【デスノートは】おもらしノート【関係無い】at EROPARO
【デスノートは】おもらしノート【関係無い】 - 暇つぶし2ch279:名無しさん@ピンキー
07/03/10 12:41:44 7bQdBPxh
《3時間目:数学》
またしても『第0問』が書きこまれ、同時に尿意がこみあげてきた。1時間目から
ずっと我慢している数人には耐えがたい苦痛だったが、一度でもその命令に屈した
者にとってはもはや大きなインパクトをもたない指示だった。
何も考えずとにかく平仮名を羅列すれば用が足せる、落ち着いて試験が受けられる。
それが彼女たちの導きだした方程式だった。50人の少女は先を争って魔法の呪文を
書きあげ、トイレへと向かった。安心して試験を解きはじめた彼女たちは、慌ただ
しく連絡をとりあう試験官の動きには全く気付かなかった。

進軍ラッパの校章が誇らしげに輝いている。この場所に来るのは3年ぶりか。
僕は帽子を目深に被りなおし、誠蘆館高校の正門をじっと見つめていた。僕の高校を
受験する生徒の多くは誠蘆館を併願する。ひらたく言えばウチは滑り止めだ。
「あはは、おにいちゃんは滑ったんだね」マキが無邪気に人の古傷をえぐってくる。
大きなお世話だ。筆記試験は問題なかったんだ、面接で「好きな映画:超能力学園Z」
なんて答えさえしなければ…少なくとも僕はそう信じている。
それはともかく。いつも僕たちを見下している誠蘆館に一泡吹かせるため、僕は例の
我が校の出願データから、容姿・学力・素行ともに優秀な女子生徒を100人ほど選んで
おもらしノートで指示をくだした。3、40人は併願しておらず無駄になるだろうが、
まあ仕方ない。かなり細かな指定を書きすぎて腱鞘炎になったがそれも構わない。
自分は合格して当然と思っている娘たちをどん底に陥れ、毎年誠蘆館に奪われる優秀
な美少女を母校に取り戻すためだ。
なんという愛校心。うちの理事長から金一封貰いたいところだね。
僕は校内で尿意に抗がっている少女たちの姿を想像してほくそ笑んだ。

「解答用紙の回収が終わりました。これから昼食休みですが、その前に試験本部から
 ひとつお知らせがあります」
試験官の言葉に教室がざわめく。
「本日は、一部学生による試験中の頻繁なトイレ使用か目立っている」
くすくすと笑いがおこり、自覚のある女子生徒の何人かは耳まで赤くなった。
「もちろん体調のことだから仕方ないが、できるかぎりトイレは昼休み中に済ませて
 おくこと。それでは退室して結構です」
それができれば苦労はない。60人が一斉に心のなかで叫んだことだろう。

《4時間目:英語》
よろめく足取りで錆びた椅子の残骸を掻きわけ、旧講堂の裏側に出る。
なかば予想はしていたことだが、試験中立入禁止にも関わらずそこには既に四人もの
先客がいた。セーラー服、ブレザー、私服……出身中学はばらばらだが彼女たちは皆
一様にスカートの股間を押さえ、限界以上の尿意をこらえていた。
『ここまで一度も「問題0」を使わなかった貴女の我慢強さに敬意をあらわし、特別
 ボーナスを進呈します。昼休みの間、旧講堂裏で用を足すことを許可します』
3時間目の終盤、自動筆記で送られてきたメッセージだ。
そこは、剥き出しの側溝しかない狭い通路だった。変電施設と廃棄された備品が壁に
なって校舎側からは死角、旧講堂裏側の壁に窓はなく、フェンスを隔てた外部の路地
には引越し便の巨大なトラックが停車し視界を完璧に遮っていた。
迷っている時間はない。五人の少女は無言で頷きあい、講堂の壁にもたれかかるよう
にして思い思いの姿勢でしゃがみこんだ。
しゅあ…ちょろろろ…じょあぁぁぁ…
側溝めがけて、五本の奔流が弧を描く。誰もが光惚の表情を浮かべていた。
トラックが突然動きだしたのは、その直後だった。唖然と見送る五人の視界から車体
が消えると、路地の対岸にある小じんまりしたオープンカフェが代わりに姿を現した。
静かな昼食を楽しんでいた数人の男女が、凍りついた。
悲鳴。
彼女たちが午後の試験に出席することはなかった。
誠蘆館の入試では数人のリタイアなど、よくあること。誰も気には留めなかった。


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