ビートルズで801 1スレ目 at 801
ビートルズで801 1スレ目 - 暇つぶし2ch350:風と木の名無しさん
10/10/29 02:20:46 uRMeBwmaP
パラレル物で、Pが家族の生活のために男娼館に身売りして、
そこの主人夫妻(J&ヨーコw)に色々な仕打ちを受ける羽目になるとか、
Pが酔った勢いでGをレイープ、Gはショックで自殺を図ってリンゴに止められ、
レイープに荷担した罪悪感でJも自傷、Pも正気に返った後罪悪感に駆られて失踪、
その先でリスカ……という怒濤の展開など、
海外スラッシュは過激な設定のものがよく目に付くなあ。
もちろんほのぼの系もちゃんと多いけどね。

351:風と木の名無しさん
10/11/02 01:28:31 h0JTj8ZTO
そういうものはちょっとなぁ……

パロディ色の少ないエピソード沿いな感じで何かオススメないでしょうか??

352:風と木の名無しさん
10/11/02 03:02:21 qzjRDP5AP
ビートルズアンソロジー収録後、PとGの間でメールをやりとりをしているうちに、
過去の互いの葛藤などについて、それぞれに溜まった思いを晒けだすようになり、
それにつれてPとJとの関係の真相が明かされていく…という、言わば書簡体風作品。

実際には、アンソロジープロジェクト当時はメールは余り普及してなかったし、
当時のPGがこのSSのようにはメールを上手く使いこなせたとは思えませんが、
作品自体はしみじみと切なさと優しさが残ります。

353:風と木の名無しさん
10/11/02 15:23:51 D8W1kjBE0
>>350-351
雪山でPとRだかが遭難して、Pが「バンドを追い出されるかもしなれないって思うとこんなことをしてしまった・・」
とかいって切った跡見せるってパターンもあったよね
リスカもなにも知らない人が軽く書かないでほしい。軽い問題じゃないんだよ、自傷って

354:風と木の名無しさん
10/11/03 22:48:00 ZVOjc+SMO
>>353
自傷って同人にありがちなネタだしそういうの書いてる人も厨二が多いからあまり深くとらえない方がいいよ

355:風と木の名無しさん
10/11/05 03:34:13 nNWjozZpP
そろそろ、新作が読みたくてしょうがない。
さしあたって、G受けで誰か書いてくれる人はいないかな。
J/Gでも、R/Gでも、P/Gでも、その他越境でも、いっそG総受けの4Pでも、リンカーンでも、いたいけで、されるがままに弄ばれているようで、でも芯からは靡かず、心の底までは委ねることのない、切なくも健気なG。・・・・・・そんなGが見たい! 読みたい!

356:風と木の名無しさん
10/11/06 13:32:38 LMSgsBhLO
GならやっぱRだな。

自分もキボンヌ

357:Every Little Thing /1 @357
10/11/08 02:28:42 8UrurSpoP
Pairing:R/G
Rating:PG-13
Summary:It is a little heart-warming.(わりとほのぼの系です)

「リンゴ、今夜はジョーと同室で頼むよ。ジョンとちょっと曲を練りたいんだ」
「ああ、分かったよ。たまには二人で飲むさ」
 リンゴはポールの頼みにあっさり応えると、ジョージが休んでいるはずのスウィートルームに入っていった。静まりかえった室内をリンゴが見渡すと、ジョージは側のソファーにもたれかかって、そのまま眠り込んでいた。

 やれやれ。ここのところは特にスケジュールが押し詰まっていたからな。みんな疲れてるんだ。特にこいつはかなり堪えてたからな。ニールもマルも部屋に籠もっちまってるし、しかたない、今夜は一人で飲るか。

 リンゴはジョージにブランケットを掛けてやると、取って置きのワインとグラスをその前のテーブルに置いて、向かい側のソファーに陣取った。そして、ワインを嗜みつつ、ジョージの微かな寝息に耳を澄ませ、その寝顔を見守っていた。

358:Every Little Thing /2 @357
10/11/08 02:30:39 8UrurSpoP
 スウィートルームの仄かな照明が、繊細に整った中に、素朴なあどけなさを残したその華奢な輪郭を浮かび上がらせていた。切り揃えられた前髪が、くっきりと整った眉毛に掛かっている。長い睫毛がその瞼の上に影を落としている。

 綺麗だな。それに……やっぱり可愛いじゃないか。

 リンゴはソファーから身を起こして、グラスをテーブルに置くと、そっとジョージの側ににじり寄って、その顔をさらに覗き込んだ。 

 この俺なんかより、もっと人気有っていいはずなんだがな………。

 何時の間にか、ジョージのふっさりと柔らかい、それでいてこしのある、濃いブルネットの髪を優しく梳きながら、リンゴは呟いていた。

 まあ、いいさ。こいつの本当の魅力は、この俺が一番良く分かってるんだ。それでいいさ。

 リンゴはジョージの頬に手を添えていた。

359:Every Little Thing /3 @357
10/11/08 02:32:31 8UrurSpoP
そして、そっと己の唇を、同じく彼の唇に押し当てた。

 「あ……リンゴ。居たんだ。どうしたの?」
 ジョージが薄目を開けて、いつもの片笑みを浮かべながらリンゴを見つめていた。

「いや……まったく、よく寝てるなあ、と思って」
「なんか、夢を見ていたんだよ」
 ジョージは目をこすりながら大儀そうに身を起こした。
「風邪を引いて寝ててさ、母さんがずっと側に付いて、俺の額や頬をずっと撫でていてくれるんだ。そして……俺の側を離れる前に、キスをしてくれるのさ」

「……なんだい、相変わらずお子様だなあ」
「それを言うなよ!」
 ジョージが苦笑いしながら悪態をつく間、リンゴは紅くなった顔をジョージに気取られないよう、それとなく彼の背中に周り、ジョージのブランケットを除けると、その背中を抱きおこした。
「まあ、眠るなら、ちゃんとベッドに行けよ。本当に風邪引いちまうぞ」

360:Every Little Thing /4 @357
10/11/08 02:34:54 8UrurSpoP
「リンゴは寝ないの?」
 ジョージはのろのろと立ち上がってクローゼットの側に向かった。
「俺は、もう一、二杯飲ってからかな。なんか、冴えちまってね」
「えー、一緒に寝ようよー、リッチ」
 ジョージはシャツを脱ぎながら、わざと甘えた声をだした。
「はいはい、ジョージ坊やは早くベッドでお休み」
 ちえっ、とジョージは口をとがらせて見せて、ルームウェアに着替え終えるなり自分のベッドに滑り込んだ。

「……リンゴもさ、やっぱり早く寝たほうがいいよ。明日のこともあるし」
 コンフォーターから顔を半分だけ覗かせて、ジョージは相変わらずソファに陣取ってグラスを傾けているリンゴに向かって呼びかけた。
「ほら、隣、空けたから」
 ジョージはベッドの片側に寄ると、その傍らをぽんぽん、と叩いた。
「おいおい……一緒って、そういうことかよ?」
「ああ、そうだよ、俺は君と一緒に寝るんだもの」
 呆れ顔で苦笑するリンゴに、ジョージはさも当然、というように、満面の片笑みを浮かべていた。
「何だよ、その年になって、ひとりぼっちじゃ寝付けない?……全く、とんだロックスターもあったモンだ! 俺はお前のテディベアをやるためにビートルズに入ったわけじゃないぜ、ジョー坊や? くだらん寝言は、さっさと寝ちまってから言いな!」
 リンゴの大笑いに、ジョージはわざとふてくされた顔を作ると、寝返って背中を向けた。

361:Every Little Thing /5 End @357
10/11/08 02:37:27 8UrurSpoP
 リンゴがすっかりワインボトルを空けてしまい、ほどよい酔いに浸っていると、静まりかえったルームの中にいつの間にかジョージのかすかな寝息が響いていた。
 リンゴはゆっくりとソファから立ち上がり、少しばかりふらつく足取りでジョージのベッドに近づいた。枕元に跪くと、火照った顔をジョージに近づけて、その寝顔を見つめていた。見つめながら、再びその髪を優しく撫でていた。
 やがて、ジョージの空けていた側らにそっと横たわった。

 そして、リンゴは、再びジョージの頬に手を添えてると、再び彼の唇に微かな口づけをした。

 リンゴの耳元に、微かにギターの旋律が聴こえてくる。ジョンとポールはまだ曲作りの最中なのだ。

 たまには、こんな時間があってもいい……ジョージに寄り添いながら、リンゴは半ばまどろみかけた意識の中で思っていた。

_________

The End

362:風と木の名無しさん
10/11/10 22:19:21 qZXBg8Zr0
>>357
投下乙!
お子チャマジョージと、兄貴なリンゴはやっぱりしっくりきますねー^^!

363:362
10/11/10 22:20:51 qZXBg8Zr0
間違ってageてしまいました! ごめんなさい!

364:風と木の名無しさん
10/11/10 22:59:09 RcBP+qjm0
おまいら最高すぐるwwww

365:風と木の名無しさん
10/11/11 21:56:31 MLvE7Xe30
J映画みてきました
感動したけどJPにもこっそり萌えたw

366:風と木の名無しさん
10/11/12 01:20:58 qtoEH47Y0
Pをいじめぬきたい

367:風と木の名無しさん
10/11/12 03:03:39 fKnMP1wUO
あの映画は本当によかったよね。

あのJはカッコイイしPはかわいし何より今までのBもの映画の中でも断トツ俳優人が雰囲気あってよかった!

あの配役でバックビート時代で続編やってほしいと思った。

368:風と木の名無しさん
10/11/13 00:13:34 cOs+5pwY0
>>365
不良で皆のボスJといい子ちゃん童顔PとかどこのBLかと思いました

369:風と木の名無しさん
10/11/14 11:18:19 BDc2lbD1O
リンゴいないから見てない
4人いることが重要だからソロもどうでもいい

370:風と木の名無しさん
10/11/14 14:39:42 ZbaOl2cn0
映画ネタバレはおk?

371:風と木の名無しさん
10/11/14 22:17:49 5X1WH7rlO
>>370
OK。どんどんお願い

372:風と木の名無しさん
10/11/14 22:41:41 ZbaOl2cn0
>>371
じゃあ改行で









J率いる不良グループの中に放り出された一見優等生Pがまさに>>368な感じでBLにありそうな設定で萌えたw
教会で出会ったっていうのもやっぱ(・∀・)イイ!
こっから全てが始まったんだなーと思うと素直に感動してしまった
しかしPはなんでピンクの花つけてんだw
ガキ扱いしてたPにギターを教えられてJが本格的に音楽に目覚めていくのもよかったし本でしか知らなかったことが映像で見れてよかった
例の抱き合うシーンは体格差とかがあって男の友情ハグには見えなかったw
JPJ好きさんは観た方がいいと思う
あと個人的にミミおばさんの好感度がうpしまくった

373:風と木の名無しさん
10/11/15 20:18:47 jUQ1c9MmO





本当あの映画はJPJ好きな人にはたまらないですよね。
もっと出てきてもおかしくない時代なのにスチュやジョージが全然出て来てないってのもJPJを強調されてるように思えます。

…もしかしたらポールがスチュはあんま出すなとか言ってたのかも。笑

374:風と木の名無しさん
10/11/15 21:04:46 wwOzwAhxO
>>373
真偽はともかくとしていつまでもJを独占したいPに萌え…がちょっと切ない

375:Every Little Thing /5 End @357
10/11/16 01:33:33 k7vQLmZzP
スチュに嫉妬し、エピーに嫉妬し、そしてヨーコに嫉妬するP可愛い。

376:風と木の名無しさん
10/11/16 15:24:06 5F0FJZ4K0
あの、ss書いたんだけどここはビーのメンバーとほかのバンドメンバーとの組み合わせは投下OK?

377:風と木の名無しさん
10/11/16 19:25:17 0LFRx+Kt0
Jとネスミスとかか?
猿はあんま知らねーつーか興味ねぇんだよなぁ・・・

378:風と木の名無しさん
10/11/16 20:56:55 5F0FJZ4K0
いえ、ジョージの家にピーターが訪問したというエピを聞いてちょっと書いてみたんですが・・
とりあえず、せっかく書きましたので投下するだけ投下していいですか?

379:風と木の名無しさん
10/11/16 21:07:26 Ylt5JS3GO
便乗して質問
>>1には書いてないので…
ここは絵はアリなんですかね?

380:風と木の名無しさん
10/11/16 21:21:55 R9jfujfM0
どうせ過疎ってるしBメンが絡んでたらなんでもありだと思います

381:風と木の名無しさん
10/11/16 21:45:13 IkBdE+gb0
ピーターって誰なの?

382:風と木の名無しさん
10/11/16 21:58:11 V4miugGs0
ピーター・ガブリエル位しか思い浮かばない。

383:風と木の名無しさん
10/11/16 22:19:16 3GAY10ir0
猿のベーシスト、ピーター・トークのこと。
ジョージがヒッピー達とよく交流していた1968年辺りに交流があった。ピーターもその頃、ヒッピー思想、東洋思想に
かぶれていたから、その辺で話が合ったらしい。この人、実は楽譜は書けるし楽器にも長けていて、ジョージが音楽を担当した
映画「ワンダーウォール」では、バンジョーで参加している。
ちなみに猿のリーダーのマイク・ネスミスとジョンは一時かなり交流があった。
…実はこの時、かなり意味深なやり取りがジョンとネスミスとの間にあったようだけど、
ソレ話したら長くなるからパス。ソロになってからも、ジョンが呑んだくれていた「失われた週末」時代にも、
ちょくちょくネスミスに声をかけていたらしいよ。

384:風と木の名無しさん
10/11/16 22:49:19 3GAY10ir0
連投スマソ。
ジョージとクラプトンとかと較べたらマイナーな話題だから、横から説明いれてしまった。失礼。
映画、かなりJP青春萌えのようですねえ。早くうちの地元でも上映しないかなー。

385:風と木の名無しさん
10/11/16 22:55:58 IkBdE+gb0
いや、皮肉だから

386:風と木の名無しさん
10/11/16 23:14:56 XmQmceEa0
GとR
URLリンク(www.dotup.org)

387:風と木の名無しさん
10/11/16 23:50:03 V4miugGs0
あと15分で米アップル、ビートルズの楽曲をiTunes Store販売
そのうち今スレの流れに乗っている映画もオンデマンド配信されるか。
URLリンク(sankei.jp.msn.com)

388:風と木の名無しさん
10/11/17 00:59:15 MpkqTn4OP
iTune配信オメ! 特典映像もちゃんと付いてるんですね~。
この勢いでMMTやレリビーも出ると良いな。

「ノーウェア~」が特に萌えっぽい感じなのは、監督が女性だからでしょうか?

SS含めて、越境ネタは歓迎です。例えば>383のように、ネタのついでにエピや知識も紹介してくれれば、こちらの見聞も元ネタも広がるし。
私的には転石との絡みも見てみたい。
ジョンのLA時代は他アーティストとの付き合いがかなりあったから、ネタは色々有りそう。
ポールは結構ジョンに会いにLAやダコタに押し掛けてるから、この辺りの話もみたいですね~。

>386
ほのぼのですねw

389:風と木の名無しさん
10/11/17 01:07:29 oI4AKxcv0
アンソロジー映像版も配信して欲しいです。
でずにー映画「黄色い潜水艦」上映記念でまとめて再販されたらベストなんですが。

390:風と木の名無しさん
10/11/17 01:11:42 IeZmMWR/0
iTunes StoreアーティストページのCM動画ロング一編・ショート四編に
使用されている写真が愛らしい表情ばかりでもう!

ただLP(ボックスセット)限定にしないで映像パートもバラ売りして欲しかったな。

391:風と木の名無しさん
10/11/17 01:36:23 cv9xntFO0
>>388
なんかオ/ー/ル/デ/ィ/ー/ズで801っぽいな

392:Good Clean Fun/1
10/11/17 01:41:31 Zz/KnJCx0
空気読まないで投下。失敬^^。
JP。


「落ち着く場所が、ここしかないなんてな」
そう言って、ジョンはワインを煽った。
「仕方がないよ」
と、ポールが肩をすくめてワインを受け取る。どこの国のホテルだか、二人にはもう分らない。特に洗面所やバスルームなんか、どこでも同じような様式だから、なおさら二人は混乱していた。

聞こえないはずの歓声が、まだ細く耳に響いているようで、ジョンは目と耳をこすると、まだ濡れていないバスタブに、クッションを持ち込んで横になった。
その、すっぽりと入り込んだ姿は、まるで棺におさまった死人のように見えて、ポールは少しだけ寒気が走った。
「そんなところに入るなよ」
「お前もこいよ、けっこう落ち着くぞ」
「いやだよ、せまっ苦しい」
そういいながら、バスタブの縁によりかかり、ポールはジョンを見下ろしていた。
ジョンは、「落ち着く」と言っておきながら、その膝を揺らして違法タバコをやたらにふかしていた。

393:Good Clean Fun/2
10/11/17 01:43:38 Zz/KnJCx0
「やめろよ」
ポールが大きな目をしばたたかせる。その言葉にジョンは「なんでもだめだめって、お前は「駄目屋」か」と首だけ起こして声を荒げた。
しかし、それもただ退屈を紛らわすため、そう言ってみただけなのは、ポールにはよく分かっていた。
しばし二人は、なんとなく黙り込んだ。互いのタバコだけが、会話を交わすようにたなびいていく。
ソレを目で追いながらジョンはふと「…ヒマだから、しりとりでもやるか」と呟いた。
「は?」
思わずポールが声を上げた。なに言い出してんだこの眼鏡。しかしそんなポールにかまいつけないで、ジョンは「ナイスアイディア!」と
いわんばかりに早速始めやがった。
「しりとり」
「…………」
ポールは答えない。ジョンは繰り返す。「しりとり」「………」ポールは答えない。こうなったら意地でも答えてやるもんか、と下らない決心を
固めた彼に、ジョンは何が面白いのか、にやにや笑いながら「しりとり」といい続けている。
数えるでもなく数えて35回目、とうとうポールは根負けした。がくりとうなだれて山になっている灰皿に手元に残ったフィルターをこすり付けると、
それでも最後の抵抗とばかりに、かすかな声で「……りす」と先を続けた。
勝った、とばかりにジョンはゲラゲラ笑うと、何の変哲もなく「スイカ」と答えた。ああ、いやだなあとポールは辟易した。これは例のパターンに
陥るに違いない。しかしポールは渋々口を開いて「……かもめ」と呟いた。ジョンは水を得た魚のように、ニコニコしながら「めだか!」と返した。
ポールは悲鳴を上げたくなった。


394:Good Clean Fun/3
10/11/17 01:45:59 Zz/KnJCx0
『やっぱりコレか!あんた、なんでこのパターンが大好きなんだよ?』。
これは、ジョンが昔からよくやる「エンドレスしりとり」だった。ジョンとポールがまだ若造だった頃から始まり、今では大体、移動時間中
遊びが出尽くしたら、自然発生的に始まるのだが、始めるのはジョンしかいなかった。
ポールは唾を吐きたくなった。学生時代はまだよかった。ハンブルグ時代だって耐えることは出来た。デビューしてからはそろそろ飽きてきた
けれど、初のアメリカ遠征のときは人気が再燃した。
しかし、今のポールにはこの遊びは「無間地獄」の何者でもなかった。始まったら最後、ここまでこないと終わらない。しかもその終わらせ方
だって、自分がキレて殴りかかる位まで行かないと、この眼鏡は決してやめようとしないのだ。
当初はジョージやリンゴだって乗ってくれていたのに、今となってはジョンがコレを始める気配を察すると、いつの間にやら姿が消えている。
そしてそれはなんと、あの忠実な二人組みのロードマネージャー達も、ジョージ達にあやかり始め、最後に残っているのはいつもポールだけ、
という結果になっていた。変なところで要領の悪い自分を呪いつつ、ポールは今回も膨れっ面を隠すつもりも無いまま「かもめ!」と怒鳴りつけた。
ジョンは大うけだった。


395:Good Clean Fun/4
10/11/17 01:48:22 Zz/KnJCx0
そして答えた。
「めだか!」
無間地獄の始まりだった。
ポールはヤケのやんぱちだった。
「かもめ!」「めだか!」「かもめ!」「めだか!」「かもめ!」「めだか!」「かもめ!」「めだか!」
決して狭くは無いが、大して広くも無いバスルームで、どう聞いても頭の悪い掛け合いが延々と続けられた。そして数えるでもなく数えて45回目を迎えた時、
ポールは側においていたワインボトルをひったくると、そのままジョンに満遍なくぶっかけた。赤い液体がばしゃばしゃと音を立てて自分をぬらしていく様を、
ジョンは一瞬呆然と、次の瞬間大爆笑して見守った。
「お前サイコーだな、ポーリィ!!」
シャツの上から、せわしなくワインを身体に塗りたくる仕草をしながらジョンが言った。
「そりゃあ、どうも」
と、はっきりくっきりと苦虫を噛み潰してポールが答えた。空気に、違法タバコの作用とアルコールの揮発が絡み合って、はっきり言って最悪の気分だった。
しかし、浮かれた熱気は醒めるのも早く、二人は返って呆然としながら沈黙に落ちた。ジョンは赤い姿のまま、ボケーっとタバコの煙を見てる。ポールはただ、
ルーティンのごとくタバコを吸っている。
沈黙を破ったのはジョンだった。
「……ヒマだな」
それにはまったく同意だったので、ポールも素直に「そうだね」と答えた。
しかし、次のジョンの提案に、思わずポールは唾と一緒にタバコを30cm先に吹き出してしまった。
ワインが乾きかかったシャツを着替えもしないで、ジョンはポールを見ないまま、呆然とこういったのだ。


396:Good Clean Fun/5
10/11/17 01:51:23 Zz/KnJCx0
「ヒマだから、オ●ニーでもやるか」
吹き飛ばしたタバコは、唾で消えていた。それだけ唾を飛ばして、ポールはビックリした。何を言い出すのかこの目(ryと、睨みつけるようにバスタブを覗き見る。
そこには、口をポカーっと開けて、忘我の表情を浮かべたジョンの姿があった。
もし通りかかったお坊様がその姿を見たら、「おお、即身成仏じゃ!」とありがたがるような様子だったのだが、そこから放たれた台詞を聞いてしまったポールには、ただただ「ここにコンクリを流してやろうか」
としか思えないジョンだった。
そのうちジョンは歌いだした。
忘我のまま、歌いだした。
しかし、それがまた爆弾発言をかました後を引きずって歌っているから、ポールですら聞いていて膝が笑うようなトンデモソングとなっていた。赤ワインの香りを纏い、バスタブに血を流したような姿を無防備に
晒す、繊細さと乱暴な影を同時に見せる青年の、その色づいた薄い唇から流れてくるのは…
「♪ど~この国でも××って、同じ/同じ人間、どこ違う~/ヨーロッパの女の××て、▽だった/アメリカはちょっと□だったかなー?/アジアは▽が▼だったよなあ/それでも匂いは♪」
「ジョン!!!! もういい、もういいっ!!!!!!」
10秒聞くだけでも耳が腐って落ちそうな陳腐きわまるお下品ソングに、ポールは「コレが「I feel fine」や「In my life」や「Nowhere man」を書いた男か!!」と、男泣きしそうなところを
グッと耐えて、必死に声を上げてジョンを止めた。これ以上聞いていたら、本気で建設会社に電話して、大量にコンクリを持ってきて欲しくなりそうだった。
ジョンが、ん? とポールを見上げた。そしてやっぱり忘我の顔で「やんねえの? オ(以下20字削除)」と訊ねてきた。
ポールは泣いた。


397:Good Clean Fun/6
10/11/17 01:53:58 Zz/KnJCx0
時計はなかったが、夜が大分過ぎたことをポールはなんとなく感じていた。
もう、バスタブを出ても問題はないはずだった。
しかし、この男共は相変わらず、空気の悪い狭い場所に入り浸っていた。そろそろ二人の息や体温で、部屋の空気が生暖かく湿ってきていた。なんかなつかしいな、と思ったら、あの、
古びた地下の倉庫と、そこに溢れかえる騒音を思い出した。
「ジョン」「なんだ」「なんだか…昔を思い出すねえ」
ジョンがふっと、ポールを見つめた。
ポールがジョンに微笑み返した。
おかしいね、ほんとにね。
あの場所から、随分と遠くなったはずなのに。
あの場所から、飛び出したはずなのにね。
ポールの言いたいことが分ったのか、思わずジョンが小さく笑った。
ポールはなんとなく照れくさくなって、顔を擦りながらそっぽを向いた。
「お前等、なにやってんの?」とニールが顔を出してきたが、なんでもないよと追い払い、二人はちょっとだけ黙りこくってタバコを吸った。
「やんねえの」
ジョンが聞く。
「やんないよ」
ポールが答える。


398:Good Clean Fun/end
10/11/17 01:57:57 Zz/KnJCx0
「昔、一緒にやったじゃん。部屋暗くしてさ」
「ああ、やったねえ。そういや」
でも、もう本物知ってるし、とポールが答えると「何を言う、イマジネーションは必要だろ」と、ジョンは真面目くさった声で、そう言い返してきた。
何を言ってんだこの眼鏡、とポールは言い返そうとバスタブを覗き込むと
ジョンも、半身を起こしていた。
バスタブの縁に腕を乗せ、そこに自分の細い顎を乗せながらにっこり笑って、ポールを見ていた。鼻と鼻がぶつかりそうな距離だった。
一瞬、ぐっと言葉につまったポールに、ジョンがさっきのお下劣ソングを歌った。そして「イマジネーションだよ。いい曲だろ?」といってのけた。
その、澄ましこんだ表情にあきれ返って、ポールが笑った。それを受けて、ジョンが笑った。
そしてなんとなくワインくさいキスを交わすと、ジョンはお休みとバスタブに横になった。そしてポールに背中を向けて、あっという間に寝入ってしまった。
ポールは一瞬呆然とすると、ふと思い立って席を立った。
そして、ベッドから持ち出した分厚い毛布をジョンにかけて、自分もバスルームに枕と毛布を持ち込むと、そのままごろりと横になった。
安心できるところが、あるだけでも幸せかもね。

そんなことを思いながらポールは電気を消すと、そのままジョンのいびきに耳を塞ぎながら、自分も眠りに落ちたのだった。

おわり


いつか、ジョン/ネスミスを投下するかも。しないかも。
長々と失礼しました。

399:風と木の名無しさん
10/11/17 02:31:57 MpkqTn4OP
>>392
投下乙です! Jのお下劣ソングには盛大に吹きましたw
一応強気には出ていても、結局はJには色んな意味で弱いPにも、また萌えます。

400:風と木の名無しさん
10/11/20 00:08:07 7GktHYdeI
>>392
乙です
最後のほうの2人の間の空気感が、個人的な理想そのまんまでびっくりした
さばさばしたJPっていいな

401:You really got a hold on me /1
10/11/21 18:39:56 QTAC2PYsP
Pairing:Ringo/George
Rating:R-15
Summary:It is a little bit lonely.(やや切ない系?)

 あれは、幾つの時だろうか。誕生日の前だったな。寝込んでいる俺にお袋が訊ねてくれたんだ。
「リッチ、今度の贈りものは、何が欲しい?」

 たちまち俺の頭の中に、今まで欲しかったけれど我慢していた色んなものが、次々に浮かんできた。
しかし、どれもこれも、そのまま叶えてもらうのはあまりに大変そうで、なかなか言い出せなかった。
それでも、俺は、その中でも一番欲しくて、どんなものよりも素晴らしいものを、とうとう口に出した。

 弟か、妹が欲しいな。そうだ、弟がいいや! 兄弟がもう一人居てくれたら、いつでも一緒に遊べるし、寂しくないもの。

 それを聞いたお袋は、ちょっと困ったような顔のあと、寂しそうに頬笑んで、何も言わずに俺の頭を撫でた。今にして思えば、実はそれが一番難しい頼みごとだったのだ。

402:You really got a hold on me /2
10/11/21 18:40:50 QTAC2PYsP
 結局、俺は、欲しかったものは、みな自分で手に入れた。初めてのドラムセットは義理の父親に買ってもらったけど、それを元手にあちこちで演奏を続けて、そのうちに仕事の話が少しづつ来るようになって、金もだいぶ入るようになった。
 小綺麗で洒落た服をまめに着替えるようになって、ピカピカ光る指輪が次第に指に増えていき、それがいつのまにか俺のトレンドマークになっていた。

 リヴァプールではちょっと知られたドラマーになって、海の向こうへ遠征もするようになってからは、可愛い女の子たちもずいぶんモノにしたし、優しく素敵な彼女も出来た。
 中古だけどイカした外車を乗り回すようになると、いくつか引き抜きの話も来たけれど、その中でも、遠征先での顔なじみの上に、いちばん高いギャラに加えてレコードデビューの話を持ち込んできたバンドに加わることに決めた。

 こうして、かつて独りぼっちだったリチャード・スターキーは、今をときめくザ・ビートルズのリンゴ・スターとなって、最高の仲間たちを手に入れたわけだ。

 そして、今……弟のような存在が、弟よりも愛おしい存在が、こうして今、俺の側にいる。

「何考えてるの、リッチ?」

403:You really got a hold on me /3 End
10/11/21 18:41:58 QTAC2PYsP
「ジョージ……」

 神様なんてものが本当に居るのなら、きっと周回遅れで俺の願いを聞き届けてくれたんだろうな。
 お前はまるでその瞳で、俺の心の奥にある、薄ら寒い病室の片隅で一人横たわる、痩せこけた小さな子供を、幼い頃の俺の姿を、見通しているかのようだ。

「ごめん……」
「あいつのことか?」
 ジョージが目を伏せる。
「ずるい奴だよね、俺って」
「気にするな」
 俺はうつむくジョージの肩を抱き寄せた。
「それなら、俺だって同じことさ」
 そうさ、お前の本当の苦しみを知っていながら、何もしないで、それどころか、お前のその寂しさにつけ込んで、こうして……。
 ジョージは俺のそんな心を察しているのか、鳶色の瞳を俺にじっと向けた。

「でも、俺は、リッチが本当に好きだよ。それは間違いないよ」

 俺は何も言わず……何も言えず、ただ、ジョージのその瞳を見つめ返すことしか出来なかった。ジョージはそんな俺の瞳を見つめていたが、やがて目を伏せ、そのまま俺と唇を重ね合った。
 そして、そのまま俺の胸に縋り付いてくると、そっと俺の顔に頬を寄せた。

 こんな状況があと何年続くのかは分からない。こんな生活が最期まで続くとは思えない。
 俺たちの関係だって、このままというわけじゃない。お前の心だっていつか変わっていくだろう。

 ただ、俺は今、こうしてお前の側に居られるのが嬉しいんだ。
 せめて今だけは、俺のものでいてくれないか?……ジョージ。
_________

The End

404:風と木の名無しさん
10/11/27 03:00:18 gec9CRdJ0


405:風と木の名無しさん
10/11/27 03:09:51 bPqzE6rKP
海外スラッシュ(LJ)でジョンの色っぽいイラストを発見。
URLリンク(community.livejournal.com)

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このSSの挿絵らしい。内容は自分の英語力ではあやふやだが、
Gに対する想いを抱えて思い詰めていたRを、Jが察してからかうような真似をしたら、
逆上したRがJに襲いかかって…といったあらすじのようだ。

406:風と木の名無しさん
10/11/27 08:18:24 gec9CRdJ0
ここいまいちだわ

407:風と木の名無しさん
10/11/27 10:42:19 gec9CRdJ0
ここっつーのはこのスレのことね
ビー板の痛い奴らが出張ってきてて正直萎えたわ。

408:風と木の名無しさん
10/11/27 17:29:23 vmrbxd5W0
ジョージ追悼

409:風と木の名無しさん
10/11/27 22:34:21 dEM8af8W0
たまにきてネガキャンする奴はなんなんだ

410:風と木の名無しさん
10/11/28 15:34:21 8D0MyCew0
RとGは軽いスキンシップだけでも十分萌える。

411:風と木の名無しさん
10/11/28 20:04:02 GZNNrJwu0
>>392 >>401
乙です!

自分のは心底萌えなくて恥ずかしいのんですが投下します
このスレがなんとか1000までいって、2スレ目が出来たらいいです

大変長いので途中うざくなったら言ってください。すぐ中止します
宜しくお願いします!

412:Tail of Eden -1
10/11/28 20:06:55 GZNNrJwu0
 パーロフォンから初めのシングルを発売した次の年、バンドを取り巻く状況は激変した。
ロンドンでの仕事が増え始め、当初は片道七時間の行程を楽しんでいたメンバーだったが
こう毎週の長旅となると誰ともなく文句を言うようになり、
また悪いことに、二枚目のシングルを出した頃には滞在するホテルにファンがたむろするようになり宿泊拒否をうけることが多くなった。
それではとマネージャーが提案したのは、ロンドンに共同でフラットを借りるというものだった。
「実際今年は既にロンドンでの仕事が週末以外にも入っているし、丁度いいと思うのだよ。
誰にも邪魔されず我が家のように寛げる空間が必要だね。どんどん忙しくなるよ」
エプスタインが探してきたフラットはメイフェアのグリーンストリート五十七番地にあった。
「L号室」
 そう言って彼は得意げに部屋のキーを見せた。
 Collect £200 salary as you pass? - GO
「こら、ポール。うろちょろしない」
 マネージャーはポールの肩に手をかけた。
「GOマスからいきなりメイフェアかよ」
 ジョンが皮肉を言う。
曰く、気持ちは億万長者ということらしい。
「好きにするさ」
「部屋割りは気分を出してモノポリーで決めよう」
 言いだしっぺの法則に乗っ取って一番最初に破産したのはジョージ、その次にリンゴが破産した。
残ったジョンとポールは接戦を繰り広げ、最後にポールが全てを独占した。
が、彼がもさもさしているうちに一番良い部屋がリンゴ、次にジョンが獲得し、
最低の部屋が当たるはずだったジョージは、ゲームでは見せなかった見事な交渉力でポールから部屋の権利書を手に入れた。
 といっても、同じ部屋に住むからといって特に目新しいことはなかった。
今回は部屋が別れているのが違うだけで、バンドメンバーとひとつのスペースに寝泊まりすることなんて皆慣れている。
心を躍らせることがあるなら、ここがロンドンということくらいだろう。
その日は仕事が入ったことを理由に三日間の滞在のなか日だった。

413:Tail of Eden -2
10/11/28 20:09:29 GZNNrJwu0

 ジョンが目覚めると昼で、寝ぐせの頭をかきながらリビングへ行くと人のいる気配はなかった。
好き放題した次の日らしく散乱した部屋の中を見まわし、キッチンへ行きやかんを火にかけ
冷蔵庫からミルクを出し、誰かの食べ掛けのショートブレッドを口に放り込み腕を組む。
誰かがもの凄い勢いでドアを開け部屋に入ってきたので、何事かと思いリビングに顔を出すとジョージだった。
「ああ、ジョン」ジョージはすがるような目で言った。「お金貸して」
 聞けばデート費用の持ち合せが足りなくなったという。
「あとで返せよ」
 ポケットから幾らか出して渡してやる。
「サンキュー」
 そう言って彼は一目散に出ていった。
お湯が沸いたのでポットに注ぎゆっくりお茶でも飲もうと思ったところに、また誰かやって来た。
「今度は誰だ」
 ドアの前には、両手いっぱいに買い物荷物を抱えたたリンゴとタクシーの運転手が一緒に立っていた。
「おい、ぼさっとしてないで手伝えよ。こいつを俺の部屋に入れるんだ」
 言われるままに大量の荷物を部屋に入れてやって一息つくと彼の姿はなく、窓から顔を出すと一台のタクシーが走り出すところだった。
それを見送りながら、カップ片手にタバコに火をつけるとそのまま窓に寄りかかる。
目を閉じると、色々な音が聞こえた。人が話す声とか、その他色々。
なんとなくメロディーが浮かんで鼻歌を歌い、一口タバコを吸う。
もう一杯紅茶を足そうとリビングへ向かうと、いつ現れたのかポールがソファーに腰をかけていた。
「お前は泥棒か」
「おはよう」
 ポールはのんびりと返した。
「何やってる、おもてに出ろ。こんなところでもたもたするなかれ、若者よ」
 自分のことを棚にあげ、ぱちんとウインクする。
キッチンでカップを満たし戻ると、ポールはテレビをつけ、ソファーの上ですっかりくつろぎの態勢に入っていた。
「天気がいいんだ、外出しろよ。不健康だぞ」
「健康だよ」
 いつものことだが、彼はのんびりしすぎている。
ソファーを独占されたので、しょうがなくジョンは自分の部屋に行き、ドアを閉めカップを床に置くとベッドに身を投げる。

414:Tail of Eden -3
10/11/28 20:13:25 GZNNrJwu0
組んだ両手に頭を乗せると瞳を閉じ、ドアの向こうから聞こえるテレビの音に耳を傾け、先ほど思いついたメロディーを再度口ずさんでみる。
途中までいって、その先が思い出せず頭の中をひっかきまわしていると、テレビの雑音にまざってギターの音が聞こえてきた。
「サンキュー、レコーダー」
 ピタリとギターがやんで、少しテレビのボリュームが大きくなった。
半分開いたカーテンを閉めようと思ったが面倒で、その隙間から見える空に舞う鳥を見ながら指が空を切る。
「フリー…」
 寝がえりをうち右手を枕にして、部屋の隅に積まれた未発掘の荷物を眺める。
隣の部屋から聞こえてくるどこかの誰かのMCと頭の中にメロディーを聞きながらうとうとしようと心に決めた時、お馴染みの声がした。
「やあ、ポール」
 行動派のマネジャー。昼間からベッドの上でとぐろを巻いている姿を見られたら無理やり引っ張り回されると舌うちする。
メロディーにぶら下がり、それでも指一本動かすのもおっくうだと態度を決める。
「ジョンならいないよ。僕は不健康だからこうやってテレビを観てる」
 ポールの声が聞こえてきた。
「いけないよ、いけないよ! どうして君はいつもそうなのかい?
日光を浴びないと人間はダメになってしまうんだからね。
暇なら私につき合いなさい。一緒に街に出よう、案内してあげるから」
「今忙しい」
 ふたりのやり取りに、ちょっと笑ってしまった。
「ああ、エピー! いいところで会った!」
「やあ、ジョージ。ごきげんよう。…何、それは困ったね。どれ、私が一緒に行ってあげよう」
 先ほど少し大目に金を貸したジョージが何の為に戻ってきたのか知らないが、どうやらいい暇つぶしにされたらしい。
ふたりは部屋から出ていったようだ。
ジョンはとてもゆったりとひとつ大きく息をつき、ベッドに身を沈めた。
ドアの向こうには、先ほどと少しも姿勢を変えずソファーを独占する彼がテレビを観ているのだろうか。
何度か夢に出入りし、ぱっと瞳をあけるとドアの向こうから素敵な子守唄が聞こえた。
「なあ、ポール」
「なあに?」
「ベッドで遭難した、手を貸してくれ」
「紅茶を入れる?」
「いらない、助けてくれ」
 ギター片手のポールが、ドアの隙間から寝ぼけたような顔を出した。

415:Tail of Eden -4
10/11/28 20:17:28 GZNNrJwu0

 ベッドの上でポールを腕に抱き、時間を過ごした。
ジョンがシーツに皺をつくると、彼はぽんとジョンの足を叩き両手でそれをなおした。
それがおかしくてわざと何度も足でシーツを引っかけ、彼の根気強い作業を眺め、
身体を引き寄せ、じっとしているように言うと、ポールは諦めたのかおとなしくなった。
窓からひかれたラインが次第に薄れ、すべてがうす暗いカラーと同化してゆき、
窓の外を見ると、家に帰るのか、鳥の群れがV字になり今来た道を引き返していった。
ポールを腕に抱くと気持ちが落ち着き、くだらない音は遠ざかりすべてがクリアになる。ジョンはこの瞬間を愛していた。
身を起こしそっと忍び寄ると、ポールの顔を覗き込む。
「寝たのか…?」
「……」
 ポールが瞳を開けた。
「どうした」
「おなか減った」
 まるで子供のような言い草だった。
「お、おう…、何か食べに出るか?」
「うん」
 ガクッときたが、ポール相手に怒るのも無駄だと思い我慢する。ジョンは手を離すとひとり持て余し、頭を掻いた。
身支度して暗くなった外に出ると、荷物の山とぶつかりそうになった。
「わあ、ビックリしたなあ」
 見るとリンゴだった。
「よう、ふたりしてどこ行くんだ?」
「飯だよ」
 彼の部屋に荷物をあげるのを手伝ってやりながら、
一歩遅かったら男ふたりでオフを台無しにしてる様を見られるところだったと胸をなで下ろす。
「ジョン」
 玄関でポールが声をかけた。
「ああ、今いく」
「いってらっしゃい」
「おう」
 食事をすると外に出たものの、地理に詳しくないので何処に店があるのか判らない。
タクシーを捕まえて、運転手にここから一番近い店に行ってくれと頼んだ。

416:Tail of Eden -5
10/11/28 20:22:39 GZNNrJwu0

 連れていかれた店はどこにでもありそうなレストランだった。
「ラムチョップ」
 ワンパターンの注文をし、メニューを閉じる。
「ぼくも。ポテトは、僕はフレンチフライで、彼は…」
「ソテー」
「彼はマッシュポテト」
 出てきた料理は、よくある不味いラムチョップだった。
ジョンはポールの皿からフレンチフライを数個自分の皿に移動させ、空いたスペースに自分の皿のラム肉を置き、これでもかとマッシュポテトを盛った。
ポールはカットした肉にミントソースを大量につけ、一口食べてナイフとフォークを置いた。
「もういらない」
「食えよ」
「いらない」
 ジョンはタバコを口に頬杖をついた。
「食べなさいよ、もったいない」
 鼻から煙を吐く。
ポールはフォークを手にとると、ジョンの皿に残りの肉を乗せた。
「ポテトは食べろよ」
 こちらに来た時はあまり食事に手をつけないポールの皿に、自分の皿からマッシュポテトを移動させる。
「フレンチフライだけ食べる。あとはジョンにあげる」
 口に一本咥え、しかしあまり食べる気配がない。
「今度、ジェーンに美味しい店を聞いておけ」
 聞いているのか聞いてないのか、ポールはうんうんと相槌をうつだけだった。
赤毛の彼女が、ポールのような田舎者のどこがよくて付き合いだしたのか未だに理解が出来ない。
「ロンドンにフラットを借りるって話しをしたらさ、自分の家に来ないかって誘われたよ」
 ポールはテーブルに肘をつき、マッシュポテトの山を作りながら言った。
「おお、いいねえ。返事はしたのか?」
 ジョンは軽く身を乗り出した。
「したよ。ノーって」
「女の誘いを断るやつがあるかよ」
 心の底からガッカリした。

417:Tail of Eden -6
10/11/28 21:04:29 GZNNrJwu0
「ほら、ピラミッドが出来たよ。我、登頂に成功せり」
 彼はフォークを皿に置くと満足そうに頷いた。どうも彼が心配でならない。シンシアも同じだ。
昔からポールのことを知る彼女は、結婚の事実を隠されていることに機嫌を悪くするよりも先に、
しっかりポールの面倒を見るようにジョンに念押ししたくらいだ。
そもそも彼の場合、おやじさんからして何かが違っている。
「ジョン、”She loves you, yeah yeah yeah”はやめないかい」
 スタジオに現れるなりポールが言った。
「おお、やる気に満ちてるな。で、何がいいんだ?」
「”She loves you, Yes Yes Yes”」
 実に嬉しそうに言った。
「…誰のセンスだ……」
「父さんだよ」
 この件については協議中だ。
料理が冷め始めた。「どこか行こうか」
「ねむい」
 ポールは小さく欠伸をした。

 フラットに戻ると、誰もいなかった。ポールはそそくさと自分の部屋に入っていった。
そっとドアを開けると彼の部屋は狭く、部屋の真ん中にベッドがぽつりとあり、
その横に大きなトランクが置いてあるだけで、何もない。自分の部屋とは大違いだ。
ベッドの上でポールは靴も脱がず眠りこけていた。
あまりの素早い寝つきはいつものことだ。ジョンは壁に向かって身をまるめるポールの背後に寝転がった。
ジョージは帰ってきた気配がないし、戻ったはずのリンゴの姿もない。静かだった。
ポールの背中がもぞもぞと動いたので、背後からそっと抱いてやる。
彼はジョンの指を撫で、「おいしそう」と言った。ふと、自分の名を呼ぶ声を背後に聞いた。
「何なんだよ、アイツ」
 ジョンは舌うちし、ベッドから降りようとした。
が、ポールはそんな彼の頭からシーツをかぶせると自分の足の間に沈ませ背中をぐいと押した。
「ポール? 入るよ?」
「どうぞ」
 部屋の灯りを背に、マネージャーが顔を出した。
「やあ、寝てたのかい。これは失礼。他の三人はどこに行ったのか知ってるかい?」

418:Tail of Eden -7
10/11/28 21:07:16 GZNNrJwu0
「ここにいるよ」
 バカ!
「ははは、そうかい。知らないんだね、ありがとう」
 マネージャーは笑った。
「……あー、もし彼等が戻ったら今日はもう外に出ないように言ってくれたまえ。三日後急遽仕事を入れたからね。当分はここを拠点になりそうだよ」
 ポールは目をこすった。
「まずはロンドン制覇といこうじゃないか。それにしても、素晴らしい流れだよ。
この調子でいけば、海外の仕事も難なくとれそうだ。緑豊かな地を征服するのだよ」
「…眠りたい」
「そうかい、お嬢さん。たっぷり眠りなさい」
「眩しいからドア、閉めて」
 パタリとドアが閉じ、部屋から出ていったのか鍵をかける音がしたので、ジョンはシーツから顔を出した。
「『進め、軽騎兵隊』の号令に うろたえるものなど どこにいよう
誰かの失態であったとしても うろたえるものなど いはしない」
 ジョンはポールの頬に触れた。
「返事は不要 理由も不要 ただ粛々と 死に行くのみ」
「ポール?」
「明日、仕事が終わったらリヴァプールに帰る」
 突然の発言に口から心臓が出るくらい驚いてしまった。
「帰る?どうして?」
「進め、進め 死神の顎へと 地獄の口へと…」
 ポールは倒れるようにジョンの肩にもたれ掛かり、もう何も言わなかった。


 次の日、インタビューの仕事を終え、散歩してくると言い着替えもしないでフラットを出て、
ふたりで同区にあるメリルボーン駅まで急いだ。スーツでのかけっこは困難を極めた。
ユーストンまでのチケットを買い、今まさに到着したメトロに飛び乗った。
汗を拭きながら、コートの内ポケットから出した見慣れない路線マップを開く。
カムデンにあるユーストン駅から急行列車に乗れば四時間でリヴァプール・ライム・ストリート駅と書いてある。
ポールは少し不満そうな顔でジョンの顔を見ている。


419:Tail of Eden -8
10/11/28 21:11:05 GZNNrJwu0
「俺が一緒なのが不満て顔だな」
 マップをひらひら振ってみせた。
「大丈夫、こいつに従えば今日の夕方には家に帰れるよ」
 ポールを見てウインクする。
「…汝、この聖なる羅針盤に従え」
「いいぞ、それだ」
 次の駅で別の路線に乗り換え、一本の電車が目的地まで連れていってくれないことに右往左往しながら、
それでもなんとか地下から這い上がりユーストン駅に到着した。
「ライム・ストリートまで、二枚」
「間もなく発車です」
 慌てて改札をぬけ、ホームを走った。
駅員が発車準備オーケーの笛を鳴らし、蒸気列車が汽笛を鳴らす。
タクシーのように呼びとめるわけにもいかず、ふたりは必死に駆けた。
「急いで、急いでください!」
 別の駅員が声をかけ、手をあげて列車に乗り遅れている客がいることを知らせた。
「ポール!」
 一足先に乗り込み手を伸ばす。
力いっぱい引っ張り込んだと同時に扉がとじ、列車はゆっくりと走りだした。
「危なかった…」
 肩で息をしながら二等車両の空いた席に並んで腰かけた。
ちょっとしたスリルはあったが乗ってしまえばこちらのもの、あとは目的の駅まで体を運ばれるのを待つだけだ。
ほっと一息ついて横をみると、ポールは背筋を伸ばしてきょろきょろと車内を見まわしていた。
「リヴァプールまでの四時間、何する」
「寝るよ」
 そう言うとポールは腕組みして素早く眠ってしまった。
いつもの素早さにガクリときたが、一仕事終えた後に全力疾走したので疲れたのはジョンも同じだった。
ジョンは居眠りするポールに肩を貸しながら、窓の外を見た。
「しかし、なんでまた」
 彼が急に帰ると言いだした理由が判らなかった。ジョンはあれこれ考えながら、重たい瞼を閉じた。
 目を開けると窓の外に夕日に照らされた見慣れない景色があった。
驚いて向かいの席に座る初老の男性に声をかける。

420:Tail of Eden -9
10/11/28 21:14:50 GZNNrJwu0
「ああ、クルーで前車両と後部車両の切り離しがあったんですよ。
前方車両はリヴァプール行き、後部車両はマンチェスター行き。この車両は後部車両だったというわけですね」
 老人はゆったりとした口調で言った。隣をみるとポールは、手すりに頬杖をついていた。
「起きてたのか?」
 ポールはこくりと頷いた。
「なんで起こさない?」
「夕日がキレイだったから、あの建物の上。見て」
 彼がとても嬉しそうに指さすので、ジョンはなんとなく怒こる気になれなかった。
 マンチャスター・ピカデリー駅に着いて時計を見ると十七時を少しまわったあたりで、
接続の列車は十八時半発だというので一度駅の外に出た。
「マンチェの犬ども」
 行き交う人を見てそれとなく冗談を言う。
「今夜は中華料理が食べたいね」
 ポールはいつ手に入れたのか、マンチェスター市街のマップが織り込まれた小冊子を片手に言った。
「列車の時間があるから食事してる時間はないだろうな、上手く行けばリヴァプールのチャイナタウンに行けるかも」
「もう少し行ったらホテルだよ」
「帰るんじゃないのか?」
「もう夕食の時間だから」
 ポールは振り返りあっけらかんと言った。
「代えのシャツがないから食事の前にどこかで買おう」
 ホテルのフロントに店を教えてもらい、少し離れた仕立て屋で既成のカラーシャツをそれぞれ一枚づつ買った。
「部屋に財布忘れた」
「おい、なんだよ」
 ジョンはふたり分のシャツの勘定を済ませた。
「後で返せよ」
 ホテルに引き返してフロントマンに買い物袋を部屋に入れておいてほしいと頼み、夜のストリートに出た。
十五分も歩かないで、闇に浮かぶチャイナタウン独特の赤いゲートを発見する。
ストリートには自分たちと同じ西洋人とアジア人が、半分くらいの割合で押し合いへしあいしていた。
ふたりで顔を合わせ頷くと雑踏にまざり、ショーウインドウを見て歩く。
「見てみろよ、こいつ俺らのこと睨んでる」
 ウインドウからこちらを見ている豚の頭を指さすとポールはそれを面白そうに眺め、
豚の頭を取った料理人と目が合ったのでこの店に入ろうと言った。

421:Tail of Eden -10
10/11/28 21:24:26 GZNNrJwu0
狭い店内の席に案内されメニューを開くと、よく判らない線のかたまりみたいな象形文字の上に英語で商品説明が書かれていた。
愛想のよさそうなアジア人の店員がオーダーを取りにきたので、ポールは「これ」といって白いパンのような絵を指さした。
「四つ、ふたつはフライにしてください」
「おまえはなんでもフライだな」
 茶をすすっていると、楕円形の皿に白い渦巻きパンのようなものと、それを黄金色に揚げたものを乗せたものを持って店員が現れた。
「あと、これと、これ」
 ポールは注文すると店員にチップを渡すように言ったので、ジョンはまた身銭をきった。
「これがジョン、こっちがジョージでこれがリンゴ。僕はこれ」
 彼は箸で四つのパンをつついた。
「俺は、まる焦げの頭か」
「そうだよ」
 そう言うとポールはジョンの目の前で残酷に箸をつきさし、付属のコンデンスミルクに浸した。
「ジョン、共食いして」
 口元に突きつけられたので観念して一口食べると、白いやつの何倍も旨かった。
ナッツと肉を炒めた皿と、何かのフライをソースをからめたものを持ってきた店員が、香港では珍しくない食べ方だと言った。
「ホンコンって何処にあるんだ?」
「イギリス」
 ポールは箸を上手く持てないらしく、左手と右手交互に持っては料理と格闘している。
店員はチャイニーズ訛りの英語でゆっくりしていくように述べ、キッチンに戻っていった。
ジョンは先ほどから気になっていた天井からぶら下がる、紙で出来た蛇腹のオブジェを見上げた。
それは真っ赤な腹を見せながら、悠々と店の天井を端から端を横断している。
「悪趣味だ、どうして食いもの屋にヘビなんか飾る」そう言ってジョンは箸を天井に向けた。「東洋人のやることはよく判らない」
 ヘビに恨みはないが、手や足がない様がなんとなく好きになれない。
手元の皿を見て、この魚だと思って食べたものがまさかヘビじゃないかと想像し、さっと皿ごとポールに押し付ける。
「おまえ、食え」
 何も考えていないのか、ポールはそれをばくばく食った。
「あのね、ポール? ちょっとは考えようね」
「何が?」
「何がっておまえ」
 無邪気な顔に呆れ言葉を失うが、よく食べる彼の姿に安心する。
「シティで見たでしょう。あれと同じだよ」
 ポールは言った。

422:Tail of Eden -11
10/11/28 21:30:54 GZNNrJwu0
「バカな、あれはドラゴンだ。ヘビじゃない。
ウェールズの連中は手も足もある、奴らが化け物の子孫とは思えない。それにヘビって言ったら…」
 逆さ吊りにした鶏を手にした店員がジョンの脇を通過した。
飛び上がるジョンを見て、ポールは笑った。
「今ジョンが食べてるやつでしょ」
「もういいよ」
 東洋人のやり方はさっぱり理解できなかったが、テーブルの向こうでヘビを食ってる彼の頭の中もさっぱり理解が出来なかった。

 ジョンがシャワーから出ると、ポールは部屋に電気も点けずベッドの上でうつ伏せになっていた。
タオルをベッドに放り投げバルコニーからストリートを覗き込む。時間が遅かったので、人影はなかった。
向かいは同じような建物だったが、ホテルなのかオフィスなのか判らなかった。
振り返るとカーテンに半分隠れたポールがじっとこちらを見ていた。
目が合うとすっとカーテンに隠れてしまった。ジョンがカーテンを手で払った。
「こっちこいよ」
 彼の身体を引き寄せると、いつものように彼を背後から抱き髪に頬を寄せた。
「どうして帰りたいなんて言う」
 そうされるのがくすぐったいのか、ポールは腕の中でじたばたした。
「俺から離れるような真似はするな」
 彼の手を引くとベッドに横になり、そっと身体を抱き寄せた。
いつもは背後から抱かれるのに正面から抱かれ勝手が違うらしく、ポールはあれこれと場所移動し、
結局ジョンの胸のあたりに頭を置くことで落ち着いたようだ。
窓からさす弱い光の中、どうやって彼をロンドンに引き戻そうか、そればかり考えた。
と、ガウンのはだけた部分をぺロリと舐められた。
ジョンは生温かい舌の感触に鳥肌をたてた。
「何するんだ?」
 また舐められた。
「おい、くすぐったいぜ」
 バカないたずらをされたとポールの身体を引きはがしにかかったが、
彼はするするとジョンの身体を滑り降り、ガウンをめくると足の付け根を舐めた。
これには大ショックをうけてしまい、思わずガウンでガードする。
「なにを…」

423:Tail of Eden -12
10/11/28 22:06:05 GZNNrJwu0
 ガウンをつかむ指が舐められた。
すっと舌が移動し、中指と薬指の付け根を舐められた時点で堪忍袋の緒が切れた。
起き上がり顔面に向けて蹴りを放ったが、ポールがまったく瞬きしないので思わずスピードが落ちた。
失速した左足は捉えられ、ポールはその足を肩にかけると持ちあげ腿の内側にキスをした。
下着をつけていない下腹部が見られると焦り、とっさに両手でガウンの裾をつかむとそこを隠す。
「ファック!」
 身の危険を感じそのまま足を首にかけ引き倒し、なんとかポールをベッドに沈めマウントする。
背後から抱かれたポールは多少手足をばたつかせたが、首根っこをつねると静かになった。
「くだらないことやってないで、さっさと夢の国に行け」
 タバコを吸おうと枕もとに身体を伸ばしそろりと腕の間から下を見ると、またポールがこちらを向いていた。
「ファアアアアアアアアアアアアック!!!!」
 素早く左足を引き上げ、今度ばかりは狙いを外すまいと彼の右肩めがけて勢いよく蹴り落とした。
が、ポールはそれより早く身体を開き、すっぽぬけて仰向けに倒れた上に身を乗せた。
思わず目を閉じるも、運良く彼の胸の下に右腕が挟まれたので、両手を組むと気合一発押し返す。
素早くバックをとり、もう二度と離すまいとがっちり身体を抱き、肩に唇を強く押し当てた。
「よーし、いい子だ。そのまま動くな」
肩で息をしながら、汗をかいたのでまたシャワーを浴びないとならないと思った。
首の後ろにキスすると、ポールはおとなしくなった。
「ヘビが」
「そんなもの何処にも… ん?」
 ジョンは思わず自分の股間を覗きみた。
「これはヘビじゃない…」
「僕は帰る」
 ポールはジョンの手を握った。
「聞かない。やっと先が見えてきたのに、今、のこのこ帰るバカがどこにいる」
「それとも、僕がそっちを向くのを許すかい」
「誰が!」
 隙をつかれまいと、尚、ジョンはポールを強く抱いた。
「あんなにペロペロやられちゃたまらんよ。そもそもおまえ、あんなことして良いと思ってるのか?」
 ジョンは顔を真っ赤にして説教した。
「リヴァプールなんかに帰さないよ、明日、朝一でロンドンに戻るんだ。判ったな、ポール」
「ノー」

424:Tail of Eden -13
10/11/28 22:13:20 GZNNrJwu0
「ノー、じゃない」
 その後、ジョンはポールの身体をロックし続け、一睡もせず朝を迎えた。

 チェックアウトを済ませ、抵抗するポールの首根っこを捕まえて無理やりロンドン行きの急行に乗った。
列車の窓の外から声をかける物売りからスナック菓子を買って手渡たすと食べたが、袋が空になるとムスっとして声をかけても一切答えなかった。
 ユーストンに到着し、あとから説教される時間を一分でも短くしようとフラットに電話するとマネージャーが出た。
「グッドモーニング! ハロー!」
 ジョンは精いっぱい明るく受話器に向かって挨拶した。
金切り声が聞こえてきたので受話器を肩にかけてやりすごし、見るとポールの姿がない。
「あいつ!」
 ジョンは受話器を乱暴に置くとあたりを見まわしたが見当たらない。
人混みをかきわけ、リヴァプール行きの列車が発車するホームまで行ったがそれらしき姿を見つけることは出来ず、
外に出たのかと駅から出てストリートを見渡したがいない。
どっちへ行ったのだろう、メトロか、それとも長距離が発車する別のホームか。判らない。
「ヘイヘイ、どうなってんだ」
 落ちていた空き缶を蹴りとばし、駅のゲート横の壁にもたれ掛った。
「糞ッたれ!」
 つよく地団太を踏む。
見ると人待ちの旅行者とか、物乞いの浮浪者とかが同じように壁を背にしてストリートにおもてを向けていた。
「旦那、タバコを一本…」
 浮浪者が声をかけてきたが、あまりのジョンの視線に手を引っ込め、人混みに消えていった。
時刻表を出し、次のリヴァプール行きの時間をチェックする。
ポールが本当に帰るつもりなら、ここから列車に乗るはずだ。
「見つけるまで、絶対ここを動かないからな」
 闇雲に動いてもしょうがないと心に決め、タバコを咥えると火をつけ腕組みした。
ロンドンと地方都市をつなぐ長距離列車を多く出すユーストンの駅には、ひっきりなしに人が出入りする。
そんな喧騒の片隅で、ジョンと横並びになって一目で売春目的と判る数人の少年少女が行きすがる人々を見つめていた。
こんな光景はドイツの駅なんかでよく見た。ベルリンの駅なんかはこういう連中が腐るほどいるという話しだ。

425:Tail of Eden -14
10/11/28 22:16:12 GZNNrJwu0
ドイツは先の戦争で負けたから事情が複雑なのだろうと他人事のように考えていたが、
勝ったはずのイギリス、ロンドンの様子もそれらと何ら変わりはない。
十四歳くらいの少年が、大人に手を引かれた。それに誰も注目はしない。
その横を、リヴァプールではお目にかかれないような立派な身なりをした紳士が通り過ぎ、
地べたにあぐらをかくみすぼらしい物乞いに向かってコインを一枚投げた。
女王の横顔がキラキラ輝きながら道に転がり、それを見た女の物乞いが手を伸ばし殴り合いの喧嘩が始まった。
「おい、やめろよ」
 しかし声にならない。
悲鳴が聞こえ、見ると太った男が少女の髪をひっつかみ、何度も何度も体を打っていた。
胸にたくさんのメダルをつけた退役軍人が、磨かれたブーツで靴磨きの少年の仕事台を蹴飛ばした。
ジョンは胸が潰れそうになった。
五本目のタバコを足元に投げると踏む。
「こんなことは許されない」
 不安と悲しみに押しつぶされそうになりながら、それでもなんとか立っていられるよう努力する。
唇を結び、空を見上げた。
気に入らない音で頭がいっぱいだった。押し返す力が足りない。渦巻いて、鼓膜が破れてしまいそうだ。
ひどい頭痛に顔をしかめる。
こんなことは生まれて初めてだった。
「…ポール。かくれんぼはもう止そうぜ」
「ちょっと、アンタ」
 見るからに怪しい男が近寄ってきて小声で声をかけてきた。
「顔色悪いね、悩み事でもあるのかい?」
 男は昨夜一睡もしていないジョンの顔色の悪さを見て、自分の客だと勘違いしたらしい。
あたりを見回すこともなく、しきりに臭い体を寄せてくる。
「いいのがあるよ。どうだい、買わないか?」
「買ったらどうなる」
「へへ、野暮なこと聞きなさんな。心の痛みも体の痛みもなくなって、一瞬にして月までいける上等の代物だよ」
 ゴクリと唾を飲む。そんなジョンを見て、男がニヤリと笑った。
「不安かい? 楽になりたいんだろう?」
 首をたてに振りそうになった時、視線の隅に黒ずくめの男の姿を見た。
「ポール!」
 売人を押しのけ、彼の元に走った。

426:Tail of Eden -15
10/11/28 22:20:08 GZNNrJwu0
「何処行ってた!!」
 コートのポケットに両手を突っ込んだ彼の肩を激しくゆさぶり叫んだ。
ポールはそっとジョンの手を退けると、スタスタとメトロ駅に向かって歩き出した。
ふたりはストリートを肩並べ歩いた。先ほどあれだけ悩まされた痛みは嘘のように消え、ジョンは額の汗をぬぐった。
「おまえ、今日から座って小便しろ」
「得意技だよ」
 すれ違う人と肩がぶつからないようにしながら、せわしない道を進んだ。
未だ動揺がおさまらないジョンを気遣っているのか、彼の歩調はいつもよりゆるやかだった。
彼はタバコを一本咥え、火をつけるでもなく、そのまま歩き続けた。
「さびしくて暗い部屋は嫌い。不味い料理も嫌い。気持ちが沈む。帰りたい、帰ればこんな不愉快な想いをしなくて済む」
「ああ、確かにおまえのおやじさんは最高だ」
 少しずつ気持ちが落ち着きを取り戻し、人混みのまっただ中だというのに世界に二人きりのような錯覚にとらわれる。
幾多の足音は遠のき、あんなに耳触りだった喧騒が消えてなくなる。
頭の全体を覆うように靄がかかり、音が籠るようないつもの感覚が蘇った。
閃く音楽がこぼれ出さないあの感じ。 彼がいるからだろうか…
ジョンは足元に舞う埃だけをじっと見つめた。
ぐいと腕を引っ張られ顔をあげると、目の前に車が通り過ぎ、信号は赤だった。
「さっき、泣いていたね」ポールは言った。「悲しい人を見て、君の心はいつもそうだから」
 ジョンは渇いた唇をそっとぬぐった。
「だから戻った。君がとても悲しそうにしてたから。 その姿が、あまりに哀れで、あまりに愛おしくて、あまりに……」
 ちらりと、赤い舌が覗いた。
緊張に肩がかすかに震える。
「どうしたのかい」
 揺れた前髪に気を取られながら、ちらりちらりと彼の口元だけが気にかかる。
「何か嫌なことでも思い出したのかい?」
 自分とは違う薄い瞳が垣間見え、目が合うと背中に冷たい汗がつたった。
「力が欲しいと思ったろう。彼等の為に、そして自分の為に」
「ああ、そうだ。俺は力が欲しい」
 震える声で言った。
「あの場ですべてを見過ごした自分が許せない」
「おや、おや」
 ポールは口元を抑えて笑いを堪えた。

427:Tail of Eden -16
10/11/28 22:56:01 GZNNrJwu0
「優しいんだ。何に対しても、誰に対しても。なんでもすぐに、力以上のことをしようとする。代償はあまりに大きすぎる」
「一緒にいるんだ、ポール。俺から離れるな」
 目の前にちらちらと銀の炎が舞い、指先が冷たくなってきた。
しかしそうなればなるほど、頭が冴え冴えとするのだった。
「王様になりたいの、ジョン。いいよ」
 瞳がギラリと輝き、しかし次にとても優しい光を宿した。
「君なら」
「…ああ」
「きみとなら」
 彼は人差し指でかかった前髪をはらい、何事もなかったようにタバコに火をつけた。
 メトロの階段を降り、人のまばらな構内で電車の到着を待つ。
ポールが線路に身を乗り出し、電車がやってくる方向のトンネルをうろうろ覗きこんでいる。
やがて真っ暗な穴から光が見え、「おい、ポール」
ジョンはあたりを窺い、誰も見ていないことを確認すると彼の腕を引こうと手を伸ばした。 いや、背中を押そうとした。
ポールが線路に上半身を出したまま振り返り、電車がトンネルから姿を現した。
指先が触れた。 もう少し
「なあに?」
 レールがバチバチと火花を散らし、頭が割れそうになった。
あっと思い、急いで腕を引っ張る。
その瞬間電車がもの凄い勢いでホームに滑り込み、遅れてやってきた風圧に髪がさらわれる。
向きあいになったポールは後ろ髪を風に巻き取られながら、じっとジョンの顔を見つめた。
「聖人になどなれない。しかし、そうでなくてはうまくない」
 電車のドアが開き、旅を急ぐ乗客がホームに降り立ち、ふたりの姿が人混みに消える。
「知識を得、心を開き、天国の門を蹴り飛ばすんだよ。ファッカー」


 GOマスに戻ってもう一回。
ダイスを振ってコマを進め、指示されるイベントをこなす。
マネージャーが言った通りバンドが多忙を極め数ヵ月、今では変装なしで外に出ることが不可能だ。
毎日毎日、クソ不味い料理を口に放り込み、クソ強い酒で流し込んだ。
この調子でいけば、すべてが上手くいきそうだと満足顔のマネージャーが微笑む。
またダイスが降られ、新たなイベント。地球儀を回す。しかしホンコンという街が、イギリスのどこにあるのかは未だ判らない。

428:Tail of Eden -17
10/11/28 23:01:19 GZNNrJwu0
 ジョンが目覚めると昼で、寝ぐせの頭をかきながらリビングへ行くと人のいる気配はなかった。
キッチンで紅茶の用意をしていると、誰かがもの凄い勢いで部屋に入ってきた。
「あとで返せよ」
 そう言ってジョージに金を貸す。
買い物好きのリンゴの荷物を一緒になって部屋に入れてやり、彼が雲のごとく消えるのを見送る。
窓の縁に腰かけ遠い空を見上げれば、鳥が飛んでいた。
どこからともなく子守唄が聴こえてきて、ジョンはそっと瞳を閉じた。
「ジョン」
 名前を呼ばれ振り向くと、示し合せたようにドアの隙間から覗くポールと目が合う。
「どこも行かないの?」
「いかないよ」

 半リーグ 半リーグ
 また半リーグと進み行く

「明日のレコーディング、”Yeah Yeah Yeah”で行くぞ」
「ノー」
「ノーじゃない、命令だ」

 銃弾を雨霧と浴びながら
 ひるむことなく 進み行く

「ちゃんと女優の相手をしてるのか?」
「昨日電話したら、すごく怒られた」
「なにやってるんだ」

 死神の顎へと
 地獄の口へと

429:Tail of Eden -18
10/11/28 23:09:47 GZNNrJwu0
「なあ、ポール」
「なあに?」
「こっちこいよ」
「おいしそう」
「こんなことは許されない」

「どうした」
「おなか減った」


ここは静かで・・・ とても静かで・・・
悲しみに終わりはなく・・・


 ねえ、ジョン 眠ったの
 どうしたの
 どうしたの



六百の兵士、死地に

死の影の谷に われを緑の野辺に伏させ
われは災いをおそれじ
汝の笞なんじの杖 わが日々を慰む


*******
長々と失礼しました…
作中に古い詩と詩篇を混ぜましたが、それらを侮辱するものではありません
ロンドンでアパートを借りていたことと、P父がShe loves youに助言(?)したこと以外は完全ねつ造です
ありがとうございました

430:風と木の名無しさん
10/11/29 02:03:28 Sld8pF870
>>412
投下乙です。
全てあやふやでgdgdの現実の中を、お互いを頼りに進むしかない。そんな「君とならば、地獄もまた楽し」なJPに
禿げ上がりました! それにしてもP父…「Yes,yes,yes」には笑った。そんな洋ピンのような掛け声の
「She loves you」にならんでよかったとジョンの英断に感謝。

431:412
10/11/29 21:02:52 Dyugg+mq0
>>430
レスをありがとうございます! とても嬉しいです!!
そして長々場所取りしてしまい申し訳ございませんでした…

「She loves you」は切ないですよね…
正確には曲を完成させるためにJがP宅を訪問、出来た曲を居間でTVを観てたP父に披露
聴き終ったP父がふたりに向かって「Yes Yes Yesの方がいいんじゃないか」発言したそうです
Jのリアクションが気になります

432:風と木の名無しさん
10/12/01 22:53:52 jiXw1I7U0
>>411
投下乙!
ただ甘いだけじゃないこういう空気ってJとPにしかないよなぁ
と改めて感じました

433:風と木の名無しさん
10/12/05 23:31:23 PkJ8wmZX0
最近マーティン×ポールに萌える
天然誘い受けPに振り回される堅物Mせんせ
・・・逆でもいいなw

434:風と木の名無しさん
10/12/05 23:48:11 40mdMHvH0
わかる!それみてGか、Jがピリピリしてほしい・・・

435:風と木の名無しさん
10/12/06 01:07:36 qQ6+JjjVP
>>433-434
それは自分も思ってた!

436:風と木の名無しさん
10/12/06 21:43:09 m20xt96r0
家出娘のプロデュースを他の人にやらせたことに対してことあるごとに文句言ってるマー先生可愛いよね
どんだけショックだったんだw
ポールはポールで何の罪悪感もなくけろっとしてるしw

437:風と木の名無しさん
10/12/07 21:27:27 NnpsSVeN0
エピーに大人げないですっ!
うちのBoysに手を出さないでくださいっ!
って怒られるM先生w

438:風と木の名無しさん
10/12/07 21:55:34 fbivKhUw0
>>437
あんたは人のこと言えるのかw

M先生かわいいよM先生

439:風と木の名無しさん
10/12/08 23:00:47 9bKZZkja0
エピー:わ、わたしはボーイズを、陰ながら彼らを見守って・・・
とおりがかりのマル:陰からじょんを、ですよね!(ニッコリ)
(マー先生、エピー:共に赤面)

440:R.I.P Jonn!
10/12/08 23:29:24 8P62IOQYP
>>437-439
めちゃめちゃ面白い&萌えるw。
こうなったら、ぜひどなたか、Eppy/J、もしくはMartin/Pものを書いていただきたい…。


441:風と木の名無しさん
10/12/09 21:58:05 wt6zZ+cs0
M先生:私だってぽうるとふたりで海外行ったりしたい(ぽそっ)

442:風と木の名無しさん
10/12/10 01:30:00 VAfvapyX0
>>441
M先生といったら、なんだか性癖のように聞こえるのでマー先生と呼ばせていただきます。
まー先生、ポールと旅行したことありますよ^^。
時期は忘れちゃったけど、確か休暇でポールと(スイスだったかに)スキーに行ったマー先生
(先生サイドは確かご夫婦だったようだが、この辺はどうにでもなるので気にしない)、
ポールとお泊りが嬉しかったのか、スキー靴でバレリーナの真似したら、足首を
折ってしまい、休暇も台無しの残念な結果に。しかし気持ちは分かるが、
なんでまたキャラに合わないことをしちゃったか、先生……。

443:風と木の名無しさん
10/12/10 23:58:29 lVC/G+SU0
>>442
性癖わろたw
バレリーナの真似して怪我する先生やっぱかわいい
ポールはファザコンだしまーちんとなら結構幸せになれそうな気がするぞ

444:風と木の名無しさん
10/12/11 00:32:03 UWl+uLG50
>>442
おお、ありがとん!

Pを独占できておおはしゃぎのマー先生にドン引きしつつ、
「これは仕事なんだわ、接待というものなのよ・・・」
と邪魔しないよう勤める良妻、ミセス・マー。
PはJの話ばかりして遠い目。長い国際電話の後、小さくため息をついてはまた遠い目。
Pを笑わせたいマー先生、大暴走、大惨事、そして大反省・・
でもPが笑ってくれたから本望。
Pはミセス・マーの目を盗んで「困ったひとだな、もう」と、でこちゅー。
もうそれだけで脳内にオーケストラ在中のマー先生、受信中。

445:風と木の名無しさん
10/12/12 02:36:17 9qSG1yPg0
>>444
マー先生が可愛すぎて困る
コントロールルームで思い出してニヤけるマー先生(でもあまり表情は変わらない)に
エメリックがやれやれってため息ついててほしい

446:風と木の名無しさん
10/12/12 06:33:01 3a83iVku0
(スタジオにて)
先生「スイスの思い出はありがたいが、しかしここでの私のおやつはあげないぞ(きっぱり」
ポール「えー、ケチだなあ。じゃあ今度、僕のうまい棒をあげますから、そのチョコを」
先生「なに、きみのうまい棒?」
ポール「ええ? はい(きょとん」
先生「(ポールのうまい棒=………!)」
先生「…すまなかったね。いくらでも食べたまえ、ポール」
ポール「いや、こんなに食べ切れません、先生!」
先生「いやいや、もっとあげよう。そのかわり、コレと同じ数のうまい棒を君からもらうからね?うんうん…」
(と、一人で納得しつつ意気揚々と去っていく先生を呆然と見送りながら)
ポール「先生って、そんなにうまい棒すきだっけ?」
エメリック「知るか」

447:風と木の名無しさん
10/12/12 11:25:38 /Gzw6b+j0
>スイススキー
何年頃のエピなのか教えてくれんか。イメージができんからな。

448:風と木の名無しさん
10/12/12 12:44:15 v+lr9JFbO
いつの間にかマー先生祭に…!!
便乗させてくれ

マー先生×Pは解散後も萌えポイントが多すぎる
燃えるパイの時なんかPはマー先生と一緒に仕事がしたくて仕方ないんですよ
なんてスタッフにバラされてたし
Jが亡くなったとき、一人黙々と仕事をしてたPがマーチンがスタジオに駆け付けた途端しがみ付いて泣き出してしまったとか
門トラセトのコンサートの熱烈過ぎるハグとか



萌えだけで、投下出来る技量がないのが悔しい

449:風と木の名無しさん
10/12/12 14:32:30 OiXkWVOd0
>うまい棒 大W!!!

450:風と木の名無しさん
10/12/12 19:55:31 OiXkWVOd0
>>448 しがみ付いて泣き出してしまった

悲しすぐる・・・Pは大丈夫なふりをする人のイメージが強い分、よけいに。
しかし、すでに38歳だったはずなのに20歳くらいのかわいいPで再生されて困る

451:風と木の名無しさん
10/12/12 23:43:25 zLCZCxzyO
>>446
まー先生がビーたちに奪われまいとチョコバー隠してたエピだねw
Pのうまい棒って、先生発想がさすがおっさんだよ

452:R.I.P Jonn!
10/12/13 00:47:27 qa0pI/pZP
>>446
これからはうまい棒を見るたびにマー先生のこのどや顔を思い出してしまいそうだw。

自分はむしろ、ポールへのつのる片思いをこじらせた挙げ句、
上司のマーティンやらジョンやらジョージやらリンゴ他、
とにかくポールと親しかった人間に対して、現在に至るまで片っ端からケチを付けまくる
エマリック……という図が浮かぶ。

453:風と木の名無しさん
10/12/13 01:24:02 cVTWrPer0
>>452
とりあえず名前を直そうか

454:R.I.P Jonn!
10/12/13 01:45:26 qa0pI/pZP
>>453
エマリック→エメリックですね。
ただ、ネイティブでの発音は「エマリック」が近いとどこかで聞いたもので。

455:風と木の名無しさん
10/12/13 01:53:45 cVTWrPer0
>>454
とりあえずその自分の名前を直そうか

456:風と木の名無しさん
10/12/13 07:46:14 0FUzu6XvO
エメリックは最後の真実2を執筆するべき
1では書けなかったあれやこれ

457:風と木の名無しさん
10/12/18 01:13:46 uXLxkMFs0
LJの某所で、インドでマハリシが口説いたのは女性陣のだれかじゃなくて、
ビーの誰かだったっていうミック・ジャガー談とか、
「アップルの人たちがPを「Johns' princess」と呼んでるのを聞いた」
っていうヨーコ談を読んだ。
萌えエピソードありすぎだ。。ビーってすごい。

458:風と木の名無しさん
10/12/18 01:26:57 Yef3fsCXO
>>457
詳しく知りたい!!

459:風と木の名無しさん
10/12/18 15:29:30 IoPpiX7E0
>>457
なにそれ萌える
しかもヨーコ談っていうのが・・・
Jを巡るPとヨーコの微妙な関係ってなんか好きだ

460:風と木の名無しさん
10/12/18 16:23:01 Yef3fsCXO
>>457
マハリシが口説いたのはミア・ファローじゃなかったの?

461:R.I.P Jonn!
10/12/18 19:15:35 n6FQaP3GP
>>457
>インドでマハリシが口説いたのは女性陣のだれかじゃなくて、
>ビーの誰かだったっていうミック・ジャガー談

自分(orメンバー)が口説かれた、とは言いづらくて、別に女優が口説かれたことにしておこう、って
ことだったのか!?>ジョン

>「アップルの人たちがPを「Johns' princess」と呼んでるのを聞いた」
周囲にもそういう認識だったとは……凄すぎるグループだ>ビー

462:457
10/12/18 23:07:36 uXLxkMFs0
M・ジャガーの話
イシャーウッドさんという人の本に「ミックから聞いた」としてそう書いてあるそう。
LJ在住の人たちはそれが誰かでエキサイトしてました。
が、最初からRは除外らしい・・・w
G支持者「Gは一番熱心だったから」
J支持者「マハリシと二人でヘリに乗った! Pだったら→JとGはP帰国後、居残るはずがない」
P支持者「Rは食事があわなかったけどPの帰国理由がはっきりしない。
Pが理由なく自分からJと離れるはずがない。
Pは誰にも言えずに帰国したんじゃないか、後から知ったJとGが怒って帰国。
Jだったら→Jは怒らないはず、PだからこそJがキレた」
ということでP優勢でしたw

463:457
10/12/18 23:20:28 uXLxkMFs0
ヨーコの話 P・ノーマンさんの本で
「JのほうはPとそういう(肉体)関係になることを考えていたんだけど、
Pの「不動の異性愛」によって思いとどまらされた。
Pが「John's princess」と呼ばれるのを何度か耳にしただけじゃなく、
Jがただならぬ様子(in a strangely subservient, pleading way)で、
Pを呼んでいるリハーサルテープを聴いたこともある」
などなど、だそう(下手な訳でスマソ)。しかし不動の異性愛www

「John's princess」エピソードはヨーコだけのコメントじゃなく、
別の人の本にも書かれてるみたい・・・

464:風と木の名無しさん
10/12/18 23:51:53 n6FQaP3GP
>>462-463
これは、美味しいエピをありがとうございます!

こうなると、やっぱりPに一票かなW>462


465:風と木の名無しさん
10/12/19 00:13:45 GtPPxjdsO
ポールはジョンにその気があったような事は何一つなかったって弁明してるんだけどね。

466:風と木の名無しさん
10/12/19 00:16:57 GtPPxjdsO
ポールはマハリシの事を悪く言わなかった。リンゴに言い寄ったんではないかw

467:風と木の名無しさん
10/12/19 00:25:25 tJD/UZDuO
>>463
そういや結構最近もJがPと同性愛を楽しんでみたかった、って発言したテープがあるとばらされてたよね
(信憑性があるかは微妙だがこのスレ的にはおいしいw)
Pは、Jとは何百回も一緒に寝たけどそういう事は一度もなかったよ!って弁明してたけど
おいおい墓穴掘ってないかいポーリーよ…とおもたw
相変わらず一言多い人だw

468:風と木の名無しさん
10/12/19 12:43:07 OXfxEtO70
>>467 確かじゃないけどもしかして同じ本かも。ヨーコもPもそんなの知らなくて、
前にもビー本書いてる作者だからって信用してコメントしたのにって怒ってたやつ・・・

Jはインタビューかなんかで「pとは一度寝たけどよくなかったんだよね」って冗談で答えてて、
そんなふうにいうってことは一度もそういうことなかったんじゃないかと思うけど、
ほんとはそうしたかったけど、嫌われるのが怖くて手が出せなかったってのが萌え・・・
Pって天然だから、ほんとに気づいてなさそうだし。
ヨーコは解散時のJのPに対する怒りは、元同僚というより元配偶者に対するもののようで、
少し理不尽なくらいだったって言ってる・・・ヨーコってここの仲間じゃんwww

469:風と木の名無しさん
10/12/19 14:42:42 99Y/qKgo0
John's princessか・・・ありえそうで困るw
ジョンは解散後のコンサートでアイソーハー歌うときに「離れてしまった僕の元婚約者の歌です」と曲紹介したし
レノマカはやっぱり自他ともに認めるパートナーだったんだろうな

470:風と木の名無しさん
10/12/19 20:38:35 5uTiTmgBP
JはPがリンダと結婚したとき、無茶苦茶臍を曲げてあれこれ酷いジョークを言ったりして
二人を扱き下ろしていたらしい。
自分はヨーコと好き勝手やってたくせに。

471:風と木の名無しさん
10/12/19 21:26:12 sU4E7Qse0
いじめっ子は好きな女の子のことをいじめるから
おんなじ理屈だねw

472:風と木の名無しさん
10/12/19 22:53:28 99Y/qKgo0
ポールとリンダの結婚とジョンとヨーコの結婚の時期もあてつけ?って感じだし
お互い意識しまくりだよね

473:風と木の名無しさん
10/12/19 23:27:18 OXfxEtO70
JはPのレコードだけは全部持ってたらしいしね。
いろいろあってやっと修復できて、って矢先に・・・
Beautiful boyがPへのメッセージという気がしてならん。
だってJは後々までジュリアン宛の曲がPから自分へのメッセージに思えるって言ってたし。
ようつべで、この曲を聴きながら涙をこらえてるPを見てからそんな気がしてしかたない

474:風と木の名無しさん
10/12/19 23:32:22 GtPPxjdsO
>>473
そのYouTube張ってくれ。

475:風と木の名無しさん
10/12/20 00:10:11 ranQ6ahs0
>>474
URLリンク(www.youtube.com)
473さんじゃないけど、これかしら

476:473
10/12/20 00:36:38 VAQkvzio0
>>475 ありがとう、当たりですw

477:風と木の名無しさん
10/12/20 03:18:42 +vppN89L0
ビー板の過去ログ漁ってたら先生×PのSS見つけて禿げ萌え
エピーとJに嫉妬して当てつけのように先生と仲良くするP
それを見てイライラするJ・・・クソたまらん

478:風と木の名無しさん
10/12/20 03:23:09 rnr/kIdZ0
ポールが女だったら・・のスレがニコ動にあがってるんだね

479:風と木の名無しさん
10/12/20 04:11:16 dvue4G1r0
Jはヨーコと知り合ったことを
「リヴァプール時代の親友のように遠慮なくつきあえる上に
ベッドを共にできるんだからコタエラレナイ!」
って言ってたって本にあったね(終わりんとこは意訳だろうけどw)
あー、この人の価値観ってそーなんだーって思ったもんだわ

480:風と木の名無しさん
10/12/20 09:54:40 6qQd5TNJO
>>473

Pは涙が出ているようにはみえないな。

481:風と木の名無しさん
10/12/20 23:26:49 PW7Q2CWnO
こらえてるんでしょ
Pはメディアの前であまり感情的になることないから初見のときは結構衝撃だった
おじーちゃんになってからは涙腺弱くなってるけど

482:風と木の名無しさん
10/12/21 00:01:02 VAQkvzio0
こらえてるよね
"it's a drag." 発言の映像も感情を隠そうとしてるって感じなのに、
メディアには薄情だみたいにいわれてたんでしょ?

>>479 ちょ、それってPが寝てくれてたらヨーコはいらなかったって聞こえる・・・腐だな、自分

483:風と木の名無しさん
10/12/21 00:08:44 9gpngn/l0
初めてみたけど勉強になりました
良スレ


484:風と木の名無しさん
10/12/21 14:30:07 2x20hbLcP
60 :ホワイトアルバムさん :2010/12/21(火) 13:37:07 ID:JWNxsyCV0
ジョン子とポール子のイラストありました。なかなかお洒落な絵ですね。
URLリンク(img.f.hatena.ne.jp)

485:風と木の名無しさん
10/12/21 22:04:54 HqWvpzCMO
転載とかorz
なんか最近ビー板で801スレや女体化スレ上がったりしてるけど荒らしなのか真性なのか…

486:風と木の名無しさん
10/12/21 23:38:08 9CriSyv40
最悪だね
リア厨っぽいし言っても気付かなそう・・・

487:風と木の名無しさん
10/12/22 20:45:32 6f1HhnZq0
まぁ484の絵はpixvに堂々とうpられてる奴だけどな

488:風と木の名無しさん
10/12/23 11:11:21 UlZNDVey0
Pがインフルエンザで寝込む直前のインタビューで、
様子が変なPを気にするJに萌えますた・・・なんか表情がリーダーだ。
URLリンク(www.youtube.com)

489:風と木の名無しさん
10/12/23 22:36:17 ZjPgXuQ3O
>>488
それいいよね
最後見つめあって笑いあうとことか大好き

490:風と木の名無しさん
10/12/24 00:00:30 UlZNDVey0
このころって4人ともかわいいけど、
Pは「うえっ」てなっててもお人形みたいにきれい。
この後、Jに「気持ち悪いならそう言えよ」って怒られててほしいw

491:風と木の名無しさん
10/12/24 21:03:39 4IvTkhUg0
インタビューかなんかでGが「Rと僕は結婚してる」って答えてる画像見つけて吹いたw
G/RはGのベクトルが強いほうが萌える

492:風と木の名無しさん
10/12/25 01:25:37 /VPC8Q8YP
>>488
しかし、こうして見るとビートルズのビジュは粒ぞろいだな。
ルックスも才能も奇跡的なレベルで揃ってる稀有なグループだ。

>>491
URLリンク(up46.net)
これですね?

493:風と木の名無しさん
10/12/25 21:33:43 Yd9qYJAA0
>>492
ジョージわろたw



494:風と木の名無しさん
10/12/25 22:04:26 /VPC8Q8YP
>>493
英語は苦手だが、ジョンがかなりインテリなことを言っているのは分かる。
それだけにジョージの大ボケっぷりが目立つねw。

495:風と木の名無しさん
10/12/26 09:21:36 y8VW0iJY0
実際にもおにいちゃん2人とおねえちゃん1人の末っ子だよね→G
一生懸命しゃべってもおにいちゃん達の後ろでなかなか注目してもらえないから、
小さい時においしいぼけ方を身につけたんじゃないかというキガす。

みんなの話を笑って聞いてくれるけど、キャラがたつので注目される長男→R
頭の回転がよくていつも注目を浴びる次男→J
紅一点だから天然でもいつの間にか注目をさらっていくおねえちゃん→P

496:風と木の名無しさん
10/12/26 20:00:04 n8HZNWNlP
私的には、Rはむしろオトンorオカンというイメージだ。

497:風と木の名無しさん
10/12/27 00:36:31 Oe03vwLc0
>>496 オカン=R ワンピースにサンダルにパーマに、なぜかひげで再生された www

たしかハードで伊豆ナイト撮影後のインタビューで、
インタビュアー「これからは演技もしていくの?」
G「ポールはキャシーをやるよ、えっと・・・」
インタビュアー「嵐が丘の?」
G「そう!嵐が丘のキャシー!」
P「それは野望だなあ。演技できないからねー blah, blah.(キャシーは否定しない)」
GとPってダブルボケw そしてあえて突っ込まないオカンとにいちゃん

498:風と木の名無しさん
10/12/27 21:27:36 IEU/arjzP
嵐が丘、クリスマスショーの余興ででもやって欲しかったなあ。
J=ヒースクリフ、P=キャシー、G=エドガー、R=ネリー(家政婦)
とかで。

499:風と木の名無しさん
10/12/28 21:14:58 FY7Al3J70
>>498 それ見たい!

しーいーすびー!
My luv, my luv. もかわいかったけどねw

500:風と木の名無しさん
10/12/28 21:47:42 AluuoyjD0
801スレニコ動に晒されとる・・・

501:風と木の名無しさん
10/12/29 01:26:21 JxqcTobn0
>500
見てきた。でもあれってこのスレじゃなくない?
うp主に強烈な私怨を感じるから、個人的な喧嘩か何かなんじゃないの?

502:風と木の名無しさん
10/12/29 07:50:34 tY0jKdpVO
ビー板の方だね
わざわざバンド名タグロックもしてあるし私怨っぽいね

503:風と木の名無しさん
10/12/29 22:40:33 zPnfsqfh0
>>499
しすびーたんのmy luvで照れるピラマス様が可愛かったw

504:風と木の名無しさん
10/12/30 14:21:43 XzwDaM/b0
今年の締めくくりに(なんの?)投下させてください。
G目線のJPGの出会った頃の話、エロなしです
場所とります。ごめんなさい

505:504
10/12/30 14:22:15 XzwDaM/b0
授業が終わると同時に俺はギターを背負って教室を出た。
ほとんど一番に校舎の正面玄関を飛び出し、バス停へ向かう。

授業中もほとんど上の空で、落書きしたり居眠りをして過ごしている。
頭の中にはラジオから聞こえてくるロックンロールやギターコードしかないけれど、
そんなことにはとうに気づいている母さんは、そんなに好きなことならと目をつぶってくれている。
ポールの家でギターの練習をする、と言えば二人分のビスケットを包んで持たせてくれるし、
ときおり彼を夕食に招待するように薦めてくれる。
実際ポールは我が家のアイドルだ。
お行儀のいい彼が料理をほめたり、あたりさわりのないジョークを言っていれば、
俺たちが狭い家のなかでギターをかき鳴らしながら愛だとか恋だとかと大声で歌っていても、
お茶やサンドイッチ以外の理由で中断させられることはない。

506:504
10/12/30 14:23:02 XzwDaM/b0
だけど、ポールの家は少し違う。
親父さんはポールが大学を出ていい仕事につくことを望んでいる。
成績のいい長男には安定した仕事についてほしいのだろう。
俺たちの階級の父親としてはごく普通の考えだ。
ポールもそれにあからさまに反抗することはない。

507:504
10/12/30 14:23:44 XzwDaM/b0
ポールと弟のマイケルのおふくろさんが死んでからというもの、
息子達に目が届かないことを気にしている親父さんは、
家を空けなければならない時は、近くの親類の家に行くようにさせている。
ポールがもう、おばさんの家に泊まるのをいやがる年頃なのは承知の上だった。

今日、親父さんはどうしても出張にでなくてはならなかった。
ところが昨日、マイケルが高熱を出して寝込んでしまったので、
ポールが学校にいる間独りにするわけにいかず、親類の家にあずけていくことにした。
ポールは家に残って俺を呼んでもいいかと頼み、親父さんはしぶしぶ承知したらしい。
久しぶりにポールの家でギターをひいて過ごせる。
家族ぬき、だ。
俺は朝から落ち着かなかった。

508:504
10/12/30 14:24:12 XzwDaM/b0
「何やってんだ、あいつ」
バス停から振り返ると校舎から次々に制服の少年達が出てくるのが見える。
だが、その中にポールの姿はない。
「よう、ハリソン。おまえハリソンだろ?」
道の向こうから特徴のある声で呼びかけられた。
くそっ
俺は心のなかでそうつぶやいた。
こいつが教会のフェスでポールと会ってからというもの、
ポールと二人で過ごす時間はすっかり減ってしまった。
このいかにも悪そうな年上のテディボーイにポールはギターを教えている。
しかもいつの間にかこいつのバンドに入ったというのだ。

509:504
10/12/30 14:39:47 XzwDaM/b0
「レノン」俺はおあいそ程度に答えた。
「お友達はどうした? もう独りで帰れるのか?」
含まれたからかいを無視して俺は答えた。
「ポールならもうすぐくるよ。いつもここで待ち合わせてる」
「ふうん」
そして、俺の正面に回り込む。タバコのにおい。
やつは目を細めて俺を観察すると真顔で言った。
「なあ、お前ギターうまいんだって? あいつがしょっちゅう言ってるよ。
すげーうまいんだ、一度聞いてみろよ、って」
俺は少しだけいい気分になった。
最近のポールは二言目にはジョンがああ言ってた、ジョンならこうする、だ。
「でもな、ハリソン。悪いけど、お前はバンドには無理だぜ。
これ以上ベビーフェイスが増えたら、ロックンロールじゃなくなるからな」
テディボーイはわざわざ俺の目線まで背をかがめて、覗き込むようにしながらニヤリと笑った。
俺は自分の顔が上気するのを感じた。

510:504
10/12/30 14:43:02 XzwDaM/b0
何かいってやろうと構えた瞬間、レノンは俺の肩に馴れ馴れしく腕をまわし、
空いているほうの手の親指で校舎を示しながら言った。
「姫の登場だ」
は? 振り返るとポールがポケットに両手をつっこんで、のんびりとこちらに向かって歩いていた。
俺たちをみても走り出すでもなく、両方の眉を上に上げると首をかしげている。

「今日もなかなかそそるな、そう思うだろ?」
レノンは俺の耳に唇をよせてそうささやいた。
なんだって? 聞き返そうとしたがいきなり首の後ろをぎゅっとつかまれて、ゆすぶられた。

511:504
10/12/30 14:43:48 XzwDaM/b0
「どうしたの、こんなとこで?」ポールが不思議そうに聞いた。
「近くまできたんだ。なあ、おまえ今からちょっとつき合わないか?」
レノンは俺の肩に片腕をのせ、反対の手でポールの頭を引き寄せるとその髪をぐしゃぐしゃにしながら言った。
「今からジョージがうちにくるんだ。よかったら君もくれば?」
答えるポールのほおが少し赤い。
「あー、やめとくよ。古いダチが新しいレコードを手に入れたんだ。エルヴィスだぜ。
これから聞きにいこうかと思ってさ」
ポールの目が輝いた。レコードは貴重だ。しかもエルヴィスだ、無理もない。
「おまえも来たいか?」
「んー。ううん、僕はいけないよ。今度、感想、聞かせてくれよ」
「ふん、そんなら明日、お前も行くか? 明日ならいいんだろ?」
「うん。でも、いいよ、悪いよ」
「決まりだ。明日学校が終わったら教会までこいよ。裏の芝生で待ってるから」
「うん。うん、わかった」
ポールの笑顔を見るとテディボーイは大きく笑って、
ポールの丸い、少し赤いほおをつねった。
「じゃあな」そう言って肩をゆらすように去っていく背中に向かってポールは、
ありがとう、また明日、と言った。
あいつは見たこともない優しい顔で振り返ると、
手を挙げて鼻の下を人差し指でこすり、にやっと笑い、そして大股で歩き去った。

512:504
10/12/30 15:12:41 XzwDaM/b0
なんだ、なんなんだよ、くそっ
俺は心の中でののしった。

バスに乗ると、俺たちはいつものように二階の後部座席に陣取った。
横を見るとポールはぼんやり窓の外に目を向けている。
まだ十分高い位置からの陽の光を受けて、薄茶色の瞳の色が緑がかっている。
瞬きをするとまつげが音をたてそうだ。
赤い唇がほんの少し開いている。
普段は子どもっぽい顔が、どこか違って見えた。

知り合ったばかりの頃、一学年上のポールのクラスメート達に紹介された。
俺はいきなりその中のひとりに頭突きを食らわせて、その場にいた全員を凍り付かせた。
後でポールに理由を聞かれた俺はこう答えた。
「あいつはお前の友達にふさわしくない」
ポールはただ笑って、お前変なやつだなあと言った。
そいつが校舎の裏の防空壕後で、
ポールのことを仲間達に話しているのを聞いたことがあった。
「いつも半開きの赤い唇がなんか間抜けに見えるだろ。でもそれがいいんだよ。
女なんて馬鹿な方がかわいいからな、それとおんなじさ」

俺はポールから目を背け、反対側の窓から外の景色を見るふりをして、
レノンの言葉を、視線を思い出していた。

513:504
10/12/30 15:15:17 XzwDaM/b0
おしまいです。
おじゃましました。

514:風と木の名無しさん
10/12/30 18:39:55 590wtYjWO
年末に神が!!

>>504 乙です!!!
大人なジョンと、それにヤキモキするジョージ
マイペースなポールの微妙な関係に禿萌えた

515:風と木の名無しさん
10/12/30 19:40:16 Bfz30hEWP
>>504
これはよい年越し!
この時期のSSで、G視点て新鮮ですよね。続編を希望します!

516:風と木の名無しさん
10/12/31 01:51:00 7nL7ELgTO
この時代でジョージ目線というのが本当とても新鮮でしたね!!
考えてもいなかったのですがたしかにジョージとポールはジョンに会う前からヒッチハイクの旅をするほど(時代違うかも?)の仲でしたし、
そのような嫉妬に似た感情を持つとしてもなんら不思議ではないですよね。(^^)
その後のポールのジョンに対する情なんかがアレですからなおさら…だよなぁ。なんて思ったり。

私もこの小説の続き読みたいです!!プレスリーのレコード聴きに行くところから…とか←
むしろ長編化していただきたい!!

ちなみに個人的にこの話のジョンがお気に入りでございます。
なんというか…とってもかっこよくて…!!
ポールやジョージから見たカッコイイボスなジョン像がよく表現されているなぁと感心いたします。


すっごく素敵な小説でした!!素晴らしい時間をありがとうございます!!

あまりにも感動したもので長文で失礼いたしました!!

ここのスレはいろいろな小説がたくさんあってとても面白いですよね。
いろいろ意味で、いろいろな目線でビートルズを考えられるきっかけになりました。

517:風と木の名無しさん
10/12/31 02:16:31 LmU5rqNG0
504のSSに似たのを某所で読んだことあるけど、これはその本人が書いたの?

518:風と木の名無しさん
10/12/31 02:47:37 LmU5rqNG0
読んだ感じ、文体が違うからたぶんその本人じゃないと思う。
もの凄く似てるSS(オリジナル?)は何ヶ月か前に読んだけど、504のはシチュ被りとしてもちょっと露骨すぎじゃないかな。
断定はしないけどもし504に心当たりがあるならもうこういうのはやめた方がいいと思う。

519:風と木の名無しさん
10/12/31 11:07:27 56ZQjpfF0
>>504

乙ですた。

520:風と木の名無しさん
10/12/31 15:14:50 80i9yzQV0
その元文とやらを読んでないからなんとも言えないけど
>>504
すごく萌えました
続き読みたいです

521:風と木の名無しさん
10/12/31 15:31:57 LmU5rqNG0
オリジを読んだ自分から言わせれば、504のやってることは最低だと思うよ。

522:風と木の名無しさん
10/12/31 17:42:07 O0Z8fnMoO
元文読んだことあるけど、PとGの幼なじみな関係萌えだからめちゃくちゃ面白かったしかなり萌えた

523:風と木の名無しさん
10/12/31 17:49:03 O0Z8fnMoO
すいません、さげ忘れました
本当にすいません

524:風と木の名無しさん
11/01/01 02:48:42 8QwmpuVI0
>>504

あんたの書いたそれは俺の友達が書いたやつだ。言われなくてもわかってるな。
さも自分が書いたようにしてここで褒められて嬉しいか。
でもな、どうして俺の友達が自分のをここで発表しなかったのかよく考えろ。
友達は何も言わない。あんたは好きなだけここで自分の続編でも何でも書け。それなりにマンセーもされるだろう。
でももう二度と俺の友人のやつを盗むな。ここが2だとしても最低限のマナーだぞ。
もし反論や自分のオリジナルだと言い張るなら、いくらでもここにメッセージしろ。それだけだ。

525:風と木の名無しさん
11/01/01 03:26:30 AplARzsG0
あけおめー
今年もまだまだビー萌えでいきます
JPもっと増えますように

526:風と木の名無しさん
11/01/01 19:42:48 WBFT9OGY0
みなさんあけおめ!
今年も色んなお話をここで読めますように。
そしてこのスレも続きますように・・・。

527:風と木の名無しさん
11/01/01 20:54:05 dkx3j2vp0
正直ナマモノなのにモラルが無さすぎて怖い
実際、隠れてやってんのに被害に遭う書き手が出てきたわけだろ
個人サイトやSNSじゃだめなの?
ビー同人が好きだからこそ2chの野放し状態で続けてほしくない

528:風と木の名無しさん
11/01/02 00:40:23 jI05cKPH0
だから801板でやってるんじゃん

529:風と木の名無しさん
11/01/02 03:09:58 SAxpmfR+O
ここがなくなったらどのみち理由を知らない新参がビー板にスレ立てたりすると思う(もうあるけど)
それよりはこっちでルール作ってテンプレにしてやった方がよくないか
SNSはここ以上に過疎るだろう
801板にナマモノスレなんて数えきれないほどあるし
語り場がなくなったら萌えを発散できないよ

530:風と木の名無しさん
11/01/03 00:54:32 0MNcbzX20
今の流れや晒しを見て滅入っていたけど529の言う通りだね
新年いきなり空気悪くしてごめん

531:風と木の名無しさん
11/01/03 01:36:33 ysnnQ+oyO
新年あけましておめでとうございます

正月と言えばあの有名な来日時の和服姿のビーたちが忘れられませんよね!!
とくにポール…めっちゃ萌えるわぁぁぁぁぁ!!!
ヨォコと一緒のじよんの着流しな和服姿も最高ですよね!!!
あの姿で二人並んでほしいものだ。まったく(´Д`)

532:風と木の名無しさん
11/01/03 01:39:04 DDhO0bBA0
たとえばどんなテンプレ?

533:風と木の名無しさん
11/01/03 04:12:30 uRizvJH30
>>530
いえいえ、危機感を持つのは大切だよね

言いだしっぺなのに何の案もなくてあれだけど
大体今の>>1でいいと思うw
少し前にpixvだし・・・みたいなレスあったけど基本晒しはNGだよね・・・
今年もsage進行でまったり萌えていきましょう

534:504
11/01/03 16:13:06 SRwFt2Qr0
読んでくださった方ありがとうございました。
感想いただいた方、すごくうれしかったです。
今日旅行から帰って覗いてみたら大変なことになっていてとても凹んでいます。
ただ、ビーファンとしても腐としても新参者ゆえ、そっくりだというお話を知りません。
どこにいったらそれらをチェックできるのかも。。。

Jが大好きだったGもJをよく知る前は仲良しだったPをとられるような気がして、
やきもきした時期があったのでは、と思っていました。
海外のリアルエピを集めたサイトで、
GがPの友達にいきなり頭突きをした理由を聞かれて、
お前の友達にふさわしくないと答えたというエピを読み、
うれしさのあまり書いた初SS、初投下です。

ただ、実在の人物の実際のエピソードをもとに妄想した場合、
誰かのお話にそっくりなものができあがる可能性もあるということを
考えもしなかった自分の浅はかさに腹が立ちます。自分ばかすぎです・・

ご不快に思われた方、ごめんなさい。
悪気はないとはいえ、不特定多数の方に読んでもらう以上、
どこかでだれかが発表したものに似ている時点でアウトだよな、と理解しました。
ほんとに勉強になりました。皆さんのお邪魔をしてしまってすみませんでした。

535:風と木の名無しさん
11/01/03 16:46:37 DDhO0bBA0
>534
リアルエピに話しをもってくだけの苦しい言い訳だね。
しかもそこに話を持ちこんで自分を正当化して同情を引こうとしてるね。文章読めばわかるよ。
ただのシチュ被りなら誰も何も言わなかったんじゃないかな。

536:風と木の名無しさん
11/01/03 17:01:31 bw7vk2EZO
>>534
同じような話が発表されていたとしても初めて読む人だっている。そしてとても良かったからまた続き読みたいと思ったうちの一人です。

537:風と木の名無しさん
11/01/03 17:13:03 bCg0hv3kO
さっきからパクリパクリ騒いでるのは同一人物か?
同じく原文をしらない自分は、それがパクリかどうかは知らないけど

とりあえずそうやって騒いでる奴は504がどうしたら満足なのかが良く分からん
結局どうやっても文句を言いたいんだろ

538:風と木の名無しさん
11/01/03 19:16:57 JotUsUrv0
>>534
どんまい。また書きにきてほしいです。


539:風と木の名無しさん
11/01/04 00:43:03 WLDXRcruO
534サンオウエンシテマス。

540:風と木の名無しさん
11/01/04 01:54:25 nOHP4bkcO
>>534
続編待ってます!

Gは「かっこよくて大好きなJをPに取られたくないし、幼馴染みのPをJに取られたくない」っていう感じで
どっちにも焼きもち焼いてたらすごい萌える

そしてそんな心の葛藤を察したRがGを優しく包んでほしい

541:風と木の名無しさん
11/01/04 07:01:58 nP3WOE870
>>534さんみたいなお話を自分も書いてみたいと思った
すごく良かった

542:風と木の名無しさん
11/01/05 01:01:15 tbqOaP23P
デビュー前、JとPが二人きりでパリに遊びに行ってしまい、
ハブられた(と思った)Gが泣きながら周りに当たり散らしたというエピが、
Gが可哀想だけど萌えてしまう。

543:風と木の名無しさん
11/01/05 01:10:36 Iu4m1w7WO
GがJの事を好きになり尊敬していく過程が描かれるお話書いて欲しい!

544:風と木の名無しさん
11/01/05 07:49:41 DhhE5hDVO
>>542
パリに誘われたときのPの反応の可愛さは異常

545:風と木の名無しさん
11/01/05 13:04:38 UwN8p+YJO
>>544
くわしく

546:風と木の名無しさん
11/01/11 01:09:12 cKWkARD4O
たしか

本当に僕でいいのっ?

本当に?

ありがとうージョン!!!


的な反応だったと思う

たしかにすごく可愛いのは覚えてるよ

かなり曖昧でスマン

547:風と木の名無しさん
11/01/11 01:10:38 cKWkARD4O
>>534さんはまだ現れないのかなー


わくわく

548:風と木の名無しさん
11/01/11 04:23:57 /Ofell9vO
>>546
初期Pはほんとジョン命!を地でいってるような感じだよね
スチュへの嫉妬もあからさまだし

549:風と木の名無しさん
11/01/11 16:21:23 cKWkARD4O
>>548

またもや曖昧だけどスチュへの嫉妬は弟マイケルから見ても明らかだったそう

んでもって本人も晩年に認めてたよね。

スチュと言えばスチュ妹が暴露してたあのジョンとの関係は本当なのだろうか…
だとしたらポールじゃなくても周囲は嫉妬するだろうなぁ…

550:風と木の名無しさん
11/01/12 00:29:55 HH4L1XEYP
>549
真偽はともかく、そういう憶測が出るくらいに絆が深かったと言うことだね。>スチュ&ジョン

あと、ジョンはポールとのパリ旅行でようやくマッシュルームカットにしてるんだけど、
そのジョンの髪を切ったのは確かポール。

つくづく、彼らの関係は下手な腐の妄想の遥か先を行っている。

551:風と木の名無しさん
11/01/12 19:57:45 XoDPr6fAO
>>550
二人の髪切ったのユルゲンじゃなかった?
Pって器用だけど髪とか切らせたらエライことになりそうだw

552:風と木の名無しさん
11/01/12 22:49:35 Gw/EQU3u0
>>550
これはいい萌えww

553:風と木の名無しさん
11/01/12 22:49:39 HH4L1XEYP
>551
アストリットの伝記によると、ユルゲンが切ったのはポールの髪。
その日の夜に、ホテルの部屋でジョンはポールに頼んで切ってもらったのだそう。

あと、これはうろ覚えのエピだけど、ユルゲンはハンブルクにいた頃にジョージのネームボードを作って
ライブに押し掛けていたらしいw。

554:風と木の名無しさん
11/01/13 01:28:03 vALGiinFO
ジョンの髪の毛切るポールの小説読みたくなってきちゃった…!

だれかかいてよぉ

555:風と木の名無しさん
11/01/13 22:17:48 L9Bze/BzO
初期ビーで個人的にはめちゃくちゃ萌えるのはエドサリバンショー
涙の乗車券でのJPの顔の近さはヤバすぎる
しかもその近さでPを優しく見つめるJとか

あと、アクトナチュラリーを歌うリンゴ可愛すぎ

556:風と木の名無しさん
11/01/14 00:17:43 FmrmtizCP
Day TripperのPVでのJPの密着ぶりも萌えるよv。
このPVのGは神レベルのイケメンだし、
ノコギリを振り回してセットを破壊しようとするRは超可愛いし、最高!

557:Non-Title/1 @
11/01/14 00:32:30 FmrmtizCP
ところで済みません、何の脈絡もなくSS投下します。J/Rに挑戦です。

Title:Non-Title
Pairing:John/Ringo
Rating:R-15

「……ジョン。俺は、お前とだけは、良い友達どうしでいたいんだがな」
 突然の長いキスを受けた後、リンゴは息を整えながら、穏やかな光を湛えた青い瞳でこのバンドリーダーの顔を見つめ直した。
 ジョンの頬は紅く染まっていたが、その琥珀色の瞳は寂しげな光を放ち、縋るようにリンゴを見つめ返していた。
「今更、そんなことをいっても無駄だ。お前だけマトモなままで済ませるわけにはいかない」
 ジョンはリンゴの肩をきつく抱きしめた。
「俺は……俺たちはもう、みんな、とっくにぶっ壊れちまってるんだ。ハンブルクの時から……いや、この世界でやっていくって決めたときからな。
もう戻れないんだ、何だって有りさ。お前だってもう随分、俺たちと一緒にやってきたんだ。分かってるだろ? 本当は」

 リンゴは黙ってジョンの背中を撫でさすっていた。ジョンはリンゴの顔に上気した頬を寄せて、彼のシャツを縋り付くように握りしめていた。
「ああ、そうさ、俺はもうワケ分からなくなってるんだ! あちこち連れ回されて、色んな連中の前でさんざん好き勝手に言われて、扱われて、
だから好き放題に言い返したり暴れたりしていたら……俺にとっていったい何が本当のことで、何が本当の気持ちなのか……
もう、区別が付かなくなってるんだ! 
なのに、どうしてお前は、そうやって平気な顔をしていられるんだ?」
 ジョンの腕の力がますます強くなる中で、リンゴは相変わらずジョンの髪を優しく梳きながら、
それでもまだ彼から離れる余地を探るように身を固めていた。 
「俺だって……別に黙っていても、心の中じゃ、それなりに楽しんだり怒ったりはしているからな」


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