モララーのビデオ棚in801板60at 801
モララーのビデオ棚in801板60 - 暇つぶし2ch220:ヘンリ-とうわさばなし 1/18
10/09/26 22:49:05 DIJoTG/P0
ちょいとスペースをお借りします。

きか○し。ト-マス 擬人化(機関車→機関士)エロ有。
4×3に4←6絡み。6好きな方はスルー推奨でお願いいたします。

以前こちらに投下しました「ゴードンとヘンリーと腕の中のホシ」の引き続き
といっても、前の読んでなくても読めますが。だいぶマイ設定入ってます。
少々長いので2分割で。エロは後半にて。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

噂話はとにもかくにも時間も場所も選ばずに、いつも不躾に舞い込んで来る。
人が集まれば集まっただけいろんなネタがあるわけだけど、中には特にそういったものに好かれてしまう人がいたりする。
彼がそこにいるだけで、彼の名前が出るだけで、新しい噂が次から次へと飛び出してくる。
僕の恋人は今日もまた、噂話の真ん中にいた。

221:ヘンリ-とうわさばなし 2/18
10/09/26 22:50:04 DIJoTG/P0
「なぁヘンリ-、知っているかい? タンク機関車の機関士で一番可愛いって評判のあの子が、ゴ-ドンに告白したらしい」
ジェ-ムスはワクワクが止まらないといった表情で、僕の肩を叩いて言う。
「噂は聞いているけど、タンク機の機関士って女の子はロージーしかいないよね。あの子なの?」
「六号機の子だよ」
「六号って……パーシ-? まさか。男の子だろ」
「そうなんだ。モテるのは相変わらずだけど、まさか男まで落としちゃうなんて、一体どこまで罪作りなんだろうね?」
ジェ-ムスはゴ-ドンと僕の関係を知らない。
ゴ-ドンと僕が男同士でありながら恋人として付き合っていることを知っているのは、年長者のトビ-とその夫人のへンリエッタだけ。
僕らが付き合うきっかけになった出来事に、トビ-が少し関わっていたからだ。
男同士の社内恋愛なんて隠して当然のものだし、何よりゴ-ドンの人気ぶりを考えると、とてもじゃないけど公言するわけにはいかない。
いつも一緒にいる僕らは表向き親友ということになっていて、今のところはそれでなんとか済んでいる。特に噂にされたこともない。
勤務中は仲良くするよりも鼻息荒く言い争っている事の方が多いから、当然の流れなんだろうけど。
「よくもこう毎日、新しい相手との噂が立つもんだよね。でも告白しちゃったなんてのは初めてだろ」
「うん。面と向かって言った子は初めてだね。男の子も……初かな」
「君も寂しくなるんじゃないか? 親友に恋人なんか出来ちゃったら、居心地悪いよねぇ」
「そんな事ないけどね。四六時中一緒ってわけじゃないんだし」
そっけない事を言っておく。食い下がって怪しまれると面倒だし。
「それにまだ、ゴ-ドンが付き合うって返事をするとは……」
OKなんてするはずがないのは判っている。彼には既に僕という恋人が居るんだから。
「いーや、するさ。可愛いからなぁ」
「確かに可愛いけど、それだけでOKするとは思えないな」
「性格もそれなりでしょ。僕ほどじゃないけどね」
よく言うよ、この自惚れやさん。

222:ヘンリ-とうわさばなし 3/18
10/09/26 22:51:49 DIJoTG/P0
「なるようにしかならないよ。僕らが口を出すことじゃない」
「まぁね。でも見てなよ。明日には、溶けちゃうくらいくっ付きあっているかもしれないよ?」
「他人事だと思って……」
意地悪そうににんまり笑うジェ-ムスに呆れた視線を送って、次の仕事のために機関庫へ向かう。
ジェ-ムスはあとを追いかけてきて、まだこの話題を引きずろうとした。ちょっと、しつこいなぁ。
「なんでも、みんなの前で堂々と『好きです。僕と付き合ってください!』って大声で言っちゃったらしいよ」
「だからこんなに噂されているのか」
今回は特に、ソド-鉄道の関係者でこの噂を知らないのはトップ八ム・八ット卿くらいのものじゃないかと思うくらいに、広がりまくっている。
『噂話が広まるのはゴ-ドンの急行より速い』なんて誰かが言っていたけど、ここまで来ると笑い事じゃない。本当にその通りだ。
「そうなんだよ。それでその時、ゴ-ドンがまんざらでもないって顔していたって言うから!」
「……へぇ」
あくまでも噂だ。見てもいないのに、気にすることなんかない。
「あれ、噂をすればだ。それもふたり一緒だぜ」
線路を何本も挟んだ向こうにある建物から、ゴ-ドンとパーシ-が出てきた。
ゴ-ドンは僕らに気付くと、いつもと変わらない様子で手を上げて合図をくれる。ジェ-ムスも僕もそれに手を振って応えた。
ゴ-ドンの後ろで、パーシ-も手を振っている。小さい身体をめいいっぱい、大きく使って。僕から見ても十二分に可愛いパーシ-。悔しいけど二人、絵になるなぁ。
「一便追加になった。帰るのが少し遅くなるぞ」
相当な距離があるにもかかわらず、ゴ-ドンがよく通る声で言う。僕も頑張って声を出した。
「わかった。先に帰って待ってるよ」
もう一度手を振りあって了解したことを確認しあう僕らを見て、ジェ-ムスが僕を肘でつついて言った。

223:ヘンリ-とうわさばなし 4/18
10/09/26 22:53:27 DIJoTG/P0
「でも、一番怪しいのは君なんだよね」
「怪しいって、なにが?」
「実は付き合ってんの? ゴ-ドンと」
「外出なんかに付き合う事は多いよ」
「その付き合うじゃないよ。君がゴ-ドンの恋人なんじゃないの?」
「何処から出てくるんだ、そんな話」
「夕飯はいつも一緒なんだろ。しかも君が作ってるって」
「ひとり分より二人分作るほうが効率がいいんだよ。無駄がなくて安上がりだし」
「そうじゃなくて。なんでわざわざ手料理なのかって事」
「僕の健康管理のためだよ。へンリエッタから自炊を勧められてね。ゴ-ドンが一緒なのはさっきの理由。それだけさ」
「そう? だったら、あの二人がくっついても、ほんとうに寂しくないんだね?」
「……寂しくないよ」
「強がっちゃって」
ジェ-ムスは呆れたように言って僕の肩を叩くと、彼の真っ赤な愛車のほうに走って行った。
その後姿を見送りながら、ため息をつく。
そうだ、強がりだ。
ゴ-ドンの事は信じている。誰に告白されようと、彼が浮つくなんてありえない。
男が男を好きなるって、そしてその想いを伝え合うなんて、生半可な覚悟では出来はしない。それを乗り越えた僕らだもの、多少の事で揺らぎはしない。
でも、誰かと噂になるたびに、誰かと二人だけで居る姿を見るたびに、モヤモヤする。
無駄なヤキモチで生まれる疲労感と、妬いた自分に対する嫌悪感。わずか一瞬の疑心に対する罪悪感。
自分の中にこんなにねちっこくて湿った部分があるなんて、彼の恋人になる前には知りもしなかった。ひどく女々しい性格に、ほんとうに嫌気がさす。
一体いつまで、これからいくつの噂に、悩まされ続ける事になるんだろう。

224:ヘンリ-とうわさばなし 5/18
10/09/26 22:55:00 DIJoTG/P0
今日の仕事は定時で終わり。愛車の点検をして、いつものようにしっかり磨き上げる。それから日報を書いて提出。
着替えを済ませてから宿舎の自室に帰る前に、駅前の商店街でお買い物をする。
ジェ-ムスにも説明したとおり、最近は自分の健康管理のために、自炊をすることにしている。
新婚気分を味わっているわけでは、決してなくて。
ゴ-ドンと僕が付き合いだした頃の事。愛車の不調のストレスと整備疲れがたまった僕は、食事が全く喉を通らなくなった。
食べない日が何日か続くと、このまま何も食べなくても生きていけるんじゃないかと思うようになるんだ。
水分さえ取っていれば動けてしまうから、お腹も空かないし、食への欲望が全く出なくなる。
でもそれから、頻繁に貧血を起こすようになった。そして、ついに倒れた。
それを助けてくれたのがゴ-ドンとトビ-で、そのときのある出来事をきっかけに僕らは恋人になった。
後日事情を知ったへンリエッタから勧められて、彼女の助力を受けながら自炊を始めた。
無理せずに食べられる量を、毎日きちんと摂る。独りだと不精してしまうからと、ゴ-ドンが付き合ってくれた。
それからは、夜行や早朝便なんかで時間が合わないとき以外は、毎日僕の手料理。
始めてみると意外と料理が楽しくて、食べてくれる人がいるのも嬉しくて、驚くほどの成果を挙げた。
気付けばレパートリーもかなり豊富になったし、彼の好みも完全に把握した。
長い絶食でガリガリに痩せていた身体も今ではだいぶふっくらして、お腹周りがちょっと心配になってくるほど。
顔見知りになった商店街の人たちにすすめられたら、あっという間に買い物籠は旬のお野菜や新鮮なお魚で一杯になる。
今日は安くて良いものが沢山手に入った。気分がいいから、ゴ-ドンの大好きなものを沢山作ってあげよう。


225:ヘンリ-とうわさばなし 6/18
10/09/26 22:57:13 DIJoTG/P0
夕飯の準備はばっちり。お風呂も済ませて、ベッドを整える。
男の単身部屋に似つかわしくないダブルのベッドに洗いたてのシーツを被せて、枕をふたつ並べて置いた。
一緒に眠る機会が増えたから、成人の男二人でシングルベッドはさすがに辛いって、二人で買ったダブルのベッド。
みんなにバレないように運び入れるのに苦労したんだ。独り住まいでこの大きさは、あまりにも不自然だから。
でも実は、この上で肌を重ねたことはまだ数えるほどしかない。
この宿舎の壁は結構薄くて、隣の部屋に音が漏れてしまうことが時々ある。
普通の会話なら漏れはしないけど、どうやら僕は事の最中の声がわりと高くて大きいようだから、きっと確実に聞こえてしまう。
僕の部屋の両隣はジェ-ムスとゴ-ドン。問題はジェ-ムスだ。噂好きの彼に聞かれてしまうと、色々困る。
それはゴ-ドンだって同じ考えのはずで、だから今まで、みんなが仕事に出かけている日中や、ジェ-ムスが夜勤の日以外の行為は避けてきた。
寄り添って眠るだけの愛の巣。それでも、独りじゃないならいい。
仕事の都合で離れて眠らなくてはならないとき、広い広いベッドの上で独りぽつんと眠るのは、孤独でとても辛い。
一度だけ、独りは嫌だって、離れて眠るのは寂しいと言って駄々をこねたことがある。
次の日に、彼は大きなくまさんのぬいぐるみを抱えて帰ってきた。抱えるものがあれば少しはマシだろうって。
それでもやだって泣いた僕を優しく抱いてくれたけど、彼が本当に困っていたから、それからはわがまま言わずに独りに耐えた。
寂しくなったらくまさんを抱っこ。それがこの部屋で過ごす時の癖。
自分の部屋なのに独りで居られないなんて……変な癖ついちゃったな。
ふと時計を確認する。
「遅いな……ゴ-ドン」
増えた仕事が一便だけなら、もう帰ってもいいはずなんだけど。また追加があったのかな。
もう少し独りで待たなくてはならないらしい。今日もいつものようにくまさんを抱きかかえて、だだっ広いベッドに独り転がった。

226:ヘンリ-とうわさばなし 7/18
10/09/26 22:59:56 DIJoTG/P0
しんとした静けさが耳に痛い。自分の心臓の音だけがやたらと大きく響く。
どくん、どくん、どくん……心臓ってこんなに大きな音を立てて動くものだったっけ?張り裂けそうなくらい大きな音。
一定のリズムを乱すことなく刻まれるその音に集中すると、指先がピリピリとしてきた。
身体の奥の奥の、真ん中の部分が握りつぶされるようにきゅっと傷む。
ここのところ体調はいいはずなのに、ご飯もちゃんと食べているのに、また貧血?
おかしいな。なんなんだろ?落ち着かなくちゃと思って深呼吸をしたら、息を吐くと同時に涙が溢れた。
寂しいからって、泣くか、普通?男だろ。
もうすぐゴ-ドンが来てくれるんだから。追加の仕事を終わらせて、お腹空いたって言いながら。それまでの我慢。
大丈夫。独りじゃない。この子がいる。ゴ-ドンがくれた、くまさんがいる。
いつからだろう、この子の存在に頼り始めたのは。この布と綿の塊が、唯一、縋りつけるもの。
いつまで、この子に頼らなくちゃならないの?
ゴ-ドンの気持ち次第では……これからも、ずっと?もし彼が、パーシ-を受け入れてしまったら……。
ありえないことだと判っていても、恐ろしいくらい不安になる。だってもう完全に、心も身体も離れられなくなってしまっているから。
早く会いたい。早く触れたい。この冷たいぬいぐるみじゃなくて、暖かいゴ-ドンに。
どくん、どくん……
僕の中で鳴り続ける鼓動、その音だけを残して、次第に他の感覚がなくなっていく。
意識が朦朧としてきた。痛みもなくなった。
どくん、どくん、どくん……かちゃ……どくん、どくん
ただひたすら事務的に刻まれていく音に、違うものが混ざる。なんだろう?
どくん、どくん……ぱたん……どくん、どくん
まただ。あぁもう邪魔しないで。
ゴ-ドンが来てくれるまで、くまさんと二人で待っていなきゃならないんだから。うるさくしないでよ。
腕の中で何かが動いた。するりとすり抜けようとする感覚に気付いて、手を伸ばして縋りつく。
やめて、逃げないで。……盗らないで。捕まえようともがくけど、手応えがない。
なんで居なくなるの?なんで置いていくの?独りにしないでよ……!

227:ヘンリ-とうわさばなし 8/18
10/09/26 23:02:13 DIJoTG/P0
襲ってくる喪失感から逃げ出したくて、夢中で手探りした。何度掴んでも空を切るだけ。探しても探しても見つからない。
絶望に似た感情が沸きあがってきた。怖い……独りは怖い。
いやだ!助けて、ゴ-ドン!捨てないで……置いていかないで。帰ってきて……!
「うぁあああああぁああ!!」
うるさい、誰の声?僕?叫びたくなんかないのに、叫んでいるの?やめて、止まれ、止まって……!
突然、身体が強い力でぐっと包み込まれた。直後に聞こえた声に、意識を揺さぶられる。
「……リー! 起きろ! 目を覚ませ、ヘンリ-!!」
「あ……」
一気に、失っていた全ての感覚を取り戻した。指先の痺れも、胸の痛みも、頬を伝う涙の感触も。
そして、腕の中から消えた存在と、換わりに僕を包み込んだ腕の暖かさを認識する。
「………」
声が出ない。身体が震える。心臓の音は、もう聞こえない。
「ヘンリ-、もう心配ない。俺だ、ゴ-ドンだ。わかるな?」
「……ゴ-ドン……」
「あぁ、俺だ。……今帰った。遅くなってすまない」
「……」
確かに、ゴ-ドンだ。彼の事を確認した途端、どっと疲労感に襲われた。肩口に顔を埋めて、身体の全てを彼に任せる。
「もう大丈夫だ。何処にも行かない」
「……?」
「だから泣かないでくれ。捨てたりなんかするもんか……!」
身体が痛いくらいに力強く、抱きしめられた。ゴ-ドンの声が震えている。何があったんだろう。
かろうじて動かせる左腕をゴ-ドンの背中に回して、掌でぽんぽんとする。
「……どうしたの?」
「お前がうなされていた。泣いていたんだ」
「僕が?」
「寂しかったんだろう。ごめんな」
「……うん」

228:ヘンリ-とうわさばなし 9/18
10/09/26 23:04:25 DIJoTG/P0
肩越しに見えた枕元にくまさんが居た。投げ出されたようにおかしな姿勢で転がっている。
なんであんなところに?くまさんのほうに伸ばせる限り手を伸ばすと、ゴ-ドンが声を荒げて僕の腕を乱暴に掴んだ。
「! あんなものの相手をするな!」
不意に腕を曲げられて肩に痛みが走る。
「痛っ」
「っ、すまん! ……もうあれに触らないでくれ」
「どうして?」
「お前があれを抱いているところを見たくない」
「君がくれたんだよ」
「そうだ。だが、ここまであれに依存するとは思わなかった」
「依存なんかじゃ……」
そりゃぁ、頼りにはしているけど。君がいない間、慰めてくれるから。
そもそも、君が早く帰ってきてくれれば寂しい思いすることなんてないんだけどね。
なんでこんなに遅かったんだろう?追加が一便だけならもっと早かったはず。
「ねぇ……追加の仕事って何だったの?」
「……クロバンズゲートからナップフォードまでの定期便だ」
それは多分、十八時にクロバンズゲートを出る普通客車便のこと。スカ-ロイたちの鉱山鉄道との連絡便で、その区間限定の便としてはそれが最終になる。
でも、それを牽いて今の時間?時計の短針は、もうとっくに十の数字を超えている。
聞かなきゃよかった。ため息をつきながら、頭をゴ-ドンの肩口に戻す。
腕、離してくれないかな。握られた部分が痺れてきた。さっきからずっとピリピリしている指先も加えて痛みを増してきたみたいで、少し辛い。
「……パーシ-のところに寄っていた」
「!」
全身から血の気が引いた。とっさに両耳を手で塞ごうとしたら、握ったままの腕がまた強く引かれる。
ありったけの力で逆らうけど、ゴ-ドンに敵うわけはない。たやすく引き剥がされた。
腕が痛くて、胸の奥が握りつぶされるような圧迫感に襲われる。止まりかけていた涙がまた溢れ出してきて、どうしようもない。



[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
今半分、止められる前に中断します。続きは、後ほど。

229:風と木の名無しさん
10/09/26 23:24:12 YMedNfF90
支援

230:風と木の名無しさん
10/09/26 23:30:02 snNe9PME0
>>220

うわああああ続きが気になるうううう
全裸でお待ちしてますのでどうか風邪引く前に続きを……!

231:風と木の名無しさん
10/09/26 23:48:03 11cenOQE0
>>215
既に萌え死にそう…おまちしています

232:風と木の名無しさん
10/09/27 00:18:36 MbXwbAoIO
なんなんだこの焦らせ祭りはww

233:ヘンリ-とうわさばなし 10/18
10/09/27 01:12:55 EypgH9Dp0
日付が変わったので改めまして、>>220-228の続き行きます。
支援と米ありがとうございます。よろしくお願いします。
読み返して気付いた……エロ少なっ

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「聞いてくれ」
「聞きたくない!」
「聞いてもらわなくちゃ困る」
「困らないよ! 言い訳なんか聞きたくない!」
「言い訳じゃない」
「パーシ-の所に寄って遅くなったんだよね、わかったから、わかってるから! 離してよ」
「寄る必要があったんだ、どうしても」
「寄っちゃ駄目だなんて、言ってない」
「だったら聞け!」
「やだ……聞きたくないよ……」
「話をしてきた。断ったんだ、付き合えないと」
「! ……どうして」
「どうしてって……俺にはお前がいるじゃないか」
「……パーシ-は、いい子だよ。僕なんかより、ずっと……」
「そうだな。お前みたいに泣いたりせず、真剣に話を聞いてくれた」
「……」
「あいつの場合はな、勘違いだ」
「……勘違い?」
「憧れと恋心を混同してしまっていた。話し合ったらわかった。納得してくれたよ」
「憧れていただけ……ってこと?」
「そうだ。心や身体を求められたわけじゃない」
「……最悪だ、僕」
「まったくだ。ぽろぽろ泣きやがって。俺を疑ってんのか?」
「疑ってなんかないよ! 信じてる! ……ただ……」
「ただ?」
「噂が多すぎて……イライラする。辛いんだ」

234:赦される為の罰 1/4
10/09/27 01:13:39 qhuXS7sYO
浄化ー。盾×駆動。ぬるいエロばっか。両方とも座位。前半は対面です。3話以降、6話前です。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

駆動の頬を伝うそれが汗なのか涙なのか、触れたところでわかるわけもないのに、
盾は思わず紅潮した駆動の頬に右手を滑らせた。
駆動は潤みきった眼差しを盾に向けると、甘えるように頬をこすりつけた。
「んぅ……」
鼻にかかった甘い声と吐息を隠すこともせず、駆動は盾の膝の上で腰をくねらせる。
盾は冷静な視線に時折快感を走らせながら、駆動の痴態を見つめていた。

制裁を終えた後、駆動はいつも盾を求めてきた。
何かに突き動かされるように性急に口付け、それをしなければ
死んでしまうとでも言わんばかりに切実な様子の駆動を盾は拒まなかった。
「あぁっ、あぁっ、すげ、いいっ…」
盾の肩に爪を食い込ませ、駆動の薄いからだがのけぞる。
盾は呼吸を読んで下から突き上げてやる。駆動の声に泣きが混じりだし、限界だと伝えてくる。
盾は躊躇うことなく駆動のそれに手を伸ばし、促してやりながら
先端部に親指の爪を立てた。
その瞬間、駆動は目を見開き、直後にかすれて艶めいた悲鳴をあげながら達した。
上体を倒し、盾に体重を預け、目を閉じて荒い息をつく。
盾が耳元に口付けると、それに反応してひくりとからだを痙攣させた。

235:ヘンリ-とうわさばなし 11/18
10/09/27 01:14:22 EypgH9Dp0
「聞くたびにこうなのか」
「今回は、特別、だけど……」
「まったく……身が持たないぞ。少し割り切れ」
「……うん」
「相手には困らない俺様が、何故お前を選んだのか……少し考えろ」
「…………」
「自分の魅力に自覚はないのか」
ゴ-ドンは明らかな呆れ顔。今思えば彼が僕の何処を好きになったのか、聞いた事が無い。
最初に繋がったのは身体から。いきなり強引に奪われて、その時は本気で殺意すら覚えた。
でもその後、心から僕の全てを欲していたのだと聞かされたら、意外なほどすんなりと彼の行為を受け入れてしまった。
なにより僕もゴ-ドンの事が好きだったから、好きな人から本気で求められれば、拒絶する事は叶わなかった。
それに乗じて彼を自分のものにしてしまおうと、我ながら随分無茶な理由で言いくるめて、この関係になだれ込んだんだ。
全てが都合よく上手く進みすぎたせいで、好きになったきっかけや相手に求めているもの、それらを語り合う事のないまま、今に至る。
ひとつだけ、彼を惹き付けているのが確実なものといえば……
「……身体?」
「否定はしないが……」
力強い腕に支えられて、僕の身体が横に寝かされる。枕の上にきちんと置かれた頭の横に、くまさんが転がっていた。
僕が手を伸ばすより早くゴ-ドンの手がくまさんを鷲掴みに持ち上げて、ベッド脇のサイドボードに背をこちらに向けて座らせた。
そっぽ向かせたりして、これからする事を見られないように……って、ぬいぐるみ相手に?
僕を気遣ってそうしたのだろうけど、時折垣間見えるゴ-ドンの幼さがとても可愛く思えて、つい笑いがこぼれる。
「……なにがおかしい」
「見られるのが恥ずかしいの?」
「そんなんじゃない。独り占めしたいんだ。見られるのも気に食わん」
「ぬいぐるみじゃないか。……君って意外と可愛いところあるよね、ゴ-ドン?」
「言ってろ」
身体全体に、慎重にふわりと重みが掛けられる。彼の唇と僕の唇が触れそうになった瞬間、ふと、大事な事を思い出した。
「ごはん! 食べる?」
「! ……なんだいきなり」
「晩御飯だよ。まだなんだろ?」
「後でいい。先にお前を食べたい」
「遅くなるよ」
「欲しいんだ。今すぐ」

236:風と木の名無しさん
10/09/27 01:18:36 EypgH9Dp0
あ、かぶってるんで、自分は後からまた改めます。
>>234さん、どうぞ

237:風と木の名無しさん
10/09/27 01:19:26 qhuXS7sYO
わー、間が悪いな私。待ちますね。

238:赦される為の罰 2/4
10/09/27 01:26:42 qhuXS7sYO
普段ならそこで盾も達し、からだを離していつもの2人に戻るのだが、今日は様子が違った。

盾はいつもは無意識に触れずにいる、駆動の背に貼り付いた傷痕に手を伸ばした。
事後の疲れでうっとり目を閉じていた駆動は反射的に離れようとする。
「なっ…にすんだよ」
盾の意図がつかめず、困惑したひどく気弱な声を上げた。
「君は、罰を受けたいんだろう。制裁を終えると必死に俺を求めてくる。
まるで自分の罪を知る者に傷つけられようとするかのように」
駆動は盾の囁くような、男性にしては線の細い声に急所を突かれたように黙り込む。
「ちが……、俺、そんなつもりじゃ……」
おどおどと子供のように怯えたまなざしに、盾は
『ああ、彼はいつも父親にこんな顔をしていたのか』
と胸の奥を痛ませた。だがそれは一切表情に出さず、温度のない視線を駆動に当てる。
駆動から目をそらさぬまま、盾は駆動の傷痕にじわじわと爪を立てた。

239:赦される為の罰 3/4
10/09/27 01:28:56 qhuXS7sYO
ひび割れ、くもった鏡にさえ、駆動の泣き顔はしっかり写り込んでいた。
盾は駆動を背後から犯しながら、そのほっそりした手で駆動の髪を掴み、
鏡の中を見るよう駆動に要求した。
「な…んで、んな、ひでえことすんだよ…」
「ひどい?君が望んだことだろう?お望み通り、
徹底的に俺が君を傷つけてやる」
「そんな、こと、俺、いつ言ったよ…?あ、くるし……」
駆動は快感と苦痛と恐怖に混乱し、そこから逃れようと身をよじった。
「弱くて、無力で、惨めな情けない自分。どんな気がする。今こんな目に遭わされて」
盾は吐息一つ乱さず、追い詰めるように駆動を苛んだ。
「わっ、かんねえ、よ。も、やだ…やめてくれよ…」
突かれるごとに声を漏らしつつ、駆動は震える声で訴えた。
「そんな自分は嫌いか?駆動…」
髪から手を離し、背中の傷痕を撫でながら盾が囁きかける。
駆動は涙を両目からポトポトこぼし、いやいやをするように首を振った。
「でもね、駆動。俺は君が好きだよ。君を裁くのは俺だ。俺だけが君を傷付ける。
君は気が済むまで泣けばいい。どんなに泣いても、俺は君を笑わない」
恐怖にこわばっていた駆動の表情が、みるみる和らぎ、紛れもない快感に彩られ始めた。
そして絶え間ない嬌声がこぼれ出す。
それから2人は無言で快楽を追い始めた。

240:赦される為の罰 4/4
10/09/27 01:31:12 qhuXS7sYO
「あー、腰いてえ…」
鑑識部屋で駆動に恨みがましい視線を向けられても、
盾はいつもの調子でマグカップを口元に運んでいる。
「んー?もうそんなトシなの駆動くん。若いのに大変だねえ…」
「若くないのにムチャする誰かさんのせいなんだけど。ね、責任とってくんない?」
「責任?どうやって?」
カップを口元で止めて盾はキョトンとした顔をする。
おっさんのくせに可愛いなんてずるい、と駆動は心の中で毒づきながら、盾の耳元に口を寄せた。
「明日、盾さん家に泊めてよ」
何を言われるやらと内心ビクビクしていた盾は、その可愛い要求に微笑み「そんなことならお安い御用だよ」
と請け合いコーヒーをすすった。
駆動はニカッと笑い、今度は俺が盾さんいじめる番ねと告げた。
盾の口からコントのオチのように、コーヒーが霧状に吹き出された。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

すみません、ベタな展開+オチで。しかも間が悪くて。

241:ヘンリ-とうわさばなし 12/18
10/09/27 03:49:47 EypgH9Dp0
再び改めまして。>>235の続き参ります。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「仕方ないなぁ……晩御飯を入れるスペース、ちゃんと残しておいてよね」
「心配するな。いくら食っても食い足りないよ」
ゴ-ドンが笑った。僕の頬を撫でながら、唇を重ねてくる。
大きくて強いゴ-ドンも、唇はとても柔らかくて暖かい。その暖かさが心地よくて、全身に安堵感が広がった。
帰ってきてくれたんだ。僕のところに。そう思うと、やっと、ゴ-ドンに触れることが出来ている実感がわいた。
二人を隔てる邪魔な服がゴ-ドンの巧みな手捌きで抜き取られると、触れ合う素肌の感触が気持ちよくて、少しだけ身体を動かして肌と肌を摩り合わせた。
お互いの胸に二ヶ所ずつ、小さく硬くあたる部分がくすぐったくて少し恥ずかしい。
それに気付いたゴ-ドンが、僕の胸に掌を当てて硬い部分を転がした。チリっと痺れに似た痛みが身体を貫いて、小さく声が漏れる。
いつのまにやら僕の身体は感度が上がって、完全に食べ頃になっている。
彼の唇は僕の耳に移り、舌先で耳に軽く触れながら、熱い吐息混じりに囁きかけてきた。
「もう気持ちよくなってきたのか」
「……うん」
「自分で魅力だと言うだけのことはあるな。いやらしい身体だ」
「いやらしいのが嫌いなら、食べなくてもいいんだよ」
「好き嫌いはしないんだ」
「明日のごはんはホワイトアスパラのフルコースだね」
「……緑のにしてくれ」
「白いのも、美味しいのに……んっ」
ゴ-ドンの手が胸からわき腹へ、更に下へと降りていき、妙に熱っぽい足の間に滑り込む。
僕が間違いなく男なのだと主張するそこに手が触れると、さっきよりも更に強い衝撃が走った。
既に緊張しきったそこを解きほぐすようにやさしく摩られる。摩られれば摩られるほど、かえってガチガチに凝り固まっていく。
容赦なく襲い掛かってくる快感に必死に抗うけれど、不意に胸の上で硬くなっているところを啄ばまれて、一気に堰が切れてしまった。
「んっ! ……ぅあ……っ!」
この部屋ではご法度の喘ぎ声。
一瞬だけ、隣室のジェ-ムスの存在が頭をよぎる。今日の彼は夜勤ではない。多分、部屋に居る。
でも一度声を出してしまったら、もう止められない。止める気になんてならない。


242:ヘンリ-とうわさばなし 13/18
10/09/27 03:50:39 EypgH9Dp0
声は美味しく食べてもらうための調味料だから、出来るだけ色濃いほうがいい。
ゴ-ドンの手や舌の動きに合わせて、身体が敏感に反応する。彼が触れる場所全てが気持ちよくて、全身が熱い。
「あんっ……あっ、はぅ……んっ」
足の間に鈍い痛みが走って、直後に更に強い快感が、お腹の底からじわりじわりと湧き上がってくる。
くちゅくちゅとソースをかき混ぜるのに似た音と、ちゅっちゅっと吸い上げるような音が室内に響いて鼓膜をくすぐった。
頭の中が真っ白になって、あっという間に何が何だかわからなくなる。
「あっ、あっ……んっ、ぁっ!」
足の間はとても熱い。けれど、急激に寒気を感じた。またあの恐ろしい感覚が戻ってきた。強烈な孤独感に胸が締め付けられてひどく痛む。
ゴ-ドンに触れられている、その感触は確かにあるのに、実感がひどく薄い。温もりを求めて伸ばした腕が、虚しく空を切った。また、何も掴めない。
「ゴ-ドンっ! ……どこ? ……ごーどん……!」
力が抜けてベッドに落ちかけた腕が、途中で受け止められた。
「ここだ、大丈夫。……離さない。何処にも行かない」
ふわりと身体を包み込む確かな温もりを感じて、胸の痛みが和らぐ。同時に、涙がどっとあふれ出してきた。
「……ゴ-ドン、よかった。ゴ-ドン!」
「ずっと側に居る。だから泣くな」
声がとても優しくて、言葉が発せられる度に耳に当たる吐息が熱い。
「ずっと、ずっと一緒だ。ヘンリ-」
「うんっ……うん、ゴ-ドンっ! 一緒、に……んっ……うぁっ」
引き裂かれるような異物感が、お腹のそこのほうから身体の中へと突き進んできた。
一緒どころじゃない、溶け合って同化するようなこの感じ。迫り上がってくる鈍い快感に、頭の中がかきまわされていく。
もう二度と離れないようにゴ-ドンの身体に必死で縋りつきながら、夢中で彼の名前を呼んだ。
「はっ……んっ、ゴ-ドン、ゴード……ンっ! あんっ、あっ……ゴー……ド、ン」
「くっ……ぅっ……ヘンリ-……っ!」
呼び返してくれるゴ-ドンの声も、段々荒くなってくる。
小刻みに激しく突き上げられる振動とゴ-ドンの吐く息のリズム、僕を呼ぶ声と僕の声が不思議と調和して、ぼんやりした頭の中に気持ちよく響いた。
「ヘンリ-……ヘンリ-!」

243:ヘンリ-とうわさばなし 14/18
10/09/27 03:51:58 EypgH9Dp0
「はっ、はっ……あんっ、ゴー……ドンっ! あぁっ、うぁ、あっ……んっ!あっ、あぁぁっ!!」
一段と強い刺激が、頭の先からつま先までを一気に駆け抜ける。
雷に貫かれたような、強い衝撃。それを最後に、僕の意識は完全に途絶えてしまった。


今日もゴ-ドンはいつもどおり。快調に急行をすっ飛ばし、時間通りに駅に着く。
そして僕は、少し遅れる。
「ヘンリ-! また遅れやがって! 何度やったら気が済むんだ、お前は!」
「うっるさいなぁ……。支線が遅れてきたんだよ、これでも随分取り戻したんだから感謝してよね!」
「支線の遅れくらいお前のところで全部取り戻せ! でかい機関車に乗っているんだ、そのくらい出来なくてどうする!?」
「でかいとかでかくないとか関係ないだろ! 安全運転が基本なんだよ!」
「安全かつ時間通り、それが基本だ! それをお前ときたら……」
恒例の口げんかに、駅員と車掌たちは肩をすくめて苦笑い。助手たちはハラハラしながら、お互いの機関士をなだめにかかる。
「鈍行は一区間分の走行距離が短いから、速度が出せないんだ。そう簡単には縮まらないよ!」
「お前に出来ないだけだろうが。俺様を見習って精進するんだな!」
「あぁぁもう! ……そうだね、そうするよ! ぜーんぶ、君の言うとおりです。ハイ」
これ以上言っても無駄。こんなときは大抵、僕が折れて言い合いは終了。
わかったらいいんだ、と言わんばかりの笑みを浮かべて頷くゴ-ドンに生ぬるい視線をちらりとだけ向けて、機関室内の作業に戻る。
僕なんかよりゴ-ドンのほうがずっとずっと腕がいいのは確かだけど、こう毎回やられっぱなしだとさすがに頭に来る。
それに誰かさんのせいで、朝からずっと腰が重いんだ。レバーを握るたび、ブレーキをかけるたびに、身体が悲鳴を上げていた。
「あれが先輩に向かって吐く台詞!? っとにわがままなんだから!」
「俺がいつわがままを言った?」
僕の真後ろで声がする。
いつの間に?ゴ-ドンが、機関室のドアの前に立っていた。
「いつもだろ! 俺様俺様、急行急行って……すっとばせばいいってもんじゃないんだよ」
「生憎すっ飛ばすしか能がないんだ。こんな風にな」
ゴ-ドンが機関室に乗り込んできて、僕の腕を掴む。
やばい、言い過ぎたかな。

244:ヘンリ-とうわさばなし 15/18
10/09/27 03:52:46 EypgH9Dp0
後悔は一瞬。それも、違う意味で。
「なにすっ……んっ……」
腕を引かれ、抱きしめられた。そして、深い、深いキス。助手の見ている前で、容赦なく舌を絡みつかせてくる。
駅員は?車掌は?お客さんは?……他に見られたら大変だ。引き剥がそうと必死にもがくけど、力強い腕はびくともしない。
「んんーっ!……んっ……んぅっ」
こんな状況でも、ゴ-ドンのキスはとろけそうな位甘いから始末が悪い。絡まる舌が気持ちよくて、つい夢中になりかける。
息継ぎのために接続が緩んだその隙に逃げるのも忘れて、流れ込んでくる唾液を残さずに飲み込んで、彼が満足するまでされるがままになってしまう。
「んっ、んくっ……はぁっ」
唇が離れた途端、僕は口を押さえてへたり込んだ。頭がぼやけて、身体に力が入らない。
腰が砕けたってやつ。勤務中なのに……。
「ほら」
座り込んだ僕の膝の上に、紙袋が置かれた。
「本土との乗換駅でよく会う行商の夫人から貰ったんだが」
「……え?」
「例の……白いのだ」
わけが判らないまま、袋の中を確認する。中には季節のお野菜。この色はソドー島ではあまり見かけないけど、誰でも知っているもの。
「あ……あぁ、なんとか、するよ。スープやソースにすれば、緑のと変わらなく食べられるよ」
「そうか、よかった」
ほっと胸をなでおろして笑みを浮かべたゴ-ドンは僕の頭をひと撫でし、何事もなかったかのように自分の機関車へ戻っていった。
立ち上がれず座り込んだままの僕に向かって笑顔で手を振ると、車掌の合図に従って、青い機関車が軽快に走り出す。
「せ、先輩?」
「……誰か、見てた?」
「い、いえ! あ、ぼ、僕だけ、です」
「よかった。……じゃぁ、君も、忘れて」
「え……は、はい!!!」
助手が慌てて作業を再開する。
やられた。不意打ち。あの悪ガキめ……!
掌を当てた額には、汗がにじんでいる。身体が熱い。頭が痛くなってきた。これから、まともに仕事できるかな……。
「へぇ、なるほどねぇ」
「!」
ホームとは逆の方から声がする。聞きなれた、今のタイミングではとても聞きたくない声。
恐る恐る横目で確認すると、見慣れた赤いボディの機関車がいつの間にか隣の路線に停車している。

245:ヘンリ-とうわさばなし 16/18
10/09/27 03:53:30 EypgH9Dp0
よりによって、なんでこんな時に、機関室がぴったり横付くように停めるわけ?
「何か言いたいことはある?」
「……君の予想通りだと思うから、何も聞かないで」
「怪しいとは思っていたけど、まさか本当にその通りだとはね。君が本命じゃ、パーシ-も諦めるしかないね」
噂が広まってしまうのを覚悟した。ずっと必死で隠してきたのに……ゴ-ドンのおばか!
「昨日の晩といい、今といい。ほんっとお盛んだよねぇ、君達は。ネタに困らないよ」
「……きのう…の、晩?……その……」
「最初は君が女を連れ込んでいるのかと思ったんだけどね。名前なんか呼び合うから、すぐに分かった。それにしても意外といい声出すんだね、ヘンリ-?」
「あ……」
最悪だ。
自業自得には違いない。隣室のジェ-ムスが部屋にいるのを承知の上の行為だったんだから。
でもやっぱり、実際に聞こえていたと言われると、どうしようもなく恥ずかしい。同時に、ものすごい後悔に襲われた。もう終わりだ、本格的に。
「……そういえばさ、急行の客車係のアリスのことなんだけど。知っているかい?」
突然、何の話?アリスなんて子、知らない。ふるふると首を横に振る。
「小柄でふっくらしたほっぺが可愛い栗毛の女の子さ。急行の、三等客車に乗っているんだけど。その子がね、ゴ-ドンにぞっこんらしいよ?」
「……え?」
「今度はまた女の子だ。君の旦那様ってほんと、罪作りだよね」
きょとんとする僕を見て、ジェ-ムスがにやりと笑った。
「噂なんてね、根も葉もない奴のほうが面白いんだよ。憶測が憶測を呼んで、枝葉がついて大きくなるのが楽しいんだ」
「それって……」
みんなには言わないでいてくれるってこと?
「今度夕飯おごってくれる? エドワ-ドの分もね。その時に聞かせてよ。馴れ初めとか、夜の話とか!」
「……そのくらいで済むなら」
ほっと、安堵のため息が出る。
「ま。旦那様には噂立てられないように気をつけろって言っておきなよ。人の目は気にしたほうがいいぜ。僕以外にも噂好きは沢山いるんだから」
「そうするよ。……ありがとう、ジェ-ムス」

246:ヘンリ-とうわさばなし 17/18
10/09/27 03:54:41 EypgH9Dp0
「あと、声は控えめにね。まったく、君の声がよすぎて……参っちゃうよ」
「! ……あ……う、うん……」
よすぎるとか……僕の声ってどれだけいやらしかったんだろう……顔が火を吹きそうなくらい熱くなる。
「あはは、耳まで真っ赤だよヘンリ-。助手君、火が強すぎるんじゃない?」
「えっ、あっ、……は、はいっ!」
振られた助手も、真っ赤になってしどろもどろ。もうどうしようもない。
「おっと時間だ。じゃぁ、また後で!」
ジェ-ムスは人好きのする顔に悪戯っぽい微笑みを乗せて、手を振りながら赤い機関車を発車させた。
僕も手を振り返す。彼の愛車の後姿を見送りながら、ほっとため息をついた。この際ばれたのはどうでもいい。噂になりさえしなければ。
ジェ-ムスがフォローしてくれたおかげで、幾分具合がよくなった気がする。ぼやけていた頭がすっきりして、なんとか仕事は出来そうだ。
「……ヘンリ-先輩。そろそろ時間だけど、走れますか?」
助手が遠慮がちに声をかけてきた。一連の出来事に気圧されて、畏縮してしまっているらしい。
まぁ、いきなりあんなシーンやこんな会話、彼には刺激が強すぎる。
重い身体をなんとか持ち上げて立ち上がり、頭をわしわしと撫でてやると助手の顔に安堵の色が浮かんだ。
「大丈夫、行けるよ」
「はい!」
助手の笑顔に笑顔を返して、操縦盤のレバーを握る。
車掌の合図を貰ってから、ゆっくりと緑色の愛車を発車させると、助手が火室をいじりながら言った。
「アリスは一ヶ月くらい前に、付き合っていた彼氏と別れたらしいんです」
「へ?」
「新しい恋をしたんですね」
「……厄介な相手選んじゃったなぁ」
「付き合ってる事、後悔してるんですか?」
「僕じゃなくて。アリスが、だよ」
「そうですね。最初から負けてる勝負、ですからねぇ」
「知らないから仕方ないんだろうけど……申し訳ないな」
「でも……噂ですから」
「まぁ、ね」

247:ヘンリ-とうわさばなし 18/18
10/09/27 03:55:33 EypgH9Dp0
なんて、そんな事よりも。今の僕にとって何よりも重大なのは、あの紙袋の中。
ゴ-ドンの苦手なホワイトアスパラ。あれをどう料理しよう?へンリエッタに聞いてみるのが確実かな。
それにしても、あれを食べたときのゴ-ドンの顔。思い出して、思わず笑いがこぼれてしまう。
「どうかしたんですか?」
「いや、何も」
強がりで見栄っ張りな彼のあんな顔、知っているのはきっと僕だけ。
顔も知らない恋のライバル達には悪いけど、ちょっとだけ優越感。
明日の相手は誰だろう。いつかは僕の名前が出てきて、噂が終わる時がくるのかな。
「そうだ。僕らの事は、忘れておいてね。噂になると困るんだ」
「わかってますよ。噂は根も葉もない奴のほうが、面白いですから」
「言うね。……ありがとう」
大きなものも、小さなものも、転がるたびにいろんなものをくっつけて、今日も花咲く無責任な噂。
いろんな噂を背中に乗せて、僕らは今日もしゅっぽしゅっぽと島中を駆け抜ける。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!


ヘンリ-兄さんお気に入りのくまさんはディーゼル7101号とは別物です
パーシ-には申し訳ないことをしました。ごめんなさい……orz

きか○しゃジャンルになので衝突事故もネタ的に面白かったw
お目汚し失礼いたしました。


248:兄のいぬ間に 1/4
10/09/27 13:26:15 7XBMfR6W0
数レス失礼します。
CP要素低い&会話文のみですが、お付き合いくださると嬉しいです。

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     | 超人シリーズ、零→←明日虎
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  ※あの人=ウノレトラマソキングです
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

**************************************************************************************

「じゃあ、行って来る。二人とも、留守を頼むぞ」
「行ってらっしゃい。気をつけてね兄さん」
「(おっしゃあ、修行休み!)気ぃ付けろよ~」
「・・・」


「よし、着いた。早く用事を済ませて戻らなければ」
『今日のニュース!最近各星系で、若者の性の乱れによる問題が多発していますが、
この度総合教育省は・・・』
「悲しい事だなあ・・・地球も今はどうなっている事やら・・・
しかし我々も他人事ではいられないな」


249:兄のいぬ間に 2/4
10/09/27 13:26:55 7XBMfR6W0
「そういえば前から気になってたけど、あんたの左足、何付けてんだ?
特製のアイテム?カッコいいな」
「足枷だよ。以前、故郷を滅ぼした敵に捕まってた事があったんだ。
その時に付けられた物が今でも外せない」
「な!?・・・わ、悪かったな、嫌な事聞いちまって」
「いいよ気にしないで。もうある事に慣れてしまっているからね」
「本当に取れないのか?その鎖」
「色々試して、あの人の力でも外せなかったから、多分もう無理なんじゃないかな」
「いいのか?あんたはそれで」
「兄さんに悲しそうな顔はして欲しくないけど、取れないんじゃ仕方ないよ」

「・・・そんなのやってみなくちゃ分かんねえだろ。俺もやる!あんたの足枷、この俺が叩き潰す!!」
「え、ちょっと・・・うっ・・・い、痛い!!」
「じっとしてろ!何だよ、意外と大した物じゃなさそうじゃん」
「く・・・痛い!ちょっと待てって!う、無理に動かすな!」
「ちょっとの間だけだ!」
「(くそ、いつの間にか逃げられない体勢になってる・・・)」
「取れない・・・引っ張る力が足りないのか?俺が姿勢を変えてみれば・・・おし、今度こそ!」
「こら!!った・・・」


250:兄のいぬ間に 3/4
10/09/27 13:27:34 7XBMfR6W0

「ただいま!二人とも、いないのか?あれ、なんだいるじゃないか」

「ただい・・・」
「ちょっと落ち着け!」
「もうちょっとだ、暴れるんじゃねえ!!」
「!?」
「離せ!ちょっ・・・止めろ!」
「大人しくしてろ!」
「・・・っ・・・あっ・・・」
「!!」

「・・・・・・・・・お、お前は人の外出時に何をやっているんだぁぁぁぁ!!!!!」
「うげっ!?」

「大丈夫か!?」
「に、兄さん?」
「くっそ、いきなり人を怪獣みたいにぶっ飛ばしやがって!何だよ一体!?」
「お前こそ何をしていた!?」
「何って・・・」
「ああ、僕の足枷を外そうとしてくれてたんだよ」
「・・・え?」
「そりゃ、ちょっと・・・いや、大分無理矢理だったけど、いきなりぶっ飛ばす事ないだろ」
「・・・そうだな、す、すまなかった・・・俺はてっきり・・・」
「てっきり?」
「いや、何でもない・・・」



251:兄のいぬ間に 4/4
10/09/27 13:28:26 7XBMfR6W0
「何だったんだよ・・・畜生、頭が飛んでいくかと思った・・・」
「相手の意見も聞かないで力任せに押し切るから兄さんも誤解したんだよ。
(でも何であんなに血相変えてたんだろう?)」
「・・・悪かった」
「いや、ありがとう」
********************************************

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ アリガトウゴザイマシタ!
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
獅子兄さんがちょっとお間抜けさんになってしまった。モウシワケナイ
明日虎が零に指導するところも見たかったなあ
今度の映画も楽しみだ

252:風と木の名無しさん
10/09/27 17:11:42 ZFRT+mse0
支援!

253:風と木の名無しさん
10/09/27 19:12:23 LCn/1nww0
>>251
お師匠さん虎のこととなると必死だなwww
でも萌えましたGJ!

254:風と木の名無しさん
10/09/27 21:42:38 VKf41Pbk0
>>220
続きktkr!
待ってた甲斐がありました、GJです!

255:じゃじゃ馬ならし 前編 1/9
10/09/28 00:04:23 mnp7oewbO
20年位前の時代劇「参匹がKILL!」より、素浪人の殿様×仙石。
包容力ある温厚攻めと年下やんちゃ受けにどうしようもなく萌えて、勢いで書きました。
エロあり、というかほぼエロです。
長いので分けて投下します。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!




とっぷりと日暮れて寒さは増し、吐く息は白くなった。暗い山道を進んだ奥に、さびれた小屋を見つけた。
荒れ果ててはいるが、なんとか一夜はしのげそうだと思い、九慈真之介は小屋に近寄った。
すると中から、ほのかに明かりが漏れるのが見て取れた。
先客に交渉しようと、真之介は笑顔を作り戸を開けた。

「ごめん!怪しい者ではない。すまぬが、相宿をお願いしたく……」
「なんだ、仙石ではないか」
「……殿様!こんなところで、どうしたんだ」
「いやあ、あまりにもこの山の紅葉が美しいのでな。見とれていたら、いつの間にか……」
「夜になって、宿に泊まりそこねたか。おぬしらしいな」
八坂兵四郎は、板張りの床に胡座をかいて鷹揚に語り、小枝をぱきりと手折って土間の焚火にくべた。
真之介は笑って腰から刀を取り、兵四郎の隣に腰を下ろした。

256:じゃじゃ馬ならし 前編 2/9
10/09/28 00:05:13 mnp7oewbO
「ところでおぬし、なんか食い物はないか」
「うん。茶屋で買った、豆餅の残りならあるぞ」
「なに!豆餅だと」
「少し、固くなっているかもしれんが……」
「構わん、寄越せ!」
真之介は跳び起き、兵四郎が懐から取り出した包みを引ったくって開け、豆餅に豪快にかぶりついた。
途端に喉に詰まらせてむせ返り、拳で胸をどんどんと叩いた。
兵四郎は笑いながら、竹筒に入った水を差し出した。

「そう慌てずとも、誰も取りはせん。ゆっくり食え、仙石」
「うぐ、す、すまん、こふっ」
咳込みながら水をあおり、なんとか餅を飲み下し一息をついた。
すると真之介はにわかに、手から竹筒をことりと取り落とした。

「どうした?仙石」
「……うわあああぁっ!!」
訝しんだ兵四郎が声をかけると、真之介はぎょっとするような大きな悲鳴を上げた。
「なんだ!どうしたんだ」
「と、取れ!そいつを、取ってくれっ!わああっ」
「取るって、何を……むっ」
ひたすらに怯えた声を上げる真之介の向こうを見やると、そこには鎌首をもたげた小さな蛇が、赤い舌をちろちろとうごめかし、こちらを睨みつけていた。

「なぁんだ、蛇くらいでだらしない。しっかりせんか」
「だ、だめなんだ、そいつだけは、そいつ……うわあっ、こ、こっち、見んなぁ!」
「お、おいおい!仙石っ」

蛇と目が合った真之介が身体を翻し、兵四郎の首にかじり着いてきた。
兵四郎は驚いて離れようとしたが、真之介の腕はがっしりと巻き付き一向に外れない。

257:じゃじゃ馬ならし 前編 3/9
10/09/28 00:06:14 Q70NESdwO
とりあえず元凶を除こうと、兵四郎は右手を伸ばし大刀を取った。
鞘を振り打ち払うと、蛇は土間の隅にぽとりと落ちた。
蛇はしゅるしゅると身体をうねらせて、板壁の隙間から外に出て行った。

兵四郎はふっと息をつき、しがみつく背中に手を添えた。

「おい、仙石……」
もう大丈夫だ、と言おうとして、言葉を止めた。
真之介は目をつぶり、ぶるぶると震えていた。
普段は負けず嫌いで威勢がよく、何者をも恐れず立ち向かう男が、たかが一匹の蛇を恐れて自分に縋り付いている。
兵四郎は急に、年下のこの男がかわいらしく思えてきた。
するとふいに、ちょっとした悪戯心が沸いて来た。

「仙石、動くなよ。蛇はまだ、こっちを睨んでいるぞ」
「う、わ、わかった……!殿様、は、早く、なんとかしてくれ」
「うむ、任せろ。じっとしてろよ」
兵四郎は囁きながら大刀を床に置き、両手を真之介の背中に回した。
さわさわと優しく撫でてみると、真之介はびくんと身体を揺らした。

「殿様?どうしたんだ……へ、蛇は」
「姿が、見えなくなった」
「で、出てったのか?」
「いや、まだ中におるかもしれん。とにかく動くな。いいな、仙石」
「う、うん……」
いつになく素直に従う様子が珍しく、兵四郎はひそかに笑みを浮かべた。

兵四郎は右手を真之介の前にやり、袷から中に忍び込ませた。
ひやりとした平らな腹に触れると、驚いて叫びを上げた。

258:じゃじゃ馬ならし 前編 4/9
10/09/28 00:07:05 mnp7oewbO
「……わっ!と、殿様!?何してる!」
「仙石、身体が冷えてるな」
「や、山道を歩いて来たんだ。そりゃあ冷えるさ……おい、殿様!どこ触って」
「大声を出すな。蛇が、やって来るぞ」
「……!」
蛇と聞いた途端に真之介は押し黙り、兵四郎の肩口に顔を埋めた。
「せっかくだから、手っ取り早く暖めてやろう」
「と、殿様?何を……」
「いいから、じっとしておれ。さもないと、蛇が」
「あ、あいつは、まだいるのか?なあ、殿様……あ、あっ、おい、ま、待てっ……」
兵四郎は真之介の腰を左手でしっかりと支え、腹から胸に右手を這わせた。
耳に息を吹きかけられ、撫で摩る手が乳首をかすめると、真之介は思わずうろたえて叫んだ。
大丈夫だ、と囁きながら、兵四郎は冷たい上体を抱き肌を優しく擦った。

「……殿様、もっ、もういい!じゅ、じゅうぶん、あったまった!」
「いや、まだ冷えておる。それに蛇はまだ、この小屋のどこかにいる。俺から、離れないほうがいい」
「し、し、しかしっ……!」
「いいから。任せておけ、悪いようにはせん」
兵四郎はにっかりと笑い、寒さと蛇への恐怖に強張った身体を抱きすくめた。
ふいに身体の向きを変え、真之介を抱いたまま藁束の上にどさりと被さった。
「と、殿様っ……」
「静かにしておれ。静かにしておれば、いずれあやつは、いなくなる」
低く囁くと真之介の首筋に顔を埋め、ちゅっと軽く口づけた。

259:じゃじゃ馬ならし 前編 5/9
10/09/28 00:08:06 Q70NESdwO
「あ……!な、何をっ」
「おぬしは、かわいいな」
「な!きっ、貴様、ふざけてんのかっ」
「ふざけてはおらん。おぬしは豪快で真っ直ぐな、実に気持ちの良い男だが、なぜか時折無性に、かわいらしく思う時もある。今夜はますます、強くそう思った」
「やっぱりふざけてる。離せ、殿様。もう蛇など、おらんのだろう!」
真之介は兵四郎を引きはがそうと肩を押して身をよじった。
厚みのある身体に体重をかけてのしかかる兵四郎は、笑いながらもがく腕を押さえた。

「いいや、いるぞ。下手に動けば、噛まれるぞ。ほれ、そこに……」
「う、うわっ……う、うんんっ!」
焦って叫んだ口を、兵四郎は自分の唇で塞いだ。
いきなり吸われて舌を深く絡められ、真之介の頭は咄嗟に拒むことも忘れて混乱した。
慣れた調子で口内を暴かれ、たちまち真之介は呼吸を荒くした。
巧みに快感を引き出され、いつの間にか自らも舌を絡めていた。
兵四郎は唇を貪りなが真慎之介の右腕を左手で押さえ、伸ばした右手を袴の紐にかけ器用に解いた。

真之介は長く呼吸を奪われてぼうっとなっていたが、袴をするりと下ろされるとさすがに慌て、強く兵四郎に抗議した。

「おいっ!待て、殿様!お、俺はそっちの気は、ないぞっ」
「安心しろ、俺にもない」
「だ、だったらなんで、俺の袴なんか剥ぎ取るんだっ!女の腰巻きでも、引っぺがして来い!」
「うん。だがな、今はおぬしの袴を剥がしたい気分なんだ。許せ」
「……許せるかぁ!!あ、うわ、よ、よせっ……あ、ば、馬鹿!」

260:じゃじゃ馬ならし 前編 6/9
10/09/28 00:09:03 mnp7oewbO
悪態を気にも留めず、兵四郎は裾から手を差し入れ、真之介の中心を下帯越しに握り込んだ。
ゆるゆると揉んでやると、息を乱して涙目でねめつけ、また罵声を放った。
「と、殿様!馬鹿、馬鹿野郎っ!俺の、そんなとこ触って、な、何が楽しい!」
「それがな、思ったより楽しくて、我ながらびっくりしてるところだ」
「く、くそっ、ふざけ、やがって……あっ!や、や、やめ……」
「まあ、そう怒るな」
下帯をも外され、兵四郎の大きな掌にじかに握り込まれて、真之介の身体からやや力が抜けた。
すかさず肉厚な手が真之介自身を丁寧に扱き、半勃ちだったものは完全にそそり立った。

「ん、んっ、と、殿様……!もう、や、やめて、くれっ」
「今やめたら、おぬしが辛いぞ。いいから、任せておけ」
兵四郎は微笑み、なぶる手を休めず真之介の唇をまた奪った。
息苦しさに真之介が呻くと解放してやり、顎や浮き出た喉仏に口づけて舌でなぞった。
襟を大きくはだけ、胸骨の浮いた胸を撫でて乳首を含んだ。
真之介は身体を跳ねさせ、高くなる声を必死で殺しかすかに喘ぎながら、弱々しく兵四郎の着物を掴んだ。

「う、ふっ……と、殿様、い、やだ……いっ、いや、だ……!」
「安心しろ、仙石。蛇はもうおらん。外に、逃げて行ったよ」
「そっ、そんな、こと、わ、かって、る……うぁ、ん、あ……」
「おぬしはもっと、肉を付けたほうがよいな。腕は確かだが、少し骨が目立つ。ちゃんと、飯を食ってるのか?」
「よっ、けいな……世話だ!うっ、ん……ふ、うぅ」
回した左腕でぐっと肩を抱き寄せ、また唇を吸った。
憎まれ口を叩いた真之介は、だが素直に兵四郎の舌を迎え入れた。

261:じゃじゃ馬ならし 前編 7/9
10/09/28 00:10:04 mnp7oewbO
兵四郎はあくまでも優しく真之介自身をいじり揉みしだき、甘くねっとりと口内をなぶった。
温かな人柄がそのまま表されたような心地良い愛撫に、いつしか真之介は抵抗を忘れ、与えられる快楽に飲み込まれつつあった。

「あ、あっ……との、さ、殿様、も、う、もう……っ」
「仙石、ちょっと待て。どうせだから、もっとよくしてやろう」
「うんっ、あぁ……な、なに、をっ……」
兵四郎は懐に手を入れ、傷薬の軟膏を詰めた貝殻を取り出した。
手早く右手の指に塗り付けると、真之介の脚を大きく開かせた。

「仙石、ちょっと痛いかもしれんが、我慢しろ。すぐに慣れる」
「なん、なんだ、殿様!痛いって、な、なにを……あっ、ひ……あぁっ!」
「仙石、力を抜け」
「う、むっ、むり、無理、だっ……いっ、あぁ、うあ……っ!」

軟膏にまみれた兵四郎の太い中指が、真之介の後ろに侵入してきた。
傷を付けないようゆっくりと慎重に中に埋め込み、そろそろと動かして馴染ませた。
真之介が痛さを訴えなくなったところで、中指を折り曲げ動かして、慎重に内部をまさぐった。
すると硬いしこりが指に触れたので、そこをそうっと押した。

「ふ、あぁっ!あ、な、なん、だっ……あぁ!」
「ここだな」
「あ、あっ、と、殿様っ!や、だ、やめろっ、やめ……うぁっ、は……っ」
「よくないか?仙石、どうだ」
「ば……かっ、馬鹿!ああ、あうっ、ん、ふぅぅ……」
後ろを刺激され、真之介の先端からとろとろと、透明な露が滴り落ちた。
じわじわとうごめく仙四郎の指が与える快楽に、真之介の頭は霞み、高い鳴き声を続けざまに上げた。

262:じゃじゃ馬ならし 前編 8/9
10/09/28 00:11:11 mnp7oewbO
顔や全身を真っ赤に染め、緩やかに首を振り感じ入る様に、兵四郎はたまらない愛しさを覚えた。
そして下腹に熱い重みをずしりと感じ、乱れる真之介をしばし眺めた。
やがて指を引き抜き、肩と腰を掴んで身体を裏返させた。

兵四郎は俯せの真之介に覆い被さった。
上体に纏ったままの着物の襟を後ろに引き、あらわになったうなじに口づけを落とした。
真之介の汗の匂いを感じ、ぺろりと舐め上げるとしょっぱい味がした。

「ふ、あっ……殿様、もう、本当にもう、いい。あったまったから、勘弁して、くれ……!」
「いや、まだ途中だ。もっと暖めてやる。それに俺も、暖まりたくなったのでな」
「え、な、なに……?う、わっ、ま、て、待てっ、殿様……は、あっ!」
剥き出しの肩に軽く歯を立て、無防備に晒された後ろに再び指を突き入れた。
抜き差しすると中はちゅくちゅくと濡れた音を奏で、真之介は藁を握りしめて甘い吐息を漏らした。
兵四郎はもう一本指を増やし、慎重に中をまさぐった。

「……あ!ひっ、だ、だめ、駄目だっ……との、さまっ!」
「大丈夫だ、仙石。力むな、余計に辛いぞ」
前に左手を回し、わななくものをまた揉みしだいた。
すると身体から力が抜け、指は真之介の中にすんなりと入っていった。
「そうだ、いい子だ。偉いぞ」
「ば、ばかっ……!あぁっ、ふぁ、あ、あっ……」
低く響く美声で耳元に囁かれ、真之介はぞくぞくとした快感に包まれた。

263:じゃじゃ馬ならし 前編 9/9
10/09/28 00:12:35 mnp7oewbO
「もうひとつ、増やすぞ」
二本の指が慣れたところで、兵四郎はまた指を増やした。
「な、に、うっ……嘘、だろ!おいっ、殿様……あ、あ、あっ」
「大丈夫だ、ちゃんと入った」
「嘘だ、う、そだ……!あぅ、ふ、あっく、嘘……あぁ!」

いまや真之介の後ろの口は、兵四郎の節くれだった指を三本も飲み込み、あまつさえ締め付けていた。
優しく撫でられる前は先走りを溢れさせ、今にも弾けそうにばんぱんに膨らんでいた。

「あぁ……と、殿様、んっ、んぅ、ふぁ、あっ」
「仙石、気持ちがいいか?暖かくなってきたか」
「うっ、うん、うん……はっ、あ、ふぅ……」
藁の山に顔を埋め、真之介は無心に頷いた。
兵四郎は指を抜き去り、後ろから顎を支えて自分のほうに向けさせ、喘ぎを零す唇を吸った。



[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!

初めてDVDで見たら、このふたりに萌えが止まらなくて……ああすみませんすみません。
ではまた後日に。

264:風と木の名無しさん
10/09/28 01:23:46 y0qGZ78b0
>>255
おぉぉ2人の掛け合いが可愛いしエロいしですごくイイ!
秋の夜長の焦らし祭 絶賛開催中ですね

265:胡蝶の褥 1/9 ◆QgjEYcxl4Mc2
10/09/28 02:49:34 erhsqQgR0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  ゲーム版・銀河天使2で三/侯/爵の話だってさ
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  摂/政受け・将/軍×摂/政メインだけど侯/爵とか蛇さんもいるよ
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ マイナーッテレベルジャネーゾオイ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
長いので複数に分けて投下します
※誘い受け(というか襲い受け)・媚薬、獣姦(蛇)要素、エロあり
※捏造設定満載


266:胡蝶の褥 2/9 ◆QgjEYcxl4Mc2
10/09/28 02:51:05 erhsqQgR0

 ひらりと。
 月明かりを遮って闇夜を舞う影を目の端に認め、ベネディクタインは盃に注いでいた
視線を上げる。
 一羽の―否、本来は一頭と数えるのだったか―蝶が、夜の帳の中を漂うように
飛んでいた。
 夜陰にはっきりと浮かび上がる、目に鮮やかな白い羽根。窓の向こうを横切っていく
それを、静かに目で追う。別段興味がある訳ではない、単なる暇潰しだ。
 そう、未だに姿を現さない待ち人―ジュニエヴルを待つ間の、なんの意味も
持たない戯れ。
 ふわふわと踊る白い羽根の向こうに見える月、その傾きの移り変わりから今の時刻を
推し量る。事前に定めていたはずの刻限は、とうに過ぎ去って久しい。
 しかし、ベネディクタインが邸の奥座敷に通されてからこちら、やって来たのは酒を
運んできた下女らしき中年の女だけ。彼をここに呼んだ張本人であるジュニエヴルは、
顔を見せないどころか言伝の一つすら一向に寄越してこない。
 全くあの若造は人を呼び付けておいて一体何をやっているのかと、ベネディクタインが
憤るのも当然のことと言えた。
 無言のままに眉を顰める彼の真向かいで、同じように呼び出され、そして待たされている
男がより率直な形で怒りを表に出す。
「ええい! 摂政殿は一体何をしておるのだ! もう約束の刻限はとうに過ぎておるでは
ないか!」
 干した盃を自慢の強力で握り潰し、将軍ことカジェル候カルバドゥスは声を荒げた。
見た目の印象そのままの野蛮な言動に、ベネディクタインはまた表情を歪める。
 ジュニエヴルと三人、こうして密会の場を設けるようになってしばらく経つが、どうもこの
男とは気質が合わない。対するカルバドゥスのほうも、老齢に差しかかり体力的な衰えが
目立つベネディクタインを侮った目で見ている節があり、両者の中はお世辞にも良好とは
言えなかった。
 そんな相手と二人きりで顔を突き合わされ、ただでさえ不愉快になっているところにこの
仕打ちである。常になく機嫌の悪い二人は、この状況の原因を作った青年への苛立ちを
ふつふつと募らせていた。

267:胡蝶の褥 3/9 ◆QgjEYcxl4Mc2
10/09/28 02:52:00 erhsqQgR0

 ぶつける先のない怒りをベネディクタインは黙してやり過ごそうとし、カルバドゥスは適当な
もの―例えばその辺りに転がっている空の銚子―に八つ当たりをすることで消化しようと
試みる。
 叩き割られた器の破片が飛んできて、肩に乗せていた白蛇が怯えるように体をすり寄せてきた。
その頭を指先で撫でてやりつつ、ベネディクタインは目の前で鉄瓶の柄を折り曲げている男に
苦言を呈する。言っても聞かないだろうと思いながら。
「少し落ち着いてはいかがか、将軍殿。我らがここで騒いだとて、事態が好転する訳でも
あるまい」
「何を仰るか、侯爵殿! 人を招いておいて断りの一つもなく待たせるなど、あまりにも礼を
失した行い! 貴公はこの非礼を許すと申されるか?!」
「……立腹するのは勝手だが、それに我輩を巻き込まないで頂きたい……甚だ迷惑だ」
「なんだとぉ?!」
 棘を含んだ言葉が、元より堪え性のないカルバドゥスの癇癪をついに爆発させた。
 今にも掴みかからんばかりに腰を浮かせる彼を、ベネディクタインは色眼鏡越しに冷たく
見据える。
 部屋の襖が静かに引き開けられたのは、丁度その時だった。
 人の気配を察した二人は、互いを睨んでいた目を部屋の入口に向ける。手燭の明かりに
浮かび上がるのは、群青の着物に身を包んだ一人の青年。
「やあ、二人共。遅くなっちゃって、ごめんね」
 挨拶のつもりか軽く片手を上げ、ジュニエヴルはにっこりと二人に笑いかけた。
「摂政殿! 一体何をしておられたのだ! 話があると貴殿が申されるから、我らは
こうしてここに参ったのだぞ!」
 罪悪感など欠片も抱いていなさそうな朗らかな笑みに神経を逆撫でされたか、
カルバドゥスは語調も荒くジュニエヴルに詰め寄っていく。人一倍大柄な体躯も相まって、
目端を吊り上げるその表情には中々の威圧感があった。並の人間ならば容易く怖じ気付いて
しまうだろう眼光を前に、しかしジュニエヴルはまるで動じず、涼しげに笑って受け流す。

268:胡蝶の褥 4/9 ◆QgjEYcxl4Mc2
10/09/28 02:52:43 erhsqQgR0

「そんなに怒らないでよ、カルバドゥス。ボクも早く二人に会いたかったんだけど、実は急に
人が訪ねて来ちゃってさ。大切な知り合いだから追い返す訳にもいかなかったし、キミ達と
会うことは他人には言えないし……ボクだって困ったんだよ?」
 両手を広げ肩を竦めてみせながら、彼は弁解を口にした。要は不可抗力だと言いたい
らしい。
散々待たされた身としては、その自分に非はないと言わんばかりの態度は少し癇に障った。
「ほう、このようなお時間に来客とは……さすがは摂政殿。夜会のお誘いも引く手数多と
お見受けする」
「まあね。ほら、ボクって人気者だし」
 いけしゃあしゃあと自賛の言葉を口にするジュニエヴルを見やり、ベネディクタインは心中の
苦々しさを噛み締める。年若い癖に人を食ったような言動をするこの若者を、老侯はやはり、
あまり好いてはいないのだった。
 こちらの胸の内を知っているのかいないのか―この男のことだ、十中八九分かっているの
だろうが―青年は険しい視線を真っ向から受け止め、くすくすと笑う。そして不服げに佇んで
いるカルバドゥスを軽く押しのけると、ベネディクタインの座る窓の際まで歩み寄ってきた。
 しかし。
 一体どうしたことか、数歩も歩かぬうちにその足元が揺れたと思うと、彼はその場にへなへなと
くずおれてしまったのである。
「せ、摂政殿?! いかがなされた?!」
 床にへたり込んだきり動かなくなってしまったジュニエヴルを前に、豪胆で知られた将軍もさすがに
度肝を抜かれてうろたえる。戸惑いながらも肩に手を置いてみればその身体は熱く、常態とは
思えない体温がますます彼の動揺を誘った。
 柄にもなく狼狽し始めるカルバドゥスを見て、ベネディクタインも事態の異常さを察したらしい。
体に纏い付かせた蛇をそのままに、二人の元へと近付いて来る。
「ふむ……摂政殿、どうかなされたか? お加減が優れないように見えるが」
 形ばかりの労わりに、ジュニエヴルは俯いたままくつくつと肩を震わせた。そして、愉快そうに
細めた瞳をついとこちらに向けてくる。
「ちょっとね……まだ、薬が抜けきってないんだ」

269:胡蝶の褥 5/9 ◆QgjEYcxl4Mc2
10/09/28 02:53:11 erhsqQgR0

「何?」
 言葉の意味を図りかね訝しげにそう呟いたベネディクタインは、自身を見つめる双眸が奇妙な
程に濡れていることに不意に気付いた。
 よく見れば― 仄暗い部屋の中でもはっきりと見て取れる程に、ジュニエヴルの端麗な顔が
上気しているのが分かる。色の白い肌が淡く鮮やかな朱に染まり、唇などまるで紅をさしたかのようだ。
 陶酔感を漂わせる表情の中に確かな色香を感じ取って、ようやく先程の言葉の意味を理解する。
「……貴殿、一体誰と会われていた?」
 ベネディクタインの問いにジュニエヴルは答えず、ただ意味ありげに笑ってみせた。
 そしてその表情のまま、一人状況を理解できずに当惑しているカルバドゥスを見上げる。
「ねぇ? カルバドゥス……キミ、男を抱いてみる気はない?」



「実はねぇ、前からちょっと興味があったんだ。キミは一体どんなモノを持っているんだろうってね」
 半ば近く立ち上がった肉棒に指を絡ませながら、ジュニエヴルが楽しげに語る。わざとらしく
声を潜め、口の端を吊り上げるその様は、まるで悪戯の計画を話して聞かせる子供のようだ。
無邪気と悪意が混在する、毒気など全く感じさせない笑顔。
「やっぱり大きいんだろうなとは思っていたけど……これは想像以上かな。さすがは剛勇で
知られた将軍殿だ。実にご立派なものをお持ちでいらっしゃる」
 寛げられた服の袂から顔を出しているカルバドゥスの性器は、ジュニエヴルの言葉通り、
大柄な体に見合った逞しいものだ。
 その浅黒い皮膚の上を、男のものとは思えない程に細く白い指先が滑っていく。雫の
滲み始めた先端を優しく擦られ、カルバドゥスが呻き声を上げた。確実に息を上げつつある
男の顔を上目で見やり、ジュニエヴルは声もなく笑う。
 ひどく愉快そうに、あるいは酷薄に。その眼差しは、獲物を追いつめる狩人のそれによく
似ていた。

270:胡蝶の褥 6/9 ◆QgjEYcxl4Mc2
10/09/28 03:00:10 erhsqQgR0

「どうだい、カルバドゥス? ボクの手淫も、そう捨てたものじゃないだろう?」
「ぬっ、く……う、うむ、そうだな……中々の、お手、前でっ……いらっ、しゃる……っ」
 裏筋に爪先を這わせながらの問いにカルバドゥスは、ともすれば上擦りそうになる声を
必死に抑え付けながら答える。
 背後の壁に背を預け、彼は自分の足の間にうずくまっている青年を見下ろした。こちらを
見つめるジュニエヴルの笑みには、相手を玩んで楽しんでいる色がありありと浮かんでいて、
湧き上がってくる屈辱感にぐっと奥歯を噛み締める。

 ベネディクタインと同様にカルバドゥスもまた、ジュニエヴルのことを決して快く思っては
いなかった。自分達より遥かに若年の分際で、摂政という実質的な為政者の座を手中に
している男。秀麗な容姿と痩せた体躯はまるで女のようで、ジュニエヴルが摂政の任を
引き継いだ当初は、何故こんな男に頭を垂れねばならないのかと、ことあるごとに忌々しく
感じていたものである。
 今でこそ、共通の目的の為にこうして手を取り合う間柄となっているが、かつて抱いた
わだかまりがそう簡単に消えるはずもない。その結びつきが情を伴わない利己的なもので
あるならば尚更だ。
 だからこそ、先刻ジュニエヴルの誘いを受けた時に思ったのである。これは良い機会だと。
 何しろ、いつも高みから人を見下ろして笑っているような人間が、自分に向かって足を
開くと言うのだ。男の内に潜む嗜虐心と征服欲を、これ程そそる申し出もあるまい。
 どうせ誘ってきたのはジュニエヴルのほうだ、日頃苦汁を嘗めさせられている礼に思う様
泣かせてやろうと、心密かにほくそ笑んでいたのであるが。
 ―ぬぅぅ……こ、こんなはずでは……!
 目論見とはまるで逆の立場に追いやられ、悔しさに歯噛みする。そんな心中など全て
お見通しだと言うかのように細められた目付きが、余計に腹立たしかった。

271:胡蝶の褥 7/9 ◆QgjEYcxl4Mc2
10/09/28 03:01:32 erhsqQgR0

 どうにかして優位に立てはしないかと手立てを探るものの、施され続ける愛撫に思考の
全ては掻き消されていく。どころか、緩慢な指の動きにもどかしさばかりが募り、恥も外聞も
捨てて浅ましく快楽をねだってしまいたいとさえ思う有様だ。
 恥辱と、高まりつつある快感への抵抗からぎりぎりと歯を食いしばるカルバドゥスを、傍から
二人を眺めていたベネディクタインは嘲笑う。気に食わないと思っていた相手が醜態を晒す様を
眺めるのは、なんと胸のすくものであろうことか。
 くすりと、抑えきれずに漏れてしまった声が聞こえたのか、それとも単に視線を感じたのか。
ジュニエヴルを睨み据えていたカルバドゥスが不意にこちらを向き、口元に浮かべた笑みを
見咎めて激昂する。
「き、貴様っ……何を笑っている?! ワシを侮辱するつもりか?!」
 一瞬で頭に血が上り、カルバドゥスは巨躯を震わせて怒鳴った。怒りのあまり、敬語を使う
ことも失念する。
 常ならば気に障る粗野な物言いも、内心の動揺を悟られぬ為の虚勢と知れば愉快な
ものだ。自身を睥睨する視線など歯牙にもかけず、ベネディクタインは鷹揚に肩を揺らす。
「いやいや、滅相もない。ただ、随分とお辛そうに見えたものでな。素直になってはいかがかと
思ったまでのこと……気に障ったのならばお詫びしよう」
「何を―ぬ、ぁ……っ!?」
 図星を指され、反駁しようと張り上げた声が不自然に途切れる。敏感な場所に息を吐き
かけられて、とっさに唇を噛み締めた為だ。
 慌てて顔の向きを元に戻す。床に投げ出した足の間に、上向き始めた己の性器と―
そこに唇を寄せて微笑む、恐ろしい程に美しく整った横顔が見えた。
「ダメだよカルバドゥス、よそ見なんかしちゃ……ちゃぁんと、ボクを見ててくれなきゃ」
 わずかに掠れた声音で、甘えるかのようにジュニエヴルは囁く。赤々と濡れた唇から舌の先が
覗き、亀頭のくびれをそっとくすぐった。不覚にも、腰が跳ねる。
 こちらの反応に気を良くしたのか、彼は艶然と笑い― そして、綻んだ唇から零れた白い
歯を肉茎に近付け、言う。
「じゃないと……何するか分かんないよ?」

272:胡蝶の褥 8/9 ◆QgjEYcxl4Mc2
10/09/28 03:02:32 erhsqQgR0

 どこまでも甘いばかりの声音を前に、カルバドゥスは今度こそ言葉を失った。心の内で
くすぶっていた反抗心が、霧散していくのをはっきりと自覚する。
 押し黙ったきり動かなくなったカルバドゥスをしばしの間眺めていたジュニエヴルは、
自分の優位を確信したのだろう、ややあって、にっこりと花の咲くような笑みを浮かべた。
「そうそう。人間素直が一番だよ。つまんない意地なんか張ったって、いいことなんて
なーんにもないんだからさ。ね? ベネディクタインも、そう思うだろう?」
 笑顔のまま、背後に座した老人を振り返るジュニエヴルから、カルバドゥスは目を逸らす
ことができない。
 それは、言外に伝えられた脅迫に対する怯えからの行動ではない。潤んだ双眸に潜む、
凄艶なまでの色香に魅せられた故のものだった。
 仄赤く染まった眦と、挑発するかのように自分を見上げる熱を帯びた眼差し―
思い返した先の光景に、握り込まれたままの一物がぐっと勢い付くのが分かる。
 ジュニエヴルも気が付いたのだろう。ベネディクタインと何事か談笑していたのが急に
こちらへ向き直ったと思うと、その薄い唇が静かに弧を描いた。
「ああ、ごめんねカルバドゥス。言った側から、ボクがよそ見しちゃってた」
 着実に反り返りつつある剛直を愛しむように撫で、青年はちろりと唇を舐める。
「それじゃ……大人しく言うことを聞いてくれたご褒美に、そろそろイかせてあげようかな」
 そして、声を発する為に軽く開いた口唇で、そのまま先端を咥え込んだ。
「ぐ……っ!?」
 下肢から脳髄にかけてを雷のような衝撃が走り抜け、カルバドゥスは思わず呻く。
 温かく湿った口腔が、エラの張った亀頭部分をすっぽりと包みこんでいた。上等の
別珍にも似た、柔肉の質感。それだけでも十二分に反応してしまう肉棒に、さらに
舌が絡み付いて来る。
 ただでさえ並外れた大きさを誇る剛直は、頬張っているだけでもかなりの苦痛を
伴うだろう。にもかかわらず、舌は狭い口内を器用に動き回り、敏感な部位を満遍なく
舐め回す。時には包むように優しく、そうかと思えば擦り上げるように強く。緩急を
付けて与えられる刺激に、肉棒は瞬く間に硬く張りつめ天を仰いだ。

273:胡蝶の褥 9/9 ◆QgjEYcxl4Mc2
10/09/28 03:03:57 erhsqQgR0

「ぬっ……ぐ、ぅっ……摂、政殿……!」
 もはや漏れる呻き声を隠すこともできず、カルバドゥスはただ荒い呼吸に肩を
上下させる。
「ふっ……んぅ……気持ち、いいかい……カルバドゥス……?」
 甘やかな息の音が混じる、ジュニエヴルの問いかけ。かすかな嘲りさえ孕むその
声色に、しかしカルバドゥスは反論する言葉を持たなかった。
 認める他ない。これは、確かに。
 わずかに頭を俯け、自身の股座に顔を埋める青年の顔をじっと見つめる。
 いつも飄々とした笑みを湛え、歪んだところなどついぞ見たことのなかった秀麗な
容貌が、男の― それも、他ならぬ自分の―肉棒を淫らに舐めしゃぶっている姿。
さすがに苦しいのか、形の良い眉がかすかに顰められており、唇の端からは唾液と
一緒にくぐもった吐息が零れ落ちる。見下ろしたその表情は、今までに組み敷いてきた
どんな女のそれよりも美しく、そして卑猥だった。

[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン! キルトコチュートハンパニナッチャッタ・・・
スペースどうもです。続きはまた後日に
ああ、うっかり連投してしまった……

274:風と木の名無しさん
10/09/28 09:43:56 f+BpZjCaO
>>234
浄化投下ありがとう!
楯駆動らしくて萌え

275:風と木の名無しさん
10/09/28 13:11:03 SYtGEV9TO
亀ですが>>182
まさかの宇宙戌!大変萌えました㌧です!
惑星薔薇絵亭の回を見た後だったのでどストライクでw

276:風と木の名無しさん
10/09/29 00:19:29 sa2a7LkF0
支援

277:じゃじゃ馬ならし 後編 1/9
10/09/29 02:31:35 T8O0T1sPO
>>263の続きです。
20年位前の時代劇「参匹がKILL!」より、素浪人の殿様×仙石。
残り一匹+妹分も出てきます。
エロありです。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!



兵四郎の施す快楽に捕われた真之介は、夢中で舌を絡めて混じった唾液を飲み込んだ。
ん、んと小さく呻きながら口づけに応える真之介から離した唇を、兵四郎は耳元に近付け囁いた。

「真之介、入れるぞ。許せ」
「……!と、のさま?」
急に名前を呼ばれて、真之介はうろたえた。
すると兵四郎の指が後ろをぐっと押し広げ、入り口に熱いものが宛てがわれた。
真之介が驚く間に、それはずんっ、と中に入り込んできた。
指ではない大きなものが何なのか、すぐにはわからなかった。
緩められたおかげで、わずかな痛みのみで全てが埋め込まれ、内部をみっしりと満たした。

「なんっ……と、殿様っ!なんだっ、なん、だ、こ、れっ……あぅ、あぁっ!」
「ふう、熱いな。痛くないか?」
「ひあっ、や、だっ、いやだっ、との、さま……!う、あぁ、あーっ」
口づけの間に下げた袴から取り出された兵四郎自身が、中を犯しているのだと真之介はようやく気付き、動揺して叫んだ。

278:じゃじゃ馬ならし 後編 2/9
10/09/29 02:33:34 T8O0T1sPO
「大丈夫、大丈夫だ。真之介、何も怖くはないぞ」
「う、ば、馬鹿……名前なんぞ、呼ぶなっ!ふぁっ……」
「そうか、じゃあ仙石、何も怖がるな。俺に全て、委ねればいい」
「このっ、馬鹿!馬鹿、野郎っ、この、助平殿様っ……あ、あっ!」
衝撃のあまり真之介は涙をぽろぽろと流し、兵四郎の所業を罵倒した。
兵四郎は困ったように笑い、震える身体を背中から包むように抱きしめた。

「すまん、仙石。お前があまりにもかわいくてな、つい」
「つ、つい!?つい、入れたってのか!ふざけるなっ……あ、あ!うっ、動かす、なっ……!あぅ……っ」
馴染んだと見て、兵四郎はゆるゆると腰を打ち付けた。
中をえぐる熱いものに気を乱された真之介は、半ば兵四郎への怒りを忘れた。

「ふぁ、あ……嘘だっ、こんな、こん、なっ……」
「嘘ではないぞ、仙石。俺のものが、お前の中に入っている」
「ば、馬鹿!いっ、言わなくて、いいんだっ!あ、うくっ」
「ふふ、今日ほどお前に、馬鹿と呼ばれた日はないな」
「んうっ、あ、ふっ、ばっ、ばか!馬鹿!貴様なんか、馬鹿殿様、だっ……う、あぁっ」

兵四郎は真之介の腰を掴み、貫いたものを大きく抜き差しし追い込んだ。
真之介は悪態をつきながらも無意識に兵四郎の高ぶりを締め付け、動きに合わせて腰を揺らめかせた。
狭さと熱さに兵四郎は酔いしれ、年甲斐もなくと自嘲しながらも真之介の身体を貪った。
じっくりと突かれ甘く責められて、やがて真之介は、ほとんど意味を成さない喘ぎ声しか出せなくなっていた。

279:じゃじゃ馬ならし 後編 3/9
10/09/29 02:35:08 T8O0T1sPO
「あっ、あ、あふ、も……もう、も、うっ……との、さ……あぁっ」
「うん……仙石、俺ももう、限界だ」
「はぁ、あぅ……あ、あっ、うぁっ……」
「いいぞ、仙石。出して、いい……真之介、出せ」
「あ!あ、あっ……んっ!ふ、あぁーっ……!」
「……っ!」
深く突かれてとうとう耐え切れず、真之介は藁束の中に欲を放った。
ぎゅうっと締め付けられて兵四郎は呻いたが、放つ前に中から自身を抜き取り、懐から出した懐紙で包み欲を受け止めた。

汚れた懐紙を丸めて放り投げると、袴を上げて着衣の乱れを直した。
そして、俯せたままはあはあと荒い息をつく真之介を見やった。
流れた汗を手ぬぐいで拭き、下がった襟を直してやった。
抱き起こして板の床に仰向けに身体を横たえさせ、残りの懐紙で中心の残滓を拭き取った。
下帯を付けさせて袴は履かせず、楽な着流しの恰好にさせて、汚した部分を取り替えた藁の上に寝かせた。

280:じゃじゃ馬ならし 後編 4/9
10/09/29 02:36:20 T8O0T1sPO
呼吸は元に戻ったが、真之介は気怠げに手足を投げ出し、目を閉じてぐったりとしていた。
無理をさせてしまった、と兵四郎は心配になり、乱れた真之介の髪や髷を指で梳き、頬を撫でた。

「仙石……大丈夫か?」
「……大丈夫じゃ、ない」
「だろうな。いや、悪かった。いい年をして、歯止めが効かなかったのだ。すまん、許せ」
「……殿様」
心から頭を下げると、真之介は人差し指をちょいちょいと動かし、兵四郎に顔を近付けさせた。
「うん?なんだ」
「歯ぁ、食いしばれ」
囁くように耳元に告げてから真之介はにやっと笑い、思いっきり右手で兵四郎の頬をはたいた。
思わず兵四郎はよろめき、寝そべる真之介の上に倒れ込んだ。

容赦ない痛みに顔を振り、目を白黒させる兵四郎を見て、真之介は気持ち良さそうに笑った。

「ざまみろ!いいようにしてくれた、お返しだ!はっはっはぁ」
「っつう……やってくれたな」
「なんだ!文句あるかっ」
「いや、ない。それでこそ、仙石だ」
「ふんっ、これでもだいぶ、おまけしてやってんだ。握り拳じゃなかっただけ、優しいと思え!この、馬鹿殿様」
「ふふ、確かにそうだ。ありがたいよ、仙石取り」
赤くなった頬を摩り、兵四郎は笑った。

「全く、その気がないってのに、どこで覚えたんだこんなこと」
「そりゃあおぬし、いろいろさ。読んだり、聞いたり。あとは実践したり、な。ただし相手は、おなごだが」
「……お、おぬし、女相手に、あんなことするのかっ」
「いやいや、あそこまではさすがにせんよ。せいぜい、指を入れられるくらいだ」
「い、入れられ……女にか!」

281:じゃじゃ馬ならし 後編 5/9
10/09/29 02:37:48 T8O0T1sPO
「うむ。吉原には、すごい技を持ったのがいてなあ……」
「そ、そうかぁ。江戸に行った折りには、ぜひ紹介してくれ」
「ふふ、あいわかった。覚えておこう」
すごいなぁ吉原は、と呟いて目を輝かせた真之介に、兵四郎は微笑み頷いた。

そして、自分はなぜこの男にあそこまでしてしまったのか、と考えた。
初めは単なる悪戯のつもりだったが、腕の中で身悶え艶やかな声を放つ真之介に、いつしか我を忘れてのめり込んでしまった。

真之介は色恋故の所業とは受け取らず、あくまで兵四郎の度の過ぎた悪ふざけだと思っているようだ。
抱かれている時は大いにうろたえ、快楽に溺れながらも兵四郎を非難したが、終わればもう取り返しがつかないこととして、平手打ち一発でけりをつけた。
あっけらかんとした、この男らしい始末の付け方だと思った。
それがありがたくもあり、また少し、寂しくも思えた。
その寂しさが何なのかと考えたが、容易に答えは出ては来なかった。

「おい殿様、俺はもう寝るぞ。寝る前に言っとくが、あの一発だけじゃあやはり、気がおさまらん。明日は宿場で一杯、いや十杯は、奢ってもらうからな!」
「おお、いいとも。温泉宿も、おまけしてやろう」
「なにぃ、本当か!殿様、金持ってんのか」
「いや、ない。ないがまあ、なんとかなるさ」
にこにこと笑ってのたまった兵四郎に、真之介は呆気に取られ苦笑した。
そして、本当になんとかなるかもしれない、と思わせるのがこの男のすごいところだと感じた。

282:じゃじゃ馬ならし 後編 6/9
10/09/29 02:39:33 T8O0T1sPO
「ふん、まあ、どうなるか楽しみにしてるよ。じゃあ、俺は、寝るからなっ」
「ああ。おやすみ、仙石」
告げて間もなく、すやすやと寝息が聞こえてきた。
兵四郎は穏やかに、真之介のあどけない寝顔を見つめた。
そして焚火に小枝を投げ込み火を強めてから、真之介の隣に藁を積み、横になって目を閉じた。


昨夜の疲れからか、目が覚めた頃にはすっかり夜が明けていた。
秋晴れの空に山の赤さが照り映えて、兵四郎はまたも美しさに気を取られて歩いた。
やや足腰に力が入らない真之介も、彼に合わせてゆっくりと歩いた。
ひょっとして自分を気遣っているのかと思ったが、わざわざ訊くのも野暮だと思い黙っていた。

すると道の先の方から叫び声がした。走れない真之介を置いて兵四郎が駆け付けると、身なりのいい若い夫婦連れの旅人が、籠掻きの雲助達に因縁を付けられて途方に暮れていた。
雲助達が絡んで殴りかかってきたので、即座に叩きのめし追い払った。
上品そうな若い夫婦は兵四郎に心底感謝し、ぜひ宿場までの用心棒になってくれ、先程の礼と合わせて謝礼ははずむから、と伏して拝んだ。

追い付いた真之介に事情を説明すると、「やったな殿様、温泉宿!」と叫んで肩をどやしつけてきた。
聞き付けた亭主が、それならふたりの宿代も持たせてくれと申し出てきた。
さすがに兵四郎は固辞したが、夫婦はどうしてもと言い張り、結局折れて厚意を受けた。

真之介は自分が助けたわけでもないのに、得意げに意気揚々と先頭を切って歩き出した。
高らかに陽気な唄まで歌い出したので、兵四郎は夫婦と顔を見合わせて笑った。

283:じゃじゃ馬ならし 後編 7/9
10/09/29 02:43:26 T8O0T1sPO
宿場で一番の旅籠に着くと、すすぎを持って出迎えた女中は見知った顔だった。
「あらっ、殿様!仙石さんも」
「おけいじゃないか。お前、ここで働いてるのか」
「美味しい物食べまくったら、お金なくなっちゃって。殿様達はずいぶん豪勢ね、こんないいとこ泊まるなんて」
「おう、いいだろ!何しろ、俺達はこちらのご夫婦の、用心棒だからな」
正確には兵四郎が、であるが、真之介は胸を張って言い放った。

「へええ、うまくやったわね……あらぁ?ちょっと殿様、どうしたのよその顔!」
「うん?顔がどうした」
「こっちが訊いてんのよ。真っ赤な手形が付いてるわよ!」

真之介は何も言わず、若い夫婦も気付いてはいたが恩人に非礼があってはと黙っていたので、兵四郎は自分の頬がそんなことになっているとは、ついぞ知らなかった。
そういえば雲助達は俺を見て、このさんぴん妙な面をしやがってとか喚いていたなあと思い返した。
朝起きたらやたらひりひりしていたから、川の水で冷やしはしたが、痕になってしまっていたかと、兵四郎は真之介に張られた頬を撫でた。

「ひどく痕になってるわねえ。もう、どこの女にやられたのよっ。だらしないわね、殿様!」
呆れたおけいの台詞を聞いて、真之介はぶうっと派手に噴き出した。
真正面から唾をかけられて、おけいは怒った。

「やぁだっ、きったないわねえ仙石さんったら!何がそんなに、おかしいのよっ」
「いや、な、なんでもない、なんでも……くくっ、はっはっは!」
「何よ、変な仙石さん。ねえ殿様、あんまりおかしな女に引っ掛かっちゃだめよ」

284:じゃじゃ馬ならし 後編 8/9
10/09/29 02:46:08 T8O0T1sPO
「……そうだな。あれはえらく、凶暴なやつだった。もっとも俺が調子に乗りすぎたんで、ぶん殴られてこの有様になったんだがな」
「ううん、殿様みたいな優しい人をこんなにするなんて、その女が間違ってるわよ!絶対よっ」
「そうか、まあ、そういうことにしておくかな」

ふたりのやり取りを聞いて、真之介はまた笑い声を上げた。
夫婦は目を丸くし、おけいは見知らぬ性悪女と真之介に、ぷんぷんと怒り悪態を付いた。
兵四郎はにわかに頬に痛みを感じ、思わず顔をしかめた。


「たこはどうしてる?」
「陣内さんなら、あっちの角で売ってるわよ。『たこの吸い出し』」
荷物を置いて一杯やろうと、宿から出かける前に尋ねると、おけいは外を指し示して答えた。
兵四郎は真之介と連れ立って通りを歩いた。
やがて聞き慣れた、流れるような口上が耳に入ってきた。

「あらん、そこ行くいなせなお兄さん、素敵なお姉さん、ちょいと寄ってって!見てってお願い!陣ちゃんのお願い!よし集まったね。
さぁて、こちらに取り出したるは、天下に名だたる、たこの吸い出し。出物腫れ物、なんでもござれの妙薬だ……あれっ?殿様!仙石も」
鍔黒陣内は、丸く福々しい顔いっぱいに笑みを浮かべて、勢いよく手を振った。

285:じゃじゃ馬ならし 後編 9/9
10/09/29 02:48:20 T8O0T1sPO
「やあ、たこ。売れてるか」
「ま、ぼちぼちってとこね。この宿場いいよ~。珍しく悪い奴いない!温泉は最高!陣ちゃん幸せ……って、殿様、どしたのそれ」
「いてて、こら、つ、つつくな!」
「ここの温泉、打ち身に効くのよ。よかったね~」
「おい、吸い出しは薦めんのか」
「うっせえな仙石!しかし殿様、隅に置けないねえ。どこのあばずれにやられたの。もう、陣ちゃん妬けちゃうっ」
「うむ、じゃじゃ馬だ。じゃじゃ馬にやられた」
それを聞いてまた、真之介が笑った。

「なぁに笑ってんだよ、仙石の馬鹿!馬ったって、お前のことじゃないよ。かぁわいい、お馬ちゃんだよ」
「そりゃあとびきり、かわいい馬だろうさ。なあ、殿様」
「何、お前、見たの?殿様のお馬ちゃん、見たの?どんなんだった?なあおい、教えて!教えろ、こら待て、馬面!」

追いかけっこをしてじゃれ合うふたりに笑い、兵四郎は空を見上げて眩しそうに目を細めた。



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
後半は参匹+妹分のじゃれ合いをただ書きたかっただけという……あー楽しかった。
貴重なスペースありがとうございました。

286:風と木の名無しさん
10/09/29 03:41:25 zaAEyxUoO
>>285
やべぇネ申すぐる…!
昔からこのCPで間違いないと思って見てたんだ!
殿千かわいいよ殿千!
こんなところで偶然にも読めるとか…(´;ω;`)ブワッ

287:風と木の名無しさん
10/09/29 08:11:44 wGueHnE70
>>285
脳内音声再生余裕でした!あざーす

メンバー変わったときに悲しみのあまり大暴れした自分を思い出したわw
CPももちろん、じゃれあいも大変おいしゅうございました

288:コーヒーを一緒に・・・3 1/10 ◆CPu0lwnplk
10/09/30 01:12:38 RVFlJTU00
 闇金ウシジマくんで戌亥×社長前提の柄崎×社長です。小悪魔(魔王様)誘い受け、
媚薬物でエロありです。ツンデレ気味。>>206の続きになります。レスして頂いたた方、
ありがとうございました。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
 丑嶋の唇に舌を這わせ、まだ少しだけ付いていた媚薬を舐めとる。改めて味わうと、
砂糖を溶かしたシロップに何かの香料を混ぜた味がする。と言っても味わうほどの量
は残っていない。それでも尚、丑嶋の唇が味わいたい一心で執拗に舌を這わせた。
 柄崎の唾液で丑嶋の唇がグロスを塗ったように照り光る位に舐めまわすと、柄崎は
やっと舐めるのを止めた。
 夢中になってがっつきすぎたか、と慌てて顔を離して丑嶋の顔色を窺うと、丑嶋は
満更でも無さそうな表情で柄崎の腕を引っ張ってきた。
 「舐めるだけでいいのか?」
 挑発的な態度に、柄崎の中に閉じ込められていた情欲が火を点けられ、理性を拭い
さった。
 クイクイ、と小さい力で腕を引っ張ってくる丑嶋の腕を、逆に柄崎が強引に掴む。
力任せに引っ張り、床の上に押し倒した。
 丑嶋は突然強引な態度に出た柄崎に面食らうが、自分程の力強さではないが、かなり
のウエイトがある自分を力任せに捩じ伏せられる柄崎には男を感じてしまう。柄崎にも
こんな強引で乱暴な雄の部分があったのだと改めて見せつけられ、丑嶋は「柄崎のくせ
に生意気だ」と苦笑いしてしまった。
 仰向けで苦笑いしていると、視線の先にある天井の照明を覆い隠す様に柄崎の顔が
近寄ってきて、これまた強引な噛みつくような勢いでキスをしてきた。
 「ふむっ!・・・むう」
 誘われたとはいえ、随分と強引で身勝手なキスだ。

289:コーヒーを一緒に・・・3 2/10 ◆CPu0lwnplk
10/09/30 01:13:24 RVFlJTU00
 けれど、乱暴で蹂躙するような感じは一切ない。柄崎のキスは愛情に溢れ、正直それ
なりに巧い。飢えているくせに、いざキス自体が始まると紳士的とさえ言える程に丁寧
だし優しさが伝わってくる。
 少しでも乱暴に自分の快楽を引き出すだけのキスであったら、キスが嫌いな丑嶋は今
の時点でもセックスをすることを拒んでいただろう。誘ったのは自分の方なのに、ゆっ
くりとは差し出された柄崎の舌に誘われ、丑嶋は媚薬の風味を互いに分け合うように舌
を絡ませ合う。
 媚薬の風味がすっかり口内から消えてしまうと、柄崎の味覚中枢は純粋な丑嶋の唾液
の味で満たされた。縦横無尽に舌を動かして味わう。
 思う存分味わい、丑嶋のエキスを搾りとるとやっとキスを終える。唾液の糸を引きな
がら唇を離し、また調子にのってしまっていないかと丑嶋の顔色をまた窺う。丑嶋の眼
はすでに力強さを示すよりも、快楽に陶酔し始めている淫らさが見てとれた。
 それなりに長い付き合いなのにも関わらず、こんなに欲望を剥き出しにした人間らしい
丑嶋を見るのは初めてだった。これも媚薬のおかげだろうか。
 じっと見ていると、丑嶋がふい、と首を振り、視線を避ける。恥ずかしい思いをさせて
しまったか、と心配して許しを乞おうと眼を合わせようとする。丑嶋の視線を追うと、
丑嶋の眼は怒っている風ではなく、潤んだ目を今いるリビングの奥にある部屋へのドアを
捉えていた。
 「社長・・・?」
 視線の意味が分からずに問うと、丑嶋は急に不機嫌そうな顔になった。やはり、嫌な
思いをさせていたか、と身をすくませてモジモジとさせる。居心地の悪そうな柄崎の下で
組み敷かれていた丑嶋も身を蠢かせる。柄崎は見るからにしょんぼりとし、丑嶋の上から
退いた。

290:コーヒーを一緒に・・・3 3/10 ◆CPu0lwnplk
10/09/30 01:14:08 RVFlJTU00
 「痛ェ・・・」
 丑嶋は床から起き上がると、腰を拳でトントンと叩く。たとえ興奮していたとは言え、
床の上で組み敷かれるのは辛い。痛くなった腰を叩き、肩を揉んだりしていると、柄崎が
腰を擦ってくれる。マッサージや整体の心得がある訳でもないので実際効果はないのだろ
うが、人の手によって触られるのは案外それだけで気持ちのいい物だ。
 腰を解すと、丑嶋は先程視線を送っていたドアを指差す。
 「あっちに寝室があるから、ベッドに連れて行ってくれ」
 積極的どころかストレート過ぎる言葉で誘われ、柄崎の口内に大量の唾液が湧く。唇から
零れそうになって飲み込むと、耳朶に嚥下の音が反響する。もしかしたら、丑嶋にも聞こえ
てしまったかも知れない。
 羞恥を誤魔化そうとしたが、もう今更遅い。柄崎は開き直って丑嶋の腰に手を回すして
立たせると、まるで自分の家のように堂々と丑嶋をエスコートする。

 寝室に移動すると、互いに衣服を脱がしあう。柄崎は全裸になったが、どうしても、と
渋る丑嶋は下半身のズボンとベルトのみ脱いだ。上半身着衣、下半身は下着と、いっそ脱い
だほうが卑猥さが半減するような姿の丑嶋には疑問を投げかけたくはなるが、我慢する。い
ずれ気が乗ってくれば、快楽に溺れた丑嶋から剥ぎ取れば良いだけだ。
 二人でベッドに腰を掛け、啄ばむ様な軽いキスを何度も繰り返す。よくキスは親愛の証し
というが、大人の二人にとっては軽いキスでもお互いの欲を満たす前戯になる。 
 しつこい位にキスを繰り返していると、丑嶋が吐息を漏らしながら柄崎にしな垂れかかって
きた。柄崎は思わず受け止めた。
 途端に柄崎の体の周りには丑嶋の体臭が立ち昇った。もうすでに例の桃の香りは匂わない。
あるのは男の汗の匂い。これこそ丑嶋の匂いなのだと思うと、もっと嗅ぎたくなってくる。
 最早遠慮も躊躇いも無くなった柄崎は対面にある丑嶋の肩に顔を埋め、クンクンと匂いを
嗅ぐ。洗剤の清潔な香りの中に、丑嶋の汗の匂いがする。独特の匂いだが、決して不快な刺激
臭ではない。

291:コーヒーを一緒に・・・3 4/10 ◆CPu0lwnplk
10/09/30 01:15:00 RVFlJTU00
 もしかしたら、体温が上がったせいで飲んだ媚薬の成分が溶け出したのではないか、と疑っ
てしまう程に柄崎を惹きつけて止まない。人間にフェロモンという物があったとしたら、まさ
にこういう物ではないだろうか。
 柄崎は一心不乱に匂いを嗅ぎつつ、堪らず丑嶋の背中を撫で上げた。
 「んっ、ん・・・」
 丑嶋は柄崎が背中を撫でる度に切なげに身をくねらせ、負けじと柄崎の背中や腰を弄って
くる。
 想像以上に丑嶋は性感に弱いようで、少し触るだけで赤い顔を更に赤くし、耐えれない
声を漏らす。敏感で淫らな様が普段の堂々としすぎた態度との落差がありすぎ、余計淫らに
見える。
 夢中で互いの背後に手を回し、抱きしめ合い、まさぐり合う。丑嶋だけでなく、柄崎も汗を
かいているので匂いさえ混じりあう。
 柄崎にとっては夢にまで見た解けてしまいそうな幸せに、先ほどから勃起していた性器が更
に硬くなり、下着に先端が擦れて痛い程になってきた。勃起した性器は下着越しに丑嶋の股間
に当たっている。柄崎は性器同士が触れ合っていることに興奮し、丑嶋の股間にギュッと押し
付けた。
 「あ・・・」
 押し付けてみて、改めて丑嶋も柄崎と変わらない硬度になっているのに気がついた。媚薬の
せいかもしれない。だが、もしかしたら柄崎のせいかもしれない。嬉しさに思わず顔を綻ばせ
ると、丑嶋は性器を押し付けられたお返しだ、とばかりに右手を柄崎の股間に伸ばし、いきり
立った性器を握ってきた。
 「うっ、あああっ」
 いきなり勃起した性器を握られ、柄崎が悲鳴を上げる。情けない声に丑嶋は満足げに微笑んだ。
柄崎にいい様にされるなんてプライドが許さないのだ。 

292:コーヒーを一緒に・・・3 5/10 ◆CPu0lwnplk
10/09/30 01:15:49 RVFlJTU00
ところが、握ってみてその感触に驚いた。太さもそれなりにあるが、長さも中々の物だ。
 何よりも驚くべきなのは少し力を入れてもビクともしない膨張した性器の硬さだ。丑嶋の瞳
は期待に潤んだ。
 柄崎は触られる喜びを感じるが、尊敬する丑嶋の手を汚してしまうのに躊躇も感じる。だが、
丑嶋が顔をやや上気させた色気のある表情で柄崎の性器を凝視し、焦っている様な手付きで先端
から滲み出たカウパーを竿全体に塗りこんでくるものだから、手を払うのも忘れて下っ腹を戦慄か
せるしか出来ない。
 カウパーまみれになった性器だが、丑嶋が触れば触るほど先端からはドクドクと新しい物が溢れ
出てくる。カウパーは性器の尿道にある豆粒のような小さな器官から排出されるのだが、小さな
器官からよくこんな大量な液体が分泌できるものだ。
 呆れるどころか感心してしまう量のカウパーを手全体に付け、丑嶋は長竿を両手で持つと、捻り
を利かせながら上下に扱きあげる。最初はゆっくり、徐々に速度を上げていくと、柄崎の太ももが
激しく痙攣し始めた。
 「ちょっと、待ってください!・・・ううっ、いっちゃいますから!」
 「あ?!もうか?お前、速すぎるだろ・・・」
 速すぎる、と男としては情けないことを指摘され、柄崎は内心でへこんだ。余りに速いと、こん
なに妖艶な態度で迫ってくれた丑嶋を失望させかねない。
 柄崎は隙をついて丑嶋の淫らな手から性器を開放すると、出てしまわないように根元を握りなが
ら言い訳をする。
 「今日はたまたま速いだけです」
 「そうか?」
 「そうです、そうです!媚薬飲んじまったし、それに・・・」
 「それに?」 
 顔が熱くなり、こめかみがドクドクと脈打ち血管が破裂しそうだ。柄崎は先を促してくる丑嶋の
視線を一身に受けながら、2度深く息をした。

293:コーヒーを一緒に・・・3 6/10 ◆CPu0lwnplk
10/09/30 01:16:28 RVFlJTU00
 「速くなってるのは社長が相手だからです。好きな人に触られて気持ち良くならない奴なんて
いません」
 媚薬だうんぬんは言い訳まがいで自分に言い聞かせるためのだったが、最後のは本心からだ。出
会って約10年。ずっと好きだった相手に淫らに誘われたり触られたりすれば、速くなるのも仕方
がないではないか。
 時折重く感じるほどの柄崎の気持ちには気がついていた丑嶋だったが、顔には一切出さないまでも、
本音を吐露されて少し戸惑った。そんなストレートに言われてしまっては、もうからかうのも可哀想
になってしまうではないか。
 丑嶋は何だか自分が悪者のような気がしてきた。悪者扱いされるのは慣れっこだし、実際に自分
が善人だと一度も思ったことがないのだが。
 柄崎のことが嫌いなのではない。嫌いな男とセックスを簡単に出来るほど丑嶋の貞操観念は緩く
ない。
 媚薬を使ってまで自分を物にしようとした柄崎の気持ちは嬉しい。
 しかしやはり、ストレートすぎる好意をぶつけられては面食らってしまうではないか。好かれる
のが嫌なのではない。柄にもなく、ただ単に照れてしまったのだ。
 柄崎は急に黙りこくってしまった丑嶋の様子を恐る恐る伺った。やはり、いきなり「好き」なんて
告げて戸惑わせてしまったのだろうか。
 いや、違う。顔はいつものごとく仏頂面。だが、ふっくらした唇を拗ねた子供のように尖らして
いるし、頬から耳にかけては先程より明らかに赤みを増している。照れているのだ。あの丑嶋が。
それに照れるだけで反論しないということは、言われて嫌ではなかったということだ。 
 嬉しさの余りに血圧が急騰し、耳鳴りと頭痛がする。笑うと丑嶋に怒られるだろうから耐えよう
とするが、どうしても頬が緩み、口角が上がってしまう。
 だらしなく鼻の下を伸ばした柄崎を丑嶋は睨んだ。さすがに眼光の鋭さに柄崎は一瞬たじろいだが、
やはり笑顔を隠せというのは無理な注文だ。

294:コーヒーを一緒に・・・3 7/10 ◆CPu0lwnplk
10/09/30 01:18:41 RVFlJTU00
 「チッ!ニヤついてないで、続きはどうすんだよ?止めるか?」
 止めるか、と生殺しもいいとこの脅しを受け、柄崎は頭を振った。今更止められたら、それこそ
丑嶋に襲いかかってしまいそうだ。
 「フン・・・。じゃあ、どうする?口でしてやろうか?」
 やっといつもの強気な態度に戻れた丑嶋は柄崎を挑発するように口を半開きにし、唾液を纏わせた
舌を出した。舌は血色のよいピンク色で僅かだがヒクヒクと蠢いている。いかにも器用に動きそうだ。
それに口内の肉は舌と同様に唾液で濡れていて内臓のようだ。こんな中に入り舌で嘗め回されたら、
たちまちに射精してしまいそうだ。
 けれど、あの唇に咥えてもらいたい。思う存分舐めまわされてしまいたい。あわよくば喉の奥めが
けて白濁を叩きつけたい。飲んで欲しい。挑発されて浮かんでくるのは今までも何度も夢想した淫ら
なことばかりだ。今、柄崎が乞えば、長年の淫ら極まりない夢想が現実のものとなるのだ。
 ありがたい申し出を断る理由はなく、丑嶋の問いかけに深く頷いて、ベッドに座った。
 柄崎が頷くと、丑嶋はまず性器の根元を握り、先端に唇を押しつけた。そのまま咥え込みはせず、
まずは鼻で息をしながら先端を唇で愛撫する。ポテッとした唇にグッと押しつけると、張りのある唇
は押される力でへこみ皺が寄った。
 そのまましばらくは先端に触れるだけのキスを繰り返す。やがて先端から漏れているカウパーが粘り
気を増してきたので、丑嶋は改めて口を開けて柄崎を迎え入れた。
 「うぐぅうう」
 一気に根元近くまで咥えてみて、改めて柄崎の性器は長かったのだと思い知らされた。根元まで咥え
ると先端が喉の奥の壁まで届いた。息苦しさに吐き出したくなるが、口の中を満たされる感じは悪く
ない。特に、上顎を活きの良い魚の尻尾のように小刻みに叩いてくる性器に浮かんだ血管が堪らない。
 丑嶋は内心うっとりしながら、しかし表面上はなるべく無表情で頭を上下に動かしだした。

295:コーヒーを一緒に・・・3 8/10 ◆CPu0lwnplk
10/09/30 01:20:35 RVFlJTU00
 唇を竿に纏わりつかせながら咥え込み、出す時は吸い上げながら素早く引き抜く。すぐに柄崎は喘ぎ
始め、口内のカウパーの粘り気が増してくる。滲んだ精子混じりのカウパーを吸引しながら奉仕を繰り
返すと、口からは息をせずに鼻から呼吸をしているので口内の香りが鼻から抜けて行く。その生臭い男
の匂いにも丑嶋は興奮してしまう。
 匂いと、感触と、身近で昔から知っている柄崎に奉仕している恥ずかしい事実とが合わさっていく。
柄崎が感じてくれていると思うと、丑嶋の性器は股間を押し付け合った後は触れられてもいないのに、
段々むず痒くなってきた。
 柄崎を気持ち良くしてやっているのだ。当然セックスなんだから、自分だって気持ち良くなる権利は
ある筈だ。丑嶋は自分の下着の中に手をいれようとした。
 「待って下さい、社長」
 今まさに下着の中に侵入し、自身の性器によからぬことをしようとした不埒な丑嶋の手を柄崎が掴ん
だ。
 せっかく自分を慰めようとしたのを止められたのと、柄崎に手を掴まれてしまったのが気に入らなく、
丑嶋は柄崎の手を振りほどこうとした。
 ところが、かつて格闘技を齧っていた柄崎の力は強く、簡単には振りほどけそうにない。現在の筋力
に関しては丑嶋の方が優勢だが、あくまで力のみだ。柄崎は昔取った杵柄で柔軟に丑嶋の腕の動きに合わ
せて振りほどかれないようにしてくる。
 せっかくの良い雰囲気を壊すのも嫌で、丑嶋はすぐに柄崎の手を振りほどくのを諦めた。
 「・・・んだよ、柄崎。言っておくけどな、女と違って濡れちゃくれねェんだぞ。だから準備しないと
いけねェんだよ」
 不満なんだか、挑発なんだか判断できない言葉を吐く丑嶋に対し、柄崎は先程思いついた考えを頭の中
で反芻し、一人悶々とする。果たして、丑嶋に頼んだとしても、承諾してくれるのか分からない。
 媚薬を自ら飲み、柄崎を挑発し、手淫やらフェラチオまでやってくれたのだから大丈夫かもしれない。
だが、柄崎が望むのは恐らく丑嶋にとってはかなり羞恥心を呼び起こされるだろう。プライドの高い丑嶋が
可哀想な感じになってしまうだろう。

296:コーヒーを一緒に・・・3 9/10 ◆CPu0lwnplk
10/09/30 01:21:46 RVFlJTU00
 けれども、柄崎はどうしてもしてみたいのだ。それは、ある意味丑嶋と出会ってから10年越しの願い
だった。
 媚薬とフェラチオに完全に酔った丑嶋は柄崎の顔をジッと見つめてくる。柄崎は緊張からの喉の渇きを
感じつつ、真剣な表情で10年越しの願いを言った。
 「準備、俺にさせて下さい」
 人に触られるのが根本的に好きではない丑嶋は、戌亥とするときでも挿入の準備は自分で行う。羞恥心
は相手が柄崎でも変わりない。はっきり言えば嫌だ。だが、柄崎の表情は真剣で、手は興奮に震え、丑嶋
に触れたい事を如実に表している。
 かなり恥ずかしいが、挑発した手前、断ることも場の雰囲気を白けさせるだろう。丑嶋は数秒無言で
考え、やがて小さく頷いた。
 丑嶋が承諾すると、柄崎は心の底からほっ、とした。同時にこれから行う行為に期待が膨らみ、只で
さえ射精間際まで来ている性器をヒクヒクと動かした。
 「それじゃ・・・」
 期待に胸を膨らませ、まずは柄崎はベッドに仰向けに寝た。
 突然寝ころんだ柄崎に丑嶋は面食らった。一体これから何をするのだろうか。疑問は尽きない。
 しかし、丑嶋の疑問はすぐに解消されることとなる。
 「俺が社長を気持ちよくしてあげますんで、お尻をこっちがわにして俺の顔を跨いでください」
 柄崎の言葉の意味が分からず、丑嶋は首を傾げた。尻を向けて顔を跨げ、とはどういうことだろうか。
言葉のままの状態を想像してみる。すると頭に血液が一気に上がった。つまり、シックスナインの体位
を要求されているのだ。
 別にフェラチオして貰うこと自体が嫌な訳ではない。丑嶋がフェラチオをするのまた然り。
 けれど、口で抜き合うなんて簡単には出来ない。しかも柄崎の言うとおりにするならば、丑嶋が上に
なって、こんな明るい場所で柄崎の顔を跨いでしまえということになる。そんなことしては、性器どころ
か何もかも丸見えになってしまうではないか。

297:コーヒーを一緒に・・・3 10/10 ◆CPu0lwnplk
10/09/30 01:22:48 RVFlJTU00
 丑嶋が柄崎の突拍子もないお願いに呆れていると、柄崎が寝ころんだままで丑嶋の尻を両手でわしずかみ
してきた。手は丸い尻肉に食い込み、不埒な指の先端は豊かな丸い尻肉を掻き分け、間にある後孔をグッと
押してきた。
 「くっ、んっ!」
 感じやすい場所をいきなり弄られ、丑嶋は言葉を詰まらす。すっかり出来上がっているこの雰囲気の中、
そんなことをされたら欲しくなってしまうではないか。丑嶋は柄崎の手を振りほどこうとしたが、柄崎の手
は執拗に蠢き、左右の尻たぶを擦り合わせるように撫でてくる。
 「ふっ、あ・・・、柄崎、止めろ」
 止めろ、と言われても、快楽を強制的に引き出されてしまった丑嶋の声に威圧感は一切ない。柄崎は更に
激しく手を動かし、左右の尻たぶ同士を擦り合わせる。筋肉隆々とした肉体の丑嶋だが、流石に尻までは
きたえられないらしく、豊満で敏感だ。
 「柄崎、本当に・・・。うっ、あああっ。分かったから、ちょっと待てって」
 丑嶋は吐き捨てる様に言うと、柄崎の手を擦り抜けた。柄崎は慌てて丑嶋の体を逃がしてなるものか、と
手を伸ばそうとしたが、それより早く丑嶋が動きだす。
 「ジロジロ見るなよ。それに、あんまり必要以上に触るんじゃねェぞ」
 羞恥に苛まれながら迫力にいまいち欠ける文句を吐くと、丑嶋は犬がマーキングをする時のように片脚を
上げ、寝ている柄崎の顔を跨いできた。

[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
10年越しの「口で抜き合うまで許さねェぞ!」実現間近。エロが長くなりまして、まだあと1回分続きます。
続きはまた後日に。貴重なスペースをお借りしありがとうございました。お目汚し失礼致しました。

298:風と木の名無しさん
10/09/30 02:37:07 J0f5qNoiO
>>288
ふわぁぁぁ!待ってました!!
社長がエロかわゆすぎる…なんというツンデレ
柄崎も優しくて雄々しくてヘタレで優しくてほんとに大好きです!
続き楽しみにしてます!

299:風と木の名無しさん
10/09/30 05:12:14 /dTYv9pCO
>>288
GJ!
社長のツンデレ加減と柄崎のヘタレっぷりに禿げ散らかしまくりました(*´Д`)=3
養毛剤準備しつつ、ラストの投下をお待ちしております。


300:風と木の名無しさん
10/09/30 16:49:08 v113Y4vs0
>>210
亀ですいません
続き待ってます!

301:たぶん全部気圧のせい 後編 1/6
10/10/01 00:57:25 cMp3EJKG0
難局シェフ。半生注意。ぬるいエロあり。
新やん×仁志村編。
>>210-215のつづきです。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

ここ、ドーム藤基地にはお世辞にも快適とは言い難い、4畳程の個人用居住ユニットがある。
ドアの上方に外気導入口が付いているものの、閉塞感は否めない。
一人でも息苦しいのに、二人でいたらすぐに窒息してしまいそうだ。
仁志村の部屋と寸分違わぬ窓のない室内に、個性の欠如した狭いベッドと、小さな机に椅子が一脚。
壁に貼られた見知らぬパンクバンドのポスターと、机に積まれている難しそうな本が辛うじて部屋の主を彷彿とさせている。
その当人は、仁志村を呼びつけておきながら、先程から落ち着かない様子でベッドに座ったり立ったりを繰り返している。

「で、新やんの右手の代わりをすればいいのかな」
壁に寄り掛かっていた仁志村は、極力事務的に話を切り出した。
新やんは背筋をピンと伸ばし、ずれた眼鏡の隙間から上目遣いに仁志村を見た。
「・・・はい。あの、口とかは選べたりしないんですか」
「却下します」
「・・・ですよね。それじゃあ、密着させてください」
「密着?」
「なんか、離れてると気が削がれるというか、寂しい感じがしちゃうんで」
そう言いながらベッドから立ち上がると、躊躇うことなく仁志村の腕を引き寄せた。
反射的に押し返そうとしたが、新やんの腕はびくともしない。
華奢に見えて基地の誰よりも腕相撲が強かった事を思い出した。
おどおどしたり、開き直ったり。今日の新やんは本当に忙しない。
百歩譲って大人しく抱き込まれた仁志村は、新やんの肩に少し仰のいた状態で顎をのせる格好になった。
体温の高い新やんのTシャツから仄かに汗とタバコの匂いがする。
「このままするの?」
「おねがいします。あ、コントロール得意なんで大丈夫です」
「・・・そう」


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