08/08/15 06:41:37 oj5ys8ya
URLリンク(monster-girl.homelinux.net)
盆の終わり、目の前の川面を橙色の灯籠が流れていく。
「綺麗……、でも何故かさみしい気持ちになります……」
デュラ子さんがつぶやく。
それも当然かもしれない。この灯籠はお盆に帰ってきた魂を、再びあの世へと送る明かり、別れのともし火なのだから。
僕も来年は送られる側になっているのだろうか。
「……只人さん、わ……私、本当は……」
デュラ子さんが、思いつめたような表情で言葉を紡ぎはじめる。
「本当は……、只人さんに……」
何故か僕はその先を聞いてはいけないような、デュラ子さんに言わせてはいけないような思いにとらわれた。
その思いを伝えるようにそっとデュラ子さんを抱きしめる。
「……はい」
デュラ子さんは僕の気持を理解したように、すこし寂しげに微笑んだ。
眼前の灯籠は止まることなくゆったりと流れ続けていた。