10/10/25 00:56:41 3/xmlyzD0
「っ、あぁああぁ!!!」
少年は、声を上げながら、目の前の魔物達への群れへと切り込んでいった。
だって……こんなの! 見過ごせる訳が無いじゃないか! 例え相手の方が強くて、まるで相手になら
ないとしても、こんなのは絶対に見過ごせない!
そんな強い想いを胸にしながら、彼は手元の剣に全身全霊の力を込めると、勢い良く相手に斬りか
かってゆく。
だが、彼が今、相対している魔物は、彼自身の力量と比べれば、相当に強い。
彼がそんな風に渾身の力を込めて斬りかかったところで、相手に対して、全く刃が立つ筈も無かった。
彼の剣は、目の前の魔物をほんの少しかすめたたけで、いとも容易くかわされていた。
……あなたのお父様はね、それはとても勇敢な勇者だったんだから。
相手がどんなに強い敵だったとしても勇敢に立ち向かっていったわ……
少年は、自分の母が父の話をする時にいつも誇らしげに語っていた、その言葉をふいに思い出した。
そうなのだ。自分は、高名あの勇者の息子なのだ。
だからこそ、こんなところで、こんな奴等に負ける訳になど、絶対にいかない!
その思いを新たににすると、少年は目の前に立ちふさがり、圧倒的な強さを誇っているかのような魔
物へと再び斬りかかっていく。