08/01/26 01:44:32 WJli6vR9
「ああっ……先輩……そんなにしたら……締まる……」
「ともはちゃん……まだよ……まだだめ……」
「だって、先輩……私……も、もう、動けない……動いたら……」
「こう? これはどう? いえ、こうかしら?」
「ああっそんなっ……だめっ……許してっ……そんなにしたらっ……出ちゃうっ……」
「我慢するのよ……もう少しで、私も。私もっ」
「あっ……だめ、もう我慢できない……先輩、私、もう、こんなの……やだ……先にいっちゃったら……やっぱりダメ?……もう私……」
「だめだよ……私を置いて先にいっちゃうなんて、許さないから……ほら、もっと締めたげる。ほら、ほらっ」
「ああっ……も、もう、ほんとに、だめえええっ……!」
ともはちゃんがのけぞるようにして背筋を伸ばす。その瞬間、私も何とか目指すものに到達することができて、喜びの声を上げた。長いようで短い濃密な時間のあと、目的を果たした二人は、ぐったりとなって寄り添ったまま、荒い息がおさまるのを待つ。
「せ、先輩……」
ともはちゃんが、涙目になって振り向いた。
「こ、これ……やっぱり、息できませんよう」
「うーん……やっぱり、ちょっとウエストがきつかったですか? コルセットはあんなに締めたんですけど……」
「ちょっとどころじゃ、ないです……うえ、さっき食べたのが、出てきそう……。だから、さっきので終わりにしようって、言ったじゃないですか……」
「だめですよ。試着室に持ち込んだものは、ぜんぶ試さなきゃ。私もまだ何着か残ってるんですから。一人だけ先に出て行こうだなんて、許しません」
「ふええ……」
うーん。タイトなドレススーツに何とかかんとかともはちゃんを押し込んでみたんだけど、ちょっと無理があったか。でも、こういう大人っぽい恰好、すごく似合うんだけどな。少し直してもらったら、これだって大丈夫じゃないかって思うんだけど。
「せ、先輩……もう限界……早く脱がせて……」
『ともはちゃーん』
少し上空から、さっきからの顛末を何故かジト目で見守っていた操緒さんが、
『その言い方、かなーり、やらしい』
「な……何がだよ……」
ともはちゃんが息も絶え絶えの状態で抗議する。なんで、やらしいのかな。きょとんと操緒さんを見上げた私を見て、操緒さんは呆れ果てたように首を振った。
「は、早く……」
そうするうちにも、心なしか、ともはちゃんの顔色が土気色になってきたような。
「う、うん。ちょと待って」
あわてて、さっきはめたばかりのボタンを外そうとしたけど、これがなかなか難物だった。そうだよねえ、もう食い込んじゃってるもんねえ。
「あの……先輩……? それはもう、だめということで……?」
ともはちゃんが情けない声を上げた時だった。試着室のカーテンがさっと開かれて、誰かが中に顔を突っ込んできた。
「あのねっ、まだ次がつかえてんのよ。いつまで無駄な努力してんのっ。みんな待ってんだから、入らないもんは入らないってさっさと諦めなさい、って……え? ともはちゃん?」
はい?