三雲岳人作品でエロパロat EROPARO
三雲岳人作品でエロパロ - 暇つぶし2ch300:絶対封印プラグイン 第7回-B
08/02/15 15:22:56 iXM7OtZl
 
『は……く……ううっ』
 同時に、操緒のうめくような声がする。だが紫浬さんは、そこで僕たちを解放してくれず、
「だめ……もっと……もっと……わたし、も……」
 熱に浮かされたような声を出しながら、僕をしごき続けた。
「う、わ……」
 驚いたことに、今し方一回終わったばかりだというのに、軽い射精感が僕を襲う。それも繰り返し。これは……一種の拷問だ。だが、共鳴し増幅された魔力のおかげか、何とか持ちこたえる。
 操緒は、声すら立てられないようだった。僕にもそちらの様子を確かめる余裕などなかったが、お互いの感覚共有が進んでいるせいか、繰り返し絶頂に押し上げられて、きつく強張らせて反っくり返った体を、小刻みに痙攣させているのが、気配で感じられる。
 どれだけそうしていたのか、そのうちに力つきて一旦ぐったりとなり、そこでようやく声を出せるようになったらしく
『や……は、だめ……もう、だめ……ゆるして……』
 息も絶え絶えに懇願するのが聞こえた。僕と操緒の反応が鈍くなったことに気付いたのか、紫浬さんもとりあえず手を止めてくれる。だが、声はやや不満げで、
「もう……まだ、ですよ……わたしも……よくなりたいのに」
 僕が荒い息を整えようとしながら、そちらを見ると、紫浬さんは片手を僕に添えながら、もう片手を自分のシャツの裾の中に潜り込ませていた。その手と腰が、微妙に動いている。たまらなく、色っぽい。
「ゆ……紫浬さん……」
 頭をもたげてみると、意外に簡単に動いた。さっきより、体に力が戻っている。どういうことだ? 頭を振った僕をどう見て取ったのか、紫浬さんは再びゆるゆると、硬さを保ったままの僕をさすり始めた。
「うふ……また……」
 いやに熱っぽい視線で、僕のあそこを凝視する。まさか。そんな、精液まみれのそれを。ありえない、と思う僕の目の前で、紫浬さんは、かすかに頬笑みながら、それにそっと口づけた。その接点から響く感覚が、僕をまたもやのけ反らせる。と同時に、
『は、はああんっ!』
 横合いから、操緒の甲高い声がほとばしった。必死な声で、
『や……だ、だめっ、だめっ! 今はほんとにだめっ、それだめっ、だめだめだめええっ!』
 そう叫んだが、そんな弱みを見せてしまえば、紫浬さんが簡単に許してくれるわけがない。
「うふふ」
 含み笑いとともに、紫浬さんは、舌の先で僕の先端をちろり、と舐めた。

301:絶対封印プラグイン 第8回-A
08/02/15 15:23:59 iXM7OtZl
 
「うおっ」
『あ、お……んっ、は』
 指とは全く異なる、柔らかくて暖かくて繊細な刺激に、僕も操緒も、ほとんどうなり声のような喘ぎを放つ。そんな僕たちの耳に、紫浬さんのうっとりした声が流れ込んできた。
「ああ……すっぱあい……うふふ」
「ゆ、紫浬、さん……」
 最初の一撃のあと、少し間が空いたので、紫浬さんの方を見る。紫浬さんほどの整った美貌が、真っ赤に上気して妖艶きわまりない微笑を浮かべ、僕のそれに寄り添っている様は、この上なく僕の劣情をそそり立てた。つい、腕を上げて紫浬さんの耳のあたりを撫でる。
「んんっ……」
 紫浬さんはむずがるような声を出し、それから、少しだけ咎めるような表情を僕に向けたが、目が疑いようもなく笑っていた。
「トモハルくんたら……まだ足りないんですね……えっち」
 いや、休みなく責め立ててくれてるのはそちらなんですが。僕が苦笑いした瞬間、紫浬さんが僕のものを口に含み、舌をそっと這わせてきた。
『は……ん……』
 それだけで、操緒は軽く達したのかもしれない。しばらくせっぱ詰まった呼吸音だけがしていたが、紫浬さんの唇と舌の動きが激しくなるにつれ、
『は、や、はあっ……や、や、そこ、いや、いやいややあっ……や、は、あんっあっあっあっ……だめ、だめ、いや、だめえ……だ、……め、……だ……は……あ……あ、あ、また、あ、もう、あ、だめ、いや、だめ、もう、も……う……ん、ん、は』
 少しずつ悲鳴のオクターブを上げていっては途切れ、また元に戻るという繰り返しを続けた。もちろん、僕も同じように翻弄され続けていて、操緒のように間断なく頂点を極めるわけではなかったが、ほぼそれに近い状態だった。
 紫浬さんの舌使いが妙にツボを心得ているとか、共鳴現象のおかげで体力気分ともに盛り上がっているというのもあったが、そもそも、紫浬さんが僕のものに口でしてくれているという状況そのものが、僕をたまらなく興奮させる。
「ゆ……ゆか……り、さん……もう……」
「んー?」
 僕と目を合わせた紫浬さんは、そっと僕から唇を離す。
「なあに? トモハルくん」
「い、いや……だから……」
 なんでやめるんだ、そこで。同じように責めから解放された操緒の荒い呼吸音の中で、僕は不意に勘づいた。紫浬さん、まさか。
「なんですか……?」
 紫浬さんは触れるか触れないかのタッチで、僕の裏筋を撫でる。操緒が『は……っ』と身をよじるのが感じられた。僕も、その一撫でだけで、こちらには交渉の余地などなくなったことを悟る。
「ゆ、紫浬さん……」
 それでも何とか言葉にせず、目だけで訴えてみたが、紫浬さんは素知らぬふうに、
「なにか、言いたいことがあるんですか……?」
 ゆっくりと、僕のそれをなぞるようにして舌を上下させながら、訊いてくる。く……くそっ。なにが、Sっ気だ。ドSじゃないか。いつの間にか、また朱浬さんになってしまったとかいうんじゃないだろうな。

302:絶対封印プラグイン 第8回-B
08/02/15 15:25:02 iXM7OtZl
 
「で、ですから……」
「ですから?」
 指と舌で僕を生殺しの状態に保ちながら、よくもそんな無邪気な声が出せるものだ。女は、魔物だ。僕は、全面的に降伏せざるをえない。
「つ、続けて……」
「なにを?」
 なおも言いながら、僕の先端を舌裏でくるりと一周する。操緒が『はお……うっ』と鳴き、僕もその一撃に思わず達してしまいそうになったが、最後の瞬間に紫浬さんに根元を強く握りしめられて果たせなかった。アンタ、いつそんな技を覚えたんだ。
「なにを、ですか……?」
 だめ押しで訊かれて、けれど、こっちには暫く応える余裕なんてない。深呼吸を繰り返すのだけで精一杯だ。そんな僕を見て、紫浬さんは妖しく頬笑む。
「言ってくれないと、わからないです……」
「で、ですから……続けて……僕の……」
「僕の?」
 僕にためらいなど持たせないためか、指と舌で全体をつつうっと撫で上げる。おおっ。
「ぼ、僕の……ペ、ペニス……最後まで、続けて……ください……お願い、します」
「ふふ。……ほんとはもうちょっと、ですけど……トモハルくん、可愛いですから、許してあげますね」
 そんなことを言って、紫浬さんも限界だったんだと思う。待ちかねたように思い切り、僕の一物を頬張った。
『あっ、ああああっ……は、あ、や、や、や……は……や……もう……ヘンに……な、っちゃ、う……や……も、も……う、だ……だ……めえ……』
 とたんに、操緒のソプラノが響き渡る。それも、紫浬さんが情け容赦なく吸い立てなぶってくるうちに、沈黙した。呼吸音すら聞こえないが、僕の方もそれを気遣うことなどできない。目をきつく閉じ、紫浬さんの頭をつかまえると、僕の股間に押しつけた。
「!……っ」
 紫浬さんから驚きが如実に伝わってくるが、離したりしない。紫浬さんもすぐに、動きを再開し、それも、より一層加速させた。ああ。もう、ダメだ。
「う……くうっ」
 僕の腰が跳ね上がり、そこで凝固する。委細構わず、僕は暖かく湿った中に包まれて、全てを解き放った。それも、三回くらいは波があったと思う。
『ん……あ……は……はあ、はああああっ……』
 我に返ったのは、操緒の感極まった後の深いため息を聞いたときだった。少し手の力が緩んだせいか、紫浬さんが急に体をもぎ離すようにして上体を跳ね上げ、それから僕の上に倒れ込んでくる。
「う……げ、げほっ……か……あっ」
 背を丸めて、咳き込んでいた。それを見て、少し背筋が冷える。僕は、何をしたんだ。

303:絶対封印プラグイン 第9回-A
08/02/15 15:26:23 iXM7OtZl
 
「あ……す、すみません……大丈夫……ですか……?」
 紫浬さんは、口元に手を当てながら、僕を睨んだ。目に、うっすら涙がにじんでいる。真剣に恨みがましい口調と目つきで、
「ひ……ひどいです……け、けほっ……トモハルくん……」
「い、いや……すみません。夢中で……でも、紫浬さんが……」
「わたしが?」
「いや、何でもないです……すみませんでした」
 体を起こし、紫浬さんを覗き込む。おや。案外にすんなりと体が動く。
「本当に……大丈夫ですか?」
「だいぶ……飲んじゃいました……もう……」
 本当に、申し訳ないことをした。決して美味しいもんじゃない、というか、はっきり言うと、不味いだろうに。お詫びのつもりで、紫浬さんの頭を軽く撫でると、紫浬さんは僕の胸に顔を擦りつけてから、僕を見上げてくる。
「もう……責任、取ってくださいね?」
「えーと……」
 ちょっと怖いことを言われた気がする。あのう、責任といっても、いろいろあるのですが。などと考えていると、紫浬さんが背伸びをして僕に顔を近づけてくる。僕は、僕が放出したものにまみれたその口元に、こちらからキスをした。
 まあ……何というか、ヘンな匂いと味だった。自分でもそう感じるんだから、他人にこんなことは二度と頼めないなあ、と思う。せめてもの罪滅ぼしのつもりで、できるだけ、紫浬さんの唇や口の中のそれを、舐め取ってあげた。
「ん……ふ」
 紫浬さんの体が軽く震え、僕から顔を少し離す。有り難いことに、恥ずかしそうな頬笑みを浮かべてくれていて、こちらもほっとする。
「もう……トモハルくんたら」
「紫浬さん……」
「わたしに……わたしったら、あんなこと……ほんとに……もう」
 ああ、ちくしょう。反則的に、可愛い。僕の中で、何かがむくりと頭をもたげた。またか。あの罰当たりなプラグインの影響がどこまで続くのか、良く分からなかったが、今はそれに身を委ねるしかないのか。
「紫浬さん」
「は……はい?」
 急に真面目な声を出した僕に、少し戸惑った感じの紫浬さんを、僕は横向きざまに押し倒した。ベッドの上で体を入れ替えるようにして、紫浬さんの上にのしかかる。半ば意外なことに、紫浬さんも目立った抵抗をせず、ぐったりとしどけなくベッドに横たわった。
「トモハル……くん……?」
「紫浬さん……いいですか……?」
 紫浬さんは、言葉では答えなかった。ただ、恥ずかしそうに目を細め、僕の首に腕を回してくる。
『ト……智春お……?』
 そんな僕たちを、操緒が横から覗き込んできた。ようやっと、忘我の境地から復活してきたらしい。艶やかな髪がほつれて肌にこびりつき、全身が桃色に染まって、これが操緒かと思うくらいに、色っぽかった。

304:絶対封印プラグイン 第9回-B
08/02/15 15:27:37 iXM7OtZl
 
『まだ、するの……?』
「操緒さん……その……」
 紫浬さんが目を伏せ、腰をもじもじさせる。あの、済みませんが、こっちと下半身が触れ合った状態でそういうことをされると、正直辛抱たまらんのですが。
「わたし……まだ……」
 その上に、こっちの理性を吹き飛ばしてしまいそうな呟きを漏らしてくれる。思わず僕も頷いてしまい、
「操緒……僕も、ガマンできない」
『ふーん』
 操緒はジト目で睨み付けてくるが、その表情にも悦楽の余韻がそこかしこに色濃く残っていて、迫力に欠ける。そうするうちに、操緒は、ふっ、と息を吐いて少し肩をすくめた。
『止まんないんだよね……あれのせいなら……仕方ない、ってことにしといたげる』
「ごめんな」
 僕が、一応済まなさそうに微笑ってみせると、操緒はそっぽを向いたが、頬から耳にかけてが赤く染まっていた。こいつも、こんなに可愛かっただろうか。プラグインの影響だかなんだか知らないが、今日はいろんなものが日頃と違って見える。
 僕は、あらためて紫浬さんに目を落とした。一分の隙もなく整った美貌。おっとりとした笑顔。熱っぽく潤んだ黒い瞳に、紅潮した滑らかな頬。細い首筋。繊細な鎖骨の曲線。半ば以上はだけたワイシャツを持ち上げるふくらみの先端が、はっきりと尖っている。
 僕はその光景に息を呑みながら、少し震える指でゆっくりと、ワイシャツの残るボタンを外していった。紫浬さんはその間なすがままになっていたが、ボタンを外し終わった僕が肩口からシャツを引き下ろすと、少し背中を浮かせて袖から腕を抜いてくれた。
 綺麗だった。いつぞや、ちらりとだけ見た時にもそう思ったが、今こうしてゆっくりと眺めていると、感動すら覚える。すらりとして、それでいて女性的な曲線に満ちた肢体。程良く豊かで形のよい胸。しみ一つなく最上質の白磁を思わせる肌。全てが神々しかった。
「や……」
 僕の視線に耐えきれなかったのか、紫浬さんが少し体を捩る。
「トモハルくん……」
 誘うように名を呼ばれて、僕は紫浬さんの胸元に顔を近づけた。細い鎖骨に、そっと口づける。
「あんっ……」
 紫浬さんの吐息に力を得て、肩先へと唇をすべらせた。と、そこにうっすらとした線のようなものを見た気がして、僕は自分の動きをいっそう優しくした。
 そうなのだ。このひとの体の半分は機械……というか、兵器なのだ。最近は当たり前にすら思っていた事実が、この時だけは、僕の心に突き刺さった。嬉々として膨大な火力を振り回すこのひとが、その裏でどんな想いを抱えているのか、僕は、何も知らない。
 あの飛行機事故で致命傷を負った体を黒科学で繕ってまでして、《白銀》の副葬処女となった双子を救い出す術を求めて。なのに哀しみも苦悩も決して表に出さず、自分のことすら偽って、いつもおっとりと余裕な顔で笑って。どうしようもなく悪戯好きで傍迷惑で。
 ああ。僕はこのひとを知っている。黒崎紫浬でもあり、黒崎朱浬でもある、このひとを。だが、僕が知っているこのひとは、ままならない世界に向かって精一杯突っ張った挙げ句に、ある名前を高らかに告げるのだ。僕にも、その名前でこのひとを呼べと言うのだ。
「……トモハルくん?」
 僕の動きが鈍くなったためか、やや不安げな声がした。機械の部分を前にして、僕がためらったとでも思ったのだろうか。見損なわないでほしい。僕は顔を上げてその双眸を覗き込み、囁いた。
「……綺麗ですよ。朱浬さん」

305:絶対封印プラグイン 第10回-A
08/02/15 15:28:51 iXM7OtZl
 
 反応は、速やかだった。瞳が揺れたかと思うと大きく見開かれ、うっとりとした笑みが薄れ、僕の首に回された手がゆるむ。
「え……」
 この上なく戸惑ったその表情に向かって、僕はもう一度、その名を呼んだ。
「朱浬さん」
「ええっ……ト……トモハル……くんっ……な……なに……」
「何って……僕の知ってる朱浬さんは……朱浬さん……ですから」
「あ……」
 何か言おうとしたらしいが言葉にならず、しばらく口を開けたり閉じたりした後、見る見るうちに耳まで真っ赤になると、いきなり胸を腕でかばい、こちらに背中を向けた。えーと……どうしたんだ、一体。
「や……やあっ……トモハルっ……見ないでっ」
「え、ええと……」
 つい今し方までの態度との落差に、僕は呆然とせざるを得ない。
「あの……朱浬さん?」
「あ……や、あたし……あたしっ」
 僕の呼びかけに、一層背を丸めて、縮こまる。これは、もしかして。
「……恥ずかしいんですか?」
 耳の側で小声で訊いてみる。ぴくりと震えた体が、何よりも返事になっていた。なんてことだ。紫浬さんでいる間は、あれだけ大胆に振る舞った人が、いつもの名前で呼ばれた瞬間に我に返ってしまったらしい。しかしそれにしたって、
「朱浬さん……だって、いつも僕の前じゃ……」
 素肌にしろ下着にしろ普通に見せたり触らせたり、恥じらいなど微塵も感じさせたことがないというのに、これは一体どういう風の吹き回しなんだ。
「そ、それは……違っ……あ、あたし……あんな……こんな……」
 それでも、身も世もなく体を竦ませる朱浬さんは、ひどく新鮮で可愛かった。この人は、こんなところがあったのか。
『へええ……』
 隣から操緒の声がして振り向くと、そっちもかなり驚いた顔をしていた。僕と目を合わせると、だが、にやりと笑ってみせる。
『これはこれは……』
 何か、よからぬことを考えてるんじゃあるまいな。ちょっと不安になりながら、
「朱浬さん」
 僕が再び耳に囁くと、朱浬さんはびくっとした。そのまま無理にでも体を開かせてしまいたいという、自分の中で荒れ狂う衝動に必死に耐えながら、訊いてみる。
「……嫌、ですか……?」
 朱浬さんは、答えない。綺麗な黒髪が顔にかかって、どんな表情をしているのかも良く分からない。僕は、そっとため息をついた。ここで引き返せるかどうか自信など全くなかったが、朱浬さんがどうしても嫌だというなら、努力はしてみよう。
「……嫌なら……」
「……じゃ、ない」
 ごくごく小さな、呟きだった。

306:絶対封印プラグイン 第10回-B
08/02/15 15:30:05 iXM7OtZl
 
「はい……?」
「じゃない、けど……あたしも……だけど……」
 朱浬さんらしからぬ弱々しい声音に、それ以上何かを言わせるのは、酷だと思った。だから、僕は唇を朱浬さんの首筋へ移した。僕の吐息がかかるだけで感じるらしく、時折ぴくりと反応し、軽い喘ぎ声を漏らしてくれる。
 お互いの間の共鳴現象は、まだ僕たちを解放してくれていないのだった。それでも、一気に朱浬さんの肉体を蹂躙してしまいたくなる自分を辛うじてコントロールしながら、ゆるやかに愛撫を続けるうちに、
「は……あうっ」
 朱浬さんが鮮烈な反応を示したのは、僕の唇が肩胛骨のあたりをなぞったときだった。丸くなっていた背中がきれいにのけ反る。僕は、同じところに舌を這わせた。
「そ……そこ、だめえぇっ……どうして……生身じゃ……ないのにいっ、うん、んっ、あ、は、あ」
 違う。生身ではないから、機巧魔神の部分だからこそ、感じるのだ。僕や操緒と、《黑鐵》と、響きあうのだ。ああ。これ以上自分を抑えるのは、僕にとっても無理だ。
「朱浬さん」
 僕は、朱浬さんの肩をつかむと、やや強引にその体を仰向かせた。朱浬さんも抗いかけたが、僕の力の方が強い。朱浬さんの心理的な変化を抜きにしても、さっきまでと物理的な力関係が逆になってしまっているのは、どういうわけなんだ。
 朱浬さんは、少し眉をひそめながら、それでも僕を真っ直ぐに見た。
「トモハル……」
「すみません……僕も……もう限界です」
『そうですよ……朱浬さん? 智春が、可哀想ですよ』
 横合いから、操緒も朱浬さんを覗き込む。
『大丈夫……よくしてあげますから。あたしもついてますって』
 その口調にやや不穏なものを感じはしたが、僕は朱浬さんから視線を外さなかった。
「お願いします……このままだと」
「うん……」
 朱浬さんは軽く目を閉じて、熱くてかぐわしい息を吐いた。
「あたしも……ダメ、みたい。トモハル……こんなの……でも……」
「……すみません」
 朱浬さんは、かぶりを振った。
「謝らないでよ……そんなこと、しないで。トモハルは……あたしのこと……嫌いじゃ、ないでしょ?」
 好きか、とは朱浬さんは訊かなかった。僕も、そう訊かれたら、どう答えたらいいか分からなかった。逃げかもしれないが、今の僕たちの間柄には、朱浬さんが口にしたような微妙な表現がぴったりだと思う。だから、僕は答えを迷わなかった。
「嫌いじゃないですよ。もちろん」
「ん……なら、いい」
 朱浬さんは、少しだけ唇を尖らせ気味にして、微笑んだ。僕はそこに向かって、自分の唇を寄せる。紫浬さんと交わしたのとは全然違う、軽くて、それでいて熱い口づけだった。

307:絶対封印プラグイン 第11回-A
08/02/15 15:31:14 iXM7OtZl
 
「んっ……」
 キスを終えた後も、朱浬さんの表情は何かを堪えるように、妙に固かった。やはり嫌なのか、と少し迷った僕の横に、操緒が顔を出す。
『ふふ……朱浬さん。可愛い』
「操緒……?」
『いーのいーの。智春は続けてっ』
 言われるままに、僕は朱浬さんの顎の線をそっとなぞり、柔らかそうな耳へ唇を近づけた。耳にかかる艶やかな黒髪を指でそっとかき分け、真珠みたいに色づく耳たぶをそっと撫でてあげる。
「っ……」
 くすぐったいのか、朱浬さんが肩を竦ませた。僕はできるだけ優しく、その耳孔のあたりに舌を触れさせる。
「……っふ……っ」
 途端に、朱浬さんが僕から逃げるようにして首筋をそらせた。僕の眼前にさらけ出された、血管さえ透けて見えそうにきめ細かな皮膚が、目に鮮やかだった。特に香水など付けてはいない筈が、えもいわれぬ芳香がにわかに立ち上ってきて、僕の嗅覚を痺れさせる。
 頭がくらくらしながらも、僕は乱暴にならない程度に朱浬さんの頭に手を添え、その耳朶と首筋へ軽い口づけを繰り返した。キスマークは……やっぱり、まずいんだろうな。それでも、そんな微かなタッチにも朱浬さんは時折反応して、体を震わせる。
 そして、僕が耳元から首筋へ移ろうとして、耳と生え際の間あたりに舌を滑らせたときだった。
「んっ……く、はっ……」
 朱浬さんが首を大きくのけ反らせ、堪えきれなかったかのような吐息を漏らした。僕の拙い愛撫でも感じてくれているらしい。それが嬉しくて、再び同じところを唇と舌でくすぐってあげる。
「は、あっ……あ、ん……や、あ……んんっ」
 今度は、艶めいた声が上がった。いったん顔を上げて、朱浬さんの表情を覗き込むと、僕とは反対側に反らせた顔は見事に紅潮し、片手の人差し指を唇の間に噛み締めている。どうも紫浬さんとは違って、朱浬さんはあまり大胆に振る舞えないひとらしい。
「朱浬さん……」
 耳に囁くと、僕の息がかかるだけで感じるのか、いっそうきつく目を閉じた。
『うふふ。朱浬さんたら。びんかーん』
 操緒が嬉しそうに言う。
『これは、やりがいがありそうだわー』
 何をするつもりだ、お前。僕が軽く睨むと、操緒は含み笑いで応え、さっ次、と僕に指示した。言われなくたって、続けるさ。しかしこれは……レゾネータの影響で、全身が感じ易くなっているとしか思えない。でなければ、僕の稚拙な愛撫にこうも反応しないだろう。
 僕はあらためて、朱浬さんの首筋から肩先へ唇を走らせた。ところどころで鋭い反応を示すポイントを、できるだけ丁寧にケアしてみる。その都度、朱浬さんは呼気を荒くしたが、声を上げるのだけは、どうやら我慢しているらしかった。
 だが、その忍耐も、僕が鎖骨の端から、すっきりと絶妙な曲線を描く肩へと移動したとき、破られた。
「く、は、あ……あ、あ、や……やあっ、や……」

308:絶対封印プラグイン 第11回-B
08/02/15 15:32:20 iXM7OtZl
 
 単に、二の腕に唇を這わせただけなのだが、朱浬さんは大きく身を捩らせる。そうか。さっきの肩胛骨と同じで、このあたりは機巧魔神の部分なのだ。
 僕が、すらりとした腕の背中側を掌と指でなで下ろし、血管の透ける肘の内側や細い指とその間を舌でくすぐってゆくと、朱浬さんは必死に声だけはこらえながら、背中をのけ反らせて体をくねらせた。その痴態はあまりに美しく、僕の理性をじわじわと蚕食する。
 ひとわたり腕への愛撫を終えたあたりで、操緒が朱浬さんの顔を覗き込んだ。
『ふふっ。朱浬さん、頑張っちゃって。かわいーい。でも、ムダだよ?』
 操緒の声と同時に、僕は浬さんの腕を上へ持ち上げると、白い腋の下が露わになった。
『わ……きれいにしてある』
 操緒が感心したような声を上げる。腋毛の処理のことだろうか。ぼんやりと考えながら、僕はその柔らかい肉の上に舌を滑らせた。
「あ……やあっ」
 朱浬さんが悲鳴を上げ、腕を下ろそうとする。僕が腕を押さえつけているために、それができないと悟ると、体を横向きにして、僕から逃れようとした。構わずに、僕は腋の下の柔肌を舌でくすぐり、胸筋の付け根のあたりを唇で吸い立てる。
「ん……んんっ……く、は……や……や……ん、あ……や、あ……」
 朱浬さんはそれでも、手の甲を口に押し当ててまで、声を必死に押し殺そうとしていた。やっぱり、恥ずかしいのだろう。しかし、こんなところで感じるものなのか。我ながら、どうやってこんなことを思いついたのか不思議だった。その疑問が氷解したのは、
『朱浬さんも粘るねー……でも、ムダだって言ったでしょ。女の子の感じるとこなんて、分かってるんだから』
 操緒がそう含み笑いしながら言うとともに、自分が朱浬さんの腋の下から乳房に唇を移したときだった。どうやら、操緒に導かれているらしい。操緒が僕を乗っ取って操っているというわけではなく、僕と操緒が一体になってしまっている感じだった。
 朱浬さんの胸は、豊かに丸く張りつめ、その頂点で乳首が真っ直ぐに上を向いていた。これって、興奮して充血してるってことだよな。なんだか感動すら覚えながら、その下側の付け根あたりから頂点に向かって、唇と舌で軽く撫で上げる。
「ふ……あっ」
 朱浬さんの体が跳ねた。構わず、両脇から全体を柔らかく揉みほぐすようにしながら、乳首の上にすっぽりと唇をかぶせる。かすかにおののく乳頭にゆっくりと舌を這わせた。
「う、あ……や、や……や……は……ん、く……うぅっ……い……や……あ、ふ」
 朱浬さんは、苦悶するように首を左右に打ち振り上体をあちこちへくねらせながら、途切れ途切れの嬌声を漏らす。何というか、大げさに喘がれるよりも、よっぽどこっちの腰の奥底に響いてくる気がした。
 そのまま何かに突き動かされるように、僕はいっそう、弾力に富んだふくらみを揉みしだき、乳首を吸い立てながら甘噛みしてみた。その瞬間、朱浬さんの背中が僕を持ち上げるようにしてそっくり返り、
「……っ、は……あ、だ……だめ、そ、ん……な、や、いや、だめ、だめ……え……えぇぇっ……っ」
 か細い悲鳴が次第に消え入り、そのままの姿勢でしばらく凝固していたかと思うと、不意に脱力してベッドの上へと崩れ落ちた。これって、もしかして。
『あらー。もう?』
 操緒が、胸を大きく上下させるので精一杯な風情の朱浬さんに寄り添うようにして横たわり、囁いた。
『まだまだ序の口なのになー。さっきは、ずいぶんよくしてくれたもんね……お返しだよ。いっぱい、喜んでね』

309:絶対封印プラグイン 第12回-A
08/02/15 15:33:43 iXM7OtZl
 
 そう言う操緒の声に込められた情念はちょっと怖かったが、僕は敢えて逆らわないことにした。僕一人なら、ぎこちない愛撫の果てに途方に暮れてしまったのかもしれないのだし、こんな成り行きでも朱浬さんを大事に扱ってあげられるなら、なんだって構わない。
 僕は、愛撫の対象を乳房から脇腹へ移した。肋骨さえ透けて見えそうなくらいに贅肉のひとかけらもない肌を舐め、撫で、くすぐり、吸う間も、朱浬さんは声を立てず、ただ絶えず背をのけ反らせ、体をよじって快感に耐えていた。
 しかしそれにしても不思議なのは、本来ならこの人が本気になれば、僕を吹っ飛ばすくらいは簡単な筈なのだ。それがさっきから、せいぜいが腕で力無く僕を遠ざけようとするくらいで、それも僕の動きの前にあっさり抵抗力を失うばかりなのは、どういう訳なのか。
 訝しく思いつつも、僕はさらにその下へ移動し、へそのあたりをしきりにくすぐって朱浬さんの身体を震わせたあと、ショーツのすぐ上の腰骨の上に唇を当てた。
「あ……は、あっ」
 そこで、朱浬さんが声をほとばしらせた。なるほど、ここか。口を少し開いて広めに吸い立ててあげながら、舌で撫で上げる。
「ふ、や、あっ、あ、あ、だ、だめ、や」
 朱浬さんの腰がうねるが、僕はがっちりと掴まえて離さなかった。反対側の腰骨のあたりも同じように愛撫してあげてから、ようやく一息入れる。
「は、はあっ……は……ふ……」
 朱浬さんも胸を大きく上下させ、荒い呼吸を繰り返す。操緒がその顔を覗き込んで、にんまりと笑った。
『んーん、いい感じ……次は、このきれいな脚かな。腕であんなに喜んでくれたんだから、こっちも、いっぱい可愛がったげるね』
「あ、やあ……」
 朱浬さんが少し頭をもたげ、哀願するような視線をこちらに寄越したが、操緒も僕も斟酌などせずに、長くて美しい太腿へと舌を滑らせた。
「んくう……う、は、あ……は、や、やっ……や、あ、あ……ふ、あ……」
 身をくねらせる朱浬さんの動きに合わせながら、とても機械とは思えないほど柔らかくて暖くて感じやすい脚を伝い、膝のお皿をひとしきりくすぐり、足の甲にそっと口づけたときだった。
「は……あ、あうっ、あ」
 朱浬さんが、高らかな悲鳴とともに、腰を浮かせた。
『ふーん……こんなとこも、なんだ』
 僕の横で、操緒の熱に浮かされたような声がする。僕は足の甲からさらに、足の指の股へ舌を差し入れた。そこでの朱浬さんの反応は、さらに鮮烈だった。
「あ、や、やあっ、あ、は、だめそこっ、だめえっ……な、なんで、は、あ、そ……ん……なあっ、とこ、でえっ……ふ、や、だめ……だ……め……い、や……」
 自分で責めておきながら言うのも何だが、意外なところが弱いんだなあと感心しながら、続けて指を一本ずつ吸い立て、その間を舌でくすぐる。朱浬さんはそのうちに声さえ出なくなったようで、ただベッドの上で左右に美しい肢体をのたうち回らせていた。
 ようやく僕(と、たぶん操緒)が朱浬さんを解放したとき、朱浬さんはただぐったりと横たわり、荒い呼吸を繰り返すだけだった。もしかすると、軽く達していたのかもしれない。
「……ふ……ふ、は……は……あ……」
『朱浬さん、どう……? こっからが、ヤマよ?』
「あ……」
 操緒のねっとりした声にも、訝しげな瞳でこっちを見るのが、やっとらしい。それもすぐに、僕が、モデル並にすらりと長くて美しい脚を伝って戻っていきながら、膝の内側の柔らかい部分や内股の張りつめた肌に舌を這わせると、朦朧と閉じられてしまった。

310:絶対封印プラグイン 第12回-B
08/02/15 15:35:04 iXM7OtZl
 
 僕は朱浬さんの腰のあたりまで来たところでいったん体を起こし、その脚の間に体を差し入れると、その充実した腰の両側に手をつき、あらためて朱浬さんを見下ろした。滑らかで紅潮した裸身が、前戯による快楽の余韻に浸って息づき、かすかにうねっている。
 高校生ばなれした、どころか日本人ばなれしたスタイルの麗しい肢体が、僕と操緒による愛撫と、内側から突き上げてくるものとの板挟みになって震え悶えるその姿は、凶悪なまでに蠱惑的だった。
 我ながら、ここまでよく冷静さを失わずにきたと思う。我を失って朱浬さんを傷付けることだけを、僕は怖れていた。ここから先も、何とか持ちこたえられるといいのだが。
「朱浬さん……?」
 僕の問いかけに、朱浬さんはうっすらと目を開け、僕の姿を捉えた。僕は、能う限り安心させるような笑みを浮かべてみせて、
「いきますよ……?」
「あ……や、ん……」
 承諾なのか拒絶なのか判然としない弱々しい声が聞こえたが、僕はそのまま朱浬さんのすらりと伸びた脚を持ち上げ、押し開いた。ショーツに覆われた恥部が、僕の眼前に広がる。その真ん中には大きくしみが広がっていた。女の人が濡れるというのは、こういうことか。
「やっ……そんな……見ない……で」
 少し意識がはっきりしてきたらしい朱浬さんが頭を少しもたげて抗議するが、
「朱浬さんだって……人のをさんざん……でしょ」
 僕が言い返すと、真っ赤になって顔をそらした。
「だって……あれは……」
 紫浬さんがしたことだ、とでも? そんな言い訳が通用するとでも思ってるのか。僕は容赦なく、ショーツの上から、その中心を指で縦になぞった。
「ふ、あんっ」
 朱浬さんがのけぞる。濡れたショーツが、その下にある割れ目にぴったりと張り付いて、頭がくらくらするような眺めだった。その中に、一箇所だけ少し膨らんだところが目に付いたので、指の頭で撫でてみる。途端に、朱浬さんの腰が跳ね上がった。
「や、あ、やあっ……や、そこは」
『んー? なに、かな?』
 からかうような操緒の声に、朱浬さんが唇を食いしばる気配がする。僕は気にせず、さらにその突起を指でなぶり続けた。
「あ、や……や、は、い、い、いや、や、は……あ、や、は、んんっ……く、う、や、や、やあ、あ、んん、ん、や、は、や……あっ、あ、あ、あ……や、いや、いや、も、や、は、や、あ……ん、く、あ、ふ、あ、や……あぁっ……」
 朱浬さんは僕の頭を手で押しやろうとしたが、僕が頭を振って避けると、しまいにはシーツを掴んできつく絞り立てるようにねじった。僕が適当なところで一旦手を止めると、ずっとブリッジ状態だった背中が、どすんとベッドの上に落ちる。
「はっ……ふっ、は……は……や……トモハル……は……あ……そんなに、したら……あ……あたし」
 荒い息の下から、切れ切れに恨み言が聞こえてくるが、その声音は、どう控えめに見ても色っぽすぎた。
『んふふ。まだまだだよ。ね、朱浬さん?』
 操緒の声を合図にして、僕はショーツに手をかけた。
「あ……」
 朱浬さんは抗うような声を上げたが、僕が内股から膝のお皿にかけて舌を這わると嬌声を上げて腰を左右によじり、そのおかげで、何とかショーツを腰から長い肢に沿って抜き取れた。朱浬さんが軽く閉じようとした両脚を、あらためて左右に押し開く。
「やあっ……」
 朱浬さんが顔を横へそらす。僕はため息をつくようにして、言った。
「……きれいですよ。朱浬さん」

311:絶対封印プラグイン 第13回-A
08/02/15 15:36:33 iXM7OtZl
 
 それは掛け値なしの本音だった。
 柔らかい陰毛が茂る頂の下に、きらきらと光る粘液にまみれて、小刻みにひくつく襞とピンク色の粘膜が息づいていた。ただ、女の人のあそこを、あまりまじまじと見つめているのも男としてどうかという気がして、視線を上へ戻したところで、朱浬さんと視線が合う。
 朱浬さんの眼差しは怖いくらいに真剣で、僕を釘付けにした。
「……ほんとに?」
「はい」
「……気持ち、悪くない? 怖く、ない? あたしなんか……こんな半分機械の」
「朱浬さん……」
 僕は体を前に進め、朱浬さんの顔を正面から覗き込んだ。
「とっても、綺麗です。いつだって、そう思ってました」
 言動がアレだから、いくら外見が魅力的でも普段は到底そんな気を起こしたりしないが、それでも朱浬さんの美しさには、ことある毎に感嘆するのだ。嘘は言ってない。そのつもりだ。僕が目に力を籠めると、朱浬さんはけむるように微笑った。
「そ……ありがと。ありがとね。トモハル」
 そう呟くように言うと、僕の下でわずかに体を揺すった。
「ん……あたし……も……なんか……」
『ふふっ。朱浬さんも、ようやく盛り上がってきたねっ。これからが本番だからね』
 操緒の口振りすら、何となく優しげだった。僕は再び、朱浬さんの首筋から鎖骨、乳房、お腹を唇でたどり、朱浬さんの最も大事なところへ舞い戻る。
『さ、智春っ』
 操緒が促すのに乗って、割れ目の上の方に顔を出している小さな膨らみに、そっと口づけた。少し、ぴりりとする。
「ふ……はあ、あんっ」
 朱浬さんの肢体が跳ねた。両手で割れ目を押し広げると、突起が根元から露わになり、下の口に少し溜まっていた粘液がとろりとこぼれ落ちる。なるほど、豆だの真珠だのという形容は言い得て妙だなと思いながら、クリトリスを唇全体で包み込んだ。
「あ、や、だめっ、だめだめだめだめだめええっ」
 まだ目立った刺激も与えていないというのに、朱浬さんはあられもない声を上げながら、腰から上を左右に打ち振る。それと共に、僕の中でも抗いがたい何かが膨れあがる。くそっ……落ち着け。いつまでも、あんなプラグインに好きに振り回されてなるものか。
 僕は慎重に、唇に含んだものに舌を添えた。かすめるようにして、撫でてみる。その瞬間、
「はっ……や、だ、い……い、い……」
 朱浬さんが甲高い一声とともに全身を強ばらせた。少ししてから、腰ががくがくと揺れる。そこから目に見えない回路を伝って、朱浬さんから僕に、何かが渦巻き流れ込んでくる。これが……また、共鳴しているのか。
『うふふ……いいでしょ? まだまだ……あたしと同じになってね』
 操緒が言うと同時に、僕の舌が踊る。どこまでが僕の動きで、どこからが操緒によるものなのか、もはやよく分からない。操緒と僕もすでに、分かちがたく融け合ってしまっているのかもしれなかった。
「や……あ、ふ、くう、は……そ、そんな、や……は、や、あう…ま、待って……」
『んー? あたしもそう言ったよねー? ふふふ』

312:絶対封印プラグイン 第13回-B
08/02/15 15:37:53 iXM7OtZl
 
 操緒は容赦がない。レゾネータのせいで多少たががはずれてしまっているにしても、女は怖い。僕は、気を抜くと霞の彼方に消えてしまいそうな理性をつなぎ止めるのに一生懸命になりながら、朱浬さんに悦楽を与え続けた。
「う、は、あ……や、や、は、や、あ、あ、ま、また、また、い、あ、い……は……」
 僕の舌の動きに翻弄され続けた挙げ句に、再び朱浬さんの全身が硬直し、次いで痙攣する。ちょっと、やりすぎじゃないか、操緒?
『まだまだ……今度はね』
 僕は、朱浬さんの中から湧き出たものを自分の指にまぶすと、そのままゆっくり、中指を朱浬さんの中へ沈めていった。
「は……ん、ああっ」
 ぐったりとなっていた朱浬さんが息を吹き返す。僕が、ちょうどクリトリスの裏側あたりの中を指の腹で撫でながら、クリトリスを舌でなぶり始めると、
「だ、だめっ! それ、だめだめだめ、だ……めええっ」
 それまでにないくらい激しく腰がのたうち、せっぱ詰まった声を放った。あまりに動くものだから、うまく狙いをしぼりきれなくなったが、偶然、僕の舌がぬるりとクリトリスの上で滑った拍子に、なんだか、くるりと何かが剥けた。
「は……い……いやあっ」
 朱浬さんの動きが一瞬止まる。腰が高く持ち上がり、おかげで僕はその下に腕を入れて固定し、完全に露出したクリトリスと中への刺激を続けることができた。指も一本から二本に増やしたところ、朱浬さんの中が収縮しうごめく感触が如実に伝わってくる。
「っ……っ……は……っ……んっ……や……や、め……も……も、もう……っ……ま……っ…またっ……や……お……お、あ……っはっ……は、ふ、い、い……や……も……ゆ……ゆる……や……やあ……お、あ、は、ふ……あ……っ……っ……っ……、……」
 逃れようもない朱浬さんを、何度絶頂へ押し上げたのだろう。呼吸音すら聞こえなくなってから結構な時間があって、さすがに気になった僕が口と手を離すと、朱浬さんの腰が音を立ててベッドの上へなだれ落ちた。
「は……はっ、はっ、ふ、は、はあっ……ふ……は、はあ……」
 激しく上下する朱浬さんの胸は真っ赤に染まり、その頂で屹立する乳首がとんでもなく淫らに映る。
『ふふ……どうだった、朱浬さん? 満足した?』
 自らも何かスイッチが入ったのか、操緒が頬を上気させ、何かに濡れた声で訊ねても、朱浬さんは一言も答えない。ただ、荒い呼吸を繰り返すだけだった。
「操緒……やりすぎじゃないか」
『んー』
 操緒は僕にぞくりとするような流し目をくれて、微笑む。どうでもいいけど、なんか性格変わってないか、お前。
『大丈夫だよ、これくらい……智春は、優しいなあ』
「いや、でも……」
『ふーん。じゃ、次行こうか』
「……ああ」
 そうだな。僕も、そろそろ我慢の限界だ。頷いた僕を見た操緒はふと神妙な顔つきになって、
『嬉しい? 朱浬さんとこうなって』
「……それどころじゃないよ。もう、一杯一杯だ」
 正直に言ってみたら、
『ふーん。どうだか』
 ジト目で返された。いや、ほんとなんだって。

313:名無しさん@ピンキー
08/02/15 15:39:06 iXM7OtZl
今回はここまで。次回は朱浬さん本番篇+後始末篇。

314:名無しさん@ピンキー
08/02/16 03:25:19 OZOaULLS
GJ!
紫浬さんエロいよ紫浬さん

315:名無しさん@ピンキー
08/02/16 05:20:13 Oql7STgq
GJ!
朱浬さんエロいよ朱浬さん


316:名無しさん@ピンキー
08/02/18 21:17:17 G5/1NRnO
エロエロだー

317:名無しさん@ピンキー
08/02/21 04:08:45 p0vMHj0I
一番マロいのって誰だろうな?と思いながら星ゅ

318:名無しさん@ピンキー
08/02/21 23:48:24 tySGQiaz
>>317
そりゃもちろん、主人公をして「胸より尻が好き」と言わしめた酒屋の娘じゃまいか。

智春&操緒×紫浬&朱浬の最終分。朱浬さん本番篇+後始末篇。

319:絶対封印プラグイン 第14回-A
08/02/21 23:49:49 tySGQiaz
 
 実際、体が重い。朱浬さんへの愛撫を始めた時と比べて、明らかに身体を動かしづらかった。
 その原因も、そろそろ心当たりがあった。朱浬さんが達するたびに、僕の中へ流れ込んでくるものが、そこで凝り溜まって、僕の動きを鈍くしている。膨大な活力が体の中で行き所もなく、轟々と渦巻いている感じだった。
 なるほど……そういうからくりか。レゾネータの影響下で、快感の頂点を極めた方が放出し、相手がそれを吸収する形で、魔力の循環と増幅が行われているのだ。吸収ばかりが続くと、蓄積された魔力を扱いかねて、再放出するまで体が機能しなくなるのだろう。
 最初にキスで達したのは紫浬さんだった。それに、僕たちが来る前からかなり盛り上がっていたようだから、そこから結構な魔力が僕に流れ込んで、僕の自由を奪ったのだろう。むろん、最初に疑ったように、操緒と僕の共感作用も一役買ったに違いない。
 そこからは、僕が達し続けることで紫浬さんに増幅された魔力が流れ込み、ついには僕と操緒のなすがままになるしかなくなったのだと思う。そして今、朱浬さんの中で増幅され還流してきた魔力が、再び僕の中でわだかまり、放出されるのを待ちわびていた。
 いや……くだくだと理屈など考えている場合ではない。このまま時間が経てば、僕自身が自分を制御できなくなる。そうなれば、朱浬さんや操緒にどんな結果をもたらすか、知れたものではない。つくづく、ろくでもないプラグインだ。くそっ。
 それでも、どうしたらこの状況から脱出できるか皆目見当もつかないまま、僕たちはひたすら突き進むしかないのだった。
「朱浬、さん……」
 まだ息が荒い朱浬さんの顔を覗き込む。朱浬さんも、まだ返事ができる様子ではなかったが、ぼんやりとした瞳で僕の顔を捉えはしたようだった。
「……いいですか……?」
 問うたのは、もちろん、偽善だ。朱浬さんがどう答えようが、僕は行き着くところまで行き着くつもりだった。だが……それでも、訊くのが最低限の礼儀だと、思ったのだ。
 朱浬さんは、しばらく何を訊かれたのか、よく分かっていなかったのだと思う。それでも、僕がじりじりとした思いで見つめるうちに、かすかに頷いてくれた、ような気がした。
「じゃあ……いきます」
 それでも、この状態からいきなり挿入というのも乱暴な気がして、僕は右手を朱浬さんの秘所にあてがうと指でクリトリスと入り口をなぶり、左手と口で丸く固く盛り上がった乳房を愛撫した。
「ふ……んんっ……」
 朱浬さんが軽く反応する。胸の上にある僕の頭にそっと朱浬さんの両手が添えられ、仰向かされた。潤みきった瞳が、僕を見つめる。
「ト……トモハル……焦らさ、ない、で……ん、く、はっ」
「朱浬……さん」
「あたし……大丈夫だから……はあっ……だ、だから」
「……はい」
 確かに、そこは十分に濡れそぼっていて、わずかに開いてさえいた。僕は自分のものを右手で誘導しながら入り口にあてると、そこからゆっくりと中へ押し込んでいった。朱浬さんの中が、とてつもない熱さと柔らかさで、僕を包み込む。
『は……ん……はあっ……あ、あたし……?』
 操緒が陶然とした声を出し、少しびっくりした顔で僕を見る。ああ。僕が気持ちいいからには、お前も感じるはずだろ。
「ん……く……っ」
 あるところまで進むと、朱浬さんが、きれいな顎をのけ反らせた。痛いのかと思って、それ以上の前進を止める。しばらく、お互いの荒い呼吸だけが混じり合う中、僕たちは凍り付いたように動かなかった。

320:絶対封印プラグイン 第14回-B
08/02/21 23:50:55 tySGQiaz
 
「だ……大丈夫ですか?」
 朱浬さんは眉を寄せながら、それでも微笑む。
「……お願い」
 それで、僕は一気に奥へ進んだ。どうせなら、一瞬で済む方がいいと思って。
「んあっ」
 朱浬さんが顔をしかめる。同時に襲ってきた締め付けに促された軽い射精感を、ようやく堪えた僕は、軽く呻いた。操緒の『はん……っ!』という切ない喘ぎが腰に響いたが、何とか持ちこたえる。
「あ……」
 朱浬さんのため息が聞こえたので、僕もゆっくりと息を吐きながら、訊ねる。
「朱浬さん……?」
 朱浬さんは、驚いたことに、ふふ、と笑った。
「なんか、妙な感じ……痛い、かと、思ったんだけど……ふわふわしてて……悪く、ない、わ……あれのおかげって、ことかしら……」
「そ……うですか」
 朱浬さんが喋るたび、微妙な振動が伝わってきて、それだけで僕を限界へと揺さぶってくる。僕が我慢しているのを朱浬さんはどう取ったのか、
「トモハルは……大丈夫……?」
 なんだか、朱浬さんらしくない気遣いだった。いや、これも朱浬さんなのか。
「大丈夫……じゃ、ないです。気持ちよすぎ……です……朱浬さんの、中」
 僕が呻くように言うと、朱浬さんは、目を丸くした。それから、軽く吹き出す。いや、今の笑うとこですか? 僕はいたって真剣なんですが。
「トモハル……もう……バカね」
『ね……』
 そんな僕たちに、熱に浮かされたような操緒の声がかけられる。恨めしそうな響きがあった。
『いい加減……動くか止めるか……あたし、これじゃ……』
 朱浬さんは目だけで笑い、言ってくれた。
「動いて……いいよ。トモハル」
「はい……」
 許可をくれて、助かった。でなければ、勝手に腰が動き出していたところだ。
「いきます……ね」
 一応予告はすると、一突き、入れてみた。
「あ……はっ」
『はうっ……は、あ』
 微妙に異なる二つの喘ぎ声が、僕の耳朶を同時に打つ。まるで二人の女の子と同時にイタしているような感じで、これは、結構やばいシチュエーションだと思う。癖になったらどうしようか、などと、しょうもない考えが一瞬だけ浮かんで消えた。

321:絶対封印プラグイン 第15回-A
08/02/21 23:52:03 tySGQiaz
 
 それでも、最初は焦るまいと努めたのだった。初めての朱浬さんが痛くないはずはないと思ったし、それに正直言えば、あまり早くに射精してしまって早漏と言われたくないという見栄も、確かにあった。だが、
「ト……トモハル」
 何回も往復を繰り返さないうちに、朱浬さんが切なげな声で訴えかけてくる。
「あたし……このままじゃ……ダメ……もっと……」
 そうか。僕と同じなのか。体の中で、もはや制御しきれない何かが狂い回り、これを鎮めるためには、我を忘れるしかないらしい。くそっ。もう……どうとでもなれ。
「は……はい」
 僕の返事も、息絶え絶えだった。上体を起こし、朱浬さんの腰をがっちりと掴むと、後は全てを擲って、腰の動きに没頭した。
「あ、は、や……ト、トモ……はげし……や、や、あ……んん……んっ……く、はっ、は、あ、や……やあっ、あ、あん……あ、ひ、は……んんっ……ん、は、……っ」
『は……ト……トモぉっ……あ、い、いい、や、い、や、あ、は、だ、だめ、だめだめだめ、あ、あた、あたし、も、もう、い、や、や、い、いい、や、い、あ、はうっ』
 朱浬さんはそれでも拳を口に当てて抑え気味に、操緒は堪えきれない風に絶え間なく甲高く、それぞれが響かせる嬌声が僕の理性を犯していく。肉体だけでなく、魔力も精神も全てがないまぜになって、僕はあっという間に達しそうになり……大事なことに気付いた。
 このまま中に出したら……それは、さすがにまずい。くそっ、でもゴムを付けるような余裕なんて、この状況じゃなかったんだ。だからといって、もう今更止められない。僕は我ながら超絶的な精神力を発揮し、朱浬さんの中から自分を引き抜こうとした。
 できなかった。朱浬さんの長い脚が、僕の腰の後ろに回って抱え込んでいた。
「しゅっ……しゅり……」
 それ以上言う余裕はとてもなかったが、朱浬さんは僕の言いたいことを分かっていたと思う。数秒間くらいだけ、僕の目をしっかりと捉えて、
「んっ……は……あ、あた……だ、だい、じょう……ぶ、だ……か、らぁ……っ」
 そう言い放つなり、再び首をのけ反らせてしまい、僕に反問する暇を与えてくれなかった。
 いや、その機会があったとしても、僕に何を訊けたろう。その瞬間に朱浬さんの瞳に浮かんだ昏いものを見てしまった以上、朱浬さんが自ら話してくれる以上のことを僕が尋ねたりできる筈がない。僕にできることはといえば、朱浬さんの望むとおりにするだけだ。
「う……くううっ」
『や……だめ、トモ、だめ……えぇっ……』
 ついに、その時が来た。朱浬さんの腰を押さえ込み、一番深いところまで僕を押し込むと、そこで全てを解き放つ。操緒が同様に絶頂を迎えて、空中にぐったりと横たわるのが横目に見えた。次いで、僕も朱浬さんの上に倒れかかり、慌てて両手をベッドにつく。
「あ……」
 朱浬さんは、目を閉じて脈打つ僕の全てを迎え入れていた。僕の中で荒れ狂っていたものが、朱浬さんに向かってどくどくと流れ出していく。
「熱い……トモハルの……あ……あ、あ、あ……な、なに……これ、なに……?」
 ああ。それは、僕から朱浬さんに流れ込む魔力だ。朱浬さんは僕の下で思い切りのけ反り、もはや抑えることのできない悲鳴をあられもなく放った。

322:絶対封印プラグイン 第15回-B
08/02/21 23:53:13 tySGQiaz
 
「あ、きゃ、は、お、や、やだ、な、なに、は、や、いや、これ、は、あ、だ、だめ、な、なんか、くる、き、きちゃ、う、や、いや、や……や……あ……は、あ、く……う……っ」
 歯を食いしばり、喉に筋を浮かせながら、胸を真っ赤に染め上げて、達する。その結果、一度精を放って衰えかけた僕を、その中に残ったものまでも絞りだそうとするかのように、朱浬さんが柔らかくしかし強力に締め付けてきた。
「く……」
 僕が全身を固くしたのは、それに耐えようとしただけでない。朱浬さんからの魔力のバックドラフトが来ると思ったからで、それはすぐに予想どおりにやって来た。
「あ……ぐ」
『ふあっ!?』
 操緒が跳ね起きる。こちらも白い裸身を真っ赤に染めて波打たせながら、
『は、はお、こ、な、なに、ト、トモ、あたし、トモ、だめ、だ、め、ト……トモぉっ』
 僕に応じる余力などない。朱浬さんから押し寄せてくる激流を、そのまま叩きつけ返してやりたいという衝動をねじ伏せるので手一杯だった。そんなことをしたら、無限ループだ。何が起こるか分からない。
 何とか乗り切れたのは、僥倖以外の何物でもなかった。これ以上は無理だ、と思った瞬間に、運良く圧力が少し減っただけだった。二度目は……たぶん、ない。それに、今は大人しくしているものが、再び僕を中から喰い破ろうとするのは、時間の問題だった。
 くそっ……僕にどうしろって、いうんだ。何か、手はないのか。絶望にかられ全力を使い果たして倒れ込んだ僕は、けれど柔らかく受け止められた。顔を上げると、朱浬さんの艶やかなまでに淫蕩な表情があって、ただ、その瞳には強い決意の光があった。
「は……あ、トモ……ハル……ダメ……ふ……ひとり……で、ん、がんばんない、で……よ」
「しゅ……」
 朱浬さんは汗びっしょりの美しい額に黒髪を張り付かせ、荒い息を繰り返しながらも、全て分かっている、とでも言いたげな微笑を口許に刻んだ。
「ね……あたしだって……いっしょに……ね……? ふたり、なら……きっと……それに、どうなったって、あたし……いい……から」
「で、でも……」
『三……人……でしょうがあ……あたし……も、いる……ん、ですから……ね』
 操緒もぐったりとなりながら、僕と朱浬さんの間に割り込んでくる。さすがに疲労の翳が濃い貌に、じつに操緒らしい不敵な笑みが浮かんでいた。それを見た朱浬さんも、笑みを大きくする。
「そう……ね。操緒ちゃんも……いるよね」
「僕は……」
 それでも躊躇う僕に、朱浬さんは片目をつむってみせた。
「トモハル……あたしを、誰だと、思ってんの……部長代理、命令だかんね……?」
『だいじょうぶ、だよ……あたしが、ついてる、よ……』
 僕は目を閉じた。ちくしょう。なんだって僕には、いつだって、誰かを傷付けるような選択肢しか残されていないんだ。そしてなんだって、僕が傷付ける人たちが、あたかもそれを自ら望んだことであるかのように、胸を張るんだ。ちくしょう。
 逡巡は、そんなに時間を要しなかった。決断を下すことに、慣れたのかもしれない。だが、この胸の疼きに慣れることは、絶対にないだろう。そんなこと、あってたまるか。
「……知らないからな」
 僕が呟くと、朱浬さんがおっとりとした笑顔で頷き、操緒が僕に頬を擦り寄せた。

323:絶対封印プラグイン 第16回-A
08/02/21 23:54:41 tySGQiaz
 
 とはいえ、それはそれなりにいい場面だったと思うのだが、そんな空気をぶちこわすかのように、
「あたし……後ろ向こうか……?」
 言うに事欠いて、朱浬さんがとんでもないことを言い出した。
「は……?」
 一瞬、自分たちが置かれている状況のことさえ忘れて、朱浬さんの顔をまじまじと見る。それはその、いわゆる、バックスタイルというもののご提案でしょうか。
 僕の視線の前で、朱浬さんはみるみる頬を染めたが、同時に、いかにも朱浬さんらしく悪戯っぽい輝きを瞳に宿らせてもいた。
「だって……あたしの顔が見えない方が、トモハルだって……遠慮なく……じゃない?」
「いや、それは……」
「トモハルだって……興味あるでしょ?」
 その質問は、主語が間違ってやしませんか? いやそりゃ、興味がないといえば嘘になりますが、しかしこの状況でそういう話はですね。
『いいんじゃない。この際、ヤれることはヤったら?』
 操緒が笑顔で言う。誓って言うが、あの笑顔は笑ってない。ここで状況に流されたら、絶対にあとで何かしっぺ返しがある。やっぱり、断ろう。正常位で何の問題もないじゃないか。そう決めた僕の目の前で、朱浬さんは、さっさとベッドの上で四つん這いになった。
「さ……トモハル。ぐずぐずしてたら……」
 絶対、楽しんでるだろアンタ。さっきまでのあの恥じらいは何処へ行ったんだ。こっちは、そんな余裕なんてこれっぽっちもないってのに。ああ。いいだろう。どうせ、僕も冷静を保つのはそろそろ限界だ。こうなったら、思い切りケダモノになってやろうじゃないか。
 僕が朱浬さんににじり寄り、そのお尻の肉をつかむと、朱浬さんは「あんっ……」と艶っぽい声を立てた。
「朱浬さん……その、も少し、腰を落として……」
「こう……?」
 朱浬さんくらいに脚が長くてスタイルがいいと、かなり脚を開いてもらわないと僕が挿入できない。それでも実際にその恰好をしてもらうと、目の前にあそこからお尻の穴までが剥き出しに開陳されて、いまさらだが鼻血が出そうになった。
「んっ……そんな、見ないでよ……」
 僕が固まっていると、朱浬さんは恥ずかしげに、そのくせ僕を誘うかのように腰を捩った。ああ、もう、ほんとにどうなっても知らないからな。操緒の何となく冷たい視線を頬に感じながら、僕は、ずっと勃起したままだった一物を、朱浬さんの中に突き入れた。
「んっ……く、は、あっ……」
『は、ひゃ、あ、ああんっ』
 再び、嬌声が二重サラウンドで響き渡る。最初の一差しだけで放出してしまいそうになった僕は、そこで暫く波が引くのを待った。朱浬さんの中は相変わらず熱くて柔らかくて、僕のそれはおろか全身を溶かしてしまいそうだった。
「ト……トモハル……?」
 朱浬さんが首を後ろへねじ曲げ、訝しげな視線を投げてよこす。そろそろ、動いてもいいか。僕は遠慮なく、最初からスパートをかけた。
「あ、は……や、トモ、ハルぅっ……や、……あ……は、ひ、ん……あん、あ……は」
『んんっ、く、は、あ、いい、いいよ、ト、トモ、い、いい、い、や、だめ、や、は』
 朱浬さんは最初こそ両手を突っ張っていたが、ほどなくあっけなく上半身が倒れ込み、尻を高く突き出した恰好でシーツをくしゃくしゃにしながらのたうつ。操緒もどういうわけか、そんな朱浬さんの横で同じような姿勢になって、スマートな肢体をくねらせていた。
 だめだ。こんな刺激的な痴態を見せられて、冷静でなんかいられない。さっきから僕の中で今にも零れ出そうになっていたものは、あっさりと、なけなしの自制心を決壊させた。

324:絶対封印プラグイン 第16回-B
08/02/21 23:55:59 tySGQiaz
 
「お……おおっ」
『あ、ひゃ、も、もう……だ、だめ、い……いい……っ……だ……め……っ』
「は……や、は、あ、あ……んん、ん、んっ……あ……き……きてっ……」
 朱浬さんの腰を押しつぶすようにして、その中にありったけのものを注ぎ込む。朱浬さんが次に来るのを待ち受けているらしく、その背筋が強張るのが感じられた。
「あ……は……はあ……は、あ、や、く、くる、くる、くる、きちゃう、ト、トモハ、ルぅっ」
 腰を勢いよく僕に向かって突き出した朱浬さんの声には、さすがにいつもの余裕がなく、僕は思わずその両手と僕の両手を合わせ、指を絡めて握りしめた。少しでも、朱浬さんの力になることを願って。朱浬さんも、僕の手を痛いくらいに握り返してくる。
「ん、は、や、くる、や、きちゃう、いや、いやいやいや、や、やあっ……や……っ……や、は、や……く……く……る……うぅぅっ……」
 朱浬さんの腰ががくがくと痙攣し、その中が僕を痛いほどに締め付ける。それから、ゆるやかに力を失って腰砕けになり、完全にベッドの上へ俯せに崩れ落ちた。僕もそれにひきずられるようにして朱浬さんの上にのしかかる。
 さあ、次は僕の番か。どこまで続くのか、どこまでこちらが保つのか分からないが、力の及ぶ限り、朱浬さんと操緒を見捨てることだけはするまい。
 それは、津波のようにひたひたと、しかし圧倒的な圧力をもって、僕を襲った。気が遠くさえなりそうなのを、ようやくのことで耐える。
『や……はあ、あ……や……だ、だめえ……っ』
 操緒もぎりぎりのところで踏みとどまっているようだが、長くは保つまい。僕はやけ半分で、あっという間に回復した僕のそれを、朱浬さんの中で再び律動させる。しっくりくるよう、朱浬さんの片脚を持ち上げ、僕の腰全体を差し入れるようにして奥へと進んだ。
「あ、は、ああんっ」
 つっぷしていた朱浬さんが激烈な反応を示した。海老ぞりになって、高らかに声を上げる。
「だ、だめっ、いや、だめっ、そ、そこ、そんな、とこ、突いたら、あ、ふ、深い、深い、お、奥、奥、だめ、奥、だめ、そんな、だめ、もう、だめ、くる、きちゃう、くる、あたしぃっ……あ……た……し……いぃっ……く……お、は……あ……は……っ……」
『あ、はう、や、だめ、だめ、トモ、だめ、トモ、やだ、あたし、もう、やだ、やだ、やだやだやだ、トモ、い、いや、はっ、いや、いやいやいやいやあっ……もう……だめ……だめ、だめっ、は、だめ、だめ、は、やああっ……や……い……い……ぅっ』
 今度は、僕が放つ前に、朱浬さんが先に絶頂を迎えた。なぜか操緒も、それに同調したような気がする。これは想定してなかった。ただでさえ一杯一杯だったところに、二人からさらに何かが押し寄せ、なす術もない僕のどこかで寄せ返し、二人を再び弄び、そして僕へ。
「あ……はっ、ま、またっ……ま……た……あぁっ……ふ、あ、や、や……も……う……あた……しいぃぃっ……い……ふ、や、ト、トモ……トモ、ハルうぅっ……う、く、は……あ……だ、だめ……もう……や、だめ、また、き……きちゃ、……あ……っ……っ……あ」
『い……い、や、ト……トモ、トモ、トモおぉっ……っ……い……あ、は、や、やあ……ま……また……なのおおっ……お、は、あ……あっ……や、は、や……や……あ、また、また、トモ、トモトモト……モお……お……っ……あ……は……だめ……も、だめ……あ、は』
 息も絶え絶えになりながら、頂点をきわめ、そこから少し下りては、さらにより高みへと押し上げられる。それが、何度繰り返されたろう。もはやどうしようもなく流れに全てを委ねていた僕のどこかで、唐突に、ぷつり、と全てが切れた。
「あ……?」
 訳も分からず、だが、それまで体内に満ち満ちて荒れ狂っていたものがあっさりと消え失せ、完全に虚脱した僕は、朱浬さんと操緒の上に倒れ込んだ。二人とも、ぴくりとも動かない。もしかすると、すでに意識を失っていたのかもしれない。
「な……」
 僕も、指一本動かせない。急激な睡魔に襲われて意識を失う寸前、だが僕は、見た。
 ベッドの横で、オレンジ色の光の粒が舞っていた。それは徐々に収束し、やがて音叉の形に凝固すると、ことん、と床の上に落ちた。
「な……なんなんだよ……それ……」
 呟いて、そこまでが限界だった。僕の意識は、否応なく深淵の中へと引きずり込まれていった。

325:絶対封印プラグイン 第17回-A
08/02/21 23:57:18 tySGQiaz
 
 夢、だったと思う。
 ひどく安らぐ夢だった。何かこの上なく暖かくて柔らかいものに包まれて、髪を優しく撫でる繊細な指と、ときおり額や瞼や頬に触れる湿った吐息とに導かれるようにして、僕はまどろんでいた。もしかすると、小さい頃の母親の記憶だったのかもしれない。
 今の僕には、そうして寄り添ってくれる眠ってくれるひとなど、いない。いないはずだ。だから、それは夢だった。そう思う。

 目が醒めると、独りだった。朱浬さんがいないのは直ぐに得心がいったが、操緒も見当たらない。まあ確かに、側にいてもらっても、どんな顔をして相手すればいいのか分からないから、ある意味で気は楽だったが。
 朱浬さんが去る時にでも僕にかけていってくれたと思われる毛布をはぐと、ベッドの上には荒淫の跡が明らかだった。僕たちの体液でぐちゃぐちゃになり、乱暴な扱いに耐えかねてそこかしこに裂け目さえ出来ている。その中に赤黒い染みを認めて、僕は頭を垂れた。
 ……やっぱり、責任は何かの形で取らないといけないんだろうな。当分は朱浬さんの我が儘に素直に従うとして、命まで落とすような羽目にならないといいんだが。
 時計を見るとすでに昼過ぎで、これは完全にサボリになりそうだった。どのみち、腰のあたりが妙に軽く、全身が虚脱感に覆われ筋肉痛に襲われているとあっては、学校まで辿り着けそうもない。階下に下りられるかどうかすら、微妙に思えた。
「……くそっ」
 頭を振って、昨夜のことを思い出す。何があったのか、細部はいくらかぼけていたが、ほぼ思い出すことができた。だが妙なことに、それが自分の身にあったことだという実感だけがきれいさっぱりなかった。どこか遠い他人事を見ているようだった。
 朱浬さんと操緒に対して抱いていたはずの、あれだけ狂おしく抗い難かった情欲も切なさも、今は、全く実体を伴わない形骸だけの記憶にすぎない。もしかして、クルスティナを喪った加賀篝の胸中も、こんな感じだったんだろうか。
 ……まあ、今回はそれでいいんだろう。あんなのをこれからも引きずっていたら、いろいろなところに顔向けできなくなるような真似をしでかしてしまいそうだ。大体、あれは全てあのとんでもないプラグインのせいで、僕にはそんなつもりはなかったんだ。
「……と」
 そこで、思い出した。おそるおそる、床の上を見る。二度と見たくないものが、そこに転がっていた。銀色の、音叉型をした、プラグイン。レゾネータ。くそっ、やっぱり夢じゃなかったのか。最後に見たあれは。
「なんなんだよ……」
 僕は呻いて、ベッドの上に倒れ込んだ。

 といって、そのままもう一度意識を失うという贅沢は、僕には許されていなかった。
 放課後には徹夜明けのアニアが帰ってくるだろうし、それ以外にも勝手に遠慮なく押し掛けてくる連中が多いから、それまでには一切の証拠を湮滅しておく必要がある。朱浬さんも、僕より先に目を覚ましたんだったら、少しは片づけていってくれればいいのに。
 ほとんど這いずり回るようにして、部屋の中から汚れた衣服やシーツをかき集め、階下まで這い下りて洗濯機の中にぶち込み、ついでにシャワーをいつもの三倍は時間をかけて浴び、再び二階に這い上がって部屋の中を片づけ、もうそれだけで、三回位は死ねた。
 まさか、昨晩の報いってこたないよな? 僕は被害者だぞ。
 例のプラグインは、仕方がないから、分厚い工作用手袋をはめてつまみあげ、布で厚く巻いて紐で縛り、手近な箱に入れてガムテープで念入りにぐるぐる巻きにしてから、鍵のかかる引き出しに放り込んだ。
 本来ならコンクリ詰めにして深海の底にでも沈めてやりたいところだが、今はそういう訳にもいかない。そのうちに、八伎さんにでも事情を伏せて頼み込んでみようか。
 そこまで何とかかんとかやりおおせて、真っさらなシーツを敷き直したベッドに倒れ伏した瞬間だった。玄関のインターホンが、例の間延びした音を鳴らした。

326:絶対封印プラグイン 第17回-B
08/02/21 23:58:37 tySGQiaz
 
「く……なんだ?」
 せっかくこれで一休みできるかと思ったところだったのに。窓の方へ首を伸ばすと、
「智春ー?」
 聞き慣れた声がした。樋口か。だったら居留守を使うか、と思わなくもなかったが、
「夏目っ。いるんでしょっ。連絡もなしに休むって、どういうことよっ」
 佐伯妹の声までがして、僕は顔をしかめた。ここでやり過ごしても、あとで面倒なことになりそうだ。仕方ない。のろのろと体を起こし、腰の曲がった年寄りみたいな恰好で壁に手をつきながら、そろそろと階下へ向かった。
 その間も、頻繁にインターホンが鳴らされる。いやだから、ちょっと待ってくれ。そんなに早く動けないんだって。ようやく階段を降りきったところで、玄関の扉の向こうから樋口と佐伯妹の会話が流れてきた。
「やっぱ、いないんじゃねーの?」
「でも、だって……水無神さんも学校に来てないのよ。奏も杏も何も知らないって言うし。携帯にも出ないし、メールにも返事来ないし」
 あー……携帯、マナーモードにしたきりで、着信確認なんてしてなかったな。
「これって、もしかして何かあったんじゃないの……?」
 珍しいことに、佐伯妹の声はどことなく不安げだった。それにひきかえ、
「いや、智春のこったから、なんかまたしょうもないトラブルじゃねーの? そろそろ、本気でオカルト絡みの事件とか起きねーかなあ」
 樋口の声はどことなく浮き浮きしていた。そりゃ、佐伯妹と二人きりでここまで来たのだ。さぞ嬉しかろう。かてて加えて、
「バ……バカっ。ロクでもないこと言うんじゃないのっ」
 すかさず佐伯妹に罵られていたからには、幸せ倍増だろう。良かったな、樋口。
「それが心配なんじゃないのっ。夏目えっ?」
「は……はい、いますってば」
 言ってはみたが、声が弱々しいのと、まだ距離があるので、表に届きはしない。君たち、もうちょっと待ってくれ。もうすぐだから。
「何だったら、入ってみるか?」
 樋口が脳天気に言い、
「え……いいの?」
 佐伯妹が戸惑った声を出した。ところがすぐに続いて、
「そ……そうね。仕方ないかも。な、夏目のこと、確認しないとね」
 僕は天を仰いだ。佐伯妹は、僕の知り合いの中では数少ない常識人だと思っていたのだが。人の家に、勝手に押し入らないでほしい。
「お……おい、だから、いるんだって」
 ようやく玄関に到達し、そこに敷かれたマットの上によろよろと一歩を踏み出した僕の足は、だがそのまま床を踏み抜いてしまい、ふわっ、と下へ沈んだ。
「う……わあああっ!?」
 さすがに大きな悲鳴を上げる。無我夢中で広げた腕が何とかひっかかってくれて、僕は肩の上からだけを床の上に出した状態で宙づりになった。
「な……夏目っ?」
 僕の悲鳴を聞きつけたのか、玄関のドアが開いて、佐伯妹と樋口が飛び込んでくる。そういえば、昨晩、中に入った時に音を立てるのがいやで、鍵をかけずにおいたのだった。二人とも、僕の姿が目に入ったのか、玄関で凍り付いたように立ち尽くす。
「な……夏目……? 何やってんの……?」
 そう言う佐伯妹のスカートが少し風に揺れて、僕の位置からだと、細い脚の奥にあるものがともすると拝めそうな感じですらあって、その僕の視線の行方に気付いた佐伯妹は、顔を真っ赤にして柳眉をきりきりと逆立てて。いや、これはその、わざとじゃないんだ。
「な……つめえええっ! この、スケベっ、バカっ、変態っ!」
 投げつけられた学生鞄が額にクリーンヒットした僕は、それ以上自分を支えていられずに、ずるりと地下室へ落下した。

327:絶対封印プラグイン 第18回-A
08/02/21 23:59:53 tySGQiaz
 
 いや、ひどい目にあった。幸い、樋口が物置部屋にある地下室-冥王邸への入り口を知っていたから、そこから降りてきてもらって、身動きすらままならない僕を救い出してリビングに落ち着くまでに、結構な時間がかかった。
 しかもその間ずっと、樋口は「そのやつれようはまさか、ほんとに幽霊憑きに……?」とか嬉々として騒いでるし、佐伯妹は佐伯妹で「一体あんた、何したのよ? 水無神さんもいないみたいだし」とか痛いところを突いてくるし、ああもう、いい加減にしてくれ。
 ちなみに、僕が床を踏み抜いた理由は、冥王邸の中を見るだけで一目瞭然だった。地下室の床や壁、天井までが満遍なく、ゆっくりと火に炙られたかのように黒焦げており、中でも玄関のあたりの天井(一階からすれば床)がひときわ脆くなってしまっていたのだった。
 樋口はそれを見て、絶対何かオカルト現象があったに違いないと興奮していたが、僕には考える気力もなかった。確かにこの間までは何ともなかったはずなのだが、この屋敷で起こる正体不明なことを逐一気に留めていたら、気の休まる暇がなくなる。
 それでも玄関の床に穴が開いているのだけは不都合だから、体が動くようになったら修繕しなければなるまい。僕はリビングのソファにだらしなく横たわりながら、深い深いため息をついた。
「大丈夫、夏目?」
 そんな僕の前のテーブルにお茶を置きながら、佐伯妹が訊いてくる。
「あの、さっきは……」
「ああ、それはいいんだ。何でもない。いろいろやってもらって、ごめん」
「そ、そう……?」
 エプロンをした佐伯妹は、お盆を胸の前に抱えた恰好で、僕の向かい側に腰を下ろす。その横で、思いがけず佐伯妹の家庭的な姿を目にしたからか、樋口がだらしなく頬を緩ませていた。
「でも、ほんと、何があったの」
「いや……単なる風邪なんだけど……だいぶ抜けたんだけどさ、節々が痛くて」
 思いつきの言い訳だったが、僕の体調に関して言えば、事実がひとつまみかふたつまみくらいはまぶされていたから、それなりに信憑性はあったと思う。現に、佐伯妹も樋口もそれなりに納得したみたいだった。
「じゃあ、寝てないと。こういうとき、一人暮らしって大変じゃない? 薬とか、飲んだ?」
「ああ……それは大丈夫。ありがとな」
 こういうとき、佐伯妹の世話好きな性格は、多少面倒ではあるけど有り難いと思う。こんなに怒りっぽくなけりゃ、こいつももっとモテるのにな。
「な……なによ」
 僕に見られているのが気に入らないのか、佐伯妹がそっぽを向いたので、僕も苦笑して目を伏せた。
「連絡できなくて、ごめん。柱谷やん、何か言ってたか?」
「またか、っつってたよ。後で説明しにいきゃいーんじゃないの?」
 樋口が言う。そうか。学校の教師にまでそうやってスルーされるのは、有り難いと言うべきか情けないと言うべきか。佐伯妹が僕をたしなめるように、
「ほんとよ。電話くらいしなさい。わたし……じゃなくても、誰か友だちに、杏とか奏に伝言したっていいんだから。二人とも、何も知らないって言うし。でも、変なの。杏は部活があるけど、奏は一緒に来ると思って誘ったのに、断られたのよね」
 そこで、佐伯妹が僕の方を探るように見た。

328:絶対封印プラグイン 第18回-B
08/02/22 00:01:04 0LQofFjX
 
「なんか、真っ赤になってたわよ。逃げるように居なくなっちゃったし。あんた……また、何かしたんじゃないでしょうね? 水無神さんもいないし。夏目?」
「嵩月のことなんて、知らないよ……」
 あやうく、操緒のことならともかく、と言いかけて口を噤んだ。危ない危ない。そんな僕を佐伯妹はさも不審そうな目つきで睨んでいたが、そのうちにため息をつき、あらためてリビングの中を見回した。
「でも……身の回りのことをしてくれる人がいないって、こういう時大変よね。晩ご飯とか。ええと、夏目……もし、何だったら、その」
「ああ……」
 そうか。そのことがあったか。
「悪いけど……杏に連絡とってもらえないかな。お願いすれば、あそこん家から何か差し入れてくれると思う。……って、なんだよ」
「別に」
 佐伯妹は少し膨れっ面で横を向く。何なんだ、一体。

 アニアが戻ってきたのは、夕陽がそろそろ落ちようかという頃だった。残念ながら、徹夜した上に授業まですっぽかして調べた結果は芳しくなかったらしく、極めて不機嫌だった。まあ、あんな代物の正体を突き止められても、こっちが困るけど。
 そうするうちに、杏が差し入れの食事を持って現れて、鳴桜邸では時ならぬ賑やかな夕食会が催されることになった。どうでもいいけど、なんだって樋口や佐伯妹まで居残るんだ。そう訊いてみたら、佐伯妹が何故だか顔を赤くして、
「……病気のクラスメイトをほっといて帰れるわけないじゃないの。あんたが寝るのを見届けたら、帰るわよ」
 まあ……有り難い話なんだろうな。疲れるけど。
 いや、素直に、ここは感謝しよう。樋口に佐伯妹、杏、アニアがいる食卓は騒がしくて楽しくて、おかげで、その間だけは色んなことを忘れていられた。一巡目であれ二巡目であれ、こんな風に、屈託なく穏やかに過ごせる時間だけだったらいいのに、と心から思う。
 そして、それでも僕に気を遣ってくれたのか、早めに引き上げることにした友人たちを送り出して、僕はようやく束の間の平穏を手に入れた。どうせ長続きはしないんだろうが、休めるうちは休んでおくさ。
 その夜は、溶けるようにして眠った。夢なんて見なかった。

 僕が学校に復帰したのは、その翌週になってからだ。いくら若いといっても、さすがに半日や一日であのダメージから回復はしない。週末心おきなくゆっくり休んで、ようやく登校できるだけの体力と気力を取り戻した。
 その間、アニアはずっと疑わしげに僕の言動を監視し、時にはあからさまに詰問してきたが、風邪だからってことで押し通した。レゾネータに関しては、いくら調べても情報が出てこないらしく、そのうちに段々興味も薄れつつあるようで、とりあえず安堵する。
 操緒は、再登校日の前の日曜日の夜、そろそろ僕が不安になり始めた頃に、復活した。ただ、少なくとも一週間の間、操緒を見ることを僕は禁じられた。「なんでだよ」と訊いたら、「エロい目で見られたくないっ見たら絶交っ」と一刀両断だった。
 まあ、その方が有り難いのかもしれない。僕にしても、操緒とどんな顔で接したらいいのか、まだ良く分からなかった。
 久し振りの学校も、特に変わったことはなかった。嵩月の表情が何だかいつもより固い気はしたが、平素から決して愛想のいい子じゃない。操緒も、ずっと、うまく僕の視界から外れたところで漂っていてくれてたから、それほど気を遣わなくても済んだ。
 昼休みになったところで、何だか知らないが佐伯妹が「あんたやっぱ何かしたんでしょっ。水無神さん、あんた見るたび赤くなってにやついてるし、奏の方は妙にあんたに突っけんどんだしっ。さあきりきり吐けっ」とか絡んできたが、そんなの僕が知るか。
 そんなことより、僕には大事な用事があった。授業が終わるなり、嵩月と一緒の班だった掃除当番をすっぽかして、化学準備室へ向かう。そこにいるはずの人に会いに。

329:絶対封印プラグイン 第19回-A
08/02/22 00:02:08 0LQofFjX
 
 たぶん、僕が来るのを予期してたと思う。でなければ、こんなに当たり前に、いつものおっとりとした笑顔で迎えてくれたりはしないだろう。
「トモハル、おひさしぶりじゃない。体は、大丈夫なの。風邪って聞いたけど」
 何を白々しい。僕が睨み付けるのを全く意に介する様子もなく、朱浬さんは首をかしげて、
「何か、用?」
「こないだのこと、ですけど」
「忘れなさい」
「は」
 朱浬さんがにこやかな表情で腕を一振りすると、がしゃこん、と何かが何かに装填される音がした。僕のこめかみを、冷や汗が一筋流れ落ちていく。
「何もなかったの。そうよね?」
「いや、そりゃ……こっちだって忘れたいですよ」
「なんですって?」
 僕がぼやくように言うと、朱浬さんの瞳がすっと細まり、赤い光を放った。ええと、たった今、忘れろって言ったのは、そっちですよね? 一体、どっちなんです。
 まあしかし、お互いに話題にしたくないことであるのは、確かだった。僕の用件も、どちらかというと別のことだ。
「あのそれより……あのプラグインですけど。僕のところに置いていかれても」
「ああ、あれ」
 朱浬さんは平然と答えた。
「トモハルが持ってて」
「え……ええっ」
 それは、困る。あんなものを、僕にどうしろというんだ。だが朱浬さんは、僕がなぜ困惑しているのか理解に苦しむとでも言いたげな様子で、訊き返してきた。
「それ以外に、何かいい考えでもあるのかしら?」
「いや、王立科学狂会に返すとか……」
「あんなもんを、あんなキチガイどもの好きにさせろっての? 大丈夫よ。どっかに消えてなくなっちゃいましたすいません、って報告済みだから」
 それでいいのか。いやそりゃあ、アニアという証人もいたから、王立科学狂会としては信じるしかないのかもしれないけど。
「それじゃ……生徒会のどれかに預けるとか。僕が持ってるより、厳重に管理できるじゃないですか」
「ふーん」
 朱浬さんが面白そうな声音になり、だがどことなく真剣な目つきで、
「トモハル……もしかして瑤や倉澤六夏とも、あんなことになりたいのかしら?」
「やめてくださいよ。僕にだって、相手を選ぶ権利くらいあります」
 あんまりな言い草じゃないか。僕がよっぽどげんなりした顔をしたせいか、朱浬さんはくすくす笑い出した。なんか、妙に楽しそうだ。僕は何とか、逃げ口上を考えだそうと知恵を絞った。
「あんなもの、僕じゃ管理できませんよ。制御だって。こないだは、たまたま何とか」
「ああ、あれ? あれは、狙いどおりかな」
「はあ?」

330:絶対封印プラグイン 第19回-B
08/02/22 00:03:14 tySGQiaz
 
 意外なセリフに瞬きする僕に向かって、朱浬さんは得々と、
「だって、あんなデバイスで、無限ループした時の安全装置が組み込まれてないわけないじゃない。どっかで、ヒューズが飛ぶかブレーカーが落ちるかすると思ったんだけど、そのとおりだったわ」
「はあ……あの、そんな見込みがあったんなら、先に言っといてくださいよ」
 あの場での僕の悲壮な決意が、莫迦らしく思えてくるじゃないか。恨めしそうに言った僕に対して、朱浬さんはごくごくしれっと、
「まー、あん時はあたしもそんな余裕なくって。……誰かさんのせいで」
 そんな怨ずるように流し目をくれながら言われたって、僕だってあの時は無我夢中だったんだ。大体、この一件の発端は朱浬さんだったんだし、そんなにあのプラグインの扱いに自信があるなら、朱浬さんが引き受ければいいじゃないか。
「じゃあ、朱浬さんが」
 僕がそう言った時だった。朱浬さんが狼狽えた表情になり、声から余裕が消えた。
「あたしっ? あたしは、だめ。だめだから」
「な……どうしてですか」
「だってあたしが……あたしにあんなもん持たせて、女の子に恥かかせるつもり? やっぱ、ああいうのは男から……」
 何を言っているのか、支離滅裂だった。頬がそこはかとなく赤いし、視線はどこかを彷徨ってるし、最後のあたりは口の中にもごもごと消えてしまうし、いかにも朱浬さんらしくない。その挙げ句に、いやにきっぱりと笑顔で、
「というわけで、あたしはだめだから」
 いやそれ、説明になってません。だが、あの笑顔の前では、僕が何を言っても無駄だろう。僕は肩を落として大きなため息をついた。対照的に朱浬さんは元気よく、
「ま、というわけで、やむなくトモハルに預けとくけど。もし、二度とあんなもの使おうなんて気を起こしたら……分かってるわね? 一度目は事故で済ませてあげるけど、二度目は、あたしも……本気になるからね?」
 言い終わりは、やけに声が低くてドスが利いていた。人にあんなものを押しつけておいて、何かあった時の責任までおっかぶせる気ですか。言われなくても、あんなろくでもないものにこれ以上関わるつもりなど、毛頭ない。自分から平和な日常を乱すなんて論外だ。
 それに、あんなのを使ってまで女の子とヤりたがる男だと思われるのも心外だ。いくら何でも、僕を見損ないすぎだと思う。僕は憮然として、
「そんなことしませんって……ちょっとは信用してくださいよ」
 そう言った瞬間、朱浬さんは妙に無表情になった。すうっと僕に近づいてきたかと思うと、僕の二の腕に激痛が走る。
「てッ!」
 慌てて視線をそちらへやると、朱浬さんの細い指が僕の腕の肉を念入りにもう一度ひねり上げてから引っ込むところだった。あやうく涙が出そうになるほどの痛さだった。
「な、なにするんですか……」
 僕の抗議にも、朱浬さんは呆れたような見下げ果てたような目でこちらを見るばかりだった。いったい、何だっていうんだ。そんなに機嫌を損ねるようなことを言ったか?
 しかしそれにしても、いくらレゾネータの媒介があったとはいえ、この人と僕が共鳴したということ自体、今でも信じがたい。紫浬さんは「通じ合う部分を増幅して」と言ったが、あんなことになるような何が、僕と朱浬さんに共通してあったというのか。
 そりゃ僕から見れば、朱浬さんは中身はともかく魅力的な美人のお姉さんだし、くらっとくることだってないではないが、朱浬さんにとって僕など、ただのからかい甲斐のある後輩にすぎないだろうに。
「ふふーん?」
 僕の困惑した様子を見ていた朱浬さんの表情は、けれど不意にふっと和らいだ。
「ま、いっか。……トモハルだもんねえ。じゃあ、よろしくね」
「え……あの」
 踵を返した朱浬さんの後ろで僕が言葉を失ったのは、振り返る直前の朱浬さんの顔に、なんというか、あまり見慣れないものを見てしまったせいだ。それは、はにかみというものにとてもよく似ていたのだが、しかしまさか朱浬さんが。
 凝然として立ち尽くす僕を置き去りにして、朱浬さんが化学準備室の扉に手をかけ、からりと開く。その向こうに、人影があった。
「……嵩月」

331:絶対封印プラグイン 第20回-A
08/02/22 00:04:41 tySGQiaz
 
 僕と違って、真面目に掃除当番を終えてから来たのだろう。いきなり朱浬さんとぶつかったせいか、嵩月は目を見開いて呆然としていたが、朱浬さんと僕の間で視線を二、三度往復させるなり、耳まで真っ赤になった。え……と、何だ?
 朱浬さんは、そんな嵩月と僕を見比べ、不意に、にやりと笑った。
「奏っちゃんも、おひさしぶりね。なんか、ここんとこ顔出してくんなかったけど。今日はそんなに、トモハルのこと心配だった?」
「え。ええ、と。あー……」
 部屋の中、朱浬さん、僕、と、せわしなく視線を彷徨わせる嵩月を覗き込むようにして、朱浬さんは続ける。
「そうそう。……なんか、焦げ臭かったわよね?」
 嵩月が、ぱっ、と朱浬さんを見た。大きな瞳が、限界まで見開かれている。
「……あー……」
 何か言いたげだが、言葉が出てこないらしい。代わりに、なのかもしれないが、その体の周囲にゆらゆらと陽炎が立っているように見えた。朱浬さんはその熱気をすぐ側で浴びている筈だが、苦にする様子もない。
 しかし、朱浬さんは一体なんのことを言ってるんだ。嵩月は分かっているらしいが、僕は全く会話の埒外に置かれていた。朱浬さんはそんな僕にちらりと横目をくれてから、
「ごめんねえー、どうしても仕方なかったのよ。でも、よかったんじゃない? そっちも、あれで結構ふんぎりがついたでしょ。それに、奏っちゃんもかなり、燃えたんじゃないの? ……いろいろと」
 二人の動きは、目にも留まらなかった。乾いた音が響いて僕が気付いたとき、嵩月の平手打ちの手首を朱浬さんが受け止めた恰好のまま、二人は静止していた。嵩月の腕を掴んだ朱浬さんの掌から、白い煙が薄く立ち上っている。
「た、嵩月……」
 僕の呼びかけにも応えずに、嵩月は、顔を真っ赤にし目に涙をためて、朱浬さんを睨み付けていた。どうしたんだ。嵩月らしくもない。朱浬さんは微笑したまま、ただ、やけに静かで真面目な口調で続ける。
「八つ当たりしないで。これは、奏っちゃんの問題でしょ。あたしは奏っちゃんを応援してるけど……それは、何があっても、って意味じゃない。あたしなんかに、いつまでも選択の余地を残しとかないでほしいな。分かってるわよね?」
「……」
 嵩月は朱浬さんを睨み付けることを止めなかったが、それでも、その腕から徐々に力が抜け、朱浬さんが掴んだ手を離すと、だらりと下へ垂れた。それを見た朱浬さんは、表情と声を明らかに和らげて、
「ま、でも……挑発したのは、ごめんね。あたしも、ちょっと冷静じゃなかった」
 そう言って、焼けこげた掌をひらひらと振る。
「これは、その罰、ってことにしとくわ。じゃねー。……トモハルと、ちゃんと話すのよ。あたしが、待ってあげてる間に」
 優しい響きすらこめてそう言うと、朱浬さんは嵩月の横をすり抜けていこうとし、そこで、ふと足を止めた。悪戯っぽい眼差しを僕から嵩月の方へすうっと滑らせて、
「ところでさ。勘づいてたかもしんないけど、あれが何をシミュレートしてたか……分かるわよね?」
 そう言われて、僕だけでなく嵩月も、きょとんとして朱浬さんを見つめる。だが、僕を差し置いて嵩月の貌にじわじわと理解の色が広がり、と同時に、嵩月の周りで熱風が渦巻き始めた。さすがの朱浬さんも辟易したのか、そそくさと出口に向かって後ずさりしながら、
「ま、そーゆーことで……契約ってのも、意外と悪くないかもしれないわよ? 楽しみね?」
「しゅ……朱浬さんっ……!」
 嵩月のせっぱ詰まったような叫びには応えず、朱浬さんは笑いながら背中を向けて、行ってしまった。ほんとに、何なんだ。一体。二人とも、何の話をしていたんだ。今や竜巻にも似た熱波のせいで嵩月に近づくこともできず、僕は混乱しきって立ち尽くしていた。
 と、嵩月が僕と目を合わせる。ええと……どうして僕が、そんな恨みがましい、そのくせ縋るような、何かを切々と訴えかけるような視線を浴びなければいけないんだ。僕には何もやましいことは……って、嵩月。もしかして。まさか。
「……夏目くん、なんかっ……」
 嵩月の食いしばった唇から、いつになく鋭い言葉が漏れた。
「きらいですっ」
 放った一言が僕の胸をきれいに刺し貫くのも待たず、嵩月は身を翻して、走り去って行ってしまった。嵩月の残した熱気と衝撃の中で、僕はへたへたと、手近なイスの上に座り込む。

332:絶対封印プラグイン 第20回-B
08/02/22 00:06:06 0LQofFjX
 
 二人の会話の途中から……いや、本当は冥王邸の有様を見た時から薄々分かっていて、でも考えないようにしていただけのような気もするが、嵩月の最後のセリフで、僕も確信した。
 あの晩、嵩月は、冥王邸に、いたのだ。たぶん、別れ際に調子が悪そうだった僕を心配して、いつぞやのように鳴桜邸の地下で、何かがあれば僕を助けようとして。
 だから、あの一部始終も、耳にしたに違いない。冥王邸が内側からローストされていたのは、嵩月の炎によるものだったのか。確かに、あんな激しい情事に音だけでも付き合わされたんじゃ、純情な嵩月には刺激が強すぎて、さぞかし恥ずかしい思いをしただろう。
 周囲のことごとくを灼き焦がすのも、抑えられないほどに。
 なんてこった。嵩月には、知られたくなかったのに。いくら、あのプラグインのせいで正気ではなかったとはいえ、僕が安易に女の子と寝てしまうような人間だなんて、思われたくない。いや決して、安易な気持ちで朱浬さんとあんなふうになった訳でもないが。
 こうなったら、嵩月には、レゾネータやあの夜のことをきちんと説明しておくべきだろう。どこまで何を話すかは難題だが、早々に誤解を解いておかないと僕が浮かばれない。朱浬さんもそう奨めていたではないか。嵩月が僕の話を聞く気になってくれれば、の話だが。
 そういえば、もう一つ。あのプラグインについて、朱浬さんは何と言った……? 何かを、シミュレートしていると……? それは、何だ。嵩月も関係する、何か。
 ふと浮かんだ答えに、僕は愕然とした。
 あのレゾネータは、もしかして、演操者と悪魔が契約したときの魔力循環を、機巧魔神同士の間でも実現するためのものなのか? ということは、もし僕と嵩月が契約したら、そのときには、僕と操緒と嵩月に、全く同じようなことが……?

 そこまで考えて、僕は天井を見上げた。そうでもしないと、鼻血がこぼれ落ちてきそうだった。そんな僕に、どこからともなく、
『智春おー?』
 これ以上はないというくらいの猫撫で声が、呼びかける。
「操緒……?」
 今まで、どこにいたんだ。というか、どうせ聞いてたんだろ、全部。操緒との約束にも関わらず、反射的に少し首をめぐらせてしまったが、操緒の姿は目に入らなかった。その代わり、一言一言を区切りながら、背筋を優しく撫で上げるような物柔らかな声が続く。
『当分、嵩月さんを、見るのも、ぜっ・た・い・き・ん・し』
「え? おい……」
 あまりの理不尽な物云いに、僕が慌てた声を出したとき、すでに操緒の気配はなかった。一体、どうしろってんだ。嵩月の席は僕のすぐ前なんだが、授業中は目をつむってろとでもいうのか。

 ああ、だが確かに……これからしばらくは、朱浬さんや操緒はもちろん、嵩月の顔もまともに見られそうにない。健康な青少年男子として、彼女たちの魅惑的な容姿や振る舞いを目の前にして、あの夜の記憶を蘇らせずに自分を抑えられるかどうか、全く自信がない。
 だめだ。なんだって、僕の周りにいる女の子たちはみんな、こうも魅力たっぷりなんだ。しかも誰一人、簡単には手を出せないときている。これは、何の罰ゲームだ。僕が前世で(もしかしたら一巡目の世界で)何かよほどの悪業でも積んだというのか。
 自分が不幸だという自覚は元からあったが、この時ほどそれを実感したことはなかった。全くもって、これは地獄だ。一見甘やかすぎるが故にいっそう耐え難い、地獄だ。

 それにしても、つくづく恨めしいのは、あのプラグインだった。絶対、そのうちに何処かへ葬り去ってやる。あんなものを創り出したり掘り出したりしたやつも、地獄の底まで呪われてしまえ。
 本来の使用目的から言えば、今回のことは不測の副次的結果なのかもしれないが、こっちには慰めにもならない。おかげで、えらい目にあった。いや、まだこれからも、嵩月に話して納得してもらうという大仕事が残っている。操緒にも機嫌を直してもらわねばならない。
 くそっ。厳封だ。使用厳禁だ。あんなもの、二度と世に出してたまるか。

        ○

 最後に、一つだけ。これはたぶん、永久に解けないだろう疑問がある。朱浬さんは、今回のことを、どこまで想定していたのか。あんなことまでは予想外だったとは思うが、自分と僕との間で何かが起こる可能性くらいは、十分に考えていたのではないか。
 だとしたら……朱浬さんは何をどこまで望んでいたのか。僕には、分からない。もしかすると、朱浬さん自身にも、分かっていないのかもしれない。それは、あのプラグインと共に、永遠に封印しておくべき疑問なのかもしれない、と僕は思う。





333:名無しさん@ピンキー
08/02/22 00:07:26 0LQofFjX
これにて終幕。エロもその前後も、デキはともかく、今書けることは全部書いた感があって、楽しかったがけっこう燃え尽きた。
こっちの都合で短期間に大量投下でスレを占拠して、読み手の人たちにも他の職人さんにもスマンかった。こんなくどくどと長いのを読み通してくれる奇特な人がいるのかしらんが、つまみ食いでも多少は楽しんでもらえたんなら嬉しい。

なぜか終盤に佐伯妹の出番が多いのは、ご愛嬌ってことで。玲子かわいいよ玲子。
題名は、Gacktがノベライズ予定のと、なんか偶然うまく平仄があった。チルドレンかわいいよチルドレン。

エロありきの無理矢理設定と強引展開で、突っ込みどころは多かろうが、できればお目こぼしプリーズ。
・智春がきれい事言ってるわりにやってるこたエロオヤジとか
・実体のない操緒がなんでオンナの子の体に詳しいんだとか
・プラグインの作用の仕方が都合よすぎねとか
・嵩月さんは止めにも入らずに冥王邸でずっとナニしてたんでしょーかとか
・王立科学狂会やアニアが何も勘づかないとは思えねーとか
・この設定だとカガカガリと琴里とクリシィもげふんげふんとか
(∩゚д゚)アーアーきこえなーい

では、書き手のよけいな語りまでえらく長くなってしまったが、こんなとこで。
己はここで力尽きるので、あとは…お前らに…任せたぜ… (´・ω:;.:...


334:名無しさん@ピンキー
08/02/22 04:50:18 BRoc5liO
SUGEEEEEEEEGJ!!!
神!
エロもよかったけど、その後の佐伯妹とか朱浬さんとのやり取りが萌えw

335:名無しさん@ピンキー
08/02/22 11:35:46 Hx//5Gfl
GJ!!!!!
うまいな、色々と

336:名無しさん@ピンキー
08/02/23 02:38:41 V5VYLqlY
OK、同志、GJ!
平時の掛け合いからムフフなシーンまでとてもいい感じで楽しませてもらいましたぜ
さあ次は奏っちゃんや佐伯妹をry

337:名無しさん@ピンキー
08/02/23 02:40:53 V5VYLqlY
sage忘れスマソorz

338:名無しさん@ピンキー
08/02/24 22:32:59 W4Oi6DLT
GJ

339:名無しさん@ピンキー
08/02/28 09:36:19 L4e1XYyn
保守

340:名無しさん@ピンキー
08/02/28 14:55:35 H9QX/arV
女性の身体を洗い、マッサージをする仕事になります。
射精の瞬間を見たいという要望も多数あります。
fukugyouinfom@yahoo.co.jp

341:名無しさん@ピンキー
08/03/03 00:13:31 GbkvYtHK
遅いながらちょっと前に原作を9巻まで読み終えたので記念カキコ
今は2巡目突入中

342:名無しさん@ピンキー
08/03/08 12:54:48 J4lghL2k
保守るんです

343:名無しさん@ピンキー
08/03/08 23:55:46 8i9USObN
普通すぎてみんな書き込んでいないのかもしれないが

嵩 月 の 触 手 エ ロ 希 望 !

344:名無しさん@ピンキー
08/03/12 18:00:31 s7gEwCqV
ここって地味に神職人がいるな
死にかけ過疎スレかと思っていたけど良いスレを見つけた。
ちょっと儲けた気分だ

345:名無しさん@ピンキー
08/03/14 21:29:04 zfPuxoBD
      ☆ チン     マチクタビレタ~
                        マチクタビレタ~
       ☆ チン  〃  ∧_∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
        ヽ ___\(\・∀・) < 神職人まだ~?
            \_/⊂ ⊂_ )   \_____________
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /|
       | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  |
       |  愛媛みかん |/


346:名無しさん@ピンキー
08/03/16 10:31:29 rvJFEVE8
長文投下まじで乙!!!!
操緒可愛いよ操緒

347:名無しさん@ピンキー
08/03/16 11:21:48 DLaqqPFj
GJだが一番ワロタのはちょっと疑問だったのが全自己解決してたのが笑った

348:名無しさん@ピンキー
08/03/21 20:15:34 5aJqRBO+
捕手

349:名無しさん@ピンキー
08/03/23 10:43:02 bXIIqD6v


350:名無しさん@ピンキー
08/03/23 12:59:55 BGaKlM2i
あげ

351:名無しさん@ピンキー
08/03/27 23:51:54 or57iMfo


352:名無しさん@ピンキー
08/03/30 02:51:45 KMyDJ0Uf
次の作品を期待してみる

353:名無しさん@ピンキー
08/04/04 16:31:45 2s+xdZ/H
保守です

354:名無しさん@ピンキー
08/04/04 22:17:19 2PzzzmEY
hosyu

355:名無しさん@ピンキー
08/04/06 00:26:41 LHday+7N
6月にアスクラ10巻が出るみたいだから
それまで保守

356:名無しさん@ピンキー
08/04/07 15:20:36 ShV92lER
6月に出るんだ!
うわー 楽しみだー!

357:名無しさん@ピンキー
08/04/07 17:01:23 84GakCKQ
>>329瑤や立夏とも・・・そうなってほしい!!!

358:名無しさん@ピンキー
08/04/14 06:47:29 Yk1YX8Nj
保守

359:名無しさん@ピンキー
08/04/22 15:16:24 Lcg2jje/
新刊まで長いなあ

360:名無しさん@ピンキー
08/04/28 02:36:58 ZImTFnKn
果たして、人がいるのかいないのか

361:名無しさん@ピンキー
08/04/29 23:57:24 Z6rd0R6Q
いるにはいるが何話す?
本編でアレな関係になりそうな人って誰だろうね
悪魔は話的に嵩月しかいないが

362:名無しさん@ピンキー
08/05/01 01:15:24 urH5V0pG
一応ひかり先輩とかニアも視野に入れてあげてくださ…
まあメインヒロイン待遇の本命二人には力及ばないかあ
作者から受ける愛からして段違いだからして、対抗出来るヒロインは数えるほどしか知らない

363:名無しさん@ピンキー
08/05/01 22:07:26 XROFOISK
I.d.は全然続刊がでる気配すらねぇよな

364:名無しさん@ピンキー
08/05/01 23:02:45 wJ82Mzn9
コールドゲヘナもね……。


365:名無しさん@ピンキー
08/05/03 02:51:44 5d1jkLdn
あのダブルブリッドだって完結巻が出たんだ
気長に気長に

366:名無しさん@ピンキー
08/05/07 18:26:57 wzQfnnxW
道士様も……。



ちょっと早いが、次はスレタイに作品名入れようぜ

367:名無しさん@ピンキー
08/05/09 12:48:19 yl9dHJ+A
作品入れるのもいいけど、次は作者名間違えないようにしようぜw

368:名無しさん@ピンキー
08/05/11 22:51:16 UpV6FCTS
ほんとだ、今気づいたw
これじゃ検索で見つけるのはきついなww

369:名無しさん@ピンキー
08/05/13 23:29:26 Nr05vsva
DSのリーズのアトリエをジャケ買いしそうになったんだが、4000円出して買う価値ある?

370:名無しさん@ピンキー
08/05/14 00:57:43 0Mkoc6Lc
>>369
買ってないから内容には言及できんが、一通りバグについて調べてみれ
しかし公式見てみたら本当に絵はいいな

371:名無しさん@ピンキー
08/05/14 01:04:48 0Mkoc6Lc
スマン、致命的バグに関しては一応修正版があるんだな。忘れてくれ

372:名無しさん@ピンキー
08/05/14 22:04:29 mQ2RZ416
何の話してんだこいつらと思ってたらアトリエの絵師さんアスラクライン描いてる人なのか…

飯食ってる場合じゃ(ry

373:名無しさん@ピンキー
08/05/20 09:05:19 D9RWdJZJ
さて一応確認するが>>362に書かれている二大ヒロインはデコ・悪魔の2人でいいですね?
間違っても幽霊や双子の片割れ先輩ではありませんね?

374:名無しさん@ピンキー
08/05/20 22:50:43 QPclNs37
こんだけ沢山作品あるのに、なぜこのスレは人が少ないのか

375:名無しさん@ピンキー
08/05/22 22:45:29 2ZKjsl7j
ごめ、おれ操緒派。

376:名無しさん@ピンキー
08/05/23 21:16:21 QmuGqiCJ
巨乳は正義
正直2巻のあのサブタイトルを見なければ読んでなかったよ

377:名無しさん@ピンキー
08/05/24 22:20:02 lVpuJhNF
「夜と馬とDカップ」

378:【末吉】
08/06/01 17:02:39 KkWyk+dE
ほしゅ

379:名無しさん@ピンキー
08/06/06 03:40:53 ldeCAbuz
長いなあ

380:名無しさん@ピンキー
08/06/06 03:43:25 Fb8M0L4u
新刊でないかな

381:名無しさん@ピンキー
08/06/06 21:48:24 PF5zOlhB
アルバ・マキシマには入れることができるのか…。

382:名無しさん@ピンキー
08/06/08 06:17:59 xlZmAjQ2
新刊確保。
壊滅とはよく行ったものだと言いたくなるくらいに脱落者がわんさか居た。

383:名無しさん@ピンキー
08/06/09 21:09:48 d7bwCrGd
新刊買わないで脳内でハーレム妄想に浸りたくなるような情報をありがとう

384:名無しさん@ピンキー
08/06/09 22:07:13 8avDRtmv
まじかよ…でも少しフラグ立ってたあの人だったらどうしよう

385:名無しさん@ピンキー
08/06/10 07:02:00 4zYuUSQM
とはいえテイルズのファンタジアみたいな展開になりそうだから、脱落といっても一時的っぽいが。


386:名無しさん@ピンキー
08/06/11 21:02:23 ZO3Du6Yx
新刊読了!
展開は非常に面白かったが今書いてる話が根本的に成立しなくなって俺涙目

ウゥッ

387:名無しさん@ピンキー
08/06/11 21:11:46 Vw9RqJVh
なんというアスクラスレ…

388:名無しさん@ピンキー
08/06/11 22:11:30 ZO3Du6Yx
hoshuage

389:名無しさん@ピンキー
08/06/12 19:49:02 8Rn4WAyl
あーヤバいヤバい。
先読みするのは好みじゃないんでやらないが考察すればフラグびんびんだった。
あああ…こりゃやばい。久々に読んでて面白く感じた。

でも状況が特殊過ぎて何も書けない

390:名無しさん@ピンキー
08/06/13 02:22:17 Y9m9tFx1
>>386
気にしないでYOU投下しちゃいなYO☆

391:名無しさん@ピンキー
08/06/22 06:12:16 fynxNk6e
保守

392:名無しさん@ピンキー
08/06/28 22:58:00 HnI00pfW
次は十一月かそこらかな
今までのペース的に

393:名無しさん@ピンキー
08/07/12 19:39:05 0ZF0JWB7
保守上げ

394:名無しさん@ピンキー
08/07/19 09:16:58 tQLJw24s
保守します

395:名無しさん@ピンキー
08/07/22 01:40:12 H/NsTDcm
人がいないのか

396:名無しさん@ピンキー
08/07/22 01:44:11 OZoLYmQ4
俺は居る。
夏休みだから書こうかと思ったが大学が毎日が夏休みとか嘘すぎる

397:名無しさん@ピンキー
08/07/25 20:36:29 4NqXARoi
>>396
がんば

398:名無しさん@ピンキー
08/07/30 21:46:52 HWKBta1K
ほしゅ

399:名無しさん@ピンキー
08/08/01 11:33:43 iREEOe37
漫画化記念カキコ
これで人が増えりゃいいけど

400:名無しさん@ピンキー
08/08/05 23:55:01 ne3t4KT5
>>399
アニメ化くらいしないとな…。
最近、ラノベ→アニメが多い、ハルヒで味をしめたか。

401:名無しさん@ピンキー
08/08/22 21:14:36 TkCm7ByJ
人集めあg

402:名無しさん@ピンキー
08/08/22 21:15:16 TkCm7ByJ
人集めあg

403:名無しさん@ピンキー
08/08/29 06:45:32 gNezd72h
あgeます

404:名無しさん@ピンキー
08/08/29 18:42:18 PBrE8Ssx
Gacktはホントに学園好きだな…うれしいかぎりだが…。


岳斗は固定ファン多い気するのだがどうだろう?そのせいか知名度が意外と低いんだよなぁ…

405:名無しさん@ピンキー
08/09/05 04:10:26 65fxzTbs
電撃始めラノベには
固定客ありき、で新規獲得がアニメ化のみってのがザラにあるしなぁ
宣伝機会に恵まれてないのが多い

406:名無しさん@ピンキー
08/09/17 19:30:41 riVu910A
これが過疎か…

407:名無しさん@ピンキー
08/09/22 13:01:54 u1LWhmHC
そろそろ☆ゅ…か?

408:名無しさん@ピンキー
08/09/28 08:37:25 Odu/AzCj
新刊待ちage

409:名無しさん@ピンキー
08/10/01 06:14:24 ZhtZDB71
ほし

410:名無しさん@ピンキー
08/10/05 23:26:19 G1u030ov
ほしゅ

コミック版の朱浬さんむっちりしすぎな気がするのは俺だけか?

411:名無しさん@ピンキー
08/10/09 23:29:32 9kC/ybg8
アニメ化決定万歳!!

412:名無しさん@ピンキー
08/10/10 15:30:29 /xP/Fg1D
新刊読んだ。やっぱトモはトモだな。

つかアスラって、エロパロ書こうとしてもエロ無しほのぼのになってしまう。

413:名無しさん@ピンキー
08/10/11 08:28:29 tbbz0uBZ
なんてこった…アニアが育っちまった…
いや、奏とアニアとWヒロインにすればいいのか…

414:名無しさん@ピンキー
08/10/12 00:28:21 s14i23EH
なるほど何も問題はないな

しかしアニアと奏(旧ボディ)はHしたら人生決まるから妄想が難しいな

415:名無しさん@ピンキー
08/10/12 16:41:38 thPc2J9W
チクショウ10巻出た時点で台無しになった話しをまた書き直さねばならんのか!
やってやるぞチクショー!

416:名無しさん@ピンキー
08/10/12 17:07:33 Z0nYnoKs
アナルならokだと思うが

10巻を未だ読んで無いので今どうなってるのかわからん…

417:名無しさん@ピンキー
08/10/14 02:18:34 lPP4t2Qo
>>412
カップリング出来そうなキャラに限って積極性とかエロ展開に行けそうな理由に乏しい気がする
強いて言うなら裏切り部長と裏切り会長は行ける気がする
愛が一方通行な気がして悲しいけど

>>413
背後霊やロリ先輩はどうなるんだろ
杏や佐伯妹はまあ、良いとして
つーか奏は背後霊がいないと進展しなさそうだし
しかし奏のトモに対する気持ちにちょっとショックな様なヤッパリって思ったような変な気分だ

>>415
挫けるな
ガンガレ

418:名無しさん@ピンキー
08/10/19 01:09:47 uZ0HyLz/
補習

419:名無しさん@ピンキー
08/10/24 18:30:37 i32elGJD
スラクラ、アニメ化だってよ

人増えるな

420:名無しさん@ピンキー
08/10/26 09:37:13 M+TZl+AI
問題はこのスレタイぐらいか

421:名無しさん@ピンキー
08/11/15 23:28:40 s/YgJrMB
まぁ、後200kb、380レスでおさらばだよ

このスレ人の増え減りがあるね

422:名無しさん@ピンキー
08/11/16 21:15:34 oSZqLWVE
大アニア(ダ○○ナw)たん、結構エロそうだな… 赤面しながらマラを
咥えるアニアたん… (*´Д`*)ハア…ハア…

423:名無しさん@ピンキー
08/11/17 18:23:23 C4nd0lTp
別にかまわないが…
やはり半スラクラスレになってるな

424:名無しさん@ピンキー
08/11/22 17:36:33 WJXB1MZr
ライトノベルスレでダンタリアンネタで誘導があって、初めて三雲スレが
あることを知った。

少女ノイズがあるかと期待したがやっぱりないか。
アスラン大人気なんだな。

425:名無しさん@ピンキー
08/11/29 15:21:37 /y6JcH9O
「うっ……あっ……」
薄暗い室内に艶かしい少女の声が木霊する。
塔のように積み重ねられた無数の本が埋め尽くす、書庫のような奇妙な部屋。
何千、何万冊という本に囲まれた、部屋のほぼ中央に置かれた肘掛け椅子の上で、
少女は一人身悶えていた。
「こ、これは、少、し、マズイかもしれないです……」
漆黒の衣装を身に纏った、陶磁のように白い肌をもった人形のように美しい少女。
しかし、幾層ものレースとフリルでゆったりと膨らんだその衣装も半ば肌蹴け、
腰まで伸びる漆黒の長い髪は乱れて、同じくらい黒い瞳もどこか陶酔しきったように潤んでいる。
「この幻書の力を、ちょっ……と……うっ……甘く、みてましたか」
頬は赤らみ、吐息は激しく、まるで熱を出した病人のような状態だ。
少女は自分で自分を抱きかかえるようにしながら、必死に何かに耐えていた。
その胸元には一冊の古ぼけた本がある。
豪華な黄金色の装飾が施された、革表紙の本。
その表面には―“楽園に至る快楽の書”と本の題が記されている。

「まさ、か、この私にまで、ここまでの影響を……あっ……くんっ」
“楽園に至る快楽の書”はそれを読んだ人間に、無尽蔵の快楽を与えるという。
その昔、権力の果てにこの世の楽園(ハーレム)を作り出そうとした異国の王が、
ありとあらゆる快楽を追求し、探求した果てに、そのノウハウを書き記した書物。
それが“楽園に至る快楽の書”だと言われる。
その王の欲望は底が無く、女に限らず男、年齢を問わず幼子から老人まで、
また人にすら限らず獣とまでまぐわい尽くしたとされる。
「こんな下衆な本……とっとと……処分してやればよかったのです……」
愛書狂(ビブリオマニア)として興味本位で開いてしまったのが、運のツキ。
少女は“楽園に至る快楽の書”が与える、未体験の快楽に耐えていた。
直に触れていなくても、少女の未成熟な蕾は潤いを持ち、
既に漆黒の衣装の下のドロワーズはびしょびしょに濡れていた。

「ぜ、全然、気持ちよくなんて、ないのです……こんなの、全然……うはっ!」
抵抗する少女の精神を食い散らすかのように、どんどんと勢いを増す快楽が脳髄を痺れさせる。
やがて何か得たいのしれない目に見えない腕のようなものが、自分の身体に纏わり付いているかのような錯覚が襲ってくる。
その腕が少女の敏感な部分を撫で回し、抓り、優しく愛撫していく。
少女の精神に限界が近づいてきていた。
「あ、ひゃああああ! ど、どこを触っているんですか! だ、ダメです。ダメ……!」
少女の蕾の上で膨らむ快楽の先端部分に腕が触れる。それで決壊だった。
「う……うっ……ああああああああああ!!!!」
体験したことのない感覚―絶頂が少女を襲った。
まともに呼吸をすることすら出来ない。
ひゅーひゅーと咽喉を鳴らし、朦朧とした意識を繋ぎ止める。
「わ、私が、こんな……屈辱……忌々しい本です……」
ようやく悪態を吐けるまでに意識が回復したのは、それからしばらく経った後だった。
少女は衣装をめくり上げ、ドロワーズを確認すると、怒りと羞恥が混ざり合ったような複雑な表情を見せた。

「ダリアン? なんか凄い叫び声が聞こえたけど、どうしたんだ?」
部屋の外へと続く扉から、男の声が聞こえた。
ダリアンと呼ばれた少女は一瞬で我に返り、扉に向かって叫んだ。
「な、ヒュ、ヒューイ! 今入ってきてはダメなのです! 絶対に入ってきたらダメです!」
しかし叫びもむなしく、今まさに扉は開こうとしていた。

426:名無しさん@ピンキー
08/11/29 15:22:55 /y6JcH9O
読み終わったので、即興で書いてみた。
ダリアンがどうしても翠星石にしかならない。

427:名無しさん@ピンキー
08/11/29 20:24:46 sfwikon6
とてもいいです! ぜひ続きを。

428:名無しさん@ピンキー
08/12/01 01:58:22 ZKtQN0bl
ホントに翠の子にしか見えなくなったじゃないかwww

429:名無しさん@ピンキー
08/12/02 07:18:37 uCpD3GXf
俺はゆえゆえかと思ったw

430:名無しさん@ピンキー
08/12/06 08:56:45 gV0Uwd/m
揚げ

431:名無しさん@ピンキー
08/12/11 00:18:20 KJ4sPCiB
杏ー!
杏ー!

432:名無しさん@ピンキー
08/12/13 20:38:58 7P9qKbHq
頼むから落ちるなよ……ここ

433:名無しさん@ピンキー
08/12/14 22:25:54 q7Ppn6xJ
揚げ

434:名無しさん@ピンキー
08/12/19 20:44:06 LMwJ+6RH
あげ

435:名無しさん@ピンキー
08/12/21 20:34:42 nh5ZLrDB
保守あげ

436:名無しさん@ピンキー
08/12/23 17:51:48 53+KVjPS
押上

437:名無しさん@ピンキー
08/12/26 01:41:14 sPuz92+S
生きろ……

438:名無しさん@ピンキー
08/12/26 09:40:56 W0Ysyyiq
アスラクラインのアニメが始まりさえすれば、ここも谷川や竹宮スレのように賑わうに違いない

439:名無しさん@ピンキー
08/12/27 00:33:11 KkzWHkQF
・・・・竹宮スレのエロスレもあったのか
んー好きだけどあれにエロイのは合ってない気がするんだけどな

440:名無しさん@ピンキー
09/01/02 18:45:23 gmnYUIy/
あげ

441:名無しさん@ピンキー
09/01/07 07:01:48 Hfav2gar
あげ……

442:名無しさん@ピンキー
09/01/07 13:57:02 oythL4Ga
あけおめ

遅いかw

443:名無しさん@ピンキー
09/01/09 20:29:29 UE0v1EdZ
保守

444:名無しさん@ピンキー
09/01/11 13:34:48 PgD1IaL2
保守

445:名無しさん@ピンキー
09/01/14 06:02:57 kcYRqBwx
あぐぇ

446:名無しさん@ピンキー
09/01/16 20:52:14 kr4weQkI
捕手

447:名無しさん@ピンキー
09/01/18 10:06:02 siV/9+PR
朱浬さんが田中理恵ですかそうですか。
雪原さんは緒方恵さんじゃないんですかそうですか。

アノキャラナラアノコエダロウニ

448:名無しさん@ピンキー
09/01/19 00:07:02 Cwd1ZPiF
な、なんだってー!

449:名無しさん@ピンキー
09/01/19 12:36:01 N+Vbi8O6
てかダンダリオン終わり?マヂで?
もしかしてイラストのGユウスケが怒りの日完全版作成に駆り出されたから?
もしそうならどこまで俺に迷惑掛けるんだよlightは…

450:名無しさん@ピンキー
09/01/26 21:27:01 WrIaFDpM
保守

451:名無しさん@ピンキー
09/01/26 21:56:23 5LRgVtj3
>>449
スニーカーは普通に絵師変更があるレーベルだがなんか根拠でもあるのか?

452:名無しさん@ピンキー
09/01/31 10:10:51 ShrfKEbm
保守

453:名無しさん@ピンキー
09/02/06 02:45:46 QxvAm0x9
あげ

454:名無しさん@ピンキー
09/02/06 02:46:46 QxvAm0x9
あげ

455:名無しさん@ピンキー
09/02/13 10:00:32 AB3W2VvO
さげ

456:名無しさん@ピンキー
09/02/17 23:08:53 yYey6YxL
赤あげて

457:名無しさん@ピンキー
09/02/18 20:15:16 cY9M5vdD
白さげて

458:名無しさん@ピンキー
09/02/18 20:39:31 8CMwSisU
青あげる

459:名無しさん@ピンキー
09/02/19 01:03:18 aPjDvUyF
アスラクラインのアニメ化は嬉しいんだが
反面何か寂しい矛盾ww

460:名無しさん@ピンキー
09/02/26 07:55:15 JZfKakrb
保守
新刊はいつだっけか、っと

461:名無しさん@ピンキー
09/02/26 20:46:22 9I2zGByg
>>460
4月だ

462:名無しさん@ピンキー
09/03/02 09:43:52 nDYihjrO
4月か…
存分長いな

463:名無しさん@ピンキー
09/03/09 22:05:56 pzrfSTxH
保守保守

464:名無しさん@ピンキー
09/03/12 04:35:55 Sx6vRg63
4月10日だね 

465:名無しさん@ピンキー
09/03/21 10:41:01 AkEsSLps
あげ

466:名無しさん@ピンキー
09/03/21 19:24:03 PDURwDKt
あと20日か…  もう一回はじめから読んどくか…


次ページ
最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch