09/07/07 13:50:58 zRetdC3/
「織姫を追いかけなさい。
ただの人間は天に昇ることは出来ませんが、一つだけ方法があります。
私を殺して皮を剥ぎ、その皮をまとうのです。
―私はこんなに年老いて、もう働くことができない。
それなのにあなたは私を大事に養ってくれて、本当にありがたかった。
さぁ、早く私を殺してください。
私ができるご恩返しはそれしかないのですから」
けれど、牛飼いは生涯自分のために働いてくれ、寄り添って暮してきた老牛を殺すことはできなかった。
牛飼が迷っている様子を見ると、牛は自ら柱に頭を打ちつけて死んだ。
牛飼いは泣く泣く牛の皮を剥いでまとい、二人の子供を籠に入れて担ぐと、天に昇って行った。