10/11/20 22:17:06 hwXQURXv
>>734
「躰が女になっても、お前はお前のままだ!体なんて関係ない!お前が好きなんだ!」
あいつのそのヒトコトは、あいつに抱かれることで「あたしは女」と自分に言い聞かせて来た俺のアインデンティティをひどく揺るがせた。
それからしばらく、あいつと寝ても苦しかった。もはやあいつに抱かれても女を自覚することはできなかった。
俺の性別なんて関係ない、そう言ってくれるあいつの温もりが痛かった。
そんなある日、繁華街の夜道をトボトボと歩いていると二人組の男が声をかけてきた。
ナンパだった。…この二人はアイツと違って、あたしを女と見なしている
そう思うと何かよくわからない鳥肌が全身を駆け巡った。
その夜、俺は二人に身を任せた。
体しか求めない馬鹿男どもに抱かれていると、「自分は女だ」と実感できる。
その日から俺は、ナンパ待ちな生活を繰り返した。
自分からナンパしてはいけない。それは「女らしく」ないのだ。
それでも男に不自由はしなかった。あたしが「女」だからだ。
こうやって抱かれ続けていれば、自分を女だと思い込める!
そんな生活をしているせいで、あいつとは、あまり会えない生活が続いた。
こんな爛れたあたしを知れば、あいつだって軽蔑する。だから疎遠になった方がいいんだ。
そんなある夜、街であいつを見かけた。あいつは美しい女と一緒に談笑しながら歩いていた。美男美女でまるで洋画の一シーンのようだった。
俺の胸に湧き上がったものは、まごうことなき激しい嫉妬だった。
それに…あいつが女も好きならば、あたしが悩むことなんてなったんじゃないか?と理不尽な逆恨みの怒りも湧いてきた。
「今のあたしがあいつに見つかるわけにはいかない」、そう押しとどめる理性の声なんて、全く聞こえなかった。
あたしは感情が駆り立てるままあいつの前に飛び出して行った。「お前、その女は誰だよ!」