11/01/01 14:57:19 Kj/O4A73
ほら。
まさに大晦日にこそ投下すべきネタじゃないかw

698:678
11/01/02 20:42:39 Kqqi+HZk
瑞樹凌辱物。
もうすぐ書きあがるんだけど長くてここでは無理そうだから18禁投稿小説サイトに載せたら報告していいだろうか?
そっちを観てもらう方が観やすいかと。
サイトはその手では有名な投稿サイトだから騙しとかではないよ。
観てみたらなのはやネギまとかもあったから、二次物投稿もオッケーみたいだしね。

699:名無しさん@ピンキー
11/01/03 02:30:23 pfPGn5/x
↑すまん、やっぱり二次はダメらしい。
短く書き直すよ。

700:名無しさん@ピンキー
11/01/03 06:32:24 3pXzfG+s
待て待て待て待てー!!
文章を書くことが良いとされるのに、環境等で短くするというのは本末転倒でおかしい。
そもそも、どうしてここでは無理なんだ?


701:名無しさん@ピンキー
11/01/03 08:14:01 EMz/95cr
そっちに載せてもいいけど、ここにも分割して書き込んでくれよ。
俺はそうしてる

702:名無しさん@ピンキー
11/01/04 00:13:38 ifgkoPmD
遅れたけどあけおめ。今年もよろしゅう

>>696
おつですおつです。エロはなかったが舞琴スキーの俺的には歓喜w
やはりバラエティ番組に強制出演プレイさせてニヨニヨするのがらぶドル的には定番だな。

>>697
大晦日の話が元日でも全然構わないかと。
俺なんかまだ頭の中クリスマスですよ。

>>698-699
うぃうぃ。よほど長文だったのかな? もしも気が向いたら短縮なり分割なりで。

703:名無しさん@ピンキー
11/01/05 20:45:39 vufOEeXX
もしかして、規制解除になったみたいだテスト兼ねて保守

704:名無しさん@ピンキー
11/01/08 02:21:43 bYUvpk+c
瑞樹大好きっ、保守

705:名無しさん@ピンキー
11/01/08 17:59:42 jnkHEAVW
このスレ何人いるんだ?

・私
・合同誌の相手
・瑞樹陵辱作者
・琴葉スキー
・瑞樹スキー

の五人?

706:名無しさん@ピンキー
11/01/09 00:49:37 M5eCDb4B
自分みたいな読み専ならある程度居ると思うよ

実は一応書くつもりはあるんだけど中々ね

707:名無しさん@ピンキー
11/01/11 22:35:46 jM4mmAR+
99%読み専だが、呼称表を供させていただいた小生も加えてくだされ

708:名無しさん@ピンキー
11/01/12 17:18:03 kt3vTAlI
5日に規制解除に気がついて、らぶドル新年会ネタ考えたが、
風邪ひいてダウンしていて正月終わっちまった(まだ風邪ひいている)。
恒例のバレンタインネタも今年はネタがない。

・私
・合同誌の相手
・瑞樹陵辱作者
・資料作成者
・琴葉スキー
・瑞樹スキー
・ROMその1

呼称などの一連のリストは超役に立っています。
今でも執筆するときには、必ずあれを見ながら行っています。
あのリストの価値は大きく、プライスレス。

709:名無しさん@ピンキー
11/01/14 22:35:58 MkLhQN5G
DVDの2巻のパッケージの瑞樹が可愛すぎて注文しちゃったじゃないか!
798円で。

710:名無しさん@ピンキー
11/01/14 22:54:55 vdyVEAe+
DVDのジャケはみんな可愛いと思う。
エロ話を描くのが申し訳ないほどに(でも書くw)

711:名無しさん@ピンキー
11/01/15 01:53:23 jXovcru3

なんかある18禁小説サイトで瑞樹みたいなヒロインがやられまくるのがあったんだけどまさか>>698か?



712:名無しさん@ピンキー
11/01/15 07:03:04 SXbmf7yO
それはどこぞ?

713:名無しさん@ピンキー
11/01/15 16:08:32 jXovcru3
違ったら悪いヒントだけ
18禁小説サイトを検索してそこのサイトの検索機能で瑞樹に当てはまるような単語いれてみて

714:名無しさん@ピンキー
11/01/16 19:05:16 Q7bQqeAD
わからん……。

715:名無しさん@ピンキー
11/01/16 21:02:17 FBqZ18Ch
もしかしてノクターンノベルズってサイトかな?それらしいのあった!

716:名無しさん@ピンキー
11/01/16 21:20:45 Q7bQqeAD
あれ? そこいって検索かけたけど、何もヒットしなかったんだよな。
検索の仕方が悪いということなのか。

717:名無しさん@ピンキー
11/01/16 22:51:30 FBqZ18Ch
あくまでも「っぽい」だから「らぶドル」とか「瑞樹」とか入れても出ない。結局は新着順にあらすじ見ていって見つけた。あらすじ見れば瑞樹っぽいし容姿の説明も瑞樹を思わせる

718:名無しさん@ピンキー
11/01/16 23:56:21 Q7bQqeAD
あんたすげぇよ。よく探し出したなぁ。ちっとも判らん。
まだ体調崩しているから探すだけでもきついわw

719:名無しさん@ピンキー
11/01/17 00:29:32 eCj4Tbrr
ストリートライブとかいきなりあったから

720:名無しさん@ピンキー
11/01/17 18:53:23 VeIpRoXP
あった。
多分、そうだと思う。
ここに書き込んだ日付といい、投稿した日付といい、全て合致する。

721:名無しさん@ピンキー
11/01/18 15:29:33 uS3/tBWO
舞の声、ヴィータとか言われた、違う!

722:名無しさん@ピンキー
11/01/18 18:24:04 x1clOdVA
誰だ!そんな寝言ほざいたやつは!

723: ◆yj5iT3hh0I
11/01/18 23:49:16 x1clOdVA
 その日、野々宮舞はむっとしていた。
「おはようございます、舞さん」
 事務所に顔を出した桐生琴葉は、舞に挨拶をした。
「ああ、おはよう」
 舞は、ぶっきらぼうに返した。
「? どうかしたんですか、舞さん」
「聞いてくれよ。私の声が『びーた』とかいうのに似ているって言われたんだ」
「びーた……ですか?」
 琴葉は、舞の言う『びーた』が何なのか判らなかった。
「これなんだよ」
 舞は、目の前のモニターに映っている事務所のHPに寄せられた意見コーナーをクリックした。
 そこには、次のような一文が寄せられていた。
【この間、テレビからヴィータの声がする、と思ったららぶドルの舞ちゃんでした(笑)】
「ヴィータ……なんでしょうか?」
 琴葉の疑問に答えるように、舞は検索サイトでその名を入力した。
「なんか、アニメキャラらしいんだ」
 そこには、人気アニメのキャラクターが表示されていた。
「そうなんですか」
「なんか、ここで見られるみたいなんだ」
 舞は、さらに動画投稿サイトでアニメを再生させた。
「んー、似ているといえば似ているかも知れませんけど……」
「全然似てなーい!」
「そうですよね。これを舞さんの声というには、ちょっと無理があるように思います」
 話がまとまり掛けたときだった。
「何してるの?」
 そこへ、出社してきた藤沢瑠璃が、二人に声を掛けてきた。
「ん、ああ、ちょっとな」
 瑠璃は、モニターに視線を向けた。
「あれ? このアニメに興味あるの?」
 瑠璃は、モニターに映っているキャラを見て目を輝かせた。
「このキャラの声と、舞さんの声が似ているという書き込みがあったんですよ」
 琴葉が、瑠璃にいきさつを説明した。
「んー、ねえ、舞ちゃん。ちょっと言ってもらえるかな」
「なんだ?」
「んとねー」
 瑠璃は、舞に軽く指示を出した。

724: ◆yj5iT3hh0I
11/01/18 23:52:21 x1clOdVA
「タカマチなんとかー!! ……なんだこれ?」
 舞は、言わされたものの、まったく意味が理解出来なかった。
「んー、ちょっと似ているかもしれない」
「似てなーい!!」
「そんなことないと思うよ」
「似てない! 似てない! 似てなーい! 私の声は、こんなに低くない!!」
「でも、舞ちゃんが声優をやるとしたら、こういうキャラに向いていると思うよ」
 声優として活躍している瑠璃が言うのだから、あながち悪くはないのだろう。
「あ、あの、私ならどういうキャラがいいと思いますか?」
 もし、自分が声優をやれるとしたら、仕事の幅が広がるかも知れない。
 そんな思いから、自分の声質に合うキャラを尋ねた。
「んー、琴葉ちゃんなら……」
 瑠璃は、そういってある作品を検索して呼び出した。
「これかな」
 瑠璃がクリックをして動画を再生をさせると、まるで巨大ドリルをふたつ頭に装着したかのような
金髪巨乳キャラがしゃべりだした。
 しかも、年齢制限があるのではとおぼしきエッチなアニメだ。
「こ、こ、これ、なんですか!?」
 琴葉は、赤面しながらもそのアニメを観た。
「琴葉ならいいんじゃないのか。琴葉の声って意外とエッチだしな」
「な、なんですか、それ!? わ、私の声、エッチなんかじゃないです!」
「でも、琴葉は耳年増じゃん」
「それとこれとは関係ないですよ~」
「いや、きっと根がエッチだから、声もエッチなんだろ」
「そんな~」
「それに―」
 舞は、両手を伸ばすと、琴葉の胸を掴んだ。
「きゃあっ!?」
「琴葉は、おっぱいも大きいからな」
 服の上からもはっきりと判るバスト84センチを誇る乳房を、いやらしい手つきで揉む。
「いやぁん」
 琴葉は、慌てて両腕で胸をブロックした。
「ほらほら、その声。とってもエッチだぞ」
「そ、それは、舞さんが変なことをしたからです」
 琴葉は、エッチな声と言われて恥ずかしかった。
「でも、今は結構こういう萌えアニメが多いから、琴葉ちゃんのようなタイプの声は需要もあるし、
人気の出る声だと思うよ」
「本当ですか?」
「うん」
 琴葉は、瑠璃の『人気の出る声』というフォローに安堵した。

725: ◆yj5iT3hh0I
11/01/18 23:53:48 x1clOdVA
「お、早いな」
「あ、お兄ちゃん」
「智弘」
「智弘くん」
 出社してきた智弘に、三人の視線が集中した。
「ん? 三人集まって何しているんだ?」
 琴葉は、慌ててマウスを操作してブラウザを閉じた。
「い、いえ、ちょっと雑談を」
 琴葉は、智弘にエッチなアニメを観ていたと思われたくなかった。
「なあ、智弘。琴葉の声ってどう思う?」
「どうって?」
「欲情する声とか」
「な、なんてこと言うんですか、舞さん!」
 琴葉は、顔を真っ赤にして抗議した。
「一体、何の話だ?」
「なんでもありません! 智弘くん、気にしないで下さい! そ、それより、今日の予定はお台場でいいんですよね?」
 琴葉は、スケジュールを訊くことで話の流れを逸らした。
「ああ。舞と一緒に9時には局入りだ」
「なんか、このところ琴葉と一緒の仕事ばっかだな」
「バラエティが多いからな」
「私達は、らぶドルであってバラドルじゃないんだがな」
 舞は、少し頬を膨らませた。
「そういうなって。ゴールデンのバラエティは全国ネットされることが多い。
全国に顔を売るのは、活動の幅を広げることでも必要なことだ」
「別に仕事が不満ってわけじゃないさ」
「お仕事が貰えるのは、タレントにとって大切なことです。たとえ、それがバラエティであってもです」
 仕事の絶対軸を持っていない琴葉にとっては、どんな仕事もいとわない。
 歌にせよ、演技にせよ、モデルにせよ、声優にせよ、他のらぶドル達の方が抜きんでている。
 何でもこなしてしまう器用貧乏的なところが、琴葉の没個性に繋がっているが、
舞と絡むと不思議といい意味での化学反応を引き起こしていた。
 智弘もそれが判っているからこそ、この二人で組む仕事の意味を理解していた。

726: ◆yj5iT3hh0I
11/01/18 23:55:08 x1clOdVA
「なーんか、らぶドルのお笑い担当って感じなんだよな」
 舞がぽつりとごちた。
「それもタレントとしての幅だよ。それでみんなが楽しくなってくれるなら、それはいいことだろ」
「そうだな」
 舞は、ふっ、と笑んだ。
「でも、たまにはかわいい仕事もとってきてくれよな」
 舞は、軽く智弘の腹に拳を当てた。
「判った。ほら、移動はタクシーなんだろ。これから道が混むから、そろそろ出る準備をしておけ」
「私はもう済んでいる」
「私もです」
 舞も琴葉も、すでに準備万端だ。
「それじゃ、行っておいで」
「おう!」
「はい!」
 二人は、手荷物を持つと目配せをした。
「それじゃ、智弘、瑠璃、また後でな」
「いってきます」
 二人は、事務所を後にした。
「瑠璃はまだいいのか」
「今日はインタビューと撮影だからまだだよ」
「そうか」
「だから―」
 瑠璃は、智弘の腕にしがみついてきた。
「しばらくはお兄ちゃんと一緒にいられるよ」
 智弘は、ふーっ、と溜息をついた。
「だから、そういうことはするなと―」
「むーっ! 妹だからいいでしょ!」
「そういう問題じゃないだろ」
「いいでしょ。たまには」
 そういって、瑠璃は離れようとしない。
「おはようござい―な、何をしているんですか!?」
 そこへ、日渡あやがやってきた。
「ま、また、瑠璃ちゃんはそういうことを―」
「いいんだもーん。瑠璃は妹だもん」
「い、妹だからって、そういうことをしたらダメです!」
「そんなこといって、本当はあやちゃんもしたいんじゃないの?」
「そ、そんなこと、ち、違います! 智弘さん、違いますからね! わ、私は、ただ、その―」
「おっはよーっ! って、みんな揃って何を―あっ! 瑠璃ちゃんが智弘くんにしがみついてる!」
 そこへ、今度は有栖川唯がやってきた。

727: ◆yj5iT3hh0I
11/01/18 23:56:17 x1clOdVA
「あ、唯ちゃん! 唯ちゃんからも言って下さい! そんなことしたらダメって」
「んー、どちらかというと、ボクもしがみつきたいかな」
「な、何を言って―」
 あやが言い終わる前に、唯はあやの横を通り過ぎて智弘の腕にしがみついた。
「猫も寄り添うほど今日も寒いからね」
 唯は、よく判らない理由を口にする。
「むーっ! 唯ちゃん、ダメだよ。お兄ちゃんにしがみついていいのは、実の妹である瑠璃の特権なんだから!」
「ここは事務所だから、今は『ボクのマネージャー』でもあるんだよ」
 瑠璃と唯は、腕にしがみついたまま、お互いに権利を主張する。
『いいなぁ、二人とも……』
 そんなに二人を、あやは羨望のまなざしで見つめていた。
「朝から勘弁してくれ……」
 まだ仕事が始まってもいないのに、すでに疲労している智弘だった。

     -了-

728: ◆yj5iT3hh0I
11/01/18 23:57:45 x1clOdVA
アハハハハ。
風邪で今月末のオンリーの原稿も出来てなくて、
こんなの書いている場合じゃないのに。
ぶらっと書いてみた。後悔はしていない。校正もしていない(マテ)

729:名無しさん@ピンキー
11/01/19 09:16:04 8ULrIVHN
やるなあ。見事なものだった。

730:名無しさん@ピンキー
11/01/20 02:09:44 yGY52KMJ
>>720

見てきた多分あってるよなエロ気合い入れ過ぎ
らぶドルか?といえばらぶドル。舞みたいなのもいたし。

731:名無しさん@ピンキー
11/01/20 23:36:46 w6lGTCku
いいと思うよ。
「書きたいから書く」というのが一番いい動機なんだからる
二次は不可とされたようだから、いじってきたのでしょう。

732:名無しさん@ピンキー
11/01/21 01:44:24 nqvm4j5Y
>>723-727
もつですもつです。
瑠璃のフォローが微妙にフォローになってない件w
後半、朝から唯と瑠璃が二人がかりで性欲処理に励んでくれている風に
読めてしまった。←多分かなり疲れてる

>巨大ドリルをふたつ頭に装着したかのような金髪巨乳キャラ
セルニア・伊織・フレイムハートですねわかります。

733: ◆yj5iT3hh0I
11/01/21 20:28:41 wb6PsBTb
すげぇ!!
あの呼称リスト、呼称以外にもランキングデータとかついていたのか!!
今日、気がついたよ。
めちゃくちゃすげぇよ!!

734: ◆yj5iT3hh0I
11/01/21 20:31:25 wb6PsBTb
 午前6時。
 この時期は、まだ日の出前ということもあり外は暗い。
「うー、寒い寒い」
 暗闇の中、SFPの事務所へ藤沢智弘がやってきた。
 事務所の鍵を開け、照明と共に暖房のスイッチを入れる。
「今年は寒いから早出はきつい」
 暖房で室内が暖まるまで時間がかかる。
 給湯室へ行き、オフィス用コーヒーサービスマシーンにコーヒーをセットして、紙コップに抽出させる。
 セットする手間はあるが、それさえしてしまえばほんの数秒で熱々のコーヒーが飲めるのはありがたい。
 しかも、自動販売機と違って費用は会社持ちなので無料だ。
 智弘は、一口すすると、それを持って事務所内へと戻っていった。
「さてと、今日の予定は―」
 自分のスケジュールは元より、らぶドル達のスケジュールやどこで就寝したのか、ということも確認しておかないといけない。
 これは、地方から地方に移動することもあり、事務所として常にタレントの現在地点を確認しておく必要がある。
 交通機関のトラブルなどに咄嗟に対応するためにも重要なことだ。
「とっもひっろくーん」
 智弘が入口を見ると、有栖川唯が、ひょい、と顔を出して事務所を覗いている。
「どうした。随分早いじゃないか」
「うん。智弘くん、今日は早出って聞いたから、もういるかなと思って」
 唯は、智弘の隣の机の椅子に腰を下ろした。
「今日はアフレコだろ。出社するにしても早すぎるだろ」
 アニメのアフレコは、都内のスタジオで行うため、こんなに早く出て来る必要は全くない。
「昨日も一昨日も、直行直帰だったからね。智弘くんの顔が見たいなーと思って」
「火曜日に会っているじゃないか」
「三日も前だよ」
 三日前、二人はここで会っている。
 しかも、智弘の腕にしがみつくというおまけ付きで。
「今日なんて冷え込んで寒いんだから、ゆっくり出て来ればいいのに。今日も直接目黒入りの予定だろ」
 智弘に言われて、唯は少し頬を膨らませた。
「智弘くんは冷たいなー」
「何がだ」
「折角、会いにきたんだよ。早出は寒いし一人はつまらないかなーと思って」
「そりゃどうも」
 智弘は、生返事をしながら書類をめくっている。
『むっ!』
 智弘が、紙コップへと手を伸ばしたが、紙コップを掴み損ねた。
 手の先を確認すると、そこにあるはずの紙コップはなかった。
 紙コップは、唯が両手で掴んでいた。
「唯、それ、俺の」
 唯は、くるりと椅子を180度回転させて、智弘に背を向けた。

735: ◆yj5iT3hh0I
11/01/21 20:32:42 wb6PsBTb
「あー、寒い」
 そういって、こくこくとコーヒーを飲み始めた。
「ふぅ」
 まだ暖かいコーヒーに、一息ついた息も熱を帯びている。
「コーヒーが飲みたいのなら、自分で作ってくればいいだろ」
「だって、作ったばかりじゃ熱いんだもん。ボク、猫舌だから。ねー」
 そう言って、唯はいつも連れて歩いている猫のぬいぐるみのミルクとプリンに話しかけた。
「やれやれ」
 智弘は、立ち上がると再び給湯室へと向かった。
 事務所に一人残された唯は、コーヒーに口をつけた。
「にがっ。なんでブラックなの? ミルクと砂糖を多めにして欲しいなぁ」
 他人のものを奪っておいて、これである。
『……でも……間接キスだからいいか……』
 唯の頬が紅くなっているのは、寒さやコーヒーのせいではなかった。
 ほどなくして、智弘が新しい紙コップを手にして戻ってきた。
「今度は飲むなよ」
 智弘は、念を押してから紙コップを置いた。
「飲まないよ」
 唯は、軽く笑いながら答えた。
 少しずつ空が明るくなるにつれ、表を走る車の量が増えると共に、街は喧噪の世界へと移りゆく。
 室内には、そのざわめきが入り込んできているぐらいで、智弘は帰社後に届いていたFAXの処理に没頭し、
唯は何をいうでもなくそれを眺めていた。
『こういうのもいいかも』
 自分達の見えないところで、一所懸命支えてくれる。
 それは智弘に限ったことではなく、自分の仕事に関わる人たち全てに言えることだが、
スイートフィッシュスクールのときからずっとそばで見てくれている彼は、唯にとって特別な人だった。
 無論、それは他のらぶドルにとっても同じだった。
「おはようございます」
 少し控え目に発せられながらも、凛とした声が事務所内に響く。
「おはようございますぅ~」
 追って、対照的におっとり口調の挨拶が続いた。
 二人揃ってやってきたのは、双子ユニット『ショコラ』の北条知奈と北条美奈だ。
「おはよー」
「おはよう」
 唯は、智弘越しに二人を確認してから声を掛け、智弘は挨拶をしてから二人を一度見た。
「二人ともぉ、早いですねぇ」
「美奈ちゃんと知奈ちゃんも充分早いよ」
「でもぉ、すでに唯ちゃんがいますよぉ」
 美奈は、ちらりと知奈に視線を向けた。
 知奈は、美奈から合図を受けるも『無理』という目をする。

736: ◆yj5iT3hh0I
11/01/21 20:34:00 wb6PsBTb
「それにしても、今朝も寒いですねぇ」
 美奈は、いかにも寒いという仕草をしながら、智弘達のそばへ来た。
「何か持ってくるといいよ」
 唯は、紙コップを持ち上げて二人に見せた。
「でもぉ、こういう日はぁ、あることをしていいという噂を聞いていますぅ」
 美奈は、もう一度知奈に視線を向けたが、やはり知奈は『出来ない』という目をした。
「なんだ、その噂ってのは」
 智弘は、丁度一段落して背もたれに体を預けた。
 美奈は、唯とは反対側の机の椅子に座った。
「失礼しますぅ」
 美奈は、すっ、と智弘の脇に腕を回すと、両腕で彼の腕を抱えるようにして抱きついた。
「おいおい!?」
 焦る智弘。
 驚いて硬直している唯と知奈に構わず、美奈はそれを続ける。
「寒い日はぁ、智弘さんの腕で暖まっていいそうなんですよぉ」
「なんだよ、その都市伝説は」
「都市伝説なんですかぁ?」
「そりゃそうだろ。そんな事実はないんだから」
「ボクは美奈ちゃんの話は事実だと思う」
 唯は、そういってもう一方の腕にしがみついた。
「唯まで何言ってるんだ」
「だって、こうしていると本当にあったかいんだもん」
 唯も、ぎゅっ、と抱き締める。
「寒い日は猫も寄り添うんだから、こうしているのは正しいんだよ」
「正しいとかそういう問題じゃないだろ。仕事が出来ない」
「一段落ついたんだから、少しぐらい貸してよ」
「俺の腕は、カイロじゃないんだがな」
 そういっても、邪険に扱わないのが、智弘のいいところ。
「ほらぁ、知奈ちゃんもこっちに来てぇ。暖かいですよぉ」
「ね、姉さん。と、と、……マネージャーが困っています!」
「ん~、でもぉ、唯ちゃんもしていますからぁ、していいんだと思いますよぉ」
「そういう問題じゃないでしょ!」
 天然系の美奈に対し、理性派の知奈という構造が垣間見える。
「折角の機会ですからぁ、知奈ちゃんもしてみるといいですよぉ。替わりますよぉ」
「そんなことしません」
 頑なな知奈の態度に、美奈は不思議な顔をする。

737: ◆yj5iT3hh0I
11/01/21 20:35:40 wb6PsBTb
「知奈ちゃんはぁ、智弘さんのことが嫌いなんですかぁ?」
「な、何を言い出すの、姉さん! そんな、嫌いとかそういう話じゃ……」
「私はぁ、好きですよぉ。智弘さんのことぉ」
 こういう科白をいつでもどこでも平然と言ってのけるのは、美奈の凄いところだろう。
「ボクもマネージャーのこと好きだよ」
 唯もしれっと追随したが、この流れなら好きの意味が『恋愛』ではなく
『好き・嫌い』という二元論による『好意』と捉えてもらえるからだ。
「わ、私だって」
「『私だってぇ』なんですかぁ?」
「だ、だから、同じってことよ」
「同じってぇ?」
「と、と、と……マネージャーのこと嫌いじゃないってこと」
 知奈は、顔を紅くしながら言い切った。
「あー、マネージャーとして所属タレントに好いて貰えるのは嬉しいが、
そろそろ仕事に戻りたいんで腕を放してくれるとありがたいんだが」
「あと5分」
 唯は、寝起きに粘る子どものような主張を行った。
「おはようござ―えっ!?」
 そこへ、日渡あやが出社してきた。
「み、皆さん、何をして……」
 何といっても、見れば判る通りだった。
「マネージャーで暖まっているんだよ」
 唯は、当然の行為の如く答える。
「ま、また、唯ちゃんはそうやって智弘さんにくっついて」
「寒いからね。ほら、ボク、猫だから寒がりなんだよ」
「唯ちゃんは猫好きであって、猫じゃありません! それに、美奈さんまで!」
「だってぇ、寒い日にはぁ、抱きついていいっていう噂がぁ」
「そ、そんな噂、ありま―」
 あやは、それ以上、言うのをやめた。
「と、とにかく、もう人が来ますから。ほら、知奈さんも言って下さい」
「そ、そうね」
 そのとき、FAXの電話が鳴り、どこからか送られてきているデータの受信を始めた。
「ほら、FAXが来たから」
 それをもって、美奈と唯は智弘から離れた。
 智弘は、FAXを取りに向かった。
 智弘が机に戻るまでに、他の社員の出社もあり、それ以上のことは何もなかった。
 美奈と知奈は給湯室へ、唯とあやは室内に区切られている来客用の小部屋へと移動した。

738: ◆yj5iT3hh0I
11/01/21 20:37:06 wb6PsBTb
 給湯室では、紅茶が入った紙コップを手にした美奈と知奈が雑談をしていた。
「どうしてぇ、知奈ちゃんはぁ、智弘さんに抱きつかなかったんですかぁ。折角のチャンスでしたのにぃ」
「そ、そんなこと、出来るわけないでしょ」
「そのために早出してきたんですよぉ? それなのにぃ……」
 美奈の予定では、智弘の腕にそれぞれ抱きつく、というものだった。
 誤算だったのは、すでに唯がいたこと。
 ならばと、知奈にするようにアイコンタクトを送ったが、彼女は拒否した。
 知奈が動かないなら、自分が動くことで、知奈にも抱きつかせてあげようとしたが、それでも彼女は拒否してしまった。
「知奈ちゃんはぁ、本当に智弘さんのことが好きなんですかぁ?」
「何よ、急に……」
「だってぇ、好きなら抱きつくはずですよぉ?」
「そんなの、普通じゃありません」
「唯ちゃんだってぇ、智弘くんに抱きついてましたよぉ」
「それは、彼女だからでしょ」
「ん~、知奈ちゃん。『智弘さんが好き』と言ってみて下さい」
「な、な、何でそんなことを……」
 知奈は、顔を紅くする。
「知奈ちゃん、さっきから智弘さんのこと『好き』とは言わないじゃないですかぁ」
「嫌いとも言ってないんだからいいでしょ」
「知奈ちゃんはぁ、恥ずかしがり屋さんですからぁ」
「恥ずかしがらない姉さんの方がおかしいのよ」
「えぇ~? だってぇ、好きな人に好きっていうのはぁ、自然なことですよぉ」
「妹の私からみても、姉さんのそういうところは凄いと思いますよ」
 素直な気持ちを口に出来る姉が羨ましいと思うことがある。
 それが、自分に足りないところであるのも判っているが、それでも自分には出来ない。
 双子ではあるが、姉は北条美奈であり、自分は北条知奈なのだ。
「それでも、姉さんの場合、少々度が過ぎるきらいがあると思いますけど」
「そんなぁ~」
「でも、それは姉さんらしいですけれど」
 知奈は、紅茶をすすった。
「それではぁ、知奈ちゃんはもう少し素直になれるようにしましょう~。智弘さんに『好き』といえるぐらいにはぁ」
 知奈は、姉の発言に紅茶を気道に入れてしまい、ゲホゲホとむせた。
「ね、姉さん!」
「腕に抱きつくのはぁ、それからですねぇ」
 そういって、美奈は、紙コップを置くと、知奈の空いている側の腕に抱きついた。
「それまではぁ、私がぁ、こうして知奈ちゃんを暖めてあげますぅ」
 知奈は、くすっ、と笑った。
「ありがとう、姉さん」
「どういたしましてぇ」
 二人は、そのまま給湯室を後にした。

739: ◆yj5iT3hh0I
11/01/21 20:38:50 wb6PsBTb
 一方、来客室へと異動した唯とあやは、向かい合うようにソファに腰を下ろした。
「唯ちゃんはずるいです!」
「なにが?」
「この間に続いて、今日も智弘さんに抱きついて……」
「だって、寒かったんだもん」
「寒いからといって、抱きつくなんて……」
「あやちゃんはしたくないの? 智弘くんてね、意外とあったかいんだよ」
 普通の出来事のように話す唯に、むしろあやの方が恥ずかしくなる。
「で、で、でも……」
「ねえ、どうしてあやちゃんは早出なの?」
「え?」
「さっき、スケジュール表を見たけれど、今日は汐留に10時入りだよね。随分早いよ」
「えっと、それは……そ、そう、練習。少し、発声をしていこうかなと……」
 急な話の切り替えに、あやは戸惑った。
「……ふーん……」
「な、なんですか!?」
 唯は、あからさまに怪しいという視線を向ける。
「……やっぱりあやちゃんは要注意かな……」
 唯は、前掲姿勢で立ち上がりながら、口許を見せないようにして小さく呟いた。
「え? 何?」
「ううん、何でもない」
 唯は、空になった紙コップを手にして、ドアノブに手を掛けた。
「ボク、負けないからね」
「? はい」
 あやは、唯が何に対して負けないといったのか理解出来ていなかった。
「それじゃ、レッスン頑張ってね」
 唯は、来客室にあやを残して出て行った。
『あやちゃんはボクから見てもかわいいし、歌も巧いし、人気も実績もある……。
でも、智弘くんに関しては負けない。あやちゃんにはもちろん、誰にも』
 唯は、紙コップを見て、軽く笑んだ。
 すでに外は陽の光が差し、本格的に街が動き始めた。
 そして、事務所も人が集まり、電話の音で喧噪が増していた。
「さて、今日も一日、頑張ろう!」
 唯は、大きく伸びをして気合いを入れた。
 すでに、抱きつきと智弘のコーヒーで、エネルギー充填120%なのだから。

740: ◆yj5iT3hh0I
11/01/21 20:40:24 wb6PsBTb
『あーあ、またダメだった……』
 あやは、火曜日に目撃した瑠璃と唯の行為が忘れられなかった。
 あの方法なら、自然に智弘に抱きつくことが出来る。
 水曜、木曜は事務所に来ることがなかったが、今日は都内にいて時間もある。
 ならばと寒い中やってきたが、まさか唯は元よりショコラの二人までも来ていたのは誤算だった。
 流れ上、つい行為をたしなめるような発言をしたが、うっかり自分の可能性まで潰すところだった。
 もし、先程、噂を否定する発言をしたならば、それは自分が同様の行為を正当化する理由を、みずから失うことになる。
「次こそ、次こそ、頑張ります!」
 あやは、がばっと立ち上がって両拳を作り、次回のチャンスへ向けて気合いを入れた。
 もっとも、あやの性格からして、本当に抱きつけるかどうかは甚だ疑問であり、
それを本人が思い知るのはまだ先のことであった。

     -了-

741: ◆yj5iT3hh0I
11/01/21 20:42:12 wb6PsBTb
だから書いている場合じゃないってのに。
でも後悔はしていない。やっぱりまた校正もしていない(ヲイ)

742:名無しさん@ピンキー
11/01/23 13:48:03 CMSWhbBg
あんたの漢気に惚れた。次も期待している。

743: ◆yj5iT3hh0I
11/01/24 01:55:46 q8WmEIB8
 この日の朝、小会議室では、藤沢智弘と日渡あやが打ち合わせをしていた。
「―だな。それで―」
 智弘が、来月前半の確定事項を伝えていく。
『隣に座れば良かったかなぁ……』
 今、あやと智弘は、向かい合ってソファに座っている。
 これだと、かねてより試みようとしていることが行えない。
 最近、らぶドルの間で流行っている『寒さにかこつけて、智弘の腕に抱きつく』というものである。
「―。―や。あや」
「? はい?」
「話、聞いてる?」
「あ、ごめんなさい」
「打ち合わせ中なんだから、ちゃんと聞いてくれよ」
「はい……」
 あやは、申し訳なさそうに応えた。
「11日の祝日からは―」
 智弘が説明を続けると、あやは手元の予定表に視線を落とした。
『どうしてみんなは出来るんだろう……』
 智弘の腕に抱きつく。
 藤沢瑠璃は、実妹だから気兼ねしない。
 有栖川唯は、スクール時代に積雪の中、落とし穴に落ちて智弘と共に体を寄せ合って暖を取ったという経験がある。
 北条美奈は、自分の気持ちを率直に口にする天真爛漫(天然?)さがある。
 自分が目撃した三人は、行動に移すことに物怖じしない人たちだ。
 また、彼女たち以外にも、今日までに何人かが彼の腕に抱きついたという話を耳にしている。
『恥ずかしくないのかな……』
 先程、この会議室に来るときに二人並んで歩いてきたが、いざやろうとすると恥ずかしくてとても出来なかった。
 ほんのちょっと、腕を組むだけである。
 それでも、自分にとってはかなりハードルが高いものであることを認識した。
「あや!」
「え?」
 あやは、何度目かの呼び掛けで気がついた。
「『え?』じゃないよ。さっきから話を聞いてないだろ」
「ご、ごめんなさい……」
 あやは、予定表を両手で持つと、目から下を隠し、上目遣いで申し訳なさそうに智弘を見た。
 智弘は、ふーっ、と息を吐いた。
「さっきから上の空じゃないか。何か悩みごとでもあるのか?」
「いえ、そういうわけじゃ……」
「風邪とかひいてないだろうな」
「それは大丈夫です。本当にごめんなさい」
 あやは、頭を下げた。

744: ◆yj5iT3hh0I
11/01/24 01:56:58 q8WmEIB8
「この週は、あやが一番ハードになるから、体調管理には気をつけてくれ」
「はい」
「10日の朝にもう一度確認をするから、書類には目を通しておいてくれ」
「はい」
「それじゃ、以上」
 智弘は、書類をまとめると立ち上がった。
 それに合わせるようにして、あやも立ち上がる。
 二人、廊下へ出ると、冷えた空気が淀んでいた。
 あやは、智弘の横について歩いていく。
『寒いから……いいよね?』
 一緒に並んで歩けるのは、小会議室から事務所へ移動するまでの短い間だけ。
 抱きつくなら今しかない。
 あやは、高鳴る鼓動を感じていた。
「ろ、廊下は寒いですね」
「そうだな」
 今の会話により、二人の間に『今は寒い』という共通認識が出来た。
『寒いっていってくれたんだから、あとは……』
 『寒いと抱きついていい』という理論を実践するためには、前提条件として寒くなければならない。
 抱きつくことを正当化するためには『寒い』という事実認識が免罪符になる。
 智弘も寒いと認めたのだから、あとは抱きつくだけ。
 抱きついていることを問われたら、噂話と共に『寒いから』と主張するだけでいい。
『は、早くしないと……』
 廊下の丁字路が目の前にきている。
 そこを曲がってしまえば、それほど距離がない。
 気分が昂揚して体が火照りだし、寒いどころか暑くなってきたあやだが、意を決した。
 一度立ち止まって深呼吸をして、先に角を曲がっていく智弘を追いかけようとしたときだった。

745: ◆yj5iT3hh0I
11/01/24 01:58:37 q8WmEIB8
「お兄ちゃーん!」
 右側へ曲がる智弘に対し、左側へ伸びている道から声がした。
 その声に、あやの足が止まる。
 次の瞬間。
「ぐはっ!」
 智弘の腰部に、激しい衝撃が加わった。
「お兄ちゃん、おはよー!」
 勢いよく智弘に抱きついてきたのは、妹の藤沢瑠璃だった。
「おまえなぁ、いきなり抱きついてきたら危ないだろ」
「ちゃんと『お兄ちゃん』って声掛けたよ」
「声かければいいってもんじゃ―ぐはっ!」
 智弘の腰に、再び同様の衝撃が走った。
「智弘ー! おはよう!」
 左腰側に抱きついた瑠璃に対抗するように、野々宮舞が右腰側に抱きついてきた。
「舞もかよ」
「いつも瑠璃ばっかりずるいだろ」
「別に抱きつくことを許しているわけじゃないんだが」
「それより聞いてくれよ。この間収録したバラエティなんだが―」
「にゃー!!」
 舞が主張を始めたとき、さらなる声が聞こえた。
 まるで猫のような鳴き声と共に、ミュージカルで鍛えた躍動的な跳躍で、
智弘の左側へストンと降り立ったのは、猫谷海羽。
 海羽は、そのまま智弘の左腕に抱きついた。
「おはようにゃー!」
「な、なんだよ、海羽まで」
「今日は寒いから抱きついてもいい日なんだにゃー」
「またそれかよ」
 智弘も、いささかうんざりしてきている。
「でも、本当に今日も寒いですよね、智弘くん」
 そういって、今度は右側から桐生琴葉が腕を組んできた。
「琴葉」
「左側に海羽さんがいるから、こちらも誰かいないとバランスが悪いと思いまして」
 もっともらしい理由ではあるが、それを抱きつく理由として採用するにはいささか無理がある。
「もう、みんなお兄ちゃんにくっつきすぎ! くっついていいのは、実の妹のるりだけなんだよ!」
 瑠璃は、毎度おなじみの持論を展開する。
「瑠璃はいつもひっついているだろ。マネージャーなんだから、たまには少しぐらいいいだろ」
「同じらぶドル三期生だにゃー!」
「と、いうことだそうですよ。智弘くん」
「それでもダメ!」
 瑠璃は、頑なに特権を主張した。

746: ◆yj5iT3hh0I
11/01/24 01:59:55 q8WmEIB8
「これじゃ、動けないんだが」
 智弘の背広が、くいくい、と後ろから引っ張られた。
 上体を捻って後ろを見ると、頬を朱に染めて申し訳なさそうに北条比奈が背広の裾を掴んでいた。
「おはようございます、お兄様」
「比奈もか」
「お兄様に逢えたことに、感謝を」
 そもそも、これから打ち合わせの予定なのだから、逢えて当然である。
 智弘は、そんな比奈の後ろ数メートルから歩いてくる榊瑞樹に気がついた。
「まさか瑞樹もなんかやる気じゃないだろうな」
 それまで淡々と歩いていた瑞樹の顔が一気に紅くなる。
「な……何、馬鹿なこといってるのよ!」
 よもや自分までやるのではという智弘の言動は、瑞樹を慌てさせた。
「ほら、みんないい加減にして。マネージャーが困っているでしょ!」
 瑞樹の一声で、みんなぱらぱらと智弘から離れたが、瑠璃は最後まで渋っていた。
「あやさん、おはようございます」
 瑞樹は、あやに挨拶をした。
 今まで智弘しか眼中になかった連中も、次々とあやに挨拶をした。
 あやも、それに呼応して挨拶を返した。
「みんな、小会議室へ行って。あとから俺もいく」
 智弘の指示に、三期生は返事をして、雑談をしながらぞろぞろと向かった。
 その後、智弘とあやは、なにをするでもなく事務所へと戻ってきた。
 智弘は、別の書類を手にすると、再び小会議室へと出て行ってしまった。


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