08/07/17 11:56:00 D20Mf4pp
目の前にそびえたつ真紅のバジュラは、想像していた数倍も大きかった。巨大な爪が、運転手の鮮血で濡れている。瞳とおぼしき器官が、キャシーを見た。
(こりゃ、死ぬわね……)
直接に迫った死の感覚。
もとより士官学校を優秀な成績で卒業した彼女のこと、訓練の過程で死にそうになったことは一度や二度ではない。だが、これは掛け値なしの現実だ。
シルクのショーツが失禁で濡れる不快な感覚が背筋を舐め、なぜかこんな時に限ってはじめてベッドを共にしたあの男の顔がよぎる。
(だからさ……無精髭剃って、っていつも言ってたのに……あいつは……)
くだらない回想が、金髪の士官を現実に引き戻した。
このシーンの挿絵描いてくれる神はいないか