09/10/16 08:05:28 mX9yT+Y5
「お客様、ご利用時間の方が…」
無造作に個室の扉が開き、無遠慮に入ってきたバイト店員が不躾な口を開くや否や硬直して立ち尽くす。
そしてそう姿勢を変えることもなく、兄の方がその店員を睨み付けていた。
「……」
睨まれて恐縮した訳ではない。またその艶事を暗示するかのような若い男女の抱擁する光景に狼狽えた
訳でもない。
「…はい、わかりました…それでは、レジの方へ…」
突っ立ったまま、虚ろな表情で譫言のように定型句を喋る店員。その間、その兄妹は何らの動作も
発言も行うことはない。やがて店員が扉の向こう側に消えると兄はごく短い感想を述べるのであった。