09/11/22 00:43:37 RJ6VxTYb
>>71
(見掛け上は、古風で優美ではあるがごく普通の屋敷)
(当然、侵入者を排除するための数多くの罠…それも魔術的な…は数多く設置されていた)
(だが今は、数々の底意地の悪い罠たちは作動を停止している。なぜなら、今日、やってくるはずなのは、待ち焦がれた相手だからだ)
「ロシュフォール! ロシュフォール! テキガキタゾ! テキガキタゾ!」
(屋敷の主である青年が書斎のソファに優雅に寝そべり、お気に入りの魔道書をめくっていると、魔法仕掛けのフクロウが辺りを飛び回り)
(甲高い声で警告を発し始めた)
(だが青年は煩そうに片手をふってフクロウを黙らせると、壁画に向けてあごをしゃくる)
(壁画は、屋敷内や周辺に設置した侵入者感知用の魔法陣とリンクしており、その一つが観察している)
(魔法戦士の映像を映し出した)
……王国最強の魔法剣士、メリッサ・リーヴ。
…待っていましたよ。
(眼鏡の奥の細い目を、楽しそうに煌かせメリッサが魔剣を取り出し、プロテクションを自分にかけるのを見詰めた)
(ドアに無粋な鍵などかけていない。無論その気になれば無数の火の雨を降らすことくらいはできたが)
(そんなものは通用しないだろうし、してもらっても困る)
最強の魔剣を携えた最強の魔法剣士。
……そしてあの美貌、肢体。……実に素晴らしい。
彼女が僕のものになれば、毎日楽しいでしょうね……。
(そう、全てはこの日のための準備だった)
(パチリと指を鳴らし、屋敷の玄関から書斎へ続く全てのドアを開放し、魔法剣士を誘う)