06/11/10 21:39:44 r9SctNKU
>>89
なんか死神っ娘SS書いてよ
89:名無しさん@ピンキー
06/11/10 22:39:54 R/XjEb6V
よし、書こう。
一週間ぐらい時間をくれ。
90:名無しさん@ピンキー
06/11/10 23:03:14 +xqkcYUA
期待
91:名無しさん@ピンキー
06/11/11 17:20:30 sJBDhoj8
期待!
92: ◆zIwNL7U2uc
06/11/12 01:06:57 oWU0qL0U
89氏ではないですが、書きあがったので投下します。
93:プロローグ ◆zIwNL7U2uc
06/11/12 01:07:32 oWU0qL0U
「はぁっ……はぁっ……そ、そんな……」
私は適当に飛び込んだ路地の奥、行き止まりになっている場所で足を止めた。
どれくらい走り続けたんだろう。
3方が高い塀に囲まれた、文字通りの袋小路で絶望に暮れる。
ここがどこなのか、自分でもわからない。
無我夢中で逃げ続けるうちに、どうやら全く知らない場所にまで来てしまったみたいだ。
膝がガクガクと震え、一度足を止めてしまうと、もう一歩たりとも進めそうにない。
走り出すどころか、立っていられることすら奇跡のようだった。
それに、さらに逃げるためには一度引き返してこの路地を出ないといけない。
今の私に、どんな短距離であっても引き返すことなんてとてもできそうにはなかった。
「そ、それに……ここまでくれば……」
私の淡い期待を裏切るように、背後からトン、と軽い靴音が響いてくる。
「ひ、ぃっ……」
本能的にその音から逃げようとする。
けれど長時間に渡って酷使され続けた私の両足は、もう脳からの無理な命令には従ってくれなくて、上体だけが前に行こうとした結果地面に身を投げ出すように転んでしまう。
そうなってしまえば、立ち上がることなんてもうできるはずもなかった。
背後からは靴裏とアスファルトが擦れるかすかな音が徐々に大きくなりつつある。
振り返って見るまでもなく、背後にはあれがいる。
「やだ……やだよぉ……」
他人の物のように全く反応しなくなった両足に頼るのを止め、腕だけを使って這うように前に進む。
制服が汚れるのを気にしている余裕はない。
逃げなければ、そもそもこの制服を着て学校に行く明日なんてこないのだから。
だけど、ここは行き止まり。
すぐに正面の塀にたどり着いてそれ以上は進めなくなってしまう。
まるで私の人生を暗示しているかのような袋小路。
唯一開かれた背後からは、あの女の子が―。
94:プロローグ ◆zIwNL7U2uc
06/11/12 01:08:13 oWU0qL0U
「もう、諦めなさい」
静かな声。
その声に反射的に振り返る。
そこにいたのは学校からの帰り道で出会った1人の少女だった。
長い黒髪や黒いワンピースは夜の闇の中へ溶け込むようで、対照的にありえないほどに白い顔と手足だけが、そこに浮かんでいるかのような錯覚に陥ってしまう。
私と同じ距離を走ってきているはずなのに、その様子に出会った時とわずかな違いも見つけられない。
そのことに、どうしようもないほどの格の違いを思い知らされる。
私と彼女の距離は数メートルほど。
少女の年齢は、外見からするとせいぜい10歳程度だろう。
尻餅をついた体勢の私を見下ろすその視線は、その外見年齢には到底相応しくない無機質なそれ。
出会った瞬間に、目の前の相手が自分とは違う別の何かだと直感的に悟った私は、生物としての本能に従ってすぐさまその場を逃げ出したのだ。
だけど結局はそれも無駄なあがきに過ぎなかった。
逃げ切れるわけなんてなかったんだ。
出会ってしまった、その時点でもう終わり。
目の前の相手はそんな存在だった。
「お、おねがい……なんでもするから、だから……」
頭では無駄だとわかっているのに、口が勝手に動いて惨めったらしく命乞いをする。
「し、死にたくないの……」
その瞬間、それまで精巧にできた仮面のように全く変化がなかった少女の顔に、かすかな、本当にかすかなものであるけど変化が生まれる。
わずかに顔を覗かせたのは、哀れみの感情のように私には感じられた。
そこに一縷の希望を感じ取った私は、慌てて言葉を続けようとする。
けれど―、
「あなたはもう死んでいるの。
これは、もうどうしようもないこと」
またしても仮面のような無表情に戻って、少女が言う。
一瞬、何を言われているのかわからなかった。
だって、私はまだこうして―。
目の前の少女によって今にも吹き消されようとしてはいるけれど、それでもまだ今この瞬間は―。
混乱する私の目の前で、それまで何も持っていなかった少女の手に長い何かが現れる。
その柄も、その刃も、まるで夜がそのまま凝り固まったような禍々しい凶器。
それは年端もいかない外見の少女が持つにはあまりにも不似合いで、それと同時に私に死をもたらすその存在にはあまりにも似合いすぎていた。
後ろに下がろうとした私の背中はすぐに固い壁に触れ、それ以上は下がれなくなる。
この期に及んでも、涙は不思議と流れなかった。
奇妙なほどはっきりとした視界の中、目の前まで歩み寄ってくる少女。
高々と振り上げられた大鎌。
その刃が、月の光をぬらりと反射した。
95: ◆zIwNL7U2uc
06/11/12 01:09:13 oWU0qL0U
「まずは1人」
地面に転がる女性の生首。
恐怖に引きつった表情を貼り付けたそれから視線を逸らし、死神の少女―レアは小さくため息をついた。
自分がやらなければいけないことと理解はしているものの、何も覚えていない相手に引導を渡すのは何度経験しても慣れるものではない。
彼女は最期の瞬間までレアに殺されると思っていた。
実際には数週間前に本来の生を終えているにも関わらず、彼女はそれを知らずにそれまで通りの生活を続けていたのだ。
その死があまりにも突然だったりすると、時折このような現象が起こる場合がある。
そんな迷える魂に引導を渡すのが死神の本来の仕事ではあるのだが、今回は多少事情が違っていた。
一つの町で同時多発的に何人もの人間がそうなっている。
そこには明らかに何者かの意思が感じられた。
それ故、今回のレアの仕事には被害者たちの処理に加え、その何者かを捜し出し2度と同じ悲劇が繰り返されないようにするということも含まれているのだ。
「次の被害者は……」
精神を集中すると哀れな魂の居場所を大まかではあるが感じ取ることができる。
踵を返し、反応の中で一番近い場所にいる存在に向けてレアが歩き出した、その瞬間だった。
「―っ!?」
背後で生まれた軽い爆発音に振り返ったレアが見たものは、地面から網のように広がる闇色の触手だった。
驚きによって思考が一瞬空白になる。
その一瞬が、レアにとって命取りになった。
「くっ、ぅ……」
ぎりぎりと全身を締め上げられる苦しさに我に返る。
その時には、もう無遠慮な触手たちによって体の自由を奪われていた。
両腕は体に密着するように縛り上げられ、両足も左右まとめて拘束される。
たまらず大鎌を取り落とし、そのまま地面に倒れこんでしまった。
芋虫のように這いつくばったレアの目の前、先ほどまであったはずの女性の生首は忽然と姿を消している。
そこから導き出される答えは、その生首こそがこの触手たちの発生源であったということだ。
息苦しさに顔をしかめながら視線を上げると、壁に背をもたれさせるようにして座り込んでいる女性の首なし死体の首の辺りで、赤黒い液体がブクブクと泡を立てている。
血液に似たそれに、レアはようやくある事実に気付かされていた。
既に心臓が停止しているせいで、首を切断しても派手に血飛沫があがることはない。
だからといって全く出血がないはずはないのだ。
だというのに少女の首なし死体の胴体に全く血の跡がない。
少女に対する罪悪感もあり、その死体から無意識の内に注意を外していたのが失敗だった。
その液体は見る見るうちに盛り上がり、やがて人の頭部の形を取る。
表面に目が生まれ、鼻が生まれ、口が生まれ、耳が生まれ、頭髪が生える。
最後にその色が本来の人間の肌の色を取り戻すと、レアが切り落としたはずの女性の首は、まるでその事実が嘘だったかのように元通りになっていた。
唯一異なるのは、その表情。
恐怖に歪んでいたその顔には、今や明らかな悪意を含んだ笑みが刻まれていた。
96: ◆zIwNL7U2uc
06/11/12 01:10:08 oWU0qL0U
「初めまして、死神さん」
つい先ほどまでの、怯えきって命乞いをしていたものと同じとは思えない、耳に粘りつくような声音。
それは強弱のバランスが完全に逆転したことによる余裕を感じさせるものだった。
実際、一度は首を切断されながらも何事もなかったかのように立っている彼女と、闇色の触手に縛められ地に伏しているレア。
他人から見れば、その立場の差は最早決定的なものに映るだろう。
だが、レア自身は最初こそ驚きに自失してしまってのは確かだったが、今ではもう内心落ち着きを取り戻していた。
「あなたが、今回の件の犯人」
それを悟られぬよう、偽りの悔しさを滲ませながら少女を見上げる。
「その通り。
もちろん、この体は借り物だけどね」
勝者の余裕からだろう、少女はあっさりとレアの言葉を認めた。
「いったい、何が目的なの? こんなことをすれば―」
「死神が黙っていない。
事実、こうして貴女がやってきたわね」
レアの言葉を引き継いだ少女が、十代半ばのその外見には似つかわしくない妖艶ともいえる微笑を浮かべる。
その余裕が、レアには不可思議だった。
確かに今優位に立っているのは彼女の方かもしれないが、その立場を考えればのんきにしていられるはずがないのだ。
「わたし1人をどうにかできたとして、これから先、全ての死神を相手にして生き残れると思っているの?」
レアが殺されれば次の死神、当然彼女よりも優秀な者が派遣される。
目の前の少女の体を通して会話している相手が、普通の人間を超越した力を持っているのは確かだろう。
だからと言って、死神全てを敵に回して立ち回れるほどだとは到底思えなかった。
「そうね、確かに私1人には荷が重いかもね」
その考えを、またしても目の前の相手はあっさりと肯定する。
挑発的な言葉を投げかけても柳のように受け流される。
独り相撲をとっているような錯覚に陥りかすかな戸惑いを覚えるレアの前で、少女は言葉を紡ぎ続けた。
「でも、1人では無理でも、貴女が手伝ってくれれば不可能ではなくなるかもしれないわ。
さっき聞かれたけど、今回の目的は死神の中に協力者を作ること。
もちろん、本物の死神となれば研究対象としても最上級だけれど」
その言葉に、今度こそレアは絶句した。
その驚きの大きさは、振り向きざま触手に襲われた時をも凌ぐものだったかもしれない。
目の前の相手が何を言っているのか言葉としては確かに聞こえているのに理解できない。
それほどまでに、それは馬鹿げた提案だった。
97: ◆zIwNL7U2uc
06/11/12 01:10:57 oWU0qL0U
「でも、本当にラッキーだったわ。
貴女みたいなかわいい子なら、愛玩用としても十分価値があるもの」
言葉を失うレアが見上げる中、少女がくすくすと笑う。
「……本当にそんなことができると思っているの?」
動揺によるわずかな震えが隠し切れないその言葉。
形式的には問いかけの形を取ってはいるが、レアにはその答えがもう確信できていた。
「もちろんよ。
さあ、まずはお近づきの印に名前を教えてもらえるかしら。
名前がわからなくては、これから先一緒にやっていくのに困るものね」
予想通り自信たっぷりにうなずき、軽い調子で名前を尋ねてくる。
それに対し、レアは口をつぐんで厳しい視線を少女に向けた。
名前を媒介にして魂を縛る。
それは人間が異形の者を従えるときの常套手段だ。
「ふふ、さすがにそれくらいお見通しのようね」
レアの視線などそよ風程度にも感じないのか、他愛のないいたずらがばれた子どものような表情を浮かべる。
その細められた瞳の奥、そこに宿る嗜虐的な光にレアはまるで蛇に射すくめられた蛙にでもなったかのように背中に嫌な汗が浮かぶのを感じていた。
「……そろそろ潮時みたいね」
口の中だけで呟く。
居場所こそ掴めていないものの、ある程度の情報を引き出すことができた。
相手の口から出た言葉である以上、どこまでが真実なのかはまだ検討の余地があるが、レアは直感的に目の前の相手は嘘を言っていないと判断していた。
馬鹿げた野望と一笑に付すのは容易いが、なぜかひどく嫌な予感がする。
これ以上は危険だと警鐘を鳴らす本能に従い、レアは動きを封じる触手から逃れるために意識を集中し始めた。
「それなら、自分から言いたくなるようにしてあげましょう」
少女が視線の高さを合わせるように屈みこんでくる。
ますます高まる嫌な予感にかすかな焦りを覚えながらながら、レアはその魂を―。
98: ◆zIwNL7U2uc
06/11/12 01:11:53 oWU0qL0U
「なっ―!?」
今夜だけで3度目の驚愕が死神の少女を襲う。
それは空の高みに飛翔するはずだった精神が、未だ地に縛り付けられている状況に対するものだった。
「あら、どうしたの?」
嬉しそうに、ひどく嬉しそうに問いかけてくる少女の声も、パニックに陥ったレアの頭には届かない。
だが―、
「どうして、憑依がとけないの?」
相手の口から零れ出た、レアの心の声を代弁するかのようなその台詞に、皮肉にも彼女は我に返らされてしまう。
目を見開いて見つめた先、少女は心底嬉しそうに微笑んでいた。
「死神がこの世界で活動する場合、波長のあった人間に憑依しなくてはならない。
知らないと思った?」
三日月形の唇から紡がれる言葉に、レアは戦慄を覚えて震え上がる。
先ほどまで持っていた余裕は、最早どこにも存在していなかった。
「種明かしをすると、以前それで逃げられそうになったのよね。
ああ、あれは本当に惜しいことをしたわ」
千千に乱れる頭の中を必死に整理し、少女の言葉を理解しようとする。
それはつまり、彼女は以前にも死神を捕らえようとして失敗したということだ。
「けど、そんな話聞いたこと……」
「それはそうよ。
だって、その場で殺しちゃったもの」
生け捕ることの方が何倍も難しいのよねと、少女は付け加える。
「まあそれでも死神が1人いなくなったことにはかわりないから、ほとぼりが冷めるまで大人しく"それ”の研究に専念してたのよ」
"それ”というのはレアを縛める触手のことだろう。
肉体を束縛するだけでなく、魂までも縛り付ける闇色の触手。
いつでも抜けられると思っていたからこそあまり気にならなくなっていた締め付けが、今ではまるで魂そのものに巻きつかれているように強く強く感じられた。
「ちなみに、それの効果はそれだけじゃないのよ」
とっておきの手品を披露する時の口ぶりで、少女はますます笑みを深くする。
それを合図にしたように、闇色の触手に劇的な変化が訪れた。
レアの手首ほどの太さだったそれが指程度まで細くほぐれていく。
そして次の瞬間、それらが一斉に皮膚の下へと潜り込み始めたのだ。
99: ◆zIwNL7U2uc
06/11/12 01:12:36 oWU0qL0U
痛みはなかった。
だが、それだけに圧倒的なまでの異物感だけが強調されてレアを襲う。
全身の皮膚の下を無数の虫に這い回られているかのような不快感に悲鳴をあげそうになる。
アスファルトの上、ちょうど真夏に熱せられたそれの上でのたうつ蚯蚓のように全身を痙攣させてレアは懸命に堪え続けた。
「あ、く……ぅ……」
みっともなく叫びださなかったのは、わずかに残されていた死神としてのプライドのおかげだ。
それでも、その状態がずっと続いていれば、最終的には耐え切れなくなっていただろう。
けれど幸か不幸か、全身の異物感がある一瞬を境にして波のように引いていく。
時間にすれば数秒程度の出来事。
全ての変化が終わってしまうと、レアの体に巻きついている触手はチョーカーのように首を一周する1本だけになっていた。
全身に感じていた締め付けからも、異物感からも解放されて安堵のあまり長い息を吐く。
だが、次の瞬間には自らの体を襲った新たな異変にレアは気づいて息を呑むことになってしまった。
先ほどまでの嵐のような時間。
その反動のように、今では首から下、一切の感覚が失われていた。
ちょうどレアが少女にしたように、首からばっさりと切り落とされたようなそんな錯覚。
その不安から首だけを動かして自分の体を確認する。
見た目の上では変化はない。
体の構造上、首が繋がっているかを直接視認することはできないが、生きた人間の体を借りている以上切断されていればかなりの出血があるはずだった。
「なにを……したの……?」
視線を目の前の少女に戻し、途切れ途切れに言葉を紡ぐ。
その声には隠し切れない未知への恐怖が滲み出していた。
「まずは立ちなさい。
そのままじゃお話するのも大変でしょう」
「な……え!?」
ずっと地面のすぐそばにあった目の高さが、すうっと普段の位置まで持ち上がる。
体の感覚がないせいで、一瞬自分が立ち上がっていることにすら気付かなかった。
100: ◆zIwNL7U2uc
06/11/12 01:13:23 oWU0qL0U
同じように立ち上がり、少女がその身を寄せてくる。
身長差のせいでわずかにかがんだような状態になって棒立ちのレアの矮躯を抱き締める少女。
「心配しなくても、馴染んでくれば感覚は戻るわ。
でないと意味がないしね」
その言葉通り、しばらくすると最初は感じなかった背中に回された腕や密着した相手の体の存在が感じられるようになる。
だがその変化に安堵を覚えるより早く、レアは少女の意味深な言葉に不安を駆り立てられていた。
感覚は戻っても、未だ自分の意思では指一本動かせない。
そのことがその不安に拍車をかけていた。
「や、やめて……」
相容れぬ敵に抱き締められて抵抗もできないことに焦りながら、せめて言葉だけでも抗ってみせる。
けれどそれすらも弱弱しく震える口調で、相手を調子付かせることしかできないのが悔しかった。
恐怖を見透かしたようにレアの耳元で笑う少女。
吐息にくすぐられた耳朶から全身へと鳥肌が伝染していく。
「どう、名前を教えてくれる気になった?」
腕はレアの背中に回したままで、少女はわずかに体を離す。
間近で見つめ合い、相手の瞳に映る自らの怯えた表情を自覚しながら、それでもレアは唇を固く引き結んだ。
「強情なのね」
「んっ!?」
少女はかすかに吐息を零すと、拒絶の意を示すレアの唇にあろうことか自らのそれを重ねてきた。
触れ合う柔らかな感触。
それが一つのきっかけになった。
次々と身を襲う出来事に翻弄されていたレアの中に、小さな炎が燃え上がる。
101: ◆zIwNL7U2uc
06/11/12 01:14:04 oWU0qL0U
「あら、怖い」
腕を解き、数歩を下がった少女の口元からあごに向かって、一筋の赤い線が引かれていた。
口の中にわずかに残る鉄の味を感じながらレアは視線を鋭くする。
体さえ自由に動くのなら今すぐ飛びかかりたいところだった。
けれど今のレアには、それは到底叶わぬ願いだ。
出来るのは感心半分呆れ半分といった風で肩をすくめる少女に対し、最大限の敵意を込めて視線を送ることぐらいだった。
いかに死神であっても、視線だけで相手を殺せるわけではない。
それでもそうしないではいられなかった。
それは相手に呑まれ、崩れかけている心の裏返しだったのかもしれない。
それを自覚しながら、それでも死神の少女は懸命に自分の心を奮い立たせていた。
「本当は私自身が教えてあげようと思ったのだけど、今度近づいたら喉笛を噛み切られそうね。
それなら、自分でやってもらおうかしら」
その言葉が終わるやいなや、レアの両腕が勝手に動き、その手のひらが漆黒のワンピースの上から胸部に添えられる。
立ち上がるときは感覚が失われていたせいで何もわからなかったが、それが戻った状態で腕が勝手に動くというのはひどく奇妙な感覚だった。
加えて、ほとんど膨らみをもたない胸の上で10本の指が踊ると、くすぐったいような不思議な感覚が込み上げてくる。
「何を、させようっていうの?」
その意図が全くわからず、混乱からわずかに視線を弛めてしまう。
「ふぅん、さすがに何も知らないのね。
恥ずかしがってくれないのはちょっと興醒めだわ。
それとも、さすがにその体には早すぎてわからないだけなのかしら」
なおもレアにはわけがわからない言葉を続ける少女の姿に、それまでとは違う不安が込み上げてくるのを死神の少女は感じていた。
「そうだわ、あれを使ってみようかしら」
そんな彼女にお構いなしで何かを考え込んでいる風だった少女が不意に顔を上げる。
その表情は何かを思いついたかのように明るいもので、それが一層レアの心を追い詰めていく。
満面の笑みを浮かべ、つい先ほど自分が言った言葉も忘れたかのように無防備に歩み寄ってくる少女。
その警戒心のなさに、レアは改めて立場の違いを思い知らされ唇を噛み締めたのだった。
102: ◆zIwNL7U2uc
06/11/12 01:15:03 oWU0qL0U
「はい、これ」
無造作に差し出されたガラス製の小瓶。
一旦胸から離れたレアの手は、本人の意思に反してそれを受け取ると蓋を開けて顔に近づけてくる。
中にある薄緑の液体に危険を感じたレアは必死に首をひねって逃れようとするが、所詮首だけでは動かせる範囲はたかが知れていた。
「な、に……この匂い」
まず感じたのはあまりにも強い甘い香りだ。
気道を通り肺の中にわだかまるそれに反射的にむせそうにすらなる。
けれど次の瞬間にはその不快感すら一瞬忘れそうになってしまった。
それほどまでにそこからの変化は劇的だったのだ。
「うあああああああああ!」
今度こそ悲鳴を抑えることができなかった。
それどころか自分が叫んでいるという自覚すらないままレアは声を振り絞る。
頭の中で情報が氾濫している。
言葉にすればそんな状態だった。
経験したことがないその現象に、レアは為す術もなく翻弄されてしまう。
「それは本来どうしても鈍くなってしまう死体の感覚を補う薬。
生きている人間の場合、何倍にも増幅された感覚に慣れるまでしばらくはかかるかもね」
情報の奔流の前で押し流されそうになる意識の中、そんな言葉が聞こえてきた気がした。
103: ◆zIwNL7U2uc
06/11/12 01:15:38 oWU0qL0U
「は、ぁ……あ、くぅ……」
ようやく増幅された感覚に頭が慣れてくる。
それでもわずかに風がそよぐだけで全身を誰かの手で撫でさすられているかのような感覚に襲われ、わずかでも身じろぎすると服で擦られた肌はまるでヤスリがけでもされているかのように感じられていた。
「ひっ!?」
その中で、再び胸に添えられた自分の両手。
そこから生まれる感覚は前回とは全く異なるものだった。
指の動きは同じはずなのに、それだけで神経が焼きつきそうなほどの刺激がそこから生まれてくる。
「くぁ、ふ……ん、いやぁ!」
何倍にも増幅された触覚の奥底に、得体の知れない感覚が潜んでいる。
それを本能的に察したレアがそれから逃げようと必死になるが、相も変わらず体は全く自由にならず彼女の体は自分自身の両手による陵辱を受け続けてしまう。
加速度的に膨れ上がっていく未知の感覚。
頭の芯が痺れるような、くすぐったさにも似て非なる感覚に徐々に徐々にレアの心は追い詰められていった。
「あひぃっ!?」
一瞬胸のあたりで何かが爆発したような錯覚にとらわれる。
それはいつの間にか膨れ上がっていた小さな蕾が、2本の指に挟まれたことで発生した衝撃によるものだった。
目の奥で火花が飛び散ったようで、瞬間思考が白く染め上げられる。
そのあまりにも鮮烈過ぎる一瞬が過ぎると、今度はジンジンとした熱が胸の奥に渦巻いているのが感じられた。
「ようやく、わかってきたみたいね」
全身がガクガクと震え、視点が定まらない。
その揺れ動く視界の中で少女が満足そうに微笑んでいるのが見えた。
「いっ……な、なにが……あくっ、これなにぃ!?」
「体を持たない死神にとっては、肉体的な快感って初めての感覚でしょう? でも、一度知ったら病み付きになるわよ?」
「い、いやぁ、こんなの……こんなの知りたくないぃ!」
自分が自分でなくなっていくような恐怖に襲われ、身も世もなく泣き叫ぶレア。
頬を伝う涙の雫すら、今の彼女には火傷しそうなほど熱く感じられた。
104: ◆zIwNL7U2uc
06/11/12 01:16:18 oWU0qL0U
胸を中心に吹き荒れる嵐のような快感の中、ついに両足が体重を支えきれなくなり尻餅をつく。
「きゃひぃ!?」
その衝撃でレアは自分の体に起こった異変が胸だけではないことに気付かされた。
下腹部に、胸のあたりに渦巻いているそれに似た、そしてそれよりも潜在的には何倍も強い快感がわだかまっている。
体の中を熱い液体が流れ落ちていく感覚に続いて、股間を覆う布地がじわりと湿ったことを敏感になった感覚がはっきりと感じ取っていた。
人間に憑依して仕事をすること自体は既に何度も経験したことだ。
だが、こんな肉体的反応は初めてのことだった。
借り物とはいえ自分の体に何が起こっているのかわからないまま、初めての性的快感に悶える死神の少女。
その意識が一瞬とはいえ胸から股間に移ったことに反応したのか、胸に添えられていた両手の内の片方がそこを目指して移動していく。
「や、やだ……だめ、そこいっちゃだめぇ!」
わけがわからないまま、それでも股間を触れられれば今以上の痴態を演じてしまう、そんな予感に打ち震えた。
けれど操られる右手は、恐れおののく彼女の気持ちを欠片も汲み取ることなく、ワンピースの裾から秘められた場所へと侵入してくる。
「―!?」
薄い布地の上からそこに触れられた瞬間、あまりの激感にビクンと背中を仰け反らせてしまう。
触れただけ。
だというのにあまりにも強すぎる快感に脳を直撃され、声を出すことすらできずに口をパクパクと開閉させる。
それほどまでに股間からの刺激は鮮烈で、何も知らない少女にとっては強烈過ぎるものだったのだ。
許容量をオーバーしているそれを、それでも何とか受け止めようとするレア。
けれど悪魔の手先と化した彼女の右手が、その感覚に慣れるまで待ってくれているわけがなかった。
下着の上からだけでは飽き足らなくなった右手は、今度は直接そこに触れるべく下着の中にまで潜り込んでくる。
ドロドロにぬかるむ少女の秘園を、細い指が一辺の容赦なく掻き回していく。
淫らな水音が離れた場所にいる憎むべき敵にまで聞こえているかもしれない。
そう思った瞬間、レアは全身が燃え上がったかのように錯覚に陥っていた。
涙に霞む視界の中、その相手はレアをあざ笑うかのように微笑んでいた。
その視線が、敏感になった全身の肌に突き刺さってくる。
その瞳は、直接は見えないはずの下腹部の状態すら、全て見透かしているかのようだ。
その視線を意識すればするほど、全身の火照りが比例するように何倍にも高まっていく。
そんな中、執拗に少女の秘所を掻き乱す指先が、ついに割れ目の奥で息づく小さな肉粒を探り出していた。
薄皮一枚に守られた、女にとって最大の急所と呼べるそれをためらうことなく摘みあげる無慈悲な指。
その瞬間、レアの頭の中で見えない糸が音を立てて弾け飛んでいた。
「だめ、みちゃだめぇぇぇぇぇぇ!」
今までで最大の絶叫をあげながら、死神の少女は初めての絶頂に全身を震わせる。
憑依をといた瞬間にも似た飛翔感。
大きく開けた唇の端から、とろりと涎が伝い落ちていった。
105: ◆zIwNL7U2uc
06/11/12 01:17:10 oWU0qL0U
「どう、満足できたかしら?」
絶頂の波がゆっくりと引いていき、同時にようやく指の動きが止まっていたこともあって、レアはわずかに理性を取り戻していた。
それでも首から下は自分の意思では全く動かせず、意識もまるで錆び付いてしまったかのようにぼんやりと霞んでほとんど何も考えることができなかった。
「私と一緒にいれば、いつでもその快楽に浸っていられるのよ? いえ、自分の指だけでは到達できない、遥かな高みも教えてあげる」
思考の空白に滑り込んでくる悪魔の囁き。
全身を包む倦怠感。
「さあ、貴女はただ名前を口にするだけでいいの。
それだけで―」
「いや……それだけは……」
その中で拒絶できたのは奇跡だったかもしれない。
心の内に生まれた、悦楽の味を覚えそれをひたすら貪ろうとする別の自分を押さえつけながら、必死の思いで本来の自分を繋ぎ止める。
「そう、まだ足りないのね」
落胆した様子も見せず、むしろ嬉々として何かを差し出してくる少女。
その手には、レアにとっては見慣れたものが握られていた。
原則として単独で仕事に当たる死神にとっては、唯一の相棒にして死神という存在の象徴とも言える大きな鎌。
確認するまでもない。
それは間違いなくレア自身の大鎌だった。
自らが分泌した淫水で濡れそぼる右手で勝手に動き、差し出されたその柄を握り締める。
敵は目の前にいる。
手の中には長年使い込んだ武器もある。
だというのに、レアの右手は彼女の思いとは全く別の動きを見せる。
柄の先端を地面に突き、左手も合わせ、全身ですがり付くようにして体をわずかに持ち上げる。
絶頂直後の両足はみっともないほどガクガクと震えて今にも崩れそうだ。
だが、それでも何とか中腰の姿勢まではもっていくことができた。
その腰が、立てた大鎌の柄に向かってゆっくりと前に押し出されていく。
「ぃ……ぃ…………」
何をさせられようとしているのか悟ったレアが、懸命に唇をわななかせる。
けれど恐怖のあまり無様に痙攣するだけの喉からはまともな言葉は生み出せず、かすかに空気を震わせることしかできなかった。
106: ◆zIwNL7U2uc
06/11/12 01:18:01 oWU0qL0U
下着越しに、レアの秘唇が大鎌の柄に口づけする。
粘着質な水音が小さく聞こえ、全身が震えているせいもあって当てているだけでもじわじわと快感が染み込んでくる。
大切な大鎌でこんなことをしてはいけない。
その思い、その背徳感が、皮肉にもレアの体を燃え上がらせていた。
憎むべき敵の見ている前で屈辱的な絶頂を見せたこと。
それが引き金となってレアの中に芽生えた被虐嗜好。
それはまたたくまに枝を伸ばし葉を広げ、大輪の華を咲かせようとしていた。
「だ、め……だめなのにぃ……」
全身の震えが恐怖のせいか期待のせいなのか、それすらもわからなくなる。
そして中途半端に曲げられていた足が伸ばされ、ずるりと股間を摩擦された瞬間、意識の全てが一瞬の内に肉悦で塗り替えられていた。
それは繊細な指の動きとは対照的な、乱暴といって差し支えない愛撫だった。
秘所全体を荒々しく摩擦され、敏感すぎる小粒を容赦なく磨り潰される。
意識が白熱し、獣のような吠声をあげた。
足が伸びきり一瞬動きが止まったことで戻りかけた理性、次の瞬間と今度は重力に任せて腰が落ちていくことによる摩擦で砕かれる。
落ちきってしまえば、またしても震える両足がなけなしの力を振り絞って小さな体を持ち上げる。
終わらない往復運動。
その中で最初は乾いていた大鎌の柄が媚粘液によってテラテラと輝きを放ち始めた。
そしてぬめりによって最初の内こそわずかにあった痛みも遠のき、ただただ純粋な快楽がレアの精神を揺さぶっていく。
その快楽の奔流は、つい先ほどまで何も知らなかった少女がどうにかできるレベルをとうの昔に飛び越えていた。
涙と涎の雫を飛び散らせ、長い黒髪を振り乱して喘ぎ続けるしかない死神の少女。
漆黒の刃に映る快楽に蕩けきった自分の顔。
仕事に際に努めて被っていた冷徹さの仮面は、もうどこを探しても見つけることができなかった。
「もう、もう―!」
2度目の絶頂までに、それほどの時間は必要なかった。
全身が大規模な痙攣に襲われた、それでも足の屈伸運動だけは止まらない。
「あひぃっ、と、とめてぇっ……とめてよぉっ!」
絶頂の中でさらなる絶頂に押しやられて、今にも気が狂いそうだった。
頭の中がグチャグチャになり、気持ちいい、ただそれだけしか感じられなくなる。
全身ですがりつき腰を押し付けているものは、大切な相棒ではなく、快楽を貪るための装置に過ぎない。
そう思えてしまう。
永遠にも続くかと思われる連続絶頂。
その果てに投げ掛けられるだろう幾度目かの問い。
それを拒絶することは、今のレアにはもうできそうになかった。
107: ◆zIwNL7U2uc
06/11/12 01:18:46 oWU0qL0U
以上です。
108:名無しさん@ピンキー
06/11/12 04:42:05 FLOr+vQV
お疲れ様。
やっぱりこういうの見ると、自分のレベルの低さを痛感するわ……orz
109:名無しさん@ピンキー
06/11/12 21:38:37 s4B/DbZF
GOOD!
110:89
06/11/17 23:15:26 h5HusWal
ぴったり一週間が過ぎてしまいました。
まだ書き掛けなのでどうしようかと思ったのだけど、
途中までを投下しようと思います。
111:No.13 その1
06/11/17 23:23:17 h5HusWal
びゅう、と寒風が吹いた。
風に乗って、救急車のサイレンが近づいてくる。
閑静な住宅街の中にあるこの小さな公園には、三本の街灯が立っている。
だが、管理が杜撰なのか、明かりが灯っているのはそのうちのひとつだけで、
それすらチカチカと瞬いており、風前の灯火といった様相を呈している。
季節はもう冬だった。冷たい夜風が、だいぶ葉の落ちた木々を揺らして吹き
抜ける。
その風に乗って舞うが如く、真っ黒なコートを翻し、彼女は振り返った。
唐突にサイレンが止んだ。どこかに停まったのだろうか─
街灯を反射してチカチカと瞬く瞳が、俺の眼を真っ直ぐに射抜く。
俺は僅かにたじろぎ、ゴクリと喉を鳴らしてしまった。
聞こえてないよな、と思う間も無く、彼女が口を開いた。
「この世には不思議な事など何も無いのだよ、辰巳君─」
俺は彼女の台詞に、大きな溜め息をついた。
びぇーっくしょいっ! と、特大のくしゃみまで出てしまう。
「ちょっと、なにそのリアクションはー?」
「いや、寒いなぁと思ってね」
気温が寒いというのと、小説の台詞を真似るのが寒いというのを掛けたつもり
だったが、
「その寒い中で話し相手になってあげてるのに、その反応は酷いと思うぞっ」
どうやら彼女は後者には気がつかなかったようだ。
コートのベルトを片手に持ってぶんぶんと振り回している。まるで子供だ。
「はいはい、悪ぅございましたね」
彼女は、ぷーっと頬を膨らませて俺を睨みつけた。
こいつ─秋穂はいわゆる幼馴染みという奴だ。高校は別々のところへ通って
いるが、家が近所なのもあって、ちょくちょくこうして会っている。
ガキの頃から、面倒見が良いというか世話焼きというか、なにかとお節介な
奴だった。
今日も、ついさっき、家を出たところでばったり出くわしたのだが、俺の顔
を見るなり、「何か悩み事でもあるの?」と一発で見抜かれ、こうして話を聞い
てもらっていたというわけだ。
「ていうかさ、そんな占いなんか気にしてたって意味ないじゃん」
「そうかもしれないけどな─」
発端は、一週間前に遡る。
最近クラスの女子の間で、タロット占いが流行っていた。
所詮女子高生のお遊びだろうと、俺も占ってもらったわけだが─
「うわぁ……辰巳君の今週の運勢、最悪!」
何枚か表にしたカードのうちの一枚が、それだった。
タロットなんてさっぱり判らない俺の眼にも、見るからに不吉な印象を覚える
絵が描かれていた。
おどろおどろしい骸骨頭に黒衣を纏った、人とも悪魔ともつかぬモノが、手に
した大鎌を頭上にかざし、今まさに振り下ろさんとしている。
十三番─死神だそうだ。
他にも、塔や天秤のようなものが描かれたカードが表になっていた。
なにやら小難しい解説をしてくれたが、ほとんど憶えていない。
ただ、最悪という二文字だけが頭にこびりついて離れなかった。
この一週間、確かに俺の運勢は最悪だった。
教科書やノートを忘れるといった些細な事から、人身事故で電車が止まって
遅刻したり、体育の時には後頭部にサッカーボールが直撃したり、道を歩けば
犬のウンコを踏んづけたり、俺の真横に小さな鉢植えが降ってきたり、車に轢
かれそうになったり─
タロット占いは的中した。俺は大小多くの不幸に見舞われる事になり、命を
落としかねない状況にまでなったのだ。
お遊びの占いだなんて馬鹿にしたものではない。
一通り話し終えた俺は、不思議な事もあるもんだよな、と言った。
その返事が、あれだったのだ。
112:No.13 その2
06/11/17 23:24:17 h5HusWal
「きっと呪にかかったんだよ」
読んだ本にすぐ影響されるのは、彼女の悪い癖だと思う
「占いの所為でそうなったわけでもないでしょ?」
「そりゃ、そうだろうけど」
「占ってもらわなくたって、起きてたかもしれない事でしょ?」
「いや、まぁ─」
それはそうなのだ。
だが、やはり気持ち悪い。
「でもね、ケイちゃんが事故に遭ったわけじゃないし─」
秋穂は俺をケイちゃんと呼ぶ。辰巳圭介というのがフルネームだ。
「ボールで怪我したわけでもないんでしょ? ウンコぐらい靴洗えばいいし、
鉢植えも直撃しなくて良かったし、車にだって轢かれなくて良かったじゃん」
ひとつひとつ指を折りながら彼女は言う。
「まぁ……うん」
「見方を変えれば、占いのおかげで危険に敏感になってて、もっとひどい事に
ならずに済んだ、っていう事かもしれないよ?」
最後に、人差し指を立ててこっちへ向けた。
風が吹き、彼女のセミロングの黒髪が揺れる。
「そんなもんかねぇ」
「そんなもんだよ」
彼女の笑顔を見ているると、そういうものかもしれないと思えてくる。
言葉には魔力がある。
クラスの女子に最悪だと言われ、俺は些細な事でも占いと結びつけてしまって
いたのだ。占いと凶事に因果関係があるかどうかも判らないのに─
それに、秋穂の言うように、占ってもらったからこそ、それらが俺に、もっと
重大な損害を及ぼさなかったのだとも考えられる。
ならば、気の持ちようという事か。
「ケイちゃんは気にしすぎなんだよ」
秋穂はちょこちょこと歩いてきて、俺が腰掛けていたベンチの前に立った。
「それにさ、その最悪の一週間も今日で終わりでしょ?」
「まぁな」
「その最悪の最後の夜に、こうしてあたしとお喋りしてるんだから、終わり良け
れば全て良し、って思えばいいんだよ」
そう言って、にっこり微笑んで俺の横に腰を下ろした。
たしかに、彼女とばったり会えたのは嬉しかった。
だが、それを口には出さない。
「……なんでそれが、終わり良ければ全て良しになるんだ?」
「あのねぇ、あたしみたいな可愛い子とね、夜の公園でお話できるなんて、ケイ
ちゃんは幸せ者なんだぞ?」
そりゃあ、秋穂は可愛い。
まるっこい眼やすっきりした鼻筋、小さな口、細い顎と、顔立ちは悪くない。
小柄でちまちましていて、明るくて人懐っこい性格もあって、男女どちらから
も好かれるタイプだ。
親同士が親しかったおかげで物心つく前からの付き合いで、ほとんど兄妹の
ような関係だ。
いや、実際には姉弟と言うべきか─
俺たちは同級生ではあるが、秋穂の方がひとつ年上だった。
113:No.13 その3
06/11/17 23:25:29 h5HusWal
秋穂が小学生になった時、ひとつ下の俺には、彼女が遠くへ行ってしまった
ように感じられた。
その彼女が、小学生になってすぐ、交通事故に巻き込まれた。
生死の境を彷徨い、意識を取り戻してからも、長い間入院生活を送っていた。
俺はちょくちょく見舞いに行き、病室でおしゃべりをしたり、ゲームをして
遊んだりした。彼女の事故と入院はショックだったが、入院中ではあっても、
一緒に遊んでいられるのは嬉しかった。
その頃からだろうか─幼いながらも俺は彼女に恋心を抱いていた。
次の春、俺も小学生になった。
そして秋穂は、半年以上も入院していた所為で、年齢よりも一学年下、つまり
俺と同じ一年生からやり直す事になったのだ。
それを聞いた時、大喜びしたのを憶えている。
小学生の間もずっと一緒に遊んでいたし、お互いに中学生になり、思春期へと
入った頃─俺ははっきりと彼女を異性として意識し始めた。
そして─恋人として付き合う事にもなったのだ。
秋穂は実年齢はひとつ上という事もあり、頼られる存在でもあった。誰にでも
分け隔てなく接するものだから、男連中からは勘違いされる事も多かった。
彼女を女として意識し始めた俺は、もやもやとした気持ちが日々募り─
中学二年の夏、秋穂から告白されて付き合う事になった。
今思えば、きっと彼女は俺の気持ちに気づいていて、俺から言い難いのなら
自分が言ってあげよう、とでも考えたのだろう。
付き合い始めたのは良いものの、感覚的にはどうしても姉弟という意識が抜け
きらなかった。
キスやペッティングぐらいはしたのだが、最後までは行けなかった。
もちろんそれが最大の要因ではないが、三ヶ月もしないうちに、どちらから
ともなく別れ話を切り出し、破局を迎えた。
直後はギクシャクもしたのだが、今では、またもとのように、仲の良い異性の
友人を続けている。
「なに、黙り込んで……どうしたの?」
秋穂が横から上目遣いにこっちを見ていた。
「ちょっと、昔の事をね」
「……そっかぁ」
彼女はあの時の事をどう思っているのだろう─
実を言うと、俺はまだ彼女に気がある。家を留守にする事が多い両親よりも、
俺は秋穂に親しみを感じているし、それ以上の感情だってまだ持ち続けている。
秋穂は見た目も可愛いし、性格だって良い。
いや、そういう一般的な基準で思い続けていたわけではない。
自分の半身─と言ったら大袈裟だろうか。
「あのさ、ケイちゃん─」
「ん?」
彼女は俯いている。
「やっぱ寒いね」
「もう冬だしな」
「うん、冬だね」
それきり、彼女は沈黙してしまう。
俺もガキの頃は、アキちゃんと呼んでいた。
小さい頃、一緒に遊んだ事や、付き合っていた時の事が思い出される。
お姉さん気取りで色々と世話を焼いてくる秋穂は、時には鬱陶しくもあったが、
俺にとってかけがえの無い人だった。
114:No.13 その4
06/11/17 23:27:42 h5HusWal
あたしたち付き合おうよ─
そう言われた時は、他の男たちを出し抜いたような気持ちになり、そんな自分
が惨めで情けなく、彼女に対して後ろめたかったのも憶えている。
ガキの頃から遊びで何度もしていたはずなのに、恋人になってからのキスは、
心が高鳴って心臓が破裂しそうなほどに興奮した。憶えたてのディープキスは
うまくゆかず、秋穂に笑われたのも思い出す。
初めてそういう事をしたのは、いつだったか─
ほんの僅かに膨らんだだけの胸に指を這わせると、彼女はぴくぴくと身体を
震わせて顔を赤く染めた。その反応が俺を昂ぶらせ、彼女の全てを手にしたい
と思った。
それなのに、いざ挿入という段階になると、秋穂の身体を隅々まで貪りたいと
いう欲望よりも、このまま最後まで行ってしまって良いのだろうかという疑念
の方が強くなって、そこから力が抜けてしまうのだった。
困惑した彼女は、萎んでしまった俺のアレを必死に勃たせようとした。手で
握るだけでなく、咽返りながら口に銜えたりもした。
こうすれば大きくなるかな─そう言いながら、濡れそぼった秘処を、俺に
押し付けてもきた。
それでも俺は怒張する事は無く、そんな彼女を見ているのが辛かった。
もういいよ、やめろよ─そんな風に冷たく言い放ってしまった。
それなのに彼女は、次は最後までしようね、と言って、いつもの明るい笑顔を
見せてくれたのだ。
しかし、二度、三度と試しても、結局最後まではできなかった。
肉体関係だけではなかった。恋人ともなればデートもするし、学校でも周り
からちやほやされる事もある。
けれど、ぴんと来なかった。
秋穂と俺は、幼馴染みで仲が良いし、恋人同士でもある─だが、何か違う。
一緒にいれば間違いなく楽しいのだが、どこか心に霧が掛かったような感じが
抜けない。
次第に楽しさよりも気まずさの方が強くなり、俺は秋穂とあまり会話をしなく
なっていった。
そして、秋から冬に移り変わる頃、その関係は終わりを告げた─
「ねぇ、ケイちゃんの部屋行っていい?」
唐突に彼女が言った。
「え─」
昔の事を考えていたからだろうか。秋穂も俺の部屋で昔の続きを─なんて
考えが浮かび、慌てて掻き消す。
それを知ってか知らずか、秋穂は肘で俺の脇を小突いてニヤニヤと笑う。
「どうせまた散らかってんでしょ? 片付けてあげるぞっ」
彼女は時々俺の部屋にやって来て、CDを聴いたりゲームをしたりして遊んで
いる。たまに散らかった部屋を片付けてくれたりもする。
小さかった頃と何も変わらない。一度は破局を迎えた事なんて、全て忘れて
しまったかのように。
「じゃあ、頼もうかな」
「はぁ~、女の子に部屋の片付けさせるなんて、ケイちゃんはしょうがない子
だねぇ」
「自分で言い出しといてそれかよ」
「あははっ、お姉さんに任せなさいっ」
ぴょこんと立ち上がり、俺のコートの袖を握って引っ張る。
「ほら、行こっ。寒くて凍っちゃう」
子供のように口を尖らせる。
俺は、はいはい、と苦笑しながら立ち上がり、ポケットに手を突っ込んで財布
を探った。
「缶コーヒーでも奢るよ」
「やたっ!」
たかが缶コーヒーだというのに、彼女は満面の笑みを浮かべていた。
再び、サイレンが鳴り響き、徐徐に遠ざかってゆく。
俺たちはその音を聞きながら、公園を後にした。
115:89
06/11/17 23:32:09 h5HusWal
とりあえず以上です。
もうちょっと書いてあるのだけど、キリの良い所で……。
次はまた一週間後ぐらいでしょうか。
116:名無しさん@ピンキー
06/11/18 17:04:35 L4ZZNLSP
ほう…面白そうじゃないか。
続きを期待しようか
117:名無しさん@ピンキー
06/11/19 13:36:55 05WAlVWz
期待ということで保守しときます。
幼馴染が死神にどう関わってくるのか楽しみですな。
118:89
06/11/24 00:51:15 HTbiXoeb
続きを投下します。
119:No.13 その5
06/11/24 00:52:09 HTbiXoeb
「お邪魔しまーす」
秋穂は、途中の自販機で買ってあげた缶のカフェオレを、両手でぽんぽんと
弄びながら、玄関のドアをくぐった。
「ちょっとこれ持って~」
まだ開けていないその缶を手渡される。
買ったばかりの缶コーヒーは、素手で持つには熱すぎる。もう少しぬるめに
保温してくれた方が、猫舌でもある俺は嬉しい。
ブーツを脱いだ秋穂に続いて、両手が塞がったままの俺は、手を使わずに靴を
脱いで廊下に上がった。
「もう、みっともないなぁ」
ちょこんとしゃがんだ秋穂が、脱ぎっ放しの俺の靴をそろえてくれる。
「悪い悪い」
「ったくぅ、ホントいいかげんなんだから……」
ぷうっと頬を膨らませて睨んでくる。
お姉さん風を吹かせているのに、そんな仕草は子供っぽくて、あの頃から全然
変わっていない。
「ケイちゃんって、そういうとこ全然変わってないよねぇ」
思わず、吹き出してしまった。
「む、なにがおかしいのー?」
口を尖らせた秋穂は、本当に─
「お前のそういうとこも、全然変わってないなぁって思っただけ」
「むぅ……真似するなっ」
そういう反応がガキ臭いわけだが、言わないでおく。
「久しぶりだね、ケイちゃんち来るのも」
きょろきょろと辺りを見回した秋穂は、と現に話題を変えた。
「もう二ヶ月ぐらい来てなかったかなぁ」
言われてみればそうだったかもしれない。外で立ち話をする事は何度かあった
から意識しなかったが、ここしばらくは秋穂を招いた記憶が無い。
勝手知ったる、とばかりに廊下をすたすたと進む彼女は、階段の手前で立ち
止まった。そこには、箒やモップなどが壁のフックに吊るされている。
「すごい事になってそうだなぁ。覚悟しなくちゃ」
「そこまで酷くねぇよ」
「これ持ってかないとね」
俺の異議はスルーして、彼女自身の背丈ほどもある、長い箒を手に取る。
「うりゃっ」
妙な掛け声とともに、箒をくるんと回す。
「うっふふ~ん」
なんだか楽しそうだ。箒をくるくると器用に操り、
「ケイちゃん、覚悟っ!」
「なっ─」
秋穂が気合いとともに箒を振りかぶり、頭上に掲げた。
コートの裾が翻り、黒い風が巻く。
箒の先が、ギラリと鈍い光を反射したような気がして─
あの、カードの図柄。
背筋が凍りつくようで─
「うわぁっ!」
思わず声を上げてしまった。
十三番、死神─
あの時、表にされたカードの絵が、フラッシュバックした。
「わっ、ごめん、当たった?」
箒が壁に当たって響いた、こつんという気の抜けた音で、俺は我に返った。
俺の前には、秋穂が口元に手を当てて立っている。
「どうしたの……?」
箒を下ろし、心配そうに上目遣いに見上げてくる。
「あ、いや……ふ、振り回すなって、狭いんだから」
「うん、ごめーん」
お前が死神に見えた、なんて言えない。
やはり、俺は呪にかかっているのだろうか。
死神なんているはずがないのに。
いたとしても、秋穂が死神のわけがない─
120:No.13 その6
06/11/24 00:53:03 HTbiXoeb
「あっ、エロ本発見!」
部屋にはいるやいなや、秋穂は机を指差して大声を上げた。
しまった─友人からもらったエロ雑誌を放置していたのを忘れていた。
なんと言って良いものかと言葉を捜していると、彼女はすたすたと机に向かい、
箒を立て掛けてページを捲り始めた。
「へぇ~、ケイちゃんこういうの好きなんだぁ」
「うるさいなぁ」
彼女と俺との仲とはいえ、こういうのは気恥ずかしい。
意識してそちらを見ないようにしながら、エアコンのスイッチを入れた。
ややあって、温風が吹き出してくる。
「ふぅ~ん、ほぉ~、むぅ……どうやったらこんなに大きくなるんだ……」
巻頭グラビアは、最近お気に入りの巨乳アイドルだったはず。
「むむぅ、羨ましいなぁ……」
呟きながら真っ黒なロングコートを脱いだ秋穂は、その中も真っ黒だった。
薄手の黒いセーターとスリムジーンズは、彼女の線の細さを際立たせている。
「お前、ちっこいからな」
秋穂ははっきり言って貧乳だ。
中学の時は、僅かにしか膨らんでいなかったし、あれから多少は大きくなった
ようにも見えるが、同年代の他の女の子たちと比べれば、小さい方だろう。
「むぅ……ケイちゃんは巨乳好きかぁ」
チクリと痛む─
自分の胸が小さいから、恋人が務まらなかったのではないか─そんな言葉
が隠れているように思えてしまったのは、俺の身勝手な妄想だろうか。
「まぁ、見るだけならな」
言い訳めいた台詞を吐いてしまう。
秋穂がこちらに顔を向けた。
笑っているような、泣いているような顔だった。
「あたしも……おっきくなったんだよ?」
「え─」
「ケイちゃんの好みには程遠いかもしれないけど……」
そんな表情で、そんな台詞を言われると─
「な、なに言ってんだ……」
彼女の瞳に、不似合いな熱っぽさが見え隠れしている。
心臓が高鳴る。
期待していなかったわけではない。
だが、俺の勘違いだったら─
動揺を気取られぬように眼を逸らし、小さなテーブルの上に缶をふたつ並べて
置いた。
秋穂の視線を感じる。
意識してそちらを見ないようにして、コートを脱いでハンガーに掛ける。
「ねぇ、ケイちゃん……」
秋穂の声は、僅かに震えているようで─
「あれからもう、三年も経つんだね」
彼女と別れたのは、三年前の今ぐらいの時期だったのだ。
別れてすぐはギクシャクしていたのに、今はこうして子供の頃のように話を
していられる。
それは、喜ばしい事なのだろう。
ベッドに腰掛け、天井を仰ぎ見た。
蛍光灯が少しくすんでいる。そろそろ取り替え時かもしれない。
「もう三年か……なんか、不思議だよな」
「え?」
「だってさ、付き合って─別れたのにさ、こんな風にお前は俺の部屋に来て
遊んだり、掃除してくれたりして……」
秋穂は、ふふっと笑って、俺の横に腰を下ろした。
「そうだね。でも、辰巳君─」
「この世には不思議な事なんて何も無いんだろう?」
台詞を先読みした俺に、秋穂はにっこりと笑った。
「うん。不思議じゃないよ、全然」
そして、また、泣きそうな顔になる。
121:No.13 その7
06/11/24 00:53:56 HTbiXoeb
彼女はなんでそんな顔をするのだろう。
いや、俺には解かっていたはずだ。
彼女もまだ、俺の事を想っていてくれるのだと。
そうでなければ、こんな関係は続けていられないはずだから─
「ケイちゃん、あたし、ケイちゃんの事─」
俺が、ずっと言いたかった台詞─
あの頃は、きっとまだ子供だったのだ。
恋愛というものがなんなのか、男女の関係というものがどういうものなのか、
そんな事も知らず、回りに影響もされ、もてあます感情を理解も制御もできず、
ただ恋人という漠然としたモノを夢見ていただけの、子供だった。
今だって身体ばかりが大きいだけで、とても大人とはいえない。
だが、それでも中学生とは違う。
今なら、うまくやれるかもしれない。
もう一度、やり直せるかもしれない。
俺は、秋穂の事をずっと─
俺は、彼女の唇を塞いだ。
三年ぶりに触れた秋穂の唇は、素直に俺を受け入れてくれた。
彼女の細い肩を抱く。
「ん、ふぅ……」
秋穂の吐息がこそばゆい。
彼女の腕が腰に絡みついてくる。
そんなにくっついたら、心臓の高鳴りを聴かれてしまう─
俺は唇を離す。
「ケイちゃん……」
寂しそうな顔をした秋穂の頭を撫でる。
いつも見ていたはずなのに、真っ直ぐにその眼を見るのは気恥ずかしい。
俺のこの気持ちを、今なら伝えられる。
あれから三年間、表面的には昔のままを通してきたが、自分に嘘をつき続ける
のも嫌だし、彼女に対しても失礼だ。
「ごめん、秋穂」
「え……?」
そんな不安な顔をするなよ─俺の言葉にはまだ続きがあるんだから。
「三年前は、ごめんな」
「ケイちゃん─」
「秋穂、俺……もっかい、やり直したい」
彼女の眼が見開かれた。
「好きだよ、秋穂」
瞬く間に涙が溢れ出した。
「あたしもっ、ケイちゃん─」
二人の唇が重なり合った。
122:No13 その8
06/11/24 00:55:27 HTbiXoeb
エアコンの低い唸りが部屋に響いている。
ベッドに横たえた秋穂に、覆い被さるようにキスをする。
マシュマロのような唇を割って舌を差し入れると、彼女は小さく喘いで恥ず
かしそうに震えた。
俺の舌が秋穂の舌を探る。
秋穂の舌が、俺に応えるように絡めてくる。
きゅっと眼を閉じた彼女の顔は恥じらう少女そのものなのに、舌は艶めかしく
蠢いていた。
くちゅくちゅという音が頭に響き、彼女の鼓動が感じられる。
さらさらの髪を撫でながら、もう片方の手を首筋に伸ばすと、ぴくんとなった
秋穂の腕が、俺の背に回された。
首筋から鎖骨へ─
ゆっくりと、小さな膨らみへと指を這わせる。
「んっ、うぅ……」
身じろぎをした秋穂に有無を言わせずに、そこへと触れた。
ぴくりと奮えた彼女が、俺の背中に回された手に力を篭める。
セーターの上からでも、その柔らかな感触が伝わってくる。
「秋穂の胸……柔らかい」
唇を離すと、二人の間につうと透明な糸が伸びた。
「ちっちゃくて……ごめんね」
「馬鹿、そんなの関係無いよ」
「でも……」
「俺はお前の胸、好きだよ」
彼女の頭を撫でながら、控えめな膨らみを掌で包み込む。
彼女が言ったように、中学の頃よりも大きく感じられた。
表面の刺繍か、縫い目なのか、凹凸の陰に、こりこりとした突起も感じられた。
「あっ、や……んっ」
そこをまさぐる指に、秋穂はぴくぴくと震える。
「ここ?」
「あぅ、やだぁ……」
指先でそれを撫でると、身を捩って逃れようとする。
俺の指は彼女を逃がさない。
「やっ、んぅ……んっ、はぁ……」
「感じるようになったんだな」
「馬鹿っ、馬鹿ぁ」
うるうるさせた瞳で、下から睨みつけてくる。
以前は、胸に触れると痛いと言うから、あまり責めなかった。
「それに、おっきくなった」
「あぅ、うん……少しだけど、ね」
少しといっても、俺の知っている彼女の胸のサイズは、ほとんどぺったんこと
言える大きさだったので、それに比べればかなりの成長だろう。
「サイズ、いくつなの?」
「馬鹿っ、そんなの聞かないでよぉ」
恥ずかしがる秋穂が可愛くて、俺はつい意地悪してしまう。
彼女の耳元に顔を寄せると、彼女の香りがふわりと鼻腔をくすぐった。
「聞きたいな、秋穂のバスト」
「うぅ~、いじわるぅ」
耳にふうっと息を吹きかけてやる。
秋穂はびくんと身体を震わせて身悶えする。
「やっ、くすぐったい……」
「カップだけでも、知りたいなぁ」
「ひゃっ」
耳たぶを甘噛み─
「あぅ、ふゎっ、だめそれっ」
舌先でチロチロと舐めてやると、可愛らしい声で鳴きながら身を捩る。
「わかったよっ、言うからっ」
123:No.13 その9
06/11/24 00:57:22 HTbiXoeb
「何カップなの?」
耳を責めるのを止めると、秋穂が躊躇いがちな声で答える。
「う、うぅ……Bカップだよぉ」
Bカップしかないのか─
それでもそこそこ膨らんでいるように感じるのは、彼女が華奢な所為だろうか。
「もう……ケイちゃんの馬鹿ぁ」
そう言って、俺の身体にぎゅっとしがみついてくる。
俺も彼女を抱き締めた。
すると、彼女は、んっふふぅ~と変な声で笑った。
「反撃してやるぅ」
秋穂の声が耳元でした直後、俺は、うひっと妙な声を上げてしまった。
「んっふふ~」
俺の耳たぶを銜えたまま、満足そうに妙な笑い声を上げる秋穂。
俺がしたように、彼女も舌先でチロチロと耳たぶを責めてくる。
これは、かなり、くすぐったい。
「うはは、やめっ、やめてくれ~」
しゃぶられている耳たぶだけでなく、頬を撫でる秋穂の髪もこそばゆい。
情けない声を上げてしまう。
逃げようとしても彼女の腕ががっちりと俺を抱いて離さないものだから、二人
してベッドの上をごろごろと転がる羽目になる。
それでも彼女は耳を舐めつづけるのだから、ちょっと感心してしまう。
「やめろ、うひゃ、やめろってばっ」
「わうぇわいをん~」
やめないもん~とでも言ったのだろうか─秋穂は俺の耳をぱっくり銜え
込んだらしく、ダイレクトにくちゅくちゅという音が響く。
「ふぇいふぁんうぃをわうぃわわうぇうぇわうぇうー」
何を言ってるのかさっぱりだが、妙に楽しそうなのはよく解かった。
それにしても、耳元で響く水音というのはなんと淫靡なのだろう。
耳を責められるというのは、感触と音との二段攻撃らしい。
「やらしいなぁ、それ」
そう言った途端に秋穂の動きが止まった。
「くちゅくちゅ響いて、すげぇやらしい」
「や、あぅ……」
恥ずかしくなって止めたのだろうか? 秋穂は俺の耳を開放した。
なんとなく、勝った気になった。
形勢逆転─
力の抜けた彼女をベッドに押さえつけ、にやりと笑ってやる。
「秋穂ってやらしいのな」
「そ、そんな事……」
「前だってさ、俺が勃たなくて─」
「ば、馬鹿ぁっ!」
自分がした事を思い出したのだろう。恥ずかしくて堪らないという顔だ。
あの時の秋穂は、萎んでしまった俺のそれを勃たせようとし、自らあれこれと、
中学生に似合わぬ淫らな行為をしたのだ。
しかし、それは俺にとって忌まわしい過去だ。彼女を愛する事ができなかった
駄目な自分の象徴とも言える。
それなのに、さらりと口にする事ができたのは、三年の時間が俺を成長させた
からなのか─
「また、してほしいな」
「えっ─」
唾液に濡れた唇を、指でなぞる。
この可愛らしい唇で、俺のモノをしゃぶって欲しい。
「フェラ、してくれる?」
「うん……ケイちゃんが、してほしいなら……」
124:No.13 その10
06/11/24 00:59:41 HTbiXoeb
俺はジーンズと下着を脱いでベッドに腰掛けた。
開いた両脚の間に、秋穂が膝を突いている。
「おっきいね……」
「俺も成長したのかな」
「馬鹿ぁ」
彼女の目の前には、剥き出しになった俺のモノがそそり立っている。
あまり自覚は無いが、中学の頃に比べれば大きくなっているのだろう。あの時
は皮も剥けきっていなかったし、もう少し可愛らしさがあったと思う。
根元に密集した縮毛の量も段違いだし、腿や脛の体毛も増えている。
中学の頃は、次第に大人の身体へ変わってゆくのが不安で、恐怖すら覚えて
いた。秋穂との関係の変化も、それに拍車をかけていたのかもしれない。
あの頃とあまり変わらなく見える秋穂だが、彼女も少しずつ大人になっている
のだろう。胸も三年前より膨らんでいるし、子供っぽいとはいえ、顔立ちも大人
びてきた。
こんな状況だから、そう感じるのか─
秋穂は恐る恐るといった感じに手を伸ばし、それを両手で握った。
細くて小さな指が、俺のモノを握り締める。
彼女の指が冷たく感じるのは、俺のそれが熱く滾っている所為だろうか。
「あったかぁい……ぴくぴくしてる」
「秋穂に握られて嬉しいからな」
「……ホント?」
上目遣いに俺を見る。
「ホントだよ」
頭を撫でてやると、照れたように眼を逸らす。
「いただきまぁす」
なんだそりゃ、とツッコミそうになるが、ぐっと堪える。
秋穂が舌を伸ばした。つつ、と先端が触れる。
「くっ……」
秋穂の温かくて柔らかい舌の感触に、自然と身体が反応する。
ピンク色の舌が、鈴口に沿って艶めかしく下から上へと滑ってゆく。
すでに先走りの溢れていた俺の先端を、秋穂は丹念に舐め上げる。
「美味しい?」
「うーん……しょっぱい」
口を尖らせた秋穂は子供っぽく、とても淫らな行為をしているとは思えない。
「美味しいって言ってよ」
「もう……エッチな本の見すぎだよぉ」
「そうかもな」
二人で苦笑する。
「ケイちゃんのエッチ」
「あ、秋穂だって」
「……うん、あたしもエッチだね」
秋穂がぺろぺろと舐めながら笑う。
舐めるだけでなく、握った手も上下に動かしている。
「あたし、ケイちゃんよりエッチかも……」
さっきは恥ずかしがっていたくせに、そんな事を言う。
仕草は子供っぽいのに、中身はひとつ年下の俺なんかより、はるかに大人なの
かもしれない。
秋穂は口を大きく開いて顔を寄せた。
彼女の舌が、唇が、俺に触れる。
「こっち見ながら、銜えて」
「ん……」
頬を真っ赤に染めて上目遣いに見つめながら、秋穂は雁首を口に含んだ。
傘全体が彼女の熱い粘膜に包まれ、言いようの無い快感が湧き立った。
「気持ちいい、秋穂……」
「ぅん……」
何をどうされているのかよく解からない。
判るのは、俺は彼女の口の中で快楽に包まれているという事だけ─
125:No.13 その11
06/11/24 01:01:31 HTbiXoeb
あの時にも、こんなふうに秋穂は俺を包んでくれた。
中学二年だった俺にも、避妊の大切さはなんとなく解かっていた。
秋穂とそういう事をしたいと逸る心に駆られ、羞恥心を抑えてコンドームも
買った。
だが─それを着ける段なると、俺のそれはしなしなと硬さを失ってしまった。
動揺して焦る俺を、秋穂は優しく抱き締めてくれた。
そして、こうすればおっきくなるかな、と言った彼女は、手に握り、さらには、
口を寄せて舌を伸ばしてきた。
萎んで頭部が包皮に隠れてしまったそれを、彼女はそのまま口に含み、舌を滑り
込ませて刺激してくれた。
彼女の行為に俺は興奮していたのに、何故かそこは硬さを取り戻さなかった。
俺は自分の不甲斐無さに耐えられず、彼女を制止し、冷たい言葉を浴びせて
しまったのだ。
それなのに彼女は、まるで自分が悪いかのように、ごめんね、と微笑んだ。
その次の時も、最後までする事はできなかった。
秋穂がしてくれたのは、口淫だけではない。
ある時は、小さな膨らみを俺の先へと押しつけてきた。胸は痛いんだろ、と
制しても、ケイちゃんが気持ちよくなってくれるなら平気、と笑ってくれた。
慎ましい膨らみと、ちょこんと突き出した蕾を押し付けて、痛むのだろうに、
それをまるで顔に出さず、献身的なほどに刺激してくれた。
俺にはそんな彼女が痛々しく、もうやめてくれ、と言うしかなかった。
別の日には、潤んだ秘処を擦りつけてきた。濡れそぼった裂け目を広げ、ケイ
ちゃんがしてくれたからこんなになったんだよ、と言って、萎んだままの俺を
押し込もうとした。
当然、秋穂の幼く狭いそこに、俺の萎びたものが入るわけもなく、俺は彼女を
突き飛ばしてしまった。泣きそうな彼女に、俺は掛ける言葉もなかった。
さらには、あたしがもっとエッチになれば、ケイちゃんもエッチになれるかな、
と、俺の前で自慰をした事まであった。
壁にもたれ、股を広げて、ほとんど無毛の白丘を晒し、くちゅくちゅと淫らに
水音を立てながら、艶めかしく喘いで俺をいきり立たせようとした。
それでも俺が怒張しないと解かると、秋穂は泣き出してしまった。まるで全て
自分に責任があるかのように、ごめんね、ごめんね、と言いながら─
俺は興奮しなかったわけではない。
秋穂のそんな行為に激しい劣情をもよおし、今すぐにでも彼女を貫きたいと
思っていた。己の精を相手の胎内に注ぎ込み、孕ませたいという本能的な欲求は
いつでもあったのだ。
それなのに、その想いを達する事ができないのが悔しかった。彼女を愛したい
のに愛せないというもどかしさに、俺は苛立ち、焦り、腹を立て─
その気持ちは、そういう行為の時だけではなかった。
二人が付き合い始めた事はまたたくまに知れ渡り、公認カップルとなった。
周りはうるさかった。煩わしいほどにちやほやされて、秋穂との交わりも揶揄
され噂されて、時には下品極まりない質問攻めに見舞われた。
そんな話ばかりを振ってくる周囲にも嫌気が差し、結局俺は、秋穂を拒絶して
しまったのだ。
秋穂がどれほど俺を想ってくれているのかも解からず、自分の事しか考えられ
なくなっていた。
126:No.13 その12
06/11/24 01:02:22 HTbiXoeb
「秋穂、すごい気持ちいい……」
彼女は満足そうに眼を細め、ちゅくちゅくと淫らな音を立てる。
秋穂は竿を握ったまま、さらに深く銜え込んでゆく。
「あっ、秋穂……」
上目遣いのままで、俺を頬張る秋穂。
上顎と舌で挟み込まれているのだろうか─強すぎる刺激に、腰が引けて
しまう。
雁の頭を刺激されると、快感よりも痛みが勝ってしまう。
「う、ちょっ、待った」
「んぅ?」
舌の動きを止めて、不安げに見上げてくる。
「いや、気持ちいいんだけど、さ……ちょっと、刺激強すぎ」
「ケイちゃん……?」
それから口を離した秋穂が、俺の顔と下の頭を見比べる。
「気持ちよすぎて、ちょっと痛かった」
俺は彼女に心配させないよう、ははは、と笑ってみせた。
「あぅ、ごめんね……大丈夫?」
俺は、しゅんとしてしまった秋穂の頭を撫でる。
「大丈夫だよ。秋穂のフェラが、気持ちよすぎただけ」
「うぅー」
ただでさえ赤い顔を、さらに赤くする秋穂。
可愛い奴だ─
こんな子を三年間も待たせてしまった。
三年分─いや、幼い頃からの全ての時間の分だけ、彼女を愛したい。
「秋穂も脱いでよ」
「あぅ」
「俺だけ見せてるの、不公平じゃない?」
「うぅ……そ、そだね」
彼女は俺のモノから手を離し、俯いてセーターの裾を握った。
セーターを捲りかけ、手を止めて顔を上げる。
「で、電気……消して欲しい」
「だーめ。秋穂の身体、隅々までちゃんと見たいもん」
「そんなぁ……」
「俺のは見たのに、自分は見られたくない?」
「あぅ、そういうわけじゃ……」
「俺に見られるの、嫌?」
意地悪な質問をしてやる。
「ち、違うけど……恥ずかしいよぉ」
その恥ずかしがる姿を見たいのだ。
明かりが消えていたら、顔がよく見えないではないか─
「さっ、脱げ脱げ~」
「うぅー、いじわるぅ」
観念したのか、秋穂はセーターを一息に脱ぎ去った。
黒髪がさらりと零れて、白い肌とのコントラストが眩しい。
彼女は、セーターの下にこれまた黒いキャミソールを着ていた。外はあんなに
寒かったというのに、意外に薄着だった事に驚く。
黒いキャミの肩紐に並んで、ブラジャーのものであろう真っ白なストラップが
覗いている。
秋穂が伺うように俺を見る。
「それも脱がないとな」
「むぅ……け、ケイちゃんだって全部脱ぎなよぉ」
「ん、そうだな、俺も脱ぐか」
127:No.13 その13
06/11/24 01:03:36 HTbiXoeb
なんだか、気が楽だ─
三年前は、こんなにリラックスした気持ちでは無かった。
周りの男どもを出し抜いたような優越感、秋穂を手に入れたいという支配欲、
勢いだけは豊富な性欲─
もちろん今だってそういう気持ちが無いわけではないし、性欲などはあの頃
よりよっぽど高いのではないかと思う。
だが、それらの感情よりも、今はただ、秋穂とこうしていられるのが嬉しいと
感じられる。
余計な事など考えず、単純に、秋穂といる時間を素晴らしいものだと思える。
物心つく前から一緒だった秋穂と、一度は失敗した彼女と、本当の意味で恋人
になれるのが、素直に嬉しかった。
俺はベッドに腰掛けたまま全裸になった。
俺だって裸を見られるのは恥ずかしいが、秋穂になら身体の隅々まで曝しても
構わない。むしろ、見てもらいたいぐらいだ。
秋穂は、素っ裸になった俺を見て観念したのか、後ろを向いてジーンズを脱ぎ
始めた。
正面から見られたくないのだろうが、後ろ姿というのも欲望をそそるものだと
気づいているのだろうか─
彼女の事だから、そんな事は思いもしないのだろう。
「あぅ」
スリムなジーンズに引きずられ、真っ白なショーツがずれてしまう。
小振りで引き締まったお尻が半分ほど露になったのを、慌てて戻そうとする。
「秋穂、そのまま」
「えぇっ」
「そのままで、な?」
「うぅ……」
ずれた下着というのも官能的だ。
お尻を半分露にしたまま、ジーンズを脱いだ秋穂がこちらへ向き直る。
ショーツの両脇は、レースになっていて肌が透けている。正面にはピンク色の
小さなリボンがちょこんと乗っていて、小花柄の刺繍が施され、縫い目に沿って
細いレースがあしらわれていた。
俺は、可愛らしさと大人っぽさの同居する下着に眼を奪われてしまった。
それを意識してか、秋穂は前を手で隠してしまう。
「へ、変かな……?」
俺はかぶりを振って彼女の手を取る。
「全然変じゃないよ。ちょっと、意外だっただけ」
言いながら彼女の手をどけさせる。
「意外……?」
「うん。もっと、子供っぽいのを想像してた」
「こ、子供っぽい方が、良かった?」
吹き出しそうになるのを我慢する。
「こういうの、好きだよ」
「ホント?」
「ホントだって」
ぱぁっと彼女の顔がほころんだ。
「良かったぁ……ケイちゃんの好み、よく解かんなかったし……」
小さな、違和感─
「う、上も脱がないとダメ、だよね?」
「ん、そうだな」
それが疑問に変わる前に、彼女の指が黒いキャミソールの裾にかかる。
腕を交差させ、キャミソールをゆっくりと捲り上げる。
ほんのりと朱を帯びた、透き通るような肌が曝されてゆく。
きゅっとくびれた細い腰に、小さく窪んだ臍─徐々に身体のラインが露に
なり、真っ白なブラジャーが現れた。
ショーツとセットなのだろう、レースと刺繍が施された、清楚な色香の漂う
ブラ。なだらかに膨らんだ胸の合間に、ピンクの小さなリボンがアクセントと
なっている。
ずり落ちそうなショーツと、まだ履いたままの黒いハイソックスが、清純な
少女と大人の女性との境界にいる彼女を、いっそう扇情的に仕立てていた。
128:89
06/11/24 01:04:32 HTbiXoeb
以上、今回はここまでです。
無駄に長くなってしまっている気もしますが……
お付き合いいただけると幸いです。
129:名無しさん@ピンキー
06/11/24 08:53:26 ruCIwvKe
GJ!
この幼馴染が、実は変装した死神ってパターンもありですよね。
130:名無しさん@ピンキー
06/11/24 17:37:43 WtciWbpQ
おお、新作来てましたか!
続き期待age
131:名無しさん@ピンキー
06/11/24 17:38:19 WtciWbpQ
うわ、消し忘れで失敗。
132:89
06/11/30 13:24:55 85Wj23Hu
「No.13」
>>111-114、>>119-127の続きを投下します。
133:No.13 その14
06/11/30 13:25:56 85Wj23Hu
見惚れてしまう─
「可愛いよ、秋穂」
「あ、ありがと……」
全て取り去るのを待っていられない。
今すぐ秋穂を抱き締めたい─
「おいで」
手を広げて彼女を導く。
「ん……」
床に膝を突いて身体を預けてきた秋穂を、抱き留める。
しっとりとした肌が触れ合い─
当然、彼女の身体には、怒張した俺のそれが突っ掛かるように当たる。
「お、おちんちん……当たってるよぉ?」
「ん、まぁ、くっついてるしな」
官能に昂ぶる気持ちと、日常のゆったりした空気が共存している。
あの頃はもっと感情的で、勢いだけに支配されていたように思う。
「ぬるぬるするぅ」
「秋穂がしてくれたからな」
「す、する前から、出てたもん……」
「そうだっけ?」
すっとぼけてみせると、秋穂はくすっと笑った。
「なんか、やらしいね……」
「そりゃ、やらしい事してるんだしなぁ」
それなのに、どこかのんびりとした二人は、あの頃とは全然違う。
三年という時間が、二人を変えたのだろうか。
少なくとも俺は、自分の気持ちを改めて見つめ直す事ができた。
彼女は、どうなのだろう─彼女も今この時間を、新たなスタートと感じて
いるのだろうか。
抱き合いながら、熱を帯びたお互いの身体を感じ合う。
彼女の身体は、あの頃より多少肉付きが良くなったようにも思うが、全体的な
細さは今もそのままだ。
秋穂の手が腰に巻きついている。胸に顔を押し付けた彼女の髪がくすぐったい。
彼女の背に回った俺の手は、まだ取り払われていない布地をまさぐる。
ブラのホックに指を掛けると、秋穂が身を縮ませた。
「や、やっぱり取るのぉ?」
「当たり前だろ」
「うぅー」
「秋穂の裸、見たいんだよ」
「で、でも……もう見た事あるのに……」
「もう三年も見てないからな。秋穂がどれぐらい成長したか、お兄さんが確かめ
てあげよう」
口にしてから、アホな事を言ってしまったと後悔する。
「むぅ、あたしの方がお姉さんなのにぃ」
馬鹿にされなくてほっとするが、ツッコミどころはそこじゃない。
こんなところも可愛い。愛しい。
頭を撫でると、また子ども扱いするぅ、と俺の肩口に顔を押し付けてきた。
「外すよ」
そのまま、首だけで頷く秋穂。
あの頃はまだ、こういう普通のブラを着けている事は少なかった。小学生が
するような、ハーフトップの時が多かった。
俺の指がぎこちなくホックを外すと、彼女の細い身体がぴくりと震えた。
束縛を解かれたブラが緩み、指先でずらすだけで、肩紐が腕に零れた。
「秋穂、見せて」
「うん……」
彼女の肩を掴み、そっと押すのに合わせて、秋穂が身体を起こした。
白いブラがずり落ち、乳房が露になった。
134:No.13 その15
06/11/30 13:26:47 85Wj23Hu
隠そうとする秋穂を制し、乳房を観察する。
小振りではあるが、ぷくりと膨らんで、なだらかな曲線を描いた秋穂の乳房。
あの頃よりも確かに大きくなっている。華奢な所為だろう、やはりBカップと
いう言葉よりも大きく感じられる。
頂きに乗った淡い鳶色の突起は、きゅっと尖っていて、こちらも中学の頃から
明らかに成長していた。
「そんなに、見ないで……」
「いいじゃん、見たいだんもん」
「うぅ……馬鹿ぁ」
初めて見られるわけでもないのに、こんなにも恥ずかしがる。
そんな初心な反応が欲望を掻き立てる。
「俺、秋穂のおっぱい好きだよ」
「あぅ」
「おっきくなったじゃん。高二なんだし、これからもっと大きくなるかもな」
そう言うと、秋穂は複雑な顔をした。
その顔に、俺は動揺してしまう。
「やっぱり、おっきい方が好き?」
「ばーか。さっきエロ本見て羨ましいって言ってたのは誰だよ?」
内心を悟られぬよう、からかうように言ってやる。
「うぅー」
「俺は今のままでも好きだし、おっきくなっても好きだよ」
その言葉に嘘はない。
「秋穂の胸なら、どんなでも好きだって」
「……うん、ありがと」
秋穂は泣きそうな顔になる。
どうしてそんな顔をするのか─
「秋穂?」
「ケイちゃん……」
秋穂は、泣きそうなまま、破顔する。
彼女のこんな顔は、前にも見た事があった。
中学の時、うまくいかなくて、別れ話になったあの時だ。
いや、もっと前にも─
「秋穂……?」
込み上げるのは、焦燥感─
「痛っ」
「あっ、ごめん!」
無意識に、彼女の肩を強く握ってしまっていた。
「もう……女の子は大切に扱わなくちゃダメなんだからね」
秋穂はブラを肘に引っかけたまま、俺のおでこを指でつんと小突いた。
「あたし……嬉しいんだよ」
満面の笑顔だった。
泣きそうに見えたのは─俺の眼がおかしくなっただけなのだろうか。
「ケイちゃんが、好きって言ってくれるのが嬉しいの」
彼女が手を下ろすと、腕からブラがするりと抜ける。
俺の腿に当たって、床にぽそりと落ちた。
「ね、ケイちゃん……あたしの事、好き?」
そんなの、決まってる─
「好きだよ」
「もう一回」
「好きだよ、秋穂」
「もう一回……」
「何度でも言ってやるよ。秋穂、俺はお前が好きだ」
「うん……あたしも好き。ケイちゃんが好きっ」
言葉には、魔力がある─
秋穂を好きだと言うたびに、秋穂に好きだと言われるたびに、想いが強くなる。
秋穂を抱き締め、肌と肌を密着させる。控えめな膨らみが感じられた。
お互いの温かさを確かめ合い、ベッドに引き倒した。
135:No.13 その16
06/11/30 13:28:17 85Wj23Hu
三日前の日曜に日干ししたばかりの布団は、まだ陽だまりの匂いを湛えていて、
ふかふかとした肌触りが心地好かった。
淡い水色のシーツに仰向けになった秋穂の、白くきめ細かい肌に指を滑らせる。
慎ましやかな乳房は張りがあり、仰向けになってもこんもりと膨らんだまま。
中央にぷくりと浮き出た鳶色の突起が、俺の欲望をそそり立てる。
しかしそこには触れず、彼女の身体の下で、背中から腰へと手を滑らせる。
くすぐったそうに身を捩る秋穂の、大切なところを隠す布切れに指を掛けた。
「あぅ……」
秋穂が身体を強張らせるが、解きほぐすようにキスをする。
横から覆い被さるようにして、ショーツを少しずつずらしてゆく。
秋穂はショーツに手を掛けて抗うが、形ばかりで何の妨げにもなっていない。
それどころか、片手を秋穂の腰の下に入れると、秋穂も身体を浮かせて脱がし
やすくしてくれる。
それでも彼女は、下腹部から手をどけようとはしない。
腿の中ほどまで下ろしてしまっても、秋穂は両手でそこを覆い隠し、両脚も
ぴたりとくっつけ、ショーツを挟んで閉じたままでいる。
「秋穂、ここも見たいよ」
「あぅ……」
俺は片肘をついて上体を起こし、彼女の手に自分の手を重ねる。
「これ、どけてよ」
「うぅ、でも」
そんなに見られたくないのか─
三年前にも、幼い頃にも、何度も見ているところなのに。
「恥ずかしいもん……」
そう言われると、余計に見たくなってしまうのが男というものだ。
秋穂のそこが、今どうなっているのか知りたい。
「見せて欲しいな」
「あ、あっ! そうだ、カフェオレ!」
「はぁ?」
秋穂の台詞に、素っ頓狂な声を上げてしまった。
「カフェオレ、冷めちゃう……」
なんだそりゃ。
「いや、もう冷めてんじゃね?」
「えぇっ? そんなぁ……」
買ってからどれぐらい経っただろう。
まだ冷たくはなっていないだろうが─
「カフェオレの方が大事?」
「あっ! あぅ、そ、そういうわけじゃ……ないけど」
「冷めたっていいじゃん」
「でも、せっかくケイちゃんが買ってくれたのに……」
テーブルに置かれたふたつの缶コーヒーは、きっともうぬるいだろう。
だが、冷めてしまったのなら、また温めればいい。中身が消えてなくなって
しまったわけではない。
俺たち二人の関係のように─
重ねた手で、彼女を促す。
「見せて、秋穂」
「あぅ、うぅ~……笑わない?」
「なんで?」
「だって……」
「笑うわけないだろ?」
「う、うん……」
彼女がおずおずと手をどける。
手の下に隠されていたのは─予想外の姿だった。
秋穂のそこは、驚いた事に、薄茶色の細い毛が疎らに生えているだけで、あの
頃からほとんど変わっていなかった。
「やだっ、やっぱりおかしいんだっ!」
おかしいだなんて─
「薄いから、恥ずかしいの?」
「うぅぅ~、馬鹿ぁ……ケイちゃんの馬鹿っ!」
136:No.13 その17
06/11/30 13:30:03 85Wj23Hu
そんな事を言いながらも、彼女はもうそこを隠さない。
けど、今度は両手で顔を覆っていやいやをする。
本当に子供のようだ。俺よりひとつ年上のはずなのに、秋穂の身体も仕草も、
未発達の少女のようで─
「俺、もしかしてロリコンなのかなぁ?」
「えぇっ!?」
「秋穂のここが、昔と変わらなくてほっとしたっていうか……」
「ええぇっ? なにそれぇ……」
顔を覆っている彼女の手を、ゆっくりとどけてやる。
真っ赤になって眼を潤ませた秋穂が、たまらなく愛しい。
「俺、こういうの好きみたいだ」
「あぅ、うぅ」
秋穂は、なんて言っていいのか判らないというような顔で俺を見た。
「もっと、ちゃんと見たいな」
「えっ!?」
「見せてくれる?」
「あうぅ……」
ぴたりと閉ざされた腿と腿の間に、手を差し入れた。
「あっ、ケイちゃん─」
「力抜いて、脚開いて」
「えっ、やだぁっ!」
口では嫌がりながらも、俺が強引に手を押し込むと、脚から力が抜けた。
彼女の股を開かせながら、俺は下の方へと移動する。
「あぅ、ケイちゃんっ、恥ずかしいよぉ」
「秋穂だって、さっき俺の、じっくり見ただろ?」
「そ、そうだけどぉ……」
ショーツに触れた手に、ぬるりとした感触があった。
見れば、彼女のそこに触れていた部分が湿ってぬめりを帯びていた。
「濡れてたんだ?」
「うぅ……」
彼女が俺のモノを銜えながらそこを潤ませていたのだと思うと、愛しいと感じ
もするが、男として、一人の女を手に入れたのだという征服感も覚える。
「エッチだなぁ」
「あぅぅ……」
つい意地悪を言ってしまう。
彼女が恥ずかしそうな声を上げるから、俺は意地悪になってしまうのだ、と、
自己弁護にもならない事を考える。
もっと秋穂の恥ずかしがる姿を見たい─
ショーツをするっと膝まで下ろしてしまい、左の膝の下に手を入れてゆっくり
持ち上げる。
「あっ、やっ」
秋穂の手が制止しようと下りてくるが、構わず膝を折らせる。
俺が彼女の膝を立たせるのに合わせて、右脚に引っかかったままのショーツが
そちらに引っぱられ、黒いソックスに包まれた足首まで落ちてしまう。
左足をさらに浮かせて、ショーツを抜き取る。
「このパンツ、可愛いな」
秋穂はおろおろと、嬉しそうな恥ずかしそうな顔で俺を見る。
「ケイちゃんのエッチぃ……」
「あの時の秋穂ほどじゃないと思うけどなぁ?」
「あっ! あれは、だってぇ……」
三年前の彼女は、必死だったのだろう。
中学生とは思えぬ淫らな行為をした秋穂は、恥ずかしさよりも、俺をその気に
させたいという気持ちが勝ったのだろう。
それに応えてやれなかった自分を嫌悪する。
「あの時は、ほんとにごめんな」
「ケイちゃん……」
でも、今なら大丈夫だ。
俺は最後まで行ける─そう確信していた。
「好きだよ、秋穂」
「うん、あたしも……」
137:No.13 その18
06/11/30 13:31:52 85Wj23Hu
秋穂の透き通るような肌に、右の脛に引っかかったままの白いショーツと、
黒いハイソックスが映えている。
立たせた左の膝を、少しずつ俺の方へと倒してゆく。
「あ、あっ!」
右脚が内を向いて抵抗する。
「見せて、秋穂」
うぅ~、と唸りながらも、秋穂は頷いて力を抜く。
脚を広げてしまうと、やっとそこが露になった。
さっきとは逆─秋穂の両脚の間に、今度は俺が入り込む。
三年ぶりに見る彼女の秘処─
手前の丘があの頃と変わらない事から想像できたが、そこもまた、ほとんど
変わっていなかった。
周囲はほんのりと赤みを帯び、疎らに茂った恥毛は、幼い少女のように柔毛
ばかりで、ほんの少しだけ薄茶色の細長い芽が伸びている。
うっすらと開いた唇は、彼女の昂ぶりが零れ出ているかのように、透明な露で
満たされている。奥には、鮮やかなピンク色の小さな襞が透けて、艶めかしい
舌のようにも見えた。
その一番手前には、大豆ほどの蕾がちょこんと顔を出していて、大部分は薄い
皮膚に覆われているが、滑らかに潤った可憐な雌蕊が覗いていた。
「うぅ……そんなに見ないでよぉ」
「言われると余計見たくなるんだけど」
「あぅ、じゃあもっと見て……」
「よし、もっと見る」
「えぇっ!? もうっ、ケイちゃんの馬鹿、いじわるっ!」
手足をじたばたさせた秋穂に、子供じゃないんだから、と言ってやる。
「うるさい、ロリコン~!」
頭をぽかぽか叩かれる。
こいつは本当に年上なのか、と思ったのはこれで今日何度目だろう─
だが、どちらでももいい。年上でも年下でも、俺たちにそんな事は関係ない。
彼女の脚を大きく左右に開いてしまった俺は、彼女の腿を押さえつけるように
して、顔を寄せた。
「やっぱり、恥ずかしいよぉ……」
「何度も見てるだろ?」
「そ、そうだけどぉ……」
見るだけなら幼い頃から何度だって見ていた。一緒に風呂に入った事もあるし、
お互いのものを見せ合った事だってある。
それどころか、触れ合った事だって幾度もあったのだ。
最初にそこを見たのは─あまりにも幼い頃で、記憶が判然としない。
どうしてそんな事をしたのかはよく解からないが、きっと純粋な知的好奇心と
いう奴だったのだろう。
彼女が入院している期間にも、こっそりと病室で見せ合った事があった。幼い
ながらもひどく興奮したのを思い出す。
彼女と俺の親が病室を出て、彼女と二人きりになった時─
言い出したのは、秋穂だった。他愛も無いお喋りの中で、突然そこを見たいと
言ったのだ。
俺はショートパンツをずらし、ドジョウの頭のような未熟な性器を抓み出して
秋穂に見せた。彼女は包帯の巻かれた頭を近づけ、可愛いね、と笑っていた。
子供とはいえそんなところで出しているのは恥ずかしかったが、秋穂が喜んで
くれたのは嬉しかった。
あたしも見せなくちゃね、と言った秋穂は、身体に掛けられたタオルケットの
下で、もぞもぞとパジャマを下ろした。俺がそれを捲ると、パジャマとショーツ
を足首まで下ろしてしまった秋穂のそこが見えた。
俺はどきどきしながら、触っていい? と訊いた。
秋穂はこくりと頷き、俺はぴたりと閉じた小さな筋を、指でなぞった。
そういえば、その時俺は、彼女に求められ、そこをかなり長い間、弄っていた
ようにも思う。秋穂はぴくぴくと身体を震わせていた。
俺はそれがどういう意味なのかは理解できなかったが、もしかしたら彼女はその
頃にはもう、未熟ながらも性的に開花していたのかもしれない。
お互いそういう遊びはイケナイコトだという認識はあった。回数は次第に減り、
小学校の中学年になる頃には、どちらからともなくしなくなっていった。
138:No.13 その19
06/11/30 13:33:23 85Wj23Hu
流石にその頃から比べれば、秋穂のそこはじゅうぶん成長したと言えるのだが、
十八という年齢を考慮すると、やはりちょっと幼すぎないかとも思う。
「へ、変じゃない?」
そんな俺の頭を覗いたように、秋穂が怯えたような声を出す。
「何が?」
「だって、あたし……そこ、まだ、子供っぽいでしょ……?」
か細い声で申し訳無さそうに言う。
またそんな事を─俺は苦笑してしまう。
子供のような秘裂は、よく見ればひくひくと艶めかしく微動していて、小さな
口が官能に喘いでいるようにも思える。
幼い子供のここは、こんなふうにはならないだろう─
「そうだなぁ。あの頃とあんま変わってないもんな」
「あぅ……」
「でもさ、さっきも言ったけど、秋穂がどんなでも、俺は好きだって」
「うぅ……恥ずかしい」
歯の浮くような台詞に、素直に照れる秋穂が可愛い。
俺はおもむろに舌を伸ばし、潤んだ裂け目に触れた。
「あっ! はぁぅ……」
ぴくんと震え、秋穂は吐息を漏らす。
僅かにつんとした匂いが鼻を衝く。立ち昇るほどの女の匂いが溢れてくる。
だが、まるで不快ではなく、むしろ俺の劣情をさらに掻き立てる媚香だった。
「んっ、はぁ……」
舌先を割れ目に添えて、下から上へ、淫靡な露を味わうように滑らせる。
秋穂は震えながら喘ぎ、彼女の両の腿を抑えている俺の手に、しなやかな指を
重ねてくる。
口の中に舌を戻すと、塩気を帯びた蜜の味が口に広がった。
舌を伸ばし、もう一度─今度は舌先を強張らせて、スプーンで掬うように
舐め上げる。
「はぁぅ、んぅっ……」
ぷっくりと膨らんだ秘唇の中には、もうひと揃えの小さな唇が、やわやわと
佇んでいる。
ぴたりと閉ざされたそこは、未だに何者をも受け入れてはいないのだと言って
いるようで、俺はほっとしてしまう。
そして、自嘲する─
この三年間、彼女がどんな男と付き合っていたとしても、俺にそれを責める
権利なんて無い。
彼女は、俺を待っていてくれたのだろう。
今日と同じように、冷たい風の吹く、寒い夜だった。
あれから三年間─
「やぅっ、ケイちゃ……舐めちゃ、やだぁ……」
「なんで?」
俺は舌を止めてそこから離す。
が、秋穂が本気で嫌がっているのではないと解かっている。
「だって、汚いし……」
怯えた子猫のような声が俺の嗜虐心を煽る。
「ふぅん、秋穂のここって、汚いんだ?」
「えぇっ? あぅぅ……」
意地の悪い俺の言葉に、彼女は口篭もる。
「秋穂はちゃんと洗ってないのかなぁ?」
「ち、ちがうもん、洗ってるもんっ」
「なら、綺麗じゃん?」
「う、うぅ─んひゃぅッ!」
秋穂の一番敏感な小粒に、俺は不意の一撃を加えた。
「ひっ、はぁっ、んっ!」
続けざまに舌先でちろちろと転がしてやると、秋穂はびくびくと震えながら、
可愛らしくも艶めかしい喘ぎを漏らす。
「あっ! はぁっ、はぅっ……」
待たせてしまった分を取り返すように─いや、それ以上に俺は彼女を悦ばせ
たくて、彼女のそれに口づけた。
139:No.13 その20
06/11/30 13:34:29 85Wj23Hu
「はっ、はぁっ……あぁっ、あっ」
秋穂の蕾を口に銜えて舌で舐め転がす。
彼女はびくびく震えて俺の愛撫に応えてくれる。
甲高い喘ぎが俺を駆り立てて、もっと気持ちよくしてあげたいと思う。
「ひゃっ、んっ、んっ、あぁっ」
彼女の手が俺の頭を掴んでいる。髪をくしゃくしゃにされてしまうが、それも
心地好く感じられる。
男のペニスのように充血して膨れ上がった粒を、舌で丹念に責め立てた。
「ケイちゃんっ、あっ、ダメっ、ひっ」
身を震わせ、腰を捩り、やわらかい腿に顔を挟まれてしまう。
「なにがダメなの?」
「だって、気持ち、よすぎて……」
唇を離して俺が訊くと、彼女は途切れ途切れに答えた。
「あたし、だけ……先に……いっ……」
語尾が消えてよく聞き取れなかったが、想像はできた。
「秋穂、イきそうだったの?」
「うぅ……うん」
頷いた彼女の指は、俺の髪を弄んでいた。
俺はあの頃、最後まで達した事が無かったが─
俺も、彼女を満足させた事が一度も無かった。
こういう事は何度もしたというのに、彼女をイかせる事ができなかったのだ。
「ケイちゃん……あたし……」
「ん?」
「ケイちゃんと、一緒に……」
身体を起こして覆い被さる。
秋穂が真っ赤な顔で恥ずかしそうに微笑んだ。
「一緒に、イきたいな……」
「秋穂─」
俺は衝動的に口づけた。
舌を絡ませ、唾液を吸い上げる。
身体を密着させると、俺のモノが彼女の腿に押し付けられた。
あの頃とは違う。今なら大丈夫。
だが、ふと現実に立ち戻ってしまう。こういう事をするなんて考えてもいな
かったのだから、当然コンドームなんて持ってない─
「平気だよ、今日は……」
俺の心を見透かしたかのように彼女が言った。
安全日なんて無い─保健の授業で教師が言っていた言葉を思い出す。
性教育の特別講義でも、派遣されてきたらしい講師は同じ事を言っていた。
おかげで、外に出せば良いというものでもない事も理解している。
だが、俺は─
「いいのか?」
「うん……」
俺の躊躇いを吹き飛ばすほどに、秋穂の笑顔は純粋で、扇情的だった。
俺も来年は十八。できちまったらその時だ─
腹を括る。
「ケイちゃん……好き」
「俺もだよ、秋穂」
「して、くれる?」
「当たり前だ。三年分、ぶち込んでやる」
「んふふっ、なにそれ~」
くすくす笑われる。
秋穂の無邪気な笑みと、股を広げた淫らな姿が対照的で、くらくらする。
「照れ隠しだ、気にするな」
「ケイちゃんも、恥ずかしいんだ?」
「当たり前だろ」
「よかった……あたしだけかと思った」
口元に手を当てて、くすっと笑う。
「ケイちゃん……して」
「ああ」
140:No.13 その21
06/11/30 13:35:28 85Wj23Hu
欲望の塊を、彼女の潤んだ泉に浸す。
ぬるりとした感触が、モトサヤなんて言葉を連想させる。
元の鞘に収まる─彼女の鞘に、俺の太刀は一度も収まっていなかった。これ
から初めて収まるのだ。
物心着く前からの付き合いの俺たちは、三年前に一度はくっついたのに、俺の
不甲斐無さの所為で離れてしまった。
もう離さない。二度と離さない。
「いくよ、秋穂」
秋穂は潤んだ瞳で、こくんと頷いた。
期待と怯えの混じった彼女の眼を見つめながら、俺は腰を押し出す。
「んっ……あっ!」
切っ先は、狙い違わず彼女の中心へ沈んでゆく。
「ケイちゃん……あっ、んんっ!」
だが、すぐに突っ掛かってしまう。
「痛っ! あっ、あぅ……」
さらに奥へと押し込むが、彼女の声に力を抜いた。
「痛いのか?」
「うん、ちょっとだけ……」
申し訳無さそうに俺を見る。
「大丈夫だよ、ケイちゃん……して……ね?」
そんな秋穂が愛しくて─
彼女の腰を掴む。
「秋穂、力抜いて」
「うん」
「俺の手、握って」
「うん……」
彼女が俺の手首を握る。
それで痛みが和らぐのかどうか、俺は知らない。
力を抜いているつもりでも、痛みへの自然な反応だろうから、どうしようも
ないだろうと思う。所詮、気休めなのだろうが─
「もっかい、いくよ?」
「う、うん……」
秋穂が身を強張らせる。
全く力が抜けていない。
苦笑しつつ、俺は押し込んだ。
「ひっ、んっ!」
また止まってしまう。
俺は構わず一息に押し込んだ。
「ひあぁっ! いっ……んぅっ」
彼女の声とともに、ぬるりとした温かい感触に包まれ、強く締め付けられた。
「だいじょぶ、だよ……痛くない」
そんなはずがない。彼女の顔も、声も、手首をぎゅっと掴んだ指も、全てが痛み
を訴えている。
「はぁっ……ケイちゃんの、入ったの?」
「ああ、入ったよ。まだ途中だけどな」
「ん……よかった、よかったぁ……」
「秋穂─」
彼女は泣いていた。
俺も泣きそうだった。
ようやく、ひとつになれた─
三年前、あんなにも情けなかった俺は、ようやく、男として彼女とひとつに
なれたのだ。
141:No.13 その22
06/11/30 13:36:39 85Wj23Hu
「よかったぁ……やっと、ケイちゃんと、エッチできた……」
彼女の喜びが、触れ合った粘膜を通して伝わってくるようだった。
「秋穂と、やっと繋がった」
俺の喜びも、伝わっているだろうか。
「うん、ケイちゃんと、繋がってる……」
かなりの痛みだろうに、彼女はにっこりと笑う。
秋穂の熱い襞に包まれ、俺はえもいわれぬ恍惚を覚える。
彼女の中は、こんなにも気持ちいいものだったのかと、素直に思う。
「んふふっ、ちょっと痛いけど、嬉しいな」
「やっぱ、痛い?」
「ん……ちょっと、ちょっとだけ、ね」
えへへ、と彼女は笑う。
俺はこれほどに快感を覚えているのに、彼女は痛みに耐えているのだ。
それを感じさせまいと、苦痛を隠して笑おうとする。
そんな彼女に、少しでも俺がしてあげられる事は─
「秋穂」
「ケイちゃ……んっ、ふぁ……」
繋がったまま、身体を倒してキスをした。
唇を重ね、舌先を軽く触れ合わせる。
しばらくこうしていれば、彼女の緊張も解せるだろうか。少しは痛みも和らぐ
だろうか。
俺のモノは破裂しそうなぐらいに怒張したまま、どくどくと脈打っている。
とりわけ大きいわけではないと自分でも思うが、彼女の小さな身体には、これ
でも余るほどだろう。
時折、秋穂の身体がぴくんとなって俺を締め付け、柔襞が彼女の痛みを俺に
伝えてくるようだ。
「ケイちゃん、動いて、いいよ?」
「でも─」
「うぅん、あたし、もう平気……」
平気なわけないだろう。今だって痛そうな顔をしてるじゃないか─
それでも、彼女のそんな言葉を聞かされて、留まっていられるほど、俺も淡白
ではなかった。
繋がっているだけで、こんなに気持ちいいのだ。動いたら、きっともっといい
のだろうと思う。
秋穂を貪りたい。秋穂の身体を、奥まで感じたい。
俺は、ゆっくりと腰を動かした。
「ひっ! んんっ……」
唇をかみ締め、眼を閉じ、眉を顰めているのに、秋穂は笑っていた。
秋穂の狭い胎路を、抉じ開けるように進んでゆく。
熱くねっとりと締め付ける彼女の中が、たまらなく気持ちいい。
「んっ、ケイちゃん、ひっ……」
痛みに耐える秋穂がいじらしい。
今すぐにも激しく腰を振りたい衝動に駆られるが、なるべく彼女に負担を掛け
ないように、ゆっくりと押し込む。
先端が、こりこりしたものに触れた。やはり、根元までは入りきらない。
「秋穂、奥まで入ったよ」
「うん……奥まで……」
彼女の指が、俺の手首に食い込んでいる。
「ケイちゃん、動いてね……止めちゃ、やだから、ね?」
「ん、解かったよ、秋穂」
初めて男を受け入れて、激しい痛みに耐えているというのに、そんな扇情的な
言葉を漏らす。
きっとこいつは、天然でやっているのだろう。
いやらしい言葉を口にして、俺をその気にさせようとか、自分ももっと官能に
浸ろうとか、そんな事はまるで考えていない。
思った事を、ただ口にしているだけなのだろう。
まったく─俺はどうしようもない男だ。
こんないい子を、三年間も待たせてしまったのだから。
もしもこの世に神様なんてものがいて、俺に天罰を下すと言うなら、すすんで
受けるしかないだろう─
142:No.13 その23
06/11/30 13:39:59 85Wj23Hu
俺は抽送を繰り返した。
雁と襞が擦れるたびに、今まで味わったどんな刺激よりも突き抜けた快楽が
俺に襲い掛かってくる。
すぐにでも爆発してしまいそうだった。
「秋穂っ、お前の中、気持ちよすぎ……」
「嬉しい、ケイちゃ、んっ、いっぱい、気持ちよく、なってねっ」
はぁはぁと息を荒げて言うと、秋穂も喘ぎながら答える。
このまま快楽に飲み込まれてしまえば、秋穂を痛みから解放してあげられる
だろうか。
そう思うと同時に、一緒に達したいという、青臭い気持ちも湧いてくる。
込み上げる衝動を、頂点の手前でなんとか逸らしながら、俺は腰を振り続けた。
「ケイちゃん、はぁっ、んっ、あたし、気持ちいいっ」
「秋穂、きもち、いいのか?」
「うん、気持ちいいよっ、ケイちゃんの、気持ちいいっ」
痛くないのか? と聞きたかったが、きっと彼女は痛くないと言うだろう。
ならば、俺も耐えよう。
秋穂と一緒に達せられるように、自らの快楽に耐えて見せよう。
彼女に比べたら、笑っちゃうような宣言だろうが─
初めての彼女は、中だけの刺激では、達する事は無理だろう。中は慣れないと
強い刺激は味わえないという話をどこかで聞いた。
俺は身体を起こし、そこに指を伸ばした。
「ひゃぅっ! ケイちゃんっ、ひぁっ!」
二人の結合部のすぐ上で、ちょこんと佇む小さな突起。
抜き差しされているその部分には、わずかに紅い血が滲んでいた。
二人の露が混じり合った愛の証を掬って、蕾を転がす。
「ふぁっ! それ、ひゃっ、はっ、あっ、あっ!」
秋穂の喘ぎが、俺の官能を衝き刺す。
まだダメだ。秋穂はまだ届かない─
気を抜くと暴発してしまいそうな衝動を強引に抑え込む。
躊躇いがちに腰を振り、激しく指を震わせ、内と外から彼女を刺激する。
「ケイちゃんっ、はぁっ、あっ、はっ」
秋穂が俺を呼ぶ。俺も秋穂を呼ぶ。
「秋穂、好きだよ、秋穂!」
「好きっ、ケイちゃん……大好きっ、あっ、ひぁっ」
嬉しくて、気持ちよくて、俺はもうこれ以上耐えられそうに無い。
まだ耐えなければ。彼女と一緒に、三年分の高みに達しなければ。
「ひぁっ、んっ、はぁっ、あっ、あっ」
秋穂の声が震えている。彼女も近いのだろうか。
そう思うと、決壊しそうになってしまう。
「俺、そろそろ……イきそうだよ」
「あっ、あたしも、ケイちゃんっ」
秋穂の身体はびくびくと波打ち、時折大きく弾んでいる。
「ケイちゃんっ、一緒に、あっ、あぁっ!」
「秋穂……でも─」
「ひぁっ、今日、大丈夫っ! だからっ、はぁっ、お願いっ」
中に、出してしまっていいのか─
「欲しい、ケイちゃんっ! 全部、欲しいっ!」
「解かった、秋穂─」
全部、解き放ってしまおう。秋穂の中に、俺の精を注ぎ込んでやろう。
噴き上げるような衝動に全てを任せ、彼女を突き上げる。
「秋穂、イくよっ……出るぞっ!」
「ひぁっ、あぁっ、ああぁっ、イっちゃうっ! ケイちゃんっ─!」
「俺も……んっ、イくっ、出るっ!」
「ひぁっ、ひゃぅ、あぁぁっ─!」
秋穂は腰が浮くほどに背を反らせ、びくんびくんと弾けるように身を震わせた。
俺もそんな秋穂の中で、何度も何度も精を放出した。
三年間の想いを全て吐き出すように、いや、それよりもっと長い時間、彼女と
過ごした全ての時間の分だけの、精を注ぎ込んだような気がした。
視界の隅で、きっともう冷め切ったであろう缶コーヒーがふたつ並んでいて、
秋穂がさっきまで着ていた漆黒のロングコートが、エアコンの風に揺れていた。
143:89
06/11/30 13:42:04 85Wj23Hu
今回はここまで。
えらい長くなってますが、まだちょっと続きます。
お付き合いくださると幸いです。
144:名無しさん@ピンキー
06/11/30 15:04:39 u8pksOD7
GJ!
145:名無しさん@ピンキー
06/12/01 07:36:11 F8afItjF
これまた良い仕事を。続き期待しています。
146:名無しさん@ピンキー
06/12/09 23:23:30 /Hor8m+H
保守
147:名無しさん@ピンキー
06/12/12 22:09:56 HAfodFTC
もしデスノートの死神が♀だったら…
結構萌えるかもしれない
148:名無しさん@ピンキー
06/12/12 22:15:00 9DH96C/W
オレが萌えた死神。
URLリンク(kasamatusan.sakura.ne.jp)
149:名無しさん@ピンキー
06/12/13 02:03:40 kGkhK8e+
>>147
レムは♀ですが、何か?
150:名無しさん@ピンキー
06/12/13 23:20:37 vTZzZ3qQ
でも、セクースはできないんだよな。
♂♀の違いはあっても。
151:名無しさん@ピンキー
06/12/18 13:59:32 HxX9roHH
>>152
死神娘が無理やりやられるSS書いてくれよ
152:名無しさん@ピンキー
06/12/24 23:03:39 a/IdffLb
>>151
レイプって大嫌いなんだよね。
逆レイプは大好きだけど。
153:名無しさん@ピンキー
06/12/25 16:33:32 zP6/zxX4
そこをなんとか
154:名無しさん@ピンキー
06/12/29 00:50:49 NSrBbapd
死神娘を犯そうとした男が、
逆に娘にされて死神男に……
それは別スレだしただややこしいだけか。
155:名無しさん@ピンキー
07/01/04 23:46:38 5DgjiNPB
俺は今、悩んでいます。
誰にも相談できない悩みがあります。
「・・・・ぃ」
最近付きまとわれているんです。
「・・ぃ・・ぉぃ」
えっ?ストーカー?いや、そのほうがどれだけ救われるか。
「・・・ぉーぃ」
もしかしたら感づいてる方もいると思いますが
「おーい」
俺の悩みt「おーい、聞いてるのか?」
「だー!もぉうっさい!」
「なんだ、何回も読んでいるのに
返事をしないお主が悪いのではないか!!」
この俺に四六時中まとわりついている少女。
俺の悩みは彼女のことです。
出会いは二週間前、まだ少し肌寒い春先のことでした。
俺がいつものごとくバイトをクビになった帰り道
肩を落としながら帰っていると、
誰かが上着の袖引いているような気がした。
振り返ってみると、十歳かきわどい少女がだった。
俺にロリコンの趣味は無いが、
それでも惹かれそうなきれいな顔立ちだった。
そのとき俺は彼女が何か言いたそうだった気がした。
「お嬢ちゃん、どうしたのかな?迷子かな?」
(これでは危ないオヤジに間違われそうでわないか。)
などと心に苦笑いを浮かべていたら、
その子がおもむろに口を開いてこう言った。
「わらわのために死んでくれぬか?」
はっ?
「だから、わらわのノルマのために死んでくれぬか?」
そう、彼女は『死神』だったのです。
残念ながら続かせるだけの力がありません。
誰か!よろしくお願いします!!
156:名無しさん@ピンキー
07/01/05 10:53:55 yX7fGmdv
>>155
ぅん~、なんとも・・・・・・なぁ
157:名無しさん@ピンキー
07/01/06 20:38:02 E7tcoLCx
続ける気が無いなら最初から書くなと
158:名無しさん@ピンキー
07/01/14 17:22:51 XLR1Rr1S
保守。
159:名無しさん@ピンキー
07/01/28 00:19:54 HrzX+JIG
保守
160:名無しさん@ピンキー
07/01/28 01:21:14 Ne3yl+q1
>>155 スタンプ・デッドのパクリ?
161:名無しさん@ピンキー
07/02/03 14:40:15 gIgGB+SR
162:名無しさん@ピンキー
07/02/06 00:54:11 NDX3wr53
疑問だが、死神は本当に死神でないとまずい?
通称、死神って呼ばれてるみたいのはまずいか?
そうでなければ、アイディアはあるが…
163:名無しさん@ピンキー
07/02/06 01:22:03 XwaMjmpP
通称でも良いんじゃね?
ところで、漫画の話になるけれど。
日本の『死神』は海外だと『Soul ripper』とか『Shini-gami』って表記されるらしいな。
ヤハウェの蔓延る文化圏では、デスノのリュークとかに「神」を表す表現は不適切だと判断されたとみた。
164:名無しさん@ピンキー
07/02/06 03:10:13 0Ax2Z74p
>>163
Deathじゃないのか。
165:名無しさん@ピンキー
07/02/06 07:56:50 1RVC2DgV
日本語の概念に当たる「死神」とはちょいと意味が違うのかもね。>Death
166:名無しさん@ピンキー
07/02/06 20:51:02 NDX3wr53
この流れで『通称』死神は投下しにくい今日この頃
投下おk?
167:名無しさん@ピンキー
07/02/06 20:54:28 XwaMjmpP
おkおk
168:名無しさん@ピンキー
07/02/06 21:35:33 NDX3wr53
思ったより反応が早くて焦り中。
はっきり言ってエロなんて書いたことないし…。
とりあえず、まだそこにたどり着いてないのはご愛嬌。
駄文、乱文だが許していただきたい。
題名は…「狩る理由」でいいか。
169:狩る理由 1/3
07/02/06 21:38:49 NDX3wr53
「各員、戦闘体制のまま待機!」
荒野に5000の兵士が集まっている。
前列は長槍を構え、その少しあとに黒いローブを纏った魔術士が立っている。
次に弓兵が矢をつがえ、残りは剣と盾を握っていた。
「いいか、敵の数はたかだか1000!
我々にとって、ただの小石に等しい事を忘れるな。
敵を、敵の血で溺れさせろ!
我々の勝利は神に約束されている。
これは聖戦だ!!」
おぉ!と声があがった。
5000の兵士を束ねるグラムは満足気な顔で彼らの前に立っていた。
「我々の槍は鎧を貫く!
我々の魔術は敵を焼き付くし、矢は雨に等しく降り注ぐ!
剣を振るえば地が砕け、盾は全てを弾く!
もう一度言おう、我々の勝利は約束されている!!」
雰囲気はすでに勝利をおさめていた。
そこに、グラムのそばに男が近寄る。
「グラム様、大事なお話が。」
彼は物見役だった。
「敵にクリスが、死神のクリスが合流しました。
東の国境の防衛に向かったのは偽情報です!」
グラムの背筋が凍った。
170:狩る理由 2/3
07/02/06 21:42:07 NDX3wr53
運よく、他の兵士には聞こえなかったらしい。
鼓舞された兵士は猛々しい空気に包まれていた。
彼は言葉を締めて、その場を離れる。
そして、ゆっくりと聞き直した。
「それは本当か?
間違いや、それこそ混乱を狙う偽情報ではないのか?」
だが、残念そうに首は振られた。
断じて否、と。
「ちっ…くそ!だから俺は反対だったんだ!
普通に考えて5000に対して1000を向かわせるか?
ここはやはり引くべきだったんだ。」
それは吐き出されたような言葉だった。
「いいか、クリスが合流した事を誰にも話すな。
指揮に影響するからな。
なに、1000の兵と一騎当千が一人…たかだか2000の兵だ。
問題はないだろう。
…問題はない。」
その言葉に嘘がないと誰が言えようか?
だが、敵の軍勢はすぐそこまで来ている。
秒針が10回、円を描けば対峙するはずだ。
退こうとすれば背中を突かれてしまう。
逃げる、という選択肢はなくなっていた。
171:狩る理由 3/3
07/02/06 21:47:56 NDX3wr53
「…って話してるんだろうな~。」
焦ってる顔が目に浮かぶ、目に浮かぶ。
私が国境に向かった情報はうまく流れたからね。
おかげで、あっちの敵さんは防御の構え。
こっちの敵さんは油断していると。
まったく、笑顔がこぼれちゃうよ。
「んじゃ、みんなー。
死なない程度に頑張ろうね。」
…よし、元気な返事。
さてと、このペースで進めば10分でぶつかるな。
そろそろ準備をしなくちゃ。
まずは武器のチェック。
歩きながら剣を抜く。
桜色の目と唇、ゆるやかな輪郭が写る。
うし、いい感じに研がれてる。
次は防具、肘当てと膝当て、胸当て、真っ赤な服に欠損はなし。
あ、そうだった、そろそろ髪を切ろうと思ってたのを忘れてた。
もう肩まで伸びてるし…、気になるなあ。
視界に赤いのがはいるし、邪魔になってるよ。
これが終わったら切ってもらおう!
なんて考えてると、地平線に敵が見えはじめた。
172:168
07/02/06 21:51:01 NDX3wr53
今回の投下分はこれだけです。
エロまでは少々お待ちを…。
筆者が凌辱なとが嫌いなので甘々になる予定。
あ、ごめん、本当にヘッポコだねorz
173:名無しさん@ピンキー
07/02/06 21:56:01 0Ax2Z74p
通称死神、いいじゃないか。
期待しているぞ。
174:名無しさん@ピンキー
07/02/07 23:40:22 Syn+V1PE
>>173 そう言われると嬉しいが緊張する…。
ともあれ、懲りずに続きを書いてみた。
エロは~…次か、その次になります。
ちなみに、ちょっと痛い表現があるので注意してくだはい。
エロが一番書きたいのになぁ…先が長いよ。
175:狩る理由 1/4
07/02/07 23:41:55 Syn+V1PE
距離にして100m、走れば10数秒。
魔術、弓矢、両方とも射程圏内。
まさに臨戦状態だね。
「よーし、魔術部隊は詠唱準備。
剣士部隊はいつでも突撃できるようにしといてね。
合図をしたらすぐに戦闘開始だよ。」
そう言い残して私は敵と対峙しに歩き始めた。
枯れた草がサク、サクと音をたてる。
距離にして10m、ザワ、ザワと、どよめきが聞こえる。
『おい、あれって』
『死神?死神のクリス?』
『まさか……』
本当に焦ってる、焦ってる。
ここまで上手くいくと笑いたくなるよ。
「やっほー、私の噂は知ってるかな?
通称死神、死神のクリスだよ。
まあ、あんた達に恨みはないさ。
だけどマスターのために、とりあえず死んでくれる?」
どよめきはさらに大きくなる。
すかさず私は詠唱を始めた。
『大気に満ちる、数多の水よ
集い来りて玉となれ
その身を氷に変え
敵を押し潰せ!』
戦闘用魔術・氷式・ガラスの星
半径10mにもなる大きな氷が、隕石となる。
これが私の合図。