09/01/07 23:41:18 iqKj148C
>>448
俺はショコラの2人がいちゃいちゃしてるのが見たいぜ
451:名無しさん@ピンキー
09/01/08 04:11:19 shMfwRdU
俺はショコラの2人と誕生日が一緒なんだ。マジで。
452:名無しさん@ピンキー
09/01/12 23:31:47 68Ng18rk
何故、こんなことになってしまったのだろうか。
誰が言い出したのだろうか。
SFPは、年始休暇で6泊7日のハワイ旅行に来ていた。
当然、看板アイドルであるらぶドル18人も全員揃っている。
そのらぶドル達は、旅行初日の夜、日渡あや・結城瞳子の相部屋に集まっていた。
全員で一つの大きな輪を形作るようにして並んでいる。
「クジ引きだから、恨みっこなしだよ」
有栖川唯が、即興で作ったクジの入った袋を中央に置いた。
「誰から引くのかな?」
猫谷海羽は、きょろきょろと全員を見渡した。
「はーい! 瑠璃引きたーい!」
藤沢瑠璃は、元気よく手を挙げた。
それに対抗するように、すっ、と長澤玲の手が挙がった。
「やっぱ、こういうのは景気よく一番に引くのがええな」
関西人らしく、陽気なノリだ。
そこへ、さらに一人、手が挙がった。
「こういうのは先輩から引くべきだろ。だから、私からだな」
そう言うは、らぶドル18人の中で12歳と最年少ながら、芸歴は8年にもなる野々宮舞。
「らぶドルでゆうたらあたしの方が先輩になるんやから、あたしからやろ」
玲は、舞の意見を否定した。
「あのぉー、本当にするんですかぁ?」
話の腰を折るように、北条美奈が発言した。
「姉さん。今さらそんなこと言っても、これはもう決定事項ですから」
双子の妹・北条知奈が言えば
「そや。ほなら、美奈はんは辞退でもええんよ~」
少しのんびりした口調で、藤田真琴が乗った。
「べ、べつにぃ、私は参加するのが嫌とかぁ、そういうのじゃありませんわぁ」
美奈は、慌てて自分が除外される流れを制した。
「やはり、お姉様もライバルなのですね……」
そう小さく呟いたのは、美奈の妹・北条比奈。
比奈は、姉の焦る姿を見て、はっきりとライバルであると認識した。
「お兄様のことでは、たとえ相手がお姉様であっても、負けませんわ……」
比奈は、一人、静かに闘志を燃やしている。
「それで、誰から引くのかしら?」
片桐沙有紀は、いつもの口調で問う。
「二人のジャンケンで、勝った方から引いて、隣の人が順番に引いていけばいいんじゃないかな」
「クジの打順はどこからでも大差ないし、それでいいと思う」
大路しずくのジャンケン案に、ユニット・ピッコロの相方である、浅見ひびきも同意した。
「それじゃ、ぱぱっとジャンケンをして、早く引きましょ」
榊瑞樹は、これ以上時間が無駄にならないように、ジャンケンを決定させた。
「最初はグー、じゃんけん―」
室内に、掛け声が響くと、勝負は一発で決した。
勝者から時計回りに、袋の中に手を入れては、クジを一枚引いていく。
クジには番号が書かれており、同じ番号を引いた者同士で対戦の組み合せが作られた。
453:名無しさん@ピンキー
09/01/12 23:32:26 68Ng18rk
「それじゃ、これで決定ね」
唯は、組み合わせ表を壁に貼った。
そこで、一人、挙手があった。
「もう一度、ルールの説明をいいかなぁ?」
進藤あゆみは、確認を求めた。
仮にも戦いである以上、きっちりとルールを確認しておく必要がある。
「それじゃ、もう一度説明するよ」
唯は、ルールが記された紙を見ながら、再度読み上げた。
勝負方法は、対戦相手と同時に愛撫をしあい、先に相手をイカせた方が勝ち。
一日一勝負で4日間。
初日は9人が勝ち残ることになるが、トーナメントの組み合わせを作る関係で、一人はクジ引きで脱落とする。
勝ち残った8人で、クジ引きによりトーナメントを作成する。
優勝した者が、5日目の朝8時から翌日の朝8時までの24時間、彼女たちの憧れのマネージャーである藤沢智弘と二人で過ごす権利が与えられる。
もちろん、全員の目当ては、昼間よりも、夜に目的があった。
ハワイで過ごす二人だけの夜。
年頃の女の子たちなのだから、それなりの夢も期待も、そして、欲望もある。
「は、恥ずかしい……でも……頑張らないと……」
らぶドル一気弱な成瀬雪見は、すでに顔面はおろか全身を真っ赤に火照らせながらも勝ち抜く決意をしていた。
『智弘くんと二人っきりで、一晩過ごせるんだ……。や、やっぱり、女の子の方が積極的だと、ダメなのかな。智弘くん、エッチな女の子って、どう思うんだろう……』
何かと耳年増な桐生琴葉は、色々と妄想を巡らせた。
壁に貼られた表を日渡あやが見ている。
『智弘さん……あなたのお嫁さんになるためにも……必ず勝ち抜いて……そして……』
意を固めるあやの隣に、結城瞳子が並んだ。
「あや先輩」
その声は、いつもの如く透き通り凜としている。
「もしかして、勝ち抜こうなんて考えていませんよね」
「瞳子ちゃん!?」
「昨年の日本ソング大賞と最優秀歌手賞はあや先輩が獲得しました。でも、今回の勝負では、あや先輩は勝てません。最後まで勝つのは私だからです。賞を受賞した上に、智弘さんまでも、なんてのは神様も許さないはずです。残念ですか、諦めて下さい」
そういって、瞳子は、隣に立つあやに視線をくれた。
「と、瞳子ちゃん怖ひ……」
昔にも、あやに見せた瞳子の姿。
こと、智弘争奪戦の瞳子は、性格と容姿から不気味な威圧感を漂わせる。
さらに、昨年末の賞レースで僅差とはいえあやに負けたこともあり、あやに対する闘志は他に対するらぶドル以上のものがあった。
「それじゃ、それぞれの部屋で勝負を初めてね」
唯の言葉に、場の空気が変わった。
そこには、闘志と情念が渦巻いていた。
全てのらぶドルが相部屋のため、対戦相手同志で話し合い、それぞれの部屋へと散っていった。
何故、こんなことになってしまったのだろうか。
誰が言い出したのだろうか。
かくも、一人の男を巡るらぶドル同士の熱くも淫らな戦いの四日間が始まった。
-終-
454:名無しさん@ピンキー
09/01/12 23:35:35 68Ng18rk
>>447で、琴葉のエロ話考えていて、
>>448でショコラとの3P考えていて、
>>450でショコラの百合話に変更して、
なんて漠然と考えていて、
「全員で百合勝負でいいんじゃね」
ということで今回の作品。
ちなみに、これで終わりです。
全部書いたら死にますし、一位になった子以外の子が不憫なので。
言葉遣いはミスしていないと思うが、あったらスマソ。
正直、これで限界。
らぶドル全員だして動かすのは大変ですよw
455:名無しさん@ピンキー
09/01/12 23:46:31 68Ng18rk
すまぬ。
×「はーい! 瑠璃引きたーい!」
○「はーい! るり引きたーい!」
×「二人のジャンケンで、」
○「三人のジャンケンで、」
ジャンケンが、ひらがなとカタカナが混在してしまっています。
×「残念ですか、諦めて下さい」
○「残念ですが、諦めて下さい」
×あやに対する闘志は他に対するらぶドル以上のものがあった。
○あやに対する闘志は他のらぶドルに対する以上のものがあった。
瑠璃は、自分を「るり」といったような気が。
気をつけなければと思ったところが結構間違っていますorz
456:名無しさん@ピンキー
09/01/13 00:00:03 5rgActpS
うぎゃあああ。
ロクに推敲してないから読めば読むほど文章のぐちゃぐちゃ具合がorz
適当に直してくんなまし。
457:名無しさん@ピンキー
09/01/13 00:37:39 vVmwP0tg
こんな過疎スレに焦って投稿する必要もなかろうに。
落ち着けよ。
458:名無しさん@ピンキー
09/01/13 11:58:34 v4pSGk6m
>>449
シャッフルっていうと一瞬、空鍋をかき混ぜるほうかと思ってしまった
>>452-453
(・∀・)bグッジョブ!!
なんとも大変なことになりそうで……
結末どうなるかはともかく、トーナメントの過程を見てみたいぜ
ちなみに誤字とかは全然気にならなかった
459:名無しさん@ピンキー
09/01/14 18:08:38 WSyuXWXW
とある劇場の舞台では、ミュージカルの舞台稽古初日を迎えていた。
「『ねこたに』、ガスコンロの前に立っておたまを握る」
監督の指示が、ヒロイン役の猫谷海羽に飛ぶ。
「『ねこたに』じゃくて『ねこや』です! 『ねこやみう』!」
前にもミュージカルでお世話になった監督だが、この人、どうにも人の名前の覚えが悪い。
「判ったから『ねこたに』。早く!」
「もう、『ねこや』だっていってるのに」
海羽は、ぶつぶついいながらも、おたまを手にした。
「はい、それじゃいくよ! はい、スタート!」
監督の掛け声で、芝居が始まった。
背の低いツインテール少女が、舞台セットのガラス戸から外を見ている。
「凜(りん)……遅い……」
少女は、凜という人の帰りの遅さを気にしていた。
海羽は、おたまで鍋の中をかき混ぜている。
「麻紗(あさ)先輩と一緒なんでしょ。凜クン、楽しそうに出掛けて行きましたから……」
海羽は、どこか寂しそうなトーンで科白を話す。
「香枝(かえで)……」
少女は、海羽の役名を口にした。
「初めてですよ。あんな幸せそうな凜クン……初めて……」
話し始めに言葉が詰まる。
そこには、香枝の悲しみの心が滲む。
「いいの?」
少女の言葉に、おたまを掻き回す手が止まる。
「凜が幸せなら……いいの?」
少女は、香枝から視線を反らす。
「凜が幸せなら…………香枝は、いいの?」
一呼吸ほどの間、完全なる沈黙が訪れた。
その後、香枝は再びおたまで鍋を掻き回し始めた。
「もちろんですよ」
香枝の言葉に、少女は香枝へと視線を戻した。
香枝は、少女へ顔を向けている。
「凜クンのお世話をするのが、私の生き甲斐ですから。凜クンが幸せならそれでいいんです」
そういう香枝の目は、焦点が定まっておらず、まるで死んだ魚の目をしていた。
「…………香枝?」
少女は、香枝の様子に、強い不安を抱いた。繋がりで書きました。後悔はしていない。
460:名無しさん@ピンキー
09/01/14 18:09:43 WSyuXWXW
「はい! そこまで!」
ここで、監督の声が入った。
「ねこたに、いいよー。声の調子も、その表情も。ここは、このミュージカルの重要なシーンだからな!」
「『ねこや』です。『ねこやみう』だにゃー!!」
全くもって、人の名を覚える気のない監督だ。
「休憩入りまーす」
助監督の掛け声で、休憩になった。
海羽達と入れ替わるように、舞台上では美術スタッフ達が、道具類の位置の再確認をしている。
「猫谷さん」
共演している少女が、海羽のそばへやってきた。
「先程のこちらを見るシーン、とっても雰囲気が出ていて怖かったです」
「そう?」
「はい。なんか、こう『心が病んでいる』って感じで、とっても良かったです」
「共演している子にそういってもらえると、自信がつくにゃ」
海羽は、舞台上のときとは一転して笑顔になった。
「でも……」
海羽は、台本の表紙を見た。
「こんな話をミュージカルにして、お客さん来るのかなぁ」
表紙には『ニュージャパニーズホラー 【空鍋 -ヤンデレ少女の憂鬱-】』と書かれていた。
「それでは、次のシーン行きまーす」
「はーい」
助監督の声で、海羽は舞台上へと戻っていった。
猫谷海羽。
トップミュージカルスターへの道のりは、長く険しい。
-終-
>>458
私も、あっちのアニメかと思いました。
この作品は、そんな>>458の書き込みに触発されて「キャラデザ」「声」
461:名無しさん@ピンキー
09/01/14 18:12:59 WSyuXWXW
おおう!
長いといわれて分割したら他の文が紛れこんでしまいました。
>>459
× 少女は、香枝の様子に、強い不安を抱いた。。繋がりで書きました。後悔はしていない。
○ 少女は、香枝の様子に、強い不安を抱いた。
>>460
この作品は、そんな>>458の書き込みに触発されて「キャラデザ」「声」 繋がりで書きました。後悔はしていない。
462:名無しさん@ピンキー
09/01/14 23:13:53 TCew9l1r
たしか原作の海羽の話で全く同じことやってたな
ライターもあごセンセで同じだしな
463:名無しさん@ピンキー
09/01/25 05:38:54 hTZe7qnw
シャッホーをミュージカル化となw
そういや海羽は一貫して声変わってないんだよな
464:名無しさん@ピンキー
09/02/01 22:21:45 3bPKu1ew
二月は、らぶドル達にとって一大イベントが控えていた。
―バレンタインデー―
今年は土曜日だが、これは非常に都合が悪い。
何故なら、ただでさえアイドルとバレンタインデーには、イベントがつきまとうものなのに、
土曜日ともなればなおのこと。
それでも都内ならばまだ良いが、人によっては地方に出掛けることになる。
帰京が遅くなる可能性もあれば、帰京が翌日にずれこむこともある。
それどころか、翌日が日曜日であるため、翌日も仕事は必須。
下手に翌日も地方ならば、帰京することなくそのまま現地へ移動の可能性も高い。
ところが、この事態に喜ぶ者もいる。在京組だ。
都内で仕事をする者にとっては、地方へ出掛けている人がいない分、ライバルが減る。
まさに、今回のカレンダーは在京組にはうってつけである。
しかし、地方組も黙ってはいない。
年に一度のアプローチを仕掛けられるこの日をみすみす逃すわけにはいかない。
ましてや、今回は、絶対に逃すわけにはいかない。
今回、らぶドル全員が燃えているのには訳がある。
それは、SFPのチーフマネージャーである藤沢美樹の一言だった。
―智弘が一番気に入ったバレンタインチョコを渡した人には、次のオフに一日智弘貸し出す―
つまり、事務所公認でデートが出来るのだ。
デートは、二人の距離を縮めるにはうってつけのイベント。
選ばれれば他人より頭一つ出るし、他人が選ばれれば出遅れる。
自分が絶対に選ばれなければならず、他人が絶対に選ばれてはならない。
暦の上ではまだ冬だが、らぶドル達には一足早い春の嵐が吹き始めていた。
―終―
465:名無しさん@ピンキー
09/02/02 01:23:50 kgQFaumt
終wwwwwwwwwww
466:名無しさん@ピンキー
09/02/02 09:43:33 HZ37VCZ6
>>464
おっ、季節ネタktkr
智弘は、あのぶんだと、自分からは一人を選べないでしょうな、性格的にw
なのでハーレム展開しか思い浮かばない……
で、貸し出しは、もちろん一晩中ですよね?(ここ重要)
467:名無しさん@ピンキー
09/02/03 23:07:43 8ZXIRQjJ
「むーっ」
猫谷海羽は、カレンダーを睨んでいた。
「どうしてなんだにゃーっ!!」
まるで、憤懣やるかたなしといった状態だ。
その不満の元は、机の上に置かれている一冊の台本とスケジュール表だった。
台本の表紙には『ニュージャパニーズホラー 【空鍋 -ヤンデレ少女の憂鬱-】』と書いてある。
過日、無事に初日を迎え、現在公演中のミュージカルだ。
海羽は、その舞台で主役を張っている。
「もう、13、14は、お休みの予定だったのにぃー」
台本横のスケジュール表には、公演期間は二週間。
今月12日で終了となっている。
今回の劇場は、12日までは海羽のミュージカルで、翌日からは違う舞台が公演される。
海羽は、ミュージカルあけということで、その後二日間は土日ということもあり休暇になっていた。
スケジュール表にも休みの記載がある。
しかし、今、その文字は赤ペンで消されており「大阪」の文字が記されていた。
「急に地方で公演なんてないよー」
このミュージカル、評判を受けて、急遽、大阪で二日間特別公演されることになった。
常識では考えられない出来事だが、今回の公演ではチケットも即完売で、ダフ屋が出るほどの人気を受けてのものだった。
「ミュージカルで人気が出たのは嬉しいけど、14日は絶対に東京にいないといけないのにぃー」
2月14日。
いわずもがな、バレンタインデーである。
面倒な義理を果たす日という人もいれば、恋の一大イベントとして迎える人もいる。
海羽は、後者だった。
特に、今年は、智弘に送ったチョコレートの中から一番に選ばれれば、その智弘と丸一日デートが出来る権利が与えられる。
こんなチャンスは滅多にない。
しかし、13、14日と大阪で仕事となれば、どうやってチョコを渡すのか。
14日の夜は大阪で打ち上げがあるから、帰京するのは不可能。
宅配便で日付指定で配送するしか手がないが、ネックになるのは提案者であるチーフマネージャーが出した条件。
『14日に手渡しをする』『メッセージカードを添えること』『手作りであること』
これを満たしたチョコだけが、審査の対象となる。
「うー。もう酷いにゃー!!」
海羽は、ベッドに突っ込むようにして倒れ込んだ。
「14日は病気ってことにして戻ってきちゃおうかなぁ……」
ミュージカルは、再演のチャンスがある。
でも、今回のイベントに次はない。
「もーう。どうすればいいのにゃー!!」
海羽は、枕に顔を埋めて叫んだ。
今日は2月3日。
海羽のやきもきする日はまだまだ続く。
-終-
468:名無しさん@ピンキー
09/02/03 23:10:29 8ZXIRQjJ
>>464
寝る前に1日であることで、急遽書いたものだから相変わらす文章ずたずた。
今回は少しは文章としてはマシでしょう。
しかし、海羽ばっかり書いてるな。
18人もいるんだから、もう海羽はいいのではという気もする。
469:名無しさん@ピンキー
09/02/04 05:38:58 gB3q+7jU
おいおい。カレンダーが狂っているorz
文章の確認はしたものの、日付・曜日の確認を怠ったツケですね。
やはり片手間に書くものではないですね。
本来の舞台である同人誌に戻ります。
470:名無しさん@ピンキー
09/02/04 06:37:56 jXU0ytNg
猫は健康的なうえに発育がいいときているから、妄想に入りやすいのだ
471:名無しさん@ピンキー
09/02/04 08:31:54 MN5jzwag
苦しめたいよね
472:名無しさん@ピンキー
09/02/08 07:55:47 pKV1XJTs
バレンタインデーよりも前に、いかに寝取るか、という話になりそうな
気がするんだがどうか
473:名無しさん@ピンキー
09/02/18 16:13:30 W7qd/W3Y
hosu
474:名無しさん@ピンキー
09/03/03 20:35:02 +t5Q5wcG
あや誕生日保守
475:名無しさん@ピンキー
09/03/10 17:16:16 NAp4ym8E
歌届きまくりですよ。
476:名無しさん@ピンキー
09/03/25 07:31:34 /HsiFBJL
ちゅっちゅしたいよぉぉ
477:名無しさん@ピンキー
09/04/07 20:37:23 TZtEbr/L
俺の嫁の誕生日記念age
478:名無しさん@ピンキー
09/04/07 21:56:29 HnaNZxPK
やはり今日は琴×舞で。
479:名無しさん@ピンキー
09/04/07 23:11:04 J8PHHCON
いやいや舞×琴も捨てがたい
480:名無しさん@ピンキー
09/04/10 02:52:15 elCbDUKz
pinkのキャラサロンのらぶドルスレ落ちちゃってるね。
あそこはROMしかしてなかったけど……
481:名無しさん@ピンキー
09/04/23 00:24:06 9Eo1FAra
キャラサロンは落ちてしまったがここは死守せねば
保守ついでに質問
このらぶドルのこんなエロシチュ見たいとかってある?
俺はあやとマネージャーの和姦が見たい
482:名無しさん@ピンキー
09/04/23 07:15:33 yZzz5yzK
>>481
鬼畜陵辱系やアブノーマルなのは駄目だから、俺もラブラブ和姦かな
あゆみにミニスカ和服で膝枕で耳掻き→そのままエッチ見たいな流れのヤツとか見てみたいかも
483:名無しさん@ピンキー
09/04/24 08:46:46 DLs5HZ6K
フトモモが出るミニスカ着物ってのは秀逸だよな、デザインが
484:名無しさん@ピンキー
09/05/06 06:36:36 JfTjVqWl
>>481
どっちかっていうと女性キャラどうしで、ってのが見たいかも。
そういえば以前あったネコカフェの二人はその後どうなったのか未だに気になるw
485:名無しさん@ピンキー
09/05/16 21:48:34 T2tD5Jza
ほしゅ
486:名無しさん@ピンキー
09/05/22 00:32:40 Sa1e/BBs
ほしゅ…ついでに今後の予定を聞いてみる
487:名無しさん@ピンキー
09/05/22 04:59:45 65JAv+BL
みんなどうなんでしょうねえ
>>469さんの本のほうは、はかどってるだろうか?
488:名無しさん@ピンキー
09/05/23 01:08:21 LDtZSFRF
サンクリ復活するらしいからまたそこでらぶドル本出したいと思ってる
一般向けだが
489:名無しさん@ピンキー
09/05/23 14:21:25 Eppxgv92
おーそれはめでたい
サンクリも中の人はいろいろ大変だったみたいだよねえ
490:名無しさん@ピンキー
09/05/23 18:00:15 LDtZSFRF
あ、ちなみに>>488だけどと>>469とは別人ね。
491:名無しさん@ピンキー
09/05/23 19:30:00 dbznCQXY
うぃうぃ
492:名無しさん@ピンキー
09/05/26 00:43:41 ao1tJGmQ
2年以上落ちないとはな
493:名無しさん@ピンキー
09/05/27 00:53:39 ONwOW53b
沙有紀に踏まれたい
494:名無しさん@ピンキー
09/06/04 01:41:19 aPov+6xU
雪見の肌をプニプニしたいのぅ
495:名無しさん@ピンキー
09/06/08 02:49:44 qTb86FbU
コミケ受かった。受かったけど、らぶドルでの参加じゃない……個人サークルじゃないからなぁ。
らぶドルで参加する人っている?
496:名無しさん@ピンキー
09/06/09 03:40:12 pLUzTdvd
当選おめ! もうそんな時期かぁー
497:名無しさん@ピンキー
09/06/09 08:41:50 xdqqCmUq
コミケは応募しても最初以外ぜんぜん受からなかったな
今回は応募すらしてないが
498:名無しさん@ピンキー
09/06/10 00:26:19 HjvNSc+s
>>495
サークルの本とは別に、委託扱いで机のはじっこに
個人で作ったらぶドル本もさりげなく置いてみるとかw
>>497
夏冬コミケはなかなか当たりづらいからねえ……
499:名無しさん@ピンキー
09/06/14 05:02:31 yvQRyDcI
469
「コミケ」は「コミックマーケット」のことで、他のイベントとはコミケとはいわない。
落ちた。
今後、らぶドル本を出すかは白紙。
西又絵自体は、色々なところで(自治体関係とかジョージ・ルーカスとか)
露出はあるけれど、流石にらぶドルは……。
もっとも、申込みをしていた作品は、らぶドルではないのですが。
前の猫喫茶の話、第五の選択の草案は頭の中にないので、
どなたか妄想の出来る人、続きを書いてしまってかまいません。
500:名無しさん@ピンキー
09/06/15 19:48:52 +8iGATyl
501:名無しさん@ピンキー
09/06/26 11:26:44 E1LScRGj
まあぼちぼちやっていきましょうぜ。
502:名無しさん@ピンキー
09/07/02 19:28:01 OZu4ctwe
長持ち長持ち☆
503:名無しさん@ピンキー
09/07/13 05:22:19 oWJ/jLqt
昨日があゆみ誕生日だった件
営業で遠征した宿泊先でイチャイチャとかどうか
504:名無しさん@ピンキー
09/07/28 22:05:57 v+NPRGPu
とある地方のホテルでの一室。
藤沢智弘は、バスタオル姿でベッドに腰を掛けていた。
「いいのだろうか……」
とまどっているのは、今夜、これから起こる出来事についてだった。
いや、正確には『起こす出来事』といった方がいいのかも知れない。
今日は、仕事で地方に来ていた。
その仕事も無事にこなし、今夜はここで一泊することになっている。
それ自体は何の問題もない。
問題なのは、ベッドがダブルということだ。
ツインの部屋を予約していたはずが、ホテル側の手違いでダブルの部屋になっていた。
すでに満室で部屋を変えることも叶わず、有無をいわさずそのまま宿泊することを余儀なくされた。
これが、男同士なら別段問題もない。
しかし、同宿相手が女の子、それも、人気アイドルのらぶドルのメンバーなのだから問題だ。
それでも『マネージャー』と『アイドル』という一線を、しっかりとわきまえていれば何ということもない。
だが、それは無理というもの。
何故なら、二人は恋人同士だからだ。
恋人なら問題ないと思うが、立場上、その関係は秘密だった。
秘密であるが故に、恋人が普通にすることの全てが出来ない。
せいぜい、控え室で二人っきりのときに、軽くキスを交わすぐらいだ。
もちろん、その先の関係など持てるはずもない。
智弘は、立場上この現状に納得していたが、彼女は不満が募っていた。
そして、その不満を後押しするように、ひとつのベッドで共に夜を明かすというシチュエーションがセットされてしまった。
それでも、智弘はそんな素振りを見せることなく、彼女が部屋にいない間に、早々に風呂に入って心を落ち着かせた。
だが、それは無駄な抵抗といえた。
風呂から出てきた智弘を、彼女は待っていた。
「……やっと愛し合えるんだよね……」
彼女は、智弘の腕を掴み、頬を染めながら求めるように眼差しを向けた。
智弘も、この状況で何を求められているか判らないほど鈍感ではない。
彼女は、智弘の腕を放すと、入れ替わるようにしてバスルームへと消えた。
しばらくして、バスルームからシャワーの音が聞こえた。
「本当に、このまま関係をもってしまっていいのか……?」
アイドルの卵だったときから彼女を見てきた。
それが今や、らぶドルの一員として、一人のアイドルとして、立派に成長した。
まさに、これからである。
これから、もっともっと、アイドルとして上を目指していける。
「その大事な時期に、恋愛沙汰に現を抜かすのは……」
そこには、一人の男としてより、マネージャーとしての想いがある。
「それに、関係をもってしまったら、俺は、もうマネージャーとして接することが出来なくなるかも知れない」
『みんなのアイドル』を支えるべき立場なのに『一人の男』としての独占欲が出てくるだろう。
それは、彼女が『みんなのもの』であることと反することになり、マネージャー失格である。
智弘が悩んでいると、バスルームの扉が開いた。
ゆっくりと、姿を現した彼女は、バスタオル一枚だけを体に巻いていた。
そこにいるのは、アイドルでもなければ、長年見続けてきた娘でもない。
愛する男と結ばれようと、バスタオルに包まれた身を火照らせている、一人の女だった。
彼女は、智弘の隣に腰を降ろした。
彼女は、じっと、智弘と視線を合わせる。
お互いの瞳に、相手の顔が映り込む。
彼女は、ぷっくらと赤みを帯びた柔らかな唇を微かに開いた。
「……ともひ……んっ……んんっ……」
彼女が、愛する人の名を呼ぶと、それを遮るように智弘が唇を重ねてその言葉を封じた。
しっかりと唇を合わせたその内部では、激しく舌を絡め合う。
智弘は、決意した。
今夜、彼女と愛し合うことを。
彼女が期待に胸をときめかせて、体を熱くしているように、智弘の股間も熱く硬くなっていた。
-終-
505:名無しさん@ピンキー
09/07/28 22:08:57 v+NPRGPu
普段、こういう書き方はしないのですが、
今回はあえて「誰」ということを特定しませんでした。
逆をいえば、誰でも通用する無難な書き方しかしていません。
お好きなあの娘を想像して楽しんで頂ければ幸いです。
506:名無しさん@ピンキー
09/07/29 07:39:47 1/UnfM8q
比奈ではないな
507:名無しさん@ピンキー
09/07/29 16:51:55 sl1ALwsN
乙やよ~
508:名無しさん@ピンキー
09/07/30 08:51:46 J7lIS/ph
>>504
おお、503のネタを拾ってくれるとは思わなかった。乙!
いいところで寸止めなのがせつないw
とりあえず雰囲気的にも、あゆみだろうという方向で想像。
だとすると上野駅から東北方面に行ったと思われ。
509:名無しさん@ピンキー
09/07/31 21:43:09 pHzK2Plt
本気で18人に対応させるとすると
・オフの日にするべき」
仕事先での宿泊だと、ユニットであるショコラ、ピッコロは除外されてしまう。
・話をさせてはいけない」
女性が科白を話すと、口調に特徴のある子はどうしても除外されてしまう。
などなど、書き方としては問題ありで。
智弘の一人語りで進めてもいいが、それもなんだか味気ないし、
触発された元ネタへの敬意を表してこのような形になっています。
寸止めなのも、それ以上書いてしまうと、描写上、どうしてもキャラの確定が必要になるからです。
結構、ネタは拾います。
猫喫茶話は>>420-423が元ですし(だから酷いことをする話になっている)。
リクっぽい書き込みを嫌うスレもあるけれど、
私は自分で考えた話は、同人誌やHPにもっていってしまう、
逆を言えば、触発されたネタは使わないので(物書きとしてのマナー)
投下用になるわけです。
>>503がなければ投下はなかったです。
なので、他人の希望ネタを読むのが楽しい。
世の中、こんなヤツもいたりするw
510:名無しさん@ピンキー
09/07/31 21:50:57 pHzK2Plt
>>503が元ネタなのにキャラを確定していないのは、とっくに誕生日が過ぎてしまったので、
好きな子で妄想出来るようにということを目的とした実験作にしたからです。
511:名無しさん@ピンキー
09/08/01 00:49:01 KV05VtHn
そうですか
512:名無しさん@ピンキー
09/08/15 03:00:54 oeoA69vI
なるほど
513:名無しさん@ピンキー
09/08/16 23:48:32 lZgeZR2H
>>509
了解了解
時々、こんなシチュいいなーとか妄想したりするけど、
使えそうな物は使っちゃってくださいな。
514:名無しさん@ピンキー
09/08/25 22:11:57 vdIJhzeY
>>281
これを見ると、
中学生
舞、ひびき、しずく、
高校生
比奈、瑠璃、瑞希、琴葉
美奈と知奈も確定でいいのかな。
海羽は高校卒業なのかな。
515:名無しさん@ピンキー
09/08/31 16:22:09 foqGDr0h
いいと思う
516:名無しさん@ピンキー
09/09/10 01:01:49 dOs8QorC
>>514-515
年齢的にはそうなんだろうね。
アニメだと学校(スゥィートフィッシュスクール)自体出てこないから
そのへん曖昧だったりもするが。
517:名無しさん@ピンキー
09/09/17 05:42:21 Nbb5Yv8W
比奈をムリヤリ・・
518:名無しさん@ピンキー
09/09/22 05:14:17 5NJtL4Pz
むりやり
519:名無しさん@ピンキー
09/10/06 17:36:26 Nb3AhUBG
俺は琴葉にムリヤリ…
520:名無しさん@ピンキー
09/10/24 00:09:36 z+FXLsUw
琴葉さんはなにげに受け攻め両方いけるからな。
521:名無しさん@ピンキー
09/11/11 22:37:08 +LKrHH0Z
小説読むと、琴葉がやたらえっちな娘な感じがするのは気のせいか。
舞がファンとの間にある距離の原因は、こちらの予想外のものだった。
もし、未遂で済まなかったら、というエロリ話になるだろと思った。
522: ◆WE8oSWj7IU
09/11/12 18:09:54 C+Pw8IGt
てst
523:名無しさん@ピンキー
09/11/13 00:47:57 xf2WiiAg
こんなところでテストしないの
524:名無しさん@ピンキー
09/11/14 05:26:28 YE78SJB7
>>521
~solo etude~ の琴葉は、つねに頭の中がレズ妄想一杯なんだよな。
あのままほっといたら、何しだすかわからんw
そのいっぽう、舞は陵辱ルート一歩手前みたいな状態という…
525:名無しさん@ピンキー
09/11/14 15:50:28 nRmrAnd1
最下位なのでage
526:名無しさん@ピンキー
09/11/27 20:18:14 Fth9uOFX
半月書き込みが無い…
527:名無しさん@ピンキー
09/11/27 23:00:47 ECfLOx2L
小説読むと海羽も在学中なんだよな。
まあ、元々ただの学校というだけではなく、
教育機関としての機能もある(単位認定が出来る)というだけであって、
専門学校的な側面があるのだろう。
そうでなければ年上人たちが一緒に入れるはずがない(苦笑)
もっとも、そこまでの詳細な設定はないだろうし、詰めていくと破綻するw
528:名無しさん@ピンキー
09/11/30 00:16:01 hHSB1rgj
まあ実際あるとしたら、そんな感じのタレント養成学校なんだろうな。
たしか全員で運動会とかやってたし
529:名無しさん@ピンキー
09/12/10 02:30:52 55GBwGl/
>>431の続きを考えていたんだが、どこかに連れ去られたからには
人知れず調教されるというのがよいのではないかなあと思ってみたり
530:名無しさん@ピンキー
09/12/10 06:00:12 KQsYnxnT
>>529
多数決により選択肢が否決されてしまったので書かずじまいです。
531:名無しさん@ピンキー
09/12/14 01:03:33 1YrS0gjK
住人へのリサーチは不要さ
自由にかけば良いのよ
532:名無しさん@ピンキー
10/01/01 17:23:28 MBcE7NcT
あけ
おめこ
とよろ
533:名無しさん@ピンキー
10/01/01 22:36:37 6nrbG4lv
少し感心した自分がムカつく
534:名無しさん@ピンキー
10/01/02 00:01:54 aC50WN+s
らぶドル18人は、神社に訪れていた。
近年、「萌え神社」「萌え寺」なるものが流行っており、
新春のイベント用会場として協力してもらえる神社を募集。
厳選なる審査の結果から、今回の神社が会場に選ばれた。
決め手となったのは「縁結びの神社」であり「地方」であり「有名ではない」ことだった。
もちろん、地元のバックアップ体制も調査しての決定だった。
本殿で行われるミニコンサートは、祈祷依頼をされた人で希望される人に整理券を配布。
破魔矢など500円分購入につき一人、好きならぶドルと握手出来る整理券をもらえたりと、
イベントも盛りだくさんとなっている。
前日から現地に入りして事前説明をしっかりと聞き、完全な準備態勢でイベントは始まった。
普段は新年といえどそれほど混むこともない神社だが、らぶドルが来るとなっては一大事。
警備員増員では足りず、警察まで交通整理に出動する騒ぎに。
そんな中、彼女たちのマネージャーである藤沢智弘は暇だった。
今回のイベントにあたり、神社を中心として町内会で運営会が組織されているので、
らぶドルに関するトラブルが起こらない限り、彼の出番はなかった。
混雑している人並みを眺めつつ境内をぶらついていると、絵馬をつり下げる一角があった。
「そういえば、最近はアニメのイラストを描く『痛絵馬』というのが流行っているとか」
智弘は、そんなオタク事情を思い出し、絵馬を見に足を向けた。
そこには、すでに色々な絵馬が飾られている。
至って普通のものから、お気に入りのキャラのイラストを描いて「○○は俺の嫁!」といったものまで、
実に多岐に渡っている。
飾る場所には限りがあり、重なって取り付けられるのも普通で、その下にはどんな絵馬があるのかといくつかめくってみた。
その途中、智弘の手が一枚の絵馬で止まった。
人目につかないように、敢えて他の絵馬の下に取り付けたような絵馬だった。
そこには『今年こそ、藤沢智弘さんと結ばれますように』とだけ書いてあった。
智弘は、絵馬の両面を調べたがそれしか書いていない。
文字をよく見てみたが、筆跡からも思い当たるところがない。
というより、文字は不自然に乱れていて、わざと筆跡を変えてばれないようにしているようだ。
ならば「藤沢智弘さん」という書き方から、書いた人を推測するのは無理だろう。
それに、変えることで人物が特定されなくすれば、他のらぶドルに見つかってもその人物が責められることはない。
もっとも、誰だか判らないことで不穏な空気が流れるかも知れないが。
少なくとも、書いた本人は、今日きているらぶドル18人の中の誰かなのは間違いない。
犯人(?)不明の絵馬は、彼に必要以上に彼女たちを意識させることになるのだった。
終わり
535:名無しさん@ピンキー
10/01/03 22:32:02 bR4h7wPV
>>532
改行位置の妙だなw
おめことよろ
>>534
全員と朝までお楽しみ、まで脳内補完した
536:名無しさん@ピンキー
10/01/04 19:14:44 7pMs8Nk/
本日鷲宮神社へ参拝に行き、痛絵馬と痛車と痛単車を見てきた。
>>535
御随意にお楽しみ下さい。
537:名無しさん@ピンキー
10/01/26 06:28:04 23TyHPQb
ほ
538:名無しさん@ピンキー
10/02/14 04:01:09 Fl+Mn+wZ
2/9はゆきみんの誕生日だったではないか!?
539:決戦は日曜日
10/02/14 07:52:44 KsbN+vpT
突発で書き始めたバレンタインねた。
しかも、極力現実時間に即するようにしていて長いため、最後まで書ききれるか判らない。
さらに、投下直前になって「この物語にはエロがない」ことに気がついたorz
とりあえず投下する。
ドタバタラブコメディ。エロなしなので、合わない人はNG設定、スルーよろ。
540:決戦は日曜日
10/02/14 07:53:23 KsbN+vpT
今日は、2月14日。
と、くれば、女の子にとっては一大イベントの「バレンタインデー」だ。
らぶドルたちも年頃の女の子。
この日に勝負をかけている。
狙うは彼女たちを手がけてきたマネージャー・藤沢智弘。
しかし、らぶドルは18人、よってライバルは17人。
いかに自分の気持ちを伝えて、他の子と差をつけるか。
「アイドルとマネージャー」という関係ではなく「女の子と男の人」という「プライベー
トでの距離」を縮めるため、皆虎視眈々と狙っていた。
さらに、今日は日曜日。
仕事の子がいる一方で、オフの子もいる。
週末ゆえ、泊まりで遠方に出掛けている子もいる。
スタートからハンデがついているバレンタインデーの火ぶたは切って落とされた。
AM6:00
目覚ましが鳴りだし、午前6時に達したことを告げる。
温い蒲団の中から、にゅーっ、と細い腕が伸びると、目覚ましを静かにさせた。
「ん……」
腕は再び蒲団の中へと帰り、盛り上がった蒲団の中でもぞもぞと動きを見せた。
しばらくして、蒲団の中から頭を出したのは、日渡あや。
「寒い……」
枕元に置かれたリモコンを手にすると、エアコンのスイッチを入れた。
ピッ、と音を鳴らすと、エアコンは暖かい風を送り始めた。
「支度しなきゃ」
あやは、午前中からテレビでの収録が入っている。
しかし、支度の時間を含めても、この時間での起床はかなり早かった。
とりあえず、しばらく部屋が暖まるまで蒲団にくるまりながら、頭の中で時間配分を計
算した。
暖気が部屋に広がり始めたことを実感すると、蒲団から抜け出して身支度を始めた。
まだ覚醒しきっていない頭と体を起こすために、熱いシャワーを浴びる。
若さ溢れる肌は、当たった湯を珠にして弾いていく。
「ふーっ」
あやは、大きく息を吐いた。
寒さで浅くなっていた呼吸を、深く切り替えた。
歌手であるあやにとって、しっかりと肺を動かすことは重要であり、大切な朝の儀式だった。
体も温まり、意識もはっきりすると、シャワーを終えてバスルームを出た。
可愛らしい下着を着け、服に袖を通すとドレッサーの前に座り、寝癖がついてしまった
髪を丁寧に櫛で梳いていく。
これだけの髪の長さと量があると、それを手入れするだけでもかなりの時間が掛かって
しまう。
だからといって、雑に手入れをしようものなら、すぐに傷んでしまい、切れ毛枝毛の元
になるし髪自体が抜けてしまう。
丁寧に、髪を梳き上げると、ピンクのリボンで髪型を決めた。
「これでいいかな」
鏡で後頭部の状態もおかしくないことを確認すると、時刻を確認した。
時計は、7時になろうとしていた。
その後、テーブルの上に視線をずらすと、そこには、綺麗にラッピングされてリボンが
かけられた長方形の箱があった。
もちろん、この中身はチョコレートだった。
なんとか仕事の合間を縫って作ったのは、トリュフ型のチョコ16個だった。
ただ、トリュフというのは丸い形をしているが、あやが作ったものはいささかいびつな
形をしていた。
「喜んでもらえるといいな」
あやは、日頃の感謝を込めてこのチョコを作った。
しかし、このチョコに込められたのは感謝だけではない。
「OKもらえるかな……」
包装を開けると、そこには手紙が入っている。
手紙には、感謝の言葉と共に、来月3日の夜に、食事がしたいことが書かれている。
3月3日といえば、あやの誕生日。
541:決戦は日曜日
10/02/14 07:53:44 KsbN+vpT
この日はバースディーライブが入っているが、それは都内であり、それも8時すぎには
終わる。
ライブは、ファンクラブ限定で会場はライブハウスという体裁のため、これといったス
タッフ打ち上げもなく、9時前には会場を後にする。
しかも、このライブには、智弘がスタッフとして就くので、ライブ後に二人で食事をす
ることは充分に可能だ。
それに、誕生日なのだから、智弘も断ることはしないだろう。
「最近、仕事でもプライベートでも二人っきりなんてないから、なんとかOKしてもらい
たいな……」
あやは、都内のデートスポットのレストラン特集が掲載されている雑誌を手にすると、
付箋がつけられているページを開いた。
「智弘さんとこんな素敵なところで食事が出来たら……」
あやは、写真に写っているテーブルで、夜景を見ながら二人で食事をしている姿を想像
した。
「あ、いけない!」
つい、うっかり妄想に浸ってしまうところだった。
時計をみると、7時を回っていた。
あやは、雑誌を閉じると、チョコを手にして智弘のいる部屋へと向かった。
この日、智弘は予備の部屋に泊まっていた。
予備の部屋といっても、実質、智弘専用状態であり、朝一でマネージャーとして付き添
いで出掛けるときに宿泊することが多かった。
あやは、智弘の部屋の前にくると、軽くノックした。
「智弘さん、起きていますか?」
反応がない。
もう一度ノックをしてみたが、やはり反応がない。
「困っちゃうな……」
あやは、ドアノブに手をかけてみた。
ノブは何の抵抗もなく動いた。
鍵は掛かっていないようだ。
「智弘さん……」
あやは、申し訳なさそうに小さく声を掛けながら小さくドアを開けると、隙間から中を
覗いた。
室内には人が起きている様子はなかった。
『…………置くだけならいいよね…………』
あやは、そっと室内へ入った。
そろりそろりと歩きながら、テーブルの上にチョコを置いた。
『……智弘さん、随分と太っているような……』
寒いから蒲団に潜り込んでいるのは判る。
しかし、それを勘案してもかなり蒲団が膨らんでいる。
あやは、そーっと蒲団に近づくと、異変を見つけた。
蒲団の盛り上がりが、横に二段になっている。
明らかに、長いものが二つ横たわっていなければ、こんな状態にはならない。
あやは、蒲団に手をかけると、恐る恐るゆっくりと蒲団をはじからめくった。
「ん……さむ……」
蒲団の中から女の子の声がした。
「な、な、な、な、な、な」
あやは、女の子を見てびっくりした。
「なんで瑠璃ちゃんがいるのー!?」
智弘の蒲団に潜り込んでいたのは、智弘の妹の瑠璃だった。
「なに……寒い……あれ……あやちゃん?」
瑠璃は、寝ぼけまなこであやを見た。
「『あやちゃん』じゃなくって、どうして瑠璃ちゃんがここにいるのー!?」
あやは、瑠璃に寝ている理由を問うた。
「あー、それは……」
瑠璃は、めくられた蒲団を戻しながら、そのまま二度寝に入った。
「寝ちゃダメです!」
あやは、もう一度蒲団をめくった。
「あやちゃん寒い……」
瑠璃は、体を震わせながら抗議した。
542:決戦は日曜日
10/02/14 07:54:06 KsbN+vpT
「どうして!? どうして瑠璃ちゃんが!?」
あやは、兄妹とはいえ、ひとつの蒲団にくるまって寝ていたことがショックだった。
「瑠璃はぁ~兄妹だからいいのぉ~」
瑠璃は、そう答えると大きいあくびをした。
「きょ、兄妹でもダメです!」
「いいんだも~ん」
瑠璃は、くるりと向きを変えると、智弘に抱きついた。
「あったかーい」
「ダメ! 不潔です! そんなことしたらダメです!」
不潔と口にしたものの、本音は違った。
兄妹という特権を利用して、臆面もなく智弘に抱きつける瑠璃が羨ましい。
「……なんだ、五月蠅いなぁ……」
二人のやりとりで、智弘が目を覚ました。
「あ、ご、ごめんなさい」
あやは、起こしてしまったことを詫びた。
「ん? あやか? なんであやがって、なんだ? くっついているのは瑠璃か!?」
智弘は、動こうとして自分にしがみついている者の存在に気がついた。
「なんで瑠璃がいるんだ?」
寝ている間に潜り込まれた智弘には、瑠璃がいる理由が判らなかった。
「ところで今何時だ?」
「7時を回ったところです」
智弘が時計を確認する前にあやが告げた。
「ああ。もうそんな時間か。ほら、瑠璃、起きろ」
智弘は、瑠璃の体を揺すった。
『ああ。瑠璃ちゃんってば、智弘さんに起こされている……いいなぁ……』
好きな人とひとつの蒲団で寝て、智弘に起こされる。逆に、自分が起こすのでもいい。
あやは、恋人や夫婦でなければありえないことを、妹でありながら智弘にされている瑠
璃に羨望を抱いた。
「ん……お兄ちゃん……おはよ……」
瑠璃は、体を起こすと大きくあくびをした。
「そういえば、あやはどうしてここにいるんだ?」
ふいに自分に話がふられ、あやは慌ててテーブルの上に置いたチョコを手にした。
「こ、これ、今日はバレンタインなので、チョコを……」
「お、そうか。今日はバレンタインか」
「あの、一生懸命作ったので、あとで食べてください」
「ありがとう。そうさせてもらうよ」
「そ、それじゃ、私はこれから収録がありますから」
「気をつけていっておいで」
「はい」
あやは、智弘の言葉に送られて部屋を後にした。
部屋を出ると、大きく息を吐いた。
「あー、びっくりした。まさか、瑠璃ちゃんが寝ているなんて……」
まったくもって想定外の出来事に、予定がめちゃくちゃになってしまい、かなりテンパッ
た状態でチョコを渡す羽目になってしまった。
「でも、なんとか渡せて良かった」
何はともあれ、結果オーライだ。
「さて、今日も一日頑張ろうっと」
あやは、自室に戻ると、外出の準備をしてテレビ局へと向かった。
543:決戦は日曜日
10/02/14 07:55:41 KsbN+vpT
智弘の部屋では、まだ瑠璃が居座っていた。
「ほら、瑠璃も自分の部屋に戻って」
「えー、いいじゃん」
「俺はこれから支度して出掛けないといけないんだから」
「なんで?」
「これから玲と仕事だよ」
「いいなぁ。瑠璃もたまにはお兄ちゃんと一緒に仕事に行きたい」
瑠璃は声優ということもあり、基本的に一人でこなすことになるし、メインフィールド
はスタジオになるので智弘が仕事場に同伴することは少ない。
「そうはいっても仕方ないだろ。ほら、早く部屋へ戻って」
そこへ、ドアがノックされた。
「智弘はん、起きとる?」
「玲か。すまない、今、支度するからもう少し待っててくれ」
「ほなら、部屋におるから、あとで迎えに来てや」
「判った」
玲は、部屋に入ることなく自室へと戻っていった。
「ほら。もう支度するから」
智弘は、瑠璃を急き立てた。
「はーい」
瑠璃は、返事をして聞き分けた。
が、
「最後に一回だけ」
そういって、瑠璃は兄に、ぎゅーっ、と抱きついた。
「それじゃ、部屋に戻るね」
そういって、瑠璃も自室へと戻っていった。
「さて、支度するか」
智弘は急いでシャワーを浴びると、ほうほうのていで身支度を調え、玲を助手席に乗せ
て仕事場へと向かった。
544:決戦は日曜日
10/02/14 09:43:35 KsbN+vpT
AM7:43
「こない寒い日の朝から、えろうすまへんなぁ」
長澤玲は、運転をしている智弘へ声をかけた。
「何を言ってる。君達をサポートするのが俺の仕事だよ」
「まあ、そうなんだけど」
今年の冬は寒く、今朝も最低気温は氷点下近くまで下がった。
路面凍結こそしていないが、気温次第ではしてもおかしくない。
智弘は、運転に注意しながら先方との待ち合わせ場所へと車を走らせた。
日曜日の早朝ということもあり、都内であっても道は空いているので、それほど時間を
要することなく到着した。
先方は、最近人気のスイーツショップで、バレンタインに合わせてチョコレートを使用
した新作スイーツを発表していた。
玲は、そのための「一日店長」として白羽の矢が立ったのだ。
本来、バレンタインチョコというのは前日までに売ることに注力するものだが、ここの
スイーツは生菓子であり、消費期限が当日のため、バレンタイン用はバレンタイン当日に
販売する必要があった。
一応、開店は10時予定だが、行列の状況によっては警察の指導により開店時間を繰り上
げる必要があるため、玲にも早めに入ってもらうことになっていた。
玲と智弘は、先方の事務所で担当者と打ち合わせに入った。
「すみませんが、開店時間を1時間繰り上げることになりそうです」
担当者は、時間の繰り上がりを告げた。
「行列ですか?」
事前に繰り上がりの可能性を聞かされていた智弘が質問する。
「はい。長澤さんが店長をされるということもあって男性の方が多く並んでいまして、こ
ちらの予想よりも行列が長くなってしまいまして」
玲が一日店長を務めるため、ある程度は男が買いに来るという読みはあったものの、バ
レンタインデー用のスイーツのため、基本的には女の子が買いに来るという前提でいた。
しかし、バレンタインデーだからこそ、一日店長を務める玲から「手渡し」で品物を受
け取れるということで、男の客が多くなっていた。
「すみませんが、お願いできますか?」
「はい。こちらもそのつもりでしたから。いいな、玲」
「もちろんや」
「よろしくお願いします」
担当者は、頭を下げた。
「こちらこそお願いします」
智弘が頭を下げ、それに合わせて玲も頭を下げた。
この辺りの礼儀は、事務所としてしっかりと躾けてあり、この礼儀の良さがスタッフに
も受けがよい理由のひとつだった。
「それでは、衣装を用意してありますので、こちらで着替えを」
担当に連れられて、玲は別室へと移動した。
しばらくして、玲はメイド調の服を着て現れた。
「どないや?」
玲は、智弘の前でくるりと回って見せた。
「似合っているよ」
タイトスカート姿が多い玲だが、こういう服もよく似合う。
「それでは、店舗へご案内します」
玲と智弘は、担当者と共に少し離れた店舗へと移動した。
545:決戦は日曜日
10/02/14 09:45:20 KsbN+vpT
「ほー、ぎょうさんおるなぁ」
玲は、車内から行列を眺めた。
開店まで一時間以上あるにも関わらず、店舗から50メートルほどの長さになっている。
「10時開店だと本当に凄いことになりそうですね」
智弘も、行列の長さに危惧した。
「開店を9時にしますので、そうそう長くならないと思いますよ。それではお願いします」
担当者は、車を店の前で止め、智弘が下車をして、それに玲が続いた。
常に列の先頭と玲の間に智弘が入る状態のまま、玲を店内へと誘った。
店内では、本当の店長から再度段取りが伝えられた。
開店10分前になると、スムーズに買えるように並んでいる人に対して購入数を聞き、引
き渡すための梱包が始まった。
9時になると、玲が店の外に出てきた。
「本日、アルフヘイムの一日店長を務めます長澤玲です」
玲は、行列に向かって一礼した。
「本日は、早くからお越し頂きましてありがとうございます。只今より開店致します。店
内へは、スタッフがご案内しますので、指示に従って下さい。それでは、アルフヘイム、
開店です!」
玲の挨拶に、行列のみならずスタッフからも拍手が沸き起こった。
最初の客は男性で、玲のファンだった。
スイーツ系の雑誌やスポーツ新聞などの取材もあり、最初の人に手渡すところが写真に
納められた。
しかも、最初の人が玲に握手を求めたため、それ以降も商品を手渡した後に握手をする
という、ちょっとした握手会になってしまった。
それでも、混乱することなくバレンタイン用スイーツは順調に売れていった。
しかし、いくら用意してあるといっても、無制限に用意出来るはずもなく、昼前には売
り切れとなってしまった。
「少し早いですが区切りもいいので、休憩に入って下さい」
店長は、玲に声を掛けると、玲は休憩に入った。
「お疲れ」
智弘は、控え室にやってきた玲をねぎらった。
「まあ、うちは渡して握手してただけやけどね」
それでも大変なのは変わりない。
「こちらで弁当が用意されているから、食べて休むといい」
「智弘はんは?」
「俺は次の仕事があるから。今日限定のスイーツがなくなったから、もうそんなに混まな
いから、俺がいなくても平気だろ」
大勢がいる状態での接触は、ひとつ間違えば人が殺到して危険な状態になる。
そんなことからも智弘がついていたが、落ち着いてしまえば店員だけでも平気だ。
「それじゃ、俺はいくから」
「智弘はん、ちょっと待ってぇな」
玲は、店の箱を差し出した。
「これ、智弘はんに」
「これって、今売っていたやつじゃないのか」
「そや。智弘はんのためにひとつ都合してもろたんや」
「それはまずいだろ」
「『店長』やから大丈夫」
そういって、玲は笑った。
「しかし、よくもらえたな」
「衣装着替えるときに部屋へ案内した担当さんに『自分が手渡しするものがどんな味なの
か食べてみたい』ゆうたんや。店長が味知らんゆーのは問題やろ」
「でも、食べてないだろ」
「まあ『それはそれ』や」
そういって、玲はあどけなく笑う。
「それじゃ、ありがたく頂くよ」
智弘は、そういって箱を開けると、玲に差し出した。
546:決戦は日曜日
10/02/14 09:48:48 KsbN+vpT
「えっ!?」
戸惑う玲に、智弘は言葉を乗せた。
「半分食べていいよ」
「あ……」
玲は、言葉に詰まった。
よもやの智弘との半分こ。
ひとつのものを分け合うということに、なにか特別な感じがした。
「それじゃ、半分もらうから、先に智弘はん食べてな。うちは食後にもらうから」
玲は、同梱されていたスプーンを取り出すと、智弘に渡した。
「それじゃ、先にもらうか」
智弘は、さくさくと食べると、玲に渡した。
「んー、やっぱり旨いな」
智弘は、人気店のスイーツの味を堪能した。
「それじゃ、俺はもういくから」
次の仕事への移動を考えると、そろそろ移動しないと危ない。
「待って!」
玲は、慌ててバッグからプレゼント梱包されたものを取り出した。
「こっちが元々予定してたチョコや」
智弘は、それを受け取った。
「ありがとう。後で頂くよ」
「ほな、仕事頑張ってぇな」
「玲もな」
智弘は、忙しなく控え室を出ると、店員や担当者に挨拶をしてから店を離れた。
控え室に残された玲は、弁当を食べ終わると先程のスイーツを前にした。
『智弘はんがつこうたスプーン……』
玲は、智弘が使用したスプーンを手にすると、それでスイーツを食べ始めた。
『これって、間接キス……』
玲は、にやける顔を抑えることが出来ないままスイーツを食べたが、口にしたスイーツよ
りも玲を取り巻く空気の方が甘かった。
547:名無しさん@ピンキー
10/02/14 12:50:42 zNRytG77
久しぶりというか懐かしの投下だなw
乙乙
548:名無しさん@ピンキー
10/02/14 13:13:06 F8rSszws
乙
あやの着替えシーンで色々妄想してしまった俺ガイル
549:名無しさん@ピンキー
10/02/14 14:53:28 KsbN+vpT
実はまだ途中。全員出て来るけど用事をあるので書く時間が厳しい。
今からも外出。最悪二日がかりになるかも。
550:名無しさん@ピンキー
10/02/14 15:58:21 FUMoaoUH
>>549
問題ない
wktkしながら待ってる
551:名無しさん@ピンキー
10/02/14 19:01:59 zNRytG77
もちろん続きまってるよ
552:名無しさん@ピンキー
10/02/14 20:10:54 zerZkFEW
SSが読めるとは思わなかった。嬉しい。
続き…書いていただけますね?お願いします。
553:名無しさん@ピンキー
10/02/15 01:22:40 BbpA3J4E
PM0:15
智弘は、玲を残して一人車を転がして寮へ戻ってきた。
寮の入口を開けると、どたどたと廊下を駆けてくる音がした。
「マネージャー!!」
智弘に呼び掛けながら駆けてきたのは大路しずく。
少し遅れて浅見ひびきも駆けてくる。
「はい、マネージャー。バレンタインデー」
しずくは、智弘の前に来ると、チェック柄の包装紙にくるまれた箱を差し出した。
「ありがとう」
智弘は、すっ、とそれを受け取った。
「あ……あのー……マネージャー……」
しずくの横に並び立ったひびきも、類似の箱を手にしている。
「あ、あ、あたしも、じゃなくって……わ、わ、わたしも……」
「ひびきもくれるのか?」
「は、はい!」
ひびきは、智弘と視線を合わせられず、下を向いたまま両手で差し出した。
「ひびき、何もチョコ渡すぐらいでそんなに照れることないでしょ」
アイドルとして、大勢の視線に晒される仕事をしているのだから、こんなにも恥ずかし
がることが不思議にさえ思えるが「恥ずかしい」と認識するものにはとことん弱い。
「バレンタインチョコ」という、女の子の一大イベント、それも肉親などではなく、想い
を抱いている人に渡すのだから、胸がドキドキしてひびきに強く意識させる。
趣味が恋愛系の少女漫画の収集だけあって、こういうシチュエーションには強い憧れを
抱いている。
しかし、実際に自分がその立場になってみると、これほど気恥ずかしく緊張するものも
ない。
「ありがとう」
智弘は、ひびきの手からそれを受け取った。
手から箱の重さがなくなることを感じたひびきは、それに釣られるようにして顔を上げた。
しずくは、頬を人差し指でぽりぽりと掻きながら口を開いた。
「実は、手作りしようとしたんだけど、時間なくなっちゃってぇ……」
どうにも、ばつが悪そうだ。
そこへひびきが続く。
「で、でも、二人で一生懸命、お店から選んで買ったから……」
ひびきは、両手で胸を押さえると、うつむき加減になり目をつぶってしまった。
年に一度の勝負の日。
本当なら、二人で手作りしたかった。
しかし、時間という壁がそれを許してくれない。
どこかに罪悪感めいたものや、劣等感じみたものを抱えているのは「手作りではない既
製品」をあげたことに由来していた。
他の娘たちを考えれば、充分手作りで作ってくることは想像に難くない。
特に、らぶドルにはお菓子作りに長けている北条美奈・知奈の双子がいる。
どうしたって、比べられてしまうのは目に見えている。
まして、相手とはらぶドル内では二組しかないユニット同士。
元より手作りで勝負しても敵うはずがないのは百も承知だが、だからこそせめて既製品
ではなく手作りをしたかった。
『やだ……泣きそう……』
渡すことの気恥ずかしさに、手作り出来なかった恥ずかしさで、ひびきは落涙しそうだった。
そのひびきの頭の上に、ぽん、と大きな手が乗った。
「ありがとうな、ひびき」
そういって、その手は軽く頭を数回撫でた。
「しずくもありがとうな」
智弘は、手にしている二箱に視線を移した。
「こういうのは気持ちがこもっていればいいんだから、手作りとかそうじゃないとか、そ
こを気にすることはないよ」
「ら、来年はこそは、手作りでちゃんと用意するから……」
そうしずくが言えば、
「が、が、が、頑張ります! 来年は、しずくと一緒に手作りします!」
唐突の予告に、智弘は少し面食らったが、
「楽しみにしているよ」
二人は、その言葉を受けて顔を見合わせ、ここで初めて安堵した。
554:名無しさん@ピンキー
10/02/15 01:23:37 BbpA3J4E
「あーっ!! 何やってんのー!?」
廊下の奥で元気な声を張り上げたのは、瑠璃だった。
「あーっ!! それ、バレンタインチョコでしょ!! 瑠璃、まだ渡してないのにー!!」
瑠璃は、近づきながら、少し頬を膨らませていた。
どうも、自分より先に渡されたことに、やきもちを妬いているようだ。
「別に順番はどうでもいいでしょ」
しずくの言葉に、ひびきも、うんうん、と頷いた。
「でもぉ……もし本命チョコだったら、瑠璃やだなぁ……」
瑠璃の科白に、二人は、ぎくっ、とした。
「な、何を言って……義理だよ、義理。なぁ、ひびき」
「う、うん、そう、義理、義理」
どこかぎこちない返事だ。
「ん~……」
瑠璃は、少し怪訝そうな顔をしたが、それ以上は追及しなかった。
「そ、それより、瑠璃は渡さなくていいの?」
「あっ! そうだった! お兄ちゃん、すぐ持ってくるから待ってて!」
瑠璃は、急いで自室へと戻っていった。
「おーい、俺、すぐに出るんだからな」
そもそも、寮に寄ったのは玲にもらったチョコを置くと共に、なにかトラブルが起きて
いないかの確認のためだった。
次の現場へ行くためにも、すぐにここを発たなければならない。
「そ、それじゃ、マネージャ。あたしたちもこれから仕事があるから」
しずくが言えば
「マネージャーも頑張って下さい」
ひびきも言う。
「しっかりな」
二人は、はい、と仲良く返事をして、ばたばたと廊下を駆けていった。
智弘が部屋に入ると、超特急で瑠璃がやってきた。
「お兄ちゃーん」
タックルをかますかの如く、がばっ、と抱きついた。
「ほら、瑠璃、抱きつくなって」
「えー、いいじゃない。今は誰もいないんだからぁ~」
甘えん坊というか、ブラコンというか、瑠璃はすぐに智弘に抱きつく。
たまにならともかく、人目があっても抱きつくのだから、もはや癖の領域かもしれない。
「チョコを渡しにきたんじゃないのか」
「そうそう。これ」
瑠璃は、いささか雑なラッピングの箱を手渡した。
「瑠璃が作ったのか」
梱包具合を見れば、どうみてもショップのものには見えない。
「うん! 瑠璃、頑張ったんだよ。ねえ、食べて食べて」
瑠璃は、今ここで食すことを求めた。
「時間がないからあとでな」
「えー。ちょっとだけ。ね? 一口でいいから」
「しょうがないな」
智弘は、すぐに外せるラッピングを取ると、これまた少し歪んだ箱の蓋を開けた。
そこには、なんだかよく判らない形をしたチョコがが複数あった。
智弘は、そこからひとつをつまみ上げた。
555:名無しさん@ピンキー
10/02/15 01:24:05 BbpA3J4E
「なんだこれ?」
なんとも形容しがたい形をしている。
「それ、スペードだよ」
「スペード……」
「こっちはハート、こっちはクローバー、こっちはダイヤ」
瑠璃が次々と指を指していくが、いわれればそれとなーく見える程度の形だ。
「トランプなのか」
「最初はハートだけ作ったんだけど、なんか一種類だけだと物足りないかなーと思って」
その心意気や良しだが、せめて判る形にしてもらいたいものだ。
形は残念なことになっていたが、何といっても食べ物は味だ。
智弘は、手にしているチョコは口の中に放り込んだ。
「味はいいんじゃないの?」
「割チョコを溶かしただけだからね。でも、結構時間かかったんだよー」
「ありがとな」
智弘は、先程のひびき同様に瑠璃の頭を撫でた。
瑠璃は、えへへ、と笑った。
「おっと、俺、もう行くから。瑠璃はオフだっけか」
「そうだよ。でも、これから今日の放送のオンエアチェックするの」
「そうか」
「それじゃ、お兄ちゃんがお仕事頑張れるように、瑠璃の元気をあげるね」
瑠璃はそういって、ぎゅーっ、と彼にしがみついた。
「……おまえが元気になりたいだけじゃないのか?」
「えへへー」
「ほら、部屋に戻りな。もう出掛けるから」
智弘は、瑠璃の背中をぽんぽんと軽く叩いた。
「はーい」
抱きつくなということに対しては今ひとつ聞き分けがないような状態だが、それ以外に
関しては素直で聞き分けが良かった。
「それじゃお兄ちゃん、またねー」
瑠璃は、小刻みに手を振って兄と別れた。
「もう出ないと」
智弘は、もらったチョコをひとまとめにすると、すぐに部屋から出た。
だが、本日最大級のハプニングは、この直後に待っていることを誰も知らなかった
556:名無しさん@ピンキー
10/02/15 19:42:34 MBNEpnt9
おお、続きが来てるーっ!
しかもその先があるというのか?
お待ちしてます。
557:決戦は日曜日
10/02/15 23:30:03 BbpA3J4E
少し前のことだった。
結城瞳子は、シャワーを浴びていた。
瞳子は、これからテレビ局で歌番組の収録と、ファンの集いと、立て続けに仕事が入っ
ている。
午前中は、レッスン室で喉を温め、今は出掛けるための身支度をしていた。
「あーっ!! 何やってんのー!?」
シャワーを音をぬって、外から大きな声が瞳子の耳に届いた。
何事かとシャワーを止めて、バスルームの扉を開けてみる。
「あーっ!! それ、バレンタインチョコでしょ!! 瑠璃、まだ渡してないのにー!!」
それは、瑠璃の声だった。
それも、階下で発せられているようだ。
「もしかして、智弘さん帰ってきたの!?」
バレンタインチョコを渡す渡さないで揉めているということは、この寮で該当する人は
一人をおいて他にはない。
「急がないと!」
瞳子は、急いでバスタオルを手にすると体を拭き始めた。
朝、起きたときにはすでに智弘は不在でチョコを渡しそびれていた。
何とか夜に渡せればと思っていたところでの、予想外の智弘の帰宅。
不確実な夜より、確実な今を置いて渡すチャンスはない。
瞳子は、髪を満足にも乾かさずに服を着始めた。
「早くしないと、智弘さんまた出掛けちゃう」
マネージャーである以上、のんびりと休めるはずもない。
すぐに出て行くのは必然だ。
瞳子は、チョコを手にすると、慌てて部屋を飛び出した。
二階の廊下を駆け階段まで来ると、階下に智弘の姿が見えた。
「マ、マネージャー!」
瞳子は、智弘を呼び止めた。
「瞳子?」
智弘は、声がした階上を向くと、そこには瞳子が立っていた。
「何か用か?」
智弘が、階段側へと足を向けた。
「あ、あの、渡したいものが―」
そういって、階段を降りようと足を踏み出した。
が、慌ててストッキングを穿いたせいか、足裏の部分にたるみがあり、それが原因でつ
るっと足を滑らせた。
「あっ!!」
瞳子は、一瞬、声を挙げた。
手にしていた渡したいものは、瞳子の手を離れて宙を舞い、自身も宙に投げ出されて智
弘目掛けて落ちていった。
瞳子は、どん、という衝撃を受けた。
「いたたた……マ、マネージャー!?」
ほとんど、ダイビングする形で落ちてきた瞳子を、智弘が受け止めていた。
ただ、年頃の女の子が落下したため、智弘は支えきれずに後ろに倒れていた。
「だ……大丈夫か?」
「マネージャーのお陰で」
「よかった」
マネージャーたる者、タレントの身の安全を守るのは重要な仕事。
怪我をさせることなど、あってはならない。
「ところで、そこをどいてもらえるとありがたいんだけど」
智弘は、いまだ自分の腹の上にいる瞳子に語りかけた。
「あ、ごめんなさい」
瞳子は立ち上がるも、先程同様にストッキングに足をとられて尻餅をついて後ろに倒れた。
「おい、さっきから大丈夫か?」
智弘は立ち上がって手を差し伸べるたが、M字状に開いた脚を見て体を横に向けた。
上体を起こしていた瞳子は、慌てて脚を閉じて床にぺたんと座り、太股まで露わにして
いたスカートを膝まで戻した。
558:決戦は日曜日
10/02/15 23:30:41 BbpA3J4E
『下着……見られちゃった……』
スカート全開で脚を開いたのだから、完全にショーツが見られたのは間違いない。
そうでなければ、顔を背ける必要がない。
瞳子は、足裏のストッキングのたるみを正してからゆっくりと立ち上がり、スカートを直
した。
『…………え?』
スカートのウエストを正し、後ろがめくれていないか両手でならしたとき、普段とは違
う感じがした。
今度は手の平でスカート越しにお尻を撫でた。
『も、もしかして……』
瞳子のお尻は、スカートの生地の感触をダイレクトに感じた。
『こ、これって……まさか……』
慌てていたので気付かなかったが、今、股間がスースーしている……。
「……あ、あのさ、瞳子―」
「きゃああああああぁぁぁぁーーーっ!!」
瞳子の絶叫は、智弘の科白を遮断した。
しかも、歌唱に備えてすでに発声練習を済ませており、なおかつトップ歌手による絶叫
である。
その声は寮内はおろか、寮の外にまで響いた。
まさに、天をつんざく声だ。
瞳子は、叫びきると、両手で口許を押さえていた。
顔は真っ赤に染まり、爆発でもするのではと思えるほどだった。
『み、み、み、見られた!!』
よりによって、大切なところを、想いを寄せる人にみずから晒してしまった。
しかも、これが初めてではない。
前にも階段から落ちて、大切なところを同様に晒している。
「どうしたのー!?」
瞳子の叫び声を聞きつけて、しずくとひびきが駆けてきた。
「あやちゃん!? それにマネージャー!?」
しずくは二人を見るが、瞳子は顔を赤くして今にも泣きそうな瞳をしており、明らかに
様子がおかしい。
「ま、まさか、マネージャー、あやちゃんに何か変なことを……」
普通にしていれば、あれほどの声を出すなどありえない。
裏を返せば、おかしなことをしたとも言える。
しずくは、智弘に疑義のまなざしを向けた。
「変なことなんてしてないぞ」
智弘は、ひびきの言葉に慌てた。
「そ、そうです! 智弘さんは、変なことなんてしてないです! 私が階段から落ちたん
です」
誤解を解くべく、瞳子も主張した。
「そうだったんだ。あたしはてっきり―」
一体、しずくは、『てっきり何を』したと思ったのだろうか。
「瞳子ちゃん大丈夫? 怪我はない?」
ひびきは、瞳子の身を案じた。
「それは大丈夫。智弘さんが助けてくれたから」
大丈夫じゃなかったこともあるけれど。
「さっすがマネージャー!!」
しずくは、一転、尊敬のまなざしを向けた。
「ほら、何でもないだろ。それより、二人はこれから仕事じゃないのか」
「あ、そうだ! ひびき、早く支度しないと」
「それじゃ、またね」
二人は、来たときと同様に、ばたばたと部屋へ戻っていった。
「騒がしいな。ピッコロは」
らぶドルの中では歳も低くまだまだお子様。
むしろ、騒騒しいのは元気な証といえよう。
だが、それでも瑠璃が来なかった分マシだった。
瑠璃は、自室でヘッドフォンをしてテレビを観ていたため、今回の喧噪に気付くことは
なかった。
559:決戦は日曜日
10/02/15 23:33:30 BbpA3J4E
「あ、あのー、智弘さん……」
「ああ、そうだ。何か用があるんじゃないのか?」
瞳子は、ここで自分の手に何も握られていないことに気がついた。
「ええ、それなんですけど―」
周りを見渡すと、階段のところにそれは落ちていた。
拾いあげて軽くはたくと、智弘に差し出した。
「あの、これ、バレンタインのチョコです」
「お、ありがとう」
智弘が受け取ったものは、少し高級感のある包装紙でラッピングされていた。
「あ、あのー……」
瞳子は、なにか言いたげだった。
「なに?」
瞳子は、手をもてあまし、指を組ませたりして所在なさげに動かしながら、上目遣いで
智弘を見た。
「……さっきのですけど…………見ちゃいました?」
さっきの体勢からいえば、もし、見えたのなら真下から見上げるような状態だろう。
『ちらりと見えた』のではなく『完全にモロ見え』な分、どうしても気になってしまった。
「えー、あー……」
智弘は、言葉に詰まると、両手を合掌させると頭を下げた。
「ごめん!」
決定的だった。
これ以上の言葉は不要だった。
『やっぱり見られちゃった……』
落ち着いてきていた瞳子の顔の色が、かあっ、と再び赤くなる。
『また……見られちゃった……』
瞳子が、智弘に見られたのは初めてではない。
以前も急いでいて階段から転落をして見られている。
しかも、今回同様にショーツを穿き忘れるという大失態をおかしたせいで。
「だ、大丈夫ですから……」
「ホントごめん!」
「そんなに気にしなくてもいいですから。私が悪いんですから」
確かに、瞳子が穿き忘れなければ、階段から落ちなければ、こういう事態にはなってい
ない。
「いや、もう二度目だし」
『やっぱり、智弘さん前のときのこと覚えている!』
火に油。
瞳子の顔は、燃え上がるように赤々とし、ペンキでも塗ったのかといいたくなるほどだった。
「……もうお嫁にいけないかも……」
瞳子が、ぽつり、と漏らした。
嫁入り前の女の子の大切なところを、こともあろうに二度も殿方に至近距離で見られた。
「そんなことないって」
それを耳にした智弘は、瞳子の言葉を打ち消す。
「瞳子なら大丈夫だって」
瞳子が結婚したいといえば、手を挙げる人は全国にごまんといるだろう。
だが、智弘がそれを口にするのは残酷だし、少し無責任にもとれる。
「それじゃ―」
瞳子は、智弘を見つめる。
「―もしものときは、マネージャーが責任とってくれますか?」
「え?」
瞳子は、ふと、我に返って口許を押さえた。
「ご、ごめんなさい! えっと、マネージャー、これからお仕事にですよね。私もこれか
ら局入りなので。気をつけていってらっしゃい」
瞳子は、踵を返して階段を駆け上がっていった。
「な、なんだぁ?」
よく判らないまま、智弘はぽつんと取り残された。
560:決戦は日曜日
10/02/15 23:33:58 BbpA3J4E
瞳子は、部屋に駆け込むと、そのままベッドにダイビングした。
ぼふっ、とベッドが音を立てる。
瞳子は、うつぶせになって枕に顔をうずめた。
「あー、どうしてあんなこといっちゃったんだろう」
本当は『いつもお仕事御苦労様です』『このチョコ、美味しいんですよ』など、色々言
おうと思っていた。
しかし、ハプニングで全て吹き飛んだ。
のぼせていて、足下が地についていない感じではあった。
夢心地というのか、どこか現実感がないような感覚だった。
だから、ふと口をついて出てしまったのか。
しかも、その言葉は、取りようによっては逆告白にもとれる。
「でも―」
瞳子は、あることを思い出す。
「―アイドルとマネージャーは一緒になってもいいんだよね」
業界内ではタブーとされる、タレントとマネージャーの恋愛。
それは、タレントという商品に、事務所の人間が手を出したという見られ方をするためだ。
特に、女性アイドルともなれば、著しいファン離れを引き起こすことにもなるため『あっ
てはならない』ことだ。
だが、瞳子の母親はアイドル全盛期のときに、当時のマネージャーと結婚をして芸能界
を退いている。
だからか、瞳子自身、マネージャーとの恋愛はタブーという意識を持ち合わせていない。
瞳子にしてみたら、頼れる人であり想いを寄せている人が、たまたまマネージャーであっ
たに過ぎなかった。
「それもこれも―」
しかし、そこは瞳子のアイドルとしての矜恃が騒ぐ。
「―全てはトップアイドルになってから―」
母・結城はるかのように、頂点に立つアイドルになる。
誰かも認められる最高のアイドルに。
そうすれば、自然と心の君ともいい関係になれる―はず。
まずは、トップアイドルになる。
それが第一義。
「よし!」
瞳子は、ベッドから起き上がった。
「頑張ってお仕事をして、もっともっといいアイドルになって、そして―」
瞳子は、少し未来のことを頭に描いたが、すぐに現実に戻った。
「まずは穿かないと」
瞳子は、純白のシルクのショーツを手にすると、間違いが起きないようにしっかりと穿
いた。
561:名無しさん@ピンキー
10/02/15 23:35:48 BbpA3J4E
ノーチェックで通しているから間違いがありますね。
「そ、それより、瑠璃は渡さなくていいの?」
『瑠璃ちゃん』でなかったり、助詞がおかしかったり。
まあ、「書きっぱなし♪ あげっぱなし♪ ぱなしはありって話です」ということで、
適当に補完してください。
一日の半分が経過したにも関わらず、登場らぶドルは6人しかいない。あと12人いるよ……orz。
24時間家にいるわけではないんで、もう少し日数かかりそうです。
プロットは上がっています。
562:名無しさん@ピンキー
10/02/16 13:42:54 zEVcMKAo
一回の投下で五年は待てるから問題無い
563:名無しさん@ピンキー
10/02/19 07:54:50 ttn0GIf3
藤田真琴死去
564:名無しさん@ピンキー
10/02/19 09:46:32 MA53lSul
まぎらわしいわ
565:名無しさん@ピンキー
10/02/24 04:51:57 D3ycy1xR
>>562
だな
566:名無しさん@ピンキー
10/02/27 03:11:36 eSAWu+9P
どういう状況だとパンティをはき忘れるんだろうなしかし
567:名無しさん@ピンキー
10/03/08 07:16:12 HW/sA882
PM1:17
智弘は、自身が勤務しているスイートフィッシュプロダクション(FSP)のビルへとやってきた。
業界大手だけあり、人の出入りも激しく慌ただしい。
智弘は、すれ違う外部の人に会釈をしつつ、事務所のドアのノブに手を掛けた。
「おーい、智弘ー!」
智弘は、廊下の先から自分の名を呼び捨てにする聞き慣れた声に振り向いた。
視線の先には、手を上に掲げながら廊下を歩いてくる野々宮舞の姿があり、そのすぐ後
ろには同伴する桐生琴葉の姿もあった。
「舞と琴葉か」
智弘は、事務所に入らずに二人が来るのを待った。
「丁度よかった。智弘、いいものをやるぞ」
舞は、手提げポーチを漁った。
「ほら、バレンタインのチョコだ」
舞は、ぶっきらぼうに智弘に差し出した。
「ありがとう」
「私からも―」
琴葉も、バッグからラッピングされた箱を取り出した。
「はい、智弘くん」
舞に続き、琴葉も智弘に手渡した。
「琴葉もありがとう」
「智弘、お前は幸せ者だぞ。この私からチョコがもらえるんだからな」
舞は、えっへん、と腰に手を当てて誇ってみせた。
「ありがたく食べさせてもらうよ」
智弘は、そういって軽く笑む。
「二人はこれから局でバラエティの収録だっけか」
智弘の言葉に、二人は見合うと不安そうな顔をした。
「なあ、智弘。ちょっと聞きたいことがあるんだがいいか?」
舞は、真顔で智弘を見上げている。
「何かあったのか?」
智弘も、それに応えるように真摯に対応する。
「私と琴葉って、二人で仕事に行くことが多いよな。特に今日の仕事のようなバラエティとか」
「そうだな」
「“らぶドル”としての仕事なら他のみんなと一緒だけど、基本はピンで活動のはずだ」
本来ならソロというべきところを、ピンといってしまうのは、らぶドルのお笑い担当と
言われ、バラエティ出演が多いせいか。
「でも、私は琴葉と一緒に仕事をすることが多い。それも、バラエティ番組での仕事が」
智弘は、じっと舞の話を聞いている。
「もしかして……」
舞は、少し言いよどむ。
568:名無しさん@ピンキー
10/03/08 07:16:45 HW/sA882
「私と琴葉、どっちかバーターなのか!?」
「そ、そうなんですか!? 智弘くん!?」
舞の『バーター』という言葉に、琴葉も反応した。
バーターとは、芸能界では「抱き合わせ出演」を指す。
舞は、どちから一人に出演依頼が来ているところに、事務所が頼んでもう一人出演させ
ているのでは、と考えている。
バーターは、依頼する側は依頼者を使える上にバーター出演者を安く使えるというメリッ
トがあり、事務所は人気の薄い者を出演させることで世間の認知度を上げさせられるとい
うメリットがある。
もし、舞のいう通りバーターがあるのなら、どちらかは「おまけ」ということになる。
「そんなことか」
「そんなことって!」
「とっても大切なことですよ!」
智弘と違い、舞と琴葉はバーターであることを重く捉えている。
他のらぶドルは、みんなソロで仕事をとっている。
バーターになっているということは、他のらぶドルと比して一歩も二歩も劣ることを意
味している。
「安心しろ。舞も琴葉も、ちゃんとむこうから指定されている。バーターなんてことはな
いよ」
「本当か!?」
「嘘をついてどうするんだよ。君たちはマネージャーのいうことが信じられないのかい?」
「そうじゃないけど……」
それでも舞は、どこかに引っかかりがあるようだ。
「君たちはらぶドルなんだ。らぶドルとしてデビュー出来たということは、一人一人が
ちゃんとした力を持っているということだ。それは、俺が保証するよ」
“らぶドル”というブランドは、決して軽いものではない。
看板を穢さないためにも、実力がない者をらぶドルにするようなことはしない。
「そうか……。いつも琴葉と一緒だから、私はてっきり琴葉のバーターなんじゃないかって……」
「何いってるんですか。私の方こそ、舞さんのバーターじゃないかと思って……」
「琴葉がバーターなんて、どこからそんな発想が出て来るんだ? 何でもこなせる琴葉と
私じゃ、どう考えたって私の方がバーターだろ」
「舞さんこそ、いつも巧く番組を盛り上げているじゃないですが。バーターだとしたら私
の方がバーターですよ」
キャリアとアクティブさを有している舞と、何でも平均以上にこなしてしまう琴葉。
二人は、SFPに移籍してくる前からの知り合いであり仲が良いだけに、自分にないも
のを持っている相手が羨ましく思えるときがある。
そんな想いが口を突いて出た。
「どっちもバーターじゃないんだから、それでいいだろ」
終わらなくなりそうな二人を見て、智弘が割って入った。
「それじゃ智弘。バーターじゃないなら、どうしていつも琴葉と一緒なんだ?」
バーターではないにしても、ソロではないという疑問が残る。
「二人で絡むことで、二人分以上のインパクトがあるからだと思う。一人呼んで一人分、
二人呼んで二人分は普通だし、それなら何も舞と琴葉という組み合わせに限る必要はない。
二人に出演依頼が来るということは、二人一緒の方が魅力的だということだ」
「んー、そうなら嬉しいけど……」
「なんだ、舞は不満なのか?」
「そういうんじゃないと思います」
琴葉が、口を差し挟んだ。
569:名無しさん@ピンキー
10/03/08 07:17:09 HW/sA882
「他の人たちは決まった人と一緒という組み合わせはほとんどありませんが、私と舞さん
だけがこのような形でよいのかという疑問というか不安というか……」
他のらぶドルは独り立ちをしているが、本来ソロである二人が一緒であることを頻繁に
求められることに、ソロでは力不足なのではという不安が残る。
「そんなに気にしなくていいよ。一期生には『ショコラ』、二期生には『ピッコロ』がい
る。三期生にユニットはいないけれど、舞と琴葉がその立ち位置を兼任しているという考
えも出来るんじゃないのか」
「ユニットですか?」
「正確にはユニットではないし、基本的にソロ活動だが、ユニットのようにも動ける。
『ショコラ』『ピッコロ』は、ユニットがコンセプトとしてあるから、似たようなイメージの
二人を組ませている」
「『ショコラ』の美奈さん、知奈さんは双子ですしね」
「逆をいえば、これは武器でもある。他のらぶドルやユニットと違い、二人には組み合わ
せの妙がある。実際、普段の仕事はソロで別々だけど、バラエティ番組などではよく二人
一緒に出演の話が来ているだろ」
「そういえば、舞さんと一緒にお仕事をするのは、テレビのバラエティですよね」
「だから、難しく考えなくていい。付き合いの長い二人なんだから、お互いの“呼吸”も
判っているんだろうし。そういう自然体の部分が、受けているし求められているんだよ」
実際、二人の会話には、掛け合い漫才をしているかのような小気味良さがある。
「その言葉、信じていいんだな」
舞は、真剣な眼差しで智弘を見上げた。
「もちろん」
「そうか」
そう呟いた舞の表情からは、険の影が消えていた。
「納得したかい」
「はい」
琴葉も、すっきりした表情で返事をした。
「これから収録なんだろ。頑張っておいで」
「任せとけ。それじゃ、張り切って仕事してくるからな!」
舞は、すっかり自信に満ちた笑顔を智弘に見せた。
「ほら、琴葉、行くぞ!」
舞は、琴葉の手を引いて廊下を駆け出した。
「あ、舞さん! それじゃ、いってきます」
琴葉は、舞に引かれながら、振り返って智弘に軽く頭を下げた。
「琴葉、早く!」
「舞さん、そんなに引っ張らないで!」
二人は、騒騒しく去っていった。
570:名無しさん@ピンキー
10/03/09 04:06:42 81gSLyv8
おお!
らぶドルの二次創作はまだ衰えないよな。
571:名無しさん@ピンキー
10/03/09 10:07:17 UpEwKviR
続き待ってたぜ
ところで琴葉はどうしてこんなに可愛いんだろう…
572:名無しさん@ピンキー
10/03/09 20:27:24 Gy35T4Lw
智弘は、事務所に入ると真っ直ぐ自分の机に向かった。
机の上には、複数の宅配物が置かれていた。
「なになに」
智弘は、椅子に腰を下ろすと、配達物を一つずつ手にした。
「これは、あゆみからか。こっちは真琴で、これは海羽か」
宅配物の差出人は、進藤あゆみ、藤田真琴、猫谷海羽だった。
「しかし、中身は全部チョコか」
智弘は、全ての配達物の品名欄にチョコの文字があるのを見て苦笑した。
今日、あゆみは北海道で新曲キャンペーン、真琴は京都太秦で時代劇の撮影、海羽はミュー
ジカルの福岡公演だった。
あゆみは金曜に現地入りし、真琴は土曜朝の入り、海羽は先週から福岡入りしていた。
当日に渡せないのなら現地へ発つ前に渡せばいいものだが、やはりそこは女の子。
「2月14日」という日に渡すことに意味がある。
あゆみ、真琴は発つ前に配達日指定で、海羽は福岡からやはり配達日指定で発送をかけ
ていた。
智弘は、荷を開けると、中身を適当な紙袋に移してまとめた。
三人に御礼のメールを送ると、チョコを食べることもなく、外部との連絡や確認事項の
業務に追われた。
午後2時近くになると、智弘はホワイトボートに行き先を記して事務所を出た。
PM02:34
午後2時半を回ると、ひょっこりと有栖川唯が事務所に顔を出した。
唯は、真っ直ぐ智弘の机に向かった。
「あれー、マネージャーいないのか。ん?」
唯は、机のそばに置かれた紙袋が気になった。
上からちらりと覗くと、綺麗な包みの箱がいくつも見えた。
『バレンタインチョコか』
それが何かをすぐに把握出来たのは、今、自分の手にも智弘宛のチョコがあるからだ。
『ライバル多し。やっぱり、直接渡さないと』
このまま机に置いていっても渡すことは出来るが、直接渡した方がインパクトは強い。
唯は、ホワイトボードで出先を確認すると、第三会議室と書かれていた。
事務所も大きくなると、それに応じて会議室や打ち合わせ所なども多くもつ。
第三会議室は、十数名程度で打ち合わせを行うのに適している部屋だった。
とりあえずと第三会議室前へくると、照明が消えていた。
「あれ? いないのかな?」
しかし、ドアのそばに取り付けられている使用状況を示すパネルは、『使用中』となっ
ている。
唯は、そっと開けて中を覗き見た。
パーティーションで仕切られた室内に窓はなく薄暗い。
573:名無しさん@ピンキー
10/03/09 20:27:45 Gy35T4Lw
「ん?」
暗い室内の中、目を凝らしてみると、椅子にもたれかかり、頬杖をついている智弘がいた。
「マネージャー」
唯の呼び掛けに、智弘は反応しなかった。
『寝ているのかな?』
「智弘……くん」
唯は、先程より小さな声で智弘を呼んだ。
『寝ているっぽい……』
唯は、中に入りそっとドアを閉めると、そろりそろりと足音を立てずに智弘に近づいた。
智弘は、頬杖をついたまま寝ていた。
「智弘ー」
唯は、囁くように名前を呼んだ。
もはや、本気で起こすつもりなどないのは明白だ。
『「智弘」だって』
寝ているとはいえ、本人を前にして名前を呼び捨てに出来るのは、特別な関係のようで
ドキドキする。
もっとも、らぶドルの中には呼び捨てにしている者もいるのだから、本人にとっては呼
び捨てにされたところで何の衝動もないのだろうが。
『うーん、まさか寝ているとは……。起こすわけにもいかないしなぁ』
照明を消していることからも、ここへは仮眠をとりにきたのだろう。
流石に、人の出入りがある事務所で眠るわけにもいかない。
智弘も、大勢のタレントをみているから疲れも蓄積しているのだろう。
『しょうがない。事務所に置いてこよう』
チョコを渡すためだけに起こすのは酷なので、智弘の机の上に置いておくことにした。
唯は、部屋を出ようと取っ手に手をかけたが、ふとその手を離して振り返った。
『………………』
唯は、ポケットに手を入れると、大切にしているお守りを握った。
口を、きゅっ、と閉じ、緊張から生唾を飲み込んだ。
他には誰もいないのに、きょろきょろと周囲を警戒してから智弘に近づいた。
『いつもボクたちのために、マネージャー業務ご苦労様。これは、元気が出るおまじない……』
唯は、目を瞑ると、頬を朱に染めながら、智弘の頬に唇を近づけた。
プルルルルル!!
智弘の携帯が着信音を立てた。
智弘は、眠りから引き戻され、寝ぼけながらも背広の内ポケットを探った。
「あ、はい、藤沢です。あ、真琴? ああ。受け取ったよ。ありがとう。ああ。そうか。
この時期、太秦は寒いだろ」
574:名無しさん@ピンキー
10/03/09 20:28:51 Gy35T4Lw
電話を掛けてきたのは、藤田真琴だった。
先程のメールを受けて、空き時間が出来たため電話をしてきていた。
真琴からの電話は、2分もしないで切れた。
「あーあ」
智弘は、大きく伸びをした。
「あれ? 唯。いたのか」
智弘は、入口のところに突っ立っている唯を見つけた。
「あ、う、うん」
唯は、電話がなった瞬間、口から心臓が飛び出すほど驚き、猛ダッシュで後ずさりをして
智弘から離れていた。
「どうした?」
「あ、あの、そ、そう、これ、ボクからのバレンタイン」
唯は、そそくさと近づくと、さっとチョコを差し出した。
「おお、ありがとう」
「智弘くん、疲れている?」
「大丈夫だよ。少し眠かっただけだから」
「こんなところで寝ていて、風邪なんかひかないでよね」
「ああ。もう起きるところだったし」
その言葉に合わせるかのように、目覚まし用に設定した携帯のアラームが鳴った。
智弘がアラームを止めると、続けざまに着信音が鳴った。
「はい、藤沢です。あゆみか。うん。いや、大丈夫」
「それじゃ、ボク、行くね」
唯は、智弘に手の平を軽く向けると、智弘も通話をしながら同様に手を掲げた。
唯は、あゆみと話している智弘の声を聞きながら部屋を後にした。
「ふーっ」
唯は、廊下に出ると深く息をついた。
「まだドキドキしているよ……」
胸に当てた手には、心臓の速い鼓動が伝わってくる。
「きっと、顔も真っ赤だっんだろうなぁ……」
顔は火照りを残しており、自分でも紅潮していたことが判る。
「惜しかったなぁ」
こんな千載一遇のチャンス、そうそうあることじゃない。
「……でも、これで良かったのかな。やっぱり、不意打ちは良くないよ、うん」
唯は、未遂で済んだことに納得した。
「何はともあれ、渡せて良かった良かった」
最後はドタバタしてしまったが、当初の目的は果たせたので今回はこれでよしとした。
「さてと、ホワイトデーが楽しみだな」
唯は、一ヶ月後に想いを馳せながら軽やかな足取りで去っていった。
追うようにして、あゆみとの電話が済んだ智弘も会議室から出てくると、一度事務所に
戻ってから仕事の打ち合わせへと向かった。
575:名無しさん@ピンキー
10/03/09 21:07:50 Gy35T4Lw
過去形ばっかでテンポ悪いなぁ(´Д`)
576:名無しさん@ピンキー
10/03/09 22:27:54 UpEwKviR
乙乙
そんなことないとおも
577:名無しさん@ピンキー
10/03/13 12:29:47 NwDMknaD
PM17:12
智弘は、打ち合わせを終えて事務SFPのビルへと戻ってきた。
出入口へ向かう智弘に対し、ビルから出て来る女性と目が合った。
「マネージャー」
「沙有紀」
女性の掛け声に、智弘は彼女の名で応答した。
「丁度よかった」
片桐沙有紀は、立ち止まるとショルダーバッグからハートをあしらった包装紙に包まれ
た直方体を取り出すと、スマートに差し出した。
「はい」
「ありがとう」
智弘も心得たもので、もはや中身を訊くまでもなくバレンタインチョコだと察していた。
「マネージャーはまだ仕事?」
「ああ。今夜はちょっと遅くなりそうかな」
「それは残念」
「何かあったのか?」
「あたしは今日はあがりだから、一緒に食事でもと思って」
「それは悪かったな」
申し訳なさそうに頭を掻く智弘に、沙有紀は軽く左右に首を振った。
「いいんですよ。マネージャー業は大変ですから」
らぶドルたちもすっかり仕事に慣れ、つきっきりということもないため手が掛からなく
なったが、それでも二十名近くのスケジュールを管理したりと、普通のマネージャーの何倍も
大変なのは間違いない。
「沙有紀は、今日は打ち合わせだったか」
「ええ。来月の東京ガールズファッション(TGF)の衣装合わせ」
国内でもトップクラスのモデルや、旬な人物が出演することで有名なファッションショーで、
舞台上の服をすぐに携帯で買えることでも知られている。
「今年は、うちからは沙有紀だけだな。要請通り二人送り出せない分、しっかり頑張って
きてくれ」
出演することがステータスとなっている同イベントだけに、業界内の競争率も高い。
その一方、SFPのようにスケジュールの関係で主催者の希望通り出せない事務所もある。
沙有紀は早々に出演依頼が来ていて確定していたが、もう一枠は今年になってからのた
め調節がつかなかった。
モデル専門事務所でもないのに、複数枠での依頼が来ること自体稀であり、結果として
らぶドルのレベルの高さを示している。
そして、それを断ってしまう事務所もまた、業界では信じられないほどのことだった。
「そう言われると、責任重大」
若い女性に多大な支持を得ているコレクションなだけにヘマは出来ない。
「沙有紀なら大丈夫だって。本職のモデルなんだし、今年の出演者の中では『クィーン』の
下馬評も高いし」
578:名無しさん@ピンキー
10/03/13 12:30:14 NwDMknaD
TGF出演者の中から、観客の投票により『ミスTGF』が三人選出される。
その中でも、一番支持を得た人は『クィーン』の称号を得る。
今回、沙有紀はクィーンの最有力候補として女性誌で名前が挙がっていた。
「マネージャー。もしかして、プレッシャーかけてます?」
「かけてるかも」
「ひっどーい!」
沙有紀は、少し怒ってみせた。
「小さいときからモデルとして場数を踏んできたんだ。積み重ねてきた仕事は自信になって
いるだろ。それに、クィーンに選ばれたら、モデルとしての評価もさらに高くなる。ここは
頑張りどころだろ」
「確かにそうですよね」
少なくとも、TGFでクィーンに選ばれれば、トップモデルといえる。
「大丈夫だよ。沙有紀ならなれるさ」
「本当ですか?」
「ああ。マネージャーの俺が言うんだから間違いない」
それは、欲目というやつのような気がしないでもない。
「それじゃ、マネージャー。ひとつ、お願いいいですか?」
「なんだ?」
「TGF、頑張りますから、もし、クィーンになったら一緒にお祝いしてもらえますか?
今日、食事出来なかった代わりに」
「いいよ。お祝いしてあげる」
「本当ですね!?」
「ああ、約束だ。当日は俺もマネージャーとして行くから、クィーンになるところを見さ
せてくれよな」
約束を交わすと、智弘はビルへと入っていった。
沙有紀は、嬉びの余り叫びそうになった口許を手で押さえた。
『これって、明確なデートの約束よね』
智弘にとってはただの食事という意識しかないが、こと沙有紀にとっては意味合いが違う。
『頑張らなくっちゃ!』
沙有紀は、顔を赤くしたまま足早にSFPを後にした。
自分の部屋で思いっきり喜びを爆発させるために。
579:名無しさん@ピンキー
10/03/13 12:30:46 NwDMknaD
智弘が事務所内の自分の机で仕事を始めると、そこへ北条比奈がやってきた。
「あの……お兄様……」
比奈は、申し訳なさそうに声を掛けた。
「比奈か」
智弘は、仕事の手を止めた。
「少しよろしいでしょうか?」
「どうかしたか?」
体を起こし、椅子ごと比奈へと体を向けた。
「これ……お兄様のために作ったのですが……」
比奈は、両手で持っている白い大きめの箱に視線を落とした。
「もらっていいのか?」
「はい……」
智弘は、箱を受け取ると、机の上に置いて開けた。
中には、クッキーが入っていた。
「クッキーか」
「はい……本日はバレンタインですので……チョコクッキーを作っていました……」
「比奈は、今日はオフだったな」
「はい……」
「これ、食べていいのか?」
智弘の言葉に、比奈は少し言葉に詰まった。
「……あの……うまく出来なくて……」
智弘は、試しにひとつ掴むと口に運んだ。
カリッ、という感触と共に、口の中でバリバリと砕けていく。
「予定より固くなってしまいました……」
確かに、クッキーというより、ビスケットといった方がいいかもしれない。
「これ、ビターチョコ?」
「いえ……それは……コゲです……」
苦い味は、焦げたせいのようだ。
「……ごめんなさい……どうしてもうまく焼けなくて……」
普段から大人しいだけに、落ち込まれると、今にも泣き出しそうな気がしてならない。
「お姉様たちの力をお借りできれば良かったのですが……」
「そうか。ショコラは神戸だっけ」
比奈の双子の姉であるユニット『ショコラ』は、神戸にいた。
「はい……」
大手コンビニが、今年のバレンタイン企画として神戸にある有名スイーツショップと
ショコラによるコラボスイーツを提案してきた。
今、コンビニにはショコラプロデュースのバレンタイン限定スイーツが並んでおり、当の
ショコラは神戸でイベントをやっていた。
580:名無しさん@ピンキー
10/03/13 12:32:22 NwDMknaD
「下手なパティシエよりよっぽど旨い菓子を作るからな」
「……もっとおいしいものをお兄様にお渡ししたかったのですが……私一人ではこれが限界です……」
同じ血を分けた姉妹であるにも関わらず、どうしてもお菓子作りは姉のように巧く出来ない。
大好きな人に失敗作を食べさせざるをえない無念さは、比奈の顔を曇らせた。
そんな比奈の心情を察してか、智弘は比奈の頭に、ぽん、と手を乗せた。
「……お兄様?」
「そんなに気にすることないよ。ショコラの二人の腕前は別格だよ。それに、こういうのは
気持ちが一番大切なものだろ。俺は、比奈が一人で一所懸命作ってくれたことが嬉しいよ。
だからそんな顔するなって」
智弘は、なだめるように比奈の頭を撫でた。
「……お兄様……」
智弘は、もう片方の手で、クッキーを手にすると口へ運んだ。
「うん。旨いよ。炊き込みご飯にだって焦げはあるだろ。このクッキーの焦げも、ビター
風味になってむしろいい感じだよ」
智弘は、バリバリとクッキーを食べてしまった。
「一人で作るのは大変だっただろ。ありがとうな」
智弘の謝礼に、比奈の陰鬱としていた心に光が差した。
「お兄様に、感謝を」
比奈は、無意識のうちに両手を組んでいた。
「それでは、私は片付けがありますので……」
「そうか。気をつけてな」
比奈は、智弘の言葉に一礼すると事務所を出て行った。
智弘は、クッキーを摘みながら、書類仕事を行った。
書類整理が終わったときには、とうにクッキーも底をついていた。
時刻は、いつの間にか午後7時になろうとしていた。
「んー、少し早いが飯にするか」
智弘は、事務所を出ると外へ向かった。
「あ、あのー……」
智弘は、一人、てくてくと廊下を歩いていく。
「あのー……」
「何にするかな。ハンバーガーはあれだし」
「あのー……」
「ラーメンにでもするかなぁ」
「あーのーっ!」
智弘は、背後で叫ぶ声に振り返った。
「……雪見か」
廊下でほどよく反響した声は、耳の中で残響している。
「さ、さっきから呼んでます……」
「そ、そうか。それは悪かった。今日は新番発表会とアフレコか」
581:名無しさん@ピンキー
10/03/13 12:32:45 NwDMknaD
「も、もう終わりました。今、アバコからの戻りです」
雪見は、小さめの手提げの紙袋を智弘に差し出した。
「あ、あの……これ……」
智弘は、袋を受け取ると、中にうさぎの包装紙の箱を確認した。
「バレンタインか?」
「は、はい……」
雪見は、顔を真っ赤にしてうつむいた。
普段から気弱なのに、バレンタインとあっては、さらに恥ずかしさが増す。
まして、このチョコには少なからず智弘に対して特別な想いが含まれている。
「あの……用事はこれだけなので……」
「ありがとう。あとでもらうよ」
「は、はい……。それでは、お先に失礼します」
雪見は、智弘とまともに目を合わせられないまま、軽く頭を下げて智弘の脇を通りすぎ
ていった。
「あ、仕事終わったのなら、飯に誘えば良かったかな。とりあえず、これを置いてくるか」
智弘は、事務所へと戻った。
一方の雪見は、女子トイレへと駆け込んでいた。
「はーっ……」
大きく息を吐き、両手を頬に当てた。
「大丈夫……だったよね……」
手の平が熱い。
間違いなく、顔は赤くなっている。
「マネージャー……変に思ってないよね……」
『いつも仕事でお世話になっている人にチョコを渡した』。
傍目にはそういう構図であり、そこに不自然さはない。
「義理……とは少し違うんだけど……」
かといって、本命ですといって渡す勇気もない。
雪見は、目をつむってゆっくりと息を吸い、そしてゆっくりと吐いた。
少し気持ちを落ち着かせると、一言、呟いてみた。
「……藤沢さん」
マネージャーと呼ぶ以外は、いつも名字で呼ぶ。
問題ない。
今度は、別の言葉を呟いてみた。
「…………と、と、と、と…………智…………弘……さん…………」
呟いてみたものの、まともに言えない。
しかも、心臓は一気に脈を速く打ち、顔もチョコを手渡したときより赤く、耳の尖端ま
で朱に染まっている。
「せ、せめて本チョコは……みんなみたいに名前で呼べるようになってからにしよう……うん……」
らぶドルの中で唯一、智弘を名字で呼ぶ少女は、新たな目標を胸に抱いた。
582:名無しさん@ピンキー
10/03/14 23:22:27 Fhd0sVOw
おお、ガッツリ3/14合わせではないか
しかし智弘は抱えてるタレント多いな
583:名無しさん@ピンキー
10/03/15 08:55:27 pEtG2iZs
きっとプロデューサーに出世したんだろう。
おや誰か来たようだ
584:名無しさん@ピンキー
10/03/16 20:11:43 bfBQGUXb
PM21:48
智弘は、夕食を済ませ、一度外回りを終わらせた後、事務所で会議用の書類を作成していた。
この時間になると、ほとんどの者は帰宅ないし仕事先から直帰になるため、事務所には
智弘一人だけになっていた。
「来月の海羽は、ミュージカルで17日から大阪入り……っと。しかし、このミュージカル、人気高いな。
『ヤンデレ少女の憂鬱』だっけか。最近はこういうのが流行るのか」
ミュージカルにするには難ありと思われる題材にも関わらず、地方での追加公演が入っているのだから、
世の中何がうけるか判らない。
らぶドルたちのスケジュール表の作成をしていると、誰かがやってきた。
「お疲れ様です~」
「お疲れ様です」
そういって事務所に入ってきたのは、北条美奈、知奈姉妹だった。
「美奈と知奈か。お疲れ。神戸は遠かっただろ」
「はい。でもぉ、楽しかったですよぉ」
美奈は、おっとりとした口調で答えた。
「向こうで終わったのが6時すぎだろ。今日は直帰でいいんだぞ」
「『今日』は、そういうわけにはいきませんわ」
知奈は、手にしていた紙袋を美奈に渡し、さらに美奈から智弘へとリレーされた。
「今日はぁ、バレンタインですからぁ」
「なんか、結構重いぞ」
袋の中を覗くと、ギンガムチェックの包装紙にピンクのリボンがかけられている箱がひとつあった。
大きさからして、8号(直径24cm)のケーキが入るサイズだ。
重さも、今までもらったバレンタイン物の中でも群を抜いて重い。
「私と知奈ちゃんの二人分ですからぁ」
のんびりと美奈が説明する。
「もしかして、今回発売した例のやつか?」
「いつもお世話になっている、と、と……マネージャーに市販品で済ますようなことはしませんわ。
これでも『ショコラ』なんですから」
そういって、知奈は少し照れをみせた。
「ごめん。でも、それじゃ、どうやってこれを作ったんだ?」
箱の中身が何であるにせよ、重いのだからそれなりの物が入っているのだろう。
「お店の機材を少しお借りしたんですのぉ。材料は自分たちで持ち込みましたからぁ、
お昼の休憩時間を利用してぇ、作業したんですのぉ」
「それは大変だっただろ。開けてみていいか?」
「いいですよぉ」
智弘は、箱を机の上に置くと、綺麗に包装紙をほどいた。
「おおー!」
箱の中には、二本のチョコレートコーティングされたロールケーキがあった。
片方は、普通のチョコレートでコーティングされ『M』の文字が、もう一方はホワイトチョコで
コーティングされ『C』の文字が書かれていた。
585:名無しさん@ピンキー
10/03/16 20:16:35 bfBQGUXb
「こっちが美奈で、こっちが知奈か」
「正解ですぅ」
「しかし、これ凝っているなぁ。ビュッシュ・ド・ノエルだっけか?」
薪を模した、クリスマスの定番でもあるケーキだ。
「そういうわけではないのですが……」
「最近、ロールケーキが流行っているのでぇ、それをベースにしてチョコレートでコーティングを
してみましたぁ」
「それに、上の細工も細かいな」
コーティングの上には、絞りを使って綺麗な文様が幾重にもつけられている。
「知奈ちゃん、智弘さんに贈るからってぇ、もの凄く真剣に描いたんですよぉ」
美奈は、ちらりと知奈をみやった。
「と、と、智……マネージャーに渡すからって、手抜きは出来ませんからね」
「『智弘さんに渡すからこそ手抜きをしない』の間違いではぁ?」
「姉さん!」
まるで、智弘が特別であるかのような美奈のツッコミに、知奈は顔を赤くした。
「フフフッ」
不意に智弘が笑った。
「智弘さん、どうかしたんですかぁ?」
突然の笑みに不思議がる美奈に対し、知奈は今のやりとりで笑ったと想い、ますます顔を赤くした。
「いやさ、比奈とは姉妹なんだなと思ってさ」
智弘の言葉に、二人は顔を見合わせた。
「比奈がさ、夕方、チョコ入りのクッキーを作ってきたんだ。菓子作りが苦手だから
少し焦げたりしていたんだが。普通、バレンタインなんだからチョコを持ってくるだろうに、
比奈はクッキーを作ってきた。そして、二人もチョコを使用しているが、母体はロールケーキだろ。
三人とも、普通にチョコを持ってこないで、一捻りしてしかも手作りだ。
比奈は、二人の背中を追いかけているんだなと思ってさ」
「比奈ちゃんは、私たちの大切な妹ですから」
「いっそ、姉貴と瑠璃に、三人の爪の垢を煎じて飲ませてやりたいよ。
そうすれば、少しは姉貴と瑠璃の仲もよくなるかもな」
「まぁ、そんなこといっちゃダメですよぉ」
美奈は、くすっ、と笑った。
「煎じる話が出たところで、お茶を淹れるよ。折角開けたんだし一緒に食べよう」
智弘からの誘いの言葉なのに、二人は表情を曇らせた。
「いえ、今日は帰りますぅ」
席を立とうとした智弘を、美奈は制した。
「お誘いは嬉しいのですがぁ、比奈ちゃんが待っていますからぁ」
「今週末は仕事で離れていましたから、きっと寂しがっていますわ」
妹想いの二人らしい返答だった。
586:名無しさん@ピンキー
10/03/16 20:19:04 bfBQGUXb
「そうか。それじゃ、気をつけてな」
「はい」
「と、と、と、智……マネージャーももう遅いですから無理なさらないで下さい」
「ああ。俺もあと少しで帰るから」
「それではお先に失礼しますぅ」
「失礼します」
二人は、智弘に軽く頭を下げると事務所を出た。
廊下を並んで歩く二人。
美奈は、知奈の顔を覗き見るようにしながらにやにやしている。
「な、なによ、姉さん」
「んー、どうして知奈ちゃんは『智弘さん』って言えないのかなと思ってぇ」
「し、しょうがないでしょ」
「今のは、名前で呼ぶチャンスでしたよぉ。私たちしかいなかったんですからぁ。
そうだ、今、練習してみますぅ?」
知奈は、彼の名を口にすることを想像し、収まりかけた顔の火照りが再発した。
「ほ、ほら。早くしないと、比奈ちゃん、寂しがってますわよ」
知奈は、かつかつと歩みを速くしてその場から逃げ去るように歩を進めた。
「あぁん。知奈ちゃん」
逃げるような知奈を、美奈は追いかけていった。
二人が過ぎ去り静寂が戻った廊下を、智弘が歩いたのはしばらく後のことだった。
智弘が寮へ戻ってきたときには、すでに寮内は静まりかえっていた。
玄関で靴を脱いでいると、一人、背後から静かに近づいてきた。
「おかえり」
聞き慣れた声がした。
「瑞樹か」
智弘は、視認することなく靴を片付けている。
「なんか、随分とお土産があるみたいだけど」
榊瑞樹は、紙袋を上から覗き見た。
「バレンタインだってさ」
智弘にしてみれば、毎年決まったときに行われる年中行事みたいなもので、さして気にしていない。
「ふーん」
瑞樹は、興味なさそうな反応をした。
587:名無しさん@ピンキー
10/03/16 20:20:31 bfBQGUXb
「瑞樹も誰かにあげたりしたのか?」
「えっ?」
不意に話題を振られて思わず戸惑う。
「あ、あたしは―」
「もしかして、俺にくれるのか?」
「バッ! バッカじゃないの! どうしてあたしがあげなくちゃいけないのよ!」
瑞樹は、強い口調で否定した。
「冗談だって。そんなにむきになるなよ」
智弘は、紙袋を手にして瑞樹の横を通り過ぎる。
「もう遅いから早く寝ろよ」
瑞樹は、廊下を去りゆく智弘の背中を黙って見送った。
「…………バカ」
そう呟いた瑞樹のスカートのポケットの中には、智弘に渡しそびれた贈り物が入っていた。
「ふーっ」
智弘は、熱いシャワーを浴び終え、頭をバスタオルで拭いていた。
「智弘、いる?」
軽くノックをした後、瑞樹がドア越しに声を掛けてきた。
「どうした?」
「ちょっと、用があるんだけど」
「少し後でいいか?」
「かなり急ぎなんだけど……すぐ終わるから」
どうも、緊急性があるようだ。
「わかった」
智弘は、ドアを開けた。
「ともひ―」
智弘の姿を見た瑞樹の顔が、一瞬で険しくなった。
「な、なんて格好してるのよ!」
智弘は、下はトランクスのみで、上半身は裸で首にバスタオルを掛けていた。
「急ぎですぐ終わるっていったからだよ」
「だ、だからって、もう少し女の子に対する格好とかあるでしょ!」
「用件はなんだ? 急ぎじゃないのか?」
智弘も、すぐに終わるからこの格好で対応したわけで、さっさと済ませて服を着たい。
「これ」
瑞樹は、手にしていたカップとソーサーをぶっきらぼうに智弘に差し出した。
カップからは、湯気が立ち上っている。
「外は寒かっただろうから、淹れてきてあげたのよ」
「お、サンキュー」
「用はそれだけだから。早く服着なさいよ」
瑞樹は、智弘から視線を反らしたまま部屋へと戻っていった。