10/05/28 02:34:30 ON9DLlr70
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「声を出すな・・・」
もう一度言う。
どうしてこんなに自分の声が震えているのか分からない。
理性が吹き飛び、自分が抑えられなくなっているからなのか。
いや違う、きっと俺は俺が怖いんだ。
これから何をしてしまうのか想像しただけで震えてしまう、怖くなってしまう。
ジョージはベッドに押さえつけられたまま、そんな彼の顔をじっと見つめるばかりだ。
ゆらっとリンゴの瞳が揺れたと同時にジョージの姿が歪む。
笑っているような・・・
泣いているような・・・
ジョージは仰向けのまま、ゆっくりと海に沈んでゆく。
蒼い水に髪を絡ませながら。
静かに静かに闇に引きこまれゆく。
ジョージの無言の唇が何かを告げる。
助けてやらないのか。
ほら、その手を伸ばして、彼をつかまえなくていいのか。
「分かってる」
だから彼の瞳にうつった自分に言ってるんだ。
「声を出すな」