08/03/26 22:28:41 vw9xtDrN
「お互い、死神同士で認め合えるような仲間が欲しい」
孤独なわたしの口癖のひとつ。
「ふっふー。紫せんぱーい、何してるんですか?」
桜も大分散り始め、肌寒さも緩んだ頃、後輩の「荵」が駆けて来る。
春のせいで眠いわたしには、彼女の一声はズキリとくる。
彼女の髪は紺がかった黒色、片方をピンで留めた前髪で開かれた額が健康的だ。
そして、外はねの後ろ髪が彼女の元気さを表している。
もちろん、彼女も死神なのでネコミミにしっぽを持っているのは言うまでもない。
彼女は、黒っぽいセーラー服を着ている。若い彼女にぴったり、という天上界の判断か。
そして、わたしと決定的に違うのは、ネコミミに付いた金色のリング型のピアス。
今までの死神としての功績の証である。そう、彼女は死神として優秀なのだ、私と違って。
初めて彼女と会ったときのことは、鮮明に覚えている。
「荵といいます。草冠に忍で『シノブ』ですっ!」
元気よく、ぴょこんとお辞儀をする。髪からは微かに、石鹸のいい匂いが漂う。
澄んだつり目の笑顔からは、八重歯が覗いている年齢より若く見えるかもしれないロリ顔。
彼女は、わたしとは違うタイプの死神だ。
わたしより三つ年下の若い子。こんな忌み嫌われそうな仕事をしているのに彼女は明るく、
いつも周りにはいつも同僚達が集まって、向日葵が咲くように華やいでいる。
彼女は、いわゆる『クラスの人気者』タイプ。わたしにとっては最も苦手な部類であり、
嫌いな部類にも当てはまる。なのに、彼女はわたしに付きまとう。