10/09/24 01:26:41 X58NEJuU0
顔を上げ、丑嶋が指で弾いているカップをみた柄崎は一気に青ざめた。丑嶋が「飲め」
と言っているカップは、もう片一方のカップに比べると明らかに中身が少なく、白い
カップの表面にはコーヒーが垂れた筋がついている。つまり、先程、柄崎が丑嶋に飲ませる
為に用意した媚薬入りのカップの方だ。
媚薬の真偽は危うい。でも考えてみれば、このコーヒーに混入した媚薬をくれた店長は
以前から妙に誠実な所がある。だとすれば、本物の媚薬かもしれない。
もし本物だとしたら、丑嶋に飲ませる分にはこの上ない幸運だ。だが、自分が飲んだら
危険だ。
柄崎は最早にっちもさっちもいかなくなり、顔色は真っ青だというのに額からは大粒の
汗を流すという真逆の状態を器用にこなす。
丑嶋は今にも気絶してしまいそうな柄崎をただジッと見つめる。よく視線が突き刺さると
いう比喩があるが、まさに柄崎の心の中の罪悪感には丑嶋の強い視線が突き刺さった状態だ。
もういっそのこと、本当に土下座して誤ってしまおうか。だが、土下座したところで「飲
め」と言う命令は覆らないだろう。柄崎は深呼吸すると、床に座った。そして、恐る恐る
わざわざご丁寧に自分の前に移動された媚薬入りコーヒーのカップを手に取った。
けれど、手が強張って動かない。
ギクシャクと出来の悪いからくり人形のように動く柄崎を見かね、丑嶋が珍しく穏やか
で優しい声を出す。
「なあ、柄崎。飲めないのか?何でだ?」
「それは、ですね・・・。そのォ・・・」
「もしかして、何か入れたか?」
「う・・・・・・。はい」
優しい猫なで声がかえって怖く、柄崎は洗いざらい白状してしまい、このコーヒーがどの
ように危険なものかを説明して許してもらおうと腹を決めた。
201:コーヒーを一緒に・・・2 4/9 ◆CPu0lwnplk
10/09/24 01:27:34 X58NEJuU0
一旦手の中のカップをテーブルに置き、胸ポケットに入れておいた媚薬の小瓶を丑嶋に
差し出す。
「これを入れたのか。ふーん、中身は?」
丑嶋は差し出された小瓶を受け取り、マジマジと見てみる。
「中身は今日回収に行った風俗店で貰った、所謂、なんと言いますか、媚薬らしいです」
媚薬、と言われて、丑嶋は天を仰ぐように上を見た。店長に小瓶を貰った時の柄崎と同然、
日常では聞きなれない媚薬という言葉を考え込んでいるようだ。
続いて瓶のふたを開け、匂いを嗅ぎ始めた。すると、すぐ合点が言ったというような顔に
なり、一瞬眉を顰めた。
「媚薬?これが?」
丑嶋は再びカップを持つと、柄崎の手の中に握らせ、残酷極まりないこと結論を口にした。
「媚薬、か。あっそ。良いから飲めよ」
完全に身体窮まった柄崎は、ついにカップに口をつけ、心を無心にして一気にコーヒーを
飲み干した。
コーヒーは砂糖もミルクも入っていないブラックの筈なのに、何故か甘ったるく感じた。
匂いはコーヒーだが、どことなく他の食品の匂いもしたような気がしたが、果たして何の
匂いかは分からなかった。
カップの底には何も残らない程丁寧に飲みつくし、丑嶋に見せるようにカップをテーブル
に置いた。
「飲みました・・・」
すっかり空になったカップを覗き込むと、従順な柄崎に気を良くし、珍しく丑嶋が笑顔を
見せてくれる。
「よし」
にっこり、とか花の咲くような、とか表現することを憚られるニヒルな強面の笑顔だが、
それだけでも柄崎には十分だった。もし柄崎が犬だったら、千切れんばかりに尻尾を振って
いることだろう。
202:コーヒーを一緒に・・・2 5/9 ◆CPu0lwnplk
10/09/24 01:28:17 X58NEJuU0
しかし、褒められたところで、薬を無断で使用しようとした罪悪感はまだあり、丑嶋の笑
顔を直視できない。柄崎は首を曲げ、顔を背ける。
ぎこちない態度の柄崎に対し、丑嶋は笑顔を崩さずに立ち上がる。丑嶋が動いたことで、
柄崎の鼻腔にコーヒーとは別の香りが届いた。キツイ匂いでもないのに、何故か胸焼けする
ような甘い桃の香り。戌亥との秘められた情事の証拠。憎くて、羨ましくて堪らないのに、
丑嶋が衣服にではなく素肌に纏わせた香りだと思うと、それだけで興奮を煽る。すっかり
忘れていた筈なのに、今のタイミングで突然強く感じるようになったのか。
柄崎が再び丑嶋のいる方を向くと、丑嶋は柄崎のほぼ横に床に座り、柄崎の顔を覗き込
んでいた。
「・・・!」
叫び、飛び退き、誤魔化すように笑って済ます。醜い嫉妬と、猛る欲望を悟られないた
めにすべき行動が脳裏に浮かぶ。だが、ただ浮かんだだけだった。
あどけない可愛さなど微塵もない丑嶋の笑顔に魅入られ、柄崎はぬめる様な色欲が足の
爪先からヘソにかけて昇って来るのを感じた。下半身全体がジンとし、体が重たく感じる。
柄崎の理性と倫理と丑嶋に対する純粋な忠誠心が熱を増す下腹部に懸命に叱責を繰り返す。
けれど、心なしかいつもよりも勃起の速度が速いような気がする。やはり、あの媚薬は
本物だったのだろうか。
だとすれば、これ以上丑嶋の傍にいたら不味いではないか。もう柄崎自身の中では、丑嶋に
対する自分の気持ちが単なる尊敬の念ではなく、年々と蓄積してきた恋心だということは
自明だ。それに、戌亥に対するモヤモヤとした感情が嫉妬だと言う事も自明だ。
ならば、このまま丑嶋の傍にいては、いつ感情が爆発してもおかしくないのだ。ましてや、
媚薬が効果を表し始めている今ならば尚更だ。
いざとなれば、丑嶋に力で劣る柄崎が丑嶋を力づくでどうこう出来ることはないのだから
良いのだが、そんなことになって、丑嶋に軽蔑されるのが一番怖かった。なのに、下半身に
集まった血流は一気に性器に流れ込み、硬度を強めていく。そんな最低な自分に嫌気がさし、
落ち込んでしまう。
203:コーヒーを一緒に・・・2 6/9 ◆CPu0lwnplk
10/09/24 01:28:55 X58NEJuU0
丑嶋の方から近づいて来たならば、柄崎が離れれば良いだけだ。柄崎は媚薬を盛ろうと
したことを謝り、何とか丑嶋の許しを得て自宅に帰ろうと思った。
しかし、柄崎が口を開く前に、丑嶋の長くて無骨な指が柄崎の手に重ねられ、離すまいと
指を絡めてきたものだから驚いた。
「う、丑嶋!あっ、間違えた、社長っ!何して・・・」
みっともないほど声が裏返り、握られた手には大量の汗が滲んできた。それに比べ、丑嶋の
手は冷たく、スベスベとしている。やはり、予想通りのキメ細かい肌だった。
「柄崎、お前さ、俺に媚薬を飲ませてセックスするつもりだったんだろ?やりたきゃ、やって
みるか?」
丑嶋は柄崎の手を撫でながら穏やかな声で物騒な事を言い出した。突然何を言い出のだろう
か。柄崎は媚薬のせいで幻聴が聞こえたのかと思った。
「社長、本当に今日はこんなことして、どれだけ謝っても許されないかもしれませんけど、
すみませんでした。俺、もうここらでお暇します」
「このまま帰るなんて、お前は馬鹿か?」
甘美な幻聴に勃起した性器がビクリと跳ねる。だが、これは単なる幻聴なのだから。誘惑
されて、のってはならない。だが、幻聴は未だ止まない。
「やりたいなら、やってみろよ。つーか、やれよ」
柄崎は丑嶋の口の動きを見る。口の動きと、丑嶋の言葉は共通している。どうやら、幻聴
ではないようだ。だからと言って、相手は丑嶋だ。そこらでナンパした奴や、キャバ嬢や、
風俗従業者ではないのだ。お言葉に甘えて、はい、いただきます、といける訳無いではないか。
けれど、さらりとぶつけられた甘美な誘いの言葉を避けきれず、真正面から喰らってしまっ
た柄崎はもうフラフラだ。それに、媚薬のせいかもしれないが、先程から心臓が早鐘を打ち、
呼吸は苦しくなるほど浅くなってきている。
「しかしですね、この件に関しましては全て俺が悪かったんですし、いくら何でも、その気
のない社長をどうにかするのは・・・」
204:コーヒーを一緒に・・・2 7/9 ◆CPu0lwnplk
10/09/24 01:31:12 X58NEJuU0
柄崎は言い訳の言葉を紡ごうとしたが、ふいに重ね合わせられていた丑嶋の手が移動し、
胡坐をかいている柄崎の股の間に来たので、ついに押し黙ってしまう。直接触られたのでは
ないのに、腰を前に突き出せば熱くなった性器の先端が触れてしまいそうな場所に丑嶋の手
があるというだけで、根深くある倫理感、罪悪感などの多くの想いの中から、「誘われるが
ままにセックスしたい」という肉欲だけが他を押しのけて前に出てくる。
しかし、しかし、と柄崎の頭の中では壊れた蓄音器のように言い訳が零れる。やりたくて
仕方がないのに、どうしても前に踏み出せない。もしかしたら、丑嶋はこのような逼迫した
状態を利用して、柄崎の忠誠心を試しているのかもしれない。普通ならそんなことは考えにも
及ばないのだが、丑嶋はそれぐらいのことを平気でやってのける冷静な男だ。
第一、先ほど言い訳したように、媚薬という卑怯な手がばれてしまった今や、冷静な男、
丑嶋を抱く理由などなくなってしまったのだから。嘘か誠か分からない口先だけの誘いの
言葉に釣られ、丑嶋に「この程度の男か」と低く見られるのは悲しすぎる。どうにかした
いのに、どうしたら良いのかは出口が分からなかった。
柄崎が混乱で顔を真っ赤に紅潮させ、目をキョトキョトとする柄崎に対し、丑嶋は半分
呆れていた。本物か偽物かなんて丑嶋にとっては最早どうでもいいことだが、媚薬まで盛
ろうとしたくせに柄崎は手を出してこない。
確かに、正直に言えば、最初は柄崎とセックスしようなんて考えは持っていなかった。
柄崎はあくまで部下だったからだ。かなり以前から柄崎が自分に対して恋心を抱いていた
のは感じていたが、自分から餌を与えてやる気になんてなれなかったのだ。
しかし、いざ柄崎が媚薬を使おうとした事を知ってしまったら、卑怯な手を使われるの
は嫌だが、そんなに追い詰められるほど求めていてくれたのか、とおかしなことに嬉しく
なってしまった自分がいた。調子に乗るから、絶対に言ってやらないが。
205:コーヒーを一緒に・・・2 8/9 ◆CPu0lwnplk
10/09/24 01:32:36 X58NEJuU0
丑嶋は柄崎の性器が勃起しきっているのを気がついている。今の柄崎は、ギリギリまで
水を注がれたコップと同じだ。愛情、肉欲などの愛しい気持ちは許容量寸前まで溜まり、
表面張力でかろうじて気持ちを溢れさせないように耐え抜いている。角砂糖の一つでも
落としてやれば。きっと水は溢れかえる。でも、与える角砂糖は甘く、解けにくく、重い
物でなくてはならない。
可哀想な程追い詰められた柄崎を鼻で笑い、傍らに置いておいた媚薬の小瓶を手に取った。
中身はあと半分。溢さないように蓋を開けると、甘い匂いがしてくる。
丑嶋は蓋の開いた小瓶を親指と人差し指で摘まむと、下を向いてウンウン唸っている柄崎
の額を瓶の底で小突いた。
「・・・っ!何ですか?」
柄崎はやっと顔を上げた。混乱のせいで眼には生理的な涙が滲んでいる。涙と爆発せん
ばかりの肉欲との戦いで眼は霞んでいる。
霞む視界には丑嶋が媚薬の入った小瓶をぶら下げている。何をしているのだ、と首を捻る
と、何と丑嶋は媚薬の入った小瓶に口をつけ、あろうことか中身を呑み込んでしまったでは
ないか。
「えっ?」
柄崎の目の前に空になった小瓶が置かれた。中身は当然ながら、小瓶から丑嶋の体内へと
注がれた。飲んだ直前だから、恐らくまだ食道あたりだろうが、飲んでしまったのは間違い
ない。
何て事をするんだ、と柄崎は唖然とするやら、丑嶋の体を心配するやらで、呼吸さえも
忘れて丑嶋を見つめた。
厚い唇に少し付いた媚薬の残滓が数滴光っている。色艶の良い唇に付いた媚薬を改めて見て
みると、媚薬は薄こげ茶色だったのに気が付いた。
呆けている柄崎に丑嶋の視線が合わさる。丑嶋は空になって邪魔になった小瓶を手で払うと、
胡坐をかいて座っている柄崎の足を跨いできた。
206:コーヒーを一緒に・・・2 9/9 ◆CPu0lwnplk
10/09/24 01:33:28 X58NEJuU0
至近距離で丑嶋に触れ、柄崎は逃げようとする。ちょうど股の上に丑嶋がいる為、尻の谷間
に勃起した性器が当たる体制になってしまうのだ。不味い。もう完全に不味い。媚薬と、刺激
的すぎる体制にこれだけで射精してしまいそうに興奮してしまう。
ところが、丑嶋が上に乗っているので思うように逃げれない。ただ肩を左右に振り、少しだけ
だが床につけた脚をバタつかせることしか出来ない。
丑嶋は往生際の悪い柄崎の両頬を両手で挟むと、鼻と鼻が触れ合いそうな距離に自分の顔を
近づける。最早、首を曲げて視線を反らすことも敵わない。かと言って、目をつぶってしまう
には勿体無いと感じる程に丑嶋の眼は穏やかだった。
ついに丑嶋に捕らわれてしまった柄崎は何か気の利いた言葉を言わねば、と思う。だが声帯は
音を出す方法を忘れ、代りに湿り気を帯びた吐息が漏れ、すぐ近くにある丑嶋の唇にかかった。
丑嶋の唇についていた媚薬の残滓は柄崎の吐息に揺れ、数滴の粒は一粒にまとまって唇から滴り
落ちようとしている。柄崎は今にも滴り落ちそうな水滴を舌で舐め、たった一滴だが味わいながら
飲みこんだ。
「やっとその気になったか。この小心者」
丑嶋が楽しそうに言う。柄崎は反論せず、言葉を紡ぐ丑嶋の唇に舌を這わせた。
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
柄崎、へタレ脱却?まだ終わりませんが、続きはいずれ。お目汚し失礼しました。貴重なスペース
をお借りし、ありがとうございました。
207:風と木の名無しさん
10/09/24 02:45:35 fKrqYAVaO
>>198
生殺しすぎます姐さん!
まさに社長を目の前にお預けくらう柄崎の気持ちをリアルに味わわせて頂けて嬉しいやら焦れったいやら…
続きを首長でお待ちしてますm(_ _)m
208:風と木の名無しさん
10/09/24 04:41:55 VRUBUabZO
>>206
ちょっ…!マウンティングポジションな社長にときめいてたら
寸止め…だと…
浴槽に突っ張り棒して続きを待ってますよ~!
209:風と木の名無しさん
10/09/24 14:40:29 43l9/FPDO
>>192
ツンデレイ白爵サマktkr
生放送で萌え録画で萌え、姐さんの投下で3度萌えたよ
ありがとう!!!
210:たぶん全部気圧のせい 前編 1/6
10/09/25 20:04:05 lCoPsCGF0
難局のコックさん改め、シェフ。半生注意です。
ドクタ.ー×仁志村 後、新やん×仁志村。
前者を新やんが見てしまったその後。ぬるいエロがあります。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「仁志村君、楽しいことしない?」
「え、なに?どんな?」
満面の笑みを浮かべて厨房へやってきたドクタ.ーに、うきうき聞き返してしまったのがそもそもの始まりだった。
太陽が姿を見せなくなって2ヶ月。
ドーム藤基地周辺は連日マイナス70℃を記録する夜の世界に支配されている。
のんびり穏やかマイペースの仁志村も、正直かなり滅入っていた。
計画的に仕入れたラーメンを盗み食いされたり、こっそりバターをかじる人間が現れたり。
話すたびにちょっとだけ緊張してしまう、雪氷の研究者であるモトさんには、「飯を食うために南極にきてるんじゃない」
とまで言われてしまった。
悪気はないのだろうが、これにはかなり傷ついた。
仁志村はその飯を作る為に、富士山よりも高く、ウイルスさえ死滅するこの白銀の砂漠にいるのだから。
そんなわけで、仁志村はまんまとドクタ.ーの毒牙に掛かった。
ドクタ.ーの言う“楽しいこと”は、仁志村の予想を遥かに超えたものだった。
「大丈夫、俺、医者だからね。なんかあったらすぐ治療するし。人体のスペシャリストだよ、仁志村君」
「はあ。・・・え、治療?」
「人間、性欲は持ち続けないと。それから何よりね、他人に触れること。これは一番大切。自己処理は勿体無い」
「いや、あの」
「じゃ、試してみようか」
「え、あの、ちょっと、・・・・あっ」
211:たぶん全部気圧のせい 前編 2/6
10/09/25 20:05:39 lCoPsCGF0
・・・・毒牙というほど、悪くはなかった。むしろすっきりしてしまった。
良くも悪くも、仁志村は環境に馴染むのが上手い。
14,000キロの彼方にいる家族の顔を想うと、とんでもないことになってしまったような気がしないでもない。
そして数ヶ月振りの夜明けが訪れてすぐ、悲劇は起こった。
ドクタ.ーと“楽しいこと”をしているところを新やんに見つかってしまった。
口止め料として強請されたいくら入りおにぎりは、不渡りとなった。(おそらくドクタ.ーの所為で)
仁志村は再び気が滅入った。
***
医療棟にあるドクタ.ーの診療室は厨房と違い、きちんと閉まるドアがある。
果たして、ドクタ.ーは全く懲りていなかった。
仁志村もなんだかんだで結局乗ってしまった。
消毒用とも飲用ともつかないアルコールの匂いが漂う室内は、仁志村の荒い息遣いと、体液が交じり合う濡れた音で満ちている。
毎夜ドクタ.ーがマスターに変身する“BARフクダ”のソファ席兼診察台の上、
執拗なほど長い口付けの合間に、仁志村は必死に空気を掻き集めていた。
「仁志村君、慣れて来たじゃない」
上から覗き込まれる笑みを含んだ視線に耐えかねて、仁志村は無言で目を伏せた。
身体の奥できつく擦れる異物の感覚が鮮明になる。
ドクタ.ーの動きに合わせ、下腹部に広がる痺れがより強くなって、眩暈がする。
「随分気持ちよさそうだねぇ」
・・・この人は本当にイイ趣味をしている。
思わず手をあげ顔を覆った仁志村の手首を、ドクタ.ーは笑いながら強引に診察台に押し付ける。
そのまま強く突き上げられて、仁志村は掠れた悲鳴をあげた。
212:たぶん全部気圧のせい 前編 3/6
10/09/25 20:06:30 lCoPsCGF0
背筋に強い痺れが生まれる。
―もう少し。
喘ぎながら、そのまま上り詰める熱を逃そうとすると、図ったかのようにドクタ.ーが動きを緩めた。
駆け上がる快感を引き止められ、取り残されたような浮遊感に不安になって、仁志村は眉を寄せ薄く目を開けた。
ドクタ.ーの肩越しに天井の照明がぼやけて見える。
初めの頃は喉元まで圧迫されるような異物感がひどく、苦しいだけで全く楽しくなかった。
今でも異物感はある。しかし、回を重ねるごとに仁志村の身体に馴染んで、確実に気持ちが良くなっている。
こういう快楽があるんだなぁと、元来淡白な仁志村は他人事のように思う。
平時でさえ淡白だったのに、ドクタ.ーの手を取ってしまうのはなぜなのだろう。
人恋しいから?命に係るほどの寒さ故の本能?(明後日方向なのは置いておいて)
それとも気圧が低い所為なのか。そんなわけはないな、それはむしろ逆じゃないのか。
けれども仁志村は、閉ざされたこの場所で8人の隊員が次々に発情期を迎える様を想像してしまった。
滑稽すぎて、逆に恐ろしかった。
「ほら仁志村君、集中して」
「ふ・・・・あ・・」
挿入の角度が変わり、奥まで突き上げられた身体がたわむ。
診察台が仁志村の下で軋んだ音を立てる。
ドクタ.ーは顔を反らす仁志村の顎を強い力で押さえつけ、酸素を求め開いたままの口腔へ舌を差し入れた。
絡まる舌の動きに混ざり合った唾液が仁志村の喉を塞ぐ。
「ん・・・っ・・」
ただでさえ息苦しいのに、呼吸まで奪われたら本当に死んでしまう。
ドクタ.ーの胸を上手く力が入らない腕でなんとか押し退け、首筋を這い上がる甘い痺れと苦痛に苛まれながら、仁志村は濡れた目を上げた。
「ドクタ.ー、もう・・・」
「もう無理?」
ドクタ.ーは薄く笑いながら、言葉なく首を縦に振る仁志村の腫れた唇を柔らかく噛むと、体勢を変えた。
仁志村の腰がその予感にひくりと反応する。
焦らされることなく与えられる快楽に、すぐに何も考えられなくなった。
213:たぶん全部気圧のせい 前編 4/6
10/09/25 20:08:05 lCoPsCGF0
****
レンズ越しのきつい眼差しが先程からずっと仁志村に向けられている。
右手を怪我した新やんは、モトさんのサポートに付く事ができなかった。
厨房で出来る事もないのだが、先程から作業台に肘をついた姿勢で居座っている。
―やりにくい。
仁志村は針の筵に座っているような気分で、数日前のドクタ.ーとの会話を思い出していた。
『ドクタ.ー、新やんと何か話した?』
渡されたウエットティッシュで情事の残滓を拭いながら仁志村はドクタ.ーを伺う。
もともとこれが聞きたくて、診療室に足を運んだのだった。
『うん、俺を脅すのは百万年早いって事で、いくらは没収しといた』
『それで』
『それだけ』
ドクタ.ーはそっけなくそう言うと、火を点けたばかりのタバコを目を細めて不味そうに吸った。
『それだけって・・・あと4ヶ月もあるのに』
さすがに気まずい。
ここでの生活はまだまだ続く。それなのに、“口止め料”を取り上げた上に、何のフォローもしていないなんて。
ドクタ.ーはどこか寂しげに笑った。
『4ヶ月も、か。前にも言ったけどさ、俺はあと数年ここにてもいいな』
「仁志村さーん、聞いても良いですか」
のんびりと響いた新やんの声に、仁志村は飛び上がりそうになった。
「・・・・なに」
「前、オレが凍傷になったとき、モトさんのサポートに代わりに入ってくれたでしょ。モトさんとどんな話してたんですか?」
「どんな話って・・・・削りだした長細い氷・・・コアだっけ?それの値段とか・・かな」
万が一落したら弁償しろ、と脅された気もする。
「ふうん」
「なんで」
214:たぶん全部気圧のせい 前編 5/6
10/09/25 20:08:56 lCoPsCGF0
「モトさん、結構キツイとこあって、俺、割と落ち込むんですよねー」
「うん」
「いや、すげーいい人なんです。大好きなんですけど、ウチの教授より全然イケてるし」
仁志村も異論はなかった。モトさんはすごくいい人だし、楽しい人だとも思う。
気難しい所が多々あって、機嫌が読みにくいことも沢山あるけれども。
自身の仕事に対する姿勢は、畑違いの仁志村から見ていても格好良い。
生活サポートチームとして同じ隊にいることが誇らしく感じる程に。
「で、モトさんとも、あんなことしてるんですか」
油断していた仁志村は、危うく持っていた包丁を落しかけた。無意識に瞬きの回数が多くなる。
「・・・あんなことってなにかな」
「イチャイチャ、とか。キスしたりと」
「してません」
新やんが仁志村のほうへ身を乗り出す。
「じゃ、ドクタ.ーとだけ?」
「黙秘します」
「俺とは嫌ですか」
「え?」
さらに新やんは仁志村に近づいた。
「俺ともしてください」
仁志村は笑い飛ばそうとしたが、新やんの思い詰めた様な表情を見て諦めた。
新やんはつい最近遠距離恋愛の恋人に振られたばかりだった。
相手の元に駆けつけられないもどかしさを、吹き荒ぶ雪嵐の中で必死にやり過ごしていたのを知っている。
仁志村は少し心配になってしまった。
「自棄はよくないよ、新やん」
「自棄じゃないです。だってオレがモヤモヤしちゃったの、仁志村さんの所為ですよ。あんなやらしい顔してるから」
「・・・インマルサットの鶯嬢はどうしたの」
「それはまた別の話で。つーか先の話で。だから、」
「減るからだめ」
「むしろ減らしましょうよ!」
「やだよ」
215:たぶん全部気圧のせい 前編 6/6
10/09/25 20:10:48 lCoPsCGF0
「おねがいします!」
「はいはい、食事中あぐらかかないようになったらね」
「もうかきません!ぜったい」
「・・・新やん、何言ってるかわかってるの?」
“自分を棚にあげて”、とはっきり顔に書いて新やんはむっと押し黙った。
眩しい程白い包帯が巻かれた右手を仁志村に差し出す。
「わかってます。だって手が不自由なんですよ、仁志村さん」
「反対があるでしょうが」
「いや、俺はこっちって決めてるんで」
「しらないよ。さ、向こうでビデオでも見ておいでよ」
仁志村は一方的に話を切り上げ、調理作業に戻った。
その場で立ち尽くす新やんが視界の隅に入ったが、無視を決め込んだ。
「モトさんに、言っちゃおうかな」
今度こそ高い金属音を響かせて包丁が床に落下した。
どうしてモトさんなんだ。
驚きすぎて包丁を拾うことも出来ず、仁志村は暫く真正面から新やんを見つめてしまった。
新やんは不貞腐れた子供のような顔をして仁志村を睨んでいる。
「冗談、だよね」
新やんは一瞬目を逸らした後、何かを振り切ったような鋭い視線を仁志村へ向けた。
「冗談かもしれないし、冗談じゃないかもしれません」
仁志村の心臓がぎゅっと音を立てて収縮した。
「口止め料はきっちり頂きます。ご存知の通り俺、今、手負いのケモノですから」
やっぱり自棄じゃないか。
可愛い弟分のようだった新やんの豹変振りに、仁志村は文字通り開いた口が塞がらなかった。
気圧か。気圧だな。きっとそうだ。難局の低気圧はきっと何か違うんだ。
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
10レスいってしまうので、ここで中断します。後編につづく。
貴重なスペースありがとうございました。
216:風と木の名無しさん
10/09/26 00:20:18 2WXTFfNH0
>>215
いよ!待ってました!!!
そして続きも待ってますとも!!!
217:風と木の名無しさん
10/09/26 00:38:28 wNZyqtVTO
待ってました2イヤン!
218:風と木の名無しさん
10/09/26 19:25:47 M0re7NH00
URLリンク(ranobe.sakura.ne.jp)
219:風と木の名無しさん
10/09/26 21:32:45 KH/4rHaz0
>>215
まってまーす
220:ヘンリ-とうわさばなし 1/18
10/09/26 22:49:05 DIJoTG/P0
ちょいとスペースをお借りします。
きか○し。ト-マス 擬人化(機関車→機関士)エロ有。
4×3に4←6絡み。6好きな方はスルー推奨でお願いいたします。
以前こちらに投下しました「ゴードンとヘンリーと腕の中のホシ」の引き続き
といっても、前の読んでなくても読めますが。だいぶマイ設定入ってます。
少々長いので2分割で。エロは後半にて。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
噂話はとにもかくにも時間も場所も選ばずに、いつも不躾に舞い込んで来る。
人が集まれば集まっただけいろんなネタがあるわけだけど、中には特にそういったものに好かれてしまう人がいたりする。
彼がそこにいるだけで、彼の名前が出るだけで、新しい噂が次から次へと飛び出してくる。
僕の恋人は今日もまた、噂話の真ん中にいた。
221:ヘンリ-とうわさばなし 2/18
10/09/26 22:50:04 DIJoTG/P0
「なぁヘンリ-、知っているかい? タンク機関車の機関士で一番可愛いって評判のあの子が、ゴ-ドンに告白したらしい」
ジェ-ムスはワクワクが止まらないといった表情で、僕の肩を叩いて言う。
「噂は聞いているけど、タンク機の機関士って女の子はロージーしかいないよね。あの子なの?」
「六号機の子だよ」
「六号って……パーシ-? まさか。男の子だろ」
「そうなんだ。モテるのは相変わらずだけど、まさか男まで落としちゃうなんて、一体どこまで罪作りなんだろうね?」
ジェ-ムスはゴ-ドンと僕の関係を知らない。
ゴ-ドンと僕が男同士でありながら恋人として付き合っていることを知っているのは、年長者のトビ-とその夫人のへンリエッタだけ。
僕らが付き合うきっかけになった出来事に、トビ-が少し関わっていたからだ。
男同士の社内恋愛なんて隠して当然のものだし、何よりゴ-ドンの人気ぶりを考えると、とてもじゃないけど公言するわけにはいかない。
いつも一緒にいる僕らは表向き親友ということになっていて、今のところはそれでなんとか済んでいる。特に噂にされたこともない。
勤務中は仲良くするよりも鼻息荒く言い争っている事の方が多いから、当然の流れなんだろうけど。
「よくもこう毎日、新しい相手との噂が立つもんだよね。でも告白しちゃったなんてのは初めてだろ」
「うん。面と向かって言った子は初めてだね。男の子も……初かな」
「君も寂しくなるんじゃないか? 親友に恋人なんか出来ちゃったら、居心地悪いよねぇ」
「そんな事ないけどね。四六時中一緒ってわけじゃないんだし」
そっけない事を言っておく。食い下がって怪しまれると面倒だし。
「それにまだ、ゴ-ドンが付き合うって返事をするとは……」
OKなんてするはずがないのは判っている。彼には既に僕という恋人が居るんだから。
「いーや、するさ。可愛いからなぁ」
「確かに可愛いけど、それだけでOKするとは思えないな」
「性格もそれなりでしょ。僕ほどじゃないけどね」
よく言うよ、この自惚れやさん。
222:ヘンリ-とうわさばなし 3/18
10/09/26 22:51:49 DIJoTG/P0
「なるようにしかならないよ。僕らが口を出すことじゃない」
「まぁね。でも見てなよ。明日には、溶けちゃうくらいくっ付きあっているかもしれないよ?」
「他人事だと思って……」
意地悪そうににんまり笑うジェ-ムスに呆れた視線を送って、次の仕事のために機関庫へ向かう。
ジェ-ムスはあとを追いかけてきて、まだこの話題を引きずろうとした。ちょっと、しつこいなぁ。
「なんでも、みんなの前で堂々と『好きです。僕と付き合ってください!』って大声で言っちゃったらしいよ」
「だからこんなに噂されているのか」
今回は特に、ソド-鉄道の関係者でこの噂を知らないのはトップ八ム・八ット卿くらいのものじゃないかと思うくらいに、広がりまくっている。
『噂話が広まるのはゴ-ドンの急行より速い』なんて誰かが言っていたけど、ここまで来ると笑い事じゃない。本当にその通りだ。
「そうなんだよ。それでその時、ゴ-ドンがまんざらでもないって顔していたって言うから!」
「……へぇ」
あくまでも噂だ。見てもいないのに、気にすることなんかない。
「あれ、噂をすればだ。それもふたり一緒だぜ」
線路を何本も挟んだ向こうにある建物から、ゴ-ドンとパーシ-が出てきた。
ゴ-ドンは僕らに気付くと、いつもと変わらない様子で手を上げて合図をくれる。ジェ-ムスも僕もそれに手を振って応えた。
ゴ-ドンの後ろで、パーシ-も手を振っている。小さい身体をめいいっぱい、大きく使って。僕から見ても十二分に可愛いパーシ-。悔しいけど二人、絵になるなぁ。
「一便追加になった。帰るのが少し遅くなるぞ」
相当な距離があるにもかかわらず、ゴ-ドンがよく通る声で言う。僕も頑張って声を出した。
「わかった。先に帰って待ってるよ」
もう一度手を振りあって了解したことを確認しあう僕らを見て、ジェ-ムスが僕を肘でつついて言った。
223:ヘンリ-とうわさばなし 4/18
10/09/26 22:53:27 DIJoTG/P0
「でも、一番怪しいのは君なんだよね」
「怪しいって、なにが?」
「実は付き合ってんの? ゴ-ドンと」
「外出なんかに付き合う事は多いよ」
「その付き合うじゃないよ。君がゴ-ドンの恋人なんじゃないの?」
「何処から出てくるんだ、そんな話」
「夕飯はいつも一緒なんだろ。しかも君が作ってるって」
「ひとり分より二人分作るほうが効率がいいんだよ。無駄がなくて安上がりだし」
「そうじゃなくて。なんでわざわざ手料理なのかって事」
「僕の健康管理のためだよ。へンリエッタから自炊を勧められてね。ゴ-ドンが一緒なのはさっきの理由。それだけさ」
「そう? だったら、あの二人がくっついても、ほんとうに寂しくないんだね?」
「……寂しくないよ」
「強がっちゃって」
ジェ-ムスは呆れたように言って僕の肩を叩くと、彼の真っ赤な愛車のほうに走って行った。
その後姿を見送りながら、ため息をつく。
そうだ、強がりだ。
ゴ-ドンの事は信じている。誰に告白されようと、彼が浮つくなんてありえない。
男が男を好きなるって、そしてその想いを伝え合うなんて、生半可な覚悟では出来はしない。それを乗り越えた僕らだもの、多少の事で揺らぎはしない。
でも、誰かと噂になるたびに、誰かと二人だけで居る姿を見るたびに、モヤモヤする。
無駄なヤキモチで生まれる疲労感と、妬いた自分に対する嫌悪感。わずか一瞬の疑心に対する罪悪感。
自分の中にこんなにねちっこくて湿った部分があるなんて、彼の恋人になる前には知りもしなかった。ひどく女々しい性格に、ほんとうに嫌気がさす。
一体いつまで、これからいくつの噂に、悩まされ続ける事になるんだろう。
224:ヘンリ-とうわさばなし 5/18
10/09/26 22:55:00 DIJoTG/P0
今日の仕事は定時で終わり。愛車の点検をして、いつものようにしっかり磨き上げる。それから日報を書いて提出。
着替えを済ませてから宿舎の自室に帰る前に、駅前の商店街でお買い物をする。
ジェ-ムスにも説明したとおり、最近は自分の健康管理のために、自炊をすることにしている。
新婚気分を味わっているわけでは、決してなくて。
ゴ-ドンと僕が付き合いだした頃の事。愛車の不調のストレスと整備疲れがたまった僕は、食事が全く喉を通らなくなった。
食べない日が何日か続くと、このまま何も食べなくても生きていけるんじゃないかと思うようになるんだ。
水分さえ取っていれば動けてしまうから、お腹も空かないし、食への欲望が全く出なくなる。
でもそれから、頻繁に貧血を起こすようになった。そして、ついに倒れた。
それを助けてくれたのがゴ-ドンとトビ-で、そのときのある出来事をきっかけに僕らは恋人になった。
後日事情を知ったへンリエッタから勧められて、彼女の助力を受けながら自炊を始めた。
無理せずに食べられる量を、毎日きちんと摂る。独りだと不精してしまうからと、ゴ-ドンが付き合ってくれた。
それからは、夜行や早朝便なんかで時間が合わないとき以外は、毎日僕の手料理。
始めてみると意外と料理が楽しくて、食べてくれる人がいるのも嬉しくて、驚くほどの成果を挙げた。
気付けばレパートリーもかなり豊富になったし、彼の好みも完全に把握した。
長い絶食でガリガリに痩せていた身体も今ではだいぶふっくらして、お腹周りがちょっと心配になってくるほど。
顔見知りになった商店街の人たちにすすめられたら、あっという間に買い物籠は旬のお野菜や新鮮なお魚で一杯になる。
今日は安くて良いものが沢山手に入った。気分がいいから、ゴ-ドンの大好きなものを沢山作ってあげよう。
225:ヘンリ-とうわさばなし 6/18
10/09/26 22:57:13 DIJoTG/P0
夕飯の準備はばっちり。お風呂も済ませて、ベッドを整える。
男の単身部屋に似つかわしくないダブルのベッドに洗いたてのシーツを被せて、枕をふたつ並べて置いた。
一緒に眠る機会が増えたから、成人の男二人でシングルベッドはさすがに辛いって、二人で買ったダブルのベッド。
みんなにバレないように運び入れるのに苦労したんだ。独り住まいでこの大きさは、あまりにも不自然だから。
でも実は、この上で肌を重ねたことはまだ数えるほどしかない。
この宿舎の壁は結構薄くて、隣の部屋に音が漏れてしまうことが時々ある。
普通の会話なら漏れはしないけど、どうやら僕は事の最中の声がわりと高くて大きいようだから、きっと確実に聞こえてしまう。
僕の部屋の両隣はジェ-ムスとゴ-ドン。問題はジェ-ムスだ。噂好きの彼に聞かれてしまうと、色々困る。
それはゴ-ドンだって同じ考えのはずで、だから今まで、みんなが仕事に出かけている日中や、ジェ-ムスが夜勤の日以外の行為は避けてきた。
寄り添って眠るだけの愛の巣。それでも、独りじゃないならいい。
仕事の都合で離れて眠らなくてはならないとき、広い広いベッドの上で独りぽつんと眠るのは、孤独でとても辛い。
一度だけ、独りは嫌だって、離れて眠るのは寂しいと言って駄々をこねたことがある。
次の日に、彼は大きなくまさんのぬいぐるみを抱えて帰ってきた。抱えるものがあれば少しはマシだろうって。
それでもやだって泣いた僕を優しく抱いてくれたけど、彼が本当に困っていたから、それからはわがまま言わずに独りに耐えた。
寂しくなったらくまさんを抱っこ。それがこの部屋で過ごす時の癖。
自分の部屋なのに独りで居られないなんて……変な癖ついちゃったな。
ふと時計を確認する。
「遅いな……ゴ-ドン」
増えた仕事が一便だけなら、もう帰ってもいいはずなんだけど。また追加があったのかな。
もう少し独りで待たなくてはならないらしい。今日もいつものようにくまさんを抱きかかえて、だだっ広いベッドに独り転がった。
226:ヘンリ-とうわさばなし 7/18
10/09/26 22:59:56 DIJoTG/P0
しんとした静けさが耳に痛い。自分の心臓の音だけがやたらと大きく響く。
どくん、どくん、どくん……心臓ってこんなに大きな音を立てて動くものだったっけ?張り裂けそうなくらい大きな音。
一定のリズムを乱すことなく刻まれるその音に集中すると、指先がピリピリとしてきた。
身体の奥の奥の、真ん中の部分が握りつぶされるようにきゅっと傷む。
ここのところ体調はいいはずなのに、ご飯もちゃんと食べているのに、また貧血?
おかしいな。なんなんだろ?落ち着かなくちゃと思って深呼吸をしたら、息を吐くと同時に涙が溢れた。
寂しいからって、泣くか、普通?男だろ。
もうすぐゴ-ドンが来てくれるんだから。追加の仕事を終わらせて、お腹空いたって言いながら。それまでの我慢。
大丈夫。独りじゃない。この子がいる。ゴ-ドンがくれた、くまさんがいる。
いつからだろう、この子の存在に頼り始めたのは。この布と綿の塊が、唯一、縋りつけるもの。
いつまで、この子に頼らなくちゃならないの?
ゴ-ドンの気持ち次第では……これからも、ずっと?もし彼が、パーシ-を受け入れてしまったら……。
ありえないことだと判っていても、恐ろしいくらい不安になる。だってもう完全に、心も身体も離れられなくなってしまっているから。
早く会いたい。早く触れたい。この冷たいぬいぐるみじゃなくて、暖かいゴ-ドンに。
どくん、どくん……
僕の中で鳴り続ける鼓動、その音だけを残して、次第に他の感覚がなくなっていく。
意識が朦朧としてきた。痛みもなくなった。
どくん、どくん、どくん……かちゃ……どくん、どくん
ただひたすら事務的に刻まれていく音に、違うものが混ざる。なんだろう?
どくん、どくん……ぱたん……どくん、どくん
まただ。あぁもう邪魔しないで。
ゴ-ドンが来てくれるまで、くまさんと二人で待っていなきゃならないんだから。うるさくしないでよ。
腕の中で何かが動いた。するりとすり抜けようとする感覚に気付いて、手を伸ばして縋りつく。
やめて、逃げないで。……盗らないで。捕まえようともがくけど、手応えがない。
なんで居なくなるの?なんで置いていくの?独りにしないでよ……!
227:ヘンリ-とうわさばなし 8/18
10/09/26 23:02:13 DIJoTG/P0
襲ってくる喪失感から逃げ出したくて、夢中で手探りした。何度掴んでも空を切るだけ。探しても探しても見つからない。
絶望に似た感情が沸きあがってきた。怖い……独りは怖い。
いやだ!助けて、ゴ-ドン!捨てないで……置いていかないで。帰ってきて……!
「うぁあああああぁああ!!」
うるさい、誰の声?僕?叫びたくなんかないのに、叫んでいるの?やめて、止まれ、止まって……!
突然、身体が強い力でぐっと包み込まれた。直後に聞こえた声に、意識を揺さぶられる。
「……リー! 起きろ! 目を覚ませ、ヘンリ-!!」
「あ……」
一気に、失っていた全ての感覚を取り戻した。指先の痺れも、胸の痛みも、頬を伝う涙の感触も。
そして、腕の中から消えた存在と、換わりに僕を包み込んだ腕の暖かさを認識する。
「………」
声が出ない。身体が震える。心臓の音は、もう聞こえない。
「ヘンリ-、もう心配ない。俺だ、ゴ-ドンだ。わかるな?」
「……ゴ-ドン……」
「あぁ、俺だ。……今帰った。遅くなってすまない」
「……」
確かに、ゴ-ドンだ。彼の事を確認した途端、どっと疲労感に襲われた。肩口に顔を埋めて、身体の全てを彼に任せる。
「もう大丈夫だ。何処にも行かない」
「……?」
「だから泣かないでくれ。捨てたりなんかするもんか……!」
身体が痛いくらいに力強く、抱きしめられた。ゴ-ドンの声が震えている。何があったんだろう。
かろうじて動かせる左腕をゴ-ドンの背中に回して、掌でぽんぽんとする。
「……どうしたの?」
「お前がうなされていた。泣いていたんだ」
「僕が?」
「寂しかったんだろう。ごめんな」
「……うん」
228:ヘンリ-とうわさばなし 9/18
10/09/26 23:04:25 DIJoTG/P0
肩越しに見えた枕元にくまさんが居た。投げ出されたようにおかしな姿勢で転がっている。
なんであんなところに?くまさんのほうに伸ばせる限り手を伸ばすと、ゴ-ドンが声を荒げて僕の腕を乱暴に掴んだ。
「! あんなものの相手をするな!」
不意に腕を曲げられて肩に痛みが走る。
「痛っ」
「っ、すまん! ……もうあれに触らないでくれ」
「どうして?」
「お前があれを抱いているところを見たくない」
「君がくれたんだよ」
「そうだ。だが、ここまであれに依存するとは思わなかった」
「依存なんかじゃ……」
そりゃぁ、頼りにはしているけど。君がいない間、慰めてくれるから。
そもそも、君が早く帰ってきてくれれば寂しい思いすることなんてないんだけどね。
なんでこんなに遅かったんだろう?追加が一便だけならもっと早かったはず。
「ねぇ……追加の仕事って何だったの?」
「……クロバンズゲートからナップフォードまでの定期便だ」
それは多分、十八時にクロバンズゲートを出る普通客車便のこと。スカ-ロイたちの鉱山鉄道との連絡便で、その区間限定の便としてはそれが最終になる。
でも、それを牽いて今の時間?時計の短針は、もうとっくに十の数字を超えている。
聞かなきゃよかった。ため息をつきながら、頭をゴ-ドンの肩口に戻す。
腕、離してくれないかな。握られた部分が痺れてきた。さっきからずっとピリピリしている指先も加えて痛みを増してきたみたいで、少し辛い。
「……パーシ-のところに寄っていた」
「!」
全身から血の気が引いた。とっさに両耳を手で塞ごうとしたら、握ったままの腕がまた強く引かれる。
ありったけの力で逆らうけど、ゴ-ドンに敵うわけはない。たやすく引き剥がされた。
腕が痛くて、胸の奥が握りつぶされるような圧迫感に襲われる。止まりかけていた涙がまた溢れ出してきて、どうしようもない。
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
今半分、止められる前に中断します。続きは、後ほど。
229:風と木の名無しさん
10/09/26 23:24:12 YMedNfF90
支援
230:風と木の名無しさん
10/09/26 23:30:02 snNe9PME0
>>220
うわああああ続きが気になるうううう
全裸でお待ちしてますのでどうか風邪引く前に続きを……!
231:風と木の名無しさん
10/09/26 23:48:03 11cenOQE0
>>215
既に萌え死にそう…おまちしています
232:風と木の名無しさん
10/09/27 00:18:36 MbXwbAoIO
なんなんだこの焦らせ祭りはww
233:ヘンリ-とうわさばなし 10/18
10/09/27 01:12:55 EypgH9Dp0
日付が変わったので改めまして、>>220-228の続き行きます。
支援と米ありがとうございます。よろしくお願いします。
読み返して気付いた……エロ少なっ
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「聞いてくれ」
「聞きたくない!」
「聞いてもらわなくちゃ困る」
「困らないよ! 言い訳なんか聞きたくない!」
「言い訳じゃない」
「パーシ-の所に寄って遅くなったんだよね、わかったから、わかってるから! 離してよ」
「寄る必要があったんだ、どうしても」
「寄っちゃ駄目だなんて、言ってない」
「だったら聞け!」
「やだ……聞きたくないよ……」
「話をしてきた。断ったんだ、付き合えないと」
「! ……どうして」
「どうしてって……俺にはお前がいるじゃないか」
「……パーシ-は、いい子だよ。僕なんかより、ずっと……」
「そうだな。お前みたいに泣いたりせず、真剣に話を聞いてくれた」
「……」
「あいつの場合はな、勘違いだ」
「……勘違い?」
「憧れと恋心を混同してしまっていた。話し合ったらわかった。納得してくれたよ」
「憧れていただけ……ってこと?」
「そうだ。心や身体を求められたわけじゃない」
「……最悪だ、僕」
「まったくだ。ぽろぽろ泣きやがって。俺を疑ってんのか?」
「疑ってなんかないよ! 信じてる! ……ただ……」
「ただ?」
「噂が多すぎて……イライラする。辛いんだ」
234:赦される為の罰 1/4
10/09/27 01:13:39 qhuXS7sYO
浄化ー。盾×駆動。ぬるいエロばっか。両方とも座位。前半は対面です。3話以降、6話前です。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
駆動の頬を伝うそれが汗なのか涙なのか、触れたところでわかるわけもないのに、
盾は思わず紅潮した駆動の頬に右手を滑らせた。
駆動は潤みきった眼差しを盾に向けると、甘えるように頬をこすりつけた。
「んぅ……」
鼻にかかった甘い声と吐息を隠すこともせず、駆動は盾の膝の上で腰をくねらせる。
盾は冷静な視線に時折快感を走らせながら、駆動の痴態を見つめていた。
制裁を終えた後、駆動はいつも盾を求めてきた。
何かに突き動かされるように性急に口付け、それをしなければ
死んでしまうとでも言わんばかりに切実な様子の駆動を盾は拒まなかった。
「あぁっ、あぁっ、すげ、いいっ…」
盾の肩に爪を食い込ませ、駆動の薄いからだがのけぞる。
盾は呼吸を読んで下から突き上げてやる。駆動の声に泣きが混じりだし、限界だと伝えてくる。
盾は躊躇うことなく駆動のそれに手を伸ばし、促してやりながら
先端部に親指の爪を立てた。
その瞬間、駆動は目を見開き、直後にかすれて艶めいた悲鳴をあげながら達した。
上体を倒し、盾に体重を預け、目を閉じて荒い息をつく。
盾が耳元に口付けると、それに反応してひくりとからだを痙攣させた。
235:ヘンリ-とうわさばなし 11/18
10/09/27 01:14:22 EypgH9Dp0
「聞くたびにこうなのか」
「今回は、特別、だけど……」
「まったく……身が持たないぞ。少し割り切れ」
「……うん」
「相手には困らない俺様が、何故お前を選んだのか……少し考えろ」
「…………」
「自分の魅力に自覚はないのか」
ゴ-ドンは明らかな呆れ顔。今思えば彼が僕の何処を好きになったのか、聞いた事が無い。
最初に繋がったのは身体から。いきなり強引に奪われて、その時は本気で殺意すら覚えた。
でもその後、心から僕の全てを欲していたのだと聞かされたら、意外なほどすんなりと彼の行為を受け入れてしまった。
なにより僕もゴ-ドンの事が好きだったから、好きな人から本気で求められれば、拒絶する事は叶わなかった。
それに乗じて彼を自分のものにしてしまおうと、我ながら随分無茶な理由で言いくるめて、この関係になだれ込んだんだ。
全てが都合よく上手く進みすぎたせいで、好きになったきっかけや相手に求めているもの、それらを語り合う事のないまま、今に至る。
ひとつだけ、彼を惹き付けているのが確実なものといえば……
「……身体?」
「否定はしないが……」
力強い腕に支えられて、僕の身体が横に寝かされる。枕の上にきちんと置かれた頭の横に、くまさんが転がっていた。
僕が手を伸ばすより早くゴ-ドンの手がくまさんを鷲掴みに持ち上げて、ベッド脇のサイドボードに背をこちらに向けて座らせた。
そっぽ向かせたりして、これからする事を見られないように……って、ぬいぐるみ相手に?
僕を気遣ってそうしたのだろうけど、時折垣間見えるゴ-ドンの幼さがとても可愛く思えて、つい笑いがこぼれる。
「……なにがおかしい」
「見られるのが恥ずかしいの?」
「そんなんじゃない。独り占めしたいんだ。見られるのも気に食わん」
「ぬいぐるみじゃないか。……君って意外と可愛いところあるよね、ゴ-ドン?」
「言ってろ」
身体全体に、慎重にふわりと重みが掛けられる。彼の唇と僕の唇が触れそうになった瞬間、ふと、大事な事を思い出した。
「ごはん! 食べる?」
「! ……なんだいきなり」
「晩御飯だよ。まだなんだろ?」
「後でいい。先にお前を食べたい」
「遅くなるよ」
「欲しいんだ。今すぐ」
236:風と木の名無しさん
10/09/27 01:18:36 EypgH9Dp0
あ、かぶってるんで、自分は後からまた改めます。
>>234さん、どうぞ
237:風と木の名無しさん
10/09/27 01:19:26 qhuXS7sYO
わー、間が悪いな私。待ちますね。
238:赦される為の罰 2/4
10/09/27 01:26:42 qhuXS7sYO
普段ならそこで盾も達し、からだを離していつもの2人に戻るのだが、今日は様子が違った。
盾はいつもは無意識に触れずにいる、駆動の背に貼り付いた傷痕に手を伸ばした。
事後の疲れでうっとり目を閉じていた駆動は反射的に離れようとする。
「なっ…にすんだよ」
盾の意図がつかめず、困惑したひどく気弱な声を上げた。
「君は、罰を受けたいんだろう。制裁を終えると必死に俺を求めてくる。
まるで自分の罪を知る者に傷つけられようとするかのように」
駆動は盾の囁くような、男性にしては線の細い声に急所を突かれたように黙り込む。
「ちが……、俺、そんなつもりじゃ……」
おどおどと子供のように怯えたまなざしに、盾は
『ああ、彼はいつも父親にこんな顔をしていたのか』
と胸の奥を痛ませた。だがそれは一切表情に出さず、温度のない視線を駆動に当てる。
駆動から目をそらさぬまま、盾は駆動の傷痕にじわじわと爪を立てた。
239:赦される為の罰 3/4
10/09/27 01:28:56 qhuXS7sYO
ひび割れ、くもった鏡にさえ、駆動の泣き顔はしっかり写り込んでいた。
盾は駆動を背後から犯しながら、そのほっそりした手で駆動の髪を掴み、
鏡の中を見るよう駆動に要求した。
「な…んで、んな、ひでえことすんだよ…」
「ひどい?君が望んだことだろう?お望み通り、
徹底的に俺が君を傷つけてやる」
「そんな、こと、俺、いつ言ったよ…?あ、くるし……」
駆動は快感と苦痛と恐怖に混乱し、そこから逃れようと身をよじった。
「弱くて、無力で、惨めな情けない自分。どんな気がする。今こんな目に遭わされて」
盾は吐息一つ乱さず、追い詰めるように駆動を苛んだ。
「わっ、かんねえ、よ。も、やだ…やめてくれよ…」
突かれるごとに声を漏らしつつ、駆動は震える声で訴えた。
「そんな自分は嫌いか?駆動…」
髪から手を離し、背中の傷痕を撫でながら盾が囁きかける。
駆動は涙を両目からポトポトこぼし、いやいやをするように首を振った。
「でもね、駆動。俺は君が好きだよ。君を裁くのは俺だ。俺だけが君を傷付ける。
君は気が済むまで泣けばいい。どんなに泣いても、俺は君を笑わない」
恐怖にこわばっていた駆動の表情が、みるみる和らぎ、紛れもない快感に彩られ始めた。
そして絶え間ない嬌声がこぼれ出す。
それから2人は無言で快楽を追い始めた。
240:赦される為の罰 4/4
10/09/27 01:31:12 qhuXS7sYO
「あー、腰いてえ…」
鑑識部屋で駆動に恨みがましい視線を向けられても、
盾はいつもの調子でマグカップを口元に運んでいる。
「んー?もうそんなトシなの駆動くん。若いのに大変だねえ…」
「若くないのにムチャする誰かさんのせいなんだけど。ね、責任とってくんない?」
「責任?どうやって?」
カップを口元で止めて盾はキョトンとした顔をする。
おっさんのくせに可愛いなんてずるい、と駆動は心の中で毒づきながら、盾の耳元に口を寄せた。
「明日、盾さん家に泊めてよ」
何を言われるやらと内心ビクビクしていた盾は、その可愛い要求に微笑み「そんなことならお安い御用だよ」
と請け合いコーヒーをすすった。
駆動はニカッと笑い、今度は俺が盾さんいじめる番ねと告げた。
盾の口からコントのオチのように、コーヒーが霧状に吹き出された。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
すみません、ベタな展開+オチで。しかも間が悪くて。
241:ヘンリ-とうわさばなし 12/18
10/09/27 03:49:47 EypgH9Dp0
再び改めまして。>>235の続き参ります。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「仕方ないなぁ……晩御飯を入れるスペース、ちゃんと残しておいてよね」
「心配するな。いくら食っても食い足りないよ」
ゴ-ドンが笑った。僕の頬を撫でながら、唇を重ねてくる。
大きくて強いゴ-ドンも、唇はとても柔らかくて暖かい。その暖かさが心地よくて、全身に安堵感が広がった。
帰ってきてくれたんだ。僕のところに。そう思うと、やっと、ゴ-ドンに触れることが出来ている実感がわいた。
二人を隔てる邪魔な服がゴ-ドンの巧みな手捌きで抜き取られると、触れ合う素肌の感触が気持ちよくて、少しだけ身体を動かして肌と肌を摩り合わせた。
お互いの胸に二ヶ所ずつ、小さく硬くあたる部分がくすぐったくて少し恥ずかしい。
それに気付いたゴ-ドンが、僕の胸に掌を当てて硬い部分を転がした。チリっと痺れに似た痛みが身体を貫いて、小さく声が漏れる。
いつのまにやら僕の身体は感度が上がって、完全に食べ頃になっている。
彼の唇は僕の耳に移り、舌先で耳に軽く触れながら、熱い吐息混じりに囁きかけてきた。
「もう気持ちよくなってきたのか」
「……うん」
「自分で魅力だと言うだけのことはあるな。いやらしい身体だ」
「いやらしいのが嫌いなら、食べなくてもいいんだよ」
「好き嫌いはしないんだ」
「明日のごはんはホワイトアスパラのフルコースだね」
「……緑のにしてくれ」
「白いのも、美味しいのに……んっ」
ゴ-ドンの手が胸からわき腹へ、更に下へと降りていき、妙に熱っぽい足の間に滑り込む。
僕が間違いなく男なのだと主張するそこに手が触れると、さっきよりも更に強い衝撃が走った。
既に緊張しきったそこを解きほぐすようにやさしく摩られる。摩られれば摩られるほど、かえってガチガチに凝り固まっていく。
容赦なく襲い掛かってくる快感に必死に抗うけれど、不意に胸の上で硬くなっているところを啄ばまれて、一気に堰が切れてしまった。
「んっ! ……ぅあ……っ!」
この部屋ではご法度の喘ぎ声。
一瞬だけ、隣室のジェ-ムスの存在が頭をよぎる。今日の彼は夜勤ではない。多分、部屋に居る。
でも一度声を出してしまったら、もう止められない。止める気になんてならない。
242:ヘンリ-とうわさばなし 13/18
10/09/27 03:50:39 EypgH9Dp0
声は美味しく食べてもらうための調味料だから、出来るだけ色濃いほうがいい。
ゴ-ドンの手や舌の動きに合わせて、身体が敏感に反応する。彼が触れる場所全てが気持ちよくて、全身が熱い。
「あんっ……あっ、はぅ……んっ」
足の間に鈍い痛みが走って、直後に更に強い快感が、お腹の底からじわりじわりと湧き上がってくる。
くちゅくちゅとソースをかき混ぜるのに似た音と、ちゅっちゅっと吸い上げるような音が室内に響いて鼓膜をくすぐった。
頭の中が真っ白になって、あっという間に何が何だかわからなくなる。
「あっ、あっ……んっ、ぁっ!」
足の間はとても熱い。けれど、急激に寒気を感じた。またあの恐ろしい感覚が戻ってきた。強烈な孤独感に胸が締め付けられてひどく痛む。
ゴ-ドンに触れられている、その感触は確かにあるのに、実感がひどく薄い。温もりを求めて伸ばした腕が、虚しく空を切った。また、何も掴めない。
「ゴ-ドンっ! ……どこ? ……ごーどん……!」
力が抜けてベッドに落ちかけた腕が、途中で受け止められた。
「ここだ、大丈夫。……離さない。何処にも行かない」
ふわりと身体を包み込む確かな温もりを感じて、胸の痛みが和らぐ。同時に、涙がどっとあふれ出してきた。
「……ゴ-ドン、よかった。ゴ-ドン!」
「ずっと側に居る。だから泣くな」
声がとても優しくて、言葉が発せられる度に耳に当たる吐息が熱い。
「ずっと、ずっと一緒だ。ヘンリ-」
「うんっ……うん、ゴ-ドンっ! 一緒、に……んっ……うぁっ」
引き裂かれるような異物感が、お腹のそこのほうから身体の中へと突き進んできた。
一緒どころじゃない、溶け合って同化するようなこの感じ。迫り上がってくる鈍い快感に、頭の中がかきまわされていく。
もう二度と離れないようにゴ-ドンの身体に必死で縋りつきながら、夢中で彼の名前を呼んだ。
「はっ……んっ、ゴ-ドン、ゴード……ンっ! あんっ、あっ……ゴー……ド、ン」
「くっ……ぅっ……ヘンリ-……っ!」
呼び返してくれるゴ-ドンの声も、段々荒くなってくる。
小刻みに激しく突き上げられる振動とゴ-ドンの吐く息のリズム、僕を呼ぶ声と僕の声が不思議と調和して、ぼんやりした頭の中に気持ちよく響いた。
「ヘンリ-……ヘンリ-!」
243:ヘンリ-とうわさばなし 14/18
10/09/27 03:51:58 EypgH9Dp0
「はっ、はっ……あんっ、ゴー……ドンっ! あぁっ、うぁ、あっ……んっ!あっ、あぁぁっ!!」
一段と強い刺激が、頭の先からつま先までを一気に駆け抜ける。
雷に貫かれたような、強い衝撃。それを最後に、僕の意識は完全に途絶えてしまった。
今日もゴ-ドンはいつもどおり。快調に急行をすっ飛ばし、時間通りに駅に着く。
そして僕は、少し遅れる。
「ヘンリ-! また遅れやがって! 何度やったら気が済むんだ、お前は!」
「うっるさいなぁ……。支線が遅れてきたんだよ、これでも随分取り戻したんだから感謝してよね!」
「支線の遅れくらいお前のところで全部取り戻せ! でかい機関車に乗っているんだ、そのくらい出来なくてどうする!?」
「でかいとかでかくないとか関係ないだろ! 安全運転が基本なんだよ!」
「安全かつ時間通り、それが基本だ! それをお前ときたら……」
恒例の口げんかに、駅員と車掌たちは肩をすくめて苦笑い。助手たちはハラハラしながら、お互いの機関士をなだめにかかる。
「鈍行は一区間分の走行距離が短いから、速度が出せないんだ。そう簡単には縮まらないよ!」
「お前に出来ないだけだろうが。俺様を見習って精進するんだな!」
「あぁぁもう! ……そうだね、そうするよ! ぜーんぶ、君の言うとおりです。ハイ」
これ以上言っても無駄。こんなときは大抵、僕が折れて言い合いは終了。
わかったらいいんだ、と言わんばかりの笑みを浮かべて頷くゴ-ドンに生ぬるい視線をちらりとだけ向けて、機関室内の作業に戻る。
僕なんかよりゴ-ドンのほうがずっとずっと腕がいいのは確かだけど、こう毎回やられっぱなしだとさすがに頭に来る。
それに誰かさんのせいで、朝からずっと腰が重いんだ。レバーを握るたび、ブレーキをかけるたびに、身体が悲鳴を上げていた。
「あれが先輩に向かって吐く台詞!? っとにわがままなんだから!」
「俺がいつわがままを言った?」
僕の真後ろで声がする。
いつの間に?ゴ-ドンが、機関室のドアの前に立っていた。
「いつもだろ! 俺様俺様、急行急行って……すっとばせばいいってもんじゃないんだよ」
「生憎すっ飛ばすしか能がないんだ。こんな風にな」
ゴ-ドンが機関室に乗り込んできて、僕の腕を掴む。
やばい、言い過ぎたかな。
244:ヘンリ-とうわさばなし 15/18
10/09/27 03:52:46 EypgH9Dp0
後悔は一瞬。それも、違う意味で。
「なにすっ……んっ……」
腕を引かれ、抱きしめられた。そして、深い、深いキス。助手の見ている前で、容赦なく舌を絡みつかせてくる。
駅員は?車掌は?お客さんは?……他に見られたら大変だ。引き剥がそうと必死にもがくけど、力強い腕はびくともしない。
「んんーっ!……んっ……んぅっ」
こんな状況でも、ゴ-ドンのキスはとろけそうな位甘いから始末が悪い。絡まる舌が気持ちよくて、つい夢中になりかける。
息継ぎのために接続が緩んだその隙に逃げるのも忘れて、流れ込んでくる唾液を残さずに飲み込んで、彼が満足するまでされるがままになってしまう。
「んっ、んくっ……はぁっ」
唇が離れた途端、僕は口を押さえてへたり込んだ。頭がぼやけて、身体に力が入らない。
腰が砕けたってやつ。勤務中なのに……。
「ほら」
座り込んだ僕の膝の上に、紙袋が置かれた。
「本土との乗換駅でよく会う行商の夫人から貰ったんだが」
「……え?」
「例の……白いのだ」
わけが判らないまま、袋の中を確認する。中には季節のお野菜。この色はソドー島ではあまり見かけないけど、誰でも知っているもの。
「あ……あぁ、なんとか、するよ。スープやソースにすれば、緑のと変わらなく食べられるよ」
「そうか、よかった」
ほっと胸をなでおろして笑みを浮かべたゴ-ドンは僕の頭をひと撫でし、何事もなかったかのように自分の機関車へ戻っていった。
立ち上がれず座り込んだままの僕に向かって笑顔で手を振ると、車掌の合図に従って、青い機関車が軽快に走り出す。
「せ、先輩?」
「……誰か、見てた?」
「い、いえ! あ、ぼ、僕だけ、です」
「よかった。……じゃぁ、君も、忘れて」
「え……は、はい!!!」
助手が慌てて作業を再開する。
やられた。不意打ち。あの悪ガキめ……!
掌を当てた額には、汗がにじんでいる。身体が熱い。頭が痛くなってきた。これから、まともに仕事できるかな……。
「へぇ、なるほどねぇ」
「!」
ホームとは逆の方から声がする。聞きなれた、今のタイミングではとても聞きたくない声。
恐る恐る横目で確認すると、見慣れた赤いボディの機関車がいつの間にか隣の路線に停車している。
245:ヘンリ-とうわさばなし 16/18
10/09/27 03:53:30 EypgH9Dp0
よりによって、なんでこんな時に、機関室がぴったり横付くように停めるわけ?
「何か言いたいことはある?」
「……君の予想通りだと思うから、何も聞かないで」
「怪しいとは思っていたけど、まさか本当にその通りだとはね。君が本命じゃ、パーシ-も諦めるしかないね」
噂が広まってしまうのを覚悟した。ずっと必死で隠してきたのに……ゴ-ドンのおばか!
「昨日の晩といい、今といい。ほんっとお盛んだよねぇ、君達は。ネタに困らないよ」
「……きのう…の、晩?……その……」
「最初は君が女を連れ込んでいるのかと思ったんだけどね。名前なんか呼び合うから、すぐに分かった。それにしても意外といい声出すんだね、ヘンリ-?」
「あ……」
最悪だ。
自業自得には違いない。隣室のジェ-ムスが部屋にいるのを承知の上の行為だったんだから。
でもやっぱり、実際に聞こえていたと言われると、どうしようもなく恥ずかしい。同時に、ものすごい後悔に襲われた。もう終わりだ、本格的に。
「……そういえばさ、急行の客車係のアリスのことなんだけど。知っているかい?」
突然、何の話?アリスなんて子、知らない。ふるふると首を横に振る。
「小柄でふっくらしたほっぺが可愛い栗毛の女の子さ。急行の、三等客車に乗っているんだけど。その子がね、ゴ-ドンにぞっこんらしいよ?」
「……え?」
「今度はまた女の子だ。君の旦那様ってほんと、罪作りだよね」
きょとんとする僕を見て、ジェ-ムスがにやりと笑った。
「噂なんてね、根も葉もない奴のほうが面白いんだよ。憶測が憶測を呼んで、枝葉がついて大きくなるのが楽しいんだ」
「それって……」
みんなには言わないでいてくれるってこと?
「今度夕飯おごってくれる? エドワ-ドの分もね。その時に聞かせてよ。馴れ初めとか、夜の話とか!」
「……そのくらいで済むなら」
ほっと、安堵のため息が出る。
「ま。旦那様には噂立てられないように気をつけろって言っておきなよ。人の目は気にしたほうがいいぜ。僕以外にも噂好きは沢山いるんだから」
「そうするよ。……ありがとう、ジェ-ムス」
246:ヘンリ-とうわさばなし 17/18
10/09/27 03:54:41 EypgH9Dp0
「あと、声は控えめにね。まったく、君の声がよすぎて……参っちゃうよ」
「! ……あ……う、うん……」
よすぎるとか……僕の声ってどれだけいやらしかったんだろう……顔が火を吹きそうなくらい熱くなる。
「あはは、耳まで真っ赤だよヘンリ-。助手君、火が強すぎるんじゃない?」
「えっ、あっ、……は、はいっ!」
振られた助手も、真っ赤になってしどろもどろ。もうどうしようもない。
「おっと時間だ。じゃぁ、また後で!」
ジェ-ムスは人好きのする顔に悪戯っぽい微笑みを乗せて、手を振りながら赤い機関車を発車させた。
僕も手を振り返す。彼の愛車の後姿を見送りながら、ほっとため息をついた。この際ばれたのはどうでもいい。噂になりさえしなければ。
ジェ-ムスがフォローしてくれたおかげで、幾分具合がよくなった気がする。ぼやけていた頭がすっきりして、なんとか仕事は出来そうだ。
「……ヘンリ-先輩。そろそろ時間だけど、走れますか?」
助手が遠慮がちに声をかけてきた。一連の出来事に気圧されて、畏縮してしまっているらしい。
まぁ、いきなりあんなシーンやこんな会話、彼には刺激が強すぎる。
重い身体をなんとか持ち上げて立ち上がり、頭をわしわしと撫でてやると助手の顔に安堵の色が浮かんだ。
「大丈夫、行けるよ」
「はい!」
助手の笑顔に笑顔を返して、操縦盤のレバーを握る。
車掌の合図を貰ってから、ゆっくりと緑色の愛車を発車させると、助手が火室をいじりながら言った。
「アリスは一ヶ月くらい前に、付き合っていた彼氏と別れたらしいんです」
「へ?」
「新しい恋をしたんですね」
「……厄介な相手選んじゃったなぁ」
「付き合ってる事、後悔してるんですか?」
「僕じゃなくて。アリスが、だよ」
「そうですね。最初から負けてる勝負、ですからねぇ」
「知らないから仕方ないんだろうけど……申し訳ないな」
「でも……噂ですから」
「まぁ、ね」
247:ヘンリ-とうわさばなし 18/18
10/09/27 03:55:33 EypgH9Dp0
なんて、そんな事よりも。今の僕にとって何よりも重大なのは、あの紙袋の中。
ゴ-ドンの苦手なホワイトアスパラ。あれをどう料理しよう?へンリエッタに聞いてみるのが確実かな。
それにしても、あれを食べたときのゴ-ドンの顔。思い出して、思わず笑いがこぼれてしまう。
「どうかしたんですか?」
「いや、何も」
強がりで見栄っ張りな彼のあんな顔、知っているのはきっと僕だけ。
顔も知らない恋のライバル達には悪いけど、ちょっとだけ優越感。
明日の相手は誰だろう。いつかは僕の名前が出てきて、噂が終わる時がくるのかな。
「そうだ。僕らの事は、忘れておいてね。噂になると困るんだ」
「わかってますよ。噂は根も葉もない奴のほうが、面白いですから」
「言うね。……ありがとう」
大きなものも、小さなものも、転がるたびにいろんなものをくっつけて、今日も花咲く無責任な噂。
いろんな噂を背中に乗せて、僕らは今日もしゅっぽしゅっぽと島中を駆け抜ける。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
ヘンリ-兄さんお気に入りのくまさんはディーゼル7101号とは別物です
パーシ-には申し訳ないことをしました。ごめんなさい……orz
きか○しゃジャンルになので衝突事故もネタ的に面白かったw
お目汚し失礼いたしました。
248:兄のいぬ間に 1/4
10/09/27 13:26:15 7XBMfR6W0
数レス失礼します。
CP要素低い&会話文のみですが、お付き合いくださると嬉しいです。
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 超人シリーズ、零→←明日虎
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| ※あの人=ウノレトラマソキングです
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
**************************************************************************************
「じゃあ、行って来る。二人とも、留守を頼むぞ」
「行ってらっしゃい。気をつけてね兄さん」
「(おっしゃあ、修行休み!)気ぃ付けろよ~」
「・・・」
「よし、着いた。早く用事を済ませて戻らなければ」
『今日のニュース!最近各星系で、若者の性の乱れによる問題が多発していますが、
この度総合教育省は・・・』
「悲しい事だなあ・・・地球も今はどうなっている事やら・・・
しかし我々も他人事ではいられないな」
249:兄のいぬ間に 2/4
10/09/27 13:26:55 7XBMfR6W0
「そういえば前から気になってたけど、あんたの左足、何付けてんだ?
特製のアイテム?カッコいいな」
「足枷だよ。以前、故郷を滅ぼした敵に捕まってた事があったんだ。
その時に付けられた物が今でも外せない」
「な!?・・・わ、悪かったな、嫌な事聞いちまって」
「いいよ気にしないで。もうある事に慣れてしまっているからね」
「本当に取れないのか?その鎖」
「色々試して、あの人の力でも外せなかったから、多分もう無理なんじゃないかな」
「いいのか?あんたはそれで」
「兄さんに悲しそうな顔はして欲しくないけど、取れないんじゃ仕方ないよ」
「・・・そんなのやってみなくちゃ分かんねえだろ。俺もやる!あんたの足枷、この俺が叩き潰す!!」
「え、ちょっと・・・うっ・・・い、痛い!!」
「じっとしてろ!何だよ、意外と大した物じゃなさそうじゃん」
「く・・・痛い!ちょっと待てって!う、無理に動かすな!」
「ちょっとの間だけだ!」
「(くそ、いつの間にか逃げられない体勢になってる・・・)」
「取れない・・・引っ張る力が足りないのか?俺が姿勢を変えてみれば・・・おし、今度こそ!」
「こら!!った・・・」
250:兄のいぬ間に 3/4
10/09/27 13:27:34 7XBMfR6W0
「ただいま!二人とも、いないのか?あれ、なんだいるじゃないか」
「ただい・・・」
「ちょっと落ち着け!」
「もうちょっとだ、暴れるんじゃねえ!!」
「!?」
「離せ!ちょっ・・・止めろ!」
「大人しくしてろ!」
「・・・っ・・・あっ・・・」
「!!」
「・・・・・・・・・お、お前は人の外出時に何をやっているんだぁぁぁぁ!!!!!」
「うげっ!?」
「大丈夫か!?」
「に、兄さん?」
「くっそ、いきなり人を怪獣みたいにぶっ飛ばしやがって!何だよ一体!?」
「お前こそ何をしていた!?」
「何って・・・」
「ああ、僕の足枷を外そうとしてくれてたんだよ」
「・・・え?」
「そりゃ、ちょっと・・・いや、大分無理矢理だったけど、いきなりぶっ飛ばす事ないだろ」
「・・・そうだな、す、すまなかった・・・俺はてっきり・・・」
「てっきり?」
「いや、何でもない・・・」
251:兄のいぬ間に 4/4
10/09/27 13:28:26 7XBMfR6W0
「何だったんだよ・・・畜生、頭が飛んでいくかと思った・・・」
「相手の意見も聞かないで力任せに押し切るから兄さんも誤解したんだよ。
(でも何であんなに血相変えてたんだろう?)」
「・・・悪かった」
「いや、ありがとう」
********************************************
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ アリガトウゴザイマシタ!
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
獅子兄さんがちょっとお間抜けさんになってしまった。モウシワケナイ
明日虎が零に指導するところも見たかったなあ
今度の映画も楽しみだ
252:風と木の名無しさん
10/09/27 17:11:42 ZFRT+mse0
支援!
253:風と木の名無しさん
10/09/27 19:12:23 LCn/1nww0
>>251
お師匠さん虎のこととなると必死だなwww
でも萌えましたGJ!
254:風と木の名無しさん
10/09/27 21:42:38 VKf41Pbk0
>>220
続きktkr!
待ってた甲斐がありました、GJです!
255:じゃじゃ馬ならし 前編 1/9
10/09/28 00:04:23 mnp7oewbO
20年位前の時代劇「参匹がKILL!」より、素浪人の殿様×仙石。
包容力ある温厚攻めと年下やんちゃ受けにどうしようもなく萌えて、勢いで書きました。
エロあり、というかほぼエロです。
長いので分けて投下します。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
とっぷりと日暮れて寒さは増し、吐く息は白くなった。暗い山道を進んだ奥に、さびれた小屋を見つけた。
荒れ果ててはいるが、なんとか一夜はしのげそうだと思い、九慈真之介は小屋に近寄った。
すると中から、ほのかに明かりが漏れるのが見て取れた。
先客に交渉しようと、真之介は笑顔を作り戸を開けた。
「ごめん!怪しい者ではない。すまぬが、相宿をお願いしたく……」
「なんだ、仙石ではないか」
「……殿様!こんなところで、どうしたんだ」
「いやあ、あまりにもこの山の紅葉が美しいのでな。見とれていたら、いつの間にか……」
「夜になって、宿に泊まりそこねたか。おぬしらしいな」
八坂兵四郎は、板張りの床に胡座をかいて鷹揚に語り、小枝をぱきりと手折って土間の焚火にくべた。
真之介は笑って腰から刀を取り、兵四郎の隣に腰を下ろした。
256:じゃじゃ馬ならし 前編 2/9
10/09/28 00:05:13 mnp7oewbO
「ところでおぬし、なんか食い物はないか」
「うん。茶屋で買った、豆餅の残りならあるぞ」
「なに!豆餅だと」
「少し、固くなっているかもしれんが……」
「構わん、寄越せ!」
真之介は跳び起き、兵四郎が懐から取り出した包みを引ったくって開け、豆餅に豪快にかぶりついた。
途端に喉に詰まらせてむせ返り、拳で胸をどんどんと叩いた。
兵四郎は笑いながら、竹筒に入った水を差し出した。
「そう慌てずとも、誰も取りはせん。ゆっくり食え、仙石」
「うぐ、す、すまん、こふっ」
咳込みながら水をあおり、なんとか餅を飲み下し一息をついた。
すると真之介はにわかに、手から竹筒をことりと取り落とした。
「どうした?仙石」
「……うわあああぁっ!!」
訝しんだ兵四郎が声をかけると、真之介はぎょっとするような大きな悲鳴を上げた。
「なんだ!どうしたんだ」
「と、取れ!そいつを、取ってくれっ!わああっ」
「取るって、何を……むっ」
ひたすらに怯えた声を上げる真之介の向こうを見やると、そこには鎌首をもたげた小さな蛇が、赤い舌をちろちろとうごめかし、こちらを睨みつけていた。
「なぁんだ、蛇くらいでだらしない。しっかりせんか」
「だ、だめなんだ、そいつだけは、そいつ……うわあっ、こ、こっち、見んなぁ!」
「お、おいおい!仙石っ」
蛇と目が合った真之介が身体を翻し、兵四郎の首にかじり着いてきた。
兵四郎は驚いて離れようとしたが、真之介の腕はがっしりと巻き付き一向に外れない。
257:じゃじゃ馬ならし 前編 3/9
10/09/28 00:06:14 Q70NESdwO
とりあえず元凶を除こうと、兵四郎は右手を伸ばし大刀を取った。
鞘を振り打ち払うと、蛇は土間の隅にぽとりと落ちた。
蛇はしゅるしゅると身体をうねらせて、板壁の隙間から外に出て行った。
兵四郎はふっと息をつき、しがみつく背中に手を添えた。
「おい、仙石……」
もう大丈夫だ、と言おうとして、言葉を止めた。
真之介は目をつぶり、ぶるぶると震えていた。
普段は負けず嫌いで威勢がよく、何者をも恐れず立ち向かう男が、たかが一匹の蛇を恐れて自分に縋り付いている。
兵四郎は急に、年下のこの男がかわいらしく思えてきた。
するとふいに、ちょっとした悪戯心が沸いて来た。
「仙石、動くなよ。蛇はまだ、こっちを睨んでいるぞ」
「う、わ、わかった……!殿様、は、早く、なんとかしてくれ」
「うむ、任せろ。じっとしてろよ」
兵四郎は囁きながら大刀を床に置き、両手を真之介の背中に回した。
さわさわと優しく撫でてみると、真之介はびくんと身体を揺らした。
「殿様?どうしたんだ……へ、蛇は」
「姿が、見えなくなった」
「で、出てったのか?」
「いや、まだ中におるかもしれん。とにかく動くな。いいな、仙石」
「う、うん……」
いつになく素直に従う様子が珍しく、兵四郎はひそかに笑みを浮かべた。
兵四郎は右手を真之介の前にやり、袷から中に忍び込ませた。
ひやりとした平らな腹に触れると、驚いて叫びを上げた。
258:じゃじゃ馬ならし 前編 4/9
10/09/28 00:07:05 mnp7oewbO
「……わっ!と、殿様!?何してる!」
「仙石、身体が冷えてるな」
「や、山道を歩いて来たんだ。そりゃあ冷えるさ……おい、殿様!どこ触って」
「大声を出すな。蛇が、やって来るぞ」
「……!」
蛇と聞いた途端に真之介は押し黙り、兵四郎の肩口に顔を埋めた。
「せっかくだから、手っ取り早く暖めてやろう」
「と、殿様?何を……」
「いいから、じっとしておれ。さもないと、蛇が」
「あ、あいつは、まだいるのか?なあ、殿様……あ、あっ、おい、ま、待てっ……」
兵四郎は真之介の腰を左手でしっかりと支え、腹から胸に右手を這わせた。
耳に息を吹きかけられ、撫で摩る手が乳首をかすめると、真之介は思わずうろたえて叫んだ。
大丈夫だ、と囁きながら、兵四郎は冷たい上体を抱き肌を優しく擦った。
「……殿様、もっ、もういい!じゅ、じゅうぶん、あったまった!」
「いや、まだ冷えておる。それに蛇はまだ、この小屋のどこかにいる。俺から、離れないほうがいい」
「し、し、しかしっ……!」
「いいから。任せておけ、悪いようにはせん」
兵四郎はにっかりと笑い、寒さと蛇への恐怖に強張った身体を抱きすくめた。
ふいに身体の向きを変え、真之介を抱いたまま藁束の上にどさりと被さった。
「と、殿様っ……」
「静かにしておれ。静かにしておれば、いずれあやつは、いなくなる」
低く囁くと真之介の首筋に顔を埋め、ちゅっと軽く口づけた。
259:じゃじゃ馬ならし 前編 5/9
10/09/28 00:08:06 Q70NESdwO
「あ……!な、何をっ」
「おぬしは、かわいいな」
「な!きっ、貴様、ふざけてんのかっ」
「ふざけてはおらん。おぬしは豪快で真っ直ぐな、実に気持ちの良い男だが、なぜか時折無性に、かわいらしく思う時もある。今夜はますます、強くそう思った」
「やっぱりふざけてる。離せ、殿様。もう蛇など、おらんのだろう!」
真之介は兵四郎を引きはがそうと肩を押して身をよじった。
厚みのある身体に体重をかけてのしかかる兵四郎は、笑いながらもがく腕を押さえた。
「いいや、いるぞ。下手に動けば、噛まれるぞ。ほれ、そこに……」
「う、うわっ……う、うんんっ!」
焦って叫んだ口を、兵四郎は自分の唇で塞いだ。
いきなり吸われて舌を深く絡められ、真之介の頭は咄嗟に拒むことも忘れて混乱した。
慣れた調子で口内を暴かれ、たちまち真之介は呼吸を荒くした。
巧みに快感を引き出され、いつの間にか自らも舌を絡めていた。
兵四郎は唇を貪りなが真慎之介の右腕を左手で押さえ、伸ばした右手を袴の紐にかけ器用に解いた。
真之介は長く呼吸を奪われてぼうっとなっていたが、袴をするりと下ろされるとさすがに慌て、強く兵四郎に抗議した。
「おいっ!待て、殿様!お、俺はそっちの気は、ないぞっ」
「安心しろ、俺にもない」
「だ、だったらなんで、俺の袴なんか剥ぎ取るんだっ!女の腰巻きでも、引っぺがして来い!」
「うん。だがな、今はおぬしの袴を剥がしたい気分なんだ。許せ」
「……許せるかぁ!!あ、うわ、よ、よせっ……あ、ば、馬鹿!」
260:じゃじゃ馬ならし 前編 6/9
10/09/28 00:09:03 mnp7oewbO
悪態を気にも留めず、兵四郎は裾から手を差し入れ、真之介の中心を下帯越しに握り込んだ。
ゆるゆると揉んでやると、息を乱して涙目でねめつけ、また罵声を放った。
「と、殿様!馬鹿、馬鹿野郎っ!俺の、そんなとこ触って、な、何が楽しい!」
「それがな、思ったより楽しくて、我ながらびっくりしてるところだ」
「く、くそっ、ふざけ、やがって……あっ!や、や、やめ……」
「まあ、そう怒るな」
下帯をも外され、兵四郎の大きな掌にじかに握り込まれて、真之介の身体からやや力が抜けた。
すかさず肉厚な手が真之介自身を丁寧に扱き、半勃ちだったものは完全にそそり立った。
「ん、んっ、と、殿様……!もう、や、やめて、くれっ」
「今やめたら、おぬしが辛いぞ。いいから、任せておけ」
兵四郎は微笑み、なぶる手を休めず真之介の唇をまた奪った。
息苦しさに真之介が呻くと解放してやり、顎や浮き出た喉仏に口づけて舌でなぞった。
襟を大きくはだけ、胸骨の浮いた胸を撫でて乳首を含んだ。
真之介は身体を跳ねさせ、高くなる声を必死で殺しかすかに喘ぎながら、弱々しく兵四郎の着物を掴んだ。
「う、ふっ……と、殿様、い、やだ……いっ、いや、だ……!」
「安心しろ、仙石。蛇はもうおらん。外に、逃げて行ったよ」
「そっ、そんな、こと、わ、かって、る……うぁ、ん、あ……」
「おぬしはもっと、肉を付けたほうがよいな。腕は確かだが、少し骨が目立つ。ちゃんと、飯を食ってるのか?」
「よっ、けいな……世話だ!うっ、ん……ふ、うぅ」
回した左腕でぐっと肩を抱き寄せ、また唇を吸った。
憎まれ口を叩いた真之介は、だが素直に兵四郎の舌を迎え入れた。
261:じゃじゃ馬ならし 前編 7/9
10/09/28 00:10:04 mnp7oewbO
兵四郎はあくまでも優しく真之介自身をいじり揉みしだき、甘くねっとりと口内をなぶった。
温かな人柄がそのまま表されたような心地良い愛撫に、いつしか真之介は抵抗を忘れ、与えられる快楽に飲み込まれつつあった。
「あ、あっ……との、さ、殿様、も、う、もう……っ」
「仙石、ちょっと待て。どうせだから、もっとよくしてやろう」
「うんっ、あぁ……な、なに、をっ……」
兵四郎は懐に手を入れ、傷薬の軟膏を詰めた貝殻を取り出した。
手早く右手の指に塗り付けると、真之介の脚を大きく開かせた。
「仙石、ちょっと痛いかもしれんが、我慢しろ。すぐに慣れる」
「なん、なんだ、殿様!痛いって、な、なにを……あっ、ひ……あぁっ!」
「仙石、力を抜け」
「う、むっ、むり、無理、だっ……いっ、あぁ、うあ……っ!」
軟膏にまみれた兵四郎の太い中指が、真之介の後ろに侵入してきた。
傷を付けないようゆっくりと慎重に中に埋め込み、そろそろと動かして馴染ませた。
真之介が痛さを訴えなくなったところで、中指を折り曲げ動かして、慎重に内部をまさぐった。
すると硬いしこりが指に触れたので、そこをそうっと押した。
「ふ、あぁっ!あ、な、なん、だっ……あぁ!」
「ここだな」
「あ、あっ、と、殿様っ!や、だ、やめろっ、やめ……うぁっ、は……っ」
「よくないか?仙石、どうだ」
「ば……かっ、馬鹿!ああ、あうっ、ん、ふぅぅ……」
後ろを刺激され、真之介の先端からとろとろと、透明な露が滴り落ちた。
じわじわとうごめく仙四郎の指が与える快楽に、真之介の頭は霞み、高い鳴き声を続けざまに上げた。
262:じゃじゃ馬ならし 前編 8/9
10/09/28 00:11:11 mnp7oewbO
顔や全身を真っ赤に染め、緩やかに首を振り感じ入る様に、兵四郎はたまらない愛しさを覚えた。
そして下腹に熱い重みをずしりと感じ、乱れる真之介をしばし眺めた。
やがて指を引き抜き、肩と腰を掴んで身体を裏返させた。
兵四郎は俯せの真之介に覆い被さった。
上体に纏ったままの着物の襟を後ろに引き、あらわになったうなじに口づけを落とした。
真之介の汗の匂いを感じ、ぺろりと舐め上げるとしょっぱい味がした。
「ふ、あっ……殿様、もう、本当にもう、いい。あったまったから、勘弁して、くれ……!」
「いや、まだ途中だ。もっと暖めてやる。それに俺も、暖まりたくなったのでな」
「え、な、なに……?う、わっ、ま、て、待てっ、殿様……は、あっ!」
剥き出しの肩に軽く歯を立て、無防備に晒された後ろに再び指を突き入れた。
抜き差しすると中はちゅくちゅくと濡れた音を奏で、真之介は藁を握りしめて甘い吐息を漏らした。
兵四郎はもう一本指を増やし、慎重に中をまさぐった。
「……あ!ひっ、だ、だめ、駄目だっ……との、さまっ!」
「大丈夫だ、仙石。力むな、余計に辛いぞ」
前に左手を回し、わななくものをまた揉みしだいた。
すると身体から力が抜け、指は真之介の中にすんなりと入っていった。
「そうだ、いい子だ。偉いぞ」
「ば、ばかっ……!あぁっ、ふぁ、あ、あっ……」
低く響く美声で耳元に囁かれ、真之介はぞくぞくとした快感に包まれた。
263:じゃじゃ馬ならし 前編 9/9
10/09/28 00:12:35 mnp7oewbO
「もうひとつ、増やすぞ」
二本の指が慣れたところで、兵四郎はまた指を増やした。
「な、に、うっ……嘘、だろ!おいっ、殿様……あ、あ、あっ」
「大丈夫だ、ちゃんと入った」
「嘘だ、う、そだ……!あぅ、ふ、あっく、嘘……あぁ!」
いまや真之介の後ろの口は、兵四郎の節くれだった指を三本も飲み込み、あまつさえ締め付けていた。
優しく撫でられる前は先走りを溢れさせ、今にも弾けそうにばんぱんに膨らんでいた。
「あぁ……と、殿様、んっ、んぅ、ふぁ、あっ」
「仙石、気持ちがいいか?暖かくなってきたか」
「うっ、うん、うん……はっ、あ、ふぅ……」
藁の山に顔を埋め、真之介は無心に頷いた。
兵四郎は指を抜き去り、後ろから顎を支えて自分のほうに向けさせ、喘ぎを零す唇を吸った。
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
初めてDVDで見たら、このふたりに萌えが止まらなくて……ああすみませんすみません。
ではまた後日に。
264:風と木の名無しさん
10/09/28 01:23:46 y0qGZ78b0
>>255
おぉぉ2人の掛け合いが可愛いしエロいしですごくイイ!
秋の夜長の焦らし祭 絶賛開催中ですね
265:胡蝶の褥 1/9 ◆QgjEYcxl4Mc2
10/09/28 02:49:34 erhsqQgR0
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ゲーム版・銀河天使2で三/侯/爵の話だってさ
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 摂/政受け・将/軍×摂/政メインだけど侯/爵とか蛇さんもいるよ
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ マイナーッテレベルジャネーゾオイ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
長いので複数に分けて投下します
※誘い受け(というか襲い受け)・媚薬、獣姦(蛇)要素、エロあり
※捏造設定満載
266:胡蝶の褥 2/9 ◆QgjEYcxl4Mc2
10/09/28 02:51:05 erhsqQgR0
ひらりと。
月明かりを遮って闇夜を舞う影を目の端に認め、ベネディクタインは盃に注いでいた
視線を上げる。
一羽の―否、本来は一頭と数えるのだったか―蝶が、夜の帳の中を漂うように
飛んでいた。
夜陰にはっきりと浮かび上がる、目に鮮やかな白い羽根。窓の向こうを横切っていく
それを、静かに目で追う。別段興味がある訳ではない、単なる暇潰しだ。
そう、未だに姿を現さない待ち人―ジュニエヴルを待つ間の、なんの意味も
持たない戯れ。
ふわふわと踊る白い羽根の向こうに見える月、その傾きの移り変わりから今の時刻を
推し量る。事前に定めていたはずの刻限は、とうに過ぎ去って久しい。
しかし、ベネディクタインが邸の奥座敷に通されてからこちら、やって来たのは酒を
運んできた下女らしき中年の女だけ。彼をここに呼んだ張本人であるジュニエヴルは、
顔を見せないどころか言伝の一つすら一向に寄越してこない。
全くあの若造は人を呼び付けておいて一体何をやっているのかと、ベネディクタインが
憤るのも当然のことと言えた。
無言のままに眉を顰める彼の真向かいで、同じように呼び出され、そして待たされている
男がより率直な形で怒りを表に出す。
「ええい! 摂政殿は一体何をしておるのだ! もう約束の刻限はとうに過ぎておるでは
ないか!」
干した盃を自慢の強力で握り潰し、将軍ことカジェル候カルバドゥスは声を荒げた。
見た目の印象そのままの野蛮な言動に、ベネディクタインはまた表情を歪める。
ジュニエヴルと三人、こうして密会の場を設けるようになってしばらく経つが、どうもこの
男とは気質が合わない。対するカルバドゥスのほうも、老齢に差しかかり体力的な衰えが
目立つベネディクタインを侮った目で見ている節があり、両者の中はお世辞にも良好とは
言えなかった。
そんな相手と二人きりで顔を突き合わされ、ただでさえ不愉快になっているところにこの
仕打ちである。常になく機嫌の悪い二人は、この状況の原因を作った青年への苛立ちを
ふつふつと募らせていた。
267:胡蝶の褥 3/9 ◆QgjEYcxl4Mc2
10/09/28 02:52:00 erhsqQgR0
ぶつける先のない怒りをベネディクタインは黙してやり過ごそうとし、カルバドゥスは適当な
もの―例えばその辺りに転がっている空の銚子―に八つ当たりをすることで消化しようと
試みる。
叩き割られた器の破片が飛んできて、肩に乗せていた白蛇が怯えるように体をすり寄せてきた。
その頭を指先で撫でてやりつつ、ベネディクタインは目の前で鉄瓶の柄を折り曲げている男に
苦言を呈する。言っても聞かないだろうと思いながら。
「少し落ち着いてはいかがか、将軍殿。我らがここで騒いだとて、事態が好転する訳でも
あるまい」
「何を仰るか、侯爵殿! 人を招いておいて断りの一つもなく待たせるなど、あまりにも礼を
失した行い! 貴公はこの非礼を許すと申されるか?!」
「……立腹するのは勝手だが、それに我輩を巻き込まないで頂きたい……甚だ迷惑だ」
「なんだとぉ?!」
棘を含んだ言葉が、元より堪え性のないカルバドゥスの癇癪をついに爆発させた。
今にも掴みかからんばかりに腰を浮かせる彼を、ベネディクタインは色眼鏡越しに冷たく
見据える。
部屋の襖が静かに引き開けられたのは、丁度その時だった。
人の気配を察した二人は、互いを睨んでいた目を部屋の入口に向ける。手燭の明かりに
浮かび上がるのは、群青の着物に身を包んだ一人の青年。
「やあ、二人共。遅くなっちゃって、ごめんね」
挨拶のつもりか軽く片手を上げ、ジュニエヴルはにっこりと二人に笑いかけた。
「摂政殿! 一体何をしておられたのだ! 話があると貴殿が申されるから、我らは
こうしてここに参ったのだぞ!」
罪悪感など欠片も抱いていなさそうな朗らかな笑みに神経を逆撫でされたか、
カルバドゥスは語調も荒くジュニエヴルに詰め寄っていく。人一倍大柄な体躯も相まって、
目端を吊り上げるその表情には中々の威圧感があった。並の人間ならば容易く怖じ気付いて
しまうだろう眼光を前に、しかしジュニエヴルはまるで動じず、涼しげに笑って受け流す。
268:胡蝶の褥 4/9 ◆QgjEYcxl4Mc2
10/09/28 02:52:43 erhsqQgR0
「そんなに怒らないでよ、カルバドゥス。ボクも早く二人に会いたかったんだけど、実は急に
人が訪ねて来ちゃってさ。大切な知り合いだから追い返す訳にもいかなかったし、キミ達と
会うことは他人には言えないし……ボクだって困ったんだよ?」
両手を広げ肩を竦めてみせながら、彼は弁解を口にした。要は不可抗力だと言いたい
らしい。
散々待たされた身としては、その自分に非はないと言わんばかりの態度は少し癇に障った。
「ほう、このようなお時間に来客とは……さすがは摂政殿。夜会のお誘いも引く手数多と
お見受けする」
「まあね。ほら、ボクって人気者だし」
いけしゃあしゃあと自賛の言葉を口にするジュニエヴルを見やり、ベネディクタインは心中の
苦々しさを噛み締める。年若い癖に人を食ったような言動をするこの若者を、老侯はやはり、
あまり好いてはいないのだった。
こちらの胸の内を知っているのかいないのか―この男のことだ、十中八九分かっているの
だろうが―青年は険しい視線を真っ向から受け止め、くすくすと笑う。そして不服げに佇んで
いるカルバドゥスを軽く押しのけると、ベネディクタインの座る窓の際まで歩み寄ってきた。
しかし。
一体どうしたことか、数歩も歩かぬうちにその足元が揺れたと思うと、彼はその場にへなへなと
くずおれてしまったのである。
「せ、摂政殿?! いかがなされた?!」
床にへたり込んだきり動かなくなってしまったジュニエヴルを前に、豪胆で知られた将軍もさすがに
度肝を抜かれてうろたえる。戸惑いながらも肩に手を置いてみればその身体は熱く、常態とは
思えない体温がますます彼の動揺を誘った。
柄にもなく狼狽し始めるカルバドゥスを見て、ベネディクタインも事態の異常さを察したらしい。
体に纏い付かせた蛇をそのままに、二人の元へと近付いて来る。
「ふむ……摂政殿、どうかなされたか? お加減が優れないように見えるが」
形ばかりの労わりに、ジュニエヴルは俯いたままくつくつと肩を震わせた。そして、愉快そうに
細めた瞳をついとこちらに向けてくる。
「ちょっとね……まだ、薬が抜けきってないんだ」
269:胡蝶の褥 5/9 ◆QgjEYcxl4Mc2
10/09/28 02:53:11 erhsqQgR0
「何?」
言葉の意味を図りかね訝しげにそう呟いたベネディクタインは、自身を見つめる双眸が奇妙な
程に濡れていることに不意に気付いた。
よく見れば― 仄暗い部屋の中でもはっきりと見て取れる程に、ジュニエヴルの端麗な顔が
上気しているのが分かる。色の白い肌が淡く鮮やかな朱に染まり、唇などまるで紅をさしたかのようだ。
陶酔感を漂わせる表情の中に確かな色香を感じ取って、ようやく先程の言葉の意味を理解する。
「……貴殿、一体誰と会われていた?」
ベネディクタインの問いにジュニエヴルは答えず、ただ意味ありげに笑ってみせた。
そしてその表情のまま、一人状況を理解できずに当惑しているカルバドゥスを見上げる。
「ねぇ? カルバドゥス……キミ、男を抱いてみる気はない?」
「実はねぇ、前からちょっと興味があったんだ。キミは一体どんなモノを持っているんだろうってね」
半ば近く立ち上がった肉棒に指を絡ませながら、ジュニエヴルが楽しげに語る。わざとらしく
声を潜め、口の端を吊り上げるその様は、まるで悪戯の計画を話して聞かせる子供のようだ。
無邪気と悪意が混在する、毒気など全く感じさせない笑顔。
「やっぱり大きいんだろうなとは思っていたけど……これは想像以上かな。さすがは剛勇で
知られた将軍殿だ。実にご立派なものをお持ちでいらっしゃる」
寛げられた服の袂から顔を出しているカルバドゥスの性器は、ジュニエヴルの言葉通り、
大柄な体に見合った逞しいものだ。
その浅黒い皮膚の上を、男のものとは思えない程に細く白い指先が滑っていく。雫の
滲み始めた先端を優しく擦られ、カルバドゥスが呻き声を上げた。確実に息を上げつつある
男の顔を上目で見やり、ジュニエヴルは声もなく笑う。
ひどく愉快そうに、あるいは酷薄に。その眼差しは、獲物を追いつめる狩人のそれによく
似ていた。
270:胡蝶の褥 6/9 ◆QgjEYcxl4Mc2
10/09/28 03:00:10 erhsqQgR0
「どうだい、カルバドゥス? ボクの手淫も、そう捨てたものじゃないだろう?」
「ぬっ、く……う、うむ、そうだな……中々の、お手、前でっ……いらっ、しゃる……っ」
裏筋に爪先を這わせながらの問いにカルバドゥスは、ともすれば上擦りそうになる声を
必死に抑え付けながら答える。
背後の壁に背を預け、彼は自分の足の間にうずくまっている青年を見下ろした。こちらを
見つめるジュニエヴルの笑みには、相手を玩んで楽しんでいる色がありありと浮かんでいて、
湧き上がってくる屈辱感にぐっと奥歯を噛み締める。
ベネディクタインと同様にカルバドゥスもまた、ジュニエヴルのことを決して快く思っては
いなかった。自分達より遥かに若年の分際で、摂政という実質的な為政者の座を手中に
している男。秀麗な容姿と痩せた体躯はまるで女のようで、ジュニエヴルが摂政の任を
引き継いだ当初は、何故こんな男に頭を垂れねばならないのかと、ことあるごとに忌々しく
感じていたものである。
今でこそ、共通の目的の為にこうして手を取り合う間柄となっているが、かつて抱いた
わだかまりがそう簡単に消えるはずもない。その結びつきが情を伴わない利己的なもので
あるならば尚更だ。
だからこそ、先刻ジュニエヴルの誘いを受けた時に思ったのである。これは良い機会だと。
何しろ、いつも高みから人を見下ろして笑っているような人間が、自分に向かって足を
開くと言うのだ。男の内に潜む嗜虐心と征服欲を、これ程そそる申し出もあるまい。
どうせ誘ってきたのはジュニエヴルのほうだ、日頃苦汁を嘗めさせられている礼に思う様
泣かせてやろうと、心密かにほくそ笑んでいたのであるが。
―ぬぅぅ……こ、こんなはずでは……!
目論見とはまるで逆の立場に追いやられ、悔しさに歯噛みする。そんな心中など全て
お見通しだと言うかのように細められた目付きが、余計に腹立たしかった。
271:胡蝶の褥 7/9 ◆QgjEYcxl4Mc2
10/09/28 03:01:32 erhsqQgR0
どうにかして優位に立てはしないかと手立てを探るものの、施され続ける愛撫に思考の
全ては掻き消されていく。どころか、緩慢な指の動きにもどかしさばかりが募り、恥も外聞も
捨てて浅ましく快楽をねだってしまいたいとさえ思う有様だ。
恥辱と、高まりつつある快感への抵抗からぎりぎりと歯を食いしばるカルバドゥスを、傍から
二人を眺めていたベネディクタインは嘲笑う。気に食わないと思っていた相手が醜態を晒す様を
眺めるのは、なんと胸のすくものであろうことか。
くすりと、抑えきれずに漏れてしまった声が聞こえたのか、それとも単に視線を感じたのか。
ジュニエヴルを睨み据えていたカルバドゥスが不意にこちらを向き、口元に浮かべた笑みを
見咎めて激昂する。
「き、貴様っ……何を笑っている?! ワシを侮辱するつもりか?!」
一瞬で頭に血が上り、カルバドゥスは巨躯を震わせて怒鳴った。怒りのあまり、敬語を使う
ことも失念する。
常ならば気に障る粗野な物言いも、内心の動揺を悟られぬ為の虚勢と知れば愉快な
ものだ。自身を睥睨する視線など歯牙にもかけず、ベネディクタインは鷹揚に肩を揺らす。
「いやいや、滅相もない。ただ、随分とお辛そうに見えたものでな。素直になってはいかがかと
思ったまでのこと……気に障ったのならばお詫びしよう」
「何を―ぬ、ぁ……っ!?」
図星を指され、反駁しようと張り上げた声が不自然に途切れる。敏感な場所に息を吐き
かけられて、とっさに唇を噛み締めた為だ。
慌てて顔の向きを元に戻す。床に投げ出した足の間に、上向き始めた己の性器と―
そこに唇を寄せて微笑む、恐ろしい程に美しく整った横顔が見えた。
「ダメだよカルバドゥス、よそ見なんかしちゃ……ちゃぁんと、ボクを見ててくれなきゃ」
わずかに掠れた声音で、甘えるかのようにジュニエヴルは囁く。赤々と濡れた唇から舌の先が
覗き、亀頭のくびれをそっとくすぐった。不覚にも、腰が跳ねる。
こちらの反応に気を良くしたのか、彼は艶然と笑い― そして、綻んだ唇から零れた白い
歯を肉茎に近付け、言う。
「じゃないと……何するか分かんないよ?」
272:胡蝶の褥 8/9 ◆QgjEYcxl4Mc2
10/09/28 03:02:32 erhsqQgR0
どこまでも甘いばかりの声音を前に、カルバドゥスは今度こそ言葉を失った。心の内で
くすぶっていた反抗心が、霧散していくのをはっきりと自覚する。
押し黙ったきり動かなくなったカルバドゥスをしばしの間眺めていたジュニエヴルは、
自分の優位を確信したのだろう、ややあって、にっこりと花の咲くような笑みを浮かべた。
「そうそう。人間素直が一番だよ。つまんない意地なんか張ったって、いいことなんて
なーんにもないんだからさ。ね? ベネディクタインも、そう思うだろう?」
笑顔のまま、背後に座した老人を振り返るジュニエヴルから、カルバドゥスは目を逸らす
ことができない。
それは、言外に伝えられた脅迫に対する怯えからの行動ではない。潤んだ双眸に潜む、
凄艶なまでの色香に魅せられた故のものだった。
仄赤く染まった眦と、挑発するかのように自分を見上げる熱を帯びた眼差し―
思い返した先の光景に、握り込まれたままの一物がぐっと勢い付くのが分かる。
ジュニエヴルも気が付いたのだろう。ベネディクタインと何事か談笑していたのが急に
こちらへ向き直ったと思うと、その薄い唇が静かに弧を描いた。
「ああ、ごめんねカルバドゥス。言った側から、ボクがよそ見しちゃってた」
着実に反り返りつつある剛直を愛しむように撫で、青年はちろりと唇を舐める。
「それじゃ……大人しく言うことを聞いてくれたご褒美に、そろそろイかせてあげようかな」
そして、声を発する為に軽く開いた口唇で、そのまま先端を咥え込んだ。
「ぐ……っ!?」
下肢から脳髄にかけてを雷のような衝撃が走り抜け、カルバドゥスは思わず呻く。
温かく湿った口腔が、エラの張った亀頭部分をすっぽりと包みこんでいた。上等の
別珍にも似た、柔肉の質感。それだけでも十二分に反応してしまう肉棒に、さらに
舌が絡み付いて来る。
ただでさえ並外れた大きさを誇る剛直は、頬張っているだけでもかなりの苦痛を
伴うだろう。にもかかわらず、舌は狭い口内を器用に動き回り、敏感な部位を満遍なく
舐め回す。時には包むように優しく、そうかと思えば擦り上げるように強く。緩急を
付けて与えられる刺激に、肉棒は瞬く間に硬く張りつめ天を仰いだ。
273:胡蝶の褥 9/9 ◆QgjEYcxl4Mc2
10/09/28 03:03:57 erhsqQgR0
「ぬっ……ぐ、ぅっ……摂、政殿……!」
もはや漏れる呻き声を隠すこともできず、カルバドゥスはただ荒い呼吸に肩を
上下させる。
「ふっ……んぅ……気持ち、いいかい……カルバドゥス……?」
甘やかな息の音が混じる、ジュニエヴルの問いかけ。かすかな嘲りさえ孕むその
声色に、しかしカルバドゥスは反論する言葉を持たなかった。
認める他ない。これは、確かに。
わずかに頭を俯け、自身の股座に顔を埋める青年の顔をじっと見つめる。
いつも飄々とした笑みを湛え、歪んだところなどついぞ見たことのなかった秀麗な
容貌が、男の― それも、他ならぬ自分の―肉棒を淫らに舐めしゃぶっている姿。
さすがに苦しいのか、形の良い眉がかすかに顰められており、唇の端からは唾液と
一緒にくぐもった吐息が零れ落ちる。見下ろしたその表情は、今までに組み敷いてきた
どんな女のそれよりも美しく、そして卑猥だった。
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン! キルトコチュートハンパニナッチャッタ・・・
スペースどうもです。続きはまた後日に
ああ、うっかり連投してしまった……
274:風と木の名無しさん
10/09/28 09:43:56 f+BpZjCaO
>>234
浄化投下ありがとう!
楯駆動らしくて萌え
275:風と木の名無しさん
10/09/28 13:11:03 SYtGEV9TO
亀ですが>>182
まさかの宇宙戌!大変萌えました㌧です!
惑星薔薇絵亭の回を見た後だったのでどストライクでw
276:風と木の名無しさん
10/09/29 00:19:29 sa2a7LkF0
支援
277:じゃじゃ馬ならし 後編 1/9
10/09/29 02:31:35 T8O0T1sPO
>>263の続きです。
20年位前の時代劇「参匹がKILL!」より、素浪人の殿様×仙石。
残り一匹+妹分も出てきます。
エロありです。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
兵四郎の施す快楽に捕われた真之介は、夢中で舌を絡めて混じった唾液を飲み込んだ。
ん、んと小さく呻きながら口づけに応える真之介から離した唇を、兵四郎は耳元に近付け囁いた。
「真之介、入れるぞ。許せ」
「……!と、のさま?」
急に名前を呼ばれて、真之介はうろたえた。
すると兵四郎の指が後ろをぐっと押し広げ、入り口に熱いものが宛てがわれた。
真之介が驚く間に、それはずんっ、と中に入り込んできた。
指ではない大きなものが何なのか、すぐにはわからなかった。
緩められたおかげで、わずかな痛みのみで全てが埋め込まれ、内部をみっしりと満たした。
「なんっ……と、殿様っ!なんだっ、なん、だ、こ、れっ……あぅ、あぁっ!」
「ふう、熱いな。痛くないか?」
「ひあっ、や、だっ、いやだっ、との、さま……!う、あぁ、あーっ」
口づけの間に下げた袴から取り出された兵四郎自身が、中を犯しているのだと真之介はようやく気付き、動揺して叫んだ。
278:じゃじゃ馬ならし 後編 2/9
10/09/29 02:33:34 T8O0T1sPO
「大丈夫、大丈夫だ。真之介、何も怖くはないぞ」
「う、ば、馬鹿……名前なんぞ、呼ぶなっ!ふぁっ……」
「そうか、じゃあ仙石、何も怖がるな。俺に全て、委ねればいい」
「このっ、馬鹿!馬鹿、野郎っ、この、助平殿様っ……あ、あっ!」
衝撃のあまり真之介は涙をぽろぽろと流し、兵四郎の所業を罵倒した。
兵四郎は困ったように笑い、震える身体を背中から包むように抱きしめた。
「すまん、仙石。お前があまりにもかわいくてな、つい」
「つ、つい!?つい、入れたってのか!ふざけるなっ……あ、あ!うっ、動かす、なっ……!あぅ……っ」
馴染んだと見て、兵四郎はゆるゆると腰を打ち付けた。
中をえぐる熱いものに気を乱された真之介は、半ば兵四郎への怒りを忘れた。
「ふぁ、あ……嘘だっ、こんな、こん、なっ……」
「嘘ではないぞ、仙石。俺のものが、お前の中に入っている」
「ば、馬鹿!いっ、言わなくて、いいんだっ!あ、うくっ」
「ふふ、今日ほどお前に、馬鹿と呼ばれた日はないな」
「んうっ、あ、ふっ、ばっ、ばか!馬鹿!貴様なんか、馬鹿殿様、だっ……う、あぁっ」
兵四郎は真之介の腰を掴み、貫いたものを大きく抜き差しし追い込んだ。
真之介は悪態をつきながらも無意識に兵四郎の高ぶりを締め付け、動きに合わせて腰を揺らめかせた。
狭さと熱さに兵四郎は酔いしれ、年甲斐もなくと自嘲しながらも真之介の身体を貪った。
じっくりと突かれ甘く責められて、やがて真之介は、ほとんど意味を成さない喘ぎ声しか出せなくなっていた。
279:じゃじゃ馬ならし 後編 3/9
10/09/29 02:35:08 T8O0T1sPO
「あっ、あ、あふ、も……もう、も、うっ……との、さ……あぁっ」
「うん……仙石、俺ももう、限界だ」
「はぁ、あぅ……あ、あっ、うぁっ……」
「いいぞ、仙石。出して、いい……真之介、出せ」
「あ!あ、あっ……んっ!ふ、あぁーっ……!」
「……っ!」
深く突かれてとうとう耐え切れず、真之介は藁束の中に欲を放った。
ぎゅうっと締め付けられて兵四郎は呻いたが、放つ前に中から自身を抜き取り、懐から出した懐紙で包み欲を受け止めた。
汚れた懐紙を丸めて放り投げると、袴を上げて着衣の乱れを直した。
そして、俯せたままはあはあと荒い息をつく真之介を見やった。
流れた汗を手ぬぐいで拭き、下がった襟を直してやった。
抱き起こして板の床に仰向けに身体を横たえさせ、残りの懐紙で中心の残滓を拭き取った。
下帯を付けさせて袴は履かせず、楽な着流しの恰好にさせて、汚した部分を取り替えた藁の上に寝かせた。
280:じゃじゃ馬ならし 後編 4/9
10/09/29 02:36:20 T8O0T1sPO
呼吸は元に戻ったが、真之介は気怠げに手足を投げ出し、目を閉じてぐったりとしていた。
無理をさせてしまった、と兵四郎は心配になり、乱れた真之介の髪や髷を指で梳き、頬を撫でた。
「仙石……大丈夫か?」
「……大丈夫じゃ、ない」
「だろうな。いや、悪かった。いい年をして、歯止めが効かなかったのだ。すまん、許せ」
「……殿様」
心から頭を下げると、真之介は人差し指をちょいちょいと動かし、兵四郎に顔を近付けさせた。
「うん?なんだ」
「歯ぁ、食いしばれ」
囁くように耳元に告げてから真之介はにやっと笑い、思いっきり右手で兵四郎の頬をはたいた。
思わず兵四郎はよろめき、寝そべる真之介の上に倒れ込んだ。
容赦ない痛みに顔を振り、目を白黒させる兵四郎を見て、真之介は気持ち良さそうに笑った。
「ざまみろ!いいようにしてくれた、お返しだ!はっはっはぁ」
「っつう……やってくれたな」
「なんだ!文句あるかっ」
「いや、ない。それでこそ、仙石だ」
「ふんっ、これでもだいぶ、おまけしてやってんだ。握り拳じゃなかっただけ、優しいと思え!この、馬鹿殿様」
「ふふ、確かにそうだ。ありがたいよ、仙石取り」
赤くなった頬を摩り、兵四郎は笑った。
「全く、その気がないってのに、どこで覚えたんだこんなこと」
「そりゃあおぬし、いろいろさ。読んだり、聞いたり。あとは実践したり、な。ただし相手は、おなごだが」
「……お、おぬし、女相手に、あんなことするのかっ」
「いやいや、あそこまではさすがにせんよ。せいぜい、指を入れられるくらいだ」
「い、入れられ……女にか!」
281:じゃじゃ馬ならし 後編 5/9
10/09/29 02:37:48 T8O0T1sPO
「うむ。吉原には、すごい技を持ったのがいてなあ……」
「そ、そうかぁ。江戸に行った折りには、ぜひ紹介してくれ」
「ふふ、あいわかった。覚えておこう」
すごいなぁ吉原は、と呟いて目を輝かせた真之介に、兵四郎は微笑み頷いた。
そして、自分はなぜこの男にあそこまでしてしまったのか、と考えた。
初めは単なる悪戯のつもりだったが、腕の中で身悶え艶やかな声を放つ真之介に、いつしか我を忘れてのめり込んでしまった。
真之介は色恋故の所業とは受け取らず、あくまで兵四郎の度の過ぎた悪ふざけだと思っているようだ。
抱かれている時は大いにうろたえ、快楽に溺れながらも兵四郎を非難したが、終わればもう取り返しがつかないこととして、平手打ち一発でけりをつけた。
あっけらかんとした、この男らしい始末の付け方だと思った。
それがありがたくもあり、また少し、寂しくも思えた。
その寂しさが何なのかと考えたが、容易に答えは出ては来なかった。
「おい殿様、俺はもう寝るぞ。寝る前に言っとくが、あの一発だけじゃあやはり、気がおさまらん。明日は宿場で一杯、いや十杯は、奢ってもらうからな!」
「おお、いいとも。温泉宿も、おまけしてやろう」
「なにぃ、本当か!殿様、金持ってんのか」
「いや、ない。ないがまあ、なんとかなるさ」
にこにこと笑ってのたまった兵四郎に、真之介は呆気に取られ苦笑した。
そして、本当になんとかなるかもしれない、と思わせるのがこの男のすごいところだと感じた。
282:じゃじゃ馬ならし 後編 6/9
10/09/29 02:39:33 T8O0T1sPO
「ふん、まあ、どうなるか楽しみにしてるよ。じゃあ、俺は、寝るからなっ」
「ああ。おやすみ、仙石」
告げて間もなく、すやすやと寝息が聞こえてきた。
兵四郎は穏やかに、真之介のあどけない寝顔を見つめた。
そして焚火に小枝を投げ込み火を強めてから、真之介の隣に藁を積み、横になって目を閉じた。
昨夜の疲れからか、目が覚めた頃にはすっかり夜が明けていた。
秋晴れの空に山の赤さが照り映えて、兵四郎はまたも美しさに気を取られて歩いた。
やや足腰に力が入らない真之介も、彼に合わせてゆっくりと歩いた。
ひょっとして自分を気遣っているのかと思ったが、わざわざ訊くのも野暮だと思い黙っていた。
すると道の先の方から叫び声がした。走れない真之介を置いて兵四郎が駆け付けると、身なりのいい若い夫婦連れの旅人が、籠掻きの雲助達に因縁を付けられて途方に暮れていた。
雲助達が絡んで殴りかかってきたので、即座に叩きのめし追い払った。
上品そうな若い夫婦は兵四郎に心底感謝し、ぜひ宿場までの用心棒になってくれ、先程の礼と合わせて謝礼ははずむから、と伏して拝んだ。
追い付いた真之介に事情を説明すると、「やったな殿様、温泉宿!」と叫んで肩をどやしつけてきた。
聞き付けた亭主が、それならふたりの宿代も持たせてくれと申し出てきた。
さすがに兵四郎は固辞したが、夫婦はどうしてもと言い張り、結局折れて厚意を受けた。
真之介は自分が助けたわけでもないのに、得意げに意気揚々と先頭を切って歩き出した。
高らかに陽気な唄まで歌い出したので、兵四郎は夫婦と顔を見合わせて笑った。