10/03/22 15:49:02 Kq0wDqo/0
半ナマ
ミュージ力ル「デ.ィ.ー.ト.リ.ッ.ヒ」よりデザイナーと映画監督(とスタッフ)
人物捏造ありマス
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「Nein! 使えない!! お前ら何なんだ!!」
1929年ベルリン郊外のとある映画スタジオ。
場末のバーをイメージして作られたセットをちらりと振り返り、衣裳デザイナーのト.ラ.ヴ.ィ.ス・バ.ン.ト.ンは溜め息をついた。
「またですよ、あの石頭」
地元の若いスタッフが訳知り顔で話しかけてくる。
スタッフの顔合わせでそれぞれ自己紹介はしたはずだが、ト.ラ.ヴ.ィ.スには名前が思い出せない。
それを表情には出さないようにしながら曖昧に頷いた。
「ホント、完璧主義者ね、ス.タ.ン.バ.ー.グ監督」
「まったくですよ。これで6人目です。なにが気に食わないのか」
男が肩をすくめる。
主人公は早々に決まったというのに、肝心のヒロインの女優がいまだに決まらない。
自分の思い通りの演技をしない女優たちに怒鳴り散らす監督の怒声は、衣裳を準備するト.ラ.ヴ.ィ.スを毎回びくりとさせる。
もともとオーストリア出身のス.タ.ン.バ.ー.グは、ト.ラ.ヴ.ィ.スと同じくドイツ側の要求でアメリカのパ.ラ.マ.ウ.ン.ト映画から派遣されてきている。
ドイツ女優をヒロインにした新作映画が期待されているが、肝心の女優選びに難航しているらしい。
高校教師を誘惑し、堕落させ、最後には悲哀の底に落とす、妖艶で退廃的な酒場の歌姫。
監督のイメージに合う女優がなかなか見つからない。
早く女優が決まらないと、ト.ラ.ヴ.ィ.スの仕事も進まない上、あの怒鳴り声を四六時中聞かなければならない。