モララーのビデオ棚in801板60at 801
モララーのビデオ棚in801板60 - 暇つぶし2ch386:続・じゃじゃ馬ならし 後編 3/8
10/10/05 08:57:12 //U3ZXmhO
「ああ、真之介、なんて具合がいいんだ。極楽に、いるみたいだ……ふうっ」
「あ、ひっ、あふぅっ、殿様、も、もっと……あっ、んあ、は、んんっ」
「真之介、兵四郎だ。兵四郎と、呼んでくれ」
「あぁ……あっ、へ、へい、し、兵四郎っ……んっ、へいし、ろ……」
「もっとだ、もっと呼んでくれ、真之介……!」
早められた突き上げにがくがくと身体を揺さぶられ、恍惚となった真之介はひたすらよがって鳴いた。
頭には霞がかかったように何も考えられず、耳元で告げられた兵四郎の願いに素直に答えた。
名前を呼ばれて喜びに溢れた兵四郎は、ますます優しく激しく真之介を貪り快感を与えた。

「ふぁあっ、あぁ、へ、兵四郎……も、うっ、もう……あうっ」
「んっ、真之介、出そうか?」
「あっ……で、るっ、もう、出る……あぁ!」
「わかった。お前の手ぬぐいを、借りるぞ」
「うぁっ、あ、くぅあっ、あ、ああぁー……っ!」
「う、しん、のすけ……!」
兵四郎が前を手ぬぐいで包むと同時に、真之介はその中に欲を放った。
急激にきつく締め上げられた兵四郎は低く呻き、抜く間もなく真之介の中で達してしまった。
最奥に叩き付けられた兵四郎の熱いほとばしりを感じ、真之介はびくびくと身体を跳ねさせた。
肩から脚を下ろした兵四郎は、真之介の残滓を拭き取り、衝撃にぶるぶると震える身体を繋がったまま抱きすくめた。

「あ……あっ、はぁ、はっ、うぅ……」
「真之介……大丈夫か?」
「と、殿様……よくも、な、中で、だっ、出しやがったなっ……」
「うん、咄嗟に抜くことが出来なかった。許せ。だがそれもこれも、お前があまりにも絶妙に締め付けるからだ」

387:続・じゃじゃ馬ならし 後編 4/8
10/10/05 08:58:08 //U3ZXmhO
「……お、俺のせい、だってのか!」
「まあ、半分はそうなるな」
「て、て、てめえ……くそ!離せっ、離れろ、殿様!」
「いや、もうちょっとこのままでいさせてくれ」

怒りにもがく真之介を押さえ付けて、兵四郎は笑ってまた抱きしめた。
真之介は逃れようと下から身体を押したが、動くと中の萎えたものが存在を示すことに気付き、抗いを止めた。
おとなしく抱かれる真之介の髪や頬に口づけ、兵四郎は取り出した自分の手ぬぐいで彼の汗を拭いてやった。

真之介はうっとりとされるがままになっていたが、貫かれたものがやはり気になり、兵四郎に小声で催促した。
「……おい、殿様。もうよかろう」
「ん?何がだ、仙石」
「何がって、その、なんだ、いい加減……ぬ、抜けよっ」
「あー、これか」
「あーじゃない。終わったんだから、さっさと出てけ」
「またそんな、つれないことを。俺はもうちょっと、お前の中を味わっていたいんだがなあ」
心から残念そうに呟くと、兵四郎はまた真之介を抱きしめた。
「なんなら、朝まで繋がっていたいくらいだ」
「……またぶん殴られてえのか、殿様」
「いやいや、それは勘弁してくれ。わかった、わかったよ、仙石」
兵四郎は笑うと名残惜し気に身体を離し、真之介の身体を床に横たえさせた。
「じゃあ仙石、抜くぞ」
「……んっ、う、うぅ……っ」
「ふふ、抜く時もかわいい声を出すんだなあ」
「う、ば、馬鹿……!」
兵四郎はからかいながら、ゆっくりと自身を引き抜いた。
去っていく感触に眉根を寄せ、真之介は長い息を吐いた。

388:続・じゃじゃ馬ならし 後編 5/8
10/10/05 08:59:05 //U3ZXmhO
兵四郎は抜いたものを懐紙で拭うと、袴を上げて着衣を直した。
真之介も着物の前を合わせて中心を隠し、かたわらに散らばっていた帯と着衣を引き寄せ掴んで、上体を起こそうとした。
「待て待て、仙石。まだ、着ちゃいかん」
「あ?なんでだ」
「俺の出した物が、中に入ったままじゃないか」
「……っ!」
確かに気を緩めると中から零れそうで、抜かれてからは身体を引き締めていた。
指摘されて、真之介の赤い顔に更に血が上った。
兵四郎は真之介に向き直り、帯と袴と下帯をその手から取った。
「仙石、そのまま横になっていろ。中を綺麗にしてやる」
「……い、いいっ!殿様、そんなこと、しなくていい!」
「そうは言っても、気が落ち着かんだろう。遠慮せず、任せておけ」
「遠慮なんか、してないっ。わ、わかった、自分でやるから、ほっといてくれ!」
「だが、自分じゃやりにくかろう。俺が出したんだ、後始末を付けてやる」
「や、やめろったら、こら、触るなっ」

合わせただけの裾をめくろうとする手を抑え、真之介は泡を食って喚いた。
これ以上不様にいじられるのは御免だと、力が入らない身体をよじって抗った。
兵四郎はふうっとため息をつき、着物から手を離した。
諦めてくれたかと安堵した途端、被さるようにきつく抱きしめられ、床にまた倒された。
「こら、おいっ、と、殿様……!」
「真之介……あまり、暴れて煽るな。また、抱きたくなる」
「な、なっ……!」
「嫌がるお前を見てると、どうも俺は、余計に可愛がりたくなって困る。だから頼む、おとなしくしておれ」

389:風と木の名無しさん
10/10/05 10:18:41 GEZ0rZaxO
規制?
不必要かも支援

390:続・じゃじゃ馬ならし 後編 6/8
10/10/05 12:12:45 //U3ZXmhO
>>389様、ありがとうございます。規制くらって時間置いてました。
続きです。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


甘く優しい声で脅されて、真之介はびくりとわななき、逆らう動きを止めた。
くたりと身体を預けた真之介の髪に、兵四郎はそっと口づけた。

真之介の身体が冷えることを心配した兵四郎は、着物を纏わせて帯を締めてやり、裾を捲り上げ下肢のみをあらわにさせた。
開かせた脚の間を見つめ、探るように指を差し入れた。

「うーん、よく見えんな……仙石、明かりを点けていいか?」
祭壇の蝋燭に目をやりながら訊くと、真之介が怒鳴り付けて来た。
「……やめろ、絶対点けるな!点けたら、斬るぞ!」
「斬るとはえらく、物騒だなあ。わかったわかった。じゃあ、おとなしくしててくれよ」
「うるさい、さっさとやれ……っ、う、う、くっ」

広げた懐紙の上に丁寧に掻き出し、手ぬぐいで拭いてやる間、仰向けの真之介は目を腕で覆い、声を殺して恥ずかしさに耐えていた。
指が動く度に震える真之介を、兵四郎は愛らしく思った。
冴えた月の光の中に浮かぶ無意識なその媚態は、たまらなく煽情的に兵四郎の目に映った。
「やはり、煽られるな……」
聞かれぬよう小さく呟くと、ほのかに感じた熱を抑え、真之介の身体を清めてやることに専念した。


明け方の冷気に顔を撫でられ、目を覚ました。
左肩を下にし大刀を抱いて横たわった真之介は、身体に暖かな重みを感じた。
肩に目をやると、逞しい腕が自分を包むように回されていた。
真之介のすぐ後ろに寄り添って横になり、兵四郎は眠っていた。
起こさないように腕をそっとどけ、真之介は起き上がった。

391:続・じゃじゃ馬ならし 後編 7/8
10/10/05 12:14:14 //U3ZXmhO
左腕を枕にして胸に刀を抱き、すやすやと寝息を立てる穏やかな寝顔を、胡座をかいた真之介はじいっと見つめた。
その頬に触れようと、ふと手を伸ばしかけてやめた。
手を握りしめて戻し、その甲を唇に当てた。
しばらくまた眺め、やがて真之介は笠と刀を掴み立ち上がった。

ぱたりと扉が閉められてから、兵四郎は目を開けた。
身体を起こすと、真之介に触れていた右腕を摩った。
そこにはまだ、彼の温もりが残っていた。
「逃げちまったか……まあいい。また、捕まえてやるさ」
扉を見やって兵四郎は笑い、立ち上がってうぅんと大きく伸びをした。


林を抜けた眼下に小川を見つけ、真之介は岸に降り立った。
しゃがみ込んで水を掬い、口を濯ぎ喉を潤してからぱしゃぱしゃと顔を洗った。
濡れた顔を拭こうとして腰に手をやり、手ぬぐいを置いてきたことに気付いた。
仕方なく袖を掴み、ごしごしと乱暴にぬぐった。
「くそ、手ぬぐいを新調しなくちゃな……ふん、いいさ。金はそのうち、あいつから取り立ててやる」
ひとりごちてから、ふと水面に映る自分の顔に目をやった。

どこからどう見てもむさ苦しい男なのに、兵四郎は何がよくて自分を抱くのか。
ただ一度きりの悪ふざけだと思ったから、あの夜真之介は兵四郎の頬を張ったことで、全て終わらせたつもりになっていた。
だが兵四郎はお前がかわいいだの、欲しいだのと告げ、言われた側の戸惑いや抗いなどものともせず、再び熱く激しく丹念に愛撫を与え真之介を抱いた。
この身を貫いた時、極楽にいるようだとまで言っていたが、あれは本心から出た言葉のようだった。

392:続・じゃじゃ馬ならし 後編 8/8
10/10/05 12:15:53 //U3ZXmhO
元来が嘘をつくような男ではない。
かと言って、柔らかい女の身体を差し置いて、真剣に自分なぞに夢中になるとも思えない。
しかし兵四郎はあくまでも優しく、まるで惚れた女にするが如く、真之介を扱うのだ。
あの男の気持ちが、真之介にはわからなかった。

しかめっ面の真之介はため息をひとつつくと、水に映った自分の顔に握り拳を打ち込んで画像を乱した。
「考えてもわからんことを、いくら考えたってしょうがねえ。なるようになれだ、うん」
また呟くと、腰を上げた。
小川を跨いで対岸の斜面を昇り、しばらく行くと道らしきものを見つけた。
ほっと安堵し、道を歩き始めた。
とりあえず歩け、歩くことだ、俺には今それしかない、と真之介は心中で自分に言い聞かせた。

朝焼けの空はピンクと青のまだらに染まり、朝の空気は爽やかに真之介を包んだ。
「それにしても……腹減ったなあ~」
彼方を見つめてぼやくと、懐に突っ込んだ手でへこんだ腹を摩り、ざくざくと足音を立てて歩き続けた。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

天然無邪気攻め殿様バンザイ!(・∀・)
貴重なスペースありがとうございました。

393:風と木の名無しさん
10/10/05 21:44:00 MZYqwwC+0
>>392
ありがとう!つるっつるにハゲ散らかした!!
もうほんとセリフも、「言うよ、こいつら絶対このシーンでこういうセリフ言うよ!」
ってカンジで萌え転がりました
そして密かに 続々 待ってますw

394:コーヒーを一緒に・・・4 1/10 ◆CPu0lwnplk
10/10/05 21:46:09 wo79uWA20
 闇金ウシジマくんで戌亥×社長前提の柄崎×社長です。小悪魔(魔王様)誘い受け、媚薬物でエロありです。ツンデレ気味。>>297の続きになります。レスして頂いた
方、ありがとうございました。エロに気合いを入れたら長くなってしまいました。あと一回で終わりますなんて書きましたが、今回ともう1回で完結ですorz

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

 丑嶋に顔の上を跨がれ、見上げた柄崎は息を飲んだ。長身の丑嶋は背中を丸め跨っているので、柄崎の目の前には引き締まった見事な体躯の中でも、普段はひた隠しにさ
れた恥部の大半が薄い下着の中に詰っているのだ。
 はやる気持ちを抑えつつ、人差し指を下着に掛けると視線の妨げにならない所まで下げる。下着を下げさせると、風呂上がりであろうが少し蒸れていたのか、丑嶋の裸体
に張り付く事を許された憎らしい布にせき止められていた汗の匂いが香った。
 初めて見る秘められた肌は、夏場でも露出しない為に白い。適度に脂肪のついた尻たぶの左右の丸みは、中央にある谷に向かって絶妙な曲線を描いている。その曲線の行
きつく先にある尻の谷間には放射線状に皺の寄った小さな後孔が見える。後孔は尻の中でも一際色が濃く、肌色に茶色を混ぜたような色だ。まるでそこだけ日焼けしたよう
な感じで、キュッと窄まった感じなのに、色濃さが却って存在を際立たせている。
 視線を徐々に下の方に移動させると、後孔と睾丸を繋ぐ道のような蟻の戸渡りがある。皮膚内部から盛りあがった部分は男にとっては性的に弱い部分で、大概の男は圧さ
れたりすれば生理的に勃起してしまう。蟻の戸渡りには細い体毛が生えている。体毛の太さや硬さはないが、それなりに密集して茂っている。
 そして、蟻の戸渡りから更に視線を下げると二つの睾丸がある。サイズは並みだが、中身の詰まっていそうな張り具合を見ていると、想像したくもない事なのだが、とて
も数時間前に戌亥とセックスをし、中身を排出したとは思えない。

395:コーヒーを一緒に・・・4 2/10 ◆CPu0lwnplk
10/10/05 21:48:49 wo79uWA20
 更にその下には性器がぶら下がっている。四つん這いになっているのでどれ程硬く反り返っているのかは分からない。だが、先端が微かに濡れていて、竿には血管が浮か
んでいる。太い幹をした木にシダ植物が絡みつくように見えるので、勃起していることは間違いない。
 柄崎は以前から丑嶋とセックスすることを夢想していたりしていたし、以前に自分の性癖を確かめる為にゲイビデオも見たことがあった。だが、こうして実際に同性の生
殖器や排泄器官を目の当たりにするのは初めてだった。いくら丑嶋が相手でも、自分についている物と同じ物を目にすれば心が折れるかと最初は思っていた。
 ところが、柄崎は丑嶋の恥部に性的魅力を感じこそすれ、嫌悪感は何もない。特に排泄器官である後孔には、今から自分が侵入する部分だと思うと愛しさを感じるほど魅
力的に感じるから不思議だ。
 見れば見るほど、後孔は果たして男の物を受け入れる事が出来るのだろうか、と疑わしくなるほど小さく頑なにすぼまっている。無茶をしては壊してしまう。優しくせね
ばならないし、先程丑嶋が言っていたように自ら潤滑油となる液体を出してくれないので濡らさねばいけない。
 けれど、まさか今日丑嶋とこんな事が出来るなんて全く予想もしていなかったので、何か準備がある筈もない。今よりもっと若い頃には財布の中にお守りのようにコンドー
ムを忍び込ませていたものだが、近頃は入れていない。使わない、というわけではないのだが、相手がプロでお店側が用意してくれることばかりなので用意する必要もない
と言ったところか。
 考えてみれば、あの風俗店の店長も媚薬なんて大層な物をくれるならば、もう少し気を回して他の物もセットで付けてくれればよかったものを。媚薬が本物ならば、当然
のことながらローションとコンドームはセットで構わんだろうに。そういう心遣いが出来れば、あの店も女の子だけではなく店側のサービスも良いとされる優良店になれる
だろう。
 柄崎は目の前が絶景のあまり、若干クラクラして現実逃避している。そんな場合ではないが、実際問題準備もないのに、これからどうしたら良いのか分からないのだ。

396:コーヒーを一緒に・・・4 3/10 ◆CPu0lwnplk
10/10/05 21:50:57 wo79uWA20
 勝手がわからない柄崎と違い、慣れている丑嶋は「跨げ」などと偉そうに命令したものの、戸惑うばかりの柄崎に再び焦れて来た。
 本当なら、こんな間抜けで卑猥な恰好なんてしたくない。でも、あの従順な柄崎が珍しく過激な命令をしてきたのだ。命令されて従う屈辱感とは別に、見せているいう快
楽が生まれつつある。
 丑嶋は潔癖症で性的なことにはあまり興味がないように見える。潔癖症なのは否定しないが、性的な事には人並み以下だが興味がある。
 普段そういう部分を見せてしまえば、利用されたり弱みになることもありうるので出さないだけだ。しかも感情表現が苦手で、ある意味不器用な丑嶋にとっては、今のよ
うなセックスでの状況では自分の生の部分が曝け出しやすくなる。おまけに相手は柄崎だ。ある程度素直に接せれるので、気持ち良いことが出来るならば多少の羞恥心も抑
えられるというものだ。勿論、羞恥心の大半は残っているが。
 それなのにも関わらず、柄崎はちっとも動いてくれない。丑嶋は戸惑う柄崎を奮起させる為、眼前で興奮の証を噴き出す性器をパックリと口に咥えこんだ。
 「うくっ、社長ぉ・・・!」
 突然敏感な部分に刺激を加えられ、柄崎は寝たままで自分の腹の方に目を向けた。ふくよかな唇に自分の性器の亀頭まで入っているかと思うと、すぐに反り返った性器は
根元までズッポリとふくよかな唇に飲み込まれていった。温かい口内に入りきったかと思うと、次の瞬間には滑らかな舌が亀頭に絡みついて来るのが分かる。
 「おっ、お!」
 全てを生暖かい粘膜に包まれ、先端や雁首や亀頭全体を張りと潤いのある舌に弄ばれる。69の体制に入る前にもフェラはしてもらったが、先程の竿を唇で扱かれた時の
暴れたくなるような強い刺激とは違い、亀頭のみを重点的に責められるのは全身が泡立つような刺激だ。異なる快楽を器用に与えてくれる丑嶋は途轍もなく卑猥だが、やは
り少しは羞恥心が残っているらしい。溢れ出て来る自分の唾液とカウパーを溢してはしたなく見せたくないらしく、時折口をキュッとすぼめている。

397:コーヒーを一緒に・・・4 4/10 ◆CPu0lwnplk
10/10/05 21:51:48 wo79uWA20
 「社長、触りますよ?」
 羞恥心と淫らな欲望に自らを放り込んだ丑嶋に煽られ、柄崎はやっと自分も手を動かしだす。
 まずは、とドキドキしつつも、人さし指一本で尻の谷間にある皺に囲まれた後孔に触れた。
 「んんっ」
 いきなり肝心な部分を触られ、丑嶋が息を詰める。最初からそこを触られるとは。まずは、性器からだろうと思っていたので、反射的に声が漏れてしまった。物を咥えて
いるので抗議は出来ない。また、せっかく柄崎が動いてきたので気持ちを萎えさせるような事はしたくないのだ。
 口を動かした事で、口の中から溢れないように溜めていた液体が、声と共に竿と唇の間から泡立ちながら出てしまった。丑嶋は出来る限り汁をすすった。
 「ここに、俺のが・・・」
 柄崎は一度深呼吸をすると、指で後孔を押してみる。ちょうど指の腹の中央に当たる部分がへこんでいる。ここが穴だ。今一度場所を確認すると、普段は内側から排泄す
るために盛り上がる筈の後孔に外から指をめり込ませていった。
 「・・・っ!あっ、おおっ」
 丑嶋が小さく悲鳴を上げる。指は第一関節まで入ったが、そこまで入ると直腸壁が異物の侵入を防ぐ為に指を頑なに締め付けてきて入れなくなってしまった。硬い肉が哀
れで、指をゆっくりと抜いた。
 未開の地ではないのだが、どうしたら奥に入れるのだろうか。やはり潤滑油が必要不可欠なのだろう。だが、濡らせる物なんて唾液位しかないではないか。
 「・・・そうか」
 独り言を呟くと、柄崎は丑嶋の腰に腕を回し、腹が胸につきそうになるまで屈ませた。尻は柄崎のすぐ目の前にきて眼を楽しませてくれる。

398:コーヒーを一緒に・・・4 5/10 ◆CPu0lwnplk
10/10/05 21:53:25 wo79uWA20
 下半身を密着させられたことで自然と上半身も下がり、口に入っていた性器はそれこそ根元まで丑嶋の口の中に治まった。先端が喉の奥を塞ぎ、流石に苦しげな声を出す。
 しかし、柄崎は丑嶋の苦しげな声を聞いても動きを止めず、腰を屈ませたまま丸い尻たぶに手を這わせる。弾力のある尻を数度揉み、質量を確かめつつ、尻たぶを左右に
割り開いた。
 「くっ、はっ、えふぁき、ひゃめろ・・・」
 根元まで咥えたまま丑嶋が抗議をした。頭を振って後ろを振り返ると、縁のない眼鏡がずり下がって落ちそうになった。
 柄崎は嫌がおうにも尻から手を離さずにいる。69の体勢でいるので、互い違いの視線では自分の尻が柄崎の顔のどれくらい近くかは丑嶋には分からない。だが、後孔に
吐息が噴きかかっていることから察するに、ほぼ尻に顔を埋められるそうな距離にいるのが感じとれた。
「濡らしますね」
 排泄する為の部位を舐めるのは躊躇うが、自分一人が勝手に突っ込んで勝手に射精するセックスでは意味が無い。丑嶋にも感じてもらいたい。お互いに気持ちがいい思い
をしたい。ただそれだけが願いで、同性とのセックス初心者は覚悟を決め、後孔に唇を付けて舐めはじめた。
 「うぁ、あぁ・・・」
 丑嶋は後ろを弄られるのは初めてではない。だが、流石には舌で愛撫されるのは初めてだ。ただでさえ見られたり触られたりするのが苦手だと言うのに、そんなことをさ
れては羞恥心で暴れてしまうかもしれない。丑嶋は口で言ってもダメならば、腕の一本でも折ってやる覚悟で怒声を上げようと性器を吐きだした。

399:コーヒーを一緒に・・・4 6/10 ◆CPu0lwnplk
10/10/05 21:54:09 wo79uWA20
 「っ、おぉお、お・・・」
 怒声を上げようとしたが、意に反して漏れたのは紛れもなく快楽の喘ぎ声だった。柄崎の舌が後孔の周りの壁に刻まれた皺の一つ一つに唾液を塗り込めながら動き回ると、
身震いするほどの強烈な快楽が湧き上がってくる。本来は性感なんてろくにない部分ではあるが、後ろは最も感じる部分だと慣らされ、開発されたおかげで、下手をすれば
性器よりも感じやすくなってしまっているかもしれない。
 「おぁ・・・、うっ」
 舐められる度、次々と溢れだす快楽が身体と頭を支配していき、次第に羞恥心は圧倒されていく。
 暫く舌を動かす柄崎だが、やがて舐めるのにも飽きたのか、舌の先端が後孔に少しだけめり込み入口を解そうと動いてくる。入口が濡れると、続いては舌全体が直腸壁を
刺激しながら入ってきた。
 予想もしていなかった侵入に四つん這いになった太ももが震えながら閉じてきて、ゆっくり閉じた太ももは柄崎の顔を挟み込んで止まった。
 「はぁっ、うー・・・」
 気持ち良い。もっとして欲しい。指でされる前戯も気持ち良いが、舌がナメクジのような軟体動物じみた動きで中で動くのが堪らない。指よりも格段に短い舌では内部で
一番敏感な前立腺には届かないが、慣れないムズムズした感じに内部も疼き、舌の動きに合わせて腰が揺れてしまう。
 最早柄崎にフェラチオをする余裕もなくなってきて、頭に浮かぶのは後ろで感じる様に開発した戌亥と、只今舌での愛撫を植え付けてくる柄崎への恨み事だ。何でこの自
分がこんなに翻弄されなければならないのか。俺を誰だと思ってんだ、と低い声で柄崎を脅してやりたくなるが、舌で後孔をほじくられて感じてしまっているのは、柄崎に
は分かりきったことだろう。何故なら、仰向けに寝た柄崎の顔が尻に埋まる位に屈まされているせいで、丑嶋の性器は柄崎の胸のへんにべったりくっ付いているからだ。

400:コーヒーを一緒に・・・4 7/10 ◆CPu0lwnplk
10/10/05 21:54:59 wo79uWA20
 柄崎のくせに、柄崎ごときが、このうんこ野郎が、と内心でらしくない程子供っぽく毒づく。自分はいつでも冷静沈着で斜に構えていなければならないのに、と悔しくな
る。顔には出さずに器用に心の中だけで動揺する丑嶋を、柄崎はたった舌一つで冷静に丑嶋の性感を揺さぶり、翻弄する。いつだって翻弄するトリックスターは自分の筈な
のに、柄崎は長年望んでいたであろうこのような場面でも全然動揺していないのだろうか。
 「ぉ・・・、あ、あー・・・」
 もう少しで後ろを舐められるだけで射精してしまうかもしれない。それだけは避けないと、と丑嶋は性器が触れている柄崎の胸に腰を押し付けた。性器を刺激する為では
ない。痛いように潰し、少しでも萎えさせる為だ。
 ギュッと押しつけると、丑嶋はハッとした。丑嶋の性器は浮かんだ血管が今にも切れそうに血液を巡回させていて、ビクビクと震えている。そして、性器をくっ付けた柄
崎の胸板からも心臓の鼓動が伝わってくる。鼓動はとても速い。つまり、丑嶋だけでなく、夢中になって丑嶋を攻めているので余裕があるように見えたが、柄崎は緊張と興
奮で胸が張り裂けそうな程になっているということだ。
 柄崎の緊張が分かると、丑嶋の中に新たな火照りが生まれた。余裕なんて互いに無いのだ。互いに欲しいのならば、与えあってしまえば良い。丑嶋は震える自分の体を持
て余しつつも、今にも落ちてしまいそうな眼鏡を掛け直した。
 「ん、ああ」
 大きく口を開る。そして折角塗りこんだ唾液が渇きかけた柄崎の性器を咥えこんだ。
 「あっ、あっ!」
 柄崎は息に詰まり、舌の動きを止めた。せっかく丑嶋が喜んでくれているのに行為を中断したくはない。だから必死に行為を再開しようとしたが、お返し、とばかりに激
しく見舞われる快楽には敵わない。

401:コーヒーを一緒に・・・4 8/10 ◆CPu0lwnplk
10/10/05 21:56:00 wo79uWA20
 「そんなにしたら、あひっ、出ちまいます・・・!」
 竿が震え、粘っこいカウパーが出初めてしまい、柄崎は素早く腰を引いて丑嶋の口から引き抜こうとした。
 しかし、丑嶋は勢いよく引き抜かれる性器を離すまいと口を閉じた。引き抜く力と、離すまいとする力が摩擦を生む。しかも、急に口を閉じた事で加減が分からず、敏感
で大事な部分に歯を立ててしまった。
 「ぎゃっ、ううっ!!」
 竿の根元から先端まで前歯で擦られ、皮膚が焼けるような痛みが起きる。痛みは激しく、萎えるよりも強い刺激となる。口から抜け切ると、傷ついた竿の部分に外気が当
たり、瞬間だが確かな痛みが襲いかかった。
 「あっ、はあぁ・・・」
 快楽よりも強い決定打を受け、柄崎は射精した。全身が大きな脈動にのたうち、大量の白濁が放出される音まで聞こえた気がした。
 やがて潮が引くように快楽の波は急激に降下していった。
 「はあっ、ふぅっ、ふううっ、うー」
 思いっきり射精して、少し冷静になってしまった柄崎がぐったりとしていると、上に乗っていた丑嶋が体を動かして振り向いた。
 「う、わぁあああ・・・」
 丑嶋の顔を見た柄崎はうめき声をあげた。眼鏡にはべったりと白濁が付着していて、右側のレンズはほとんど覆われて見えなくなっている。口はぽかんと開いて、そこか
ら零れ落ちる粘液はだらしなく下に零れ落ちている。いつもの知的さと冷轍さと凄味は一切ない。まるで安っぽいAVのパッケージのような姿になってしまっている。

402:コーヒーを一緒に・・・4 9/10 ◆CPu0lwnplk
10/10/05 21:56:45 wo79uWA20
 陳腐で使い古された姿だが、あの丑嶋がやるとなると極上の姿になる。つい先程まで波が引いていた柄崎だが、見ているだけで、下に垂れていた性器が手を添えなくても
ヘソに向かってグッと上って行く。
 丑嶋は顔面に白濁を浴びせられたことにショックと怒りを覚えたが、むせかえる様な濃い匂いを顔一杯に浴び、目の前で瞬く間に復活した性器を見ると下半身がジンと熱
くなってしまった。これから起こることに対する期待が猛々しく勃起した性器を見るほど高まる。この長いのが体の奥底の肉を抉り貪るのかと想像すると、理性に縛られて
いる今の状態が馬鹿らしくなってくる。
 最早自分の欲を満たすことを優先しよう。そう決めた丑嶋はほぼ白濁に覆い尽くされてしまった眼鏡を外し、ベッドに尻を突いて座った。尻に付いている唾液がシーツに
ついてベタベタとするが、もうそんなことには構っていられない。濡れるのはいいのだ。ただ、まだ濡れも滑りも足りない。手の平にある柄崎の白濁を自ら後孔に塗りつけ
た。
 準備は整った。柄崎は性器を硬くしながらも、丑嶋の顔面に掛けてしまったことを後悔しているらしい。だが、丑嶋は顔についた白濁を簡単に手ではらい、柄崎に見せつ
けるように徐々に脚を開いていった。
 柄崎の視線はもうすでに局部にしか向けられていない。まさに据え前という状況に誘われてしまう。だが、流石に挿入をするとなると、流石に一線を越えてしまいそうで
臆病な自分がまた顔を覗かせてきた。口で愛撫までしたのだから、男の排泄器官に挿入することが今更嫌なのではない。
 柄崎が望んでいることは、会社の社長としての丑嶋と、人間として敬愛する丑嶋への最大の裏切りにして、弁解の余地が無い大罪だ。肉欲に駆られ、勢いで挿入してしま
えば、今後、社長としての丑嶋に向けられる想いは敬愛の念ではなく、束縛したい程の愛情になってしまう。そうなってしまえば、積み上げてきた上司と部下としての絆は
崩れてしまう。
 

403:コーヒーを一緒に・・・4 10/10 ◆CPu0lwnplk
10/10/05 22:01:19 wo79uWA20
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
地元では放送されないが実写化を祝して柄崎にご褒美をあげたかったんだぜ。
続きは近々。
貴重なスペースお借りいたしましてありがとうございました。お目汚し失礼致しました。

404:風と木の名無しさん
10/10/06 00:21:52 o4SIgn/+O
>>394
うああああー!
相手が柄崎だとちょっと素直になっちゃう社長萌ぇぇー!
いつもありがとうございます!
ラストスパート楽しみにしてます!

405:風と木の名無しさん
10/10/06 02:07:02 V2cPIXeM0
>>379
水曜の夜と日曜の夕方に挙動不審になりそうなお話ありがとうございます。
言葉が商売道具のくせに言葉になりきらない雰囲気が好きです。

406:風と木の名無しさん
10/10/06 03:47:40 Wkb+TFix0
>>358
幸せそうでよかった…!
最後泣けた。
しかし二人の情事はたまらなくエロいです。

407:兄弟1-4(+おまけ)
10/10/06 10:14:11 STYcvWOD0
半生 霜新居で次男末っ子です。
本編のネタを派生させているのでネタバレ大量発生。多少捏造したネタもあるので、心の広い読者をお待ちしています。またオマケがありまして、そっちには三男が出てきます。改行の関係で細切れになってしまいます。悪しからず。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

健二の盗聴テープに、計らずも大号泣していた大洋は、途方に暮れる様にして柱に寄り掛かっていた。
「大洋にぃ?」
「・・・お、おぅ。修一、まだ、起きてたのか・・・」
「うん・・・」
すると、突然2階から修一が降りて来た。
泣いてる姿を見られまい、と大洋は慌てて涙を隠した。
「ねぇ。大洋にぃ」
修一は、大洋の隣に座ると、静かに口を開いた。
「俺さ。本当に、死んでほしくないんだ・・・大洋にぃに」
「まだそんな事言ってんのかよ。俺は、もう決めたんだって」
「だってさ、俺、嫌なんだ・・・大洋にぃがいなくなるなんて・・・」
「今までいなかったんだから、何も変わんねぇだろ?」
「でも・・・、こうしてまた会っちゃうと・・・・嫌なんだよ・・・」
「たいして覚えてもいない兄貴に愛着湧くかねぇ」
あまりにも真剣な面持ちの修一の語る言葉は、大洋の胸に突き刺さった。
湿っぽい考えはやめようと、大洋は必死に修一の言葉を茶化した。
茶化していないと、大洋は自分の涙が止まらなくなりそうで、自分をあまりにも心配する弟を抱き締めてしまいそうで、怖かったからだ。

408:兄弟2-4(+おまけ)
10/10/06 10:15:36 STYcvWOD0
大洋の知る修一は、まだ物心がついたばかりの小さな子供だった。
修一は、いつも「大洋にぃ、大洋にぃ」と大洋の周りをついて周った。
「大洋にぃ、遊んで」
「大洋にぃ、鬼ごっこしようよ」
修一は、大洋が大好きだった。
また大洋も、修一と遊ぶのが好きだった。
「ようし!修一。今日は兄ちゃんが鬼だ!」
「修一に、兄ちゃんが捕まるかなぁ?」
毎日毎日修一と遊んで、時には泥だらけになって怒られたりもした。
でも怒られても、修一は「大洋にぃ、またやろうね」とにこにこ笑っていた。
そんな平凡な毎日だった。

でもある時、自分と大造は兄弟と血が繋がっていない知らされ、大洋は落胆した。
大洋は高校生になり、修一は小学生になろうとしていた。
血の繋がりがなくとも、兄弟は兄弟。そう父も、大造も言っていたが、大洋にはその日から兄弟、あんなに好きだった修一すらも、赤の他人としてしか接する事が出来なくなっていた。
「大洋にぃ、遊んでよ」
「・・・・他の兄ちゃんに遊んでもらえ」
「なんで・・・?」
「兄ちゃん・・・忙しいんだ」
「大洋にぃ!」

そして、ある日。
大洋は家を出た。
書置きも、行き先もつけずに家を出た。
赤の他人しかいないこの家に、戻ってくるつもりはなかった。
修一のことも、忘れようとしていた。

409:兄弟3-4(+おまけ)
10/10/06 10:23:54 STYcvWOD0
「・・・大洋にぃ?」
暫くぼんやりとしていた大洋の顔を、修一が覗き込んだ。
「あ・・・。何だ?」
「考え事?」
「・・・まぁな」
それから20年。修一は大きく成長していた。
20年前の記憶、増してや子供の頃の事なんて覚えていないだろうと思っていた修一は、昔大洋と一緒に遊んだ事を覚えていた。
それが、じわじわと大洋の心を刺激し、決意したはずの心はぐらぐらと揺れていた。
「ねぇ、大洋にぃ・・・」
「何だ?」
「本当に・・・考え直す気は無いの?」
修一は、瞳の端にうっすらと涙を溜めて大洋を見た。
今にもあふれ出しそうな涙に、大洋にも熱い物が込み上げてきた。
「・・・あぁ」
精一杯の返答をすると、大洋は修一から目を逸らした。
その瞬間、堪えていた涙が溢れてしまった。
修一の涙に、溢れ出ている思いに、我慢が出来なかったのだ。
何とかごまかそうとしても、肩が震えてしまいどうしようもなかった。
「大洋にぃ?」
「・・・何でも、ねぇから・・・」
「泣いてるの?」
「何でもねぇって、言ってるだろ・・・」
「大洋にぃ」
「何でもねぇって言ってるだろ!!」
そう言って、大洋は修一を突き飛ばした。
突き飛ばされた修一は椅子にぶつかった。

410:兄弟4-4(+おまけ)
10/10/06 10:25:06 STYcvWOD0
思わず突き飛ばした修一の傍によると、修一は大洋に抱きついた。
突然の出来事にしどろもどろしていると修一の体が震え始めた。
「・・・・泣いてるのか?」
「行かないでよ・・・大洋にぃ」
「修一・・・・」
「お願いだから、死ぬなんて言わないで・・・。俺、大好きな大洋にぃが、死ぬなんて嫌なんだ・・・!」
「でもな、修一・・・」
「大洋にぃだって、本当に死にたくないんでしょ?」
「それは・・・」
「お願いだから・・・死なないで・・・・」
そう言って、修一はさらに涙を流した。
小さな頃から、めったに泣かなかったあの修一が、俺を思ってこんなに涙を流している。
修一の強い思いに揺れ動かされ、大洋は修一の涙をぬぐうと唇に優しくくちづけをした。
「ん・・・っ」
兄からの突然のキスに最初は戸惑っていた修一も、暫くすると大洋をさらに強く抱き締めた。
「・・・・ごめんな、こんな兄貴で」
「いいよ、謝らないで」
「もう寝ろ。俺ももうすぐ寝るから」
「・・・勝手に、出て行かないでね?」
「行くかよ。こんなに警察に囲まれてんだから」
「・・・おやすみ」
「おやすみ」
修一が2階に上がっていくのを見ると、大洋はまたさっきのテープを再生した。
修一が生まれた頃と今、自分たちは何が変わってしまったんだろう。
何が変わって、こんな事になってしまったんだろう。
テープが流れ終わると、大洋はその場で目を閉じ眠った。

おわり

411:兄弟 おまけ
10/10/06 10:27:54 STYcvWOD0
一方、2階。
「あれ、健二にぃまだ起きてたの?」
その声に、健二はしていたヘッドホンを外した。
「まぁ、な」
「いつまでも盗聴してないで、早く寝たら」
「あぁ、もう寝るよ」
「おやすみ」
「おやすみ・・・」
健二は、修一が眠ったのを確認すると、大きく息を吐いた。
布団にもぐっても寝付けずにいると修一が下に降りていく音がしていたので、健二は興味本位にリビングの盗聴をしていたのだった。
今までの一連のやり取りを全て聞いていた健二は、頭を抱えた。まさかこんな物が録音出来るとは思ってもいなかったのだ。
思わぬものが録音出来てしまい、健二は苦悩した。2人は確かに元々血は繋がっていない、がしかし。
一応、兄弟だ。それにこんな事公開されたら困るに決まってる。
でも。
これは、何かあったときのお守りに使える・・・・・。

「いやいやいや」

何のお守りだ。
兄弟が切ないキスを交わしているテープを取っておいてどうする。
修一も、大洋も困るだけの代物だ。
聞き返すなんて事もないだろう。
あぁ・・・・。

「どうしよう・・・・」

健二の苦悩は朝まで続いた。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

412:風と木の名無しさん
10/10/06 13:26:46 tTgoRL5J0
現在442.3KB

長編投下予定の方は残り容量にご注意を

413:風と木の名無しさん
10/10/06 13:28:33 BvS+gpwj0
いくら長編だって50KBも一気に埋まらないよ、まだ大丈夫

414:風と木の名無しさん
10/10/06 17:50:02 tTgoRL5J0
あー、ここの注意は480KB過ぎで大丈夫だったっけか
別の所と間違ったわゴメン

415:風と木の名無しさん
10/10/06 19:36:08 K2tM0690O
>>407
おまけまで萌えました㌧です!
下洗い兄弟読めて至福
次回作もお待ちしてますー

416:コーヒーを一緒に・・・5 1/7 ◆CPu0lwnplk
10/10/06 21:24:25 4Y4WZqSX0
 闇金ウシジマくんで戌亥×社長前提の柄崎×社長です。小悪魔(魔王様)誘い受け、媚薬物でエロありです。ツンデレ気味。>>403の続きになります。レスして頂いた方、
ありがとうございました。時間を開けてはおりますが、2日続けての投下でご迷惑おかけします。一つの話なので棚60内で収めきりたかったのです・・・。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
 行きたいのに行けない。戻りたいのに戻れない。柄崎が指さえ動かせずにいると、焦れて仕方がない丑嶋は膝に纏まっていた下着を脱ぎ、脚を開いたままで柄崎を手招い
た。
 「来いよ。ヤッて良いって言ってんだぞ。そんな硬くしといてヤル気がねェとは言わせねェぞ」
 躊躇を張り倒すような強烈で強引な誘い文句が、胸を締め付け心を掻き乱す。嬉しくて涙が出そうだ。最初は敵対するクラスメイトとして出会い、程なくして降りかかっ
てきた脅威を押しのけてくれた心強い友人となり、やがて命に代えても守るべき人となった丑嶋。その愛おしい相手に求められていること、性の快楽を享受し合う仲になれ
ること、何より男として認められることに無上の喜びが湧いてきた。
 「社長!」
 顔を真っ赤にした柄崎が丑嶋に必死に抱きつき、体を重ねてきた。
 「んっ」
 突進をくらわされた丑嶋は少し苦しそうにしたが、柄崎が伸しかかってくるので動けない。
 「入れます、入れますから暴れないで下さい」
 暴れているのは柄崎の方だ。丑嶋はすでに受け入れようと身を開いているのに、闇雲に性器の先端を押し当ててくるので滑って上手に入らないのだ。堪らないのは丑嶋の
方だ。舌でえぐられ、後ろだけで射精しそうなほど昂らされた部分を亀頭が擦りあげるだけで入ってこないのだから。
 「柄崎、落ち着け」
 辛抱出来なくなった丑嶋は柄崎の性器の根元を両手で掴んだ。

417:コーヒーを一緒に・・・5 2/7 ◆CPu0lwnplk
10/10/06 21:25:36 4Y4WZqSX0
 「うひゃっ!」
 先端を後孔に擦りつけ、根元を痛くない程度に握られ、二つの異なる刺激に耐えかねた柄崎は何とも間抜けな声を出した。丑嶋は急所を刺激されて柄崎が固まったのを好
機とし、股関節が痛むほど股を開く。そして、一つ深呼吸をすると、柄崎の性器の先端を後孔に押し付けたまま自ら腰を押し付ける。
 「あ・・・あ・・・」
 ズルッという確かな手応えがあった。猛々しい性器が後孔を割り、直腸壁を擦りながら一気に奥まで侵入してきた。
 「ひぃ、すげぇ狭い・・・。ふっ、は、は・・・、あああ・・・」
 慣れた丑嶋でさえ、柄崎の長竿を全て体内に収めるのには痛みと大きな喜びを感じた。対して柄崎は女性器なら兎も角、本来は排泄する為に出す機能しか備わっていない
器官に初めて押し込んだのだから、素晴らしい狭さと熱さをもつ内部には短く喘ぐだけしか出来ない。
 「うわぁ、こんなに狭いのか・・・。うぅっ、う・・・、ふーっ」
 途切れ途切れの喘ぎ声が、初めて体験した底知れない快楽を物語っていた。
 「ふ、ふ・・・」
 やがて挿入の大きな衝撃が引くと、初めて知った快楽に挿入だけで夢中になってしまった柄崎は丑嶋の逞しい肉体を抱きしめながら夢中で腰を振りだした。
 「うああっ、え、ざき・・・っ」
 激しすぎる動きに丑嶋の頭がグラグラと揺れる。長い竿はつねに前立腺を捕らえ、雁首によって内部で転がされる。限度を超えた快楽に気が遠くなりそうになるが、慣れ
ているくせに、いつまで経っても繊細な直腸壁を突き破らんばかりの衝撃が正気に戻す。

418:コーヒーを一緒に・・・5 3/7 ◆CPu0lwnplk
10/10/06 21:26:33 4Y4WZqSX0
 「ふ、んっ、んっ、んっ」
 予想以上の激しさに丑嶋はすぐに息も絶え絶えになり、切なそうな声を出すだけになってしまう。体力、スタミナ、精神力、全て人並み以上に強いが、テクニックなどを
超えた柄崎の想いが丑嶋の体力と思考を低下させる。いっそ気が失えたらどれだけ楽だろうか。
 そんな丑嶋の様子にはまるで構わず、むしろ一気に叩き潰そうと、奥を性器の雁首で掘削するように腰を回しながら抽送を速める。
 「ぐっ、おお・・・、出るっ、もう出る。柄崎、出る、出るぅ」
 一度射精した柄崎は気持ちが良いながらも丑嶋より余裕がある。だが、丑嶋が射精するならば一緒にいきたいではないか。
 柄崎は全身から汗を噴き出す丑嶋の逞しい脚を抱え、大きな体を二つ折りにし、更に一突き一突きに体重を加えて奥を痛打し始めた。
 「おおっ!うぉああっ、柄崎、柄崎、んんっ、イク・・・、・・・んーっ!」
 盛大な突き上げに感極まり、丑嶋は自らの手で射精をし易いように性器を扱く。
 「うっ、うっ、あ・・・、イクっ!」
 丑嶋の口からあられもない声が一際高く上がった。それとともに内部は性器を食いちぎらんばかりの収縮がおき、余裕があった筈の柄崎もいよいよ限界がきた。
 「ふううっ!しゃ・・・・・・、う、丑嶋、俺もイク!丑嶋の中に出していいか?」
 頭の中には閃光が走り、電流が背筋を駆け抜けていく。もう敬愛の籠った役職名で呼ぶのも忘れ、懐かしい呼び方で愛しさだけ込めて呼ぶ。
 「あぁ、あ・・・、出すぞ!」
 奥に雁首を押しつけたまま、柄崎は堪りきったほとばしりを爆発させた。
 「ん、んおおっ!」
 「ああっ、おぉっ!柄崎、奥が熱いっ!」

419:コーヒーを一緒に・・・5 4/7 ◆CPu0lwnplk
10/10/06 21:27:41 4Y4WZqSX0
 丑嶋も柄崎に少し遅れて射精した。こちらは性器ではなく後孔の刺激のみなので、古くなった蛇口から垂れさせるような小さな勢いだった。
 「あ、あっ、丑嶋、出た、出しちゃった、丑嶋の中に・・・」
 熱汁を噴き出す長竿をうねる直腸壁が締め付け、更に絞りつくそうとする。柄崎は背中をしならせながら一滴残らずに内部に射精した。
 体の奥で熱い飛沫を受け、身体全体で柄崎の体温を感じ、丑嶋は暫く体を痙攣させていた。



 倒れそうな位に体力を消耗した激しいセックスの後、柄崎はどういう顔をして丑嶋を見れば良いのか分からなく、枕に顔を埋めて眠いふりをしている。本当はいまだ興奮
冷めやらぬ状態なので、聴覚を研ぎ澄まして丑嶋の動向を窺っているのだ。
 姿を見ているのではないのでいまいち分かり難いが、丑嶋は暫く荒い息を隣でついていた。そして徐々に息が収まると、起ちあがってどこかに歩いて行ってしまった。
 足音を聞く限り、部屋内の歩数ではない。どこに行ってしまったのだろうか。
 気になるが、柄崎はまだ顔を上げられないでいる。後悔と満足、冷静になった頭には正反対の感情が渦巻いていた。
 やがて、遠くから微かに水を流す音と、丑嶋がうがいをしている音と、何をしているかは分からないが水をバシャバシャとかき混ぜるような音が聞こえた。察するに、丑
嶋は恐らく洗面所へ行ったのだろう。そして柄崎のカウパーまみれであろう口をゆすぎ、白濁をぶっかけられた顔を洗っているのだろう。
 柄崎は丑嶋がまだ洗面所の方にいるのを音で確認し、恐る恐る顔を上げた。だが、すぐにまた目の前にある物を見て頭を抱えて枕に突っ伏した。
 「あああああ・・・・・・。やっちまったぁ」
 目の前には、乾いた白濁でレンズの大半がどんより曇ったリムレスの眼鏡が置いてあった。

420:コーヒーを一緒に・・・5 5/7 ◆CPu0lwnplk
10/10/06 21:28:56 4Y4WZqSX0
 考えてみれば、興奮していたとはいえ随分と無茶をしてしまったものだ。丑嶋の許可は貰ったし、セックスしたことは事実だからもうどうしようもないとしても、我なが
ら一度目の射精は景気よくぶっぱなしたものだ。気持ち良かったのだから仕方がないと言えば仕方がない。
 何故こうなってしまったのだろうか。勿論、長年想っていた丑嶋とこういう関係を持てたのは嬉しい。
 けれど、あくまで嬉しいのは柄崎の感情で、丑嶋がどういう魂胆で誘って受け入れてくれたのかが分からない。
 第一、この事態の発端になった戌亥宅へのお迎えだって、タクシーでも良かったではないか。
 それに、あの抜け目ない戌亥がおいそれと深夜に柄崎を呼び出し、送ってこさせたのかも分からない。戌亥とて、丑嶋を誰かに取られるのは嫌だろうに。それは戌亥と同
じ感情を丑嶋に対して持ち続けていた柄崎なら分かる。
 柄崎なら送り狼になる勇気もないだろうから安心と思ったのだろうか。だがそれならば、根本的に丑嶋に対して忠誠心しか持っていない加納でも良かった筈だ。
 分からないことだらけで、枕に顔を押しつけたまま頭を悩ました。
 「柄崎、泊まっていくか?」
 いつのまにか戻ってきたのか、すぐ隣から丑嶋が声を掛けてきた。
 「うわっ!うし・・・・・・、社長・・・」
 柄崎は驚いて飛び起きた。丑嶋は柄崎の反応には興味が無いらしく、ベッドに座って濡らしたタオルでメガネの汚れを拭いている。
 「あ、あのー・・・」
 何か言わねば、と気ばかり焦る。

421:コーヒーを一緒に・・・5 6/7 ◆CPu0lwnplk
10/10/06 21:29:44 4Y4WZqSX0
 謝るべきか。謝っても仕方がない。セックスは丑嶋が望んだことでもある訳だし。では、気の利いた口説き文句でも言うべきか。この顔でそんなこと言ってもコントにし
かならないし、恐らく「あっそ」の一言でスルーされるに決まっている。
 丑嶋は眼鏡を拭き終ると、目頭を一度押えて眼鏡をかけた。見えにくいせいで細かった眼はいつもの眼光鋭い目に戻った。その目で見られ、柄崎は一瞬で委縮して視線を
ずらしてしまう。
 「何だ?」
 委縮して黙ってしまった柄崎に丑嶋は続きを促す。だが、柄崎は何を言うか決めていたのではないので、当然ながら言葉に詰まってしまう。
 「その、あの、俺、あの・・・」
 しどろもどろになっていると、横目に映る丑嶋の表情が険しく曇っていく。柄崎は更に慌てる。何か言わないと、何か言わないと、と頭が真っ白になってきた。
 「な・・・何で戌亥は俺を迎えに来させたんですか?」
 口を付いて出た言葉は謝罪の言葉でも口説き文句でもなく、ただ単なる疑問だった。結局、この場に相応しい言葉が思いつかなかったのだ。
 「迎えに、って・・・。ああ、戌亥ところからの帰りか」
 丑嶋はやや拍子抜けしたように険しげに上げた眉を下げる。
 「いや、別に戌亥が勝手にお前に電話したんじゃなくってな、俺がお前にしてくれって言ったんだ」
 意外な答えが返ってきた。てっきり戌亥が柄崎に目星をつけたのかと思っていた。だが、丑嶋がわざわざ柄崎を指名したと言うなら、話は全く変わってくる。柄崎に丑嶋
が来て欲しかった、ということになるではないか。
 「うん・・・、まぁ、お前ならきっとこんな時間でも来てくれると思ってな」
 「え?」

422:コーヒーを一緒に・・・5 7/7 ◆CPu0lwnplk
10/10/06 21:31:43 4Y4WZqSX0
 柄崎は丑嶋の言葉を反芻する。「お前なら」「きっと」なんて、先程の言葉と合わせれば、ますます柄崎だからこそ、と言うことだろうか。信頼してくれているのだろう
か。柄崎の恋心とは違うかもしれないが、もしかしたらいつか丑嶋も、と期待していいのだろうか。
 勘違いをしてしまいそうな程嬉しい言葉に丑嶋を見ると、丑嶋はそっぽを向いていた。だが、座っている位置は遠のいておらず、「勘違いするな」という牽制はなさそう
だ。
 少し時間はかかるかもしれない。だが、そんなの中学時代からなのだから、今更少し待ったり、なお好かれる様に頑張る時間なんて楽しさしかない。柄崎は嬉しさに顔を
綻ばせ、丑嶋の傍に少しだけ近づいた。
 「泊まっていってもいいんですか?」
 「・・・おう」
 ぶっきらぼうに返事をすると、丑嶋は柄崎に背中を向けて横になった。
 「そうですか。じゃあ、お言葉に甘えます」
 もう少し話していたい。でももう夜は遅い。早く寝なければ明日の仕事に差し支える。それに、恐らく長期戦になりそうな一進一退のこの関係に向けても、ゆっくり英気
を養い挑んでいかねば。
 柄崎も横になり、目を閉じる。腕枕をして寝る、とはいかないが、近くにいれば意外に熱いほど暖かかった。

 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
 むっつりへタレ×ツンクール90%素直デレ10%の魔王様でした。結局下の名前は呼べなかったんだぜ。
 貴重なスペースお借りいたしましてありがとうございました。 

423:風と木の名無しさん
10/10/06 21:59:25 pAMSADOFO
>>416
うぁああぁぁ
リアルタイムで見れて感激です!!

ヘタレだけど愛情たっぷりの柄崎とツンデレなエロ社長が最高でした!

424:風と木の名無しさん
10/10/06 22:13:04 o4SIgn/+O
>>416
うああありがとうございます!ありがとう!!
まさか生きてるうちに柄丑エロを読めるとは思ってもみませんでした!
素直な社長と枕に突っ伏してアワアワしてる柄崎がかわいすぎます…!
このカプ最高に好きなので、読んでいる間本当に嬉しかったです!

425:風と木の名無しさん
10/10/07 13:27:44 eWfPtIHAO
>>416 社長ってばなんたるツンツンデレなんですか!
以前の戌亥×社長では社長完全着衣でキスもさせてくれなかったと言うのに…
柄崎にはもったいないごほうびですね
あと、以前の感想に成人滑皮×社長と書きましたが
反応ありがとうございました
期待してますv

426:風と木の名無しさん
10/10/07 21:06:26 wvw162y8O
いつの間にかまとめサイトの
シリーズものインデックスがインデクスになってる
特に理由がないなら戻して欲しいんだけど…なんか変

427:風と木の名無しさん
10/10/08 00:30:39 pzVajoK7O
>>416
素晴らしいの一言ですGJ!
媚薬盛られたとは言え、戌亥を相手にした後で柄崎とも致しちゃう社長はさすがスポーツクラブに通ってる体力は伊達じゃないですねw
柄崎の長年の想いが成就してめでたいですが、意外と柄崎に対してだけ甘えるとはいえ社長は一筋縄では行かないし、この先も楽しみです。
本当にいつも有難うございます!

428:十3人の■ 野人×甥
10/10/08 23:11:26 M9oV7vBj0
オリジナルとしてもいける感じで。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

429:十3人の■ 野人×甥 1/7
10/10/08 23:12:33 M9oV7vBj0
山の民、と呼ばれるその男の耳が、目当ての獣とは違う音を捉えた。
人間の足音だ。
山男は少し考え、獲物を諦めて足音の向かう先へと躍り出た。

不意打ちを食らった足音の主は、目を大きく見開き山男を見た。
足音の主は小柄な男だった。
乱れ髪を無造作に結わえ薄汚れた身なりながら、どこか凛とした雰囲気を持つ男。
山男もまた、大きく目を見開いた。
呼び掛けようと口を開きかけた時、弓を引き絞る音を聞いた。
間髪入れず、矢音。
枝葉を掠めながら迫り勢いを失った矢は、木に弾かれて落ちた。
男は一瞬背後へ視線をやり、向き直ると山男の脇を駆け抜けようとした。
山男は男の腕を掴んでそれを留める。
口角を上げながら顎をしゃくり、自ら先に立って駆け出す。
男は無言でそれに続いた。


430:十3人の■ 野人×甥 2/7
10/10/08 23:13:32 M9oV7vBj0
山男が足を止める。
男も立ち止まり、肩で息をしている。
もう足音は聞こえなくなっていた。
顔見知りだったのだろう、山男が男の名を呼んだ。
聞こえていないはずはない、しかし男は応えなかった。
もう一度呼び掛ける。
男は応えない。
「これだから侍ってやつは」
山男が毒突く。
「もうその名は捨てた」
呼吸を整え終えた男が言った。
「捨てなければ、」
腰の刀を一瞥する。
「生きられなかった」
柄を握り締めていた手を緩め、離す。
山男は鼻を鳴らして見せた。

431:十3人の■ 野人×甥 3/7
10/10/08 23:14:23 M9oV7vBj0
ねぐらへ案内してやる、と山男は言った。
男を導き、着いたところは岩屋だった。
ムシロを敷いて寝床が作ってある。
「居心地が良さそうだな」
少しの皮肉を含めて言ったであろう男の言葉に、山男は自慢げな笑みで応える。

「お前が欲しがってたあの女は」
男が問う。
途端に、山男が拗ねたような表情を浮かべた。
「どうした?」
「逃げた」
ぽつりと、山男が呟いた。
男は近付き、先を促す。
「せっかくカシラから奪って手に入れたってのに、あいつ自分で逃げやがった」
唇を尖らせて言う山男を見、男は今日初めて笑みを浮かべた。


432:十3人の■ 野人×甥 4/7
10/10/08 23:14:58 M9oV7vBj0
炙った肉と野草の汁物で腹を満たした後、男は早々に体を横たえた。
疲れが男の瞼を重くする。
山男はつまらなそうな表情を浮かべた後、おもむろに動いた。
男の枕元へにじり寄り、見下ろす。
手を伸ばして男の髪を束ねている紐を引き、解く。
そして男の髪へ指を差し入れると、無造作に掻き乱した。
男の腕が持ち上がり、その手を捕らえる。
開かれた目が山男を咎めている。
構わず、握られたままの手で今度は男の顎を掴んだ。
真上から見下ろし言う。
「でけぇ目だ。ちょっとあいつに似てる」
男は真っ直ぐ見つめ返す。
「俺が欲しいか」
山男は瞠目し、それから顔を綻ばせた。
「欲しい」
男の手が、ムシロの上へぱたりと落ちた。

433:十3人の■ 野人×甥 5/7
10/10/08 23:15:58 M9oV7vBj0
苦しげに息を詰める音と、荒々しく吐き立てる音が続く。
吐き付けた唾を菊に塗り込められ、指で暴かれる間も、押し入られた時も、男は声一つ上げなかった。

眉根を寄せ、ムシロに爪を立てて耐えている。
しかしやがて、男の腕が動いた。
辛うじて手の届く範囲に、男の刀が転がっている。
男の指がそれに這い寄る。
顔を傾け、目でも追う。
山男が気付き、男の顎を掴んで上向ける。
「俺を斬るのか?」
「違う」
音より息の方が多い声で、男は即座に吐き捨てる。
山男は、投げ出されている男の手を強く握り締めた。
男は抗わなかった。


434:十3人の■ 野人×甥 6/7
10/10/08 23:16:45 M9oV7vBj0

重怠い体を水で清め、そのまま岩に身を預ける。
軽快な足音が近付いてきて、男の傍に降り立った。
男に笑みを見せる、その口の端から鳥の足が飛び出ている。
男の視線をどう取り違えたのか、山男はそれを咥えたまま不明瞭な声で、お前も食うかと問う。
男が断ると、山男はその場にしゃがみ、清流へ鳥の足を吐き落とした。
鳥の足は流れに乗り、やがて見えなくなった。
「名は捨てたのに、ソレは持ってんのな」
男が声の方へ視線を戻す。
山男は男の傍らを指差していた。
「こいつは、」
鞘に納まった刀が、そこに置かれている。
「身を守る為のただの道具だ」

435:十3人の■ 野人×甥 7/7
10/10/08 23:17:31 M9oV7vBj0
山男が刀に手を伸ばし、触れた。
男は止めない。
持ち上げて鞘から抜く。
顔が映り込むほど美しく砥がれた刀身が現れた。
山男は男を見た。
いつの間にか目を閉じている。
眠るつもりらしい。
少し逡巡した後、山男は抜き身の刀を持ったまま座り直した。




□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

436:風と木の名無しさん
10/10/09 20:02:40 LIqejTyt0
>428
GJ!
こんなに早く■のお話をいただけるとは。
殿がらみも読みたいです。

437:風と木の名無しさん
10/10/09 22:45:30 gr5J37gYO
>>428
GJ!
名前出さないところがなんとも憎いです。
捨てられたワンコ同士の傷の舐め合いのような虚無感がありつつ、結局は似た者同士の得難い絆というか…、上手く言えませんがとても色っぽかったです。
更に野人×甥っ子が好きになりました。ありがとうございました!

438:そばにいる 1/4
10/10/10 00:06:16 9WUJkacU0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
朝銅鑼金失ッパン 子煩悩なオヤジと生臭坊主。オノミチ弁はさっぱりわかりません!

「じゃあ親父お願いしてもいいですか?」
人のざわめきが遠く聞こえる控室で長男金欠弥にそう言われ、龍円は気安く「おう」と
返事を返していた。
「すいません、こんな早くから酔い潰れてしまって…」
「しょうがないじゃろ。今日は朝からずっと暴走しとったからのぉ。」
「はぁ……」
「しかしまぁ、船の進水式の挨拶で荒波に揉まれて座礁だの心配連呼だの、志乃宮が
慌てふためいてたのが面白かったな。」
「いや、もう志乃宮のおじさんには申し訳なくてっ。」
「でもおまえ、止めなかったな。」
「えっ?」
「携帯、アカリに聞かせてやっていたのか。」
見透かすように言う。それに金欠弥は一瞬息をのむような表情を見せたが、それでもすぐに
素直に首を縦に振った。
それに龍円は和やかに笑う。
「おまえにとっても大事な妹の門出だったのに、今日はよう務めたな。」
「俺は、仕事ですから。」
しっかりと生真面目に、そう言う金欠也に龍円は尚も笑う。そして、
「なら、ここはいいからもう一仕事して来い。打ち上げでいい気分になってる今なら
騙して契約取りやすい客も多いかもしれんぞ。」
「騙してって、そんな事はしませんけど、でも……いいですか?」
「おう、しっかり営業行って来い。」
地元信用金庫に勤める真面目を絵に描いたような長男坊が、そんな言葉に背を押される様に
もう一度頭を下げて部屋を出ていく。
それをにこやかに手を振りながら見送り、しかし扉が閉まった途端、龍円はその笑みを止め
どこか冷めた目を横斜め下に落とした。
隣りにはソファがあった。その上には完全に酔い潰れた大の大人の姿があった。それに向け一言。
「このダメ親父が。」
きっぱり言い捨てる、それは金欠弥の父であり自分の幼馴染である邑上金定に対しての言葉だった。

439:そばにいる 2/4
10/10/10 00:07:34 9WUJkacU0
今日は特別な日だった。
金定が手掛けた船の進水式。
金定の末娘のアカリが故郷を離れる日。
そしてそのアカリは彼にとって実の娘では無い養女で、そんな彼女が就職の為向かった大阪には
彼女の唯一の肉親である祖母がいるらしい。
「あらためてまとめてみると結構壮絶じゃのう。」
近くにあったパイプ椅子を引き寄せ腰を下ろしながら、龍円は一人嘯いてみる。
金定の幼馴染でありこの町の寺の住職であるこの身は、その辺りの事情には昔から深く絡んでいる。
だからこそ冷静に思う。
「まあ、いずれはこういう日が来たんじゃろうがの。」
「養女かどうかなど、戸籍を見れば一発でわかるし。」
「それでも、」
このバカはそんな日が来るなんて思いもしなかったのだろう。
だから覚悟も気構えも無かった。
それゆえのこの有様だ。
「で、公の進水式で自分の子供の名前由来は語り始めるわ。しかもそれの縁起が悪すぎるわ。
息子の名前の一字が金を欠くに金を失うっておまえネーミングセンス悪すぎだ。
金欠弥が可哀想じゃったぞ。本人がまた真面目に良く出来てるから尚更憐れが沸く。」
暴走して娘への想いを演説し続ける父親の声を携帯を通して、旅立つ妹に繋げてやっていた
長男の姿を思い出し、龍円はこの時ふっと口の端を歪める。
美人の嫁に出来た長男、やんちゃな次男。そして可愛い末娘。
「おまえは幸せ者じゃろう。だから誰が同情などしてやるものか。」
こっちは誰かさんのせいでいまだ独り身じゃと言うのに。
そう思った瞬間、少し前その事で2人言い争いをした事をふと思い出す。
遠い遠い昔の事。独り身なのは彼の嫁になった女性を取られたからだと嘯く自分と、それを信じ、
フラレたからだと言い方を変えて思い込んでいる彼。
その内実は実は少々違うのだが、しかしそれを直すつもりも教えてやるつもりも自分には無い。
だって、それは……面白いから。
「にしても、怖い顔は昔から変わらんのぉ。」
酔い潰れ、ひっくり返っている男の顔をマジマジと見つめながらひっそりと呟いてみる。
「その上感情過多で、それでいて意外と涙脆くて、暑苦しい。」
それでもやっぱり見ていると面白いから、壊せないのだ。自分はこの関係を。

440:そばにいる 3/4
10/10/10 00:08:58 9WUJkacU0
と、その時、ソファの上の体が不意に身じろぐ気配があった。
「うう…ん…」
呻きに似た声。それに龍円はサラリと声をかけてやる。
「目、覚めたか。」
「う…ん…ここは…?」
「控室だ。おまえ打ち上げ会場で飲みすぎて危なかったから、俺と金欠弥でここまで運んだんだ。」
「金欠弥…」
「あの子は会場に戻ったよ。だからおまえのお守りは今は俺だけ。」
「…おまえは大丈夫…なんか?」
「何が?」
「酒…」
「おまえみたいな無茶な飲み方はしないよ。それに酒が弱くてこの仕事が務まるか。」
「この生臭坊主…」
「減らず口うるさいよ。」
言い合いながらもその呂律がヨレヨレで、それに思わず笑ってしまいながら龍円は座っていた椅子から
立ち上がる。そして、
「水飲むか?」
「…ああ、」
弱々しい声を聞きながら部屋に置いてあったペットボトルの水を紙コップに注いでやろうとすれば、
そんな龍円の背中に金定の声は尚も届き続けた。
「……行ってしまったな…」
主語は無い。それでも何を言いたいかはわかるからそのまま返事を返す。
「ああ。」
「大丈夫じゃろうか。」
「この時間なら新幹線に乗っている最中じゃろう。新幹線が脱線でもしとらん限り無事だ。」
「おまえはなぁっ、俺は真剣に!」
「真剣になんだ?まだ諦めがつかんのか?」
「そんな事っ」
「ん?」
「つく訳ないじゃろう!」

441:そばにいる 4/4
10/10/10 00:10:27 9WUJkacU0
本気で往生際が悪すぎる。それに思わず声を上げて笑ってしまいながら龍円は踵を返すと、ソファに
横になる金定に水を差し出した。
「おまえにそれだけ愛されて、アカリは幸せもんじゃのう。」
「娘を愛して何が悪い。」
「何も悪くはないさ。しかしそんなに手元に置いておきたかったか。」
「ああ、置いておきたかった!」
完全に開き直っている、そんな男のキレ方に尚もクスクス笑いながら龍円はふと思いついた事を
口にしてみる。
「アカリは無理でも俺はずっとここにいるぞ。」
「……はぁ?」
「残念ながら、お・る・ぞ。」
酒のせいもあってか上手く頭が回っていないような金定がパチクリと目を瞬かせてくる。
しかし顔が怖いから全然可愛くない。
そんな事を思いながら、龍円はこの時いつまでも一人笑い続けた。



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
オヤジかわいいよオヤジ。坊主もエロいよ坊主w
来週からの登場人物も紹介見てるとなんだかクセ者揃いだよ、朝銅鑼w


442:風と木の名無しさん
10/10/10 00:28:21 gDvBY0uCO
>>411
ヶ゙ヶ゙ヶ゙夫妻が好き過ぎて今の朝銅鑼見てなかったんだが
今朝たまたま見て主人公の父親が気になったところだった
クセ者スキーなので来週からちゃんと見るよ!ありがとう!

443:442
10/10/10 00:30:24 gDvBY0uCO
>>441の間違いでしたorz

444:風と木の名無しさん
10/10/10 07:24:26 rPPIfpz30
>>438
オサーンいいよーGJ!
長男受けも読みたいです

445:風と木の名無しさん
10/10/10 11:16:20 5hOInSb/0
>>438
うおおおおおGJ!
坊主好きだ

446:十3人の■ 野人×甥 (続)
10/10/13 18:57:33 H2HzhiaC0
>>428 の続き的な。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

447:十3人の■ 野人×甥 (続) 1/4
10/10/13 18:58:15 H2HzhiaC0
男は右手で枝を掴み、刺さった岩魚を食している。
左手首は、岩屋の中へと這う木の根に括り付けられている。
それを施した張本人である山男もまた、枝に刺さった岩魚を食らっていた。
食べ終えた枝を火の中に投げ入れた後、男は言った。
「こいつを解け」
「嫌だね」
既に幾度となく繰り返された問答。

山男がねぐらを離れた隙に、男は山を下った。
数刻歩いた頃だろうか、不意に聞こえた草を分ける音に、男は身を硬くする。
刀を掴み、柄に指を滑らせたところで、予想よりずっと近い場所から山男が姿を現した。
思わず息を呑んだ男とは対照的に、山男は飄々とした態度で言ってのけた。
「どこ行く気だよ?」


448:十3人の■ 野人×甥 (続) 2/4
10/10/13 18:58:53 H2HzhiaC0
まだ下るのは危険だと山男は言う。
構わぬと男は言う。
その結果がこれだった。
男は諦めたのかそれ以上言い募りはせず、不自由な体勢に何とか折り合いをつけて横たわった。
少し遅れて食い終えた山男は、男のもとへとにじり寄る。
男の左手首を掴んでまじまじと見つめた。
散々動かした為、男の手首は縄で擦れ血が滲んでいる。
山男はその血を舐めた。
それまで好きに触れさせていた男が、ぴくりと身じろぐ。
構わず、山男は滲み出てくるその血を幾度も舐め取る。
唾液と混ざって滴るその薄赤い雫を啜る。
耐え兼ねた男が、震える息を吐いた。


449:十3人の■ 野人×甥 (続) 3/4
10/10/13 19:00:11 H2HzhiaC0

「あれだけの、戦いした割りにゃ、背中にあんまり、傷ねぇな」
男を背ろから攻めながら、山男が言う。
「叔父御が…ッ、護ってくれた…」
岩肌に縋る男の手に力が入り、指を傷付けていく。
「あ、止せって」
山男は動きを止め、その手を引き剥がした。
男は取られた手を払い、また岩肌へ置く。
「お前までしななくて、よかった」
感情の籠もらぬ、言った本人さえ意識していないのかと思えるほど抑揚の無い声で、男がぽつりと呟いた。



450:十3人の■ 野人×甥 (続) 4/4
10/10/13 19:00:43 H2HzhiaC0
「山を降りてどこ行く気だ?メリケンか?」
山男が問う。
男は解放された手首に、裂いた布を巻き付けている。
「メリケンには行かん」
男が答えると、山男は眉を顰めた。
「じゃぁ何の為に山を降りるんだよ」
男は一つ息を吐き、それから言った。
「市井に交わり、天下の行く末を見届ける」
「市井って、お前っ、だから追われて、」
山男は大袈裟な仕草で何か訴えようとし、結局止めて両腕を下ろす。
「…それ、面白ぇのか?」
「面白ぇか否かは、今わの際に悟るんだろうさ」
男が薄く笑みを浮かべた。
山男は頭を掻き小さく唸り、そして顔を上げる。
男を見た。
「俺も行く」

451:十3人の■ 野人×甥 (続)
10/10/13 19:04:24 H2HzhiaC0

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

452:風と木の名無しさん
10/10/13 23:55:18 1ck9jbn7O

野人×甥はツン同士な2人な話ならよく見るけど
程よく素直な2人って新鮮かもしれん

453:零/の軌跡(主人公×兄貴分)
10/10/14 02:31:28 tY3XGcag0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

夢の中は常に赤く染まっていた。
片手にライフルを、もう片手には適当に拾った長物を持ち、ランディはいつも駆けていた。
胸の悪くなりそうな鉄錆の香り、人間や家畜の息のあるうちの焼かれる匂い。
付き従う外道たち、ならばその先頭に立つ自分は何なのだろう。
彼を苛むその疑問はだが『戦場の叫び』とともにいつしか消えていくのだ。
「……ディ…」
暖かい。
「…ンディ…」
それはランディの罪を象徴するような戦場で燃える炎とは違い、陽だまりの中にいるような、生きている暖かさだ。
無意識にそのぬくもりに擦り寄ってみれば、赤い夢は遥か彼方へと遠ざかった、そんな気分がした。
「ランディ」
穏やかで誠実そうな声が呼ぶのはあの呪われた名前ではない。それがうれしくて、ランディはへらりと笑った。
声に応えようとも思ったが、このぬくもりと声に包まれてまだ少しまどろんでいたかった。
「…仕方ないなあ」
閉じた視界の中、何かが近づくのを感じたが、避けようとは思わなかった。
これは、絶対に自分に危害を加えない、そんあ確信があったからだ。
「ん…」
汗で張り付いた前髪を少し皮膚の硬くなった手がかきあげ、あらわになった額にやわらかいものがそっと触れる。
「くすぐってえ…」
くすくすと笑い声をあげるランディにはかまわず、そのやわらかいものは額からゆっくりと下りていき、鼻の頭を軽く噛む。
嫌がって首を振ろうとしたが、先刻前髪をかきあげてくれた手がしっかりとランディの顔を押さえつけ、叶わない。
「なにすんだ…ん…う…」
くちびるをやわらかいものが覆い隠し、ぬめったものがランディのくちびる割って侵入してくる。
ランディが今までくちびるを重ねた相手と比べれば拙いにもほどがあるが、ぎこちなく舌を絡めて吸うだけの動きに不思議と体が昂ぶっている。
寝ぼけ半分、今のくちづけが半分、脱力しきったランディのくちびるを解放して、彼は笑った。


454:零/の軌跡(主人公×兄貴分)2
10/10/14 02:32:35 tY3XGcag0
「おはよう、ランディ」
朝の挨拶とはかくあるべし、と教科書にでも載せたくなるような爽やかな笑顔と声でロイドは言った。
おはよう、と自分も返そうとして、だがもつれた舌はうまく言葉をつむぐことは出来なかった。
朝日に照らされたロイドの一糸まとわぬ鍛えられ、だが幼さをどこかに残した体のあちらこちらに残る赤い鬱血痕にやっと今の状況を理解した。
昨夜、部屋に遊びにきた彼と酒を飲んで、馬鹿みたいな話をして散々笑って笑わせられて、そして。
体格ても格闘術でも勝るという確信はあった。だから、これは、この腰を襲う倦怠感と鈍痛と枯れた喉は、すべて自分自身が望んだことなのだろう。
上から圧し掛かられて、酒に呑まれているというにはあまりにも真っ直ぐすぎる視線に抗うことなど出来なかった。
「…ティオすけいわく、フラグをたてられちまったもんなあ…」
「……?」
「気にすんな、こっちのはなし」
ようやく働き始めた頭で馬鹿みたいなことを思い出して、ランディは笑いかけた。
「おはようさん、ロイド」
「ああ。ランディって意外と寝起きが悪いのか?」
「いや…慣れないことして疲れたせいだと思うけどねえ?」
途端に頬を染めてうろたえるロイドはなんというか可愛らしい。
弟みたいに思っていたのに、いつの間にか一人前の男で、しかもその雄があの少女たちやセシルではなく自分に向けられていたというのは少々複雑な気分ではある。
いやだが、これでロイドと自分は恋人同士になったということなのだろうか。それともあの時は否定したがやはり酔った勢い、それとも。
これからの関係をどうしたらいいのかと頭を悩ませていたせいで、反応が遅れた。
申し訳程度にかけられていた毛布が、ぱさりと床に落ちる。
急に裸の体を外気に晒されて一瞬竦んだところで、ロイドの手がランディの片膝の裏を掴み、脚を抱え上げた。

455:零/の軌跡(主人公×兄貴分)3
10/10/14 02:33:40 tY3XGcag0
「へ…?」
当然、あまり人様には見て欲しくない格好になるわけなのだが、常識人のはずのロイドの視線はその見て欲しくない場所に向けられている。
朝だからなのか、さきほどの緩いふれあいのせいかランディの性器はわずかに頭をもたげている。そしてなによりも、昨夜、ロイドに幾度も貫かれ、暴かれたその場所すらも、朝の光の中で見られているのだ。
かあっと、耳まで血が上るのを感じた。
「ちょ、待て、ロイド…」
「すごいね。どこもかしこも真っ赤だ」
くちびるだけで笑ったロイドの台詞を幾度も脳内で反芻して、あまりの内容に気が遠くなった。
あの、可愛い弟キャラはどこにいったんだ。そんな台詞はワジあたりの担当だばかやろう。
「…ランディ…」
「あ…いや、ロイド、ちょっと待ていい子だからって…!!」
思わず呻いてしまうような圧迫感はあったが、痛みはそれほど感じなかった。
その童顔からは意外なほどに昨夜みたロイドのそれは立派だったのだが、散々に使われたそこはまだ緩んでいたのだろう。
逆に、少しきつめなのが気持ちいいくらいだ。
そう思ったのはロイドも一緒なのだろう、ほんのりと頬を赤く染めて、すごい、と呟いている。
「なにが凄いんだ…いや、説明しなくてもいい」
真面目な彼が真面目に説明しようとしたのを慌てて止める。
残念そうな顔をするロイドはやっぱりちょっと可愛くて、この行為とのギャップが凄い。
体格差のせいで、抱きしめられているというよりは抱きとめているという状態で動き始めたロイドの顔があまりにもうれしそうで、さっきから地味に悩んでいる自分が馬鹿らしくなってさえくる。
「…っ…締りのない面しやがって…あ…」

456:零/の軌跡(主人公×兄貴分)4
10/10/14 02:34:41 tY3XGcag0
「そりゃあ…ランディのせいだよ」
「人のせいにすんなって…朝っぱらから…襲いやがって…」
後始末が完全ではなかったようでロイドが動くたびに中から彼の精液が掻き混ぜられる音がして、正直恥ずかしさで死ねる。
「…ランディが言ったんじゃないか…」
「んあっ…あ、なに…」
「朝起こしたあと、がばっと襲うのもあり、なんだろ?」
「は?…くっ…ん…」
どこか拗ねたような顔つきでロイドが言った台詞を、揺さぶられてかきまぜられているせいでうまく働かない頭で考える。
そういえば、落ち込んでいた彼を心配して叩いた軽口の中で…。
「…結構、悔しかった。ランディと、そんな経験した人がたくさんいるって考えたら」
「あっ!!」
前触れもなく、後ろだけで完全にたちあがったものを握りこまれ、思わず甲高い声を漏らす。
そんなランディを嬉しそうに見ながら、ロイドは言った。
「…でも、襲われたのは、初めて、だろ?」
完全に、独占欲をむき出しにした『男』の目をしているロイドを見て、これで襲われるのも初めてじゃないといったらなにをされるんだろうと霞む意識の中で思った。



457:零/の軌跡(主人公×兄貴分)
10/10/14 02:35:39 tY3XGcag0

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!



458:風と木の名無しさん
10/10/14 07:09:50 7NIU+jpX0
乙でした!!!
「弟系草食男子を装ったリア充」イイヨイイヨw

459:風と木の名無しさん
10/10/14 10:01:54 kn83v4YP0
>>453
乙です!そしてGJ!

460:風と木の名無しさん
10/10/14 19:36:10 LC8UsK/CO
乙乙!
年下攻いいよいいよー!
めっちゃ萌えましたありがとう!

461:1/8
10/10/15 23:00:19 KFoCQS2W0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
残念なオリジナルだよ!
KYちょいSリア充×KYキモキモ厨二病


 俺はおかしくないと思う。おかしかったらアニメもゲームもドラマも映画も小説もあんな
に流行らないはずだ。みんな好きでカッコイイって思ってるから流行るわけだろ? それを
追求してなにが悪いんだ。なにも悪くない。学ぶことは多い、少なくとも同年代のバカと話
してるよりずっと有意義な知識を得られる。アニメにもゲームにも哲学が取り込まれてるこ
とを俺は知っている。ニーチェ、ゲーテ、ドストエフスキー、ユングとフロイト。どこが
キモいんだバカ共め。高尚で崇高なものにしか俺は興味がない。バカは罪だ。この世で最も
恐るべき大罪だ。
 しかし現実は厳しい。俺の知識についてこれないバカで周りは埋め尽くされてる。だから
俺は延々と思考を重ねる。たまにそれを他人に恵んでやると、愚かな周りはそれを恐れる。
「ちょっとひとりで笑ってるとか、なに考えてんのキモーい」
 クラスの奴なんて子供でバカの集まりだ。
 相手をするとバカがうつる。俺は彼らをバカ地獄から目覚めさせてやりたくて、時折声を
かけてやるのだが、いかんせんバカには俺の話が通じない。
 もっと言葉を噛み砕いて幼稚園児でも分かるように言うべきだったかと俺が口を開きかけ
た瞬間、真横からアホほどのんびりした声が降ってきた。
「お前はキモくていいなぁ」
「えっ」
 今日はちょっと暇だったので、他愛ない女子のお喋りに聞きかじったユングの精神分析を
説いてやった。そしたらキモいと切り捨てられた。しかも話しかけてやったってのに、「ひ
とりで」なんてオマケつき。そんでヘコむ間もなくキモくていいなと言われた。
 誰が一番キモいって、ひとの本気をキモいと笑う女でもなく、日常会話を精神分析する俺
でもなく、キモいものをいいなあって言うこいつだ。このバカだ。
「……えー」
 罵倒と寵愛を一緒に受けると反応に困る。やだーキモいのうつるよーと女がバカに笑いか
ける。うつる程こいつのキモさは強くないから大丈夫、とバカは笑う。罵倒と庇護を一緒に
受けるとやっぱり反応に困る。

462:2/8
10/10/15 23:03:07 KFoCQS2W0
 このバカは確か同じクラスメートでお祭り騒ぎとゲーセンとカラオケが大好きな、なんとか
君だ。いつもなにかと騒いでいるから顔は知ってるけど、名前は知らない。友達じゃないし、
有益ではないからクラスメートの名前を俺は一人も覚えてない。俺の脳みそは他の事に使う
ので忙しいのでバカな同年代の名前如きを詰め込む余地はないのだ。
「……な、な、なんだよ……キモいって……まあいいけど」
 そう切り捨てて俺は読んでいた本へ顔を戻した。これ以上の会話は不毛だと経験上分かって
いる。誰も俺の真意を理解できないのだ。不毛な会話はキリよく終わらせるに限る。
「まあいいって何だよ、イミフー。なに読んでんの」
「ジークムント・フロイト。フロイトって名前ぐらいは知ってるだろ?」
 中身は知らないだろうけど、と嘲笑を浮かべてやると、バカは笑顔全開で知るかよボケと罵倒
してきた。若干傷付いたのでもう知るかと本に顔を向け直すと、机をガタガタと揺すられる。
「なーいきなりシカトはねぇだろフロイト。おい、おいお前だよ」
「……え? 俺っ? な、なんでフロイト?」
「いーじゃん俺、お前の名前知らないしフロイトで。それなに書いてある本なの」
「これは―ヒトコトじゃ説明が付かないな」
 それぐらい高尚で、知的で、複雑で、学問的なことが書いてあるのだ。ただの中学生には理解
しがたい。もったいぶって言った俺にバカはあっけらかんと返してきた。
「じゃあ一言じゃなくていいから説明してよ」
「へ? え……説明……そんなの、面倒クセーよ。貸してやるから読めよ」
「ヤダよ読むのなんて」
「えっ? じゃあなんで興味持つんだよ」
「いや持ってない。聞きたかっただけ」
「それは興味があるって言うだろ」
「ないよ」
「あるよ。なきゃ聞かないもん」
「ないってマジで。ただ話しのネタだって、お前、会話続かないし」
「……あ、そう」
 バカはひとを傷付けるのが上手い。
 バカなりにフロイトに興味を示すとは少しは話が通じそうだ、と思った俺が間違っていた。
「なんでそこで引いちゃうかなー。フロイトって普段、なにして遊んでんの? いつもひとりで
ずーっと本読んでんの? それ楽しい? マジで休みの日とかずっとそれ? それだけ? 
それだけって、死にたくなったりしねー?」

463:3/8
10/10/15 23:04:09 KFoCQS2W0
 バカのバカな言い分に俺の心臓はきゅっと縮み上がった。なんでみんな、俺を見てそう言う
んだろう。俺は俺なりに人生楽しんでるつもりなんだけど。
 友達作っていつも遊んでれば人生楽しいのか? そうじゃないだろ。俺は友達ひとりもいな
いけど寂しいことなんてない。最近会ってないけどイトコとだって仲良かったし、他人と会話
しようと思えばできるんだよ、必要がないからしないだけで。
 変なこと訊くな。俺のどこがつまらなそうに見えるんだ。こういう質問に心臓が縮み上がる
理由は分からないけれど、別にそんなのどうだっていい。
「別に……楽しいし、有意義だよ。ほ、本は、本を読むのはいいことだろ。死にたいとか考え
てない」
「へー? じゃあお前、何歳まで生きたい?」
「はぁっ?」
 またきゅきゅっと心臓が縮む。もうどっかいけこのバカ。
 あんまイジメんなよー、とさっきの女が笑う。
 キンキン声うるさい。これは庇護じゃない、ただの煽りと嘲りだ。凄くうるさい。
「―死ぬまで生きたら、いいんじゃない……」
 どっかのアニメかゲームかドラマか映画か小説で見たセリフをそらんじる。バカはニヤニヤ
笑いながら、ガタガタ椅子を揺する。
「それ答えになってねーべ」
「うっせ……どうでもいいだろ、死ぬなんてただ、ただの当たり前のことじゃねーか」
 これまたどこかで見聞きしたセリフ。バカのニヤニヤは止まらない。こいつハゲろと念じな
がら、俺は一生懸命に活字を追う。頭の中にはフロイト先生の高尚な心理学は入ってこない。
雑念が邪魔をする。バカのせいだ。
「じゃあさ、明日死んでも当たり前なのかよ?」
 その問いかけはちょっと俺の好奇心を刺激した。ドラマかアニメみたいだ。隣の女がくすく
す笑ってるのが邪魔だけど。
「そ、それが寿命ならしょうがないだろ」
 ちょっとどもりながら俺はそう返した。うん、このやり取りはなかなか崇高で知的なんじゃ
ないか。相手がバカなのが残念だけど。
「フーン。フロイトって死ぬの抵抗ないんだー」
「あんまりないね。まあ、あんまり早死にだったら、まだあるはずだった時間で、さらに知識
を深められなかったことを残念だと思うかもしれないけど」
 些か早口でまくし立てると、バカは間抜けな顔で聞き返してきた。

464:4/8
10/10/15 23:04:41 KFoCQS2W0
「は?」
「だから……」
「いやいーや説明。なんか長くて聞き取れんかったけど面倒クセーことだろ?」
「……あ、ああ」
 なんでここで肯定するかな俺。ていうかなんでフロイトって定着してるかな。
 あだ名としてはカッコイイけど、この人類の崇高な祖と同じ名前で呼ばれるなんて俺には
ちょっと身に余る光栄だろう。
 そのとき、えいっという間抜けな掛け声と共に俺の額に衝撃が走った。
 バカの目の前で目を閉じ瞑想してはいけない。
「なにすんだよ!」
「キモい顔してたからデコピン」
「ふざけんなよ! ……もう、いや、いいけど」
「え、なんでそこで引くん?」
「いや……お、お前流に言うと面倒くさいってことだ」
 俺がこの返しに満足する前にバカは大笑いした。
 女子はもう飽きたらしくて、彼氏の話題で盛り上がっている。隣のクラスのエリコの彼氏の
親が金持ちどーたらこーたら。俗物的な上に下賎な話題だ。
 バカはニヤニヤ笑って再度デコピンの構え。バカほんとバカ。痛いからやめろって俺が泣けば
泣くほど喜んでる気がする。なんだよ、バカで変態でサドなのかよ。
 俺は本で防御しながら勘弁してくれと泣きたくなった。
「今日デコピンで死んでもお前の寿命な!」
「なんでだよ!」
「だってお前さっきそー言ったじゃん」
「い、言ってねーよ!」
 バカは飛躍するから困る。なんて嬉しそうに俺の寿命を決めるんだ、バカ。
 必死の攻防が続いて、俺は何度かデコピンをセーブし、何度か痛いのを食らった。ついでに
足も蹴られてた。こんなに運動したの久しぶり。
 休み時間が終わる間際に、バカはなぁんだぁと気の抜けた声を出してデコピン攻撃を止めた。

465:5/8
10/10/15 23:05:16 KFoCQS2W0
「フツーに元気なんじゃん、フロイト」
「へっ?」
「いやいつも死にたそうな顔で本読んでっから、暗い奴だと思ってた」
「え?」
「俺さー、死んでも構わないとか死にてーとか言ってるやつ見るとほっとけねーんだよなー」
 バカ、熱血バカだったのか。殴って友達とか、青春物語は好きじゃない。ちょっと引いた。
 しかしバカは飛躍する。それを俺は再度確認した。
「そういう奴が、泣いて死にたくありませんって言うまで叩くの好きなんだ」
「……えっ?」
「お前、えって言いすぎ」
「え? あ、いやこれは、……あ、そう」
「それも多すぎ。なんだーフロイトが死にたいっつったらボコボコにしよーと思ってたけど
違うんならいいや。ていうかお前面白いな」
 バカの不条理さには負けると思うよ? という俺の心の声は届かない。
 呆然とする俺の前で、バカは爽やかに笑う。
「でさー、フロイト何歳まで生きんの?」
 俺が答えを返さなかった質問だ。バカはしつこい。俺の複雑な心理など理解できないのに、
答えを追及してどうしたいんだ。
「……それは」
 隣の女子の視線が気になる。長生きしたいとか言ったら笑われるだろ。迷惑早く死ねとか
言われるかもしれない。でも三十歳までとか言って、マジでその時に死ねよと言われても困る。
 そのとき俺は閃いた。こういう時はバカに合わせればいいんだ、世間一般の、なにも考えず
生きている奴らに合わせてやれば、こいつは満足するだろう。
「普通に平均寿命くらいいったら満足、かな」
「それ何歳?」
「え? 知らないの?」
「知らない」
 実は俺も正確な数値は知らない。でもなにか言うしかないこの状況。
「……男なら、今は多分七十歳ぐらいだと思うよ」
「うお、百歳とかじゃないの?」
 なにに驚いてんのそれ? まさか本気で日本人みんな百歳まで生きると思ってんの?

466:6/8
10/10/15 23:07:55 KFoCQS2W0
 思ったより短い、と呟くバカ。神様はなんで俺をこういうお気楽なバカに生んでくれなかっ
たんだろう。
「マジかー、でもまー七十ならまあまあかー」
「まあまあって……」
「じゃー俺も七十にする」
 うわ軽く自分の寿命を決めたよこのバカ。
 ていうか、じゃあ俺もってなんだ。俺が反論しようとすると、チャイムが鳴った。あれ、
休み時間ってもっと長いんじゃないか、そう考えて俺は時計を確認する。きっちり終わってた。
嘘だろと思いながら、とりあえず反論だけしておくことにする。
「なっなんでお前も七十歳になんだよ……か、勝手に、」
「は? なに? あ、休み時間終わったから戻るわ」
 なんというか俺はこの短い休み時間だけでも、お前が充分に自分勝手な人間だということは
把握した。把握したが、納得はしてない。
 俺が七十歳まで生きるとして、なんでバカがそれに合わせるんだ。なんで一緒なんだ。そん
なの、名前も知らないクラスメートでやることじゃないだろ。色々言いたいのに、もう休み時
間終わるからなにも言えないし、どうしてくれるんだ。
「じゃ、また後でな」
 そう言ってバカは自分の席に戻ってしまった。バカの前の席の奴が、イジメてんなよーと大
声で笑ってる。俺の心臓は嫌な予感にまたきゅっと縮み上がった。また悪口とか言われるんだ
ろうな、キモいとか頭おかしいとかブサイクの癖にとか、いつも繰り返し同じ言葉で語彙の貧
相な哀れなクラスメートの無意味な評価。
 俺と話すのは胆試しに似てるって言ったのは小学六年の頃に同じクラスだったナントカって
奴だ。俺に話しかける奴はだいたいそれが目的。どうせなら全部フロイトの言葉で返してやろ
うか、今度から。同年代の馬鹿ならきっと理解できなくて逃げていく。そうだそうしよう、な
んて考えていたら、とんでもない言葉が耳に飛んできた。
「イジメてねーし! キモいけど面白い奴じゃん、俺あいつ気に入ったわー」
 バカがそう言った途端、縮み上がっていた心臓が飛び上がった。かっと全身が熱くなる。耳
とか頬とか首とか、もう全身真っ赤になっているのが自分で分かるほどだ。なんだこれなんで
俺が恥ずかしいって思わなきゃいけないんだ。恐る恐る顔を上げると、バカの声が聞こえた
奴等は揃って俺を哀れみの目で見ていやがった。

467:7/8
10/10/15 23:08:55 KFoCQS2W0
 やめてやれよ気に入らないでやれよって、なにを説得してるんだ。
 それまで恋愛話をしていた女子が心配そうな声で言う。
「ちょっと……本気であれ友達にすんの? あんたマゾ?」
「はっ? とっ、ともだちとか今のでなるわけないだろ?!」
「いやだって気に入ったって言ってっしアレはもうタゲ確定じゃん」
 初めての友達があれって相当ヤバイね、不条理な女子はそう言って俺から目を逸らした。
 俺ポカン。取り残された。多分、バカと一緒のところに取り残された。遠くでバカが手を
振ってる。バイバイの挨拶ならいいけどあれは多分、なんか違う……ドラマとかアニメとかで
よくある知り合いにオーイって手を振るジェスチャのように見える。俺にそんな風に手を振った
のはこいつが始めてだから、もしかしたら違うのかもしれないけど……でもやっぱそう見える。
 無反応でいると申し訳ない気がして、俺は小さく手を上げてみた。バカは大爆笑した。恥ず
かしい。やっぱやるんじゃなかった。
「ほら見ろ! なっ! 俺、あいつともうオトモダチ! 俺のデコピンであいつ落ちたね!!」
 マジでやるんじゃなかった。七十歳までよろしくぅ、とバカが椅子の上に立ち上がって叫ん
だら、入ってきた教師に一喝されて転げ落ちた本当にバカ。
 誰が友達だ。次の休み時間に俺の全知識を総動員して反論してやる。
 ああ顔が熱い。早く次の休み時間になればいいのに。なんだこの気持ち。全然理解できない。
さっさと授業終われ。いや終わらないでくれ。どんな顔して話せばいいんだ?
 その前に本当に七十歳まで一緒なのか? 明日には飽きて他人同士に戻ってるだけじゃない
のか? それにバカだし、知的レベルが違い過ぎる生き物同士で友情は成り立たないだろ?
 そうだよなそうに決まってる俺の考える通りだきっと。
 俺は赤くなったり青くなったりして必死に否定を続けた。だが二日経って一週間経って一ヶ月
経って三ヶ月経ったある休み時間にバカがいつも通り俺の元にやってきて、いい加減あきらめろ
と右頬にえくぼを作って笑った。俺の手元の三ヶ月前から一ページも読み進んでいない本をひょ
いと取り上げてエロいページないのと乱雑に捲り始める。

468:8/8
10/10/15 23:09:28 KFoCQS2W0
「ひろきさあ、今日うち来ない? メロン貰ったのメロン、オジサンが農家やってて。食いた
いだろ? メロンはいいよなーうまいし甘いし、二つあるからボインごっこしようぜ」
「……メロンあんま好きじゃない」
「俺ひろきがボインだったらなんでも許すわー」
「キモチワリ……」
「あ? なに、なんつった? ところでいいよなうち来るよな、帰りにコンビニでマンガ立ち
読みしてこーぜ。なあひろきエロ本買ってみねー? お前一冊も持ってなさそうだし」
「買わない! あ、あ、あきおが買えばいいだろ欲しいんなら、さあ」
 だらだらと俺の本を傷めていたバカがぱっと顔を上げた。また俺の顔にみるみる熱が上がっ
ていく。くしゃって笑ってバカはフロイトの本を机に叩き付け、ガッツポーズで雄たけびをあ
げた。そのまま教室の中を走っていく。なにが嬉しいんだか、俺には全然理解できない。まった
くもって理解不能。名前呼ばれただけで手を叩いてはしゃぎ回って知らない奴に強制握手かまし
て女子からドン引きの目で見られながら携帯電話のスケジュールに記念日登録なんて、そこまで
する? バカなの? バカだからなの?
 帰ってきたバカは溌剌とした顔で俺の前の席にどすんと座った。ちなみにそこはバカの席じゃ
ないのに物凄く当たり前みたいに座る、ここ最近ずっとそう。
「ひろき!」
「……なんだよ」
「ひろき」
「……なにがしたいんだよ」
「ひーろきー」
「な、……なんだよあきお」
 うはぁとか気持ち悪い声出してバカは机の上に崩れ落ちる。フロイトの本を胸に抱いて、俺は
三ヶ月前から考え続けていた問いの答えを出した。
 齢十代にして人生決定。七十歳で死亡。
 それまでこの、どうしようもないバカと一緒。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
不意に萌えたんだけどリア充も厨二病も上手く書けない結果でごめんなさい
ちなみに日本人男性の平均寿命は79歳よってばっちゃんが言ってた

469:風と木の名無しさん
10/10/15 23:10:50 e4gG0rzUO
しえん

470:風と木の名無しさん
10/10/16 01:14:53 m85tw9vw0
>>461
GJGJ!!甘酸っぱくていいねいいね!
続きがきになるよ!

471:風と木の名無しさん
10/10/16 01:18:00 U1BjV01pO
KYリア充×KY厨二病GJ!
キュンキュンきましたよ…
中学生同士というのがまた、これからを想像させてたまらんですね!

472:風と木の名無しさん
10/10/16 10:13:39 iXRaVWUJ0
ターナー・ザ・インサート

473:風と木の名無しさん
10/10/16 13:07:47 MEsXjXXe0
現在493KBなんで、スレ立ていってくるー

474:風と木の名無しさん
10/10/16 13:11:38 MEsXjXXe0
ダメでした…orzテンプレ置いとくので、どなたかお願いします
   ___ ___  ___
  (_  _)(___)(___)      / ̄ ̄ヽ
  (_  _)(__  l (__  | ( ̄ ̄ ̄) | lフ ハ  }
     |__)    ノ_,ノ__ ノ_,ノ  ̄ ̄ ̄ ヽ_ノ,⊥∠、_
         l⌒LOO (  ★★) _l⌒L ┌'^┐l ロ | ロ |
   ∧_∧| __)( ̄ ̄ ̄ )(_,   _)フ 「 | ロ | ロ |
  ( ・∀・)、__)  ̄フ 厂  (_,ィ |  </LトJ_几l_几! in 801板
                  ̄       ̄
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モララーの秘蔵している映像を鑑賞する場です。
なにしろモララーのコレクションなので何でもありに決まっています。

   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  |[]_||  |      | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  | ]_||
   |__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   | ̄ ̄ ̄|   すごいのが入ったんだけど‥‥みる?
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475:風と木の名無しさん
10/10/16 14:42:14 4cdtLUht0
いてくる

476:風と木の名無しさん
10/10/16 14:46:52 4cdtLUht0
おげ

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テンプレさんくす

477:風と木の名無しさん
10/10/17 13:31:31 MJfufaqD0
>>461
GJ!!すごく萌えました!
続きがあるなら読みたいです!!

478:風と木の名無しさん
10/10/17 17:15:43 UvERIhfGO
>>446
遅ればせながらGJです!拘束ハァハァ!
野人も甥っ子もなんか素直ぽくて可愛い。つかず離れずの微妙な距離感に萌えます!
ありがとうございました!

479:風と木の名無しさん
10/10/17 18:18:35 SFkRsm0+O
>>375
亀レスだが萌えた!GJ!
そして萌えているのが自分だけでないことに安心した!
元ネタの脱出をやる度にニヨニヨしそうだwww


480:風と木の名無しさん
10/10/18 02:19:29 qJK5uRp+0
金失木反の長男受け投下して下さる女ネ申が表れる事を祈りながら埋め

481:風と木の名無しさん
10/10/18 08:48:17 3xxoXO3R0
自分はilの投下をwktkして待ってる!
特に板缶の姐さん続きをっ…

482:風と木の名無しさん
10/10/18 16:11:51 VJP+Ucto0

         うめ~~~~~~~~~~~~~


          /^l
    ,―-ァ-―-'  |               /^i,,、,、/^i 
    ヽ.   ´ ∀ `ヽ          ヽ'       ツ,
    ,'        i  ∧_∧   ミ ´ ∀ `   彡
     |    つ    つ (´∀` ヽ ハ,_,ハ         ミ,
     |   ,-、     |  し  u  |,:'  ´∀nと      ミ
    ヽ、  ノ    _⌒)と,,_とノミ;:,っu_,,っ,、_、、,,,_,、,,;;,彡

483:風と木の名無しさん
10/10/18 18:10:35 uK79vCEEO
題名を「~の赤」とつけているので、赤の人と勝手に呼ばせて頂いています
またいつか、ふとした時に投下されるのを心待ちにしています

484:風と木の名無しさん
10/10/18 23:10:10 3gDH+GKb0
キム空の方、いつまででも待てますので投下される日を心待ちにしています埋め

485:風と木の名無しさん
10/10/19 01:32:41 dzO5F+6Y0
>>481
自分も気持ちは同じだお!
続きが気になってしょうがない。
あの紙袋の中身がなんなのか、まじで教えてほすぃ・・・。

486:風と木の名無しさん
10/10/20 00:12:35 0AWgaKGl0
                 / ̄ ̄\   ____ 。o
   愛してるだろ    /   _ノ  \/      \
   常識的に・・・梅  |    ( ー)  ) ─    ─_ \  んんっ
.         ┌─ │ ///⌒(__人)(=)  ( =)   \─┐
          │   │     ( β  (__人__)  u  │   │   _,,..i'"':,
.         │    |       │    ` ⌒       │   │   |\`、: i'、
.          │    ヽ      {            /    │   .\\`_',..-i  
         ┌──────────┐    \|_,..-┘
         │──────────│
         │※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※│
         │※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※│
         │※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※│
         │※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※│
         │※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※│
         │※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※│
         │※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※│
         │※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※│
         │※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※│
         │※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※│
         │※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※│


487:風と木の名無しさん
10/10/20 02:30:55 e4Qpp9MWO
とめださんの続きを全力で待ちつつ埋め

488:風と木の名無しさん
10/10/20 08:37:54 SGHel2j/0
大阪府大「宇治原さん!問題です!」(やる気のないテロップ「宇治原クイズ」)
京大「おお!ありがとうございます!」
大阪府大「花札の各スートは、それぞれ十二ヶ月に対応していますが、その内、二月は何の花でしょう?」
京大「梅です!」(寒いテロップ「クイズ王・宇治原の答え」)
二人「イェーイ!」(ハイタッチ、全近畿のお茶の間に白昼堂々垂れ流しされる熱い抱擁)

青空有罪「ちなみに、『山』はススキ、『雨』は柳です。それぞれ、八月と十一月に対応しますよ。忘れた府職員は減給処分にします」
青空無罪「君がそんなミヤビなこと知ってるとは思わなかった。では、閉廷!ホテル行こ♪」

489:風と木の名無しさん
10/10/20 09:23:09 9ZA4FGHX0
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   ___ ___  ___
  (_  _)(___)(___)      / ̄ ̄ヽ
  (_  _)(__  l (__  | ( ̄ ̄ ̄) | lフ ハ  }
     |__)    ノ_,ノ__ ノ_,ノ  ̄ ̄ ̄ ヽ_ノ,⊥∠、_
         l⌒LOO (  ★★) _l⌒L ┌'^┐l ロ | ロ |
   ∧_∧| __)( ̄ ̄ ̄ )(_,   _)フ 「 | ロ | ロ |
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                  ̄       ̄
        ◎ Morara's Movie Shelf. ◎



490:風と木の名無しさん
10/10/20 09:24:27 9ZA4FGHX0
  ||  !| │
  ||  !| │              ,.-─‐-.、
=||=!| │              /:::::::::::::::::::::ヽ
  ||  !| │            |:::: ::::::::::::::::::::::l < また次スレでね…と
  ||  !| │             |::: ::::::::::::::::::::::::!         
=||=!| │              |:::::::::::::::::::::::::::::l
─.─.┤ |             !:::::::::::::::::::::::::li:|ニニニニニ.、     
     |  .!               !:::::::::::::::::::::::::l|::| ̄ ̄.!| |.!
     |  .!            、r, /|::::::::::::::::::::::::ll.,7:!  .!| |.!
    ||`ー|. ̄ 丁 ̄|\   ´ミ《 |:| !:::::::::::::::::::::::l|.l|:.:.!_」.! !.!
  __||二二二]|__ || |    .!| !::!|:::::::::::::::::::::├.|:.:.::l─´. !.!
  || ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.!l `ヽ !、   |l/:.:.:|:l|::::::::|!:::::::ll|::l|:.:.:.:|=コ|.|
  ||  l三三l  ||  ,_」____!l_:.:.:|:|.!:::::::|l!::::::|l:.:||:.:.:.::l'丑丑|ニl___,'ニヽ___
  ||.==========!l  '‐┬┬‐─ヽ|ll_|__:_!|:∟:!:.::l‐!:.:.:.::l.───┬┌′
  ||  l三三l  ||   | /丁´/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`ヽ!:.:.:.:.:! ̄ ̄ ̄ ̄丁ヽ、|
  ||==========:!|   | !.| | / ::/ .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.::_│      !  | |
  ||  l三三l  !l   .| !.! ||、:::.!:.:.:.: :.:.:.:.:.: :.:.:.:.:.:、:`<ヽ,     .!  ! !
  ||----------|.! ___,| !.|_メ´丶、:: ::::::::::::, -‐─、:ヽ:::::`\     ヽ .| l _
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ー'"∟ 、┴-、:_:_;:-l_____, -ー‐‐‐‐' ´      `ー'



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