06/02/02 00:21:12 4ZKUV60A
宗矩は払暁いまだ遠い深い暗闇の、辛うじて松明の光が届く瀬戸際に立ち、
その隻眼で聳え立つ楼閣を見上げた。
その声には紛れもない愉悦が含まれていた。
「俺を殺したいんなら、生き延びて這い上がって来い十兵衛」
ぱちぱちと火のはぜる音が聞こえる。先程宗矩が投げ込んだ
いくつかの松明が、その火の手を大きくしている音だ。
間もなくこの楼閣は、巨大な炎に包まれ、夜の天蓋を焦がさんばかりの
さながら一本の巨大な篝火と化してこの周囲一帯を赤々と照らすだろう。
これも宗矩のお遊びの一つだった。
くるりと身を翻し、右手を虚空に突き出すと、ばさりと羽音を立てて
闇に羽根を同化させた鴉がその腕に舞い降りた。
闇の中でも主の姿を探し出すとは、これまた鴉の姿を借りた
異形の凶鳥だろうか。主の機嫌を伺うように、一声高く鴉が鳴いた。
あの二人の目に宿るのが、炎よりも激しく滾るものであれば、
この程度の陥穽などものともせず踏み越えて、再び自分と
対峙することになるだろう。宗矩はむしろそのときを望んだ。
くっくっく、と喉の奥で笑いながら、宗矩は更なる闇の中へと戻っていく。
「そのときはまた―――――楽しませてもらうぜ」
終
あー早くゲーム本編プレイしてみてえなあ。
こんなん書いたけど蒼鬼とのラブラブなのも読みたい所存。