モララーのビデオ棚in801板60at 801
モララーのビデオ棚in801板60 - 暇つぶし2ch50:どろぼうのはじまり 8/8
10/08/29 03:43:20 oyQZKO9OO

常より呂律の甘い、鼻に掛かった声がよみがえる。
『ねぇ、盾さん、俺は怖くないよ。あんたとなら・・・だから、』

だから?
工藤が望む望まないにかかわらず、自分の横に引きずり堕したのは、盾だ。
その自覚は、ある。
その責任はいつかとらなければならない。
せめて、これ以上工藤が傷つかないうちに。

盾は酩酊するように、神隠しの模倣犯を想う。
あれは、誰だ。もう一人の自分ではないのか。

麻酔銃を向けるその一瞬、自分は何を考えている?
まるで擬似処刑ではないか。
根本にある衝動まで違うと、言い切れるのか。

「カズ、ここにいろよ。どこにも行くな」

遠くに、久留須の声がする。
聞こえない振りをして、盾は応えなかった。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

書いてて、盾×缶に楽しみを見出してしまった。
また貴重なスペース、いただきました。

あ、難局の感想下さった方、ありがとうございました。うれしい。
難局から浄化から、ラッシュ人生から苦非男まで萌え散らかし中。
回収できたものから吐き出させていただきました。

51:風と木の名無しさん
10/08/29 18:01:04 5F9XdZwKO
>>32
こんなところで読めるとは思わなかった…!
いちゃ甘な二人ゴチでした。

52:風と木の名無しさん
10/08/30 00:13:01 kfZDux7J0
>>38
久しぶりに麻練堪能しました!

53:20年が過ぎても 1/2
10/08/30 00:23:27 SmbxeTBmO
※半生注意
家送検の女シリーズ10・第7話の修復家→天才画家
TVドラマスレに触発されて勢いだけで書いてしまいました
ネタバレありです
修復家の自白調書取ってる最中とお考え下さい

|> START ピッ◇⊂(・∀・ ) ジサクジエンガ ミジカク オオクリシマース!

―はい…はい、秋津が背中を向けた時、近くにあった木槌で殴りました
マキの話を聞いて、カッとなって―いえ、回数は覚えていません、頭が真っ白で
動機?動機ですか?それは勿論、マキのことに決まっているじゃないですか
20年も経っているのに今頃真実を明るみにするだなんて…
刑事さん、20年経つと人の記憶は薄れるんです。私もマキとの思い出が、遠い日になっています
…あっ、でもあの百合の絵は違った。20年前と同じ衝撃を私に与えました
動機は…マキのことだけじゃなく、あの絵を守りたかったんだと思います
秋津は、私が依頼を拒んだらきっと…いえ、必ず私に失望したでしょう
そしてあの絵を持って警察に行ったでしょう…警察に渡ったら、絵がどんな扱い方をされるかは目に見えていた!
―すいません、つい興奮してしまって。私が捕まった時点であの絵がどうなるか分かっています
あの絵は、もう二度と人の目に触れることはない…秋津と私と、運命を共にしたと思えば惜しくはありません
私には百合を消すことは出来ない。今でも同じ気持ちですたとえその下にマキを殺した証拠があったとしても、です
嗚呼、私はあの絵とあの絵を描き上げた才能を嫉ましく思っていたのに、同時に愛してもいたんです…!

54:20年が過ぎても 2/2
10/08/30 00:27:57 SmbxeTBmO
―えっ?マキよりもですか?そう聞こえた?まさか、そんなはずは…
…いや、刑事さん、私は彼のことを―そうか、守りたかったのかもしれません
20年経ってもまったく秋津は変わっていなかった。学生時代と同じ、自尊心が強くて人を見下していて…才能に溢れていた
もしも彼の罪が暴かれたとしたら、もう絵は描けなくなる
人殺しの画家…奴にカラバッジオと同じ汚名を着せたくなかった。ずっと、これからも、私が憧れた画家でいて欲しかった
だから…殺しました…天才画家と呼ばれた彼を守るために…私のために…
―そうか、私は彼の絵も才能も愛していましたが、それ以上に彼自身を愛していたんだ…
人殺しでも私から恋人や夢や人生を奪っても、そんなことはどうでも良いぐらいに秋津のことを私は…!
20年も経っているのに、どうして今頃…どうしてこの手で秋津を殺した後に気付いてしまったんだ!
この気持ちにもっと早く気付いていれば、彼を殺すことはなかったのにっ!
秋津―許してくれ…きっと、お前の才能に初めて触れた時から…20年以上前から、ずっと…!
―あぁ、すみません、取り乱して。ええ、今落ち着きます…
彼が死んだ後は無我夢中で、どうやって死体を運んだのかもよく覚えていません
絵に付いた血痕も必死で消していました。頭では何も考えられなかったのに、体は勝手に動いていて―


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ ) イジョウ ジサクジエンデシタ!
中の人に缶コーヒーのCMで萌えていたところへ燃料を投下されました
サクライ脚本恐るべし…!

55:風と木の名無しさん
10/08/30 20:12:09 Y1tpyAmb0
>>53
まさか仮想権ネタを拝めるとは…
あの2人は妙に濃密な空気を纏ってたよね
ゴチでした

56:風と木の名無しさん
10/09/02 15:40:27 b9py81JM0
>>43
禿 萌 え た ! !
男にだらしない盾えろカワイス
あっちこっちでイケメソたぶらかしまくりでけしからんハァハァ=3

57:風と木の名無しさん
10/09/08 11:41:22 bpllfb050
                     |  ドラマ 浄化ーの話です。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  主人公の殺された親友の独白です。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |



58:刹那・・・1/3
10/09/08 11:48:39 bpllfb050
ドラマ 浄化ーより
主人公の殺された親友の死ぬ直前の独白です。菜月→盾で
ナイフで刺された直後です。
801スレのカキコに萌えましたので設定お借りします

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


ちくしょう・・・、左腹部裂傷か。
相手はプロだ。刺した後ギリギリと捻りながらナイフを上に
ずり上げた。
顔を見た俺のショックなんか、意に介すこともなく冷静に・・・。

ぱっくり開いた傷から、ポンプみたいに血液が流れ出ている。
これは持つまい。
不思議だ。痛みよりも恐ろしく思考がクリアになっていくのを感じる。
事件のことや、過去のことや、いろいろなことが走馬灯のように・・・。
ああ・・・これが死ぬってことか。
これが・・・・・。

やっと真相に辿りついたというのに。くやしいな。
やっと腐った警察の闇に・・・。
伊津都さん・・・、あとは頼みます。

飛鳥、泣くんだろうな。「お兄ちゃん!お兄ちゃん!」って
あいつドジだから大丈夫かな。
いや、きっとあいつには助けてくれる人が現れるか。かわいい俺の妹。
それと、父さん・・・母さん・・・


59:刹那・・・2/3
10/09/08 11:49:42 bpllfb050

いや、もういい・・・。
今思い出すのは、盾、おまえの細い首筋だ。
お前がイクときのあの顔だ・・・。
俺の上で、激しくゆすぶられながら、背を逸らし自らも腰を振る
あいつの姿だ。
紅潮した頬に、切なそうに繭を寄せて。泣きそうな顔して。
きつい内部は俺を痛いほど、締め付けやがって・・・・。
こんな時に、俺って・・。笑っちゃうよな。

盾・・・お前、俺を刺したのがだれかわかったら激しく動揺する
だろうな・・・。
お前、どんなに傷つくだろうな・・・。

なあ、盾、お前・・・いつも微笑んでたな・・・。
仮面みたいにさ。
でも・・俺には・・お前がいつも泣いているように・・見えた。
微笑んでいても・・・決して心を許さない・・・。
その目は闇しか見つめていない・・・
でも、俺知ってるよ・・・・・。
その裏にどれほど深く・・豊かで激しい感情を秘めているか。
お前はいつも泣いてる・・。
どれほどの怒りを抱えてきたのか。
どれほど悲しみを抱えてきたのか。
どれほどの慟哭を・・・・。


60:刹那・・・3/4
10/09/08 11:52:15 bpllfb050

くそっ、やっぱり頭の中が朦朧としてきた・・・。
血が足りない・・・。
今のうちに、この手についた血で、俺を刺した男の名を・・・

不思議だな・・・。浮かぶのは、なぜかお前の泣いた顔だ・・・。
お前・・・一度も俺の前で泣いたこと・・なかったのに・・な。
大きな瞳から・・・子供のように涙を流すお前だ・・・。

盾、ありきたりだが、お前・・・もっと自分を大切にしろ。
自分のこと・・・・、罪人かなにかのように思ってないか?
お前は、決して自分を許さない・・・。
何故・・?何故・・?何故・・?
俺の・・・胸に顔を埋めて眠る・・お前の髪を撫でながら・・・
俺は・・・いつも思ってた・・
もっと・・・自分を・・愛せ

ダイイングメッセージ
早く・・・イニシャルだけでも・・・。
お前なら、すぐに気づくだろう・・きっと、お前なら・・
でも・・その人に気づいたら・・・お前・・


61:刹那・・・4/4
10/09/08 11:53:07 bpllfb050
「菜月・・・、菜月・・・菜月・・・、俺のこと・・・」
いつか、俺に抱かれたとき・・・。
・・・絶頂のあとの・・気だるい時間の中・・・
お前は・・何度も・・小さな・・擦れた声で・・・俺の名を呼んだな・・・
いつも・・俺かの視線を・・意識的にそらしていたお前が・・・

知ってるよ・・・・。
「菜月・・・俺のこと嫌うな・・・」
そう言いたかったんだろう・・・。

嫌うもんか・・・。
愛してる・・・愛してる・・・もう一度・・お前・・抱きたい・・
ふっ・・こんなときに、・・・、俺・・
でも、愛してる・・・こんなにも・・。
だから・・もう、泣くな・・・。
・・・自分を・・・傷つける・・のは・・・もうやめろ・・・
傷つくな・・・・。

闇が来る・・・・でも・・

でも・・お前には・・・残さない・・・。
お前は・・・知らない・・・方がいい・・・・。

愛してる・・・・・盾・・・・。


62:風と木の名無しさん
10/09/08 11:56:11 bpllfb050
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

すみません。途中で書き込めなくなって、3話→4話になってしまいました。





63:0/2
10/09/10 01:39:31 ZUuEEEU80
                   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  数レスお借りします。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  生注意。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
名前は出しませんがわかる人はわかるかも。

64:1/2
10/09/10 01:41:04 ZUuEEEU80
小さいな、と。ふとした時に思う。
肩を組む時。抱きしめる時。キスをする時。抱き合う時。
元々この子こんなにちっさかったけ。ソファに座って、隣同士。
身体と同様に小さい彼の手を弄りながら呟くと、お前がでかくなったんだろがと何の可愛げもなく返された。
今みたいに俺にされるがまま抵抗もしない癖にそんな乱暴な口をきく彼を、時々愚かだと思う。

「あんたひょろひょろだったじゃん昔」
「そう?」
「初めて見た時こいつもうすぐ倒れんじゃねぇかと思ったもん」
「…そうだっけ」

確かに身体は強い方ではなかったけれど、そんな風に思われてたんだ。
子供の頃から一緒で、仕事仲間で、遊び友達で、たぶん、恋人。

「…恋人繋ぎー」
「…馬鹿かよ」

嬉しそうだけどね。顔が赤いのは気のせいじゃないはず。
素直じゃないのは昔っから。彼の考えてる事なんて、大体知ってたよ。
彼が俺に向ける視線は特別。それって多分ほとんど出会った当初からだった。
それなのに何年経っても天邪鬼な態度を取る彼は、愚かで愛しい。

65:2/2
10/09/10 01:42:21 ZUuEEEU80
わざと指の間をくすぐるように指を滑らすと、短く息を漏らすのが聞こえた。
悪態ばっかついてくる彼を黙らすのは簡単で、ちょっとでもそういう触れ方をしてやればいい。
頭がよくて、なかなか人に正体を見せない彼だけれど、俺にとってみれば分かりやすいことこの上ない。
それこそ何年一緒に居るんだっつー話で。

だってほら、もう大人しい。
ある意味動物を扱うより簡単だなんて言ったら、こいつは怒るだろうな。
代わりに頭をわしゃわしゃと撫でてやったら、弱い力で押しのけられた。
聞こえるか聞こえないかの声で、うざいってさ。怖い怖い。

そっとその薄い肩を押すと、何の抵抗もなく倒れる身体。
どっちかって言うとお前の方が貧弱そうだよね、今。鉄分足りてなさそうだってさ。

「白過ぎんじゃない、ちょっと」
「…それ今言うの?」

前髪が彼の額に触れるくらいの距離で言うと、あからさまに面倒くさそうな顔をされた。

「たまには外出ろよ」
「知るかよ」

今度久しぶりに野球にでも誘ってやろうか。きっと尻尾振って付いてくる。
そんな事を考えながら、その生意気な口を塞いだ。

66:風と木の名無しさん
10/09/10 01:44:02 ZUuEEEU80
____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ヒトリデコソーリミルヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
チッスで黙らせるなんて男前すぎるぜ…。>本尊

67:風と木の名無しさん
10/09/10 23:26:03 w8WOW/hx0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  オリジで後輩×先輩。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  女装足コキアナニーマスターの変態祭り。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ヘンタイダー
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |

68:1/6
10/09/10 23:26:46 w8WOW/hx0
「どうっすか先輩!」
「おお椚田相変わらず素晴しい美脚だ。しかも最強の女子校生制服に黒のタイツなんてもうニッチなあれで俺のどれを狙い撃ちじゃないか」
ちゃぶ台に行儀悪く右足を乗せ、妙な決めポーズを取っている好青年がこの部屋の主、椚田右だ。右と書いてすすむと読む。そのお世辞にも似合っているとは言えない女装した成人男子に
惜しみない賛辞を能面のように無表情で送っている端正な顔立ちの青年が榎木優二、椚田の会社の先輩で指導係だ。
勿論彼らとてしらふでやっている訳ではない。椚田の資格試験の勉強会だったのがいつの間にか二人ともうっかり摂取したアルコールでほろ酔い気分になってしまっているのだ。
「ところで椚田、なんでそんな頓狂な格好をしているんだ」
「それはっすねぇ」
急に抑えた声になり、榎木はベッドに座った椚田に少し体を寄せる。
「ほら、前回のあれがあったじゃないっすか」
さぁっ、榎木は自分の血の気が引く音を聞いた上に、胃に氷をぶち込まれた気分になった。
あれ、というのは酔いに任せて榎木が椚田に強要した行為だ。今の今まで忘れたみたいにおくびにも出さなかったくせに、コスプレして持ち出すとは。目眩をなんとか抑え、榎木は先を促した。

69:2/6
10/09/10 23:27:13 w8WOW/hx0
「それで、おれ色々考えたんすけど、先輩は足フェチじゃないですか」
「反論の余地もない」
「でも先輩は女の子が好きでしょう?でもおれは先輩の理想の足の持ち主でしょ、ところがおれは男。」
「……それでたどり着いた結論が女装と」
まさにしょんぼり、といった具合で椚田は視線を落とす。
「今のちょっときゅんときたな」
「まじっすか!」
うん、と榎木は素直に頷いてみせる。美脚に性別もくそもあるか、それよりこんな変態の自分の事で一生懸命悩むなんて、可愛いじゃないか。榎木の思考は概ねそんな感じだった。
「そんないつもの無表情で言われても…」
「…わかった」
榎木は椚田の頭を抱えて軽くキスをした。
「せ、せんぱ」
「お前は可愛いな。女子高生マジックか、俺が思ってたよりお前の事好きなのかな」
「そういう葛藤は心の中でしてください…」


70:3/6
10/09/10 23:27:51 w8WOW/hx0

「あ、ぁっはぁ、ン!…いい、気持ちいいよ、くぬぎ、だぁ……」
「せんぱ、おれ、おれどんくらいの力いれたら…」
「もっとして…ァっ!そこ、うぁ…タマんとこ、きもち……ん!くぅ…」
ごくり、部屋中に響き渡りそうな音を立てて椚田は生唾を飲み込んだ。前回酔った榎木に足コキをお願いされた時は驚きが先行して、ろくに状況の把握ができなかったが、今は違う。
仕事ができて、頼りになる、人形みたいにきれいで性の匂いなんて全くしない憧れの先輩が自分の足に縋り付いて悦がっているのだ。
「あ、ぁ、だめ…イく、くぬぎだ、イキそう…」
「いいっすよ、おれの足で、イって下さい」
抑えた声と共に黒いタイツに白濁液が広がる。
「ぁ、ハッ…汚れちゃった…」
「いいっすよせんぱ、ぅわっ!何すんですか!」
足裏の生暖かく湿った感覚に驚いて椚田は左足を引っ込めようとしたが、榎木に阻まれて叶わなかった。恍惚とした顔で足の裏を舐められていたのだ。
「せ、先輩、駄目…、きたないよ…」
椚田の言葉も耳に入らない様子で榎木は指の間まで丹念にタイツ越しに舐めなわしている。ふと目が合い、なぜか椚田は思わず目を逸らした。
「くぬぎだ、勃ってる…」
榎木は椚田の脹ら脛に這わせていた手をそっと太ももの内側につたわせた。
「はは、すげーエロい…」
「そ、」

71:4/6
10/09/10 23:28:25 w8WOW/hx0
そんな事はない、と椚田は自分の足を好き勝手に愛撫している榎木に反論しようとしたが、目に入ったのは紺色のスカートの不自然な盛り上がりと嬉しそうにうっとりと笑う榎木で、声を失った。
確かに、これまで見た中で一番卑猥な光景だった。
「うわ……わ!」
自分の反応に戸惑っている間に、榎木の悪戯な手がタイツ越しの椚田の中心を撫でた。
「…なあ、あのさぁ、これ入れていい?」
「は?え…な、どこにっすか」
「もうさぁ、ここまでしちゃってるし…ぶっちゃけちゃうけどさ、俺アナニー好きでさあ、拡張してたら本物も入れてみたくなってたっていうか、
いや誰でもいいって訳じゃないけど、こんなお前見ちゃったらお前の、その、すげーほしい…なと思っちゃって」
突然の思ってもみない告白に、椚田はぽかんと口を開けてしまった。
「なん、凄いっすね」
馬鹿みたいな返事をしてしまう。それもそうだ、尊敬する先輩が自分のペニス―しかもスカートの下の―を握りながら目を逸らして恥じらっているのだから。目眩がした。
「お、おれよく分かんないっすよ……」

72:5/6
10/09/10 23:29:10 w8WOW/hx0

なんてことだ、混乱した頭で椚田は思う。今までの一番エロい光景記録がどんどん更新されていく。
自分は女装で、押し倒されていて、シャツだけの榎木が跨がっていて、挿入しているのは自分で、状況を把握しようとすればするほど倒錯的で興奮する。
「…っはぁ、う、せんぱ、ぁ、い」
「ふあっ、熱ぅ…んっ、くぬぎだ、きもちい…」
予想以上の快感で喘いでいた榎木だが、蕩けた頭の片隅でふと心配になった。乱れきった可愛い後輩の顔を覗き込む。
「なぁっ、これ、和姦?」
「…へ?」
「だからぁ、はぁっ、ん、おまえも…ちゃんと気持ちいい?」
「え」
間の抜けた返事を返す椚田に痺れを切らし、榎木は椚田の胸に手を伸ばす。
「気持ちいい?」
「そんなとこ、うわっ…な、なにしてっ」
湿った感覚が椚田の乳首に広がる。未知の感覚に身体中がぞわぞわした。
「ぁ、はっ…こら、抜ける…」
「あ、あ、何、だめ、だめですって、そんなしたらおれっ…」
シャツの上から乳首を舐られ、限界に近いペニスはいっそう締め付けられて、椚田は射精したい、その一心で気も狂わんばかりだった。でも言わなければ。ひとかけらの理性が促す。


73:6/6
10/09/10 23:29:40 w8WOW/hx0
「どうして泣くんだ」
「だって、そんな事、言われたら、あ!…おれ、バカみてぇじゃないっすか、こんな、こんなにして、好きに…好きに決まってるじゃないですか!」
「!っあ、ぁア…ぁああ!」
「ひ、も…ぅあ、んっ…」
先に達した榎木につられるように椚田もすぐに絶頂を迎えた。力なく榎木が倒れ込む。抱き合うかたちになり、二人で荒い息を整える。
「っはぁ、どうしよう…」
「…何がっすか」
「すげー気持ちよかった…嬉しい。ん、何固まってんだ?」
「…イエ、それでもいーんです、おれ……」
挙動不審な椚田に、榎木なりに考えに考えて、どうやら椚田は自分のオモチャでもいいと思ったのではないだろうか、という結論に達した。
馬鹿なやつだ。自分はさっきの告白でまだ動悸が収まらないというのに。こんな自分の事で精一杯で鈍い自分のどこに惚れたのか。確かに、涙がでそうだ。
榎木は少し笑って、言った。
「ばぁか、お前が俺の事愛してくれて嬉しいってこと!」

74:風と木の名無しさん
10/09/10 23:30:48 w8WOW/hx0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |  衝動的に書いた。はい、変態は私です。
 | |                | |           ∧_∧ オソマツサマデス
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

75:風と木の名無しさん
10/09/10 23:49:21 HGuCbfsP0
>>67
(; ゚∀゚)=3ハァハァ
GJ! GJ! 変態バンザイ

76:風と木の名無しさん
10/09/11 00:48:23 QKaRcv49O
>>67
801の夜明けやーw

77:風と木の名無しさん
10/09/11 01:32:49 nr1mNnByO
>>67
アナニーからガチにいっちゃう男子の時代がついに来たか…
好みど真ん中すぎる ナイス変態ありがとう!

78:風と木の名無しさん
10/09/11 22:26:20 unVhXprr0
アナニーいいな
もっと広まれアナニーの輪

79:天葬 1/7
10/09/12 23:29:15 4W4GcSgFO
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

激団親幹線「バソユウキ」から殺し屋と復讐鬼。
激団特番を見ていたら萌えが再燃&以前書きかけだったものを見つけたので投下。


切り立った崖の先から臨む朝の海は、穏やかに静かだった。
水平線から昇り始めた陽の光を受け、波が白く煌めき、その上を海鳥が飛んでゆく。
そんな移り変わってゆく風景をどれくらい眺めていたか。
佐治は不意に強く吹いた風に髪を煽られ、それを片手で押さえた。
そしてそれをきっかけにスッと後方に視線を流す。
見やった背後にあったのは、うずくまる一人の男の背中だった。
夜明け前、ここに辿り着いた時から微動だにしていないようにも見えるそれは、
いつもの教主の白い衣装では無く、忍び用の黒衣を身にまとっている。
その後ろ姿に滲むのは怒りか悲しみか。
理解できないまま見つめ続ける彼―怒門の前にはその時、ただ土を盛った上に
目印のような石が置かれただけの、簡素な墓があった。


80:天葬 2/7
10/09/12 23:32:02 4W4GcSgFO
都に近づく旅の途上、その土地に足を踏み入れる前から怒門の様子は少しおかしかった。
言うなれば落ち着きがない。しかしそのくせ土地の者の中には殊更積極的に入っていく。
そしてそんな中で耳に入ってきたのは、昔、この土地にいた青年のお伽噺のような話だった。
青年は年の頃衛兵として都へ上がり、そこでとある媛君に見染められた。
結婚の約束をし、その箔付けのように海の向こうの国への留学も決まり、すべては順風満帆。
しかしそんな夢のような話は長くは続かなかった。
青年はこの国には戻ってこなかった。
留学した国で、許嫁の媛君の兄を殺した咎で処刑されたらしい。
どうしてそうなったのか。事情は知らされず、訳も分からず、ただそれでも青年の父はそんな息子の
身の潔白を信じ続けた。
きっと何かの間違いだ。息子はそんな不忠を働くような男ではない。
頑なに、ひたすら。
青年もその父親も人の好い者達だったから、事情が知れても周囲の人間が冷たく当たる事は
無かったが、それでもどうしても余所余所しくなっていく雰囲気をその父親は肌で感じ取っていたようだった。
徐々に孤立し、口を利かなくなり、食も細った。
そんな父親のもとに、ある日都からの使いが来た。
立派な武人の身なりをしたその使いは、父親にかつての息子の許嫁だった媛君の婚儀を伝えた。
この国の大王が媛君を妃にと望んだらしい。
自分達にとってはまるで雲の上のような話。
しかし父親には例え相手が雲の上の存在であろうと、その行為は息子を信じる心に対する
裏切りになったようだ。
武人が来た翌日、その父親は……死んだ。

『自害だったようですけどね。詳しい様子はわしらにはわかりませんでした。
知らせを聞いたその媛様の家中の方々が、片づけのすべてを取り仕切ったので。
ただその中に例のご武人は見かけましたね。彼らはその父親をこの林を抜けた先にある
海の見える崖に埋葬したようです。そしてわしらには、その場所に無闇に近づかぬようにと。
だから、どうぞ気をつけて下さい教主様。下手に近づけば、どんなお咎めを受けるかわからない』


81:天葬 3/7
10/09/12 23:38:41 4W4GcSgFO
語られた言葉に固まっていた、あの時の怒門の背中。
その夜、宿坊から一人抜け出そうとするその行く手に立った時、彼は自分をただ無言で
見つめてくるだけだった。
おそらくは説明や言い訳を口にする余裕も無かったのだろう。だから、
『一緒に行くよ』
と、自分は言った。
『僕は君の護衛だからね』
それに返される彼の声は、あの時やはり無かった。


82:天葬 4/7
10/09/12 23:43:41 4W4GcSgFO
「父上との話はまだ終わらないかい?」
夜が明け、空も白んじてきた。
こっそり抜け出てきた宿坊も、自分達の姿が見えないとなれば騒ぎが起こるかもしれない。
そんな理屈を胸に発した佐治の声に、その時怒門はビクッと肩を震わせたようだった。それでも、
「……話などしてしていない…」
ややして、ポツリと落とされた呟き。それに佐治は少しだけ安堵の息を吐き出した。
「ならば何を?」
「俺に出来る事と言えば、ただ謝る事だけだ。」
ひっそりと返される、その声にはどうする事も出来ない無常感が滲んでいる。
さもありなん、どれだけ悔いようが悲しもうが、もはや取り返しがつかない事と言うものはある。
彼の父親の死は、まさにそれであった。
「君の事を最期まで信じていたようだね。そう考えると君と父上はやはり似ていたんだろうか?」
自分は血の繋がりなどまるで信じてはいないけれど、
「何故そう思う?」
「だって、驚くほどに頑固じゃないか。」
サラリと告げてやった、その言葉に怒門が膝を突いたままハッと振り返ってくる。
その視線に向け、佐治はこの時ほのかに微笑んで見せた。
しかしその笑みの下でこうも思う。
だからこそ、その強固なまでに張りつめた心の糸は、切れてしまえばこれ以上なく脆い。
自分以外にも息子の無実を信じていてくれたと思っていた唯一の者の裏切り。
下手に希望など持つから突き落とされる。
それは自分にはただ愚かな所業としか思えなかった。けれど、
「君の父上をここに埋葬したのは、やはり君の許嫁の手の者かい?」
今はそれを口にはせず、違う言葉を操る。ただ事実を確認するように。
しかしそれにこの時、怒門の表情にはサッと苦い影が走った。
「あぁ、京鐘家の手の者だろうな。美琴の婚儀の前に忌まわしい過去はすべて闇に葬り去りたかったんだろう。だから人里離れたこんな場所に…」
語尾が掻き消える、しかしその言葉尻を捕らえて佐治はこの時ふと周囲に視線を巡らせた。
眼前に広く海の広がる、ここは寂寥とも閑静とも取れる場所。
しかし佐治は、この時もそれについての言及を避けた。その代わり、
膝まづく怒門の肩越しに見やる簡素な墓。
「人の体を、地に埋めるから想いが歪む。」
そしてボソリと告げたその言葉に、怒門は瞬間ふと眉をひそめてきたようだった。

83:天葬 5/7
10/09/12 23:46:54 4W4GcSgFO
「佐治?」
いぶかしむ様に名を呼ばれ、口元にもう一度笑みが浮かべる。そして、
「大陸ではね、」
場に不似合いな涼しげな声が、この時唇から零れた。
「大きな都では知らないけど、そこから一歩外れれば野晒しの死など珍しい事じゃない。
山に川に、そして荒地では人の骸を鳥が食う。けれどそれはただ痛ましいだけの事ではなくて
食われた体は鳥の血肉となり、天に舞う。だから鳥の葬いは天の葬いとも言われている。」
「…………」
「君が望むなら叶えてあげようか?」
笑みを消さぬまま、佐治はそう言ってスッと着物の襟の合わせから懐を探った。
そして呆然と口を閉ざし続ける怒門の目の前に取り出してやったのは、竹で出来た小さな笛だった。
「鳥笛だよ。鳥を呼び寄せるのに使う。昔は連絡用に使っていた事もあったけど、ここ数年は
無用の長物だった。それでも吹けば何とかなるかもしれないよ。」
まあ、その手の鳥がこの辺りにいるかどうかも問題ではあるけれど。
そう言葉をつけ足し、佐治はこの時まるで子供が遊ぶような軽やかさで笛に唇を近づけようとする。しかし、
「…待てっ…」
瞬間、それを叫ぶような激しさで押し留めてくる声。
視線をゆらりと傾ける。と、そこには片手を前方に差し出し自分を必死に止めようとする怒門の姿があった。
だからそれを瞳に映したまま、佐治はゆっくりとその手を下へおろす。
するとそれに怒門は一瞬緊張の解けた表情を見せ、そのまま地面に両手を突いた。
うつむくのに合わせ、彼の長い白い髪が肩から滑り落ちる。
そしてその隙間からやがて聞こえてきた音。それはどうやら彼の失笑じみた声のようだった。
前のめりだった体が起こされ、ドサリと地面に座り込む。そして、
「慣習の違いだな。」
一言天を仰ぐようにそう呟くと、怒門は次の瞬間佐治にまっすぐな目を向けてきた。

84:天葬 6/7
10/09/12 23:50:07 4W4GcSgFO
「すまない。だが、止めておこう。おまえの申し出を受ける為には、俺はこの墓を暴かなければならなくなる。
その結果、俺の気持ちは少しは軽くなるかもしれないが、父にしてみれば静かな眠りを妨げられる
二重の親不孝になるだけだろう。」
「…………」
「すまない。」
怒門は繰り返し言った。そして、
「でも……ありがとうな。」
こんな言葉まで口にした。
言われた瞬間、佐治の目がわずかに見開かれる。
まさか礼を言われるとは思わなかった。それどころか、
「しかし、なんなら俺が死んだ時は佐治に頼むか。すべてを無に帰し、空を舞えるのならそれもいい。
もっとも……そんな綺麗な終わり方を俺が望んでいいのかはわからないが。」
穏やかな笑みの中に微かな自嘲を含ませて、そう視線を落とした怒門に、この時佐治はなんとも
例えようのない感情が胸に湧き上がるのを覚えた。
それはひどくもやもやと形を成さない……だから、深い考えのないまま滑る言葉が口をつく。
「君は……僕より先に死ぬつもりかい?」
珍しく不快に近い感情が滲む声に、目の前今度は怒門の方が驚いたような表情を見せた。
「いや…そう言うつもりで言った訳じゃないんだが……でも、そうなるのか。」
言っている途中で気付いた様に最後がひどく小声になる、そんな怒門に佐治の理由の無い苛立ちは増す。
「何故?」
だからジリッと足を踏み出しながらそう声の調子を強めれば、しかしそんな佐治の胸の内など
まるで気がつかないように、怒門はこの時困ったような笑みをその目元に浮かべながら告げてきた。
「何故って、おまえの方が俺より年若いじゃないか。」
「………」
「それにおまえの方が俺より強い。」
きっぱりと言い切られた、その言に佐治は一瞬返す言葉を失ってしまう。
それは、そうだが。そして自分は確かに、自分の死に方など考えた事も無いけれど。でも……
「なんだか嫌だな……」
心底苦々しげにポツリと零した、そんな佐治の呟きに、怒門はこの時尚も笑ったようだった。
「なら、先に死にたいのか?」
「それも御免だ。」

85:天葬 7/7
10/09/12 23:52:03 4W4GcSgFO
少しからかうように言われ、即座に返す。と、それに怒門は佐治は我儘だなと続けてきた。
我儘、そうなのだろうか?よくわからない。けれど、
先に死なれるのはつまらない。
先に死ぬのもつまらない。
ならば、それを避ける為には……

不意に目の前煌めく光が見えた気がした。
交じりあう剣戟が放つ一瞬の光。
それは過去の記憶か、それとも……未来の予見か――

その中に同じ命の長さを求める可能性を探れば…それは…

相討ち――

「心中くらいか。」

沈みかけていた思考に割り入る様に、その時不意に耳に飛び込んできた言葉。
それに佐治がハッと顔を上げると、視線の先にはやはりこちらを穏やかに見つめてくる怒門の瞳があった。
その唇が動く。
「一緒に死のうと思ったら、それくらいしかないだろう。」
「………」
「まぁ、戯言だな。すまん。」
黙り込む佐治の先回りをするようにそう告げ、怒門はその時座り込んでいた場所からゆっくりと立ち上がる。
着物についた土を払い、その手も叩く。そして、
「帰ろう。」
彼はそう言うと、すっとその手を佐治に向け差しのべてきた。


86:天葬 8/7
10/09/12 23:55:38 4W4GcSgFO
宿坊へと戻る道すがら、気を取り直したように見えても、まだ怒門の口数は少なかった。それでも、
「おまえが一緒に来てくれてよかった。」
時折、前を行く彼の肩越しに零される呟き。
「でなければ俺は笑う事はおろか、こうして立ち上がって歩く事も出来なかっただろう。」
ボソリと言われ、そうなのかと思う。
と、同時に先程までの事を思い出しもする。ああやって笑っていたのも無理をしていたのかと。
ならばそのやせ我慢が愚かしいにもひどく可愛らしくて、

やはり天にも地にもこの男はやれない――

再び可笑しそうな笑みを取り戻しながら歩く速度を速め、少しだけ彼との距離を縮める。
そんな佐治の手の中でその時、不要となった鳥の笛がキリリと軋む音を立てていた。



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

久しぶりで手間取り+ナンバリングもミスりました。すみません。
早くゲキツネ公開にならんかな。

87:風と木の名無しさん
10/09/13 01:12:40 9LN4Cd5nO
>>79寝る前に覗いて良かった!ありがとうありがとう。
教主様も殺し屋も二人の関係も愛おしいよ。

88:風と木の名無しさん
10/09/13 02:33:22 ZSASJAUg0
>>66
深夜時代のごほうびわしゃわしゃを思い出しました。

89:風と木の名無しさん
10/09/13 23:44:53 jkaoRExx0


                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  某ゲ仁ソ麺話です。生注意。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  エロなしヤマなしオチなし。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |


90:きみとねむる 1/3
10/09/13 23:46:47 jkaoRExx0
ピンポン、とインターホンが鳴る。
受話器を取ると、予想通りの声が聞こえてきた。
「健太郎、来たよー」
「今開ける」
ボタンを押してロックを解除する。部屋に着くまであと2~3分といったところだろうか。
少し時間を持て余していると、またピンポン、とベルが鳴った。
玄関のドアを開け、「おう」と客人を招き入れる。
「ごめんな、いきなり呼びつけちゃって」
「別にいいよー、今日暇だったし。台本できたんでしょ?」
「あらかたね。ファックスとかでも良かったんだけど、ちょっと実際読んでみて欲しいとこがあったから」
「珍しいねぇ健太郎にしては。そゆのあんまりないのに。」
「うん、ただ直したいとこが出てきたからちょっと待っててもらっていい?」
「わかった」
肩桐は慣れた様子で仕事場のソファベッドを倒し、ごろんと寝転がった。
子林もそれをさして気にすることなくパソコンへ向かう。
「あのさあ賢太郎、こないだやついがさ」
「たろうの幼稚園でさ」
「今度の芝居がね」
「はははっ」
「そーか」
「んー…」
容赦なく投げかけられる言葉を、容赦なく適当に投げ返す。
子林はキーを叩くのに没頭していた。
面白いセリフ、面白い動きと間、頭の中でカチカチと音を立てて建ちあがる世界。
どれだけの時間が経っただろうか。子林はようやく手を止めて伸びをした。

91:きみとねむる 2/3
10/09/13 23:49:02 jkaoRExx0
「あー終わったー。お待たせ仁」
振り返ると肩桐は寝入ってしまっていた。時計を見ると3時間近く経っていたのだから仕方がないかもしれない。
ソファベッドの周りにはいつの間に買ってきたのか食べかけのポテトチップスやらコーヒー牛乳やらが点在し、
ベッドの上には開きっぱなしの携帯ゲーム機と漫画が放ってあった。その中心で眼鏡も外さず眠る肩桐を見て、子林はため息をついた。
「汚ぇなー…」
食べ残しを片付け、漫画と携帯ゲーム機を閉じてテーブルに置いておく。床に置いてあるコンビニの袋を覗くと、もうひとつ汗をかいたコーヒー牛乳のパックが入っていた。
これは多分自分にだろう、とあたりをつけてコーヒー牛乳を啜る。疲れた頭に甘さがじんわりと痺れた。
「ぬるいし…」
気の抜けた顔で眠り続ける相方を見ていると、子林にも眠気が襲ってきた。
「ベッドで寝やがって」
自分が床で寝るのは癪だ。なるべく肩桐を隅に追いやってからソファベッドに横になる。さすがにベッドが軋んだ。
「眼鏡くらい外せよ」
肩桐の眼鏡を外して床に置いた。長年見てきた顔が、結構近くにあった。自分にはない天性の面白さ。素直さ。したたかさ。
コンビを組んで、何度コイツになりたいと思ったか知れない。しかしもしそんなことを口に出せば、肩桐は「何で?健太郎の方がすごいじゃん。俺なんてなんもできないよ」と事もなげに返すだろう。
それが自分が持てない強さだと、子林は羨むような、妬むような気持ちの広がりをじんわりと感じる。
でも、と子林は思う。肩桐の面白さを一番分かっているのは自分で、その面白さを一番引き出せるのも自分だ、それだけは間違いないのだ、と。
今まで数え切れないほど繰り返してきた自問自答をまた辿り、子林は眠りに落ちてゆく。


92:きみとねむる 3/3
10/09/13 23:50:42 jkaoRExx0
肩桐が目を覚ましたとき、もう時計は夜中の1時を回っていた。
薄目で腕時計を確認し、寝入ってしまったことを知る。煌々と明るい蛍光灯の光が目に突き刺さるようだった。
「うわ、1時って夜中じゃん…もう電車ない…」
ふと気付くと、目の前の随分近い位置に子林の顔があった。
「何で健太郎も寝てんの…」
寝すぎでぼうっと痛む頭のまま、肩桐はその見慣れた顔を眺めた。
自分には想像もつかない世界が、この頭の中に広がっているのだ。自分が逆立ちしてもでてこないようなアイデア。何でもこなす器用さ。ストイックさ。
こんなに近くにいるのに、コンビを組んでいるのに自分はただ心の底から感心することしかできない。無力さがいつも嫌になる。
でも、と肩桐は思う。子林が相方に選んだのは自分で、そこには何かしらの意味が必ずあるのだ、と。
こんなに眉間に皺を寄せて眠るコイツを、誰かが守ってやらなきゃならない。きっとそれが自分の役割のひとつだ。
左手で子林の額に触れる。少し顔を歪めたあと、子林はいくぶん安らかな顔で寝息を立て始めた。
それを確認すると、肩桐はそっと電灯を消し再びベッドに滑り込む。
「おやすみ」

雨の気配と共に、夜が静かに更けていった。

93:風と木の名無しさん
10/09/13 23:52:53 jkaoRExx0
____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ おしまい。読んでくれてありがとう!
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


94:風と木の名無しさん
10/09/13 23:59:27 CvHDhax/0
>>93
ちょうど今飢えてて避難所を覗いてきたところで凄いナイスタイミングでした!
癒されたよー

95:風と木の名無しさん
10/09/14 01:13:26 gSUhWmpcO
>>93
ふたりの感情が素朴でイイ!
萌えましたありがとう

96:Living Dead Lovers 1/7
10/09/14 23:57:46 T2eentl90
藤/崎/竜版の屍/鬼で徹×夏野です
「もしも夏野が屍鬼達の幹部になっていたら」という捏造if設定なので苦手な方はご注意ください
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

人ならざる者屍鬼の集落、外場村は頂点に兼正の沙子を頂き、僅かな人狼に統率される3つの集団に
分けられる。
倉橋佳枝率いる屍鬼として起き上がったばかりの者を教育する山入、辰巳率いる屍鬼としての生活に
慣れた者が起居する外場村、そして結城夏野率いる都会班である。
都会班は屍鬼ばかりで獲物となる人間がいない村から自動車道で都会へ屍鬼を送り、狩りを采配する。
また自分で狩りを行えない仲間のために餌である人間を都会から間引いてくる役割も担っていた。
深更、村に都会班が帰ってくる。村中で遠征した屍鬼達を降ろすと、バンは山入へと分け入っていった。
「お疲れ様!辰巳が結城くんのこと待っているよ!」
バンを待ち構えていた佳枝は、降り立った夏野に声をかけるとテキパキと教育係の屍鬼達に指図して、
家畜をトラックで移送するごとくバンから人間達を引き摺り下ろしては檻へと連れて行かせる。
夏野は無言で頷くと、バンを運転していた傍らの武藤徹を見上げた。
徹は唇を噛み、連れて行かれる人間達をじっと見つめている。
「行こう、徹ちゃん」
すっと脚を運ぶ夏野に遅れまいと、徹は慌てて夏野の一歩後ろを付いて行った。
――ほら、あれが結城夏野だよ
――私を攫うよう指示したのも彼なのね
――傍らの青年は武藤徹といって、結城さんの子飼いだ
――人狼だから、ヒトを襲わなくても俺達のように飢えないのさ。同じ化け物なのに
――その辺で止めときなよ。兼正や人狼に逆らったり目をつけられたりしたら・・・
集落を横切る夏野達を、屍鬼の畏怖の視線と囁きが追いかける。人狼として身体能力や五感が発達した
夏野でなくとも、その囁きは徹にも聞き取れた。
徹は声を振り切るようにただ前を行く夏野の足元を見つめたまま歩いた。
「や!お帰り。今夜もご苦労様」
徹と夏野が外場で住処としている家には、辰巳が既にきていてリビングで待っていた。
夏野は辰巳に一瞥を投げると、対面のソファーに腰を下ろす。

97:Living Dead Lovers 2/7
10/09/14 23:59:17 T2eentl90
時に冷酷な一面を露わにする辰巳を徹は苦手としていて、人狼同士の会合の際には給仕だけして
奥に引っ込んでいるのが常だった。
「俺、コーヒー用意してきます」
「ああいいよ、それより今日は武藤くんも座ってくれ」
にこにこと促され、仕方なく徹は夏野を伺うとそろりと夏野の隣に座った。
「で?用件は?」
「沙子がきみのことを褒めていたよ。『よく働いてくれている』って」
「どうも」
徹は無愛想な夏野に辰巳が機嫌を損ねないか、はらはらと忙しなく二人を見やる
「ただね、きみが間引いてくる人間なんだけどね―どうして少年がいないんだい?」
ひたりと辰巳は夏野を見据え、夏野は微塵も揺るがずその視線を受け止めた。
「そう、きみや武藤くんのような年代の若い子がいない。これはどういうことかな」
「どうもなにも。たまたま運よく俺達に間引かれなかっただけだろう」
「それだけかい?僕はもしや結城くんが手心を加えているのかと思ってね」
にたりと笑う辰巳を、夏野は睨めつけた。空気がピンと張り詰める。
「…何が言いたい」
「屍鬼に殺され、屍鬼となった武藤くん。そして飢えと家族と親友の命を天秤にかけ、
家族を取った親友の武藤くんに襲われて人狼として蘇生した結城くん。
今なおその事で苦しむ武藤君のために、きみのような年頃の少年をわざと見逃しているとしたら、
これはいただけないね」
辰巳はぐっと身を乗り出すと、獰猛な狼が生餌を嬲るように夏野を注視する。
「家族が起き上がらなかった屍鬼は、気に入った相手がいればそういう者同士で連れ添う。
でもきみが屍鬼となる餌を間引いてこないと、可哀想にあぶれる者も出てくる。
…中にはヒトを襲わずに済み、幸運にもパートナーの人狼の血で生き永らえている仲間に妬みを
募らせる屍鬼も出てくるかもね」
ぴくりと夏野の肩が揺れ、徹は俯いていた面をはっと上げる。
「人間でありながら屍鬼になった人狼の血なら、人間の血と同じように屍鬼の飢えを満たせる。
その上人狼だから回復力もある。
ヒトを襲いたくない殺したくないって思っている覚悟がない屍鬼からすれば、その屍鬼も、
血を与える人狼も憎しみの対象だろうね」
辰巳はじっくりと夏野と徹の反応を味わうと、身を引いた。

98:Living Dead Lovers 3/7
10/09/15 00:00:42 T2eentl90
「や!そんな人狼と子飼いの屍鬼なんていないだろうけど、そんな噂が外場に広まらないように
頑張ってくれというのが沙子と俺の考えだ。
じゃ、これで俺は失敬するよ」
辰巳がひらりと手を振って出て行ったリビングには重苦しい沈黙だけが蹲っていた。
「夏野…」
ふうっと夏野は力を抜くと、徹に寄りかかった。
腕の中の肢体は青年への過渡期の薄い体のままで、自分では死と共に失った呼吸と温もりが哀しく、
愛しく、そっと抱きとめた。
「徹ちゃんが初めて俺を襲ったときも、こんな風に優しく抱きしめてくれたよな」
背中を支える腕の優しさも、その腕の冷たさも覚えている。そして『獲物』として自分を覗き込んだ
冷えた瞳も。
手を指し伸ばすと、徹ちゃんは自分から頬を寄せてきた。
「夏野を襲いたくなかった。人の生き血を啜らなければ生きられない自分が嫌だった。
でもあの時、清水が夏野を襲おうとしたとき、思ったんだ。
清水は夏野を襲うことを受け入れていた。夏野を襲うことを躊躇する人間らしい苦しみはなかった。
俺はその苦しみを、誰にも譲りたくなかったんだ。たとえその苦しみを未来永劫抱えることになっても」
まるで石を飲み込んで苦しくてたまらないように眉を寄せる徹ちゃん。
人だった頃の徹ちゃんは、こんな風に苦しげではなかった。
当たり前だ。俺達は人外の化け物になったのだから。
「俺は、徹ちゃんを殺した屍鬼が憎い。俺を殺した徹ちゃんが憎い」
徹はぐっと顎を噛み締め、夏野の憎悪を受け止める。
「徹ちゃんが俺を襲った苦しみを抱え続けて、苦しくても辛くても生きるっていうのなら、
生きたいとは思わないけど、俺も生きるよ。
俺は俺と徹ちゃんを奪った屍鬼への怒りと憎しみを抱えてな。
…矛盾してるよな。
屍鬼を憎んでいるのに、都会班を采配して、徹ちゃんを許せないのに中途半端な間引きでその苦しみを
和らげようとして、けっきょくこの村に帰るしかないんだ」
「夏野」
夏野は蘇生してから、「夏野」と下の名前で呼んでも怒らなくなった。きっと、そういうことなのだろう。
「村に捕らわれるのは御免だけど、徹ちゃんにならいいよ」
夏野は身を起こすと、シャツを脱ぎ捨てた。
健康的な生き血を前に、ぞろりと牙が伸びるような感覚を覚える。

99:Living Dead Lovers 4/7
10/09/15 00:02:08 T2eentl90
「食えよ」
徹は屍鬼としての本能に身を任せ、夏野を押し倒した。
ぶつりと張りのある肌を牙で噛み破ると、さらりと甘味のある血液が口いっぱいに広がる。
牙の毒がもたらす軽い酩酊感で夏野の瞳が揺らぐのが綺麗だと思った。
ひとしきり喉を鳴らして貪ると、牙を引き抜く。
飢えが満たされた満足感に一息つくと、見る間に噛み痕は塞がった。
「満足した?」
「まだ。…今度はこっち」
伸び上がって甘えるように鼻先をすり合わせると、夏野の唇が誘うように開いた。
「んぅ……ふっ…んんッ」
舌を絡め合い吸い上げると、ぞくぞくと背筋を快感が駆け巡り腰の奥に重く溜まっていく。
夏野が己の血で徹を養うようになったときから、ごく自然に徹の食事の後に抱き合うようになった。
生き血を啜るという化け物の行為の後にセックスをするのは、精神までは化け物になったわけではない、
人と同じ精神の在り様を―誰かを愛して心と体を繋げたいという想いをこの空虚な入れ物に
宿し続けていると表したかったのかもしれない。
牙で舌を軽く噛むと、夏野が抗議するように髪を引っ張る。
「牙で舌噛むのは止めろよ!毒が苦くて嫌なんだよ」
「ごめん。つい。でもさ…」
「でも何?」
徹はカチャカチャと金具を鳴らして夏野の下衣を取り去ると、勃ち上がりかけているものを撫で上げた。
「こっち噛まれるのは好きだよね」
「な、馬鹿!そんなわけあるか、あっ」
ぐっと喉の奥まで咥えこむと、冷たい口内に迎えられた夏野のものがびくりと震えた。
屍鬼は肺呼吸がないから、思う存分咥えて愛してやることができる。徹はじゅぶじゅぶと唾液を
絡めながら、竿を舌と唇で扱き育てていく。
「ぁ、あはぁ……とぉる、ちゃん……」
紅い粘膜を曝け出した先端を、舌先でぐりぐりと抉るように差し込んでやれば先走りがどんどん溢れてくる。
「も、でそぅ…!」
限界だと夏野の太腿が引きつる様に痙攣し、忙しなく腹筋が上下する。
「いいよ我慢しなくて」
徹はじゅぷっとペニスを解放すると、チクリと小さく牙を立てた。
「ぅわ、ああああああッ」

100:Living Dead Lovers 5/7
10/09/15 00:03:30 T2eentl90
小さな痛みの後に甘い疼きが腰の奥で爆発し、夏野は勢いよく達した。
「大丈夫?」
達した余韻で情欲に弛緩したまま、夏野は忙しない呼気を鎮めようとする。
「…大、丈夫だから、ジェル…取って来て」
「待ってて」
ちゅっと軽いリップノイズを立ててフレンチキスを落とすと、夏野は照れてぷいっと顔を背けてしまった。
賢いけど気難しい猫のようで、徹は忍び笑いを堪えながらジェルを取りに立った。
後孔が乾いたままだと動き辛く、何より夏野を傷つけてしまう。
人狼なので血が流れてもすぐに治り、血は潤滑油の役割を果たしてくれない。
徹は夏野とのセックスを苦痛だけで染め上げたくなかった。
「お待たせ」
「別に」
衣服をすべて脱ぎ去ると徹は夏野に覆いかぶさった。太腿に口付けながらそっと軽く押すと、
夏野がそろりと脚を開いていく。
その様が「徹ちゃんが押すから脚を広げられるだけで、けして俺から脚を広げるなんてまねはしてないぞ」
と言っているようで、
徹は思わずくすりと笑みを滲ませてしまう。
「何だよ笑ったりして」
「いーや別に。夏野は可愛いなぁと思って」
「ふざけたこと言ってんなよ」
つり上がった目尻をキスで宥めつつ、手の平に取ったジェルを指に絡めてそっと夏野に沈めていく。
暖かい夏野の中が異物感と徹の冷たい体温にきゅうっと収縮する。
屍鬼には寒暖など関係ないが、人間でありながら屍鬼である人狼は体温があり、
人間よりは耐性があるとはいえ多少は寒暖を感じる。
こりこりと前立腺を刺激すれば夏野の肌は上気し、暖かい涙が流れていく。
それなのにこの死んだ体はいつまでも冷たいままだ。
「ごめんな。俺、いくら夏野が暖めてくれても冷たいままで」
申し訳なさにそっと涙を拭うと、夏野は柔らかく笑い徹を抱き寄せて幼子にするように額に口付ける。
「いいよ。俺が何度でも徹ちゃんを抱きしめるから。徹ちゃんはただ俺の体温を感じてくれるだけでいい」
鼻の奥がつんとして、夏野に抱き着いて遮二無二泣き叫んで謝りたくなる。
「殺してごめん。飢えに負けてごめん」と。

101:Living Dead Lovers 6/7
10/09/15 00:05:33 T2eentl90
でもそんなことはできない。夏野は根底では今でも屍鬼も、己を殺した徹も許していないからだ。
だから徹は腕の中の存在をただ大切に、大切に、抱きしめた。
「はぁッ……ん、そろそろ、いい、よ」
「うん」
ぐっと体重を乗せて腰を突き出すと、ぬぷっと呑みこまれていく。
「ん、う、あ、んあっ」
「夏野」
夏野の呼吸を促すように、髪や頬を愛撫する。
「う、あ、とおる、ちゃんっ」
「うん、俺だよ」
「ああっ…あん…ぅあっ」
夏野の息が整ってきたところで、ゆっくりと引き抜いては大きく腰を突きこむ。
冷たい杭がペースを徐々に上げて夏野を追い込んでいく。
熱を持たない徹のものが突き上げるたび、腰が熱く重く痺れていく。
「夏野っ…夏野っ」
縋るように名前を呼ばれると、胸の奥に飲み込んだ硬く凍った怒りが絆されていく。
まるで自分達がただの人間の恋人同士みたいだと勘違いできそうで、夏野は徹を掻き抱いた。


「徹ちゃんに抱かれてイったときの感覚って、死んでいく感覚に似ている」
荒くなった呼吸と火照った体が落ち着いた頃には、夏野はうとうととまどろんでいた。
徹は先を促すように乱れた髪を梳いてやる。
「血を吸われる快感が終わると、手足が無くなったみたいに体が重くなって世界が真っ暗になっていくんだ。
そしてどこまでも落ちていく。俺は徹ちゃんに抱かれる度に、人だった頃の最後の夜を繰り返すんだ…」
「…夏野?」
覗き込むと、寝付いてしまっていた。こうして見る寝顔は人間だった頃とちっとも変わっていない。
自分はかつて飢えに負け、夏野以外にも人を殺め、罪を犯した。
夏野が血を与えてくれるから、今は飢えることもなく人を殺さずに済んでいるだけだ。
いつか夏野がその胸に抱える屍鬼への怒りと憎しみが溢れたら、そのときはどこまでも夏野に着いて行こう。
そしてこの手で殺した夏野に、今度こそ死なせてもらうのだ。
(でも、それまではずっとそばにいるよ)
徹は眠る夏野の掌にそっと冷たいキスを捧げた。

102:Living Dead Lovers 7/7
10/09/15 00:07:04 17vflZ9l0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
スレ立てではご迷惑をお掛けし、申し訳ありませんでした
書いてるうちに「むしろ徹ちゃんは包容受けじゃん!」と起き上がった
dgdgですが小説書いたのも棚投下も初めてなので、ご容赦いただけるとありがたいです

103:風と木の名無しさん
10/09/15 01:17:43 KLvpc6UG0
GJGJ!
お互い離れられない二人が切なくてイイ!

104:風と木の名無しさん
10/09/15 21:32:04 EnTEFyVj0
前スレ>>193-195に※トンでした。
規制くらわないうちに続編。
先輩×後輩←更に後輩
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


真夜中に鳴り響く、携帯の着信音。
曲は俺の大好きなアニソンの……って、今はそんなことはどうでもいい。
このメロディが流れる時は、俺に『命令』が下る時だから。


「後は任せたわ」

相手は、それだけ言って電話を切った。
用件どころか、自分の名前さえも伝えてこない。
勿論、俺の都合などお構いなしだ。
もっとも俺の方は、自分の都合なんかより、この『命令』の方がよっぽど大事なのだが。


105:風と木の名無しさん
10/09/15 21:32:49 EnTEFyVj0
自室を出て、指定の場所に向かう。
そこには、必ず彼がいた。
いつもとは違う彼が。



「ハヤテくん、大丈夫?」

毎回、最初にかけるのは同じ言葉。
返事が返ってくることはまずないけど、何か言わなければならない衝動に駆られる。


俺に下された『命令』
それは、あの人の後始末をすること。
つまり、あの人に散々弄ばれた彼の面倒を見ることが俺への『命令』だった。



最初に呼ばれた時は、ぐったり横たわっているハヤテくんをみて、頭の中が真っ白になってしまった。
そして、悪魔のようなあの人の囁き。


106:風と木の名無しさん
10/09/15 21:33:22 EnTEFyVj0

『ごめんなぁ、先にいただいたわ』

ここで相手をぶん殴って、「俺のハヤテくんに手を出すな!」とか言えたらかっこいいんだけど、現実は二次元のようにはいかない。
パニックになりながらも彼を抱きかかえて部屋に戻り、一晩中手を握っていたのは、もう大分前のことになる。

「ごめんね…俺が弱いばっかりに…」

本業ですらまともにできていない俺に、どうやってあの人から彼を救えというのだろう。
歯がゆい思いだけが募る。

『飽きたらタイキにやるわ』

そう言って不敵な笑みを見せたあの人。
他の誰でもなく俺を選んだ理由が、余りにも残酷だ。




「俺が、必ず助けるから」


思いとは裏腹に、今日も俺は『命令』に従う。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
書いておいてなんだけど、そんな日はこないんじゃなかろうか。

107:風と木の名無しさん
10/09/16 03:21:53 p09mJabAO
>>104
久しぶりに来たら続編キテター!!GJGJです!
後輩←更に後輩ktkr
後輩君本業がんばってくれ!と応援せざるをえない…たとえ可能性が低くとも。

108:1/2
10/09/16 21:05:36 E8w3F0Dv0
ドラマ浄化ーで一応、盾→←鑑識です。
浄化ースレのすれ違い両思いに感化されてやってしまいました。
初投稿なので不備があったらすいません。
>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!



自分で決めたんだ。
マスターの代わりになるって。

マスターと盾さんの間には誰も踏み込むことなんか出来ない。
サエコさんと別れたのもそういうのを彼女がどこかで感じたからかもしれない。
どんなに頑張っても絶対に入り込めない、共有できない距離に耐えられなくなったのかも。
でも俺はそれでもいいって思った。
マスターに盾さんを頼むって言われて、傍にいられるなら代わりでもいいって。
本当に、思ってたんだ。


***

あ、盾さんだ。
盾さんが俺を見つけてこっちに来た。
何か話し掛けてくるけどよく聞こえない。
だけど笑ってるからきっと楽しい話なんだろうな。
わからないまま盾さんと話をしてたら急に抱きしめられた。
ドキドキしてる俺の耳に唇を寄せて
『マスター…』
幸せそうに呟く声が聞こえた。

***



109:2/2
10/09/16 21:06:50 E8w3F0Dv0

「…くん、工藤くん」
ぼやける視界がだんだんとはっきりしてくる。
目の前には少し心配そうな顔をした盾さんがいる。
「盾、さん…」
またあの夢か。最近よく見る夢。
「あのさ、変なこといってなかった?」
「いや…なにもなかったよ」
よかった。盾さんには知られたくない。これ以上余計なものまで背負ってほしくない。
背負ってやるって言った自分が盾さんの負担になるようなことはしたくない。
「コーヒー淹れよっか」
気持ちを切り替えるように立ち上がる。
盾さんの横をすり抜けようとしたら腕をつかまれて抱きしめられた。
「積極的だね」
「君がどこかに行きそうに見えた」
「どこかってどこだよ」
どこにも行くわけない。行くところなんかない。
あっても行けない。だって俺はマスターの代わりなんだから。
さっきの夢と重なる。今、盾さんが見ているのは俺じゃない、マスターだ。
マスターを想ってるんだって思ったら、抱きしめられてうれしいよりも悲しくなる、泣きたくなる。

盾さんごめんね。
マスターの代わりなのにあんたを抱きしめ返すことも出来ない。
傍にいられればいいなんて嘘だ。俺のことを見てほしい、好きになってほしい。
伝えたい気持ちと泣きたい気持ちを閉じ込めようと、握った拳に力をこめた。



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
思いのほか暗くなりすぎました。
そして盾→←鑑な感じが全くしない…。


110:お前は俺なんだ
10/09/16 23:53:45 yqIz68vQO
ジョーカー半生、たまたま連投スマソです。
マス盾にたぎってしまい、なんだかわいてきたので投下してみます。

だって最終回直後だから仕方ないじゃないと開き直り居直りスマソ。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


111:お前は俺なんだ 1/5
10/09/16 23:55:03 yqIz68vQO
盾にとって保護者といえば見上だった。
事件の後、俺はずっと施設で育ったが誕生日や学校を卒業した時など節目節目に必ず見上さんから祝いのメッセージを貰ったものだ。
自分は普通ではない。
そのことに気がついたのは思春期になってからだった。
他人に冷静で自分に客観的すぎる自分。
異性に興味がわかない。
感情がない自分に対して不安を覚えて僕は「壊れてる」と見上さんに訴えた。
僕はこれで大丈夫なんですか?と。
見上さんは、そういう自分を抱きしめて言った。
俺たちは大事なモノを失ったんだから、そう感じて当然なんだと。

112:お前は俺なんだ 2/5
10/09/16 23:57:09 yqIz68vQO
そう言って見上さんは僕の唇を奪った。
不思議と嫌悪感のない自分に驚く。
見上さんの包容力に安心しきっている自分に気がつく。
「ああ…俺はきっと自分を誰かに委ねて安心したかったんだ…。」

見上さんは執拗に俺の身体をまさぐりながら、舌をからめていく。
舌の感触で感じてきている自分に驚きながらも、1人で自慰するときとは違う興奮を覚えて、自ずと積極的に舌をからめる。
やらしいなあ…。
自分のあそこに血が集まっていくのがわかる。
そっか俺は男にも興奮できるんだ。
見上さんに尻やら太ももやら触られて感じる。


113:お前は俺なんだ 3/5
10/09/16 23:58:31 yqIz68vQO
不思議な気持ちで。
でも快楽を感じてしまい。
安心しきっている自分は、さらに見上さんに自分の身体を委ねる。
見上さんの手が俺自身に伸びると気持ちよくって「あん…」と声がもれた。
調子づいた見上さんはさらにいやらしい手つきで俺自身に愛撫を施す。
思わず声がもれる。
「ん、んん…だめ…きもちよすぎです…」
見上さんは、そんな俺の姿に満足気に「もっと良くしてやる…」とさらに愛撫を強くする。
「あ、だめ…もういっちゃう…」
「いいよ…イケよ」
許しを得た途端、俺のははじけてしまい見上さんの手を白く汚した。


114:お前は俺なんだ 4/5
10/09/16 23:59:48 yqIz68vQO
「はあ…」
イッた余韻で思わず声がもれる。
イッた盾の顔を眺めながら見上は自分の手のひらに飛び散った盾の白濁を盾の後ろにおもむろに塗りつけはじめて。
「俺にも気持ちよくさせてくれよ」
言い訳じみながら、後ろの穴に愛撫を施し始める。
「ん、あ、ああ…」
後ろの穴への刺激に又声がもれる。
優しくほぐしていく見上の指はそれでも執拗で、あまりの気持ちよさに盾は早く指ではない熱い塊が欲しくなって。
「見上さん、もう大丈夫…。ねえ入れて…お願い…」
その声を合図に見上も堪えきれなくなって盾の後ろの穴に自分自身をあてがった

115:お前は俺なんだ 5/5
10/09/17 00:01:33 yqIz68vQO
不思議な気分だった。
「あれ、俺、見上さんとセックスしてるのかよ」って。
何でこんなに気持ちいいの?って。
繋がりながら擦りあいながら見上さんと俺は今度は同時に昇りつめることができた。
「どーしよ、俺、ホントにフツーじゃないかも。」
でも俺の中に欲望を放って落ち着いたのか見上さんは「思春期すぎたらお前もマトモな恋愛できるようになるよ」と言ってくれた。
まだ実感は全然ないけど、いつか将来、そうなるといいなと、「ならないだろうけど」と思いながらも、微力ながら祈った。
でも、見上さんとのセックス気持ちよすぎる。


116:お前は俺なんだ 6/5
10/09/17 00:03:14 yqIz68vQO
思春期が終わるまでは楽しんでいいよね、と自分に甘い俺は自分に言い訳してしまうんだった。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
ナンバリング間違えたスマソ!
マス盾に最終回萌えすぎた。
後悔はしていないw

117:風と木の名無しさん
10/09/17 00:19:25 Pe8MMaeN0
浄化ーが浄化しきれず、
眠れなくて覗いてよかつたー


>108-109
ワンコ、可愛いよワンコ!!
マスタの絶対的な愛から抜け出れない盾さんへの愛がシュテキ
「両思いなのに擦れ違い」マニアには玉りません
第2弾お待ちしておりまする

>110-116
思春期盾さんエッロー
感じながらも「…です」口調エッロー!!
ぜひ今度はサエコと別れた後の2人も読んでみたいッス!!
オッサンスキーには玉りません!!



118:BA/SA/RA3の戦国最強×権現
10/09/17 00:27:54 BIBrw24Z0
BSR3
某スレのレスを見たら書きたくてしょうがなくなった
体がうずいちゃう権現

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | |> PLAY.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ヒトリデコソーリミルヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |

119:BA/SA/RA3の戦国最強×権現 1
10/09/17 00:28:49 BIBrw24Z0
月明りが、濡れた瞳を反射した。
そして主と臣下は対峙する。

「……忠勝、ワシは、おかしいのか?」








混乱した。
それはもう、どうしようも無いことなのではないかと思い立った瞬間、苦いものが込み上げてきた。
気づかぬうちに、振り返らないうちに、自分は決してもどることのできない橋をわたってしまったのだと。



それに気づいたのは、豊臣の臣下になって数日もたたないうちのことであった。

「……っ、く……」

深夜の寝室。寒々しい空気の中に、生暖かいものが混じる。
ぼんやりとしか見えない視界の中で、必死に右手を上下に動かす。
くちくちという音の中で、時たま先端をえぐるようにこねる。
詰まった息が、荒く吐き出される。
壁にもたれ掛かった家康の背中が、ぴん、と伸びた。
と、同時に栗の花に似た香りが鼻をつく。

120:BA/SA/RA3の戦国最強×権現 2
10/09/17 00:29:21 BIBrw24Z0

「はーっ……はーっ……」

萎えた陰茎から、離した手にはべったりと放ったものが付着していた。
わずかに動かしただけで、くちくちと鳴る音に耳を塞ぎたくなる。

これで、終わりだ。

そう思い、手拭いを取ろうと腰をあげた瞬間。
意識してしまった。
陰茎の更に奥。物足りないとでもいう様に疼き出した、その箇所を。

「……っ」

唇を噛む。
疼きから痛みへと意識を向ける為に。
治りかけた傷痕に、ピタリと歯を突き立てた。
だがその痛みさえも、強くなる疼きの前に霧散して行く。
ならば、と無意識に右手を噛んだそのとき。
口の中に懐かしい苦味が広がった。
どろりと、舌にのるその液体は家康の奥底から身体に残る記憶を引きずり出す。

捕らわれの
夜ごとの
苦しみの
拷問の日々。


121:BA/SA/RA3の戦国最強×権現 3
10/09/17 00:29:52 BIBrw24Z0

わかる。みなくてもわかる。
力を失っていたはずの陰茎が、先よりもなお、張りつめるのを。

待ち焦がれている。
いつかのように無理矢理に。いつかのように複数に。いつかのように乱暴に。
奥まった場所に、浅ましく突き立てられるのを、

鳥肌が立った。
認めざるを得なかった。
自分を苦しめていた行為を、何時の間にか身体が求めていることを。


(ああ。)
(疼きが、止まらないのだ。)


月明りの下、それを隠すことはしなかった。
荒い息も、剛直も、欲情も。
なにもかも、考えて、ありのままで臣下の前に立つ。

「……」
「ただ……かつ……?」

低く唸る、からくりの駆動音。
そっと、冷たい感触が頬に触れた。
する、する、する、と三度。宥める様にあやす様に。

いつも、こうなのだ。
忠勝は、この臣下は、いつだって家康の味方なのだ。

122:BA/SA/RA3の戦国最強×権現 4
10/09/17 00:30:26 BIBrw24Z0
だから、家康が追いすがった時、その身体をまさぐるのも、特段おかしなことではない。

それが、家康の救いになるのであれば。
【どんなことでも】実行する。




「は―、あっ、あ、あ、あああ」

感じたのは、充足感。
羞恥も、後悔もあったが、それを押しのけてなお、肛門を満たす、その無機質にそれを感じた。
先程まで、赤子の頬をなでるように優しさを伴っていた忠勝の指が、荒々しさをもって奥へ奥へと突き進む。

「ふっ、う、う」

ごり、ごり、と内壁をこするたび、もっとその感覚を追おうと明確な意思を持ってそこが収縮する。しゃぶるように、こすりつけるように。

「お、く……もっと、おく……だ!」

そうすると更に気持よくなれることを家康は知っていた。



確実に近くなる絶頂を前に、空を仰いだ。
柔らかくあたりを照らしていた月は雲に隠れ、暗闇が広がるばかり。
まるでひとつになったかのように、景色も家康も忠勝も、黒く黒く塗りつぶすようだった。

123:風と木の名無しさん
10/09/17 00:31:43 BIBrw24Z0
ビッチ権現もピュア権現もどっちも美味しく頂きたい

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 権現マジ権現
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

124:風と木の名無しさん
10/09/17 01:52:12 lG2HeMZJ0
>>123 萌えました・・・!!!!
誰か権現様をどうにかしてくれないかな
足軽でも敵武将でも誰でもいいしかしやっぱり忠勝だろうかとか
そんな私は非常に満たされました!ありがとう・゚・(つД`)・゚・

125:創作 赤ずきん×オオカミ 1/7
10/09/19 06:05:12 BEAQsDk6O
創作で、赤ずきん×オオカミです。
微妙に三角関係的な描写あり。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


むかしむかし、あるところに赤ずきんと呼ばれる少年がいました。外に出るときはいつも赤いずきんを被っていること、またそれが少年ながらに似合うかわいらしい容姿であることから、赤ずきんと呼ばれていました。
ある日、赤ずきんは森の中に住むおばあさんの家へとお見舞いに行くことになりました。
お母さんに渡されたバスケットを携えながら、赤ずきんが花畑沿いの道を歩いているときでした。

「赤ずきんちゃん、赤ずきんちゃん」

どこからか声がして、赤ずきんは辺りを見まわしました。すると、花畑の方から、1匹のオオカミが近付いてきました。
オオカミはふさふさの耳と尻尾を揺らし、人なつっこい笑みを浮かべて話しかけてきます。

「これからどこに行くの?」

「おばあちゃんちにお見舞いに行くの」

「そうなんだ。じゃあ、ここにある花をつんでいったら、きっともっと喜ぶよ」

そう言って、オオカミは辺りに広がる花畑を指しました。
オオカミの言うことに頷いた赤ずきんは、さっそく花をつむことにしました。
ひとつ、またひとつと、赤ずきんの手の中に花が増えていきます。

126:創作 赤ずきん×オオカミ 2/7
10/09/19 06:07:42 BEAQsDk6O
けれど、赤ずきんはふと思い出しました。
『オオカミは悪知恵が働くから、口車に乗ってはだめよ。自分の行き先も、決して教えてはだめ。』
お母さんが以前、森に出る赤ずきんに言っていた言葉です。さっき、赤ずきんはオオカミに今日の用事を話してしまいました。
もしかしたら、自分が花をつんでいる間に、オオカミはおばあさんの家に行くかもしれない―。
そう考えた赤ずきんは、花をつむ手を止め、はっと顔を上げました。


「ん?どうしたの?」

しかしそこに映ったのは、赤ずきんと同じように花をつんでいるオオカミでした。オオカミの特別鋭くも丸くもない目には、悪い企みなどないように見えます。
お母さんに言われたことと、目の前のオオカミの姿がつり合わず、赤ずきんは思わず訊ねました。

「…どうして、オオカミさんもお花をつんでるの?」

「んー、ふたりでつんだ方が早いかなって」

迷惑だったかな、と、オオカミが苦笑します。
赤ずきんは少しの間、このオオカミについて考えていましたが、やがてふるふると首を横に振るだけの返事をしました。

127:創作 赤ずきん×オオカミ 3/7
10/09/19 06:10:33 BEAQsDk6O
いっしょに花をつみながら、赤ずきんはちらちらとオオカミを見ます。花をつむオオカミの顔は、子供である赤ずきんの目にも、なんだか無邪気に映りました。
―変なオオカミさん。そう思いながら、赤ずきんもまた手を動かしました。

気付いたころには、ふたりの手の中にはたくさんの花があふれていました。

「はい、どうぞ」

「…ありがとう」

オオカミから花を受けとった赤ずきんは、不思議そうな目で彼を見つめます。
ふと、オオカミの片手に、まだ幾らかの花の束が残っていることに気付きました。

「それは、どうするの?」

「これは、俺の分。…渡したい相手がいるんだ」

喜んでくれるかは分かんないけどね、と、オオカミは苦笑します。
そのどこか照れたような表情と、手の内の花を見比べながら、―やっぱり、変なオオカミさん。と、赤ずきんは思いました。

128:創作 赤ずきん×オオカミ 4/7
10/09/19 06:13:23 BEAQsDk6O
オオカミと別れた後、赤ずきんはおばあさんの家に辿り着き、頼まれた品物や、つんできた花を渡しました。たくさんの花を受けとったおばあさんは、きれいなお花ね、ありがとう、と喜んでくれました。

帰り道、赤ずきんは同じ道を辿って歩きました。あの花畑に行けば、またあのオオカミに会える気がしたのです。けれど当然ながら、オオカミの姿はもう花畑にありませんでした。
―そういえば、花を渡したい相手がいるって言ってたっけ。
赤ずきんはオオカミの言葉と共に、あのときの表情を思い出しました。
オオカミは、その相手のところに行ったんだろうか。そう思ったとき、赤ずきんはつきりと自分のどこかが痛むのを感じました。
だけど、それがどこなのか、またなぜ痛むのかが分からず、首を傾げながらとぼとぼと帰路を辿りました。

129:創作 赤ずきん×オオカミ 5/7
10/09/19 06:16:20 BEAQsDk6O
それから年月が経ち、赤ずきんと呼ばれていた少年は、顔に幼さを残しながらも青年へと成長していました。
また、青年は猟師の職に就きました。
童顔である彼に銃は似合わない、などという人もいましたが、彼はそんな声に反発するように、むしろ積極的に森へと狩りに出かけていきました。

ある日、いつものように青年が森の中を歩いていると、ガサ、という音が耳に届きました。
勘のいい青年は、それが獣の出した物音だと判断し、近くにあった木の影に身を潜めました。
ガサ、ガサと、ゆっくりと物音が近くなっていきます。青年は銃を構え、獣の姿が見える瞬間を待ちました。
そして、向かいの木立の隙間に、獣の耳と尻尾の影が見えたとき―。

130:創作 赤ずきん×オオカミ 6/7
10/09/19 06:19:34 BEAQsDk6O
パァン、と、銃弾の音が森に響きました。
続いて、打たれた獣が地に倒れる音。

青年は少し待ち、獣の影が起き上がらないことを確認してから、ゆっくりとその方向に向かいました。
足を進め、薄暗い森の中でも獲物が確認出来たとき―。


「…、あ…、」


青年は、思わず声を漏らしました。無意識にこぼれたその声は震え、青年の驚きを表していました。
木の幹に背を預け、荒い呼吸を繰り返す獣に、彼は見覚えがありました。
青年が撃った片足からは血が流れ、その赤さが、獣の手からこぼ落ちた花を染めていました。その花の種類にさえ、青年には覚えがありました。


「…俺を、殺しますか…?」

はあ、と喉を喘がせながら、獣が青年を見上げます。立ちつくす青年はただ、表情を浮かべることすら出来ず、故に無表情で獣を見下ろしていました。
その瞳が、僅かに震えていることなど気付かずに、獣が言葉を繋ぎます。

「…少し…、待って、いただけませんか…?この、花を…、届けたい、場所があるんです…」

そう言って、きゅ、と花の束を握り、獣は弱々しく笑いました。
その表情が、青年の記憶にある、いつかの照れくさそうな笑みと重なりました。

131:創作 赤ずきん×オオカミ 7/7
10/09/19 06:24:22 BEAQsDk6O
―ああ。
青年は、気付いてしまいました。
この獣が―彼が、あの日花を渡そうとしていた相手は、もう、「場所」という思い出としてしか残っていないのだ、と。

応えを返さず黙りこくる青年を、獣が不思議そうに見つめます。
その、黒い瞳が、まるで空虚な穴のように見え、青年は崩れ落ちるように獣を抱きしめました。
獣の、彼の温かな体温。
そして、自分の頬を滑る涙の冷たさ。
その温度に、青年は震える声をこぼしました。



「…オオカミ、さん…」


―やっと、見つけた。
そう呟いた青年は、ぼう然とした目を向けるオオカミの唇に、やさしくかじりつきました。





□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・;)イジョウ、ジサクジエンデシタ!

元々は自カプのパラレルで考えていたものですが、いっそ創作にしてしまいました。尻切れトンボかつ微妙なオチですみません…。
スレ占拠失礼いたしました。

132:コーヒーを一緒に・・・1/10 ◆CPu0lwnplk
10/09/19 19:27:36 KrvtpxWR0
 闇金ウシジマくんで戌亥×社長前提の柄崎×社長です。小悪魔(魔王様)誘い受け、
媚薬物、エロありです。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
 時刻は夜の九時、いつもならとっくに終業を迎えている時間だが、顔見知りと長話
をしてしまい、今しがた本日の業務が終わった。
 「柄崎さん、ちょっと待ってよー!」
 負債者を紹介と言うか、沈めた風俗店から数人分の取り立てを終え、帰路を急ぐ
柄崎を誰かが後ろから呼び止めた。
 何事か、と振り返ると、恰幅の良い男性がふくふくとした頬とお腹を揺すりながら
走ってくる。 
 男性はつい先程柄崎が仕事を終えた風俗店の店長で、まだ40代後半の
筈なのに、ふくふくしい体型とてっぺんが薄くなり始めた頭頂部のお陰で年齢以上の
貫禄をもった人だ。
 「はぁ、はぁ・・・」
 柄崎の元に走ってきた店長は前かがみになり、走ったせいで痛くなったのであろう
脇腹を擦り、荒い息を整えようとしている。
 世間一般から言って、柄崎は身長はそんなに高くない。本当なら店長の方が大きい
のだが、店長が前かがみになっている為に薄くなり始めた後頭部が目の前に見えて
しまう。
 おまけに店長は毛は早々と栄養が足りなくなって少なくなっているくせに、元々肌質
が良いのか、心許ない髪の毛の間から見える頭皮は雪国の10代の小娘のような薄桜色の
玉の肌だ。それが余計毛の少なさを侘しい物に見せている。
 柄崎は噴き出しそうなのを堪え、視界をわざとぼかして店長の頭頂部を直視しない
ようにした。
 そんな柄崎の心の内など露知らず、店長は手に持っていた小さな瓶を柄崎の手に
握らせてきた。 

133:コーヒーを一緒に・・・2/10 ◆CPu0lwnplk
10/09/19 19:29:04 KrvtpxWR0
 「柄崎さん、これ、これあげるから、持ってって」
 「これ、何ですか?ジュースか何か?」
 手の中にすっぽり収まる瓶のサイズと、黒いガラス。それに、どこの国の文字かも
柄崎には分からないパッケージは、やたら元気がよい様な感じのデザインなので、
てっきり栄養ドリンクなどの類と思った。
貰った瓶を手の中で転がしてみると、中に入っている液体が瓶の底でユラユラと
揺れた。
 液体の動きは栄養ドリンクのような水のように滑らかではなく、瓶の内側にへばり
つくように動く感じだ。
とろみのありそうな謎の液体が入った瓶を眺め、柄崎は店長を見た。
店長は愉快そうに柄崎の前に人差し指を立てた手を突き出すと、「チッチッチ」と
舌うちしながら手を左右に振る。余裕ぶった態度に柄崎はイラッとしてしまった。
 これが高田のようなイケメンならば様になるのだろうが、お腹の出た禿げかけのオジ
サンがやると突き倒してやりたくなる。
 「ジュースなんかじゃないよ。うちが色々備品を注文してるメーカーのね、媚薬
らしいんだけど・・・。かなり強力でそのまま飲まずに何かに混ぜても、ンもーっ!
って位効くんだって。どんな子でも効くらしいよ」
 媚薬、という言葉を頭の中で思い浮かべてみるが、どうにも信用できない。
 言葉としては異なるが、よく似た効果を謳うのは男性用の精力剤、勃起促進剤など。
有名な物にはバイアグラがある。バイアグラは医師の処方がいる医療品で、血管を
拡げて血流を促進し、陰茎海綿体の血流を良くすることで勃起率をあげるものだ。
 だが、それならばわざわざ媚薬なんて言い方をせず、素直に精力剤やメジャーで万人
に伝わりやすいバイアグラとでも言っておけば良い。それをわざわざ媚薬と名乗る
とは、自らハードルを上げているようなものだ。
 何しろ、媚薬、と言われて、世間一般でイメージするものは精力剤や勃起促進剤では
なく、性欲を高める物を指す。

134:コーヒーを一緒に・・・3/10 ◆CPu0lwnplk
10/09/19 19:30:22 KrvtpxWR0
もっと下世話な言い方をすれば、その気の無い相手をその気にしてくれる催淫剤として
イメージされる。
 そして、究極のイメージは惚れ薬と言われる物だが、薬ごときで人の感情がどうこう
出来る筈もない。
 柄崎はさも馬鹿馬鹿しい、というように鼻で笑う。
 「そんな馬鹿な。媚薬なんて・・・」
 ありえない、と言葉を口に出そうたした瞬間、ポケットに入れた携帯電話が鳴りだした。
 ディスプレイを見てみると、着信相手の部分には「丑嶋馨社長」と出ている。
 別に「丑嶋社長」でも、「社長」だけでも登録すれば良いのだが、あえてのフルネーム
登録だ。あの逞しい体躯と強健な性格に似つかわしくない馨(カオル)という愛らしい
名前を、本当は一度でいいから本人相手に呼びかけてみたい。勿論、女性的な名前への
嘲りとしてではなく、あくまで純粋に呼んでみたいからだ。
 もし呼んだらどうなるだろうか。親の付けた名前なので名前事態に怒りはしないだろうが、
古い幼馴染なのにも関わらず、部下で明らかに下に見ている感がある柄崎に気安く呼ばれる
のは良しとしてくれないだろう。
 恐らく、丑嶋を下の名前で呼ぶと言う柄崎の願いは敵わないだろう。だからせめて、と
携帯の名前だけはフルネームで入れているのだ。
 考えようによっては並々ならぬ忠義というか、敬愛の表れととれるが、人から見ればある
種の盲執と言え、はっきり言えば気持ちの良いものではない。柄崎自身が重々分かっている
から、誰かにこれ見よがしに披露したことはないのが救いだ。
 それにしても、終業時間はとっくに過ぎていると言うのに何故電話が掛ってくるのだろうか。
 柄崎が会社を出る際に見た社員が出かける際には、丑嶋は今日一日新規の客の面談と利息
の回収に当たると言っていたのだ。普段の業務と別段変ったことはしていない筈だから、
こんな時間に電話が来るのがおかしい。
 もしや、債務者が飛んだか、もしくは厄介な債務者に当たってしまい面倒が起ったのだろうか。
 柄崎は慌てて携帯の通話ボタンを押し、電話に出た。

135:コーヒーを一緒に・・・4/10 ◆CPu0lwnplk
10/09/19 19:32:00 KrvtpxWR0
 「はい!社長、何でしょうかっ!」
 電話では向こうに伝わる筈もないが眉間に皺を寄せ、緊張で背筋を引き締めた。
 「よぉ、柄崎!」
 「・・・誰?」
 着信は確かに丑嶋からなのに、電話の向こうから聞こえてきたのは丑嶋の声ではなかった。
どこかで聞いた事がある声だと思ったが、すぐに相手が答えを出してくれる。
 「戌亥だ。いま丑嶋くんと俺の家で飲んでたんだけど、丑嶋くん車だし・・・、柄崎迎え
に来てあげられないか?」
 「え・・・?あ、ああ・・・、うん」
 電話の相手は戌亥だった。柄崎、加納、丑嶋と幼馴染で大人になった後も付き合いの深い
戌亥とは丑嶋もよく食事やお酒を共にする。
 大して疑問を持つこともなく、柄崎は二つ返事で了承した。折角なので貰った瓶はシャツ
の胸ポケットにしまい込む。
 そして、会社に帰って車を出すことになった。



 戌亥のマンションのインターホンを押すと、しばらくしてから戌亥がドアを開けて顔を覗か
せた。
 「お、御苦労さん」
 「社長は・・・?」
 戌亥が後ろを振り返る間もなく、丑嶋が仏頂面で戌亥の後ろから顔を覗かせた。
 「・・・おう」
 迎えに来て貰った礼の一言を柄崎に言うでもなく、丑嶋は戌亥を退かせて部屋の外に出た。
 そして、そのまま戌亥にも柄崎にも一度も視線を合わせず、いつも通りの態度のまま歩き
だし、帰路に着くためエレベーターがある方向へ一人で向かってしまった。
 「あ・・・、じゃあ、戌亥、俺ももう行くわ」
 「おう」
 大した会話もせず、柄崎は踵を返して丑嶋の後に着いて行く。

136:コーヒーを一緒に・・・5/10 ◆CPu0lwnplk
10/09/19 19:35:09 KrvtpxWR0
 戌亥は遠ざかって行く柄崎の姿には目もくれず、柄崎の前方を行く丑嶋の背中だけを見つ
めた。
何ともそっけない態度だ、と少し寂しく思う。だが、いつでもぶれない姿勢の丑嶋が眩しく
もあり、戌亥は眼を細めて笑みを浮かべ、ドアを閉じた。



 柄崎は先を行ってしまう丑嶋に追いつこうと小走りでついて行く。二人の身長差は20センチ
ほどあるので当然歩幅も違う。しかも丑嶋は脚が速いので追いつくのは容易ではない。
 時間はもう夜の10時近いので、案外音が響きやすいマンションのコンクリートの床の上で
走るのはマンションの住民に迷惑だ。
 丑嶋に追いつくのを諦め、速度を緩めて歩いて行くと、前方にはエレベーターホールには
ドアがエレベーターが見えた。中には丑嶋が一人立っていて、コントロールパネルがあるで
あろう壁に手を付いていた。
 「お待たせしました」
 柄崎が乗り込むと、丑嶋が一階のボタンを押そうと手を動かした。無愛想な態度で前を歩い
ていた丑嶋だが、言葉に出さないだけで柄崎が追い付いて来るのを待っていたらしく、1階の
ボタンを押す前の人差し指の位置はドアを開けるボタンを押していた。
 エレベーターが動きだすと、柄崎は狭い密室に丑嶋と2人きりだということを変に意識して
しまい、妙に緊張してしまった。
 丑嶋も無言で、エレベーターが動く音だけが聞こえる。
 それにしても、何故丑嶋は店でなく、戌亥のマンションで飲んでいたのだろうか。戌亥と
丑嶋が二人きりで会う事は疑問の余地は無い。丑嶋が戌亥に何か頼みごとがあった時など、
よく二人で会っている筈だ。
 しかし、そういう場合は人気の少ない場所で昼間に話したりするようだ。もし夜としても、
食事をしながらでも個室の用意出来る店を使う。わざわざプライベートな空間である戌亥の
マンションを選んだ事など、柄崎は一度も聞いたことが無い。

137:コーヒーを一緒に・・・6/10 ◆CPu0lwnplk
10/09/19 19:35:55 KrvtpxWR0
 ましてや仕事に関する事ならば、いつも柄崎は丑嶋が戌亥と会うのを聞いているのだ。
 だから、今夜の用事は幼馴染の友達として会っていたのだろう。それならば丑嶋も戌亥も
水臭い。終業後とはいえ、加納も柄崎も同窓会じみた飲み会ならば喜んでお付き合いした
ものを。
 柄崎は何だか自分と加納が楽しい遊びからのけ者にされたようで寂しくなり、丑嶋に聞こ
えないような小さなため息をついて重苦しいような空気を吐き出し、新鮮な空気を含むべく
大きく空気を鼻から吸い込んだ。
 鼻から空気を吸い込むと、丑嶋の立っている方から桃のような香りがした。酒らしき匂い
は少しするが、桃の香りにかき消されてアルコール臭さは掻き消えてしまう。
 何の香りか、と丑嶋の方をチラリと見ると、長袖のポロシャツから少しだけ見える手首の
皮膚の薄い部分には、うっすらと赤い内出血らしき物があった。
 すぐに柄崎の頭の中で、散らばっていた事項が集まり、答えとして固まった。
 漂う甘い桃の香りは恐らくシャンプーなりの戌亥のマンションの風呂場に備え付けてある
物だろう。こんな夜中に戌亥の元に丑嶋が一人で来なければならなかったのは、二人っきり
でなければならない時間だったから。そして、加納と柄崎はのけ者にされた訳ではなく、
最初から居てはならなかったのだ。
 正直、薄々とだが戌亥と丑嶋の只ならない関係には気が付いていた。 
 いや、正確には完全に知っていた。柄崎も、あえてその事を話題にしたことはないが、恐ら
く加納もだろう。
 けれど、気がついていることを柄崎は認めたくはなかった。それは、自分の中にある丑嶋の
強く気高い男性としてのイメージが崩れることへの危険を感じたからではなく、丑嶋が夜を
一時でも過ごす相手に対して、みっともない嫉妬を自分の中に燻らすのが嫌だったからだ。
 自分でも探りたくない腹の内を探って、自己嫌悪や常識を巻きつけた本音を無理やり引き
ずりだせば、戌亥の位置に立ちたいという切望が見えてくる。
 丑嶋という人間に並々ならぬ敬愛の念を寄せるきっかけとなったのは、もう10年も前の
出来事だが、これまでは「あくまで人間として丑嶋が好きなのだ」と言い聞かせきた。なのに、
そんなメッキなんて簡単に剥がれてしまいそうだった。
 「あの・・・、社長・・・」

138:コーヒーを一緒に・・・7/10 ◆CPu0lwnplk
10/09/19 19:36:57 KrvtpxWR0
 柄崎は何と言うかも決めていないまま、声を出した。声は自分でも驚くほど小さくかすれて
いて、エレベーターが1階についた際の「チン」というベル音にさえ負けるほど頼りなかった。
 丑嶋は柄崎の声が聞こえなかったようで、開いたエレベーターのドアから出た。
 開いたドアから流れ込んだ外の空気によって桃の香りは消えてしまい、結局柄崎は何も言え
なかった。



 運転中、柄崎は極力仕事の話をするだけに努めた。決して戌亥との事を触れないように。
一度だけ丑嶋の口から戌亥の名前が出た時には急ブレーキを踏みそうに慌てたが、内容は
過日の仕事に関する件だった。
 落着きを無くして事故を起こさないように、自分に「落ちつけ落ち着け」と良い聞かし
ながら運転し、程なく丑嶋のマンションの前に着いた。
 丑嶋は車のドアを開け、降りた。だが、酒が入っているからか、柄崎にはバレていない
事になっているが戌亥に抱かれて体に応えているのか、僅かだが膝が折れる様に前のめりに
なった。
 けれど、丑嶋がそんな弱い素振りを儚げに見せてくれる筈もなく、何食わぬ顔でいつもの
凛々しく堂々とした立ち姿に戻り、運転席の柄崎に声を掛ける。
 「助かったぜ。じゃあ、な」
 「しゃ・・・、社長!」
 柄崎は先程から溜めていた感情を噴き出す様に大きな声を出し、咄嗟に自分もドアを開けて
外に出た。
 「ん?何だ、柄崎」
 丑嶋が眉根を寄せて尋ねてくる。だが、柄崎とて何か考えがあって行動したわけではない。
気が付いたら、勝手に口が丑嶋を呼び止めていて、体が車外に飛び出ていただけだ。

139:コーヒーを一緒に・・・8/10 ◆CPu0lwnplk
10/09/19 19:38:07 KrvtpxWR0
 「・・・えー・・・、と、ですね・・・」
 何か言わないと、何か言わないと、と柄崎は慌てる。呼び止められたものの、何を言われ
るのでも無い丑嶋は機嫌が悪そうになっていく。
 「部屋まで、送ります」
 丑嶋の機嫌が悪くなっていくのに急かされ、柄崎は思いついた言葉を口にした。
 「送ってくれなくていい」
 当然だが、丑嶋は断る。どうせ慣れた道だ。ましてや、後は自分の部屋のある場所まで行く
だけだ。
 「いえ、その・・・、ちょっと酔ってるかな、と思いまして・・・」
 「あっそ。じゃあ、好きにしろ。ついでにコーヒーでも淹れてくれ」 
 しどろもどろとなりながらも食い下がる柄崎を面倒に感じたのか、丑嶋は好きにさせる事に
したようだ。柄崎に背を向けてマンションの入口に向かったが、柄崎がオートロック式の入口を
一緒に通過できるようにゆっくりした足取りだった。



 部屋に着くと、丑嶋はソファに座った。柄崎は手持ち無沙汰そうにしている。
 「柄崎、コーヒー」
 「はい」
 そう言えば、先程そんな事を言っていたな、と思いだした。だが、コーヒーを淹れたくても
台所の場所がよく分からない。柄崎は周囲を見回す。
 「台所はドアを出て右側。コーヒーメーカーにコーヒーは入ってる。カップは棚にあるのを
使え。お前と俺の二人分な」
 それだけ言うと、丑嶋は眼鏡を外して眉間を押さえ、ソファに深く座ったまま動かなくなって
しまった。
 柄崎は頷くと、台所に向かった。

140:コーヒーを一緒に・・・9/10 ◆CPu0lwnplk
10/09/19 19:39:29 KrvtpxWR0
 台所の位置が分からないのは仕方がない。何しろ、柄崎が丑嶋の部屋に来た事は初めてなの
だから。
 しかし、これがもし戌亥ならば、勝手知ったると手早く台所の場所も何もかも把握していたの
だろうか。丑嶋が戌亥の家に行っている位だ。恐らく戌亥だって、柄崎の知らないこの場所に
来る事を許されていて、柄崎とは比べ物にならない程上手くスマートに振る舞うに違いない。
 戌亥の事を考えると喉に小石のような物が詰まったようになり、柄崎は口に手を当てて咳き
こんだ。
 胸の苦しさを抱えつつ、柄崎は台所に入り、コーヒーを用意始めた。
 台所は男の一人暮らしとは思えないように整理されていて、かなり機能的で使い易そうだ。
柄崎は自分の部屋を思い浮かべる。特別汚れているのではないだろうが、丑嶋の台所と比べたら、
使っていないのに雑然としているだろう。全体を見ても掃除が行き届いていて、素直に感心する。
 同時に、台所の棚にある食器を見て安心もした。家事に疎い柄崎だが、白い無駄なデザイン
のない食器は二人分のお揃いの数にしては足らないように感じる。
 つまり、戌亥が柄崎たちに内緒で丑嶋と暮らしているわけではないようだ。勿論、仮に一緒
に暮らしていたならば、柄崎達に報告することこそカミングアウトになってしまうのだから、
柄崎が知らないのも無理はないのだが。
 考えてみれば、丑嶋はタクシーで自宅に帰れた筈なのに、戌亥は何故迎えに来てやれと言った
のだろうか。

141:コーヒーを一緒に・・・10/10 ◆CPu0lwnplk
10/09/19 19:40:22 KrvtpxWR0
 もしかして、柄崎のことを不審に思い、丑嶋にとっての柄崎と自分の立ち位置が違うのを決定
づけさせ、けん制する為だったのだろうか。どうせ丑嶋を送り届けさせても、柄崎が送り狼に
なるなんて無いと高をくくっているのだろうか。
 柄崎は少し胸の苦しさが軽くなったように感じ、コーヒーをマグカップに注いだ。
 コーヒーメーカーにサーバーを戻し、いざカップを持っていこうと前屈みになると、胸の
肉に何か硬い物が当たっているのに気が付いた。
 そういえば、とポケットに手を入れて中を出す。中には、先ほど風俗店の店長に貰った
真偽の危うい媚薬の瓶があった。
 「媚薬、か・・・。本物かなァ?んな訳ないよな」
 どうせ偽物だろうが、少しは効果があるかもしれない。だが、現在付き合っている女がいな
ければ男もいない柄崎には無用の長物に過ぎない。
 一人で飲んだって意味がない。意味がある使用方法は誰かに飲ませて、致すことだ。
 柄崎は瓶を握りしめ、視線をゆっくりコーヒーを注いだマグカップに移した。
 コーヒーに入れて、丑嶋に飲ませたら媚薬としての効果があるのか確かめられるし、意味が
ある使用方法には違いない。
 「どうせ偽物だろうし」
 男として情けない使い方をする言い訳を漏らし、瓶を開けてみる。どこかで嗅いだ事がある
ような香りがした気がするが、どこか気持が高揚している柄崎は中身をしっかり確かめず、
片一方のカップに瓶の中の液体の半分を入れた。
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
柄崎ご乱心。続きは後日。貴重なスペースお借りしました。お目汚し失礼致しました。


142:「エガヲノインリョク」1/4
10/09/20 02:34:47 EWOtCULj0
ナマモノ注意!!

GCCX
もうすでに新シリーズが始まっているのに、
今更、前シリーズの最終回をネタに、8代目AD×課長

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


この現場での、最後の仕事が終わった。

その場に居たスタッフ全員に、声をかけ、挨拶をし、
そして、本当に、最後に、最後の挨拶がしたくて、あの人の狭い楽屋を訪ねた。

蟻野さんは、連日の挑戦で疲れているのに、ましてや、次の仕事が押しているのに
心底嬉しそうに、招き入れてくれて「寂しなるわー」と、言ってくれた。

それだけで、泣きそうになってしまって、言葉がつまる。

暫しの沈黙を破ったのは、蟻野さんの方で。
「・・・あの歌ってなー」
「え?」
「あのー、うちのカーヴィーが歌ってた歌な」
「あ、はい」

脳裏に、最後の収録の時、一緒に見たDVDの映像が甦る。

アナタガイタカラ キセキガオキタ
アナタガ タスケテ クレタ


143:「エガヲノインリョク」2/4
10/09/20 02:36:27 EWOtCULj0
「あの歌詞って、柄藻戸の事やんなぁ」
「え・・・?」
「レミングスのときも、シレンの時も、柄藻戸が助けてくれたからエンディングが見れたんや
 ほんまにに、奇跡を起こしたんは、エモヤンやで」
「そんな事は・・・」
(ありません)と続けようとした言葉が、込み上げる想いにかき消される。

「ほんまに、今まで、ありがとうなー」
そう言って、蟻野さんが右手を差し出した。
「あ、はい」
マヌケな返事しかできずに、慌ててその手を取った。

ぎゅっと握った蟻野さんの大きな手の温もりに、背中を押されて、
ずっと言いたかった言葉を切り出した。

「あの・・・餞別に、キスしたいって言ったら、どうしますか?」

蟻野さんは一瞬驚いて、真顔になって、でもすぐに悪戯っぽい笑顔になって
「・・・したら、いいんちゃう?」と、軽く言い放った。

そんなにアッサリと承諾されるとは思わなかったので、今度はこっちが面食らって
一寸戸惑っていると、蟻野さんは目を閉じて「ん」と少し顎を突き出した。

その口元は少し緩んでいて、本当にいいのだと告げているようで。


144:「エガヲノインリョク」3/4
10/09/20 02:38:18 EWOtCULj0
ゆっくりと蟻野さんの前に跪き、震える手を彼の肩に置いた。

喉が渇く。
息が止まる。
早鐘のような鼓動が、耳の奥で聞こえる。

まるで、繊細な硝子細工に触れるように、そっと、そっと、唇を重ねた。


柔らかく、触れるだけの、キス。
でも、今までの、すべての想いが伝わるように。
・・・唇が、震えてしまっているのも、伝わっているだろうか。


触れたときのように、また、そっと、唇を離した。
目が合わせられなくて、俯いていると、蟻野さんが呟いた。

「エモヤン、オマエ、優しいキスするなぁ」
その声色こそが、とても優しいのに。
「俺まで、切なくなるわー。もー」
そう言って、困ったような顔で笑う。


145:「エガヲノインリョク」4/4
10/09/20 02:40:51 EWOtCULj0
「んで、キスだけで、ええのん?」
「え・・・?」
思わぬ一言に、なんと返していいか分からなくて、瞬きも出来ないほど固まってしまった。

ニヤリと口元で笑った蟻野さんに、肩を軽く叩かれる。
「キスの続きは、オマエが出戻ってきてからな」
本気とも、冗談とも取れそうな物言い。
それでも、鼓動はさっきよりも早くなって、頬が熱くなっていく。

目の前には、少し照れたような笑顔。

ふいに。
一度はこの番組を卒業していった先輩たちが
何故か、出戻ってきてしまう理由が分かったような気がした。

この笑顔に引き寄せられてしまうのだ。
この人の傍に居たいと、そう願わずにはいられない。
そんな、不思議な引力を持つ、笑顔に。

「・・・いつでも、出戻り大歓迎やからな」
くしゃりと髪の毛を撫でられる。
止めようも無い涙が、頬を伝い、冷たい床に落ちる。

「泣くなやー、もー」
そう言う有野さんの瞳も潤んでいて、それがまた新しい涙を誘う。

馬鹿みたいに泣く事しか出来なくて震える体を、有野さんの優しい腕が
そっと包み込んでくれた。



146:「エガヲノインリョク」終
10/09/20 02:42:41 EWOtCULj0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

「Good-by Game(和訳)」の歌詞が切なすぎて泣ける…
お目汚し、失礼しました。

147:風と木の名無しさん
10/09/20 06:06:06 ipB0mp0/O
>>141
続きが気になりますGJ!
姐さんはネ申です(感涙)いつもありがとうございますm(_ _)m

148:風と木の名無しさん
10/09/20 12:34:48 /rwwTRsi0
【BL】ボーイズラブ・やおい創作総合【801】
スレリンク(mitemite板)l50

創作発表板に全年齢向けのスレができたようなので、一応、お知らせしてみる。

エロ成分低めの作品はここに投下しても良いかも。

149:浄化 1/3
10/09/20 16:36:59 fACRvBBsO
ドラマ浄化 マス鑑だけど盾もいます。3人で7話目 
>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

1.

彼に出会って、自分の人生に違う風が吹いてきた。
駆動は最初、そう考えていただけなのに。
起きている時間のほとんどを彼のことを考えて過ごし、眠っている間に彼の夢を見ることを願って体を横たえる。
 
仕事に行けば当たり前のように彼は手の届くところにいて、触れてみたいと思う気持ちが強くなるのを止められない。
偶然に手が触れてしまった時、すぐに手をひっこめないでいてくれたという、そのほんの数秒の出来事に、駆動は震えた。
小さな希望が心の中で爆弾になるのに時間はかからなかった。
その抱え込んだ爆弾を胸の奥からつかみ出して見せずにはいられない。
薄暗い倉庫でささやくように話をする彼を見つめながら、駆動はついに言葉にしてしまった。

「初めてのときは盾さんがいい」

散々心の中で逡巡して出た言葉だったけれど、そこに至る紆余曲折はわかるはずもなく。
駆動の突然の告白に、彼はまぶしそうな目をしたまま黙っていた。

「あ、次に誰かに行くからその前にって言う意味じゃなくて、もちろん盾さんが最初で…最後っていう…」
「ダメだよ」
「え?」

ちょっと息を吸ってからうつむいた彼が、それでも駆動に十分聞こえるように言った。

「それは出来ない」

彼からのはっきりした拒絶に「盾さんのことあきらめないから…」と返したつもりが、それは掠れて声にならなかった。


150:浄化 2/3
10/09/20 16:46:43 fACRvBBsO
2.
見上はその長身を折りたたみ、カウンター越しに彼の顔を覗き込んだ。
久しぶりのキスをせがむかのようなそのしぐさに、彼は心得てストローを唇から離し、唇に残ったミルクをチロリと舐めとる。
一瞬見せた舌先が、了解のサインに思えた。
いいですよ、僕もそんな気分です、と。
「じゃあ時間を作ってやらなきゃな。悶々としてミスでもされちゃかなわん」
見上が思いやったとき、その当の本人は柄にもなく遠慮して、店の扉の向こうに佇むばかりだった。
==========
「盾さんとずっとこうしたかった」
思いがけず抱きしめられた心地よさと幸福感に酔ったようになって、駆動は身体を擦り付ける。
「ダメだなんて言わないでよ」店の外の薄暗く狭い路地で、駆動にしたいようにさせて、彼は微笑んでいるだけだ。
じれったいと思っているうちに、唇が頭におりてきたのがわかった。
彼は駆動のつむじにキスしてささやいた。
「ね、マスターにしてもらおっか?」
はっとして駆動は顔を上げ、彼を見あげた。
突然、駆動は気付く。
熱を持っているのは自分だけだということを。
すぐにまた抱きしめられたので、確かめようと覗き込んだ彼の瞳が見えなくなった。
「ダメ…なんだ」
肩口に額を擦り付ける駆動の頭を抱え込んで、彼はつぶやいた。
次の瞬間、おいでと繋がれた手を振りほどく理由を駆動は持たなかった。
==========
背中の傷を見られることに躊躇はなかった。
なのにマスターは、脱ぎ捨てたシャツを拾って駆動の背中からそっと掛ける。
なんだか彼に売り飛ばされたような思いがしていたのに、引き渡された相手に優しくされると、泣きそうな気分になる。
だから駆動は言った。
「盾さんも、一緒にいてよ」

151:浄化 2B/3
10/09/20 16:53:58 fACRvBBsO
2B.
最初の衝撃は通り越し、身体の奥で受ける見上の熱の快感に耐え切れなくなる。
立っていられなくなって、くうん、と鼻の奥で声を出すと、彼の手の平が頭の後ろをそっと包み込んで自分の胸に引き寄せた。
心の中でふくらんだ思いが行き場を失くし、駆動の身体を駆け巡る全身の血が逆流を始める。駆動の髪に指を絡めながら、彼は見上を見つめ続けた。
背中から駆動を蹂躙するのに忙しい見上も、彼から視線をはずさない。
その強い視線にまっすぐ応えながら、彼は引き締めた自分の唇をゆっくりと舐めた。
それを合図にしたように、見上が盾の唇を求める。
猫がミルクを舐めるような音をわざと立てながら、彼は見上と舌を絡ませた。
みるみるうちに上気して、赤味を帯びていく彼の胸元に駆動は頬を擦り付ける。
「盾さん、盾さん…盾さん…盾さん、盾さん…」
見上は長い腕を伸ばし、駆動の身体を間に挟んだまま、ぐいと彼の腰を抱き寄せた。
自分の高まりが上を向いたままで彼の腹に押し付けられた瞬間、駆動はうめき声を上げて自らを解放する。
2、3度震えてからのけぞるように駆動が見上の胸にもたれかかったのを機に、彼はそっと身体を離して見上に引き渡す。
喉元まで飛び散った駆動の精がゆっくりと流れていくのを、彼は気にもしなかった。
唇は濡れて光り、首筋には見上の唇が残した跡がくっきりとその色を主張している。
見上にまだ身体を揺すぶられながら、駆動は驚くほど艶やかになった彼の顔を、いつまでもうっとりと見ていた。

152:浄化 3/3
10/09/20 17:00:31 fACRvBBsO
3

本当のところ、マスターは俺の身体を使って盾さんとやってる気分だったんだろうなと駆動は思った。
けれど、不思議と惨めな気持ちにはならなかった。

『最後までちゅーしてくれなかったけど、ずっと抱きしめてくれてたのは盾さんなんだから』
#それに感情はさて置き、見上との行為がたまらなくよかったことにも、駆動は気がついていた。

さっきまでの出来事を夢のように思い出しながら、駆動は照れてちょっと笑った。
それからすぐに、やばい、また泣きそうとうつむく。
ラーメン屋のカウンターなのに、一人でアップダウンしている駆動を気にかける様子もなく、彼は食べ続けている。

「俺は、盾さんに救われた」

思い切って駆動が声にすると、彼はいつものほほえみ顔で「のびちゃうよ」とだけ言った。
そのおだやかな横顔にほっとして、駆動は鼻を「すん」と鳴らした。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
盾さんは天使だからね。E・Dにしてごめんよ


153:風と木の名無しさん
10/09/20 22:16:03 LFq9QmQb0
>146
GJです!えもお疲れでした!その曲切ない・・・!

154:R.u.i.n.a 廃.都.の.物.語 キ.ャ.シ.ア.ス+シ.ー.フ.ォ.ン 1/9
10/09/20 22:18:04 xmiOPaQC0
キャシアス+シーフォンという試み。
相手が賢者の弟子なら、同じフィールドなので真っ向から楯突くけど
全く別のジャンルなら違った方向からのアプローチもありえるかなと。
シーフォンの病気全開で17世+魔将フラグな表現があるのでご注意下さい。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

遺跡の最下層に位置する大廃墟の中心、更にその地下。
四つの秘石によって進入を許されたその墓所には、
単に瘴気と呼ぶことすら憚られるような濃く暗いもので満ち満ちていた。
息をするだけでも肺に圧力が掛けられているような感覚に何とか抗いながら、
キャシアスたちは注意深く歩を進めていった。
手元に掲げた玻.璃.瓶の光が、青白く、凄味を持って
通路の宝飾や壁画を照らし出している。
明るい陽の元で見れば美しいかもしれないそれは、
今はただおぞましい空気の一部分でしかない。

「キャシアスさま、ご注意なさって下さい。
 この空気……まるで、感覚が狂わされてるみたいです。
 あちこちに色んな気配があって……」
「空間そのものが、魔力を保持して循環させる力場になってるみてぇだな。
 おそらく、この墓所全体が何かの呪術的な装置なんだ。……胸糞悪ぃ」

そう言う二人の顔も、光加減のためか別の理由のためか、どことなく青白く見えた。
襲ってくる魔物も見た事がないものが多い。
地上のそれよりもずっと手ごわい闇の塊のようなものを切り捨てながら、彼らは更に進んだ。
玄室と移動用の通路を交互に行き来しながら、三つ目の短い階段を下りる。

そのフロアの壁や天井は、上層よりも更に多くの壁画と碑文で埋め尽くされていた。
長い廊下には神話の風景が所狭しと描かれている。
しかし細かい装飾やレリーフたちは、いかにも何かの仕掛けが含まれていそうではある。


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