10/12/03 01:33:59 Qv+Rjfhi0
鞄を握りしめた手がぶるぶると震え、白い頬にほんのり朱が差してきた。
ふん。怒りやがったか。いいぞ、もっと怒れ。
俺は、一発位なら殴らせてやるつもりで奴に近付いて行った。
本音で喋ってきやがれ。俺の首を絞めなきゃならねえどんな訳がお前ぇにあるんだ。
俺がずい、と一歩前に出ると、奴は震わせていた手指から鞄を取り落とし、
へなへなとその場に崩れ落ちた。
何なんだ。てっきり殴ってくるかと…おーい、ただのヘタレかよ。
拍子抜けした俺だったが、奴の妙な態度にすぐに気づいてしまった。
こいつ…喘いでやがるのか。前を手で押さえて…勃っちまってるのを隠して?
感じてんのか?この俺に?
試しに耳元に息を吹きかけてやると、途端に頬を緩ませて片方の指を布越しの自分の竿を扱き出す。
こいつ、こんなにエロい男だったのか。
51:風と木の名無しさん
10/12/04 13:46:00 Y0EIx3Eq0
見ただけで濡れるってか?ショボい作りの18禁だぜ、全く。
思わずにやついて来ちまった。
こんな面白えモンが見られるんなら、さっきまで気にしていた俺の首筋のことなんざどうでも良くなったぞ。
それに…まあ、こんなくたびれたおっさんを相手にしてくれる人間がこれだけいてくれるってのが分かっただけでも
この身体をぼろぼろにした甲斐があったってことだな。
皮肉なもんだ。
そんなことを考えている間にも、奴の動きはより怪しくなっていた。
足の付け根に伸びた手をもう片方の手で押さえつけ、必死で扱くのをやめようとしている。
そえなのに、股間自体は床に擦りつけて腰を小刻みに揺らしている。
笑ったような怒ったような顔を無茶苦茶に振り回し、時折天を振り仰ぐ。
「いや、ちが…違う、こんな…ぅあ、い、いや、っ…」
瞑っていた目をいきなりひん剥いて涙をこぼし、直ぐにケタケタと高笑いする。
ねじを巻き過ぎて壊れた人形、だな。
最初はエロさを観察してて楽しかったが、終いには動きが憐れっぽくなってきた。
なあ、そんなになるほど俺のことを思ってたのか?
俺が近付いただけでタガが外れる位に?
「…た、すけて…」
潤んだ目で救いを求めてきた奴を、俺はベッドに引っ張り上げてやった。
いいさ、後で本当の所、喋れよな。
52:風と木の名無しさん
10/12/07 02:38:24 xSG5D2T80
だがこれだけは聞いとかないと。
おい、俺のこと、まだ殺っちまいてえって思ってんのか?どうなんだ。
俺の言葉に、奴は首をぶんぶん振って見せた。
「すき、です…あなたが好きです、愛してます、愛して…やっと、言えた…」
両目から流れ出る滝のような涙。綺麗だな。
俺はその答えに満足して、ベッドの脇に垂れ下がっているカーテンをさっとひいた。
取り敢えずの目隠しだ。今日は午後の回診は終わってるから、まず誰も来ねえだろうがな。
さて…もう一つだけ、念押しに言っとくぞ。
事の最中、ずっと黙っていられるか?
顔を歪めた奴が、こくんと頷いて手で顔を覆った。
わかった。やってやるぜ。
俺の指を、さしたる苦も無く呑み込んでいく奴の尻穴。
初めて誘った頃とは大違いだな。
指を中で暴れさせ、数を増やし、抜き差しを速め、
それに反応して奴は身体を震わせ、喘ぎ、背筋をしならせ、
そして尻肉は俺の指をぐいぐいと中へ引き込んでいく。
堪らねえ。
びんびんに張り詰めた奴の竿が先っちょから汁を溢れさせてるのもイヤらしいぜ。
思わずしゃぶりついちまうほどにな。
「…ふ…っあ?」
それまで健気に声を堪えていた奴の口から小さく悲鳴が漏れた。
まあ、この位なら勘弁してやるか。
この次も我慢し通せるなら、な。
口一杯に頬張って扱いてやると、奴は両手で口を塞ぎ、弓なりに反らせた身体を痙攣させ始めた。
53:風と木の名無しさん
10/12/08 02:08:19 ptNZjqrRO
4日は夜須田先生の誕生日でしたね
オメ!
トゴタンは地道に元気にやってます
「そのうち尾島さんに会いたい」とかで…(*´д`)
年末にむけてまた頑張るとかなんとか
ムネヲが収監されましたが、黒羽に行くとして
中で姐たんに会ったら、何か書いてくれるかなと期待してみたり
54:風と木の名無しさん
10/12/13 02:49:33 8c/jqqHXO
ほしゅ
55:風と木の名無しさん
10/12/17 03:32:38 mBhUaQ790
…僕は未だに信じられないでいた。尾島さんが僕の目の前にいて、僕の身体を愛してくれていることを。
それも、自分の口で僕を…それだけで泣きたくなるほどうれしい。
口でやってもらえるくらいに、あなたは僕のことを嫌わないでいてくれた。
僕にはそれだけで充分だった。
愛情など、端から期待してなかった。ただただ、嫌わないでいてさえくれれば。
…さっきのあなたの言葉からすると、僕があまり感情を出さないことに不満だったみたいだけど、
僕はそれを口にすることが、逆にあなたの負担になるんじゃないかと恐れてた。
あなたの後ろには、常に蔓実さんの姿が見える。
意識するなと言ってもそれは無理だ。
蔓実さんとあなたは真に惹かれあってる。それは傍に居ればわかる。
二人の間で交わし切れなかった欲情を、僕が処理させてもらってるだけなんだ。
僕は、それでいいと思ってた。
そのおかげで、あなたを愛することが出来た。せつないし、とても辛いけど、でもいいんだ。
でもあなたに『もう会えない』って言われた時に、僕のささやかな望みは打ち砕かれた。
これ以上ない位希薄な感情の吐け口が失われてしまった。
家族、仕事、友人、そのどれもが僕の人生には大事なものだけど、
それ以外の物があの日からすっぽりと抜け落ちてしまった。
埋められない喪失感の存在に、僕の心はのた打ち回って苦しんだ。
それが、今…僕の目の前にあって、僕の身体を愛しんでくれてる。
声を上げられないことは確かに辛いけど、僕はそれでも、泣きたくなるほどうれしいんだ。
56:風と木の名無しさん
10/12/21 02:41:33 8M6U7MjE0
…そんな悠長なことを考えていられなくなるほどの快感が突然僕を襲った。
あっ、く…ぅ、出る、…おじまさん、口外して!僕の、あなたに出しちゃう…そんなの嫌だ、あなたを汚したくないから、ぁあ、早く!
「構やしねえ。出しちまえよ」
堪らずに大声で叫んでしまった僕への罰なのか、尾島さんの動きは更に速くなり僕を絶頂へと追い上げていく。
僕のモノを口で扱き上げ、後ろの指は、僕の頭が飛びそうなほど感じる場所を探り当て、緩急をつけて突いてくる。
僕には、シーツを握りしめて首を左右に振り、声を堪えることしか出来ない。
でも嫌なんだ、あなたの中に出すなんて…お願い、だから、外して…!
尾島さんは、そんな僕を『しょうがねえな』という目で眺めてて、
じゅぶじゅぶと水音を立てて扱いていた僕のモノを漸く解放してくれた。
はぁっ、と僕が息を吐いたのと、あなたが叫びながら尻餅をついたのはほぼ同時だった。
「あ、ああぅっ…!」
え…どうしたんですか?
あなたは自分の左手を抑えて蹲ってる。
さっきから、あなたの左手の小指が異様に腫れ上がってるのが気にはなっていたんだけど
何かの拍子にベッド柵にでも当ててしまって痛めたのかもしれない。
僕は…あなたのことが心配だったけど…今までの興奮の余韻を引き摺り、中々立ち上がれずにいた。
声を堪え過ぎて頭がぼーっとしてる。
あなたの指が抜け落ちた後ろは熱く疼き続け、身体の芯がまだどくどくと脈打っている。
言うことを聞かない身体を無理矢理に動かしてベッドに置き上がってみると、
小さく呻きながら蹲っているあなたが、あらためて満身創痍であることに気付かされた。
至る所に青痣や傷が刻まれた肌、赤く色づいて熱が上がっていることを知らせる頬、
こんな…こんな状態のあなたに僕は『抱いて』なんて…
57:風と木の名無しさん
10/12/24 18:37:41 vijNcm7eO
今年も魔淵サンタと緊縛姐たんで保守
URLリンク(n.pic.to)
58:風と木の名無しさん
10/12/25 01:02:35 QqtXmxQp0
ごめんなさい、ごめんなさい僕はやっぱり自分勝手な人間です、
あなたを傷付けて、殺そうとして、あ、あなたのこと好きなのに。
僕………どうすればいいんですか。
わからない。わからない。
「…やかましい、お前ぇが泣いてどうする…」
あなたは真っ青な顔に油汗を浮かべて、なのにニヤリと笑って僕を見上げた。
「おい、そこの引き出しから薬、取ってくれよ」
あなたが視線を動かした先に、備え付けの収納棚がカーテンの隙間から見えた。
僕は跳ね起きると、カーテンをかき分けて棚に走り寄った。
一番上の引き出しを開けると、あなたの名前が書かれた白い袋があった。
振り返ってみると、あなたはゆっくりと起き上ってベッドに腰掛けていた。
少し息が荒い。苦しそうにまた俯いてしまった。
僕は黙って尾島さんに袋を渡し、コップに水を注いでそばに置いた。
あなたは袋の中身をベッドにぶちまけ、不自由そうに右手で中身を確かめている。
僕は…もう帰ろうと思った。
用事は済んだ。
これ以上ここにいたら、またあなたを傷付けてしまう。
僕が次々と仕出かす危ういことを、僕自身で止めることが出来そうにない。
それに、あなたに少しの間僕を愛してもらえた。それだけで充分だ。
僕は脱がされていた服を着て、黙ったままドアへと向かった。
「待てよ」
……何を言われても立ち止まらないでおこうと思っていたのに。
「どうすんだよお前ぇ。まだ出してねえだろ。我慢できるのか」
尾島さん。僕の心配なんてしなくていいんですよ。でも…また会ってくれますか?
「ったり前だろ。でもそろそろ、俺も退院だからな。今度は家で、だ」
堪らず振り返って頭を下げてしまった。今日も泣いてばっかりだな、僕は。
59:風と木の名無しさん
10/12/26 00:18:08 UsNl6Zzl0
……僕は尾島さんの病室から走り出ると、その階のエレベーターに乗り込んだ。
尾島さんは今から痛み止めの薬を飲んで、横になって休むはずだ。
僕がそばにいちゃ駄目だ。そしたら尾島さん、ゆっくり休めないじゃないか。
もういいんだ、最初に僕が言われたこととか…もういい、あなたにまた愛してもらえたんだもの、それで帳消しだよ。
僕は少し疲れた身体を壁に寄り掛からせたまま一階のスイッチを押した。
軽いモーター音と部屋ごとガクンと下がる揺れが…背中を伝って…あ、ああああぁぅっ!
い、いやっ、どうして…感じてしまう、あの機械的な音と、ふわふわとした揺れが…くううぅっ…
一階についたと同時に僕は床にへたり込んでしまった。
認めたくないけど、後ろとモノに揺れと振動を感じただけでイってしまった。逆に屈辱だ。
周りに誰もいなかったのが不幸中の幸い…だけど、これを吐き出してしまわないと…
今のようなことを帰りのバスや電車の中で再現したくない。
僕は面会者用出入り口近くにあったトイレに入って行った。
あ、僕ってまだ泣き顔のまま顔を洗っても無いや、先にトイレの中に入ってた人を見て思ったけど、
病院って喜怒哀楽の園だから、その手のことは特に気にしなくてもいいみたいだ。
泣き叫びながら病院を飛び出してくる人も、数人見かけたしね。
ただ、この手の欲情を吐き出すには少し注意しないと、ね。
さっきは使うことの無かったタオルを口に噛み締め、僕はズボンを脱いで便器に跨った。
おかずなら沢山ある。
僕を咥えて扱いてくれた尾島さんの唇の感触、時折僕を見上げてきた悩ましげな目、
僕の後ろを我が物顔に跳ね回ったあなたの指…僕がそれをどれだけ脳内で再現できるか。
そう、この下劣な欲情を吐き出さずには、僕はここから一歩も踏み出すことは出来ない。
60:風と木の名無しさん
10/12/27 21:28:52 9r4tr4HC0
オジ弁護団の耶麻下先生が出てますた
URLリンク(headlines.yahoo.co.jp)
61:風と木の名無しさん
10/12/28 01:37:27 R3TKpHye0
そろそろ僕の頭もネジが外れてきちゃった。何を考えてるか分からなくなってきたぞ。
僕のモノを扱いているのは尾島さんの指、今僕の後ろに押し入ってきたのは尾島さんの指、
僕の舌を絡め取って息を塞ぐばかりにあなたの唇が僕の口で暴れ回る。
声を、出しちゃ、駄目なんだよ、なのに…息苦しさのあまり咥えていたタオルを落としちゃった。
そのタオルで臍の辺りをざらっと撫でられてるみたい…ああぁっ、くすぐったいっ、
思わず身を捩ると、指の先が前立腺の辺りにぐっと食い込んで…
前に出さずに達してしまった。
それから連続で休みなしにイってしまい、流石に僕も疲れて一息ついてたんだ。
座ってる便器を大分汚してしまったなあ、振り返って水を流そうとした僕の目に、排水レバーが留まった。
その太さ、冷たそうな金属の感触…こんなの入れたら壊れちゃうんじゃないか?
でも僕はそれから目を外すことが出来ない。欲しい。
立ち上がって恐る恐る尻を差し出す。
手を添えてそっと…と思ったんだけど、先端を入れたら我慢出来なくなって、
ずずっと突っ込んじゃった。
な、何か手術で切り開かれてるみたいな妙な感触と、そして真っ直ぐで太い金属棒の迫力が
僕の柔らかい内臓をずぶずぶと侵していく。
内襞がそれに引き摺られるように纏わりつき、次第に分泌される水気がいやらしい音を響かせる。
こんな…い、いや、恐ろしいのに止められない、足が震えるのに身体がその動きを求め続けてる。
最終的に息が続かなくなってその場に座り込んでしまうまで、僕はその快感を貪った。
脳が爛れるような淫靡さ…それが去ってしまうと、今の情けない姿と、
さっき尾島さんの部屋でしでかしてしまった行為のことごとくが僕を責め苛んでくる。
でも…でも、逢わないでいるより逢って話した方が良かった。
僕は無理矢理にそう言い聞かせながら、トイレの中を片づけ出した。
62:風と木の名無しさん
10/12/29 01:42:06 A64Akbn10
そうさ、一人でいつまでもウジウジと悩んで周りに心配掛けまくって、
自分で自分にうんざりしながら生きてるよりは、今の方がマシだ。
半裸でトイレの中で自分の精液を始末して…好きな相手を追い詰めて傷付けて、
その上まだ『愛してくれ』って迫るような駄目な人間だけど。
今更変えられないよ、この性格は。
ごめんなさい尾島さん。蔓実さん、深夜くんごめん。
今度から、もうちょっと上手に立ち回れるようにしたい。
感情を上手く表現出来るように…って、それが出来たら苦労してないんだよね。
でも、こんなに辛い思いはもう沢山だ。
ただあなたのことが好きなだけなのに。
…そうか。最初からそう言えば良かったんだ。
あなたに何を言われても、あなたの後ろに誰が見えようと。
僕はあなたが好きですとただそれだけを。
馬鹿だな。漸くそれに気付いたけど、もう遅いのかな。
でもさっきあなたは言った、『今度は俺の家で』って。
恥を捨てて、突け上がれるだけ突け上がってみるか。この際だから。
これ以上失うものはない。怖じ気づき過ぎて逆に傲慢になってしまった心以外には。
何とか掃除し終えたトイレを出て、僕は白い建物を後にした。
63:風と木の名無しさん
10/12/29 20:19:35 pBgWHiU10
月刊ボディ/ビルディングに魔渕さんが出てたのでドゾー
小さいけれどマッチョボディが出てますw
URLリンク(pita.st)
64:風と木の名無しさん
11/01/02 01:12:32 G52jd8pk0
今日も今日とて定時より一時間ほど残って事務処理をし終えた蔓実は、
室内の電気を消すとドアを開けて外に出た。
まだまだ連日うだる様な残暑が続いていた。
額に浮き出る汗を拭いながら歩いていると、蔓実は携帯に着信があることに気付いた。
「……?」
開いた画面に『尾島』の文字を認め、躊躇わずに掛け直す。
「…はい、蔓実です…どうしたの尾島さん?何かあった?」
「…いや…大したことじゃねえんだけどよ」
電話口の、明らかに眠そうな尾島の声。
こんな時間から、何故そんなに眠そうなのか?まだ宵の口にもなっていないのに。
「尾島さん、調子悪いの?声変だよ」
「いや、違うんだ、さっき痛み止め飲んだら眠くなっちまって…起きてみたらこんな時間に…」
生あくびを堪えているような話し方に、蔓実は眉を顰める。
「痛み止めって?また熱でも出したんですか!…僕がこの前無理させちゃった…から?
それとも、怪我した所がまだ良くなってない?ああ心配だな、いまからそっちに…」
尾島は、蔓実の心配そうな声に慌てて割って入った。
「ち、違うんだよ先生!こっちじゃなくて、俺は、先生に麻雛先生のとこに行ってもらいてえんだよ!」
「……?」
「あー。一から説明するよ。…ったく、こんなはめになるなんてよ…」
諦め口調の尾島は、ここ二日ほどの経過を掻い摘んで話した。
朝起きてみたら麻雛の手紙があったことから…麻雛が逃げるように自分の部屋から走り去ったことまで。
「…それでよ、あいつのことが気にはなったんだけど、俺も手は痛えし熱はぶり返すしで、
取り敢えず痛み止めの薬飲んだらそのまま眠っちまってて…あいつ今どうしてるんだろう。
なあ、俺あいつに電話した方がいいのかな?それとも…俺どうしたらいいんだ?」
65:風と木の名無しさん
11/01/07 03:01:33 SKkylLqH0
「……全く、あなたって人は…」
全然懲りて無いんですね、とは、流石に蔓実も言えなかった。
それにしてもあの麻雛が、尾島の首に絞め跡を残して行ったとは。
その上、疼かせた身体を見せつけて尾島を誘うなんて、中々やるじゃないか。
(僕が話した時には『もういいんです』なんて言ってたのに、やっぱり未練たっぷりだったんじゃん)
あっさりしているように見えて、実は一番情が深いタイプだったのか。
まあ、なんにしても、そのまま麻雛が部屋を去ってしまったのは多少気になる所だ。
「…で、尾島さんは一体どうしたいんです?気になるんなら電話してみたらいいじゃないですか。
それとも僕に様子を見て来いって?いいんですか、僕が麻雛くんのとこに行っても?」
「え、それってどういう意味なんだよ先生。まさか」
「そんな状態の彼を見たら、頂いちゃいますね、多分」
それを聞いた電話口の尾島のがっかりとした溜め息。
「マジか…」
「ここまで来たら、3Pってのをやっちゃえばいいんですよ、いっそのこと」
ニヤニヤと楽しげにしている蔓実の声に、尾島は
『最後までやれなくて済まなかったって謝っといてくれよ』
と最後に言い添えた。
この助平が、と茶化すつもりだった蔓実は、尾島の声が案外真面目だったことに拍子抜けしたが
(何だかんだ言って、結局あなたは彼のことに本気になってしまったってことですか)
本人の自覚なく、周囲の男を自分の方へ次々と引き込んでいっている麻雛は
大した魔性の男かもしれない、この意外な結論に蔓実は
(これから彼に会うのが楽しみだな)と、目を輝かせる余裕を見せた。
66:風と木の名無しさん
11/01/09 00:48:07 n93QVYp60
蔓実が電話をかけてみると、麻雛はやはりまだ事務所に居るという。
今は彼は尾島に聞いた話を一人で書き起こしている、ということだが。
(…じゃあ、先にその話を済ませちゃおうかな)
お気楽な気分のままに、蔓実は麻雛の事務所へと向かっていた。
(自宅へは、今日も残業ということにしてある、はずだ…蔓実も麻雛も)
呼び鈴を鳴らすと、『開いてますからどうぞー』と奥からの声が聞こえてきた。
これ、どこの事務所でもやってるんだなー、と蔓実は妙な所で感心してしまった。
じゃあ入るよ、と一歩踏み込んでみて、パソコンを前にした麻雛のブラインドタッチの速さに蔓実は少し圧倒されていた。
「やあ、これが尾島さんとの対談の分?で、何分位話したの?」
プリンターがジージーと吐き出してくる書類の束が、ごっそりと手前の机の上に落とされていく。
キーを叩くその手を休めずに麻雛はちらっと蔓実を見上げた。
「…ええ、二時間位でしたね。それと、僕のぱっと見の印象と分析も入れながらですけど」
今日、ついさっき終わった所の聞き書きを…ざっと流し読みしただけでそれが「起こしが早い、読みやすい」とわかる。
「流石麻ちゃん、使えるなあ。この件、多分裁判には行かないと思うけど、何か言い掛かりをつけてきた時には
これを見せつけてやれば向こうは黙っちゃうね。絶対だよ」
「…まだ尾島さん側からの分析も途中なんですけど…もう少し練らないと」
少し疲れた顔に戸惑いを浮かべる麻雛の肩を、蔓実は優しく撫でる。
「うん、大丈夫だって。裁判の正式書類みたいにまとめる必要はないよ、今の所は。
あいつら自体が『訴えられたら困る』って言って涙目だったからね。
『…でもやっぱり』って考えを変えてこっちへ突っかかってこられた時の保険のために、この文章が欲しかったんだよ。ありがとう」
色々…色んな意味で様々なことがあったろうに、この短時間で仕上げて見せた麻雛の知力、胆力、自制力を
蔓実は素直に褒め称えた。
「ほんとにありがたいよ。あ、それと、尾島さんから伝言。最後までやれなくて済まなかった…だってさ」
67:風と木の名無しさん
11/01/13 01:05:53 FyLXCu4I0
その瞬間。
キーを叩く手を止めて、麻雛は蔓実を見上げた。
彼の表情を見逃すまい、と目を凝らしていた蔓実でなければ気付けなかったような微細な変化が
麻雛の顔面に表れていた。
それはほんの僅かな目の曇り。それだけだった。
(…大したもんだね)
麻雛の自制能力の強さを知ると、だからこそそれを壊してやりたい、と蔓実は思ってしまう。
(本当に性格悪いよな、僕は)
ふっと自嘲の笑みを漏らした蔓実を見て、麻雛はパソコンの画面へと視線を戻した。
「尾島さんに会ったんですか…他に何か言ってましたか?」
他人事のように言い再びキーを叩こうとする麻雛の手を、蔓実はがっしりと捉えた。
「二時間位…か。その間ずっと疼きっ放しだったのかい?
尾島さんに怒鳴られて近付いてこられただけで感じちゃってたんだろ?
何時の間にそんなイヤらしい身体になってたんだい…?ねえ、麻ちゃん?」
握った手首をぐいっと捻り上げ、無理矢理立たせると、蔓実は麻雛を自分の方へ引き寄せた。
「な……ぁあっ」
「…尾島さんの前でオナニーしてみせたんだって?すごいな…僕も見てみたいな」
「そ、んな…こと…うそ…」
顔を歪ませて頭を振る麻雛は、必死で蔓実から逃れようとしていた。
その彼の股間に蔓実は手を伸ばす。
「ここを、こんな風にしたの?こうやって…扱いて?」
「……っ!…ちが…ぅ…!」
布の上からゆるゆると揉みほぐすようにすると、途端に麻雛は膝を折って床に崩れ落ちた。
68:風と木の名無しさん
11/01/17 01:48:13 m8SYED4mO
「…は…ぁ…くぅ……」
腰を落として尚も股間を弄ろうとする蔓実の手を、麻雛は全力で引き剥がした。
この細い身体のどこからそんな力が、と蔓実は内心舌を巻く。
「…いや、だ…やめ、て…」
息を荒げながら蔓実の太い腕を握りしめている麻雛の耳元に、にやにやとして囁く声。
「ふーん、ここで止めてもいいんだ。いいの?本当に?」
はっとして顔を上げた麻雛の手を振り解き、蔓実はその場を離れて机の上に軽く腰を下ろした。
口の端を上げ腕組みをして麻雛を上から下まで眺め回す。
「…尾島さんの前で、自分で扱いたりヨガったりしてたんだよねえ。
そして?尾島さんの口に君のを突っ込んでやれば良かったのに」
そして、それきりだった。
蔓実は口を噤むと無表情になり、跪いたままの麻雛を見詰めていた。
何も言わない。ましてや手も動かさない。
ただ、黙って麻雛から視線を逸らさずにいた。
「…………っ」
大して動いていないはずなのに、麻雛の息は何時の間にか上がっていた。
膝立ちの身体を小刻みに震わせ、それを時折左右に揺らし、両手を所在無げに前方へさまよわせる。
「…ふぅ…ん…は…ぁ…」
両手の動きが、やがて振り子のようになり、指が太腿を掠めて微かな音を立てる。
「…んっ…ん…んっ……!」
微かだった音が次第に大きくなり、そしてそれは急に止んだ。
麻雛の右手は股間に達しており、それを自覚してしまった彼の目はぎゅっと閉じられた。
69:風と木の名無しさん
11/01/17 17:24:38 hoaIeT60O
ツルオジの喚問から今日で5年ですね
月日が過ぎるのは早いです
…あの時の二人は何度見てもエロいです(*´Д`)ハァハァ
守/谷氏の喚問とか全然だったのにw
70:風と木の名無しさん
11/01/21 15:41:47 X3w+Ty8d0
夜須田先生の誕生日からずいぶん過ぎてしまいましたが
夜須末誕生日漫画です
URLリンク(ux.getuploader.com)
パス1204
あと16日は麻雛先生の誕生日でした
おめ!
71:風と木の名無しさん
11/01/22 01:01:39 9rgZTA+sO
見る間に赤く染まっていく頬。
筋が浮き出るほど力が込められた右手は、動くことを拒否するように股間に固定されていたが、
腰の方がゆら、ゆら、と振られ始めた。
しかめられた顔が泣き出しそうに歪み、溜めていた息がほうっと吐き出される。
「…う…あ…たす、けて…」
尾島を想い続けて火照った身体を持て余し、麻雛は助けを求めて蔓実を見やった。
蔓実の目が薄く細められる。
「……やっちまえよ。自分でイってみせろ」
え…尾島の声…が聞こえる?
いや、蔓実が尾島を真似て喋っているのだ。
しかし、麻雛の身体はそれに忠実に反応してしまう。
今まで手足を縛っていた鎖が解かれたように激しく腕を動かし、自分のモノを扱き出す。
左手は器用にパンツを脱がし、その指は自らの後ろに滑り込ませた。
待ち望んでいた直接的な刺激に、麻雛は身体を仰け反らせて歓喜の声を上げた。
72:風と木の名無しさん
11/01/25 02:03:39 RP2qO1FBO
「あ、ああ、ぅああっ…んっ、んっ、………」
耐えていた時間が長いほど、その間に溜め込まれた欲望はより大きく膨らんでいた。
最早声を抑えるつもりのない麻雛は、自身の一番感じる部分を弄くり、喘ぎに喘いでいた。
過換気気味となり真っ白になった頭は、今、目の前に腕組みをしているのは尾島だと誤認識している。
尾島に見られ、尾島に命令されている、そのことに麻雛は涙した。
なんて幸せなんだ。
あれほど恋い焦がれた瞳にもっと見てもらいたい、待ち望んだ声に無碍に扱われたい。
想いが高じて倒錯的になっている、との自覚はまだ麻雛にはない。
そんな余裕もなく自分の性感帯をただひたすら責め立て、昇り詰めていく。
「…イったのか」
暫くしてから蔓実は呟いた。
既に口真似はしていない。
なのに麻雛の耳はそばだてられ、その方角を荒い息のまま見詰めていた。
「お、ねがい…僕に、ヤって…」
震える声で、それでも振り絞るように蔓実…尾島に対して懇願する麻雛。それには冷たく返してみせる蔓実。
「…何で?どうしてさ。もっと自分でイって見せてよ…まだ物足りないなぁ」
73:氏の姐 1
11/01/27 17:44:45 zNC/Ndrh0
「姐葉さん、これ…約束だからね」
呼び出されたホテルに着くなり、氏の塚は姐葉に剃刀を手渡した。
硬直した表情でそれを受け取る。
「どうしても…ですか?」
「どうしてもですよ。裏切るあなたが悪いんだ」
分厚い眼鏡の奥でぎろりと姐葉を睨む。
しかし口角はつり上がっている。
楽しんでいるのか、怒りが溢れているのか量りかねつつ、そこから逃れるように俯き、姐葉は手渡された剃刀をじっと見詰める。
「さあ、早くシャワーを浴びて“見せて”くださいよ。俺に誓うって姿を!!」
肩をグイっと捕まれて風呂に促される。
「それとも俺にやって欲しいんですか?」
それを聞いて姐葉の耳がカっと赤くなり手が少し震えだした。
「じ…自分でやります。やりますから…」
「分かりました。ベッドで待ってますよ」
10日前、姐葉は木邑建設とは別の会社に取引を持ちかけられていた。
木邑よりもいい給料だった。これはもう、氏の塚を裏切ってでもそちらに行くしかないと思った。
しかし、相手との携帯での会話を姐葉の家に来た氏の塚に聞かれてしまったのだった。
だが氏の塚は激昂するでもなく…
そして今日に至った。
姐葉はボディソープを掌でゆっくりと泡立てた。
かふくぶへ泡を伸ばしていく。
これから自分がしようとしていることに対し、羞恥の心が湧き、手が止まる。
「まだなんですかー?行っちゃいますよー」
磨りガラスの向こうから氏の塚の声が聞こえた。
…やるしかないんだ。意を決して、姐葉は剃刀を下腹部に這わせた。
「…っ。は…っ」
74:氏の姐 2
11/01/27 17:45:48 zNC/Ndrh0
今まで1度も刈られた事のない茂みが消えていく。
この姿を氏の塚に見られると思うと…。
ドクドクと血液が集中し、そこが隆起を始める。
そのとき、ガチャッとドアが開いた。
「いつまでかかってんですか」
「あ…ぁ!」
両手で股間を覆う姿に、氏の塚はニヤリと笑いながら言った。
「剃ってたら興奮しちゃったんですか。変態だなあ。どれ、見せてくださいよ」
「や、だ…氏の塚さん!!」
あらん限りの力で両手を捩じ上げられ、そこが露わになる。
「まだ途中ですね…」
恥ずかしさの余り顔を横に向けた姐葉の頬をグイとこちらに向けさせる。
「続きは俺がしましょう。ほら、見てて姐葉さん」
じょり、じょり、と音を立てながら刃が下へ降りていく。
隆起した部分に時折冷たくぶつかり、恐怖を与えた。
「もうやめてください…もう…」
「こんなにして。もっとして欲しいくせに…。終わりましたよ。綺麗になった」
そう言って姐葉の指をそこに持っていかせる。
つるりとした感触に姐葉の羞恥は極限に達しようとしていた。
「あなたはね、俺のもんなんだよ。俺から逃げることなんて出来ないんだ」
後孔に一気に2本指を突き立てると激しく出し入れをする。
「うっ、あっあっ…痛…っ!ぬ…抜いてくださ…」
そうして、脚を抱えあげると一気にいきり立った物で貫いた。
肉と肉がぶつかる音が風呂に響く。
「あっ…ひィっ!き…もちい…い」
「乱暴にされるのが大好きなんですね。他の奴がしてくれますか?俺しかいないでしょう?」
腰をぐっと数回押し付けると、氏の塚は姐葉の中で果てた。
引き抜くと、どろりと精液が内股をつたって行った。
「これでも…離れられるんですか?」
姐葉は虚ろな目をしたまま、首を横に振った。
75:氏の姐 3
11/01/27 17:47:19 zNC/Ndrh0
…ふと、冷たい隙間風に目が覚めた。
(ああ、あれは…いつかの…夢だったのか)
そこには氏の塚の姿はなく、窓には鉄格子がはめられていた。
股間がぬるつく。
もう何年も前の交合を思い出し、夢精していたのだ。
こんな山近い刑務所に来るなんてあの頃は思うはずもなく過ごしていた。
そして、今。
氏の塚にどんなに無碍に扱われようとも、どこかで愛していたのかと思うと、鼻の奥がつんと痛んだ。
おわり
SS姐さん、豚切り済みませんでした。
76:風と木の名無しさん
11/01/30 02:45:40 UGFNX7v30
自分で…?もっと?
その言葉に、麻雛は反らしていた背中をぺったりと床に付け、足はM字に開脚してみせた。
右手は再び竿を掴んで扱き始め、左手は戸惑うように辺りをさ迷った挙句に、シャツの上から乳首を弄った。
「んんんっ…ぅ…は…ぁ…」
身を捩じらせ喘ぎながらも、視線は蔓実から片時も離さない。
誘われている。
強烈な目力を感じ、だからこそ蔓実は何のリアクションも取らずにそこに立ち尽くしていた。
まだ、まだだ。
その意のままに、麻雛の欲望に取り込まれてしまうのにはまだ早過ぎる。
結果として麻雛の魅力に負けて…そのほろりと流れる涙に落とされていいものか。
癪だなあ。
もう少し焦らして楽しみたい、との欲もあるし。
表情には出さずに、蔓実は勝手に頭の中で麻雛を何度も泣かし、
そしてここにきて、蔓実は尾島に対する遠慮の想いを抱き始めた。
これまでに散々麻雛に手を出しておいて何を今更、という気がしないでもないが、
今回は今までとは訳が違う。
尾島は、蔓実が麻雛と会うことを知っている。
蔓実が麻雛を憎からず思っていることも知っている。
それを承知した上で、麻雛の身を案じた尾島は、蔓実に麻雛の世話を頼んだのだ。
その尾島の気持ちを裏切ってもいいのか?
だが…目の前で切なく喘ぎ続ける麻雛を放っておいてもいいのか?
77:風と木の名無しさん
11/01/30 23:50:02 UGFNX7v30
尾島と麻雛。そのどちらの想いの方を汲み取るか。
さて…どうするべきか。
蔓実は腕を組み直して、改めて麻雛のことを見やる。
果たして麻雛は、本当に今この場で自分に犯されることを願っているのか。
勿論、彼の想い人は尾島であるし、その当の尾島は現在この場に来ることは出来ない。
そして彼は、たとえ蔓実が焚きつけずともずっと身体を疼かせ続けていただろうし、
彼の性格からして、自分から誰かに助けを求めたり泣きついたりはしなかっただろう。
自分一人で悩んで色々と溜め込んで、そして身体を損なうまでに自身を追い込んでしまう。
仕事上ではそんなことはないのに、こと色恋沙汰になると…
(ま、彼の場合は、傍から見ててとてもわかりやすいんだけど)
せめて蔓実の手でイかせてやるべきか。
だが、尾島はどう考えているのか。
『俺の代わりにあいつの所へ行ってやって欲しい』
『最後までやれなくて済まなかった』
これは…事実上、蔓実への執行権の許可、なのでは?
(…でもさ、本当の所なんて、誰にもわかるわけないじゃん)
誰もが何時でも本音で語るわけではない。
自分ではない誰かの気持ちは、当て推量をしていくしかない。
蔓実は尾島の言葉を伝えたし、それを聞いたうえで麻雛は蔓実(尾島と誤認しているようだが)に
『抱いてくれ』と頼んできたのだ。
もういい。結論を出そう。
ここまで麻雛の欲望を溜め込ませたのは尾島自身だ。
だから、自分は尾島の代わりに麻雛を犯してやる。
でも…もしかしたら尾島をそうさせたのは、結局は麻雛自らの『無自覚な魔性の力』かも知れない。
(僕もそれに惹きこまれちゃったよ…君を甘く見過ぎてたね)
78:風と木の名無しさん
11/02/04 23:53:38 jAp3Xa5wO
昨日の節分は末井先生の誕生日でもあり…オメ!
夜須田先生とイチャイチャな日だったらな~(´・ω・)
79:風と木の名無しさん
11/02/08 01:06:58 Ani9xNxB0
そして、蔓実はゆっくりと足を一歩踏み出した。
「…っ!…あああああああああっ!」
それを見ただけで容易に達してしまう麻雛。
床の上で身体を痙攣させ、最早汁も出なくなった陰茎をひたすらに握りしめている。
「あーあ、どれだけ溜め込んでたんだい…?触られてもいないのに…近付かれただけでイっちゃうのか」
蔓実はそのまま足を進めて麻雛の前に腰をかがめると、優しく語りかけた。
まだ手は出さない。触れようともしない。
何かを必死に訴えようとしている麻雛の目を無視してにっこりと笑った。
「全く…めっきりイヤらしくなっちゃったんだね…僕の知らない間に」
「お、ねが、い」
荒い息の中から、麻雛は小さく言葉を発する。
痙攣の収まらない身体を無理矢理に起こして蔓実を見上げた。
「お願い、入れて、つるちゃんの、僕の、後ろに…も、我慢、出来ない、もう…お願いっ!」
自分自身の生み出す刺激では決定的な快感は得られないのか、
お預けを喰らった上に中途半端な刺激を長時間受け続けたせいで
麻雛はかなり追いつめられた状態にあった。
狂いだす一歩手前のような怪しい目の光を感じ、
それでも蔓実は、麻雛の食い入るような視線を外して自分の股間に目を落とした。
「僕のを、欲しいのかい?じゃあ、君が取り出して勃たせてよ」
おもむろにベルトを外し、ジッパーを下ろすと、足を投げ出してぺたりと床に座り込んだ。
「さ、どうぞ」
80:風と木の名無しさん
11/02/08 02:19:17 Ani9xNxB0
(そうか、尾島さんはここにはいないって気付いたんだね。それでも…僕でもいいってことか。
ヤってくれるなら、誰でもいいのかい?麻雛くん?)
蔓実の手が麻雛に決して触れようとしないのは、このことを確かめたいからだった。
麻雛が求めているのは尾島なのか、自分なのか、はたまた誰でもいいのか。
尾島の、麻雛への想いは既に割り切ることとした。
後は、自分と麻雛との問題だ。
ふらふらと力なく自分に這い寄り、震える手でパンツをずり下げようとする麻雛に
蔓実は意地の悪い質問をする。
「本当に欲しいのはなんなんだい、麻ちゃん?尾島さんのじゃないの?」
「ほ、しい、のは、これ、だよ…つるちゃん、これ」
ブリーフの隙間からモノを取り出し、一心に舐め、口で扱く。
瘧の発作のように身体はがたがたと震え、力の入らない腕は何度もガクッと崩れ落ちる。
その度にモノを咥え直し、必死に扱き続ける。
だが、それが突然止んだ。
どうした、と見る間に麻雛の顔が歪み子供のような泣き声を上げた。
「あー…我慢させ過ぎたな」
麻雛は一時的な幼児退行を起こしたらしかった。
幼い仕草を見せ、ぺたんと座りこんで手放しで泣きじゃくる。
流石に、蔓実もマズイと思い始めた。
(そうだな…僕のせいで狂っちゃっても困るしね。わかったよ)
太い指で麻雛の身体を掴み、ぐいと抱え上げ、隆々と勃ち上がった自身をその菊座に捻じ込んだ。
81:風と木の名無しさん
11/02/09 01:53:31 F4ogh/iw0
「……っ!あっ!ああああぁっ、いい、いい!もっと、もっと!」
普段の麻雛からは絶対に想像がつかないような大声を出し、泣き、よがる。
蔓実のモノがより深くその身を刺し貫くにつれ、それは悲鳴に近い物となって行った。
あまりにも焦らされ過ぎた上に与えられた肉の快楽に、
麻雛の精神は耐え切れず崩壊しつつあった。
突かれるままに叫び、その声を抑えることもせず、望まれるままに体位を変え、
自身が幾度果てても蔓実を受け入れることを止めなかった。
蔓実もまた、容赦しなかった。
日頃から何かにつけて歯痒く思っていた麻雛の態度を、
これで少しははっきりさせることが出来るかもしれないと思ったから。
尾島のことが好きなら、はっきりそう言えばいい。
なのに、いつもいつも周りを気にして、自分の気持ちを伝えてこない。
本当は抱かれたいくせに。泣くほど好きなくせに。
(大体君はいつも遠慮し過ぎなんだよ。深夜くんのことも好きなくせに、ね)
深夜を抱きたいなら、はっきりそう言えばいい。
なのに、いつも何かのついでのように深夜に手を出し、
結局、深夜を酷く泣かせてしまう。
(優し過ぎるのも罪なんだよ、麻雛くん。廻り回って皆が不幸になっちゃうんだから)
そんな小賢しいことを考えられないようになる位、追い詰めてやりたい。
そうしないと、彼の心の中の悪循環は断ち切れないと思ったから。
(…勝手に僕がそう思ってるだけだけどね)
今夜はちょっと、いや相当に長いよ、と蔓実は麻雛の耳元に囁いていた。
82:風と木の名無しさん
11/02/11 19:39:53 7zg2Ngx00
>>10-19のオジツルのネタお借りしました
はしょっちゃて済みません
URLリンク(ux.getuploader.com)
パス oji
83:風と木の名無しさん
11/02/13 00:44:47 8Lf37B9p0
自分の叫び声で目が覚めた。
一人寝をしている時でも恥ずかしく思うのに、目の前に蔓実の寝顔があったものだから
麻雛は耳まで真っ赤になり、手で口を覆った。
「………っ!」
「ん…?起きたの?麻ちゃん」
蔓実はすぐに目を開け、腕枕していた麻雛の頭を抱きかかえた。
自然と、唇が重なる。
今までそんなことはしたことが無いくらいに、互いに舌を絡め合い、音を立てて唇を啜った。
暫くして顔を離し向き合うと、麻雛の目から涙が溢れ出した。
どうした?と蔓実が首を傾げると、やがてしゃくり上げ始めた麻雛は涙の中から言葉を発した。
「僕…恥ずかしい…恥ずかしくて…あんな声出して、あんな…恥ずかしい…イヤらしいことして、僕、は…」
おいおい、何を今更、と蔓実は思ったが、声には出さずにまた麻雛の肩を抱いた。
泣き止むのに十数分。
麻雛が話せるようになるまで蔓実は根気よく待った。
「…………」
やがて、ゆっくりと自分の手を外して床に起き上がった麻雛に倣い、蔓実もその場に胡坐をかいた。
「…取り敢えず礼を言います。ありがとう、蔓実さん。僕、あのまま一人きりでいたら気が狂ってたかもしれない」
「何、それはどういう意味?僕が君にエロいことを仕掛けて良かったってこと?」
「……あのまま一人で溜め込んでたら、僕は精神的に壊れちゃってたかもしれないってことだよ。
僕が意地張って我慢してたことを、蔓実さんが色々風穴開けて解放してくれたんだ。…とても恥ずかしかったけど」
律義に答えながらも増々顔を赤く染める麻雛に、蔓実はもう一つの疑問をぶつける。
「じゃあ尾島さんのことはどうするんだい?君はきちんと付き合っていけるの?自分の気持ちをはっきり言えるのか?」
それを聞いて、赤らんでいた麻雛の頬は、一瞬のうちに蒼ざめた。
「…言えなかったら、また元に逆戻りするだけだ…しないよ。絶対に、しない。
あんなに辛いのは、もう嫌だ。嫌だから…」
また泣きそうになるのを、無理矢理に微笑んでみせると、まだ薄暗い部屋の中に麻雛はぎこちなく立ち上がった。
84:風と木の名無しさん
11/02/18 00:33:39 7J3CKxLD0
「…もう二時になっちゃった…今日は本当にありがとう。僕、もう大丈夫だから」
若干腰をかがめ気味に歩き出したのは、身体が軋むように痛むためか。
壁側に設置された洗面所の前に辿り着くと、麻雛は台に手をついて溜めていた息を吐き出した。
「遅くまでごめん。明日…いや、今日も仕事でしょ?もう帰って」
その言葉に、蔓実は露骨に怪訝な顔をする。
「………何だよそれ。つれないなぁ。僕のこと邪魔なのかい?もう用済みってこと?」
「え…ち、違うよ…!」
ぱっと頭を上げて振り返ると、蔓実は既に麻雛の真後ろに近付いていた。
「やめ…来ないで…!」
恐怖に顔を歪め、身を翻して逃げようとする麻雛、それを逃がさじと羽交い締めする蔓実。
薄暗い部屋の中で二人の攻防はしばらく続いた。
「ちょっとっ!待ちなよ!少し落ち着けって…!」
腕の中で暴れる麻雛に業を煮やし、蔓実は思わずその力を強めて叫んだ。
「何だって急に…!訳がわからないよ、ちょっと、頼むから落ち着いて!」
「い、嫌だ、放してっ!触らないでっ!嫌だ、もうこれ以上…!」
激しい口調で自分のことを拒む麻雛に、蔓実は当惑の色を隠せなかった。
承諾を得ずに無理矢理、が駄目だったんだろうか。
しかし、ついさっきの感謝の言葉は何だったのか。
自分の行動に非があることは認めるが、瞬くような短い間に態度を180度変えられても
正直戸惑うばかりだ。
酷使した身体の痛みに耐えかねたのか、息を切らした麻雛は抵抗するのを止めてその場に座り込もうとした。
それに逆らわず、蔓実はその身体をそっと床に下ろした。
「…ったく、もう。一体どういうことなんだい?訳ぐらい話してくれてもいいだろ?」
肩を掴んで少し身体を揺さぶりながら問うてくる蔓実に、麻雛は今度は逆にひしとしがみ付いた。
「嫌なんだ…もう、これ以上、優しくされたら、好きになっちゃうじゃないか…君のこと」
85:風と木の名無しさん
11/02/23 02:36:59.03 ANBz87BJ0
それを聞いて、蔓実は唖然として身体を固まらせていた。
なん…だと?
ぷっ。
軽く吹き出し、それから弾けるように笑いだしてしまった。
「あっははははははははははっ!麻ちゃん、君って奴は…!」
何なんだこの可愛らしい生き物は。
どんな顔をしてそういうことを言うのか、と顔を摘んで引き揚げようとすると、
麻雛は蔓実の分厚い胸にむしゃぶりついてきた。
「嫌、だよ、見ないで、恥ずかしい…」
おいおい、そう追い打ちをかけるようなことをするなよ。
また手を出してしまうじゃないか。
流石に今日はもう自重しようと蔓実は思っていたのに、麻雛の方から仕掛けてくるとは。
(怖いのは、彼が多分無自覚に振舞ってることなんだよなあ)
自覚の無い、自然な行為から湧き起こってくる色香。
全く、尾島はとんでもない人材を作り上げてくれたものだ。
(罪だよ……本当に目の毒だ)
微かに震える身体を抱くと、麻雛はそっと顔を上げて不安げな目で見詰めてきた。
背筋にぞくりとしたものを感じたが、蔓実は努めてそれを無視した。
(ヤバい。手に入れたくなる、だけど…)
うだるような残暑の熱も、この時間になると少しやわらいでおり、どうかすると肌寒ささえ覚える。
「…今夜はもう寝よう、麻ちゃん。このまま朝まで抱いててあげるから」
今日はとても疲れた。休もう、今は取り敢えず。
互いの身体の温もりを感じながら。
様々なしがらみの数々も、今だけは忘れてしまえ。
蔓実が目を閉じると、つられる様に麻雛も眠りの中へと落ちて行った。